JP2004329209A - 遺伝子検出法及び遺伝子検出用プローブキット - Google Patents

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千宗 植松
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Abstract

【課題】 標的核酸の配列に関わらずユニバーサルに使用できる新規な核酸検出用キット、及びこれを利用した簡便な核酸検出法を提供すること。
【解決手段】 標的遺伝子あるいは標的核酸の塩基配列に対して非特異的な配列を有する第1の塩基配列及びT7プロモーターの配列を含む第2の塩基配列について、前記第1の塩基配列よりも5’末端側に前記第2の塩基配列を結合させ、共に前記標的遺伝子あるいは標的核酸に導入させた分析対象に対し、前記標的遺伝子あるいは標的核酸に特異的にハイブリダイズする塩基配列を含むプライマーと、前記第1の塩基配列と同一又は相補的な塩基配列を含むTaqManTMプローブもしくはモレキュラービーコンを用いてリアルタイム検出を行う。
【効果】 核酸検出用のユニバーサルなプローブが提供される。また、本発明のユニバーサルプローブ2種類を用いて、1つの反応容器で、複数の標的遺伝子を同時にリアルタイム検出することが可能になる。
【選択図】 図1

Description

本発明は蛍光エネルギートランスファーを利用した遺伝子検出法及び遺伝子検出用プローブキットに関する。より詳細には、標的遺伝子にその塩基配列に非依存的な配列を導入することにより、当該標的遺伝子の配列に関わらずユニバーサルに使用できるプローブを用いた遺伝子検出法と、そのための遺伝子検出用プローブキットに関する。
従来、RNAの検出にはRT-PCR法が用いられていた。RT-PCR法では、まず標的遺伝子から逆転写によりcDNAを合成し、PCRによる増幅を経てPCR産物を検出する。一方、逆転写酵素と、リボヌクレアーゼHと、T7RNAポリメラーゼを用いて90〜120分間の反応で標的遺伝子を1012倍以上に増幅する方法としてNASBA(登録商標)法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。NASBA法は41℃の等温反応であるため、標的遺伝子以外のゲノムDNAの熱変性が妨げられ、結果としてRT-PCR法よりも特異的に標的遺伝子を増幅することが可能である。また、PCR法のように温度サイクルを設定する必要がないことから、標的遺伝子の配列に応じて反応条件を変更する必要がなくなり、簡単な装置構成で増幅反応を実施できる。
PCR産物量の測定には、蛍光検出と電気泳動とを組み合わせることが多く、電気泳動で増幅産物のサイズを確認してから、蛍光強度を測定して増幅産物の量を調べなければならないのが一般的であった。近年、PCR産物量を電気泳動することなく、リアルタイムに蛍光検出できる複数の方法が報告された(例えば、非特許文献2及び3参照)。これらの方法では、蛍光エネルギートランスファーを利用して、PCR産物にハイブリダイズすることで蛍光が生じるよう工夫されたプローブ(例えば、TaqManTMプローブやモレキュラービーコン)が、リアルタイム検出のために用いられる。さらに検出に際しては、各サイクルごとにPCR産物量を測定できるため、PCR産物が指数関数的に増幅している領域とプラトーに達している領域を簡単に求めることができる。それゆえ、RT-PCR法における手間が改善され、効率的な発現遺伝子の検出法として急速に広まってきた。
しかし、蛍光エネルギートランスファーを利用したPCR産物検出法では、標的遺伝子を検出するためのプローブやプライマーを各標的遺伝子ごとに個別に設計しなければならない。しかも、これらのプローブは、通常のプライマーとは設計指針が異なること、また蛍光エネルギートランスファーを利用しているため高価であるという問題点がある。
これに対し、標的遺伝子の配列によらずユニバーサルに使用できるモレキュラービーコンを用いた核酸増幅法も開発されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、遺伝子の増幅にNASBA法を用いることもできる。しかしながら、モレキュラービーコンはTaqManTMプローブに比較して一般に反応効率が悪いという欠点がある。
一方、Whitcombeらは、標的遺伝子の配列によらずユニバーサルに使用できるTaqManTMプローブを用いたPCR産物の蛍光アッセイを報告している(例えば、非特許文献4参照)。このアッセイはゲノムDNAを対象とした、一塩基多型のタイピングを目的としている。この方法では、鋳型非特異的なプローブ配列及びTag配列をゲノムDNAに導入することにより、鋳型非特異的なTaqManTMプローブを用いたアッセイを可能にしている。しかしながら、この方法では導入用のプライマーペアに加えて、合成されたDNAのTag配列にハイブリダイズし、該DNAを増幅するための別なプライマーペアの2種類のプライマーペアが用いられる。そのため、2とおりの温度サイクルを必要とし、しかも反応副産物の生成を回避することができない。また、1つの反応容器でリアルタイム検出を行う場合、2種のプローブの融解温度の違いから厳密な反応性をそろえることができないという問題点がある。これらの問題から、このアッセイは遺伝子発現の定量的分析には不都合である。
米国特許 第6,090,552号明細書 J Compton: Nucleic acid sequence-based amplification. Nature, 1991, 350, p91-92) Pamela M., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, August 1991, 88, p7276-7280 S Tyagi, F R Kramer, Nature Biotechnology, 1996, 14, p303-308 Whitcombe D., et al., Clinical Chemistry, 1998, Vol.44, No.5, p918-923
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、標的遺伝子の配列に関わらずユニバーサルに使用できる新規な遺伝子検出用キット、及びこれを利用した簡便な遺伝子検出法を提供することにある。
上記課題を解決するための手段として、本発明は、標的遺伝子の塩基配列に対して非特異的な配列を有する第1の塩基配列及びRNAポリメラーゼのプロモーター配列を含む第2の塩基配列について、
前記第1の塩基配列よりも5’末端側に前記第2の塩基配列を結合させ、共に前記標的遺伝子に導入させた分析対象遺伝子に対し、
前記分析対象遺伝子に特異的にハイブリダイズするフォワードプライマー、
前記標的遺伝子に特異的にハイブリダイズする配列を含む第3の塩基配列より5’末端側に前記第1の塩基配列を含み、かつ前記第1の塩基配列より5’末端側に前記第2の塩基配列を含む導入用プライマー、
前記第1の塩基配列と同一又は相補的な塩基配列を含み、一方の末端を蛍光体で修飾され、もう一方の末端を消光体で修飾されたプローブ、ならびに、
逆転写酵素と、RNAポリメラーゼと、リボヌクレアーゼH及び/又はエキソヌクレアーゼとを用いて核酸増幅反応を行い、その核酸増幅反応の際に前記リボヌクレアーゼH又はエクソヌクレアーゼにより前記第1の塩基配列に結合した前記プローブを分解し、遊離した前記蛍光体の発する蛍光を検出することにより、前記核酸増幅反応の産物量を計測することを特徴とする遺伝子検出法を提供する。
ここで、標的遺伝子への第1の塩基配列と第2の塩基配列の導入は、3つの配列部分から構成される導入用プライマーを使用することによって行われる。該導入用プライマーは、前記標的遺伝子に特異的にハイブリダイズする配列を含む第3の塩基配列より5’末端側に前記第1の塩基配列を含み、かつ前記第1の塩基配列より5’末端側に前記第2の塩基配列を含む。ここで、第1の部分は検出時に用いるプローブと同一の配列又は相補的な配列であり、第2の部分はRNAポリメラーゼのプロモーター配列と転写開始点を含む配列である。第1、第2、第3の部分は連続していても良いし、それぞれの部分の間に連結部があっても良い。第3の配列は標的遺伝子の配列によって変化するが、第1の配列は標的遺伝子の配列に依存せず任意に設計することができる。また、第2の配列は標的遺伝子の配列に依存せず一定の配列(例えば、T7プロモーター配列等)である。
また、前記フォワードプライマーは、分析対象遺伝子又はその一部を増幅するためのフォワード側プライマーであって、該分析対象遺伝子上に導入された前記第3の部分よりも3’末端側にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドであればよい。
本発明で用いられるRNAポリメラーゼは特に限定されず、T7RNAポリメラーゼ、T3RNAポリメラーゼ、SP6RNAポリメラーゼ等、任意のものを用いることができるが、T7RNAポリメラーゼが好ましい。T7RNAポリメラーゼを用いる場合、前記第2の部分にはT7プロモーター配列を含むようにする。
例えば、ある標的遺伝子のmRNAを検出する場合、まず上記3つの配列部分を有する導入用プライマーを逆転写用プライマーとして用いて、標的RNA(mRNA)から第一鎖cDNAを合成する。このcDNAは、標的遺伝子に第1の塩基配列と第2の塩基配列(RNAポリメラーゼのプロモーター配列)が導入された分析対象遺伝子(一本鎖cDNA)として機能する。次に、得られた分析対象遺伝子(cDNA)をテンプレートとして、第二鎖cDNAを合成する。こうして、RNAポリメラーゼのプロモーター配列を有する分析対象遺伝子(二本鎖cDNA)が合成される。
合成されたRNAポリメラーゼのプロモーター配列を含む分析対象遺伝子は、以下のようなサイクルで増幅される。
1) まず、前記分析対象遺伝子をRNAポリメラーゼによりRNAに転写する。RNAポリメラーゼは、分析対象遺伝子上のプロモーター配列を認識して、標的遺伝子mRNAに相補的なRNA(アンチセンス鎖)を多数転写する。
2) 次に、上記RNAを前記フォワードプライマーと、逆転写酵素又はリボヌクレアーゼHとを用いて逆転写し、一本鎖cDNAを合成する。
3) 次いで、上記一本鎖cDNAから、前記導入用プライマーを用いて前記分析対象遺伝子を合成する。合成は、さらにDNAポリメラーゼを加えて行ってもよいし、通常逆転写酵素はDNAポリメラーゼ活性も併せ持つため、前記逆転写酵素を用いて行ってもよい。
合成された分析対象遺伝子は、工程1)の転写反応の鋳型となり、かくして上記1)〜3)の工程が順に繰り返されることによって、増幅反応が進行する。
こうして増幅された二本鎖cDNAを、前記第1の塩基配列と同一の配列又は相補的な配列からなるTaqManTMプローブとを用いて検出を行う。なお、TaqManTMプローブとは、プローブの5'末端が蛍光体で標識され、3'末端が該蛍光体の発する蛍光をエネルギートランスファーにより消光する物質(消光体)で標識されたDNAプローブである。TaqManTMプローブは、通常の状態では、5'末端と3'末端がそれぞれ蛍光体と消光体で標識されているため蛍光を発しない。しかし、増幅反応実行時、前記プローブが標的配列にハイブリダイズし、リボヌクレアーゼH又はエクソヌクレアーゼによりプローブが分解されると、フリーな蛍光体が生じて蛍光を発する。
本発明の遺伝子検出法では、逆転写反応後の核酸増幅反応は、1組のプライマーを用いて、実質的に単一の温度(等温)で行われる。ここで、「実質的に単一の温度」とは、逆転写酵素、リボヌクレアーゼH、RNAポリメラーゼ及びエキソヌクレアーゼなどの酵素が同時に活性を持つ温度をいい、具体的には35〜55℃、好ましくは40〜42℃程度の温度である。この温度で、逆転写反応、二本鎖cDNA合成反応、転写反応、プローブ分解反応が同時に進行する。しかしながら、ゲノムDNAなどの数百塩基長以上の二本鎖DNAはこの温度範囲では通常解離しないため、本発明の遺伝子検出工程で、標的遺伝子以外のゲノムDNAを増幅してしまうことはない。つまり、一定温度でのインキュベーションという簡便な操作で、反応副産物を生成させることなく、標的遺伝子を特異的に検出することができる。
また、検出のための前記プローブは標的遺伝子の配列とは無関係に設計できるため、標的遺伝子の種類に関わらずにユニバーサルに使用することができる。
本発明の遺伝子検出法においては、2種以上のプローブを用いることにより、1つの容器を用いて、複数あるいは単一の検体に由来する2種以上の標的遺伝子を同時に検出することができる。
例えば、1つの検体と標準試料とを同時に分析して、標準試料と検体の量比を比較することができる。このような複数検体の同時解析においては、各プローブの反応性をそろえ、正確な比較を行うため、前記2種以上のプローブの融解温度は実質的に同じにすることが好ましい。
本発明はまた、遺伝子検出のためのキットを提供する。該キットは、標的遺伝子の塩基配列に対してそれぞれ非特異的な配列を有する、前記標的遺伝子に導入される第1の塩基配列、及び第1の塩基配列よりも5'末端側に位置する第2の塩基配列について、前記第1の塩基配列と同一又は相補的な配列を含み、一方の末端を蛍光体で修飾され、もう一方の末端を消光体で修飾されたプローブを含む。
複数の標的遺伝子の同時検出を目的とする場合、前記キットは2種以上のプローブを含み、これらプローブの融解温度は実質的に同じであることが望ましい。実質的に同じ融解温度を有する2種以上のプローブとしては、例えば、各々3〜4塩基長の複数のモジュール配列からなり、各モジュール配列の両末端の塩基は同一であり、かつ各プローブがこの両末端の塩基が同一であるモジュール配列同士の順序を入れ替えて構成されたプローブを挙げることができる。
本発明によれば、遺伝子検出用のユニバーサルなプローブが提供される。該プローブは、標的遺伝子の塩基配列に応じてその都度高価なプローブを設計する必要がない。また、どのような標的遺伝子に対しても実質的に同じ条件で増幅・検出反応を行うことができ、分析の簡便化が可能である。さらに、増幅を等温で行うため、副産物生成が低減でき、高精度の検出を行うことができる。また、本発明のユニバーサルプローブ2種類を用いて、1つの反応容器で、複数の標的遺伝子を同時にリアルタイム検出することが可能になる。これにより、検出の精度を高めたり、ウイルスのタイプを同定したりすることが可能になる。
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
1. 導入用プライマーの設計
図1は本発明の遺伝子検出法を模式的に示した図である。1は試料である標的RNAであり、11は導入用(逆転写用)プライマーである。導入用プライマー11は、標的RNAにハイブリダイズする配列部分12と、配列部分12より5'末端側に位置し、検出時に用いるプローブと同一の配列からなる配列部分13と、配列部分13より5'末端側に位置するT7プロモーターの配列を含む配列部分14から構成されている。
前記配列部分12、13、14は連続していても良いし、それぞれの部分の間に連結部があっても良い。配列部分12の長さは、特に限定されないが、好ましくは18〜25塩基長程度である。配列部分13の長さも、特に限定されないが、好ましくは18〜30塩基長程度である。配列部分14の長さも、特に限定されないが、好ましくは20〜25塩基長程度である。配列部分12は標的遺伝子の配列によって変化するが、配列部分13は標的遺伝子の配列に依存せず任意に設計することができる。配列部分14は標的遺伝子の配列に関係なくRNAポリメラーゼの転写開始に必要なプロモーター配列や転写開始点を含む配列を設計する。例えば、RNAポリメラーゼとして、T7ファージ由来のT7RNAポリメラーゼを用いる場合であれば、T7プロモーター配列が含まれるように設計する。
2. 分析対象遺伝子の合成(cDNAへの逆転写)
前記導入用プライマーを逆転写用プライマーとして用いて、標的遺伝子のmRNAからcDNAを合成する。逆転写反応は、当該分野で公知の方法に従い、鋳型RNAを含む反応液に、前記プライマー、逆転写酵素、基質を加えて、35〜45℃で30〜60分程度インキュベートすればよい。用いる逆転写酵素は特に限定されないが、一本鎖cDNAから二本鎖cDNAを合成する際のDNAポリメラーゼとしても機能する酵素を用いる。例えば、M-MLV RT、AMV-RT、OmniscriptTM-RT(キアゲン社)、SensiscriptTM(キアゲン社)等を用いることができる。
この逆転写反応により、標的遺伝子に該遺伝子の配列に依存しない、第1の塩基配列13及び第2の塩基配列14が導入されたcDNAが分析対象遺伝子(第一鎖)として合成される。
3. プライマーとユニバーサルプローブの設計
次に、前項で合成した分析対象遺伝子(cDNA)に対して、該遺伝子をNASBA(登録商標)法で増幅するためのプライマーと、該遺伝子を検出するためのユニバーサルなプローブの設計について説明する。
図1に示すように、増幅用プライマーとしては、分析対象遺伝子にハイブリダイズするフォワードプライマー10と、導入用プライマー11を用いる。
増幅産物検出用プローブとしては、分析対象遺伝子に導入されている配列部分13と同一の配列を有するプローブ15を用いる。プローブ15は、図中にFで記す蛍光体16と図中にQで記す消光体17で標識されている。プローブ15はインタクトな状態では、蛍光エネルギートランスファーにより蛍光体16の蛍光は抑制されているが、増幅反応の進行に伴い、該蛍光体を遊離させて発光する。なお、用いられる蛍光体としては、例えば、フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、ローダミン、BODIPY、テトラメチルローダミン、Cy2、Cy3、Cy3B、Cy5、Cy7、テキサスレッド、ROX、FAM、及びVIC等が挙げられる。また、消光体としては、4−(4’−ジメチルアミノフェニルアザ)−安息香酸(DABCYL)、Cy5Q、Cy7Q、NFQ等を挙げることができる。蛍光体のうち、ある種の他の蛍光体に接触するとその蛍光を消光する機能を有するものは、消光体としても使用できる。
プローブ15は逆転写酵素やRNAポリメラーゼによって伸長しないように、その3'末端をリン酸化しておくことが必要である。
図2を用いて、導入用プライマー(逆転写用プライマー)11とプローブ15の配列の関係についてさらに詳しく説明する。なお、図中、プローブ及びプライマーは左に5'末端、右に3'末端が位置するように記載されている。
図2(a)に示すように、導入用プライマー(逆転写用プライマー)11は標的RNAにハイブリダイズする配列部分12と、プローブ15と同一の配列からなる配列部分13と、RNAポリメラーゼのプロモーター配列(例えば、T7プロモーター配列)を含む配列部分14から構成されている。3つの配列部分のうち、配列部分14が最も5'末端側に位置し、配列部分14よりも3'末端側に配列部分13が位置し、配列部分13よりも3'末端側に配列部分12が位置している。プローブ15の5'末端は蛍光体16で標識され、3'末端は消光体17で標識されている。
また、図2(b)に示すように、導入用プライマー(逆転写用プライマー)18が標的RNAにハイブリダイズする配列部分12と、プローブ15と同一の配列からなる配列部分13と、T7プロモーター配列を含む配列部分14の他に、各配列部分の間に連結部となる配列部分19があっても良い。当該連結部の長さは特に限定されないが、通常1〜5塩基長程度であることが好ましい。
図3を用いて、プローブ15が蛍光を発する仕組みについて説明する。プローブ15が蛍光を発するためには、プローブ15が増幅反応において合成されるDNA鎖3にハイブリダイズし、エキソヌクレアーゼあるいはリボヌクレアーゼHによって加水分解されることが必要である。加水分解の結果、フリーな蛍光体20が生じて蛍光が発光する。DNA鎖3に対してハイブリダイズしたプローブ15が、プローブ15の5'末端側から5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素(例えば、T7Gene6エキソヌクレアーゼ、Lamdaエキソヌクレアーゼ等)によって分解されるか、3'末端側から3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素(例えば、エキソヌクレアーゼIII等)によって分解されるか、DNA/RNAハイブリッド鎖のRNA鎖のみを特異的に分解する活性を有するリボヌクレアーゼHによって分解されれば良い。したがって、リボヌクレアーゼHを用いる場合にはプローブ15はRNA骨格を持つRNAプローブか、DNA/RNAキメラ骨格を持つプローブを使用する。
プローブ15の配列は標的RNAの配列と無関係に設計することができる。別の標的RNAを測定する場合でも逆転写用プライマー11の配列部分12と、フォワードプライマー10の配列を設計しなおすだけでよく、プローブ15はユニバーサルなプローブ(ユニバーサルプローブ)として使用可能である。
4. 増幅反応と発光
増幅反応は、当該分野で公知の方法に従い、反応チューブに分析対象遺伝子、フォワードプライマー、導入用プライマー、プローブを入れ、逆転写酵素、RNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼHもしくはエキソヌクレアーゼを用いて行われる。
図1に基づいてNASBA法を用いた場合の増幅と発光のプロセスを説明する。まず、導入用プライマー11が分析対象遺伝子1にハイブリダイズして、逆転写反応が進行することにより第一鎖cDNA2が合成される。第一鎖cDNA2には第1の配列部分13と第2の配列部分14が導入されている。第2の配列部分14はT7プロモーターの配列を含んでいる。次に、フォワードプライマー10が第一鎖cDNA2にハイブリダイズして逆転写酵素が持つDNAポリメラーゼ活性により第二鎖cDNA3が合成されてT7プロモーター配列を有する二本鎖cDNA6が生成する。
二本鎖cDNAは、T7プロモーター配列を有するため、T7RNAポリメラーゼによりRNA(cRNA)4が多数転写される。転写されたRNA4にフォワードプライマー10がハイブリダイズし、逆転写反応が進行してcDNA5が合成される。さらに、cDNA5に導入用プライマー11がハイブリダイズし、DNA鎖が合成されて二本鎖cDNA6が新規に合成される。
プローブ15は二本鎖cDNA6のうちの、第二鎖cDNA3にハイブリダイズする。プローブ15は、エキソヌクレアーゼにより加水分解される。加水分解の結果、プローブ15から蛍光体16が遊離し、フリーの蛍光体20が生じて蛍光を発する。
図1にはプローブ15がDNA骨格を持ち、エキソヌクレアーゼによって加水分解される場合を示したが、プローブ15が、DNA/RNAキメラ骨格を持つプローブである場合も同様の検出が可能である。この場合には、プローブ15は第二鎖cDNA3にハイブリダイズし、その結果生じるDNA/RNAハイブリッド鎖のRNA部分がリボヌクレアーゼHによって加水分解を受ける。
図1には、逆転写用プライマー11に、標的遺伝子に非特異的な第1の配列部分13がある場合を記したが、フォワードプライマー10の5'末端側に非特異的な第1の配列部分13が位置していてもよい。
また、プローブとして、TaqMan(商標登録)プローブのほかに、モレキュラービーコン型のものを使用しても良い。導入用プライマー181が、標的RNAにハイブリダイズする配列部分182(第3の配列部分)と、RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含む配列部分184(第2の配列部分)を含む構成とし、フォワードプライマー180が標的RNAにハイブリダイズする配列部分179(第3の配列部分)と、プローブ配列と同一な配列を含む配列部分183(第1の配列部分)を含む構成としても良い。
図11に示すように、導入用プライマー181のうち、第2の配列部分184が、第3の配列部分182よりも5'末端側に位置するようにする。また、フォワードプライマー180のうち、第1の配列部分183が、第3の配列部分179よりも5'末端側に位置するようにする。
図11を用いて、この構成においてNASBA法を用いた場合の増幅と発光のプロセスを説明する。まず、導入用プライマー181が分析対象遺伝子171にハイブリダイズして、逆転写反応が進行することにより、第2の配列部分184が導入された第一鎖cDNA172が合成される。次に、フォワードプライマー180が第一鎖cDNA172にハイブリダイズして逆転写酵素が持つDNAポリメラーゼ活性により、第1の配列部分183が導入された第二鎖cDNA173が合成される。その結果、T7プロモーター配列を含む第2の配列部分184と、第1の配列部分183が導入された二本鎖cDNA176が生成する。
二本鎖cDNA176は、T7プロモーター配列を有するため、T7RNAポリメラーゼによりRNA(cRNA)174が多数転写される。転写されたRNA174にフォワードプライマー180がハイブリダイズし、逆転写反応が進行してcDNA175が合成される。さらに、cDNA175に導入用プライマー181がハイブリダイズし、DNA鎖が合成されて二本鎖cDNA176が新規に合成される。
モレキュラービーコンプローブ185は二本鎖cDNA176に導入された第1の配列部分183に相補な配列にハイブリダイズする。ハイブリダイズした結果、モレキュラービーコンプローブ185のループ構造が解消されて、消光体によるエネルギートランスファーがなくなり、モレキュラービーコンプローブ185は蛍光を発する。
モレキュラービーコンプローブ185は、図12に示すように、標的RNAにハイブリダイズする配列部分190とステム構造を形成する配列部分191から構成されている。標的RNAが存在しない場合には、プローブ内でステム構造を形成してエネルギートランスファーにより蛍光は発光しない。標的RNAが存在する場合には、蛍光体と消光体の距離が離れて、エネルギートランスファーが解消し、蛍光を発する。
上記の通り、プローブ15はNASBA反応進行中に生じる第二鎖cDNA3にハイブリダイズし、エキソヌクレアーゼもしくはリボヌクレアーゼHによって加水分解を受けて蛍光を発する。従って、増幅された標的遺伝子の量に応じて蛍光の発光量は増加する。つまり、試料中に含まれる標的遺伝子の量を測定することができる。なお、この際、PCRと異なり、NASBA法は等温(40〜42℃)で進行する反応であるため、ゲノムDNA由来の増幅副産物を低減化させることができる。これにより、標的遺伝子の検出精度を高めることができる。
5. 複数標的核酸の同時検出
次に、2種以上のユニバーサルプローブを用いて、1つの容器内で、複数の標的遺伝子を同時に検出する(複数標的核酸の同時検出)方法について説明する。
5.1 2種以上のユニバーサルプローブの設計
図4は、複数の標的核酸を同時検出する場合に用いる2種のユニバーサルプローブ:プローブA(図4の30)とプローブB(図4の40)の構造を模式的に示したものである。
プローブAの5'末端は図中R1で示される蛍光体31で標識され、3'末端は、R1由来の蛍光を蛍光エネルギートランスファーによって消光する消光体32で標識されている。プローブBもプローブAと同様に5'末端が図中R2で示される蛍光体41で標識され、3'末端が蛍光を消光するための消光体32で標識されている。
プローブBの5'末端に標識されているR2は、R1とは異なる蛍光波長で発光する蛍光体を選択することが必要である。これにより、R1とR2との蛍光波長の違いから、プローブA由来の蛍光かプローブB由来の蛍光かを識別することができる。
さらに、プローブAとプローブBは、同じ反応特性でそれぞれの標的遺伝子にハイブリダイズするように設計することが必要である。図4に示すように、プローブA及びプローブBの配列を、3塩基〜4塩基のモジュール配列34〜39から構成されるものとする。プローブを構成するモジュール配列の数は、特に限定されないが、一般的には5〜8程度であることが望ましい。前記各モジュール配列の両末端の塩基は同じ塩基種で構成される。また、プローブBの配列は、プローブAの配列のうち同じ両末端の塩基を有するモジュール同士の順番を入れ替えて構成されている。両末端の塩基種が同じモジュール同士の順番を入れ替えているため、モジュール同士の連結部分の塩基配列はプローブAとプローブBで同じである。また、プローブ配列を構成するモジュールはプローブAとプローブBで同じである。これにより、プローブAとプローブBの熱力学的性質が等価になり、それぞれのTm値はnearest neighbor法で計算すると同一の値となる。
すなわち、プローブAとプローブBは全体の配列は異なるが、実質的に同じTm値を有し、同一反応チューブで、同時に反応させても、それぞれの相補的な配列に対して同じ反応特性でハイブリダイズすることが可能となる。よって、定量分析に用いる場合に厳密な分析が可能となる。以上、2種類のプローブの設計について説明したが、3種以上の場合も同様にして設計することができる。
5.2 分析対象遺伝子の合成(cDNAへの逆転写)
図5に、プローブA及びプローブBを用いて2種類の標的遺伝子(遺伝子(1)及び(2))を1つの反応チューブでNASBA法により増幅し、検出する方法の概略を示す。まず、標的遺伝子(1)からcDNAを調製する。51は標的遺伝子(1)であり、52は逆転写用プライマーである。逆転写用プライマー52は、標的遺伝子にハイブリダイズする配列部分53と、配列部分53より5'末端側に位置し、検出時に用いるプローブと同一の配列からなる配列部分54と、配列部分54より5'末端側に位置し、T7プロモーターの配列を含む配列部分55から構成されている。このプライマーを用いて、前項4.と同様に逆転写反応を行い、配列部分54と配列部分55が導入された第一鎖cDNA56を得る。
第一鎖cDNA56の調製と同様に、標的遺伝子(2)からcDNAを合成する。71は標的遺伝子(2)であり、72は逆転写用プライマーである。逆転写用プライマー72は、標的RNAにハイブリダイズする配列部分73と、配列部分53より5'末端側に位置し、検出時に用いるプローブと同一の配列からなる配列部分74と、配列部分74より5'末端側に位置し、T7プロモーターの配列を含む配列部分55から構成されている。標的遺伝子(2)についても、同様に逆転写反応を行い、配列部分74と配列部分55が導入された第一鎖cDNA76を得る。なお、逆転写用プライマー52の配列部分55と逆転写用プライマー72の配列部分55は同一の配列である。また、逆転写用プライマー52の配列部分54と逆転写用プライマー72の配列部分74は、図4に示すプローブAとプローブBに相当し、同じTm値を有する。
5.3 同時検出
図5を用いて、同時検出の概略を説明する。得られた第一鎖cDNA56の一部と第一鎖cDNA76の一部を反応チューブからとり、新しい反応チューブに等量混ぜ合わせたものをテンプレートとする。なお、第一鎖cDNA56と第一鎖cDNA76は図5に示すように別々の反応チューブで用意しても良いし、同じ反応チューブで用意しても良い。プライマーとして、第一鎖cDNA56及び第一鎖cDNA76にハイブリダイズするフォワードプライマー65と、逆転写用プライマー(導入用プライマーとしても機能する)52及び逆転写用プライマー(導入用プライマーとしても機能する)72を用いる。
検出用のユニバーサルプローブとして第一鎖cDNA56に導入されている配列部分54と同一の配列を有するプローブ57と、第一鎖cDNA76に導入されている配列部分74と同一の配列を有するプローブ77を用いる。
プローブ57は、図中R1で示される蛍光体58と図中Qで示される消光体59で標識されており、プローブ77は、図中R2で示される蛍光体78と図中Qで示される消光体79で標識されている。消光体59と79は、それぞれ蛍光体58と78の蛍光を抑制する働きがあれば同一のものを用いてもよい。プローブ57及びプローブ77は、インタクトな状態では、蛍光エネルギートランスファー現象により蛍光体58及び蛍光体78の蛍光が抑制されている。
逆転写酵素により第一鎖cDNA56から第二鎖cDNA60が合成されてT7プロモータ配列を有する二本鎖cDNA61が生成する。また、第一鎖cDNA76から第二鎖cDNA80が合成されてT7プロモータ配列を有する二本鎖cDNA81が生成する。二本鎖cDNA61及び81は、T7プロモーター配列を有するため、T7RNAポリメラーゼによりRNA(cRNA)62及び82が転写される。転写されたRNA62にフォワードプライマー65がハイブリダイズし、逆転写反応が進行してcDNA63が合成される。さらに、cDNA63に導入用プライマー52がハイブリダイズし、DNA鎖が合成されて二本鎖cDNA61が新規に合成される。同様に転写されたRNA82にフォワードプライマー75がハイブリダイズし、逆転写反応が進行してcDNA83が合成される。さらに、cDNA83に導入用プライマー72がハイブリダイズし、DNA鎖が合成されて二本鎖cDNA81が新規に合成される。
プローブ57は二本鎖cDNA61のうちの、第二鎖cDNA60にハイブリダイズする。プローブ57は、エキソヌクレアーゼにより加水分解される。加水分解の結果、プローブ57から蛍光体が遊離し、フリーの蛍光体64が生じて蛍光を発する。また、プローブ77は二本鎖cDNA81のうちの、第二鎖cDNA80にハイブリダイズする。プローブ77は、エキソヌクレアーゼにより加水分解される。加水分解の結果、プローブ77から蛍光体が遊離し、フリーの蛍光体84が生じて蛍光を発する
反応の進行によって生じるフリーな蛍光体64及びフリーな蛍光体84の量は、それぞれ反応進行前に反応チューブ内に存在するcDNA56とcDNA76の量に依存するため、2つの蛍光体からの蛍光シグナル量を比較することでcDNA56とcDNA76の存在比を調べることができる。すなわち、複数の標的遺伝子を同時に検出することが可能である。
図5にはプローブ57及び77がDNA骨格を持ち、エキソヌクレアーゼによって加水分解される場合を示したが、プローブ57及び77が、DNA/RNAキメラ骨格を持つプローブである場合も同様の検出が可能である。この場合には、プローブ57あるいは77は第二鎖cDNA60あるいは80にハイブリダイズし、その結果生じるDNA/RNAハイブリッド鎖のRNA部分(プローブ)のみがリボヌクレアーゼHによって加水分解を受ける。
図12の場合と同様に、図5においてもフォワードプライマーの標的遺伝子にハイブリダイズする配列の5'末端側に第1の配列部分54あるいは74が位置していても良い。
上記の通り、本発明の方法により、試料中に含まれる複数の標的遺伝子の量を同時に測定することができる。この際、感染症の診断などにおいては、1つの診断項目に対して複数の評価項目を1回で測定できるため、検出の精度を高めることができる。
6. ウイルス塩基配列のタイピング
次に、2種以上のユニバーサルプローブを用いて、1つの容器内で、ウイルス遺伝子をタイピングする(ウイルスのジェノタイプ判定)方法について説明する。
6.1 2種以上のユニバーサルプローブの設計
2種以上のプローブの設計については、5.1節の説明にしたがって行う。
6.2 分析対象遺伝子の合成(cDNAへの逆転写)
図9に、プローブA,B,C,D及びEを用いてウイルス塩基配列のタイピングを1つの反応チューブでNASBA法を用いて行う方法の概略を示す。図9には、1例として5つのジェノタイプのうちの1つ目のタイプが標的遺伝子である場合を示す。まず、標的遺伝子からcDNAを調製する。101は標的遺伝子であり、112,122,132,142及び152は逆転写用プライマーである。逆転写用プライマー112は、標的遺伝子にハイブリダイズする配列部分113と、配列部分113より5'末端側に位置し、検出時に用いるプローブと同一の配列からなる配列部分114と、配列部分114より5'末端側に位置し、T7プロモーターの配列を含む配列部分115から構成されている。同様に、逆転写用プライマー122,132,142及び152はそれぞれ、標的遺伝子にハイブリダイズする配列部分123,133,143及び153と、配列部分123,133,143及び153より5'末端側に位置し、検出時に用いるプローブと同一の配列からなる配列部分124,134,144及び154と、配列部分124,134,144及び154より5'末端側に位置し、T7プロモーターの配列を含む配列部分115から構成されている。
これらの逆転写用プライマーを用いて、前記4.項と同様に逆転写反応を行い、配列部分114と配列部分115が導入された第一鎖cDNA102を得る。前記したように、図9は1つ目のタイプが標的遺伝子である例を示したものである。したがって、標的遺伝子101が逆転写用プライマー112と反応した場合を示すが、標的遺伝子が別のジェノタイプであった場合には、逆転写用プライマー122,132,142及び152のうちのいずれかと反応して、配列部分124,134,144及び154と配列部分115が導入された第一鎖cDNAが得られる。以降の工程においても、標的遺伝子が別のジェノタイプであった場合には、配列部分114に相当する部分を配列部分124,134,144及び154に置き換え、プローブ116に相当する部分をプローブ126,136,146及び156に置き換えて考えればよい。
なお、逆転写用プライマー112,122,132,142及び152の配列部分115はそれぞれ同一の配列である。また、逆転写用プライマー112,122,132,142及び152の配列部分114,124,134,144及び154は、図4に示すプローブAとプローブBのように、同じTm値を有する。
6.3 同一容器でのタイピング
図9を用いて、同一容器でのタイピングの概略を説明する。得られた第一鎖cDNA102の一部又は全部を新しい反応チューブに入れたものをテンプレートとする。プライマーとして、第一鎖cDNAにハイブリダイズするフォワードプライマー111,121,131,141及び151と、逆転写用プライマー112,122,132,142及び152を用いる。フォワードプライマー111,121,131,141及び151のうちの1つと、逆転写用プライマー112,122,132,142及び152のうちの1つが第一鎖cDNAに対して反応するが、図9にはフォワードプライマー111と逆転写用プライマー112が第一鎖cDNA102に対して反応する例を示す。
検出用のユニバーサルプローブとして116,126,136,146及び156を用いる。ユニバーサルプローブ116,126,136,146及び156は逆転写用プライマーの配列部分114,124,134,144及び154と同一の配列を有する。従ってユニバーサルプローブ116,126,136,146及び156のうちのいずれかは、第一鎖cDNAに導入されている逆転写用プライマーの配列部分114,124,134,144及び154のいずれかと同一の配列を有している。図9には、第一鎖cDNA102に配列部分114が導入されている例を示す。
プローブ116は、図中R1で示される蛍光体117と図中Qで示される消光体108で標識されており、プローブ126は、図中R2で示される蛍光体127と図中Qで示される消光体108で標識されており、プローブ136は、図中R3で示される蛍光体137と図中Qで示される消光体108で標識されており、プローブ146は、図中R4で示される蛍光体147と図中Qで示される消光体108で標識されており、プローブ156は、図中R5で示される蛍光体157と図中Qで示される消光体108で標識されている。プローブ116,126,136,146及び156は、インタクトな状態では、蛍光エネルギートランスファー現象により蛍光体117,127,137,147及び157の蛍光が抑制されている。
逆転写酵素により第一鎖cDNA102から第二鎖cDNA103が合成されてT7プロモーター配列を有する二本鎖cDNA104が生成する。二本鎖cDNA104は、T7プロモーター配列を有するため、T7RNAポリメラーゼによりRNA(cRNA)105が転写される。転写されたRNA105にフォワードプライマー111がハイブリダイズし、逆転写反応が進行してcDNA106が合成される。さらに、cDNA106に逆転写用プライマー112がハイブリダイズし、DNA鎖が合成されて二本鎖cDNA104が新規に合成される。
プローブ116は二本鎖cDNA104のうちの、第二鎖cDNA103にハイブリダイズする。プローブ116は、エキソヌクレアーゼにより加水分解される。加水分解の結果、プローブ116から蛍光体が遊離し、フリーの蛍光体107が生じて蛍光を発する。
反応の進行によってプローブ116に由来するフリーな蛍光体107が生じるが、標的遺伝子のジェノタイプによって、分解されるプローブが異なるため、フリーな蛍光体の種類も異なる。蛍光体の種類と蛍光強度を調べることにより、標的遺伝子のジェノタイプを判定することができる。すなわち、ウイルスのタイピングを同一容器にて行うことが可能である。
図12の場合と同様に、図4においてもフォワードプライマー111、121、131、141、151の標的遺伝子にハイブリダイズする配列の5'末端側に第1の配列部分114、124、134、144、154が位置していても良い。
上記のとおり、試料中に含まれるウイルスのタイピングを1つの反応チューブで行うことができる。複数の評価項目を1回で測定でき、それぞれの蛍光体の種類や蛍光強度を直接比較できるためタイピングの精度を高めることができる。
7.キット
本発明の方法により、標的遺伝子にその配列とは無関係な第1の塩基配列と第2の塩基配列を導入することにより、どのような標的遺伝子に対してもユニバーサルに使用できるTaqManTMプローブ(ユニバーサルプローブ)またはモレキュラービーコン(ユニバーサルモレキュラービーコン)を提供することが可能となる。別の標的遺伝子を検出する場合には、導入用(逆転写用)プライマーの標的遺伝子にハイブリダイズする部分の配列と、フォワードプライマーの配列だけを変更すれば良い。
すなわち、本発明はこれらユニバーサルに利用できるプローブを含む遺伝子検出用キットを提供する。キットは、1つの単一遺伝子の検出用のものであってもよいし、複数遺伝子の同時検出用のものであってもよい。該キットの必須構成要素である、ユニバーサルプローブの特徴や構造は上記した通りである。
本発明のキットは、必須構成要素である前記ユニバーサルプローブのほか、本発明の遺伝子検出法に必要な他の酵素、試薬等を含んでいてもよい。そのようなものとしては、例えば、逆転写酵素、RNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼH、エキソヌクレアーゼ、あるいはこれら酵素の反応に好適な条件を与える緩衝液、合成反応生成物の検出に必要な他の試薬類を挙げることができる。さらに、該キットは、特定標的遺伝子に対する前記フォワードプライマーや導入用プライマーを含んでいてもよいし、1回の反応に必要な試薬を反応容器に分注した状態で供給されるものであってもよい。
以下、本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〕ユニバーサルプローブを用いたヒト・パピローマウイルス(Human Papillomavirus)の検出
(1)試験方法
試料として子宮頸部から採取した細胞からDNAを抽出し、以下に示す、パピローマウイルス(HPV)のE6タンパク質の遺伝子を増幅するフォワードプライマーと、導入用プライマーを用いて、二本鎖DNAを作製した。
フォワードプライマー:5'-AAGGG CGTAA CCGAA ATCGG T-3'(配列番号1)
導入用プライマー:5'-AATTC TAATA CGACT CACTA TAGGG CCC TTCT CAC TGTT CTC TCAT GTTTG CAGCT CTGTG CATA-3'(配列番号2)
二本鎖DNAの合成は、15 pmolのフォワードプライマー(配列番号1)、15 pmolの導入用プライマー(配列番号2)、抽出したDNA、及び逆転写酵素(スーパースクリプトIIリバーストランスクリプターゼ)を反応緩衝液に混ぜ合わせ、41℃で30分間保温することで行った。
NASBA法による増幅及び検出にはアプライドバイオシステムズ社のシーケンスディテクションシステム7900を用いた。20 μlの反応溶液中に、先に合成した二本鎖DNAと、フォワードプライマー(配列番号1)と導入用プライマー(配列番号2)をそれぞれ15 pmol、5'末端を蛍光体FAM、3'末端を消光体DABCYLで標識したプローブ5 pmol(配列番号3)を混ぜ合わせ、逆転写酵素、T7RNAポリメラーゼ、T7Gene6エキソヌクレアーゼ及び基質となるdNTP及びNTPを入れ、41℃で90分間保温する条件で反応を行った。プローブの配列は以下に示す。
プローブ: 5'-(FAM)-CCC TTCT CAC TGTT CTC TCAT-(DABCYL)-3'(配列番号3)
(2)結果
図6に一定時間毎に蛍光検出を行って得られた結果を示す。グラフの横軸は反応時間、縦軸は蛍光強度(任意単位)をそれぞれ示している。グラフは標的遺伝子から作成した二本鎖DNAを含む試料からの蛍光シグナルの変化を表している。増幅産物をリアルタイム検出し、増幅産物由来の蛍光シグナル値がある閾値を越えた場合に、標的遺伝子が検出されたと判断する。
〔実施例2〕 複数標的核酸の同時検出
次に、本発明の方法を用いて複数の標的遺伝子を1つの反応チューブで増幅し、検出した実施例を示す。
(1)試験方法
インシュリン遺伝子のA鎖領域とB鎖領域をそれぞれ逆転写し、それぞれの遺伝子の第一鎖cDNAを作製した。インシュリン遺伝子A鎖領域のフォワードプライマー(配列番号4)、逆転写用プライマー(配列番号5)、インシュリン遺伝子B鎖領域のフォワードプライマー(配列番号6)、逆転写用プライマー(配列番号7)はそれぞれ以下に示すものを用いた。
A鎖領域フォワードプライマー:5'-TGGTG CAGGC AGCCT GCA-3'(配列番号4)
A鎖領域逆転写用プライマー:5'-AATTC TAATA CGACT CACTA TAGGG CCC TTCT CAC TGTT CTC TCAT TAGTT GCAGT AGTTC TCCAG-3'(配列番号5)
B鎖領域フォワードプライマー:5'-CCAGC CGCAG CCTTT GTGA-3'(配列番号6)
B鎖領域逆転写用プライマー:5'-AATTC TAATA CGACT CACTA TAGGG CAC TCAT CTC TTCT CCC TGTT CAGGT CCTCT GCCTC CCGG-3'(配列番号7)
なお、上記インシュリン遺伝子A鎖領域とインシュリン遺伝子B鎖領域の各逆転写用プライマーは、それぞれ図5に従って設計されている。すなわち、T7プロモーター配列を含む配列部分55は共通であるが、その3'末端側に位置する検出用プローブと同一の配列からなる配列部分54と配列部分74(それぞれ、下線部分)と、さらに3'末端側に位置し各遺伝子領域を認識する配列部分53と配列部分73は異なっている。
NASBA反応は、得られた各試料由来のcDNAの一部を反応チューブからとり、新しい反応チューブに等量混ぜ合わせたものをテンプレートとして、フォワードプライマー(配列番号4及び6)逆転写用プライマー(配列番号5及び7)及び2種のプローブを用いて行った。
ここで、インシュリンA鎖検出用プローブ(プローブA)及びインシュリンB鎖検出用プローブ(プローブB)としては、それぞれ下記に示すDNA/RNAキメラプローブ(配列番号8及び9)を用いた。
プローブA:5'-(FAM)-d(CCC TTCT)r(CAC UGUU)d(CTC TCAT)-(DABCYL)-3'(配列番号8)
プローブB:5'-(VIC)-d(CAC TCAT)r(CUC UUCU)d(CCC TGTT)-(DABCYL)-3'(配列番号9)
各プローブは、図4に従って、実質的に同じ融解温度を有するように設計されている。プローブAは5'末端を蛍光体FAMで、プローブBは5'末端を蛍光体VICで標識され、共に3'末端は消光体DABCYLで標識されている。また、図7に示すようにプローブAとプローブBは、プローブ21塩基中の中央部7塩基がRNA骨格93で形成されている。RNA骨格部分の5'末端側及び3'末端側はDNA骨格部分92及び94で形成されている。また、5'末端は蛍光体R95で、3'末端は消光体96でそれぞれ標識されている。このため、標的とハイブリダイズした場合、プローブの中央部分7塩基はDNA/RNAハイブリッドを形成するため、リボヌクレアーゼHによって分解され、図3に示すようにフリーの蛍光体が生成して蛍光を発する。
NASBA法による増幅及び検出にはアプライドバイオシステムズ社のシーケンスディテクションシステム7900を用いた。20 μlの反応溶液中に抽出したRNAと 10 pmolのフォワードプライマー(配列番号4及び5)、10 pmolの導入用プライマー(配列番号6及び7)、5'末端を蛍光体FAMあるいはVIC、3'末端を消光体DABCYLで標識したプローブ5 pmol(配列番号8及び9)を混ぜ合わせ、さらに逆転写酵素、T7RNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼH及び基質を混ぜ合わせ、41℃で90分間保温することで行った。
(2)結果
図8に、インシュリン遺伝子のA鎖領域とB鎖領域を2種のプローブで同時に検出した実験の結果を示す。グラフの横軸は反応時間を示し、縦軸は蛍光体の相対蛍光強度(任意単位)を示す。図8の四角で示すドットは、インシュリン遺伝子のA鎖領域からの増幅産物をプローブAで、丸で示すドットはインシュリン遺伝子のB鎖領域からの増幅産物をプローブBで検出した際の蛍光シグナル量の変化を示したグラフである。このグラフからプローブA及びプローブBがそれぞれの標的遺伝子を同時に検出できることが確認された。
〔実施例3〕 ウイルス塩基配列のタイピング
次に、本発明の方法を用いてウイルスの塩基配列を1つの反応チューブで増幅とタイピングを行った実施例を示す。HCVは主に血液を介して感染し、急性及び慢性肝炎を引き起こすウイルスである。HCVは遺伝子の変異速度が速いウイルスで、主要な遺伝子型としては、I/1a、II/1b、III/2a、IV/2b、V/3aの5種が知られている。これらの遺伝子型によってインターフェロン治療効果に差があり、HCVのタイピングから病態やその進展との関係からも有用な医療情報が得られる。このため、HCVのタイピングは重要な臨床検査項目となっている。
(1)試験方法
C型肝炎ウイルス(HCV, hepatitis C virus)のコア遺伝子を逆転写し、それぞれの遺伝子の第一鎖cDNAを作製した。コア遺伝子のフォワードプライマー(配列番号10〜配列番号14)、逆転写用プライマー(配列番号15〜配列番号19)はそれぞれ下記に示すものを用いた。検体の血液から抽出したRNAはI/1a、II/1b、III/2a、IV/2b、V/3a型のいずれかに属するものであるが、図9はI/1a型に属するものとして示した図である。
なお、コア遺伝子逆転写用プライマー112,122,132,142,152は遺伝子型I/1a、II/1b、III/2a、IV/2b、V/3aの5種それぞれに対応したものであり、それぞれ図9に従って設計されている。すなわち、T7プロモーター配列を含む配列部分115は共通であるが、その3'末端側に位置する検出用プローブと同一の配列からなる配列部分114, 配列部分124, 配列部分134, 配列部分144, 配列部分154と、さらに3'末端側に位置し各遺伝子領域を認識する配列部分113, 配列部分123, 配列部分133, 配列部分143, 配列部分153は異なっている。
コア遺伝子I/1a型用フォワードプライマー:5'-GGTCG CAACG TCGAG GTAGA-3'(配列番号10)
コア遺伝子II/1b型用フォワードプライマー:5'-CGCAA CCTCG TGGAA GGCGA-3'(配列番号11)
コア遺伝子III/2a型用フォワードプライマー:5'-CCCCC CGAGG TTCCC GTGCC-3'(配列番号12)
コア遺伝子IV/2b型用フォワードプライマー:5'-CTGTA CGGAA ACGAG GGTTG-3'(配列番号13)
コア遺伝子V/3a型用フォワードプライマー:5'-CGACG CGTAA AACTT CTCAA-3'(配列番号14)
I/1a型用逆転写用プライマー:5'-AATTC TAATA CGACT CACTA TAGGG CCC TTCT CAC TGTT CTC TCAT GAGCC ATCCC GCCCA CCAGC-3'(配列番号15)
II/1b型用逆転写用プライマー:5'-AATTC TAATA CGACT CACTA TAGGG CAC TCAT CTC TTCT CCC TGTT GAGCC ATCCT GYCCA CGCYA-3'(配列番号16)
III/2a型用逆転写用プライマー:5'-AATTC TAATA CGACT CACTA TAGGG CTC TGTT CCC TCAT CAC TTCT CCTTA CCCAC GTTGC GCTAC-3'(配列番号17)
IV/2b型用逆転写用プライマー:5'-AATTC TAATA CGACT CACTA TAGGG CCC TTCT CTC TCAT CAC TGTT GGTCG GTGGG GCCCC AATTA-3'(配列番号18)
V/3a型用逆転写用プライマー:5'-AATTC TAATA CGACT CACTA TAGGG CAC TCAT CCC TGTT CTC TTCT AGGAC CGGCC TTCGC TCCGA-3'(配列番号19)
NASBA反応は、得られたcDNAの一部をテンプレートとして、フォワードプライマー111,121,131,141,151(配列番号10,11,12,13及び14)、逆転写用プライマー112,122,132,142,152(配列番号15,16,17,18及び19)及び5種のコア遺伝子検出用プローブ116,126,136,146,156(配列番号20,21,22,23及び24)を用いて行った。
ここで、コア遺伝子検出用プローブ116,126,136,146,156(プローブA,B,C,D及びE)としてはそれぞれ下記に示すもの(配列番号20,21,22,23及び24)を用いた。
プローブA:5'-(FAM)-CCC TTCT CAC TGTT CTC TCAT-(DABCYL)-3'(配列番号20)
プローブB:5'-(TET)-CAC TCAT CTC TTCT CCC TGTT-(DABCYL)-3'(配列番号21)
プローブC:5'-(HEX)-CTC TGTT CCC TCAT CAC TTCT-(DABCYL)-3'(配列番号22)
プローブD:5'-(ROX)-CCC TTCT CTC TCAT CAC TGTT-(DABCYL)-3'(配列番号23)
プローブE:5'-(Cy5)-CAC TCAT CCC TGTT CTC TTCT-(DABCYL)-3'(配列番号24)
各プローブは、図4に従って、実質的に同じ融解温度を有するように設計されている。プローブA,B,C,D,Eはそれぞれ5'末端を蛍光体FAM, TET, HEX, ROX, Cy5で標識され、3'末端は消光体DABCYLで標識されている。このため、標的とハイブリダイズした場合、T7Gene6エキソヌクレアーゼによって分解され、図3に示すようにフリーの蛍光体が生成して蛍光を発する。
NASBA法による増幅後、試料の蛍光強度を蛍光強度計を用いて検出した。20 μlの反応溶液中に抽出したRNAと10 pmolのフォワードプライマー(配列番号10,11,12,13及び14)、10 pmolの逆転写用プライマー(配列番号15,16,17,18及び19)、5'末端を蛍光体FAM, TET, HEX, ROXあるいはCy5、3'末端を消光体DABCYLで標識したプローブ5 pmol(配列番号20,21,22,23及び24)を混ぜ合わせ、さらに逆転写酵素、T7RNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼH、T7Gene6エキソヌクレアーゼ及び基質を混ぜ合わせ、41℃で90分間保温することで増幅を行った。得られた反応産物の蛍光強度を測定してタイピングを行った。
(2)結果
図10に、HCVウイルスのコア遺伝子を5種のプローブで同一容器にてタイピングした実験の結果を示す。グラフの横軸は各蛍光体の種類を示し、縦軸は蛍光体の相対蛍光強度(任意単位)を示す。図10では蛍光体FAM由来の蛍光強度だけが他の4種の蛍光体由来の蛍光強度よりも10倍程度大きく、プローブAが分解されたことがわかる。この結果からHCVウイルスのコア遺伝子がI/1a型であることが確認された。このように、コア遺伝子のタイピングを行う際に、同一容器内で検出される蛍光体の種類と強度を測定することによりタイピングが可能であることが確認された。
配列番号1 −人工配列の説明:ヒト・パピローマウイルスとハイブリダイズするNASBA用フォワードDNAプライマー
配列番号2 −人工配列の説明:ヒト・パピローマウイルスとハイブリダイズするNASBA用リバースプライマー
配列番号3 −人工配列の説明:増幅断片のリアルタイム検出用DNAプローブ
配列番号4 −人工配列の説明:ヒト・インシュリン遺伝子とハイブリダイズするNASBA用フォワードDNAプライマー
配列番号5 −人工配列の説明:ヒト・インシュリン遺伝子とハイブリダイズするNASBA用リバースDNAプライマー
配列番号6 −人工配列の説明:ヒト・インシュリン遺伝子とハイブリダイズするNASBA用フォワードDNAプライマー
配列番号7 −人工配列の説明:ヒト・インシュリン遺伝子とハイブリダイズするNASBA用リバースDNAプライマー
配列番号8 −DNA/RNA結合分子の説明:増幅断片のリアルタイム検出用DNA/RNAキメラプローブ
人工配列の説明:増幅断片のリアルタイム検出用DNA/RNAキメラプローブ
配列番号9 −DNA/RNA結合分子の説明:増幅断片のリアルタイム検出用DNA/RNAキメラプローブ
人工配列の説明:増幅断片のリアルタイム検出用DNA/RNAキメラプローブ
配列番号10−人工配列の説明:C型肝炎ウイルスコア遺伝子I/1a型とハイブリダイズするNASBA用フォワードDNAプライマー
配列番号11−人工配列の説明:C型肝炎ウイルスコア遺伝子II/1b型とハイブリダイズするNASBA用フォワードDNAプライマー
配列番号12−人工配列の説明:C型肝炎ウイルスコア遺伝子III/2a型とハイブリダイズするNASBA用フォワードDNAプライマー
配列番号13−人工配列の説明:C型肝炎ウイルスコア遺伝子IV/2b型とハイブリダイズするNASBA用フォワードDNAプライマー
配列番号14−人工配列の説明:C型肝炎ウイルスコア遺伝子V/3a型とハイブリダイズするNASBA用フォワードDNAプライマー
配列番号15−人工配列の説明:C型肝炎ウイルスコア遺伝子I/1a型とハイブリダイズするNASBA用リバースプライマー
配列番号16−人工配列の説明:C型肝炎ウイルスコア遺伝子II/1b型とハイブリダイズするNASBA用リバースDNAプライマー
配列番号17−人工配列の説明:C型肝炎ウイルスコア遺伝子III/2a型とハイブリダイズするNASBA用リバースDNAプライマー
配列番号18−人工配列の説明:C型肝炎ウイルスコア遺伝子IV/2b型とハイブリダイズするNASBA用リバースDNAプライマー
配列番号19−人工配列の説明:C型肝炎ウイルスコア遺伝子V/3a型とハイブリダイズするNASBA用リバースDNAプライマー
配列番号20−人工配列の説明:増幅断片検出用DNAプローブ
配列番号21−人工配列の説明:増幅断片検出用DNAプローブ
配列番号22−人工配列の説明:増幅断片検出用DNAプローブ
配列番号23−人工配列の説明:増幅断片検出用DNAプローブ
配列番号24−人工配列の説明:増幅断片検出用DNAプローブ
図1は、本発明のユニバーサルプローブを用いたNASBA法によるリアルタイム遺伝子検出の手順を示した図である。 図2は、本発明のユニバーサルプローブと、逆転写反応用プライマーの配列の関係を示した図である。 図3は、本発明のユニバーサルプローブが標的核酸にハイブリダイズした後、加水分解されることにより蛍光を発光する原理を示した図である。 図4は、2種類のユニバーサルプローブの配列を模式的に示した図である。 図5は、2種類のユニバーサルプローブを用いたNASBA法によるリアルタイム遺伝子検出の手順を示した図である。 図6は、本発明のユニバーサルプローブを用いたリアルタイムNASBA(リアルタイム検出)の検出結果であり、反応時間に対する蛍光シグナルの変化を示したグラフである。 図7は、本発明のユニバーサルプローブの一例である、DNA/RNAキメラプローブの構造を模式的に示した図である。 図8は、2種類のユニバーサルプローブを用いたリアルタイムNASBA(リアルタイム検出)の検出結果であり、反応時間に対する蛍光シグナルの変化を示したグラフである。 図9は、本発明の方法によりウイルス塩基配列のタイピングを1つの反応チューブで行う方法の概略を示した図である。 図10は、5種のプローブを用いたHCVウイルスコア遺伝子のタイピング結果であり、蛍光体の種類に対する蛍光強度を示したグラフである。 図11は、NASBA法を用いた場合の増幅と発光のプロセスの概略を示した図である。 図12は、モレキュラービーコンプローブの発光メカニズムの概略を示した図である。
符号の説明
1、51、71…標的RNA
2、56、76、102…第一鎖cDNA
3、60、80、103…第二鎖cDNA
4、62、82、105…RNA(cRNA)
5、63、83、106…cDNA
6、61、81、104…二本鎖cDNA
10、65、75、111、121、131、141、151…フォワードプライマー
11、52、72、112、122、132、142、152…逆転写用プライマー
12、53、73、113、123、133、143、153…標的遺伝子にハイブリダイズする配列部分
13、54、74、114、124、134、144、154…標的遺伝子に非特異的な第1の配列部分
14、55、115…T7プロモーター配列を含む第2の配列部分
15、57、77、116、126、136、146、156…プローブ
16、58、78、95、117、127、137、147、157…蛍光体
17、32、59、79、96、108…消光体
18…導入用プライマー
19…連結部となる配列部分
20、64、84、107…フリーな蛍光体
30…プローブA
31…蛍光体R1
34、35、36、37、38、39…モジュール配列
40…プローブB
41…蛍光体R2
90、100…反応時間に対する蛍光強度の変化を示したグラフ
91…DNA/RNAキメラプローブ
92、94…プローブ中のDNA骨格部分
93…プローブ中のDNA骨格部分
101…標的遺伝子
160…蛍光体の種類に対する蛍光強度を示したグラフ
171…標的RNA
172…第一鎖cDNA
173…第二鎖cDNA
174…RNA(cRNA)
175…cDNA
176…二本鎖cDNA
179、182…標的遺伝子にハイブリダイズする配列部分
180…フォワードプライマー
181…逆転写用プライマー
183…標的遺伝子に非特異的な第1の配列部分
184…T7プロモーター配列を含む第2の配列部分
185…モレキュラービーコンプローブ
186…蛍光体
187…消光体
190…標的遺伝子とハイブリダイズする配列部分
191…ステム構造を形成する配列部分
195…モレキュラービーコンプローブが分子内でハイブリダイズしている状態
196…モレキュラービーコンプローブが標的核酸とハイブリダイズしている状態
197…標的核酸

Claims (13)

  1. 標的遺伝子の塩基配列に対して非特異的な配列を有する第1の塩基配列及びRNAポリメラーゼのプロモーター配列を含む第2の塩基配列について、
    前記第1の塩基配列よりも5’末端側に前記第2の塩基配列を結合させ、共に前記標的遺伝子に導入させた分析対象遺伝子に対し、
    前記分析対象遺伝子に特異的にハイブリダイズするフォワードプライマー、
    前記標的遺伝子に特異的にハイブリダイズする配列を含む第3の塩基配列より5’末端側に前記第1の塩基配列を含み、かつ前記第1の塩基配列より5’末端側に前記第2の塩基配列を含む導入用プライマー、
    前記第1の塩基配列と同一又は相補的な塩基配列を含み、一方の末端を蛍光体で修飾され、もう一方の末端を消光体で修飾されたプローブ、ならびに、
    逆転写酵素と、RNAポリメラーゼと、リボヌクレアーゼH及び/又はエキソヌクレアーゼとを用いて核酸増幅反応を行い、その核酸増幅反応の際に前記リボヌクレアーゼH又はエクソヌクレアーゼにより前記第1の塩基配列に結合した前記プローブを分解し、遊離した前記蛍光体の発する蛍光を検出することにより、前記核酸増幅反応の産物量を計測することを特徴とする遺伝子検出法。
  2. 前記分析対象遺伝子が、前記標的遺伝子に特異的にハイブリダイズする配列を含む第3の塩基配列より5’末端側に前記第1の塩基配列を含み、かつ前記第1の塩基配列より5’末端側に前記第2の塩基配列を含む導入用プライマーを用いて、前記標的遺伝子のmRNAに対して逆転写反応を行うことにより、前記第1の塩基配列と第2の塩基配列を導入したcDNAであることを特徴とする、請求項1に記載の遺伝子検出法。
  3. 前記核酸増幅反応が以下の工程1)〜3)を順に繰り返すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の遺伝子検出法:
    1) 前記分析対象遺伝子をRNAポリメラーゼによりRNAに転写する;
    2) 上記RNAを前記フォワードプライマーと、逆転写酵素又はリボヌクレアーゼHとを用いて逆転写し、一本鎖cDNAを合成する;
    3) 上記一本鎖cDNAから、前記導入用プライマーと、さらにDNAポリメラーゼとを用いて前記分析対象遺伝子を合成する。
  4. 前記核酸増幅反応が以下の工程1)〜3)を順に繰り返すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の遺伝子検出法:
    1) 前記分析対象遺伝子をRNAポリメラーゼによりRNAに転写する;
    2) 上記RNAを前記フォワードプライマーと、逆転写酵素又はリボヌクレアーゼHとを用いて逆転写し、一本鎖cDNAを合成する;
    3) 上記一本鎖cDNAから、前記導入用プライマーと、上記逆転写酵素とを用いて前記分析対象遺伝子を合成する。
  5. 前記核酸増幅反応が実質的に単一な温度で行われることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の遺伝子検出法。
  6. 前記単一な温度が37〜55℃の範囲にあることを特徴とする、請求項5記載の遺伝子検出法。
  7. 前記RNAポリメラーゼがT7RNAポリメラーゼであり、かつ前記第2の塩基配列がT7プロモーター配列を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の遺伝子検出法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の遺伝子検出法において、2種類以上の前記プローブを用いることにより、1つの容器を用いて、2種以上の標的遺伝子を同時に検出することを特徴とする、遺伝子検出法。
  9. 前記2種以上のプローブの融解温度が実質的に同じであることを特徴とする、請求項8に記載の遺伝子検出法。
  10. 標的遺伝子の塩基配列に対して非特異的な配列を有する第1の塩基配列及びRNAポリメラーゼのプロモーター配列を含む第2の塩基配列について、前記第1の塩基配列と同一又は相補的な塩基配列を含み、一方の末端を蛍光体で修飾され、もう一方の末端を消光体で修飾されたプローブを少なくとも1種以上含む、遺伝子検出用キット。
  11. 実質的に同じ融解温度を有する2種以上のプローブを含むことを特徴とする、請求項10に記載の遺伝子検出用キット。
  12. 前記2種以上のプローブが、それぞれ3ないし4塩基長の複数のモジュール配列からなり、各モジュール配列の両末端の塩基は同一であり、かつ各プローブがこの両末端の塩基が同一であるモジュール配列同士の順序を入れ替えて構成されたものであることを特徴とする、請求項11記載の遺伝子検出用キット。
  13. 前記第2の塩基配列がT7プロモーター配列を含むことを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一項に記載の遺伝子検出用キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016059798A1 (ja) * 2014-10-17 2016-04-21 国立大学法人 東京医科歯科大学 新規な陽性コントロール核酸を利用した、被検試料中の標的核酸の検出・定量法

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