JP2004329033A - 試料濾別装置 - Google Patents

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孝男 近藤
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Abstract

【課題】原液を濾材で濾過することによって、濾滓および濾液の少なくとも一方を試料として濾別する試料濾別装置において、濾材を自動的に交換できると共に、濾過完了後に濾滓を自動的かつ迅速に低温条件下で保存することができる試料濾別装置を提供する。
【解決手段】原液が投入される原液投入口および濾液を放出する濾液放出口を備え、原液投入口から投入された原液が濾材で濾過されるように、濾材を装着するための濾材容器3と、濾材容器3を保持している濾材容器保持位置から、原液の投入が可能な位置である原液投入可能位置に、濾材容器3を配置する濾材容器配置手段4と、原液投入可能位置にある濾材容器3を、濾材容器3の保存のために取り外す濾材容器取り外し手段6と、設定した低温条件下で濾材容器3を保存する濾材容器保存手段7と、原液投入可能位置から取り外された濾材容器3を、濾材容器保存手段7に運搬する濾材容器運搬手段8とを設ける。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、懸濁液などの原液を濾過することによって、濾滓(ケーク)および濾液の少なくとも一方を試料として濾別する試料濾別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生物(例えば微生物)を培養して一定時間毎に採取するという作業は、バイオの研究者にとっては避けることができない作業の1つである。また、研究内容または研究対象によっては、採取した微生物が変化しないように、例えば−80℃といった低温条件下で保存するという作業が必要となる。このような作業は、上記のように採取工程と保存工程とが必要であるため、研究者の手作業を強いる。
【0003】
従来、上記のような微生物の採取および保存の方法としては、次のような方法が考えられる。まず、培養が行われている培養槽から、一定量の液体培地を取り出す。次に、取り出した液体培地を遠心分離機にかけて、微生物を沈殿させる。次に、上清を除去して、残った沈殿(微生物)を低温で保存するという方法である。
【0004】
ところで、濾紙などの濾材を用いて、液中に懸濁する粒子を分離する操作として、濾過という操作が知られている。そして、サンプル液の濾過操作を自動で行う装置が、下記の特許文献1に記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−123508号公報(公開日1993年5月21日)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような採取および保存の作業が、1回〜2回で済むのであれば、研究者にとってそれほど大きな負担にはならないであろう。しかし、例えば1時間毎に10回以上その採取および保存の作業をしなければならないとなれば、研究者は、その作業をするために培養槽から離れることができなくなる。よって、長時間にわたって研究者を拘束する結果となり、研究者にとって、上記作業の遂行は大きな負担となるという問題点がある。
【0007】
また、上記採取および保存を行う場合において、例えば、従来のように、液体培地から遠心分離によって微生物を取り出す場合、その遠心分離に時間がかかってしまうという問題点がある。つまり、遠心分離をしている間に変化してしまうような微生物を扱う場合、バイオ分野の研究者は、この遠心分離による方法を採用することができないという問題点がある。
【0008】
また、上記特許文献1に記載の装置では、濾過完了後のフィルターユニットを、単に上方流路接続具から離脱して廃棄しているだけであるので、濾過完了後の濾滓を低温条件下で保存することができないという問題点がある。そのため、上記特許文献1に記載の装置では、例えば、濾滓を試料として採取したいときに、その濾滓が熱によって状態が変化する可能性がある。また、濾滓を廃棄する場合でも、廃棄前の濾滓が熱によって状態が変化することが問題となる可能性がある。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、濾材を自動的に交換できると共に、濾過完了後に濾滓(ケーク)を自動的かつ迅速に低温条件下で保存することができる試料濾別装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の試料濾別装置は、原液を濾材で濾過することによって、濾滓および濾液の少なくとも一方を試料として濾別する試料濾別装置であって、原液が投入される原液投入口および濾液を放出する濾液放出口を備え、原液投入口から投入された原液が濾材で濾過されるように、濾材を装着するための濾材容器と、濾材容器を保持している濾材容器保持位置から、原液の投入が可能な位置である原液投入可能位置に、濾材容器を配置する濾材容器配置手段と、原液投入可能位置にある濾材容器を、濾材容器の保存のために取り外す濾材容器取り外し手段と、濾材容器を保存する濾材容器保存手段と、原液投入可能位置から取り外された濾材容器を、濾材容器保存手段に運搬する濾材容器運搬手段とを有しており、上記濾材容器保存手段は、設定した低温条件下で濾材容器を保存することを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、濾材容器配置手段によって、濾材を装着する濾材容器が、濾材容器を保持している濾材容器保持位置から、原液の投入が可能な位置である原液投入可能位置に、自動的に配置される。また、濾材容器取り外し手段によって、濾材容器が自動的に取り外される。これらにより、濾材を自動的に交換することが可能となる。
【0012】
さらに、上記構成によれば、濾材容器運搬手段によって、濾材を装着する濾材容器が、設定した低温条件下にある濾材容器保存手段に自動的に運搬される。よって、濾材が装着された、濾過完了後の濾材容器を、自動的に、濾滓とともに濾材容器保存手段に運搬し、低温条件下で保存することが可能となる。また、濾過完了後の濾材容器が自動的に取り外されて低温条件下で保存されることで、濾過完了後の濾材容器を人手で冷凍庫に移す場合等と比較して、濾過完了後、迅速に低温条件下で保存できる。よって、熱によって状態が変化する濾滓の濾別をした後、その濾滓を迅速に低温条件下で保存することができる。例えば、濾滓を濾材容器ごと−80℃で直ちに凍結保存でき、原液取得後3分以内に濾滓を凍結保存できる。
【0013】
したがって、濾材を自動的に交換できると共に、濾過完了後に濾滓(ケーク)を自動的かつ迅速に低温条件下で保存することができる試料濾別装置を提供することができる。
【0014】
これにより、人手による濾材の交換作業や濾滓の保存作業を行うことなく、熱による濾滓の変質(例えば、濾滓が生物である場合における細胞内の生体物質の分解や変性)を回避することが可能となる。したがって、濾滓を試料として取得する場合、良い状態の試料を取得できる。また、濾液のみを試料として取得し、濾滓を廃棄する場合、濾滓を変質させることなく廃棄でき、濾滓の変質による弊害を避けることができる。
【0015】
なお、ここで言う「原液」とは、濾過される前の液状物のことである。また、上記「低温条件」とは、室温よりも低い温度条件を指す。もちろん、「低温条件」は、−80℃といった極低温の条件も含んでいる。
【0016】
本発明の試料濾別装置は、原液を濾材容器に送った後に、上記濾材における濾滓が残る側に圧力を加え、濾材を挟んだ2点間に圧力差を発生させる圧力差発生手段をさらに備えていることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、濾材を挟んだ2点間に圧力差がない状態で濾過を行う構成と比べて、濾液および濾滓を迅速に取得することができる。また、濾材における濾滓が残らない側の圧力の減圧のみを行って濾材を挟んだ2点間に圧力差を発生させる構成と比べて、濾材を挟んだ2点間に大きな圧力差を設けることができる。その結果、原液を濾過することにより、濾滓および濾液の少なくとも一方を試料として迅速に濾別することができる試料濾別装置を提供することができる。また、原液を濾過した際、濾材上の余分な液体を除くことができるので、より純度の高い濾滓や濾液を取得することができる。
【0018】
なお、上記「濾材を挟んだ2点間に圧力差を設ける」濾過を行う具体例としては、原液取得手段または原液投入手段に設けられている流体輸送手段(例えばポンプ)を用いて、原液に圧力を加える方法が挙げられる。
【0019】
このように原液に圧力を加える方法では、例えば、原液を濾材容器に送った後に、さらに加圧された気体(例えば空気)を濾材容器に送ることによって、濾過を完了することも可能となる。このように気体を濾材容器に送れば、濾滓から液体を除去できるとともに、濾滓が濾材にしっかりと付着するという効果がある。濾滓が濾材にしっかりと付着すれば、濾材容器の運搬とともに行われる濾滓の運搬が容易となる。
【0020】
また、加圧された気体を濾材容器に送る場合、気体として、無菌化(滅菌)された気体(例えば空気)を用いることが好ましい。
【0021】
本発明の試料濾別装置は、(原液を収容した容器、例えば、培養液を収容した培養槽等から)一定量の原液を取得する原液取得手段と、原液投入可能位置に配置されている濾材容器の原液投入口に、取得した原液を投入する原液投入手段とをさらに備えていることが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、自動的に、一定量の原液を取得し、原液投入可能位置に配置されている濾材容器の原液投入口に投入し、濾材で原液を濾過することができる。したがって、原液の供給に関わる操作を自動化できる。また、原液取得手段が一定量の原液を取得できるようになっていることで、試料の正確な分析が可能となる。例えば、原液が、培養液等のような経時的に変化するものである場合、原液の取得および投入を繰り返し行えば、各原液取得時点での一定量の原液に対応する複数の試料を得ることができる。したがって、これらの試料の比較を定量的な分析手法により行うことで、原液の経時的な変化を正確に分析できる。
【0023】
なお、本発明に係る試料濾別装置において、原液投入可能位置に配置されている濾材容器の原液投入口に原液を投入する方法は、上記原液取得手段および原液投入手段を用いた方法に限定されるものではない。例えば、試料濾別装置とは別に原液を送出する装置を設け、この装置と濾材容器の原液投入口とをチューブで接続してもよい。上記の原液を送出する装置は、一定量の原液を取得するようになっていることが好ましい。また、場合によっては、シリンジ等を用いて手動で原液を濾材容器の原液投入口に投入してもよい。
【0024】
また、本発明の試料濾別装置においては、原液取得手段および原液投入手段に、それぞれ流体輸送手段を備えるという構成としてもよい。しかし、1つの試料濾別装置に1つの流体輸送手段を備えるという構成としてもよい。つまり、1つの流体輸送手段を、原液取得手段と原液投入手段との両方に用いる構成としてもよい。
【0025】
また、本発明の試料濾別装置は、上記構成に加えて、原液取得手段、濾材容器配置手段、原液投入手段、濾材容器取り外し手段、および濾材容器運搬手段を制御する制御手段を有しており、上記制御手段は、下記(a)から(e)の制御
(a)原液投入可能位置に濾材容器を配置するように、濾材容器配置手段を制御する
(b)一定量の原液を取得するように、原液取得手段を制御する
(c)原液投入可能位置に配置された濾材容器に、原液取得手段が取得した原液を投入するように、原液投入手段を制御する
(d)原液投入手段による原液の投入が完了後、原液投入可能位置にある濾材容器を取り外すように、濾材容器取り外し手段を制御する
(e)濾材容器取り外し手段により取り外された濾材容器を、濾材容器保存手段に運搬するように、濾材容器運搬手段を制御する
を行うことを特徴としている。
【0026】
上記構成によれば、制御手段は、原液取得手段、濾材容器配置手段、原液投入手段、濾材容器取り外し手段、および濾材容器運搬手段を制御する。
【0027】
その結果、上記効果に加えて、濾材容器の保存とともに行う濾滓の取得を、きわめて容易に行うことができる。
【0028】
なお、例えば、上記濾滓として、微生物などの生物を取得する場合には、原液取得手段および原液投入手段に設けられている配管・流体輸送手段等を洗浄する洗浄手段を、さらに試料濾別装置に備えてもよい。そして、その洗浄手段を、上記制御手段が制御するという構成としてもよい。さらに、原液取得手段、原液投入手段および洗浄手段の流体輸送手段を、1つの流体輸送手段とする構成としてもよい。
【0029】
また、本発明の試料濾別装置は、上記構成に加えて、上記濾材容器運搬手段が、濾材容器をその上面で保持しうると共に、上面の角度を変えることによって上面から濾材容器を滑り落とすことが可能なスライダーと、該スライダーから滑り落ちた濾材容器を濾材容器保存手段に誘導するための誘導管とを含むことを特徴としている。
【0030】
上記構成によれば、スライダーの上面で保持された濾材容器は、スライダーの上面の角度が変えられることによって、転倒することなく上面から滑り落ちる。そして、スライダーから滑り落ちた濾材容器は、誘導管によって誘導されることで、濾材容器は、回転や転倒等することなく濾材容器保存手段に搬送される。
【0031】
その結果、濾材容器の原液投入口から濾材容器外に濾滓が飛び出すことが大幅に減少するため、正確な量の濾滓の取得が可能となると共に、濾滓による装置や周囲環境の汚染が防止される。
【0032】
なお、上記濾材容器保存手段が、冷凍庫である場合、特に−80℃といった極低温の条件での保存を行う冷凍庫である場合、上記冷凍庫には、濾材容器が置かれたときに開く開閉式の蓋が設けられていることが好ましい。
【0033】
上記構成によれば、蓋は、濾材容器が置かれたときに開き、他の時には閉じるので、蓋が開いている時間を短く抑えることができる。その結果、蓋の開閉による低温冷凍庫内の温度上昇を抑え、温度上昇による濾滓の変質等の弊害を防止できる。
【0034】
また、本発明の試料濾別装置は、複数の濾材容器を保持する濾材容器保持手段をさらに備え、上記濾材容器配置手段および濾材容器取り外し手段は、設定された時間間隔で繰り返し、濾材容器の配置および取外しを行うようになっており、上記原液取得手段および原液投入手段は、設定された時間間隔で繰り返し、原液の取得および投入を行うようになっていることが好ましい。
【0035】
上記構成によれば、自動的に、設定された時間間隔で繰り返し、濾過を行い試料を濾別することができる。それゆえ、長時間(例えば24時間や数日間)にわたって決まった時間間隔で(例えば2〜4時間ごとに)繰り返し試料を取得する操作が容易に行える。したがって、長時間(例えば24時間や数日間)にわたって、培養液等の原液の経時的な変化を分析することが容易に行える。
【0036】
また、本発明の試料濾別装置は、上記構成に加えて、上記濾材容器は、濾材の着脱が可能に構成されていることを特徴としている。
【0037】
上記構成によれば、上記濾材容器は、濾材の着脱が可能に構成されている。
【0038】
この構成としては、例えば、原液投入口および濾液放出口以外の部分は密閉されており、内部に濾紙、濾布といった濾材を備える部分を有するような濾材容器が挙げられる。また、その濾材容器から濾材を取り出すときは、濾材容器を2つに分解して、中の濾材を取り出すことができる容器などが、例として挙げられる。
【0039】
その結果、上記効果に加えて、濾別した濾滓の取り扱いを容易にすることができる。
【0040】
また、本発明の試料濾別装置は、上記構成に加えて、上記原液として、培養している生物を含んでいる液状物を濾過することを特徴としている。
【0041】
上記構成によれば、原液は、培養している生物を含んでいる液状物、例えば液体培地などである。
【0042】
その結果、濾材の選択により、試料(濾滓または濾液)として、上記液状物(原液)に含まれる生物、生物が生産する物などを濾別することができる。特に、液体培地で微生物を培養したときは、微生物の濾別と生物が生産する物の濾別とに、試料濾別装置を応用することができる。
【0043】
なお、ここで言う「生物」とは、動物であっても、植物であってもよい。もちろん、ここで言う「生物」とは、原核生物であっても真核生物であってもよい。さらに、ここで言う「生物」とは、もちろん微生物であってもよい。さらに、ここで言う「生物」とは、培養細胞を含むものとする。ここで言う培養細胞とは、培養可能な細胞を広く指すものとする。そして、ここで言う培養可能な細胞は、原核細胞であっても、真核細胞であってもよい。もちろん、培養可能な細胞は、動物細胞であっても、植物細胞であってもよい。さらに、培養可能な細胞は、組織細胞であっても、遊離細胞(遊走子、配偶子(胞子・精子・卵子)、血球など)であってもよい。
【0044】
また、本発明の試料濾別装置は、上記構成に加えて、培養している生物を、濾滓として濾別することを特徴としている。
【0045】
上記構成によれば、例えば生物(微生物など)を液体培地中で培養して、その生物を濾滓として濾別する。
【0046】
その結果、濾材の選択により、さまざまな大きさの生物を濾滓として濾別することができる。特に、メンブランフィルターなどの濾材は、さまざまな径の細孔を有するものがある。そのため、メンブランフィルターなどの濾材を用いれば、さまざまな大きさの生物(微生物など)を、濾滓として濾別することができる。
【0047】
なお、ここで言う微生物とは、微小であって、肉眼では観察できないような生物を広く含むものとする。もちろん、上記生物に該当する微生物とは、単細胞生物であっても、多細胞性の生物であってもよい。具体的に言えば、上記生物に該当する微生物は、すべての原核生物(細菌、藍色細菌、古細菌など)と、真核生物(糸状菌、酵母、変形菌、担子菌、単細胞性の藻類および原生動物など)と、多細胞性の大形藻類と、ウイルスとを含んでいるものとする。
【0048】
経時的に生物の概日リズムの振動発生機構を分子生化学的な解析手法(DNA、mRNA、蛋白質を解析する手法)で解析するには、2〜4時間毎に、かつ数日間にわたる培養した生物の試料の正確な分取・解析が求められる。また、この解析では、最も解析の容易であることから生物としてシアノバクテリアを用いるのが好適である。濾材によるシアノバクテリア等の微生物の濾過回収を用いてシアノバクテリア等の微生物を自動的にサンプリング(集菌)できる本発明の試料濾別装置は、このような解析において培養しているシアノバクテリア等の微生物を、濾滓として濾別するのに特に有用である。
【0049】
また、本発明の試料濾別装置は、上記構成に加えて、上記濾材容器は、−100℃において5(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有する素材で構成されていることを特徴としている。
【0050】
上記構成によれば、上記濾材容器は、−100℃において5(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有する素材で構成されている。−100℃において5(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有する素材としては、例えば、ステンレス(通常、−100℃での熱伝導率が約12〜13(W・m−1・K−1))、アルミニウム(−100℃での熱伝導率が241(W・m−1・K−1))、銅(−100℃での熱伝導率が420(W・m−1・K−1))、チタン(−100℃での熱伝導率が約13(W・m−1・K−1))などの金属が挙げられる。また、上記の濾材容器を構成する素材は、−100℃において10(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有することがより好ましく、−100℃において50(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有することがさらに好ましく、−100℃において200(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有することが最も好ましい。
【0051】
上記のような素材で濾材容器を構成すれば、濾材容器を濾材容器保存手段に保存したときに、濾材容器の温度と濾材容器内にある濾滓の温度とを、より一層迅速に濾材容器保存手段の低温条件に調整することができる。したがって、熱による濾滓の状態の変化をより確実に防止できる。
【0052】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0053】
(試料濾別装置の構成)
まず、図1を用いて、本実施の形態の試料濾別装置について説明する。試料濾別装置1は、原液を濾材で濾過することによって、濾滓および濾液の少なくとも一方を試料として濾別する装置である。なお、本実施の形態の「原液」とは、本実施の形態における試料濾別装置1で濾過される前の液状物のことである。
【0054】
試料濾別装置1は、図1に示すように、原液取得手段2と、濾材容器3と、濾材容器配置手段4と、原液投入手段5と、濾材容器取り外し手段6と、濾材容器保存手段7と、濾材容器運搬手段とを有している。また、原液取得手段2と濾材容器配置手段4と原液投入手段5と濾材容器取り外し手段6と濾材容器運搬手段8とを制御する制御手段9を、試料濾別装置1は有している。さらに、試料濾別装置1は、原液を貯蔵する原液槽10と、濾過前の濾材容器を保持する濾材容器保持手段11と、濾液を取得する濾液取得手段12とを備えている。
【0055】
次に、試料濾別装置1の各構成について説明する。
原液取得手段2は、原液槽10から、一定量の原液を取得する。そして、本実施の形態の試料濾別装置1は、一定量の原液を取得するように、原液取得手段2を制御手段9が制御するように構成されている。
【0056】
ところで、原液取得手段2が取得する原液の量は、濾別する試料または要求されている試料の量に合わせて、試料濾別装置1のユーザが決定できるようにすることが好ましい。例えば、ポンプといった流体輸送手段を原液取得手段2に備えれば、制御手段9による上記原液の量の制御も可能となる。さらに、シリンジポンプなどを原液取得手段2に備えれば、制御手段9による原液取得手段2の制御と、制御手段9による原液の量の正確な制御とが容易となる。もちろん、このような構成とすれば、試料濾別装置1のユーザは、原液取得手段2が取得する原液の量を制御手段9に入力して、制御手段9は、入力された原液の量を取得するように原液取得手段2を制御する、ということも容易となる。
【0057】
次に、濾材容器3について説明する。濾材容器3は、原液が投入される原液投入口と、濾液を放出する濾液放出口とを備えている。そして、濾材容器3は、容器内に濾材を装着することができる。濾材を装着している濾材容器3の原液投入口に原液が投入されると、濾材容器3は、装着している濾材で原液を濾過する。濾過において生成する濾液は、濾液放出口から放出される。濾過において生成する濾滓は、濾材容器3内に残る。言い換えれば、濾滓は、濾材容器3内の濾材上に残る。
【0058】
ところで、濾材容器3は、−100℃において5(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有する素材で構成されていることが好ましい。−100℃において5(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有する素材としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅、チタンなどの金属が挙げられる。また、上記の濾材容器を構成する素材は、−100℃において10(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有することがより好ましく、−100℃において50(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有することがさらに好ましく、−100℃において200(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有することが最も好ましい。
【0059】
上記のような素材で濾材容器3を構成すれば、濾材容器3を低温で保存するとともに、濾材容器3内にある濾滓もすばやく低温にすることができる。例えば、一定以上の温度では変化するような物を、試料濾別装置1で濾滓として濾別する場合、このような構成とすれば、濾滓をすばやく低温にすることによって、温度による変化を最小限にすることができる。
【0060】
次に、濾材容器配置手段4について説明する。濾材容器配置手段4は、濾材容器3を保持している濾材容器保持位置から、原液の投入が可能な位置である原液投入可能位置に、濾材容器3を配置する。図1において、濾材容器3は、3−1から3−4に示している。濾材容器3−1は、濾材容器保持位置にある濾材容器を示している。濾材容器3−2は、原液投入可能位置にある濾材容器を示している。濾材容器3−3は、原液投入可能位置から取り外された濾材容器を示している。濾材容器3−4は、濾材容器保存手段7に運搬された濾材容器を示している。図1に示すように、濾材が装着されている濾材容器3を原液投入可能位置に濾材容器配置手段4が配置すると、原液投入手段5は、原液を濾材容器3に投入可能となる。
【0061】
また、本実施の形態の試料濾別装置1は、濾材容器配置手段4を制御手段9が制御するように構成されている。原液投入可能位置に濾材容器がなければ、原液の濾過ができない。そのため、制御手段9は、濾過前に、原液投入可能位置に濾材容器3を配置するよう、濾材容器配置手段4を制御する。
【0062】
次に、原液投入手段5について説明する。原液投入手段5は、原液投入可能位置に配置されている濾材容器3−2の原液投入口に、原液取得手段2が取得した原液を投入する。このように、原液投入手段5が濾材容器3の原液投入口に原液を投入して、投入された原液は、濾液と濾滓とに濾別される。
【0063】
なお、本実施の形態の試料濾別装置1は、制御手段9が原液投入手段5を制御するように構成されている。具体的に言えば、制御手段9は、原液投入可能位置に配置された濾材容器3−2に、原液取得手段が取得した原液を投入するように、原液投入手段を制御する。
【0064】
次に、濾材容器取り外し手段6について説明する。濾材容器取り外し手段6は、原液投入可能位置にある濾材容器3−2を、濾材容器の保存のために取り外す。図1の濾材容器3−3は、濾材容器取り外し手段6によって、原液投入可能位置にある濾材容器3−2が取り外された濾材容器を示している。なお、図1に示すように、本実施の形態の試料濾別装置1は、濾材容器取り外し手段6を制御手段9が制御するように構成されている。具体的に言えば、制御手段9は、原液投入手段による原液の投入が完了した後、原液投入可能位置にある濾材容器3−2を取り外すように、濾材容器取り外し手段6を制御する。
【0065】
次に、濾材容器保存手段7について説明する。濾材容器保存手段7は、設定した低温条件下で濾材容器を保存する。なお、ここで言う低温条件下としては、例えば、−80℃といった極めて低い温度条件が挙げられる。このような極めて低い温度条件で濾材容器を保存するための構造(例えば濾材容器運搬手段8および濾材容器保存手段7の構造)については、下記の実施例で詳しく説明する。なお、図1には示していないけれども、濾材容器保存手段7の温度条件を、制御手段9が制御できる構成としてもよい。もちろん、濾材容器保存手段7の温度条件は、濾材容器保存手段7が有する温度設定手段で調節できる構成としてもよい。
【0066】
次に、濾材容器運搬手段8について説明する。濾材容器運搬手段8は、原液投入可能位置から取り外された濾材容器3−3を、濾材容器保存手段7に運搬する。図1の濾材容器3−4は、濾材容器保存手段7に運搬された濾材容器を示している。このような構成によって、例えば濾過後の濾材容器3−3を、濾滓とともに濾材容器保存手段7で保存することができる。そして、本実施の形態の試料濾別装置1は、濾材容器運搬手段8を制御手段9が制御するように構成されている。具体的に言えば、濾材容器取り外し手段6により取り外された濾材容器3−3を濾材容器保存手段7に運搬するように、濾材容器運搬手段8を制御する。
【0067】
次に、制御手段9について説明する。制御手段9は、上記にも記載したように、原液取得手段2、濾材容器配置手段4、原液投入手段5、濾材容器取り外し手段6、および濾材容器運搬手段8を制御する。そして、制御手段9は、下記の(a)から(e)の制御を行う。
【0068】
(a)原液投入可能位置に濾材容器3を配置するように、濾材容器配置手段4を制御する。
【0069】
(b)一定量の原液を取得するように、原液取得手段2を制御する。
【0070】
(c)原液投入可能位置に配置された濾材容器3(3−2)に、原液取得手段2が取得した原液を投入するように、原液投入手段5を制御する。
【0071】
(d)原液投入手段5による原液の投入が完了後、原液投入可能位置にある濾材容器3−2を取り外すように、濾材容器取り外し手段6を制御する。
【0072】
(e)濾材容器取り外し手段により取り外された濾材容器3(3−3)を、濾材容器保存手段7に運搬するように、濾材容器運搬手段8を制御する。
【0073】
もちろん、上記(a)〜(e)の制御に加えて、さらなる制御をするように、制御手段9を構成してもよい。そして、制御手段9は、ユーザが求めている試料の濾別にふさわしい順番および時間間隔で、上記(a)〜(e)などの制御を行う。これら制御の順番の例については、下記に詳しく説明する。
【0074】
次に、原液槽10について説明する。原液槽10は、濾過前の液状物(原液)を貯蔵する槽である。この原液槽10は、例えば、培養している生物を含んでいる液状物を、原液として貯蔵するものであってもよい。つまり、原液槽10は、培養したい生物(微生物など)を液体培地で培養する培養槽であってもよい。
【0075】
次に、濾材容器保持手段11について説明する。濾材容器保持手段11は、濾材容器3を保持する。つまり、濾材容器保持手段11は、濾材を備えた濾材容器3を保持することができる。
【0076】
なお、図1には記載していないけれども、濾材容器保持手段11が行う濾材容器3の保持を、制御手段9が制御するという構成としてもよい。例えば、濾材容器3の保持および解放といった制御を、濾材容器配置手段4の制御とともに、制御手段9が行うという構成としてもよい。
【0077】
ここで言う濾材容器3の保持としては、例えば、地面に対して鉛直方向に立つレールなどを用いて、レールの方向にのみ濾材容器3が可動する状態で保持し、その状態で複数の濾材容器3を鉛直方向に並べて、地面に近い位置の濾材のみをさらに保持することなどが挙げられる。
【0078】
また、ここで言う濾材容器3の解放とは、1つの濾材容器を解放して、濾材容器配置手段4に渡すことである。具体例で言えば、まず、地面に近い位置の濾材の保持を止めたときに、複数の濾材容器が濾材容器1つ分だけ鉛直下向きに移動するような位置に、濾材容器配置手段4を移動させる。その移動の完了後に、地面に近い位置の濾材の保持を止めるようにすれば、濾材容器3の解放を行うことができる。
【0079】
なお、上記のような濾材容器の落下を用いた方法においては、濾材容器を、地面に対してなるだけ厳密に鉛直方向に並べることが好ましい。しかし、ここで言う地面に対する鉛直方向とは、厳密な垂直方向だけを指すわけではなく、例えばレールなどを用いた場合に、滑らかにレールに沿って濾材容器が落下する程度のものであればよいことは、言うまでもない。
【0080】
次に、濾液取得手段12について説明する。濾液取得手段12は、濾過により濾別される濾液を取得する。濾液取得手段12は、濾材容器3の濾液放出口に接続されている管と、その管を通して自然に落下する濾液を受ける器とを有するといった取得手段でもよい。さらに、濾液取得手段12は、濾液放出口の圧力を下げることができる減圧手段を備えていてもよい。
【0081】
(試料濾別装置による試料の濾別方法)
次に、試料濾別装置1による試料の濾別方法について説明する。本実施の形態における試料濾別装置1は、濾材における濾滓が残る側に圧力を加えて、濾材を挟んだ2点間に圧力差を設けることによって、濾過を行う。このように、濾材における濾滓が残る側に圧力を加える濾過方法は、濾材における濾滓が残らない側の圧力の減圧のみを行う濾過方法と比べて、濾材を挟んだ2点間に大きな圧力差を設けることができる。
【0082】
上記のような大きな圧力差を利用すれば、濾過に要する時間の短縮が可能となる。例えば細孔が極めて小さい物(メンブランフィルターなど)を濾材として用いた濾過(濾別)の場合、濾液の抜けが遅くなることが多く、どうしても濾過に多くの時間を要してしまう。よって、メンブランフィルターなどのような細孔が極めて小さい物を濾材として用いる場合、濾過時間の短縮は極めて重要である。さらに、濾別する物(濾滓および濾液の少なくとも一方)が、温度等の影響を受けて濾過中に変化する可能性がある場合にも、濾過時間の短縮は重要である。つまり、濾過時間を短縮することによって、濾別する物が濾過中に変化するのを、最小限に抑えることができる。
【0083】
また、上記のような大きな圧力差を利用すれば、原液を濾過した際、濾材上の余分な液体を除くことができるので、より純度の高い濾滓や濾液を取得することができる。
【0084】
なお、濾過時間の短縮や、試料の純度の高さがそれほど要求されない用途においては、濾材を挟んだ2点間に圧力差を設けることなく濾過を行っても構わない。
【0085】
次に、本実施の形態の試料濾別装置1による、試料の濾別の手順を説明する。試料濾別の手順は、例えば、下記に示す手順1〜手順5の順に行う。
【0086】
(手順1)原液投入可能位置に濾材容器3を配置する。この手順は、濾材容器配置手段4を制御することによって行うことができる。もちろん、配置される濾材容器3には、濾材が装着されている。
【0087】
(手順2)一定量の原液を取得する。この手順は、原液取得手段2を制御することによって行うことができる。
【0088】
(手順3)原液投入可能位置に配置された濾材容器3に、具体的には濾材容器3の原液投入口に、取得した原液を投入する。この投入により、濾液および濾滓の取得が可能となる。この手順は、原液投入手段5を制御することによって行うことができる。
【0089】
(手順4)原液の投入が完了後、原液投入可能位置にある濾材容器3を取り外す。この手順は、濾材容器取り外し手段6を制御することによって行うことができる。
【0090】
(手順5)取り外された濾材容器3を、濾材容器保存手段に運搬する。この手順は、濾材容器運搬手段8を制御することによって行うことができる。
【0091】
なお、上記手順1における濾材容器3の原液投入可能位置への配置は、手順3での原液投入までに行われておれば良い。つまり、手順2、手順1、手順3の順番で行われてもよい。
【0092】
ところで、上記手順1〜5を基礎にして、例えば、下記手順A〜手順Hを順に実行すれば、原液中の生物(微生物など)を濾滓として濾別するのに好適な方法とすることもできる。
【0093】
(手順A)洗浄液を用いて、配管および流体輸送手段などを洗浄する。なお、ここで言う洗浄液としては、殺菌能力のある液体、無菌化された水などが挙げられる。
【0094】
(手順B)原液槽10から原液の取得と、取得した原液の排出とを行う。この原液の取得および排出は、配管および流体輸送手段などを、原液によって洗浄するためのものである。この手順を実行することにより、洗浄液などを完全に除去して、純粋な原液を濾材容器3の原液投入口に投入することができるので、正確な濾滓の濾別が可能となる。
【0095】
(手順C)原液投入可能位置に濾材容器3を配置する。
【0096】
(手順D)一定量の原液を取得する。この原液は、濾滓取得用の原液である。
【0097】
(手順E)原液投入可能位置に配置された濾材容器3に、具体的には濾材容器3の原液投入口に、濾滓取得用の原液を投入する。
【0098】
(手順F)無菌化された気体(例えば無菌化された空気)を、濾材容器3の原液投入口に投入する。この手順により、濾材容器3に残留する濾液を除去することができる。
【0099】
(手順G)原液の投入が完了後、原液投入可能位置にある濾材容器3を取り外す。
【0100】
(手順H)取り外された濾材容器3を、濾材容器保存手段に運搬する。
【0101】
なお、上記手順AおよびBを行う場合、試料濾別装置1は、制御手段9が制御可能な弁などを備えて、洗浄液の取得と原液の取得との切換が可能に構成されることが好ましい。また、手順Fにおける無菌化された気体を取得する場合も同様に、試料濾別装置1は、制御手段9が制御可能な弁などを備えて、無菌化された気体の取得と原液の取得との切換が可能に構成されることが好ましい。
【0102】
【実施例】
次に、前述した実施の形態の試料濾別装置1の一例について、図2ないし図27を参照して詳細に説明する。
【0103】
(試料濾別装置の構成の概略)
本実施例では、原液としてバクテリア等の生物を培養した培養液を濾過し、濾液を廃棄し、濾材上に残留した生物(濾滓)を捕獲する試料濾別装置について説明する。まず、本実施例の試料濾別装置101の構成の概略について図2、図26、図27に基づいて説明する。
【0104】
試料濾別装置101は、図2、図27に示すように、同様の濾過を同時に行うことができ、かつ、単独に設定・動作できる4つの系統(チャンネル)を持つ。このように4つの系統を持つことで、培養液を同時に1〜4本ずつ回収することができる。しかしながら、系統数は、特に限定されるものではなく、1系統であってもよい。なお、以下の説明では、基本的には1系統に関してのみ説明する。
【0105】
本実施例の試料濾別装置101は、図2に示すように、原液槽10としての培養槽100と、3方電磁弁21と、エアー吸引用フィルター22と、濾材容器3としてのフィルターケース30、原液取得手段2および原液投入手段5としての、サンプリングポンプユニット(シリンジユニット)50、4方切換バルブ23、および配管24・25・26・27と、濾材容器配置手段4、原液投入手段5、濾材容器取り外し手段6、濾材容器運搬手段8、および濾材容器保持手段11としての、フィルター自動交換ユニット60と、濾材容器保存手段7としての低温冷凍庫70と、純水等の洗浄液を収容した、所定容量(例えば5L)の洗浄液タンク80と、制御手段9としてのシステムコントローラ90と、濾液取得手段12としての、フィルターケース30から排出された濾液を回収するための所定容量(例えば10L)の廃液回収タンク120とを備えている。また、図2には示していないが、本実施例の試料濾別装置101は、図26に示すように、濾材容器保持手段11としてのフィルターラック110を備えている。図26に示すように、本実施例の試料濾別装置101は、各種設定情報を入力したり、各種設定条件を確認するための液晶タッチパネル130、各種設定情報等を印刷したりするためのプリンター140を備えている。また、図2には示していないが、フィルター自動交換ユニット60は、図26および図27に示すように、サンプリングポンプユニット50やフィルター自動交換ユニット60等を支持するための架台150を備えている。また、図2には示していないが、フィルター自動交換ユニット60は、図26および図27に示すように、溶液注入部56を備えている。また、溶液注入部56、およびフィルター自動交換ユニット60の他の部分に対して、カバー56a・60aが取り付けられている。
【0106】
培養槽100内には、培養液が、所定の恒温条件、例えば30℃の恒温条件で培養されており、水程度の粘度となっている。配管24は、培養槽100から培養液を送り出すためのものである。3方電磁弁21は、サンプリング用の配管24の途中に設置された流路切り換え弁であり、培養槽100から培養液を吸引する側(4方切換バルブ23と培養槽100とをつなぐ側)と、エアー吸引用フィルター22を介して外部の空気を吸引する側(4方切換バルブ23とエアー吸引用フィルター22とをつなぐ側)とで切り換え可能となっている。
【0107】
サンプリングポンプユニット50は、培養液や洗浄液を吸引・排出するための、所定容量(例えば容量5mL)を持つ4本のシリンジポンプ51を備えている。配管25は、サンプリングポンプユニット50による液(培養液または洗浄液)の吸引・排出のためのものであり、配管26は、培養液をフィルターケース30に注入するためのものである。配管27は、フィルターケース30から排出された濾液を廃液回収タンク120に回収するためのものである。
【0108】
フィルターケース30から排出された濾液等の廃液は、廃液回収タンク120に回収されるようになっている。培養液が、外部に漏れると危険性がある生物、例えば形質転換バクテリア等を含む場合、廃液回収タンク120に集められた廃液は、タンクごと加熱滅菌(オートクレーブ滅菌等)できなければならない。このため、廃液回収タンク120は、耐熱性ポリプロピレン製等のような耐熱性素材で形成されていることが好ましい。
【0109】
(試料濾別装置の動作の概略)
次に、試料濾別装置101の動作の概略について説明する。
【0110】
1.初期状態
初期状態(リセット直後、および待機時)の4方切換バルブ23等の状態を図3に示す。初期状態では、4方切換バルブ23は、シリンジポンプ51と配管26とをつないでいる。また、初期状態では、3方電磁弁21は、培養槽100と4方切換バルブ23とをつないでいる。
【0111】
2.予洗浄(省略可)
まず、図4に示すように、4方切換バルブ23を、シリンジポンプ51と洗浄液タンク80とをつなぐ状態に切り換え、サンプリングポンプユニット50のシリンジポンプ51で、洗浄液タンク80から洗浄液を吸引する。
【0112】
次に、4方切換バルブ23を、シリンジポンプと51と、廃液回収タンク120とをつなぐ状態に切り換え、シリンジポンプ51で、洗浄液を配管26・27を通して廃液回収タンク120に排出する。
【0113】
これらの動作により、シリンジポンプ51内、および配管25〜27が洗浄液で洗浄される。これらの洗浄動作は、例えば1〜10回行う。1回あたりの洗浄液量は、例えば5mlとする。
【0114】
このサンプリング前の洗浄動作は、シリンジポンプ51内および配管25〜27が清浄な状態であれば省略することも可能であるが、シリンジポンプ51内および配管25〜27が清浄な状態であっても、雑菌を避けるために洗浄動作を行うことが好ましい。また、サンプリングに用いた後の配管25〜27は、使用した試料によるコンタミネーションを避けるために洗浄することが好ましい。
【0115】
3.共洗い(省略可)
次に、図5に示すように、4方切換バルブ23を、シリンジポンプ51と培養槽100とをつなぐ状態に切り換え、サンプリングポンプユニット50のシリンジポンプ51で、培養槽100内で所定の濃度に保たれた培養液から、所定量の培養液(例えば約30ml)を配管24を通して吸引する。
【0116】
次に、4方切換バルブ23を、シリンジポンプ51と廃液回収タンク120とをつなぐ状態に切り換え、シリンジポンプ51で、培養液を配管26・27を通して廃液回収タンクに排出する。
【0117】
これらの操作により、培養槽100と4方切換バルブ23とをつなぐ配管24内、シリンジポンプ51内、シリンジポンプ51と4方切換バルブ23とをつなぐ配管25内、および4方切換バルブ23と廃液回収タンク120とをつなぐ配管26・27内を、培養液で共洗いする。
【0118】
これらの共洗い動作は、例えば1〜4回行う。また、この共洗い動作も、洗浄動作と同様に、シリンジポンプ51内および配管25〜27が清浄な状態であれば省略することも可能であるが、シリンジポンプ51内および配管25〜27が清浄な状態であっても、雑菌を避けるために共洗い動作を行うことが好ましい。サンプリングに用いた後の配管25〜27は、使用した試料によるコンタミネーションを避けるために共洗い動作を行うことが好ましい。は省略することも可能である。1回あたりの共洗いに使用する培養液量は、例えば5mlとする。また、1回あたりの共洗いに使用する培養液量は、例えば1ml単位で可変とするとよい。
【0119】
4.フィルターセット
次に、図6に示すように、予めフィルターラック110にセットされたフィルターケース30を、自動で、フィルターラック110から分離し、原液投入可能位置に配置し、配管26・27の途中に接続する。
【0120】
なお、フィルターケース30には、予めシート状のフィルター103が人手により装填されて使用される。
【0121】
5.サンプリング
次に、図7に示すように、再び、4方切換バルブ23を、シリンジポンプ51と培養槽100とをつなぐ状態に切り換え、サンプリングポンプユニット50のシリンジポンプ51で培養槽100から配管24を通して一定量(例えば30ml)の培養液を吸引し、一定量の培養液をサンプリング(取得)する。サンプリングの液量は、場合に応じてサンプリングの液量を柔軟に変えられるように、例えば1ml単位で0〜50mlまで可変になっていることが好ましい。
【0122】
4方切換バルブ23を、シリンジポンプ51と配管26とをつなぐ状態に切り換え、シリンジポンプ51に吸引した培養液を、シリンジポンプ51から配管26を通してフィルターケース30内に投入し、フィルター103による濾過に供する。フィルターケース30から排出された濾液は廃液として配管27から廃液回収タンク120に貯留される。以上のようなシリンジポンプ51による送液および濾過操作は、4チャンネル同時に行うことが可能である。
【0123】
6.エアーパージ(省略可)
次に、シリンジポンプ51を使用してエアーパージ(加圧)を行う。
【0124】
すなわち、図8に示すように、4方切換バルブ23を、シリンジポンプ51と3方電磁弁21とをつなぐ状態に切り換えると共に、3方電磁弁21を、空気を吸引する側に切り換え、サンプリングポンプユニット50のシリンジポンプ51でエアー吸引用フィルター22を介して空気を吸引する。空気は、エアー吸引用フィルター22を介して吸引されることにより無菌化されてシリンジポンプ51に送られる。
【0125】
次に、4方切換バルブ23を、シリンジポンプ51と配管26とをつなぐ状態に切り換える。エアー吸引用フィルター22を介して吸引した空気をシリンジポンプ51で加圧して配管26へ送る。これにより、配管26内の培養液がフィルターケース30へ送られると共に、フィルターケース30内に空気が送られ、フィルター103より上の空間が加圧される。すなわち、シリンジポンプ51によって、フィルター103における濾滓が残る側に圧力が加えられ、フィルター103を挟んだ2点間に圧力差が発生される。フィルターケース30内のフィルター103より上にある培養液がフィルターケース30の濾液放出口30fへ向けて押し出され、フィルター103を通過して濾過される。また、このとき、フィルター103がエアーロックするまで加圧(エアーパージ)を行うことが好ましい。このエアーパージによってフィルターケース30から排出された濾液は、廃液として配管27から廃液回収タンク120に貯留される。
【0126】
エアーパージ(加圧)は、フィルターケース30内の液を十分に押し出す(パージを十分に行う)ために、フィルター103上に0.05MPa以上の圧力が加わるように行うことが好ましい。これにより、培養液が濾紙等のフィルター103を抵抗なく透過して濾過される場合に、フィルターケース30内の液を十分に押し出すことができる。また、配管容積を事前に計算しておけば、効率良くフィルターケース30内の液を押し出すことができる。また、培養液が濾紙等のフィルター103を透過する際にかなり抵抗がある場合に、フィルターケース30内の液を十分に押し出すために、フィルター103上に0.3MPa以上の圧力が加わるようにエアーパージ(加圧)を行うことが好ましい。したがって、フィルター103上に0.3MPa以上の圧力が加わるようにエアーパージ(加圧)を行うことがより好ましい。ただし、あまり加圧しすぎると、フィルター103が破れる等の問題が生じる恐れがあるので、フィルター103上に加わる圧力が0.5MPa以下となるようにエアーパージ(加圧)を行うことが好ましい。
【0127】
エアーパージの回数は例えば1〜5回とする。また、このエアーパージは、省略することも可能である。1回あたりのエアーパージに使用するエアーの量は、例えば5mlとする。
【0128】
以上のように、濾過後、配管26内及びフィルターケース30内の培養液が無菌化された空気で濾液放出口30f側に押し出され、フィルター103上に培養液ができる限り残らないようになっている。これにより、フィルター103上の余分な培養液を除くことができ、より純度の高い試料を回収することができる。なお、この動作(エアーパージ)は、取得した試料の純度が高いことが要求されない用途においては省略することも可能である。
【0129】
7.フィルター回収
次に、濾過を行った後、図9に示すように、速やかにフィルター103をフィルターケース30ごと低温冷凍庫70に回収する。その後、「2.予洗浄」、「3.共洗い」、あるいは「4.フィルターセット」に戻り、上述した「7.フィルター回収」までの動作を繰り返す。この「2.予洗浄」、「3.共洗い」、あるいは「4.フィルターセット」から「7.フィルター回収」までの動作、すなわち1回の濾過にかかる時間は、生物の細胞の状態を極力変えないようにするため、できるだけ短くすることが好ましく、3分以内であることが好ましい。
このようにして、試料濾別装置101は、フィルターケース30の配置および取外しを繰り返し行い、培養液の取得および投入を繰り返し行うことで、濾過を繰り返し行うようになっている。また、これらの動作は全てシステムコントローラ90によって制御されており、各動作を繰り返す時間間隔は、システムコントローラ90によって設定された時間間隔となるように制御される。試料濾別装置101は、12時間まで連続動作可能であることが好ましい。これにより、夜間の半日間、自動的に試料の取得が可能となる。
【0130】
(サンプリングポンプユニット50の動作説明)
サンプリングポンプユニット50は、前述したように、培養液や洗浄液を吸引・排出するためのシリンジポンプ51を備えている。このシリンジポンプ51は、筒内をピストンが移動することにより筒の先端の開口から液体を吸引・排出できるようになっている。
【0131】
サンプリングポンプユニット50は、図示しないが、シリンジポンプ51のピストンを掴持してガイドレールに係合しそれに案内されて上下方向に往復移動可能なピストン保持部、ピストン保持部と一体をなす移動ナット、この移動ナットに螺合して回転し、その回転動作によりピストン保持部及びピストンを昇降させるピストン駆動軸、並びに、ピストン駆動軸の上端部に固着された動力伝達ローラ、サンプリングポンプユニット50本体に取り付けられた駆動モータ、この駆動モータの回転軸に固着された駆動プーリ、及び駆動プーリと動力伝達ローラとに掛け回されたベルトからなるピストン昇降駆動装置を備えている。そして、駆動モータを正転及び逆転駆動させることにより、駆動プーリ、ベルト及び動力伝達ローラを介してピストン駆動軸を右回り及び左回りに回転させ、そのピストン駆動軸の回転動作により、ピストン保持部及びピストンをガイドレールに沿って上昇及び下降させることができるようになっている。また、図示しないが、シリンジポンプ51の筒の先端の開口は、配管25を介して4方切換バルブ23につながれている。このピストンの上下移動は、ピストンの上下位置を検出するセンサ(図示しない)の出力に基づいてシステムコントローラ90によって制御される。
【0132】
サンプリングポンプユニット50は、図25に示すような4方切換バルブ23を制御するためのバルブ駆動部55を備えている。55a カップリング
バルブ駆動部55は、駆動伝達用タイミングベルト55b、原点センサー55c、ギヤヘッド55d、ステッピングモーター55e、カウントセンサー55f、出力軸55g、プーリ55h、プーリ55i、及びコック回転軸55jを備える。図25(b)は、4方切換バルブ23を図25(a)における矢印の方向(上から下の方向)から見た矢視断面図である。
【0133】
4方切換バルブ23は、洗浄液タンク80につながれた第1の接続口23aと、3方電磁弁21を介して配管24で培養槽100につながれた第2の接続口23bと、フィルター自動交換ユニット60の原液注入ノズル54(後述)に配管26で接続された第3の接続口23cと、シリンジポンプ51の先端の開口に対して配管25で接続され、シリンジポンプ51の先端の開口から液が流入する入口(IN)23dとを備えている。入口23dは、4方切換バルブ23の下面に設けられており、第1の接続口23a、第2の接続口23b、および第3の接続口23cは、4つの側壁面のうちの3つの側壁面(図25(a)において、手前の面、左の面、および奥の面)に設けられている。4方切換バルブ23は、第1の接続口23a、第2の接続口23b、および第3の接続口23cの何れかと、シリンジポンプ51の先端の開口から液が流入する入口(IN)23dとが、1:1で繋がるようになっている。入口23dとの接続は、4方切換バルブ23のコック23eが90°ずつ回転することにより、第1の接続口23a、第2の接続口23b、第3の接続口23cの何れかと接続するようになっている。
【0134】
ステッピングモーター55eは、システムコントローラ90によって制御される。ステッピングモーター55eには、1/4のギヤヘッド55dが付けられており、1/4のギヤヘッド55dに付けられた出力軸55gは、ステッピングモーター55eの1回転あたり90°回転する。出力軸55gにはプーリ55hが固着されている。また、コック23eにはカップリング55aを介してコック回転軸55jが連結されており、コック回転軸55jにも、プーリ55iが固着されている。出力軸55gに固着されたプーリ55hと、コック回転軸に固着されたプーリ55iとには、駆動伝達用タイミングベルト55b掛け回されている。以上の駆動伝達用タイミングベルト55b、カップリング55a等により、出力軸55gの回転は、4方切換バルブ23のコック23eへ、1:1で伝達されている。これにより、ステッピングモーター55eが1回転することで、4方切換バルブ23のコック23eは90°回転する。
【0135】
4方切換バルブ23のコック23eの回転軸には原点センサー55cが設けられており、ある特定の位置を原点としている。ステッピングモーター55eの軸にはカウントセンサー55fが設けられており、ステッピングモーター55eの1回転を検出している。カウントセンサー55fによりステッピングモーター55eが何回転したかを1回転ごとカウントすることで、コック23eが原点の位置から回転したときに、どの接続口に入口23dが接続しているかがシステムコントローラ90によって確認できるようになっている。このコック23eの回転は、システムコントローラ90によって制御される。
【0136】
(フィルターケース)
本実施例の試料濾別装置101は、濾材容器3として、フィルター103が入れ替え可能なフィルターケース30を用いている。フィルターケース30は、図10(a)に示すように、外形が略円柱形である。フィルターケース30の側面には、後述する上下スライド部61のフィルターケース保持部61aの爪61bと噛み合う溝30dが、中央部付近を巻く帯状に形成されている。フィルターケース30全体の厚みtは、例えば21mmに設定される。なお、図10(a)では、濾材としてのフィルター103が装着された状態のフィルターケース30を示している。
【0137】
フィルターケース30は、図10(b)に示すように、上部材30a、下部材30b、Oリング30c、および支持板30gを備えている。
【0138】
上部材30aは、基部30aaと、基部30aaから突出するように設けられた凸部30abとからなっている。基部30aaは、外形が円柱形であり、かつ、凸部30abより大きい外径を有している。また、凸部30abは、外形が円柱形であり、かつ、後述する下部材30bの凹部30baに嵌合するように、下部材30bの凹部30bの径と略等しい外径を有している。また、基部30aaおよび凸部30abは、それらの中心軸(図に一点鎖線で示す)が一致しており、それらの中心軸付近には、フィルター103上に原液を注入するための原液投入口30eが形成されている。原液投入口30eは、図10(a)に2点鎖線で仮想的に示す原液注入ノズル54(後述する)が先端から途中まで挿入でき、かつ、挿入した状態で原液注入ノズル54が嵌合しうるような径を有する円筒形の孔である。原液注入ノズル54における挿入される部分の長さdは、例えば5.55mmに設定される。
【0139】
下部材30bは、Oリング30c、フィルター103、および支持板30gを支持する凹部30bを有している。この凹部30baは、前述した通り、上部材30aの凸部30abが嵌合しうるようになっている。下部材30bの中心軸付近には、フィルター103を透過した濾液(廃液)を排出するための濾液放出口30fが形成されている。また、凹部30baの底面は、フィルター103を透過した濾液が濾液放出口30fに向かって集まるように、濾液放出口30fに近づくほど径が小さくなるような円錐形状となっている。
【0140】
上部材30aと下部材30bを形成する材料は、低温での熱伝導率が高いものが好ましい。具体的には、上部材30aと下部材30bを形成する材料は、−100℃において5(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有することが好ましく、−100℃において10(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有することがより好ましく、−100℃において50(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有することがさらに好ましく、−100℃において200(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有することが最も好ましい。このような低温での熱伝導率が高い材料としては、ステンレス、アルミニウム、銅、チタンなどの金属が挙げられる。このように上部材30aや下部材30bに低温での熱伝導率が高い材料を使用することで、フィルターケース30を濾過終了直後にフィルター自動交換ユニット60に連結した低温冷凍庫70に移したときに、フィルターケース30内部のフィルター103上の濾滓まで急冷することができる。
【0141】
上部材30aと下部材30bを形成する材料は、−80℃で破損せず、液体(原液または濾液)の凍結による膨張によって破損しない強度を持つ材料であることが好ましい。このような材料としては、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン等の金属が挙げられる。
【0142】
また、上部材30aと下部材30bを形成する材料は、約100℃程度の温度サイクルによっても破損しない材料であることが好ましい。このような材料としては、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン等の金属が挙げられる。
【0143】
Oリング30cは、上部材30aと下部材30bとの隙間を生じないようにして、フィルター103上の空間を外部から遮蔽するためのものであり、ゴム等の弾性部材で形成されている。Oリング30cとしては、例えば、市販品であるバイトン[登録商標](フッ素ゴム)製Oリング「P21」を使用できる。
【0144】
支持板30gは、フィルター103をサポートして、フィルター103に圧力がかかっても破れないようにするためのものである。また、支持板30gは、濾過の有効面積をなるべく減少させないように、原液を透過しうる網状の構造となっている。支持板30gを形成する材料としては、フィルター103を十分にサポートする強度を持つ材料であることが好ましい。このような材料としては、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン等の金属が挙げられる。フィルター103としては、例えば、30メッシュで素線径が0.23mmのものが好適に使用できる。
【0145】
フィルターケース30に装着されるフィルター(濾材)103としては、特に限定されるものではないが、メンブランフィルターなどの細孔径の小さい濾材を用いれば、微生物などの微細な固体試料を、濾滓として濾別することができる。
【0146】
図10(b)に示すフィルター103装着済みのフィルターケース30は、上述した上部材30a、下部材30b、Oリング30c、フィルター103、および支持板30gを、図10(b)に示すように、上からこの順で並べて、重ね合わせたものである。すなわち、フィルター103装着済みのフィルターケース30は、例えば、下部材30bを凹部30baが上を向く方向に配置し、下部材30bの凹部30baに支持板30g、フィルター103、およびOリング30cをこの順で載置し、次に、これらの上から下部材30bの凹部30baに対して上部材30abの凸部30abを嵌合させることによって組み立てられる。
【0147】
(フィルター自動交換ユニットの構成)
フィルター自動交換ユニット60の構成を、図12に示す。
フィルター自動交換ユニット60は、フィルターの自動交換を行うためのものであり、図12に示すように、原液注入ノズル54を含む溶液注入部(原液投入手段)56、上下スライド部61、ストッパー62、スライダー63、排液パイプ(廃液パイプ)64、排液メインチューブ65、傾斜板67、フィルターケース搬送ユニット68、スライダー駆動アーム69、フィルターラック110等を備えている。
【0148】
上下スライド部61は、フィルターケース30を保持して上下方向に搬送するものである。上下スライド部61は、フィルターケース30の溝3dと噛み合う爪61bによってフィルターケース30を保持するためのフィルターケース保持部61aを含んでいる。
【0149】
ストッパー62は、エアシリンダ62aによってフィルターラック110の下方位置へストッパー片62bを押し出し、そのストッパー片62bによってフィルターケース30を支承しておくことにより、フィルターラック110下端の取出し口からフィルターケース30が落下しないようにするためのものである。エアシリンダ62aは、その動きを検出するセンサ(図示しない)の出力に基づき、システムコントローラ90から2種類の目標設定信号(SV)が入力されることによって制御される。
【0150】
スライダー63は、フィルターケース30をその上面で保持しうると共に、上面の角度を変えることによって上面からフィルターケース30を滑り落とすことが可能なものである。また、スライダー63における濾過時にフィルターケース30が配置される位置には、排液パイプ64を下から挿入しうる開口63aが設けられている。
【0151】
スライダー駆動アーム69は、エアシリンダ69aの伸縮によってスライダー63を回動させ、スライダー63の角度が変化させるものである。エアシリンダ69aは、その動きを検出するセンサ(図示しない)の出力に基づき、システムコントローラ90から2種類の目標設定信号(SV)が入力されることによって制御される。
【0152】
傾斜板67は、スライダー63から滑り落ちたフィルターケース30を低温冷凍庫70の誘導管70bへ誘導するためのものであり、上面がフィルターケース30が自重によって傾斜板67上から滑り落ちる程度にまで水平面に対して傾斜した板である。
【0153】
フィルターケース搬送ユニット68は、上下スライド部61を水平方向に搬送することによって上下スライド部61のフィルターケース保持部61aに保持されたフィルターケース30を水平方向に搬送するものである。フィルターケース搬送ユニット68は、水平移動保持板37に連接固着された上下スライドガイド31を備えており、上下スライド部61は、上下スライドガイド31に係合しそれに案内されて上下方向に往復移動可能となっている。フィルターケース搬送ユニット68は、上下スライド部61に加えて、上下スライド部61の移動ナット(図示しない)に螺合して回転し、その回転動作により上下スライド部61を昇降させる駆動軸32、並びに、駆動軸32の下端部に固着された動力伝達ローラ33、水平移動保持板37に取着された駆動モータ36、この駆動モータ36の回転軸に固着された駆動プーリ35、駆動プーリ35と動力伝達ローラ33とに掛け回されたベルト34、及び、水平移動保持板37を水平移動させるための、支持フレーム29に固着されたエアシリンダ38を備えている。そして、駆動モータ36を正転及び逆転駆動させることにより、駆動プーリ35、ベルト34及び動力伝達ローラ33を介して駆動軸32を右回り及び左回りに回転させ、その駆動軸32の回転動作により、上下スライド部61を上下スライドガイド31に沿って上昇及び下降させることができるようになっている。また、上下スライド部61の上下移動は、上下スライド部61の上下位置を検出するセンサ(図示しない)の出力に基づいてシステムコントローラ90によって制御される。また、エアシリンダ38により、フィルターケース搬送ユニット68におけるエアシリンダ38以外の部分全体が水平移動するようになっている。エアシリンダ38は、その動きを検出するセンサ(図示しない)の出力に基づき、システムコントローラ90から2種類の目標設定信号(SV)が入力されることによって制御される。
【0154】
フィルターラック110は、フィルターケース30を複数(例えば1系統あたり12個、合計48個)積み重ねて装着(セット)できるものである。このように複数のフィルターケース30をセットできるフィルターラック110を設けたことで、連続的に濾過操作を行うことができる。また、フィルターラック110を複数系統(この場合、4系統)設けることで、同時に複数の試料を回収することができる。
【0155】
溶液注入部56は、図12には示していないが前述した配管26につながれている原液注入ノズル54、この原液注入ノズル54を掴持して原液注入ノズル54を鉛直姿勢に固定保持し、上下スライドガイド52に係合しそれに案内されて上下方向に往復移動可能なノズル保持部53、このノズル保持部53の移動ナット(図示しない)に螺合して回転し、その回転動作によりノズル保持部53及び原液注入ノズル54を昇降させるノズル駆動軸48、ノズル駆動軸48の下端部に固着された動力伝達ローラ47、支持フレーム29に取着された駆動モータ46、この駆動モータ46の回転軸に固着された駆動プーリ45、及び、駆動プーリ45と動力伝達ローラ47とに掛け回されたベルト49を備えている。そして、駆動モータ46を正転及び逆転駆動させることにより、駆動プーリ45、ベルト49及び動力伝達ローラ47を介してノズル駆動軸48を右回り及び左回りに回転させ、そのノズル駆動軸48の回転動作により、ノズル保持部53及び原液注入ノズル54を上下スライドガイド52に沿って上昇及び下降させることができるようになっている。ノズル保持部53及び原液注入ノズル54の上下移動は、ノズル保持部53の上下位置を検出するセンサ(図示しない)の出力に基づいてシステムコントローラ90によって制御される。
【0156】
(フィルター自動交換ユニットの動作説明)
まず、フィルターケース30装填前は、フィルター自動交換ユニット60は、図13に示す状態となっている。
【0157】
次に、フィルターラック110に複数のフィルターケース30が装填されると、図14に示す状態となる。この作業は、自動運転開始前に手作業で行われる。このとき、フィルターケース30は、上下スライド部61のフィルターケース保持部61a上に保持される。このとき、フィルターケース30の溝3dが、フィルターケース保持部61aに設けられた爪61bと噛み合い、フィルターケース30は、フィルターケース保持部61aに対して、強い力がかからない限り動かない程度に固定される。
【0158】
次に、自動運転が開始されると、まず、図15に示すように、初めの1つのフィルターケース30(一番下のフィルターケース30)をフィルターラック110から切り離すために、上下スライド部61が所定の距離(例えば21mm)だけ下方に移動される。これにより、フィルターラック110内の複数のフィルターケース30が下方へ搬送される。
【0159】
次に、図16に示すように、次のフィルターケース30(下から2番目のフィルターケース30)がストッパー62によってロックされる。ストッパー62によるロックは、フィルターケース30の溝30dにストッパー62のストッパー片62a(突出部)が挿入されることによって行われる。さらに、一番下のフィルターケース30を他のフィルターケース30から切り離すために、上下スライド部61が所定の距離(例えば3mm)だけ下方に移動される。これにより、一番下のフィルターケース30だけが下方へ搬送され、他のフィルターケース30から切り離される。
【0160】
次に、図17に示すように、フィルターケース搬送ユニット68が水平方向に沿って培養液注入位置(溶液注入位置;接続位置)へ移動し、これによって1番目のフィルターケース30が水平方向に沿って培養液注入位置(溶液注入位置;接続位置)へ搬送される。
【0161】
次に、図18に示すように、原液注入ノズル54が下方に移動され、原液注入ノズル54がフィルターケース30の原液投入口30eに嵌合するまで原液投入口30eに挿入され、フィルターケース30が原液注入ノズル54に接続される。また、濾液(廃液)を受けるための排液パイプ64が上方に移動され、フィルターケース30の濾液放出口30fに接続される。この状態で、フィルターケース30の原液投入口30eに対して原液注入ノズル54から培養液が注入され、濾過が行われる。
【0162】
濾過が完了すると、図19に示すように、フィルターケース搬送ユニット68が水平方向に沿って元の位置へ移動する。このとき、フィルターケース30は、その原液投入口30eに原液注入ノズル54が接続されたままであるので、培養液注入位置に残り、上下スライド部61から切り離される。
【0163】
次に、図20に示すように、原液注入ノズル54が上に移動する。これにより、フィルターケース30から原液注入ノズル54が切り離され、フィルターケース30がフリーの状態でスライダー63上に置かれることになる。このとき、スライダー63の上面はほぼ水平となっている。
【0164】
次に、図21に示すように、スライダー63が、スライダー駆動アーム69によって、開口63a付近を中心として傾斜板67に近い側の端が下がる方向に、その端が傾斜板67に当接するまで回動する。これにより、スライダー63の上面と、傾斜板67の上面とがほぼ連続する。このとき、スライダー63の上面は、フィルターケース30が自重によってスライダー63上から滑り落ちる程度にまで水平面に対して傾斜する。その結果、フィルターケース30は、スライダー63の上面および傾斜板67の上面を滑りながら移動し、傾斜板67の先端67aから傾斜板67の先端67aの下方に位置する誘導管70b内に落下し、低温冷凍庫70内へと排出される。このようにしてスライダー63を用いて誘導管70b内にフィルターケース30を投入する方法を用いることで、低温冷凍庫70へのフィルターケース30搬送時に、フィルターケース30に大きな衝撃等がかからないようにし、フィルターケース30が転倒することで、原液投入口から試料が外部にこぼれないようにしている。
【0165】
次に、図22に示すように、上下スライド部61が、上方に移動して初期の位置(原点位置)に戻り、次のフィルターケース30を装填する。また、スライダー63も元の位置に戻る。
【0166】
なお、スライダー63および傾斜板67の表面は、動摩擦係数が小さい材料、例えば、ステンレス等の金属材料で形成されていることが好ましい。
【0167】
(フィルター自動交換ユニットの廃液排出部の動作説明)
フィルターケース搬送ユニット68および上下スライド部61によってフィルターケース30が注入位置に搬送された初期状態(原点位置)では、図23に示すように、排液パイプ64の上端は、フィルターケース30の下端より下にあり、排液パイプ64は濾液放出口30fに接続されていない。排液パイプ64は、排液メインチューブ65を介して図示しない廃液回収タンク120に通じている。前述した配管27は、排液パイプ64と排液メインチューブ65とで構成されている。
【0168】
次に、図24に示すように、原液注入ノズル54がフィルターケース30の原液投入口30eに挿入され、排液パイプ64を駆動するエアシリンダ65によって排液パイプ64が排液位置へ上がり、スライダー63の開口63bを通して濾液放出口30fに接続される。その後、濾過が行われることになる。なお、排液パイプ64を駆動するエアシリンダ65は、その動きを検出するセンサ(図示しない)の出力に基づき、システムコントローラ90から2種類の目標設定信号(SV)が入力されることによって制御される。
【0169】
(低温冷凍庫内での搬送)
次に、低温冷凍庫70について詳細に説明する。
【0170】
本実施例の試料濾別装置101は、濾材容器保存手段7として、図11に示す低温冷凍庫70を用いている。低温冷凍庫70は、試料を低温冷凍するものであり、例えば、内部空間を−80℃の温度条件に保つことができるものである。
【0171】
低温冷凍庫70は、スライダー63および傾斜板67から滑り落ちたフィルターケース30を低温冷凍庫70内部へ誘導するための誘導管70b、誘導管70bを支持するための誘導管支持材70cを備えている。誘導管70bは、その開口70aにスライダー63および傾斜板67から滑り落ちたフィルターケース30が投入されるように配設されている。また、誘導管70b内でフィルターケース30が転倒することを避けるために、フィルターケース30の径は、高さよりも長くなっており、誘導管70bの内径は、フィルターケース30の外径とほぼ等しいか僅かに小さいサイズ、具体的には0.9倍〜1倍に設定されている。
【0172】
また、低温冷凍庫70は、外壁70dと内壁70gとによる2重構造の壁を有している。外壁70dおよび内壁70gにはそれぞれ、フィルターケース30搬送用の開口70dbおよび開口70gbが形成されており、開口70dbおよび開口70gbにはそれぞれ外蓋70e内蓋70hが設けられている。
【0173】
外壁70dは、開口70db周辺に、断熱材で形成された外蓋支持部70daを含んでいる。外蓋70eは、ステンレス製の中空の板に対して、中空部に断熱材が充填された構造を有しており、後述するように、フィルターケース30が置かれたときにフィルターケース30の重みで開閉しうるようになっている、開閉式の蓋である。
【0174】
内壁70gは、開口70gbに傾斜面70gcを有しており、開口70gb周辺に断熱材で形成された外蓋支持部70gaを含んでいる。内蓋70hは、ステンレス製の中空の板に対して、中空部に断熱材が充填された構造を有しており、後述するように、フィルターケース30が置かれたときにフィルターケース30の重みで開閉しうるようになっている、開閉式の蓋である。
【0175】
低温冷凍庫70内には、2ヶ所につる巻きばねの反発を利用した蓋開閉機構70f・70iがある。
【0176】
1つ目の蓋開閉機構70fは、低温冷凍庫70の外壁70dの開口70dbを閉じる外蓋70eの内側に取り付けられている。蓋開閉機構70fは、外蓋70eを回動可能な状態で外壁70dに対して連結する、つる巻きばねを備えている。蓋開閉機構70fは、スライダー63および傾斜板67から滑り落ちたフィルターケース30(フィルター103含む)が、誘導管70bの開口70aから誘導管70b内に誘導されて、外蓋70e上に落下してくると、フィルターケース30の重みによって、蓋開閉機構70fのつる巻きばねが撓んで、フィルターケース30が内蓋70hの上に落下する仕組みになっている。すなわち、蓋開閉機構70fのつる巻きばねが撓むと、外蓋70eが、つる巻きばねの中心軸を中心として下方に回動し、内壁70gに当接するまで開くようになっている。外蓋70eは、この開いた状態のときには、外蓋70e上のフィルターケース30が滑り落ちる程度にまで傾斜し、かつ、外壁70dと外蓋70eとの間にフィルターケース30が通り抜け可能な隙間が生じるようになっている。
【0177】
2つ目の蓋開閉機構70iは、低温冷凍庫70の内壁70gの開口70gbを閉じる内蓋70hの内側に取り付けられている。開口70gbは、開いた状態の外蓋70e表面とほぼ連続するような傾斜面を有している。蓋開閉機構70iは、内蓋70hを回動可能な状態で内壁70gに対して連結する、つる巻きばねを備えている。蓋開閉機構70iは、フィルターケース30が内壁70gから滑り落ち、さらに開口70gbの傾斜面70gcを滑り落ちて内蓋70h上に落下してくると、フィルターケース30の重みによって、蓋開閉機構70iのつる巻きばねが撓んで、フィルターケース30が傾斜面70j伝いに誘導されて、低温冷凍庫70内の収納空間70kに収納される仕組みになっている。すなわち、蓋開閉機構70iのつる巻きばねが撓むと、内蓋70hが、つる巻きばねの中心軸を中心として下方に回動し、傾斜面70jに当接するまで開くようになっている。内蓋70hは、この開いた状態のときには、内蓋70h上のフィルターケース30が滑り落ちる程度にまで傾斜し、かつ、内壁70gと内蓋70hとの間にフィルターケース30が通り抜け可能な隙間が生じるようになっている。なお、収納空間70k内では、フィルターケース30が混乱しないよう、順次整列されて収納されるようになっている。
【0178】
外蓋70eおよび内蓋70hの表面は、フィルターケース30が滑り易い材料、例えばSUS304で形成されている。
【0179】
以上のように、蓋開閉機構70f・70iは、外蓋70e・内蓋70hを、フィルターケース30が置かれたときのみ開き、他の時には閉じるようにしているので、外蓋70e・内蓋70hが開いている時間を短く抑えることができる。その結果、外蓋70e・内蓋70hの開閉による低温冷凍庫70内の収納空間70kの温度上昇を抑え、温度上昇による濾滓の変質等の弊害を防止できる。
【0180】
また、以上のように、低温冷凍庫70は、二重構造の壁(外壁70dおよび内壁70g)および蓋(外蓋70e・内蓋70h)を備えているので、外蓋70e・内蓋70hの開閉による低温冷凍庫70内の収納空間70kの温度上昇を抑え、温度上昇による濾滓の変質等の弊害を防止できる。
【0181】
また、以上のように、低温冷凍庫70は、低温冷凍庫70外から搬送されたフィルターケース30を、特別な動力源なしにシンプルな機構(蓋開閉機構70f・70i)で内部に搬送することができるようになっている。したがって、例えば−80℃というような低温の環境下においても、問題なくフィルターケース30を内部に搬送できる。
【0182】
なお、以上の実施の形態および実施例では、濾滓のみを試料として取得する試料濾別装置について説明したが、本発明は、濾滓と濾液の両方を取得する試料濾別装置にも適用可能である。その場合、例えば、前記実施例の試料濾別装置において、フィルターケース(濾材容器)30の濾液放出口30f(加圧されるもう一方の口)から押し出される濾液を採取する配管および採取ノズルを有し、その採取ノズルを採取容器に対して正確に移動し、かつ、上下できる機構を備える採取装置を、廃液排出部の代わりに組み込めばよい。その採取装置は、採取後のノズルを洗浄する機構を備えていることが好ましい。
【0183】
また、本実施形態では、原液取得手段としてサンプリングポンプユニット50を用いた場合について説明したが、原液取得手段は、原液槽10から原液を取得することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、原液槽10の底部に設けた弁を開閉させて原液を排出させる装置等であっても構わない。ただし、試料の正確な分析のためには、一定量の原液を正確に取得できるサンプリングポンプユニット50等を用いることが好ましい。
【0184】
【発明の効果】
本発明によれば、濾材容器運搬手段によって、濾材を装着する濾材容器が、設定した低温条件下にある濾材容器保存手段に自動的に運搬される。よって、濾材が装着された、濾過完了後の濾材容器を、自動的に、濾滓とともに濾材容器保存手段に運搬し、低温条件下で保存することが可能となる。また、濾過完了後の濾材容器が自動的に取り外されて低温条件下で保存されることで、濾過完了後の濾材容器を人手で冷凍庫に移す場合等と比較して、濾過完了後、迅速に低温条件下で保存できる。よって、熱によって状態が変化する濾滓の濾別をした後、その濾滓を迅速に低温条件下で保存することができる。例えば、濾滓を濾材容器ごと−80℃で直ちに凍結保存でき、原液取得後3分以内に濾滓を凍結保存できる。
【0185】
したがって、濾材を自動的に交換できると共に、濾過完了後に濾滓(ケーク)を自動的かつ迅速に低温条件下で保存することができる試料濾別装置を提供することができる。
【0186】
それゆえ、上記構成は、濾材を自動的に交換できると共に、濾過完了後に濾滓を自動的かつ迅速に低温条件下で保存することができる試料濾別装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る試料濾別装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の一例に係る試料濾別装置の構成を示す模式図である。
【図3】上記試料濾別装置の動作を説明するための模式図であり、初期状態を示している。
【図4】上記試料濾別装置の動作を説明するための模式図であり、予洗浄の動作を示している。
【図5】上記試料濾別装置の動作を説明するための模式図であり、共洗いの動作を示している。
【図6】上記試料濾別装置の動作を説明するための模式図であり、フィルターセットの動作を示している。
【図7】上記試料濾別装置の動作を説明するための模式図であり、サンプリング動作を示している。
【図8】上記試料濾別装置の動作を説明するための模式図であり、エアーパージの動作を示している。
【図9】上記試料濾別装置の動作を説明するための模式図であり、フィルター回収の動作を示している。
【図10】上記試料濾別装置に使用されるフィルターケースの構造を示す縦断面図であり、(a)はフィルターを装着して組み立てた状態、(b)は分解した状態を示す。
【図11】上記試料濾別装置が備える低温冷凍庫の構造を示す縦断面図である。
【図12】上記試料濾別装置が備えるフィルター自動交換ユニットの構造を示す縦断面図である。
【図13】上記フィルター自動交換ユニットの動作を説明するための縦断面図であり、フィルターケース30装填前の状態を示す。
【図14】上記フィルター自動交換ユニットの動作を説明するための縦断面図であり、フィルターケース30を装填した状態を示す。
【図15】上記フィルター自動交換ユニットの動作を説明するための縦断面図であり、1番下のフィルターケースがフィルターラックから切り離された状態を示す。
【図16】上記フィルター自動交換ユニットの動作を説明するための縦断面図であり、下から2番目のフィルターケースがストッパーでロックされた状態を示す。
【図17】上記フィルター自動交換ユニットの動作を説明するための縦断面図であり、フィルターケースが水平方向に沿って培養液注入位置へ搬送された状態を示す。
【図18】上記フィルター自動交換ユニットの動作を説明するための縦断面図であり、原液注入ノズルがフィルターケースの原液投入口に挿入された状態を示す。
【図19】上記フィルター自動交換ユニットの動作を説明するための縦断面図であり、フィルターケース搬送ユニットが元の位置へ移動した状態を示す。
【図20】上記フィルター自動交換ユニットの動作を説明するための縦断面図であり、フィルターケースから原液注入ノズルが切り離された状態を示す。
【図21】上記フィルター自動交換ユニットの動作を説明するための縦断面図であり、スライダーが下がった状態を示す。
【図22】上記フィルター自動交換ユニットの動作を説明するための縦断面図であり、上下スライド部およびスライダーが元の位置に戻った状態を示す。
【図23】上記フィルター自動交換ユニットの廃液排出部の動作を説明するための縦断面図であり、初期状態(フィルターケースが注入位置に搬送された状態)を示す。
【図24】上記フィルター自動交換ユニットの廃液排出部の動作を説明するための縦断面図であり、排液パイプが排液位置へ上がった状態を示す。
【図25】上記試料濾別装置が備えるサンプリングポンプユニットのバルブ駆動部および4方切換バルブの構造を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。
【図26】上記試料濾別装置の主要部を示す縦断面図である。
【図27】上記試料濾別装置の全体構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 試料濾別装置
2 原液取得手段
3 濾材容器
4 濾材容器配置手段
5 原液投入手段
6 濾材容器取り外し手段
7 濾材容器保存手段
8 濾材容器運搬手段
9 制御手段
10 原液槽
11 濾材容器保持手段
12 濾液取得手段
21 3方電磁弁
22 エアー吸引用フィルター
23 4方切り換えバルブ
30 フィルターケース
30e 原液投入口
30f 濾液放出口
31 上下スライドガイド
50 サンプリングポンプユニット
51 シリンジポンプ
54 原液注入ノズル
56 溶液注入部
60 フィルター自動交換ユニット
62 ストッパー
63 スライダー
64 排液パイプ
65 排液メインチューブ
67 傾斜板
68 フィルターケース搬送ユニット
69 スライダー駆動アーム
70 低温冷凍庫
70b 誘導管
70e 外蓋
70f 蓋開閉機構
70h 内蓋
70i 蓋開閉機構
70k 収納空間
80 洗浄液タンク
90 システムコントローラ
100 培養槽
101 試料濾別装置
103 フィルター
110 フィルターラック
120 廃液回収タンク

Claims (11)

  1. 原液を濾材で濾過することによって、濾滓および濾液の少なくとも一方を試料として濾別する試料濾別装置であって、
    原液が投入される原液投入口および濾液を放出する濾液放出口を備え、原液投入口から投入された原液が濾材で濾過されるように、濾材を装着するための濾材容器と、
    濾材容器を保持している濾材容器保持位置から、原液の投入が可能な位置である原液投入可能位置に、濾材容器を配置する濾材容器配置手段と、
    原液投入可能位置にある濾材容器を、濾材容器の保存のために取り外す濾材容器取り外し手段と、
    濾材容器を保存する濾材容器保存手段と、
    原液投入可能位置から取り外された濾材容器を、濾材容器保存手段に運搬する濾材容器運搬手段とを有しており、
    上記濾材容器保存手段は、設定した低温条件下で濾材容器を保存することを特徴とする試料濾別装置。
  2. 原液を濾材容器に送った後に、上記濾材における濾滓が残る側に圧力を加え、濾材を挟んだ2点間に圧力差を発生させる圧力差発生手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の試料濾別装置。
  3. 一定量の原液を取得する原液取得手段と、
    原液投入可能位置に配置されている濾材容器の原液投入口に、取得した原液を投入する原液投入手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の試料濾別装置。
  4. 原液取得手段、濾材容器配置手段、原液投入手段、濾材容器取り外し手段、および濾材容器運搬手段を制御する制御手段を有しており、
    上記制御手段は、下記(a)から(e)の制御
    (a)原液投入可能位置に濾材容器を配置するように、濾材容器配置手段を制御する
    (b)一定量の原液を取得するように、原液取得手段を制御する
    (c)原液投入可能位置に配置された濾材容器に、原液取得手段が取得した原液を投入するように、原液投入手段を制御する
    (d)原液投入手段による原液の投入が完了後、原液投入可能位置にある濾材容器を取り外すように、濾材容器取り外し手段を制御する
    (e)濾材容器取り外し手段により取り外された濾材容器を、濾材容器保存手段に運搬するように、濾材容器運搬手段を制御する
    を行うことを特徴とする、請求項3に記載の試料濾別装置。
  5. 上記濾材容器運搬手段は、
    濾材容器をその上面で保持しうると共に、上面の角度を変えることによって上面から濾材容器を滑り落とすことが可能なスライダーと、
    該スライダーから滑り落ちた濾材容器を濾材容器保存手段に誘導するための誘導管とを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の試料濾別装置。
  6. 上記濾材容器保存手段は、冷凍庫であり、
    上記冷凍庫には、濾材容器が置かれたときに開く開閉式の蓋が設けられていることを特徴とする請求項5記載の試料濾別装置。
  7. 複数の濾材容器を保持する濾材容器保持手段をさらに備え、
    上記濾材容器配置手段および濾材容器取り外し手段は、設定された時間間隔で繰り返し、濾材容器の配置および取外しを行うようになっており、
    上記原液取得手段および原液投入手段は、設定された時間間隔で繰り返し、原液の取得および投入を行うようになっていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の試料濾別装置。
  8. 上記濾材容器は、濾材の着脱が可能に構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の試料濾別装置。
  9. 上記原液として、培養している生物を含んでいる液状物を濾過することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の試料濾別装置。
  10. 培養している生物を、濾滓として濾別することを特徴とする請求項9に記載の試料濾別装置。
  11. 上記濾材容器は、−100℃において5(W・m−1・K−1)以上の熱伝導率を有する素材で構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の試料濾別装置。
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