JP2004328899A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電流センサの小型化を図ることができるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一つのステータコイル6を含む巻線回路、ここではステータコイル18を並列に接続することにより一相を構成するモータ1と、巻線回路の少なくとも一つに備えられた電流センサ20、電流センサ20の検出値から、相電流値を演算する第1演算手段31と、を備える。各相に供給する相電流値を一つの電流センサで検出する場合に比べて、一つの電流センサ20により各相に一部の電流値を検出するので、一つあたりの電流センサ20のサイズが小型となる。
【選択図】 図2
【解決手段】少なくとも一つのステータコイル6を含む巻線回路、ここではステータコイル18を並列に接続することにより一相を構成するモータ1と、巻線回路の少なくとも一つに備えられた電流センサ20、電流センサ20の検出値から、相電流値を演算する第1演算手段31と、を備える。各相に供給する相電流値を一つの電流センサで検出する場合に比べて、一つの電流センサ20により各相に一部の電流値を検出するので、一つあたりの電流センサ20のサイズが小型となる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、モータ制御装置に関する。特に、モータに供給する相電流値を検出する電流検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のモータにおいて、複数のコイルが並列接続されてモータの巻線を構成するものが知られている。例えば、2つのコイル回路が並列に接続されたモータにおいては、電流センサによりモータ巻線に流れる電流値を検出し、検出したモータ電流値をフィードバックすることにより、モータに印加する電圧を決定している(例えば、特許文献1、参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−25592号公報
【0004】
【発明が解決しようとしている問題点】
しかしながら、上記従来技術においては、電流センサを小型化、低コスト化する内容には触れられていない。一般に、大電流を検出するための電流センサは大型のものが多く、モータ制御装置を大型化してしまうという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、電流検出手段の小型化を図ることができるモータ制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、少なくとも一つ以上の巻線回路が並列に接続されることにより一相が構成されるモータと、各相の前記巻線回路の少なくとも一つに備えられた電流検出手段と、前記電流検出手段の検出値から相電流値を演算する第1演算手段と、を備える。
【0007】
【作用及び効果】
各相の前記巻線回路の少なくとも一つに備えられた電流検出手段と、電流検出手段の検出値から相電流値を演算する第1演算手段と、を備える。これにより、電流検出手段により検出する電流値を、一相に供給する相電流値より小さくすることができるので、一相に供給する相電流値を検出する際に用いる電流検出手段よりも小型の電流検出手段を用いることができる。これにより、モータ制御装置を小型化することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態に用いるモータ1およびインバータ2の概略構成を図1に示す。ここでは、モータ1とインバータ2が一体化したユニットについて説明する。図1には、モータ1とインバータ2、差動減速機3とを一体化したものを示している。
【0009】
モータ1の一端にインバータ2を、他端に差動減速機3を備える。ここでは、モータ1の一端である右ブラケット10に隣接して保護カバー12に収容されたインバータ2を構成する。インバータ2にはコネクタ13を備え、図示しないコントローラからの制御信号(例えばPWM)に応じて、電源23(図2参照)から供給される直流電流をn相、ここでは3相の交流電流に変換している。変換した交流電流を、右ブラケット10を貫通する絶縁型貫通端子11を介してモータ1に供給する。また、左ブラケット9に隣接してギアハウジング14に収容される差動減速機3を備える。
【0010】
モータ1を、円筒形状のモータハウジング8内に、ステータ4、ロータ5を収容して構成する。モータハウジング8の軸方向端部には、左ブラケット9と右ブラケット10を配置する。モータハウジング8の内壁には、ステータ4を固定する。ステータ4には、図示しないティースに集中巻により構成したステータコイル6を備える。ステータコイル6には、絶縁型貫通端子11を介して交流電流が供給される。
【0011】
ステータ4のさらに内周側に、回転空隙を介してロータ5を配置する。ロータ5には周方向に均等に図示しない永久磁石を備える。また、ロータ5の中心には回転軸16を備える。回転軸16は、モータ2を軸方向に貫通する中心軸15に回転空隙を介して隣接する。また、回転軸16は、ベアリング7を介して左ブラケット9、右ブラケット10に支持される。ロータ5は、ステータ4の内部で、ステータ4から与えられる回転磁束に対して永久磁石に反力を発生させ、回転軸16を中心に回転するように構成される。前述したように、右ブラケット10には、絶縁型貫通端子11を貫通させ、この絶縁型貫通端子11を介して、ステータコイル6とインバータ2とを接続する。
【0012】
次に、モータ1とインバータ2とを接続する電気回路の概略構成を図2を用いて説明する。
【0013】
モータ1を、360/n度づつ位相のずれたn相の交流電流によって駆動させる。ここでは、120度づつ位相のずれた3相の交流電流(U相電流、V相電流、W相電流)によって駆動させる。ここでは各相の交流電流が流れるステータコイル6が2つ並列接続されてモータのコイル回路が形成される。本実施形態では、モータ1のコイル回路は二つのY型結線21a、21bにより構成される。これらは、絶縁型貫通端子11を介してインバータ2に接続する。なお、ここでは、ステータコイルを2並列接続するとによりコイル回路を形成したが、三つ以上を並列に接続してもよい。
【0014】
一方、インバータ2を、二つのスイッチ素子を直列に接続した回路を三つ並列に接続することにより構成する。並列に構成された回路それぞれに絶縁型貫通端子11を介してモータ1から伸びる各相の端子を接続し、スイッチ素子のON/OFFを切り換えることにより、各相の交流電流を生成する。ここでは、電源23から直流母線30を介して供給される直流電流を3相の交流電流に変換する。
【0015】
さらに、モータ1とインバータ2の間に電流検出手段を備える。電流検出手段として、ステータコイルの少なくとも一つに電流センサ20を備える。ここでは、ステータコイル18に電流センサ20を備える。つまり、電流センサ20は、各相全体に供給する相電流値を検出するのではなく、2つのステータコイル18それぞれに供給する電流値を検出する。ここでは、各相のコイル回路を、二つのステータコイル18を並列に接続することにより構成しているので、各相に対して二つの電流センサ20を備える。
【0016】
具体的には、Y型結線21aのU相のステータコイル18に供給する電流値を検出する電流センサ20ua、V相のステータコイル18に供給する電流値を検出する電流センサ20va、W相のステータコイル18に供給する電流値を検出する電流センサ20waを備える。また、Y型結線21bのU相のステータコイル18に供給する電流値を検出する電流センサ20ub、V相のステータコイル18に供給する電流値を検出する電流センサ20vb、W相のステータコイル18に供給する電流値を検出する電流センサ20wbを備える。つまり。モータ1に対して合計6つの電流センサ20を備える。
【0017】
次に、モータ1に供給している相電流値を演算する第1演算手段31について説明する。なお、第1の演算手段31は、インバータ2に相電力値の信号を出力する図示しないコントローラの一部としてもよいし、インバータ2内部に収容した演算手段としてもよい。
【0018】
電流センサ20ua、20ubの検出値iua、iubを加算することにより、U相電流値iuを算出する。また、電流センサ20va、20vbの検出値iva、ivbを加算することによりV相電流値ivを算出する。さらに、電流センサ20wa、20wbの検出値iwa、iwbを加算することによりW相電流値iwを算出する。
【0019】
図示しないコントローラにおいて、検出した相電流値iu、iv、iwをフィードバック制御することにより、モータ1に印加すべき電圧を決定する。
【0020】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0021】
少なくとも一つのステータコイル6を含む巻線回路、ここではステータコイル18を並列に接続することにより一相を構成するモータ1と、ステータコイル18の少なくとも一つに備えられた電流センサ20と、電流センサ20の検出値から、相電流値を演算する第1演算手段31と、を備える。ここで、電流センサ20は、一般的に大電流検出用のものは大型となる。よって、各相に供給する相電流値を検出する場合に比べて、電流センサ20は、並列に接続されることにより一相を構成するステータコイル18の電流値を検出するので、一つあたりのサイズが小型となる。例えば、モータ1とインバータ2を一体化したユニットの場合に、電流センサ20のレイアウトの自由度が高まり、モータ制御装置の小型化を図ることができる。
【0022】
なお、ここでは巻線回路をステータコイル18としたがこの限りではない。例えば、ステータコイル18を複数個並列に接続した回路を、一つの巻線回路としてもよい。また、並列に接続されたステータコイル6は、異なるティースに巻装してもよいし、同一のティースに巻装して複数のステータコイル6から一つのコイルを形成してもよい。
【0023】
次に、第2の実施形態について説明する。モータ1、インバータ2、差動減速機3を一体化したユニットの概略構成を第1の実施形態と同様とする。電気回路の概略構成を図3に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0024】
一相に対して、一つの比較的精度の高い電流センサ20hと、その他の比較的精度の低い電流センサ20lを備える。ここでは、(相数―1)個の相に、それぞれ一つの比較的精度の高い電流センサ20hと、その他の比較的精度の低い電流センサ20lを備える。また、比較的精度の低い電流センサ20lを、一つの相に対して(一つの相の直列回路数―1)個備える。つまり、一つの相において、1つのステータコイル18には比較的精度の高い電流センサ20hを、その他のステータコイル18には比較的精度の低い電流センサ20lを備える。
【0025】
具体的には、電流センサ20ua、20vaに比較的精度の高い電流センサ20hを用い、電流センサ20ub、20vbに比較的精度の低い電流センサ20lを用いる。つまり、比較的精度の高い電流センサ20hをY型結線21aのU相、V相に配置し、比較的精度の低い電流センサ20lをY型結線21bのU相、V相に配置する。なお、比較的精度の低い電流センサ20lは、比較的精度の高い電流センサ20hに比べて、小型であり且つ安価なものを用いる。
【0026】
次に、モータ1に供給している相電流値を演算する第1演算手段31について説明する。
【0027】
各電流センサ20ua、20ub、20va、20vbの検出値を第1演算手段31に入力する。電流センサ20uaで検出した電流値iua、電流センサ20ubで検出した電流値iubを比較して、U相電流系フェール判定を行う。比較的精度の低い電流センサ20l(20ub)の検出値iubを用いて、比較的精度の高い電流センサ20h(20ua)で検出した電流値iuaが適当であるか否かを判断する。電流値iua、iubの差が予め設定した所定値よりも大きい場合には、U相に備えた電流センサ20ua、20ubまたはU相回路のいずれかに異常が発生していると判断する。同様に、V相に関して電流値iva、ivbを検出しV相電流系フェール判定を行う。
【0028】
なお、第1演算手段31が「各相電流値を検出する」という目的の他に、「各相のステータコイル6の異常を検知する」目的を備えている場合には、W相に比較的精度の低い電流センサ20wa、20wbを備えて、W相電流系フェール判定を行っても良い。
【0029】
フェール判定により異常が検知された場合には、異常に対処する制御に移行する、またはモータ1を停止する。一方、フェール判定により異常が検知されなかった場合には、電流センサ20および電流センサ20を設置した相、ここではU相、V相は正常であるとして、相電流値iu、ivを演算する。ここでは、比較的精度の高い電流センサ20ua、20vaを用いて相電流値iu、ivを演算する。電流センサ20ua、20vaは一つのステータコイル18を流れる電流値を検出しており、かつ、一つの相においてステータコイル18を二つずつ備えているので、U相電流値iuは検出値iua×ステータコイル数2、V相電流値ivは検出値iva×ステータコイル数2となる。
【0030】
このように相電流値iu、ivを演算したら、図示しないコントローラにおいて、検出した各相電流値iu、ivをフィードバックすることにより、モータ1に印加すべき電圧値が決定する。ここで、モータ1が正常である場合には、iu+iv+iwが0またはその近傍となる。図示しない過電流保護回路等により異常が検知されない場合にはモータ1が正常であると判断して、コントローラ8においてU相、V相、W相に印加すべき電圧値を設定する。
【0031】
なお、ここでは各相に2並列ステータコイル18を備えた場合について説明しているが、この限りではない。例えば、n個のステータコイル18を並列に接続して一相のコイル回路を形成した場合には、一つのステータコイル18に精度の高い電流センサ20hを備え、その他の(n−1)個のステータコイル18にはそれぞれ比較的精度の低い電流センサ20lを備える。比較的精度の高い電流センサ20hで検出した電流値と、その他の電流センサ20lで検出した電流値とを比較することにより、電流センサ20および電流センサ20を設置した相の異常を判断する。異常がないと判断されたら、電流センサ20hで検出した電流値をn倍して相電流値を求める。
【0032】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0033】
一つの相、ここではU相、V相それぞれに対して、電流センサ20として、一つの比較的精度の高い電流センサ20h(20ua、20va)と、比較的精度の低い少なくとも一つ以上の電流センサ20l(20ub、20vb)と、を備える。このように、比較的精度の高い電流センサ20hを一つの相に対して一つだけ設置するので、レイアウトの自由度を確保した上で、コストを低減することができる。
【0034】
また、比較的精度の高い電流センサ20ua、20vaの信号iua、ivaから、相電流iu、ivを演算し、比較的精度の低い電流センサ20ub、20vbの信号iub、ivbから、比較的精度の高い電流センサ20ua、20ubの異常の有無を判断する。これにより、正確に相電流値iu、ivを検出することができる。
【0035】
さらに、一つの相において、比較的精度の高い電流センサ20hを設置したステータコイル18(巻線回路)以外の全てのステータコイル18に比較的精度の低い電流センサ20lを備える。比較的精度の高い電流センサ20hの検出値と比較的精度の低い電流センサ20lの検出値とを比較することにより、各電流センサ20の異常の有無と、その相を構成するコイル回路の異常の有無と、を判定する。これにより、その相におけるステータコイル18間の電流アンバランスや断線を検知することができ、より正確な相電流値を検出することができる。
【0036】
次に、第3の実施形態について説明する。モータ1、インバータ2、差動減速機3を一体化したユニットの概略構成を第1の実施形態と同様とする。電気回路の概略構成を図4に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0037】
電流センサ20を相数と同数、もしくは相数と前記巻線回路の数のうち大きい方と同数だけ備える。ここでは、相数が3、ステータコイル数が2であるので、電流センサ20を三つ備える。また、電流センサ20を、各相に対して少なくとも一つずつ備え、かつ、Y型結線21に少なくとも一つずつ備える。ここでは、Y型結線21aにU相の電流センサ20ua、V相の電流センサ20vaを、Y型結線21bにW相の電流センサ20wbを備える。
【0038】
次に、モータ1に供給している相電流値を演算する第1演算手段31について説明する。
【0039】
各電流センサ20で検出した電流値を第1演算手段31に入力する。電流センサ20ua、20va、20wbにより検出した電流値iua、iva、iwbを用いて、電流系フェール判定を行う。ここでは、iua+iva+iwbが0または0近傍であるか否かを判断する。ここで、全てのステータコイル6および電流センサ20が正常の場合のみにiua+iva+iwbが0または0近傍となる。iua+iva+iwbが0または0近傍の場合には、電流値iua、ivaそれぞれと、各相のステータコイル数と、の積を求めることで、U相、V相に流れる相電流値iu、ivを演算する。
【0040】
フェール判定によりモータ1が正常であると判断できるので、コントローラ8において、相電流値iu、ivからU相、V相、W相に印加すべき電圧値を設定する。 なお、ここでは各電流センサ20により検出した電流値iua、iva、iwbを用いてフェール判定を行った。これに対して、電流値iua、iva、iwbを相電流値iu、iv、iwに換算し、相電流の合計iu+iv+iwが0または0近傍であるか否かによりフェール判定を行ってもよい。
【0041】
次に、本実施形態の効果を説明する。以下、第1、2の実施形態とは異なる効果についてのみ説明する。
【0042】
モータ1は相の異なる巻線回線を中性部分で接続した回路網、ここではY型結線21を複数備え、電流センサ20を、相数と、Y型結線21の数のうち大きい方と同数だけ備える。また、電流センサ20を、各相に対して少なくとも一つずつ備え、かつ、Y型結線21に対して少なくとも一つずつ備える。これにより、設置する小型低コストの電流センサ20の数を少なく設定することができ、高い信頼性でかつ低コストで電流値検出を行うことができる。
【0043】
また、異なる相についてのステータコイル18の電流値、または、相電流値の和を求め、その値が0近傍の値でない場合には、電流センサ20またはモータ1に異常が発生したと判断する。これにより、小型低コストの電流センサ20を用いてY型結線21間の電流バラツキを監視することができる。よって、電流センサ20で検出した電流値を用いて求めた相電流値が適当か否かを、さらに正確に判断することができる。
【0044】
次に、第4の実施形態について説明する。モータ1、インバータ2、差動減速機3を一体化したユニットの概略構成を第1の実施形態と同様とする。電気回路の概略構成を図5に示す。以下、第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0045】
ここでは、ステータコイル6を3組備える。モータ1は3相交流電流により駆動する電動機であるので、各相に3つのステータコイル6を備える。つまり、一つの相に対して、ステータコイル18を三つ備え、これを並列に接続することにより、一相のコイル回路を形成する。言い換えれば、異なる相のステータコイル6を備えたステータコイル18を中性点で接続することにより形成した3つのY型結線21a、21b、21cを並列に接続することにより、モータ1のコイル回路を形成する。
【0046】
このような構成の電気回路に、相電流値を求めるための電流センサ20を備える。ここでは、第3の実施形態と同様に、電流センサ20を、相数と各相のステータコイル数のうち大きいほうと同数だけ備える。ここでは、相数が3、各相のステータコイル数が3であるので、電流センサ20を3つ備える。また、電流センサ20を、各相に対して少なくとも一つずつ備え、かつ、Y型結線21に少なくとも一つずつ備える。ここでは、Y型結線21aにU相の電流センサ20ua、Y型結線21bにV相の電流センサ20vbを、Y型結線21cにW相の電流センサ20wcを備える。
【0047】
次に、モータ1に供給している相電流値を演算する第1演算手段31について説明する。
【0048】
各電流センサ20で検出した電流値を第1演算手段31に入力する。電流センサ20ua、20vb、20wcにより検出した電流値iua、ivb、iwcを用いて、電流系フェール判定を行う。ここでは、電流値iua、ivb、iwcから相電流値iu、iv、iwを演算する。一つの相を三つのステータコイル18を並列に接続することにより構成するので、iu=3×iua、iv=3×ivb、iw=3×iwcとなる。この相電流値iu、iv、iwの合計(=iu+iv+iw)が0または0近傍であるか否かを判断する。ここで、全てのステータコイル6および電流センサ20が正常の場合のみにiu+iv+iwが0または0近傍となる。iu+iv+iwが0または0近傍の場合には、相電流値iu、ivとからU相、V相に供給する電流値の指示信号を設定し、さらにこの指示信号からW相に供給する電流値の指示信号を設定する。
【0049】
以上のように、巻線回路(ステータコイル18)を三組備えたモータ1の場合においても、電流センサ20を小型で低コストとした上で、ステータコイル6および電流センサ20の異常を検出することができる。
【0050】
なお、第3の実施形態と同様に、電流センサ20により検出した電流値iua、ivb、iwcの和が0または0の近傍であるか否かにより、全てのステータコイル6および電流センサ20が正常であるか否かを判断してもよい。
【0051】
次に、第5の実施形態について説明する。モータ1、インバータ2、差動減速機3を一体化したユニットの概略構成を第4の実施形態と同様とする。電気回路の概略構成を図6に示す。以下、第4の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0052】
ここでは、各相に3つのステータコイル6を備えたモータ1について説明する。第4の実施形態と同様に、コイル回路をY型結線21a、21b、21cを並列に接続することにより構成する。
【0053】
さらに、(相数―1)個の電流センサ20を備える。ここでは、電流センサ20ua、20vaを備える。つまり、Y型結線21aのU相直流回路とV相直流回路に電流センサ20を備える。また、インバータ2の直流母線30に電流センサ25を備える。電流センサ25により、電源23から供給される直流電流値を検出する。
【0054】
次に、モータ1に供給している相電流値を演算する第1演算手段31および第2演算手段32について説明する。なお、第2演算手段32は、図示しないコントローラに備えてもよいし、インバータ2内に備えても良い。
【0055】
第2演算手段32において、直流母線30に設置した電流センサ25の検出値からモータ1の相電流計算値Iu、Ivを演算する。この方法は、例えば特開2002−84760号公報に開示された方法等がある。相電流計算値Iu、Ivを、第1演算手段に入力し、電流センサ20ua、20vaで検出された電流値から求めた相電流値iu、ivとを比較する。なお、ここではステータコイル18を三つ備えているので、iu=iua×3、iv=iva×3である。U相電流系フェール判定においては、相電流値Iu、iuを比較し、その差が所定範囲内であれば、U相回路および電流センサ20に異常はないと判断する。同様に、V相電流系フェール判定において、相電流値Iv、ivを比較してその差が所定範囲内であればV相回路および電流センサ20vに異常はないと判断する。つまり、第1演算手段31において電流センサ20の検出値を用いて算出した相電流値iu、ivが適切であるか否かを、第2演算手段32で演算した相電流値Iu、Ivを用いて判定する。
【0056】
電流センサ20および、U相回路、V相回路に異常がないと判断された場合に、図示しないコントローラにおいて、電流値iu、ivを用いて、U相、V相およびW相の電流値の指示信号を演算する。
【0057】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1〜4の実施形態とは異なる効果についてのみ説明する。
【0058】
直流電流値、ここでは直流母線30を流れる直流電流値を検出する電流センサ25と、電流センサ25の検出値から相電流値を演算する第2演算手段32と、を備える。第1演算手段31の異常の有無を、第2演算手段32を参照して判断する。これにより、(相数―1)個の電流センサ20を用いて、相電流値を検出することができる。このように、設定する電流センサ20の数を少なくすることができるので、小型化できるとともに低コスト化することができる。
【0059】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で、様々な変更が為し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に用いるモータおよびインバータの概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に用いるモータおよびモータ制御回路の概略構成図である。
【図3】第2の実施形態に用いるモータおよびモータ制御回路の概略構成図である。
【図4】第3の実施形態に用いるモータおよびモータ制御回路の概略構成図である。
【図5】第4の実施形態に用いるモータおよびモータ制御回路の概略構成図である。
【図6】第5の実施形態に用いるモータおよびモータ制御回路の概略構成図である。
【符号の説明】
1 モータ
2 インバータ
6 ステータコイル(巻線)
18 ステータコイル(巻線回路)
20 電流センサ(電流検出手段)
20h 電流センサ(比較的精度の高い電流検出手段)
20l 電流センサ(比較的精度の低い電流検出手段)
21 Y型結線(回路網)
25 電流センサ(DC電流検出手段)
31 第1演算手段
32 第2演算手段
【産業上の利用分野】
本発明は、モータ制御装置に関する。特に、モータに供給する相電流値を検出する電流検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のモータにおいて、複数のコイルが並列接続されてモータの巻線を構成するものが知られている。例えば、2つのコイル回路が並列に接続されたモータにおいては、電流センサによりモータ巻線に流れる電流値を検出し、検出したモータ電流値をフィードバックすることにより、モータに印加する電圧を決定している(例えば、特許文献1、参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−25592号公報
【0004】
【発明が解決しようとしている問題点】
しかしながら、上記従来技術においては、電流センサを小型化、低コスト化する内容には触れられていない。一般に、大電流を検出するための電流センサは大型のものが多く、モータ制御装置を大型化してしまうという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、電流検出手段の小型化を図ることができるモータ制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、少なくとも一つ以上の巻線回路が並列に接続されることにより一相が構成されるモータと、各相の前記巻線回路の少なくとも一つに備えられた電流検出手段と、前記電流検出手段の検出値から相電流値を演算する第1演算手段と、を備える。
【0007】
【作用及び効果】
各相の前記巻線回路の少なくとも一つに備えられた電流検出手段と、電流検出手段の検出値から相電流値を演算する第1演算手段と、を備える。これにより、電流検出手段により検出する電流値を、一相に供給する相電流値より小さくすることができるので、一相に供給する相電流値を検出する際に用いる電流検出手段よりも小型の電流検出手段を用いることができる。これにより、モータ制御装置を小型化することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態に用いるモータ1およびインバータ2の概略構成を図1に示す。ここでは、モータ1とインバータ2が一体化したユニットについて説明する。図1には、モータ1とインバータ2、差動減速機3とを一体化したものを示している。
【0009】
モータ1の一端にインバータ2を、他端に差動減速機3を備える。ここでは、モータ1の一端である右ブラケット10に隣接して保護カバー12に収容されたインバータ2を構成する。インバータ2にはコネクタ13を備え、図示しないコントローラからの制御信号(例えばPWM)に応じて、電源23(図2参照)から供給される直流電流をn相、ここでは3相の交流電流に変換している。変換した交流電流を、右ブラケット10を貫通する絶縁型貫通端子11を介してモータ1に供給する。また、左ブラケット9に隣接してギアハウジング14に収容される差動減速機3を備える。
【0010】
モータ1を、円筒形状のモータハウジング8内に、ステータ4、ロータ5を収容して構成する。モータハウジング8の軸方向端部には、左ブラケット9と右ブラケット10を配置する。モータハウジング8の内壁には、ステータ4を固定する。ステータ4には、図示しないティースに集中巻により構成したステータコイル6を備える。ステータコイル6には、絶縁型貫通端子11を介して交流電流が供給される。
【0011】
ステータ4のさらに内周側に、回転空隙を介してロータ5を配置する。ロータ5には周方向に均等に図示しない永久磁石を備える。また、ロータ5の中心には回転軸16を備える。回転軸16は、モータ2を軸方向に貫通する中心軸15に回転空隙を介して隣接する。また、回転軸16は、ベアリング7を介して左ブラケット9、右ブラケット10に支持される。ロータ5は、ステータ4の内部で、ステータ4から与えられる回転磁束に対して永久磁石に反力を発生させ、回転軸16を中心に回転するように構成される。前述したように、右ブラケット10には、絶縁型貫通端子11を貫通させ、この絶縁型貫通端子11を介して、ステータコイル6とインバータ2とを接続する。
【0012】
次に、モータ1とインバータ2とを接続する電気回路の概略構成を図2を用いて説明する。
【0013】
モータ1を、360/n度づつ位相のずれたn相の交流電流によって駆動させる。ここでは、120度づつ位相のずれた3相の交流電流(U相電流、V相電流、W相電流)によって駆動させる。ここでは各相の交流電流が流れるステータコイル6が2つ並列接続されてモータのコイル回路が形成される。本実施形態では、モータ1のコイル回路は二つのY型結線21a、21bにより構成される。これらは、絶縁型貫通端子11を介してインバータ2に接続する。なお、ここでは、ステータコイルを2並列接続するとによりコイル回路を形成したが、三つ以上を並列に接続してもよい。
【0014】
一方、インバータ2を、二つのスイッチ素子を直列に接続した回路を三つ並列に接続することにより構成する。並列に構成された回路それぞれに絶縁型貫通端子11を介してモータ1から伸びる各相の端子を接続し、スイッチ素子のON/OFFを切り換えることにより、各相の交流電流を生成する。ここでは、電源23から直流母線30を介して供給される直流電流を3相の交流電流に変換する。
【0015】
さらに、モータ1とインバータ2の間に電流検出手段を備える。電流検出手段として、ステータコイルの少なくとも一つに電流センサ20を備える。ここでは、ステータコイル18に電流センサ20を備える。つまり、電流センサ20は、各相全体に供給する相電流値を検出するのではなく、2つのステータコイル18それぞれに供給する電流値を検出する。ここでは、各相のコイル回路を、二つのステータコイル18を並列に接続することにより構成しているので、各相に対して二つの電流センサ20を備える。
【0016】
具体的には、Y型結線21aのU相のステータコイル18に供給する電流値を検出する電流センサ20ua、V相のステータコイル18に供給する電流値を検出する電流センサ20va、W相のステータコイル18に供給する電流値を検出する電流センサ20waを備える。また、Y型結線21bのU相のステータコイル18に供給する電流値を検出する電流センサ20ub、V相のステータコイル18に供給する電流値を検出する電流センサ20vb、W相のステータコイル18に供給する電流値を検出する電流センサ20wbを備える。つまり。モータ1に対して合計6つの電流センサ20を備える。
【0017】
次に、モータ1に供給している相電流値を演算する第1演算手段31について説明する。なお、第1の演算手段31は、インバータ2に相電力値の信号を出力する図示しないコントローラの一部としてもよいし、インバータ2内部に収容した演算手段としてもよい。
【0018】
電流センサ20ua、20ubの検出値iua、iubを加算することにより、U相電流値iuを算出する。また、電流センサ20va、20vbの検出値iva、ivbを加算することによりV相電流値ivを算出する。さらに、電流センサ20wa、20wbの検出値iwa、iwbを加算することによりW相電流値iwを算出する。
【0019】
図示しないコントローラにおいて、検出した相電流値iu、iv、iwをフィードバック制御することにより、モータ1に印加すべき電圧を決定する。
【0020】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0021】
少なくとも一つのステータコイル6を含む巻線回路、ここではステータコイル18を並列に接続することにより一相を構成するモータ1と、ステータコイル18の少なくとも一つに備えられた電流センサ20と、電流センサ20の検出値から、相電流値を演算する第1演算手段31と、を備える。ここで、電流センサ20は、一般的に大電流検出用のものは大型となる。よって、各相に供給する相電流値を検出する場合に比べて、電流センサ20は、並列に接続されることにより一相を構成するステータコイル18の電流値を検出するので、一つあたりのサイズが小型となる。例えば、モータ1とインバータ2を一体化したユニットの場合に、電流センサ20のレイアウトの自由度が高まり、モータ制御装置の小型化を図ることができる。
【0022】
なお、ここでは巻線回路をステータコイル18としたがこの限りではない。例えば、ステータコイル18を複数個並列に接続した回路を、一つの巻線回路としてもよい。また、並列に接続されたステータコイル6は、異なるティースに巻装してもよいし、同一のティースに巻装して複数のステータコイル6から一つのコイルを形成してもよい。
【0023】
次に、第2の実施形態について説明する。モータ1、インバータ2、差動減速機3を一体化したユニットの概略構成を第1の実施形態と同様とする。電気回路の概略構成を図3に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0024】
一相に対して、一つの比較的精度の高い電流センサ20hと、その他の比較的精度の低い電流センサ20lを備える。ここでは、(相数―1)個の相に、それぞれ一つの比較的精度の高い電流センサ20hと、その他の比較的精度の低い電流センサ20lを備える。また、比較的精度の低い電流センサ20lを、一つの相に対して(一つの相の直列回路数―1)個備える。つまり、一つの相において、1つのステータコイル18には比較的精度の高い電流センサ20hを、その他のステータコイル18には比較的精度の低い電流センサ20lを備える。
【0025】
具体的には、電流センサ20ua、20vaに比較的精度の高い電流センサ20hを用い、電流センサ20ub、20vbに比較的精度の低い電流センサ20lを用いる。つまり、比較的精度の高い電流センサ20hをY型結線21aのU相、V相に配置し、比較的精度の低い電流センサ20lをY型結線21bのU相、V相に配置する。なお、比較的精度の低い電流センサ20lは、比較的精度の高い電流センサ20hに比べて、小型であり且つ安価なものを用いる。
【0026】
次に、モータ1に供給している相電流値を演算する第1演算手段31について説明する。
【0027】
各電流センサ20ua、20ub、20va、20vbの検出値を第1演算手段31に入力する。電流センサ20uaで検出した電流値iua、電流センサ20ubで検出した電流値iubを比較して、U相電流系フェール判定を行う。比較的精度の低い電流センサ20l(20ub)の検出値iubを用いて、比較的精度の高い電流センサ20h(20ua)で検出した電流値iuaが適当であるか否かを判断する。電流値iua、iubの差が予め設定した所定値よりも大きい場合には、U相に備えた電流センサ20ua、20ubまたはU相回路のいずれかに異常が発生していると判断する。同様に、V相に関して電流値iva、ivbを検出しV相電流系フェール判定を行う。
【0028】
なお、第1演算手段31が「各相電流値を検出する」という目的の他に、「各相のステータコイル6の異常を検知する」目的を備えている場合には、W相に比較的精度の低い電流センサ20wa、20wbを備えて、W相電流系フェール判定を行っても良い。
【0029】
フェール判定により異常が検知された場合には、異常に対処する制御に移行する、またはモータ1を停止する。一方、フェール判定により異常が検知されなかった場合には、電流センサ20および電流センサ20を設置した相、ここではU相、V相は正常であるとして、相電流値iu、ivを演算する。ここでは、比較的精度の高い電流センサ20ua、20vaを用いて相電流値iu、ivを演算する。電流センサ20ua、20vaは一つのステータコイル18を流れる電流値を検出しており、かつ、一つの相においてステータコイル18を二つずつ備えているので、U相電流値iuは検出値iua×ステータコイル数2、V相電流値ivは検出値iva×ステータコイル数2となる。
【0030】
このように相電流値iu、ivを演算したら、図示しないコントローラにおいて、検出した各相電流値iu、ivをフィードバックすることにより、モータ1に印加すべき電圧値が決定する。ここで、モータ1が正常である場合には、iu+iv+iwが0またはその近傍となる。図示しない過電流保護回路等により異常が検知されない場合にはモータ1が正常であると判断して、コントローラ8においてU相、V相、W相に印加すべき電圧値を設定する。
【0031】
なお、ここでは各相に2並列ステータコイル18を備えた場合について説明しているが、この限りではない。例えば、n個のステータコイル18を並列に接続して一相のコイル回路を形成した場合には、一つのステータコイル18に精度の高い電流センサ20hを備え、その他の(n−1)個のステータコイル18にはそれぞれ比較的精度の低い電流センサ20lを備える。比較的精度の高い電流センサ20hで検出した電流値と、その他の電流センサ20lで検出した電流値とを比較することにより、電流センサ20および電流センサ20を設置した相の異常を判断する。異常がないと判断されたら、電流センサ20hで検出した電流値をn倍して相電流値を求める。
【0032】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0033】
一つの相、ここではU相、V相それぞれに対して、電流センサ20として、一つの比較的精度の高い電流センサ20h(20ua、20va)と、比較的精度の低い少なくとも一つ以上の電流センサ20l(20ub、20vb)と、を備える。このように、比較的精度の高い電流センサ20hを一つの相に対して一つだけ設置するので、レイアウトの自由度を確保した上で、コストを低減することができる。
【0034】
また、比較的精度の高い電流センサ20ua、20vaの信号iua、ivaから、相電流iu、ivを演算し、比較的精度の低い電流センサ20ub、20vbの信号iub、ivbから、比較的精度の高い電流センサ20ua、20ubの異常の有無を判断する。これにより、正確に相電流値iu、ivを検出することができる。
【0035】
さらに、一つの相において、比較的精度の高い電流センサ20hを設置したステータコイル18(巻線回路)以外の全てのステータコイル18に比較的精度の低い電流センサ20lを備える。比較的精度の高い電流センサ20hの検出値と比較的精度の低い電流センサ20lの検出値とを比較することにより、各電流センサ20の異常の有無と、その相を構成するコイル回路の異常の有無と、を判定する。これにより、その相におけるステータコイル18間の電流アンバランスや断線を検知することができ、より正確な相電流値を検出することができる。
【0036】
次に、第3の実施形態について説明する。モータ1、インバータ2、差動減速機3を一体化したユニットの概略構成を第1の実施形態と同様とする。電気回路の概略構成を図4に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0037】
電流センサ20を相数と同数、もしくは相数と前記巻線回路の数のうち大きい方と同数だけ備える。ここでは、相数が3、ステータコイル数が2であるので、電流センサ20を三つ備える。また、電流センサ20を、各相に対して少なくとも一つずつ備え、かつ、Y型結線21に少なくとも一つずつ備える。ここでは、Y型結線21aにU相の電流センサ20ua、V相の電流センサ20vaを、Y型結線21bにW相の電流センサ20wbを備える。
【0038】
次に、モータ1に供給している相電流値を演算する第1演算手段31について説明する。
【0039】
各電流センサ20で検出した電流値を第1演算手段31に入力する。電流センサ20ua、20va、20wbにより検出した電流値iua、iva、iwbを用いて、電流系フェール判定を行う。ここでは、iua+iva+iwbが0または0近傍であるか否かを判断する。ここで、全てのステータコイル6および電流センサ20が正常の場合のみにiua+iva+iwbが0または0近傍となる。iua+iva+iwbが0または0近傍の場合には、電流値iua、ivaそれぞれと、各相のステータコイル数と、の積を求めることで、U相、V相に流れる相電流値iu、ivを演算する。
【0040】
フェール判定によりモータ1が正常であると判断できるので、コントローラ8において、相電流値iu、ivからU相、V相、W相に印加すべき電圧値を設定する。 なお、ここでは各電流センサ20により検出した電流値iua、iva、iwbを用いてフェール判定を行った。これに対して、電流値iua、iva、iwbを相電流値iu、iv、iwに換算し、相電流の合計iu+iv+iwが0または0近傍であるか否かによりフェール判定を行ってもよい。
【0041】
次に、本実施形態の効果を説明する。以下、第1、2の実施形態とは異なる効果についてのみ説明する。
【0042】
モータ1は相の異なる巻線回線を中性部分で接続した回路網、ここではY型結線21を複数備え、電流センサ20を、相数と、Y型結線21の数のうち大きい方と同数だけ備える。また、電流センサ20を、各相に対して少なくとも一つずつ備え、かつ、Y型結線21に対して少なくとも一つずつ備える。これにより、設置する小型低コストの電流センサ20の数を少なく設定することができ、高い信頼性でかつ低コストで電流値検出を行うことができる。
【0043】
また、異なる相についてのステータコイル18の電流値、または、相電流値の和を求め、その値が0近傍の値でない場合には、電流センサ20またはモータ1に異常が発生したと判断する。これにより、小型低コストの電流センサ20を用いてY型結線21間の電流バラツキを監視することができる。よって、電流センサ20で検出した電流値を用いて求めた相電流値が適当か否かを、さらに正確に判断することができる。
【0044】
次に、第4の実施形態について説明する。モータ1、インバータ2、差動減速機3を一体化したユニットの概略構成を第1の実施形態と同様とする。電気回路の概略構成を図5に示す。以下、第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0045】
ここでは、ステータコイル6を3組備える。モータ1は3相交流電流により駆動する電動機であるので、各相に3つのステータコイル6を備える。つまり、一つの相に対して、ステータコイル18を三つ備え、これを並列に接続することにより、一相のコイル回路を形成する。言い換えれば、異なる相のステータコイル6を備えたステータコイル18を中性点で接続することにより形成した3つのY型結線21a、21b、21cを並列に接続することにより、モータ1のコイル回路を形成する。
【0046】
このような構成の電気回路に、相電流値を求めるための電流センサ20を備える。ここでは、第3の実施形態と同様に、電流センサ20を、相数と各相のステータコイル数のうち大きいほうと同数だけ備える。ここでは、相数が3、各相のステータコイル数が3であるので、電流センサ20を3つ備える。また、電流センサ20を、各相に対して少なくとも一つずつ備え、かつ、Y型結線21に少なくとも一つずつ備える。ここでは、Y型結線21aにU相の電流センサ20ua、Y型結線21bにV相の電流センサ20vbを、Y型結線21cにW相の電流センサ20wcを備える。
【0047】
次に、モータ1に供給している相電流値を演算する第1演算手段31について説明する。
【0048】
各電流センサ20で検出した電流値を第1演算手段31に入力する。電流センサ20ua、20vb、20wcにより検出した電流値iua、ivb、iwcを用いて、電流系フェール判定を行う。ここでは、電流値iua、ivb、iwcから相電流値iu、iv、iwを演算する。一つの相を三つのステータコイル18を並列に接続することにより構成するので、iu=3×iua、iv=3×ivb、iw=3×iwcとなる。この相電流値iu、iv、iwの合計(=iu+iv+iw)が0または0近傍であるか否かを判断する。ここで、全てのステータコイル6および電流センサ20が正常の場合のみにiu+iv+iwが0または0近傍となる。iu+iv+iwが0または0近傍の場合には、相電流値iu、ivとからU相、V相に供給する電流値の指示信号を設定し、さらにこの指示信号からW相に供給する電流値の指示信号を設定する。
【0049】
以上のように、巻線回路(ステータコイル18)を三組備えたモータ1の場合においても、電流センサ20を小型で低コストとした上で、ステータコイル6および電流センサ20の異常を検出することができる。
【0050】
なお、第3の実施形態と同様に、電流センサ20により検出した電流値iua、ivb、iwcの和が0または0の近傍であるか否かにより、全てのステータコイル6および電流センサ20が正常であるか否かを判断してもよい。
【0051】
次に、第5の実施形態について説明する。モータ1、インバータ2、差動減速機3を一体化したユニットの概略構成を第4の実施形態と同様とする。電気回路の概略構成を図6に示す。以下、第4の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0052】
ここでは、各相に3つのステータコイル6を備えたモータ1について説明する。第4の実施形態と同様に、コイル回路をY型結線21a、21b、21cを並列に接続することにより構成する。
【0053】
さらに、(相数―1)個の電流センサ20を備える。ここでは、電流センサ20ua、20vaを備える。つまり、Y型結線21aのU相直流回路とV相直流回路に電流センサ20を備える。また、インバータ2の直流母線30に電流センサ25を備える。電流センサ25により、電源23から供給される直流電流値を検出する。
【0054】
次に、モータ1に供給している相電流値を演算する第1演算手段31および第2演算手段32について説明する。なお、第2演算手段32は、図示しないコントローラに備えてもよいし、インバータ2内に備えても良い。
【0055】
第2演算手段32において、直流母線30に設置した電流センサ25の検出値からモータ1の相電流計算値Iu、Ivを演算する。この方法は、例えば特開2002−84760号公報に開示された方法等がある。相電流計算値Iu、Ivを、第1演算手段に入力し、電流センサ20ua、20vaで検出された電流値から求めた相電流値iu、ivとを比較する。なお、ここではステータコイル18を三つ備えているので、iu=iua×3、iv=iva×3である。U相電流系フェール判定においては、相電流値Iu、iuを比較し、その差が所定範囲内であれば、U相回路および電流センサ20に異常はないと判断する。同様に、V相電流系フェール判定において、相電流値Iv、ivを比較してその差が所定範囲内であればV相回路および電流センサ20vに異常はないと判断する。つまり、第1演算手段31において電流センサ20の検出値を用いて算出した相電流値iu、ivが適切であるか否かを、第2演算手段32で演算した相電流値Iu、Ivを用いて判定する。
【0056】
電流センサ20および、U相回路、V相回路に異常がないと判断された場合に、図示しないコントローラにおいて、電流値iu、ivを用いて、U相、V相およびW相の電流値の指示信号を演算する。
【0057】
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1〜4の実施形態とは異なる効果についてのみ説明する。
【0058】
直流電流値、ここでは直流母線30を流れる直流電流値を検出する電流センサ25と、電流センサ25の検出値から相電流値を演算する第2演算手段32と、を備える。第1演算手段31の異常の有無を、第2演算手段32を参照して判断する。これにより、(相数―1)個の電流センサ20を用いて、相電流値を検出することができる。このように、設定する電流センサ20の数を少なくすることができるので、小型化できるとともに低コスト化することができる。
【0059】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で、様々な変更が為し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に用いるモータおよびインバータの概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に用いるモータおよびモータ制御回路の概略構成図である。
【図3】第2の実施形態に用いるモータおよびモータ制御回路の概略構成図である。
【図4】第3の実施形態に用いるモータおよびモータ制御回路の概略構成図である。
【図5】第4の実施形態に用いるモータおよびモータ制御回路の概略構成図である。
【図6】第5の実施形態に用いるモータおよびモータ制御回路の概略構成図である。
【符号の説明】
1 モータ
2 インバータ
6 ステータコイル(巻線)
18 ステータコイル(巻線回路)
20 電流センサ(電流検出手段)
20h 電流センサ(比較的精度の高い電流検出手段)
20l 電流センサ(比較的精度の低い電流検出手段)
21 Y型結線(回路網)
25 電流センサ(DC電流検出手段)
31 第1演算手段
32 第2演算手段
Claims (6)
- 少なくとも一つ以上の巻線回路が並列に接続されることにより一相が構成されるモータと、
各相の前記巻線回路の少なくとも一つに備えられた電流検出手段と、
前記電流検出手段の検出値から相電流値を演算する第1演算手段と、を備えることを特徴とするモータ制御装置。 - 一つの相に対して、前記電流検出手段として、一つの比較的精度の高い電流検出手段と、比較的精度の低い少なくとも一つ以上の電流検出手段と、を備える請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記比較的精度の高い電流検出手段の検出値から前記相電流値を演算し、
前記比較的精度の低い電流検出手段の検出値から前記比較的精度の高い電流検出手段の異常の有無を判断する請求項2に記載のモータ制御装置。 - 前記電流検出手段が、相数と同数、もしくは相数と前記巻線回路の数のうち大きい方と同数だけ備えられ、
かつ、各相に対して少なくとも一つずつ備えられ、
かつ、少なくとも1相は他の相と異なる巻線回路に備えられるものである請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記第1演算手段で求めた相電流値の全相の和が0近傍の値でない場合には、前記電流検出手段または前記モータに異常が発生したと判断する請求項4に記載のモータ制御装置。
- 直流電流を交流電流に変換するインバータと、
直流電流値を検出するDC電流検出手段と、
前記DC電流検出手段の検出値から相電流値を演算する第2演算手段と、を備え、
前記第1演算手段により求めた相電流値の異常の有無を、前記第2演算手段で求めた相電流値を参照して判断する請求項1に記載のモータ制御装置。
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