JP2004328313A - 増幅装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】特殊な回路を用いずに、より安価であり、かつ高効率な低歪増幅を実現する増幅装置を提供する。
【解決手段】第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子の歪特性の位相を第一の増幅素子の歪特性よりずらしたことを特徴とし、また、第二の増幅素子の歪特性の振幅と第一の増幅素子の歪特性の振幅は異なることを特徴とし、さらに第二の増幅素子のAM/PM特性は第一の増幅素子のAM/PM特性と逆特性とした増幅装置。
【選択図】図1
【解決手段】第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子の歪特性の位相を第一の増幅素子の歪特性よりずらしたことを特徴とし、また、第二の増幅素子の歪特性の振幅と第一の増幅素子の歪特性の振幅は異なることを特徴とし、さらに第二の増幅素子のAM/PM特性は第一の増幅素子のAM/PM特性と逆特性とした増幅装置。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯電話や移動体端末等の無線装置に係る基地局の増幅装置、中継装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
信号を増幅する装置は、主に2つの分類に分けられる。一つは歪補償部を有する装置であり、もう一つは歪補償部を有しない装置である。前者の歪補償を有する装置は、利点としては高効率であり、さらに低歪であることが挙げられる。これにより、より高性能な増幅装置となる。欠点は歪補償部を有するため、効果であるということが挙げられる。
【0003】
後者の歪補償の無い増幅装置は、利点としては歪補償部を有する増幅装置に比べて低価格であることであり、欠点は効率が悪いということである。特許文献1は歪補償部を有していない増幅装置の一例である。
【0004】
増幅したい信号、変調方式、用途で歪補償部の有無は使い分けられているが、近年は送信出力の増大、マルチキャリアの共通増幅化、高効率化が進み、ほとんどの増幅装置に於いて、歪補償部を有している。
【0005】
歪補償部を有する増幅装置には多数の方式があり、例えばフィードフォワード方式、プリディストーション方式が挙げられる。これらは今後の第2、第2.5、第3世代の増幅装置として活用、注目されている。
【0006】
特許文献2はフィードフォワード方式の増幅装置の一例である。入力信号を利用したアナログ負帰還方式で歪を補償しているため、歪補償量は安定している。
【0007】
特許文献3はプリディストーション方式の一例である。プリディストーション方式は、フィードフォワード方式と同様の歪補償方式のひとつである。ただし、フィードフォワード方式に比べて、高い歪補償量を望むことはできない。よって、フィードフォワード方式と同等の歪補償量を望むのであれば、歪特性の良い増幅素子が必要となる。
【0008】
しかしながら、プリディストーション方式はフィードフォワード方式に比べ、増幅素子の出力レベルが1dB程度低いことから、現状では歪のレベルは同等で効率も高く、低価格で実現可能である。しかし、今後更なる高効率化を求めていくのであれば、増幅素子そのものの歪低下が必須であり、高性能の素子が求められる。
【0009】
前述した各種の増幅装置の内部でも、高効率化の工夫がなされている。
例えば増幅部の増幅素子の2合成である。以下にそれを説明する。
【0010】
内部の増幅方法に於いて、出力が高い増幅部は2合成または複数合成を行い増幅している。これについて図8を用いて説明する。
図8の(A)は入力電力と出力電力と歪の関係、(B)は増幅素子をシングルで使用した場合であり、(C)は増幅素子を2合成とした場合である。図8(A)で使用されるA,Bは図8(B)、図8(C)での入力点、出力点であり、波線は発生する歪を表す。ここで使用した素子は一般のものと同様に、出力電力と歪は1:3の割合で増加するものである。図8(B)の81は増幅素子である。図8(C)の82、85はカプラ―、83は第一の増幅素子、84は第二の増幅素子である。
【0011】
図8(B)のようにシングルで使用した場合は、入力点をa点とすると図8(A)からもわかるように、出力はAとなる。
このとき、次の式が成り立つ。
キャリアのレベル A(dbm)+αGain(db)=A+α(dBm)
歪 ImA=ImB+6(dB)
【0012】
続いて図8(C)について説明する。Cは素子を2合成、特に同相同振幅合成したものである。例えば合成に3dBカプラ―を用いた場合である。カプラ―で3dBあるため、入出力で3dBのロスがあるが、同位相、同振幅合成であるため20log2V=6dBのゲインがあがることになる。このとき次の式が成り立つ。
キャリアのレベル A(dbm)+αGain(db)=A+α(dBm)
歪 ImA−6(dB)
このように、2合成をすることにより、等価的に3dBあがることになる。
【0013】
このように素子を2合成、または複数合成することにより、素子をシングルで使用するより歪を低減することが可能となり、さらに熱の分散化が可能であるため、増幅装置全体の信頼性が挙がる。
【0014】
【特許文献1】特開平7−193533(図1)
【特許文献2】特開2002−43863(図1、図2)
【特許文献3】特開2002−232325(図1)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、今日の増幅装置は増幅した後の歪補償が求められており、さらに増幅装置に広帯域化、高効率化、高出力が求められている。特に高効率化は重要なテーマとなっている。
【0016】
フィードフォワード方式の場合は、高い歪補償量が見込めるものの、増幅装置そのものが大きくなってしまう。また、プリディストーション方式の場合は、フィードフォワード方式に比べて、小型化が可能となるものの、フィードフォワードと同等の高い歪補償を求めるには、高性能な増幅素子が必要となり、低価格化が実現できなくなる。
【0017】
そこで本発明は、特殊な回路を用いずに、より安価な低歪増幅を実現することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するものであって、第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子の歪特性を第一の増幅素子の歪特性の位相をずらしたことを特徴とする増幅装置を提供するものである。
【0019】
また上記課題を解決するために、第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子の歪特性の振幅と第一の増幅素子の歪特性の振幅は異なることを特徴とする増幅装置を提供する。
【0020】
また上記課題を解決するために、第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子のAM/PM特性は第一の増幅素子のAM/PM特性と逆特性としたことを特徴とする増幅装置を提供する。
【0021】
さらに、上記課題を解決するために、第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子のマッチングパターンを変更するマッチングパターン変更部を有し、これにより第二の増幅素子の歪特性を変更する増幅装置を提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明を説明する。説明に於いて、3dBカプラーを用いておいるが、本発明の趣旨はそれに限定するものではない。まず本発明の原理を図3から5を用いて説明する。
【0023】
本発明の第一の原理を図1を用いて説明する。
第一の原理は増幅装置に内蔵されている増幅素子により安価に高効率化を計ったものである。同位相同振幅の二合成の場合であり、歪のみ意図的に90度の位相差を持たしている。
【0024】
図1(A)は増幅素子を二合成にした場合の図である。11、14はカプラ―であり、12は第一の原理における第一の増幅素子であり、13は第一の原理における第二の増幅素子である。また、図1(B)は第一の増幅素子12より出力された信号であり、図1(C)は図示しない位相調整器などにより歪のみ90deg位相をずらした、第ニの増幅素子13の出力信号である。
この場合、キャリア自身は同相同振幅であるので、通常どおり増幅されることになる。各素子から出力された歪は合成後図1(D)のように合成され、この場合は3dBの歪がアップする。
従来は6dBの歪であったのに対し、本原理では3dBであり、従来より歪が少なくなることがわかる。
【0025】
続いて図2を用いて第二の原理を説明する。
第二の原理では、歪は同位相であるが、図示しない振幅調整器で振幅を調整した場合、もしくは予め素子により調整するようにした場合の図である。
【0026】
図2(A)は増幅素子を二合成にした場合の図である。21、24はカプラ―、22は第二の原理における第一の増幅素子、23は第二の原理における第二の増幅素子である。図2(B)は第一の増幅素子21より出力された信号であり、図2(C)は図示しない振幅調整器で振幅を調整した場合、もしくは予め素子により振幅を調整するようにした場合の第ニの増幅素子23の出力信号である。
この場合、キャリア自身は同相同振幅であるので、通常どおり増幅されることになる。本方式により例えば歪レベル差の比が1:0.5であり、従来の歪出力をxとした場合、二合成による歪出力は1.5xとなる。
これにより、2合成による歪出力は3.5dBとなり、従来の方式に比べ歪が少なくなることがわかる。
【0027】
続いて図3を用いて第三の原理を説明する。
第三の原理は、歪のAM/PM特性が全く逆の素子を2合成に用いた場合である。
【0028】
図3(A)は増幅素子を二合成にした場合の図である。31、34はカプラ―、32は第三の原理における第一の増幅素子であり、33は第三の原理における第二の増幅素子である。第一の増幅素子32にはGaAs−FETを用い、また第二の増幅素子33には第一の増幅素子32と逆特性を有するMOS−FETを用いている。図3(B)は第一の増幅素子33より出力された信号であり、図3(C)は第二の増幅素子33の出力信号である。第一の増幅素子32と第二の増幅素子33では、キャリアは同振幅同位相であるが、歪は同振幅であり、位相は180deg異なる。
この場合、キャリア自身は同相同振幅であるので、通常どおり増幅されることになる。歪は、第一の増幅素子と第二の増幅素子の歪出力に180degの差があるので、完全に相殺されてしまい、歪は出力されなくなる。
【0029】
次に第一の実施例を図4を用いて説明する。
これは、第一と第二の増幅素子の動作点を変えるものである。41、44はカプラ―であり、42は第一の実施例における第一の増幅素子、43は第一の実施例における第二の増幅素子である。図4(A)のように、増幅素子の動作点を変えることにより、図4(B)のように歪の位相に差異を持たせる。原理1でも説明した通り、歪がより低減されることになる。
図4(D)は図示しないマッチングパターン変更部を設けている。図4(D)のように、図示しないマッチングパターン変更部により第二の増幅素子のマッチングパターンを変更する。これにより、第二の原理のように、従来の2合成より歪が少なくなり、更なる高効率な増幅装置を提供することが可能となる。
【0030】
次に第ニの実施例を図5を用いて説明する。
これは、第一と第二の増幅素子の動作点を変えるものである。51、54はカプラ―であり、52は第一の実施例における第一の増幅素子、53は第一の実施例における第二の増幅素子である。図5(A)のように、増幅素子の動作点を変えることにより、図5(B)のように歪の振幅レベルの差異を持たせる。原理2でも説明した通り、歪がより低減されることになる。
図5(D)は図示しないマッチングパターン変更部を設けている。図5(D)のように、図示しないマッチングパターン変更部により第二の増幅素子のマッチングパターンを変更する。これにより、第二の原理のように、従来の2合成より歪が少なくなり、更なる高効率な増幅装置を提供することが可能となる。
【0031】
図6は第二の実施例における、動作点を変更したときのスペクトラム図である。図6(A)は第一の増幅素子の動作点を変更したものであり、図6(B)は第二の増幅素子を変更したものである。いずれもキャリアは同様のレベルまで増幅しているが、歪レベルに差異があることがわかる。この信号を合成することにより、原理2のように、従来より、より高効率が望める。
ここでは、第一と第二の増幅素子の動作点を変更することを説明したが、それに限るものではなく、いずれかの動作点を変更するだけでもよい。
【0032】
第三の実施例を図7を用いて説明する。図7は第一と第二の実施例を自動的に制御するものである。
71、74はカプラ―、72は第三の実施例における第一の増幅素子、73は第三の実施例における第二の増幅素子、75は歪成分を検出する歪成分検出器、76は検出された歪成分をデジタルデータに変換するA/D変換機、77は増幅装置を制御するCPU、78、79はCPUからのデジタルな命令をアナログに変換し、増幅素子に出力するD/A変換機である。
合成後の歪を歪検出器75により検出し、検出値に応じてCPU77が第一の増幅素子72、第二の増幅素子73のマッチングパターンや動作点を変えるものである。このとき、制御部では歪検出値に対応したマッチングパターン制御値や動作点のテーブルを設け、検出値に応じて値をD/A変換器に出力し、制御を行う。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第一の実施例のように二合成の増幅装置に於いて、増幅素子から出力される歪の振幅レベルを変えることにより、歪がより低減され、高効率な増幅装置を提供することがかのうとなる。
【0034】
また、本発明の第二の実施例のように二合成の増幅装置に於いて、増幅素子から出力される歪の位相を変えることにより、歪がより低減され、高効率な増幅装置を提供することが可能となる。
【0035】
また、本発明の第二の実施例のように二合成の増幅装置に於いて、AM/PM特性が全く逆の増幅素子を用いることにより、高効率な増幅装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】二つの増幅素子の位相差を利用した場合の原理1の説明図
【図2】二つの増幅素子の振幅差を利用した場合の原理2の説明図
【図3】二つの増幅素子のAM/PM特性が全く逆の場合の原理3の説明図
【図4】第一の実施例の増幅装置
【図5】第二の実施例の増幅装置
【図6】第二の実施例の増幅装置による特製図
【図7】第三の実施例の増幅装置
【図8】従来のニ合成の説明図
【符号の説明】
11、14、21、24、31、34、41、44、51、54、71、74…カプラ―
12、21、31、41、51…第一の増幅素子
13、23、33、43、53、73…第二の増幅素子
75…歪成分検出器
77…CPU
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯電話や移動体端末等の無線装置に係る基地局の増幅装置、中継装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
信号を増幅する装置は、主に2つの分類に分けられる。一つは歪補償部を有する装置であり、もう一つは歪補償部を有しない装置である。前者の歪補償を有する装置は、利点としては高効率であり、さらに低歪であることが挙げられる。これにより、より高性能な増幅装置となる。欠点は歪補償部を有するため、効果であるということが挙げられる。
【0003】
後者の歪補償の無い増幅装置は、利点としては歪補償部を有する増幅装置に比べて低価格であることであり、欠点は効率が悪いということである。特許文献1は歪補償部を有していない増幅装置の一例である。
【0004】
増幅したい信号、変調方式、用途で歪補償部の有無は使い分けられているが、近年は送信出力の増大、マルチキャリアの共通増幅化、高効率化が進み、ほとんどの増幅装置に於いて、歪補償部を有している。
【0005】
歪補償部を有する増幅装置には多数の方式があり、例えばフィードフォワード方式、プリディストーション方式が挙げられる。これらは今後の第2、第2.5、第3世代の増幅装置として活用、注目されている。
【0006】
特許文献2はフィードフォワード方式の増幅装置の一例である。入力信号を利用したアナログ負帰還方式で歪を補償しているため、歪補償量は安定している。
【0007】
特許文献3はプリディストーション方式の一例である。プリディストーション方式は、フィードフォワード方式と同様の歪補償方式のひとつである。ただし、フィードフォワード方式に比べて、高い歪補償量を望むことはできない。よって、フィードフォワード方式と同等の歪補償量を望むのであれば、歪特性の良い増幅素子が必要となる。
【0008】
しかしながら、プリディストーション方式はフィードフォワード方式に比べ、増幅素子の出力レベルが1dB程度低いことから、現状では歪のレベルは同等で効率も高く、低価格で実現可能である。しかし、今後更なる高効率化を求めていくのであれば、増幅素子そのものの歪低下が必須であり、高性能の素子が求められる。
【0009】
前述した各種の増幅装置の内部でも、高効率化の工夫がなされている。
例えば増幅部の増幅素子の2合成である。以下にそれを説明する。
【0010】
内部の増幅方法に於いて、出力が高い増幅部は2合成または複数合成を行い増幅している。これについて図8を用いて説明する。
図8の(A)は入力電力と出力電力と歪の関係、(B)は増幅素子をシングルで使用した場合であり、(C)は増幅素子を2合成とした場合である。図8(A)で使用されるA,Bは図8(B)、図8(C)での入力点、出力点であり、波線は発生する歪を表す。ここで使用した素子は一般のものと同様に、出力電力と歪は1:3の割合で増加するものである。図8(B)の81は増幅素子である。図8(C)の82、85はカプラ―、83は第一の増幅素子、84は第二の増幅素子である。
【0011】
図8(B)のようにシングルで使用した場合は、入力点をa点とすると図8(A)からもわかるように、出力はAとなる。
このとき、次の式が成り立つ。
キャリアのレベル A(dbm)+αGain(db)=A+α(dBm)
歪 ImA=ImB+6(dB)
【0012】
続いて図8(C)について説明する。Cは素子を2合成、特に同相同振幅合成したものである。例えば合成に3dBカプラ―を用いた場合である。カプラ―で3dBあるため、入出力で3dBのロスがあるが、同位相、同振幅合成であるため20log2V=6dBのゲインがあがることになる。このとき次の式が成り立つ。
キャリアのレベル A(dbm)+αGain(db)=A+α(dBm)
歪 ImA−6(dB)
このように、2合成をすることにより、等価的に3dBあがることになる。
【0013】
このように素子を2合成、または複数合成することにより、素子をシングルで使用するより歪を低減することが可能となり、さらに熱の分散化が可能であるため、増幅装置全体の信頼性が挙がる。
【0014】
【特許文献1】特開平7−193533(図1)
【特許文献2】特開2002−43863(図1、図2)
【特許文献3】特開2002−232325(図1)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、今日の増幅装置は増幅した後の歪補償が求められており、さらに増幅装置に広帯域化、高効率化、高出力が求められている。特に高効率化は重要なテーマとなっている。
【0016】
フィードフォワード方式の場合は、高い歪補償量が見込めるものの、増幅装置そのものが大きくなってしまう。また、プリディストーション方式の場合は、フィードフォワード方式に比べて、小型化が可能となるものの、フィードフォワードと同等の高い歪補償を求めるには、高性能な増幅素子が必要となり、低価格化が実現できなくなる。
【0017】
そこで本発明は、特殊な回路を用いずに、より安価な低歪増幅を実現することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するものであって、第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子の歪特性を第一の増幅素子の歪特性の位相をずらしたことを特徴とする増幅装置を提供するものである。
【0019】
また上記課題を解決するために、第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子の歪特性の振幅と第一の増幅素子の歪特性の振幅は異なることを特徴とする増幅装置を提供する。
【0020】
また上記課題を解決するために、第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子のAM/PM特性は第一の増幅素子のAM/PM特性と逆特性としたことを特徴とする増幅装置を提供する。
【0021】
さらに、上記課題を解決するために、第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子のマッチングパターンを変更するマッチングパターン変更部を有し、これにより第二の増幅素子の歪特性を変更する増幅装置を提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明を説明する。説明に於いて、3dBカプラーを用いておいるが、本発明の趣旨はそれに限定するものではない。まず本発明の原理を図3から5を用いて説明する。
【0023】
本発明の第一の原理を図1を用いて説明する。
第一の原理は増幅装置に内蔵されている増幅素子により安価に高効率化を計ったものである。同位相同振幅の二合成の場合であり、歪のみ意図的に90度の位相差を持たしている。
【0024】
図1(A)は増幅素子を二合成にした場合の図である。11、14はカプラ―であり、12は第一の原理における第一の増幅素子であり、13は第一の原理における第二の増幅素子である。また、図1(B)は第一の増幅素子12より出力された信号であり、図1(C)は図示しない位相調整器などにより歪のみ90deg位相をずらした、第ニの増幅素子13の出力信号である。
この場合、キャリア自身は同相同振幅であるので、通常どおり増幅されることになる。各素子から出力された歪は合成後図1(D)のように合成され、この場合は3dBの歪がアップする。
従来は6dBの歪であったのに対し、本原理では3dBであり、従来より歪が少なくなることがわかる。
【0025】
続いて図2を用いて第二の原理を説明する。
第二の原理では、歪は同位相であるが、図示しない振幅調整器で振幅を調整した場合、もしくは予め素子により調整するようにした場合の図である。
【0026】
図2(A)は増幅素子を二合成にした場合の図である。21、24はカプラ―、22は第二の原理における第一の増幅素子、23は第二の原理における第二の増幅素子である。図2(B)は第一の増幅素子21より出力された信号であり、図2(C)は図示しない振幅調整器で振幅を調整した場合、もしくは予め素子により振幅を調整するようにした場合の第ニの増幅素子23の出力信号である。
この場合、キャリア自身は同相同振幅であるので、通常どおり増幅されることになる。本方式により例えば歪レベル差の比が1:0.5であり、従来の歪出力をxとした場合、二合成による歪出力は1.5xとなる。
これにより、2合成による歪出力は3.5dBとなり、従来の方式に比べ歪が少なくなることがわかる。
【0027】
続いて図3を用いて第三の原理を説明する。
第三の原理は、歪のAM/PM特性が全く逆の素子を2合成に用いた場合である。
【0028】
図3(A)は増幅素子を二合成にした場合の図である。31、34はカプラ―、32は第三の原理における第一の増幅素子であり、33は第三の原理における第二の増幅素子である。第一の増幅素子32にはGaAs−FETを用い、また第二の増幅素子33には第一の増幅素子32と逆特性を有するMOS−FETを用いている。図3(B)は第一の増幅素子33より出力された信号であり、図3(C)は第二の増幅素子33の出力信号である。第一の増幅素子32と第二の増幅素子33では、キャリアは同振幅同位相であるが、歪は同振幅であり、位相は180deg異なる。
この場合、キャリア自身は同相同振幅であるので、通常どおり増幅されることになる。歪は、第一の増幅素子と第二の増幅素子の歪出力に180degの差があるので、完全に相殺されてしまい、歪は出力されなくなる。
【0029】
次に第一の実施例を図4を用いて説明する。
これは、第一と第二の増幅素子の動作点を変えるものである。41、44はカプラ―であり、42は第一の実施例における第一の増幅素子、43は第一の実施例における第二の増幅素子である。図4(A)のように、増幅素子の動作点を変えることにより、図4(B)のように歪の位相に差異を持たせる。原理1でも説明した通り、歪がより低減されることになる。
図4(D)は図示しないマッチングパターン変更部を設けている。図4(D)のように、図示しないマッチングパターン変更部により第二の増幅素子のマッチングパターンを変更する。これにより、第二の原理のように、従来の2合成より歪が少なくなり、更なる高効率な増幅装置を提供することが可能となる。
【0030】
次に第ニの実施例を図5を用いて説明する。
これは、第一と第二の増幅素子の動作点を変えるものである。51、54はカプラ―であり、52は第一の実施例における第一の増幅素子、53は第一の実施例における第二の増幅素子である。図5(A)のように、増幅素子の動作点を変えることにより、図5(B)のように歪の振幅レベルの差異を持たせる。原理2でも説明した通り、歪がより低減されることになる。
図5(D)は図示しないマッチングパターン変更部を設けている。図5(D)のように、図示しないマッチングパターン変更部により第二の増幅素子のマッチングパターンを変更する。これにより、第二の原理のように、従来の2合成より歪が少なくなり、更なる高効率な増幅装置を提供することが可能となる。
【0031】
図6は第二の実施例における、動作点を変更したときのスペクトラム図である。図6(A)は第一の増幅素子の動作点を変更したものであり、図6(B)は第二の増幅素子を変更したものである。いずれもキャリアは同様のレベルまで増幅しているが、歪レベルに差異があることがわかる。この信号を合成することにより、原理2のように、従来より、より高効率が望める。
ここでは、第一と第二の増幅素子の動作点を変更することを説明したが、それに限るものではなく、いずれかの動作点を変更するだけでもよい。
【0032】
第三の実施例を図7を用いて説明する。図7は第一と第二の実施例を自動的に制御するものである。
71、74はカプラ―、72は第三の実施例における第一の増幅素子、73は第三の実施例における第二の増幅素子、75は歪成分を検出する歪成分検出器、76は検出された歪成分をデジタルデータに変換するA/D変換機、77は増幅装置を制御するCPU、78、79はCPUからのデジタルな命令をアナログに変換し、増幅素子に出力するD/A変換機である。
合成後の歪を歪検出器75により検出し、検出値に応じてCPU77が第一の増幅素子72、第二の増幅素子73のマッチングパターンや動作点を変えるものである。このとき、制御部では歪検出値に対応したマッチングパターン制御値や動作点のテーブルを設け、検出値に応じて値をD/A変換器に出力し、制御を行う。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第一の実施例のように二合成の増幅装置に於いて、増幅素子から出力される歪の振幅レベルを変えることにより、歪がより低減され、高効率な増幅装置を提供することがかのうとなる。
【0034】
また、本発明の第二の実施例のように二合成の増幅装置に於いて、増幅素子から出力される歪の位相を変えることにより、歪がより低減され、高効率な増幅装置を提供することが可能となる。
【0035】
また、本発明の第二の実施例のように二合成の増幅装置に於いて、AM/PM特性が全く逆の増幅素子を用いることにより、高効率な増幅装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】二つの増幅素子の位相差を利用した場合の原理1の説明図
【図2】二つの増幅素子の振幅差を利用した場合の原理2の説明図
【図3】二つの増幅素子のAM/PM特性が全く逆の場合の原理3の説明図
【図4】第一の実施例の増幅装置
【図5】第二の実施例の増幅装置
【図6】第二の実施例の増幅装置による特製図
【図7】第三の実施例の増幅装置
【図8】従来のニ合成の説明図
【符号の説明】
11、14、21、24、31、34、41、44、51、54、71、74…カプラ―
12、21、31、41、51…第一の増幅素子
13、23、33、43、53、73…第二の増幅素子
75…歪成分検出器
77…CPU
Claims (5)
- 第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子の歪特性の位相を第一の増幅素子の歪特性よりずらしたことを特徴とする増幅装置。
- 第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子の歪特性の振幅と第一の増幅素子の歪特性の振幅は異なることを特徴とする増幅装置。
- 第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子のAM/PM特性は第一の増幅素子のAM/PM特性と逆特性としたことを特徴とする増幅装置。
- 第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設けた増幅装置に於いて、第二の増幅素子のマッチングパターンを変更するマッチングパターン変更部を有することを特徴とする請求項1乃至3記載の増幅装置。
- 第一の増幅素子と第二の増幅素子を並列に設け、さらに合成後の歪をモニタする歪モニタを有する増幅装置に於いて、第二の増幅素子のマッチングパターンを変更するマッチングパターン変更部を有し、前記マッチングパターン変更部は前記歪モニタの出力に応じて制御を行うことを特徴とする請求項4記載の増幅装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003119386A JP2004328313A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 増幅装置 |
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JP2003119386A JP2004328313A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 増幅装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008193720A (ja) * | 2008-03-17 | 2008-08-21 | Hitachi Kokusai Electric Inc | ドハティ増幅回路 |
JP2011205181A (ja) * | 2010-03-24 | 2011-10-13 | Toshiba Corp | 電力増幅器及び半導体集積回路 |
-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003119386A patent/JP2004328313A/ja active Pending
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