JP2004327469A - ガスレーザ発振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来技術においては、スペーサ表面に深さが放電管内径に対し0.02倍〜0.30倍とし、光軸方向に対する傾斜角を15〜45degreeとした溝を設け、このスペーサに設けた溝部分にて散乱光を分散させ、減衰消滅させる試みもなされたが、従来は単に、光軸方向に対して、垂直方向に同心円状に溝を切った構造をとっていたために、散乱光の抑制が十分できなかった。
【解決手段】中空のスペーサ18のレーザ光があたる部分に円錐の凹部20をもうけ、円錐の凹部20はできるだけ多くの数を配置し、円錐の凹部20の傾斜角を鋭角とした構成をとることで散乱光17を抑制することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】中空のスペーサ18のレーザ光があたる部分に円錐の凹部20をもうけ、円錐の凹部20はできるだけ多くの数を配置し、円錐の凹部20の傾斜角を鋭角とした構成をとることで散乱光17を抑制することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガスレーザ発振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に、従来の軸流型ガスレーザ発振装置の概略構成を示す。以下、図5を参照しながら従来の軸流型ガスレーザ発振装置を説明する。
【0003】
この図において、101はガラスなどの誘電体よりなる放電管であり、102,103は放電管101の周辺に設けられた電極、104は電極102,103にそれぞれ接続された電源、105は電極102,103間に挟まれた放電管101内の放電空間、106はほぼ全反射する終段鏡、107は部分反射する出力鏡であり、この終段鏡106,出力鏡107は放電空間105の両端に固定配置され、光共振器を形成している。
【0004】
108は、出力鏡107より出力されるレーザビームである。また、109はレーザガスの流れる方向であり図中矢印で示し、100〜200Torr程度の圧力で、軸流型ガスレーザ発振器の中を循環している。
【0005】
110はレーザガス流路であり、111および112は放電空間105における放電と送風機113の運転により温度上昇したレーザガスの温度を下げるための熱交換機、送風機113はレーザガスを循環させるものであり、この送風機113により放電空間105にて約100m/sec程度のガス流を得ている。レーザガス流路110と放電管101は、レーザガス導入部114で接続されている。
【0006】
また、115はレーザ光の光軸で、116は放電管ホルダで放電管101と出力鏡107を保持し、126は放電管ホルダで放電管101と終段鏡106を保持し、118は中空のスペーサである(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
以上が従来のレーザ発振装置の構成であり、次にその動作について説明する。
【0008】
送風機113より送り出されたレーザガスは、レーザガス流路110を通り、レーザガス導入部114より放電管101内へ導入される。この状態で電源104に接続された電極102,103から放電空間105に放電を発生させる。放電空間105内のレーザガスは、この放電エネルギーを得て励起され、その励起されたレーザガスは終段鏡106および出力鏡107により形成された光共振器で共振状態となり、出力鏡107からレーザビーム108が出力される。このレーザビーム108が切断や溶接に代表されるレーザ加工等の用途に用いられる。
【0009】
図6は従来のスペーサ部の拡大図である。118は中空のスペーサ、117は散乱光、119がスペーサ118の内周面に設けられた溝である。従来においては、スペーサ118の内周面に深さが放電管101の内径に対し0.02倍〜0.30倍で、光軸115の方向に対する傾斜角を15〜45degreeとした溝119を設け、このスペーサ118に設けた溝119で散乱光117を分散させ、減衰消滅させる試みもなされた。
【0010】
光共振器内でのレーザ光共振の際、光軸115に対して平行な光のみが増幅されてレーザビーム108として取り出されることが理想であるが、実際には反射や回折によって、光軸115に対して平行でない散乱光117が発生してしまうため、散乱光117がレーザビーム108に混入することにより、レーザビーム108の質が低下し、例えばレーザ切断を行う際に、モード形状が悪くなり、これが集光性に影響するため切断速度が低下するなどの問題があった。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−252396公報(第3頁、第1図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のガスレーザ発振装置においては、この問題を解決するための従来の取り組みとして、終段鏡106および出力鏡107近傍に、アパーチャと呼ばれる中空のスペーサ118を配置し、中空のスペーサ118によって散乱光117を遮ることでレーザビーム108中に散乱光117が混入することを抑制する試みもなされている。しかし、散乱光117が中空のスペーサ118の溝119に入る角度で減衰せずに反射してしまうため、散乱光の現象に結びつかず、大きな効果は得られていない。
【0013】
本発明は、上述のごとき課題を解決することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために、本発明のガスレーザ発振装置は、放電管中のレーザ媒質を放電励起してレーザ光を発生する放電手段と、前記レーザ光を発振させる発振手段と、前記レーザ光の光軸上に設けた少なくとも一対の光学手段と、前記光学手段間に設けた中空部材とを備え、前記中空部材は前記レーザ光があたる部分に円錐状の凹部を設けることによって、レーザビームの質が高まり、切断速度の向上などのレーザ加工性能が向上できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0016】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるレーザ発振装置を示す。この図に於いて、1はガラスなどの誘電体よりなる放電管であり、2,3は放電管1に設けられた電極、4は電極2,3にそれぞれ接続された電源、5は電極2,3間に挟まれた放電管1内の放電空間、6はほぼ全反射する終段鏡、7は部分反射する出力鏡であり、この終段鏡6と出力鏡7は放電空間5の両端に配置され、光共振器を形成している。また、8は出力鏡7より出力されるレーザビームである。
【0017】
9はレーザガスの流れる方向を示す矢印で、100〜200Torr程度の圧力で軸流型ガスレーザ発振装置の中を循環している。10はレーザガス流路であり、11および12は放電空間5における放電と送風機13の運転により温度上昇したレーザガスの温度を下げるための熱交換機、送風機13はレーザガスを循環させるものであり、この送風機13により放電空間5にて約100m/sec程度のガス流を得ている。また、レーザガス流路10と放電管1は、レーザガス導入部14で接続されている。
【0018】
以上が軸流型ガスレーザ発振装置の構成であり、次にその動作について説明する。
【0019】
送風機13より送り出されたレーザガスは、レーザガス流路10を通り、レーザガス導入部14より放電管1内へ導入される。この状態で電源4に接続された電極2,3から放電空間5に放電を発生させる。放電空間5内のレーザガスは、この放電エネルギーを得て励起され、その励起されたレーザガスは終段鏡6および出力鏡7により形成された光共振器で共振状態となり、出力鏡7からレーザビーム8が出力される。
【0020】
そして、このレーザビーム8が切断・溶接に代表されるレーザ加工等の用途に用いられる。また、終段鏡6および出力鏡7によって形成された光共振器と放電管1との配置で光軸15が決まる。放電管1と出力鏡7は放電管ホルダ16によって保持され、放電管1と終段鏡6は放電管ホルダ26によって保持されている。放電管ホルダ16に隣接して中空のスペーサ18が配置されている。
【0021】
また、図2に示すように、中空のスペーサ18のレーザ光があたる部分には円錐の凹部20が設けられている。
【0022】
前述したように、光共振器内でのレーザ光共振の際、光軸15に対して平行な光のみが増幅されてレーザビーム8として取り出されことが理想であるが、実際には反射や回折によって、光軸15に対して平行でない散乱光17が発生してしまう。
【0023】
ここで円錐の凹部20の大きさを均一に設けることにより、品質に優れ、製造し易いスペーサ18となる。散乱光17は中空のスペーサ18のレーザ光があたる部分19に当たった後、円錐の凹部20内で多重反射を繰り返し減衰する。ここで、1つの円錐の凹部20に入射しても少ししか減衰しない散乱光17も別の円錐の凹部20に入射して減衰したり、1つの円錐の凹部20に入射しなかった散乱光17も別の円錐の凹部20に入射し、同様に1つまたは複数個の円錐の凹部20に吸収され減衰する。
【0024】
このため、従来に比べて十分減衰された散乱光17は、例え円錐の凹部20内で吸収されなくて円錐の凹部20外に飛び出したとしても、その後、光軸15から全く外れた方向へ飛んで行き、放電管1の内壁にあたりに吸収されて消滅する。その結果、散乱光17はレーザビーム8中にほとんど混入することなく、レーザビーム8の質が低下することはない。
【0025】
スペーサ18は光軸15に垂直である場合、円錐の凹部20の光軸方向に対する傾斜角は、鋭角であることが好適である。
【0026】
図3(a)は、円錐の凹部20における辺の角度(degree)と散乱光の入光量の関係を示したものであり、図3(b)はその円錐の拡大図である。散乱光17は鈍角になると入射光が円錐の凹部へ向かう軌跡を取らずにまったく違う方向へ反射してしまう。本実施の形態においてはこの傾斜角(図3(b)に示す辺の角度)は鋭角としているが、傾斜角が鋭角になるほど符合21で示される深さが必要になるためスペーサ18が大きくなるため、15〜45degreeが最も好適である。
【0027】
またスペーサ18の材質は、CO2の波長領域にあわせた光吸収をしやすい金属部材として、例えばスペーサ18のレーザ光があたる部分を、アルミニウムの表面の膜厚10μm以上をアルマイト化させたり、アルミニウムの表面に膜厚10μm以上のカーボンを蒸着するとより一層効果的である。これは反射光を極力吸収し共振空間に戻ることを防ぐ役割をするものと思われる。蒸着膜厚が10μm未満であると、回折現象により、効果が低減してしまう。
【0028】
なお、アルマイト部分やカーボン部分はスペーサ18全体に施してもよい。
【0029】
また、スペーサ18の材質は、セラミックでも好適である。これはセラミック自体がレーザ光の吸収率が高いため、散乱光の吸収が効果的に行われるからである。
【0030】
円錐の凹部20は、大出力になるほど高い効果が得られる。これは、光共振空間における光の増幅は大出力になるほど内部エネルギーが増大するため、この中に存在する回折などによって発生する散乱光の量も増加するからである。
【0031】
図4は、スペーサ18に入射するレーザ光量と散乱光17の量を示したものである。通常このモード形状は正規分布のような形をしており、傾きやフリンジのないものが望ましいが、散乱光17が増加するとモード形状の中に顕著に表れ、フリンジなどのシワのようなものが発生する。本実施の形態は円錐の凹部20で多重反射しているために、これまで取りきれなかった散乱光17を確実に減衰させる機能がある。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のガスレーザ発振装置によれば、放電管中のレーザ媒質を放電励起してレーザ光を発生する放電手段と、前記レーザ光を発振させる発振手段と、前記レーザ光の光軸上に設けた少なくとも一対の光学手段と、前記光学手段間に設けた中空部材とを備え、前記中空部材は前記レーザ光があたる部分に円錐状の凹部を設け、前記円錐の凹部の傾斜角は鋭角としたことによって、散乱光がレーザビーム中に混入することを抑制し、レーザビームの質を高めることができる。これによりレーザ加工における切断速度の向上や、切断幅の減少などの加工性能向上ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるレーザ発振装置の概略構成図
【図2】同実施の形態におけるスペーサの拡大説明図
【図3】(a)同実施の形態における円錐の凹部の辺の角度と散乱光の入光量との関係図
(b)同実施の形態における円錐の拡大図
【図4】同実施の形態におけるレーザ光量とレーザビーム中の散乱光の量との関係図
【図5】従来のガスレーザ発振装置の概略構成図
【図6】従来のガスレーザ発振装置におけるスペーサの概略構成図
【符号の説明】
1 放電管
2,3 電極
4 電源
5 放電空間
6 終段鏡
7 出力鏡
8 レーザビーム
9 レーザガスの流れる方向
10 レーザガス流路
11,12 熱交換器
13 送風機
14 レーザガス導入部
15 光軸
16 放電管ホルダ
17 散乱光
18 中空のスペーサ
19 レーザ光があたる部分
20 円錐の凹部
【発明の属する技術分野】
本発明はガスレーザ発振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に、従来の軸流型ガスレーザ発振装置の概略構成を示す。以下、図5を参照しながら従来の軸流型ガスレーザ発振装置を説明する。
【0003】
この図において、101はガラスなどの誘電体よりなる放電管であり、102,103は放電管101の周辺に設けられた電極、104は電極102,103にそれぞれ接続された電源、105は電極102,103間に挟まれた放電管101内の放電空間、106はほぼ全反射する終段鏡、107は部分反射する出力鏡であり、この終段鏡106,出力鏡107は放電空間105の両端に固定配置され、光共振器を形成している。
【0004】
108は、出力鏡107より出力されるレーザビームである。また、109はレーザガスの流れる方向であり図中矢印で示し、100〜200Torr程度の圧力で、軸流型ガスレーザ発振器の中を循環している。
【0005】
110はレーザガス流路であり、111および112は放電空間105における放電と送風機113の運転により温度上昇したレーザガスの温度を下げるための熱交換機、送風機113はレーザガスを循環させるものであり、この送風機113により放電空間105にて約100m/sec程度のガス流を得ている。レーザガス流路110と放電管101は、レーザガス導入部114で接続されている。
【0006】
また、115はレーザ光の光軸で、116は放電管ホルダで放電管101と出力鏡107を保持し、126は放電管ホルダで放電管101と終段鏡106を保持し、118は中空のスペーサである(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
以上が従来のレーザ発振装置の構成であり、次にその動作について説明する。
【0008】
送風機113より送り出されたレーザガスは、レーザガス流路110を通り、レーザガス導入部114より放電管101内へ導入される。この状態で電源104に接続された電極102,103から放電空間105に放電を発生させる。放電空間105内のレーザガスは、この放電エネルギーを得て励起され、その励起されたレーザガスは終段鏡106および出力鏡107により形成された光共振器で共振状態となり、出力鏡107からレーザビーム108が出力される。このレーザビーム108が切断や溶接に代表されるレーザ加工等の用途に用いられる。
【0009】
図6は従来のスペーサ部の拡大図である。118は中空のスペーサ、117は散乱光、119がスペーサ118の内周面に設けられた溝である。従来においては、スペーサ118の内周面に深さが放電管101の内径に対し0.02倍〜0.30倍で、光軸115の方向に対する傾斜角を15〜45degreeとした溝119を設け、このスペーサ118に設けた溝119で散乱光117を分散させ、減衰消滅させる試みもなされた。
【0010】
光共振器内でのレーザ光共振の際、光軸115に対して平行な光のみが増幅されてレーザビーム108として取り出されることが理想であるが、実際には反射や回折によって、光軸115に対して平行でない散乱光117が発生してしまうため、散乱光117がレーザビーム108に混入することにより、レーザビーム108の質が低下し、例えばレーザ切断を行う際に、モード形状が悪くなり、これが集光性に影響するため切断速度が低下するなどの問題があった。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−252396公報(第3頁、第1図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のガスレーザ発振装置においては、この問題を解決するための従来の取り組みとして、終段鏡106および出力鏡107近傍に、アパーチャと呼ばれる中空のスペーサ118を配置し、中空のスペーサ118によって散乱光117を遮ることでレーザビーム108中に散乱光117が混入することを抑制する試みもなされている。しかし、散乱光117が中空のスペーサ118の溝119に入る角度で減衰せずに反射してしまうため、散乱光の現象に結びつかず、大きな効果は得られていない。
【0013】
本発明は、上述のごとき課題を解決することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために、本発明のガスレーザ発振装置は、放電管中のレーザ媒質を放電励起してレーザ光を発生する放電手段と、前記レーザ光を発振させる発振手段と、前記レーザ光の光軸上に設けた少なくとも一対の光学手段と、前記光学手段間に設けた中空部材とを備え、前記中空部材は前記レーザ光があたる部分に円錐状の凹部を設けることによって、レーザビームの質が高まり、切断速度の向上などのレーザ加工性能が向上できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0016】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるレーザ発振装置を示す。この図に於いて、1はガラスなどの誘電体よりなる放電管であり、2,3は放電管1に設けられた電極、4は電極2,3にそれぞれ接続された電源、5は電極2,3間に挟まれた放電管1内の放電空間、6はほぼ全反射する終段鏡、7は部分反射する出力鏡であり、この終段鏡6と出力鏡7は放電空間5の両端に配置され、光共振器を形成している。また、8は出力鏡7より出力されるレーザビームである。
【0017】
9はレーザガスの流れる方向を示す矢印で、100〜200Torr程度の圧力で軸流型ガスレーザ発振装置の中を循環している。10はレーザガス流路であり、11および12は放電空間5における放電と送風機13の運転により温度上昇したレーザガスの温度を下げるための熱交換機、送風機13はレーザガスを循環させるものであり、この送風機13により放電空間5にて約100m/sec程度のガス流を得ている。また、レーザガス流路10と放電管1は、レーザガス導入部14で接続されている。
【0018】
以上が軸流型ガスレーザ発振装置の構成であり、次にその動作について説明する。
【0019】
送風機13より送り出されたレーザガスは、レーザガス流路10を通り、レーザガス導入部14より放電管1内へ導入される。この状態で電源4に接続された電極2,3から放電空間5に放電を発生させる。放電空間5内のレーザガスは、この放電エネルギーを得て励起され、その励起されたレーザガスは終段鏡6および出力鏡7により形成された光共振器で共振状態となり、出力鏡7からレーザビーム8が出力される。
【0020】
そして、このレーザビーム8が切断・溶接に代表されるレーザ加工等の用途に用いられる。また、終段鏡6および出力鏡7によって形成された光共振器と放電管1との配置で光軸15が決まる。放電管1と出力鏡7は放電管ホルダ16によって保持され、放電管1と終段鏡6は放電管ホルダ26によって保持されている。放電管ホルダ16に隣接して中空のスペーサ18が配置されている。
【0021】
また、図2に示すように、中空のスペーサ18のレーザ光があたる部分には円錐の凹部20が設けられている。
【0022】
前述したように、光共振器内でのレーザ光共振の際、光軸15に対して平行な光のみが増幅されてレーザビーム8として取り出されことが理想であるが、実際には反射や回折によって、光軸15に対して平行でない散乱光17が発生してしまう。
【0023】
ここで円錐の凹部20の大きさを均一に設けることにより、品質に優れ、製造し易いスペーサ18となる。散乱光17は中空のスペーサ18のレーザ光があたる部分19に当たった後、円錐の凹部20内で多重反射を繰り返し減衰する。ここで、1つの円錐の凹部20に入射しても少ししか減衰しない散乱光17も別の円錐の凹部20に入射して減衰したり、1つの円錐の凹部20に入射しなかった散乱光17も別の円錐の凹部20に入射し、同様に1つまたは複数個の円錐の凹部20に吸収され減衰する。
【0024】
このため、従来に比べて十分減衰された散乱光17は、例え円錐の凹部20内で吸収されなくて円錐の凹部20外に飛び出したとしても、その後、光軸15から全く外れた方向へ飛んで行き、放電管1の内壁にあたりに吸収されて消滅する。その結果、散乱光17はレーザビーム8中にほとんど混入することなく、レーザビーム8の質が低下することはない。
【0025】
スペーサ18は光軸15に垂直である場合、円錐の凹部20の光軸方向に対する傾斜角は、鋭角であることが好適である。
【0026】
図3(a)は、円錐の凹部20における辺の角度(degree)と散乱光の入光量の関係を示したものであり、図3(b)はその円錐の拡大図である。散乱光17は鈍角になると入射光が円錐の凹部へ向かう軌跡を取らずにまったく違う方向へ反射してしまう。本実施の形態においてはこの傾斜角(図3(b)に示す辺の角度)は鋭角としているが、傾斜角が鋭角になるほど符合21で示される深さが必要になるためスペーサ18が大きくなるため、15〜45degreeが最も好適である。
【0027】
またスペーサ18の材質は、CO2の波長領域にあわせた光吸収をしやすい金属部材として、例えばスペーサ18のレーザ光があたる部分を、アルミニウムの表面の膜厚10μm以上をアルマイト化させたり、アルミニウムの表面に膜厚10μm以上のカーボンを蒸着するとより一層効果的である。これは反射光を極力吸収し共振空間に戻ることを防ぐ役割をするものと思われる。蒸着膜厚が10μm未満であると、回折現象により、効果が低減してしまう。
【0028】
なお、アルマイト部分やカーボン部分はスペーサ18全体に施してもよい。
【0029】
また、スペーサ18の材質は、セラミックでも好適である。これはセラミック自体がレーザ光の吸収率が高いため、散乱光の吸収が効果的に行われるからである。
【0030】
円錐の凹部20は、大出力になるほど高い効果が得られる。これは、光共振空間における光の増幅は大出力になるほど内部エネルギーが増大するため、この中に存在する回折などによって発生する散乱光の量も増加するからである。
【0031】
図4は、スペーサ18に入射するレーザ光量と散乱光17の量を示したものである。通常このモード形状は正規分布のような形をしており、傾きやフリンジのないものが望ましいが、散乱光17が増加するとモード形状の中に顕著に表れ、フリンジなどのシワのようなものが発生する。本実施の形態は円錐の凹部20で多重反射しているために、これまで取りきれなかった散乱光17を確実に減衰させる機能がある。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のガスレーザ発振装置によれば、放電管中のレーザ媒質を放電励起してレーザ光を発生する放電手段と、前記レーザ光を発振させる発振手段と、前記レーザ光の光軸上に設けた少なくとも一対の光学手段と、前記光学手段間に設けた中空部材とを備え、前記中空部材は前記レーザ光があたる部分に円錐状の凹部を設け、前記円錐の凹部の傾斜角は鋭角としたことによって、散乱光がレーザビーム中に混入することを抑制し、レーザビームの質を高めることができる。これによりレーザ加工における切断速度の向上や、切断幅の減少などの加工性能向上ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるレーザ発振装置の概略構成図
【図2】同実施の形態におけるスペーサの拡大説明図
【図3】(a)同実施の形態における円錐の凹部の辺の角度と散乱光の入光量との関係図
(b)同実施の形態における円錐の拡大図
【図4】同実施の形態におけるレーザ光量とレーザビーム中の散乱光の量との関係図
【図5】従来のガスレーザ発振装置の概略構成図
【図6】従来のガスレーザ発振装置におけるスペーサの概略構成図
【符号の説明】
1 放電管
2,3 電極
4 電源
5 放電空間
6 終段鏡
7 出力鏡
8 レーザビーム
9 レーザガスの流れる方向
10 レーザガス流路
11,12 熱交換器
13 送風機
14 レーザガス導入部
15 光軸
16 放電管ホルダ
17 散乱光
18 中空のスペーサ
19 レーザ光があたる部分
20 円錐の凹部
Claims (6)
- 放電管中のレーザ媒質を放電励起してレーザ光を発生する放電手段と、前記レーザ光を発振させる発振手段と、前記レーザ光の光軸上に設けた少なくとも一対の光学手段と、前記光学手段間に設けた中空部材とを備え、前記中空部材は前記レーザ光があたる部分に円錐状の凹部を設けたガスレーザ発振装置。
- 円錐状の凹部は、鋭角な傾斜角度である請求項1記載のガスレーザ発振装置。
- 中空部材は光吸収材からなる請求項1または2記載のガスレーザ発振装置。
- 中空部材の少なくともレーザ光があたる部分にアルマイトの被膜を有した請求項1または2記載のガスレーザ発振装置。
- 中空部材の少なくともレーザ光があたる部分にカーボンを付着した請求項1または2記載のガスレーザ発振装置。
- 中空部材はセラミックからなる請求項1または2記載のガスレーザ発振装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003115567A JP2004327469A (ja) | 2003-04-21 | 2003-04-21 | ガスレーザ発振装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003115567A JP2004327469A (ja) | 2003-04-21 | 2003-04-21 | ガスレーザ発振装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004327469A true JP2004327469A (ja) | 2004-11-18 |
Family
ID=33496081
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003115567A Pending JP2004327469A (ja) | 2003-04-21 | 2003-04-21 | ガスレーザ発振装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004327469A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104184040A (zh) * | 2014-09-16 | 2014-12-03 | 西华大学 | 一种行波腔高功率二氧化碳激光器的构建方法及装置 |
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2003
- 2003-04-21 JP JP2003115567A patent/JP2004327469A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104184040A (zh) * | 2014-09-16 | 2014-12-03 | 西华大学 | 一种行波腔高功率二氧化碳激光器的构建方法及装置 |
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