JP2004327170A - 排水装置及び燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】凍結が生ずるような環境下で使用されても排水不能になることを抑制する。
【解決手段】ガス配管中の水分を集めて貯留する貯水槽5の排水レベルを可変とし、条件に応じて異なる排水レベルで貯水槽5内部の水が排水口から排出されるようにする。例えば、貯水槽5に設置される排水バルブ6を第1の排水手段として用い、この排水バルブ6による排水が不能のときには、排水レベルが排水バルブ6よりも高いリリーフバルブ7を第2の排水手段として用いて、このリリーフバルブ7による排水を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】ガス配管中の水分を集めて貯留する貯水槽5の排水レベルを可変とし、条件に応じて異なる排水レベルで貯水槽5内部の水が排水口から排出されるようにする。例えば、貯水槽5に設置される排水バルブ6を第1の排水手段として用い、この排水バルブ6による排水が不能のときには、排水レベルが排水バルブ6よりも高いリリーフバルブ7を第2の排水手段として用いて、このリリーフバルブ7による排水を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス配管中のガスに含まれる余分な水分を排出するための排水装置、及びこれを応用した燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水素と酸素との供給により発電する燃料電池本体を発電要素として備える燃料電池システムが知られている。この燃料電池システムにおいて、燃料電池本体より排出されるオフガス中には、多量の水蒸気が存在する。その水蒸気がガス配管内で冷却されると、凝縮水となって配管経路中に溜まることとなる。そればかりか、燃料電池本体の内部にも液水が発生する場合があり、この液水がガス流に押し出されてやはり配管経路等に溜まることがある。これらの水を残留させたままにしておくと、システム停止後に外気温度が氷点下となった場合に凍結し、その量や配管の経路にもよるが、次回始動時に圧損となり正常な運転ができなくなるおそれがある。
【0003】
したがって、燃料電池システムにおいては、燃料電池本体から排出されるオフガスに含まれる水分がガス管路中に溜まることを防ぐ必要があり、そのための排水機構が提案されている(例えば、特許文献1等を参照)。
【0004】
具体的には、前記特許文献1記載の技術では、燃料電池本体からのオフガスを循環させる循環配管に、冷却水との熱交換によりオフガスを冷却してオフガス中に含まれている水蒸気を凝縮,除去する気水分離器を設け、運転時にエジェクタポンプの内部、混合ガス回路の配管内に凝縮水が溜まるのを防止して燃料電池本体に供給する燃料ガスの流量,圧力の安定化を図るようにしている。ここで、気水分離器内に溜まった水は、その底部に設けられたドレンにより外部に排出するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−321316号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、気水分離器内に溜まった水を底部に設けられたドレンから排水する排水機構では、システム停止後に経路内に存在する湿潤ガスが冷やされ続けて発生する凝縮水がドレン経路やドレンバルブに入り込み、これがそのまま凍結すると排水不能となるという問題がある。
【0007】
これにより直ちに初期の運転に支障をきたすわけではないが、運転によって生じた凝縮水を排出できなくなるために、運転に伴って気水分離器の貯水量が増加して満水となることも想定され、この場合には、凝縮水によってガス配管が閉塞されてシステムが運転不能となるといった事態も懸念される。このような事態を防ぐためには、容量の大きな貯水手段を設けることも考えられるが、容量の大きな貯水手段は、例えば燃料電池車両に搭載する場合のようにレイアウト上の制約を強く受ける場合には、適用が困難である。
【0008】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、凍結が生ずるような環境下で使用されても排水不能になることを抑制することが可能な排水装置を提供することを目的とし、さらには、低温での円滑な起動が可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る排水装置は、ガス配管内の水分を集めて貯水槽に貯留し、所定の条件下で貯水槽内部の水を排出する排水装置であって、貯水槽の排水レベルが可変とされ、条件に応じて異なる排水レベルで貯水槽内部の水が排出されるようにしたものである。
【0010】
また、本発明に係る燃料電池システムは、以上のような排水装置の技術を応用したものであり、水素と酸素との供給を受けて発電する燃料電池本体と、この燃料電池本体から排出された余剰の水素を循環させて燃料電池本体に再度供給する水素循環配管と、この水素循環配管内の水分を集めて貯留する貯水槽とを備え、貯水槽の排水レベルが可変とされ、条件に応じて異なる排水レベルで貯水槽内部の水が排出されるようにしたものである。
【0011】
具体的には、例えば、システム稼働中は貯水槽における排水レベルが貯水槽の底部近くまで下げられ、貯水槽内に集められた水は速やかに排出される。一方、システムが停止した際には、貯水槽における排水レベルが上昇して、排水が停止される。ここで、排水レベルとは排水口(貯水槽から排水手段への連通部)の高さ位置に相当するものであり、排水口からの排水が可能な水位をいう。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、システム稼働時には貯水槽に貯留された水を排水口から十分に排出させながら、システム停止時には排水口から水が排出されないようにするといった排水制御が可能となり、システム停止後に排水口後段の配管等で水が凍結してその後の排水不能を招く要因となるといった問題を未然に回避することができる。したがって、特に燃料電池システムに本発明を適用した場合には、凍結が生ずるような環境下での使用においても貯水槽が排水不能となることがないので、低温においても燃料電池本体を円滑に起動することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
本実施形態は、燃料電池システムに本発明を適用した例である。燃料電池システムは、図1に示すように、発電要素として燃料電池本体1を備えている。
【0015】
燃料電池本体1は、燃料ガスである水素が供給される水素極(アノード極)と酸化剤ガスである空気が供給される空気極(カソード極)とが電解質を挟んで重ね合わされて発電セルが構成されるとともに、複数の発電セルが多段積層されたスタック構造を有しており、水素と空気中の酸素とを基にした電気化学反応により化学エネルギを電気エネルギに変換するものである。この燃料電池本体1の各発電セルでは、水素極に供給された水素が水素イオンと電子とに分離される反応が起き、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、空気極にそれぞれ移動する。空気極では、供給された空気中の酸素と電解質を通って移動した水素イオン及び電子が反応して水が生成され、外部に排出される。
【0016】
燃料電池本体1の発電セルを構成する電解質としては、高エネルギ密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、固体高分子電解質膜が用いられる。固体高分子電解質膜は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。
【0017】
燃料電池本体1は、以上のように、発電に際して燃料ガスである水素や酸化剤ガスである空気が供給される。燃料電池システムでは、そのための機構として、水素系及び空気系を備えている。
【0018】
先ず、水素系の構成について説明する。水素系は、加湿装置2を備えており、この加湿装置2により燃料タンク等から供給される水素に水分を与え、水素を加湿した状態で燃料電池本体1に供給することにより、燃料電池本体1内の電解質膜を湿潤状態に保つ。また、水素供給経路には、エゼクタ3が設けられている。エゼクタ3は、燃料電池本体1から利用されずに排出されて水素循環配管4によって循環される水素を、燃料タンク等から新たに供給される水素と混合させて、再度燃料電池本体1の入口へと導く機能を有する。
【0019】
燃料電池本体1の水素出口側には貯水槽5が設置されている。貯水槽5は、具体的にはガス(水素ガス)中の水分を集めて貯留するセパレータとしての機能を有するものである。セパレータとしての機能を有する貯水槽5は、水素系各部で凝縮した水を集める機能を持たせる意味で、水素系の最下点となる位置にレイアウトすることが望ましい。
【0020】
セパレータとして機能する貯水槽5には、第1の排水手段である排水バルブ6と、内部圧力異常時や緊急に圧力を下げなければならない場合に開弁するリリーフバルブ7とが設置されている。どちらのバルブも図示しないコントロールユニットによって開閉動作が制御される。なお、ここで、貯水槽5のリリーフバルブ7への連通部である排水口の高さ位置(排水レベル)は、第1の排水手段である排水バルブ6による排水レベルよりも高く設定されおり、システム停止時及び通常の運転中の貯水槽5内の水位上限よりも高くなるように設定されている。そして、このリリーフバルブ7は、第1の排水手段である排水バルブ6による排水が不能の時に、後述の制御により第2の排水手段として機能する。
【0021】
また、前記貯水槽5には、水素系の圧力を検出する圧力センサ8、及び水素系の温度を検出する温度センサ9が設置されている。
【0022】
次に、空気系の構成について説明する。空気系においても、水素系の加湿装置2と同様の加湿装置10が設けられており、これにより空気を加湿して燃料電池本体1へ送り込む。燃料電池本体1の空気極出口には、貯水手段11が設けられており、この貯水手段11に貯水した凝縮水が凝縮水供給バルブ12の開弁により水タンク13へ送水される。水タンク13内の水はポンプ14により空気系の加湿装置10,及び水素系の加湿装置2へ送られてガスの加湿のために再利用される。
【0023】
凝縮水供給バルブ12は、貯水手段11の貯水量が所定量以上と判断された場合に図示しないコントロールユニットの指令によって開弁し、凝縮水を水タンク13へと送り、貯水手段11の貯水量が所定量以下と判断された場合に閉弁する。また、ポンプ14も、各加湿装置2,10に水の補給が必要となった場合にコントロールユニットによって駆動される。
【0024】
以下、コントロールユニットで演算される制御について、図2を参照して説明する。図2は、コントロールユニットでの制御内容を機能的に表す機能ブロック図である。コントロールユニットでは、先ず、排水バルブ開弁手段21で排水バルブ6の開弁時期を決定し、開弁すべき条件と判断された場合に排水バルブ6を開弁し、次の排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22で排水流路が閉塞していないかを判定するとともに排水バルブ6の閉弁を制御する。
【0025】
排水流路の閉塞は指令値としては開弁であるが、排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22により凍結等により流路が閉塞していたり圧力損失が異常に高かったりしないかを判定する。
【0026】
ここで、流路が閉塞していないと判断された場合には排水完了を判定して排水バルブ6を閉弁するが、排水流路が閉塞されていると判断された場合はリリーフバルブ7にて排水を行うためにリリーフバルブ開弁手段23にてリリーフバルブ7の開弁時期を判定し、所定条件でリリーフバルブ7を開弁する。
【0027】
その後、リリーフ流路閉塞判定およびリリーフバルブ閉弁手段24にてリリーフ流路が閉塞していないかを判定し、閉塞していないと判断された場合は排水完了時期を予測してリリーフバルブを閉弁する。一方、リリーフ流路も閉塞していると判断された場合は異常処理手段25でシステム停止等の処理を行う。
【0028】
次に、以上のようなコントロールユニットにおける各手段での詳細な制御フローについて説明する。図3は、排水バルブ開弁手段21における制御フローを示すフローチャートである。
【0029】
排水バルブ開弁手段21では、ステップS1で後に設定される排水バルブ開弁フラグFDV及び凍結フラグFFを参照する。
【0030】
ステップS2で、排水バルブ6が閉弁(FDV=0)されており、かつ、凍結していない(FF=0)と判断されている場合には、排水バルブ6の開弁時期を演算するため以下のフローを実施するが、それ以外の条件では本フローを終了する。
【0031】
排水バルブの開弁時期を演算する場合は、ステップS3で図示しない負荷センサ(運転者のアクセルペダル踏み込み代センサなど)より現在の負荷Lを、また、水素経路内の温度THを温度センサ9より読み込み、ステップS4で単位時間当たりに貯水槽5に溜まる水の量WFをマップより求める。水の量は燃料電池本体1の負荷(運転負荷)が高ければ多くなり、経路内温度が低ければガス中に溶け込める水の量が低下するため液水量としては多くなるため、これを考慮したマップを用いた。
【0032】
その後、ステップS5で貯水槽5内に溜まった水の量SWFを単位時間あたりの貯水量WFの積算値として求め、ステップS6でその値が所定値SLSWF(SLSWFは、水位がリリーフバルブ7の位置よりも十分低くなる量)を越えたか否かを判定する。そして、越えていなければまだ貯水槽5の中は余裕があるため、排水せずに本フローを終了する。一方、越えていれば排水時期と判断して、ステップS7で溜まった水の量SWFをリセットし、ステップS8で次のフローで使用する排水バルブ開弁時間計測タイマTDVをスタートさせ、ステップS9で排水バルブ開弁フラグFDVを1として排水バルブ6を開弁してから本フローを終了する。
【0033】
コントロールユニットの排水バルブ開弁手段21は、以上のような制御フローを実行することにより、排水時期を的確に判断することが可能となる。なお、本フローでは負荷と温度,時間に基づいて貯水槽5内の水の量を予測したが、直接液面計で液面を計測してもよい。
【0034】
次に、図4を参照して、排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22における制御フローについて説明する。
【0035】
排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22では、ステップS11で排水バルブ開弁フラグFDVを参照し、ステップS12で開弁中(FDV=1)か閉弁中(FDV=0)かを判定する。閉弁中であれば本フローは実施しなくてよいため終了とする。開弁中であればいつ閉弁するのかを判断するため、ステップS13以降のフローを実行する。
【0036】
ステップS13で圧力センサ8の信号より水素系圧力PHを検出し、その値が所定圧力SLPHを下回ったか否かをステップS14で判定する。
【0037】
ここでの判定について、図5を参照して説明する。水素系の圧力Pは運転に最適なある所定値に制御されている。ここで排水バルブ6を開弁すると、排水されているうちは系の急激な内容積変化が無いため安定して制御されるが、排水が完了して系内のガスが流出すると調圧制御が追いつかずに一瞬系の圧力が大きく低下する。したがって、系の圧力が実験等で求めておいた所定圧力SLPHを下回ったときが排水完了時期と判定できる。
【0038】
また、排水が完了したということから、排水流路は凍結により閉塞していなかったと判断できる。ただし、圧力の低下は制御が遅れる一瞬であり、本フローは圧力低下を正確に判定できるレベルに速い速度で実行される必要がある。
【0039】
以上より、PH<SLPHとなったら排水完了及び凍結なしと判断し、ステップS18で凍結フラグをFF=0(凍結なし)として、ステップS19で排水バルブ開弁時間計測タイマTDVをリセットし、ステップS20で排水バルブ開弁フラグFDVを0として、ステップS21で排水バルブ6を閉弁する。
【0040】
一方、ステップS14でPH≧SLPH判断された場合は、ステップS15で排水バルブ開弁時間計測タイマTDVを読み込んで、ステップS16で所定時間(SLTDV)以上排水バルブ6が開弁し続けているかを判定し、所定時間を越えていない場合は排水中の可能性があるため本フローを一旦終了し、本フローを繰り返し行う。
【0041】
排水バルブ6の開弁が所定時間を超えた場合は、排水流路に異常(閉塞もしくは圧損大)があると判断し、ステップS17で凍結フラグをFF=1(凍結あり)として、ステップS19〜ステップS21を実行して排水バルブ6を閉弁する。
【0042】
コントロールユニットの排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22は、以上のような制御フローを実行することにより、排水バルブ6の閉弁時期を的確に判断できるとともに、排水流路の凍結を検出することが可能となる。
【0043】
次に、図6を参照して、リリーフバルブ開弁手段23における制御フローについて説明する。
【0044】
リリーフバルブ開弁手段23では、ステップS31で凍結フラグFFとリリーフバルブ開弁フラグFLVを読み込む。次に、ステップS32において、凍結状態と判定されており(FF=1)かつリリーフバルブ7が閉弁中(FLV=0)であるか否かを判定し、そうでなければ本フローは実行しなくても良いので本フローを終了し、そうであればステップS33で運転負荷Lと経路内温度THを読み込んでステップS34で単位時間あたりに貯水槽5へ溜まる水の量WLをマップより求め、それをステップS35で積算することで貯水槽5に溜まった水の量SWLを予測する。
【0045】
次に、ステップS36でキーONになってから排水のためにリリーフバルブ7を開弁したことがあるかないかを判定する。本フローがキーON後に初めて実行される場合は、排水バルブ6で排水できないことが判明した直後である。すなわち、このときの貯水槽5内の水の水位は、図7中の(a)で示す位置であり、排水バルブ6による排水レベルよりは充分高い位置となっているものの、未だリリーフバルブ7による排水レベルより充分高い位置まで到達していない状態である。したがって、この場合は水位が充分上がるまで(SLSWL2)待ってからリリーフバルブ7を開弁する必要がある。
【0046】
一方、前回の排水をリリーフバルブ7で行った場合には、排水はリリーフバルブ7による排水レベルまでしか行われていないので、このときの貯水槽5内の水の水位は、図7中の(b)に示すように、排水バルブ開弁手段21での積算量(SLSWF)分だけリリーフバルブ7による排水レベルよりも高い位置に溜まっているはずである。したがって、この場合はリリーフバルブ7の開放までに水位の上昇を待つ必要がないので、直ちにリリーフバルブ7を開放できるようにする(SLSWL1≒0)。以上の場合分けを、ステップS36〜ステップS38で行っている。
【0047】
次に、ステップS39では、SWLがSLSWLを越えたらリリーフバルブ7の開弁時期と判断する。そして、まだ開弁時期でない場合は本フローを終了する。一方、開弁時期と判断された場合はステップS40で水位積算量SWLをリセットし、ステップS41でリリーフバルブ開弁時間計測タイマをスタートする。そして、ステップS42でリリーフバルブ開弁フラグFLV=1として、ステップS43でリリーフバルブ7を開弁し、本フローを終了する。
【0048】
コントロールユニットのリリーフバルブ開弁手段23は、以上のような制御フローを実行することにより、リリーフバルブ7での排水時期を的確に判定することが可能となる。
【0049】
次に、図8を参照して、リリーフ流路閉塞判定およびリリーフバルブ閉弁手段24における制御フローついて説明する。
【0050】
リリーフ流路閉塞判定およびリリーフバルブ閉弁手段24では、ステップS51でリリーフバルブ開弁フラグFLVを読み込んで、ステップS52でリリーフバルブ7が開弁中か閉弁中かを判定し、閉弁中であればこのまま本フローを終了するが、開弁中であれば閉弁時期を判定する為に以下のフローを実行する。
【0051】
ステップS53〜ステップS56は、図4に示した排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22の制御フローにおけるステップS13〜ステップS16と同じ(タイマの引数は異なるが、機能は同じ)であるため、ここでは説明を省略する。
【0052】
ステップS56では排水完了に十分な時間(SLTLV)が経過したかどうかを判断し、排水完了に十分な時間(SLTLV)が経過していない場合はまだ排水中であると判断して、本フローを一旦終了する。一方、排水完了に十分な時間(SLTLV)が経過しても排水が完了しない場合は、流路閉塞もしくはリリーフバルブ7の作動不良と判断し、ステップS57で異常処理プログラムを実行する。ここで、異常処理プログラムによる処理内容は状況に応じて変わるが、例えば、システム停止や凍結解除のために流路を加熱する等が挙げられる。
【0053】
その後、ステップS54でYESとなった場合と同じフローを実行する。すなわち、ステップS58でリリーフバルブ開弁時間計測タイマTLVをリセットし、ステップS59で凍結フラグをFF=0(凍結なし)とし、ステップS60でリリーフバルブ開弁フラグFLVを閉弁(FLV=0)として、ステップS61でリリーフバルブ7を閉弁する。
【0054】
なお、ここでは実際には排水流路が凍結状態にあるか否かは判定していないが、判定のためには排水バルブ6の開弁が必要であり、そのためには凍結フラグをFF=0としなければならないため、運転中に解凍できた場合には通常の排水バルブ6で排水するために、敢えてステップS59で凍結フラグをFF=0としておく。
【0055】
コントロールユニットのリリーフ流路閉塞判定およびリリーフバルブ閉弁手段24は、以上のような制御フローを実行することにより、リリーフバルブ7での排水を確実に行わせるとともに、排水流路が解凍された場合の通常の排水動作への復帰も確実に行わせることが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態では、リリーフバルブ7を第2の排水手段として用いる場合の制御を説明したが、リリーフバルブ7は、以上のような第2の排水手段としての機能のみならず、貯水槽5内の圧力が過剰に上昇した場合、あるいは緊急停止時に開放される本来のリリーフバルブとしての機能も有している。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムでは、貯水槽5に設置された排水バルブ6を第1の排水手段、リリーフバルブ7を第2の排水手段として用いて、条件に応じてこれら排水手段を使い分けて貯水槽5内の水を排水するようにしているので、排水流路が凍結して閉塞した場合でも特別な弁を設けることなく、低コストでシステムの運転を実施することが可能となる。
【0058】
すなわち、本実施形態の燃料電池システムでは、排水バルブ6(第1の排水手段)への連通部の上方にリリーフバルブ7(第2の排水手段)への連通部を備えることで、実質的に、貯水槽5の排水手段への連通部である排水口の高さ位置(排水レベル)を可変としている。これにより、システムが氷点下となり凍結した場合等、排水バルブ6での排水が不能となった場合は、リリーフバルブ7で排水する構成となるため、氷点下でシステムを再起動した場合でも排水バルブ6が排水可能となるまではリリーフバルブ7で排水するため、氷点下での再起動が問題なく行える。
【0059】
また、リリーフバルブ7が、貯水槽5の内部圧力が所定圧力以上となったときに開弁してシステムを保護する機能と、第2の排水手段としての機能とを兼ね備えるようにすることで、新たな弁を追加することなく凍結時の運転を実行することができ、コストの上昇を抑えながらシステムの信頼性、低温対応性を改善することが可能である。さらに、リリーフバルブ7への連通部の高さを、システム停止時の貯水槽5内の水位上限よりも高くなるように設定することで、停止中に貯水槽5内の水に凍結が生じた場合でも、少なくともリリーフバルブ7からは排水可能となるため、信頼性をより高めることができる。
【0060】
さらにまた、排水バルブ6による排水が可能な場合には、システム運転中には貯水槽5内の水位がリリーフバルブ7への連通部よりも低くなるように制御することで、排水バルブ6による排水が可能な間は常に本来のリリーフバルブとしての機能を確保しておくことができ、これにより信頼性をより一層高めることができる。また、貯水槽5の容積を増大させることなく課題を解決できるため、車両用燃料電池システム等、搭載するレイアウト要件に制約がある場合に特に好適である。
【0061】
(第2の実施形態)
本実施形態は、図9(a)及び図9(b)に示すように、貯水槽5の底部にベローズ31を設け、そのベローズ31の伸縮にあわせて貯水槽5の排水バルブ6に通じる排水口(排水バルブ6への連通部)32が上下できる構成とした例である。なお、図9(a)はシステム運転中の状態、図9(b)はシステム停止中の状態をそれぞれ表している。
【0062】
以下、以上のような構成の貯水槽5の動作について説明する。
【0063】
システム運転中は、燃料電池本体1の水素系圧力は大気圧P0よりも所定分高い圧力P1で運転されている。その場合、図中ベローズ31の下側は大気開放となっているため、ベローズ31の上面(貯水槽5内部)と下面(大気開放)で差圧が生じ、その差圧によってベローズ31が押し下げられ、その状態で排水バルブ6を開弁すれば排水が行える。
【0064】
一方、システムを停止すると、本実施形態の場合は水素系は大気開放となり、その結果ベローズ31への差圧が無くなり、ベローズ31は自由長となる。自由長となると排水口32の位置が貯水槽5内の上方に移動することとなる。
【0065】
このときの排水口32の高さを、システム停止中に貯水槽5内に溜まる凝縮水の水位上限よりも高い位置となるように設計することで、システム停止中は排水流路に水が侵入することがなくなるため、システム停止中にシステム温度が氷点下となった場合でも排水流路が凍結により閉塞することはない。
【0066】
システム停止中に貯水槽5に溜まった水は、システムが氷点下となれば凍結する。その状態でシステムが再稼動した場合、ベローズ31は下方へ縮む力を受けるが、氷があるため縮まない。その後、氷が溶けた時点で自動的に縮み、通常の運転状態へ自動的に復帰できる。
【0067】
以上のように、本実施形態では、ベローズ31を用いたことで特別な制御やアクチュエータを設けることなく排水口32の高さ位置(排水レベル)を可変として、排水流路の凍結閉塞を防止できる。また、システム稼動中は排水口32の高さ位置を貯水槽5の底部近くとし、システム停止時は排水口32の高さ位置を貯水槽5内の水位上限よりも上方とすることで、システム運転中は貯水槽5に貯留する水をほぼ全て排出可能としながら、システム停止後に生成された凝縮水は貯水槽5へは溜まるが排水流路には流入しないようにすることができる。したがって、氷点下となっても排水流路は閉塞せず、氷点下でシステムを再起動しても問題なく運転をすることができる。
【0068】
(第3の実施形態)
本実施形態は、図10に示すように、貯水槽5内に第1の排水口41と第2の排水口42とを設けたものである。これら第1の排水口41と第2の排水口42は排水用配管を介してそれぞれ排水バルブ6に連通されているが、第2の排水口42の高さ位置(排水レベル)の方が第1の排水口41の高さ位置(排水レベル)よりも高くなるように設定されている。具体的には、例えば第1の排水口41の高さ位置は、貯水槽5の底部近くに設定され、第2の排水口42の高さ位置は、システム停止中に貯水槽5内に溜まる凝縮水の水位上限よりも高い位置に設定される。
【0069】
また、第1の排水口41に繋がる排水用配管は、その中途部が、システム停止中に貯水槽5内に溜まる凝縮水の水位上限よりも高い位置にレイアウトされている。また、第2の排水口42に繋がる排水用配管には、第1の排水口41に繋がる排水用配管との連結部の手前側に位置してオリフィス43が設置され、第2の排水口42に繋がる排水用配管内における圧力損失が、第1の排水口41に繋がる排水用配管内の圧力損失よりも高くなるように設定されている。
【0070】
以上のような構成の貯水槽5では、例えば通常のシステム稼働中に排水バルブ6を開弁すると、第1の排水口41及び第2の排水口42から貯水槽5内の水が排出される。そして、貯水槽5内の水位が第2の排水口42の高さ位置よりも低くなると、第1の排水口41からのみ排水が行われる。このとき、第2の排水口42からは貯水槽5内部のガスが排出される状態となるが、オリフィス43が設置されているために、第1の排水口41からの排水が主体に行われることになる。
【0071】
また、この貯水槽5では、第1の排水口41の高さ位置が低い位置にあるため、システム停止後にも貯水槽5内の水が第1の排水口41から排水用配管内に入り込むが、第1の排水口41に繋がる排水用配管の中途部は、システム停止中に貯水槽5内に溜まる凝縮水の水位上限よりも高い位置にレイアウトされているので、システム停止後に第1の排水口41から排水用配管に入り込んだ水は、それよりも下流へは流れ込まず、第2の排水口42に繋がる排水用配管には到達しない。
【0072】
したがって、システム停止中に氷点下となって貯水槽5内の凝縮水が凍結し、その後解凍が行われずに第1の排水口41に繋がる排水用配管が閉塞された状態でシステムの運転が再開された場合であっても、第2の排水口42に繋がる排水用配管は閉塞していないので、第2の排水口42からの排水は適切に行われることになる。この場合、排出に要する時間は第1の排水口41に繋がる排水用配管が凍結閉塞していない場合と比べて長くなるが、排水は可能である。
【0073】
以上のように、本実施形態では、第1の排水口41に繋がる排水用配管の途中部を、システム停止時に貯水槽5内に溜まる凝縮水の水位上限よりも高くなるようにレイアウトしているので、システム停止中に第1の排水口41から排水用配管内に入り込んだ水が、第2の排水口42に繋がる排水用配管には到達しないようになり、第2の排水口42に繋がる排水用配管内、或いは排水バルブ6内での凍結を有効に防止することができる。
【0074】
また、第2の排水口42の高さ位置をシステム停止中に貯水槽5に溜まる凝縮水の水位上限よりも高い位置に設定したことで、氷点下温度で第1の排水口41に繋がる排水用配管が閉塞した状態となっても、第2の排水口42からの排水は可能となる。このため、氷点下温度でもシステムの運転を実行することが可能となる。
【0075】
また、システム稼働時に排水を行って貯水槽5内の水位が第2の排水口42の高さ位置よりも低くなった場合は、第2の排水口42から貯水槽5内部のガスが所定量排出されるが、第2の排水口42に繋がる排水用配管内の圧力損失を第1の排水口41に繋がる排水用配管内の圧力損失よりも高くしたため、通常のシステム稼働中に、第2の排水口42から排出される内部ガスの量を低減させることが可能となる。その結果、燃料の排出を抑制することが可能となり、燃費の悪化を抑えつつ低温運転性を改善することが可能となる。
【0076】
なお、本実施形態では、第2の排水口42に繋がる排水用配管にオリフィス43を設置することで第2の排水口42からの内部ガスの流出を最小限に抑える構成としたが、オリフィス43の代わりに、低温で開弁し高温で閉弁するサーモスタットを設置してもよい。この場合、低温で第1の排水口41に繋がる排水用配管が凍結閉塞している虞れのある場合にのみ、サーモスタットが開弁して第2の排水口42からの排水が可能となり、それ以外の場合にはサーモスタットが閉弁するので、第2の排水口42から内部ガスが排出されることもがなく、燃料の排出を防止して燃費の悪化を抑えることができる。また、この例では、第1の排水口41に繋がる排水用配管の閉塞時における第2の排水口42からの排水時間も第1の排水口41からの排水と同レベルの所要時間とすることが可能となる。
【0077】
なお、以上説明した第2の実施形態、第3の実施形態では、いずれにおいても排水のタイミングは第1の実施形態で説明した排水バルブ開弁手段21のロジックを用いればよく、閉弁についても、排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22での制御で説明したように、系内の圧力が瞬間的に落ちたタイミングで閉弁すれば問題ない。また、凍結しても作動する超音波式の水位計等で正確に水位を計測して、開弁、閉弁のタイミングを決めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池システムの構成を示す図である。
【図2】コントロールユニットでの制御内容を示す機能ブロック図である。
【図3】コントロールユニットの排水バルブ開弁手段における制御フローを示すフローチャートである。
【図4】コントロールユニットの排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段における制御フローを示すフローチャートである。
【図5】水素系圧力PHによる排出完了時期の判定原理を説明する図である。
【図6】コントロールユニットのリリーフバルブ閉弁手段における制御フローを示すフローチャートである。
【図7】貯水槽内における水位を説明する図である。
【図8】コントロールユニットのリリーフ流路閉塞判定およびリリーフバルブ閉弁手段における制御フローを示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態の貯水槽の構成を示すものであり、(a)はシステム運転中の状態を示す模式図、(b)はシステム停止中の状態を示す模式図である。
【図10】第3の実施形態の貯水槽の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 燃料電池本体
2 加湿装置
4 水素循環配管
5 貯水槽
6 排水バルブ
7 リリーフバルブ
21 排水バルブ開弁手段
22 排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段
23 リリーフバルブ閉弁手段
24 リリーフ流路閉塞判定およびリリーフバルブ閉弁手段
25 異常処理手段
31 ベローズ
32 排水口
41 第1の排水口
42 第2の排水口
43 オリフィス
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス配管中のガスに含まれる余分な水分を排出するための排水装置、及びこれを応用した燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水素と酸素との供給により発電する燃料電池本体を発電要素として備える燃料電池システムが知られている。この燃料電池システムにおいて、燃料電池本体より排出されるオフガス中には、多量の水蒸気が存在する。その水蒸気がガス配管内で冷却されると、凝縮水となって配管経路中に溜まることとなる。そればかりか、燃料電池本体の内部にも液水が発生する場合があり、この液水がガス流に押し出されてやはり配管経路等に溜まることがある。これらの水を残留させたままにしておくと、システム停止後に外気温度が氷点下となった場合に凍結し、その量や配管の経路にもよるが、次回始動時に圧損となり正常な運転ができなくなるおそれがある。
【0003】
したがって、燃料電池システムにおいては、燃料電池本体から排出されるオフガスに含まれる水分がガス管路中に溜まることを防ぐ必要があり、そのための排水機構が提案されている(例えば、特許文献1等を参照)。
【0004】
具体的には、前記特許文献1記載の技術では、燃料電池本体からのオフガスを循環させる循環配管に、冷却水との熱交換によりオフガスを冷却してオフガス中に含まれている水蒸気を凝縮,除去する気水分離器を設け、運転時にエジェクタポンプの内部、混合ガス回路の配管内に凝縮水が溜まるのを防止して燃料電池本体に供給する燃料ガスの流量,圧力の安定化を図るようにしている。ここで、気水分離器内に溜まった水は、その底部に設けられたドレンにより外部に排出するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−321316号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、気水分離器内に溜まった水を底部に設けられたドレンから排水する排水機構では、システム停止後に経路内に存在する湿潤ガスが冷やされ続けて発生する凝縮水がドレン経路やドレンバルブに入り込み、これがそのまま凍結すると排水不能となるという問題がある。
【0007】
これにより直ちに初期の運転に支障をきたすわけではないが、運転によって生じた凝縮水を排出できなくなるために、運転に伴って気水分離器の貯水量が増加して満水となることも想定され、この場合には、凝縮水によってガス配管が閉塞されてシステムが運転不能となるといった事態も懸念される。このような事態を防ぐためには、容量の大きな貯水手段を設けることも考えられるが、容量の大きな貯水手段は、例えば燃料電池車両に搭載する場合のようにレイアウト上の制約を強く受ける場合には、適用が困難である。
【0008】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、凍結が生ずるような環境下で使用されても排水不能になることを抑制することが可能な排水装置を提供することを目的とし、さらには、低温での円滑な起動が可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る排水装置は、ガス配管内の水分を集めて貯水槽に貯留し、所定の条件下で貯水槽内部の水を排出する排水装置であって、貯水槽の排水レベルが可変とされ、条件に応じて異なる排水レベルで貯水槽内部の水が排出されるようにしたものである。
【0010】
また、本発明に係る燃料電池システムは、以上のような排水装置の技術を応用したものであり、水素と酸素との供給を受けて発電する燃料電池本体と、この燃料電池本体から排出された余剰の水素を循環させて燃料電池本体に再度供給する水素循環配管と、この水素循環配管内の水分を集めて貯留する貯水槽とを備え、貯水槽の排水レベルが可変とされ、条件に応じて異なる排水レベルで貯水槽内部の水が排出されるようにしたものである。
【0011】
具体的には、例えば、システム稼働中は貯水槽における排水レベルが貯水槽の底部近くまで下げられ、貯水槽内に集められた水は速やかに排出される。一方、システムが停止した際には、貯水槽における排水レベルが上昇して、排水が停止される。ここで、排水レベルとは排水口(貯水槽から排水手段への連通部)の高さ位置に相当するものであり、排水口からの排水が可能な水位をいう。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、システム稼働時には貯水槽に貯留された水を排水口から十分に排出させながら、システム停止時には排水口から水が排出されないようにするといった排水制御が可能となり、システム停止後に排水口後段の配管等で水が凍結してその後の排水不能を招く要因となるといった問題を未然に回避することができる。したがって、特に燃料電池システムに本発明を適用した場合には、凍結が生ずるような環境下での使用においても貯水槽が排水不能となることがないので、低温においても燃料電池本体を円滑に起動することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
本実施形態は、燃料電池システムに本発明を適用した例である。燃料電池システムは、図1に示すように、発電要素として燃料電池本体1を備えている。
【0015】
燃料電池本体1は、燃料ガスである水素が供給される水素極(アノード極)と酸化剤ガスである空気が供給される空気極(カソード極)とが電解質を挟んで重ね合わされて発電セルが構成されるとともに、複数の発電セルが多段積層されたスタック構造を有しており、水素と空気中の酸素とを基にした電気化学反応により化学エネルギを電気エネルギに変換するものである。この燃料電池本体1の各発電セルでは、水素極に供給された水素が水素イオンと電子とに分離される反応が起き、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、空気極にそれぞれ移動する。空気極では、供給された空気中の酸素と電解質を通って移動した水素イオン及び電子が反応して水が生成され、外部に排出される。
【0016】
燃料電池本体1の発電セルを構成する電解質としては、高エネルギ密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、固体高分子電解質膜が用いられる。固体高分子電解質膜は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。
【0017】
燃料電池本体1は、以上のように、発電に際して燃料ガスである水素や酸化剤ガスである空気が供給される。燃料電池システムでは、そのための機構として、水素系及び空気系を備えている。
【0018】
先ず、水素系の構成について説明する。水素系は、加湿装置2を備えており、この加湿装置2により燃料タンク等から供給される水素に水分を与え、水素を加湿した状態で燃料電池本体1に供給することにより、燃料電池本体1内の電解質膜を湿潤状態に保つ。また、水素供給経路には、エゼクタ3が設けられている。エゼクタ3は、燃料電池本体1から利用されずに排出されて水素循環配管4によって循環される水素を、燃料タンク等から新たに供給される水素と混合させて、再度燃料電池本体1の入口へと導く機能を有する。
【0019】
燃料電池本体1の水素出口側には貯水槽5が設置されている。貯水槽5は、具体的にはガス(水素ガス)中の水分を集めて貯留するセパレータとしての機能を有するものである。セパレータとしての機能を有する貯水槽5は、水素系各部で凝縮した水を集める機能を持たせる意味で、水素系の最下点となる位置にレイアウトすることが望ましい。
【0020】
セパレータとして機能する貯水槽5には、第1の排水手段である排水バルブ6と、内部圧力異常時や緊急に圧力を下げなければならない場合に開弁するリリーフバルブ7とが設置されている。どちらのバルブも図示しないコントロールユニットによって開閉動作が制御される。なお、ここで、貯水槽5のリリーフバルブ7への連通部である排水口の高さ位置(排水レベル)は、第1の排水手段である排水バルブ6による排水レベルよりも高く設定されおり、システム停止時及び通常の運転中の貯水槽5内の水位上限よりも高くなるように設定されている。そして、このリリーフバルブ7は、第1の排水手段である排水バルブ6による排水が不能の時に、後述の制御により第2の排水手段として機能する。
【0021】
また、前記貯水槽5には、水素系の圧力を検出する圧力センサ8、及び水素系の温度を検出する温度センサ9が設置されている。
【0022】
次に、空気系の構成について説明する。空気系においても、水素系の加湿装置2と同様の加湿装置10が設けられており、これにより空気を加湿して燃料電池本体1へ送り込む。燃料電池本体1の空気極出口には、貯水手段11が設けられており、この貯水手段11に貯水した凝縮水が凝縮水供給バルブ12の開弁により水タンク13へ送水される。水タンク13内の水はポンプ14により空気系の加湿装置10,及び水素系の加湿装置2へ送られてガスの加湿のために再利用される。
【0023】
凝縮水供給バルブ12は、貯水手段11の貯水量が所定量以上と判断された場合に図示しないコントロールユニットの指令によって開弁し、凝縮水を水タンク13へと送り、貯水手段11の貯水量が所定量以下と判断された場合に閉弁する。また、ポンプ14も、各加湿装置2,10に水の補給が必要となった場合にコントロールユニットによって駆動される。
【0024】
以下、コントロールユニットで演算される制御について、図2を参照して説明する。図2は、コントロールユニットでの制御内容を機能的に表す機能ブロック図である。コントロールユニットでは、先ず、排水バルブ開弁手段21で排水バルブ6の開弁時期を決定し、開弁すべき条件と判断された場合に排水バルブ6を開弁し、次の排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22で排水流路が閉塞していないかを判定するとともに排水バルブ6の閉弁を制御する。
【0025】
排水流路の閉塞は指令値としては開弁であるが、排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22により凍結等により流路が閉塞していたり圧力損失が異常に高かったりしないかを判定する。
【0026】
ここで、流路が閉塞していないと判断された場合には排水完了を判定して排水バルブ6を閉弁するが、排水流路が閉塞されていると判断された場合はリリーフバルブ7にて排水を行うためにリリーフバルブ開弁手段23にてリリーフバルブ7の開弁時期を判定し、所定条件でリリーフバルブ7を開弁する。
【0027】
その後、リリーフ流路閉塞判定およびリリーフバルブ閉弁手段24にてリリーフ流路が閉塞していないかを判定し、閉塞していないと判断された場合は排水完了時期を予測してリリーフバルブを閉弁する。一方、リリーフ流路も閉塞していると判断された場合は異常処理手段25でシステム停止等の処理を行う。
【0028】
次に、以上のようなコントロールユニットにおける各手段での詳細な制御フローについて説明する。図3は、排水バルブ開弁手段21における制御フローを示すフローチャートである。
【0029】
排水バルブ開弁手段21では、ステップS1で後に設定される排水バルブ開弁フラグFDV及び凍結フラグFFを参照する。
【0030】
ステップS2で、排水バルブ6が閉弁(FDV=0)されており、かつ、凍結していない(FF=0)と判断されている場合には、排水バルブ6の開弁時期を演算するため以下のフローを実施するが、それ以外の条件では本フローを終了する。
【0031】
排水バルブの開弁時期を演算する場合は、ステップS3で図示しない負荷センサ(運転者のアクセルペダル踏み込み代センサなど)より現在の負荷Lを、また、水素経路内の温度THを温度センサ9より読み込み、ステップS4で単位時間当たりに貯水槽5に溜まる水の量WFをマップより求める。水の量は燃料電池本体1の負荷(運転負荷)が高ければ多くなり、経路内温度が低ければガス中に溶け込める水の量が低下するため液水量としては多くなるため、これを考慮したマップを用いた。
【0032】
その後、ステップS5で貯水槽5内に溜まった水の量SWFを単位時間あたりの貯水量WFの積算値として求め、ステップS6でその値が所定値SLSWF(SLSWFは、水位がリリーフバルブ7の位置よりも十分低くなる量)を越えたか否かを判定する。そして、越えていなければまだ貯水槽5の中は余裕があるため、排水せずに本フローを終了する。一方、越えていれば排水時期と判断して、ステップS7で溜まった水の量SWFをリセットし、ステップS8で次のフローで使用する排水バルブ開弁時間計測タイマTDVをスタートさせ、ステップS9で排水バルブ開弁フラグFDVを1として排水バルブ6を開弁してから本フローを終了する。
【0033】
コントロールユニットの排水バルブ開弁手段21は、以上のような制御フローを実行することにより、排水時期を的確に判断することが可能となる。なお、本フローでは負荷と温度,時間に基づいて貯水槽5内の水の量を予測したが、直接液面計で液面を計測してもよい。
【0034】
次に、図4を参照して、排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22における制御フローについて説明する。
【0035】
排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22では、ステップS11で排水バルブ開弁フラグFDVを参照し、ステップS12で開弁中(FDV=1)か閉弁中(FDV=0)かを判定する。閉弁中であれば本フローは実施しなくてよいため終了とする。開弁中であればいつ閉弁するのかを判断するため、ステップS13以降のフローを実行する。
【0036】
ステップS13で圧力センサ8の信号より水素系圧力PHを検出し、その値が所定圧力SLPHを下回ったか否かをステップS14で判定する。
【0037】
ここでの判定について、図5を参照して説明する。水素系の圧力Pは運転に最適なある所定値に制御されている。ここで排水バルブ6を開弁すると、排水されているうちは系の急激な内容積変化が無いため安定して制御されるが、排水が完了して系内のガスが流出すると調圧制御が追いつかずに一瞬系の圧力が大きく低下する。したがって、系の圧力が実験等で求めておいた所定圧力SLPHを下回ったときが排水完了時期と判定できる。
【0038】
また、排水が完了したということから、排水流路は凍結により閉塞していなかったと判断できる。ただし、圧力の低下は制御が遅れる一瞬であり、本フローは圧力低下を正確に判定できるレベルに速い速度で実行される必要がある。
【0039】
以上より、PH<SLPHとなったら排水完了及び凍結なしと判断し、ステップS18で凍結フラグをFF=0(凍結なし)として、ステップS19で排水バルブ開弁時間計測タイマTDVをリセットし、ステップS20で排水バルブ開弁フラグFDVを0として、ステップS21で排水バルブ6を閉弁する。
【0040】
一方、ステップS14でPH≧SLPH判断された場合は、ステップS15で排水バルブ開弁時間計測タイマTDVを読み込んで、ステップS16で所定時間(SLTDV)以上排水バルブ6が開弁し続けているかを判定し、所定時間を越えていない場合は排水中の可能性があるため本フローを一旦終了し、本フローを繰り返し行う。
【0041】
排水バルブ6の開弁が所定時間を超えた場合は、排水流路に異常(閉塞もしくは圧損大)があると判断し、ステップS17で凍結フラグをFF=1(凍結あり)として、ステップS19〜ステップS21を実行して排水バルブ6を閉弁する。
【0042】
コントロールユニットの排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22は、以上のような制御フローを実行することにより、排水バルブ6の閉弁時期を的確に判断できるとともに、排水流路の凍結を検出することが可能となる。
【0043】
次に、図6を参照して、リリーフバルブ開弁手段23における制御フローについて説明する。
【0044】
リリーフバルブ開弁手段23では、ステップS31で凍結フラグFFとリリーフバルブ開弁フラグFLVを読み込む。次に、ステップS32において、凍結状態と判定されており(FF=1)かつリリーフバルブ7が閉弁中(FLV=0)であるか否かを判定し、そうでなければ本フローは実行しなくても良いので本フローを終了し、そうであればステップS33で運転負荷Lと経路内温度THを読み込んでステップS34で単位時間あたりに貯水槽5へ溜まる水の量WLをマップより求め、それをステップS35で積算することで貯水槽5に溜まった水の量SWLを予測する。
【0045】
次に、ステップS36でキーONになってから排水のためにリリーフバルブ7を開弁したことがあるかないかを判定する。本フローがキーON後に初めて実行される場合は、排水バルブ6で排水できないことが判明した直後である。すなわち、このときの貯水槽5内の水の水位は、図7中の(a)で示す位置であり、排水バルブ6による排水レベルよりは充分高い位置となっているものの、未だリリーフバルブ7による排水レベルより充分高い位置まで到達していない状態である。したがって、この場合は水位が充分上がるまで(SLSWL2)待ってからリリーフバルブ7を開弁する必要がある。
【0046】
一方、前回の排水をリリーフバルブ7で行った場合には、排水はリリーフバルブ7による排水レベルまでしか行われていないので、このときの貯水槽5内の水の水位は、図7中の(b)に示すように、排水バルブ開弁手段21での積算量(SLSWF)分だけリリーフバルブ7による排水レベルよりも高い位置に溜まっているはずである。したがって、この場合はリリーフバルブ7の開放までに水位の上昇を待つ必要がないので、直ちにリリーフバルブ7を開放できるようにする(SLSWL1≒0)。以上の場合分けを、ステップS36〜ステップS38で行っている。
【0047】
次に、ステップS39では、SWLがSLSWLを越えたらリリーフバルブ7の開弁時期と判断する。そして、まだ開弁時期でない場合は本フローを終了する。一方、開弁時期と判断された場合はステップS40で水位積算量SWLをリセットし、ステップS41でリリーフバルブ開弁時間計測タイマをスタートする。そして、ステップS42でリリーフバルブ開弁フラグFLV=1として、ステップS43でリリーフバルブ7を開弁し、本フローを終了する。
【0048】
コントロールユニットのリリーフバルブ開弁手段23は、以上のような制御フローを実行することにより、リリーフバルブ7での排水時期を的確に判定することが可能となる。
【0049】
次に、図8を参照して、リリーフ流路閉塞判定およびリリーフバルブ閉弁手段24における制御フローついて説明する。
【0050】
リリーフ流路閉塞判定およびリリーフバルブ閉弁手段24では、ステップS51でリリーフバルブ開弁フラグFLVを読み込んで、ステップS52でリリーフバルブ7が開弁中か閉弁中かを判定し、閉弁中であればこのまま本フローを終了するが、開弁中であれば閉弁時期を判定する為に以下のフローを実行する。
【0051】
ステップS53〜ステップS56は、図4に示した排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22の制御フローにおけるステップS13〜ステップS16と同じ(タイマの引数は異なるが、機能は同じ)であるため、ここでは説明を省略する。
【0052】
ステップS56では排水完了に十分な時間(SLTLV)が経過したかどうかを判断し、排水完了に十分な時間(SLTLV)が経過していない場合はまだ排水中であると判断して、本フローを一旦終了する。一方、排水完了に十分な時間(SLTLV)が経過しても排水が完了しない場合は、流路閉塞もしくはリリーフバルブ7の作動不良と判断し、ステップS57で異常処理プログラムを実行する。ここで、異常処理プログラムによる処理内容は状況に応じて変わるが、例えば、システム停止や凍結解除のために流路を加熱する等が挙げられる。
【0053】
その後、ステップS54でYESとなった場合と同じフローを実行する。すなわち、ステップS58でリリーフバルブ開弁時間計測タイマTLVをリセットし、ステップS59で凍結フラグをFF=0(凍結なし)とし、ステップS60でリリーフバルブ開弁フラグFLVを閉弁(FLV=0)として、ステップS61でリリーフバルブ7を閉弁する。
【0054】
なお、ここでは実際には排水流路が凍結状態にあるか否かは判定していないが、判定のためには排水バルブ6の開弁が必要であり、そのためには凍結フラグをFF=0としなければならないため、運転中に解凍できた場合には通常の排水バルブ6で排水するために、敢えてステップS59で凍結フラグをFF=0としておく。
【0055】
コントロールユニットのリリーフ流路閉塞判定およびリリーフバルブ閉弁手段24は、以上のような制御フローを実行することにより、リリーフバルブ7での排水を確実に行わせるとともに、排水流路が解凍された場合の通常の排水動作への復帰も確実に行わせることが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態では、リリーフバルブ7を第2の排水手段として用いる場合の制御を説明したが、リリーフバルブ7は、以上のような第2の排水手段としての機能のみならず、貯水槽5内の圧力が過剰に上昇した場合、あるいは緊急停止時に開放される本来のリリーフバルブとしての機能も有している。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムでは、貯水槽5に設置された排水バルブ6を第1の排水手段、リリーフバルブ7を第2の排水手段として用いて、条件に応じてこれら排水手段を使い分けて貯水槽5内の水を排水するようにしているので、排水流路が凍結して閉塞した場合でも特別な弁を設けることなく、低コストでシステムの運転を実施することが可能となる。
【0058】
すなわち、本実施形態の燃料電池システムでは、排水バルブ6(第1の排水手段)への連通部の上方にリリーフバルブ7(第2の排水手段)への連通部を備えることで、実質的に、貯水槽5の排水手段への連通部である排水口の高さ位置(排水レベル)を可変としている。これにより、システムが氷点下となり凍結した場合等、排水バルブ6での排水が不能となった場合は、リリーフバルブ7で排水する構成となるため、氷点下でシステムを再起動した場合でも排水バルブ6が排水可能となるまではリリーフバルブ7で排水するため、氷点下での再起動が問題なく行える。
【0059】
また、リリーフバルブ7が、貯水槽5の内部圧力が所定圧力以上となったときに開弁してシステムを保護する機能と、第2の排水手段としての機能とを兼ね備えるようにすることで、新たな弁を追加することなく凍結時の運転を実行することができ、コストの上昇を抑えながらシステムの信頼性、低温対応性を改善することが可能である。さらに、リリーフバルブ7への連通部の高さを、システム停止時の貯水槽5内の水位上限よりも高くなるように設定することで、停止中に貯水槽5内の水に凍結が生じた場合でも、少なくともリリーフバルブ7からは排水可能となるため、信頼性をより高めることができる。
【0060】
さらにまた、排水バルブ6による排水が可能な場合には、システム運転中には貯水槽5内の水位がリリーフバルブ7への連通部よりも低くなるように制御することで、排水バルブ6による排水が可能な間は常に本来のリリーフバルブとしての機能を確保しておくことができ、これにより信頼性をより一層高めることができる。また、貯水槽5の容積を増大させることなく課題を解決できるため、車両用燃料電池システム等、搭載するレイアウト要件に制約がある場合に特に好適である。
【0061】
(第2の実施形態)
本実施形態は、図9(a)及び図9(b)に示すように、貯水槽5の底部にベローズ31を設け、そのベローズ31の伸縮にあわせて貯水槽5の排水バルブ6に通じる排水口(排水バルブ6への連通部)32が上下できる構成とした例である。なお、図9(a)はシステム運転中の状態、図9(b)はシステム停止中の状態をそれぞれ表している。
【0062】
以下、以上のような構成の貯水槽5の動作について説明する。
【0063】
システム運転中は、燃料電池本体1の水素系圧力は大気圧P0よりも所定分高い圧力P1で運転されている。その場合、図中ベローズ31の下側は大気開放となっているため、ベローズ31の上面(貯水槽5内部)と下面(大気開放)で差圧が生じ、その差圧によってベローズ31が押し下げられ、その状態で排水バルブ6を開弁すれば排水が行える。
【0064】
一方、システムを停止すると、本実施形態の場合は水素系は大気開放となり、その結果ベローズ31への差圧が無くなり、ベローズ31は自由長となる。自由長となると排水口32の位置が貯水槽5内の上方に移動することとなる。
【0065】
このときの排水口32の高さを、システム停止中に貯水槽5内に溜まる凝縮水の水位上限よりも高い位置となるように設計することで、システム停止中は排水流路に水が侵入することがなくなるため、システム停止中にシステム温度が氷点下となった場合でも排水流路が凍結により閉塞することはない。
【0066】
システム停止中に貯水槽5に溜まった水は、システムが氷点下となれば凍結する。その状態でシステムが再稼動した場合、ベローズ31は下方へ縮む力を受けるが、氷があるため縮まない。その後、氷が溶けた時点で自動的に縮み、通常の運転状態へ自動的に復帰できる。
【0067】
以上のように、本実施形態では、ベローズ31を用いたことで特別な制御やアクチュエータを設けることなく排水口32の高さ位置(排水レベル)を可変として、排水流路の凍結閉塞を防止できる。また、システム稼動中は排水口32の高さ位置を貯水槽5の底部近くとし、システム停止時は排水口32の高さ位置を貯水槽5内の水位上限よりも上方とすることで、システム運転中は貯水槽5に貯留する水をほぼ全て排出可能としながら、システム停止後に生成された凝縮水は貯水槽5へは溜まるが排水流路には流入しないようにすることができる。したがって、氷点下となっても排水流路は閉塞せず、氷点下でシステムを再起動しても問題なく運転をすることができる。
【0068】
(第3の実施形態)
本実施形態は、図10に示すように、貯水槽5内に第1の排水口41と第2の排水口42とを設けたものである。これら第1の排水口41と第2の排水口42は排水用配管を介してそれぞれ排水バルブ6に連通されているが、第2の排水口42の高さ位置(排水レベル)の方が第1の排水口41の高さ位置(排水レベル)よりも高くなるように設定されている。具体的には、例えば第1の排水口41の高さ位置は、貯水槽5の底部近くに設定され、第2の排水口42の高さ位置は、システム停止中に貯水槽5内に溜まる凝縮水の水位上限よりも高い位置に設定される。
【0069】
また、第1の排水口41に繋がる排水用配管は、その中途部が、システム停止中に貯水槽5内に溜まる凝縮水の水位上限よりも高い位置にレイアウトされている。また、第2の排水口42に繋がる排水用配管には、第1の排水口41に繋がる排水用配管との連結部の手前側に位置してオリフィス43が設置され、第2の排水口42に繋がる排水用配管内における圧力損失が、第1の排水口41に繋がる排水用配管内の圧力損失よりも高くなるように設定されている。
【0070】
以上のような構成の貯水槽5では、例えば通常のシステム稼働中に排水バルブ6を開弁すると、第1の排水口41及び第2の排水口42から貯水槽5内の水が排出される。そして、貯水槽5内の水位が第2の排水口42の高さ位置よりも低くなると、第1の排水口41からのみ排水が行われる。このとき、第2の排水口42からは貯水槽5内部のガスが排出される状態となるが、オリフィス43が設置されているために、第1の排水口41からの排水が主体に行われることになる。
【0071】
また、この貯水槽5では、第1の排水口41の高さ位置が低い位置にあるため、システム停止後にも貯水槽5内の水が第1の排水口41から排水用配管内に入り込むが、第1の排水口41に繋がる排水用配管の中途部は、システム停止中に貯水槽5内に溜まる凝縮水の水位上限よりも高い位置にレイアウトされているので、システム停止後に第1の排水口41から排水用配管に入り込んだ水は、それよりも下流へは流れ込まず、第2の排水口42に繋がる排水用配管には到達しない。
【0072】
したがって、システム停止中に氷点下となって貯水槽5内の凝縮水が凍結し、その後解凍が行われずに第1の排水口41に繋がる排水用配管が閉塞された状態でシステムの運転が再開された場合であっても、第2の排水口42に繋がる排水用配管は閉塞していないので、第2の排水口42からの排水は適切に行われることになる。この場合、排出に要する時間は第1の排水口41に繋がる排水用配管が凍結閉塞していない場合と比べて長くなるが、排水は可能である。
【0073】
以上のように、本実施形態では、第1の排水口41に繋がる排水用配管の途中部を、システム停止時に貯水槽5内に溜まる凝縮水の水位上限よりも高くなるようにレイアウトしているので、システム停止中に第1の排水口41から排水用配管内に入り込んだ水が、第2の排水口42に繋がる排水用配管には到達しないようになり、第2の排水口42に繋がる排水用配管内、或いは排水バルブ6内での凍結を有効に防止することができる。
【0074】
また、第2の排水口42の高さ位置をシステム停止中に貯水槽5に溜まる凝縮水の水位上限よりも高い位置に設定したことで、氷点下温度で第1の排水口41に繋がる排水用配管が閉塞した状態となっても、第2の排水口42からの排水は可能となる。このため、氷点下温度でもシステムの運転を実行することが可能となる。
【0075】
また、システム稼働時に排水を行って貯水槽5内の水位が第2の排水口42の高さ位置よりも低くなった場合は、第2の排水口42から貯水槽5内部のガスが所定量排出されるが、第2の排水口42に繋がる排水用配管内の圧力損失を第1の排水口41に繋がる排水用配管内の圧力損失よりも高くしたため、通常のシステム稼働中に、第2の排水口42から排出される内部ガスの量を低減させることが可能となる。その結果、燃料の排出を抑制することが可能となり、燃費の悪化を抑えつつ低温運転性を改善することが可能となる。
【0076】
なお、本実施形態では、第2の排水口42に繋がる排水用配管にオリフィス43を設置することで第2の排水口42からの内部ガスの流出を最小限に抑える構成としたが、オリフィス43の代わりに、低温で開弁し高温で閉弁するサーモスタットを設置してもよい。この場合、低温で第1の排水口41に繋がる排水用配管が凍結閉塞している虞れのある場合にのみ、サーモスタットが開弁して第2の排水口42からの排水が可能となり、それ以外の場合にはサーモスタットが閉弁するので、第2の排水口42から内部ガスが排出されることもがなく、燃料の排出を防止して燃費の悪化を抑えることができる。また、この例では、第1の排水口41に繋がる排水用配管の閉塞時における第2の排水口42からの排水時間も第1の排水口41からの排水と同レベルの所要時間とすることが可能となる。
【0077】
なお、以上説明した第2の実施形態、第3の実施形態では、いずれにおいても排水のタイミングは第1の実施形態で説明した排水バルブ開弁手段21のロジックを用いればよく、閉弁についても、排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段22での制御で説明したように、系内の圧力が瞬間的に落ちたタイミングで閉弁すれば問題ない。また、凍結しても作動する超音波式の水位計等で正確に水位を計測して、開弁、閉弁のタイミングを決めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池システムの構成を示す図である。
【図2】コントロールユニットでの制御内容を示す機能ブロック図である。
【図3】コントロールユニットの排水バルブ開弁手段における制御フローを示すフローチャートである。
【図4】コントロールユニットの排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段における制御フローを示すフローチャートである。
【図5】水素系圧力PHによる排出完了時期の判定原理を説明する図である。
【図6】コントロールユニットのリリーフバルブ閉弁手段における制御フローを示すフローチャートである。
【図7】貯水槽内における水位を説明する図である。
【図8】コントロールユニットのリリーフ流路閉塞判定およびリリーフバルブ閉弁手段における制御フローを示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態の貯水槽の構成を示すものであり、(a)はシステム運転中の状態を示す模式図、(b)はシステム停止中の状態を示す模式図である。
【図10】第3の実施形態の貯水槽の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 燃料電池本体
2 加湿装置
4 水素循環配管
5 貯水槽
6 排水バルブ
7 リリーフバルブ
21 排水バルブ開弁手段
22 排水流路閉塞判定および排水バルブ閉弁手段
23 リリーフバルブ閉弁手段
24 リリーフ流路閉塞判定およびリリーフバルブ閉弁手段
25 異常処理手段
31 ベローズ
32 排水口
41 第1の排水口
42 第2の排水口
43 オリフィス
Claims (12)
- ガス配管内の水分を集めて貯水槽に貯留し、所定の条件下で前記貯水槽内部の水を排出する排水装置であって、
前記貯水槽は排水レベルが可変とされ、条件に応じて異なる排水レベルで前記貯水槽内部の水が排出されることを特徴とする排水装置。 - 水素と酸素との供給を受けて発電する燃料電池本体と、
前記燃料電池本体から排出された余剰の水素を循環させて前記燃料電池本体に再度供給する水素循環配管と、
前記水素循環配管内の水分を集めて貯留する貯水槽とを備え、
前記貯水槽は排水レベルが可変とされ、条件に応じて異なる排水レベルで前記貯水槽内部の水が排出されることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記貯水槽は第1の排水手段と第2の排水手段とを備え、前記第2排水手段による排水レベルが前記第1の排水手段による排水レベルよりも高くなるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記第1の排水手段での排水が不能となった場合に、前記第2の排水手段で排水を行うことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
- 前記第2の排水手段の排水レベルが、システム停止時における前記貯水槽内の水位上限よりも高くなるように設定されることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
- システム稼働時において、前記貯水槽内の圧力が所定圧力以上となったときには、前記第2の排水手段での排水が開始されることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
- 前記貯水槽の底面に伸縮自在なベローズが設けられ、このベローズに排水口が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記ベローズは、前記貯水槽内のガス圧と当該ベローズ内の大気圧との差圧によって伸縮することを特徴とする請求項7に記載の燃料電池システム。
- 前記貯水槽は配管を介して同一の排水手段にそれぞれ連通する第1の排水口と第2の排水口とを備え、前記第2の排水口の高さ位置が前記第1の排水口の高さ位置よりも高くなるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記第2の排水口の高さ位置が、システム停止時における前記貯水槽内の水位上限よりも高くなるように設定されると共に、前記第1の排水口に繋がる配管の中途部が、システム停止時における前記貯水槽内の水位上限よりも高くなるようにレイアウトされていることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池システム。
- 前記第2の排水口に繋がる配管内の圧力損失が前記第1の排水口に繋がる配管内の圧力損出よりも高くなるように設定されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の燃料電池システム。
- 前記第2の排水口に繋がる配管に、低温で開弁し高温で閉弁するサーモスタットが設けられていることを特徴とする請求項9又は10に記載の燃料電池システム。
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