JP2013246935A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の排水性を向上させてフラッディングを好適に防止し得る燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池10と、燃料電池10に供給される燃料ガスが通流する燃料ガス供給流路a1〜a3と、燃料電池10から排出される燃料オフガスが通流する燃料オフガス排出流路a4,a6〜a8と、燃料オフガス排出流路に配設され、燃料オフガスを排出する第1インジェクタ29と、を備えて構成する。第1インジェクタ29の作動による間欠的排気によって、燃料電池10の差圧をより高くして、燃料電池10の排水性を向上させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池の排水性を向上させ、フラッディングを好適に防止可能な燃料電池システムに関する。
燃料電池を運転する際には、局部的に発生するガス不足等、燃料電池の状態悪化を検出して、過電流等により燃料電池が損傷するのを事前に防止し、十分な出力が取り出せるように燃料電池の状態を回復させることが有効とされている。例えば、特許文献1では、セル電圧が所定電圧以下となったことを検出した場合には燃料電池の発電を制限して、過度な電力取り出しによるさらなる電圧低下を事前に防止する手法が提案されている。
また他方で、燃料電池の発電安定性を向上させるために、燃料オフガスの排出流路にパージ弁(排気手段)とドレイン弁(排水手段)を配設し、燃料電池の負荷(発電電流)に応じた所定インターバル毎に開弁するものがある。例えば、特許文献2では、発電電圧が所定電圧より低下したとき、ドレイン弁による排出よりもパージ弁による排出を優先させることにより、早期に発電電圧を回復させる手法が提案されている。
特開2004−152604号公報 特開2007−172913号公報
燃料電池システムの運転時には、燃料電池内で水が生成されるが、この生成水により新たな水素ガスの流れや拡散を阻害されることを防止するため、生成水を好適に排出してフラッディングを防止し、セル電圧の低下を防止することが望まれている。
そこで、本発明は、燃料電池の排水性を向上させてフラッディングを好適に防止し得る燃料電池システムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る燃料電池システムは、燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池と、前記燃料電池に供給される燃料ガスが通流する燃料ガス供給流路と、前記燃料電池から排出される燃料オフガスが通流する燃料オフガス排出流路と、前記燃料オフガス排出流路に配設され、燃料オフガスを排出する第1インジェクタと、を備えることを特徴とする。
このように、燃料オフガスを排出する手段として第1インジェクタを用いることで、該第1インジェクタの作動により間欠的な排気が行われ、燃料電池のアノード流路内では間欠的に燃料ガスの置換が行われる。その結果、間欠的にアノード圧力が低下するので、燃料ガス圧力に間欠的な圧力変動、即ち圧力脈動が発生することとなる。さらにその結果として、燃料電池の差圧(アノード流路の入口と出口との圧力差)がより高いものとなって、燃料電池の排水性を向上させることができ、フラッディングを好適に防止できる。また、開閉弁を用いる場合に比べて1回当たりの燃料オフガスの排出量が少ないため、排出量を細かくコントロールすることができる。さらに、開閉弁を用いる場合に比べて応答遅れがより小さいので、閉弁が遅れることにより燃料ガスが無駄に排出されてしまうことを防止できる。
また、前記第1インジェクタにより排出された燃料オフガスを、排出可能濃度となるまで希釈する希釈手段と、前記希釈手段に導入される希釈ガス量に基づき該希釈手段に導入可能な燃料オフガス量を排出可能ガス量として推定する排出可能ガス量推定手段と、前記排出可能ガス量推定手段により推定された排出可能ガス量に基づき前記第1インジェクタのデューティ比を設定する排気デューティ設定手段と、燃料オフガスの排気が必要とされるとき、前記排気デューティ設定手段により設定されたデューティ比で前記第1インジェクタを作動させる排気実行手段と、を備えることが好ましい。
このような構成によれば、希釈できるだけの燃料オフガスを排出するので、希釈ガスを不必要に増加させる必要がない。
また、前記第1インジェクタの下流に配設され、前記燃料オフガス排出流路を通流する燃料オフガスの圧力を検知する圧力検知手段と、前記圧力検知手段の下流に配設されるオリフィスと、前記圧力検知手段の検出値に基づき、前記第1インジェクタの故障を検知する故障検知手段と、を備えることが好ましい。
このように、第1インジェクタの下流に、圧力検知手段、オリフィスの順に配設する構成とすることにより、第1インジェクタの故障検知を精度良く行うことができる。
また、前記燃料オフガス排出流路に配設されて、燃料オフガスに含まれる水分を分離する気液分離手段と、前記気液分離手段で分離された水分を排出する第2インジェクタと、を備え、前記第1インジェクタは、前記気液分離手段で水分を分離した後の燃料オフガスを排出することが好ましい。
このように、燃料オフガスに含まれる水分を排出する手段として第2インジェクタを用いることで、該第2インジェクタ作動時に脈動が生じ、排水が促進されるため、フラッディンングを好適に防止できる。また、PWM制御における1周期当たりの開弁時間を細かく制御することができ、1回の第2インジェクタの作動による排水量もより正確に推定することができるので、きめ細かく排水制御を行うことができ、より適切な排水を行うことができる。
また、前記燃料電池の発電電流に基づき生成水量を推定する生成水量推定手段と、前記生成水量推定手段により推定された生成水量に基づき前記第2インジェクタのデューティ比を設定する排水デューティ設定手段と、前記生成水量推定手段により推定された生成水量が排水実行閾値を超えたとき、前記排水デューティ設定手段により設定されたデューティ比で前記第2インジェクタを作動させる排水実行手段と、を備えることが好ましい。
また、生成水量推定手段による推定生成水量に基づく判断で、第2インジェクタを作動させるので、気液分離器に水位センサを備えずとも排水を行うことができる。
また、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタの下流に配設され、前記燃料オフガス排出流路を通流する燃料オフガスの圧力を検知する圧力検知手段と、前記圧力検知手段の下流に配設されるオリフィスと、前記圧力検知手段の検出値に基づき、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタの故障を検知する故障検知手段と、を備えることが好ましい。
このように、第1インジェクタ及び第2インジェクタの下流に、圧力検知手段、オリフィスの順に配設する構成とすることにより、第1インジェクタ及び第2インジェクタの故障検知を精度良く行うことができる。
また、当該燃料電池システムに対する停止要求があったとき、前記燃料電池の掃気が必要か否かを判断する掃気要否判断手段と、前記掃気要否判断手段により前記燃料電池の掃気が必要であると判断された場合に、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタの両方を作動させる停止制御手段と、を備えることが好ましい。
このような構成によれば、燃料電池システムの停止要求時に、環境温度が例えば氷点下である、或いは氷点下になるおそれがあるなど、掃気が必要な場合には、第1インジェクタ及び第2インジェクタの両方を作動させて掃気処理を行うので、燃料電池の排水性をさらに向上させることができ、結果として、燃料電池システムの次回の起動性及び発電性が低下することを防止することができる。
また、当該燃料電池システムの起動時に、低温起動が必要か否かを判定する低温起動判定手段と、前記低温起動判定手段により低温起動が必要であると判定された場合に、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタへ電流を供給し続ける起動制御手段と、を備えることが好ましい。
このような構成によれば、燃料電池システムの低温起動時に、第1インジェクタ及び第2インジェクタへ電流を供給し続けるので、インジェクタは小型で且つソレノイドが駆動軸に近い構造を持ち解凍され易いことから、開閉弁を用いる場合に比べて自己発熱による暖機運転時間をより短くすることができる。
また、前記燃料ガス供給流路に配設されて、燃料ガスを供給する第3インジェクタ、を備え、前記第3インジェクタを開制御から閉制御に切り替えるタイミングから所定時間経過後に、前記第1インジェクタを閉制御から開制御に切り替えることが好ましい。
このような構成によれば、第3インジェクタの閉制御への切り替えに伴う差圧増加分に、第1インジェクタの開制御への切り替えに伴う差圧増加分を重畳させることができ、低負荷運転時であっても、燃料電池の差圧をより高くして、燃料電池の排水性を向上させることができる。
本発明により、燃料電池の排水性を向上させてフラッディングを好適に防止し得る燃料電池システムを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 第2インジェクタ作動制御の手順を説明するフローチャートである。 第1インジェクタ作動制御の手順を説明するフローチャートである。 第1インジェクタ及び第2インジェクタの故障検知の手順を説明するフローチャートである。 図2乃至図4のフローチャートで参照される各種マップを例示する説明図である。 第1インジェクタ及び第2インジェクタの故障判定を説明する説明図であり、(a)は閉故障判定、(b)は開故障判定である。 停止制御の手順を説明するフローチャートである。 低温起動制御の手順を説明するフローチャートである。 各種燃料ガス供給方法に応じた差圧と電流密度との関係を例示する説明図である。 (a)第1実施形態の第1インジェクタの開閉制御と、(b)比較例のパージ弁の開閉制御とを対比して説明する説明図である。 本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 第2実施形態における第1インジェクタ及び第3インジェクタの開閉制御を説明する説明図である。
次に、本発明の実施形態について、第1実施形態、第2実施形態の順に適宜図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、共通する部分には同一の符号を附し重複した説明を省略する。なお、以下では、本発明の燃料電池システムを車両に搭載した態様を一例として説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。同図において、本実施形態の燃料電池システム1は、燃料電池10、アノード系20、カソード系40、掃気系、検出系、制御部70などで構成されている。
<燃料電池>
燃料電池10は、例えば固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)であり、MEA(Membrane Electrode Assembly、膜電極接合体)を図示しない導電性のセパレータ(図示せず)で挟持してなる単セルを厚み方向に複数積層し、各単セルを電気的に直列に接続した構造を有している。
MEAは、電解質膜(固体高分子膜)を、触媒を含むアノード及びカソード等で挟持した構造を有している。セパレータには、燃料ガス(反応ガス;水素)が通流するアノード流路11及び酸化剤ガス(反応ガス;空気)が通流するカソード流路12がそれぞれ形成されている。アノード流路11は、単セルの積層方向に貫通して各アノードに水素を分配供給する水素導入連通路と、アノードに対向する面に形成された流路と、単セルの積層方向に貫通して各アノードから燃料オフガス(水素など)を集合排出する水素導出連通路とで構成されている。カソード流路12は、単セルの積層方向に貫通して各カソードに空気を分配供給する空気導入連通路と、カソードに対向する面に形成された流路と、各単セルの積層方向に貫通して各カソードから酸化剤オフガス(湿潤な空気など)を集合排出する空気導出連通路とで構成されている。
このような燃料電池10では、アノードに水素が供給され、カソードに酸素を含む空気が供給されることにより、アノード及びカソードに含まれる触媒上で電極反応が起こり、燃料電池10が発電可能な状態となる。また、燃料電池10は、図示しない外部負荷と電気的に接続され、外部負荷によって電流が取り出されると、燃料電池10が発電するようになっている。なお、燃料電池10では、発電する際に、燃料ガスと酸化剤ガスとが電気化学反応して水が生成される。水分はカソードで生成され、カソード流路12内に滞留すると共に、カソードからアノードへ拡散し、アノード流路11内に滞留する。
<アノード系>
また、アノード系20は、燃料電池10のアノードに対して燃料ガス(水素)を給排する系であり、燃料ガス供給系21、常閉型の遮断弁22、エゼクタ23、気液分離器(気液分離手段)25、電子制御式の第1インジェクタ29、電子制御式の第2インジェクタ28、オリフィス31、配管a1〜a8などで構成されている。
燃料ガス供給系21は、高純度の水素を高圧で圧縮した水素タンク等であり、配管a1を介して下流側の遮断弁22と接続されている。また、遮断弁22は、例えば電磁作動式のものであり、配管a2を介して下流側のエゼクタ23と接続されている。
また、エゼクタ23は、配管(燃料ガス供給流路)a3を介して水素ガスを燃料電池10に供給すると共に、配管a5を介して燃料電池10から排出された未反応の水素を含む燃料オフガスを吸引し、アノードに戻して再循環させる。
燃料電池10のアノードで未反応の燃料ガスや生成・滞留する水分等は、燃料オフガスとして、燃料電池10のアノード流路11から排出される。気液分離器25は、この排出された燃料オフガスを、重力を利用して主に水素と水分に分離し、分離した水分(液滴)を貯める貯留空間を有している。また、気液分離器25には、アノード流路11から燃料オフガスの流れに同伴して排出された生成水(液滴)も貯留空間内に溜められる。
気液分離器25に貯留される水分は、第2インジェクタ28が作動して開弁されると、希釈器53を経由して、燃料電池システム1の外部に排出される。他方、水分分離後の燃料オフガスは、第1インジェクタ29が作動して開弁されると、希釈器53を経由して、燃料電池システム1の外部に排出される。
また、水分分離後の燃料オフガスは、第1インジェクタ29の閉弁時には、エゼクタ23で発生する負圧によりエゼクタ23に吸引され、燃料電池10のアノード流路11に戻される。このような、いわゆるアノード循環により、未反応の燃料ガスを減らし、燃料ガスの反応効率を高めている。
第2インジェクタ28は、前記の通り、気液分離器25に溜まった生成水を外に排出する排水用の開閉弁であり、配管a6を介して気液分離器25と接続され、配管a8を介して後記する希釈器53と接続されている。なお、第2インジェクタ28が作動するタイミング及び該作動時のPWM制御におけるデューティ比の設定は、後記するように制御部70によって行われる。
また、第1インジェクタ29は、気液分離器25の水分分離後の燃料オフガスを外に排出する排水用の開閉弁であり、配管a7を介して気液分離器25と接続され、配管a8を介して後記する希釈器53と接続されている。なお、第1インジェクタ29が作動するタイミング及び該作動時のPWM制御におけるデューティ比の設定は、後記するように制御部70によって行われる。
<カソード系>
カソード系40は、燃料電池10のカソードに対して酸化剤ガスを給排する系であり、エアフローセンサ42、エアポンプ41、加湿器44、第1封止弁46、第2封止弁45、希釈器(希釈手段)53、配管b1〜b4などで構成されている。
エアフローセンサ42は、大気圧Patm及び取り込むエア量Qairを検知して制御部70に出力する。また、エアポンプ41は、空気(エア;外気)を酸化剤ガスとして燃料電池10のカソードに供給する。このエアポンプ41は、配管b1を介して加湿器44と接続されている。
加湿器44は、エアポンプ41から配管b1を介して供給される酸化剤ガス(低湿潤ガス)を、燃料電池10のカソードから排出された酸化剤オフガス(高湿潤ガス)によって加湿するものである。加湿器44には、例えば、複数の中空糸膜(水分交換膜)が束ねられた中空糸膜束が収容されたケース(不図示)に、エアポンプ41からの乾燥した酸化剤ガスの出入口および酸化剤オフガスの出入口を設けた公知の技術を採用できる。このような加湿器44では、エアポンプ41から供給された酸化剤ガス(低湿潤ガス)が、加湿器44の中空糸膜の一面側を流通し、燃料電池10から排出された酸化剤オフガス(高湿潤ガス)が中空糸膜の他面側を流通することにより、酸化剤ガス(低湿潤ガス)が加湿される。
未加湿の酸化剤ガスは乾燥しているのでカソードから水分を奪い乾燥させる傾向があるが、酸化剤ガスを加湿することで、カソードの乾燥を防止することができる。酸化剤ガスが増量されると乾燥する方向に向かう。なお、酸化剤オフガスは、加湿器44、希釈器53を経由して、燃料電池システム1の外部に排出される。
また、第1封止弁46は、例えば電磁作動式の開閉弁であり、燃料電池10の空気供給側を締め切る(封止する)機能を有する。第2封止弁45は、同様な電磁作動式の開閉弁であり、燃料電池10の空気排出側を締め切る(封止する)機能を有する。したがって、第1封止弁46と第2封止弁45とがそれぞれ閉じられることにより、燃料電池10のカソード(カソード流路12)が封止されるようになっている。
なお、燃料電池10のカソードの封止は、例えば、燃料電池10の発電停止時に発生するおそれのあるクロスリークに伴うOHラジカル(ヒドロキシルラジカル)の発生を抑止して、燃料電池10の耐久性を向上させたい場合などに行われる。
また、希釈器53は、発電時において、アノード循環経路から第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28を介して排出された燃料オフガスを滞留させる滞留空間を有し、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28の開弁時に排出された燃料オフガスに含まれる水素を規定の水素濃度以下となるように酸化剤オフガスで希釈した後、外に排出する。
<掃気系>
掃気系は、燃料電池10のアノード流路11に対してエアポンプ41からの掃気ガス(空気)を供給する系である。すなわち、掃気ガス導入弁24及び掃気ガス導入路(配管b5及びb6)を備え、配管b1から分岐した配管b5が掃気ガス導入弁24の入口側に接続され、掃気ガス導入弁24の出口側に接続されている配管b6が燃料ガス供給流路(配管a3)に接続されている。
<検出系>
第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の下流側には、配管(燃料オフガス排出流路)a6の圧力を検知する圧力センサ(圧力検知手段)32が配設されている。圧力センサ32による検出圧力は制御部70に出力され、後記するように、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の故障検知に用いられる。また、圧力センサ32の下流側にはオリフィス53が配設されている。オリフィス53で流路断面積を小さくすることによって、故障検知の精度を高めている。
また、燃料電池システム1には、燃料電池10の発電状態を計測する発電状態計測装置が設けられている。発電状態計測装置には、燃料電池5の出力電流を計測する電流計33を含み、また、燃料電池10の温度を計測する温度計(不図示)や、燃料電池10の出力電圧を計測する電圧計(不図示)などの各種センサを含んでいても良い。これら電流計33及び各種センサの検出結果は制御部70に出力される。
<その他機器>
IG−SW61は、燃料電池システム1(燃料電池車)の起動スイッチであり、運転席周りに設けられている。また、IG−SW61は制御部70と接続されており、制御部70はIG−SW61のオン信号(システム起動信号)、オフ信号(システム停止信号)を検知するようになっている。
また、アクセル開度センサ62は、アクセルペダル(不図示)の踏み込み量であるアクセル開度を検出するセンサである。そして、アクセル開度センサ62は、アクセル開度を制御部70に出力するようになっている。
<制御部>
また、制御部70は、MPU(Micro-Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、プログラムや各種データを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリなどで構成され、第1インジェクタ29、第2インジェクタ28等の各種弁の開閉制御や開度調節、或いは、エアポンプ41等の各モータの回転速度を調節する。
制御部70は、生成水量推定手段71、排水デューティ設定手段72、排水実行手段73、排出可能ガス量推定手段74、排気デューティ設定手段75、排気実行手段76、故障検知手段77、掃気要否判断手段81、停止制御手段82、低温起動判定手段83及び起動制御手段84を備えている。なお、これらは、前記プロセッサ上で実行されるプログラムの機能的まとまりとして具現されるものである。
<制御部−第2インジェクタ作動制御機能>
制御部70は、第2インジェクタ28の作動を制御して排水制御を行う機能を備えている。すなわち、生成水量推定手段71は、電流計33によって検出された燃料電池10の発電電流Iと図5(a)のマップMAP1とに基づき生成水量Qwaterを推定する。図5(a)のマップMAP1は、発電電流Iに対する生成水量Qwaterの関係を示すものであり、予め行われる予備実験やシミュレーション等によって求められ、制御部70のメモリに、例えば対応テーブル形式で記憶されている。なお、発電電流Iが大きくなるにつれて、生成水量Qwaterが大きくなる関係を持つ。
また、排水デューティ設定手段72は、生成水量推定手段71により推定された生成水量Qwaterに基づき第2インジェクタ28のデューティ比を設定する。ここで、デューティ比は、オンデューティの場合、第2インジェクタ28のPWM制御における1周期時間に対するオン(開制御)時間の比である。
また、排水実行手段73は、生成水量推定手段71により推定された生成水量が排水実行閾値を超えたとき、排水デューティ設定手段72により設定されたデューティ比で第2インジェクタ28を作動させる。より具体的には、排水デューティ設定手段72により、PWM制御における1周期あたりのオン時間が求められて、該オン時間がタイマ等に設定され、排水実行手段73により、各周期の所定タイミングからオン時間の間、第2インジェクタ28が開制御されることとなる。
<制御部−第1インジェクタ作動制御機能>
また、制御部70は、第1インジェクタ29の作動を制御して排気制御を行う機能を備えている。すなわち、排出可能ガス量推定手段74は、希釈器53に導入される希釈ガス量Qadilboxと図5(b)のマップMAP2とに基づき該希釈器53に導入可能な燃料オフガス量を排出可能水素量(排出可能ガス量)H2DILとして推定する。
図5(b)のマップMAP2は、希釈ガス量Qadilboxに対する排出可能水素量H2DILの関係を示すものであり、予め行われる予備実験やシミュレーション等によって求められ、制御部70のメモリに記憶されている。なお、希釈ガス量Qadilboxが大きくなるにつれて、排出可能水素量H2DILが大きくなる関係を持つ。
なお、希釈ガス量Qadilboxは、エア量Qairから燃料電池10の発電電流Iに基づく酸素消費量を差し引いたものとして算出される。
また、排気デューティ設定手段75は、排出可能ガス量算出手段74により算出された排出可能水素量H2DILと図5(c)のマップMAP3とに基づき第1インジェクタ29のデューティ比を設定する。図5(c)のマップMAP3は、排出可能水素量H2DILに対する第1インジェクタTi値INJ1OUTの関係を示すものであり、予め行われる予備実験やシミュレーション等によって求められ、制御部70のメモリに記憶されている。なお、第1インジェクタTi値INJ1OUTは、第1インジェクタ29のPWM制御における1周期あたりのオン(開制御)時間を示すもので、排出可能水素量H2DILが大きくなるにつれて、第1インジェクタTi値INJ1OUTが大きくなる関係を持つ。
また、排気実行手段76は、燃料ガスの排気が必要とされるとき、排気デューティ設定手段75により設定されたデューティ比で第1インジェクタ29を作動させる。ここで、燃料ガスの排気が必要とされるときは、例えば、燃料電池10のセル電圧が許容される最低セル電圧を下回ったときや、アノードの窒素濃度が上昇すると推定されるときなどである。また、排気の実行は、より具体的には、排気デューティ設定手段75により第1インジェクタTi値INJ1OUTが求められて、該第1インジェクタTi値INJ1OUTがタイマ等に設定され、排気実行手段76により、各周期の所定タイミングから第1インジェクタTi値INJ1OUTの間、第1インジェクタ29が開制御されることとなる。
<制御部−第1及び第2インジェクタ故障検知機能>
また、制御部70は、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の故障を検知する機能を備えている。すなわち、故障検知手段77は、圧力センサ32の圧力検出値Poutに基づき、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の故障を検知する。
より具体的に、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の閉故障の検知について、図6(a)を参照して説明する。図6(a)は閉故障の判定を説明する説明図であり、下側に第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28に対して出力される開閉制御信号を、上側に圧力センサ32で検出される検出値をそれぞれ示す。ここで、閉故障としては、開閉機構の動作不良等によって開いたままの状態、或いは完全に閉じきれない状態となる故障、シール等の付属部品が劣化することにより生じた隙間から漏れ出す故障等が考えられる。
第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28に故障が無く正常である場合、圧力センサ32の圧力検出値Poutは、閉弁時には、ほぼ大気圧Patmとなり、また、開弁時には、アノード作動圧Panに応じた圧力値となる。なお、これは定常状態における値であり、過渡的には、開弁から閉弁への切り替えタイミング、または閉弁から開弁への切り替えタイミングにおいて、それぞれ時間遅れを伴って前記定常状態における大気圧Patm、またはアノード作動圧Panに応じた圧力値に近づいていく(図6(a)中の実線を参照)。
また、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28に閉故障がある場合には、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28を通した燃料オフガス及び/または生成水の流れが有るので、圧力センサ32の圧力検出値Poutは大気圧Patmにまで下がりきれない状態となる(図6(a)中の破線を参照)。
したがって、大気圧Patmに誤検知防止閾値Ps1を加えた閉故障判定閾値P2を設定しておき、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28が閉制御されているにも関わらず、圧力センサ32の圧力検出値Poutが閉故障判定閾値P2を超えるとき、故障検知手段77は閉故障であると判定する。ここで、誤検知防止閾値Ps1は少なくとも大気圧の変動が吸収されるものであることが望ましい。
次に、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の開故障の検知について、図6(b)を参照して説明する。図6(b)は開故障の判定を説明する説明図であり、下側に第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28に対して出力される開閉制御信号を、上側に圧力センサ32で検出される検出値をそれぞれ示す。ここで、開故障としては、開閉機構の動作不良等によって閉じたままの状態、或いは完全に開ききれない状態となる故障、シール等の付属部品が劣化することによりインジェクタ内流路における流れを妨げる故障等が考えられる。
また、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28に開故障がある場合には、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28を通した燃料オフガス及び/または生成水の流れが開弁時(正常)よりは減少するので、圧力センサ32の圧力検出値Poutはアノード作動圧Panに応じた圧力値にまで上がりきれない状態となる(図6(b)中の破線を参照)。
したがって、アノード作動圧Panと図5(d)のマップMAP4とに基づき開故障判定閾値P1を求め、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28が開制御されているにも関わらず、圧力センサ32の圧力検出値Poutが開故障判定閾値P1未満のとき、故障検知手段77は開故障であると判定する。
なお、アノード作動圧Panは、例えば、燃料電池10の発電電流Iに対するアノード作動圧Panの関係(発電電流Iが大きくなるにつれてアノード作動圧Panが大きくなる)をマップとして予め用意して、該マップを参照して求めれば良い。
また、図5(d)のマップMAP4は、アノード作動圧Panに対する開故障判定閾値P1の関係を示すものであり、予め行われる予備実験やシミュレーション等によって求められ、制御部70のメモリに記憶されている。なお、アノード作動圧Panが大きくなるにつれて開故障判定閾値P1が大きくなる関係を持つ。
<制御部−停止要求時の掃気制御機能>
また、制御部70は、停止要求時に掃気処理の実行を制御する機能を備えている。すなわち、掃気要否判断手段81は、当該燃料電池システム1に対する停止要求があったとき、燃料電池10の掃気が必要か否かを判断する。掃気が必要な場合としては、環境温度が氷点下であるとき、或いは氷点下になるおそれがあるときなどであり、燃料電池10のアノード流路11(及びカソード流路12)の残留水の凍結を未然に防ぎたい場合である。したがって、掃気の要否判断は、例えば燃料電池10の温度を計測する温度計(不図示)の検出温度が所定温度未満か否かの判断に基づき行うようにすれば良い。
停止制御手段82は、掃気要否判断手段81により燃料電池10の掃気が必要であると判断された場合に、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の両方を作動させて掃気処理を行う。具体的には、例えば、排水デューティ設定手段72及び排気デューティ設定手段75によって、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28のそれぞれのデューティ比を100%に設定する。そして、掃気ガス導入弁24を開弁すると共に、排水実行手段73及び排気実行手段76によって、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28をそれぞれ作動させる。
<制御部−低温起動制御機能>
また、制御部70は、低温起動を制御する機能を備えている。すなわち、低温起動判定手段83は、当該燃料電池システム1の起動時に、低温起動であるか否かを判定する。起動制御手段84は、低温起動判定手段83により低温起動であると判断された場合に、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28へ電流を供給し続ける。具体的には、例えば、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28のそれぞれのデューティ比を100%に設定して、所定時間の間、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28をそれぞれ作動させ続ける。
次に、以上のような構成要素を備えた燃料電池システム1の動作・効果について、図2乃至図8を参照して説明する。
<第2インジェクタ作動制御>
まず、第2インジェクタ28の作動制御について図2を参照して説明する。ここで、図2は第1実施形態における第2インジェクタ28の作動制御手順を説明するフローチャートである。なお、図2の処理を開始する前の初期状態として、IG−SW61はオンされ、燃料電池10に対して燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されており、燃料電池10は発電している。また、図2の処理は、所定周期の間隔で定期的に、或いは、当該処理が終了して所定時間(時間ゼロを含む)が経過した後に、再び繰り返し実行される。
まずステップS101において、制御部70は、電流計33から燃料電池10の発電電流Iを読み込む。そして、ステップS102において、生成水量推定手段71は、メモリのマップMAP1(図5(a))を参照して、取得した燃料電池10の発電電流Iに応じた生成水量Qwaterを推定する。
次に、生成水量推定手段71は、ステップS103において、生成水量Qwaterを積算して積算水量SUMQWATERを求め、ステップS104において、積算水量SUMQWATERが排水上限閾値Q1を超えたか否かを判断する。積算水量SUMQWATERが排水上限閾値Q1以下である場合(S103:No)には、ステップS101に戻り、積算水量SUMQWATERが排水上限閾値Q1を超えた場合(S103:Yes)には、ステップS105に進む。
つまり、気液分離器25の貯留空間に溜められている水量を積算水量SUMQWATERで推定して、該推定積算水量(SUMQWATER)が第2インジェクタ28の作動による排水を実行すべき閾値(排水上限閾値Q1)を超えたときに、ステップS101乃至S104で構成される第1ループを抜けることになる。なお、ステップS101乃至S104で構成される第1ループは、連続的に実行しても良いが、より正確に積算水量SUMQWATERを求めるためには所定サンプリング周期で断続的に実行するのが望ましい。
次に、ステップS105において、排水デューティ設定手段72は、積算水量SUMQWATERに基づき第2インジェクタ28のデューティ比を設定する。ここで、デューティ比はオンデューティであり、より具体的には、第2インジェクタ28のPWM制御における1周期あたりのオン(開制御)時間(第2インジェクタTi値)を設定する。
ここで、積算水量SUMQWATERに対する第2インジェクタTi値の関係は、予め行われる予備実験やシミュレーション等によって求めることができる。すなわち、これをマップとしてメモリに記憶しておき、該マップを参照することにより第2インジェクタTi値を設定する。或いは、ステップS105の実行は積算水量SUMQWATERが排水上限閾値Q1を超えたときに行われることから、積算水量SUMQWATERを(既知である)排水上限閾値Q1と見なすことができるので、排水上限閾値Q1に応じた第2インジェクタTi値を予め求めておき、ステップS105ではその第2インジェクタTi値をそのまま用いるようにしても良い。
次に、ステップS106において、排水実行手段73は、ステップS105で排水デューティ設定手段72により設定されたデューティ比(第2インジェクタTi値)のPWM制御により第2インジェクタ28を作動させる。より具体的には、第2インジェクタTi値がタイマ等に設定され、PWM制御における各周期の所定タイミングから第2インジェクタTi値の間、第2インジェクタ28が開制御されることとなる。
次に、ステップS107では、排水実行手段73は、積算水量SUMQWATERから第2インジェクタ28の作動によって排出された排水量分を減算して、積算水量SUMQWATERを更新する。ここで、第2インジェクタ28の作動によって排出された排水量分は、ステップS106乃至S109で構成されるループを第2ループとするとき、前回の第2ループにおけるステップS107の実行タイミングから今回の第2ループにおけるステップS107の実行タイミングまでの間に第2インジェクタ28が開制御された回数に、1回の開制御で排出される排水量を掛け合わせて求めることができる。
次に、ステップS108において、排水実行手段73は、圧力センサ32から検出圧力値Poutを取得して、水素排出判断閾値Ps2未満であるか否かを判断する。第2インジェクタ28の作動によって気液分離器25の貯留水を排出している間は、検出圧力値Poutはオリフィス53の圧損によって相対的に高いが、気液分離器25の貯留水がほぼ排出されて、水分分離後の燃料オフガス(水素)が排出されるようになると、検出圧力値Poutは相対的に低くなる。そこで、これら2つの状態を区別する閾値として水素排出判断閾値Ps2を設定し、検出圧力値Poutが水素排出判断閾値Ps2未満となったとき(S108:Yes)、排水実行手段73は、第2インジェクタ28の作動によって水素が排出される状態になったと判断して、第2インジェクタ28の作動を終了することとしている。
また、ステップS108の第1の終了判断で、検出圧力値Poutが水素排出判断閾値Ps2以上であるとき(S108:No)には、ステップS109に進んで第2の終了判断を行う。すなわち、排水実行手段73は、積算水量SUMQWATERが排水下限閾値Q2未満であるか否かを判断する。ここで、排水下限閾値Q2は気液分離器25の構造等に応じて予め設定される。
つまり、積算水量SUMQWATERに基づき気液分離器25の貯留水が排水下限閾値Q2未満になったと推定されるとき(S109:Yes)には、第2インジェクタ28の作動を終了する。また、積算水量SUMQWATERが排水下限閾値Q2以上のとき(S109:No)には、ステップS106に戻って第2ループを繰り返す。
以上のように、本実施形態の燃料電池システム1では、生成水量推定手段71によって、燃料電池10の発電電流Iに基づき生成水量Qwaterを推定して(ステップS102)、積算水量SUMQWATERを求める(ステップS103)。そして、排水デューティ設定手段72によって、積算水量SUMQWATERに基づき第2インジェクタのデューティ比を設定する(ステップS105)。さらに、積算水量SUMQWATERが排水実行閾値Q1を超えたとき(S104:Yes)、排水実行手段73によって第2インジェクタ28を作動させる(ステップS106)。
このように、排水手段として第2インジェクタ28を用いるので、PWM制御における1周期当たりの開弁時間を細かく制御することができ、1回の第2インジェクタ28の作動による排水量もより正確に推定することができるので、きめ細かく排水制御を行うことができ、より適切な排水を行うことができる。また、生成水量推定手段71による推定・演算によって求めた積算水量SUMQWATERに基づく判断で、第2インジェクタ28を作動させるので、気液分離器25に水位センサを備えずとも排水を行うことができる。
<第1インジェクタ作動制御>
次に、第1インジェクタ29の作動制御について図3を参照して説明する。ここで、図3は第1実施形態における第1インジェクタ29の作動制御手順を説明するフローチャートである。なお、図3の処理を開始する前の初期状態は、燃料電池10が発電している状態である。また、図3の処理は、所定周期の間隔で定期的に、或いは、当該処理が終了して所定時間(時間ゼロを含む)が経過した後に、再び繰り返し実行される。
まずステップS201において、制御部70は、エアフローセンサ42からエア量Qairを、電流計33から燃料電池10の発電電流Iをそれぞれ読み込む。そして、ステップS202において、排出可能ガス量推定手段74は、希釈ガス量Qadilboxをエア量Qair及び発電電流Iに基づき算出する。
次に、ステップS203において、排出可能ガス量推定手段74は、メモリのマップMAP2(図5(b))を参照して、希釈ガス量Qadilboxに応じた排出可能水素量H2DILを推定する。そして、ステップS204において、排気デューティ設定手段75は、メモリのマップMAP3(図5(c))を参照して、排出可能水素量H2DILに応じた第1インジェクタTi値INJ1OUTを設定する。
次に、ステップS205において、排気実行手段76は、水素(燃料ガス)の排気が必要か否かを判断する。例えば、水素(燃料ガス)の排気を定期的に行う場合には、排気の実行タイミングになった時に排気要求フラグが立てられるようにしておき、排気実行手段76は該排気要求フラグを参照して判断するようにすれば良い。また、第2インジェクタ28の作動制御手順の第1の終了判断(図2:ステップS108参照)において、検出圧力値Poutが水素排出判断閾値Ps2未満となったとき(S108:Yes)にも、排気要求フラグが立てられるようにしても良い。ステップS205の判断は、水素の排気が必要であると判断される(S205:Yes)まで繰り返し行われる。
水素の排気が必要であると判断されたときには、ステップS206に進んで、排水実行手段73は、ステップS204で排気デューティ設定手段75により設定されたデューティ比(第1インジェクタTi値INJ1OUT)のPWM制御により第1インジェクタ29を作動させる。より具体的には、第1インジェクタTi値INJ1OUTがタイマ等に設定され、PWM制御における各周期の所定タイミングから第1インジェクタTi値INJ1OUTの間、第1インジェクタ29が開制御されることとなる。
なお、排水実行手段73は、PWM制御における周期を所定回数繰り返した後、第1インジェクタ29の作動を停止して終了する。ここで、繰り返されるPWM制御周期の回数nは、1回の第1インジェクタ29の作動で排出すべき目標排気量に基づき求めることができる。
すなわち、「第1インジェクタTi値INJ1OUTの時間に第1インジェクタ29から排出される排気量×N=目標排気量」の関係で求まるN(自然数)を超える最小の整数値をnとすれば良い。このように、回数nは第1インジェクタTi値INJ1OUTが設定された段階(S204)で求められるので、この時に回数nを求めておき、ステップS206では、PWM制御における周期を計数するカウンタがnに達した段階で、第1インジェクタ29の作動を停止して終了すれば良い。
以上のように、本実施形態の燃料電池システム1では、排出可能ガス量推定手段74によって、希釈器53に導入される希釈ガス量Qadilboxに基づき該希釈器53に導入可能な燃料オフガス量を排出可能ガス量(排出可能水素量H2DIL)として推定する(ステップS203)。そして、排気デューティ設定手段75によって、排出可能水素量H2DILに基づき第1インジェクタ29のデューティ比を設定する(ステップS204)。さらに、燃料ガスの排気が必要とされるとき、排気実行手段76によって、設定されたデューティ比で第1インジェクタ29を作動させる(ステップS206)。
このように、排気手段として第1インジェクタ29を用いるので、PWM制御における1周期当たりの開弁時間を細かく制御することができ、1回の第1インジェクタ29の作動による排気量もより正確に推定することができる。したがって、きめ細かく排気制御を行うことができ、より適切な排気を行うことができる。また、希釈ガス量に基づき排出可能濃度となるまで希釈可能な燃料オフガス量を推定して、第1インジェクタ29の排出量が該燃料オフガス量となるよう、PWM制御のデューティ比を調整するので、希釈ガスを不要に増加させる必要がない。
<第1及び第2インジェクタ故障検知>
次に、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の故障検知について図4を参照して説明する。ここで、図4は故障検知の手順を説明するフローチャートである。なお、図4の処理を開始する前の初期状態は、燃料電池10が発電している状態である。また、図4の処理は、所定周期の間隔で定期的に実行される。
まずステップS301において、制御部70は、圧力センサ32から圧力検出値Poutを読み込む。そして、ステップS302において、故障検知手段77は、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28が開制御されているか否かを判断する。第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の何れか一方または両方が開制御されているとき(S302:Yes)には、ステップS303以降の開故障判定フローに進む。また、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の両方が閉制御されているとき(S302:No)には、ステップS311以降の閉故障判定フローに進む。
開故障判定フローでは、故障検知手段77は、まずステップS303において、メモリのマップMAP4(図5(d))を参照して、アノード作動圧Panに応じた開故障判定閾値P1を設定する。そして、ステップS304では、圧力検出値Poutが開故障判定閾値P1未満であるか否かを判断する。
圧力検出値Poutが開故障判定閾値P1以上であるとき(S304:No)には、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28は正常であるとして、何もせずに終了する。また、圧力検出値Poutが開故障判定閾値P1未満であるとき(S304:Yes)には、ステップS305に進んで、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28が開故障していると判定して、ステップS306の停止制御を経て当該燃料電池システム1を停止する。
また、閉故障判定フローでは、故障検知手段77は、まずステップS311において、大気圧Patmに誤検知防止閾値Ps1を加えた値を閉故障判定値P2として設定する。そして、ステップS312では、圧力検出値Poutが閉故障判定閾値P2を超えているか否かを判断する。
圧力検出値Poutが閉故障判定閾値P2以下であるとき(S312:No)には、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28は正常であるとして、何もせずに終了する。また、圧力検出値Poutが閉故障判定閾値P2を超えているとき(S312:Yes)には、ステップS313に進んで、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28が閉故障していると判定して、ステップS314の停止制御を経て当該燃料電池システム1を停止する。
なお、以上説明した第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の故障検知手順では、開故障及び閉故障のそれぞれの判定を、ある時点におけるステップS304及びステップS312の1回の判断で行ったが、時間的要素を加えて判定を行うようにしても良い。
例えば、ステップS304またはステップS312の判断を、それぞれ所定期間の間、繰り返し実行して、それぞれの故障判断条件が連続して成立したときに、開故障または閉故障と判定する手法が考えられる。或いは、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28の作動におけるPWM制御の周期に同期させて、各周期の開制御のタイミングで図4のステップS301〜S304を、閉制御のタイミングで図4のステップS301,S302,S311,S312の処理を、それぞれ実行して、それぞれの故障判断条件が所定回数連続して成立したときに、開故障または閉故障と判定する手法も考えられる。
以上のように、本実施形態の燃料電池システム1では、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の下流に、圧力センサ32、オリフィス31の順に配設する構成とし、故障検知手段77によって、圧力センサ32の圧力検出値Poutに基づき、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の故障を検知する。
このように、開閉制御をデューティ比設定によりきめ細かく制御可能な第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28を対象とした故障検知であるため、故障検知のインターバルが短くなり、故障した場合でも素早く検知することができる。
なお、オリフィス31の配置について、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の上流側に配置した構成について予備実験を行って対比したところ、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の下流側に配置した構成の方が、より精度良く故障検知を行うことができるという知見が得られている。
<停止要求時の掃気制御>
次に、停止要求時の掃気制御について図7を参照して説明する。ここで、図7は停止制御の手順を説明するフローチャートである。なお、図7の処理を開始する前の初期状態は、燃料電池10が発電している状態である。
まずステップS401において、制御部70は、燃料電池システム1に対する停止要求があったか否かを判断する。ここで、停止要求有りの判断は、IG−SW61のオフ信号(システム停止信号)を検知することによって行われる。なお、ステップS401の判断は、停止要求有りと判断される(S401:Yes)まで繰り返し行われる。
次に、ステップS402において、掃気要否判断手段81は、燃料電池10の掃気が必要か否かを判断する。掃気の要否判断は、例えば、燃料電池10の温度を計測する温度計(不図示)の検出温度が所定温度未満か否かの判断に基づき行う。掃気は不要であると判断したとき(S402:No)には、ステップS406の他の停止制御を処理するルーチンに進んで、該停止制御の実行後に終了する。
また、掃気が必要であると判断したとき(S402:Yes)には、ステップS403に進んで、排水デューティ設定手段72及び排気デューティ設定手段75によって、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28のそれぞれのデューティ比を100%に設定する。
そして、ステップS404において、エアポンプ41を作動させ、掃気ガス導入弁24を開弁すると共に、排水実行手段73及び排気実行手段76によって第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28をそれぞれ作動させて、掃気処理を実行する。なお、この掃気処理では、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28に対して実質的にPWM制御は行われず、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28は、掃気処理の期間中、開制御の状態が継続することとなる。
ステップS405では、ステップS404の掃気処理を開始してからの経過時間が所定時間に達したか否かを判断する。ステップS405の判断は、所定時間経過したと判断される(S405:Yes)まで繰り返し行われ、その間、掃気処理が継続して行われることとなる。
また、所定時間経過したと判断されたとき(S405:Yes)には、ステップS406の他の停止制御を処理するルーチンに進んで、該停止制御の実行後に終了する。ここで、ステップS406では、燃料電池10の発電を停止し、エアポンプ41の作動を停止するなどの処理を行う。なお、以上の一連の処理を経た後、所定周期で掃気の要否判断(ステップS402)を行って、掃気が必要な場合には掃気処理を行うようにしても良い。
以上のように、本実施形態の燃料電池システム1では、当該燃料電池システム1に対する停止要求があったとき(S401:Yes)、掃気要否判断手段81によって燃料電池10の掃気が必要か否かを判断し(ステップS402)、掃気が必要と判断された場合(S402:Yes)に、停止制御手段82によって第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の両方を作動させる。
このように、燃料電池システム1の停止要求時に、環境温度が氷点下である、或いは氷点下になるおそれがあるなど、掃気が必要な場合には、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28の両方を作動させて掃気処理を行うので、燃料電池10の排水性をさらに向上させることができ、結果として、燃料電池システム1の次回の起動性及び発電性が低下することを防止することができる。
<低温起動制御>
次に、低温時の起動制御について図8を参照して説明する。ここで、図8は低温起動制御の手順を説明するフローチャートである。なお、図8の処理を開始する前の初期状態は、燃料電池システム1が停止している状態である。
まずステップS501において、制御部70は、燃料電池システム1に対する起動要求があったか否かを判断する。ここで、起動要求有りの判断は、IG−SW61のオン信号(システム起動信号)を検知することによって行われる。なお、ステップS501の判断は、起動要求有りと判断される(S501:Yes)まで繰り返し行われる。
次に、ステップS502において、低温起動判定手段83は、低温起動が必要であるか否かを判断する。低温起動の要否判断は、例えば、燃料電池10の温度を計測する温度計(不図示)の検出温度が所定温度未満か否かの判断に基づき行う。低温起動が不要であると判断したとき(S502:No)には、ステップS506の通常の運転制御を処理するルーチンに進む。
また、低温起動が必要であると判断したとき(S502:Yes)には、ステップS503に進んで、排水デューティ設定手段72及び排気デューティ設定手段75によって、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28のそれぞれのデューティ比を100%に設定する。
そして、ステップS504において、排水実行手段73及び排気実行手段76によって第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28をそれぞれ作動させて、制御部70は低温起動の運転制御を実行する。なお、この低温起動の運転制御時では、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28に対して実質的にPWM制御は行われず、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28は、低温起動の期間中、開制御の状態が継続することとなる。
ステップS505では、ステップS504の低温起動を開始してからの経過時間が所定時間に達したか否かを判断する。ステップS505の判断は、所定時間経過したと判断される(S505:Yes)まで繰り返し行われ、その間、低温起動の運転制御が継続して行われることとなる。また、所定時間経過したと判断されたとき(S505:Yes)には、ステップS506の通常の運転制御を処理するルーチンに進む。なお、通常の運転制御では、第2インジェクタ28の作動制御は図2によって、第1インジェクタ29の作動制御は図3によって、それぞれ行われることとなる。
以上のように、本実施形態の燃料電池システム1では、当該燃料電池システム1の起動時に、低温起動判定手段83によって低温起動が必要か否かを判定し(ステップS502)、低温起動が必要と判断された場合(S502:Yes)に、起動制御手段84によって第1インジェクタ28及び第2インジェクタ29へ電流を供給し続ける(ステップS504)。
このように、燃料電池システム1の低温起動時に、第1インジェクタ29及び第2インジェクタ28へ電流を供給し続けるが、インジェクタは小型で且つソレノイドが駆動軸に近い構造を持ち解凍され易いことから、インジェクタでの発熱を促し、自己解凍を促進させることができる。その結果、開閉弁を用いる従来の構成に比べて、自己発熱による暖機運転時間をより短くすることができる。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システム1では、燃料オフガスを排出する手段として第1インジェクタ29を使用する。第1インジェクタ29をPWM制御により作動させると、間欠的な排気が行われ、燃料電池10のアノード流路11内では間欠的に燃料ガスの置換が行われる。その結果、間欠的に燃料ガスの消費がされて燃料ガス圧力が低下するので、燃料ガス圧力に間欠的な圧力変動、即ち圧力脈動が発生することとなる。さらにその結果として、燃料電池10の差圧(アノード流路11の入口と出口との圧力差)がより高いものとなって、燃料電池10の排水性を向上させることができ、フラッディングを好適に防止できる。また、従来の開閉弁を用いる構成に比べて1回の開閉制御(PWM制御の1周期)当たりの排気量が少ないため、排気量を細かくコントロールすることができる。さらに、開閉弁を用いる場合に比べて応答遅れがより小さいので、閉弁が遅れることにより燃料ガスが無駄に排出されてしまうことを防止できる。
また、本実施形態の燃料電池システム1では、燃料オフガスに含まれる水分を排出する手段として第2インジェクタ28を使用する。第2インジェクタ28をPWM制御により作動させると、間欠的な排水によって脈動が生じ、排水が促進されるため、フラッディンングを好適に防止できる。また、従来の開閉弁を用いる構成に比べて1回の開閉制御(PWM制御の1周期)当たりの排水量が少ないため、排水量を細かくコントロールすることができる。
ここで、図9及び図10を参照して、本実施形態の前記した効果をより詳細に説明する。図9は各種燃料ガス供給方法に応じた差圧を例示する説明図であり、図10は、(a)実施形態の第1インジェクタ29の開閉制御と、(b)従来のパージ弁の開閉制御とを対比して説明する説明図である。
まず、各種燃料ガス供給方法に応じて燃料電池10のアノード流路11に発生する差圧について、図9を参照して確認し、間欠流による水素ガスの供給がより高い差圧を発生させることなどについて考察する。図中、Aは燃料ガスの供給量を平均値として間欠流で供給する場合を、Bは燃料ガスの供給量を最大値として間欠流で供給する場合を、Cは燃料ガスの供給量を平均値として連続流で供給する場合を、Dは燃料ガスの供給量を平均値として連続流で供給すると共に水素パージを行う場合を、それぞれ示す。
まず、水素パージによって差圧がより高くなることが、CとDの比較によって確認できる。つまり、パージ弁を開弁することによって燃料オフガスが排出され、その排出分を補うために燃料ガス供給系から燃料ガスが供給されるので、アノード流路に多くの燃料ガスが流れることとなってストイキが上昇して差圧が発生し易くなることによるものと考えられる。
次に、間欠流による燃料ガスの供給が連続流の場合よりもより高い差圧を発生させることが、AとCの比較によって確認できる。燃料ガス供給側から間欠流の燃料ガス供給を行うには、例えば、供給弁として供給用インジェクタを使用する構成が考えられる。この場合、供給用インジェクタを閉じた時に、燃料電池10内の発電による燃料ガスの消費によりアノード流路11の圧力が低下して差圧が増加する。すなわち、燃料電池10のアノード流路11内で間欠的に燃料ガスの消費がされて、間欠的に燃料ガス圧力が低下するので、燃料ガス圧力に間欠的な圧力変動、即ち脈動が発生し、燃料電池10の差圧がより高いものとなると考えられる。
また、間欠流による燃料ガスの供給であっても、流量が多い方がより高い差圧を発生させることが、AとBの比較によって確認できる。燃料ガスの圧力損失(燃料ガスと壁面との摩擦、絞り等)は流量に比例するので、燃料ガス流量が増加すると圧力損失が増加して差圧が発生することによるものと考えられる。
以上の考察を踏まえて、本実施形態の第1インジェクタ29による間欠パージを行う場合に発生する差圧が、従来のパージ弁を用いた水素パージを行う場合に比べてより高いものとなることについて考察する。両者のパージ処理によって燃料電池10において置換される総合的な燃料ガス量が同じであれば、発生する差圧も同じになるはずである。しかしながら、第1インジェクタ29による間欠パージの場合、あるタイミングでのパージで差圧が発生してそのタイミングでの差圧増加分が無くならない内に、次のタイミングでのパージによる差圧増加分が重畳されていく。このように、重畳的効果が見込まれ、その結果として、従来のパージ弁を用いたパージ処理により発生する差圧と比較して、より高いものとなると考えられる。
次に、図10を参照して、インジェクタの開閉応答特性の優位性による効果について説明する。閉弁遅れ特性について比較すると、従来のパージ弁の場合(図10(b)参照)、1回の水素パージによる排出流量が多いため、閉弁遅れが相対的に大きく、該閉弁遅れのバラツキも大きい。これに対して、本実施形態で使用するインジェクタでは、1回の開閉制御(PWM制御の1周期)当たりの排出流量が少ないため、閉弁遅れが相対的に小さく、該閉弁遅れのバラツキも小さい。
このように、インジェクタは従来のパージ弁と比較して開閉応答特性が優れており、加えて1回の開閉制御当たりの排出流量が少ないため、排出流量をきめ細かく調整することができる。また、実際の排出流量をより精度良く推定できるため、推定した排出流量を(精度上問題無く)制御パラメータとして使用することができ、例えば、気液分離器15の水位センサや、流量センサなどの検出手段を省略することができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。図11は第2実施形態の燃料電池システム2の構成図である。同図において、本実施形態の燃料電池システム2は、第1実施形態と同様に、燃料電池10、アノード系20、カソード系40、掃気系、検出系、制御部70aなどで構成されている。このような構成によっても、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。
本実施形態において第1実施形態と異なる構成は、アノード系20の燃料ガス供給流路において、遮断弁22の代わりに、第3インジェクタ30aを使用していることである。第3インジェクタ30aのデューティ比は制御部70aによって設定され、第3インジェクタ30aの開閉は、該デューティ比に基づく開閉制御信号によってPWM制御される。
このように、燃料ガス供給流路に流量を制御可能な第3インジェクタ30aを配することにより、第3インジェクタ30aのPWM制御におけるデューティ比(オンデューティの場合には、1周期当たりの開弁時間)を細かく制御して、1回の第3インジェクタ30aの作動による供給量もより正確に推定することができるので、きめ細かい供給制御を行うことができる。
ところで、図9に例示したように、電流密度に対する差圧の特性では、燃料ガス供給方法の違いに関わらず、低い電流密度(低負荷運転時)に対しては低い差圧となり、燃料電池10の排水性が悪化し易くなる。また、低負荷運転時には、燃料ガスの供給流量が少ないことから、第1インジェクタ29による間欠パージを行ったとしても、排水可能差圧が得られないケースがある。
本実施形態では、そのようなケースにおいて、制御部70aによって、第1インジェクタ29及び第3インジェクタ30aのそれぞれのPWM制御を同期させることにより、第3インジェクタ30aの間欠供給による差圧増加分と、第1インジェクタ29の間欠パージによる差圧増加分と、を重畳させて、さらにより高い差圧を発生させる。
図12に、(a)第3インジェクタ30aに対する開閉制御信号、(b)アノード圧力、(c)第1インジェクタ29に対する開閉制御信号のタイミングチャートを例示する。なお、第1インジェクタ29及び第3インジェクタ30aのそれぞれのデューティ比については、制御部70aにおいて設定されているものとし、その設定手法については特に言及しない。また、図12(b)に示すアノード圧力の変化は、第3インジェクタ30aの開閉制御に伴う変化のみを示しており、他の要因(第1インジェクタ29の開閉制御等)に伴う変化について反映されていないものとする。
図12(b)を参照して、第3インジェクタ30aの開閉制御に伴うアノード圧力の変化について見ると、第3インジェクタ30aが開制御されるとアノード圧力はP2からP1に上昇し、第3インジェクタ30aが閉制御されると、発電による燃料ガスの消費によってアノード圧力はP1からP2に減少する。ここで、差圧が増加するのは、短時間に燃料ガスの供給量が増える場合と、排出量が増える場合である。なお、これは内部に流れが生じることによるものである。したがって、アノード圧力P1とP2の圧力差を大きくすることが可能であれば差圧を増加させることができる。
そこで、本実施形態では、第3インジェクタ30aの間欠的な燃料ガス供給により、第3インジェクタ30aの開制御時に短時間で燃料ガスの供給量を増やしてアノード圧力をP1に上昇させる。また、第3インジェクタ30aの閉制御時に第1インジェクタ29を開制御させることで短時間で燃料ガスの排出量を増やしてアノード圧力をP2に降下させる。これによって、より高い差圧を発生させることができる。具体的には、図12(c)に示すように、第3インジェクタ30aを開制御から閉制御に切り替えるタイミングから所定時間ΔT経過後に、第1インジェクタ29を閉制御から開制御に切り替えるように、第3インジェクタ30aに対する開閉制御信号及び第1インジェクタ29に対する開閉制御信号間の同期をとる。
これにより、低負荷運転時であっても、燃料電池10の差圧を排水可能差圧以上に高くすることができ、燃料電池10の排水性を向上させることができる。
〔変形例〕
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、気液分離器25で分離された水分を排出する手段として、第2インジェクタ28の代わりに、従来と同様のドレイン弁を使用しても良い。この構成によっても、排気に関して第1実施形態及び第2実施形態と同等の効果を得ることができる。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、希釈器53を備えて、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28(第2実施形態ではドレイン弁28a)から排出される燃料オフガスを、排出可能濃度となるまで希釈して外部に排出する態様としたが、希釈器53は必須の構成要件ではなく、希釈器53を配しないで、配管b4に配管a8を直接結合した態様としても、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
つまり、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28では、排出量をきめ細かく制御できるので、希釈器53における燃料オフガスの滞留空間によって燃料オフガス量を調整しなくても、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28の排出量をPWM制御のデューティ比設定により直接的に調整できる。
すなわち、配管b4に流れる酸化剤オフガス量を、エア量Qair及び燃料電池10の発電電流Iに基づき算出して、この酸化剤オフガス量に対して導入可能(排出可能濃度となるまで希釈可能)な燃料オフガス量を求め、第1インジェクタ29及び/または第2インジェクタ28の排出量が該燃料オフガス量となるよう、PWM制御のデューティ比を調整する。
1,2 燃料電池システム
10 燃料電池
11 アノード流路
12 カソード流路
20 アノード系
21 燃料ガス供給系
22 遮断弁
23 エゼクタ
25 気液分離器(気液分離手段)
28 第2インジェクタ
29 第1インジェクタ
30a 第3インジェクタ
31 オリフィス
a1〜a8,b1〜b4 配管
40 カソード系
41 エアポンプ
42 エアフローセンサ
44 加湿器
46,45 封止弁
53 希釈器(希釈手段)
70,70a 制御部
71 生成水量推定手段
72 排水デューティ設定手段
73 排水実行手段
74 排出可能ガス量推定手段
75 排気デューティ設定手段
76 排気実行手段
77 故障検知手段
81 掃気要否判断手段
82 停止制御手段
83 低温起動判定手段
84 起動制御手段

Claims (9)

  1. 燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池と、
    前記燃料電池に供給される燃料ガスが通流する燃料ガス供給流路と、
    前記燃料電池から排出される燃料オフガスが通流する燃料オフガス排出流路と、
    前記燃料オフガス排出流路に配設され、燃料オフガスを排出する第1インジェクタと、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記第1インジェクタにより排出された燃料オフガスを、排出可能濃度となるまで希釈する希釈手段と、
    前記希釈手段に導入される希釈ガス量に基づき該希釈手段に導入可能な燃料オフガス量を排出可能ガス量として推定する排出可能ガス量推定手段と、
    前記排出可能ガス量推定手段により推定された排出可能ガス量に基づき前記第1インジェクタのデューティ比を設定する排気デューティ設定手段と、
    燃料オフガスの排気が必要とされるとき、前記排気デューティ設定手段により設定されたデューティ比で前記第1インジェクタを作動させる排気実行手段と、を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記第1インジェクタの下流に配設され、前記燃料オフガス排出流路を通流する燃料オフガスの圧力を検知する圧力検知手段と、
    前記圧力検知手段の下流に配設されるオリフィスと、
    前記圧力検知手段の検出値に基づき、前記第1インジェクタの故障を検知する故障検知手段と、を備える
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料オフガス排出流路に配設されて、燃料オフガスに含まれる水分を分離する気液分離手段と、
    前記気液分離手段で分離された水分を排出する第2インジェクタと、を備え、
    前記第1インジェクタは、前記気液分離手段で水分を分離した後の燃料オフガスを排出すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池の発電電流に基づき生成水量を推定する生成水量推定手段と、
    前記生成水量推定手段により推定された生成水量に基づき前記第2インジェクタのデューティ比を設定する排水デューティ設定手段と、
    前記生成水量推定手段により推定された生成水量が排水実行閾値を超えたとき、前記排水デューティ設定手段により設定されたデューティ比で前記第2インジェクタを作動させる排水実行手段と、を備えること
    を特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタの下流に配設され、前記燃料オフガス排出流路を通流する燃料オフガスの圧力を検知する圧力検知手段と、
    前記圧力検知手段の下流に配設されるオリフィスと、
    前記圧力検知手段の検出値に基づき、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタの故障を検知する故障検知手段と、を備える
    ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 当該燃料電池システムに対する停止要求があったとき、前記燃料電池の掃気が必要か否かを判断する掃気要否判断手段と、
    前記掃気要否判断手段により前記燃料電池の掃気が必要であると判断された場合に、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタの両方を作動させる停止制御手段と、を備える
    ことを特徴とする請求項4乃至請求項6の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  8. 当該燃料電池システムの起動時に、低温起動が必要か否かを判定する低温起動判定手段と、
    前記低温起動判定手段により低温起動が必要であると判定された場合に、前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタへ電流を供給し続ける起動制御手段と、を備えること
    を特徴とする請求項4乃至請求項7の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料ガス供給流路に配設されて、燃料ガスを供給する第3インジェクタ、を備え、
    前記第3インジェクタを開制御から閉制御に切り替えるタイミングから所定時間経過後に、前記第1インジェクタを閉制御から開制御に切り替えること
    を特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の燃料電池システム。
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