JP2004327067A - 有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子の製造方法 Download PDF

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昌男 西口
Teiichiro Nishimura
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Abstract

【課題】良品率の高い有機電界発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】第1の電極と第2の電極との間に、画素ごとにパターニングされた発光領域層を有する有機電界発光素子の製造方法であって、シリコンブランケット1の表面に発光領域層の構成材料を含む塗布液3よりなる塗布膜3bを形成し、次いでその塗布膜3bにガラス凸版31を押圧し、その押圧部分の塗布膜3cをシリコンブランケット1からガラス凸版31に転写して非画素部とし、次にシリコンブランケット1の表面に残った塗布膜3dである画素部を発光領域層の被形成面に転写することによって発光領域層のうち少なくとも1層を所定の膜厚で形成し、画素部の膜厚の制御は、ガラス凸版31に転写された非画素部の膜厚t1を計測し、その結果を塗布膜3bの形成条件に反映させることにより行う。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、第1の電極と第2の電極との間に、画素ごとにパターニングされた発光領域層を有する有機電界発光素子の製造方法に関する。詳しくは、シリコンブランケットの表面に発光領域層の構成材料を含む塗布液よりなる塗布膜を形成し、次いで塗布膜に凸版を押圧し、その押圧部分をシリコンブランケットから凸版に転写し、シリコンブランケットの表面に残った塗布膜である画素部を発光領域層の被形成面に転写することによって発光領域層のうち少なくとも1層を所定の膜厚で形成する有機電界発光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、軽量・薄型のフラットパネルディスプレイとして、有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」という。)を用いたディスプレイが注目されている。有機EL素子は、発光材料として有機化合物を用いた有機電界発光素子からなり、応答速度が高く視野角依存性がないフラットパネルディスプレイが実現できるものである。有機EL素子を形成する有機EL材料には、低分子有機EL材料と近年開発された高分子有機EL材料とがある。
【0003】
このうち、高分子有機EL材料を用いた有機EL素子の製造方法としては、例えば透明基板上に、赤、緑、青の各透明画素電極を形成し、赤と緑の透明画素電極上のみに、赤色と緑色それぞれの発光領域層をインクジェット方式により成膜し、その上に透明基板全面にわたって青色の発光領域層を形成し、さらにその上に対向電極を形成する有機EL素子の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−153967号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、インクジェット方式による発光領域層の成膜は、微小な液滴をダイレクトコーティングするものであり、成膜中に発光領域層の膜厚を直接計測することは困難である。したがって、有機EL素子を製造した後に光干渉膜厚計などによって発光領域層の膜厚を計測し、基準値から外れた有機EL素子を不良品としている。これでは、発光領域層の成膜時に膜厚が基準値から外れているにもかかわらず、後工程に送って有機EL素子を製造してしまい、有機EL素子の良品率が低くなってしまうという問題があった。
【0006】
また、低分子有機EL材料を用いた有機EL素子の製造は、真空蒸着による成膜であるため成膜中に発光領域層の層厚を直接計測することは困難であり、上述の高分子有機EL材料を用いた有機EL素子の製造方法と同様の問題があった。
そこで、この発明の目的は、良品率の高い有機電界発光素子の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に記載の発明は、第1の電極と第2の電極との間に、画素ごとにパターニングされた発光領域層を有する有機電界発光素子の製造方法であって、
シリコンブランケットの表面に前記発光領域層の構成材料を含む塗布液よりなる塗布膜を形成し、次いで該塗布膜に凸版を押圧し、該押圧部分の前記塗布膜を前記シリコンブランケットから前記凸版に転写して非画素部とし、次いで前記シリコンブランケットの表面に残った前記塗布膜である画素部を前記発光領域層の被形成面に転写することによって前記発光領域層のうち少なくとも1層を所定の膜厚で形成し、
前記画素部の膜厚の制御は、前記凸版に転写された前記非画素部の膜厚を計測し、その結果を前記塗布膜の形成条件に反映させることにより行われることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、発光領域層の製造時において画素部を被形成面に転写(凸版反転オフセット)する前に非画素部の塗布膜を利用してその膜厚を計測しその結果を塗布膜の形成条件に反映させるので、製造時において画素部の膜厚が基準値から外れたものまで後工程に送ることがない。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記塗布液は、2枚の平板を平行に離間・対向して形成し、かつ前記シリコンブランケットの回転軸に対して平行に備えられたスリットを介して前記シリコンブランケットの表面にその下方から供給・塗布され、
前記画素部の膜厚の制御は、前記スリットの前記2枚の平板の間隙を調整することにより行われることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、2枚の平板の間隙を調整することによって、画素部の膜厚の制御が容易に、かつ精度よく行われる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記塗布液は、グラビアパターンの形成されたグラビアロールを介して前記シリコンブランケットの表面にその下方から供給・塗布され、
前記画素部の膜厚の制御は、前記グラビアロールの回転速度を調整することにより行われることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、グラビアロールの回転速度を調整することによって、画素部の膜厚の制御が容易に、かつ精度よく行われる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記凸版に転写された前記非画素部の膜厚の計測は、前記凸版の前記非画素部の転写面に基準面を形成し、該基準面上の前記非画素部の膜厚を光干渉膜厚計で計測することにより行われることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、基準面を形成することで、実測することのできない非画素部の膜厚の測定がより正確に行われる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法が対象とする有機電界発光素子は、基板上に第1の電極、発光領域層、第2の電極が、この順に積層されたものである。発光領域層としては、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などが挙げられる。この発明における有機電界発光素子は、発光領域層がホール輸送層、発光層からなる2層型の有機電界発光素子、発光領域層がホール輸送層、発光層、電子輸送層からなる3層型の有機電界発光素子、発光領域層がホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層からなる5層型の有機電界発光素子などを含む。
また、本発明の製造方法が対象とする有機電界発光素子は、後述する第2の電極側から光を取り出す上面発光型の有機電界発光素子、第1の電極側から光を取り出す下面発光型の有機電界発光素子のいずれにも適用することができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
第1の実施の形態
図1はこの発明の有機電界発光素子の製造方法によって製造される有機電界発光素子の一例を示す概略断面図である。この有機電界発光素子10は、透明ガラス基板11上に、第1の電極としてのITO透明画素電極(陽極)12、ホール輸送層13、電子輸送層を兼ねた電子輸送性発光層14をこの順に形成する。さらに、電子輸送性発光層14の上には電子の注入性を高めるためのカルシウム(Ca)層とアルミニウム(Al)層とからなる第2の電極としての陰極15を設け、ITO透明画素電極12、陰極15に直流電源16を接続してなる。
【0017】
つぎに、上記有機電界発光素子10の製造工程の一例について、図2、図3をもとに具体的に説明する。
(1)第1の工程
透明ガラス基板11上にITO透明画素電極12を、真空蒸着およびパターニングで形成する〔図2(a)〕。
(2)第2の工程
ITO透明画素電極12上に、ホール輸送層の構成材料を含む液(例えば、PEDOTの水溶液)をマイクロシリンジで滴下し〔図2(b)〕、透明ガラス基板11を高速回転させる(スピンコート)ことにより、ITO電極12をこの液で被覆する。なお、PEDOTについては後記する。
(3)第3の工程
上記ホール輸送層の構成材料を含む液を焼成してホール輸送層13を形成する〔図2(c)〕。
【0018】
次いで、以下の第4の工程〜第6の工程(凸版反転オフセット印刷工程)により、ホール輸送層13上に電子輸送性発光層14を形成し、第7の工程および第8の工程により、有機電界発光素子10を完成させる。
(4)第4の工程(コーティング)
図3に示すように、コーティング工程では、シリコン樹脂膜1aを表面に備えたローラ状のシリコンブランケット1を回転軸の周りに回転自在に設け、その下方にスリット2の上部を近接して設けるとともに、スリット2の下部は、容器Cに貯えた塗布液3に浸して設けている。
スリット2はステンレス製またはガラス製の2枚の平板2a,2bを互いに平行に離間・対向して形成する。
【0019】
電子輸送性発光層14の構成材料を含む塗布液3は、例えば、ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(以下、MEH−PPVと略す。)の有機溶媒溶液からなる。
この塗布液3を容器Cからシリコンブランケット1の回転軸に対して平行に備えられたスリット2を介してシリコンブランケット1の表面にその下方から供給・塗布して、塗布膜3bを形成する。
【0020】
(5)第5の工程(パターニング)
予めパターニングされたガラス凸版31を塗布膜3bの形成されたシリコンブランケット1の表面に押圧し、ガラス凸版31とシリコンブランケット1とを相互に転動させて、ガラス凸版31の凸部表面(押圧部分)に接する塗布膜3cをシリコンブランケット1の表面から転写して除去する。このガラス凸版31に転写された塗布膜3cは非画素部となり、シリコンブランケット1の表面に残った塗布膜パターン3dは画素部となる。
【0021】
ここで、図4に示すように転写面となるガラス凸版31の凸部表面の一部には、Crなどの高反射材34で形成された光学基準面を備える。
そして、画素部を形成する際に、ガラス凸版31に転写された非画素部である塗布膜3cの上方より光学基準面に向けて光を照射して、光干渉膜厚計38によって塗布膜3cの膜厚検査36を行う。すなわち、非画素部に相当するガラス凸版31上の塗布膜厚t1を測定することで、パターニングされた画素部の膜厚を制御するものである。
【0022】
この膜厚t1が基準値内にあるときは次工程のオフセットを行う。一方、膜厚t1が基準値から外れているときは、次工程を中止して塗工パラメータ制御37に移行する。すなわち、ガラス凸版31とシリコンブランケット1を洗浄した後、スリット2の2枚の平板2a,2bの間隙dを調整して、塗工パラメータ制御37し、再び第4の工程に戻り、シリコンブランケット1の表面に塗布液3を塗布する。上記工程を膜厚t1が基準値内となるまで繰り返す。この工程においては、非画素部の膜厚t1を計測することにより、画素部の膜厚を制御している。
【0023】
(6)第6の工程(オフセット)
上記の膜厚検査36でOKとなった画素部を表面に形成したシリコンブランケット1を、ホール輸送層13形成後の透明ガラス基板11上で接触転動させることにより、シリコンブランケット1の表面に残った塗布膜パターン3dを、ホール輸送層13上に転写する。その後、この塗布膜パターン3dを焼成・乾燥する。
【0024】
以上の工程により、電子輸送性発光層14が形成される。この電子輸送性発光層14は、単色パターンとしては勿論、上記凸版反転オフセット印刷法を順次行うことによって、フルカラー用のパターン(赤色用、緑色用または青色用)として形成することもできる。
【0025】
(7)第7の工程
真空蒸着およびパターニングにより、電子輸送性発光層14上にCa層と、この上に主電極としてのAl層をそれぞれ所定層厚で形成し、このAl層上に保護およびボンディング性向上のためのAu−Ge層(いずれも図略)を所定層厚で形成し、陰極15とする。
【0026】
(8)第8の工程
上記Au−Ge層上に対向基板(図略)を被せ、さらに側部をエポキシ樹脂等によって封止することで、有機電界発光素子10が完成する。
【0027】
なおここでは、光学基準面上の非画素部の膜厚t1を光干渉膜厚計38で計測したが、この発明はこれに限定されるものではなく、光学基準面を形成しなくてもよい。また、非画素部の膜厚t1をどのような方法で計測してもよい。
【0028】
第2の実施の形態
この実施の形態は、上述の第1の実施の形態における第3の工程までは同じであるので説明を省略する。
【0029】
図3において、第4の工程(コーティング)では、図5に示すように表面にシリコン樹脂膜1aが形成されたローラ状のシリコンブランケット1を回転軸の周りに回転自在に設け、その下方に周面にグラビアパターンが形成されたグラビアロール4の上部を近接して設けるとともに、グラビアロール4の下部は、容器Cに貯えた塗布液3に浸して設ける。
この塗布液3を容器Cからグラビアロール4を介してシリコンブランケット1の表面にその下方から供給・塗布して、塗布膜3bを形成する。
【0030】
第5の工程(パターニング)では、予めパターニングされたガラス凸版31を塗布膜3bの形成されたシリコンブランケット1の表面に押圧し、ガラス凸版31とシリコンブランケット1とを相互に転動させて、ガラス凸版31の凸部表面(押圧部分)に接する塗布膜3cをシリコンブランケット1の表面から転写して除去する。このガラス凸版31に転写された塗布膜3cは非画素部となり、シリコンブランケット1の表面に残った塗布膜パターン3dは画素部となる。
【0031】
ここで転写面となるガラス凸版31の凸部表面の一部には、Crなどの高反射材34で形成された光学基準面を備える。
そして、画素部を形成する際に、ガラス凸版31に転写された非画素部である塗布膜3cの上方より光学基準面に向けて光を照射して、光干渉膜厚計38によって塗布膜3cの膜厚検査36を行う。すなわち、非画素部に相当するガラス凸版31上の塗布膜厚t1を測定することで、パターニングされた画素部の膜厚を制御するものである。
【0032】
この膜厚t1が基準値内にあるときは次工程のオフセットを行う。一方、膜厚t1が基準値から外れているときは、次工程を中止して塗工パラメータ制御37に移行する。すなわち、ガラス凸版31とシリコンブランケット1を洗浄した後、グラビアロール2の回転速度を調整して塗工パラメータ制御37し、再び第4の工程に戻り、シリコンブランケット1の表面に塗布液3を塗布する。上記工程を膜厚t1が基準値内となるまで繰り返す。この工程においては、非画素部の膜厚t1を計測することにより、画素部の膜厚を制御している。
【0033】
なお、オフセット以降の工程は、前述の第1の実施の形態と同様にして、有機電界発光素子10を製造する。
【0034】
上記第1、第2の実施の形態に係る製造方法は、図6に示すような上面発光型の有機電界発光素子20を製造するのにも好適である。この有機電界発光素子20は、基板21上に下層から第1の電極22、有機層(発光領域層)23、第2の電極24の順に積層し、この第2電極24上に透明誘電体からなる不図示のパッシベーション膜を積層し、さらにこのパッシベーション膜をエポキシ樹脂とガラスにより封止する(図略)ことで、完全固体封止構造の有機電界発光素子となっている。
【0035】
基板21は例えば透明ガラス基板や半導体基板等で構成され、またフレキシブルなものであっても良い。第1の電極22は反射層を兼ねた陰極として用いられるもので、例えばクロム(Cr)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、タングステン(W)等の光反射材料で構成されている。また、この第1の電極22は、膜厚が100nm〜300nmに設定されていることが望ましい。
【0036】
有機層23は、ホール輸送層23aをスピンコートし、例えば120℃で1時間減圧乾燥した後に、電子輸送層を兼ねた電子輸送性発光層23bを形成する。この電子輸送性発光層23bの形成は前述の凸版反転オフセット印刷により行うが、前述の2つの実施の形態に記載したように、凸版に転写された非画素部の膜厚を計測し、その結果を塗布膜の形成条件に反映させて塗布膜厚を制御し、電子輸送性発光層23bを形成する。そしてR、G、Bそれぞれのオフセット工程後に、例えば120℃で1時間減圧乾燥する。ホール輸送層23aは、上記したPEDOTで構成される。また、電子輸送性発光層23b用の塗布液としては、例えば前述の塗布液3を用いる。
【0037】
ホール輸送層23aおよび電子輸送性発光層23bは、膜厚15nm〜100nmの範囲に設定することが望ましい。ただし、有機層23および、これを構成する各層の膜厚は、その光学的膜厚による。例えば、PEDOT20nmに対して、Red75nm、Green65nm、Blue45nmで構成される。
【0038】
また、有機電界発光素子20では、第2の電極24は蒸着によるCa層24aと、共蒸着によるMg−Ag層24bと、ITO層24cとからなる。すなわちこの第2の電極24は、Ca蒸着層/Mg−Ag共蒸着層/ITO層という層構成になっている。Ca層24aとMg−Ag層24bを合わせた層厚は5nm〜50nmの範囲内に設定され、Ca層24aは3〜30nmの層厚に設定される。
【0039】
さらに、ITO層24cの層厚は、30nm〜1000nmの範囲内に設定することが好ましい。なお、ITO層24cに代えて、インジウムと亜鉛酸化物との混合物など、一般的に透明電極として用いられている材料からなる層を形成することもできる。
【0040】
また、第2の電極24上には透明誘電体からなるパッシベーション膜(図略)が積層されているが、この透明誘電体としては第2の電極24と同程度の屈折率を有するもの、例えば酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)等を用いることができ、膜厚は例えば500nm〜1000nmの範囲内に設定される。
【0041】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を示す。
実施例1
<有機電界発光素子の作製>
以下に、図7に示される下面発光型の高分子有機電界発光素子10を作製する例を図2、図3を用いて具体的に説明する。
【0042】
まず、一辺の長さが30mmの正方形透明ガラス基板11上に第1の電極としてのITO透明画素電極12を膜厚250nmでパターン形成した〔図2(a)〕。
【0043】
その上からホール輸送層13形成用のPEDOT水溶液を、スピンコートで層厚60nmに成膜して上記ITO透明画素電極12を被覆した〔図2(b)〕。この塗布膜を窒素ガス雰囲気下で120℃×1時間の条件で焼成してホール輸送層13を形成した〔図2(c)〕。PEDOT〔ポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン〕は、構造式が下記[化1]で示されるホール輸送性の有機高分子化合物である。
【0044】
【化1】
Figure 2004327067
【0045】
つぎに凸版反転オフセット印刷により電子輸送性発光層14を形成する(図3)。この場合、スリット2の間隔(図3における平板2a,2b間の対向間隙)dを350μmに設定した。そしてシリコンブランケット1の表面速度を3.0mm/secに制御しながら、シリコンブランケット1の表面に塗布液3である以下の電子輸送性ポリマー有機溶剤溶液1〜3を適宜選択して塗布し塗布膜3bを形成する。
【0046】
(A)有機溶剤溶液1
・構造式が下記[化2]で表されるMEH−PPV 1.5重量部
・キシレン 24.0重量部
・シクロヘキサノン 15.0重量部
・テトラリン 60.0重量部
(B)有機溶剤溶液2
・構造式が下記[化3]で表されるPPV 1.5重量部
・キシレン 29.0重量部
・シクロヘキサノン 20.0重量部
・テトラリン 50.0重量部
(C)有機溶剤溶液3
・構造式が下記[化4]で表されるCN−PPV 1.5重量部
・キシレン 24.0重量部
・シクロヘキサノン 20.0重量部
・テトラリン 55.0重量部
【0047】
【化2】
Figure 2004327067
【0048】
【化3】
Figure 2004327067
【0049】
【化4】
Figure 2004327067
【0050】
なお、MEH−PPVは発光色がオレンジ色で蛍光波長が500nm、PPVは発光色が緑色で蛍光波長が525nm、CN−PPVは発光色が青色で蛍光波長が430nmである。
【0051】
次いでガラス凸版31を塗布膜3bの形成されたシリコンブランケット1の表面に押圧し、ガラス凸版31とシリコンブランケット1とを相互に転動させる。ガラス凸版31の凸部の表面(押圧部分)に接する塗布膜3cはシリコンブランケット1の表面から転写して除去され、このガラス凸版31に転写された塗布膜3cは非画素部となり、シリコンブランケット1の表面に残った塗布膜パターン3dは画素部(電子輸送性発光層14)となる。
【0052】
ガラス凸版31に転写された非画素部である塗布膜3cの上方よりCrなどの高反射材34の表面に形成された光学基準面に向けて光を照射して、光干渉膜厚計38によって塗布膜3cの膜厚t1を計測したところ、t1=85nmであった。
【0053】
この電子輸送性発光層14の基準膜厚は80nmであるので、次工程のオフセットをせずに、画素部の形成されているシリコンブランケット1の表面と非画素部の形成されているガラス凸版31を洗浄して画素部と非画素部を除去する。また、スリット2の間隙dを300μmに調整してシリコンブランケット1の表面速度を3.0mm/secのまま、再び、シリコンブランケット1の表面に塗布液3を塗布して塗布膜3bを形成する。
【0054】
再び、ガラス凸版31の凸部をシリコンブランケット1の表面に押圧し、押圧部分の塗布膜3bをシリコンブランケット1からガラス凸版31の転写面に転写した非画素部に上方から光を照射して、非画素部の膜厚t1を計測したところ、t1=80nmとなり、基準膜厚となった。
【0055】
そこで、オフセット工程に進み、ホール輸送層13上に上述の電子輸送性ポリマーの有機溶剤溶液1,2または3で形成した画素部を転写した後、この画素部を窒素雰囲気下で70℃×2時間の条件で焼成して電子輸送性発光層14を形成した。
【0056】
つぎに、電子輸送性発光層14上に、真空蒸着によりCa層15aを30nm厚、Al層(主電極)15bを200nm厚に順次成膜した後、パターニングした。さらに、このAl層15b上に、保護およびボンディング性向上のためのAu−Ge層(不図示)を形成して第2の電極としての陰極15を形成し、有機電界発光素子10を完成する。なお、図7中、符号17はポリイミドからなる絶縁膜(500nm〜2μm)である。
【0057】
<有機電界発光素子の発光特性評価>
このようにして作製された有機電界発光素子について、発光効率および発光強度を測定した結果を下記表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 2004327067
【0059】
実施例2
この実施例は、図7に示される下面発光型の高分子有機電界発光素子10を作製する例を図2、図3、図5を用いて具体的に説明するものであり、シリコンブランケット1の表面に塗布液3を塗布するコーティング工程より前の工程は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0060】
まず、シリコンブランケット1の表面速度を3.0mm/sec、グラビアロール4の表面速度を2.8mm/secに制御しながら、シリコンブランケット1の表面にグラビアロール4を介して塗布液3を供給・塗布して塗布膜3bを形成する。なお、塗布膜3bは、実施例1に示す電子輸送性ポリマー有機溶剤溶液と同一のものであるので説明を省略する。
【0061】
次いでガラス凸版31を塗布膜3bの形成されたシリコンブランケット1の表面に押圧し、ガラス凸版31とシリコンブランケット1とを相互に転動させる。ガラス凸版31の凸部の表面(押圧部分)に接する塗布膜3cをシリコンブランケット1の表面から転写して除去する。このガラス凸版31に転写された塗布膜3cは非画素部となり、シリコンブランケット1の表面に残った塗布膜パターン3dは画素部(電子輸送性発光層14)となる。
【0062】
そして膜厚検査36において、実施例1と同様にガラス凸版31に転写された非画素部である塗布膜3cの上方よりCrなどの高反射材34の表面に形成された光学基準面に向けて光を照射して、光干渉膜厚計38によって塗布膜3cの膜厚t1を計測したところ、t1=85nmであった。
【0063】
この電子輸送性発光層14の基準膜厚は80nmであるので、次工程のオフセットを中止して、画素部の形成されているシリコンブランケット1の表面と非画素部の形成されているガラス凸版31を洗浄して画素部と非画素部を除去するとともに、塗工パラメータ制御37に移行して、グラビアロール4の回転速度を2.5mm/secに調整する。そして再びコーティング工程において、シリコンブランケット1の表面に塗布液を塗布して塗布膜3bを形成する。なお、シリコンブランケット1の表面速度を3.0mm/secのままである。
【0064】
そしてパターニング工程において、ガラス凸版31をシリコンブランケット1の表面に押圧して、押圧部分の塗布膜3bから非画素部を転写して除去する。次に、膜厚検査36においてガラス凸版31の光学基準面に光干渉膜厚計38から光を照射して非画素部の膜厚t1を計測したところ、t1=80nmとなり、基準膜厚となった。
【0065】
そこで、オフセット工程に進み、シリコンブランケット1をホール輸送層13の形成後のガラス基板11上で接触転動させることにより、画素部である塗布膜パターン3dをホール輸送層13上に転写する。この塗布膜パターン3dを窒素雰囲気下で70℃×2時間の条件で焼成して電子輸送性発光層14を形成した。
【0066】
つぎに、電子輸送性発光層14上に、真空蒸着によりCa層15aを30nm厚、Al層(主電極)15bを200nm厚に順次成膜した後、パターニングした。さらに、このAl層15b上に、保護およびボンディング性向上のためのAu−Ge層(不図示)を形成して第2の電極としての陰極15を形成し、有機電界発光素子10を完成する。なお、図7中、符号17はポリイミドからなる絶縁膜(500nm〜2μm)である。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の発明によれば、発光領域層の製造時において画素部を被形成面に転写(凸版反転オフセット)する前に非画素部の塗布膜を利用してその膜厚を計測しその結果を塗布膜の形成条件に反映させるので、製造時において画素部の膜厚が基準値から外れたものまで後工程に送って不良品の有機電界発光素子を製造してしまうことがなく、良品率の高い有機電界発光素子の製造方法を提供することができる。
【0068】
請求項2記載の発明によれば、2枚の平板の間隙を調整することによって、画素部の膜厚の制御が容易に、かつ精度よく行われるので、簡単な方法で良品率の高い有機電界発光素子の製造方法を提供することができる。
【0069】
請求項3記載の発明によれば、グラビアロールの回転速度を調整することによって、画素部の膜厚の制御が容易に、かつ精度よく行われるので、簡単な方法で良品率の高い有機電界発光素子の製造方法を提供することができる。
【0070】
請求項4記載の発明によれば、基準面を形成することで、実測することのできない非画素部の膜厚の計測をより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態(または第2の実施の形態)に係る製造方法で得られる有機電界発光素子の一例を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す有機電界発光素子の製造工程に係るもので、基板上に第1の電極と、その上にホール輸送層とを積層形成する工程を示す断面図である。
【図3】この発明の有機電界発光素子の製造方法においてホール輸送層の上に電子輸送性発光層を形成する方法を説明するための図である。
【図4】この発明の有機電界発光素子の製造方法における電子輸送性発光層(発光領域層)の膜厚の計測方法を説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るもので、有機電界発光素子の製造方法に使用する、グラビアロールを備えた湿式塗布装置の正面断面図である。
【図6】本発明の製造方法で得られる別の有機電界発光素子(上面発光型)の例を示す概略断面図である。
【図7】図1に示す有機電界発光素子(下面発光型)の具体例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリコンブランケット
1a シリコン樹脂膜
2 スリット
2a,2b 平板
3 塗布液
3b 塗布膜
3c 塗布膜(非画素部)
3d 塗布膜パターン(画素部)
4 グラビアロール
10 有機電界発光素子(下面発光型)
11 透明ガラス基板
12 ITO透明画素電極(第1の電極)
13,23a ホール輸送層
14,23b 電子輸送性発光層
15 陰極(第2の電極)
16 直流電源
17 絶縁膜
20 有機電界発光素子(上面発光型)
21 基板
22 第1の電極
23 有機層
24 第2の電極
24a,45a Ca層
24b Mg−Ag層
24c ITO
31 ガラス凸版(凸版)
34 高反射材料
36 膜厚検査
37 塗工パラメータ制御
38 光干渉膜厚計
C 容器
t1 膜厚

Claims (4)

  1. 第1の電極と第2の電極との間に、画素ごとにパターニングされた発光領域層を有する有機電界発光素子の製造方法であって、
    シリコンブランケットの表面に前記発光領域層の構成材料を含む塗布液よりなる塗布膜を形成し、次いで該塗布膜に凸版を押圧し、該押圧部分の前記塗布膜を前記シリコンブランケットから前記凸版に転写して非画素部とし、次いで前記シリコンブランケットの表面に残った前記塗布膜である画素部を前記発光領域層の被形成面に転写することによって前記発光領域層のうち少なくとも1層を所定の膜厚で形成し、
    前記画素部の膜厚の制御は、前記凸版に転写された前記非画素部の膜厚を計測し、その結果を前記塗布膜の形成条件に反映させることにより行われることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  2. 前記塗布液は、2枚の平板を平行に離間・対向して形成し、かつ前記シリコンブランケットの回転軸に対して平行に備えられたスリットを介して前記シリコンブランケットの表面にその下方から供給・塗布され、
    前記画素部の膜厚の制御は、前記スリットの前記2枚の平板の間隙を調整することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  3. 前記塗布液は、グラビアパターンの形成されたグラビアロールを介して前記シリコンブランケットの表面にその下方から供給・塗布され、
    前記画素部の膜厚の制御は、前記グラビアロールの回転速度を調整することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  4. 前記凸版に転写された前記非画素部の膜厚の計測は、前記凸版の前記非画素部の転写面に基準面を形成し、該基準面上の前記非画素部の膜厚を光干渉膜厚計で計測することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
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