JP2004325556A - 感光性平版印刷版 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐刷性及び未露光部の汚し回復を高いレベルで両立し、しかもレーザー露光時のリニアリティにも優れる感光性平版印刷版を提供する。
【解決手段】アルミニウム支持体上に、少なくとも付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体、光重合開始剤組成物及び高分子結合材を含有する感光性組成物から成る感光層を有する感光性平版印刷版において、前記光重合開始剤組成物が少なくとも1種の鉄アレーン化合物を含有し、かつ前記アルミニウム支持体の質量基準元素組成比がアルミニウム:98.0〜100%、銅:0〜0.4%、マンガン:0〜1.6%、マグネシウム:0〜1.4%であることを特徴とする感光性平版印刷版。
【選択図】 なし
【解決手段】アルミニウム支持体上に、少なくとも付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体、光重合開始剤組成物及び高分子結合材を含有する感光性組成物から成る感光層を有する感光性平版印刷版において、前記光重合開始剤組成物が少なくとも1種の鉄アレーン化合物を含有し、かつ前記アルミニウム支持体の質量基準元素組成比がアルミニウム:98.0〜100%、銅:0〜0.4%、マンガン:0〜1.6%、マグネシウム:0〜1.4%であることを特徴とする感光性平版印刷版。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性平版印刷版に関し、詳しくは特定の元素組成のアルミニウム支持体上に光重合性感光層を有する感光性平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光重合開始剤を含有する光重合性感光層を有する感光性平版印刷版が、レーザー光に適した高感度化が可能なためレーザー光によるデジタル露光向けの主体になりつつある。
【0003】
この光重合開始剤(以下、単に開始剤とも言う)としては、チタノセン化合物が主流であり、鉄アレーン化合物を実用化した例は少ない(例えば特許文献1、特許文献2参照)。チタノセン化合物を開始剤に用いた光重合組成物の特許は数多く出願されており、例えば特開2001−209170、同2001−183822等がある。
【0004】
鉄アレーン化合物は、チタノセン化合物に比べ安価ではあるが、製版後の耐刷性が劣るため、余り研究されなかった。しかし、支持体であるアルミニウム原反の組成比を本発明の請求項1のようにすることで、耐刷性や汚し回復が大幅に向上することが見い出された。更に、開始剤系の共開始剤(ここではポリハロゲン化合物)や付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体を適宜選択することにより更に耐刷性が向上することを確認した。
【0005】
アルミニウム支持体の組成においても多くの特許が出願されており、例えば特開平5−309964号、同6−192779号、同9−201649号、同11−61364号等に記載されている。しかし、アルミニウム支持体上に感光層を設けた平版印刷版を用いて印刷すると、非画像部の汚れ(インキ汚れ)が著しいことがある。これは、アルミニウム中に単体としてSiが多く存在すると、これがアルミニウム陽極酸化被膜の欠陥を生じさせ、その部分の親水性を低下させることが大きな因子であることが判っている。
【0006】
この問題を解決すべく、アルミニウム中の単体Siを少なくする方法が種々提案されているが、未だ満足するだけの技術は開発されていない。
【0007】
アルミニウム支持体を用いた場合の、もう一つの問題として、電気化学的粗面化によって生じたピットの大きさが不均一になったり、浅くなったりすることによる耐刷性の不良がある。これに対しても、極く微量のCu添加などが提案されているが、工業的、経済的な問題が残るようである。
【0008】
そして、開始剤としての鉄アレーン化合物と、支持体アルミニウムとの関連について言及された特許技術はない。
【0009】
【特許文献1】
特開昭60−184518号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平10−62978号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、本発明の目的は、耐刷性及び未露光部の汚し回復を高いレベルで両立し、しかもレーザー露光時のリニアリティにも優れる感光性平版印刷版を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0013】
1)アルミニウム支持体上に、少なくとも付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体、光重合開始剤組成物及び高分子結合材を含有する感光性組成物から成る感光層を有する感光性平版印刷版において、前記光重合開始剤組成物が少なくとも1種の鉄アレーン化合物を含有し、かつ前記アルミニウム支持体の質量基準元素組成比がアルミニウム:98.0〜100%、銅:0〜0.4%、マンガン:0〜1.6%、マグネシウム:0〜1.4%である感光性平版印刷版。
【0014】
2)付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体が、前記一般式(4)又は(5)で表される化合物である1)記載の感光性平版印刷版。
【0015】
3)光重合開始剤組成物がポリハロゲン化合物を少なくとも1種含有する2)記載の感光性平版印刷版。
【0016】
4)光重合開始剤組成物が前記一般式(1)〜(3)で表される化合物、ポリハロアセチルアミド化合物又はポリハロトリアジン化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する3)記載の感光性平版印刷版。
【0017】
5)光重合開始剤組成物が、350〜450nmの吸収極大を有する色素を少なくとも1種含有する4)記載の感光性平版印刷版。
【0018】
6)5)記載の感光性平版印刷版を350〜450nmのレーザー光を用いて露光する露光製版方法。
【0019】
以下、本発明をより詳細に説明する。
(エチレン性二重結合含有単量体)
まず、本発明に係るエチレン性二重結合含有単量体(以下、「エチレン性単量体」とも略記する)について説明する。
【0020】
本発明に係るエチレン性単量体は、一般的なラジカル重合性のモノマー類、紫外線硬化樹脂に一般的に用いられる分子内に付加重合可能なエチレン性二重結合を複数有する多官能モノマー類や、多官能オリゴマー類を用いることができる。該化合物に限定はないが、好ましいものとして、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類、又はこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル;例えばエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、又はこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル;例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、又はこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
【0021】
又、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーとしては、後述する様な化合物等が挙げることができ、又、適当な分子量のオリゴマーにアクリル酸又はメタクリル酸を導入し、光重合性を付与したプレポリマーも好適に使用できる。これらプレポリマーは、1種又は2種以上を併用してもよいし、上述の単量体及び/又はオリゴマーと混合して用いてもよい。
【0022】
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、こはく酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類;例えばビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類;例えばエチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート;例えばポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類;その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等のプレポリマーが挙げられる。
【0023】
感光性組成物には、ホスファゼンモノマー、トリエチレングリコール、イソシアヌール酸EO(エチレンオキシド)変性ジアクリレート、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、アルキレングリコールタイプアクリル酸変性、ウレタン変性アクリレート等の単量体及び該単量体から形成される構成単位を有する付加重合性のオリゴマー及びプレポリマーを含有することができる。
【0024】
更に、併用可能なエチレン性単量体として、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有する燐酸エステル化合物が挙げられる。該化合物は、燐酸の水酸基の少なくとも一部がエステル化された化合物であり、しかも、(メタ)アクリロイル基を有する限り特に限定はされない。
【0025】
その他に、特開昭58−212994号、同61−6649号、同62−46688号、同62−48589号、同62−173295号、同62−187092号、同63−67189号、特開平1−244891号等に記載の化合物などを挙げることができ、更に「11290の化学商品」化学工業日報社,286〜294頁に記載の化合物、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子刊行会,11〜65頁に記載の化合物なども好適に用いることができる。これらの中で、分子内に2以上のアクリル基又はメタクリル基を有する化合物が本発明においては好ましく、更に分子量が10,000以下、より好ましくは5,000以下のものが好ましい。
【0026】
又、本発明では、分子内に3級アミノ基を含有する付加重合可能なエチレン性単量体を使用することが好ましい。構造上の限定は特にないが、水酸基を有する3級アミン化合物を、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸クロリド、アクリル酸クロリド等で変性したものが好ましく用いられる。具体的には、特開平1−165613号、同1−203413号、同1−197213号に記載の重合可能な化合物が好ましく用いられる。
【0027】
更に、本発明では、分子内に3級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、及び分子内にヒドロキシル基とエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物を使用することが好ましい。
【0028】
ここで言う分子内に3級アミノ基を含有する多価アルコールとしては、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノ−ルアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノ−ルアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリン、N,N,N′,N′−テトラ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、p−トリルジエタノ−ルアミン、N,N,N′,N′−テトラ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、アリルジエタノールアミン、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール、N,N−ジ(プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、N,N−ジ(i−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、3−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)−1,2−プロパンジオ−ル等が挙げられるが、これに限定されない。
【0029】
ジイソシアネート化合物としては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタン−1,8−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサノン、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,5−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
分子内にヒドロキシル基とエチレン性二重結合を含有する化合物としては、MH−1〜MH−13の化合物等が挙げられるが、これに限定されない。
【0031】
【化9】
【0032】
好ましくは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート等が挙げられる。
【0033】
これらの反応は、通常のジオール化合物、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシル基含有アクリレート化合物の反応で、ウレタンアクリレートを合成する方法と同様に行うことが出来る。
【0034】
又、これらの分子内に3級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、及び分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物において具体例を以下に示す。
【0035】
M−1:トリエタノールアミン/ヘキサン−1,6−ジイソシアネート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(1/3/3モル比)反応生成物
M−2:トリエタノールアミン/イソホロンジイソシアネート/2−ヒドロキシエチルアクリレート(1/3/3モル比)反応生成物
M−3:N−ブチルジエタノールアミン/1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン/2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(1/2/2モル)反応生成物
M−4:N−ブチルジエタノ−ルアミン/1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン/2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(1/2/2モル比)反応生成物
M−5:N−メチルジエタノールアミン/トリレン−2,4−ジイソシアネート/2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート(1/2/2モル比)反応生成物。
【0036】
この他にも、特開平1−105238号、同2−127404号に記載の、アクリレート又はアルキルアクリレートを用いることが出来る。
【0037】
本発明においては、エチレン性単量体が前記一般式(4)又は一般式(5)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0038】
以下、一般式(4)で表される化合物について説明する。
一般式(4)において、R4で表されるアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、i−ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ドコサデシル基等が挙げられる。R4で表されるヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシペンチル基等が挙げられる。R4で表されるアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル等の基が挙げられる。
【0039】
R1及びR2で表されるアルキル基は、前記R4で表されるアルキル基と同義である。R1及びR2で表されるアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、プロポキシエチル基等が挙げられる。
【0040】
X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基としては、例えば飽和炭化水素基、アリーレン基等が挙げられる。該飽和炭化水素基としては、例えばエチレン、トリメチレン、テトラメチレン、プロピレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、シクロヘキシレン(1,6−シクロヘキサンジイル等)、シクロペンチレン(1,5−シクロペンタンジイル等)等が挙げられる。該アリーレン基としては、例えばフェニレン、ナフチレン等が挙げられる。
【0041】
X2で表される2価の基は、前記X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基として挙げた飽和炭化水素基、アリーレン基等を用いることができるが、更に、前記飽和炭化水素基の中の5個までのメチレン基が酸素原子によって置換されたものを用いることが出来る。
【0042】
X2で表される3価の基は、上記のX2で表される2価の基(飽和炭化水素基、アリーレン基等)に更に一つ結合基がついたものであり、例えばエタントリイル、プロパントリイル、ブタントリイル、ペンタントリイル、ヘキサントリイル、ヘプタントリイル、オクタントリイル、ノナントリイル、デカントリイル、ウンデカントリイル、ドデカントリイル、シクロヘキサントリイル、シクロペンタントリイル、ベンゼントリイル、ナフタレントリイル等の基が挙げられる。
【0043】
更に、X2で表される4価の基は、上記のX2で表される3価の基に更に一つ結合基がついたものであり、例えばプロパンジイリデン、1,3−プロパンジイル−2−イリデン、ブタンジイリデン、ペンタンジイリデン、ヘキサンジイリデン、ヘプタンジイリデン、オクタンジイリデン、ノナンジイリデン、デカンジイリデン、ウンデカンジイリデン、ドデカンジイリデン、シクロヘキサンジイリデン、シクロペンタンジイリデン、ベンゼンテトライル、ナフタレンテトライル等の各基が挙げられる。
【0044】
X2において、Zは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシル基又は複素環基を表す。アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、i−ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル、4−ヘキセニル基等が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル、m−クロロフェニル、p−トリル、ナフチル等の基が挙げられる。ハロゲン原子としては、弗素、塩素、臭素、沃素原子が挙げられる。又、アルコキシル基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基等が挙げられる。更に複素環基としては、例えばピリジル、ピロリル、2−メチルピロリル、インドリル、イミダゾリル、フリル、チアゾリル、ピリミジニル等の基が挙げられる。
【0045】
D1及びD2で表される、1〜5個の炭素原子を有する2価の基としては、メチレン、トリメチレン、テトラメチレン、プロピレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、シクロペンチレン基等が挙げられる。
【0046】
Eで表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基は、前記X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基と同義である。
【0047】
Eで表される、5〜7員環で、かつ窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる二つ迄の原子を含む複素環を置換基として有する脂肪族基を構成する複素環としては、例えばピリジン、フラン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピラン、チオフェン、イソオキサゾール、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン等の各環が挙げられる。
【0048】
前記の脂肪族基としては、上記の複素環を有する炭素数2〜12の2価の基が挙げられ、前記2価の基は、X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基と同義である。
【0049】
Eで表される6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基としては、例えばフェニレン、ナフチレン基等が挙げられる。
【0050】
Eで表される5又は6員環を有する芳香族複素環基を構成する芳香族複素環としては、フラン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,3,4−チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、s−トリアジン、ベンゾフラン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、プリン、キノリン及びイソキノリン環等が挙げられる。
【0051】
上記一般式(4)における各置換基は、更に置換基を有していてもよい。
一般式(4)において、好ましくはQ1は>N−を、X1は芳香族環を有し、更に好ましくはX1はトリレンジイソシアネートから導かれる以下に挙げる化合物の具体例における4−12〜4−15のような構造を有し、更に好ましくはX1がテトラメチルキシレンジイソシアネートから導かれる4−16〜4−20のような構造を有する。
【0052】
一般式(4)で表される化合物は、当該業者周知の方法、例えば特許第2509288号等に記載の方法を参照して合成できる。
【0053】
以下、一般式(4)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0054】
【化10】
【0055】
【化11】
【0056】
【化12】
【0057】
【化13】
【0058】
【化14】
【0059】
【化15】
【0060】
次に前記一般式(5)で表される化合物について説明する。
一般式(5)において、R8は(g−f)が2以上の場合は、互いに異なってもよい。gとfが同じ値である化合物が好ましい。R8がアルキル基、ヒドロキシアルキル基の場合は炭素数は2〜8が好ましく、2〜4がより好ましい。R8がアリール基の場合は、単環又は2環が好ましく、単環がより好ましく、かつ炭素数5個までのアルキル基、アルコキシアルキル基又はハロゲン原子で置換されてもよい。R5及びR6がアルキル基又はアルコキシアルキル基の場合は、炭素数は1〜5が好ましい。R7はメチル基が好ましい。
【0061】
D3及びD4は同一又は異なってもよく、かつ2個の窒素原子を含む6員の飽和複素環が好ましい。
【0062】
Fが飽和炭化水素基の場合は2〜6個の炭素原子を有することが好ましく、Fがアリーレン基の場合はフェニレン基が好ましく、環状脂肪族基の場合はシクロヘキシレン基が好ましく、複素環芳香族基の場合は窒素原子又は硫黄原子を含む5〜6員環が好ましい。
【0063】
一般式(5)で表される化合物を得るには、Q2が>N−であり、nとmが同じ値の場合は、グリシジルアクリレート又はアルキルアクリレートをヒドロキシアルキルアミンと反応させる。他の化合物も同様にして得ることができる。
【0064】
一般式(5)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0065】
【化16】
【0066】
本発明に係るエチレン性単量体の添加量は、感光層の不揮発成分の30〜70質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。
【0067】
(光重合開始剤組成物)
次に本発明に係る開始剤組成物について説明する。
【0068】
本発明の開始剤組成物は、少なくとも1種の鉄アレーン化合物を含有することを特徴とする。
【0069】
鉄アレーン錯体化合物としては、特開昭59−219307号に記載される化合物等が挙げられるが、代表的には下記一般式(6)で表される化合物である。
【0070】
【化17】
【0071】
式中、R11、R12は同じか又は異なる基であり、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数C1〜C8のアルコキシ基、シアノ基、アルキルチオ基、フェノキシ基、炭素数C2〜C6のモノカルボン酸及びエステル基、炭素数C2〜C5のアルカノイル基、アンモニウム塩、ピリジニウム基、ニトロ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、スルファモイル基、ハロゲン原子より選ばれるものであり、R12はベンゼン環と縮合多環化合物を形成してもよい。
【0072】
X11は、BF4、PF6、AsF6、SbF6、FeCl4、SnCl6、SbCl6、BiCl6等を表す。m11は1〜4の整数、n11は1〜5の整数を表す。
【0073】
一般式(6)で表される鉄アレーン化合物は、具体的には(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−トルエン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロフェート、(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロアルセネート、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロポレート、(η6−ナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−アントラセン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ピレン)(η5−シクロペンタジェニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−トルエン)(η5−アセチルシクロペンタジニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート、(η6−ベンゼン)(η5ーカルボエトキシシクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼン)(η5−1,3−ジクロルシクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−シアノベンゼン)(η5−シクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−アセトフェノン)(η5−シクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−メチルベンゾエ−ト)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼンスルホンアミド)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート、(η6−ベンズアミド)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−シアノベンゼン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート(η6−クロルナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−アントラセン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クロルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クロルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート等が挙げられる。これらの化合物は、Dokl.Akd.Nauk SSSR 149 615(1963)に記載された方法により合成できる。
【0074】
鉄アレーン錯体化合物の添加量は、感光層の不揮発成分当たり0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは1.5〜10質量%である。
【0075】
本発明においては、開始剤組成物がポリハロゲン化合物を含有することも好ましい態様である。ポリハロゲン化合物としては、例えば四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルフェニルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン及び特開昭53−133428号、特公昭57−1819号、同57−6096号、米国特許3,615,455号等に記載の化合物等が挙げられるが、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物、ポリハロアセチルアミド化合物又はポリハロトリアジン化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0076】
以下、ポリハロゲン化合物について順次説明する。まず、前記一般式(1)で表される化合物について述べる。
【0077】
一般式(1)において、Z1及びZ2は、各々ハロゲン原子(弗素、塩素、臭素、沃素)を表すが、Z1及びZ2は共に臭素原子であることが最も好ましい。
【0078】
Xは水素原子又は電子吸引性基である。ここで言う電子吸引性基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取り得る置換基のことであり、具体的にはシアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン原子、アシル基、複素環基等を指す。Xは水素原子又はハロゲン原子であることが好ましく、最も好ましいのは臭素原子である。
【0079】
Y1は−CO−又は−SO2−であり、好ましくは−SO2−である。
Q1はアリーレン基又は2価の複素環基を表す。該アリーレン基とは、好ましくは炭素数6〜30の単環又は縮環のアリーレン基であり、より好ましくは6〜20の単環又は縮環のアリーレン基であり、例えばフェニレン、ナフチレン等が挙げられ、特に好ましくはフェニレン基である。アリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては写真性能に悪影響を及ぼさない置換基であればどのような基でも構わないが、例えばハロゲン原子(弗素、塩素、臭素、沃素)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基(N−置換の含窒素複素環基を含む)、4級化された窒素原子を含む複素環基(ピリジニオ基等)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基又はその塩、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカルボニル基、カルバゾイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ基又はアリールオキシ基)、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシ又はアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級アンモニオ基、(アルキル又はアリール)スルホニルウレイド基、ニトロ基、(アルキル,アリール,又は複素環)チオ基、アシルチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基、ホスホリル基、燐酸アミド又は燐酸エステル構造を含む基、シリル基等が挙げられる。これら置換基は、これら置換基で更に置換されてもよい。
【0080】
Q1で表されるアリール基の置換基として特に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン、シアノ基、カルボキシル基又はその塩、スルホ基の塩、燐酸基である。
【0081】
Q1で表される複素環基は、窒素、酸素又は硫黄原子を少なくとも一つ含む5〜7員の飽和又は不飽和の複素環基であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成していてもよい。Q1で表される複素環基としては、例えばピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ベンゾチアゾリル、ベンツイミダゾリル、チアジアゾリル、キノリル、イソキノリル基等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよく、例えばQ1で表されるアリーレン基の置換基と同様の基が挙げられる。一般式(1)のQ1は、好ましくはアリーレン基であり、特に好ましくはフェニレン基である。
【0082】
Lは連結基を表し、例えばアルキレン基(好ましくは炭素数1〜30、更に好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜30、更に好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜10)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜30、更に好ましくは2〜20、特に好ましくは2〜10)、アルキニレン基(好ましくは炭素数2〜30、更に好ましくは2〜20、特に好ましくは2〜10)、複素環基(好ましくは炭素数1〜30、更に好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10)、−O−、−NR−、−CO−、−COO−、−OCOO−、−NRCO−、−NRCONR−、−OCONR−、−S−、−SO−、−SO2−、−SO2NR−、燐原子を含む基や、これらを組み合わせることによって形成される基等が挙げられる。尚、Rで表される基は、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基である。Lで表される連結基は置換基を有していてもよく、例えばQ1で表されるアリーレン基の置換基と同様の基が挙げられる。
【0083】
Lで表される連結基は、好ましくはアルキレン基、−O−、−NRCO−、−SO2NR−及び、これらを組み合わせることによって形成される基である。
【0084】
Wはカルボキシル基又はその塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等)、スルホ基又はその塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等)、燐酸基又はその塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等)、ヒドロキシル基、4級アンモニウム基(テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等)、ポリエチレンオキシ基を表す。Wは好ましくはカルボキシル基又はその塩、スルホ基の塩、ヒドロキシル基である。
【0085】
以下に一般式(1)の化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0086】
【化18】
【0087】
一般式(1)に含まれるその他の化合物は、特開2000−284408号に記載されている。又、一般式(1)の化合物は同公報の記載を参考にして通常の有機合成反応によって容易に合成することができる。
【0088】
次に、前記一般式(2)で表される化合物について詳細に説明する。
一般式(2)において、Q2はアルキル基、アリール基又は複素環基を表すが、Q2で表されるアリール基は単環又は縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環又は2環のアリール基(フェニル、ナフチル等)であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくはフェニル基である。
【0089】
Q2で表される複素環基は、窒素、酸素は硫黄原子の少なくとも一つを含む3〜10員の飽和もしくは不飽和の複素環基であり、これらは単環でもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。複素環基として好ましくは、縮合環を有してもよい5又は6員の不飽和複素環基であり、より好ましくは縮合環を有してもよい5又は6員の芳香族複素環基である。更に好ましくは窒素原子を含む5〜6員の芳香族複素環基であり、特に好ましくは窒素原子を1〜4原子含む5又は6員の縮合環を有していてもよい芳香族複素環基である。
【0090】
複素環基中の複素環の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾセレナゾール、インドレニン、テトラザインデン等が挙げられる。複素環として好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾールであり、特に好ましくはピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンゾチアゾールである。
【0091】
Q2で表されるアリール基及び複素環は−(Y)n2−CZ(X1)(X2)の他に置換基を有してもよく、置換基としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、オクチル、デシル、ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリール、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、メトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、フェニルオキシカルボニル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、アセトキシ、ベンゾイルオキシ等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、トキシカルボニルアミノ等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、フェニルオキシカルボニルアミノ等)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、フェニルチオ等)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、メシル、トシル、フェニルスルホニル等)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、メタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等)、燐酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、ジエチル燐酸アミド、フェニル燐酸アミド等)、ヒドロキシル基、メルカプト基、ハロゲン原子(弗素、塩素、臭素、沃素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、複素環基(イミダゾリル、ピリジル、フリル、ピペリジル、モルホリノ等)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されていてもよい。又、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。該置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、燐酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、複素環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、燐酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、複素環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、複素環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
【0092】
Q2で表されるアルキル基は、直鎖、分岐又は環状でもよく、好ましくは炭素数1〜30のものであり、より好ましくは炭素数1〜15のものであり、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−オクチル等が挙げられる。
【0093】
Q2で表されるアルキル基は−(Y)n2−CZ(X1)(X2)の他に置換基を有してもよく、置換基としては、Q2が複素環基又はアリール基の場合にとり得る置換基と同様な基が挙げられる。置換基として好ましくは、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ウレイド基、燐酸アミド基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、複素環基であり、より好ましくはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、燐酸アミド基、ハロゲン原子であり、更に好ましくはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、燐酸アミド基である。
【0094】
これらの置換基は更に置換されてもよい。又、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。
【0095】
Yは−CO−、−SO−又は−SO2−を表すが、好ましくは−CO−、−SO2−であり、より好ましくは−SO2−である。
【0096】
n2は0又は1を表すが、好ましくは1である。
X1、X2は、各々ハロゲン原子を有し、X1、X2で表されるハロゲン原子は同一又は互いに異なってもよく弗素、塩素、臭素、沃素原子であり、好ましくは塩素、臭素、沃素原子であり、より好ましくは塩素、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0097】
Zは水素原子又は電子吸引性基を表すが、電子吸引性基として好ましくは、σp値が0.01以上の置換基であり、より好ましくは0.1以上の置換基である。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子(弗素:0.06、塩素:0.23、臭素:0.23、沃素:0.18)、トリハロメチル基(トリブロモメチル:0.29、トリクロロメチル:0.33、トリフルオロメチル:0.54)、シアノ基:0.66、ニトロ基:0.78、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(メタンスルホニル:0.72)、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(アセチル:0.50、ベンゾイル:0.43)、アルキニル基(C≡CH.:0.23)、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(メトキシカルボニル:0.45、フェノキシカルボニル:0.44)、カルバモイル基:0.36、スルファモイル基:0.57、等が挙げられる。
【0098】
Zは、好ましくは電子吸引性基であり、より好ましくはハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素、臭素、沃素原子であり、更に好ましくは塩素、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0099】
一般式(2)で表される化合物の内、好ましくは下記一般式(2−a)で表される化合物である。
【0100】
【化19】
【0101】
式中、Q2は一般式(2)におけるそれと同義であり、又、好ましい範囲も同様である。又、Q2が採り得る置換基は、一般式(2)におけるQ2が採り得る置換基と同義である。X1、X2、Y、Zは、それぞれ一般式(2)におけるそれらと同義であり、又、好ましい範囲も同様である。
【0102】
一般式(2)で表される化合物の内、より好ましくは下記一般式(2−b)で表される化合物である。
【0103】
【化20】
【0104】
式中、Q2は一般式(2)におけるそれと同義であり、又、好ましい範囲も同様である。又、Q2が採り得る置換基は、一般式(2)におけるQ2が採り得る置換基と同義である。X1、X2、Zは、それぞれ一般式(2)におけるそれらと同義であり、又、好ましい範囲も同様である。
【0105】
以下に一般式(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0106】
【化21】
【0107】
一般式(2)で表される、その他の化合物については特開2000−305213に記載の化合物を挙げることができる。
【0108】
前記一般式(3)で表される化合物について説明する。
式中、Q3はアルキル基、アリール基又は複素環基を表し、X3、X4及びX5は各々、水素原子又はハロゲン原子を表すが、X3、X4及びX5の少なくとも一つはハロゲン原子を表す。
【0109】
Q3で表されるアルキル基、アリール基又は複素環基は、前記一般式(2)におけるQ2と同義である。又、X3、X4及びX5の少なくとも一つはハロゲン原子を表すが、好ましくはX3、X4及びX5の全てがハロゲン原子の場合である。
【0110】
以下に一般式(3)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
【化22】
【0112】
一般式(3)で表される化合物は特表平8−505148号を参考にして合成することができる。
【0113】
一般式(1)〜(3)の化合物の添加量は、何れも感光層の不揮発成分当たり0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは1.5〜10質量%である。
【0114】
次に、ポリハロアセチル化合物について説明する。ポリハロアセチル化合物としては、ポリハロアセチル化合物、中でも好ましくはトリハロアセチルアミド化合物が挙げられ、例えば下記一般式(7)で表される化合物(ポリハロアセチル化合物)又は、より好ましくは下記一般式(8)で表される化合物(トリハロアセチルアミド化合物)が挙げられる。
【0115】
一般式(7) R11−CX2−COR12
式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表す。R11は水素原子、塩素原子、臭素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はシアノ基を表す。R12は1価の置換基を表す。又、R11とR12が結合して環を形成してもよい。
【0116】
一般式(8) CX3−CO−Y1−R13
式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表す。R13は一価の置換基を表す。Y1は−O−又は−NR14−を表す。R14は水素原子又はアルキル基を表す。又、R13とR14が結合して環を形成してもよい。
【0117】
上記一般式(7)及び(8)で表される化合物(ポリ塩素化合物、ポリ臭素化合物)において、ポリ臭素化合物がより好ましい。
【0118】
一般式(7)で表される化合物の代表的な具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0119】
【化23】
【0120】
【化24】
【0121】
【化25】
【0122】
【化26】
【0123】
【化27】
【0124】
【化28】
【0125】
【化29】
【0126】
【化30】
【0127】
【化31】
【0128】
又、炭素−ハロゲン結合を有する化合物としては、例えば若林ら著:Bull.Chem.Soc.Japan,42,2924(1969)記載の化合物、例えば2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(2′,4′−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許1,388,492号記載の化合物、例えば2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−s−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、例えば2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−s−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−s−トリアジン、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−s−トリアジン等、独国特許3,337,024号記載のポリハロトリアジン化合物を挙げることができる。又、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.29,1527(1964)記載の化合物、例えば2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロムメチル)−s−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−s−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロルメチル−s−トリアジン等を挙げることができる。
【0129】
(分光増感色素)
光源にレーザー光を用いる場合、好ましくは感光層に分光増感色素を添加する。光源の波長付近に吸収極大波長を有する色素の使用が好ましい。
【0130】
可視光〜近赤外まで波長増感させる化合物としては、例えばシアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、クマリン誘導体、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等、ケトアルコールボレート錯体が挙げられ、更に欧州特許568,993号、米国特許4,508,811号、同5,227,227号、特開2001−125255、特開平11−271969号等に記載の化合物も用いられる。
【0131】
次に、本発明に係る鉄アレーン化合物、ポリハロゲン化合物の何れかと併用することで、好ましい効果を発現できる350〜450nmに吸収極大を有する色素としては、特開2000−98605号、同2000−147763、同2000−206690、同2000−258910、同2001−42524、同2001−100412等に記載される色素が好ましい。
【0132】
分光増感色素の吸収極大については、アセトニトリルに溶解し常温で可視光スペクトルを測定する。アセトニトリルに不溶な色素は、アルコール類、2−ブタノンや水等に溶解して測定してもよい。
【0133】
本発明において、分光増感色素の添加方法としては、水又は有機溶媒等の適当な溶媒を選択し、それらに溶解して添加することができ、有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセロソルブ、ジエチルカルビトール等のグリコールエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド等が挙げられ、それらを単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0134】
本発明において、分光増感色素の添加量は一概には規定できないが、好ましくは溶媒を除く感光性組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜5質量部である。開始剤と増感色素の配合比率は、モル比で1:100〜100:1の範囲が好ましい。
【0135】
(高分子結合材)
次に高分子結合材について説明する。
【0136】
本発明に係る高分子結合材としては、例えばアクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、その他の天然樹脂等を使用することができる。又、これらを2種以上併用しても構わない。
【0137】
上記高分子結合材において、好ましくはアクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合であり、更に、高分子結合材の共重合組成として、(a)カルボキシル基含有モノマー、(b)メタクリル酸アルキルエステル、又はアクリル酸アルキルエステルの共重合体であることが好ましい。
【0138】
カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、α,β−不飽和カルボン酸類、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。その他、フタル酸と2−ヒドロキシメタクリレートのハーフエステル等のカルボン酸も好ましい。
【0139】
メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等の無置換アルキルエステルの他、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等の環状アルキルエステルや、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等の置換アルキルエステル等を挙げることができる。
【0140】
更に、本発明に係る高分子結合材は、他の共重合モノマーとして、下記(1)〜(14)に記載のモノマー等を用いることができる。
【0141】
(1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えばo−(又はp−,m−)ヒドロキシスチレン、o−(又はp−,m−)ヒドロキシフェニルアクリレート等。
【0142】
(2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
【0143】
(3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えばm−(又はp−)アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−(又はp−)アミノスルホニルフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
【0144】
(4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えばN−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
【0145】
(5)アクリルアミド又はメタクリルアミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ニトロフェニル)アクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
【0146】
(6)弗化アルキル基を含有するモノマー、例えばトリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
【0147】
(7)ビニルエーテル類、例えば、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等。
【0148】
(8)ビニルエステル類、例えばビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
【0149】
(9)スチレン類、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
【0150】
(10)ビニルケトン類、例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
【0151】
(11)オレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、i−ブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
【0152】
(12)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
【0153】
(13)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−(又はm−,p−)シアノスチレン等。
【0154】
(14)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−i−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
【0155】
更に、これらのモノマーと共重合し得る他のモノマーを共重合してもよい。
又、上記ビニル系共重合体の分子内に存在するカルボキシル基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物を付加反応させることによって得られる二重結合含有ビニル系共重合体も、高分子結合材として好ましい。分子内に二重結合とエポキシ基を共に含有する化合物としては、具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、特開平11−271969号に記載のあるエポキシ基含有二重化合物等が挙げられる。
【0156】
これらの共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された質量平均分子量が、1〜20万であるものが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
【0157】
上記高分子結合材には、必要に応じてポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、天然樹脂等、他の任意の高分子結合材が、上記の各ビニル系共重合体と併用されてもよい。
【0158】
感光性組成物中における上記高分子結合材の含有量は10〜90質量%の範囲が好ましく、15〜70質量%が更に好ましく、20〜60質量%の範囲で使用することが感度の面から特に好ましい。
【0159】
更に、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合体は、該高分子結合材において、50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましい。
【0160】
本発明に係る高分子結合材に含まれる重合体の酸価については、10〜150の範囲で使用するのが好ましく、30〜120の範囲がより好ましく、50〜90の範囲で使用することが、感光層全体の極性のバランスをとる観点から特に好ましく、これにより感光層塗布液での顔料の凝集を防ぐことなどができる。
【0161】
続いて、本発明に係る感光性組成物に添加することのできる各種添加剤、感光性平版印刷版としての支持体、保護層、感光性組成物の支持体への塗布、感光性平版印刷版の画像記録法等について順次説明する。
【0162】
(各種添加剤)
本発明の感光性組成物を含有する光重合性感光層には、上記した成分の他に、感光性平版印刷版の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性二重二重結合単量体の不要な重合を阻止するために、重合防止剤を添加することが望ましい。適当な重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
【0163】
重合防止剤の添加量は、上記組成物の全固形分の質量に対して約0.01%〜約5%が好ましい。又、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加したり、塗布後の乾燥の過程で感光性層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5%〜約10%が好ましい。
【0164】
又、着色剤も使用することができ、着色剤としては、市販のものを含め従来公知のものが好適に使用できる。例えば改訂新版「顔料便覧」,日本顔料技術協会編(誠文堂新光社)、カラーインデックス便覧等に述べられているものが挙げられる。
【0165】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、赤色顔料、褐色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料等が挙げられる。具体的には、無機顔料(二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄、並びに鉛、亜鉛、バリウム及びカルシウムのクロム酸塩等)及び有機顔料(アゾ系、チオインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン系、トリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔料、フタロシアニン顔料及びその誘導体、キナクリドン顔料等)が挙げられる。
【0166】
これらの中でも、使用する露光レーザーに対応した分光増感色素の吸収波長域に実質的に吸収を持たない顔料を選択して使用することが好ましく、この場合、使用するレーザー波長での積分球を用いた顔料の反射吸収が0.05以下であることが好ましい。又、顔料の添加量としては、上記組成物の固形分に対し0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。
【0167】
露光光源として、アルゴンレーザー(488nm)又はSHG−YAGレーザー(532nm)を使用する場合には、上記の感光波長領域での顔料吸収及び現像後の可視画性の観点から、紫色顔料、青色顔料を用いるのが好ましい。このようなものとしては、例えばコバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、フォナトーンブルー6G、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーフアーストスカイブルー、インダンスレンブルー、インジコ、ジオキサンバイオレット、イソビオランスロンバイオレット、インダンスロンブルー、インダンスロンBC等を挙げることができる。これらの中で、より好ましくはフタロシアニンブルー、ジオキサンバイオレットである。
【0168】
又、上記組成物は、本発明の性能を損わない範囲で、界面活性剤を塗布性改良剤として含有することが出来る。その中でも好ましいのは弗素系界面活性剤である。
【0169】
又、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は全固形分の10質量%以下が好ましい。
【0170】
又、感光層の感光性組成物を調製する際に使用する溶剤としては、例えばアルコール:多価アルコールの誘導体類では、sec−ブタノール、i−ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、又、エーテル類:プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、又、ケトン類、アルデヒド類:ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、又、エステル類:乳酸エチル、乳酸ブチル、蓚酸ジエチル、安息香酸メチル等が好ましく挙げられる。
【0171】
(保護層:酸素遮断層)
感光層の上側には保護層を設けることが好ましい。該保護層(酸素遮断層)は、後述の現像液(一般にはアルカリ水溶液)への溶解性が高いことが好ましく、具体的にはポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンを挙げることができる。ポリビニルアルコールは酸素の透過を抑制する効果を有し、又、ポリビニルピロリドンは隣接する感光層との接着性を確保する効果を有する。
【0172】
上記2種のポリマーの他に、必要に応じ、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、アラビアゴム、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド等の水溶性ポリマーを併用することもできる。
【0173】
本発明の感光性平版印刷版では、感光層と保護層間の剥離力が35mN/mm以上であることが好ましく、より好ましくは50mN/mm以上、更に好ましくは75mN/mm以上である。好ましい保護層の組成としては特開平10−10742号に記載されるものが挙げられる。該剥離力は、保護層上に十分大きい粘着力を有する所定幅の粘着テープを貼り、それを平版印刷版材料の平面に対して90度の角度で保護層と共に剥離する時の力を測定することにより求めることができる。
【0174】
保護層には、更に必要に応じて界面活性剤、マット剤等を含有することができる。上記保護層組成物を適当な溶剤に溶解し感光層上に塗布・乾燥して保護層を形成する。塗布溶剤の主成分は水、あるいはメタノール、エタノール、i−プロパノール等のアルコール類であることが特に好ましい。保護層の厚みは0.1〜5.0μmが好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0μmである。
【0175】
(支持体)
支持体のアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
【0176】
本発明においては、請求項1に示す如く質量基準元素組成比が、Al:98.0〜100%、Cu:0〜0.4%、Mn:0〜1.6%、Mg:0〜1.4%である合金が必須要件となる。アルミニウム合金の特性、製造方法に関しては、特開平5−309964号等を参照できる。
【0177】
本発明に係る支持体は、粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、水酸化ナトリウム等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいは、それらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。
【0178】
粗面化の方法としては、例えば機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
【0179】
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。ブラシ研磨法による粗面化は、例えば、直径0.2〜0.8mmのブラシ毛を使用した回転ブラシを回転し、支持体表面に、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させたスラリーを供給しながら、ブラシを押し付けて行うことができる。ホーニング研磨による粗面化は、例えば粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させ、ノズルより圧力を掛け射出し、支持体表面に斜めから衝突させて粗面化を行うことができる。又、例えば、支持体表面に、粒径10〜100μmの研磨剤粒子を100〜200μmの間隔で、2.5×103〜10×103個/cm2の密度で存在するように塗布したシートを貼り合わせ、圧力を掛けてシートの粗面パターンを転写することにより粗面化を行うこともできる。
【0180】
上記の機械的粗面化法で粗面化した後、支持体の表面に食い込んだ研磨剤、形成されたアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。アルカリ水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸あるいは、それらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
【0181】
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。酸性電解液は、電気化学的粗面化法に通常用いられる酸性電解液を使用することができるが、塩酸系又は硝酸系電解液を用いるのが好ましい。電気化学的粗面化方法については、例えば特公昭48−28123号、英国特許896,563号、特開昭53−67507号に記載されている方法を用いることができる。この粗面化法は、一般には、1〜50Vの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30Vの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることが出来るが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5,000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2,000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることが出来るが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。
【0182】
電解液として硝酸系電解液を用いて電気化学的粗面化を行う場合、一般には、1〜50Vの範囲の電圧を印加することによって行えるが、10〜30Vの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、20〜100A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、硼酸、酢酸、蓚酸等を加えることができる。
【0183】
電解液として塩酸系電解液を用いる場合、一般には、1〜50Vの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、2〜30Vの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2,000c/dm2、更には200〜1000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。
【0184】
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸あるいは、それらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
【0185】
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法は、それぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、又、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
【0186】
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。該陽極酸化処理には、硫酸及び/又は燐酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が好ましく用いられるが、他に、米国特許1,412,768号に記載される硫酸中で高電流密度で電解する方法や、同3,511,661号に記載されている燐酸を用いて電解する方法、クロム酸、蓚酸、マロン酸等を1種又は2種以上含む溶液を用いる方法等が挙げられる。形成された陽極酸化被覆量は1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2である。陽極酸化被覆量は、例えばアルミニウム板を燐酸クロム酸溶液(燐酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1Lの水に溶解して作製)に浸積し、酸化被膜を溶解し、板の被覆溶解前後の質量変化測定等から求められる。
【0187】
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ナトリウム処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
【0188】
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体及び共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(硼酸亜鉛など)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平5−304358号に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
【0189】
(塗布)
調製された感光性組成物(感光層塗布液)は、従来公知の方法で支持体上に塗布・乾燥し、感光性平版印刷版を作製する。塗布液の塗布方法としては、例えばエアドクタコータ法、ブレードコータ法、ワイヤバー法、ナイフコータ法、ディップコータ法、リバースロールコータ法、グラビヤコータ法、キャストコーティング法、カーテンコータ法及び押出しコータ法等を挙げることが出来る。
【0190】
感光層の乾燥温度は、低いと十分な耐刷性を得ることが出来ず、又、高過ぎるとマランゴニーを生じてしまうばかりか、非画線部のカブリを生じてしまう。好ましい乾燥温度範囲としては60〜160℃の範囲が好ましく、より好ましくは80〜140℃、特に好ましくは90〜120℃で乾燥することが好ましい。
【0191】
(画像記録方法)
本発明に係る感光性平版印刷版に画像露光する光源としては、例えばレーザー、発光ダイオード、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク燈、メタルハライドランプ、タングステンランプ、高圧水銀ランプ、無電極光源等を挙げることができる。
【0192】
一括露光する場合には、感光層上に、所望の露光画像のネガパターンを遮光性材料で形成したマスク材料を重ね合わせ、露光すればよい。
【0193】
発光ダイオードアレイ等のアレイ型光源を使用する場合や、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ等の光源を、液晶、PLZT等の光学的シャッター材料で露光制御する場合には、画像信号に応じたデジタル露光をすることが可能であり好ましい。この場合は、マスク材料を使用せず、直接書込みを行うことができる。
【0194】
レーザー露光の場合には、光をビーム状に絞り画像データに応じた走査露光が可能なので、マスク材料を使用せず、直接書込みを行うのに適している。又、レーザーを光源として用いる場合には、露光面積を微小サイズに絞ることが容易であり、高解像度の画像形成が可能となる。
【0195】
レーザー光源としては、アルゴンレーザー、He−Neガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー等を何れも好適に用いることが可能である。本発明では、可視域に発光波長を有するレーザー光源が好ましく用いられる。具体的には、532nm付近に発光する2倍高波長YAGレーザー、488nm付近に発光するArイオンレーザーなどがある。又、InGaN系やZnSe系の材料を用い、380〜430nm域で連続発振可能な半導体レーザーも好ましく用いられる。
【0196】
レーザーの走査方法としては、円筒外面走査、円筒内面走査、平面走査などがある。円筒外面走査では、記録材料を外面に巻き付けたドラムを回転させながらレーザー露光を行い、ドラムの回転を主走査としレーザー光の移動を副走査とする。円筒内面走査では、ドラムの内面に記録材料を固定し、レーザービームを内側から照射し、光学系の一部又は全部を回転させることにより円周方向に主走査を行い、光学系の一部又は全部をドラムの軸に平行に直線移動させることにより軸方向に副走査を行う。平面走査では、ポリゴンミラーやガルバノミラーとfθレンズ等を組み合わせてレーザー光の主走査を行い、記録媒体の移動により副走査を行う。円筒外面走査及び円筒内面走査の方が光学系の精度を高め易く、高密度記録には適している。
【0197】
(プレヒート)
本発明においては、感光性平版印刷版に画像を露光した後、現像処理する前又は現像処理しながら感光性平版印刷版を加熱処理することが好ましい。この様に加熱処理することで、感光層と支持体の接着性が向上し、本発明に係る発明の効果を向上させることができる。
【0198】
プレヒートは、例えば感光性平版印刷版を現像処理する自動現像装置において、現像処理時に搬走される感光性平版印刷版を現像前に所定の温度範囲に加熱するプレヒートローラによる加熱する方法を挙げることができる。例えばプレヒートローラは、内部に加熱手段を有する少なくとも一つのローラを含む1対のローラから成り、加熱手段を有するローラとしては、熱伝導率の高い金属(アルミニウム、鉄等)から成る中空パイプの内部に発熱体としてニクロム線等を埋設し、該金属パイプの外側面をポリエチレン、ポリスチレン、テフロン(R)等のプラスチックシートで被覆したものを使用することができる。又、こうしたプレヒートローラの詳細については、特開昭64−80962号を参照することができる。当該プレヒートは、70〜180℃で、3〜120秒程度行うことが好ましい。
【0199】
(現像液)
画像露光した感光層は露光部が硬化する。これをアルカリ現像液で現像処理することにより、未露光部が除去され画像形成が可能となる。この様な現像液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば珪酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;第二燐酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;重炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム及び同リチウム等の無機アルカリ剤を使用するアルカリ現像液が挙げられる。
【0200】
又、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−i−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、トリ−i−プロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ−i−プロパノールアミン、ジ−i−プロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いることができる。
【0201】
これらのアルカリ剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いられる。又、該現像液には、必要に応じてアニオン性界面活性剤、両性活性剤やアルコール等の有機溶媒を加えることができる。
【0202】
アルカリ水溶液は、基本的に、SiO2換算での珪酸濃度が1.0質量%で、pH8.5〜12.5の範囲である水溶液が好ましく、該水溶液は、他の添加剤を含有していてもよい。又、当該水溶液に、更に界面活性剤を0.1〜5.0質量%の範囲で含有する水溶液がより好ましい。又、該水溶液は、上記する現像液の成分を含有することも好ましい。
【0203】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
【0204】
実施例1
〈高分子結合材の合成〉
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタクリル酸30部、メタクリル酸メチル50部、メタクリル酸エチル20部、i−プロピルアルコール500部及びα、α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、i−プロピルアルコールの沸点で1時間還流を行った後、トリエチルアンモニウムクロライド3部及びグリシジルメタクリレート25部を加えて3時間反応させ、アクリル系共重合体1を得た。
【0205】
共重合体1をGPCを用いて測定した質量平均分子量は約35,000、DSC(示差熱分析法)を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は約85℃であった。
【0206】
〈支持体の作製〉
厚さ0.24mm、幅1030mmのアルミニウム板を用い、以下のように連続的に処理を行った。
【0207】
(a)既存の機械的粗面化装置を使って、比重1.12の研磨剤(パミス)と水の懸濁液を、研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。
【0208】
研磨剤の平均粒径は40〜45μm、最大粒径は200μmだった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロンを使用し、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシは、φ300mmのステンレス製の筒に穴を開けて密になるように植毛した。この回転ブラシを3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラー(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラーはブラシを回転させる駆動モーターの負荷が、ブラシローラーをアルミニウム板に押さえ付ける前の負荷に対して7kwプラスになるまで押さえ付けた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じで、回転数は200rpmであった。
【0209】
(b)アルミニウム板を、2.6%水酸化ナトリウム、アルミニウムイオン濃度6.5%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を0.3g/m2溶解した。その後スプレーによる水洗を行った。
【0210】
(c)温度30℃の1%硝酸水溶液(アルミニウムイオン0.5%を含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
【0211】
(d)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、塩酸あるいは硝酸水溶液(アルミニウムイオン0.5%、アンモニウムイオン0.007%を含む)で濃度は1.1%で、温度40℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達する迄の時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は実効値で55A/dm2、浸漬(通電)時間は45秒とした。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0212】
(e)アルミニウム板を、26%水酸化ナトリウム、アルミニウムイオン濃度6.5%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行った時に生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後スプレーで水洗した。
【0213】
(f)温度60℃の25%硫酸水溶液(アルミニウムイオンを0.5%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
【0214】
(g)既存の2段給電電解処理法の陽極酸化装置(第1及び第2電解部長各6m、第1給電部長3m、第2給電部長3m、第1及び第2給電電極長各2.4m)を使って電解部の硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5%含む)、温度38℃で陽極酸化処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。この時、陽極酸化装置においては、電源からの電流は、第1給電部に設けられた第1給電電極に流れ、電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第1電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させ、第1給電部に設けられた電解電極を通り、電源に戻る。一方、電源からの電流は、第2給電部に設けられた第2給電電極に流れ、同様に電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第2電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させるが、電源から第1給電部に給電される電気量と電源から第2給電部に給電される電気量は同じであり、第2給電部における酸化皮膜面での給電電流密度は、約25A/dm2であった。第2給電部では、1.35g/m2の酸化皮膜面から給電することになった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。このアルミニウム板は鉄を0.1%、銅を0.02%、チタンを0.02%含む。更に、スプレー水洗後、0.3%のポリビニルホスホン酸溶液中に50秒浸漬し、親水化処理した。温度は85℃であった。ポリビニルホスホン酸の平均分子量は約10,000であった。その後スプレー水洗し、赤外線ヒーターで乾燥した。
【0215】
このアルミニウム板表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.65μmであった。
〈感光性平版印刷版の作製〉
上記支持体上に、下記組成の光重合性感光層塗工液を乾燥時1.5g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、95℃で1.5分間乾燥して感光層塗布試料を得た。更に、感光層上に下記組成の酸素遮断層塗工液を乾燥時1.8g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、75℃で1.5分間乾燥して感光層上に酸素遮断層を有する感光性平版印刷版(試料1〜25)を作製した。
〈平版印刷版の露光・製版〉
版面上の露光エネルギーが200μJ/cm2となる条件で、532nmの光源を備えたプレートセッター(タイガーキャット:ECRM社製)を使用し、2400dpi(1インチ即ち2.54cm当たりのドット数で示す解像度)で露光を行った。露光後、感光性平版印刷版を105℃で10秒加熱処理するプレヒート部、現像前に酸素遮断層を除去する前水洗部、下記組成の現像液を充填した現像部、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のためのガム液(GW−3:三菱化学社製を2倍希釈したもの)処理部を備えたCTP自動現像機(PHW23−V:Technigraph社製)で現像処理を行い、平版印刷版を得た。
(現像液組成)
A珪酸カリウム 8.0%
ニューコールB−13SN(日本乳化剤社製) 2.0%
プロノン#204(日本油脂社性) 1.0%
水酸化カリウム pH=12.9となる量
得られた平版印刷版について以下の評価を行った。
【0216】
《耐刷性》
作製した平版印刷版を、印刷機(三菱重工業社製DAIYA1F−1)で、コート紙、印刷インキ(東洋インク社製トーヨーキングハイエコーM紅)及び湿し水(東京インク社製H液SG−51濃度1.5%)を用いて印刷を行い、1000枚連続印刷後、クリーナーで版面をふき、ハイライト部の点細り、シャドウ部の絡みの発生する印刷枚数を耐刷力の指標とした。耐刷性1回は1000枚連続印刷後クリーナーで拭く作業を指す。回数が多いほど好ましい。クリーナーはウルトラプレートクリーナー(発売元:大日精化社)を使用した。
【0217】
《汚し回復性》
1000枚連続印刷後クリーナーで拭き、15分後に印刷を再開し、非画線部の地汚れが無くなる枚数とした。少ないほど良好である。
【0218】
《リニアリティ》
2400dpi(前出)で175線の網点画像を0〜100%まで5%刻みでリニアリティ未補正で描画した。200μJ/cm2のエネルギーで露光した時、80%となるべき網点出力画像を500倍の光学顕微鏡で撮影し、画像部の面積を算出して網%とした。80%に近いほど良い。
【0219】
結果を纏めて表1に示す。
【0220】
【表1】
【0221】
【化32】
【0222】
この結果より、本発明の試料は比較試料に比べ、何れの評価も優れているが、特に耐刷性が向上する。
【0223】
実施例2
感光層塗工液1に代えて感光層塗工液2を用いた以外は、実施例1と同様に行い、感光性平版印刷版試料26〜39を作製し、実施例1と同様に評価した。
(感光層塗工液2)
エチレン性単量体(表2に示す化合物) 27.0部
エチレン性単量体(NKエステル4G:前出) 14.0部
分光増感色素(ドデシルエオシン1) 3.0部
光重合開始剤 Ar−1 4.0部
アクリル系共重合体1 45.0部
フタロシアニン顔料(MHI454:前出) 6.0部
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジ
ル)−4−メチルフェニルアクリレート(スミライザーGS:前出)0.5部
弗素系界面活性剤(FC−4430:前出) 0.5部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 820部
結果を表2に示す。
【0224】
【表2】
【0225】
U−4HA:NKオリゴU−4HA(新中村化学工業社製エチレン性単量体)
何れの評価においても優れていることが判る。
【0226】
実施例3
感光層塗工液2を感光層塗工液3に代えた以外は、実施例2と同様に感光性平版印刷版40〜75を作製し、同様に露光・製版して性能を評価した。
(感光層塗工液3)
エチレン性単量体(表3、表4に示す化合物) 27.0部
エチレン性単量体(NKエステル4G:前出) 14.0部
ポリハロゲン化合物(表3に示す化合物) 5.0部
分光増感色素(ドデシルエオシン1) 3.0部
光重合開始剤 Ar−1 4.0部
アクリル系共重合体1 40.0部
フタロシアニン顔料(MHI454:前出) 6.0部
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジ
ル)−4−メチルフェニルアクリレート(スミライザーGS:前出)0.5部
弗素系界面活性剤(FC−4430;住友スリーエム社製) 0.5部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 820部
結果を表3、表4に示す。
【0227】
【表3】
【0228】
使用したAl支持体の組成比(質量%)は、実施例2と同じ
U−4HA:NKオリゴU−4HA(新中村化学工業社製エチレン性単量体)
TAZ−1:トリアジン1
TAZ−2:トリアジン2
TCOD:トリクロロオキサジアゾール
DCAP:ジクロロアセトフェノン
【0229】
【表4】
【0230】
使用したAl支持体の組成比(質量%)は、実施例2と同じ
U−4HA:NKオリゴU−4HA(新中村化学工業社製エチレン性単量体)
TAZ−1:トリアジン1
TAZ−2:トリアジン2
TCOD:トリクロロオキサジアゾール
DCAP:ジクロロアセトフェノン
【0231】
【化33】
【0232】
光重合開始剤としてポリハロゲン化合物を使用しても好結果が得られる。
実施例4
感光層塗工液3を感光層塗工液4に代えた以外は、実施例2と同様に感光性平版印刷版76〜89を作製し、同様に露光・製版して性能を評価した。
(感光層塗工液4)
エチレン性単量体(表4に示す化合物) 27.0部
エチレン性単量体(NKエステル4G:前出) 14.0部
ポリハロゲン化合物(表5に示す化合物) 5.0部
分光増感色素(表5に示す化合物) 3.0部
光重合開始剤(表5に示す鉄アレーン化合物) 4.0部
アクリル系共重合体1 40.0部
フタロシアニン顔料(MHI454:前出) 6.0部
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジ
ル)−4−メチルフェニルアクリレート(スミライザーGS:前出)0.5部
弗素系界面活性剤(FC−4430:前出) 0.5部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 820部
結果を表5に示す。
【0233】
【表5】
【0234】
使用したAl支持体の組成比(質量%)は、実施例2と同じ
Ar−1:(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Ar−2:(η6−ナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Ar−3:(η6−アントラセン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Ar−4:(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート
Ar−5:(η6−メチルベンゾエート)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
DE:ドデシルエオシン
【0235】
【化34】
【0236】
本発明に係る鉄アレーン化合物(開始剤)、一般式(4)又は(5)のエチレン性単量体、ポリハロゲン化合物(開始剤)及び350〜450nmに吸収極大を持つ増感色素の組合せも良好な結果を示すことが判る。
【0237】
【発明の効果】
本発明によれば、耐刷性及び未露光部の汚し回復を高いレベルで両立し、しかもレーザー露光時のリニアリティにも優れる感光性平版印刷版を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性平版印刷版に関し、詳しくは特定の元素組成のアルミニウム支持体上に光重合性感光層を有する感光性平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光重合開始剤を含有する光重合性感光層を有する感光性平版印刷版が、レーザー光に適した高感度化が可能なためレーザー光によるデジタル露光向けの主体になりつつある。
【0003】
この光重合開始剤(以下、単に開始剤とも言う)としては、チタノセン化合物が主流であり、鉄アレーン化合物を実用化した例は少ない(例えば特許文献1、特許文献2参照)。チタノセン化合物を開始剤に用いた光重合組成物の特許は数多く出願されており、例えば特開2001−209170、同2001−183822等がある。
【0004】
鉄アレーン化合物は、チタノセン化合物に比べ安価ではあるが、製版後の耐刷性が劣るため、余り研究されなかった。しかし、支持体であるアルミニウム原反の組成比を本発明の請求項1のようにすることで、耐刷性や汚し回復が大幅に向上することが見い出された。更に、開始剤系の共開始剤(ここではポリハロゲン化合物)や付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体を適宜選択することにより更に耐刷性が向上することを確認した。
【0005】
アルミニウム支持体の組成においても多くの特許が出願されており、例えば特開平5−309964号、同6−192779号、同9−201649号、同11−61364号等に記載されている。しかし、アルミニウム支持体上に感光層を設けた平版印刷版を用いて印刷すると、非画像部の汚れ(インキ汚れ)が著しいことがある。これは、アルミニウム中に単体としてSiが多く存在すると、これがアルミニウム陽極酸化被膜の欠陥を生じさせ、その部分の親水性を低下させることが大きな因子であることが判っている。
【0006】
この問題を解決すべく、アルミニウム中の単体Siを少なくする方法が種々提案されているが、未だ満足するだけの技術は開発されていない。
【0007】
アルミニウム支持体を用いた場合の、もう一つの問題として、電気化学的粗面化によって生じたピットの大きさが不均一になったり、浅くなったりすることによる耐刷性の不良がある。これに対しても、極く微量のCu添加などが提案されているが、工業的、経済的な問題が残るようである。
【0008】
そして、開始剤としての鉄アレーン化合物と、支持体アルミニウムとの関連について言及された特許技術はない。
【0009】
【特許文献1】
特開昭60−184518号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平10−62978号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、本発明の目的は、耐刷性及び未露光部の汚し回復を高いレベルで両立し、しかもレーザー露光時のリニアリティにも優れる感光性平版印刷版を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0013】
1)アルミニウム支持体上に、少なくとも付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体、光重合開始剤組成物及び高分子結合材を含有する感光性組成物から成る感光層を有する感光性平版印刷版において、前記光重合開始剤組成物が少なくとも1種の鉄アレーン化合物を含有し、かつ前記アルミニウム支持体の質量基準元素組成比がアルミニウム:98.0〜100%、銅:0〜0.4%、マンガン:0〜1.6%、マグネシウム:0〜1.4%である感光性平版印刷版。
【0014】
2)付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体が、前記一般式(4)又は(5)で表される化合物である1)記載の感光性平版印刷版。
【0015】
3)光重合開始剤組成物がポリハロゲン化合物を少なくとも1種含有する2)記載の感光性平版印刷版。
【0016】
4)光重合開始剤組成物が前記一般式(1)〜(3)で表される化合物、ポリハロアセチルアミド化合物又はポリハロトリアジン化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する3)記載の感光性平版印刷版。
【0017】
5)光重合開始剤組成物が、350〜450nmの吸収極大を有する色素を少なくとも1種含有する4)記載の感光性平版印刷版。
【0018】
6)5)記載の感光性平版印刷版を350〜450nmのレーザー光を用いて露光する露光製版方法。
【0019】
以下、本発明をより詳細に説明する。
(エチレン性二重結合含有単量体)
まず、本発明に係るエチレン性二重結合含有単量体(以下、「エチレン性単量体」とも略記する)について説明する。
【0020】
本発明に係るエチレン性単量体は、一般的なラジカル重合性のモノマー類、紫外線硬化樹脂に一般的に用いられる分子内に付加重合可能なエチレン性二重結合を複数有する多官能モノマー類や、多官能オリゴマー類を用いることができる。該化合物に限定はないが、好ましいものとして、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類、又はこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル;例えばエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、又はこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル;例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、又はこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
【0021】
又、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーとしては、後述する様な化合物等が挙げることができ、又、適当な分子量のオリゴマーにアクリル酸又はメタクリル酸を導入し、光重合性を付与したプレポリマーも好適に使用できる。これらプレポリマーは、1種又は2種以上を併用してもよいし、上述の単量体及び/又はオリゴマーと混合して用いてもよい。
【0022】
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、こはく酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類;例えばビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類;例えばエチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート;例えばポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類;その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等のプレポリマーが挙げられる。
【0023】
感光性組成物には、ホスファゼンモノマー、トリエチレングリコール、イソシアヌール酸EO(エチレンオキシド)変性ジアクリレート、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、アルキレングリコールタイプアクリル酸変性、ウレタン変性アクリレート等の単量体及び該単量体から形成される構成単位を有する付加重合性のオリゴマー及びプレポリマーを含有することができる。
【0024】
更に、併用可能なエチレン性単量体として、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有する燐酸エステル化合物が挙げられる。該化合物は、燐酸の水酸基の少なくとも一部がエステル化された化合物であり、しかも、(メタ)アクリロイル基を有する限り特に限定はされない。
【0025】
その他に、特開昭58−212994号、同61−6649号、同62−46688号、同62−48589号、同62−173295号、同62−187092号、同63−67189号、特開平1−244891号等に記載の化合物などを挙げることができ、更に「11290の化学商品」化学工業日報社,286〜294頁に記載の化合物、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子刊行会,11〜65頁に記載の化合物なども好適に用いることができる。これらの中で、分子内に2以上のアクリル基又はメタクリル基を有する化合物が本発明においては好ましく、更に分子量が10,000以下、より好ましくは5,000以下のものが好ましい。
【0026】
又、本発明では、分子内に3級アミノ基を含有する付加重合可能なエチレン性単量体を使用することが好ましい。構造上の限定は特にないが、水酸基を有する3級アミン化合物を、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸クロリド、アクリル酸クロリド等で変性したものが好ましく用いられる。具体的には、特開平1−165613号、同1−203413号、同1−197213号に記載の重合可能な化合物が好ましく用いられる。
【0027】
更に、本発明では、分子内に3級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、及び分子内にヒドロキシル基とエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物を使用することが好ましい。
【0028】
ここで言う分子内に3級アミノ基を含有する多価アルコールとしては、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノ−ルアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノ−ルアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリン、N,N,N′,N′−テトラ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、p−トリルジエタノ−ルアミン、N,N,N′,N′−テトラ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、アリルジエタノールアミン、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール、N,N−ジ(プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、N,N−ジ(i−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、3−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)−1,2−プロパンジオ−ル等が挙げられるが、これに限定されない。
【0029】
ジイソシアネート化合物としては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタン−1,8−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサノン、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,5−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
分子内にヒドロキシル基とエチレン性二重結合を含有する化合物としては、MH−1〜MH−13の化合物等が挙げられるが、これに限定されない。
【0031】
【化9】
【0032】
好ましくは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート等が挙げられる。
【0033】
これらの反応は、通常のジオール化合物、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシル基含有アクリレート化合物の反応で、ウレタンアクリレートを合成する方法と同様に行うことが出来る。
【0034】
又、これらの分子内に3級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、及び分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物において具体例を以下に示す。
【0035】
M−1:トリエタノールアミン/ヘキサン−1,6−ジイソシアネート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(1/3/3モル比)反応生成物
M−2:トリエタノールアミン/イソホロンジイソシアネート/2−ヒドロキシエチルアクリレート(1/3/3モル比)反応生成物
M−3:N−ブチルジエタノールアミン/1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン/2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(1/2/2モル)反応生成物
M−4:N−ブチルジエタノ−ルアミン/1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン/2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(1/2/2モル比)反応生成物
M−5:N−メチルジエタノールアミン/トリレン−2,4−ジイソシアネート/2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート(1/2/2モル比)反応生成物。
【0036】
この他にも、特開平1−105238号、同2−127404号に記載の、アクリレート又はアルキルアクリレートを用いることが出来る。
【0037】
本発明においては、エチレン性単量体が前記一般式(4)又は一般式(5)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0038】
以下、一般式(4)で表される化合物について説明する。
一般式(4)において、R4で表されるアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、i−ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ドコサデシル基等が挙げられる。R4で表されるヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシペンチル基等が挙げられる。R4で表されるアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル等の基が挙げられる。
【0039】
R1及びR2で表されるアルキル基は、前記R4で表されるアルキル基と同義である。R1及びR2で表されるアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、プロポキシエチル基等が挙げられる。
【0040】
X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基としては、例えば飽和炭化水素基、アリーレン基等が挙げられる。該飽和炭化水素基としては、例えばエチレン、トリメチレン、テトラメチレン、プロピレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、シクロヘキシレン(1,6−シクロヘキサンジイル等)、シクロペンチレン(1,5−シクロペンタンジイル等)等が挙げられる。該アリーレン基としては、例えばフェニレン、ナフチレン等が挙げられる。
【0041】
X2で表される2価の基は、前記X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基として挙げた飽和炭化水素基、アリーレン基等を用いることができるが、更に、前記飽和炭化水素基の中の5個までのメチレン基が酸素原子によって置換されたものを用いることが出来る。
【0042】
X2で表される3価の基は、上記のX2で表される2価の基(飽和炭化水素基、アリーレン基等)に更に一つ結合基がついたものであり、例えばエタントリイル、プロパントリイル、ブタントリイル、ペンタントリイル、ヘキサントリイル、ヘプタントリイル、オクタントリイル、ノナントリイル、デカントリイル、ウンデカントリイル、ドデカントリイル、シクロヘキサントリイル、シクロペンタントリイル、ベンゼントリイル、ナフタレントリイル等の基が挙げられる。
【0043】
更に、X2で表される4価の基は、上記のX2で表される3価の基に更に一つ結合基がついたものであり、例えばプロパンジイリデン、1,3−プロパンジイル−2−イリデン、ブタンジイリデン、ペンタンジイリデン、ヘキサンジイリデン、ヘプタンジイリデン、オクタンジイリデン、ノナンジイリデン、デカンジイリデン、ウンデカンジイリデン、ドデカンジイリデン、シクロヘキサンジイリデン、シクロペンタンジイリデン、ベンゼンテトライル、ナフタレンテトライル等の各基が挙げられる。
【0044】
X2において、Zは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシル基又は複素環基を表す。アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、i−ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−ブテニル、4−ヘキセニル基等が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル、m−クロロフェニル、p−トリル、ナフチル等の基が挙げられる。ハロゲン原子としては、弗素、塩素、臭素、沃素原子が挙げられる。又、アルコキシル基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基等が挙げられる。更に複素環基としては、例えばピリジル、ピロリル、2−メチルピロリル、インドリル、イミダゾリル、フリル、チアゾリル、ピリミジニル等の基が挙げられる。
【0045】
D1及びD2で表される、1〜5個の炭素原子を有する2価の基としては、メチレン、トリメチレン、テトラメチレン、プロピレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、シクロペンチレン基等が挙げられる。
【0046】
Eで表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基は、前記X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基と同義である。
【0047】
Eで表される、5〜7員環で、かつ窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる二つ迄の原子を含む複素環を置換基として有する脂肪族基を構成する複素環としては、例えばピリジン、フラン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリミジン、ピリダジン、ピラン、チオフェン、イソオキサゾール、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン等の各環が挙げられる。
【0048】
前記の脂肪族基としては、上記の複素環を有する炭素数2〜12の2価の基が挙げられ、前記2価の基は、X1で表される2〜12個の炭素原子を有する2価の基と同義である。
【0049】
Eで表される6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基としては、例えばフェニレン、ナフチレン基等が挙げられる。
【0050】
Eで表される5又は6員環を有する芳香族複素環基を構成する芳香族複素環としては、フラン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,3,4−チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、s−トリアジン、ベンゾフラン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、プリン、キノリン及びイソキノリン環等が挙げられる。
【0051】
上記一般式(4)における各置換基は、更に置換基を有していてもよい。
一般式(4)において、好ましくはQ1は>N−を、X1は芳香族環を有し、更に好ましくはX1はトリレンジイソシアネートから導かれる以下に挙げる化合物の具体例における4−12〜4−15のような構造を有し、更に好ましくはX1がテトラメチルキシレンジイソシアネートから導かれる4−16〜4−20のような構造を有する。
【0052】
一般式(4)で表される化合物は、当該業者周知の方法、例えば特許第2509288号等に記載の方法を参照して合成できる。
【0053】
以下、一般式(4)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0054】
【化10】
【0055】
【化11】
【0056】
【化12】
【0057】
【化13】
【0058】
【化14】
【0059】
【化15】
【0060】
次に前記一般式(5)で表される化合物について説明する。
一般式(5)において、R8は(g−f)が2以上の場合は、互いに異なってもよい。gとfが同じ値である化合物が好ましい。R8がアルキル基、ヒドロキシアルキル基の場合は炭素数は2〜8が好ましく、2〜4がより好ましい。R8がアリール基の場合は、単環又は2環が好ましく、単環がより好ましく、かつ炭素数5個までのアルキル基、アルコキシアルキル基又はハロゲン原子で置換されてもよい。R5及びR6がアルキル基又はアルコキシアルキル基の場合は、炭素数は1〜5が好ましい。R7はメチル基が好ましい。
【0061】
D3及びD4は同一又は異なってもよく、かつ2個の窒素原子を含む6員の飽和複素環が好ましい。
【0062】
Fが飽和炭化水素基の場合は2〜6個の炭素原子を有することが好ましく、Fがアリーレン基の場合はフェニレン基が好ましく、環状脂肪族基の場合はシクロヘキシレン基が好ましく、複素環芳香族基の場合は窒素原子又は硫黄原子を含む5〜6員環が好ましい。
【0063】
一般式(5)で表される化合物を得るには、Q2が>N−であり、nとmが同じ値の場合は、グリシジルアクリレート又はアルキルアクリレートをヒドロキシアルキルアミンと反応させる。他の化合物も同様にして得ることができる。
【0064】
一般式(5)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0065】
【化16】
【0066】
本発明に係るエチレン性単量体の添加量は、感光層の不揮発成分の30〜70質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。
【0067】
(光重合開始剤組成物)
次に本発明に係る開始剤組成物について説明する。
【0068】
本発明の開始剤組成物は、少なくとも1種の鉄アレーン化合物を含有することを特徴とする。
【0069】
鉄アレーン錯体化合物としては、特開昭59−219307号に記載される化合物等が挙げられるが、代表的には下記一般式(6)で表される化合物である。
【0070】
【化17】
【0071】
式中、R11、R12は同じか又は異なる基であり、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数C1〜C8のアルコキシ基、シアノ基、アルキルチオ基、フェノキシ基、炭素数C2〜C6のモノカルボン酸及びエステル基、炭素数C2〜C5のアルカノイル基、アンモニウム塩、ピリジニウム基、ニトロ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、スルファモイル基、ハロゲン原子より選ばれるものであり、R12はベンゼン環と縮合多環化合物を形成してもよい。
【0072】
X11は、BF4、PF6、AsF6、SbF6、FeCl4、SnCl6、SbCl6、BiCl6等を表す。m11は1〜4の整数、n11は1〜5の整数を表す。
【0073】
一般式(6)で表される鉄アレーン化合物は、具体的には(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−トルエン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロフェート、(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロアルセネート、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロポレート、(η6−ナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−アントラセン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ピレン)(η5−シクロペンタジェニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−トルエン)(η5−アセチルシクロペンタジニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート、(η6−ベンゼン)(η5ーカルボエトキシシクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼン)(η5−1,3−ジクロルシクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−シアノベンゼン)(η5−シクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−アセトフェノン)(η5−シクロヘキサジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−メチルベンゾエ−ト)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−ベンゼンスルホンアミド)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート、(η6−ベンズアミド)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−シアノベンゼン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート(η6−クロルナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−アントラセン)(η5−シアノシクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クロルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート、(η6−クロルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート等が挙げられる。これらの化合物は、Dokl.Akd.Nauk SSSR 149 615(1963)に記載された方法により合成できる。
【0074】
鉄アレーン錯体化合物の添加量は、感光層の不揮発成分当たり0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは1.5〜10質量%である。
【0075】
本発明においては、開始剤組成物がポリハロゲン化合物を含有することも好ましい態様である。ポリハロゲン化合物としては、例えば四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルフェニルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン及び特開昭53−133428号、特公昭57−1819号、同57−6096号、米国特許3,615,455号等に記載の化合物等が挙げられるが、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物、ポリハロアセチルアミド化合物又はポリハロトリアジン化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0076】
以下、ポリハロゲン化合物について順次説明する。まず、前記一般式(1)で表される化合物について述べる。
【0077】
一般式(1)において、Z1及びZ2は、各々ハロゲン原子(弗素、塩素、臭素、沃素)を表すが、Z1及びZ2は共に臭素原子であることが最も好ましい。
【0078】
Xは水素原子又は電子吸引性基である。ここで言う電子吸引性基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取り得る置換基のことであり、具体的にはシアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン原子、アシル基、複素環基等を指す。Xは水素原子又はハロゲン原子であることが好ましく、最も好ましいのは臭素原子である。
【0079】
Y1は−CO−又は−SO2−であり、好ましくは−SO2−である。
Q1はアリーレン基又は2価の複素環基を表す。該アリーレン基とは、好ましくは炭素数6〜30の単環又は縮環のアリーレン基であり、より好ましくは6〜20の単環又は縮環のアリーレン基であり、例えばフェニレン、ナフチレン等が挙げられ、特に好ましくはフェニレン基である。アリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては写真性能に悪影響を及ぼさない置換基であればどのような基でも構わないが、例えばハロゲン原子(弗素、塩素、臭素、沃素)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基(N−置換の含窒素複素環基を含む)、4級化された窒素原子を含む複素環基(ピリジニオ基等)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基又はその塩、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカルボニル基、カルバゾイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ基又はアリールオキシ基)、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシ又はアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級アンモニオ基、(アルキル又はアリール)スルホニルウレイド基、ニトロ基、(アルキル,アリール,又は複素環)チオ基、アシルチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基、ホスホリル基、燐酸アミド又は燐酸エステル構造を含む基、シリル基等が挙げられる。これら置換基は、これら置換基で更に置換されてもよい。
【0080】
Q1で表されるアリール基の置換基として特に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン、シアノ基、カルボキシル基又はその塩、スルホ基の塩、燐酸基である。
【0081】
Q1で表される複素環基は、窒素、酸素又は硫黄原子を少なくとも一つ含む5〜7員の飽和又は不飽和の複素環基であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成していてもよい。Q1で表される複素環基としては、例えばピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ベンゾチアゾリル、ベンツイミダゾリル、チアジアゾリル、キノリル、イソキノリル基等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよく、例えばQ1で表されるアリーレン基の置換基と同様の基が挙げられる。一般式(1)のQ1は、好ましくはアリーレン基であり、特に好ましくはフェニレン基である。
【0082】
Lは連結基を表し、例えばアルキレン基(好ましくは炭素数1〜30、更に好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜30、更に好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜10)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜30、更に好ましくは2〜20、特に好ましくは2〜10)、アルキニレン基(好ましくは炭素数2〜30、更に好ましくは2〜20、特に好ましくは2〜10)、複素環基(好ましくは炭素数1〜30、更に好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10)、−O−、−NR−、−CO−、−COO−、−OCOO−、−NRCO−、−NRCONR−、−OCONR−、−S−、−SO−、−SO2−、−SO2NR−、燐原子を含む基や、これらを組み合わせることによって形成される基等が挙げられる。尚、Rで表される基は、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基である。Lで表される連結基は置換基を有していてもよく、例えばQ1で表されるアリーレン基の置換基と同様の基が挙げられる。
【0083】
Lで表される連結基は、好ましくはアルキレン基、−O−、−NRCO−、−SO2NR−及び、これらを組み合わせることによって形成される基である。
【0084】
Wはカルボキシル基又はその塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等)、スルホ基又はその塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等)、燐酸基又はその塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等)、ヒドロキシル基、4級アンモニウム基(テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等)、ポリエチレンオキシ基を表す。Wは好ましくはカルボキシル基又はその塩、スルホ基の塩、ヒドロキシル基である。
【0085】
以下に一般式(1)の化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0086】
【化18】
【0087】
一般式(1)に含まれるその他の化合物は、特開2000−284408号に記載されている。又、一般式(1)の化合物は同公報の記載を参考にして通常の有機合成反応によって容易に合成することができる。
【0088】
次に、前記一般式(2)で表される化合物について詳細に説明する。
一般式(2)において、Q2はアルキル基、アリール基又は複素環基を表すが、Q2で表されるアリール基は単環又は縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環又は2環のアリール基(フェニル、ナフチル等)であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくはフェニル基である。
【0089】
Q2で表される複素環基は、窒素、酸素は硫黄原子の少なくとも一つを含む3〜10員の飽和もしくは不飽和の複素環基であり、これらは単環でもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。複素環基として好ましくは、縮合環を有してもよい5又は6員の不飽和複素環基であり、より好ましくは縮合環を有してもよい5又は6員の芳香族複素環基である。更に好ましくは窒素原子を含む5〜6員の芳香族複素環基であり、特に好ましくは窒素原子を1〜4原子含む5又は6員の縮合環を有していてもよい芳香族複素環基である。
【0090】
複素環基中の複素環の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾセレナゾール、インドレニン、テトラザインデン等が挙げられる。複素環として好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾールであり、特に好ましくはピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンゾチアゾールである。
【0091】
Q2で表されるアリール基及び複素環は−(Y)n2−CZ(X1)(X2)の他に置換基を有してもよく、置換基としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、オクチル、デシル、ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリール、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、メトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、フェニルオキシカルボニル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、アセトキシ、ベンゾイルオキシ等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、トキシカルボニルアミノ等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、フェニルオキシカルボニルアミノ等)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、フェニルチオ等)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、メシル、トシル、フェニルスルホニル等)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、メタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等)、燐酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、ジエチル燐酸アミド、フェニル燐酸アミド等)、ヒドロキシル基、メルカプト基、ハロゲン原子(弗素、塩素、臭素、沃素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、複素環基(イミダゾリル、ピリジル、フリル、ピペリジル、モルホリノ等)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されていてもよい。又、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。該置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、燐酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、複素環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、燐酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、複素環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、複素環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
【0092】
Q2で表されるアルキル基は、直鎖、分岐又は環状でもよく、好ましくは炭素数1〜30のものであり、より好ましくは炭素数1〜15のものであり、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−オクチル等が挙げられる。
【0093】
Q2で表されるアルキル基は−(Y)n2−CZ(X1)(X2)の他に置換基を有してもよく、置換基としては、Q2が複素環基又はアリール基の場合にとり得る置換基と同様な基が挙げられる。置換基として好ましくは、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ウレイド基、燐酸アミド基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、複素環基であり、より好ましくはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、燐酸アミド基、ハロゲン原子であり、更に好ましくはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、燐酸アミド基である。
【0094】
これらの置換基は更に置換されてもよい。又、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。
【0095】
Yは−CO−、−SO−又は−SO2−を表すが、好ましくは−CO−、−SO2−であり、より好ましくは−SO2−である。
【0096】
n2は0又は1を表すが、好ましくは1である。
X1、X2は、各々ハロゲン原子を有し、X1、X2で表されるハロゲン原子は同一又は互いに異なってもよく弗素、塩素、臭素、沃素原子であり、好ましくは塩素、臭素、沃素原子であり、より好ましくは塩素、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0097】
Zは水素原子又は電子吸引性基を表すが、電子吸引性基として好ましくは、σp値が0.01以上の置換基であり、より好ましくは0.1以上の置換基である。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子(弗素:0.06、塩素:0.23、臭素:0.23、沃素:0.18)、トリハロメチル基(トリブロモメチル:0.29、トリクロロメチル:0.33、トリフルオロメチル:0.54)、シアノ基:0.66、ニトロ基:0.78、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(メタンスルホニル:0.72)、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(アセチル:0.50、ベンゾイル:0.43)、アルキニル基(C≡CH.:0.23)、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(メトキシカルボニル:0.45、フェノキシカルボニル:0.44)、カルバモイル基:0.36、スルファモイル基:0.57、等が挙げられる。
【0098】
Zは、好ましくは電子吸引性基であり、より好ましくはハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素、臭素、沃素原子であり、更に好ましくは塩素、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0099】
一般式(2)で表される化合物の内、好ましくは下記一般式(2−a)で表される化合物である。
【0100】
【化19】
【0101】
式中、Q2は一般式(2)におけるそれと同義であり、又、好ましい範囲も同様である。又、Q2が採り得る置換基は、一般式(2)におけるQ2が採り得る置換基と同義である。X1、X2、Y、Zは、それぞれ一般式(2)におけるそれらと同義であり、又、好ましい範囲も同様である。
【0102】
一般式(2)で表される化合物の内、より好ましくは下記一般式(2−b)で表される化合物である。
【0103】
【化20】
【0104】
式中、Q2は一般式(2)におけるそれと同義であり、又、好ましい範囲も同様である。又、Q2が採り得る置換基は、一般式(2)におけるQ2が採り得る置換基と同義である。X1、X2、Zは、それぞれ一般式(2)におけるそれらと同義であり、又、好ましい範囲も同様である。
【0105】
以下に一般式(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0106】
【化21】
【0107】
一般式(2)で表される、その他の化合物については特開2000−305213に記載の化合物を挙げることができる。
【0108】
前記一般式(3)で表される化合物について説明する。
式中、Q3はアルキル基、アリール基又は複素環基を表し、X3、X4及びX5は各々、水素原子又はハロゲン原子を表すが、X3、X4及びX5の少なくとも一つはハロゲン原子を表す。
【0109】
Q3で表されるアルキル基、アリール基又は複素環基は、前記一般式(2)におけるQ2と同義である。又、X3、X4及びX5の少なくとも一つはハロゲン原子を表すが、好ましくはX3、X4及びX5の全てがハロゲン原子の場合である。
【0110】
以下に一般式(3)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
【化22】
【0112】
一般式(3)で表される化合物は特表平8−505148号を参考にして合成することができる。
【0113】
一般式(1)〜(3)の化合物の添加量は、何れも感光層の不揮発成分当たり0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは1.5〜10質量%である。
【0114】
次に、ポリハロアセチル化合物について説明する。ポリハロアセチル化合物としては、ポリハロアセチル化合物、中でも好ましくはトリハロアセチルアミド化合物が挙げられ、例えば下記一般式(7)で表される化合物(ポリハロアセチル化合物)又は、より好ましくは下記一般式(8)で表される化合物(トリハロアセチルアミド化合物)が挙げられる。
【0115】
一般式(7) R11−CX2−COR12
式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表す。R11は水素原子、塩素原子、臭素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はシアノ基を表す。R12は1価の置換基を表す。又、R11とR12が結合して環を形成してもよい。
【0116】
一般式(8) CX3−CO−Y1−R13
式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表す。R13は一価の置換基を表す。Y1は−O−又は−NR14−を表す。R14は水素原子又はアルキル基を表す。又、R13とR14が結合して環を形成してもよい。
【0117】
上記一般式(7)及び(8)で表される化合物(ポリ塩素化合物、ポリ臭素化合物)において、ポリ臭素化合物がより好ましい。
【0118】
一般式(7)で表される化合物の代表的な具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0119】
【化23】
【0120】
【化24】
【0121】
【化25】
【0122】
【化26】
【0123】
【化27】
【0124】
【化28】
【0125】
【化29】
【0126】
【化30】
【0127】
【化31】
【0128】
又、炭素−ハロゲン結合を有する化合物としては、例えば若林ら著:Bull.Chem.Soc.Japan,42,2924(1969)記載の化合物、例えば2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(2′,4′−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許1,388,492号記載の化合物、例えば2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−s−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、例えば2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−s−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−s−トリアジン、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−s−トリアジン等、独国特許3,337,024号記載のポリハロトリアジン化合物を挙げることができる。又、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.29,1527(1964)記載の化合物、例えば2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロムメチル)−s−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−s−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロルメチル−s−トリアジン等を挙げることができる。
【0129】
(分光増感色素)
光源にレーザー光を用いる場合、好ましくは感光層に分光増感色素を添加する。光源の波長付近に吸収極大波長を有する色素の使用が好ましい。
【0130】
可視光〜近赤外まで波長増感させる化合物としては、例えばシアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、クマリン誘導体、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等、ケトアルコールボレート錯体が挙げられ、更に欧州特許568,993号、米国特許4,508,811号、同5,227,227号、特開2001−125255、特開平11−271969号等に記載の化合物も用いられる。
【0131】
次に、本発明に係る鉄アレーン化合物、ポリハロゲン化合物の何れかと併用することで、好ましい効果を発現できる350〜450nmに吸収極大を有する色素としては、特開2000−98605号、同2000−147763、同2000−206690、同2000−258910、同2001−42524、同2001−100412等に記載される色素が好ましい。
【0132】
分光増感色素の吸収極大については、アセトニトリルに溶解し常温で可視光スペクトルを測定する。アセトニトリルに不溶な色素は、アルコール類、2−ブタノンや水等に溶解して測定してもよい。
【0133】
本発明において、分光増感色素の添加方法としては、水又は有機溶媒等の適当な溶媒を選択し、それらに溶解して添加することができ、有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセロソルブ、ジエチルカルビトール等のグリコールエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド等が挙げられ、それらを単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0134】
本発明において、分光増感色素の添加量は一概には規定できないが、好ましくは溶媒を除く感光性組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜5質量部である。開始剤と増感色素の配合比率は、モル比で1:100〜100:1の範囲が好ましい。
【0135】
(高分子結合材)
次に高分子結合材について説明する。
【0136】
本発明に係る高分子結合材としては、例えばアクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、その他の天然樹脂等を使用することができる。又、これらを2種以上併用しても構わない。
【0137】
上記高分子結合材において、好ましくはアクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合であり、更に、高分子結合材の共重合組成として、(a)カルボキシル基含有モノマー、(b)メタクリル酸アルキルエステル、又はアクリル酸アルキルエステルの共重合体であることが好ましい。
【0138】
カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、α,β−不飽和カルボン酸類、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。その他、フタル酸と2−ヒドロキシメタクリレートのハーフエステル等のカルボン酸も好ましい。
【0139】
メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等の無置換アルキルエステルの他、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等の環状アルキルエステルや、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等の置換アルキルエステル等を挙げることができる。
【0140】
更に、本発明に係る高分子結合材は、他の共重合モノマーとして、下記(1)〜(14)に記載のモノマー等を用いることができる。
【0141】
(1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えばo−(又はp−,m−)ヒドロキシスチレン、o−(又はp−,m−)ヒドロキシフェニルアクリレート等。
【0142】
(2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
【0143】
(3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えばm−(又はp−)アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−(又はp−)アミノスルホニルフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
【0144】
(4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えばN−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
【0145】
(5)アクリルアミド又はメタクリルアミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ニトロフェニル)アクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
【0146】
(6)弗化アルキル基を含有するモノマー、例えばトリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
【0147】
(7)ビニルエーテル類、例えば、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等。
【0148】
(8)ビニルエステル類、例えばビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
【0149】
(9)スチレン類、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
【0150】
(10)ビニルケトン類、例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
【0151】
(11)オレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、i−ブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
【0152】
(12)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
【0153】
(13)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−(又はm−,p−)シアノスチレン等。
【0154】
(14)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−i−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
【0155】
更に、これらのモノマーと共重合し得る他のモノマーを共重合してもよい。
又、上記ビニル系共重合体の分子内に存在するカルボキシル基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物を付加反応させることによって得られる二重結合含有ビニル系共重合体も、高分子結合材として好ましい。分子内に二重結合とエポキシ基を共に含有する化合物としては、具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、特開平11−271969号に記載のあるエポキシ基含有二重化合物等が挙げられる。
【0156】
これらの共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された質量平均分子量が、1〜20万であるものが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
【0157】
上記高分子結合材には、必要に応じてポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、天然樹脂等、他の任意の高分子結合材が、上記の各ビニル系共重合体と併用されてもよい。
【0158】
感光性組成物中における上記高分子結合材の含有量は10〜90質量%の範囲が好ましく、15〜70質量%が更に好ましく、20〜60質量%の範囲で使用することが感度の面から特に好ましい。
【0159】
更に、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合体は、該高分子結合材において、50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましい。
【0160】
本発明に係る高分子結合材に含まれる重合体の酸価については、10〜150の範囲で使用するのが好ましく、30〜120の範囲がより好ましく、50〜90の範囲で使用することが、感光層全体の極性のバランスをとる観点から特に好ましく、これにより感光層塗布液での顔料の凝集を防ぐことなどができる。
【0161】
続いて、本発明に係る感光性組成物に添加することのできる各種添加剤、感光性平版印刷版としての支持体、保護層、感光性組成物の支持体への塗布、感光性平版印刷版の画像記録法等について順次説明する。
【0162】
(各種添加剤)
本発明の感光性組成物を含有する光重合性感光層には、上記した成分の他に、感光性平版印刷版の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性二重二重結合単量体の不要な重合を阻止するために、重合防止剤を添加することが望ましい。適当な重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
【0163】
重合防止剤の添加量は、上記組成物の全固形分の質量に対して約0.01%〜約5%が好ましい。又、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加したり、塗布後の乾燥の過程で感光性層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5%〜約10%が好ましい。
【0164】
又、着色剤も使用することができ、着色剤としては、市販のものを含め従来公知のものが好適に使用できる。例えば改訂新版「顔料便覧」,日本顔料技術協会編(誠文堂新光社)、カラーインデックス便覧等に述べられているものが挙げられる。
【0165】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、赤色顔料、褐色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料等が挙げられる。具体的には、無機顔料(二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄、並びに鉛、亜鉛、バリウム及びカルシウムのクロム酸塩等)及び有機顔料(アゾ系、チオインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン系、トリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔料、フタロシアニン顔料及びその誘導体、キナクリドン顔料等)が挙げられる。
【0166】
これらの中でも、使用する露光レーザーに対応した分光増感色素の吸収波長域に実質的に吸収を持たない顔料を選択して使用することが好ましく、この場合、使用するレーザー波長での積分球を用いた顔料の反射吸収が0.05以下であることが好ましい。又、顔料の添加量としては、上記組成物の固形分に対し0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。
【0167】
露光光源として、アルゴンレーザー(488nm)又はSHG−YAGレーザー(532nm)を使用する場合には、上記の感光波長領域での顔料吸収及び現像後の可視画性の観点から、紫色顔料、青色顔料を用いるのが好ましい。このようなものとしては、例えばコバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、フォナトーンブルー6G、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーフアーストスカイブルー、インダンスレンブルー、インジコ、ジオキサンバイオレット、イソビオランスロンバイオレット、インダンスロンブルー、インダンスロンBC等を挙げることができる。これらの中で、より好ましくはフタロシアニンブルー、ジオキサンバイオレットである。
【0168】
又、上記組成物は、本発明の性能を損わない範囲で、界面活性剤を塗布性改良剤として含有することが出来る。その中でも好ましいのは弗素系界面活性剤である。
【0169】
又、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は全固形分の10質量%以下が好ましい。
【0170】
又、感光層の感光性組成物を調製する際に使用する溶剤としては、例えばアルコール:多価アルコールの誘導体類では、sec−ブタノール、i−ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、又、エーテル類:プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、又、ケトン類、アルデヒド類:ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、又、エステル類:乳酸エチル、乳酸ブチル、蓚酸ジエチル、安息香酸メチル等が好ましく挙げられる。
【0171】
(保護層:酸素遮断層)
感光層の上側には保護層を設けることが好ましい。該保護層(酸素遮断層)は、後述の現像液(一般にはアルカリ水溶液)への溶解性が高いことが好ましく、具体的にはポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンを挙げることができる。ポリビニルアルコールは酸素の透過を抑制する効果を有し、又、ポリビニルピロリドンは隣接する感光層との接着性を確保する効果を有する。
【0172】
上記2種のポリマーの他に、必要に応じ、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、アラビアゴム、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド等の水溶性ポリマーを併用することもできる。
【0173】
本発明の感光性平版印刷版では、感光層と保護層間の剥離力が35mN/mm以上であることが好ましく、より好ましくは50mN/mm以上、更に好ましくは75mN/mm以上である。好ましい保護層の組成としては特開平10−10742号に記載されるものが挙げられる。該剥離力は、保護層上に十分大きい粘着力を有する所定幅の粘着テープを貼り、それを平版印刷版材料の平面に対して90度の角度で保護層と共に剥離する時の力を測定することにより求めることができる。
【0174】
保護層には、更に必要に応じて界面活性剤、マット剤等を含有することができる。上記保護層組成物を適当な溶剤に溶解し感光層上に塗布・乾燥して保護層を形成する。塗布溶剤の主成分は水、あるいはメタノール、エタノール、i−プロパノール等のアルコール類であることが特に好ましい。保護層の厚みは0.1〜5.0μmが好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0μmである。
【0175】
(支持体)
支持体のアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
【0176】
本発明においては、請求項1に示す如く質量基準元素組成比が、Al:98.0〜100%、Cu:0〜0.4%、Mn:0〜1.6%、Mg:0〜1.4%である合金が必須要件となる。アルミニウム合金の特性、製造方法に関しては、特開平5−309964号等を参照できる。
【0177】
本発明に係る支持体は、粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、水酸化ナトリウム等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいは、それらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。
【0178】
粗面化の方法としては、例えば機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
【0179】
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。ブラシ研磨法による粗面化は、例えば、直径0.2〜0.8mmのブラシ毛を使用した回転ブラシを回転し、支持体表面に、例えば、粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させたスラリーを供給しながら、ブラシを押し付けて行うことができる。ホーニング研磨による粗面化は、例えば粒径10〜100μmの火山灰の粒子を水に均一に分散させ、ノズルより圧力を掛け射出し、支持体表面に斜めから衝突させて粗面化を行うことができる。又、例えば、支持体表面に、粒径10〜100μmの研磨剤粒子を100〜200μmの間隔で、2.5×103〜10×103個/cm2の密度で存在するように塗布したシートを貼り合わせ、圧力を掛けてシートの粗面パターンを転写することにより粗面化を行うこともできる。
【0180】
上記の機械的粗面化法で粗面化した後、支持体の表面に食い込んだ研磨剤、形成されたアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。アルカリ水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸あるいは、それらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
【0181】
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。酸性電解液は、電気化学的粗面化法に通常用いられる酸性電解液を使用することができるが、塩酸系又は硝酸系電解液を用いるのが好ましい。電気化学的粗面化方法については、例えば特公昭48−28123号、英国特許896,563号、特開昭53−67507号に記載されている方法を用いることができる。この粗面化法は、一般には、1〜50Vの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30Vの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることが出来るが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5,000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2,000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることが出来るが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。
【0182】
電解液として硝酸系電解液を用いて電気化学的粗面化を行う場合、一般には、1〜50Vの範囲の電圧を印加することによって行えるが、10〜30Vの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、20〜100A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、硼酸、酢酸、蓚酸等を加えることができる。
【0183】
電解液として塩酸系電解液を用いる場合、一般には、1〜50Vの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、2〜30Vの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dm2の範囲を用いることができるが、50〜150A/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000c/dm2の範囲を用いることができるが、100〜2,000c/dm2、更には200〜1000c/dm2の範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。
【0184】
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸あるいは、それらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
【0185】
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法は、それぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、又、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
【0186】
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。該陽極酸化処理には、硫酸及び/又は燐酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が好ましく用いられるが、他に、米国特許1,412,768号に記載される硫酸中で高電流密度で電解する方法や、同3,511,661号に記載されている燐酸を用いて電解する方法、クロム酸、蓚酸、マロン酸等を1種又は2種以上含む溶液を用いる方法等が挙げられる。形成された陽極酸化被覆量は1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2である。陽極酸化被覆量は、例えばアルミニウム板を燐酸クロム酸溶液(燐酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1Lの水に溶解して作製)に浸積し、酸化被膜を溶解し、板の被覆溶解前後の質量変化測定等から求められる。
【0187】
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ナトリウム処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
【0188】
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体及び共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(硼酸亜鉛など)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平5−304358号に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
【0189】
(塗布)
調製された感光性組成物(感光層塗布液)は、従来公知の方法で支持体上に塗布・乾燥し、感光性平版印刷版を作製する。塗布液の塗布方法としては、例えばエアドクタコータ法、ブレードコータ法、ワイヤバー法、ナイフコータ法、ディップコータ法、リバースロールコータ法、グラビヤコータ法、キャストコーティング法、カーテンコータ法及び押出しコータ法等を挙げることが出来る。
【0190】
感光層の乾燥温度は、低いと十分な耐刷性を得ることが出来ず、又、高過ぎるとマランゴニーを生じてしまうばかりか、非画線部のカブリを生じてしまう。好ましい乾燥温度範囲としては60〜160℃の範囲が好ましく、より好ましくは80〜140℃、特に好ましくは90〜120℃で乾燥することが好ましい。
【0191】
(画像記録方法)
本発明に係る感光性平版印刷版に画像露光する光源としては、例えばレーザー、発光ダイオード、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク燈、メタルハライドランプ、タングステンランプ、高圧水銀ランプ、無電極光源等を挙げることができる。
【0192】
一括露光する場合には、感光層上に、所望の露光画像のネガパターンを遮光性材料で形成したマスク材料を重ね合わせ、露光すればよい。
【0193】
発光ダイオードアレイ等のアレイ型光源を使用する場合や、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ等の光源を、液晶、PLZT等の光学的シャッター材料で露光制御する場合には、画像信号に応じたデジタル露光をすることが可能であり好ましい。この場合は、マスク材料を使用せず、直接書込みを行うことができる。
【0194】
レーザー露光の場合には、光をビーム状に絞り画像データに応じた走査露光が可能なので、マスク材料を使用せず、直接書込みを行うのに適している。又、レーザーを光源として用いる場合には、露光面積を微小サイズに絞ることが容易であり、高解像度の画像形成が可能となる。
【0195】
レーザー光源としては、アルゴンレーザー、He−Neガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー等を何れも好適に用いることが可能である。本発明では、可視域に発光波長を有するレーザー光源が好ましく用いられる。具体的には、532nm付近に発光する2倍高波長YAGレーザー、488nm付近に発光するArイオンレーザーなどがある。又、InGaN系やZnSe系の材料を用い、380〜430nm域で連続発振可能な半導体レーザーも好ましく用いられる。
【0196】
レーザーの走査方法としては、円筒外面走査、円筒内面走査、平面走査などがある。円筒外面走査では、記録材料を外面に巻き付けたドラムを回転させながらレーザー露光を行い、ドラムの回転を主走査としレーザー光の移動を副走査とする。円筒内面走査では、ドラムの内面に記録材料を固定し、レーザービームを内側から照射し、光学系の一部又は全部を回転させることにより円周方向に主走査を行い、光学系の一部又は全部をドラムの軸に平行に直線移動させることにより軸方向に副走査を行う。平面走査では、ポリゴンミラーやガルバノミラーとfθレンズ等を組み合わせてレーザー光の主走査を行い、記録媒体の移動により副走査を行う。円筒外面走査及び円筒内面走査の方が光学系の精度を高め易く、高密度記録には適している。
【0197】
(プレヒート)
本発明においては、感光性平版印刷版に画像を露光した後、現像処理する前又は現像処理しながら感光性平版印刷版を加熱処理することが好ましい。この様に加熱処理することで、感光層と支持体の接着性が向上し、本発明に係る発明の効果を向上させることができる。
【0198】
プレヒートは、例えば感光性平版印刷版を現像処理する自動現像装置において、現像処理時に搬走される感光性平版印刷版を現像前に所定の温度範囲に加熱するプレヒートローラによる加熱する方法を挙げることができる。例えばプレヒートローラは、内部に加熱手段を有する少なくとも一つのローラを含む1対のローラから成り、加熱手段を有するローラとしては、熱伝導率の高い金属(アルミニウム、鉄等)から成る中空パイプの内部に発熱体としてニクロム線等を埋設し、該金属パイプの外側面をポリエチレン、ポリスチレン、テフロン(R)等のプラスチックシートで被覆したものを使用することができる。又、こうしたプレヒートローラの詳細については、特開昭64−80962号を参照することができる。当該プレヒートは、70〜180℃で、3〜120秒程度行うことが好ましい。
【0199】
(現像液)
画像露光した感光層は露光部が硬化する。これをアルカリ現像液で現像処理することにより、未露光部が除去され画像形成が可能となる。この様な現像液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば珪酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;第二燐酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;重炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;ホウ酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム及び同リチウム等の無機アルカリ剤を使用するアルカリ現像液が挙げられる。
【0200】
又、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−i−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、トリ−i−プロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ−i−プロパノールアミン、ジ−i−プロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いることができる。
【0201】
これらのアルカリ剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いられる。又、該現像液には、必要に応じてアニオン性界面活性剤、両性活性剤やアルコール等の有機溶媒を加えることができる。
【0202】
アルカリ水溶液は、基本的に、SiO2換算での珪酸濃度が1.0質量%で、pH8.5〜12.5の範囲である水溶液が好ましく、該水溶液は、他の添加剤を含有していてもよい。又、当該水溶液に、更に界面活性剤を0.1〜5.0質量%の範囲で含有する水溶液がより好ましい。又、該水溶液は、上記する現像液の成分を含有することも好ましい。
【0203】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
【0204】
実施例1
〈高分子結合材の合成〉
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタクリル酸30部、メタクリル酸メチル50部、メタクリル酸エチル20部、i−プロピルアルコール500部及びα、α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、i−プロピルアルコールの沸点で1時間還流を行った後、トリエチルアンモニウムクロライド3部及びグリシジルメタクリレート25部を加えて3時間反応させ、アクリル系共重合体1を得た。
【0205】
共重合体1をGPCを用いて測定した質量平均分子量は約35,000、DSC(示差熱分析法)を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は約85℃であった。
【0206】
〈支持体の作製〉
厚さ0.24mm、幅1030mmのアルミニウム板を用い、以下のように連続的に処理を行った。
【0207】
(a)既存の機械的粗面化装置を使って、比重1.12の研磨剤(パミス)と水の懸濁液を、研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。
【0208】
研磨剤の平均粒径は40〜45μm、最大粒径は200μmだった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロンを使用し、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシは、φ300mmのステンレス製の筒に穴を開けて密になるように植毛した。この回転ブラシを3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラー(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラーはブラシを回転させる駆動モーターの負荷が、ブラシローラーをアルミニウム板に押さえ付ける前の負荷に対して7kwプラスになるまで押さえ付けた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じで、回転数は200rpmであった。
【0209】
(b)アルミニウム板を、2.6%水酸化ナトリウム、アルミニウムイオン濃度6.5%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を0.3g/m2溶解した。その後スプレーによる水洗を行った。
【0210】
(c)温度30℃の1%硝酸水溶液(アルミニウムイオン0.5%を含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
【0211】
(d)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、塩酸あるいは硝酸水溶液(アルミニウムイオン0.5%、アンモニウムイオン0.007%を含む)で濃度は1.1%で、温度40℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達する迄の時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は実効値で55A/dm2、浸漬(通電)時間は45秒とした。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0212】
(e)アルミニウム板を、26%水酸化ナトリウム、アルミニウムイオン濃度6.5%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行った時に生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後スプレーで水洗した。
【0213】
(f)温度60℃の25%硫酸水溶液(アルミニウムイオンを0.5%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
【0214】
(g)既存の2段給電電解処理法の陽極酸化装置(第1及び第2電解部長各6m、第1給電部長3m、第2給電部長3m、第1及び第2給電電極長各2.4m)を使って電解部の硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5%含む)、温度38℃で陽極酸化処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。この時、陽極酸化装置においては、電源からの電流は、第1給電部に設けられた第1給電電極に流れ、電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第1電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させ、第1給電部に設けられた電解電極を通り、電源に戻る。一方、電源からの電流は、第2給電部に設けられた第2給電電極に流れ、同様に電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第2電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させるが、電源から第1給電部に給電される電気量と電源から第2給電部に給電される電気量は同じであり、第2給電部における酸化皮膜面での給電電流密度は、約25A/dm2であった。第2給電部では、1.35g/m2の酸化皮膜面から給電することになった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。このアルミニウム板は鉄を0.1%、銅を0.02%、チタンを0.02%含む。更に、スプレー水洗後、0.3%のポリビニルホスホン酸溶液中に50秒浸漬し、親水化処理した。温度は85℃であった。ポリビニルホスホン酸の平均分子量は約10,000であった。その後スプレー水洗し、赤外線ヒーターで乾燥した。
【0215】
このアルミニウム板表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.65μmであった。
〈感光性平版印刷版の作製〉
上記支持体上に、下記組成の光重合性感光層塗工液を乾燥時1.5g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、95℃で1.5分間乾燥して感光層塗布試料を得た。更に、感光層上に下記組成の酸素遮断層塗工液を乾燥時1.8g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、75℃で1.5分間乾燥して感光層上に酸素遮断層を有する感光性平版印刷版(試料1〜25)を作製した。
〈平版印刷版の露光・製版〉
版面上の露光エネルギーが200μJ/cm2となる条件で、532nmの光源を備えたプレートセッター(タイガーキャット:ECRM社製)を使用し、2400dpi(1インチ即ち2.54cm当たりのドット数で示す解像度)で露光を行った。露光後、感光性平版印刷版を105℃で10秒加熱処理するプレヒート部、現像前に酸素遮断層を除去する前水洗部、下記組成の現像液を充填した現像部、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のためのガム液(GW−3:三菱化学社製を2倍希釈したもの)処理部を備えたCTP自動現像機(PHW23−V:Technigraph社製)で現像処理を行い、平版印刷版を得た。
(現像液組成)
A珪酸カリウム 8.0%
ニューコールB−13SN(日本乳化剤社製) 2.0%
プロノン#204(日本油脂社性) 1.0%
水酸化カリウム pH=12.9となる量
得られた平版印刷版について以下の評価を行った。
【0216】
《耐刷性》
作製した平版印刷版を、印刷機(三菱重工業社製DAIYA1F−1)で、コート紙、印刷インキ(東洋インク社製トーヨーキングハイエコーM紅)及び湿し水(東京インク社製H液SG−51濃度1.5%)を用いて印刷を行い、1000枚連続印刷後、クリーナーで版面をふき、ハイライト部の点細り、シャドウ部の絡みの発生する印刷枚数を耐刷力の指標とした。耐刷性1回は1000枚連続印刷後クリーナーで拭く作業を指す。回数が多いほど好ましい。クリーナーはウルトラプレートクリーナー(発売元:大日精化社)を使用した。
【0217】
《汚し回復性》
1000枚連続印刷後クリーナーで拭き、15分後に印刷を再開し、非画線部の地汚れが無くなる枚数とした。少ないほど良好である。
【0218】
《リニアリティ》
2400dpi(前出)で175線の網点画像を0〜100%まで5%刻みでリニアリティ未補正で描画した。200μJ/cm2のエネルギーで露光した時、80%となるべき網点出力画像を500倍の光学顕微鏡で撮影し、画像部の面積を算出して網%とした。80%に近いほど良い。
【0219】
結果を纏めて表1に示す。
【0220】
【表1】
【0221】
【化32】
【0222】
この結果より、本発明の試料は比較試料に比べ、何れの評価も優れているが、特に耐刷性が向上する。
【0223】
実施例2
感光層塗工液1に代えて感光層塗工液2を用いた以外は、実施例1と同様に行い、感光性平版印刷版試料26〜39を作製し、実施例1と同様に評価した。
(感光層塗工液2)
エチレン性単量体(表2に示す化合物) 27.0部
エチレン性単量体(NKエステル4G:前出) 14.0部
分光増感色素(ドデシルエオシン1) 3.0部
光重合開始剤 Ar−1 4.0部
アクリル系共重合体1 45.0部
フタロシアニン顔料(MHI454:前出) 6.0部
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジ
ル)−4−メチルフェニルアクリレート(スミライザーGS:前出)0.5部
弗素系界面活性剤(FC−4430:前出) 0.5部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 820部
結果を表2に示す。
【0224】
【表2】
【0225】
U−4HA:NKオリゴU−4HA(新中村化学工業社製エチレン性単量体)
何れの評価においても優れていることが判る。
【0226】
実施例3
感光層塗工液2を感光層塗工液3に代えた以外は、実施例2と同様に感光性平版印刷版40〜75を作製し、同様に露光・製版して性能を評価した。
(感光層塗工液3)
エチレン性単量体(表3、表4に示す化合物) 27.0部
エチレン性単量体(NKエステル4G:前出) 14.0部
ポリハロゲン化合物(表3に示す化合物) 5.0部
分光増感色素(ドデシルエオシン1) 3.0部
光重合開始剤 Ar−1 4.0部
アクリル系共重合体1 40.0部
フタロシアニン顔料(MHI454:前出) 6.0部
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジ
ル)−4−メチルフェニルアクリレート(スミライザーGS:前出)0.5部
弗素系界面活性剤(FC−4430;住友スリーエム社製) 0.5部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 820部
結果を表3、表4に示す。
【0227】
【表3】
【0228】
使用したAl支持体の組成比(質量%)は、実施例2と同じ
U−4HA:NKオリゴU−4HA(新中村化学工業社製エチレン性単量体)
TAZ−1:トリアジン1
TAZ−2:トリアジン2
TCOD:トリクロロオキサジアゾール
DCAP:ジクロロアセトフェノン
【0229】
【表4】
【0230】
使用したAl支持体の組成比(質量%)は、実施例2と同じ
U−4HA:NKオリゴU−4HA(新中村化学工業社製エチレン性単量体)
TAZ−1:トリアジン1
TAZ−2:トリアジン2
TCOD:トリクロロオキサジアゾール
DCAP:ジクロロアセトフェノン
【0231】
【化33】
【0232】
光重合開始剤としてポリハロゲン化合物を使用しても好結果が得られる。
実施例4
感光層塗工液3を感光層塗工液4に代えた以外は、実施例2と同様に感光性平版印刷版76〜89を作製し、同様に露光・製版して性能を評価した。
(感光層塗工液4)
エチレン性単量体(表4に示す化合物) 27.0部
エチレン性単量体(NKエステル4G:前出) 14.0部
ポリハロゲン化合物(表5に示す化合物) 5.0部
分光増感色素(表5に示す化合物) 3.0部
光重合開始剤(表5に示す鉄アレーン化合物) 4.0部
アクリル系共重合体1 40.0部
フタロシアニン顔料(MHI454:前出) 6.0部
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジ
ル)−4−メチルフェニルアクリレート(スミライザーGS:前出)0.5部
弗素系界面活性剤(FC−4430:前出) 0.5部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 820部
結果を表5に示す。
【0233】
【表5】
【0234】
使用したAl支持体の組成比(質量%)は、実施例2と同じ
Ar−1:(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Ar−2:(η6−ナフタレン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Ar−3:(η6−アントラセン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
Ar−4:(η6−クメン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)テトラフルオロボレート
Ar−5:(η6−メチルベンゾエート)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(2)ヘキサフルオロホスフェート
DE:ドデシルエオシン
【0235】
【化34】
【0236】
本発明に係る鉄アレーン化合物(開始剤)、一般式(4)又は(5)のエチレン性単量体、ポリハロゲン化合物(開始剤)及び350〜450nmに吸収極大を持つ増感色素の組合せも良好な結果を示すことが判る。
【0237】
【発明の効果】
本発明によれば、耐刷性及び未露光部の汚し回復を高いレベルで両立し、しかもレーザー露光時のリニアリティにも優れる感光性平版印刷版を提供できる。
Claims (6)
- アルミニウム支持体上に、少なくとも付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体、光重合開始剤組成物及び高分子結合材を含有する感光性組成物から成る感光層を有する感光性平版印刷版において、前記光重合開始剤組成物が少なくとも1種の鉄アレーン化合物を含有し、かつ前記アルミニウム支持体の質量基準元素組成比がアルミニウム:98.0〜100%、銅:0〜0.4%、マンガン:0〜1.6%、マグネシウム:0〜1.4%であることを特徴とする感光性平版印刷版。
- 付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体が、下記一般式(4)又は(5)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の感光性平版印刷版。
- 光重合開始剤組成物がポリハロゲン化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項2記載の感光性平版印刷版。
- 光重合開始剤組成物が下記一般式(1)〜(3)で表される化合物、ポリハロアセチルアミド化合物又はポリハロトリアジン化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項3記載の感光性平版印刷版。
- 光重合開始剤組成物が、350〜450nmの吸収極大を有する色素を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項4記載の感光性平版印刷版。
- 請求項5記載の感光性平版印刷版を350〜450nmのレーザー光を用いて露光することを特徴とする露光製版方法。
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2003
- 2003-04-22 JP JP2003116930A patent/JP2004325556A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007091441A1 (ja) * | 2006-02-09 | 2007-08-16 | Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. | 感光性組成物、感光性平版印刷版材料及び平版印刷版材料の記録方法 |
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