JP2004325402A - センサおよび測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電および電歪効果を用いて測定を行なうセンサでは、圧電素子の自体のインピーダンスが高いため、熱変形を受けると電荷が発生する焦電効果などにより、放電を生じることがあった。
【解決手段】圧電素子51の正電極51aと負電極51bとの間に、抵抗値10KΩないし10MΩの抵抗器57を形成する。この抵抗器57は、厚膜印刷により、圧電素子51の側面に形成される。この結果、圧電素子51の出力インピーダンスは、抵抗器57の抵抗値の範囲に制限され、焦電効果などにより電荷が発生しても、電極間での放電などは生じない。このため、放電によるノイズに起因する測定精度の低下などの問題も解消される。
【選択図】 図1
【解決手段】圧電素子51の正電極51aと負電極51bとの間に、抵抗値10KΩないし10MΩの抵抗器57を形成する。この抵抗器57は、厚膜印刷により、圧電素子51の側面に形成される。この結果、圧電素子51の出力インピーダンスは、抵抗器57の抵抗値の範囲に制限され、焦電効果などにより電荷が発生しても、電極間での放電などは生じない。このため、放電によるノイズに起因する測定精度の低下などの問題も解消される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体の性質を検出するセンサおよび測定装置に関し、詳しくは、圧電素子の圧電および/または電歪効果を利用して、気体の性質を測定するセンサおよびそのセンサを用いた測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から圧電および/または電歪効果を生じる圧電素子を検出用素子に用いて、流路に存在する気体の性質として、例えば特定成分の濃度や温度、あるいは湿度などを検出するガスセンサが知られている。こうしたガスセンサでは、検出用素子からの信号を電気的に処理して、気体の性質に対応した電気信号として出力する。ガスセンサの一例として、自動車など内燃機関を搭載した輸送機器に設けられ、超音波の伝搬速度の変化を利用してガソリンや軽油などの濃度を検出するガス濃度センサを取り上げる。こうしたガス濃度センサは、例えば自動車に搭載されたキャニスタから内燃機関の吸気管に接続されたパージラインの途中に設けられ、センサに形成された所定体積の流路を、ガソリンなどが含まれる蒸発燃料ガスが通過するよう構成される。ガソリン蒸気の濃度が変化すると、媒質中を通過する超音波の速度が変化するので、この変化を超音波の受信器で検出し、信号を処理して、ガソリン濃度に対応した信号として出力するのである。通常は、送信器から出力された超音波が所定距離を伝搬して受信器に到達するまでの時間を検出して、ガソリン濃度を求めている。こうしたセンサを示す文献としては、例えば以下の特許文献1がある。
【特許文献1】
特開2000−241398号公報
【0003】
こうしたガスセンサでは、超音波の送信を行なう側では、駆動信号により圧電素子を駆動して超音波振動を発生させ、受信を行なう側では、圧電素子により、超音波を電気的な信号に変換している。電気的な信号と機械的な歪みとの間の変換を行なう圧電素子は、素子の対向する両面に設けられた電極間に電圧を印加すると、歪んで機械的な変形を生じ、機械的な力を受けると、電極間に電圧(電荷)が現われる、という性質を持っている。特に気体中を伝搬してくる超音波によって電気的な信号を発生する素子では、わずかな振動エネルギに基づいて、電気的な信号を取り出すため、電極間のインピーダンスは高いのが一般的である。インピーダンスZが低いと、測定用の所定の電圧Vを得るのに、高いエネルギEが必要となるからである。
【0004】
気体の濃度などを測定する測定装置では、こうした素子の電極にリード線を接続してセンサの外部に信号線を引き出しており、これを更に駆動用回路や検出用回路に接続している。駆動回路は、超音波振動に対応した信号を出力して圧電素子を駆動し、超音波を出力させている。また、検出用回路は、圧電素子から出力される電圧信号を増幅器で増幅し、種々の処理に供している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる圧電および/または電歪効果を利用したセンサでは、圧電素子のインピーダンス(抵抗)が高いため、様々な不具合を生じることがあった。その主要なものとして、温度変化によって圧電素子に電荷が発生する焦電効果による不具合が挙げられる。
【0006】
自動車に搭載されるガス濃度センサは急激な温度変化に曝されることが多く、また、圧電素子自体のインピーダンスが高いため、例えば外部の電気回路との接続を行なっているリード線などが断線した場合、焦電効果により生じた電荷によって圧電素子の電極間で放電が生じる畏れが存在した。
【0007】
この点を詳しく説明すると、通常、圧電素子の各電極にはリード線を介して駆動回路や検出用回路が接続されているから、電極間のインピーダンスはさほど高くならない。従って、焦電効果により、電極間に電荷が生じても、電極間に現われる電圧はさほど高いものにはならない。しかし、振動その他の理由でリード線が断線などすると、電極間のインピーダンスはきわめて高くなるから、電極間で放電現象が起き、火花を生じる畏れがあった。
【0008】
火花の発生は、他の機器に対するノイズ源になり、好ましくなかった。特に、測定対象の気体として可燃性ガスを想定すると、火花の発生は許容できないから、測定対象の気体が存在する流路と圧電素子の存在する空間とを、確実にかつ気密に分離する設計が必要となる。このため、安全性に要する設計上、製造上の手間が増大し、またセンサとしての取り扱いも簡便さを欠くことがあるという問題があった。
【0009】
本発明は、こうした問題を解決し、圧電効果や電歪効果を生じる圧電素子における放電の発生を防止し、製造工程や製造コストを簡略化することが可能なガスセンサおよびこれを用いた測定装置を提供することを、その目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一部を解決する本発明のセンサは、
圧電素子の圧電および/または電歪効果を利用して、気体の性質を測定するセンサであって、
前記圧電素子の二つの面のそれぞれに独立の電極を形成し、
該独立の両電極間のインピーダンスを所定値以上としたまま、該両電極間での放電を防止する放電防止部材を設けたこと
を要旨としている。
【0011】
かかるセンサでは、電極間の放電を防止する放電防止部材が設けられている。このため、両電極間での放電は防止され、放電に伴うノイズの発生などの問題を生じることがない。なお、圧電素子に設けられた二つの電極間のインピーダンスは所定値以上に保たれているので、センサとしての測定には影響がない。また、放電による火花の発生を想定した厳格な気密構造を採用する必要がなく、装置構成を簡略にすることができる。更に、圧電素子の電極間に電荷が発生すると、測定を行っている電気回路に対してはノイズとして測定精度に影響を与える畏れがあった。これに対し、本発明では、放電防止部材を設けることにより、電極に発生した電荷を直ちに除去することができるので、測定精度に与える影響を低減することができる。
【0012】
こうした放電防止部材としては、抵抗値が100KΩ以上10MΩ以下の抵抗体を用いることができる。圧電素子の電極間のインピーダンスが大きいと、外部からのノイズが信号ラインに重畳しやすくなり、気体の性質を測定する上で、誤差を生じることがある。これに対し、本発明では、圧電素子のインピーダンスを所定の範囲とすることで、ノイズが信号ラインに重畳することを低減することができ、測定精度の向上を図ることができる。抵抗体は、圧電素子の表面に、厚膜印刷により形成することができる。厚膜印刷による抵抗体としては、酸化ルテニウム、炭素、タングステンなど、種々の材料を用いることができる。もとより、こうした抵抗値を有した抵抗器を電極間に接続してもよい。抵抗体は、電極が圧電素子の対向する二つの面に形成される場合には、二つの面に隣接する側面に形成することができる。
【0013】
なお、電極が形成される二つの面のうちの一方の面に、他方の面の電極と電気的に接続された接続用ランドを設け、抵抗体を、この接続用ランドが設けられた面における電極と接続用ランドとの間に形成することも可能である。
【0014】
センサとしての形状は特に問わないが、圧電素子は、所定形状のケースに収納して用いることが通常である。この場合、ケースの一端に、測定対象の気体に対してケース内を気密に保つフィルムを張設し、更にケース内に、圧電素子を、フィルムを介して振動の伝達が可能なように配置すれば、圧電素子と外部とを隔離することができる。圧電素子における放電の畏れは、放電防止部材を設けたことで解消されているが、測定対象の気体によっては、ケース内の部品に腐食その他の影響を及ぼすことが考えられるので、ケースの内部と外部とをフィルムにより隔離しておくことは望ましい。また、フィルムによって隔離しているので、圧電素子からの振動を外部に導いたり、外部の振動をケース内の圧電素子に伝えることは容易である。
【0015】
測定対象の気体は、可燃性ガス、不燃性ガスを問わないが、特に上記の構造を採用すれば、可燃性ガスの測定に関し、その安全性を十分高くすることができる。また、測定する気体の性質としては、気体に含まれる所定成分の濃度や湿度、温度など種々の物理的特性を想定することができる。
【0016】
本発明の測定装置は、
気体の性質の測定結果を電気的な信号として出力する測定装置であって、
上述したいずれかの構成を備えたセンサと、
該センサの前記圧電素子の前記電極に電気的に接続され、外部からの振動を受けて前記圧電素子から発生する電気信号を入力する入力回路と
を備えたことを要旨としている。
【0017】
かかる測定装置では、センサの電極間のインピーダンスは所定値以上に保たれているのでセンサとしての測定には影響がなく、かつ電極間の放電を防止する放電防止部材が設けられているので、両電極間での放電は防止され、放電に伴うノイズの発生などの影響を受けることなく、入力回路は、圧電素子からの信号を処理することができる。また、放電による火花の発生を想定した厳格な気密構造を採用する必要がなく、装置構成を簡略にすることができる。
【0018】
こうした測定装置としては、センサの圧電素子を振動させる駆動回路を備え、これをセンサの圧電素子に接続して、一つの圧電素子を音波の発生と検出の両方に用いることも可能である。かかる構成を採用すれば、音波の発生と検出を別々の素子で行なう必要がなく、測定装置の構成を簡略化することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例としてのセンサを構成する圧電素子51の構造を示す斜視図、図2はこの圧電素子51を用いたガス濃度測定装置10の分解斜視図である。このガス濃度測定装置10は、圧電素子51を用いて送信する超音波の伝搬速度がガス濃度により変化することを利用してガソリン蒸気の濃度を測定するものである。この装置は、例えば内燃機関を動力源とする車両に搭載されたキャニスタから吸気通路にガソリンをパージする通路に配置されて、パージされるガソリン濃度を検出する目的などに用いられる。
【0020】
(A)圧電素子51の構造:
まず、ガス濃度測定装置10に内蔵されたセンサとしての検出用素子本体40に収納された圧電素子51の構造について説明する。圧電素子51は、図1に示したように、円柱形に形成されており、その軸方向上下面には電極が形成されている。圧電素子51は、この電極間に電圧を印加した際、軸方向に強い歪曲が生じるように、格子の方向を整えて切り出されている。こうした圧電素子51としては、圧電セラミックス(ピエゾ)や水晶などの結晶体などを適宜用いることができる。もとより圧電素子51は、圧電効果も奏するから、軸方向に圧力が加わると、電極間には電圧が発生する。一般に圧電素子51自体のインピーダンスは数十MΩ以上と高いから、電極間には、加えられた圧力によって高電圧が発生する。
【0021】
すなわち、圧電素子51は、電歪効果と圧電効果を共に示すので、これを利用して、本実施例では、超音波を後述する測定室28内に送出する送信器として働かせるだけでなく、超音波振動を受信して電気信号を出力する受信器としても働かせている。もとより、送信用の素子と受信用の素子とを別々に設けて、ガスセンサを作ることも可能である。
【0022】
図1に示すように、圧電素子51の上面,下面には、それぞれ、正の電極(以下、正電極という)51a,負の電極(以下、負電極という)51bが蒸着により形成されている。正電極51a,負電極51bは蒸着以外の他の手法によって形成してもよく、例えば、スパッタリングや金属の薄板の貼付、あるいは厚膜印刷により形成してもよい。
【0023】
圧電素子の上面に形成された正電極51aは、図示するように、上面全体を覆っているのではなく、一部が切り欠かれた形状をしている。この切り欠かれた部分には、接続用ランド51cが、正電極51aとは所定の離間距離だけ隔てて形成されている。この接続用ランド51cは、圧電素子51の下面に形成された負電極51bと、圧電素子51の側面に蒸着などにより形成された連通部51dを介して電気的に接続されている。接続用ランド51cは、負電極51bの入出力を取り出す部位であり、リード線54bの片端が、はんだ付けまたはロウ付けされている。正電極51aにも、もう一つのリード線54aの片端が同様に接続されている。この2本のリード線54a,54bは、圧電素子51と外部の電気回路との接続に用いられているが、その詳細は、後述する。
【0024】
圧電素子51の側面には、接続用ランド51cと負電極51bとを接続する連通部51dと平行に放電防止部材である抵抗器57が形成されている。この抵抗器57は、高い比抵抗を有する酸化ルテニウム(RuO2 )の厚膜印刷により形成されたものである。もとより、厚膜印刷以外の手法、例えば蒸着、スパッタリングその他の方法により形成することもできる。抵抗器57は、正電極51aと負電極51bとを接続している。このため、圧電素子51自体は、数十MΩ以上の高いインピーダンスを有するものの、両電極間に並列に接続された抵抗器57により、外側からみた圧電素子51のインピーダンスは、少なくとも抵抗器57の抵抗値以下となる。本実施例では、抵抗器57の長さは圧電素子51の厚みにより規定されているので、その幅を調整することにより、約1MΩ程度の抵抗値としている。なお、抵抗値は、接続する電気回路の特性などを勘案して、100KΩないし10MΩの範囲内の適正値に調整すればよい。また、本実施例では、抵抗器57は、圧電素子51の側面に設けたが、圧電素子51の上面の正電極51aと接続用ランド51cとの間に、蒸着などの手法により形成しても良い。また、外付けの抵抗器を正電極51aと接続用ランド51cとの間に、はんだ付けなどしても良い。
【0025】
以上説明したように、本実施例の圧電素子51では、抵抗器57を側面に設けて正電極51aと負電極51bとの間のインピーダンスを約1MΩに調整している。従って、仮にリード線54a,54bなどが断線するといった不具合が生じて、圧電素子51と外部の電気回路との接続が失われても、圧電素子51のインピーダンスが素子それ自身の固有のインピーダンスとなることはない。このため、外部から超音波振動などの力が加わることにより、あるいは温度変化による焦電効果により、圧電素子51に電荷が生じても、圧電素子51の正電極51a−負電極51b間に高電圧が発生することがない。従って、両電極間に放電が生じることもない。しかも、抵抗器57の抵抗値は1MΩ程度なので、外部の電気回路から見て十分高いインピーダンスを維持しており、電気回路側に与える影響も小さい。なお、外部の電気回路その他については、後で詳しく説明する。
【0026】
(B)ガス濃度測定装置10の全体構成:
以上説明した圧電素子51を用いたガス濃度測定装置10は、図2に示したように、大きくは、濃度を検出しようとするガスが通過する流路を形成する流路形成部材20と、この流路形成部材20に一体に作り込まれた収納部22に収納される検出用素子本体40、流路を通過するガスの温度を検出するサーミスタ60、検出用素子本体40の上部に配置される電子回路基板70、収納部22にはめ込まれる金属製のケース80から構成されている。検出用素子本体40は、収納部22に設けられた取り付け用凹部24に超音波溶着により固定されており、サーミスタ60は、取り付け用の挿入孔25に挿入・固定されている。後述するように、検出用素子本体40やサーミスタ60は、電気的な信号をやり取りするための端子を有し、この端子は、電子回路基板70の対応する取り付け穴に挿入され、はんだ付けにより固定される。ガス濃度測定装置10は、これら検出用素子本体40やサーミスタ60を収納部22に固定した後、信号処理を行なう基板である電子回路基板70を取り付け、更にケース80を収納部22にはめ込み、その上で、全体をウレタンなどの樹脂によりモールドして製造されている。なお、ガス濃度測定装置10の製造工程については、(H)で詳述する。
【0027】
(C)流路形成部材20の構成:
ガス濃度測定装置10の流路形成部材20は、ガラスフィラ入りの合成樹脂を成形したものであり、その引張り弾性率は、ガスセンサとして適切な値に調整されている。この流路形成部材20は、図2に示したように、上部に検出用素子本体40を収納する収納部22を備え、その下部に、検出用のガスが流通する流路を有する。主な流路としては、ガス濃度測定装置10にガソリン蒸気が含まれるガスを導入する導入路27,このガスにおけるガソリン濃度を超音波により検出するための測定室28,測定室28に対してガスをバイパスするバイパス流路29が形成されている。測定室28は、検出用素子本体40のほぼ直下に、バイパス流路29は、サーミスタ60のほぼ直下に、それぞれ設けられている。
【0028】
こうした流路構造を詳しく説明するために、ガス濃度測定装置10の垂直断面を図3に示す。図3は、ガス濃度測定装置10を、導入路27および検出用素子本体40の軸線を含む平面で切断した断面図である。なお、ガス濃度測定装置10は最終的には樹脂(例えばウレタン)が充填されてモールドされるが、図3では、図示の簡明さを図って、全体をモールドする樹脂は描いていない。図3に示したように、流路形成部材20の内部は、流路に着目すれば、導入路27、測定室28、バイパス流路29に分かれている。これらは、成形時の型を可動可能に設けることにより容易に成形することができる。導入路27はバイパス流路29に直角に連通しており、更に導入孔32を介して測定室28とも連通している。バイパス流路29の下方は出口34が形成されており、導入路27から導入されたガソリン蒸気を含むガスは、出口34から排出され、この実施例では、内燃機関の吸気通路に図示しないホースにより接続されている。バイパス流路29の出口34と反対側の端部は、サーミスタ60が取り付けられる挿入孔25として形成される。従って、サーミスタ60は、導入路27から流入したガスの温度に所定の関係を持って、これを検出することになる。
【0029】
測定室28は、上部が検出用素子本体40が取り付けられる凹部24に連通しており、その下方には、超音波を反射するための反射部33が形成されている。この反射部33の働きについては、後述するが、測定室28の底部からは、所定距離(本実施例では数ミリ)持ち上げられた構造となっており、この反射部33の周囲の空隙は、そのまま測定室28の底部に連通する排出流路35を介してバイパス流路29につながっている。このため、導入路27から導入孔32を通って流入したガスは、測定室28の内部に充満し、所定の割合で、排出流路35からバイパス流路29に出ていく。なお、排出流路35は、測定室28の底部に設けられていることから、測定室28内の水蒸気やガソリン蒸気などが結露して液化した場合、これらの水滴・油滴を排出するドレインとしても働く。反射部33の周囲の溝に溜まった液体が排出されやすいように、反射部33の周辺外形は、排出流路35に向けて傾斜されている。
【0030】
流路形成部材20の上部に形成された収納部22には、上述したように、測定室28に連通する開口を有する取り付け用凹部24や、サーミスタ取り付け用の挿入孔25などが形成されているが、この収納部22に相当する場所には、金属板36がインサート成形されている。この金属板36は、収納部22の底面形状にほぼ倣う形状をしている。金属板36には、電気的な接続を取るための切り起こし部83が設けられている。切り起こし部83は、インサート成形された後、図2に示したように、収納部22の内側に立設された状態となり、電子回路基板70を取り付ける際、基板上の取付孔72に挿入される。取付孔72には、接地ラインに接続されたランドが用意されており、切り起こし部83は、このランドにはんだ付けされる。
【0031】
収納部22の内側の4つの隅部のうち、切り起こし部83に隣接する1カ所には、電子回路基板70を載置する支持台を兼ねて、端子用凸部が設けられている。この外側には、電気信号をやりとりするためのコネクタ31が形成されており、コネクタ31を形成する端子は、収納部22の外壁をこの部分で貫通している。コネクタ31には、入り口側で3本の端子が用意されており、3本の端子の両側の2本が、外部からこのガス濃度測定装置10に電源を供給する電源ライン(グランドと直流電圧)に接続された端子GNDおよび端子Vccであり、中心がガス濃度測定装置10からの信号出力線に接続された端子SGNLとなっている(図6参照)。このコネクタ31のこれらの端子は、収納部22側では、4本となっている。これは、グランド(接地)ライン用の端子GNDが途中で二股に分かれた形状をしているからである。二股に分かれた端子のひとつ(図6における端子GND1)は、電子回路基板70に接続・はんだ付けされており、もう一つ(図6における端子GND2)は、上方に延出されており、ケース80を組み付けるとき、このケース80の対応する位置に用意された挿入孔85(図2参照)に挿入される。挿入後、端子は、ケース80にはんだ付けまたはロウ付けされる。この結果、ケース80全体が接地ラインに電気的に結合されていることになる。収納部22の隅部のうち、残りの2カ所には、電子回路基板70を載置する目的で、図示しない支持台が形成されている。
【0032】
(D)検出用素子本体40の構造:
検出用素子本体40の構造を、図4の断面図に示した。この検出用素子本体40は、図2に示したように、組立後は円盤形状となるが、これはフランジ部41を有する合成樹脂製の素子ケース42の内部に、既述した圧電素子51などを収納したのち、ウレタンを内部に充填しているからである。素子ケース42のフランジ部41は、収納部22に設けられた取り付け用凹部24より大径に形成されており、フランジ部41の下部の収容部43は、凹部24より小径に形成されている。この素子ケース42単体の状態では、収容部43の下面は開口されており、その端面45の外側縁部には、段差部46が形成されている。製造時には、この段差部46の内側に、耐ガソリン性のある材料を用いた円形の保護フィルム48が接着される。
【0033】
保護フィルム48の中心には、円柱形状の音響整合板50が接着・固定されており、この音響整合板50の上面には超音波素子である圧電素子51が接着・固定されている。音響整合板50は、圧電素子51の振動を、保護フィルム48を介して効率よく、空気中に(本実施例では測定室28へ)送出するために設けられている。音波や超音波は、媒質の密度の差が存在する場所で反射し易いので、圧電素子51を直接保護フィルム48に接着するのではなく、音響整合板50を介して接合することにより、圧電素子51の振動を効率よく超音波として測定室28内に送出することができる。本実施例では、音響整合板50として、多数の小さなガラス玉をエポキシ系樹脂で固めたものを用いた。また、これらの音響整合板50と圧電素子51とを取り囲むように、筒体52が配置されている。この筒体52は、ポリエチレンテレフタレートフィルム52aに銅箔52cを接着層52bを介して貼り合わされたものであり、銅箔52c側を内側にして円筒形に巻き、端面を重ねて貼り合わせたものである。この筒体52の内径は、音響整合板50の外径と略一致しているので、筒体52は、音響整合板50の外周に密着している。両者は接着されていない。
【0034】
圧電素子51の外径は、音響整合板50の外径より小さくされている。従って、これを囲繞する筒体52の内面と、圧電素子51の側面との間には、間隙が形成されることになる。筒体52と音響整合板50および圧電素子51との関係を図5に示した。図5は、音響整合板50,圧電素子51,筒体52の関係を示す分解斜視図である。図示するように、筒体52には、12個の開口53が設けられている。この開口53は、圧電素子51の軸方向に沿って上方に偏位した位置に設けられている。従って、組立後には、筒体52の開口53は、音響整合板50の外周ではなく、圧電素子51の外周に対応した位置に存在することになる。なお、図5では、理解の便を図って、筒体52を形成する各層52a,52b,52cについては、一体に描いてある。
【0035】
素子ケース42は、図4に示したように、断面が略逆「L」字形状をしており、その内周面は、鉛直面に対して所定の角度(本実施例では約11度)の傾きでテーパが付けられている。従って、収容部43の外壁に相当する部分は、下部、即ち保護フィルム48に近づくにつれて厚みを増す。この結果、素子ケース42の収容部43は、フランジ部41との付け根の付近で外壁の厚みが薄く、可撓性に富み、その下端では、保護フィルム48を貼付する十分な面積を用意している。この素子ケース42は、ほぼ円筒形に形成されているものの、端子55a,55bが埋設されている箇所だけ、内側に突出した形状を有する。この突出部56a,56bには端子55a,55bがインサート成形されている。この端子55a,55bは、「L」字形状に曲っており、その下端は、収容部43の内面に突出している。この下端に、圧電素子51の正電極51aからのリード線54aおよび負電極51b用の接続用ランド51cからのリード線54bがはんだ付けされる。こうして圧電素子51のリード線54a,54bの取付を終えてから、素子ケース42の内部にはウレタンが充填される。なお、端子55a,55bの上端は、素子ケース42の上面から上方に突出している。この端子は、電子回路基板70が、その上部に取り付けられる際、電子回路基板70の対応する取り付け孔に挿入され、その場所に用意されたランドにはんだ付けされる。
【0036】
素子ケース42は、フランジ部41の下面略中央に、溶着用の突起59を円周状に備えている。この突起59は、超音波溶着時に溶融して、フランジ部41を、収納部22にしっかりと固着する。
【0037】
(E)電子回路基板70とその回路およびガス濃度検出の手法:
次に、電子回路基板70の構造と、その取付について説明する。電子回路基板70は、ガラスエポキシ基板に予めエッチング等により回路パターンを形成したものであり、部品の取付位置にランドやスルーホールが設けられている。また、既に説明したように、検出用素子本体40やサーミスタ60、あるいはコネクタ31の端子、切り起こし部83などが取付られる部位には、それぞれの端子形状に合わせた大きさの取付孔が設けられ、その周囲をランドパターンが取り巻いている。従って、完成した電子回路基板70は、所定の位置に、信号処理用の各種部品、例えば信号処理用の集積回路(IC)や、抵抗器,コンデンサなどが取り付けられており、これを、検出用素子本体40やサーミスタ60の取付が完了した収納部22に装着し、はんだ付けを行なうことで、電気的な回路構成は完了する。ガス濃度測定装置10の製造としては、最終的には樹脂モールドを行なうが、この点は、後で製造方法の項で一括して説明する。
【0038】
各種端子を電子回路基板70にはんだ付けする際、コネクタ31の端子のうち、一番外側の端子(図6参照)GND2は、対応するランドが、電子回路基板70にはなく、端子GND2は、電子回路基板70に設けられた貫通孔を通過するだけになっている。端子GND2は、電子回路基板70に設けられた貫通孔を通過し、ケース80の挿入孔85に挿入され、ここで、ケース80にはんだ付け、またはロウ付けされる。
【0039】
こうして完成したガス濃度測定装置10の電気的な構成を、図6のブロック図に示す。図示するように、この電子回路基板70は、マイクロプロセッサ91を中心に構成されており、マイクロプロセッサ91に接続された各回路素子、即ち、デジタル−アナログコンバータ(D/Aコンバータ)92、ドライバ93、増幅器96が接続されたコンパレータ97等を備える。サーミスタ60は、直接マイクロプロセッサ91のアナログ入力ポートPAPに接続されている。また、ドライバ93と増幅器96は、検出用素子本体40に接続されている。
【0040】
検出用素子本体40に内蔵された圧電素子51とドライバ93および増幅器96との実際の接続を、図7に示した。図示するように、圧電素子51の負電極51b側は最終的には接地されており、正電極51aからの信号線は、ドライバ93の出力段に設けられたトライステートバッファ93aと、増幅器96に設けられたカップリングコンデンサ96aとに接続されている。ドライバ93のトライステートバッファ93aは、通常その出力をハイインピーダンス状態に保っており、ゲートGに入力されている制御信号がアクティブとなったときだけ、導通状態となる。従って、ゲートGに入力されている制御信号がアクティブとなっている間のみ、出力用アンプ93bの出力は、圧電素子51側に出力可能な状態となる。
【0041】
ドライバ93はマイクロプロセッサ91からの指令を受けて、所定時間、検出用素子本体40の圧電素子51を駆動する回路である。このドライバ93は、マイクロプロセッサ91からの指令を受けると、上述したトライステートバッファ93aのゲートGへの制御信号をアクティブとしてバッファ93aを出力可能な状態とし、出力用アンプ93bから、複数個の矩形波を圧電素子51へと出力する。ドライバ93が出力するこの矩形波の信号を受けると、圧電素子51は振動し、送信器として機能して、超音波を測定室28内に送出する。圧電素子51を駆動するこの矩形波を出力した後、トライステートバッファ93aのゲートGへの制御信号はインアクティブとなり、その出力は再びハイインピーダンス状態となる。
【0042】
測定室28内に送出された超音波は、比較的高い指向性を保ったまま直進し、測定室28底部の反射部33に反射して戻ってくる。戻ってきた超音波が保護フィルム48に到達すると、保護フィルム48および音響整合板50を介して、圧電素子51にその振動は伝わり、圧電素子51は今度は受信器として機能して、振動に応じた電気信号を出力する。この様子を、図8に示した。図において、区間P1は、ドライバ93が信号を出力しており、圧電素子51が送信器として機能している期間を、区間P2は、反射部33で反射した超音波により振動が圧電素子51に伝わり、圧電素子51が受信器として機能している期間を、それぞれ示している。
【0043】
受信器として機能した際の圧電素子51の信号は、カップリングコンデンサ96aを介して増幅器96の入力用アンプ96bに入力されて増幅される(図7参照)。この増幅器96の出力は、コンパレータ97に入力されており、ここで予め用意された閾値Vref と比較される。閾値Vref は、ノイズなどの影響により増幅器96が出力する誤信号を弁別できるレベルである。誤信号としては、ノイズなどによるものの他、検出用素子本体40自身が持っている残響などの影響によるものがある。
【0044】
コンパレータ97は、増幅器96からの信号を閾値Vref と比較することにより、圧電素子51が受信した振動の大きさが所定以上になったときにその出力を反転する。このコンパレータ97の出力をマイクロプロセッサ91により監視し、圧電素子51からの最初の超音波の出力タイミング(図8タイミングt1)から、コンパレータ97の出力が反転するまで(図8タイミングt2)の時間Δtを計測することにより、超音波が測定室28内の反射部33までの距離Lを往復するのに要した時間を知ることができる。超音波が、ある媒質中を伝搬する速度Cは、次式(1)に従うことが知られている。
【0045】
【数1】
【0046】
この式(1)は、複数の成分が混在しているガスについて成り立つ一般式であり、変数nは、第n成分についてであることを示すサフィックスである。従って、Cpnは測定室28内に存在するガスの第n成分の定圧比熱、Cvnは測定室28のガスの第n成分の定積比熱、Mnは第n成分の分子量、Xnは第n成分の濃度比を表している。また、Rは気体定数、Tは測定室28内のガスの温度、である。ガスに関する比熱などは知られているので、伝搬速度Cは、測定室28内のガスの温度Tと濃度比Xnにより定まることになる。超音波の伝搬速度Cは、圧電素子51から反射部33までの距離Lを用いて、
C=2×L/Δt …(2)
と表せるから、Δtを計測すれば、濃度比Xn、即ち、ガソリン濃度を求めることができる。なお、本実施例では、ガソリン蒸気の濃度を検出したが、濃度が既知の場合には、温度Tや伝搬距離Lを求めるセンサとして用いることも可能である。
【0047】
マイクロプロセッサ91は、上記の式に従う演算を高速に行ない、求めたガソリン濃度に対応した信号をD/Aコンバータ92を介して出力する。この信号がコネクタ31の端子SGNLを介して外部に出力される。実施例では、この端子SGNLは、内燃機関の燃料噴射量を制御しているコンピュータ(ECU)に接続されており、ガソリン濃度に対応したその信号は、ECUによって読み込まれ、キャニスタからのガソリンのパージ量を勘案して、燃料噴射量を補正するといった処理に用いられる。
【0048】
(F)実施例の作用・効果:
以上説明した本実施例のガスセンサによれば、圧電素子51の正電極51aと負電極51bとの間に、放電防止部材として抵抗値約1MΩ程度の抵抗器57を形成・接続している。このため、ドライバ93のトライステートバッファ93aの出力がハイインピーダンス状態となっている場合でも、圧電素子51の出力インピーダンスは、約1MΩを上回ることがない。このため、焦電効果により、圧電素子51の正電極51a−負電極51b間に過大な電圧が発生して、電極間で放電を生じることがない。また、振動その他の不測の事由により、例えリード線54a,54bが切断した場合でも、圧電素子51自体のインピーダンスは約1MΩ以下に抑えられるので、同様に放電を生じることがない。この結果、放電によるノイズによって、ガス濃度検出の精度に影響を受けるということがなく、ガス濃度測定装置10の信頼性を高めることができる。
【0049】
本実施例のガス濃度測定装置10は、可燃性であるガソリン蒸気の濃度を測定している。ガス濃度測定装置10では、圧電素子51と測定室28との間がフィルム48で気密に隔てられているから、圧電素子51の電極間でよしんば放電が生じたとしても、測定対象である測定室28内のガソリン蒸気には何ら影響は与えない。ところが、例えばユーザによるガス濃度測定装置10の不慮の取り外しなどにより、フィルム48への慮外の損傷の付与などがなされた場合、測定室28内のガソリン蒸気が、検出用素子本体40内に侵入し滞留する可能性がゼロとは言えない。こうした場合でも、本実施例のガス濃度測定装置10では、圧電素子51の電極間で放電が生じることはなく、その安全性はきわめて高い。
【0050】
また、放電による火花の発生を想定した厳格な気密構造を採用する必要がなく、装置構成を簡略にすることができると共に、低コスト化が実現できる。更に、放電防止部材を設けることにより、電極に発生した電荷を直ちに除去することができるので、電極間に電荷が発生することによるノイズが測定精度に与える影響を低減することができる。また、圧電素子のインピーダンスが1MΩ程度の所定の範囲となっているので、外部からのノイズが信号ラインに重畳することを防止でき、測定精度の向上を図ることができる。
【0051】
なお、本実施例では、抵抗器57の抵抗値を約1MΩとしたが、抵抗値は10KΩないし10MΩの範囲にあれば良い。以下にこの根拠を示す。まず、抵抗器が形成されていない圧電素子に対し較正用の一定強度の超音波を入力し、その出力電圧(受信感度)が2ボルトになるよう調整した。その後、圧電素子に抵抗器を設け、その抵抗値を変えて出力電圧を測定した。その結果、図9に示すように、抵抗値が10KΩ以上であれば、圧電素子51の出力電圧は、±10[%]程度の範囲に入ることが分かった。この程度の範囲に入っていれば、超音波の伝搬時間の変化を利用したガス濃度の測定を十分な精度で行なうことができる。また、圧電素子51を短期間のうちに150℃に温度上昇させた時に、焦電効果により発生する電荷が抵抗器57においてどの程度消費されるかを測定した。抵抗器57の抵抗値を変化させて測定を行なった結果を図10に示した。10MΩ以下であれば、抵抗器57における消費電力は十分に高く、圧電素子における焦電効果を効率よく防止できることが分かった。このため、抵抗器57の抵抗値は、10KΩないし10MΩの範囲にあれば差し支えない。
【0052】
(G)変形例
本発明のその他の変形例について説明する。図11,図12は、圧電素子51の第1の変形例の形状を示す斜視図である。図11に示した変形例における圧電素子51は、上記実施例とほぼ同一の構成を有するが、抵抗器の形成箇所が異なっている。すなわち、この変形例では、抵抗器157は、正電極51aと負電極用の接続用ランド51cとの離間箇所に形成されている。比抵抗を適宜選択すれば、わずかな離間距離を利用して、所望の抵抗値とすることができる。また、図12に示した変形例では、抵抗器257は、圧電素子51とは別体に形成され、その両端が正電極51aと接続用ランド51cとの接続されている。かかる構成でも、圧電素子51の出力インピーダンスを所定の値に調整することで、接続された電気回路による測定に影響を与えることなく、電極間の放電といった現象を解消することができる。
【0053】
(H)ガスセンサの製造方法:
次に、本実施例におけるガス濃度測定装置10を製造する方法について、説明する。図13は、ガスセンサの製造工程を示す工程図である。図示するように、このガス濃度測定装置10を製造するに際しては、まず圧電素子を組み立てる作業を行なう(工程S100)。この工程は、所定形状に切り出した圧電素子51に電極51a,51b、接続用ランド51c、連通部51dを蒸着などの手法により形成し、更に、抵抗器57を、厚膜印刷により酸化ルテニウムの厚膜として形成する。その後、保護フィルム48を所定形状(実施例では円形)に切り出し、その中心に音響整合板50を接着する。更に、その上に、圧電素子51を中心を合わせて接着する。接着後、圧電素子51の電極51aと接続用ランド51cには、リード線54a,54bを、はんだ付けや放電溶接などの手法により接続する。
【0054】
他方、こうして得られた圧電素子組立を封入する素子ケース42を用意する(工程S110)。素子ケース42は、ガラスフィラー入りの合成樹脂を射出成形して製造する。もとより、削り出しなどの手法によっても良い。素子ケース42の内側に設けられた突出部56a,56bには、端子55a,55bが、インサート成形される。
【0055】
次に、検出用素子本体を組み立てる作業を行なう(工程S120)。この工程では、まず、工程S110で製造した素子ケース42に、工程S100で組み立てた圧電素子組立を組み付ける。素子ケース42の下方端面45の外周には、段差部46が設けられているので、端面45に保護フィルム48を位置決めして接着するのは容易である。この状態で、筒体52を、素子ケース42の開口側から挿入し、音響整合板50の外周に嵌め込む作業を行なう(工程S130)。作業に先立って、銅箔52cを接着層52bを介してポリエチレンテレフタレートフィルム52aに貼り合わせたものを、予め音響整合板50の外径に合わせた内径に巻き、筒体52として製造しておく。筒体52は、特に接着などはせず、音響整合板50に嵌め合わせただけである。
【0056】
この状態で、圧電素子51から延びる2本のリード線54a,54bを、端子55a,55bにはんだ付けなどの手法で接続する作業を行なう(工程S140)。以上の処理により、検出用素子本体40に必要に部品は全て組み付けられる。そこで、次に素子ケース42の開口側から、ウレタンを充填する処理を行なう(工程S150)。このとき、充填材であるウレタンは、圧電素子51およびその上端から引き出されたリード線54a,54bを覆い、かつフランジ部41の上辺までは達しない程度に充填される。
【0057】
以上説明した検出用素子本体40の製造とは別に、流路形成部材20の製作が行なわれる。この工程を工程S200以下に示した。流路形成部材20の製作に際しては、まず金属板をプレス加工して、インサート成形用の金属板36を成形する処理を行なう(工程S200)。本実施例で用いた金属板36では、略長方形の金属板(実施例では錫メッキ鋼板)をプレス加工することにより、その形状を一体形成している。
【0058】
次に、流路形成部材20を、その内部に金属板36を備えるようにインサート成形する処理を行なう(工程S210)。流路形成部材20は、ガラスフィラー入りの合成樹脂を用いて成形する。金属板36は、流路形成部材20の成形時に、治具などを用いて、形成後の収納部22の底部に埋設される位置に保持される。また、このとき同時に、コネクタ31に収納された端子も、インサート成形される。
【0059】
こうして流路形成部材20を製作した後、この流路形成部材20の収納部22に、既に製造しておいた検出用素子本体40を溶着する作業を行なう(工程S230)。溶着は、超音波溶着により行なう。これは検出用素子本体40を所定の治具に取り付けた上で、凹部24の中心に検出用素子本体40の中心を一致させた上で、この検出用素子本体40を超音波領域の振動数で振動させ、そのフランジ部41の下面を収納部22の接合面に強く打ちつける。フランジ部41の下面には、突起59が形成されているから、超音波振動による力は全てこの突起59に集中することになり、突起59は機械的なエネルギが集中することにより加熱され、やがて溶融する。この結果、検出用素子本体40は、フランジ部41下面で、流路形成部材20の収納部22の接合面に隙間なく溶着する。なお、溶着は、熱板溶着など、他の手法に拠っても良い。
【0060】
検出用素子本体40の取り付けと前後して、サーミスタ60を流路形成部材20の挿入孔25に取り付ける作業も行なう(工程S240)。その後、検出用素子本体40の上に緩衝材88を載置する(工程S250)。緩衝材88は、検出用素子本体40と略同一の外径に形成された発泡体であり、その厚さは数ミリである。この緩衝材88には、検出用素子本体40から上方に突き出た端子55a,55bが貫通する開口も設けられている。緩衝材88は、この後の工程で取り付けられる電子回路基板70と検出用素子本体40との間に介装され得る厚みを有し、後述する工程で充填されるウレタンが検出用素子本体40の周囲を埋め尽くさないようにする目的で用いられている。
【0061】
緩衝材88を配置した後、電子回路基板70上に用意された取り付け孔に、次の4つの部材を嵌め合わせつつ、基板70を、上方から、収納部22に収納する(工程S260)。即ち、
・金属板36から切り起こされて収納部22底部に立設している切り起こし部83、
・検出用素子本体40から突出した端子55a,55b、
・サーミスタ60の端子、
・コネクタ31の4本の端子、
の4つの部材を、電子回路基板70の所定の取付孔に嵌合する。このうちコネクタ31の端子31d以外を、電子回路基板70上の取付孔周囲に設けられたランドにはんだ付けする。
【0062】
次に、この収納部22にケース80を取り付ける作業を行なう(工程S270)。このとき、ケース80に設けられた挿入孔85に、コネクタ31の端子31dを貫通させ、その後、これをはんだ付けまたはロウ付けする。これでケース80の取付作業は完了する。その後、収納部22内に樹脂(本実施例ではウレタン)を充填する作業を行なう(工程S280)。ウレタンで検出用素子本体40や電子回路基板70をモールドするのである。その後、測定室28に濃度を他の検出装置で検出したガソリン蒸気を含むガスを導入し、ガス濃度測定装置10を動作させて、その出力を較正(キャリブレーション)する処理を行なう(工程S290)。ガス濃度測定装置10の較正は、この実施例では、検出結果から、ガス濃度測定装置10の出力と他の測定装置で検出済みのガソリン濃度との関係を示す較正曲線を求めて、これをマイクロプロセッサ91に内蔵したEEPROMに書き込むことで行なった。
【0063】
以上説明したガスセンサの製造方法によれば、検出用素子本体40の圧電素子51には、それ自体に抵抗器57が形成されることになり、リード線などを用いた接続工程は必要がない。従って、電極間のインピーダンスを抵抗器57により確実に所定範囲に調整することができる。使用中の振動その他の理由によりリード線が切断して、圧電素子51の両電極間のインピーダンスが高くなってしまうことも生じない。
【0064】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明のこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において、例えば超音波を用いた温度センサや比熱センサなどに適用することができる。また、超音波を出力するだけの送信器や超音波を受信するだけの受信器にも適用することができる。ガス濃度測定装置310として、超音波の送信器と受信器を分離したタイプを図14に示した。図示するように、この実施例では、上記実施例で説明した検出用素子本体40を送信用素子本体340と受信用素子本体440と二つ備える点以外は、上記の実施例と電気的な構成は同様である。この例では、超音波を反射する反射部33は必要なく、送信用素子本体340から出力された超音波は測定室328内に存在するガソリン蒸気内を伝搬して受信用素子本体440により受信される。かかるガス濃度測定装置310の送信用素子本体340や受信用素子本体440に用いられる圧電素子は、上述した実施例の圧電素子51と同一のものであり(図1参照)、電極間での放電の発生は、十分に防止されている。このため、放電によるノイズにより測定に影響を受けたり、その他放電現象に伴う不具合を被ることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例としての圧電素子51の構成を示す斜視図である。
【図2】実施例のガス濃度測定装置10の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】ガス濃度測定装置10の構造を示す断面図である。
【図4】検出用素子本体40の構造を示す断面図である。
【図5】音響整合板50,圧電素子51と筒体52の構造を示す分解斜視図である。
【図6】電子回路基板70の内部の電気的な構成を示す説明図である。
【図7】圧電素子51とドライバ93および増幅器96との接続を示す説明図である。
【図8】超音波を用いたガス濃度の検出の原理を説明する説明図である。
【図9】抵抗器57の抵抗値とセンサの受信感度との関係を示す説明図である。
【図10】抵抗器57の抵抗値と抵抗器に流れる電流との関係を示す説明図である。
【図11】変形例としての抵抗器157を備えた圧電素子51の構造を例示する斜視図である。
【図12】変形例としての抵抗器257を備えた圧電素子51の構造を例示する斜視図である。
【図13】検出用素子本体40を製造する処理を順に示す説明図である。
【図14】ガス濃度測定装置の他の構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
10,310…ガス濃度測定装置
20…流路形成部材
22…収納部
24…凹部
25…挿入孔
27…導入路
28,328…測定室
29…バイパス流路
31…コネクタ
32…導入孔
33…反射部
34…出口
35…排出流路
36…金属板
40…検出用素子本体
41…フランジ部
42…素子ケース
43…収容部
45…端面
46…段差部
48…フィルム
50…音響整合板
51…圧電素子
51a…正電極
51b…負電極
51c…接続用ランド
51d…連通部
52…筒体
52a…ポリエチレンテレフタレートフィルム
52b…接着層
52c…銅箔
53…開口
54a〜54d…リード線
55a〜55d…端子
56a,56b…突出部
57,157,257…抵抗器
59…突起
60…サーミスタ
70…電子回路基板
72…取付孔
80…ケース
83…切り起こし部
85…挿入孔
88…緩衝材
340…送信用素子本体
440…受信用素子本体
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体の性質を検出するセンサおよび測定装置に関し、詳しくは、圧電素子の圧電および/または電歪効果を利用して、気体の性質を測定するセンサおよびそのセンサを用いた測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から圧電および/または電歪効果を生じる圧電素子を検出用素子に用いて、流路に存在する気体の性質として、例えば特定成分の濃度や温度、あるいは湿度などを検出するガスセンサが知られている。こうしたガスセンサでは、検出用素子からの信号を電気的に処理して、気体の性質に対応した電気信号として出力する。ガスセンサの一例として、自動車など内燃機関を搭載した輸送機器に設けられ、超音波の伝搬速度の変化を利用してガソリンや軽油などの濃度を検出するガス濃度センサを取り上げる。こうしたガス濃度センサは、例えば自動車に搭載されたキャニスタから内燃機関の吸気管に接続されたパージラインの途中に設けられ、センサに形成された所定体積の流路を、ガソリンなどが含まれる蒸発燃料ガスが通過するよう構成される。ガソリン蒸気の濃度が変化すると、媒質中を通過する超音波の速度が変化するので、この変化を超音波の受信器で検出し、信号を処理して、ガソリン濃度に対応した信号として出力するのである。通常は、送信器から出力された超音波が所定距離を伝搬して受信器に到達するまでの時間を検出して、ガソリン濃度を求めている。こうしたセンサを示す文献としては、例えば以下の特許文献1がある。
【特許文献1】
特開2000−241398号公報
【0003】
こうしたガスセンサでは、超音波の送信を行なう側では、駆動信号により圧電素子を駆動して超音波振動を発生させ、受信を行なう側では、圧電素子により、超音波を電気的な信号に変換している。電気的な信号と機械的な歪みとの間の変換を行なう圧電素子は、素子の対向する両面に設けられた電極間に電圧を印加すると、歪んで機械的な変形を生じ、機械的な力を受けると、電極間に電圧(電荷)が現われる、という性質を持っている。特に気体中を伝搬してくる超音波によって電気的な信号を発生する素子では、わずかな振動エネルギに基づいて、電気的な信号を取り出すため、電極間のインピーダンスは高いのが一般的である。インピーダンスZが低いと、測定用の所定の電圧Vを得るのに、高いエネルギEが必要となるからである。
【0004】
気体の濃度などを測定する測定装置では、こうした素子の電極にリード線を接続してセンサの外部に信号線を引き出しており、これを更に駆動用回路や検出用回路に接続している。駆動回路は、超音波振動に対応した信号を出力して圧電素子を駆動し、超音波を出力させている。また、検出用回路は、圧電素子から出力される電圧信号を増幅器で増幅し、種々の処理に供している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる圧電および/または電歪効果を利用したセンサでは、圧電素子のインピーダンス(抵抗)が高いため、様々な不具合を生じることがあった。その主要なものとして、温度変化によって圧電素子に電荷が発生する焦電効果による不具合が挙げられる。
【0006】
自動車に搭載されるガス濃度センサは急激な温度変化に曝されることが多く、また、圧電素子自体のインピーダンスが高いため、例えば外部の電気回路との接続を行なっているリード線などが断線した場合、焦電効果により生じた電荷によって圧電素子の電極間で放電が生じる畏れが存在した。
【0007】
この点を詳しく説明すると、通常、圧電素子の各電極にはリード線を介して駆動回路や検出用回路が接続されているから、電極間のインピーダンスはさほど高くならない。従って、焦電効果により、電極間に電荷が生じても、電極間に現われる電圧はさほど高いものにはならない。しかし、振動その他の理由でリード線が断線などすると、電極間のインピーダンスはきわめて高くなるから、電極間で放電現象が起き、火花を生じる畏れがあった。
【0008】
火花の発生は、他の機器に対するノイズ源になり、好ましくなかった。特に、測定対象の気体として可燃性ガスを想定すると、火花の発生は許容できないから、測定対象の気体が存在する流路と圧電素子の存在する空間とを、確実にかつ気密に分離する設計が必要となる。このため、安全性に要する設計上、製造上の手間が増大し、またセンサとしての取り扱いも簡便さを欠くことがあるという問題があった。
【0009】
本発明は、こうした問題を解決し、圧電効果や電歪効果を生じる圧電素子における放電の発生を防止し、製造工程や製造コストを簡略化することが可能なガスセンサおよびこれを用いた測定装置を提供することを、その目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一部を解決する本発明のセンサは、
圧電素子の圧電および/または電歪効果を利用して、気体の性質を測定するセンサであって、
前記圧電素子の二つの面のそれぞれに独立の電極を形成し、
該独立の両電極間のインピーダンスを所定値以上としたまま、該両電極間での放電を防止する放電防止部材を設けたこと
を要旨としている。
【0011】
かかるセンサでは、電極間の放電を防止する放電防止部材が設けられている。このため、両電極間での放電は防止され、放電に伴うノイズの発生などの問題を生じることがない。なお、圧電素子に設けられた二つの電極間のインピーダンスは所定値以上に保たれているので、センサとしての測定には影響がない。また、放電による火花の発生を想定した厳格な気密構造を採用する必要がなく、装置構成を簡略にすることができる。更に、圧電素子の電極間に電荷が発生すると、測定を行っている電気回路に対してはノイズとして測定精度に影響を与える畏れがあった。これに対し、本発明では、放電防止部材を設けることにより、電極に発生した電荷を直ちに除去することができるので、測定精度に与える影響を低減することができる。
【0012】
こうした放電防止部材としては、抵抗値が100KΩ以上10MΩ以下の抵抗体を用いることができる。圧電素子の電極間のインピーダンスが大きいと、外部からのノイズが信号ラインに重畳しやすくなり、気体の性質を測定する上で、誤差を生じることがある。これに対し、本発明では、圧電素子のインピーダンスを所定の範囲とすることで、ノイズが信号ラインに重畳することを低減することができ、測定精度の向上を図ることができる。抵抗体は、圧電素子の表面に、厚膜印刷により形成することができる。厚膜印刷による抵抗体としては、酸化ルテニウム、炭素、タングステンなど、種々の材料を用いることができる。もとより、こうした抵抗値を有した抵抗器を電極間に接続してもよい。抵抗体は、電極が圧電素子の対向する二つの面に形成される場合には、二つの面に隣接する側面に形成することができる。
【0013】
なお、電極が形成される二つの面のうちの一方の面に、他方の面の電極と電気的に接続された接続用ランドを設け、抵抗体を、この接続用ランドが設けられた面における電極と接続用ランドとの間に形成することも可能である。
【0014】
センサとしての形状は特に問わないが、圧電素子は、所定形状のケースに収納して用いることが通常である。この場合、ケースの一端に、測定対象の気体に対してケース内を気密に保つフィルムを張設し、更にケース内に、圧電素子を、フィルムを介して振動の伝達が可能なように配置すれば、圧電素子と外部とを隔離することができる。圧電素子における放電の畏れは、放電防止部材を設けたことで解消されているが、測定対象の気体によっては、ケース内の部品に腐食その他の影響を及ぼすことが考えられるので、ケースの内部と外部とをフィルムにより隔離しておくことは望ましい。また、フィルムによって隔離しているので、圧電素子からの振動を外部に導いたり、外部の振動をケース内の圧電素子に伝えることは容易である。
【0015】
測定対象の気体は、可燃性ガス、不燃性ガスを問わないが、特に上記の構造を採用すれば、可燃性ガスの測定に関し、その安全性を十分高くすることができる。また、測定する気体の性質としては、気体に含まれる所定成分の濃度や湿度、温度など種々の物理的特性を想定することができる。
【0016】
本発明の測定装置は、
気体の性質の測定結果を電気的な信号として出力する測定装置であって、
上述したいずれかの構成を備えたセンサと、
該センサの前記圧電素子の前記電極に電気的に接続され、外部からの振動を受けて前記圧電素子から発生する電気信号を入力する入力回路と
を備えたことを要旨としている。
【0017】
かかる測定装置では、センサの電極間のインピーダンスは所定値以上に保たれているのでセンサとしての測定には影響がなく、かつ電極間の放電を防止する放電防止部材が設けられているので、両電極間での放電は防止され、放電に伴うノイズの発生などの影響を受けることなく、入力回路は、圧電素子からの信号を処理することができる。また、放電による火花の発生を想定した厳格な気密構造を採用する必要がなく、装置構成を簡略にすることができる。
【0018】
こうした測定装置としては、センサの圧電素子を振動させる駆動回路を備え、これをセンサの圧電素子に接続して、一つの圧電素子を音波の発生と検出の両方に用いることも可能である。かかる構成を採用すれば、音波の発生と検出を別々の素子で行なう必要がなく、測定装置の構成を簡略化することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例としてのセンサを構成する圧電素子51の構造を示す斜視図、図2はこの圧電素子51を用いたガス濃度測定装置10の分解斜視図である。このガス濃度測定装置10は、圧電素子51を用いて送信する超音波の伝搬速度がガス濃度により変化することを利用してガソリン蒸気の濃度を測定するものである。この装置は、例えば内燃機関を動力源とする車両に搭載されたキャニスタから吸気通路にガソリンをパージする通路に配置されて、パージされるガソリン濃度を検出する目的などに用いられる。
【0020】
(A)圧電素子51の構造:
まず、ガス濃度測定装置10に内蔵されたセンサとしての検出用素子本体40に収納された圧電素子51の構造について説明する。圧電素子51は、図1に示したように、円柱形に形成されており、その軸方向上下面には電極が形成されている。圧電素子51は、この電極間に電圧を印加した際、軸方向に強い歪曲が生じるように、格子の方向を整えて切り出されている。こうした圧電素子51としては、圧電セラミックス(ピエゾ)や水晶などの結晶体などを適宜用いることができる。もとより圧電素子51は、圧電効果も奏するから、軸方向に圧力が加わると、電極間には電圧が発生する。一般に圧電素子51自体のインピーダンスは数十MΩ以上と高いから、電極間には、加えられた圧力によって高電圧が発生する。
【0021】
すなわち、圧電素子51は、電歪効果と圧電効果を共に示すので、これを利用して、本実施例では、超音波を後述する測定室28内に送出する送信器として働かせるだけでなく、超音波振動を受信して電気信号を出力する受信器としても働かせている。もとより、送信用の素子と受信用の素子とを別々に設けて、ガスセンサを作ることも可能である。
【0022】
図1に示すように、圧電素子51の上面,下面には、それぞれ、正の電極(以下、正電極という)51a,負の電極(以下、負電極という)51bが蒸着により形成されている。正電極51a,負電極51bは蒸着以外の他の手法によって形成してもよく、例えば、スパッタリングや金属の薄板の貼付、あるいは厚膜印刷により形成してもよい。
【0023】
圧電素子の上面に形成された正電極51aは、図示するように、上面全体を覆っているのではなく、一部が切り欠かれた形状をしている。この切り欠かれた部分には、接続用ランド51cが、正電極51aとは所定の離間距離だけ隔てて形成されている。この接続用ランド51cは、圧電素子51の下面に形成された負電極51bと、圧電素子51の側面に蒸着などにより形成された連通部51dを介して電気的に接続されている。接続用ランド51cは、負電極51bの入出力を取り出す部位であり、リード線54bの片端が、はんだ付けまたはロウ付けされている。正電極51aにも、もう一つのリード線54aの片端が同様に接続されている。この2本のリード線54a,54bは、圧電素子51と外部の電気回路との接続に用いられているが、その詳細は、後述する。
【0024】
圧電素子51の側面には、接続用ランド51cと負電極51bとを接続する連通部51dと平行に放電防止部材である抵抗器57が形成されている。この抵抗器57は、高い比抵抗を有する酸化ルテニウム(RuO2 )の厚膜印刷により形成されたものである。もとより、厚膜印刷以外の手法、例えば蒸着、スパッタリングその他の方法により形成することもできる。抵抗器57は、正電極51aと負電極51bとを接続している。このため、圧電素子51自体は、数十MΩ以上の高いインピーダンスを有するものの、両電極間に並列に接続された抵抗器57により、外側からみた圧電素子51のインピーダンスは、少なくとも抵抗器57の抵抗値以下となる。本実施例では、抵抗器57の長さは圧電素子51の厚みにより規定されているので、その幅を調整することにより、約1MΩ程度の抵抗値としている。なお、抵抗値は、接続する電気回路の特性などを勘案して、100KΩないし10MΩの範囲内の適正値に調整すればよい。また、本実施例では、抵抗器57は、圧電素子51の側面に設けたが、圧電素子51の上面の正電極51aと接続用ランド51cとの間に、蒸着などの手法により形成しても良い。また、外付けの抵抗器を正電極51aと接続用ランド51cとの間に、はんだ付けなどしても良い。
【0025】
以上説明したように、本実施例の圧電素子51では、抵抗器57を側面に設けて正電極51aと負電極51bとの間のインピーダンスを約1MΩに調整している。従って、仮にリード線54a,54bなどが断線するといった不具合が生じて、圧電素子51と外部の電気回路との接続が失われても、圧電素子51のインピーダンスが素子それ自身の固有のインピーダンスとなることはない。このため、外部から超音波振動などの力が加わることにより、あるいは温度変化による焦電効果により、圧電素子51に電荷が生じても、圧電素子51の正電極51a−負電極51b間に高電圧が発生することがない。従って、両電極間に放電が生じることもない。しかも、抵抗器57の抵抗値は1MΩ程度なので、外部の電気回路から見て十分高いインピーダンスを維持しており、電気回路側に与える影響も小さい。なお、外部の電気回路その他については、後で詳しく説明する。
【0026】
(B)ガス濃度測定装置10の全体構成:
以上説明した圧電素子51を用いたガス濃度測定装置10は、図2に示したように、大きくは、濃度を検出しようとするガスが通過する流路を形成する流路形成部材20と、この流路形成部材20に一体に作り込まれた収納部22に収納される検出用素子本体40、流路を通過するガスの温度を検出するサーミスタ60、検出用素子本体40の上部に配置される電子回路基板70、収納部22にはめ込まれる金属製のケース80から構成されている。検出用素子本体40は、収納部22に設けられた取り付け用凹部24に超音波溶着により固定されており、サーミスタ60は、取り付け用の挿入孔25に挿入・固定されている。後述するように、検出用素子本体40やサーミスタ60は、電気的な信号をやり取りするための端子を有し、この端子は、電子回路基板70の対応する取り付け穴に挿入され、はんだ付けにより固定される。ガス濃度測定装置10は、これら検出用素子本体40やサーミスタ60を収納部22に固定した後、信号処理を行なう基板である電子回路基板70を取り付け、更にケース80を収納部22にはめ込み、その上で、全体をウレタンなどの樹脂によりモールドして製造されている。なお、ガス濃度測定装置10の製造工程については、(H)で詳述する。
【0027】
(C)流路形成部材20の構成:
ガス濃度測定装置10の流路形成部材20は、ガラスフィラ入りの合成樹脂を成形したものであり、その引張り弾性率は、ガスセンサとして適切な値に調整されている。この流路形成部材20は、図2に示したように、上部に検出用素子本体40を収納する収納部22を備え、その下部に、検出用のガスが流通する流路を有する。主な流路としては、ガス濃度測定装置10にガソリン蒸気が含まれるガスを導入する導入路27,このガスにおけるガソリン濃度を超音波により検出するための測定室28,測定室28に対してガスをバイパスするバイパス流路29が形成されている。測定室28は、検出用素子本体40のほぼ直下に、バイパス流路29は、サーミスタ60のほぼ直下に、それぞれ設けられている。
【0028】
こうした流路構造を詳しく説明するために、ガス濃度測定装置10の垂直断面を図3に示す。図3は、ガス濃度測定装置10を、導入路27および検出用素子本体40の軸線を含む平面で切断した断面図である。なお、ガス濃度測定装置10は最終的には樹脂(例えばウレタン)が充填されてモールドされるが、図3では、図示の簡明さを図って、全体をモールドする樹脂は描いていない。図3に示したように、流路形成部材20の内部は、流路に着目すれば、導入路27、測定室28、バイパス流路29に分かれている。これらは、成形時の型を可動可能に設けることにより容易に成形することができる。導入路27はバイパス流路29に直角に連通しており、更に導入孔32を介して測定室28とも連通している。バイパス流路29の下方は出口34が形成されており、導入路27から導入されたガソリン蒸気を含むガスは、出口34から排出され、この実施例では、内燃機関の吸気通路に図示しないホースにより接続されている。バイパス流路29の出口34と反対側の端部は、サーミスタ60が取り付けられる挿入孔25として形成される。従って、サーミスタ60は、導入路27から流入したガスの温度に所定の関係を持って、これを検出することになる。
【0029】
測定室28は、上部が検出用素子本体40が取り付けられる凹部24に連通しており、その下方には、超音波を反射するための反射部33が形成されている。この反射部33の働きについては、後述するが、測定室28の底部からは、所定距離(本実施例では数ミリ)持ち上げられた構造となっており、この反射部33の周囲の空隙は、そのまま測定室28の底部に連通する排出流路35を介してバイパス流路29につながっている。このため、導入路27から導入孔32を通って流入したガスは、測定室28の内部に充満し、所定の割合で、排出流路35からバイパス流路29に出ていく。なお、排出流路35は、測定室28の底部に設けられていることから、測定室28内の水蒸気やガソリン蒸気などが結露して液化した場合、これらの水滴・油滴を排出するドレインとしても働く。反射部33の周囲の溝に溜まった液体が排出されやすいように、反射部33の周辺外形は、排出流路35に向けて傾斜されている。
【0030】
流路形成部材20の上部に形成された収納部22には、上述したように、測定室28に連通する開口を有する取り付け用凹部24や、サーミスタ取り付け用の挿入孔25などが形成されているが、この収納部22に相当する場所には、金属板36がインサート成形されている。この金属板36は、収納部22の底面形状にほぼ倣う形状をしている。金属板36には、電気的な接続を取るための切り起こし部83が設けられている。切り起こし部83は、インサート成形された後、図2に示したように、収納部22の内側に立設された状態となり、電子回路基板70を取り付ける際、基板上の取付孔72に挿入される。取付孔72には、接地ラインに接続されたランドが用意されており、切り起こし部83は、このランドにはんだ付けされる。
【0031】
収納部22の内側の4つの隅部のうち、切り起こし部83に隣接する1カ所には、電子回路基板70を載置する支持台を兼ねて、端子用凸部が設けられている。この外側には、電気信号をやりとりするためのコネクタ31が形成されており、コネクタ31を形成する端子は、収納部22の外壁をこの部分で貫通している。コネクタ31には、入り口側で3本の端子が用意されており、3本の端子の両側の2本が、外部からこのガス濃度測定装置10に電源を供給する電源ライン(グランドと直流電圧)に接続された端子GNDおよび端子Vccであり、中心がガス濃度測定装置10からの信号出力線に接続された端子SGNLとなっている(図6参照)。このコネクタ31のこれらの端子は、収納部22側では、4本となっている。これは、グランド(接地)ライン用の端子GNDが途中で二股に分かれた形状をしているからである。二股に分かれた端子のひとつ(図6における端子GND1)は、電子回路基板70に接続・はんだ付けされており、もう一つ(図6における端子GND2)は、上方に延出されており、ケース80を組み付けるとき、このケース80の対応する位置に用意された挿入孔85(図2参照)に挿入される。挿入後、端子は、ケース80にはんだ付けまたはロウ付けされる。この結果、ケース80全体が接地ラインに電気的に結合されていることになる。収納部22の隅部のうち、残りの2カ所には、電子回路基板70を載置する目的で、図示しない支持台が形成されている。
【0032】
(D)検出用素子本体40の構造:
検出用素子本体40の構造を、図4の断面図に示した。この検出用素子本体40は、図2に示したように、組立後は円盤形状となるが、これはフランジ部41を有する合成樹脂製の素子ケース42の内部に、既述した圧電素子51などを収納したのち、ウレタンを内部に充填しているからである。素子ケース42のフランジ部41は、収納部22に設けられた取り付け用凹部24より大径に形成されており、フランジ部41の下部の収容部43は、凹部24より小径に形成されている。この素子ケース42単体の状態では、収容部43の下面は開口されており、その端面45の外側縁部には、段差部46が形成されている。製造時には、この段差部46の内側に、耐ガソリン性のある材料を用いた円形の保護フィルム48が接着される。
【0033】
保護フィルム48の中心には、円柱形状の音響整合板50が接着・固定されており、この音響整合板50の上面には超音波素子である圧電素子51が接着・固定されている。音響整合板50は、圧電素子51の振動を、保護フィルム48を介して効率よく、空気中に(本実施例では測定室28へ)送出するために設けられている。音波や超音波は、媒質の密度の差が存在する場所で反射し易いので、圧電素子51を直接保護フィルム48に接着するのではなく、音響整合板50を介して接合することにより、圧電素子51の振動を効率よく超音波として測定室28内に送出することができる。本実施例では、音響整合板50として、多数の小さなガラス玉をエポキシ系樹脂で固めたものを用いた。また、これらの音響整合板50と圧電素子51とを取り囲むように、筒体52が配置されている。この筒体52は、ポリエチレンテレフタレートフィルム52aに銅箔52cを接着層52bを介して貼り合わされたものであり、銅箔52c側を内側にして円筒形に巻き、端面を重ねて貼り合わせたものである。この筒体52の内径は、音響整合板50の外径と略一致しているので、筒体52は、音響整合板50の外周に密着している。両者は接着されていない。
【0034】
圧電素子51の外径は、音響整合板50の外径より小さくされている。従って、これを囲繞する筒体52の内面と、圧電素子51の側面との間には、間隙が形成されることになる。筒体52と音響整合板50および圧電素子51との関係を図5に示した。図5は、音響整合板50,圧電素子51,筒体52の関係を示す分解斜視図である。図示するように、筒体52には、12個の開口53が設けられている。この開口53は、圧電素子51の軸方向に沿って上方に偏位した位置に設けられている。従って、組立後には、筒体52の開口53は、音響整合板50の外周ではなく、圧電素子51の外周に対応した位置に存在することになる。なお、図5では、理解の便を図って、筒体52を形成する各層52a,52b,52cについては、一体に描いてある。
【0035】
素子ケース42は、図4に示したように、断面が略逆「L」字形状をしており、その内周面は、鉛直面に対して所定の角度(本実施例では約11度)の傾きでテーパが付けられている。従って、収容部43の外壁に相当する部分は、下部、即ち保護フィルム48に近づくにつれて厚みを増す。この結果、素子ケース42の収容部43は、フランジ部41との付け根の付近で外壁の厚みが薄く、可撓性に富み、その下端では、保護フィルム48を貼付する十分な面積を用意している。この素子ケース42は、ほぼ円筒形に形成されているものの、端子55a,55bが埋設されている箇所だけ、内側に突出した形状を有する。この突出部56a,56bには端子55a,55bがインサート成形されている。この端子55a,55bは、「L」字形状に曲っており、その下端は、収容部43の内面に突出している。この下端に、圧電素子51の正電極51aからのリード線54aおよび負電極51b用の接続用ランド51cからのリード線54bがはんだ付けされる。こうして圧電素子51のリード線54a,54bの取付を終えてから、素子ケース42の内部にはウレタンが充填される。なお、端子55a,55bの上端は、素子ケース42の上面から上方に突出している。この端子は、電子回路基板70が、その上部に取り付けられる際、電子回路基板70の対応する取り付け孔に挿入され、その場所に用意されたランドにはんだ付けされる。
【0036】
素子ケース42は、フランジ部41の下面略中央に、溶着用の突起59を円周状に備えている。この突起59は、超音波溶着時に溶融して、フランジ部41を、収納部22にしっかりと固着する。
【0037】
(E)電子回路基板70とその回路およびガス濃度検出の手法:
次に、電子回路基板70の構造と、その取付について説明する。電子回路基板70は、ガラスエポキシ基板に予めエッチング等により回路パターンを形成したものであり、部品の取付位置にランドやスルーホールが設けられている。また、既に説明したように、検出用素子本体40やサーミスタ60、あるいはコネクタ31の端子、切り起こし部83などが取付られる部位には、それぞれの端子形状に合わせた大きさの取付孔が設けられ、その周囲をランドパターンが取り巻いている。従って、完成した電子回路基板70は、所定の位置に、信号処理用の各種部品、例えば信号処理用の集積回路(IC)や、抵抗器,コンデンサなどが取り付けられており、これを、検出用素子本体40やサーミスタ60の取付が完了した収納部22に装着し、はんだ付けを行なうことで、電気的な回路構成は完了する。ガス濃度測定装置10の製造としては、最終的には樹脂モールドを行なうが、この点は、後で製造方法の項で一括して説明する。
【0038】
各種端子を電子回路基板70にはんだ付けする際、コネクタ31の端子のうち、一番外側の端子(図6参照)GND2は、対応するランドが、電子回路基板70にはなく、端子GND2は、電子回路基板70に設けられた貫通孔を通過するだけになっている。端子GND2は、電子回路基板70に設けられた貫通孔を通過し、ケース80の挿入孔85に挿入され、ここで、ケース80にはんだ付け、またはロウ付けされる。
【0039】
こうして完成したガス濃度測定装置10の電気的な構成を、図6のブロック図に示す。図示するように、この電子回路基板70は、マイクロプロセッサ91を中心に構成されており、マイクロプロセッサ91に接続された各回路素子、即ち、デジタル−アナログコンバータ(D/Aコンバータ)92、ドライバ93、増幅器96が接続されたコンパレータ97等を備える。サーミスタ60は、直接マイクロプロセッサ91のアナログ入力ポートPAPに接続されている。また、ドライバ93と増幅器96は、検出用素子本体40に接続されている。
【0040】
検出用素子本体40に内蔵された圧電素子51とドライバ93および増幅器96との実際の接続を、図7に示した。図示するように、圧電素子51の負電極51b側は最終的には接地されており、正電極51aからの信号線は、ドライバ93の出力段に設けられたトライステートバッファ93aと、増幅器96に設けられたカップリングコンデンサ96aとに接続されている。ドライバ93のトライステートバッファ93aは、通常その出力をハイインピーダンス状態に保っており、ゲートGに入力されている制御信号がアクティブとなったときだけ、導通状態となる。従って、ゲートGに入力されている制御信号がアクティブとなっている間のみ、出力用アンプ93bの出力は、圧電素子51側に出力可能な状態となる。
【0041】
ドライバ93はマイクロプロセッサ91からの指令を受けて、所定時間、検出用素子本体40の圧電素子51を駆動する回路である。このドライバ93は、マイクロプロセッサ91からの指令を受けると、上述したトライステートバッファ93aのゲートGへの制御信号をアクティブとしてバッファ93aを出力可能な状態とし、出力用アンプ93bから、複数個の矩形波を圧電素子51へと出力する。ドライバ93が出力するこの矩形波の信号を受けると、圧電素子51は振動し、送信器として機能して、超音波を測定室28内に送出する。圧電素子51を駆動するこの矩形波を出力した後、トライステートバッファ93aのゲートGへの制御信号はインアクティブとなり、その出力は再びハイインピーダンス状態となる。
【0042】
測定室28内に送出された超音波は、比較的高い指向性を保ったまま直進し、測定室28底部の反射部33に反射して戻ってくる。戻ってきた超音波が保護フィルム48に到達すると、保護フィルム48および音響整合板50を介して、圧電素子51にその振動は伝わり、圧電素子51は今度は受信器として機能して、振動に応じた電気信号を出力する。この様子を、図8に示した。図において、区間P1は、ドライバ93が信号を出力しており、圧電素子51が送信器として機能している期間を、区間P2は、反射部33で反射した超音波により振動が圧電素子51に伝わり、圧電素子51が受信器として機能している期間を、それぞれ示している。
【0043】
受信器として機能した際の圧電素子51の信号は、カップリングコンデンサ96aを介して増幅器96の入力用アンプ96bに入力されて増幅される(図7参照)。この増幅器96の出力は、コンパレータ97に入力されており、ここで予め用意された閾値Vref と比較される。閾値Vref は、ノイズなどの影響により増幅器96が出力する誤信号を弁別できるレベルである。誤信号としては、ノイズなどによるものの他、検出用素子本体40自身が持っている残響などの影響によるものがある。
【0044】
コンパレータ97は、増幅器96からの信号を閾値Vref と比較することにより、圧電素子51が受信した振動の大きさが所定以上になったときにその出力を反転する。このコンパレータ97の出力をマイクロプロセッサ91により監視し、圧電素子51からの最初の超音波の出力タイミング(図8タイミングt1)から、コンパレータ97の出力が反転するまで(図8タイミングt2)の時間Δtを計測することにより、超音波が測定室28内の反射部33までの距離Lを往復するのに要した時間を知ることができる。超音波が、ある媒質中を伝搬する速度Cは、次式(1)に従うことが知られている。
【0045】
【数1】
【0046】
この式(1)は、複数の成分が混在しているガスについて成り立つ一般式であり、変数nは、第n成分についてであることを示すサフィックスである。従って、Cpnは測定室28内に存在するガスの第n成分の定圧比熱、Cvnは測定室28のガスの第n成分の定積比熱、Mnは第n成分の分子量、Xnは第n成分の濃度比を表している。また、Rは気体定数、Tは測定室28内のガスの温度、である。ガスに関する比熱などは知られているので、伝搬速度Cは、測定室28内のガスの温度Tと濃度比Xnにより定まることになる。超音波の伝搬速度Cは、圧電素子51から反射部33までの距離Lを用いて、
C=2×L/Δt …(2)
と表せるから、Δtを計測すれば、濃度比Xn、即ち、ガソリン濃度を求めることができる。なお、本実施例では、ガソリン蒸気の濃度を検出したが、濃度が既知の場合には、温度Tや伝搬距離Lを求めるセンサとして用いることも可能である。
【0047】
マイクロプロセッサ91は、上記の式に従う演算を高速に行ない、求めたガソリン濃度に対応した信号をD/Aコンバータ92を介して出力する。この信号がコネクタ31の端子SGNLを介して外部に出力される。実施例では、この端子SGNLは、内燃機関の燃料噴射量を制御しているコンピュータ(ECU)に接続されており、ガソリン濃度に対応したその信号は、ECUによって読み込まれ、キャニスタからのガソリンのパージ量を勘案して、燃料噴射量を補正するといった処理に用いられる。
【0048】
(F)実施例の作用・効果:
以上説明した本実施例のガスセンサによれば、圧電素子51の正電極51aと負電極51bとの間に、放電防止部材として抵抗値約1MΩ程度の抵抗器57を形成・接続している。このため、ドライバ93のトライステートバッファ93aの出力がハイインピーダンス状態となっている場合でも、圧電素子51の出力インピーダンスは、約1MΩを上回ることがない。このため、焦電効果により、圧電素子51の正電極51a−負電極51b間に過大な電圧が発生して、電極間で放電を生じることがない。また、振動その他の不測の事由により、例えリード線54a,54bが切断した場合でも、圧電素子51自体のインピーダンスは約1MΩ以下に抑えられるので、同様に放電を生じることがない。この結果、放電によるノイズによって、ガス濃度検出の精度に影響を受けるということがなく、ガス濃度測定装置10の信頼性を高めることができる。
【0049】
本実施例のガス濃度測定装置10は、可燃性であるガソリン蒸気の濃度を測定している。ガス濃度測定装置10では、圧電素子51と測定室28との間がフィルム48で気密に隔てられているから、圧電素子51の電極間でよしんば放電が生じたとしても、測定対象である測定室28内のガソリン蒸気には何ら影響は与えない。ところが、例えばユーザによるガス濃度測定装置10の不慮の取り外しなどにより、フィルム48への慮外の損傷の付与などがなされた場合、測定室28内のガソリン蒸気が、検出用素子本体40内に侵入し滞留する可能性がゼロとは言えない。こうした場合でも、本実施例のガス濃度測定装置10では、圧電素子51の電極間で放電が生じることはなく、その安全性はきわめて高い。
【0050】
また、放電による火花の発生を想定した厳格な気密構造を採用する必要がなく、装置構成を簡略にすることができると共に、低コスト化が実現できる。更に、放電防止部材を設けることにより、電極に発生した電荷を直ちに除去することができるので、電極間に電荷が発生することによるノイズが測定精度に与える影響を低減することができる。また、圧電素子のインピーダンスが1MΩ程度の所定の範囲となっているので、外部からのノイズが信号ラインに重畳することを防止でき、測定精度の向上を図ることができる。
【0051】
なお、本実施例では、抵抗器57の抵抗値を約1MΩとしたが、抵抗値は10KΩないし10MΩの範囲にあれば良い。以下にこの根拠を示す。まず、抵抗器が形成されていない圧電素子に対し較正用の一定強度の超音波を入力し、その出力電圧(受信感度)が2ボルトになるよう調整した。その後、圧電素子に抵抗器を設け、その抵抗値を変えて出力電圧を測定した。その結果、図9に示すように、抵抗値が10KΩ以上であれば、圧電素子51の出力電圧は、±10[%]程度の範囲に入ることが分かった。この程度の範囲に入っていれば、超音波の伝搬時間の変化を利用したガス濃度の測定を十分な精度で行なうことができる。また、圧電素子51を短期間のうちに150℃に温度上昇させた時に、焦電効果により発生する電荷が抵抗器57においてどの程度消費されるかを測定した。抵抗器57の抵抗値を変化させて測定を行なった結果を図10に示した。10MΩ以下であれば、抵抗器57における消費電力は十分に高く、圧電素子における焦電効果を効率よく防止できることが分かった。このため、抵抗器57の抵抗値は、10KΩないし10MΩの範囲にあれば差し支えない。
【0052】
(G)変形例
本発明のその他の変形例について説明する。図11,図12は、圧電素子51の第1の変形例の形状を示す斜視図である。図11に示した変形例における圧電素子51は、上記実施例とほぼ同一の構成を有するが、抵抗器の形成箇所が異なっている。すなわち、この変形例では、抵抗器157は、正電極51aと負電極用の接続用ランド51cとの離間箇所に形成されている。比抵抗を適宜選択すれば、わずかな離間距離を利用して、所望の抵抗値とすることができる。また、図12に示した変形例では、抵抗器257は、圧電素子51とは別体に形成され、その両端が正電極51aと接続用ランド51cとの接続されている。かかる構成でも、圧電素子51の出力インピーダンスを所定の値に調整することで、接続された電気回路による測定に影響を与えることなく、電極間の放電といった現象を解消することができる。
【0053】
(H)ガスセンサの製造方法:
次に、本実施例におけるガス濃度測定装置10を製造する方法について、説明する。図13は、ガスセンサの製造工程を示す工程図である。図示するように、このガス濃度測定装置10を製造するに際しては、まず圧電素子を組み立てる作業を行なう(工程S100)。この工程は、所定形状に切り出した圧電素子51に電極51a,51b、接続用ランド51c、連通部51dを蒸着などの手法により形成し、更に、抵抗器57を、厚膜印刷により酸化ルテニウムの厚膜として形成する。その後、保護フィルム48を所定形状(実施例では円形)に切り出し、その中心に音響整合板50を接着する。更に、その上に、圧電素子51を中心を合わせて接着する。接着後、圧電素子51の電極51aと接続用ランド51cには、リード線54a,54bを、はんだ付けや放電溶接などの手法により接続する。
【0054】
他方、こうして得られた圧電素子組立を封入する素子ケース42を用意する(工程S110)。素子ケース42は、ガラスフィラー入りの合成樹脂を射出成形して製造する。もとより、削り出しなどの手法によっても良い。素子ケース42の内側に設けられた突出部56a,56bには、端子55a,55bが、インサート成形される。
【0055】
次に、検出用素子本体を組み立てる作業を行なう(工程S120)。この工程では、まず、工程S110で製造した素子ケース42に、工程S100で組み立てた圧電素子組立を組み付ける。素子ケース42の下方端面45の外周には、段差部46が設けられているので、端面45に保護フィルム48を位置決めして接着するのは容易である。この状態で、筒体52を、素子ケース42の開口側から挿入し、音響整合板50の外周に嵌め込む作業を行なう(工程S130)。作業に先立って、銅箔52cを接着層52bを介してポリエチレンテレフタレートフィルム52aに貼り合わせたものを、予め音響整合板50の外径に合わせた内径に巻き、筒体52として製造しておく。筒体52は、特に接着などはせず、音響整合板50に嵌め合わせただけである。
【0056】
この状態で、圧電素子51から延びる2本のリード線54a,54bを、端子55a,55bにはんだ付けなどの手法で接続する作業を行なう(工程S140)。以上の処理により、検出用素子本体40に必要に部品は全て組み付けられる。そこで、次に素子ケース42の開口側から、ウレタンを充填する処理を行なう(工程S150)。このとき、充填材であるウレタンは、圧電素子51およびその上端から引き出されたリード線54a,54bを覆い、かつフランジ部41の上辺までは達しない程度に充填される。
【0057】
以上説明した検出用素子本体40の製造とは別に、流路形成部材20の製作が行なわれる。この工程を工程S200以下に示した。流路形成部材20の製作に際しては、まず金属板をプレス加工して、インサート成形用の金属板36を成形する処理を行なう(工程S200)。本実施例で用いた金属板36では、略長方形の金属板(実施例では錫メッキ鋼板)をプレス加工することにより、その形状を一体形成している。
【0058】
次に、流路形成部材20を、その内部に金属板36を備えるようにインサート成形する処理を行なう(工程S210)。流路形成部材20は、ガラスフィラー入りの合成樹脂を用いて成形する。金属板36は、流路形成部材20の成形時に、治具などを用いて、形成後の収納部22の底部に埋設される位置に保持される。また、このとき同時に、コネクタ31に収納された端子も、インサート成形される。
【0059】
こうして流路形成部材20を製作した後、この流路形成部材20の収納部22に、既に製造しておいた検出用素子本体40を溶着する作業を行なう(工程S230)。溶着は、超音波溶着により行なう。これは検出用素子本体40を所定の治具に取り付けた上で、凹部24の中心に検出用素子本体40の中心を一致させた上で、この検出用素子本体40を超音波領域の振動数で振動させ、そのフランジ部41の下面を収納部22の接合面に強く打ちつける。フランジ部41の下面には、突起59が形成されているから、超音波振動による力は全てこの突起59に集中することになり、突起59は機械的なエネルギが集中することにより加熱され、やがて溶融する。この結果、検出用素子本体40は、フランジ部41下面で、流路形成部材20の収納部22の接合面に隙間なく溶着する。なお、溶着は、熱板溶着など、他の手法に拠っても良い。
【0060】
検出用素子本体40の取り付けと前後して、サーミスタ60を流路形成部材20の挿入孔25に取り付ける作業も行なう(工程S240)。その後、検出用素子本体40の上に緩衝材88を載置する(工程S250)。緩衝材88は、検出用素子本体40と略同一の外径に形成された発泡体であり、その厚さは数ミリである。この緩衝材88には、検出用素子本体40から上方に突き出た端子55a,55bが貫通する開口も設けられている。緩衝材88は、この後の工程で取り付けられる電子回路基板70と検出用素子本体40との間に介装され得る厚みを有し、後述する工程で充填されるウレタンが検出用素子本体40の周囲を埋め尽くさないようにする目的で用いられている。
【0061】
緩衝材88を配置した後、電子回路基板70上に用意された取り付け孔に、次の4つの部材を嵌め合わせつつ、基板70を、上方から、収納部22に収納する(工程S260)。即ち、
・金属板36から切り起こされて収納部22底部に立設している切り起こし部83、
・検出用素子本体40から突出した端子55a,55b、
・サーミスタ60の端子、
・コネクタ31の4本の端子、
の4つの部材を、電子回路基板70の所定の取付孔に嵌合する。このうちコネクタ31の端子31d以外を、電子回路基板70上の取付孔周囲に設けられたランドにはんだ付けする。
【0062】
次に、この収納部22にケース80を取り付ける作業を行なう(工程S270)。このとき、ケース80に設けられた挿入孔85に、コネクタ31の端子31dを貫通させ、その後、これをはんだ付けまたはロウ付けする。これでケース80の取付作業は完了する。その後、収納部22内に樹脂(本実施例ではウレタン)を充填する作業を行なう(工程S280)。ウレタンで検出用素子本体40や電子回路基板70をモールドするのである。その後、測定室28に濃度を他の検出装置で検出したガソリン蒸気を含むガスを導入し、ガス濃度測定装置10を動作させて、その出力を較正(キャリブレーション)する処理を行なう(工程S290)。ガス濃度測定装置10の較正は、この実施例では、検出結果から、ガス濃度測定装置10の出力と他の測定装置で検出済みのガソリン濃度との関係を示す較正曲線を求めて、これをマイクロプロセッサ91に内蔵したEEPROMに書き込むことで行なった。
【0063】
以上説明したガスセンサの製造方法によれば、検出用素子本体40の圧電素子51には、それ自体に抵抗器57が形成されることになり、リード線などを用いた接続工程は必要がない。従って、電極間のインピーダンスを抵抗器57により確実に所定範囲に調整することができる。使用中の振動その他の理由によりリード線が切断して、圧電素子51の両電極間のインピーダンスが高くなってしまうことも生じない。
【0064】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明のこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において、例えば超音波を用いた温度センサや比熱センサなどに適用することができる。また、超音波を出力するだけの送信器や超音波を受信するだけの受信器にも適用することができる。ガス濃度測定装置310として、超音波の送信器と受信器を分離したタイプを図14に示した。図示するように、この実施例では、上記実施例で説明した検出用素子本体40を送信用素子本体340と受信用素子本体440と二つ備える点以外は、上記の実施例と電気的な構成は同様である。この例では、超音波を反射する反射部33は必要なく、送信用素子本体340から出力された超音波は測定室328内に存在するガソリン蒸気内を伝搬して受信用素子本体440により受信される。かかるガス濃度測定装置310の送信用素子本体340や受信用素子本体440に用いられる圧電素子は、上述した実施例の圧電素子51と同一のものであり(図1参照)、電極間での放電の発生は、十分に防止されている。このため、放電によるノイズにより測定に影響を受けたり、その他放電現象に伴う不具合を被ることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例としての圧電素子51の構成を示す斜視図である。
【図2】実施例のガス濃度測定装置10の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】ガス濃度測定装置10の構造を示す断面図である。
【図4】検出用素子本体40の構造を示す断面図である。
【図5】音響整合板50,圧電素子51と筒体52の構造を示す分解斜視図である。
【図6】電子回路基板70の内部の電気的な構成を示す説明図である。
【図7】圧電素子51とドライバ93および増幅器96との接続を示す説明図である。
【図8】超音波を用いたガス濃度の検出の原理を説明する説明図である。
【図9】抵抗器57の抵抗値とセンサの受信感度との関係を示す説明図である。
【図10】抵抗器57の抵抗値と抵抗器に流れる電流との関係を示す説明図である。
【図11】変形例としての抵抗器157を備えた圧電素子51の構造を例示する斜視図である。
【図12】変形例としての抵抗器257を備えた圧電素子51の構造を例示する斜視図である。
【図13】検出用素子本体40を製造する処理を順に示す説明図である。
【図14】ガス濃度測定装置の他の構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
10,310…ガス濃度測定装置
20…流路形成部材
22…収納部
24…凹部
25…挿入孔
27…導入路
28,328…測定室
29…バイパス流路
31…コネクタ
32…導入孔
33…反射部
34…出口
35…排出流路
36…金属板
40…検出用素子本体
41…フランジ部
42…素子ケース
43…収容部
45…端面
46…段差部
48…フィルム
50…音響整合板
51…圧電素子
51a…正電極
51b…負電極
51c…接続用ランド
51d…連通部
52…筒体
52a…ポリエチレンテレフタレートフィルム
52b…接着層
52c…銅箔
53…開口
54a〜54d…リード線
55a〜55d…端子
56a,56b…突出部
57,157,257…抵抗器
59…突起
60…サーミスタ
70…電子回路基板
72…取付孔
80…ケース
83…切り起こし部
85…挿入孔
88…緩衝材
340…送信用素子本体
440…受信用素子本体
Claims (9)
- 圧電素子の圧電および/または電歪効果を利用して、気体の性質を測定するセンサであって、
前記圧電素子の二つの面のそれぞれに独立の電極を形成し、
該独立の両電極間のインピーダンスを所定値以上としたまま、該両電極間での放電を防止する放電防止部材を設けた
センサ。 - 前記放電防止部材は、抵抗値が100KΩ以上10MΩ以下の抵抗体である請求項1記載のセンサ。
- 前記抵抗体は、前記圧電素子の表面に、厚膜印刷により形成されている請求項2記載のセンサ。
- 請求項2または請求項3記載のセンサであって、
前記電極が形成される二つの面は、前記圧電素子の対向する面であり、
前記抵抗体は、前記二つの面に隣接する側面に形成された
センサ。 - 請求項2または請求項3記載のセンサであって、
前記二つの面のうちの一方の面には、他方の面の電極と電気的に接続された接続用ランドが設けられ、
前記抵抗体は、前記接続用ランドが設けられた面における前記電極と前記接続用ランドとの間に形成された
センサ。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか記載のセンサであって、
前記圧電素子を収納するケースを有し、
該ケースの一端に、測定対象の気体に対して該ケース内を気密に保つフィルムを張設し、
前記ケース内に、前記圧電素子を、該フィルムを介して振動の伝達が可能なように配置した
センサ。 - 前記測定対象の気体は、可燃性ガスである請求項1ないし請求項6のいずれか記載のセンサ。
- 気体の性質の測定結果を電気的な信号として出力する測定装置であって、
請求項1ないし請求項7のいずれか記載のセンサと、
該センサの前記圧電素子の前記電極に電気的に接続され、外部からの振動を受けて前記圧電素子から発生する電気信号を入力する入力回路と
を備えた測定装置。 - 請求項8記載の測定装置であって、
前記センサの前記圧電素子の前記電極に電気的に接続され、該圧電素子を振動させる駆動回路を備えた測定装置。
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-
2003
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