JP2003254951A - ガスセンサおよびその製造方法 - Google Patents

ガスセンサおよびその製造方法

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JP2003254951A
JP2003254951A JP2002060629A JP2002060629A JP2003254951A JP 2003254951 A JP2003254951 A JP 2003254951A JP 2002060629 A JP2002060629 A JP 2002060629A JP 2002060629 A JP2002060629 A JP 2002060629A JP 2003254951 A JP2003254951 A JP 2003254951A
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gas sensor
flow path
case
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gas
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JP2002060629A
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Hideki Ishikawa
秀樹 石川
Yoshikuni Sato
美邦 佐藤
Takashi Morita
剛史 森田
Keigo Tomono
圭吾 伴野
Noboru Ishida
昇 石田
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐ノイズ性能に優れ、製造容易なガスセンサ
を提供する。 【解決手段】 所定体積を有する流路内のガスの濃度を
検出するガスセンサの流路形成部材20を合成樹脂によ
り成形し、その際、金属板36を収納部22の底部にイ
ンサート成形する。測定室28の上部開口に合わせて、
検出用素子本体40を配置し、その上に電子回路基板7
0を取り付ける。更に、収納部22にはめようにしてケ
ース80を取り付ける。ケース80は金属板であり、金
属板36に設けられた切り起こし部83とコネクタ31
の端子31dを用いて、両者は導通され、かつ電源から
の接地ラインに接続される。この結果、検出用素子本体
40と電子回路基板70は、金属板36とケース80が
形成する電磁シールドの内部に配置されることになり、
耐ノイズ性能を確保することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検出対象物が所定
体積の流路に存在する気体であるガスセンサの構造およ
びその製造方法に関し、詳しくは、気体が存在する流路
を形成する流路形成部材と、この流路に臨んで設けら
れ、気体の性質を検出する検出用素子とを備えたガスセ
ンサおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から検出用素子を用いて、流路に存
在する気体の性質として、例えば特定成分の濃度や温
度、あるいは湿度などを検出するガスセンサが知られて
いる。こうしたガスセンサでは、検出用素子からの信号
を電気的に処理して、気体の性質に対応した電気信号と
して出力する。ガスセンサの一例として、自動車など内
燃機関を搭載した輸送機器に設けられ、超音波の伝搬速
度の変化を利用してガソリンや軽油などの濃度を検出す
るガス濃度センサを取り上げる。こうしたガス濃度セン
サは、例えば自動車に搭載されたキャニスタから内燃機
関の吸気管に接続されたパージラインの途中に設けら
れ、センサに形成された所定体積の流路を、ガソリンな
どが含まれる蒸発燃料ガスが通過するよう構成される。
ガソリン蒸気の濃度が変化すると、媒質中を通過する超
音波の速度が変化するので、この変化を超音波の受信器
で検出し、信号を処理して、ガソリン濃度に対応した信
号として出力するのである。通常は、送信器から出力さ
れた超音波が所定距離を伝搬して受信器に到達するまで
の時間を検出して、ガソリン濃度を求めている。
【0003】こうしたガス濃度センサを初めとし、気体
の性質の変化を大きな電気信号に直接変換できる素子は
少なく、検出用素子から出力される電気信号は微弱なこ
とが多い。このため、ガスセンサの検出用素子は、電気
的なノイズに対して一般に脆弱である。また検出しよう
とする気体の性質の変化のみならず、他の変化や外乱な
どによっても、検出用素子の出力する信号が変化してし
まうこともあった。こうした状況は、気体の性質に対し
て敏感な検出用素子を採用した場合に生じやすい。例え
ば、上述した超音波式のガス濃度センサでは、超音波を
受信する素子から出力される信号は、通常ミリボルト前
後の大きさである。
【0004】そこで、従来のガスセンサでは、検出用素
子を取り付ける流路形成部材をできるだけ堅牢な構造と
して、振動などの外乱が介入しにくいようにすると共
に、流路形成部材として金属などの導電性材料を採用
し、検出用素子を電磁シールドすることにより、ノイズ
などの影響を除去する構成が採用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、自動車
などの民生用機器に用いられるセンサでは、研究室など
で使用されるセンサとは、コストに対する異なる要請が
あり、メンテナンスが必ずしも行き届かない状態で使用
されるという条件下での耐久性や信頼性が要求されるこ
とから、未解決の種々の課題が存在した。例えば、ガス
センサの流路形成部材を金属製とすると、一般に製造工
程の煩雑化とコストの上昇を招き、民生用の機器に用い
るのが困難になるという問題があった。検出対象物が所
定体積の流路に存在する気体である場合、この流路と検
出用素子を取り付ける部位とを一体に形成せねばなら
ず、構造が複雑になりやすい。こうした場合に、金属を
用いて、鋳造や射出成形により流路形成部材を製造する
のは困難な場合も存在した。また、金属により流路形成
部材を製造すると、センサ自体の重量やコストが増大す
るという問題もあった。
【0006】かといって、流路形成部材を合成樹脂で形
成しただけでは、電磁シールドの効果が得られず、微弱
な信号を取り扱うことの多いガスセンサでは、実用化は
困難であった。もとより、合成樹脂を用いて成形した流
路形成部材を金属板などで覆って電磁シールドすること
も可能ではあるが、複雑な形状をした流路形成部材を金
属などの導電性材料で覆うには、複雑な板金加工を行な
わねばならず、製造工数の増大のみならず、コストの上
昇や信頼性の低下といった問題を招致してしまう。
【0007】本発明は、こうした問題を解決し、外乱や
ノイズなどに対する信頼性を確保したまま、製造工程や
製造コストを簡略化するガスセンサを提供することを、
その目的の一つとする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題の少なくとも一部を解決する本発明のガスセンサ
は、検出対象物が所定体積の流路に存在する気体であ
り、該流路を形成する流路形成部材と、該流路に臨んで
設けられ、前記気体の性質を検出する検出用素子とを備
えたガスセンサであって、前記流路形成部材は、合成樹
脂を用いて形成され、前記検出用素子が取り付けられる
部位の周辺に、所定面積を有する導電性部材をインサー
ト成形してなり、前記導電性部材が存在する部位の前記
流路形成部材と組み合わされる導電性材料のケースを備
え、該組み合わされた前記ケースと前記流路形成部材と
の内部に、少なくとも前記検出用素子を収納した状態
で、該ケースを前記導電性部材と電気的に接続する接続
部材を設けたことを要旨としている。
【0009】かかるガスセンサでは、流路形成部材は、
合成樹脂製であり、センサの軽量化および製造コストの
低減が図られている。しかも、この流路形成部材に検出
用素子が取り付けられる部位の周辺には、所定面積を有
する導電性部材がインサート成形されている。インサー
ト成形された導電性部材に、導電性材料のケースが組み
合わされ、その内部には、検出用素子が収納される。こ
の状態で、ケースと導電性部材とは、接続部材により電
気的に接続されるから、ケースと導電性部材を組み合わ
せたものが電磁シールドとして働き、内部の検出用素子
に対するノイズの影響を低減することができる。
【0010】こうしたガスセンサにおいて、導電性部材
には、金属板を用いることができる。金属板は、加工が
容易なので、この金属板の一部を切り起こして接合片と
することができ、この接合片をケースに接合するものと
すれば良い。接合片とケースとの接合は、はんだ付け、
ロウ付け、溶接などの金属材料を用いた各手法によるこ
とができる。あるいは、接合片とケースとの接合を、圧
接、嵌合、かみ合わせなどの機械的接触の手法により行
なうことも可能である。
【0011】ガスセンサにおける検出用素子の上部に
は、検出用素子からの出力信号を処理する信号処理回路
基板を設けることができる。この信号処理回路基板は、
検出用素子と共に、ケースと導電性部材とを組み合わせ
た内部に収納すれば、検出用素子同様、電磁シールドの
効果を得ることができる。信号処理回路基板上のインピ
ーダンスの低い電気配線(例えば、信号処理回路基板に
電源を供給するラインの一つ)を、ケースまたは導電性
部材の少なくとも一方と電気的に接続することができ
る。この結果、電磁シールドの効果に加えて、信号処理
回路基板上の回路に対するノイズの影響を一層低減する
ことができる。
【0012】こうしたガスセンサにおいて、流路形成部
材の一部に、ガスセンサを外部と接続するコネクタを形
成しても良い。このコネクタに設けられた接続用端子の
少なくとも一つを他の接続用端子より延出し、延出され
た接続用端子を、インピーダンスの低い電気配線である
電源供給用のラインに電気的に接続し、かつこの接続用
端子を、ケースまたは導電性部材の少なくともいずれか
一方に、接続することができる。
【0013】このとき、延出された接続用端子を、信号
処理回路基板と機械的には結合せず、延出された接続用
端子と電気的に接続された他の接続用端子を、信号処理
回路基板と電気的かつ機械的に結合することも、機器組
立上、機械的なストレスを結合箇所に生じにくくする上
で有効である。
【0014】この信号処理回路基板は、更にケースまた
は導電性部材の少なくともいずれか一方から立設された
導電性の接続片を介して、電気的に接続することも、耐
ノイズ性能を向上する上で有効である。
【0015】ケースを取り付けた状態で、このケースお
よびその内部に収納された検出用素子を、モールドによ
り一体化することも、センサとしての安定性を高める上
で有用である。
【0016】ガスセンサは、所定体積の流路に存在する
ガスの性質を検出する種々のタイプのものが想定され
る。例えば、検出用素子としては、流路に存在するガス
の濃度を検出する素子とすることができる。もとより、
温度を検出するもの、湿度を検出するもの、比熱などを
検出するものも可能である。こうした検出は、超音波を
用いて検出することができるが、他の電気的な手法によ
り、ガスの性質を検出するものであれば、本発明は適用
可能である。
【0017】ガスセンサを製造する方法の発明は、検出
対象物が所定体積の流路に存在する気体であり、該流路
を形成する流路形成部材と、該流路に臨んで設けられ、
前記気体の性質を検出する検出用素子とを備えたガスセ
ンサの製造方法であって、前記流路形成部材は、合成樹
脂を用いて形成する際、前記検出用素子が取り付けられ
る部位の周辺に、所定面積を有する導電性部材をインサ
ート成形し、該流路形成部材に、前記検出用素子を取り
付けた後、導電性材料のケースを、前記導電性部材が存
在する部位の前記流路形成部材と組み合わされる位置に
配置し、該組み合わされた前記ケースと前記流路形成部
材との内部に、少なくとも前記検出用素子を収納した状
態で、該ケースを前記導電性部材と電気的に接続するこ
とを要旨としている。
【0018】かかる製造方法によれば、流路形成部材を
成形する際に、導電性部材をインサート成形するので、
流路形成部材を金属などにより製作する必要がなく、複
雑な形状でも容易に製造できる上、導電性材料からなる
ケースと組み合わせることにより、検出用素子に対する
電磁シールドの効果を得ることができる。この結果、ガ
スセンサの製造の容易さと、内部に収納された検出用素
子への電気的なノイズに対する効果的な予防とを両立す
ることができる。
【0019】この製造方法において、検出用素子を流路
形成部材に取り付けた後、検出用素子から出力される信
号を処理する信号処理回路基板を、前記検出用素子の上
部空間に収納し、その後、ケースを、その内部に、検出
用素子と信号処理回路基板とを収納するように配置して
もよい。こうすれば、信号処理回路基板についても電磁
シールドの効果が得られるように、ガスセンサを容易に
製造することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例とし
てのガスセンサの分解斜視図である。このガスセンサ1
0は、超音波の伝搬速度がガス濃度により変化すること
を利用してガソリン蒸気の濃度を検出するセンサであ
る。このガスセンサは、例えば内燃機関を動力源とする
車両に搭載されたキャニスタから吸気通路にガソリンを
パージする通路に配置されて、パージされるガソリン濃
度を検出する目的などに用いられる。
【0021】(A)ガスセンサ10の全体構成:図1に
示したように、このガスセンサ10は、大きくは、濃度
を検出しようとするガスが通過する流路を形成する流路
形成部材20と、この流路形成部材20に一体に作り込
まれた収納部22に収納される検出用素子本体40、流
路を通過するガスの温度を検出するサーミスタ60、検
出用素子本体40の上部に配置される電子回路基板7
0、収納部22にはめ込まれる金属製のケース80から
構成されている。検出用素子本体40は、収納部22に
設けられた取り付け用凹部24に超音波溶着により固定
されており、サーミスタ60は、取り付け用の挿入孔2
5に挿入・固定されている。後述するように、検出用素
子本体40やサーミスタ60は、電気的な信号をやり取
りするための端子を有し、この端子は、電子回路基板7
0の対応する取り付け穴に挿入され、はんだ付けにより
固定される。ガスセンサ10は、これら検出用素子本体
40やサーミスタ60を収納部22に固定した後、信号
処理を行なう基板である電子回路基板70を取り付け、
更にケース80を収納部22にはめ込み、その上で、全
体をウレタンなどの樹脂によりモールドして製造されて
いる。なお、ガスセンサ10の製造工程については、
(F)で詳述する。
【0022】(B)流路形成部材20の構成:ガスセン
サ10の流路形成部材20は、ガラスフィラ入りの合成
樹脂を成形したものであり、その弾性率は、ガスセンサ
として適切な値に調整されている。この流路形成部材2
0は、図1に示したように、上部に検出用素子本体40
を収納する収納部22を備え、その下部に、検出用のガ
スが流通する流路を有する。主な流路としては、ガスセ
ンサ10にガソリン蒸気が含まれるガスを導入する導入
路27,このガスにおけるガソリン濃度を超音波により
検出するための測定室28,測定室28に対してガスを
バイパスするバイパス流路29が形成されている。測定
室28は、検出用素子本体40のほぼ直下に、バイパス
流路29は、サーミスタ60のほぼ直下に、それぞれ設
けられている。
【0023】こうした流路構造を詳しく説明するため
に、ガスセンサ10の垂直断面を図2に示す。図2は、
ガスセンサ10を、導入路27および検出用素子本体4
0の軸線を含む平面で切断した断面図である。なお、ガ
スセンサ10は最終的には樹脂(例えばウレタン)が充
填されてモールドされるが、図2では、図示の簡明さを
図って、全体をモールドする樹脂は描いていない。図2
に示したように、流路形成部材20の内部は、流路に着
目すれば、導入路27、測定室28、バイパス流路29
に分かれている。これらは、成形時の型を可動可能に設
けることにより容易に成形することができる。導入路2
7はバイパス流路29に直角に連通しており、更に導入
孔32を介して測定室28とも連通している。バイパス
流路29の下方は出口34が形成されており、導入路2
7から導入されたガソリン蒸気を含むガスは、出口34
から排出され、この実施例では、内燃機関の吸気通路に
図示しないホースにより接続されている。バイパス流路
29の出口34と反対側の端部は、サーミスタ60が取
り付けられる挿入孔25として形成される。従って、サ
ーミスタ60は、導入路27から流入したガスの温度に
所定の関係を持って、これを検出することになる。
【0024】測定室28は、上部が検出用素子本体40
が取り付けられる凹部24に連通しており、その下方に
は、超音波を反射するための反射部33が形成されてい
る。この反射部33の働きについては、後述するが、測
定室28の底部からは、所定距離(本実施例では数ミ
リ)持ち上げられた構造となっており、この反射部33
の周囲の空隙は、そのまま測定室28の底部に連通する
排出流路35を介してバイパス流路29につながってい
る。このため、導入路27から導入孔32を通って流入
したガスは、測定室28の内部に充満し、所定の割合
で、排出流路35からバイパス流路29に出ていく。な
お、排出流路35は、測定室28の底部に設けられてい
ることから、測定室28内の水蒸気やガソリン蒸気など
が結露して液化した場合、これらの水滴・油滴を排出す
るドレインとしても働く。反射部33の周囲の溝に溜ま
った液体が排出されやすいように、反射部33の周辺外
形は、排出流路35に向けて傾斜されている。
【0025】流路形成部材20の上部に形成された収納
部22には、上述したように、測定室28に連通する開
口を有する取り付け用凹部24や、サーミスタ取り付け
用の挿入孔25などが形成されているが、この収納部2
2に相当する場所には、図3に示した金属板36がイン
サート成形されている。この金属板36は、図示するよ
うに、収納部22の底面形状にほぼ倣う形状をしてお
り、取り付け用凹部24に対応する凹部37や、挿入孔
25に対応する開口部38などを有する。小径の開口部
39は、インサート成形時の位置決めと金属板36の固
定用に用いられる。この金属板36は、その一隅に切り
起こし部83を備える。この切り起こし部83は、イン
サート成形された後、図1に示したように、収納部22
の内側に立設された状態となり、電子回路基板70を取
り付ける際、基板上の取付孔72に挿入される。取付孔
72には、接地ラインに接続されたランドが用意されて
おり、切り起こし部83は、このランドにはんだ付けさ
れる。なお、電子回路基板70側の取付孔の内寸を、切
り起こし部83より小さくし、切り起こし部83を、内
側に導電材料がメッキされた取付孔72に圧入すること
で、機械的に電気的な接触を実現するものとしても良
い。もとより、圧接、嵌合、かみ合わせなどの手法を採
用することも可能である。
【0026】収納部22の内側の4つの隅部のうち、切
り起こし部83に隣接する1カ所には、電子回路基板7
0を載置する支持台を兼ねて、端子用凸部22aが設け
られている(図4および図7参照)。この外側には、電
気信号をやりとりするためのコネクタ31が形成されて
おり、コネクタ31を形成する端子は、収納部22の外
壁をこの部分で貫通している。コネクタ31には、入り
口側で3本の端子が用意されており、3本の端子の両側
の2本が、外部からこのガスセンサ10に電源を供給す
る電源ライン(グランドと直流電圧Vcc)、中心がガ
スセンサ10からの信号出力線SGNLとなっている。
このコネクタ31の端子は、収納部22側では、図4に
示すように、4本(31aないし31d)となってい
る。これは、グランド(接地)ライン用の端子31cが
途中で二股に分かれた形状をしているからである。二股
に分かれた端子のひとつ31dは、上方に延出されてお
り、ケース80を組み付けるとき、このケース80の対
応する位置に用意された挿入孔85に挿入される。挿入
後、端子31dは、ケース80にはんだ付けまたはロウ
付けされる。この結果、ケース80全体が接地ラインに
電気的に結合されていることになる。収納部22の隅部
のうち、残りの2カ所には、電子回路基板70を載置す
る目的で、図示しない支持台が形成されている。
【0027】(C)検出用素子本体40の構造:検出用
素子本体40の構造を、図5の断面図に示した。この検
出用素子本体40は、図1に示したように、組立後は円
盤形状となるが、これはフランジ部41を有する合成樹
脂製の素子ケース42の内部に、後述する圧電素子など
を収納したのち、ウレタンを内部に充填しているからで
ある。素子ケース42のフランジ部41は、収納部22
に設けられた取り付け用凹部24より大径に形成されて
おり、フランジ部41の下部の収容部43は、凹部24
より小径に形成されている。この素子ケース42単体の
状態では、収容部43の下面は開口されており、その端
面45の外側縁部には、段差部46が形成されている。
製造時には、この段差部46の内側に、耐ガソリン性の
ある材料を用いた円形の保護フィルム48が接着され
る。
【0028】保護フィルム48の中心には、円柱形状の
音響整合板50が接着・固定されており、この音響整合
板50の上面には超音波素子である圧電素子51が接着
・固定されている。音響整合板50は、圧電素子51の
振動を、保護フィルム48を介して効率よく、空気中に
(本実施例では測定室28へ)送出するために設けられ
ている。音波や超音波は、媒質の密度の差が存在する場
所で反射し易いので、圧電素子51を直接保護フィルム
48に接着するのではなく、音響整合板50を介して接
合することにより、圧電素子51の振動を効率よく超音
波として測定室28内に送出することができる。本実施
例では、音響整合板50として、多数の小さなガラス玉
をエポキシ系樹脂で固めたものを用いた。また、これら
の音響整合板50と圧電素子51とを取り囲むように、
筒体52が配置されている。この筒体52は、ポリエチ
レンテレフタレートフィルム52aに銅箔52cを接着
層52bを介して貼り合わされたものであり、銅箔52
c側を内側にして円筒形に巻き、端面を重ねて貼り合わ
せたものである。この筒体52の内径は、音響整合板5
0の外径と略一致しているので、筒体52は、音響整合
板50の外周に密着している。両者は接着されていな
い。
【0029】圧電素子51は、ピエゾなどの電歪素子を
円柱形に形成したものであり、軸方向上下面に形成され
た電極に電圧を印加した際、軸方向にのみ歪曲が生じる
ように、格子の方向を整えて切り出されている。圧電素
子51は、後述するように、超音波を測定室28内に送
出する送信器として働くが、同時に本実施例では超音波
振動を受信して電気信号を出力する受信器としても機能
する。もとより、送信用の素子と受信用の素子とを別々
に設けて、ガスセンサを作ることも可能である。圧電素
子51としては、圧電セラミックスや水晶などの結晶体
などを適宜用いることができる。電極は、特に図示しな
いが、圧電素子51の上下面に蒸着などの手法により形
成しても良いし、金属の薄板を貼り付けて構成しても良
い。
【0030】この圧電素子51の外径は、音響整合板5
0の外径より小さくされている。従って、これを囲繞す
る筒体52の内面と、圧電素子51の側面との間には、
間隙が形成されることになる。筒体52と音響整合板5
0および圧電素子51との関係を図6に示した。図6
は、音響整合板50,圧電素子51,筒体52の関係を
示す分解斜視図である。図示するように、筒体52に
は、12個の開口53が設けられている。この開口53
は、圧電素子51の軸方向に沿って上方に偏位した位置
に設けられている。従って、組立後には、筒体52の開
口53は、音響整合板50の外周ではなく、圧電素子5
1の外周に対応した位置に存在することになる。なお、
図6では、理解の便を図って、筒体52を形成する各層
52a,52b,52cについては、一体に描いてあ
る。
【0031】素子ケース42は、図5に示したように、
断面が略逆「L」字形状をしており、その内周面は、鉛
直面に対して所定の角度(本実施例では約11度)の傾
きでテーパが付けられている。従って、収容部43の外
壁に相当する部分は、下部、即ち保護フィルム48に近
づくにつれて厚みを増す。この結果、素子ケース42の
収容部43は、フランジ部41との付け根の付近で外壁
の厚みが薄く、可撓性に富み、その下端では、保護フィ
ルム48を貼付する充分な面積を用意している。この素
子ケース42は、ほぼ円筒形に形成されているものの、
端子55a,55bが埋設されている箇所だけ、内側に
突出した形状を有する。この突出部56a,56bに埋
設された端子55a,55bは、「L」字形状に曲って
おり、その下端には、リード線54a,54bがはんだ
付けされる。端子55a,55bの上端は、電子回路基
板70の対応する取り付け孔に挿入され、その場所に用
意されたランドにはんだ付けされる。こうして圧電素子
51のリード線54a,54bの取付を終えてから、素
子ケース42の内部にはウレタンが充填されている。
【0032】素子ケース42は、フランジ部41の下面
略中央に、溶着用の突起59を円周状に備えている。こ
の突起59は、超音波溶着時に溶融して、フランジ部4
1を、収納部22にしっかりと固着する。
【0033】(D)電子回路基板70とその回路および
ガス濃度検出の手法:次に、電子回路基板70の構造
と、その取付について説明する。電子回路基板70は、
ガラスエポキシ基板に予めエッチング等により回路パタ
ーンを形成したものであり、部品の取付位置にランドや
スルーホールが設けられている。また、既に説明したよ
うに、検出用素子本体40やサーミスタ60、あるいは
コネクタ31の端子31a〜31c、切り起こし部83
などが取付られる部位には、それぞれの端子形状に合わ
せた大きさの取付孔が設けられ、その周囲をランドパタ
ーンが取り巻いている。従って、完成した電子回路基板
70は、所定の位置に、信号処理用の各種部品、例えば
信号処理用の集積回路(IC)や、抵抗器,コンデンサ
などが取り付けられており、これを、検出用素子本体4
0やサーミスタ60の取付が完了した収納部22に装着
し、はんだ付けを行なうことで、電気的な回路構成は完
了する。ガスセンサ10の製造としては、最終的には樹
脂モールドを行なうが、この点は、後で製造方法の項で
一括して説明する。
【0034】各種端子を電子回路基板70にはんだ付け
する際、図4に示したコネクタ31の端子31dは、対
応するランドが、電子回路基板70にはなく、端子31
dは、電子回路基板70に設けられた貫通孔を通過する
だけになっている。この様子を図7に示した。図示する
ように、端子31dは、電子回路基板70に設けられた
貫通孔を通過し、ケース80の挿入孔85に挿入され、
ここで、ケース80にはんだ付け、またはロウ付けされ
る。
【0035】こうして完成したガスセンサ10の電気的
な構成を、図8のブロック図に示す。図示するように、
この電子回路基板70は、マイクロプロセッサ91を中
心に構成されており、マイクロプロセッサ91に接続さ
れた各回路素子、即ち、タイマ90、デジタル−アナロ
グコンバータ(D/Aコンバータ)92、ドライバ9
3、増幅器96が接続されたコンパレータ97等を備え
る。サーミスタ60は、直接マイクロプロセッサ91の
アナログ入力ポートPAPに接続されている。また、ド
ライバ93と増幅器96は、検出用素子本体40に接続
されている。
【0036】タイマ90は、時間を精密に計測するため
のものであり、後述するガソリンの濃度検出において、
検出用素子本体40から送信された超音波が、ガソリン
蒸気が存在する測定室28において、反射部33に反射
して戻ってくるまでの時間を正確に計測するのに用いら
れる。ドライバ93はマイクロプロセッサ91からの指
令を受けて、所定時間、検出用素子本体40の圧電素子
51を駆動する回路である。このドライバ93は、マイ
クロプロセッサ91からの指令を受けると、複数個の矩
形波を出力する。ドライバ93が出力するこの矩形波の
信号を受けると、圧電素子51は振動し、送信器として
機能して、超音波を測定室28内に送出する。
【0037】測定室28内に送出された超音波は、比較
的高い指向性を保ったまま直進し、測定室28底部の反
射部33に反射して戻ってくる。戻ってきた超音波が保
護フィルム48に到達すると、保護フィルム48および
音響整合板50を介して、圧電素子51にその振動は伝
わり、圧電素子51は今度は受信器として機能して、振
動に応じた電気信号を出力する。この様子を、図9に示
した。図において、区間P1は、ドライバ93が信号を
出力しており、圧電素子51が送信器として機能してい
る期間を、区間P2は、反射部33で反射した超音波に
より振動が圧電素子51に伝わり、圧電素子51が受信
器として機能している期間を、それぞれ示している。
【0038】受信器として機能した際の圧電素子51の
信号は、増幅器96に入力されて増幅される。この増幅
器96の出力は、コンパレータ97に入力されており、
ここで予め用意された閾値Vref と比較される。閾値V
ref は、ノイズなどの影響により増幅器96が出力する
誤信号を弁別できるレベルである。誤信号としては、ノ
イズなどによるものの他、検出用素子本体40自身が持
っている残響などの影響によるものがある。
【0039】コンパレータ97は、増幅器96からの信
号を閾値Vref と比較することにより、圧電素子51が
受信した振動の大きさが所定以上になったときにその出
力を反転する。このコンパレータ97の出力をマイクロ
プロセッサ91により監視し、圧電素子51からの最初
の超音波の出力タイミング(図9タイミングt1)か
ら、コンパレータ97の出力が反転するまで(図9タイ
ミングt2)の時間Δtを計測することにより、超音波
が測定室28内の反射部33までの距離Lを往復するの
に要した時間を知ることができる。超音波が、ある媒質
中を伝搬する速度Cは、次式(1)に従うことが知られ
ている。
【0040】
【数1】
【0041】この式(1)は、複数の成分が混在してい
るガスについて成り立つ一般式であり、変数nは、第n
成分についてであることを示すサフィックスである。従
って、Cpnは測定室28内に存在するガスの第n成分
の定圧比熱、Cvnは測定室28のガスの第n成分の定
積比熱、Mnは第n成分の分子量、Xnは第n成分の濃
度比を表している。また、Rは気体定数、Tは測定室2
8内のガスの温度、である。ガスに関する比熱などは知
られているので、伝搬速度Cは、測定室28内のガスの
温度Tと濃度比Xnのみにより定まることになる。超音
波の伝搬速度Cは、圧電素子51から反射部33までの
距離Lを用いて、 C=2×L/Δt …(2) と表せるから、Δtを計測すれば、濃度比Xn、即ち、
ガソリン濃度を求めることができる。なお、本実施例で
は、ガソリン蒸気の濃度を検出したが、濃度が既知の場
合には、温度Tや伝搬距離Lを求めるセンサとして用い
ることも可能である。
【0042】マイクロプロセッサ91は、上記の式に従
う演算を高速に行ない、求めたガソリン濃度に対応した
信号をD/Aコンバータ92を介して出力する。この信
号SGNLがコネクタ31の端子31bを介して外部に
出力される。実施例では、この信号SGNLは、内燃機
関の燃料噴射量を制御しているコンピュータに出力さ
れ、ここで、キャニスタからのガソリンのパージ量を勘
案して、燃料噴射量を補正するといった処理に用いられ
る。なお、図8には、電源関係のラインは特に図示しな
かったが、マイクロプロセッサ91を初めとする各素子
には、いずれも直流電圧Vccを供給する電源ラインと
グランド(接地ライン)とが接続されている。このうち
接地ラインは、既に説明したように、流路形成部材20
の収納部22の位置にインサート成形された金属板36
とケース80とに接続されている。図8では、これらの
部材は模式的に描いたが、金属板36(図3参照)とケ
ース80(図1参照)とは、互いに組み合わさって検出
用素子本体40を覆う箱体を構成しており(図2参
照)、これを同電位に保っていることから、電気的には
電磁シールドを実現している。従って、内部に収納され
た検出用素子本体40や電子回路基板70は、その外部
からのノイズに対して効果的に保護される。
【0043】(E)実施例の作用・効果:以上説明した
本実施例のガスセンサによれば、流路形成部材20の測
定室28に導入されたガスにおけるガソリン蒸気の濃度
を、超音波を用いて精度良く検出することができる。そ
の際に、検出用素子本体40および電子回路基板70
は、電気的に導通された金属板36とケース80との内
部に収納されており、電磁シールドにより、外部の電磁
波に対して、高い耐ノイズ性能を示す。この結果、自動
車など、ノイズ源の存在する民生機器などにおいても、
検出精度を充分に保つことができる。また、この金属板
36とケース80とを電子回路基板70の接地ラインに
接続しているので、更に耐ノイズ性能を高くすることが
できる。なお、本実施例では、接地ラインに接続した
が、電源ラインVccに接続しても、ノイズに対する性
能は、ほぼ同じように向上する。
【0044】しかも、金属板36は流路形成部材20の
収納部22の底部にインサート成形されており、電磁シ
ールドの効果を得る上では、金属板36と80とを組み
合わせるだけでよく、流路形成部材20の複雑な形状の
成形のしやすさと、電磁シールド効果を簡易な構成で実
現したいという相反した要求を、共に満足することがで
きる。また、本実施例では、金属板36と電子回路基板
70とケース80との電気的な導通を取るのに、切り起
こし部83と端子31dを用いている。従って、これら
の電気的な導通を容易に実現することができる。しか
も、コネクタ31dを二股に分け、端子31d自身は電
子回路基板70にはんだ付けされていないので、一つの
端子が2箇所ではんだ付けされることがなく、例えば周
囲の温度が上昇して熱膨張などが生じても、端子の接合
箇所に機械的なストレスが生じにくいという効果も得ら
れる。
【0045】(F)ガスセンサの製造方法:次に、本実
施例におけるガスセンサ10を製造する方法について、
説明する。図10は、ガスセンサの製造工程を示す工程
図である。図示するように、このガスセンサ10を製造
するに際しては、まず圧電素子を組み立てる作業を行な
う(工程S100)。この工程は、図11に示すよう
に、保護フィルム48を所定形状(実施例では円形)に
切り出し、その中心に音響整合板50を接着する。更
に、その上に、圧電素子51を中心を合わせて接着す
る。このとき、中心を合わせるように、治具を用いても
良い。接着時の様子を図11(A)に、接着後の様子を
(B)に示した。図示するように、接着後、圧電素子5
1の電極には、リード線54a,54bを、はんだ付け
や放電溶接などの手法により接続する。
【0046】他方、こうして得られた圧電素子組立を封
入する素子ケース42を用意する(工程S110)。素
子ケース42は、図12(A)に示すように、ガラスフ
ィラー入りの合成樹脂を型に流し込んで製造する。もと
より、削り出しなどの手法によっても良い。素子ケース
42の内側に設けられた突出部56a,56bには、端
子55a,55bが、インサート成形される。
【0047】次に、検出用素子本体を組み立てる作業を
行なう(工程S120)。この工程では、まず、工程S
110で製造した素子ケース42に、工程S100で組
み立てた圧電素子組立を組み付ける。この作業は、図1
2(B)に示したように、圧電素子組立を、その保護フ
ィルム48の外周を、素子ケース42の下方端面45に
接着剤で貼付し、固定することで行なう。端面45の外
周には、段差部46が設けられているので、端面45に
保護フィルム48を位置決めして接着するのは容易であ
る。この状態で、図13(A)に示したように、筒体5
2を、素子ケース42の開口側から挿入し、音響整合板
50の外周に嵌め込む作業を行なう(工程S130)。
作業に先立って、銅箔52cを接着層52bを介してポ
リエチレンテレフタレートフィルム52aに張り合わせ
たものを、予め音響整合板50の外径に合わせた内径に
巻き、筒体52として製造しておく。筒体52は、特に
接着などはせず、音響整合板50に嵌め合わせただけで
ある。
【0048】この状態で、圧電素子51から延びる2本
のリード線54a,54bを、端子55a,55bには
んだ付けなどの手法で接続する作業を行なう(工程S1
40)。以上の処理により、図13(B)に示したよう
に、検出用素子本体40に必要に部品は全て組み付けら
れる。そこで、次に素子ケース42の開口側から、ウレ
タンを充填する処理を行なう(工程S150)。充填後
の状態を図13(C)に示した。
【0049】以上説明した検出用素子本体40の製造と
は別に、流路形成部材20の製作が行なわれる。この工
程を工程S200以下に示した。流路形成部材20の製
作に際しては、まず金属板をプレス加工して、インサー
ト成形用の金属板36を成形する処理を行なう(工程S
200)。本実施例で用いた金属板36では、略長方形
の金属板(実施例では錫メッキ鋼板)をプレス加工する
ことにより、凹部37や開口部38,39などを一度に
形成している。切り起こし部83は、一度のプレス加工
で製作することもできるが、寸法精度を出すために、本
実施例では、3辺を一括してカットする加工と、折り曲
げ加工を別々のプレスにより行なっている。
【0050】次に、流路形成部材20を、その内部に金
属板36を備えるようにインサート成形する処理を行な
う(工程S210)。流路形成部材20は、ガラスフィ
ラー入りの合成樹脂を用いて成形する。金属板36は、
流路形成部材20の成形時に、開口部39を用いて、形
成後の収納部22の底部に埋設される位置に保持され
る。また、このとき同時に、コネクタ31の端子31a
ないし31dも、インサート成形される。
【0051】こうして流路形成部材20を製作した後、
この流路形成部材20の収納部22に、既に製造してお
いた検出用素子本体40を溶着する作業を行なう(工程
S230)。溶着は、超音波溶着により行なう。これは
検出用素子本体40を所定の治具に取り付けた上で、凹
部24の中心に検出用素子本体40の中心を一致させた
上で、この治具ごと超音波領域の振動数で振動させ、そ
のフランジ部41の下面を収納部22の接合面に強く打
ちつける。フランジ部41の下面には、突起59が形成
されているから、超音波振動による力は全てこの突起5
9に集中することになり、突起59は機械的なエネルギ
が集中することにより加熱され、やがて溶融する。この
結果、検出用素子本体40は、フランジ部41下面で、
流路形成部材20の収納部22の接合面に隙間なく溶着
する。検出用素子本体40の取り付けの前後の様子を、
図14(A)(B)に示した。なお、溶着は、熱板溶着
など、他の手法に拠っても良い。
【0052】検出用素子本体40の取り付けと前後し
て、サーミスタ60を流路形成部材20の挿入孔25に
取り付ける作業も行なう(工程S240)。その後、検
出用素子本体40の上に緩衝材88を載置する(工程S
250)。緩衝材88は、検出用素子本体40と略同一
の外径に形成された発泡体であり、その厚さは数ミリで
ある。この緩衝材88には、検出用素子本体40から上
方に突き出た端子55a,55bが貫通する開口も設け
られている。緩衝材88は、この後の工程で取り付けら
れる電子回路基板70と検出用素子本体40との間に介
装され得る厚みを有し、後述する工程で充填されるウレ
タンが検出用素子本体40の周囲を埋め尽くさないよう
にする目的で用いられている。
【0053】緩衝材88を配置した後、図15(A)に
示したように、電子回路基板70上に用意された取り付
け孔に、次の4つの部材を嵌め合わせつつ、基板70
を、上方から、収納部22に収納する(工程S26
0)。即ち、 ・金属板36から切り起こされて収納部22底部に立設
している切り起こし部83、 ・検出用素子本体40から突出した端子55a,55
b、 ・サーミスタ60の端子、 ・コネクタ31の4本の端子31a〜31d、 の4つの部材を、電子回路基板70の所定の取付孔に嵌
合する。このうちコネクタ31の端子31d以外を、電
子回路基板70上の取付孔周囲に設けられたランドには
んだ付けする。
【0054】次に、図15(B)に示したように、この
収納部22にケース80を取り付ける作業を行なう(工
程S270)。このとき、ケース80に設けられた挿入
孔85に、コネクタ31の端子31dを貫通させ、その
後、これをはんだ付けまたはロウ付けする。これでケー
ス80の取付作業は完了する。その後、収納部22内に
樹脂(本実施例ではウレタン)を充填する作業を行なう
(工程S280)。ウレタンで検出用素子本体40や電
子回路基板70をモールドするのである。なお、図15
では、樹脂モールドに用いた樹脂は描いていない。その
後、測定室28に濃度を他の検出装置で検出したガソリ
ン蒸気を含むガスを導入し、ガスセンサ10を動作させ
て、その出力を較正(キャリブレーション)する処理を
行なう(工程S290)。ガスセンサ10の較正は、こ
の実施例では、検出結果から、ガスセンサ10の出力と
他の測定装置で検出済みのガソリン濃度との関係を示す
較正曲線を求めて、これをマイクロプロセッサ91に内
蔵したEEPROMに書き込むことで行なったが、ウレ
タンの充填前に、電子回路基板70上に用意したトリマ
などを調整することで行なうようにしても良い。後者の
場合には、ケース80に調整用の工具を差し入れるため
の開口部を設けておき、ケース80を取り付けた状態
(樹脂モールド未実施の状態)で調整を行なうことが望
ましい。
【0055】以上説明したガスセンサの製造方法によれ
ば、インサート成形という手法を用いて、合成樹脂によ
り流路形成部材20を形成する際に、金属板36を、収
納部22の底部に配置することができ、これと電気的に
接続されたケース80とが取り囲む空間内に、検出用素
子本体40と電子回路基板70とを容易に配置すること
ができる。このため、製造の容易さと、センサとしての
機能部品に対する電磁シールドの効果を確保することと
を、両立させることができる。
【0056】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明のこうした実施例に何ら限定されるものでは
なく、本発明の要旨を変更しない範囲内において、例え
ば超音波を用いた温度センサや比熱センサ、あるいは超
音波以外の手法により、ガスの種々の性質を検出するセ
ンサなどに適用することができることは勿論である。ま
た、ケースとしては、実施例では、金属板から形成した
ケース80を用いたが、必ずしもこうした形態のケース
に限定する必要はなく、例えば電子回路基板70の裏表
の一面、あるいは多層基板であれば内面を含むいずれか
の一ないし複数の面に、電源ラインの一方(例えば接地
ライン)に接続されたベタパターンを形成し、このベタ
パターンを、インサート形成された金属板36に電気的
に接続し、ケースとして用いても良い。この場合、検出
用素子本体40は、金属板36と電子回路基板70のベ
タパターンとに取り囲まれて電磁シールドされることに
なり、検出用素子本体40は外部からのノイズの影響を
受けにくくなることは、上述した実施例と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のガスセンサ10の概略構成を示す分解
斜視図である。
【図2】ガスセンサ10の構造を示す断面図である。
【図3】流路形成部材20にインサート成形された金属
板36の形状を示す説明図である。
【図4】コネクタ31に設けられた端子31aないし3
1dの形状を示す斜視図である。
【図5】検出用素子本体40の構造を示す断面図であ
る。
【図6】音響整合板50,圧電素子51と筒体52の構
造を示す分解斜視図である。
【図7】コネクタ31の端子31aないし31dと電子
回路基板70およびケース80との接続の様子を示す模
式図である。
【図8】電子回路基板70の内部の電気的な構成を示す
説明図である。
【図9】超音波を用いたガス濃度の検出の原理を説明す
る説明図である。
【図10】実施例におけるガスセンサ10の製造方法を
示す工程図である。
【図11】圧電素子組立の様子を示す説明図である。
【図12】圧電素子組立を素子ケース42に組み付ける
手順を示す説明図である。
【図13】検出用素子本体40を製造する処理を順に示
す説明図である。
【図14】検出用素子本体40を流路形成部材20の収
納部22に組み付ける様子を示す説明図である。
【図15】電子回路基板70とケース80との取付の様
子を示す説明図である。
【符号の説明】
10…ガスセンサ 20…流路形成部材 22…収納部 24…凹部 25…挿入孔 27…導入路 28…測定室 29…バイパス流路 31…コネクタ 31a〜31d…端子 32…導入孔 33…反射部 34…出口 35…排出流路 36…金属板 37…凹部 38…開口部 39…開口部 40…検出用素子本体 41…フランジ部 42…素子ケース 43…収容部 45…端面 46…段差部 48…フィルム 50…音響整合板 51…圧電素子 52…筒体 52a…ポリエチレンテレフタレートフィルム 52b…接着層 52c…銅箔 53…開口 54a,54b…リード線 55a,55b…端子 56a,56b…突出部 59…突起 60…サーミスタ 70…電子回路基板 72…取付孔 80…ケース 83…切り起こし部 85…挿入孔 88…緩衝材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 剛史 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 伴野 圭吾 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 石田 昇 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 Fターム(参考) 2G047 AA01 AC05 BA03 BC02 CA01 EA04 EA16 GA02 GA03 GA09 GB12 GB28 GG30 GG33 GG43

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検出対象物が所定体積の流路に存在する
    気体であり、該流路を形成する流路形成部材と、該流路
    に臨んで設けられ、前記気体の性質を検出する検出用素
    子とを備えたガスセンサであって、 前記流路形成部材は、合成樹脂を用いて形成され、前記
    検出用素子が取り付けられる部位の周辺に、所定面積を
    有する導電性部材をインサート成形してなり、 前記導電性部材が存在する部位の前記流路形成部材と組
    み合わされる導電性材料のケースを備え、 該組み合わされた前記ケースと前記流路形成部材との内
    部に、少なくとも前記検出用素子を収納した状態で、該
    ケースを前記導電性部材と電気的に接続する接続部材を
    設けたガスセンサ。
  2. 【請求項2】 前記導電性部材は、金属板であり、前記
    接続部材は、該金属板の一部を切り起こした接合片であ
    り、該接合片は、前記ケースに接合される請求項1記載
    のガスセンサ。
  3. 【請求項3】 前記接合片と前記ケースとの接合は、は
    んだ付け、ロウ付け、溶接などの金属材料を用いた手法
    により行なわれる請求項2記載のガスセンサ。
  4. 【請求項4】 前記接合片と前記ケースとの接合は、圧
    接、嵌合、かみ合わせなどの機械的接触の手法により行
    なわれる請求項2記載のガスセンサ
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれか記載
    のガスセンサであって、 前記検出用素子の上部には、該検出用素子からの出力信
    号を処理する信号処理回路基板を設け、該信号処理回路
    基板は、該検出用素子と共に、前記ケースと前記導電性
    部材とを組み合わせた内部に収納され、該信号処理回路
    基板上のインピーダンスの低い電気配線が、前記ケース
    または前記導電性部材の少なくとも一方と電気的に接続
    されたガスセンサ。
  6. 【請求項6】 前記インピーダンスの低い電気配線は、
    該信号処理回路基板に電源を供給するラインの一つであ
    る請求項5記載のガスセンサ。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のガスセンサであって、 前記流路形成部材の一部には、当該ガスセンサを外部と
    接続するコネクタが形成されており、 該コネクタに設けられた接続用端子の少なくとも一つ
    は、他の接続用端子より延出されており、 該延出された接続用端子は、前記インピーダンスの低い
    電気配線である電源供給用のラインに電気的に接続され
    ており、かつ該接続用端子は、前記ケースまたは前記導
    電性部材の少なくともいずれか一方に、接続されている
    ガスセンサ。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のガスセンサであって、 前記延出された接続用端子は、前記信号処理回路基板と
    は、機械的には結合されておらず、該延出された接続用
    端子と電気的に接続された他の接続用端子が、前記信号
    処理回路基板と電気的かつ機械的に結合されたガスセン
    サ。
  9. 【請求項9】 請求項5記載のガスセンサであって、 前記信号処理回路基板は、前記ケースまたは前記導電性
    部材の少なくともいずれか一方から立設された導電性の
    接続片を介して、前記電気的に接続されたガスセンサ。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項4のいずれか記
    載のガスセンサであって、 前記検出用素子の上部には、該検出用素子からの出力信
    号を処理する信号処理回路を搭載した基板を設け、該基
    板には、その一面の略全域に亘って、電源ラインの一方
    に接続された導電性のパターンを形成し、該パターンと
    前記インサート成形された導電性部材とを電気的に接続
    し、該パターンを前記ケースとして用いたガスセンサ。
  11. 【請求項11】 前記検出用素子は、前記流路に存在す
    るガスの濃度を検出する素子である請求項1ないし請求
    項10のいずれか記載のガスセンサ。
  12. 【請求項12】 前記検出用素子は、超音波の伝搬速度
    あるいは伝搬時間を検出することにより、ガス濃度を検
    出する素子である請求項11記載のガスセンサ。
  13. 【請求項13】 前記ケースが前記流路形成部材に取り
    付けられた状態で、該ケースおよびその内部に収納され
    た検出用素子を、モールドにより一体化した請求項1な
    いし請求項11のいずれか記載のガスセンサ。
  14. 【請求項14】 検出対象物が所定体積の流路に存在す
    る気体であり、該流路を形成する流路形成部材と、該流
    路に臨んで設けられ、前記気体の性質を検出する検出用
    素子とを備えたガスセンサの製造方法であって、 前記流路形成部材は、合成樹脂を用いて形成する際、前
    記検出用素子が取り付けられる部位の周辺に、所定面積
    を有する導電性部材をインサート成形し、 該流路形成部材に、前記検出用素子を取り付けた後、 導電性材料のケースを、前記導電性部材が存在する部位
    の前記流路形成部材と組み合わされる位置に配置し、 該組み合わされた前記ケースと前記流路形成部材との内
    部に、少なくとも前記検出用素子を収納した状態で、該
    ケースを前記導電性部材と電気的に接続するガスセンサ
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項14記載のガスセンサの製造方
    法であって、 前記検出用素子を前記流路形成部材に取り付けた後、該
    検出用素子から出力される信号を処理する信号処理回路
    基板を、前記検出用素子の上部空間に収納し、 その後、前記ケースを、前記内部に、前記検出用素子と
    前記信号処理回路基板とを収納するように配置するガス
    センサの製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項14または請求項15に記載の
    ガスセンサの製造方法であって、 前記ケースと前記導電性部材との電気的な接合の後に、
    該ケースおよび前記内部を、モールドにより一体化する
    ガスセンサの製造方法。
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