JP2004325032A - 除湿空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸着剤で充填された通路を有する除湿空調装置に関し、壁面効果による水分吸着量の不均一を改良することができる除湿空調装置を提供する。
【解決手段】被除湿空気が流れる第1通路11を並設して形成される第1流路部分10と、熱交換用空気が流れる第2通路21を並設して形成される第2流路部分20と、を交互に積層してなる除湿空調装置1であって、第1通路11は、吸着剤15が充填された上流側の第1充填部分12と、吸着剤15が充填された下流側の第2充填部分14と、第1充填部分12と第2充填部分14の間に空気混合用の空間を有する中間部分13とを備えてなる除湿空調装置1とする。
【選択図】 図1
【解決手段】被除湿空気が流れる第1通路11を並設して形成される第1流路部分10と、熱交換用空気が流れる第2通路21を並設して形成される第2流路部分20と、を交互に積層してなる除湿空調装置1であって、第1通路11は、吸着剤15が充填された上流側の第1充填部分12と、吸着剤15が充填された下流側の第2充填部分14と、第1充填部分12と第2充填部分14の間に空気混合用の空間を有する中間部分13とを備えてなる除湿空調装置1とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被除湿空気を除湿する吸着剤が充填された通路を並設した第1流路部分と、熱交換用空気が流れる第2流路部分とを交互に積層してなる除湿空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、吸着剤を担持した除湿空調装置に被除湿空気を通過させて空気中の水分を取り除く技術が導入されている。
下記特許文献1には、流路の内面に吸着剤を有するクロスフロー型除湿空調装置が開示されている。このクロスフロー型除湿空調装置は、吸着剤を内部に担持した通路を並設した第1流路部分と、熱交換用空気が流れる第2流路部分とを、熱伝達可能となるように交互に積層したものである。
このクロスフロー型除湿空調装置では、通路における除湿効果を上げるために、通路の断面の全体に吸着剤がいきわたるような構成で吸着剤が充填されている。
【0003】
吸着工程においては、第1流路部分に被除湿空気を流し、吸着剤に被除湿空気の湿度が吸着される。このとき、吸着剤は吸着熱を発生する。この吸着熱は第2流路部分に伝えられ、第2流路部分を流れる冷却空気によって冷却される。
【0004】
また、脱着工程においては、第2流路部分に高温空気を流し、吸着剤の温度を上げて第1流路部分に吸着した水分を脱着させる。この際、第1流路部分にパージガスを流して、脱着した水分を取り除いている。
【0005】
上記吸着工程において、通路出口の被除湿空気の平均の湿度が一定の湿度を超える状態(以下、「破過状態」と呼ぶ。)が発生することがある。この状態は、吸着剤の許容量を超えて、被除湿空気が供給された場合に発生するが、流れ方向断面で、不均一な吸着が起きている場合には、吸着剤が吸着余力を十分に残した状態でも破過状態に至る場合がある。このような状態が頻繁に発生する空調システムの場合、吸着と脱着の切替時間が必要以上に短くなり、エネルギー消費効率であるCOPが低下するという問題点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平2001−62242号公報
【0007】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を鑑みてされたものであり、吸着剤が充填された通路を有する除湿空調装置に関し、水分吸着の不均一を改良することができる除湿空調装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の除湿空調装置は、被除湿空気が流れる第1通路を並設して形成される第1流路部分と、熱交換用空気が流れる第2通路を並設して形成される第2流路部分と、を交互に積層してなる除湿空調装置であって、前記第1通路は、吸着剤が充填された上流側の第1充填部分と、吸着剤が充填された下流側の第2充填部分と、前記第1充填部分と前記第2充填部分の間に空気混合用の空間を有する中間部分とを備えてなることを特徴としている。
【0009】
第1充填部分の全体に吸着剤を充填した場合、流路中心付近では吸着剤が最密充填に近い状態に保持され空隙率が低いのに対し、流路の壁際では壁の影響により最密充填にはならず空隙率が高くなる。そのため被除湿空気が除湿空調装置の壁際に多く流れる現象が生じる(以下、「壁面効果」と呼ぶ。)。この壁面効果により、流路壁際の吸着剤には被除湿空気が多く供給され、許容量に早く達するのに対して、流路中心付近の吸着剤には被除湿空気の供給が少なく、許容量に達するまでの時間が長い。破過状態は、流路壁際の吸着剤の許容量を超えた時点で観察されるため、中心付近の吸着剤に余力を残したまま、切り替えざるを得なくなる。しかし、この請求項1の構成によると、第1通路の第1充填部分を通過した、湿分の高い壁際の被除湿空気と、乾燥した中心部の被除湿空気との湿分とを中間部分で均一に混合することができる。従って、壁面効果が弱められ、第2充填部分で再度水分が吸着されるため、第1通路出口で破過状態に至るまでの時間が長くなる効果が得られる。
【0010】
請求項2に記載の除湿空調装置は、請求項1に記載の除湿空調装置であって、前記第1通路の全長を1としたとき、前記第1充填部分の長さは、0.5〜0.8の範囲内にあり、前記中間部分の長さは、0.05〜0.2の範囲内にあることを特徴としている。
【0011】
この請求項2の構成によると、第1充填部分で十分な水分吸着を進行させ、中間部分で不均一となった空気を混合し、第2充填部分で残りの水分を吸着するため、吸着剤を効果的に利用することができ、吸着剤を充填しない中間部分を薄くすることができる。
【0012】
請求項3に記載の除湿空調装置は、請求項1または2に記載の除湿空調装置であって、前記中間部分に空気を混合させる攪拌部材を設けたことを特徴としている。
【0013】
この請求項3の構成によると、中間部分での空気混合が攪拌部材により更に改善される。
【0014】
請求項4に記載の除湿空調装置は、請求項1または2に記載の除湿空調装置であって、上流側の前記第1充填部分が、流れ方向に沿って分割されている。
【0015】
この請求項4の構成によると、第1通路の第1充填部分を流れ方向に沿って分割することにより、第2充填部分および中間部分よりも細かい幅で第1充填部分を構成することができる。従って、第1充填部分における吸着剤への熱伝達性能が向上するとともに、中間部分における空気の混合性能が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明にかかる除湿空調装置の一実施形態例について説明する。
【0017】
まず、本発明に係る除湿空調装置の第1実施形態例の構造について説明する。図1及び図2は、本発明に係る除湿空調装置の第1実施形態例を示したものである。図1は、第1流路部分と第2流路部分の一部を示した斜視断面図である。図2は、除湿空調装置の斜視図である。
【0018】
図1に示すように、除湿空調装置1は、互いに熱伝達可能な分離された、被除湿空気を流す第1流路部分10と、熱交換用空気を流す第2流路部分20とを有している。第1流路部分10と第2流路部分20とは、図1に示すように、交互に90度ずつずらした状態で積層され、熱伝達可能となるように互いに接合される。従って、第1流路部分10と第2流路部分20の積層を繰り返すことにより、図2に示すような多層構造を形成している。
【0019】
第1流路部分10は、図1に示すように、被除湿空気を流す断面矩形の第1通路11を横一列に並設して形成されている。第1流路部分10は、アルミニウムその他の金属よりなる押出型材10aで筒状に形成されている。この押出型材10aは、第1平板10bと第2平板10cとの間に多数の仕切10dを設けたものであり、全体として筒状の平板となっている。被除湿空気は、第1通路11の一方から流され、押出型材10aの間を通って、第1通路11の他方から排出される。
【0020】
第2流路部分20は、図1に示すように、熱交換用空気を流す第2通路21を併設して形成されている。第2流路部分20は、アルミニウムその他の金属のシートを折り曲げ加工した波板20aで形成されている。熱交換用空気は、第2通路21の一方から流され、波板20aの間を通って、第2通路21の他方から排出される。
【0021】
また、第1通路11は、図1に示すように、第1充填部分12と、第2充填部分14と、前記第1充填部分12と前記第2充填部分14の間に中間部分13とを備えてなる。
【0022】
第1充填部分12及び第2充填部分14においては、第1通路11全体に吸着剤15が充填されている。吸着剤15は、球状のシリカゲル(直径3〜7mm程度)、あるいは、ペレット(円柱)状の合成ゼオライト(直径3〜5mm、長さ5〜10mm程度)等で構成される。中間部分13は、空気混合用の空間を形成しており、吸着剤が充填されていない。なお、吸着剤15は第1通路11全体に充填されているが、図1においては、吸着剤15のうち、第1通路11中心部の吸着剤15aおよび第1通路11壁際の吸着剤15bのみを表示し、その他の吸着剤15は図示省略している。
【0023】
中間部分13と第1充填部分12及び第2充填部分14との間は、中間部分13への吸着剤15の侵入を防ぐため、吸着剤15よりもメッシュの細かいパンチングメタルや金網等の薄くて熱容量の小さい材料により区切り16を設けている。
【0024】
第1充填部分12は、第1通路11の上流側である前半部分に構成される。特に、第1通路11の全長を1とすると、第1充填部分12の長さは0.5〜0.8の範囲内であることが望ましい。
【0025】
中間部分13は、第1充填部分12の下流側であって、第1充填部分12と第2充填部分14の間に構成される。中間部分13の長さは短いほうが好ましいが、最低でも第1通路11の幅W程度の長さは必要である。特に、第1通路11の全長を1とすると、中間部分13の長さは0.05〜0.2の範囲内にあることが望ましい。
【0026】
第2充填部分14は、中間部分13の下流側であって、第1通路11の下流側である後半部分に構成される。第2充填部分14は、できるだけ後半部分に構成されることが好ましい。特に、第1通路11の全長を1とすると、第2充填部分14の長さは、上述した第1充填部分12と中間部分13の長さを差し引いた残りの範囲内であることが望ましい。
【0027】
また、図1に示すように、第1通路11の第1充填部分12の面積と、中間部分13の面積と、第2充填部分14の面積とは同じになるように構成されている。
【0028】
次に、本発明に係る除湿空調装置の第2実施形態例の構造について説明する。図3は、第2実施形態例に係る除湿空調装置101の第1流路部分110の平面断面図である。
【0029】
第1実施形態例に係る除湿空調装置1と同様に、除湿空調装置101の第1流路部分110は、図3に示すように、被除湿空気を流す第1通路111を並設して形成されている。また、第1通路111は、図3に示すように、第1充填部分112と、第2充填部分114と、前記第1充填部分112と前記第2充填部分114の間に中間部分113とを備えてなる。
【0030】
第1実施形態例に係る除湿空調装置1と同様に、第1充填部分112及び第2充填部分114においては、第1通路111全体に吸着剤が充填されている。中間部分113は、空気混合用の空間を形成しており、吸着剤が充填されていない。なお、中間部分113と第1充填部分112及び第2充填部分114との間は、中間部分113への吸着剤の侵入を防ぐため、吸着剤よりもメッシュの細かいパンチングメタルや金網等の薄くて熱容量の小さい材料により区切り116を設けている。
【0031】
各第1通路111は、中間部分113の流れ方向の略中央に、攪拌板117を有している。攪拌板117は、中間部分113の幅よりも狭い幅を有している。第1充填部分112を通過した被除湿空気は、中間部分113を通る際、攪拌板117に当たり、攪拌されて、第2充填部分114に流れる。
【0032】
また、第1通路111は、流れ方向に沿った面で分割された第1充填部分112と、第1充填部分112の全体の断面積を有する中間部分113と、この中間部分113と同じ断面積の第2充填部分114とを備えた押出型材110aから形成される。第2実施形態例に係る除湿空調装置101では、図3に示すように、第1通路111の第1充填部分112は、流れ方向に沿った面で2分割されている。
【0033】
なお、第2実施形態例に係る除湿空調装置101では、図3にあるように、第1通路111の中間部分113に攪拌板117を設け、かつ、第1通路111の第1充填部分112を流れ方向に沿った面で分割している。しかし、攪拌板117の設置および第1充填部分112の分割は、双方を同時に行う必要はなく、どちらか一方のみを行うものであってもよい。
【0034】
次に、本実施の形態に係る除湿空調装置1の作用について説明する。本実施の形態に係る除湿空調装置1を用いた除湿方法は、吸着工程と、脱着工程1と、脱着工程2とからなっている。
【0035】
吸着工程においては、第2流路部分20に熱交換用空気として冷却用空気を流しつつ、第1流路部分10に被除湿空気を流し、乾燥空気を得る。まず、被除湿空気は、除湿空調装置1に流され、第1通路11の第1充填部分12を通過する。ここで、第1充填部分12では壁面効果が発生するため、第1充填部分12における第1通路11の壁際に被除湿空気が多く流れる。したがって、第1充填部分12を通過した直後の被除湿空気は、第1通路11の壁際の被除湿空気は湿分が高く、第1通路11の中央部の被除湿空気は湿分が低くなっている。
【0036】
次に、第1充填部分12を通過した被除湿空気は、中間部分13に流れる。中間部分13においては、第1通路11の壁際の被除湿空気と、第1通路11の中央部の被除湿空気が混合される。したがって、中間部分13において、第1通路11の壁際の被除湿空気と、第1通路11の中央部の被除湿空気の湿分が均一に混合される。
【0037】
また、図3に示すように、攪拌板117が設置されている場合は、攪拌板117に被除湿空気がぶつかることにより、第1通路11の壁際の被除湿空気と、第1通路11の中央部の被除湿空気の混合が向上する。また、図3のように、第1充填部分112が分割され、中間部分113が広がることにより、被除湿空気の混合が向上する。
【0038】
最後に、中間部分13を通過して湿分が均一に混合された被除湿空気は、第2充填部分14に流れる。第2充填部分14においては、被除湿空気は再度水分が吸着され、除湿空調装置1から排出されて吸着工程が終了する。ここで、第2充填部分14に至る被除湿空気の乾燥は相当進んでいる為、第2充填部分14の長さが短くても、壁面効果は発生しにくい。したがって、第1通路11の壁際と、第1通路11の中央部とで、湿分はほぼ同程度の被除湿空気が得られる。
【0039】
吸着工程が終了すると、脱着工程に移行する。脱着工程1においては、第2流路部分20に熱交換用空気として高温空気を流し、第1流路部分10の吸着剤15に吸着している水分を脱着させる。この時、第1流路部分10には何も流さない。次に、脱着工程2においては、第1流路部分10にパージガスを流し、第1流路部分10に放出されている水分を追い出す。そして吸着工程に戻る。
【0040】
以上のように、本実施の形態に係る除湿空調装置1によると、第1通路11の第1充填部分12を通過した、湿分の高い壁際の被除湿空気と乾燥した中央部の被除湿空気の湿分が、中間部分13で均一に混合することにより、壁面効果が弱められる。そして、第2充填部分14で再度水分が吸着されるため、除湿空調装置1出口で破過状態にいたるまでの時間が長くなる効果が得られる。
【0041】
また、中間部分13に攪拌板を設けることにより、さらに第1通路11の第1充填部分12を通過した、湿分の高い壁際の被除湿空気と乾燥した中央部の被除湿空気の湿分の混合が向上して、破過時間が長くなる効果が得られる。
【0042】
さらに、第1通路11の流れ方向の下流側に中間部分13が設けられている。これにより、第1充填部分12が長くなり、壁面効果により圧力損失が減少し、被除湿空気を流すためのファン動力が小さくなる。また、中間部分13は吸着剤15が存在しないため、除湿空調装置1全体の熱容量が小さくなり、脱着工程で加熱しやすくなるという効果がある。
【0043】
さらに、第1充填部分12を分割して型材10aを形成することにより、断熱材とほぼ同様の物性値で熱の伝わりにくい吸着剤15の高速熱授受を行うことができ、吸着剤15への熱伝達性能が向上する効果がある。
【0044】
次に、本実施の形態に係る除湿空調装置1を用いて行った実験について、図4乃至図6を参照しつつ説明する。
【0045】
実験は、図3に示す除湿空調装置1を用いる。第1通路11は、幅30mm、高さ40mm、長さ400mmの押出型材10aにより構成されている。第2通路21は、波長10mm、波高40mm、長さ400mmの波板20aにより構成されている。また、吸着剤にはシリカゲルを用いる。
【0046】
図4は、図3に示す第1充填部分の点A(除湿空調装置入口)と点B(除湿空調装置中心)における、吸着工程における第1通路11の壁際の吸着剤15aと中心部の吸着剤15bの水分吸着量の時間変化の計算結果を示したグラフである。図5は、図3に示す第2充填部分14の点Dにおける、吸着工程における第1通路11の壁際の吸着剤15aと中心部の吸着剤15bの水分吸着量の時間変化の計算結果を示したグラフである。図6は、除湿空調装置1出口における絶対湿度と破過状態の関係を表したグラフである。
【0047】
第1充填部分12においては壁面効果が発生しているため、壁際に被除湿空気が多く流れる。したがって、図4に示すように、第1充填部分12の点Aと点Bの双方において、壁際の吸着剤15aの方が中心部の吸着剤15bよりも水分吸着量が多くなっている。
【0048】
一方、第1充填部分12を通過した後は、中間部分13を通って湿分が均一に混合された被除湿空気が、第2充填部分14に流れる。また、第2充填部分14は第1通路11の下流側後方部分に設けられており、長さが短いため壁面効果は発生しにくい。したがって、図5に示すように、第2充填部分14の点Dにおいては、壁際の吸着剤15aも中心部の吸着剤15bも水分吸着量がほぼ同じになっている。
【0049】
また、第1通路に中間部分を設けず、第1通路すべてに吸着剤を設置した場合、図6の点線で示すように、壁面効果により破過時間が短くなる。しかし、本実施の形態にかかる除湿空調装置1によると、図6の実線で示すように、壁面効果が弱められ、破過時間が長くなっている。
【0050】
なお、本発明に係る除湿空調装置は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能である。
【0051】
例えば、前記実施形態例において、押出型材で形成した第1流路部分と、波板で形成した第2流路部分とを交互に90度ずつずらした状態で積層し、互いに接合して、除湿空調装置を構成している。しかし、波板で形成した第1流路部分と、波板で形成した第2流路部分とを交互に90度ずつずらした状態で積層し、第1流路部分と第2流路部分の間に平板を挟み、平板に対して波板を接合して、除湿空調装置を構成してもよい。
【0052】
また、直交型の除湿空調装置ではなく、回転型の除湿空調装置であってもよい。すなわち、回転軸線の周りに回転駆動される円柱状のロータを有して、そのロータが回転軸線に平行な第1流路部分と垂直な第2流路部分を回転軸線回りに交差して設ける除湿空調装置の構造であってもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明に係る除湿空調装置によると、第1通路部分の第1充填部分を通過した、湿分の高い壁際の被除湿空気と、乾燥した中心部の被除湿空気との湿分を中間部分で均一に混合することができる。即ち、除湿工程に関し、壁面効果による水分吸着量の不均一を改良することができる。従って、壁面効果が弱められ、第2充填部分で再度水分が吸着されるため、除湿空調装置出口で破過状態に至るまでの時間が長くなる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る除湿空調装置の第1実施形態例を示すものであり、第1流路部分と第2流路部分の一部を示した斜視断面図である。
【図2】本発明に係る除湿空調装置の第1実施形態例を示すものであり、除湿空調装置の斜視図である。
【図3】本発明に係る除湿空調装置の第2実施形態例を示すものであり、第1流路部分の平面断面図である。
【図4】本発明に係る除湿空調装置の点Aおよび点Bにおける吸着剤の水分吸着量の時間変化の計算結果を示したグラフ図である。
【図5】本発明に係る除湿空調装置の点Cにおける吸着剤の水分吸着量の時間変化の計算結果を示したグラフ図である。
【図6】除湿空調装置出口における絶対湿度と破過状態の関係を表したグラフ図である。
【符号の説明】
1 除湿空調装置
10 第1流路部分
11 第1通路
12 第1充填部分
13 中間部分
14 第2充填部分
15 吸着剤
20 第2流路部分
21 第2通路
【発明の属する技術分野】
本発明は、被除湿空気を除湿する吸着剤が充填された通路を並設した第1流路部分と、熱交換用空気が流れる第2流路部分とを交互に積層してなる除湿空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、吸着剤を担持した除湿空調装置に被除湿空気を通過させて空気中の水分を取り除く技術が導入されている。
下記特許文献1には、流路の内面に吸着剤を有するクロスフロー型除湿空調装置が開示されている。このクロスフロー型除湿空調装置は、吸着剤を内部に担持した通路を並設した第1流路部分と、熱交換用空気が流れる第2流路部分とを、熱伝達可能となるように交互に積層したものである。
このクロスフロー型除湿空調装置では、通路における除湿効果を上げるために、通路の断面の全体に吸着剤がいきわたるような構成で吸着剤が充填されている。
【0003】
吸着工程においては、第1流路部分に被除湿空気を流し、吸着剤に被除湿空気の湿度が吸着される。このとき、吸着剤は吸着熱を発生する。この吸着熱は第2流路部分に伝えられ、第2流路部分を流れる冷却空気によって冷却される。
【0004】
また、脱着工程においては、第2流路部分に高温空気を流し、吸着剤の温度を上げて第1流路部分に吸着した水分を脱着させる。この際、第1流路部分にパージガスを流して、脱着した水分を取り除いている。
【0005】
上記吸着工程において、通路出口の被除湿空気の平均の湿度が一定の湿度を超える状態(以下、「破過状態」と呼ぶ。)が発生することがある。この状態は、吸着剤の許容量を超えて、被除湿空気が供給された場合に発生するが、流れ方向断面で、不均一な吸着が起きている場合には、吸着剤が吸着余力を十分に残した状態でも破過状態に至る場合がある。このような状態が頻繁に発生する空調システムの場合、吸着と脱着の切替時間が必要以上に短くなり、エネルギー消費効率であるCOPが低下するという問題点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平2001−62242号公報
【0007】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を鑑みてされたものであり、吸着剤が充填された通路を有する除湿空調装置に関し、水分吸着の不均一を改良することができる除湿空調装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の除湿空調装置は、被除湿空気が流れる第1通路を並設して形成される第1流路部分と、熱交換用空気が流れる第2通路を並設して形成される第2流路部分と、を交互に積層してなる除湿空調装置であって、前記第1通路は、吸着剤が充填された上流側の第1充填部分と、吸着剤が充填された下流側の第2充填部分と、前記第1充填部分と前記第2充填部分の間に空気混合用の空間を有する中間部分とを備えてなることを特徴としている。
【0009】
第1充填部分の全体に吸着剤を充填した場合、流路中心付近では吸着剤が最密充填に近い状態に保持され空隙率が低いのに対し、流路の壁際では壁の影響により最密充填にはならず空隙率が高くなる。そのため被除湿空気が除湿空調装置の壁際に多く流れる現象が生じる(以下、「壁面効果」と呼ぶ。)。この壁面効果により、流路壁際の吸着剤には被除湿空気が多く供給され、許容量に早く達するのに対して、流路中心付近の吸着剤には被除湿空気の供給が少なく、許容量に達するまでの時間が長い。破過状態は、流路壁際の吸着剤の許容量を超えた時点で観察されるため、中心付近の吸着剤に余力を残したまま、切り替えざるを得なくなる。しかし、この請求項1の構成によると、第1通路の第1充填部分を通過した、湿分の高い壁際の被除湿空気と、乾燥した中心部の被除湿空気との湿分とを中間部分で均一に混合することができる。従って、壁面効果が弱められ、第2充填部分で再度水分が吸着されるため、第1通路出口で破過状態に至るまでの時間が長くなる効果が得られる。
【0010】
請求項2に記載の除湿空調装置は、請求項1に記載の除湿空調装置であって、前記第1通路の全長を1としたとき、前記第1充填部分の長さは、0.5〜0.8の範囲内にあり、前記中間部分の長さは、0.05〜0.2の範囲内にあることを特徴としている。
【0011】
この請求項2の構成によると、第1充填部分で十分な水分吸着を進行させ、中間部分で不均一となった空気を混合し、第2充填部分で残りの水分を吸着するため、吸着剤を効果的に利用することができ、吸着剤を充填しない中間部分を薄くすることができる。
【0012】
請求項3に記載の除湿空調装置は、請求項1または2に記載の除湿空調装置であって、前記中間部分に空気を混合させる攪拌部材を設けたことを特徴としている。
【0013】
この請求項3の構成によると、中間部分での空気混合が攪拌部材により更に改善される。
【0014】
請求項4に記載の除湿空調装置は、請求項1または2に記載の除湿空調装置であって、上流側の前記第1充填部分が、流れ方向に沿って分割されている。
【0015】
この請求項4の構成によると、第1通路の第1充填部分を流れ方向に沿って分割することにより、第2充填部分および中間部分よりも細かい幅で第1充填部分を構成することができる。従って、第1充填部分における吸着剤への熱伝達性能が向上するとともに、中間部分における空気の混合性能が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明にかかる除湿空調装置の一実施形態例について説明する。
【0017】
まず、本発明に係る除湿空調装置の第1実施形態例の構造について説明する。図1及び図2は、本発明に係る除湿空調装置の第1実施形態例を示したものである。図1は、第1流路部分と第2流路部分の一部を示した斜視断面図である。図2は、除湿空調装置の斜視図である。
【0018】
図1に示すように、除湿空調装置1は、互いに熱伝達可能な分離された、被除湿空気を流す第1流路部分10と、熱交換用空気を流す第2流路部分20とを有している。第1流路部分10と第2流路部分20とは、図1に示すように、交互に90度ずつずらした状態で積層され、熱伝達可能となるように互いに接合される。従って、第1流路部分10と第2流路部分20の積層を繰り返すことにより、図2に示すような多層構造を形成している。
【0019】
第1流路部分10は、図1に示すように、被除湿空気を流す断面矩形の第1通路11を横一列に並設して形成されている。第1流路部分10は、アルミニウムその他の金属よりなる押出型材10aで筒状に形成されている。この押出型材10aは、第1平板10bと第2平板10cとの間に多数の仕切10dを設けたものであり、全体として筒状の平板となっている。被除湿空気は、第1通路11の一方から流され、押出型材10aの間を通って、第1通路11の他方から排出される。
【0020】
第2流路部分20は、図1に示すように、熱交換用空気を流す第2通路21を併設して形成されている。第2流路部分20は、アルミニウムその他の金属のシートを折り曲げ加工した波板20aで形成されている。熱交換用空気は、第2通路21の一方から流され、波板20aの間を通って、第2通路21の他方から排出される。
【0021】
また、第1通路11は、図1に示すように、第1充填部分12と、第2充填部分14と、前記第1充填部分12と前記第2充填部分14の間に中間部分13とを備えてなる。
【0022】
第1充填部分12及び第2充填部分14においては、第1通路11全体に吸着剤15が充填されている。吸着剤15は、球状のシリカゲル(直径3〜7mm程度)、あるいは、ペレット(円柱)状の合成ゼオライト(直径3〜5mm、長さ5〜10mm程度)等で構成される。中間部分13は、空気混合用の空間を形成しており、吸着剤が充填されていない。なお、吸着剤15は第1通路11全体に充填されているが、図1においては、吸着剤15のうち、第1通路11中心部の吸着剤15aおよび第1通路11壁際の吸着剤15bのみを表示し、その他の吸着剤15は図示省略している。
【0023】
中間部分13と第1充填部分12及び第2充填部分14との間は、中間部分13への吸着剤15の侵入を防ぐため、吸着剤15よりもメッシュの細かいパンチングメタルや金網等の薄くて熱容量の小さい材料により区切り16を設けている。
【0024】
第1充填部分12は、第1通路11の上流側である前半部分に構成される。特に、第1通路11の全長を1とすると、第1充填部分12の長さは0.5〜0.8の範囲内であることが望ましい。
【0025】
中間部分13は、第1充填部分12の下流側であって、第1充填部分12と第2充填部分14の間に構成される。中間部分13の長さは短いほうが好ましいが、最低でも第1通路11の幅W程度の長さは必要である。特に、第1通路11の全長を1とすると、中間部分13の長さは0.05〜0.2の範囲内にあることが望ましい。
【0026】
第2充填部分14は、中間部分13の下流側であって、第1通路11の下流側である後半部分に構成される。第2充填部分14は、できるだけ後半部分に構成されることが好ましい。特に、第1通路11の全長を1とすると、第2充填部分14の長さは、上述した第1充填部分12と中間部分13の長さを差し引いた残りの範囲内であることが望ましい。
【0027】
また、図1に示すように、第1通路11の第1充填部分12の面積と、中間部分13の面積と、第2充填部分14の面積とは同じになるように構成されている。
【0028】
次に、本発明に係る除湿空調装置の第2実施形態例の構造について説明する。図3は、第2実施形態例に係る除湿空調装置101の第1流路部分110の平面断面図である。
【0029】
第1実施形態例に係る除湿空調装置1と同様に、除湿空調装置101の第1流路部分110は、図3に示すように、被除湿空気を流す第1通路111を並設して形成されている。また、第1通路111は、図3に示すように、第1充填部分112と、第2充填部分114と、前記第1充填部分112と前記第2充填部分114の間に中間部分113とを備えてなる。
【0030】
第1実施形態例に係る除湿空調装置1と同様に、第1充填部分112及び第2充填部分114においては、第1通路111全体に吸着剤が充填されている。中間部分113は、空気混合用の空間を形成しており、吸着剤が充填されていない。なお、中間部分113と第1充填部分112及び第2充填部分114との間は、中間部分113への吸着剤の侵入を防ぐため、吸着剤よりもメッシュの細かいパンチングメタルや金網等の薄くて熱容量の小さい材料により区切り116を設けている。
【0031】
各第1通路111は、中間部分113の流れ方向の略中央に、攪拌板117を有している。攪拌板117は、中間部分113の幅よりも狭い幅を有している。第1充填部分112を通過した被除湿空気は、中間部分113を通る際、攪拌板117に当たり、攪拌されて、第2充填部分114に流れる。
【0032】
また、第1通路111は、流れ方向に沿った面で分割された第1充填部分112と、第1充填部分112の全体の断面積を有する中間部分113と、この中間部分113と同じ断面積の第2充填部分114とを備えた押出型材110aから形成される。第2実施形態例に係る除湿空調装置101では、図3に示すように、第1通路111の第1充填部分112は、流れ方向に沿った面で2分割されている。
【0033】
なお、第2実施形態例に係る除湿空調装置101では、図3にあるように、第1通路111の中間部分113に攪拌板117を設け、かつ、第1通路111の第1充填部分112を流れ方向に沿った面で分割している。しかし、攪拌板117の設置および第1充填部分112の分割は、双方を同時に行う必要はなく、どちらか一方のみを行うものであってもよい。
【0034】
次に、本実施の形態に係る除湿空調装置1の作用について説明する。本実施の形態に係る除湿空調装置1を用いた除湿方法は、吸着工程と、脱着工程1と、脱着工程2とからなっている。
【0035】
吸着工程においては、第2流路部分20に熱交換用空気として冷却用空気を流しつつ、第1流路部分10に被除湿空気を流し、乾燥空気を得る。まず、被除湿空気は、除湿空調装置1に流され、第1通路11の第1充填部分12を通過する。ここで、第1充填部分12では壁面効果が発生するため、第1充填部分12における第1通路11の壁際に被除湿空気が多く流れる。したがって、第1充填部分12を通過した直後の被除湿空気は、第1通路11の壁際の被除湿空気は湿分が高く、第1通路11の中央部の被除湿空気は湿分が低くなっている。
【0036】
次に、第1充填部分12を通過した被除湿空気は、中間部分13に流れる。中間部分13においては、第1通路11の壁際の被除湿空気と、第1通路11の中央部の被除湿空気が混合される。したがって、中間部分13において、第1通路11の壁際の被除湿空気と、第1通路11の中央部の被除湿空気の湿分が均一に混合される。
【0037】
また、図3に示すように、攪拌板117が設置されている場合は、攪拌板117に被除湿空気がぶつかることにより、第1通路11の壁際の被除湿空気と、第1通路11の中央部の被除湿空気の混合が向上する。また、図3のように、第1充填部分112が分割され、中間部分113が広がることにより、被除湿空気の混合が向上する。
【0038】
最後に、中間部分13を通過して湿分が均一に混合された被除湿空気は、第2充填部分14に流れる。第2充填部分14においては、被除湿空気は再度水分が吸着され、除湿空調装置1から排出されて吸着工程が終了する。ここで、第2充填部分14に至る被除湿空気の乾燥は相当進んでいる為、第2充填部分14の長さが短くても、壁面効果は発生しにくい。したがって、第1通路11の壁際と、第1通路11の中央部とで、湿分はほぼ同程度の被除湿空気が得られる。
【0039】
吸着工程が終了すると、脱着工程に移行する。脱着工程1においては、第2流路部分20に熱交換用空気として高温空気を流し、第1流路部分10の吸着剤15に吸着している水分を脱着させる。この時、第1流路部分10には何も流さない。次に、脱着工程2においては、第1流路部分10にパージガスを流し、第1流路部分10に放出されている水分を追い出す。そして吸着工程に戻る。
【0040】
以上のように、本実施の形態に係る除湿空調装置1によると、第1通路11の第1充填部分12を通過した、湿分の高い壁際の被除湿空気と乾燥した中央部の被除湿空気の湿分が、中間部分13で均一に混合することにより、壁面効果が弱められる。そして、第2充填部分14で再度水分が吸着されるため、除湿空調装置1出口で破過状態にいたるまでの時間が長くなる効果が得られる。
【0041】
また、中間部分13に攪拌板を設けることにより、さらに第1通路11の第1充填部分12を通過した、湿分の高い壁際の被除湿空気と乾燥した中央部の被除湿空気の湿分の混合が向上して、破過時間が長くなる効果が得られる。
【0042】
さらに、第1通路11の流れ方向の下流側に中間部分13が設けられている。これにより、第1充填部分12が長くなり、壁面効果により圧力損失が減少し、被除湿空気を流すためのファン動力が小さくなる。また、中間部分13は吸着剤15が存在しないため、除湿空調装置1全体の熱容量が小さくなり、脱着工程で加熱しやすくなるという効果がある。
【0043】
さらに、第1充填部分12を分割して型材10aを形成することにより、断熱材とほぼ同様の物性値で熱の伝わりにくい吸着剤15の高速熱授受を行うことができ、吸着剤15への熱伝達性能が向上する効果がある。
【0044】
次に、本実施の形態に係る除湿空調装置1を用いて行った実験について、図4乃至図6を参照しつつ説明する。
【0045】
実験は、図3に示す除湿空調装置1を用いる。第1通路11は、幅30mm、高さ40mm、長さ400mmの押出型材10aにより構成されている。第2通路21は、波長10mm、波高40mm、長さ400mmの波板20aにより構成されている。また、吸着剤にはシリカゲルを用いる。
【0046】
図4は、図3に示す第1充填部分の点A(除湿空調装置入口)と点B(除湿空調装置中心)における、吸着工程における第1通路11の壁際の吸着剤15aと中心部の吸着剤15bの水分吸着量の時間変化の計算結果を示したグラフである。図5は、図3に示す第2充填部分14の点Dにおける、吸着工程における第1通路11の壁際の吸着剤15aと中心部の吸着剤15bの水分吸着量の時間変化の計算結果を示したグラフである。図6は、除湿空調装置1出口における絶対湿度と破過状態の関係を表したグラフである。
【0047】
第1充填部分12においては壁面効果が発生しているため、壁際に被除湿空気が多く流れる。したがって、図4に示すように、第1充填部分12の点Aと点Bの双方において、壁際の吸着剤15aの方が中心部の吸着剤15bよりも水分吸着量が多くなっている。
【0048】
一方、第1充填部分12を通過した後は、中間部分13を通って湿分が均一に混合された被除湿空気が、第2充填部分14に流れる。また、第2充填部分14は第1通路11の下流側後方部分に設けられており、長さが短いため壁面効果は発生しにくい。したがって、図5に示すように、第2充填部分14の点Dにおいては、壁際の吸着剤15aも中心部の吸着剤15bも水分吸着量がほぼ同じになっている。
【0049】
また、第1通路に中間部分を設けず、第1通路すべてに吸着剤を設置した場合、図6の点線で示すように、壁面効果により破過時間が短くなる。しかし、本実施の形態にかかる除湿空調装置1によると、図6の実線で示すように、壁面効果が弱められ、破過時間が長くなっている。
【0050】
なお、本発明に係る除湿空調装置は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能である。
【0051】
例えば、前記実施形態例において、押出型材で形成した第1流路部分と、波板で形成した第2流路部分とを交互に90度ずつずらした状態で積層し、互いに接合して、除湿空調装置を構成している。しかし、波板で形成した第1流路部分と、波板で形成した第2流路部分とを交互に90度ずつずらした状態で積層し、第1流路部分と第2流路部分の間に平板を挟み、平板に対して波板を接合して、除湿空調装置を構成してもよい。
【0052】
また、直交型の除湿空調装置ではなく、回転型の除湿空調装置であってもよい。すなわち、回転軸線の周りに回転駆動される円柱状のロータを有して、そのロータが回転軸線に平行な第1流路部分と垂直な第2流路部分を回転軸線回りに交差して設ける除湿空調装置の構造であってもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明に係る除湿空調装置によると、第1通路部分の第1充填部分を通過した、湿分の高い壁際の被除湿空気と、乾燥した中心部の被除湿空気との湿分を中間部分で均一に混合することができる。即ち、除湿工程に関し、壁面効果による水分吸着量の不均一を改良することができる。従って、壁面効果が弱められ、第2充填部分で再度水分が吸着されるため、除湿空調装置出口で破過状態に至るまでの時間が長くなる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る除湿空調装置の第1実施形態例を示すものであり、第1流路部分と第2流路部分の一部を示した斜視断面図である。
【図2】本発明に係る除湿空調装置の第1実施形態例を示すものであり、除湿空調装置の斜視図である。
【図3】本発明に係る除湿空調装置の第2実施形態例を示すものであり、第1流路部分の平面断面図である。
【図4】本発明に係る除湿空調装置の点Aおよび点Bにおける吸着剤の水分吸着量の時間変化の計算結果を示したグラフ図である。
【図5】本発明に係る除湿空調装置の点Cにおける吸着剤の水分吸着量の時間変化の計算結果を示したグラフ図である。
【図6】除湿空調装置出口における絶対湿度と破過状態の関係を表したグラフ図である。
【符号の説明】
1 除湿空調装置
10 第1流路部分
11 第1通路
12 第1充填部分
13 中間部分
14 第2充填部分
15 吸着剤
20 第2流路部分
21 第2通路
Claims (4)
- 被除湿空気が流れる第1通路を並設して形成される第1流路部分と、熱交換用空気が流れる第2通路を並設して形成される第2流路部分と、を交互に積層してなる除湿空調装置であって、
前記第1通路は、吸着剤が充填された上流側の第1充填部分と、吸着剤が充填された下流側の第2充填部分と、前記第1充填部分と前記第2充填部分の間に空気混合用の空間を有する中間部分とを備えてなる除湿空調装置。 - 前記第1通路の全長を1としたとき、前記第1充填部分の長さは、0.5〜0.8の範囲内にあり、前記中間部分の長さは、0.05〜0.2の範囲内にある請求項1に記載の除湿空調装置。
- 前記中間部分に空気を混合させる攪拌部材を設けた請求項1または2に記載の除湿空調装置。
- 上流側の前記第1充填部分が、流れ方向に沿って分割されている請求項1または2に記載の除湿空調装置。
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