JP2004324930A - 蒸気圧縮式冷凍機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電磁弁61を開作動させる旨の信号が発せられた時から所定時間経過後の高圧冷媒圧力の圧力上昇量が所定値を超えたときには、電磁弁61に作動不良が発生したものとみなして、電磁弁61に作動不良が発生した旨の警告信号を発する。また、沸き上げ運転モードに移行した時から所定時間経過後の高圧冷媒の圧力が所定圧力未満のときには、電磁弁61に作動不良が発生したものとみなして、電磁弁61に作動不良が発生した旨の警告信号をリモコンなどユーザーが分かる場所にて発する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気圧縮式冷凍機に関するもので、給湯器や暖房装置等の蒸気圧縮式冷凍機で発生する温熱を利用する機器に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】
給湯器や暖房装置等の主に温熱を利用する一般的な蒸気圧縮式冷凍機では、低圧側熱交換器である蒸発器にて外気から吸熱するため、蒸発器内の温度を外気温度より低下させる必要がある。このため、外気温度が氷点下又は氷点に近い場合には、蒸発器内の温度が氷点下となるため、蒸発器の外表面に霜が付着してしまう。
【0003】
そして、霜が成長すると、蒸発器の吸熱能力が低下するので、出願人は、圧縮機から吐出した高温の冷媒を蒸発器に供給することにより、蒸発器を内側から加熱して外表面に付着した霜を除去する蒸気圧縮式冷凍機を検討した(特願2002−277364号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記出願に係る発明では、圧縮機から吐出した高温の冷媒を蒸発器に導くバイパス回路を電磁弁にて開閉することにより、蒸発器に付着した霜を除去する除霜運転モードと蒸発器にて吸熱を行う通常運転モードとを切り替えているが、何らかの原因により電磁弁に作動不良が発生した場合には、除霜運転モード又は通常運転モードを実施することができなくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、第1には、従来と異なる新規な蒸気圧縮式冷凍機を提供し、第2には、電磁弁の作動不良を自己チェックする機能を設けることにより、電磁弁の作動不良に伴う被害を最小限に止めることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、低温側の熱を高温側に移動させる蒸気圧縮式冷凍機であって、冷媒を吸入圧縮する圧縮機(10)と、圧縮された冷媒を冷却する高圧側熱交換器(20)と、高圧側熱交換器(20)の流出側冷媒回路に設けられ、冷媒流れを絞る絞り手段(40)と、低圧の冷媒を蒸発させる低圧側熱交換器(30)と、圧縮機(10)から吐出した冷媒を低圧側熱交換器(30)に導く冷媒通路を開閉する電磁弁(61)と、電磁弁(61)の開閉作動を制御する電磁弁制御手段(70)と、電磁弁制御手段(70)から電磁弁(61)を開作動させる旨の信号が発せられた時から所定時間経過後の高圧冷媒圧力の圧力上昇量が所定値を超えたときに、電磁弁(61)に作動不良が発生したものとみなして、その旨の警告信号を発する警告手段(S5)とを有することを特徴とする。
【0007】
これにより、電磁弁(61)の作動不良に伴う被害を最小限に止めることができ得る。
【0008】
請求項2に記載の発明では、低温側の熱を高温側に移動させる蒸気圧縮式冷凍機であって、冷媒を吸入圧縮する圧縮機(10)と、圧縮された冷媒を冷却する高圧側熱交換器(20)と、高圧側熱交換器(20)の流出側冷媒回路に設けられ、冷媒流れを絞る絞り手段(40)と、低圧の冷媒を蒸発させる低圧側熱交換器(30)と、圧縮機(10)から吐出した冷媒を低圧側熱交換器(30)に導く冷媒通路を開閉する電磁弁(61)と、電磁弁(61)の開閉作動を制御する電磁弁制御手段(70)と、電磁弁制御手段(70)から電磁弁(61)を閉作動させる旨の信号が発せられ後の高圧冷媒圧力が所定圧力未満のときに、電磁弁(61)に作動不良が発生したものとみなして、その旨の警告信号を発する警告手段(S5)とを有することを特徴とする。
【0009】
これにより、電磁弁(61)の作動不良に伴う被害を最小限に止めることができ得る。
【0010】
請求項3に記載の発明では、圧力センサ(72)により高圧冷媒の圧力を検出することを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載の発明では、高圧冷媒の温度を検出する温度センサ(71)の検出温度に基づいて高圧冷媒の圧力を検出することを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に記載の発明では、低温側の熱を高温側に移動させる蒸気圧縮式冷凍機であって、冷媒を吸入圧縮する圧縮機(10)と、圧縮された冷媒を冷却する高圧側熱交換器(20)と、高圧側熱交換器(20)の流出側冷媒回路に設けられ、冷媒流れを絞る絞り手段(40)と、低圧の冷媒を蒸発させる低圧側熱交換器(30)と、圧縮機(10)から吐出した冷媒を低圧側熱交換器(30)に導く冷媒通路を開閉する電磁弁(61)と、電磁弁(61)の温度に基づいて電磁弁(61)の作動を検出し、作動不良が発生したときには、その旨の警告信号を発する警告手段(S5)とを有することを特徴とする。
【0013】
これにより、電磁弁(61)の作動不良に伴う被害を最小限に止めることができ得る。
【0014】
請求項6に記載の発明では、絞り手段(40)は、高圧冷媒を等エントロピ的に減圧膨張させるノズル(41)を有し、ノズル(41)から噴射する高い速度の冷媒流により低圧側熱交換器(30)にて蒸発した気相冷媒を吸引するとともに、膨張エネルギーを圧力エネルギーに変換して圧縮機(10)の吸入圧を上昇させるエジェクタであることを特徴とするものである。
【0015】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係る蒸気圧縮式冷凍機を給湯器に適用したものであって、図1は本実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の模式図である。
【0017】
圧縮機10は冷媒を吸入圧縮するもので、本実施形態では電動モータと圧縮機構とが一体化された電動圧縮機を採用している。水冷媒熱交換器20は、給湯水と圧縮機10から吐出する高温・高圧冷媒とを熱交換して給湯水を加熱する高圧側熱交換器であり、本実施形態では、圧縮機10の吐出圧を冷媒の臨界圧力以上として所望の温度を得ているので、水冷媒熱交換器20内で冷媒は、凝縮(相変化)することなく温度を低下させながらエンタルピを低下させていく。
【0018】
因みに、本実施形態では、冷媒として二酸化炭素を採用している。
【0019】
蒸発器30は低圧冷媒を蒸発させる低温側熱交換器であり、エジェクタ40は冷媒を減圧膨張させて蒸発器30にて蒸発した気相冷媒を吸引するとともに、膨張エネルギーを圧力エネルギーに変換して圧縮機10の吸入圧を上昇させるものであり、詳細は後述する。
【0020】
気液分離器50はエジェクタ40から流出した冷媒が流入するとともに、その流入した冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して冷媒を蓄える気液分離手段であり、気液分離器50の気相冷媒流出口は圧縮機10の吸引側に接続され、液相冷媒流出口は蒸発器30側の流入側に接続される。
【0021】
なお、オイル戻し回路51は、密度差により分離された冷凍機油を圧縮機10の吸入側に戻すための通路であり、絞り52は気液分離器50から流出した液相冷媒を減圧する減圧手段である。
【0022】
因みに、冷凍機油とは、圧縮機10内の摺動部を潤滑するための潤滑油では、蒸気圧縮式冷凍機では、通常、冷媒中に冷凍機油を混合することにより圧縮機10に供給している。
【0023】
また、バイパス回路60は、圧縮機10から吐出した冷媒を水冷媒熱交換器20及びエジェクタ40を迂回させて蒸発器30及び気液分離器50それぞれに分配供給する冷媒通路であり、バイパス回路60に流れ込む冷媒量は、電子制御装置70により開閉作動が制御された電磁弁61により制御される。
【0024】
次に、エジェクタ40について述べる。
【0025】
エジェクタ40は、図2に示すように、流入する高圧冷媒の圧力エネルギーを速度エネルギーに変換して冷媒を等エントロピ的に減圧膨張させるノズル41、ノズル41から噴射する高い速度の冷媒流により蒸発器30にて蒸発した気相冷媒を吸引しながら、ノズル41から噴射する冷媒流とを混合する混合部42、及びノズル41から噴射する冷媒と蒸発器30から吸引した冷媒とを混合させながら速度エネルギーを圧力エネルギーに変換して冷媒の圧力を昇圧させるディフューザ43等からなるものである。
【0026】
なお、混合部42においては、ノズル41から噴射する冷媒流の運動量と、蒸発器30からエジェクタ40に吸引される冷媒流の運動量との和が保存されるように混合するので、混合部42においても冷媒の静圧が上昇する。
【0027】
一方、ディフューザ43においては、通路断面積を徐々に拡大することにより、冷媒の動圧を静圧に変換するので、エジェクタ40においては、混合部42及びディフューザ43の両者にて冷媒圧力を昇圧する。そこで、混合部42とディフューザ43とを総称して昇圧部と呼ぶ。
【0028】
つまり、理想的なエジェクタ40においては、混合部42で2種類の冷媒流の運動量の和が保存されるように冷媒圧力が増大し、ディフューザ43でエネルギーが保存されるように冷媒圧力が増大することがのぞましい。
【0029】
また、ノズル41は、通路途中に通路面積が最も縮小した喉部41a、及び喉部41a以降において、実質的な冷媒通路断面積Sが徐々に拡大するように設定されたノズルディフューザ部41bを有するラバールノズル(流体工学(東京大学出版会)参照)であり、ノズル41の絞り開度、つまり実質的な最小冷媒通路断面積の調整は、ニードル弁44をアクチュエータ45によりノズル41内でノズル41の軸線方向に変位させることによって行う。
【0030】
そして、本実施形態では、アクチュエータ45として、ねじ機構を用いたステッピングモータやリニアソレノイド等の電気式のアクチュエータを採用するとともに、温度センサ71により高圧側の冷媒温度を検出し、圧力センサ72が検出した高圧側の冷媒圧力が温度センサの検出温度から決定される目標圧力となるようにノズル41の絞り開度を制御している。
【0031】
ここで、目標圧力とは、高圧側の冷媒温度に対してエジェクタサイクルの成績係数が最も高くなるような高圧側冷媒圧力であり、本実施形態では、熱負荷が大きいときには、図3に示すように、ノズル41に流入する高圧冷媒の圧力を冷媒の臨界圧力以上まで上昇させるようにノズル41の絞り開度を制御し、熱負荷が小さいときには、高圧冷媒の圧力を臨界圧力以下とした状態でノズル41に流入する冷媒が所定の過冷却度を有するようにノズル41の絞り開度を制御する。
【0032】
因みに、図3の●で示される符号は、図1に示す●で示される符号位置における冷媒の状態を示すものである。
【0033】
次に、本実施形態に係る給湯器(蒸気圧縮式冷凍機)の作動を述べる。
【0034】
1.沸き上げ運転モード(図3、4参照)。
【0035】
このモードは、蒸発器30にて外気から吸熱して水冷媒熱交換器20にて給湯水を加熱するものであり、電磁弁61を閉じた状態で圧縮機10から吐出した冷媒を放熱器20側に循環させながら、ポンプ21にて給湯水を循環させる。
【0036】
これにより、放熱器20にて給湯水に熱を与えて冷却された冷媒は、エジェクタ40のノズル41にて等エントロピ的に減圧膨張して、音速以上の速度で混合部42内に流入する。そして、混合部42に流入した高速冷媒の巻き込み作用に伴うポンプ作用(JIS Z 8126 番号2.1.2.3等参照)により、蒸発器30内で外気から吸熱して蒸発した冷媒が混合部42内に吸引されるため、低圧側の冷媒が気液分離器50→絞り60→蒸発器30→エジェクタ40(昇圧部)→気液分離器50の順に循環する。
【0037】
また、蒸発器30から吸引された冷媒(吸引流)とノズル41から吹き出す冷媒(駆動流)とは、混合部42にて混合しながらディフューザ43にてその動圧が静圧に変換されて気液分離器50に戻る。
【0038】
なお、ポンプ21の循環させる給湯水量は水冷媒熱交換器20から流出する給湯水の温度が所定沸き上げ温度となるように制御され、ファン31の送風量は外気温度及び圧縮機10の回転数等に基づいて蒸発器30での熱交換効率が高くなるように制御される。
【0039】
2.除霜運転モード(図5参照)
本モードは、外気温度が摂氏0度以下の第1所定温度(例えば、0℃)T1の場合であって、外気温度と蒸発器30から流出する冷媒の温度との差が所定値以上となったときに、蒸発器30に発生した霜が発生したものとみなして行うものである。
【0040】
すなわち、水冷媒熱交換器20への給湯水の供給を停止し、かつ、蒸発器30への外気送風を停止した状態で電磁弁61を全開とするとともに、ノズル41を全閉として圧縮機10を稼動させる。
【0041】
これにより、圧縮機10から吐出した高温の冷媒が冷却されることなく蒸発器30及び気液分離器50それぞれに分配供給されるので、蒸発器30は勿論のこと、気液分離器50にも高温の冷媒が供給される。
【0042】
ところで、仮に、蒸発器30と気液分離器50とが圧縮機10から吐出されたホットガス流れに対して直列に繋がれている場合には、蒸気圧縮式冷凍機において、蒸発器30及び気液分離器50は低圧側に属して略等温・等圧であり、かつ、蒸発器30を加熱して温度が低下した冷媒により気液分離器50を加熱せざるを得ない。
【0043】
このため、蒸発器30から流出して気液分離器50に流入した多くの冷媒が凝縮して液化してしまため、気液分離器50から圧縮機に供給される気相冷媒量が圧縮機10から吐出されるホットガス量に比べて少なくなってしまう。
【0044】
また、蒸発器30では除霜完了部分を通ってホットガスが流れるため、放熱ロスが発生していしまう。したがって、除霜運転に多くの時間を要すると言う問題が発生する。
【0045】
しかし、本実施形態では、前述のごとく、圧縮機10から吐出した高温の冷媒が冷却されることなく蒸発器30及び気液分離器50それぞれに分配供給されるので、蒸発器30は勿論のこと、気液分離器50にも高温の冷媒が供給される。
【0046】
このため、気液分離器50に流入した多くの冷媒が凝縮液化してしまうことを抑制できるので、気液分離器50から圧縮機10に供給される気相冷媒量が圧縮機から吐出されるホットガス量に比べて少なくなってしまうことを防止できる。延いては、蒸発器30に多くのホットガスを供給することができるので、除霜運転時間を短縮することができる。
【0047】
なお、電磁弁61にて全く減圧しないで高圧冷媒(ホットガス)を蒸発器30に供給すると、蒸発器30が耐圧限界を超えてしまうおそれがあるとともに、圧縮機10の吸入側と吐出側の圧力が等しくなってしまうので、本実施形態では、電磁弁61を全開としたときに、電磁弁61にて所定の圧力損失が発生するように設定されている。
【0048】
具体的には、蒸発器30の耐圧圧力以下であって、蒸発器30を加熱することができる、つまり外気温度より高い温度となる圧力相当まで減圧する。
【0049】
3.バルブ作動確認モード
このモードは、電磁弁61が正常作動しているか否かを判定するモードであり、具体的には、以下の2つのモードがある。
【0050】
3.1 開作動確認モード
このモードは、除霜運転モードが実行されるときに行われるモードである。具体的には、図6に示すように、電磁弁制御手段(70)をなす電子制御装置70から電磁弁61を開作動させる旨の信号が発せられた時の圧力センサ72の検出圧力をRAM等の記憶装置に記憶し(S1、S2)、電磁弁61を開作動させる旨の信号が発せられた時から所定時間経過後の高圧冷媒圧力の圧力上昇量が所定値を超えたときには、電磁弁61に作動不良が発生した、つまり開作動の信号を電磁弁61に発しているのに係わらず電磁弁61が開かないものとみなして(S3、S4)、給湯器を一旦停止して再起動し、再起動後においても圧力上昇量が所定値を超えたままの場合には、リモコンなどユーザーが分かる場所で、電磁弁61に作動不良が発生した旨の警告信号を発する(S5)。
【0051】
なお、本実施形態に係る警告信号は、例えば、通常は時計表示だが、このような異常が発生した場合は、その表示を異常表示「HXX」(XXは作動不良コードを示す数字列)等に変更するとともに、警告音を鳴らして異常状態をユーザに対して迅速に知らせるものである。
【0052】
つまり、開作動の信号を電磁弁61に発したときには、ノズル41が閉じられているので、開作動の信号を電磁弁61に発しているのに係わらず電磁弁61が開かない場合には、図7に示すように高圧冷媒が異常上昇することから、開作動の信号を電磁弁61に発したときの高圧冷媒圧力の圧力上昇量を監視すれば、電磁弁61の作動不良を判定することができ得る。
【0053】
なお、ノズル41が開いているときには、電磁弁61に作動不良が発生しても高圧冷媒の圧力が上昇し難いことから、本実施形態では、前記所定時間をノズル41が閉じるに必要な時間を基に決定している。
【0054】
3.2 閉作動確認モード
このモードは、沸き上げ運転モードが実行されるときに行われるモードである。具体的には、沸き上げ運転モードに移行した時から所定時間経過後の高圧冷媒の圧力が所定圧力未満のとき、又は沸き上げ運転モードに移行した時の圧力センサ72の検出圧力をRAM等の記憶装置に記憶し、この時から所定時間経過後の高圧冷媒圧力の圧力上昇量が所定値を未満のときには、電磁弁61に作動不良が発生した、つまり電磁弁61が開いたままになって閉じることができないものとみなして、給湯器を一旦停止して再起動し、再起動後においても高圧冷媒圧力が所定圧力未満のとき又は圧力上昇量が所定値を未満の場合には、電磁弁61に作動不良が発生した旨の警告信号をリモコンなどユーザーが分かる場所で発する。
【0055】
なお、沸き上げ運転モードに移行したときには、前述のごとく、目標圧力となるように高圧冷媒圧力が制御されるので、沸き上げ運転モードが正常に行われているときには、高圧冷媒圧力は約目標圧力となる。
【0056】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0057】
本実施形態では、電磁弁61の作動不良を自己チェックする機能を給湯器に設けたので、電磁弁61の作動不良に伴うユーザか被る被害を最小限に止めることが可能となる。
【0058】
なお、電磁弁61の作動不良を示す警告が発せられた場合には、その旨の信号が電話回線を用いて自動的にサービスセンターに連絡する、又はユーザ自身がサービスセンターに連絡する等すれば、給湯器の作動不良原因が特定し易いので、修理を迅速に行うことができる。
【0059】
(第2実施形態)
電磁弁61は、コイルに通電することにより内部の弁体を作動させるものであるので、通電によるジュール損によりコイルの温度が上昇する。そこで、本実施形態では、電磁弁61、つまりコイルの温度に基づいて電磁弁61の作動を検出し、作動不良が発生したときには、その旨の警告信号を発するものである。
【0060】
なお、本実施形態では、通電することにより電磁弁61が開くバルブを採用しているので、通電、つまり開信号を電磁弁61に発生しても温度が上昇しない場合には電磁弁61に作動不良が発生したものみなすことができる。
【0061】
因みに、本実施形態では、サーミスタ等の温度センサによりコイル温度を直接的に検出しているが、抵抗法により間接的にコイル温度を検出してもよいことは言うまでもない。
【0062】
ところで、電磁弁61の作動不良原因としては、▲1▼電子制御装置70から電磁弁61に接続する電気配線(ハーネス)が接続されていない(ハーネス勘合不良、断線)、▲2▼電磁弁61内に異物が噛み込むことで弁体が移動しない、▲3▼電子制御装置70内の電子素子の故障により電気信号が電磁弁61に伝わらない、等が考えられるので、本実施形態と第2実施形態とを組み合わせて警告を行えば、作動不良原因を特定し易い。因みに、本実施形態では、上記▲1▼又は▲3▼を原因とする作動不良を容易に発見することができる。
【0063】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、給湯器を例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、冷凍庫等の冷熱を利用する蒸気圧縮式冷凍機にも適用することができる。
【0064】
また、上述の実施形態では、冷媒を二酸化炭素として高圧側圧力を臨界圧力以上としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0065】
また、上述の実施形態では、外気温度が摂氏0度以下の第1所定温度(例えば、0℃)T1の場合であって、外気温度と蒸発器30から流出する冷媒の温度との差が所定値以上となったときに、蒸発器30に発生した霜が発生したものとみなして除霜運転を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばタイマー手段により所定時間毎に定期的に除霜運転を行う等してもよい。
【0066】
また、上述の実施形態ではラバールノズルを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば先細ノズルを用いてもよい。
【0067】
また、上述の実施形態では、絞り手段としてエジェクタを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、膨脹弁、キャピラリーチューブ及びオリフィス等の冷媒を等エントロピ的に減圧するものを採用してもよい。
【0068】
また、上述の実施形態では温度センサ71及び圧力センサ72を水冷媒熱交換器20の冷媒流出口側に配置したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば水冷媒熱交換器20の冷媒流出口側又は電磁弁61の冷媒流入口側に配置してもよい。
【0069】
なお、この場合、圧力センサ72の検出圧力は、上述の実施形態と同等となるものの、高圧冷媒の圧力を臨界圧力以上とした場合には、温度センサ71の検出温度は水冷媒熱交換器20で熱交換量に応じて変化するので、その変化量を見込んで補正する必要がある。
【0070】
また、上述の実施形態では、圧力センサ72により高圧冷媒の圧力を直接的に検出したが、圧力と温度とは相関関係を有していることから、温度センサ71の検出温度に基づいて高圧冷媒の圧力を間接的に検出してもよい。
【0071】
また、本発明は、電磁弁の作動不良を自己チェックする機能を設けることにより、電磁弁の作動不良に伴う被害を最小限に止めることを目的とするものであるので、蒸気圧縮式冷凍機の形式は上述の実施形態に示されたものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るエジェクタの説明図である。
【図3】p−h線図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の冷媒流れを示す模式図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の冷媒流れを示す模式図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の制御を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機の作動を示すグラフである。
【符号の説明】
10…圧縮機、20…水冷媒熱交換器、30…蒸発器30、
40…エジェクタ、50…気液分離器、
60…バイパス回路、61…電磁弁、
70…電子制御装置、71…温度センサ、72…圧力センサ。
Claims (6)
- 低温側の熱を高温側に移動させる蒸気圧縮式冷凍機であって、
冷媒を吸入圧縮する圧縮機(10)と、
圧縮された冷媒を冷却する高圧側熱交換器(20)と、
前記高圧側熱交換器(20)の流出側冷媒回路に設けられ、冷媒流れを絞る絞り手段(40)と、
低圧の冷媒を蒸発させる低圧側熱交換器(30)と、
前記圧縮機(10)から吐出した冷媒を前記低圧側熱交換器(30)に導く冷媒通路を開閉する電磁弁(61)と、
前記電磁弁(61)の開閉作動を制御する電磁弁制御手段(70)と、
前記電磁弁制御手段(70)から前記電磁弁(61)を開作動させる旨の信号が発せられた時から所定時間経過後の高圧冷媒圧力の圧力上昇量が所定値を超えたときに、前記電磁弁(61)に作動不良が発生したものとみなして、その旨の警告信号を発する警告手段(S5)とを有することを特徴とする蒸気圧縮式冷凍機。 - 低温側の熱を高温側に移動させる蒸気圧縮式冷凍機であって、
冷媒を吸入圧縮する圧縮機(10)と、
圧縮された冷媒を冷却する高圧側熱交換器(20)と、
前記高圧側熱交換器(20)の流出側冷媒回路に設けられ、冷媒流れを絞る絞り手段(40)と、
低圧の冷媒を蒸発させる低圧側熱交換器(30)と、
前記圧縮機(10)から吐出した冷媒を前記低圧側熱交換器(30)に導く冷媒通路を開閉する電磁弁(61)と、
前記電磁弁(61)の開閉作動を制御する電磁弁制御手段(70)と、
前記電磁弁制御手段(70)から前記電磁弁(61)を閉作動させる旨の信号が発せられ後の高圧冷媒圧力が所定圧力未満のときに、前記電磁弁(61)に作動不良が発生したものとみなして、その旨の警告信号を発する警告手段(S5)とを有することを特徴とする蒸気圧縮式冷凍機。 - 圧力センサ(72)により前記高圧冷媒の圧力を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気圧縮式冷凍機。
- 高圧冷媒の温度を検出する温度センサ(71)の検出温度に基づいて前記高圧冷媒の圧力を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気圧縮式冷凍機。
- 低温側の熱を高温側に移動させる蒸気圧縮式冷凍機であって、
冷媒を吸入圧縮する圧縮機(10)と、
圧縮された冷媒を冷却する高圧側熱交換器(20)と、
前記高圧側熱交換器(20)の流出側冷媒回路に設けられ、冷媒流れを絞る絞り手段(40)と、
低圧の冷媒を蒸発させる低圧側熱交換器(30)と、
前記圧縮機(10)から吐出した冷媒を前記低圧側熱交換器(30)に導く冷媒通路を開閉する電磁弁(61)と、
前記電磁弁(61)の温度に基づいて前記電磁弁(61)の作動を検出し、作動不良が発生したときには、その旨の警告信号を発する警告手段(S5)とを有することを特徴とする蒸気圧縮式冷凍機。 - 前記絞り手段(40)は、高圧冷媒を等エントロピ的に減圧膨張させるノズル(41)を有し、前記ノズル(41)から噴射する高い速度の冷媒流により前記低圧側熱交換器(30)にて蒸発した気相冷媒を吸引するとともに、膨張エネルギーを圧力エネルギーに変換して前記圧縮機(10)の吸入圧を上昇させるエジェクタであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の蒸気圧縮式冷凍機。
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2003
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