JP2004324523A - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温での始動時においても良好な始動性を実現することのできる内燃機関の燃料供給装置を提供する。
【解決手段】内燃機関1により加熱された熱媒体を蓄え保温する熱媒体蓄熱手段7の内部に存在する熱媒体と燃料との間で熱交換される熱交換手段(7,8)と、熱交換手段にて熱交換した燃料を内燃機関1内に供給する燃料供給手段(3,4)とを備える。熱交換手段は、熱媒体蓄熱手段7内に燃料を蓄える燃料蓄熱手段8を備え、熱媒体蓄熱手段7内の熱媒体と燃料蓄熱手段8内の燃料との間で熱交換し、保温される。ゆえに、加熱された燃料を供給することができるので、低温での始動時においても良好な始動性を実現することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】内燃機関1により加熱された熱媒体を蓄え保温する熱媒体蓄熱手段7の内部に存在する熱媒体と燃料との間で熱交換される熱交換手段(7,8)と、熱交換手段にて熱交換した燃料を内燃機関1内に供給する燃料供給手段(3,4)とを備える。熱交換手段は、熱媒体蓄熱手段7内に燃料を蓄える燃料蓄熱手段8を備え、熱媒体蓄熱手段7内の熱媒体と燃料蓄熱手段8内の燃料との間で熱交換し、保温される。ゆえに、加熱された燃料を供給することができるので、低温での始動時においても良好な始動性を実現することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料供給装置に係り、自動車等に搭載される内燃機関に燃料を供給するのに好適な内燃機関の燃料供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の冷間始動時は、内燃機関や燃料自体の温度が低く燃料の気化性が悪いため、燃焼が不安定になり易い。
【0003】
これに対して、特許文献1において、シリンダヘッドに燃料通路を内蔵し、かつ当該燃料通路の周囲に冷却水通路を設け、燃料通路内の燃料と冷却水通路内の冷却水との間で熱交換を行わせる構成が開示されている。かかる構成によると、燃料の温度が冷却水の温度より低い場合は、冷却水の熱によって燃料が加熱されることとなる。そのため、このように構成された内燃機関においては、冷却水の温度が高いと、気化性に優れた暖かい燃料が燃焼室内に供給されるため、燃焼が安定する。
【0004】
また、特許文献2には、誘導コイルを内蔵した燃料噴射弁が開示されている。この燃料噴射弁によれば、誘導コイルに高周波電流を流通させることにより、噴射する燃料を加熱することができ、燃焼室内に加熱された燃料を供給することができる。そのため、この燃料噴射弁を備えた内燃機関においても、気化性に優れた暖かい燃料が供給されるため、冷間始動時においても燃焼が安定し、優れた始動性を発揮する。
【0005】
【特許文献1】
特開平09−14072号公報
【特許文献2】
特開平10−238424号公報
【特許文献3】
特開2001−132575号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の構成においては、冷間始動時等、冷却水の温度が十分に暖まっていない場合には、燃料の冷却水からの受熱量が小さいため、燃料が十分に加熱されず、燃焼が不安定になり易い。また、燃料が噴射される直前に熱交換される場合もあることから、十分に熱交換が行われないおそれもある。
【0007】
また、特許文献2に記載の燃料噴射弁においては、燃料の加熱に大量の電力を要するため、十分な電力が確保できない状況下では、供給する燃料を十分に加熱することができない。そのため、この燃料噴射弁を用いた内燃機関においては、特に極低温での始動時のようなバッテリ容量が低下している状況下で始動させられる場合には、優れた始動性を発揮できないおそれがある。
【0008】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加熱した燃料を内燃機関に供給でき、低温での始動時においても良好な始動性を実現することのできる内燃機関の燃料供給装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る内燃機関の燃料供給装置にあっては、内燃機関により加熱された熱媒体を蓄え保温する熱媒体蓄熱手段の内部に存在する熱媒体と燃料との間で熱交換される熱交換手段と、当該熱交換手段にて熱交換した燃料を内燃機関内に供給する燃料供給手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
例えば、内燃機関の冷間始動時は、内燃機関や燃料自体の温度が低く燃料の気化性が悪いため、燃焼が不安定になり易い。そこで、内燃機関の始動時から、燃料供給手段が、熱交換手段にて熱媒体蓄熱手段に蓄えられた高温の熱媒体と熱交換し暖められた燃料を、内燃機関内に供給することにより、冷間始動時においても、燃料が気化し易くなり、燃焼が促進される。
【0011】
また、内燃機関の始動後においても、燃料供給手段が、熱交換手段にて加熱され気化し易い高温の燃料を内燃機関内に供給するので、始動時にかかわらず混合気の燃焼を促進させることができ、燃焼を安定させることができる。
【0012】
なお、熱媒体としては、空気等の気体、水又は油等の流体を例示することができる。また、燃料供給手段としては、内燃機関内の燃焼室あるいは吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁、当該燃料噴射弁に燃料を導くための燃料通路、燃料を流通させるための燃料ポンプ等から構成されるものを例示することができる。
【0013】
また、前記熱交換手段は、前記熱媒体蓄熱手段内に燃料を蓄える燃料蓄熱手段を備え、前記熱媒体蓄熱手段内の熱媒体と前記燃料蓄熱手段内の燃料との間で熱交換されることが好適である。このように、保温機能を有する熱媒体蓄熱手段内に燃料蓄熱手段を備えることにより、熱交換した燃料を保温したまま蓄えることができる。その結果、始動時から気化性に優れる高温の燃料を供給することができる。
【0014】
あるいは、前記熱交換手段は、前記熱媒体蓄熱手段内に燃料が流通する熱交換用燃料通路を備え、前記熱媒体蓄熱手段内の熱媒体と前記熱交換用燃料通路内の燃料との間で熱交換されることが好適である。熱媒体蓄熱手段内に燃料通路を備えることにより、燃料が内燃機関内に供給される過程で熱媒体蓄熱手段内の高温の熱媒体と熱交換し、加熱された後、内燃機関内に供給されることとなる。
【0015】
また、上述した燃料供給装置において、前記燃料供給手段は、内燃機関に対して燃料を噴射する燃料噴射弁と、内燃機関内の熱媒体通路の近傍に備えられ燃料を前記燃料噴射弁に導く燃料通路と、を備え、内燃機関の始動時に、前記熱媒体蓄熱手段内に蓄えられた熱媒体が前記熱媒体通路に供給される際に、前記熱交換手段にて熱交換した燃料を前記燃料通路に供給するように前記燃料供給手段を制御する制御手段を更に備えることが好適である。
【0016】
燃料が、熱交換手段にて冷却水蓄熱手段内に存在する熱媒体と熱交換して暖められたとしても、燃料供給手段が、燃料を内燃機関内に供給する過程において、冷やされる可能性がある。例えば、燃料供給手段が、内燃機関に対して燃料を噴射する燃料噴射弁と、燃料を前記燃料噴射弁に導く燃料通路とを備えるような場合等、暖められた燃料が内燃機関に対して噴射される前に、燃料噴射弁や燃料通路を通過する時に冷やされる可能性がある。特に、内燃機関が低温で始動させられる場合は、燃料噴射弁や燃料通路が冷えているためその可能性も高くなる。
【0017】
そこで、燃料噴射弁に燃料を導く燃料通路を内燃機関内の熱媒体通路の近傍に備え、制御手段が、内燃機関の始動時に、熱媒体蓄熱手段内に蓄積された高温の熱媒体が内燃機関内の熱媒体通路に供給される際に、熱交換手段にて熱交換した燃料を燃料通路に供給するように制御すると、燃料通路も熱媒体通路内の高温の熱媒体により暖められていることから、燃料も冷やされることなく高温のまま内燃機関に対して噴射されるようにすることができる。
【0018】
そして、具体的には、前記燃料噴射弁は、内燃機関のシリンダヘッドに組み付けられたサイドフィード式の噴射弁であり、前記燃料通路は、前記シリンダヘッド内の熱媒体通路の近傍に備えられたデリバリパイプであることが好適である。燃料噴射弁及び燃料通路をシリンダヘッドに組み付けることで、燃料通路を熱媒体通路の極力近傍に設けることができる。その結果、より確実に燃料を高温のまま内燃機関に対して噴射させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料供給装置の構成を説明するための図である。内燃機関1は4つの気筒2を有する水冷式の直接噴射型火花点火機関であり、内燃機関1のシリンダヘッドには、4つの燃焼室各々に対応するように、4つの燃料噴射弁3が組み込まれており、燃焼室の内部に燃料を直接噴射することができる。
【0021】
この燃料噴射弁3は、燃料の供給を受けるための燃料流入口と、余剰燃料を流出させるための燃料流出口とを、その筐筒の側面に備えるサイドフィード式の噴射弁である。また、燃料噴射弁3の後端部を覆うようにシリンダヘッドの燃料噴射弁取付面にカバーを取り付けている。
【0022】
また、シリンダヘッドの内部には、個々の燃料噴射弁3に対して順送りで燃料を導くためのデリバリパイプ4が設けられている。このデリバリパイプ4は、図示しないOリングを介して、個々の燃料噴射弁3の燃料流入口および燃料流出口と連通している。
【0023】
また、内燃機関1のシリンダヘッドには、燃焼室を取り囲むようにシリンダヘッドの周縁部に沿って冷却水通路5が設けられている。そして、この冷却水通路5の一端は冷却水遮断弁6を介して冷却水蓄熱タンク7と連通している。この冷却水遮断弁6は、冷却水通路5と冷却水蓄熱タンク7との導通状態を制御する制御弁である。冷却水蓄熱タンク7は、保温機能を有するタンクであり、内燃機関1の運転中に、その内部に高温の冷却水が導かれるように冷却水循環経路(図示せず)中に配置されている。従って、冷却水蓄熱タンク7は、内燃機関1の運転中にその内部に高温の冷却水を蓄え、内燃機関の停止中に、その冷却水を高温状態に保温することができる。また、前述したデリバリパイプ4は、図に示すように、冷却水通路5の近傍に設けられている。
【0024】
この冷却水蓄熱タンク7の内部には燃料蓄熱タンク8が備えられている。この構成の概略を示したのが図2である。この冷却水蓄熱タンク7の最下部には、冷却水を取り入れるための冷却水導入部材7aが設けられており、また、この冷却水導入部材7aから取り入れられた冷却水をシリンダヘッドの冷却水通路5に供給する冷却水排出パイプ7bが設けられている。そして、この冷却水排出パイプ7bの上流側一端部は、冷却水蓄熱タンク7内の上部に開口するように構成されており、他端部は該タンクの下方部位に位置している。
【0025】
そして、図示しない冷却水ポンプが駆動することで、冷却水が冷却水導入部7aから冷却水蓄熱タンク7内の下部に流入し、この流入した冷却水によって該タンク7内に蓄積えられていた冷却水が上部に押し出されるようにして冷却水排出パイプ7bに流入した後に、該タンク7外へ排出されるようになっている。
【0026】
冷却水蓄熱タンク7の内部に備えられた燃料蓄熱タンク8は、図2に示すように、略円筒状であり、その円の略中心部に長手方向に貫通する穴を有している。そして、その貫通穴に冷却水排出パイプ7bが挿入されている。また、この燃料蓄熱タンク8の最下部には、燃料をタンク内に導くための燃料導入パイプ8aが備えられている。そして、この燃料導入パイプ8aから導かれた燃料をシリンダヘッドのデリバリパイプ4へ供給する燃料排出パイプ8bが設けられている。この燃料排出パイプ8bの上流側一端部は、燃料蓄熱タンク8内の上部に開口するように構成されており、他端部は該タンク8の下方に位置し、高圧ポンプ9を介してデリバリパイプ4と連通している。また、燃料遮断弁10によりデリバリパイプ4へ供給される燃料量が制御される。
【0027】
燃料タンク11内の燃料は、低圧ポンプ12が駆動することにより低圧燃料通路13を通過した後、燃料導入パイプ8aを介して燃料蓄熱タンク8内に導かれるようになっており、燃料が燃料導入パイプ8aを介して燃料蓄熱タンクの下部に流入すると、この流入した燃料によって該タンク内に蓄えられていた燃料が上部に押し出されるようにして燃料排出パイプ8bに流入し、その後、該タンク8外へ排出される。
【0028】
燃料蓄熱タンク8外に排出された燃料は、高圧ポンプ9により1MPa〜10MPaの所定の圧力まで加圧された後、デリバリパイプ4内を通過し燃料噴射弁3に導かれる。なお、デリバリパイプ4の終端(図1における左側端部)は、電磁リリーフ弁14を介してリターン配管15に連通している。そして、このリターン配管15は、低圧燃料通路13に連通している。
【0029】
このように冷却水蓄熱タンク7の内部に燃料蓄熱タンク8が設けられているので、冷却水蓄熱タンク7内の冷却水と燃料蓄熱タンク8内の燃料との間で熱交換が行われる。つまり、これら2つのタンクで冷却水と燃料との間で熱交換される熱交換手段を形成している。ゆえに、内燃機関1の運転中に冷却水蓄熱タンク7内に蓄えられた高温の冷却水が内燃機関1の停止中に高温に保温されるとともに、燃料蓄熱タンク8内に蓄えられた燃料も高温に保温された冷却水と熱交換することにより加熱され、高温となりそのまま保温されることとなる。
【0030】
なお、冷却水蓄熱タンク7は上側部品7cと下側部品7dとを分離できる構造となっており、当該下側部品7dを上側部品7cと分離した状態で燃料蓄熱タンク8を冷却水蓄熱タンク7内に挿入し、再度上側部品7cと下側部品7dとを嵌合して組み立てるものである。燃料蓄熱タンク8は挿入された後下側部品7dにボルト等の締結部材で固定しても良いし、予め下側部品7dに締結部材あるいは溶接等により固定しておき、下側部品7dと共に挿入されても良い。
【0031】
また、冷却水導入部材7a及び冷却水排出パイプ7bの冷却水蓄熱タンク7への挿入口には図示しないOリング等のシール部材が設けられており、冷却水が冷却水蓄熱タンク7外へ漏れない構造となっている。同様に、燃料導入パイプ8a及び燃料排出パイプ8bの燃料蓄熱タンク8及び冷却水蓄熱タンク7への挿入口には図示しないOリング等のシール部材が設けられており、燃料蓄熱タンク8内の燃料が当該タンク8外へ漏れないようになっているとともに、冷却水蓄熱タンク7内の冷却水が燃料蓄熱タンク8内へ漏れないようになっている。
【0032】
以上述べたように構成された燃料供給装置には、当該燃料供給装置を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)16が併設されている。このECU16は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどからなる算術論理演算回路であり、上述した冷却水遮断弁6、燃料遮断弁10、低圧ポンプ12、高圧ポンプ9並びに燃料噴射弁3等は、このECU16によってその動作が制御される。
【0033】
次に、本実施の形態の内燃機関の燃料供給装置の動作について、図3のフローチャート図に沿って説明する。
【0034】
この制御ルーチンは、予めECU16のROMに記憶されているルーチンであり、一定時間の経過、あるいは図示しないクランクポジションセンサからのパルス信号の入力などをトリガとした割り込み処理としてECU16が実行するルーチンである。
【0035】
本ルーチンでは、ECU16は、先ず、当該内燃機関1が搭載された車両のイグニッションスイッチ(IG)がONであるか否かが判別される(S101)。
【0036】
そして、IGがONであると判別された場合は、冷却水遮断弁6が開状態とされ(S102)、次いで、図示しない冷却水ポンプがONとされる(S103)。その後、燃料遮断弁10及び電磁リリーフ弁14が開状態とされる(S104)。さらに、低圧ポンプ12及び高圧ポンプ9がONとされて(S105)、本ルーチンを終了する。
【0037】
一方、S101において、IGがONではないと判別された場合は、冷却水ポンプがOFFとされ(S106)、次いで、冷却水遮断弁6が閉状態とされる(S107)。その後、低圧ポンプ12及び高圧ポンプ9がOFFとされる(S108)。そし後、さらに、燃料遮断弁10及び電磁リリーフ弁14が閉状態とされ(S109)、本ルーチンを終了する。
【0038】
上述したように、冷却水蓄熱タンク7の内部には内燃機関1の運転中に高温の冷却水が導かれる。そのため、上記ルーチンによれば、IGがOFF状態になると冷却水遮断弁6が閉状態とされる。ゆえに、内燃機関1の運転中に導かれた高温の冷却水は、内燃機関1が停止している間中、冷却水通路5に流出することなく冷却水蓄熱タンク7内に保持される。そして、冷却水蓄熱タンク7は、保温機能を有しているため、その中に蓄えられている冷却水は、内燃機関が停止している間、保温されることとなる。
【0039】
また、IGがOFF状態になると燃料遮断弁10が閉状態とされることにより、燃料蓄熱タンク8内部に導かれた燃料は、内燃機関1が停止している間中、デリバリパイプ4に流出することなく燃料蓄熱タンク8内に保持される。そして、冷却水蓄熱タンク7内の冷却水と燃料蓄熱タンク8内の燃料との間で熱交換が行われることにより、燃料蓄熱タンク8内の燃料も加熱され高温となる。そして、内燃機関1が停止している間、そのまま保温されることとなる。
【0040】
内燃機関1の始動時にIGがON状態になると、冷却水遮断弁6が開かれるとともに、冷却水ポンプがONにされることにより、冷却水蓄熱タンク7の内部に蓄えられた高温の冷却水が冷却水通路5に流出する。その結果、シリンダヘッドが暖められることとなる。その後、さらに、燃料遮断弁10及び電磁リリーフ弁14が開状態とされるとともに、低圧ポンプ12及び高圧ポンプ9がONにされることにより、燃料蓄熱タンク8内部に高温のまま蓄えられている燃料が、燃焼室内に供給されることとなる。
【0041】
したがって、極低温の状況下で内燃機関1が始動させられる場合においても、始動時から、気化し易い高温の燃料が供給されるので、何らの電力消費を伴うことなく、混合気の燃焼を促進させ、燃焼を安定させることができる。
【0042】
また、内燃機関1の運転中は、シリンダヘッドの冷却水通路5等を通過した後の冷却水が冷却水蓄熱タンク7内に導かれ、デリバリパイプ4へは燃料蓄熱タンク8内の燃料が供給される。したがって、内燃機関1の運転中は、熱交換手段にて熱交換し、加熱された後の燃料が燃焼室へ供給されるので、始動時にかかわらず、気化し易い高温の燃料を供給することができ、混合気の燃焼を促進させることができる。
【0043】
なお、上記ルーチンにおいては、S101でIGがONであると判別された場合、冷却水遮断弁が開状態、冷却水ポンプがONとされて冷却水の供給が開始された後に、燃料の供給が開始されるが、冷却水を供給するための制御と独立して、燃料を供給するためだけの制御を実行しても良い。つまり、上記ルーチンにおいて、S102、S103、S106、S107を省略し、S101でIGがONであると判別された場合は、S104へ進み、IGがONでないと判別された場合は、S108へ進むようにしても良い。
【0044】
ただ、始動開始時等シリンダヘッドが低温の状態で、燃料蓄熱タンク8内に蓄えられた高温の燃料をデリバリパイプ4に供給しても、デリバリパイプ4自体の温度やその周辺の温度が低いので、燃焼室内に噴射される前に燃料が冷やされる可能性もある。したがって、図3に示した制御ルーチンのように、冷却水蓄熱タンク7内に高温のまま蓄えられた冷却水をシリンダヘッドに供給した後あるいはそれと同時に燃料をデリバリパイプ4に供給するようにすれば、冷却水によってデリバリパイプ4が暖められた後に、デリバリパイプ4に燃料が供給されるので、高温を維持させたまま、燃料を燃焼室内まで供給することができる。
【0045】
また、上記ルーチンにおいて、S101でIGがONではないと判別された後S106に進んでいるが、S101とS106の間で「車両のドアのロックが外側から解除されたか否か」を判別し、解除されたと判別されたらS102へ進み、解除されていないと判別されたらS106へ進むようにしても良い。かかる場合は、IGがOFFである場合でも車両のドアのロックが外側から解除されたと判別された場合は、その時点から高温の冷却水がシリンダヘッド内の冷却水通路5へ供給され、高温の燃料がデリバリパイプ4へ供給されることとなる。
【0046】
ゆえに、ドアのロックが解除されてからIGがONとなるまでの時間分だけ早期に、高温の冷却水及び燃料の供給が開始されることから、内燃機関1の暖機をより一層促進することができるとともに、より正確に始動開始から高温の燃料を燃焼室内に供給できるようになる。
【0047】
但し、ドアのロックが外側から解除されても必ずしも内燃機関1を始動させるとは限らないので、ドアのロックが解除されても、所定期間IGがON状態にならない場合は、S106以降の処理を実行するようにすることが好ましい。
【0048】
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態に係る燃料供給装置の構成を説明するための図である。本図において第1の実施の形態と同一の構成部品については、図1と同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0049】
第1の実施の形態においては、冷却水蓄熱タンク7の内部に燃料蓄熱タンク8を備えた熱交換手段を用いていたが、本実施の形態においては、冷却水蓄熱タンク7内に熱交換用燃料通路17を設けて熱交換手段を形成している。
【0050】
第1の実施の形態と同様に、冷却水通路5の一端は冷却水遮断弁6を介して冷却水蓄熱タンク7と連通している。また、冷却水蓄熱タンク7は、保温機能を有するタンクであり、内燃機関1の運転中に、その内部に高温の冷却水が導かれるように冷却水循環経路(図示せず)中に配置されている。従って、冷却水蓄熱タンク7は、内燃機関の運転中にその内部に高温の冷却水を蓄え、内燃機関の停止中に、その冷却水を高温状態に保温することができる。
【0051】
本実施の形態の熱交換手段の概略図を示したのが図5である。この熱交換手段の冷却水蓄熱タンク7には、図3に示した冷却水蓄熱タンク7と同様に、冷却水を該タンク内に導入するための冷却水導入部材7aと、冷却水蓄熱タンク7内の冷却水を該タンク外へ排出するための冷却水排出パイプ7bが設けられている。そして、冷却水排出パイプ7bの周囲に、螺旋状に成形された熱交換用燃料通路17が設けられており、本図の上方から下方へと燃料が流れるようになっている。
【0052】
なお、本実施の形態の冷却水蓄熱タンク7も上側部品7cと下側部品7dとを分離できる構造となっており、当該下側部品7dを上側部品7cと分離した状態で熱交換用燃料通路17を冷却水蓄熱タンク7内に挿入して組み立てるものである。また、冷却水導入部材7a及び冷却水排出パイプ7bの冷却水蓄熱タンク7への挿入口には図示しないOリング等のシール部材が設けられており、同様に、熱交換用燃料通路17の冷却水蓄熱タンク7への挿入口には図示しないOリング等のシール部材が設けられているので、冷却水が冷却水蓄熱タンク外へ漏れないようになっている。
【0053】
このように冷却水蓄熱タンク7内に熱交換用燃料通路17を備えることで、内燃機関1の運転中に冷却水蓄熱タンク7内に蓄えられた高温の冷却水と冷却水蓄熱タンク7内に設けられた熱交換用燃料通路17内の燃料との間で熱交換が行われることとなる。したがって、デリバリパイプ4へは常に、熱交換手段内で冷却水と熱交換した後の燃料が供給される。そのため、冷却水蓄熱タンク7内に高温の冷却水が蓄えられている場合は、燃料が熱交換手段に導入される前は低温であっても、該熱交換手段内で高温の冷却水と熱交換することにより加熱された状態でデリバリパイプ4へ供給される。
【0054】
また、本実施の形態に係る燃料供給装置の制御ルーチンも第1の実施の形態と同様に、図3のフローチャートに基づいて実行される。その詳細は第1の実施の形態で説明したものと同一であるので、その説明は省略する。
【0055】
冷却水蓄熱タンク7の内部には内燃機関1の運転中に高温の冷却水が導かれる。そのため、本ルーチンによれば、IGがOFF状態になると冷却水遮断弁6が閉状態とされる。ゆえに、内燃機関1の運転中に導かれた高温の冷却水は、内燃機関1が停止している間中、冷却水通路5に流出することなく冷却水蓄熱タンク7内に保持される。そして、冷却水蓄熱タンク7は、保温機能を有しているため、その中に蓄えられている冷却水は、内燃機関1が停止している間、保温されることとなる。
【0056】
また、IGがOFF状態になると燃料遮断弁10が閉状態とされることにより、冷却水蓄熱タンク7内に設けられた熱交換用燃料通路17内の燃料は、内燃機関1が停止している間中、そのまま熱交換用燃料通路17に保持される。そして、冷却水蓄熱タンク7内の冷却水と熱交換用燃料通路17内の燃料との間で熱交換されることにより、熱交換用燃料通路17内の燃料も加熱され高温となる。そして、内燃機関1が停止している間、そのまま保温されることとなる。
【0057】
内燃機関1の始動時にIGがON状態になると、冷却水遮断弁6が開かれるとともに、図示しない冷却水ポンプがONにされることにより、冷却水蓄熱タンク7の内部に蓄えられた高温の冷却水が冷却水通路5に流出する。その結果、シリンダヘッドが暖められることとなる。さらに、燃料遮断弁10及び電磁リリーフ弁14が開状態とされるとともに、低圧ポンプ12及び高圧ポンプ9がONにされることにより、冷却水蓄熱タンク7内の熱交換用燃料通路17内の燃料が、デリバリパイプ4に供給されることとなる。また、内燃機関1停止中には熱交換用燃料通路17には存在していなかった燃料も、熱交換用燃料通路17を通過する時に、高温の冷却水との間で熱交換することにより、加熱された後、デリバリパイプ4に供給されることとなる。
【0058】
したがって、極低温の状況下で内燃機関が始動させられる場合においても、始動時から、気化し易い高温の燃料が供給されるので、何らの電力消費を伴うことなく、混合気の燃焼を促進させ、燃焼を安定させることができる。
【0059】
また、内燃機関1の運転中は、シリンダヘッドの冷却水通路5等を通過した後の冷却水が冷却水蓄熱タンク7内に導かれ、デリバリパイプ4へは熱交換用燃料通路17を通過した後の燃料が供給される。したがって、内燃機関1の運転中は、熱交換手段にて熱交換し、加熱された後の燃料が燃焼室へ供給されるので、始動時にかかわらず、気化し易い高温の燃料を供給することができ、混合気の燃焼を促進させることができる。
【0060】
なお、本実施の形態の熱交換用燃料通路は、冷却水排出パイプ7bの周囲に螺旋状に形成したが、特にこの形状に限定されるものではなく、単なる直線形状であっても良い。但し、より多くの燃料を熱交換させるには、冷却水蓄熱タンク7内に存在する燃料通路の表面積を大きくする方が好ましい。
【0061】
また、本実施の形態の制御ルーチンにおいても、冷却水を供給するための制御と独立して、燃料を供給するためだけの制御を実行しても良いことは第1の実施の形態で説明したのと同様である。
【0062】
また、S101でIGがONではないと判別された後S106に進んでいるが、S101とS106の間で「車両のドアのロックが外側から解除されたか否か」を判別し、解除されたと判別されたらS102へ進み、解除されていないと判別されたらS106へ進むようにしても好適であることは第1の実施の形態で説明したのと同様である。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る内燃機関の燃料供給装置によれば、始動時から加熱された燃料を供給することができるので、極低温での始動時においても良好な始動性を実現することができる。また、運転開始後も加熱された後の燃料が供給されるので、常に混合気の燃焼を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る燃料供給装置と当該燃料供給装置を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る熱交換手段の概略図である。
【図3】第1の実施の形態に係る燃料及び冷却水の流れを制御するために実行されるルーチンのフローチャート図である。
【図4】第2の実施の形態に係る燃料供給装置と当該燃料供給装置を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る熱交換手段の概略図である。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 気筒
3 燃料噴射弁
4 デリバリパイプ
5 冷却水通路
6 冷却水遮断弁
7 冷却水蓄熱タンク
8 燃料蓄熱タンク
9 高圧ポンプ
10 燃料遮断弁
11 燃料タンク
12 低圧ポンプ
13 低圧燃料通路
14 電磁リリーフ弁
15 リターン配管
16 ECU
17 熱交換用燃料通路
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料供給装置に係り、自動車等に搭載される内燃機関に燃料を供給するのに好適な内燃機関の燃料供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の冷間始動時は、内燃機関や燃料自体の温度が低く燃料の気化性が悪いため、燃焼が不安定になり易い。
【0003】
これに対して、特許文献1において、シリンダヘッドに燃料通路を内蔵し、かつ当該燃料通路の周囲に冷却水通路を設け、燃料通路内の燃料と冷却水通路内の冷却水との間で熱交換を行わせる構成が開示されている。かかる構成によると、燃料の温度が冷却水の温度より低い場合は、冷却水の熱によって燃料が加熱されることとなる。そのため、このように構成された内燃機関においては、冷却水の温度が高いと、気化性に優れた暖かい燃料が燃焼室内に供給されるため、燃焼が安定する。
【0004】
また、特許文献2には、誘導コイルを内蔵した燃料噴射弁が開示されている。この燃料噴射弁によれば、誘導コイルに高周波電流を流通させることにより、噴射する燃料を加熱することができ、燃焼室内に加熱された燃料を供給することができる。そのため、この燃料噴射弁を備えた内燃機関においても、気化性に優れた暖かい燃料が供給されるため、冷間始動時においても燃焼が安定し、優れた始動性を発揮する。
【0005】
【特許文献1】
特開平09−14072号公報
【特許文献2】
特開平10−238424号公報
【特許文献3】
特開2001−132575号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の構成においては、冷間始動時等、冷却水の温度が十分に暖まっていない場合には、燃料の冷却水からの受熱量が小さいため、燃料が十分に加熱されず、燃焼が不安定になり易い。また、燃料が噴射される直前に熱交換される場合もあることから、十分に熱交換が行われないおそれもある。
【0007】
また、特許文献2に記載の燃料噴射弁においては、燃料の加熱に大量の電力を要するため、十分な電力が確保できない状況下では、供給する燃料を十分に加熱することができない。そのため、この燃料噴射弁を用いた内燃機関においては、特に極低温での始動時のようなバッテリ容量が低下している状況下で始動させられる場合には、優れた始動性を発揮できないおそれがある。
【0008】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加熱した燃料を内燃機関に供給でき、低温での始動時においても良好な始動性を実現することのできる内燃機関の燃料供給装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る内燃機関の燃料供給装置にあっては、内燃機関により加熱された熱媒体を蓄え保温する熱媒体蓄熱手段の内部に存在する熱媒体と燃料との間で熱交換される熱交換手段と、当該熱交換手段にて熱交換した燃料を内燃機関内に供給する燃料供給手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
例えば、内燃機関の冷間始動時は、内燃機関や燃料自体の温度が低く燃料の気化性が悪いため、燃焼が不安定になり易い。そこで、内燃機関の始動時から、燃料供給手段が、熱交換手段にて熱媒体蓄熱手段に蓄えられた高温の熱媒体と熱交換し暖められた燃料を、内燃機関内に供給することにより、冷間始動時においても、燃料が気化し易くなり、燃焼が促進される。
【0011】
また、内燃機関の始動後においても、燃料供給手段が、熱交換手段にて加熱され気化し易い高温の燃料を内燃機関内に供給するので、始動時にかかわらず混合気の燃焼を促進させることができ、燃焼を安定させることができる。
【0012】
なお、熱媒体としては、空気等の気体、水又は油等の流体を例示することができる。また、燃料供給手段としては、内燃機関内の燃焼室あるいは吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁、当該燃料噴射弁に燃料を導くための燃料通路、燃料を流通させるための燃料ポンプ等から構成されるものを例示することができる。
【0013】
また、前記熱交換手段は、前記熱媒体蓄熱手段内に燃料を蓄える燃料蓄熱手段を備え、前記熱媒体蓄熱手段内の熱媒体と前記燃料蓄熱手段内の燃料との間で熱交換されることが好適である。このように、保温機能を有する熱媒体蓄熱手段内に燃料蓄熱手段を備えることにより、熱交換した燃料を保温したまま蓄えることができる。その結果、始動時から気化性に優れる高温の燃料を供給することができる。
【0014】
あるいは、前記熱交換手段は、前記熱媒体蓄熱手段内に燃料が流通する熱交換用燃料通路を備え、前記熱媒体蓄熱手段内の熱媒体と前記熱交換用燃料通路内の燃料との間で熱交換されることが好適である。熱媒体蓄熱手段内に燃料通路を備えることにより、燃料が内燃機関内に供給される過程で熱媒体蓄熱手段内の高温の熱媒体と熱交換し、加熱された後、内燃機関内に供給されることとなる。
【0015】
また、上述した燃料供給装置において、前記燃料供給手段は、内燃機関に対して燃料を噴射する燃料噴射弁と、内燃機関内の熱媒体通路の近傍に備えられ燃料を前記燃料噴射弁に導く燃料通路と、を備え、内燃機関の始動時に、前記熱媒体蓄熱手段内に蓄えられた熱媒体が前記熱媒体通路に供給される際に、前記熱交換手段にて熱交換した燃料を前記燃料通路に供給するように前記燃料供給手段を制御する制御手段を更に備えることが好適である。
【0016】
燃料が、熱交換手段にて冷却水蓄熱手段内に存在する熱媒体と熱交換して暖められたとしても、燃料供給手段が、燃料を内燃機関内に供給する過程において、冷やされる可能性がある。例えば、燃料供給手段が、内燃機関に対して燃料を噴射する燃料噴射弁と、燃料を前記燃料噴射弁に導く燃料通路とを備えるような場合等、暖められた燃料が内燃機関に対して噴射される前に、燃料噴射弁や燃料通路を通過する時に冷やされる可能性がある。特に、内燃機関が低温で始動させられる場合は、燃料噴射弁や燃料通路が冷えているためその可能性も高くなる。
【0017】
そこで、燃料噴射弁に燃料を導く燃料通路を内燃機関内の熱媒体通路の近傍に備え、制御手段が、内燃機関の始動時に、熱媒体蓄熱手段内に蓄積された高温の熱媒体が内燃機関内の熱媒体通路に供給される際に、熱交換手段にて熱交換した燃料を燃料通路に供給するように制御すると、燃料通路も熱媒体通路内の高温の熱媒体により暖められていることから、燃料も冷やされることなく高温のまま内燃機関に対して噴射されるようにすることができる。
【0018】
そして、具体的には、前記燃料噴射弁は、内燃機関のシリンダヘッドに組み付けられたサイドフィード式の噴射弁であり、前記燃料通路は、前記シリンダヘッド内の熱媒体通路の近傍に備えられたデリバリパイプであることが好適である。燃料噴射弁及び燃料通路をシリンダヘッドに組み付けることで、燃料通路を熱媒体通路の極力近傍に設けることができる。その結果、より確実に燃料を高温のまま内燃機関に対して噴射させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料供給装置の構成を説明するための図である。内燃機関1は4つの気筒2を有する水冷式の直接噴射型火花点火機関であり、内燃機関1のシリンダヘッドには、4つの燃焼室各々に対応するように、4つの燃料噴射弁3が組み込まれており、燃焼室の内部に燃料を直接噴射することができる。
【0021】
この燃料噴射弁3は、燃料の供給を受けるための燃料流入口と、余剰燃料を流出させるための燃料流出口とを、その筐筒の側面に備えるサイドフィード式の噴射弁である。また、燃料噴射弁3の後端部を覆うようにシリンダヘッドの燃料噴射弁取付面にカバーを取り付けている。
【0022】
また、シリンダヘッドの内部には、個々の燃料噴射弁3に対して順送りで燃料を導くためのデリバリパイプ4が設けられている。このデリバリパイプ4は、図示しないOリングを介して、個々の燃料噴射弁3の燃料流入口および燃料流出口と連通している。
【0023】
また、内燃機関1のシリンダヘッドには、燃焼室を取り囲むようにシリンダヘッドの周縁部に沿って冷却水通路5が設けられている。そして、この冷却水通路5の一端は冷却水遮断弁6を介して冷却水蓄熱タンク7と連通している。この冷却水遮断弁6は、冷却水通路5と冷却水蓄熱タンク7との導通状態を制御する制御弁である。冷却水蓄熱タンク7は、保温機能を有するタンクであり、内燃機関1の運転中に、その内部に高温の冷却水が導かれるように冷却水循環経路(図示せず)中に配置されている。従って、冷却水蓄熱タンク7は、内燃機関1の運転中にその内部に高温の冷却水を蓄え、内燃機関の停止中に、その冷却水を高温状態に保温することができる。また、前述したデリバリパイプ4は、図に示すように、冷却水通路5の近傍に設けられている。
【0024】
この冷却水蓄熱タンク7の内部には燃料蓄熱タンク8が備えられている。この構成の概略を示したのが図2である。この冷却水蓄熱タンク7の最下部には、冷却水を取り入れるための冷却水導入部材7aが設けられており、また、この冷却水導入部材7aから取り入れられた冷却水をシリンダヘッドの冷却水通路5に供給する冷却水排出パイプ7bが設けられている。そして、この冷却水排出パイプ7bの上流側一端部は、冷却水蓄熱タンク7内の上部に開口するように構成されており、他端部は該タンクの下方部位に位置している。
【0025】
そして、図示しない冷却水ポンプが駆動することで、冷却水が冷却水導入部7aから冷却水蓄熱タンク7内の下部に流入し、この流入した冷却水によって該タンク7内に蓄積えられていた冷却水が上部に押し出されるようにして冷却水排出パイプ7bに流入した後に、該タンク7外へ排出されるようになっている。
【0026】
冷却水蓄熱タンク7の内部に備えられた燃料蓄熱タンク8は、図2に示すように、略円筒状であり、その円の略中心部に長手方向に貫通する穴を有している。そして、その貫通穴に冷却水排出パイプ7bが挿入されている。また、この燃料蓄熱タンク8の最下部には、燃料をタンク内に導くための燃料導入パイプ8aが備えられている。そして、この燃料導入パイプ8aから導かれた燃料をシリンダヘッドのデリバリパイプ4へ供給する燃料排出パイプ8bが設けられている。この燃料排出パイプ8bの上流側一端部は、燃料蓄熱タンク8内の上部に開口するように構成されており、他端部は該タンク8の下方に位置し、高圧ポンプ9を介してデリバリパイプ4と連通している。また、燃料遮断弁10によりデリバリパイプ4へ供給される燃料量が制御される。
【0027】
燃料タンク11内の燃料は、低圧ポンプ12が駆動することにより低圧燃料通路13を通過した後、燃料導入パイプ8aを介して燃料蓄熱タンク8内に導かれるようになっており、燃料が燃料導入パイプ8aを介して燃料蓄熱タンクの下部に流入すると、この流入した燃料によって該タンク内に蓄えられていた燃料が上部に押し出されるようにして燃料排出パイプ8bに流入し、その後、該タンク8外へ排出される。
【0028】
燃料蓄熱タンク8外に排出された燃料は、高圧ポンプ9により1MPa〜10MPaの所定の圧力まで加圧された後、デリバリパイプ4内を通過し燃料噴射弁3に導かれる。なお、デリバリパイプ4の終端(図1における左側端部)は、電磁リリーフ弁14を介してリターン配管15に連通している。そして、このリターン配管15は、低圧燃料通路13に連通している。
【0029】
このように冷却水蓄熱タンク7の内部に燃料蓄熱タンク8が設けられているので、冷却水蓄熱タンク7内の冷却水と燃料蓄熱タンク8内の燃料との間で熱交換が行われる。つまり、これら2つのタンクで冷却水と燃料との間で熱交換される熱交換手段を形成している。ゆえに、内燃機関1の運転中に冷却水蓄熱タンク7内に蓄えられた高温の冷却水が内燃機関1の停止中に高温に保温されるとともに、燃料蓄熱タンク8内に蓄えられた燃料も高温に保温された冷却水と熱交換することにより加熱され、高温となりそのまま保温されることとなる。
【0030】
なお、冷却水蓄熱タンク7は上側部品7cと下側部品7dとを分離できる構造となっており、当該下側部品7dを上側部品7cと分離した状態で燃料蓄熱タンク8を冷却水蓄熱タンク7内に挿入し、再度上側部品7cと下側部品7dとを嵌合して組み立てるものである。燃料蓄熱タンク8は挿入された後下側部品7dにボルト等の締結部材で固定しても良いし、予め下側部品7dに締結部材あるいは溶接等により固定しておき、下側部品7dと共に挿入されても良い。
【0031】
また、冷却水導入部材7a及び冷却水排出パイプ7bの冷却水蓄熱タンク7への挿入口には図示しないOリング等のシール部材が設けられており、冷却水が冷却水蓄熱タンク7外へ漏れない構造となっている。同様に、燃料導入パイプ8a及び燃料排出パイプ8bの燃料蓄熱タンク8及び冷却水蓄熱タンク7への挿入口には図示しないOリング等のシール部材が設けられており、燃料蓄熱タンク8内の燃料が当該タンク8外へ漏れないようになっているとともに、冷却水蓄熱タンク7内の冷却水が燃料蓄熱タンク8内へ漏れないようになっている。
【0032】
以上述べたように構成された燃料供給装置には、当該燃料供給装置を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)16が併設されている。このECU16は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどからなる算術論理演算回路であり、上述した冷却水遮断弁6、燃料遮断弁10、低圧ポンプ12、高圧ポンプ9並びに燃料噴射弁3等は、このECU16によってその動作が制御される。
【0033】
次に、本実施の形態の内燃機関の燃料供給装置の動作について、図3のフローチャート図に沿って説明する。
【0034】
この制御ルーチンは、予めECU16のROMに記憶されているルーチンであり、一定時間の経過、あるいは図示しないクランクポジションセンサからのパルス信号の入力などをトリガとした割り込み処理としてECU16が実行するルーチンである。
【0035】
本ルーチンでは、ECU16は、先ず、当該内燃機関1が搭載された車両のイグニッションスイッチ(IG)がONであるか否かが判別される(S101)。
【0036】
そして、IGがONであると判別された場合は、冷却水遮断弁6が開状態とされ(S102)、次いで、図示しない冷却水ポンプがONとされる(S103)。その後、燃料遮断弁10及び電磁リリーフ弁14が開状態とされる(S104)。さらに、低圧ポンプ12及び高圧ポンプ9がONとされて(S105)、本ルーチンを終了する。
【0037】
一方、S101において、IGがONではないと判別された場合は、冷却水ポンプがOFFとされ(S106)、次いで、冷却水遮断弁6が閉状態とされる(S107)。その後、低圧ポンプ12及び高圧ポンプ9がOFFとされる(S108)。そし後、さらに、燃料遮断弁10及び電磁リリーフ弁14が閉状態とされ(S109)、本ルーチンを終了する。
【0038】
上述したように、冷却水蓄熱タンク7の内部には内燃機関1の運転中に高温の冷却水が導かれる。そのため、上記ルーチンによれば、IGがOFF状態になると冷却水遮断弁6が閉状態とされる。ゆえに、内燃機関1の運転中に導かれた高温の冷却水は、内燃機関1が停止している間中、冷却水通路5に流出することなく冷却水蓄熱タンク7内に保持される。そして、冷却水蓄熱タンク7は、保温機能を有しているため、その中に蓄えられている冷却水は、内燃機関が停止している間、保温されることとなる。
【0039】
また、IGがOFF状態になると燃料遮断弁10が閉状態とされることにより、燃料蓄熱タンク8内部に導かれた燃料は、内燃機関1が停止している間中、デリバリパイプ4に流出することなく燃料蓄熱タンク8内に保持される。そして、冷却水蓄熱タンク7内の冷却水と燃料蓄熱タンク8内の燃料との間で熱交換が行われることにより、燃料蓄熱タンク8内の燃料も加熱され高温となる。そして、内燃機関1が停止している間、そのまま保温されることとなる。
【0040】
内燃機関1の始動時にIGがON状態になると、冷却水遮断弁6が開かれるとともに、冷却水ポンプがONにされることにより、冷却水蓄熱タンク7の内部に蓄えられた高温の冷却水が冷却水通路5に流出する。その結果、シリンダヘッドが暖められることとなる。その後、さらに、燃料遮断弁10及び電磁リリーフ弁14が開状態とされるとともに、低圧ポンプ12及び高圧ポンプ9がONにされることにより、燃料蓄熱タンク8内部に高温のまま蓄えられている燃料が、燃焼室内に供給されることとなる。
【0041】
したがって、極低温の状況下で内燃機関1が始動させられる場合においても、始動時から、気化し易い高温の燃料が供給されるので、何らの電力消費を伴うことなく、混合気の燃焼を促進させ、燃焼を安定させることができる。
【0042】
また、内燃機関1の運転中は、シリンダヘッドの冷却水通路5等を通過した後の冷却水が冷却水蓄熱タンク7内に導かれ、デリバリパイプ4へは燃料蓄熱タンク8内の燃料が供給される。したがって、内燃機関1の運転中は、熱交換手段にて熱交換し、加熱された後の燃料が燃焼室へ供給されるので、始動時にかかわらず、気化し易い高温の燃料を供給することができ、混合気の燃焼を促進させることができる。
【0043】
なお、上記ルーチンにおいては、S101でIGがONであると判別された場合、冷却水遮断弁が開状態、冷却水ポンプがONとされて冷却水の供給が開始された後に、燃料の供給が開始されるが、冷却水を供給するための制御と独立して、燃料を供給するためだけの制御を実行しても良い。つまり、上記ルーチンにおいて、S102、S103、S106、S107を省略し、S101でIGがONであると判別された場合は、S104へ進み、IGがONでないと判別された場合は、S108へ進むようにしても良い。
【0044】
ただ、始動開始時等シリンダヘッドが低温の状態で、燃料蓄熱タンク8内に蓄えられた高温の燃料をデリバリパイプ4に供給しても、デリバリパイプ4自体の温度やその周辺の温度が低いので、燃焼室内に噴射される前に燃料が冷やされる可能性もある。したがって、図3に示した制御ルーチンのように、冷却水蓄熱タンク7内に高温のまま蓄えられた冷却水をシリンダヘッドに供給した後あるいはそれと同時に燃料をデリバリパイプ4に供給するようにすれば、冷却水によってデリバリパイプ4が暖められた後に、デリバリパイプ4に燃料が供給されるので、高温を維持させたまま、燃料を燃焼室内まで供給することができる。
【0045】
また、上記ルーチンにおいて、S101でIGがONではないと判別された後S106に進んでいるが、S101とS106の間で「車両のドアのロックが外側から解除されたか否か」を判別し、解除されたと判別されたらS102へ進み、解除されていないと判別されたらS106へ進むようにしても良い。かかる場合は、IGがOFFである場合でも車両のドアのロックが外側から解除されたと判別された場合は、その時点から高温の冷却水がシリンダヘッド内の冷却水通路5へ供給され、高温の燃料がデリバリパイプ4へ供給されることとなる。
【0046】
ゆえに、ドアのロックが解除されてからIGがONとなるまでの時間分だけ早期に、高温の冷却水及び燃料の供給が開始されることから、内燃機関1の暖機をより一層促進することができるとともに、より正確に始動開始から高温の燃料を燃焼室内に供給できるようになる。
【0047】
但し、ドアのロックが外側から解除されても必ずしも内燃機関1を始動させるとは限らないので、ドアのロックが解除されても、所定期間IGがON状態にならない場合は、S106以降の処理を実行するようにすることが好ましい。
【0048】
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態に係る燃料供給装置の構成を説明するための図である。本図において第1の実施の形態と同一の構成部品については、図1と同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0049】
第1の実施の形態においては、冷却水蓄熱タンク7の内部に燃料蓄熱タンク8を備えた熱交換手段を用いていたが、本実施の形態においては、冷却水蓄熱タンク7内に熱交換用燃料通路17を設けて熱交換手段を形成している。
【0050】
第1の実施の形態と同様に、冷却水通路5の一端は冷却水遮断弁6を介して冷却水蓄熱タンク7と連通している。また、冷却水蓄熱タンク7は、保温機能を有するタンクであり、内燃機関1の運転中に、その内部に高温の冷却水が導かれるように冷却水循環経路(図示せず)中に配置されている。従って、冷却水蓄熱タンク7は、内燃機関の運転中にその内部に高温の冷却水を蓄え、内燃機関の停止中に、その冷却水を高温状態に保温することができる。
【0051】
本実施の形態の熱交換手段の概略図を示したのが図5である。この熱交換手段の冷却水蓄熱タンク7には、図3に示した冷却水蓄熱タンク7と同様に、冷却水を該タンク内に導入するための冷却水導入部材7aと、冷却水蓄熱タンク7内の冷却水を該タンク外へ排出するための冷却水排出パイプ7bが設けられている。そして、冷却水排出パイプ7bの周囲に、螺旋状に成形された熱交換用燃料通路17が設けられており、本図の上方から下方へと燃料が流れるようになっている。
【0052】
なお、本実施の形態の冷却水蓄熱タンク7も上側部品7cと下側部品7dとを分離できる構造となっており、当該下側部品7dを上側部品7cと分離した状態で熱交換用燃料通路17を冷却水蓄熱タンク7内に挿入して組み立てるものである。また、冷却水導入部材7a及び冷却水排出パイプ7bの冷却水蓄熱タンク7への挿入口には図示しないOリング等のシール部材が設けられており、同様に、熱交換用燃料通路17の冷却水蓄熱タンク7への挿入口には図示しないOリング等のシール部材が設けられているので、冷却水が冷却水蓄熱タンク外へ漏れないようになっている。
【0053】
このように冷却水蓄熱タンク7内に熱交換用燃料通路17を備えることで、内燃機関1の運転中に冷却水蓄熱タンク7内に蓄えられた高温の冷却水と冷却水蓄熱タンク7内に設けられた熱交換用燃料通路17内の燃料との間で熱交換が行われることとなる。したがって、デリバリパイプ4へは常に、熱交換手段内で冷却水と熱交換した後の燃料が供給される。そのため、冷却水蓄熱タンク7内に高温の冷却水が蓄えられている場合は、燃料が熱交換手段に導入される前は低温であっても、該熱交換手段内で高温の冷却水と熱交換することにより加熱された状態でデリバリパイプ4へ供給される。
【0054】
また、本実施の形態に係る燃料供給装置の制御ルーチンも第1の実施の形態と同様に、図3のフローチャートに基づいて実行される。その詳細は第1の実施の形態で説明したものと同一であるので、その説明は省略する。
【0055】
冷却水蓄熱タンク7の内部には内燃機関1の運転中に高温の冷却水が導かれる。そのため、本ルーチンによれば、IGがOFF状態になると冷却水遮断弁6が閉状態とされる。ゆえに、内燃機関1の運転中に導かれた高温の冷却水は、内燃機関1が停止している間中、冷却水通路5に流出することなく冷却水蓄熱タンク7内に保持される。そして、冷却水蓄熱タンク7は、保温機能を有しているため、その中に蓄えられている冷却水は、内燃機関1が停止している間、保温されることとなる。
【0056】
また、IGがOFF状態になると燃料遮断弁10が閉状態とされることにより、冷却水蓄熱タンク7内に設けられた熱交換用燃料通路17内の燃料は、内燃機関1が停止している間中、そのまま熱交換用燃料通路17に保持される。そして、冷却水蓄熱タンク7内の冷却水と熱交換用燃料通路17内の燃料との間で熱交換されることにより、熱交換用燃料通路17内の燃料も加熱され高温となる。そして、内燃機関1が停止している間、そのまま保温されることとなる。
【0057】
内燃機関1の始動時にIGがON状態になると、冷却水遮断弁6が開かれるとともに、図示しない冷却水ポンプがONにされることにより、冷却水蓄熱タンク7の内部に蓄えられた高温の冷却水が冷却水通路5に流出する。その結果、シリンダヘッドが暖められることとなる。さらに、燃料遮断弁10及び電磁リリーフ弁14が開状態とされるとともに、低圧ポンプ12及び高圧ポンプ9がONにされることにより、冷却水蓄熱タンク7内の熱交換用燃料通路17内の燃料が、デリバリパイプ4に供給されることとなる。また、内燃機関1停止中には熱交換用燃料通路17には存在していなかった燃料も、熱交換用燃料通路17を通過する時に、高温の冷却水との間で熱交換することにより、加熱された後、デリバリパイプ4に供給されることとなる。
【0058】
したがって、極低温の状況下で内燃機関が始動させられる場合においても、始動時から、気化し易い高温の燃料が供給されるので、何らの電力消費を伴うことなく、混合気の燃焼を促進させ、燃焼を安定させることができる。
【0059】
また、内燃機関1の運転中は、シリンダヘッドの冷却水通路5等を通過した後の冷却水が冷却水蓄熱タンク7内に導かれ、デリバリパイプ4へは熱交換用燃料通路17を通過した後の燃料が供給される。したがって、内燃機関1の運転中は、熱交換手段にて熱交換し、加熱された後の燃料が燃焼室へ供給されるので、始動時にかかわらず、気化し易い高温の燃料を供給することができ、混合気の燃焼を促進させることができる。
【0060】
なお、本実施の形態の熱交換用燃料通路は、冷却水排出パイプ7bの周囲に螺旋状に形成したが、特にこの形状に限定されるものではなく、単なる直線形状であっても良い。但し、より多くの燃料を熱交換させるには、冷却水蓄熱タンク7内に存在する燃料通路の表面積を大きくする方が好ましい。
【0061】
また、本実施の形態の制御ルーチンにおいても、冷却水を供給するための制御と独立して、燃料を供給するためだけの制御を実行しても良いことは第1の実施の形態で説明したのと同様である。
【0062】
また、S101でIGがONではないと判別された後S106に進んでいるが、S101とS106の間で「車両のドアのロックが外側から解除されたか否か」を判別し、解除されたと判別されたらS102へ進み、解除されていないと判別されたらS106へ進むようにしても好適であることは第1の実施の形態で説明したのと同様である。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る内燃機関の燃料供給装置によれば、始動時から加熱された燃料を供給することができるので、極低温での始動時においても良好な始動性を実現することができる。また、運転開始後も加熱された後の燃料が供給されるので、常に混合気の燃焼を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る燃料供給装置と当該燃料供給装置を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る熱交換手段の概略図である。
【図3】第1の実施の形態に係る燃料及び冷却水の流れを制御するために実行されるルーチンのフローチャート図である。
【図4】第2の実施の形態に係る燃料供給装置と当該燃料供給装置を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る熱交換手段の概略図である。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 気筒
3 燃料噴射弁
4 デリバリパイプ
5 冷却水通路
6 冷却水遮断弁
7 冷却水蓄熱タンク
8 燃料蓄熱タンク
9 高圧ポンプ
10 燃料遮断弁
11 燃料タンク
12 低圧ポンプ
13 低圧燃料通路
14 電磁リリーフ弁
15 リターン配管
16 ECU
17 熱交換用燃料通路
Claims (5)
- 内燃機関により加熱された熱媒体を蓄え保温する熱媒体蓄熱手段の内部に存在する熱媒体と燃料との間で熱交換される熱交換手段と、
当該熱交換手段にて熱交換した燃料を内燃機関内に供給する燃料供給手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 前記熱交換手段は、前記熱媒体蓄熱手段内に燃料を蓄える燃料蓄熱手段を備え、前記熱媒体蓄熱手段内の熱媒体と前記燃料蓄熱手段内の燃料との間で熱交換されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給装置。
- 前記熱交換手段は、前記熱媒体蓄熱手段内に燃料が流通する熱交換用燃料通路を備え、前記熱媒体蓄熱手段内の熱媒体と前記熱交換用燃料通路内の燃料との間で熱交換されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給装置。
- 前記燃料供給手段は、内燃機関に対して燃料を噴射する燃料噴射弁と、内燃機関内の熱媒体通路の近傍に備えられ燃料を前記燃料噴射弁に導く燃料通路と、を備え、
内燃機関の始動時に、前記熱媒体蓄熱手段内に蓄えられた熱媒体が前記熱媒体通路に供給される際に、前記熱交換手段にて熱交換した燃料を前記燃料通路に供給するように前記燃料供給手段を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の内燃機関の燃料供給装置。 - 前記燃料噴射弁は、内燃機関のシリンダヘッドに組み付けられたサイドフィード式の噴射弁であり、
前記燃料通路は、前記シリンダヘッド内の熱媒体通路の近傍に備えられたデリバリパイプであることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の燃料供給装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003120295A JP2004324523A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 内燃機関の燃料供給装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003120295A JP2004324523A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 内燃機関の燃料供給装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004324523A true JP2004324523A (ja) | 2004-11-18 |
Family
ID=33499262
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003120295A Withdrawn JP2004324523A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 内燃機関の燃料供給装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004324523A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011247190A (ja) * | 2010-05-27 | 2011-12-08 | Nippon Soken Inc | エバポ供給装置 |
JP2012007498A (ja) * | 2010-06-22 | 2012-01-12 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 動力機関及び発電システム |
JP2013532786A (ja) * | 2010-07-14 | 2013-08-19 | タウシャー,スコット | 冷媒−触媒間燃料改質方法および装置 |
-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003120295A patent/JP2004324523A/ja not_active Withdrawn
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JP2012007498A (ja) * | 2010-06-22 | 2012-01-12 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 動力機関及び発電システム |
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