JP2004324452A - シリンダブロック - Google Patents
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Abstract
【課題】鋳造性を悪化させることなく軽量化をはかることができるシリンダブロックの提供。
【解決手段】(1)内燃機関のシリンダヘッドとヘッドボルトで締結されるシリンダブロックにおいて、シリンダブロック10の右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なる非対称壁厚構造を有するシリンダブロック。(2)ヘッドボルトと螺合する肉厚の薄肉側のねじサイズが厚肉側のねじサイズより小さい。(3)シリンダブロック10のヘッドボルト締付軸力が、一般肉厚の薄肉側が厚肉側に対して低くなる。(4)内燃機関のシリンダヘッドとヘッドボルトで締結されるシリンダブロックにおいて、シリンダブロック10の右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なる非対称壁厚構造を有し、ヘッドボルトと螺合する肉厚の薄肉側のねじサイズが厚肉側のねじサイズより小さい。
【選択図】 図2
【解決手段】(1)内燃機関のシリンダヘッドとヘッドボルトで締結されるシリンダブロックにおいて、シリンダブロック10の右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なる非対称壁厚構造を有するシリンダブロック。(2)ヘッドボルトと螺合する肉厚の薄肉側のねじサイズが厚肉側のねじサイズより小さい。(3)シリンダブロック10のヘッドボルト締付軸力が、一般肉厚の薄肉側が厚肉側に対して低くなる。(4)内燃機関のシリンダヘッドとヘッドボルトで締結されるシリンダブロックにおいて、シリンダブロック10の右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なる非対称壁厚構造を有し、ヘッドボルトと螺合する肉厚の薄肉側のねじサイズが厚肉側のねじサイズより小さい。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のシリンダヘッドとヘッドボルトで締結される、アルミダイキャスト製のシリンダブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2000−310155号公報には、横方向断面で右側壁の一般肉厚と左側壁の一般肉厚とが同じかまたはほぼ同じであり、左右側壁の一般肉厚が厚い、シリンダブロックが開示されている。ここで、一般肉厚とは、機能上必要のないところの肉厚であり、たとえば、横方向断面で、ウォータージャケットの外側に位置する外側壁の肉厚や、シリンダボアの下端部の外側から左右外側かつ下方に湾曲して延びるスカート部の肉厚が該当する。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−310155号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のシリンダブロックには、つぎの問題点がある。
右側壁と左側壁とで一般肉厚が同じかまたはほぼ同じであり、左右側壁の一般肉厚が厚いので、シリンダブロックが重い。
シリンダブロックの軽量化のため、左右側壁の一般肉厚を薄くすることが考えられるが、左右両方とも肉厚を薄くすると、アルミダイキャスト製のシリンダブロックにおいては、鋳造ゲートからアルミの溶湯が入りにくくなり、鋳造性が悪化する。
本発明の目的は、鋳造性を悪化させることなく軽量化をはかることができるシリンダブロックを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 内燃機関のシリンダヘッドとヘッドボルトで締結されるシリンダブロックにおいて、該シリンダブロックの右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なる非対称壁厚構造を有するシリンダブロック。
(2) 前記ヘッドボルトと螺合する肉厚の薄肉側のねじサイズが厚肉側のねじサイズより小さい、(1)記載のシリンダブロック。
(3) 前記シリンダブロックの前記ヘッドボルト締付軸力が、前記一般肉厚の前記薄肉側が前記厚肉側に対して低くなる、(1)記載のシリンダブロック。
(4) 内燃機関のシリンダヘッドとヘッドボルトで締結されるシリンダブロックにおいて、該シリンダブロックの右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なる非対称壁厚構造を有し、前記ヘッドボルトと螺合する肉厚の薄肉側のねじサイズが厚肉側のねじサイズより小さい、シリンダブロック。
【0006】
上記(1)〜(4)のシリンダブロックでは、シリンダブロックの右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なるので、鋳造ゲート側の一般肉厚が厚いままで、反鋳造ゲート側の一般肉厚を薄くすることができる。反鋳造ゲート側の一般肉厚を薄くできるので、反鋳造ゲート側の一般肉厚が鋳造ゲート側の一般肉厚と同じかまたはほぼ同じ場合(従来)に比べて、シリンダブロックの軽量化をはかることができる。また、鋳造ゲート側の一般肉厚が厚いままなので、鋳造性を悪化させることもない。
上記(2)または(4)のシリンダブロックでは、シリンダブロック側壁の剛性が厚肉側に比べ相対的に低い薄肉側の、ヘッドボルト締付によるシリンダボアの変形を抑制できる。また、クランク軸孔の変形も同時に抑制できる。
上記(3)のシリンダブロックでは、シリンダブロックの側壁の剛性が厚肉側に比べ相対的に低い薄肉側の、ヘッドボルト締付によるシリンダボア変形を抑制できる。また、クランク軸孔の変形も同時に抑制できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明実施例のシリンダブロックを、図1〜図4を参照して、説明する。
本発明実施例のシリンダブロック10は、内燃機関のシリンダブロックである。シリンダブロック10は、図1に示すように、シリンダヘッド20とヘッドボルト30で締結される。シリンダブロック10とシリンダヘッド20との間には、図示略のガスケットが配置されている。
【0008】
シリンダブロック10は、図2に示すように、シリンダボア11位置で切断して見た断面において、ウォータージャケット12の外側に位置する外側壁13と、ウォータージャケット12の内側に位置する内側壁14と、スカート部15とを、有する。
外側壁13には、図1に示すように、ヘッドボルト30と螺合するねじ穴16が設けられている。
【0009】
シリンダブロック10は、アルミダイキャスト製である。
シリンダブロック10は、図2に示すように、図示略のシリンダブロック製造型の図示略のキャビティにアルミ鋳造ゲート40からアルミニウムの溶湯を注入して成形される。アルミ鋳造ゲート40は、シリンダブロック10の長手方向で、1つのみ設けられていてもよく、複数設けられていてもよい。製造時にアルミ鋳造ゲート40を通るアルミニウムの溶湯は、製品時にスカート部15の下端部となる部分から図示略のキャビティ内に流れ込む。以下、製造時にアルミ鋳造ゲート40からアルミが流れ込む側を、鋳造ゲート側といい、アルミ鋳造ゲート40からアルミが流れ込まない側を、反鋳造ゲート側という。
シリンダブロック10の鋳造ゲート側(左右一側)の一般肉厚は、シリンダブロック10の反鋳造ゲート側(左右他側)の一般肉厚よりも、2mm以上厚くされている。ここで、一般肉厚とは、機能上必要のないところの肉厚である。本発明図示例では、一般肉厚は、スカート部15の肉厚と外側壁13の肉厚等である。内側壁14の肉厚は、シリンダブロック10とシリンダヘッド20との間のガスケットでのシール性確保のため所定以上の肉厚とされており、鋳造ゲート側と反鋳造ゲート側とで、同じ肉厚である。ただし、反鋳造ゲート側の内側壁14bの肉厚を鋳造ゲート側の内側壁14aの肉厚よりも2mm以上薄くしてもシールできるガスケットがあれば、反鋳造ゲート側の内側壁14bの肉厚を鋳造ゲート側の内側壁14aの肉厚よりも2mm以上薄くしてもよい。
【0010】
ねじ穴16の下端部とその近傍には、ねじが切られている。図1に示すように、ねじ穴16のうち、反鋳造ゲート側のねじ穴(以下、第2のねじ穴16bという)のねじサイズは、鋳造ゲート側のねじ穴(以下、第1のねじ穴16aという)のねじサイズより、小である。
【0011】
ヘッドボルト30は、第1のねじ穴16aにねじ込まれる第1のヘッドボルト31と、第2のねじ穴16bにねじ込まれる第2のヘッドボルト32と、からなる。
第1のヘッドボルト31のボルトサイズ(径)は、第2のヘッドボルト32のボルトサイズ(径)より大である。ただし、▲1▼第2のヘッドボルト32の締付トルクを第1のヘッドボルト31の締付トルクより小にして第2のヘッドボルト32の軸力を第1のヘッドボルト31の軸力より小にしたり、▲2▼第2のヘッドボルト32の材質を第1のヘッドボルト31の材質よりも柔らかい材質にして第2のヘッドボルト32の軸力を第1のヘッドボルト31の軸力よりも小にする場合には、第1のヘッドボルト31と第2のヘッドボルト32のボルトサイズは同じであってもよい。なお、第1のヘッドボルト31と第2のヘッドボルト32のボルトサイズが同じ場合、第1、第2のねじ穴16a、16bのねじサイズは同じになる。
【0012】
つぎに、本発明実施例の作用を説明する。
シリンダブロック10は、鋳造ゲート側の一般肉厚を厚くし、反鋳造ゲート側の一般肉厚を鋳造ゲート側の肉厚よりも2mm以上薄くしている。
▲1▼反鋳造ゲート側の一般肉厚が薄いので、反鋳造ゲート側の一般肉厚が鋳造ゲート側の一般肉厚と同じかまたはほぼ同じ場合(従来)に比べて、シリンダブロック10の軽量化をはかることができる。そのため、車両の燃費が向上する。
▲2▼鋳造ゲート側の一般肉厚が厚いので、とくにスカート部15のうち鋳造ゲート側のスカート部の肉厚が厚いので、シリンダブロック製造時にアルミニウムの溶湯がキャビティ内に流れ込み易く(アルミニウムを型に注入し易く)、鋳造性が良い。そのため、小型のダイキャストマシンでの鋳造が可能である。また、鋳造不良率の低減が可能である。また、低圧力での鋳造が可能である。
【0013】
シリンダブロック10の、鋳造ゲート側の一般肉厚を厚くし、反鋳造ゲート側の一般肉厚を薄くしている(左右で肉厚を変えている)。そのため、左右の剛性に差が発生し、図4に示すように、シリンダヘッド20組付け時に剛性の弱い反鋳造ゲート側が大きく変形し、シリンダボア11の真円度が悪化してしまうおそれがある。しかし、本発明実施例では、図3に示すように、第2のヘッドボルト32のサイズを第1のヘッドボルト31のサイズより小にするか、または、第2のヘッドボルト32の軸力を第1のヘッドボルト31の軸力より小にしているので、シリンダボア11の真円度が、シリンダヘッド20組付け後にも悪化しにくい。そのため、エンジンのフリクションが低減し、燃費が向上する。
【0014】
【発明の効果】
請求項1〜4記載のシリンダブロックによれば、シリンダブロックの右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なる非対称壁厚構造となっているので、鋳造ゲート側の肉厚を厚くし、反鋳造ゲート側の肉厚を薄くすることができる。反鋳造ゲート側の肉厚を薄くできるので、反鋳造ゲート側の肉厚が鋳造ゲート側の肉厚と同じかまたはほぼ同じ場合(従来)に比べて、シリンダブロックの軽量化をはかることができる。また、鋳造ゲート側の肉厚を厚くできるので、鋳造性を悪化させることもない。
請求項2または請求項4記載のシリンダブロックによれば、鋳造ゲート側のみ肉厚を厚くした場合でも、シリンダブロック側壁の剛性が厚肉側に比べ相対的に低い薄肉側のヘッドボルト締付によるシリンダボアの変形を抑制できる。また、クランク軸孔の変形も同時に抑制できる。
請求項3記載のシリンダブロックによれば、鋳造ゲート側のみ肉厚を厚くした場合でも、同一ねじサイズであっても、シリンダブロックの側壁の剛性が厚肉側に比べ相対的に低い薄肉側のヘッドボルト締付によるシリンダボア変形を抑制できる。また、クランク軸孔の変形も同時に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例のシリンダブロックと、シリンダヘッドとヘッドボルトの、分解斜視図である。
【図2】本発明実施例のシリンダブロックの、シリンダボア位置での断面図である。
【図3】本発明実施例のシリンダブロックの、第1のヘッドボルトと第2のヘッドボルトのサイズが異なる場合の、シリンダボアとその近傍のみを示す平面図である。
【図4】シリンダブロックの左右でヘッドボルトのサイズが同じ場合の、シリンボアとその近傍のみを示す平面図である。
【符号の説明】
10 シリンダブロック
11 シリンダボア
12 ウォータージャケット
13 外側壁
14 内側壁
15 スカート部
16 ねじ穴
16a 第1のねじ穴
16b 第2のねじ穴
20 シリンダヘッド
30 ヘッドボルト
31 第1のヘッドボルト
32 第2のヘッドボルト
40 アルミ鋳造ゲート
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のシリンダヘッドとヘッドボルトで締結される、アルミダイキャスト製のシリンダブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2000−310155号公報には、横方向断面で右側壁の一般肉厚と左側壁の一般肉厚とが同じかまたはほぼ同じであり、左右側壁の一般肉厚が厚い、シリンダブロックが開示されている。ここで、一般肉厚とは、機能上必要のないところの肉厚であり、たとえば、横方向断面で、ウォータージャケットの外側に位置する外側壁の肉厚や、シリンダボアの下端部の外側から左右外側かつ下方に湾曲して延びるスカート部の肉厚が該当する。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−310155号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のシリンダブロックには、つぎの問題点がある。
右側壁と左側壁とで一般肉厚が同じかまたはほぼ同じであり、左右側壁の一般肉厚が厚いので、シリンダブロックが重い。
シリンダブロックの軽量化のため、左右側壁の一般肉厚を薄くすることが考えられるが、左右両方とも肉厚を薄くすると、アルミダイキャスト製のシリンダブロックにおいては、鋳造ゲートからアルミの溶湯が入りにくくなり、鋳造性が悪化する。
本発明の目的は、鋳造性を悪化させることなく軽量化をはかることができるシリンダブロックを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 内燃機関のシリンダヘッドとヘッドボルトで締結されるシリンダブロックにおいて、該シリンダブロックの右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なる非対称壁厚構造を有するシリンダブロック。
(2) 前記ヘッドボルトと螺合する肉厚の薄肉側のねじサイズが厚肉側のねじサイズより小さい、(1)記載のシリンダブロック。
(3) 前記シリンダブロックの前記ヘッドボルト締付軸力が、前記一般肉厚の前記薄肉側が前記厚肉側に対して低くなる、(1)記載のシリンダブロック。
(4) 内燃機関のシリンダヘッドとヘッドボルトで締結されるシリンダブロックにおいて、該シリンダブロックの右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なる非対称壁厚構造を有し、前記ヘッドボルトと螺合する肉厚の薄肉側のねじサイズが厚肉側のねじサイズより小さい、シリンダブロック。
【0006】
上記(1)〜(4)のシリンダブロックでは、シリンダブロックの右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なるので、鋳造ゲート側の一般肉厚が厚いままで、反鋳造ゲート側の一般肉厚を薄くすることができる。反鋳造ゲート側の一般肉厚を薄くできるので、反鋳造ゲート側の一般肉厚が鋳造ゲート側の一般肉厚と同じかまたはほぼ同じ場合(従来)に比べて、シリンダブロックの軽量化をはかることができる。また、鋳造ゲート側の一般肉厚が厚いままなので、鋳造性を悪化させることもない。
上記(2)または(4)のシリンダブロックでは、シリンダブロック側壁の剛性が厚肉側に比べ相対的に低い薄肉側の、ヘッドボルト締付によるシリンダボアの変形を抑制できる。また、クランク軸孔の変形も同時に抑制できる。
上記(3)のシリンダブロックでは、シリンダブロックの側壁の剛性が厚肉側に比べ相対的に低い薄肉側の、ヘッドボルト締付によるシリンダボア変形を抑制できる。また、クランク軸孔の変形も同時に抑制できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明実施例のシリンダブロックを、図1〜図4を参照して、説明する。
本発明実施例のシリンダブロック10は、内燃機関のシリンダブロックである。シリンダブロック10は、図1に示すように、シリンダヘッド20とヘッドボルト30で締結される。シリンダブロック10とシリンダヘッド20との間には、図示略のガスケットが配置されている。
【0008】
シリンダブロック10は、図2に示すように、シリンダボア11位置で切断して見た断面において、ウォータージャケット12の外側に位置する外側壁13と、ウォータージャケット12の内側に位置する内側壁14と、スカート部15とを、有する。
外側壁13には、図1に示すように、ヘッドボルト30と螺合するねじ穴16が設けられている。
【0009】
シリンダブロック10は、アルミダイキャスト製である。
シリンダブロック10は、図2に示すように、図示略のシリンダブロック製造型の図示略のキャビティにアルミ鋳造ゲート40からアルミニウムの溶湯を注入して成形される。アルミ鋳造ゲート40は、シリンダブロック10の長手方向で、1つのみ設けられていてもよく、複数設けられていてもよい。製造時にアルミ鋳造ゲート40を通るアルミニウムの溶湯は、製品時にスカート部15の下端部となる部分から図示略のキャビティ内に流れ込む。以下、製造時にアルミ鋳造ゲート40からアルミが流れ込む側を、鋳造ゲート側といい、アルミ鋳造ゲート40からアルミが流れ込まない側を、反鋳造ゲート側という。
シリンダブロック10の鋳造ゲート側(左右一側)の一般肉厚は、シリンダブロック10の反鋳造ゲート側(左右他側)の一般肉厚よりも、2mm以上厚くされている。ここで、一般肉厚とは、機能上必要のないところの肉厚である。本発明図示例では、一般肉厚は、スカート部15の肉厚と外側壁13の肉厚等である。内側壁14の肉厚は、シリンダブロック10とシリンダヘッド20との間のガスケットでのシール性確保のため所定以上の肉厚とされており、鋳造ゲート側と反鋳造ゲート側とで、同じ肉厚である。ただし、反鋳造ゲート側の内側壁14bの肉厚を鋳造ゲート側の内側壁14aの肉厚よりも2mm以上薄くしてもシールできるガスケットがあれば、反鋳造ゲート側の内側壁14bの肉厚を鋳造ゲート側の内側壁14aの肉厚よりも2mm以上薄くしてもよい。
【0010】
ねじ穴16の下端部とその近傍には、ねじが切られている。図1に示すように、ねじ穴16のうち、反鋳造ゲート側のねじ穴(以下、第2のねじ穴16bという)のねじサイズは、鋳造ゲート側のねじ穴(以下、第1のねじ穴16aという)のねじサイズより、小である。
【0011】
ヘッドボルト30は、第1のねじ穴16aにねじ込まれる第1のヘッドボルト31と、第2のねじ穴16bにねじ込まれる第2のヘッドボルト32と、からなる。
第1のヘッドボルト31のボルトサイズ(径)は、第2のヘッドボルト32のボルトサイズ(径)より大である。ただし、▲1▼第2のヘッドボルト32の締付トルクを第1のヘッドボルト31の締付トルクより小にして第2のヘッドボルト32の軸力を第1のヘッドボルト31の軸力より小にしたり、▲2▼第2のヘッドボルト32の材質を第1のヘッドボルト31の材質よりも柔らかい材質にして第2のヘッドボルト32の軸力を第1のヘッドボルト31の軸力よりも小にする場合には、第1のヘッドボルト31と第2のヘッドボルト32のボルトサイズは同じであってもよい。なお、第1のヘッドボルト31と第2のヘッドボルト32のボルトサイズが同じ場合、第1、第2のねじ穴16a、16bのねじサイズは同じになる。
【0012】
つぎに、本発明実施例の作用を説明する。
シリンダブロック10は、鋳造ゲート側の一般肉厚を厚くし、反鋳造ゲート側の一般肉厚を鋳造ゲート側の肉厚よりも2mm以上薄くしている。
▲1▼反鋳造ゲート側の一般肉厚が薄いので、反鋳造ゲート側の一般肉厚が鋳造ゲート側の一般肉厚と同じかまたはほぼ同じ場合(従来)に比べて、シリンダブロック10の軽量化をはかることができる。そのため、車両の燃費が向上する。
▲2▼鋳造ゲート側の一般肉厚が厚いので、とくにスカート部15のうち鋳造ゲート側のスカート部の肉厚が厚いので、シリンダブロック製造時にアルミニウムの溶湯がキャビティ内に流れ込み易く(アルミニウムを型に注入し易く)、鋳造性が良い。そのため、小型のダイキャストマシンでの鋳造が可能である。また、鋳造不良率の低減が可能である。また、低圧力での鋳造が可能である。
【0013】
シリンダブロック10の、鋳造ゲート側の一般肉厚を厚くし、反鋳造ゲート側の一般肉厚を薄くしている(左右で肉厚を変えている)。そのため、左右の剛性に差が発生し、図4に示すように、シリンダヘッド20組付け時に剛性の弱い反鋳造ゲート側が大きく変形し、シリンダボア11の真円度が悪化してしまうおそれがある。しかし、本発明実施例では、図3に示すように、第2のヘッドボルト32のサイズを第1のヘッドボルト31のサイズより小にするか、または、第2のヘッドボルト32の軸力を第1のヘッドボルト31の軸力より小にしているので、シリンダボア11の真円度が、シリンダヘッド20組付け後にも悪化しにくい。そのため、エンジンのフリクションが低減し、燃費が向上する。
【0014】
【発明の効果】
請求項1〜4記載のシリンダブロックによれば、シリンダブロックの右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なる非対称壁厚構造となっているので、鋳造ゲート側の肉厚を厚くし、反鋳造ゲート側の肉厚を薄くすることができる。反鋳造ゲート側の肉厚を薄くできるので、反鋳造ゲート側の肉厚が鋳造ゲート側の肉厚と同じかまたはほぼ同じ場合(従来)に比べて、シリンダブロックの軽量化をはかることができる。また、鋳造ゲート側の肉厚を厚くできるので、鋳造性を悪化させることもない。
請求項2または請求項4記載のシリンダブロックによれば、鋳造ゲート側のみ肉厚を厚くした場合でも、シリンダブロック側壁の剛性が厚肉側に比べ相対的に低い薄肉側のヘッドボルト締付によるシリンダボアの変形を抑制できる。また、クランク軸孔の変形も同時に抑制できる。
請求項3記載のシリンダブロックによれば、鋳造ゲート側のみ肉厚を厚くした場合でも、同一ねじサイズであっても、シリンダブロックの側壁の剛性が厚肉側に比べ相対的に低い薄肉側のヘッドボルト締付によるシリンダボア変形を抑制できる。また、クランク軸孔の変形も同時に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例のシリンダブロックと、シリンダヘッドとヘッドボルトの、分解斜視図である。
【図2】本発明実施例のシリンダブロックの、シリンダボア位置での断面図である。
【図3】本発明実施例のシリンダブロックの、第1のヘッドボルトと第2のヘッドボルトのサイズが異なる場合の、シリンダボアとその近傍のみを示す平面図である。
【図4】シリンダブロックの左右でヘッドボルトのサイズが同じ場合の、シリンボアとその近傍のみを示す平面図である。
【符号の説明】
10 シリンダブロック
11 シリンダボア
12 ウォータージャケット
13 外側壁
14 内側壁
15 スカート部
16 ねじ穴
16a 第1のねじ穴
16b 第2のねじ穴
20 シリンダヘッド
30 ヘッドボルト
31 第1のヘッドボルト
32 第2のヘッドボルト
40 アルミ鋳造ゲート
Claims (4)
- 内燃機関のシリンダヘッドとヘッドボルトで締結されるシリンダブロックにおいて、該シリンダブロックの右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なる非対称壁厚構造を有するシリンダブロック。
- 前記ヘッドボルトと螺合する肉厚の薄肉側のねじサイズが厚肉側のねじサイズより小さい、請求項1記載のシリンダブロック。
- 前記シリンダブロックのヘッドボルト締付軸力が、前記一般肉厚の薄肉側が厚肉側より低い、請求項1記載のシリンダブロック。
- 内燃機関のシリンダヘッドとヘッドボルトで締結されるシリンダブロックにおいて、該シリンダブロックの右側壁と左側壁とで一般肉厚が2mm以上異なる非対称壁厚構造を有し、前記ヘッドボルトと螺合する肉厚の薄肉側のねじサイズが厚肉側のねじサイズより小さい、シリンダブロック。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003116980A JP2004324452A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | シリンダブロック |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003116980A JP2004324452A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | シリンダブロック |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004324452A true JP2004324452A (ja) | 2004-11-18 |
Family
ID=33497025
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003116980A Pending JP2004324452A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | シリンダブロック |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004324452A (ja) |
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2003
- 2003-04-22 JP JP2003116980A patent/JP2004324452A/ja active Pending
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