JP2004324278A - 車両用衝突緩衝装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置を大型化することなく、効果的に衝撃を吸収して通行者を保護できる車両用衝突緩衝装置を提供する。
【解決手段】本実施の形態の車両用衝突緩衝装置1は、路面Rに固定されるベース部材20と、それに対して相対移動可能に取り付けられる衝撃吸収体5とからなり、衝撃吸収体5が弾性を有する工業用ゴムで成形されているので、車両の衝突の衝撃を衝撃吸収体5自体、及びベース部材20に対する衝撃吸収体5の相対的な移動で効果的に緩和することができる。このようにベース部材20と衝撃吸収体5とを別体として相対移動を可能としたので、小型の装置で効果的に衝撃を緩和し、通行者を保護することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】本実施の形態の車両用衝突緩衝装置1は、路面Rに固定されるベース部材20と、それに対して相対移動可能に取り付けられる衝撃吸収体5とからなり、衝撃吸収体5が弾性を有する工業用ゴムで成形されているので、車両の衝突の衝撃を衝撃吸収体5自体、及びベース部材20に対する衝撃吸収体5の相対的な移動で効果的に緩和することができる。このようにベース部材20と衝撃吸収体5とを別体として相対移動を可能としたので、小型の装置で効果的に衝撃を緩和し、通行者を保護することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明方法は、車両用衝突緩衝装置に関し、詳細には、横断歩道を渡っている歩行者が、交差点を右折してきた車両に巻き込まれることを防止することを主な目的とし、さらに、自動車等の車両の衝突に際してその衝突の衝撃力を緩和するために路面に設置する車両用衝突緩衝装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、車線を分離する分離帯は、車線が分岐する場所、高速道路の料金所等、様々な場所に設けられており、これらの分離帯は、コンクリート、ガードレール等によって形成されている。また、車線の分離、分岐が開始される場所、つまり分岐帯の端部においては、車両が衝突する可能性が特に高く、従来から、そのような場所に設けられた際に車両の衝突の衝撃を効果的に緩和する緩衝装置が提案されている。例えば、特許文献1に示すように、緩衝材と支持体とを組み合わせて、固定された支持体の剛性を利用して緩衝材を十分に変形させる、あるいは、剛性のある支持体自体を変形させることにより衝撃を吸収するタイプの緩衝装置が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−159107(第1、3及び4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術では、固定された支持体の剛性を利用して緩衝材を十分に変形させることになるため、瞬時に非常に大きな衝撃力が発生する可能性のある実際の衝突に対しては、車両停止に至るまでの距離をある程度長く設定しなければならず、そのために装置が大型化し、実用的ではないという問題があった。また、剛性のある支持体自体を変形させることにより衝撃を吸収するタイプの衝突緩衝装置では、支持体自体も緩衝材として機能するものであり、緩衝材を硬いものとしたことと変わりがないため、衝突によって車両が受ける衝撃が大きくなる可能性が残るという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、装置を大型化することなく、効果的に衝撃を吸収して通行者を保護できる車両用衝突緩衝装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車両用衝突緩衝装置は、路面に設置され、歩行者等の通行者を自動車等の車両から保護し、当該車両が衝突した際にその衝撃を緩和するためのものであって、前記路面に埋設されるアンカー部を備えたベース部材と、当該ベース部材に対して摺動手段により摺動可能に設けられ、前記車両が衝突した際の衝撃を吸収する衝撃吸収体とを備えたことを特徴とする構成となっている。
【0007】
この構成の車両用衝突緩衝装置は、路面に埋設されるアンカー部を備えたベース部材と、当該ベース部材に対して摺動手段により摺動可能に設けられ、車両が衝突した際の衝撃を吸収する衝撃吸収体とを備えているので、ベース部材に対して衝撃吸収体を相対移動させることで効果的に衝撃を吸収することができ、緩衝効果を向上できる。また、車両の衝突後に衝撃吸収体が破損等した場合には、それのみを単独で交換することができ、交換に伴うコストを低減できる。さらに、衝撃吸収体を相対移動可能としたことにより、装置全体を小型化できる。
【0008】
また、請求項2に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項1に記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記衝撃吸収体は、その少なくとも表面が弾性材料からなることを特徴とする。
【0009】
この構成の車両用衝突緩衝装置は、請求項1に記載の発明の作用に加えて、衝撃吸収体の少なくとも表面が弾性材料からなるので、車両の衝突の際に、衝撃吸収体自体で衝撃を吸収でき、車両の乗員に甚大な被害が及ぶのを防止できる。また、衝突の際に衝撃吸収体の破片が外部に飛散すること等がない。
【0010】
また、請求項3に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項1又は2に記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記衝撃吸収体は、前記ベース部材に設けられた状態で前方に位置する前面部分と、左右両側に位置する左右側面部分とを備えた多面体形状を有し、前記前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分が、前記路面方向に向かうにつれて外側に傾斜していることを特徴とする。
【0011】
この構成の車両用衝突緩衝装置では、請求項1又は2に記載の発明の作用に加えて、衝撃吸収体は、ベース部材に設けられた状態で前方に位置する前面部分と、左右両側に位置する左右側面部分とを備えた多面体形状を有し、前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分が、路面方向に向かうにつれて外側に傾斜しているので、車両が衝突した際に、その衝撃は少なくとも上方向に向かって伝わることはなく、従って、衝撃吸収体が支持柱から上方に外れてしまうのを確実に防止することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至3の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記衝撃吸収体の前面部分が、前記左右側面部分と所定角度をなす複数の面から構成されていることを特徴とする。
【0013】
この構成の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の作用に加えて、衝撃吸収体の前面部分が、左右側面部分と所定角度をなす複数の面から構成されているので、車両の様々な方向からの衝撃吸収体への衝突に対応することができ、衝撃吸収体での緩衝効果をより向上できる。
【0014】
また、請求項5に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至4の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記ベース部材は、前記衝撃吸収体を支持する支持柱を備え、前記衝撃吸収体は、前記支持柱に嵌合し、かつその支持柱の断面積よりも大きい断面積の細長嵌合孔を備え、前記支持柱と細長嵌合孔とによって前記摺動手段が構成されていることを特徴とする
【0015】
この構成の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の作用に加えて、ベース部材は、衝撃吸収体を支持する支持柱を備え、衝撃吸収体は、支持柱に嵌合し、かつその支持柱の断面積よりも大きい断面積の細長嵌合孔を備え、支持柱と細長嵌合孔とによって前記摺動手段が構成されているので、装置を簡単な構造に構成できると共に、衝撃吸収体が破損等した場合には、それ単体での交換をより簡易なものとできる。
【0016】
また、請求項6に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項5に記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記細長嵌合孔には、この細長嵌合孔と前記支持柱との摺動を規制する摺動規制部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成の車両用衝突緩衝装置では、請求項5に記載の発明の作用に加えて、細長嵌合孔には、この嵌合孔とベース部材に設けられた支持柱との摺動を規制する摺動規制部が形成されており、車両が装置に衝突した場合に、ベース部材に対して衝撃吸収体が簡単には摺動しないようになっているので、衝撃吸収体の摺動時の緩衝効果をより向上させることができる。
【0018】
また、請求項7に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至6の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記衝撃吸収体の前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分に、前記車両からの光線等の光源を反射する反射手段が形成されていることを特徴とする。
【0019】
この構成の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至6の何れかに記載の発明の作用に加えて、衝撃吸収体の前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分に、車両からの光線等の光源を反射する反射手段が形成されているので、夜間等にも車両側に装置を確実に視認させることができる。
【0020】
また、請求項8に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至7の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記衝撃吸収体は、標識等の長尺物を保持するための保持部をさらに備えていることを特徴とする。
【0021】
この構成の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至7の何れかに記載の発明の作用に加えて、衝撃吸収体は、保持部をもって標識等の長尺物を保持することができるので、路面に別体として標識等を保持する保持装置を設置する必要がない。
【0022】
また、請求項9に記載の車両用衝突緩衝装置は、請求項1乃至8の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、交差点直近に設けられた横断歩道の交差点側において、前記横断歩道と直交するセンターラインの延長線上に設置したので、横断歩道を渡る前記通行者が、前記交差点を右折した車両に巻き込まれるのを確実に防止することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した車両用衝突緩衝装置の一実施形態について、図を参照して説明する。尚、本実施の形態では、路面において、中央分離帯と横断歩道を挟むように設置され、歩行者等を保護するための車両用衝突緩衝装置について説明する。図1に示すように、自動車等の車両(図示外)の走行方向に沿って中央分離帯30が設けられた道路35の交差点25において、横断歩道50を挟んで中央分離帯30の交差点25内側には、横断歩道50を渡る図示外の歩行者等を、横断歩道50と平行な道路34から右折してきた車両、または横断歩道50と直行する道路35を交差点25側から直進してきた車両から保護するための車両用衝突緩衝装置1が設置されている。尚、本実施の形態では、中央分離帯が設けられた道路を具体例として挙げているが、中央分離帯は設けられていても設けられていなくてもよく、車両用衝突緩衝装置1が、横断歩道を挟んで、センターライン(又は道路の幅方向中央部分)の延長線上に設けられていればよい。
【0024】
図1及び図2に示すように、車両用衝突緩衝装置1は、交差点25の内側、即ち、図示外の進入車両と対峙する位置に湾曲した前面部分6を有する略直方体形状の衝撃吸収体5を備えており、この衝撃吸収体5と、衝撃吸収体5を下側から支持し、路面に埋設されるアンカー部22(図3参照)を備えたベース部材20とから構成されている。図2及び図4に示すように、衝撃吸収体5は、上記前面部分6と、この前面部分6とは反対側で中央分離帯30(図1参照)と対向する位置に形成された略台形の後面部分7と、この前後面部分6,7を左右両側で連結する左側面部分8及び右側面部分9と、前後面部分6,7を上下両側で連結する上面部分10及び下面部分(図示外)とを備えた6面体形状であり、左右側面部分8,9は略台形形状を、上面部分10及び下面部分は略蒲鉾型形状をそれぞれ有している。尚、この衝撃吸収体5は、弾性を有する工業用ゴム材料で一体成形されている。
【0025】
また、図4に示すように、前面部分6及び左右側面部分8,9は、路面方向(図中奥行き方向)に向かうにつれ外側に傾斜した形状となっており、図示しないが、衝撃吸収体5は、正面視で左右対称な台形形状となっている。加えて、前面部分6は、左右側面部分8,9とそれぞれ所定角度をなす複数の面で構成されている。詳細には、前面部分6は、左右略中央部に位置し、上下方向に長手の略長方形の中央面6aと、該中央面6aの左右両側縁からそれぞれ左右後方に向かって延び、上下方向に長手の略長方形の第1の傾斜面6b,6bと、この第1の傾斜面6b,6bの左側縁及び右側縁からそれぞれ左右後方に延び、上下方向に長手の略長方形の第2の傾斜面6c,6cとから構成されている。第1の傾斜面6b,6b及び第2の傾斜面6c,6cは、それぞれ中央面6aを中心として左右対称となっており、より詳細には、中央面6a、第1の傾斜面6b,6b、第2の傾斜面6c,6cの順に、それぞれ左右側面部分8,9と画定する角度が次第に大きくなるように形成されている。
【0026】
そして、第2の傾斜面6c,6cの左右各側縁から左右側面部分8,9が各々後方に連続している。また、衝撃吸収体5の後面部分7には、交通標識等の長尺物を支持することができる有底円筒状の支持部13が設けられている。さらに、図示しないが、前面部分6及び左右側面部分8,9には、車両用衝突緩衝装置1を視認しにくい夜間等においても、該装置を確実に視認することができるよう、車両が発した光源を反射させることができる反射材が設けられている。
【0027】
また、図2〜4に示すように、衝撃吸収体5の平面視略中央部分は、衝撃吸収体5の前後方向に長手の細長貫通孔15によって、上下面方向に渡って貫通されている。細長貫通孔15は、平面視で衝撃吸収体5の前後方向に長手となった長方形形状を有しており、衝撃吸収体5の後面部分7側には、後述するベース部材20の支持柱23がちょうど嵌合する平面視略正方形の嵌合部15aが、前面部分6側には、支持柱23と衝撃吸収体5との摺動を規制する平面視略正方形の摺動規制部15bがそれぞれ形成されている。摺動規制部15bは、具体的には、細長貫通孔15の左右側面部分8,9側面から細長貫通孔15の内側に平面視円弧状に張り出した一対の張り出し部16,16によってその断面積が嵌合部15aよりも小さくなっており、張り出し部16,16は、所定の力でその張り出し方向と反対方向に押圧することによって、適度の弾性をもって外方に撓むことができるようになっている。尚、上記細長貫通孔15は、請求項における細長嵌合孔に相当する。
【0028】
次に、図5を参照して、ベース部材20について説明する。図5に示すように、ベース部材20は、所定厚を有する平面視略蒲鉾型形状で、衝撃吸収体5を下側から保持するパネル部21と、当該パネル部21の下面21bから凸設されたアンカー部22と、パネル部21の上面21aから凸設され、上述の衝撃吸収体5に穿設された細長貫通孔15の嵌合部15aに嵌合する支持柱23とから構成されている。アンカー部22は、パネル部21の下面21bから、パネル部21の長手方向(図中左右方向)に対してほぼ均等に4つ凸設されており、L字型の断面となっている。また、パネル部21は、衝撃吸収体5の下面(図示外)とほぼ同一形状となっており、車両用衝突緩衝装置1の組み付け状態では、この下面とパネル部21の上面21aとが当接することになる。衝撃吸収体5の細長貫通孔15に嵌合する支持柱23は、細長貫通孔15の嵌合部15aにちょうど嵌り込むように、嵌合部15aとほぼ同一形状の断面を有している。
【0029】
そして、アンカー部22が路面Rに埋設され、ベース部材20はアンカー部22を介して路面Rに固定されることになり、車両用衝突緩衝装置1は、ベース部材20に衝撃吸収体5が取り付けられて構成されることになる。具体的には、上述したように、路面Rに固定されたベース部材20に対し、その支持柱23に衝撃吸収体5の細長貫通孔15の嵌合部15aが嵌り込み、パネル部21の上面21aと衝撃吸収体5の下面(図示外)とが当接した状態で、車両用衝突緩衝装置1が構成される。
【0030】
そして、車両用衝突緩衝装置1に、車両が衝撃吸収体5の前面部分6側から衝突した場合、図2及び図3に示すように、衝突の衝撃力により、衝撃吸収体5が自身前面部分6側から後面部分7側に向かって(図中右方向に向かって)、ベース部材20に対し相対的に摺動することになる。衝突の衝撃力がそれほど強くなければ、衝撃吸収体5は、細長貫通孔15内に形成された摺動規制部15bによってその摺動が規制されるため、自身の弾性、前面部分6及び左右側面部分8,9が傾斜していること、及びベース部材20に対してごく微量だけ相対移動(摺動)することで衝撃力を吸収し、車両用衝突緩衝装置1によって緩衝作用が得られることになる。また、衝突の衝撃力が大きいときは、衝撃吸収体5は、支持柱23が細長貫通孔15の摺動規制部15bに嵌り込むまで図中右方向に向かって相対移動(摺動)することになり、同様に車両用衝突緩衝装置1によって緩衝作用が得られることになる。
【0031】
また、車両用衝突緩衝装置1に、車両が衝撃吸収体5の左右側面部分8,9側から衝突した場合については、衝撃吸収体5の左右側面部分8,9が傾斜面となっていることでその衝撃はある程度吸収することができるが、例えば、ベース部材20の支持柱23を中心に衝撃吸収体5を回転可能とすれば、より効果的に衝突の衝撃を緩和できる。車両が衝突した後の車両用衝突緩衝装置1は、衝撃吸収体5のみの損傷であれば衝撃吸収体5のみを交換することで再度使用することができるが、ベース部材20の支持柱23まで破損した場合は、当然それも交換または補修することになる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態の車両用衝突緩衝装置1は、路面Rに固定されるベース部材20と、それに対して相対移動可能に取り付けられる衝撃吸収体5とからなり、衝撃吸収体5が弾性を有する工業用ゴムで成形されているので、車両の衝突の衝撃を衝撃吸収体5自体、及びベース部材20に対する衝撃吸収体5の相対的な移動で効果的に緩和することができる。このようにベース部材20と衝撃吸収体5とを別体として相対移動を可能としたので、小型の装置で効果的に衝撃を緩和することができる。また、衝撃吸収体5は、車両が衝突する可能性のある前面部分6及び左右側面部分8,9が傾斜するように成形されているので、より効果的に緩衝できると共に、衝撃力の方向を上方に伝わらせることなく、確実に衝撃吸収体5で受けることができる。車両用衝突緩衝装置1に車両が衝突した後は、衝撃吸収体5のみの損傷であれば衝撃吸収体5のみを交換することで再度使用することができ、装置の交換コストを低減することができる。さらに、衝撃吸収体5の前面部分6及び左右側面部分8,9には、車両等からの光源を反射することができる反射材が設けられているので、車両用衝突緩衝装置1を視認しにくい夜間等においても、該装置を運転者等から確実に視認することができる。加えて、衝撃吸収体5の後面部分7に設けた有底円筒状の支持部13によって、交通標識等の長尺物を支持させることができる。
【0033】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、衝撃吸収体を工業用ゴムで成形したが、材質は工業用ゴムに限られず、弾性を有するものであればよい。また、衝撃吸収体を全体的に弾性材で成形しなくても、例えば、衝撃吸収体の外側表面のみを弾性材で覆ってもよい。さらに、衝撃吸収体の前面部分は、本実施の形態で示した5つの面で構成するものに限られず、それ以上またはそれ以下の面数を適宜選択可能である。加えて、ベース部材に対して衝撃吸収体の摺動を規制する手段として、本実施の形態では細長貫通孔の一部を縮幅するという方法をとったが、摺動規制手段はこれに限られるものではない。また、上述したように、ベース部材の支持柱を円柱形状等にして衝撃吸収体を相対的に回転可能とすれば、前面側からの衝突のみならず、左右側面側からの衝突にも対応することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の車両用衝突緩衝装置は、路面に埋設されるアンカー部を備えたベース部材と、当該ベース部材に対して摺動手段により摺動可能に設けられ、車両が衝突した際の衝撃を吸収する衝撃吸収体とを備えているので、ベース部材に対して衝撃吸収体を相対移動させることで効果的に衝撃を吸収することができ、緩衝効果を向上できる。また、車両の衝突後に衝撃吸収体が破損等した場合には、それのみを単独で交換することができ、交換に伴うコストを低減できる。さらに、衝撃吸収体を相対移動可能としたことにより、装置全体を小型化できる。従って、取り付け場所等に規制を受けることがない。
【0035】
また、請求項2に係る発明の車両用衝突緩衝装置では、請求項1に記載の発明の効果に加えて、衝撃吸収体の少なくとも表面が弾性材料からなるので、車両の衝突の際に、衝撃吸収体自体で衝撃を吸収できると共に、衝突の際に衝撃吸収体の破片が外部に飛散すること等がなく、歩行者及び横断歩道通行者の安全を確保することができる。
【0036】
また、請求項3に係る発明の車両用衝突緩衝装置では、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、衝撃吸収体は、ベース部材に設けられた状態で前方に位置する前面部分と、左右両側に位置する左右側面部分とを備えた多面体形状を有し、前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分が、路面方向に向かうにつれて外側に傾斜しているので、車両が衝突した際に、その衝撃は少なくとも上方向に向かって伝わることはなく、従って、衝撃吸収体が支持柱から上方に外れてしまうのを確実に防止することができるので、衝撃を確実に吸収することができる。
【0037】
また、請求項4に係る発明のピアスナットでは、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加えて、衝撃吸収体の前面部分が、左右側面部分と所定角度をなす複数の面から構成されているので、また、衝撃力の向きを少なくとも2方向に分散させることができ、衝撃吸収体での緩衝効果をより向上できると共に、衝撃吸収体への様々な方向からの車両の衝突に対応することができ、衝撃吸収体での緩衝効果をより向上できる。
【0038】
また、請求項5に係る発明の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加えて、ベース部材は、衝撃吸収体を支持する支持柱を備え、衝撃吸収体は、支持柱に嵌合し、かつその支持柱の断面積よりも大きい断面積の細長嵌合孔を備え、支持柱と嵌合孔とによって前記摺動手段が構成されているので、装置を簡単な構造に構成できると共に、衝撃吸収体が破損等した場合には、それ単体での交換をより簡易なものとできる。
【0039】
また、請求項6に係る発明の車両用衝突緩衝装置では、請求項5に記載の発明の効果に加えて、嵌合孔には、この嵌合孔とベース部材に設けられた支持柱との摺動を規制する摺動規制部が形成されており、車両が装置に衝突した場合に、ベース部材に対して衝撃吸収体が簡単には摺動しないようになっているので、衝撃吸収体の摺動時の緩衝効果をより向上させることができる。
【0040】
また、請求項7に係る発明の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至6の何れかに記載の発明の効果に加えて、衝撃吸収体の前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分に、車両からの光線等の光源を反射する反射手段が形成されているので、夜間等にも車両側から装置を確実に視認することができる。
【0041】
また、請求項8に係る発明の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至7の何れかに記載の発明の効果に加えて、衝撃吸収体は、保持部をもって標識等の長尺物を保持することができるので、路面に別体として標識等を保持する保持装置を設置する必要がない。
【0042】
また、請求項9に係る発明の車両用衝突緩衝装置は、請求項1乃至8の何れかに記載の発明の効果に加えて、交差点直近に設けられた横断歩道の交差点側において、前記横断歩道と直交するセンターラインの延長線上に設置したので、横断歩道を渡る通行者が、前記交差点を右折した車両に巻き込まれるのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、車両用衝突緩衝装置1を路面に設置した状態を示す平面図である。
【図2】図2は、車両用衝突緩衝装置1の斜視図である。
【図3】図3は、車両用衝突緩衝装置1の幅方向中央部における断面図である。
【図4】図4は、車両用衝突緩衝装置1の平面図である。
【図5】図5は、ベース部材20の側面図である。
【符号の説明】
1 車両用衝突緩衝装置
5 衝撃吸収体
6 前面部分
7 後面部分
8 左側面部分
9 右側面部分
10 上面部分
13 保持部
15 細長貫通孔(細長嵌合孔)
15a 嵌合部
15b 摺動規制部
20 ベース部材
23 支持柱
50 横断歩道
R 路面
【発明の属する技術分野】
本発明方法は、車両用衝突緩衝装置に関し、詳細には、横断歩道を渡っている歩行者が、交差点を右折してきた車両に巻き込まれることを防止することを主な目的とし、さらに、自動車等の車両の衝突に際してその衝突の衝撃力を緩和するために路面に設置する車両用衝突緩衝装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、車線を分離する分離帯は、車線が分岐する場所、高速道路の料金所等、様々な場所に設けられており、これらの分離帯は、コンクリート、ガードレール等によって形成されている。また、車線の分離、分岐が開始される場所、つまり分岐帯の端部においては、車両が衝突する可能性が特に高く、従来から、そのような場所に設けられた際に車両の衝突の衝撃を効果的に緩和する緩衝装置が提案されている。例えば、特許文献1に示すように、緩衝材と支持体とを組み合わせて、固定された支持体の剛性を利用して緩衝材を十分に変形させる、あるいは、剛性のある支持体自体を変形させることにより衝撃を吸収するタイプの緩衝装置が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−159107(第1、3及び4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術では、固定された支持体の剛性を利用して緩衝材を十分に変形させることになるため、瞬時に非常に大きな衝撃力が発生する可能性のある実際の衝突に対しては、車両停止に至るまでの距離をある程度長く設定しなければならず、そのために装置が大型化し、実用的ではないという問題があった。また、剛性のある支持体自体を変形させることにより衝撃を吸収するタイプの衝突緩衝装置では、支持体自体も緩衝材として機能するものであり、緩衝材を硬いものとしたことと変わりがないため、衝突によって車両が受ける衝撃が大きくなる可能性が残るという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、装置を大型化することなく、効果的に衝撃を吸収して通行者を保護できる車両用衝突緩衝装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車両用衝突緩衝装置は、路面に設置され、歩行者等の通行者を自動車等の車両から保護し、当該車両が衝突した際にその衝撃を緩和するためのものであって、前記路面に埋設されるアンカー部を備えたベース部材と、当該ベース部材に対して摺動手段により摺動可能に設けられ、前記車両が衝突した際の衝撃を吸収する衝撃吸収体とを備えたことを特徴とする構成となっている。
【0007】
この構成の車両用衝突緩衝装置は、路面に埋設されるアンカー部を備えたベース部材と、当該ベース部材に対して摺動手段により摺動可能に設けられ、車両が衝突した際の衝撃を吸収する衝撃吸収体とを備えているので、ベース部材に対して衝撃吸収体を相対移動させることで効果的に衝撃を吸収することができ、緩衝効果を向上できる。また、車両の衝突後に衝撃吸収体が破損等した場合には、それのみを単独で交換することができ、交換に伴うコストを低減できる。さらに、衝撃吸収体を相対移動可能としたことにより、装置全体を小型化できる。
【0008】
また、請求項2に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項1に記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記衝撃吸収体は、その少なくとも表面が弾性材料からなることを特徴とする。
【0009】
この構成の車両用衝突緩衝装置は、請求項1に記載の発明の作用に加えて、衝撃吸収体の少なくとも表面が弾性材料からなるので、車両の衝突の際に、衝撃吸収体自体で衝撃を吸収でき、車両の乗員に甚大な被害が及ぶのを防止できる。また、衝突の際に衝撃吸収体の破片が外部に飛散すること等がない。
【0010】
また、請求項3に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項1又は2に記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記衝撃吸収体は、前記ベース部材に設けられた状態で前方に位置する前面部分と、左右両側に位置する左右側面部分とを備えた多面体形状を有し、前記前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分が、前記路面方向に向かうにつれて外側に傾斜していることを特徴とする。
【0011】
この構成の車両用衝突緩衝装置では、請求項1又は2に記載の発明の作用に加えて、衝撃吸収体は、ベース部材に設けられた状態で前方に位置する前面部分と、左右両側に位置する左右側面部分とを備えた多面体形状を有し、前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分が、路面方向に向かうにつれて外側に傾斜しているので、車両が衝突した際に、その衝撃は少なくとも上方向に向かって伝わることはなく、従って、衝撃吸収体が支持柱から上方に外れてしまうのを確実に防止することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至3の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記衝撃吸収体の前面部分が、前記左右側面部分と所定角度をなす複数の面から構成されていることを特徴とする。
【0013】
この構成の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の作用に加えて、衝撃吸収体の前面部分が、左右側面部分と所定角度をなす複数の面から構成されているので、車両の様々な方向からの衝撃吸収体への衝突に対応することができ、衝撃吸収体での緩衝効果をより向上できる。
【0014】
また、請求項5に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至4の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記ベース部材は、前記衝撃吸収体を支持する支持柱を備え、前記衝撃吸収体は、前記支持柱に嵌合し、かつその支持柱の断面積よりも大きい断面積の細長嵌合孔を備え、前記支持柱と細長嵌合孔とによって前記摺動手段が構成されていることを特徴とする
【0015】
この構成の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の作用に加えて、ベース部材は、衝撃吸収体を支持する支持柱を備え、衝撃吸収体は、支持柱に嵌合し、かつその支持柱の断面積よりも大きい断面積の細長嵌合孔を備え、支持柱と細長嵌合孔とによって前記摺動手段が構成されているので、装置を簡単な構造に構成できると共に、衝撃吸収体が破損等した場合には、それ単体での交換をより簡易なものとできる。
【0016】
また、請求項6に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項5に記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記細長嵌合孔には、この細長嵌合孔と前記支持柱との摺動を規制する摺動規制部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成の車両用衝突緩衝装置では、請求項5に記載の発明の作用に加えて、細長嵌合孔には、この嵌合孔とベース部材に設けられた支持柱との摺動を規制する摺動規制部が形成されており、車両が装置に衝突した場合に、ベース部材に対して衝撃吸収体が簡単には摺動しないようになっているので、衝撃吸収体の摺動時の緩衝効果をより向上させることができる。
【0018】
また、請求項7に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至6の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記衝撃吸収体の前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分に、前記車両からの光線等の光源を反射する反射手段が形成されていることを特徴とする。
【0019】
この構成の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至6の何れかに記載の発明の作用に加えて、衝撃吸収体の前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分に、車両からの光線等の光源を反射する反射手段が形成されているので、夜間等にも車両側に装置を確実に視認させることができる。
【0020】
また、請求項8に記載の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至7の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、前記衝撃吸収体は、標識等の長尺物を保持するための保持部をさらに備えていることを特徴とする。
【0021】
この構成の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至7の何れかに記載の発明の作用に加えて、衝撃吸収体は、保持部をもって標識等の長尺物を保持することができるので、路面に別体として標識等を保持する保持装置を設置する必要がない。
【0022】
また、請求項9に記載の車両用衝突緩衝装置は、請求項1乃至8の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置の構成に加えて、交差点直近に設けられた横断歩道の交差点側において、前記横断歩道と直交するセンターラインの延長線上に設置したので、横断歩道を渡る前記通行者が、前記交差点を右折した車両に巻き込まれるのを確実に防止することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した車両用衝突緩衝装置の一実施形態について、図を参照して説明する。尚、本実施の形態では、路面において、中央分離帯と横断歩道を挟むように設置され、歩行者等を保護するための車両用衝突緩衝装置について説明する。図1に示すように、自動車等の車両(図示外)の走行方向に沿って中央分離帯30が設けられた道路35の交差点25において、横断歩道50を挟んで中央分離帯30の交差点25内側には、横断歩道50を渡る図示外の歩行者等を、横断歩道50と平行な道路34から右折してきた車両、または横断歩道50と直行する道路35を交差点25側から直進してきた車両から保護するための車両用衝突緩衝装置1が設置されている。尚、本実施の形態では、中央分離帯が設けられた道路を具体例として挙げているが、中央分離帯は設けられていても設けられていなくてもよく、車両用衝突緩衝装置1が、横断歩道を挟んで、センターライン(又は道路の幅方向中央部分)の延長線上に設けられていればよい。
【0024】
図1及び図2に示すように、車両用衝突緩衝装置1は、交差点25の内側、即ち、図示外の進入車両と対峙する位置に湾曲した前面部分6を有する略直方体形状の衝撃吸収体5を備えており、この衝撃吸収体5と、衝撃吸収体5を下側から支持し、路面に埋設されるアンカー部22(図3参照)を備えたベース部材20とから構成されている。図2及び図4に示すように、衝撃吸収体5は、上記前面部分6と、この前面部分6とは反対側で中央分離帯30(図1参照)と対向する位置に形成された略台形の後面部分7と、この前後面部分6,7を左右両側で連結する左側面部分8及び右側面部分9と、前後面部分6,7を上下両側で連結する上面部分10及び下面部分(図示外)とを備えた6面体形状であり、左右側面部分8,9は略台形形状を、上面部分10及び下面部分は略蒲鉾型形状をそれぞれ有している。尚、この衝撃吸収体5は、弾性を有する工業用ゴム材料で一体成形されている。
【0025】
また、図4に示すように、前面部分6及び左右側面部分8,9は、路面方向(図中奥行き方向)に向かうにつれ外側に傾斜した形状となっており、図示しないが、衝撃吸収体5は、正面視で左右対称な台形形状となっている。加えて、前面部分6は、左右側面部分8,9とそれぞれ所定角度をなす複数の面で構成されている。詳細には、前面部分6は、左右略中央部に位置し、上下方向に長手の略長方形の中央面6aと、該中央面6aの左右両側縁からそれぞれ左右後方に向かって延び、上下方向に長手の略長方形の第1の傾斜面6b,6bと、この第1の傾斜面6b,6bの左側縁及び右側縁からそれぞれ左右後方に延び、上下方向に長手の略長方形の第2の傾斜面6c,6cとから構成されている。第1の傾斜面6b,6b及び第2の傾斜面6c,6cは、それぞれ中央面6aを中心として左右対称となっており、より詳細には、中央面6a、第1の傾斜面6b,6b、第2の傾斜面6c,6cの順に、それぞれ左右側面部分8,9と画定する角度が次第に大きくなるように形成されている。
【0026】
そして、第2の傾斜面6c,6cの左右各側縁から左右側面部分8,9が各々後方に連続している。また、衝撃吸収体5の後面部分7には、交通標識等の長尺物を支持することができる有底円筒状の支持部13が設けられている。さらに、図示しないが、前面部分6及び左右側面部分8,9には、車両用衝突緩衝装置1を視認しにくい夜間等においても、該装置を確実に視認することができるよう、車両が発した光源を反射させることができる反射材が設けられている。
【0027】
また、図2〜4に示すように、衝撃吸収体5の平面視略中央部分は、衝撃吸収体5の前後方向に長手の細長貫通孔15によって、上下面方向に渡って貫通されている。細長貫通孔15は、平面視で衝撃吸収体5の前後方向に長手となった長方形形状を有しており、衝撃吸収体5の後面部分7側には、後述するベース部材20の支持柱23がちょうど嵌合する平面視略正方形の嵌合部15aが、前面部分6側には、支持柱23と衝撃吸収体5との摺動を規制する平面視略正方形の摺動規制部15bがそれぞれ形成されている。摺動規制部15bは、具体的には、細長貫通孔15の左右側面部分8,9側面から細長貫通孔15の内側に平面視円弧状に張り出した一対の張り出し部16,16によってその断面積が嵌合部15aよりも小さくなっており、張り出し部16,16は、所定の力でその張り出し方向と反対方向に押圧することによって、適度の弾性をもって外方に撓むことができるようになっている。尚、上記細長貫通孔15は、請求項における細長嵌合孔に相当する。
【0028】
次に、図5を参照して、ベース部材20について説明する。図5に示すように、ベース部材20は、所定厚を有する平面視略蒲鉾型形状で、衝撃吸収体5を下側から保持するパネル部21と、当該パネル部21の下面21bから凸設されたアンカー部22と、パネル部21の上面21aから凸設され、上述の衝撃吸収体5に穿設された細長貫通孔15の嵌合部15aに嵌合する支持柱23とから構成されている。アンカー部22は、パネル部21の下面21bから、パネル部21の長手方向(図中左右方向)に対してほぼ均等に4つ凸設されており、L字型の断面となっている。また、パネル部21は、衝撃吸収体5の下面(図示外)とほぼ同一形状となっており、車両用衝突緩衝装置1の組み付け状態では、この下面とパネル部21の上面21aとが当接することになる。衝撃吸収体5の細長貫通孔15に嵌合する支持柱23は、細長貫通孔15の嵌合部15aにちょうど嵌り込むように、嵌合部15aとほぼ同一形状の断面を有している。
【0029】
そして、アンカー部22が路面Rに埋設され、ベース部材20はアンカー部22を介して路面Rに固定されることになり、車両用衝突緩衝装置1は、ベース部材20に衝撃吸収体5が取り付けられて構成されることになる。具体的には、上述したように、路面Rに固定されたベース部材20に対し、その支持柱23に衝撃吸収体5の細長貫通孔15の嵌合部15aが嵌り込み、パネル部21の上面21aと衝撃吸収体5の下面(図示外)とが当接した状態で、車両用衝突緩衝装置1が構成される。
【0030】
そして、車両用衝突緩衝装置1に、車両が衝撃吸収体5の前面部分6側から衝突した場合、図2及び図3に示すように、衝突の衝撃力により、衝撃吸収体5が自身前面部分6側から後面部分7側に向かって(図中右方向に向かって)、ベース部材20に対し相対的に摺動することになる。衝突の衝撃力がそれほど強くなければ、衝撃吸収体5は、細長貫通孔15内に形成された摺動規制部15bによってその摺動が規制されるため、自身の弾性、前面部分6及び左右側面部分8,9が傾斜していること、及びベース部材20に対してごく微量だけ相対移動(摺動)することで衝撃力を吸収し、車両用衝突緩衝装置1によって緩衝作用が得られることになる。また、衝突の衝撃力が大きいときは、衝撃吸収体5は、支持柱23が細長貫通孔15の摺動規制部15bに嵌り込むまで図中右方向に向かって相対移動(摺動)することになり、同様に車両用衝突緩衝装置1によって緩衝作用が得られることになる。
【0031】
また、車両用衝突緩衝装置1に、車両が衝撃吸収体5の左右側面部分8,9側から衝突した場合については、衝撃吸収体5の左右側面部分8,9が傾斜面となっていることでその衝撃はある程度吸収することができるが、例えば、ベース部材20の支持柱23を中心に衝撃吸収体5を回転可能とすれば、より効果的に衝突の衝撃を緩和できる。車両が衝突した後の車両用衝突緩衝装置1は、衝撃吸収体5のみの損傷であれば衝撃吸収体5のみを交換することで再度使用することができるが、ベース部材20の支持柱23まで破損した場合は、当然それも交換または補修することになる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態の車両用衝突緩衝装置1は、路面Rに固定されるベース部材20と、それに対して相対移動可能に取り付けられる衝撃吸収体5とからなり、衝撃吸収体5が弾性を有する工業用ゴムで成形されているので、車両の衝突の衝撃を衝撃吸収体5自体、及びベース部材20に対する衝撃吸収体5の相対的な移動で効果的に緩和することができる。このようにベース部材20と衝撃吸収体5とを別体として相対移動を可能としたので、小型の装置で効果的に衝撃を緩和することができる。また、衝撃吸収体5は、車両が衝突する可能性のある前面部分6及び左右側面部分8,9が傾斜するように成形されているので、より効果的に緩衝できると共に、衝撃力の方向を上方に伝わらせることなく、確実に衝撃吸収体5で受けることができる。車両用衝突緩衝装置1に車両が衝突した後は、衝撃吸収体5のみの損傷であれば衝撃吸収体5のみを交換することで再度使用することができ、装置の交換コストを低減することができる。さらに、衝撃吸収体5の前面部分6及び左右側面部分8,9には、車両等からの光源を反射することができる反射材が設けられているので、車両用衝突緩衝装置1を視認しにくい夜間等においても、該装置を運転者等から確実に視認することができる。加えて、衝撃吸収体5の後面部分7に設けた有底円筒状の支持部13によって、交通標識等の長尺物を支持させることができる。
【0033】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、衝撃吸収体を工業用ゴムで成形したが、材質は工業用ゴムに限られず、弾性を有するものであればよい。また、衝撃吸収体を全体的に弾性材で成形しなくても、例えば、衝撃吸収体の外側表面のみを弾性材で覆ってもよい。さらに、衝撃吸収体の前面部分は、本実施の形態で示した5つの面で構成するものに限られず、それ以上またはそれ以下の面数を適宜選択可能である。加えて、ベース部材に対して衝撃吸収体の摺動を規制する手段として、本実施の形態では細長貫通孔の一部を縮幅するという方法をとったが、摺動規制手段はこれに限られるものではない。また、上述したように、ベース部材の支持柱を円柱形状等にして衝撃吸収体を相対的に回転可能とすれば、前面側からの衝突のみならず、左右側面側からの衝突にも対応することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の車両用衝突緩衝装置は、路面に埋設されるアンカー部を備えたベース部材と、当該ベース部材に対して摺動手段により摺動可能に設けられ、車両が衝突した際の衝撃を吸収する衝撃吸収体とを備えているので、ベース部材に対して衝撃吸収体を相対移動させることで効果的に衝撃を吸収することができ、緩衝効果を向上できる。また、車両の衝突後に衝撃吸収体が破損等した場合には、それのみを単独で交換することができ、交換に伴うコストを低減できる。さらに、衝撃吸収体を相対移動可能としたことにより、装置全体を小型化できる。従って、取り付け場所等に規制を受けることがない。
【0035】
また、請求項2に係る発明の車両用衝突緩衝装置では、請求項1に記載の発明の効果に加えて、衝撃吸収体の少なくとも表面が弾性材料からなるので、車両の衝突の際に、衝撃吸収体自体で衝撃を吸収できると共に、衝突の際に衝撃吸収体の破片が外部に飛散すること等がなく、歩行者及び横断歩道通行者の安全を確保することができる。
【0036】
また、請求項3に係る発明の車両用衝突緩衝装置では、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、衝撃吸収体は、ベース部材に設けられた状態で前方に位置する前面部分と、左右両側に位置する左右側面部分とを備えた多面体形状を有し、前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分が、路面方向に向かうにつれて外側に傾斜しているので、車両が衝突した際に、その衝撃は少なくとも上方向に向かって伝わることはなく、従って、衝撃吸収体が支持柱から上方に外れてしまうのを確実に防止することができるので、衝撃を確実に吸収することができる。
【0037】
また、請求項4に係る発明のピアスナットでは、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加えて、衝撃吸収体の前面部分が、左右側面部分と所定角度をなす複数の面から構成されているので、また、衝撃力の向きを少なくとも2方向に分散させることができ、衝撃吸収体での緩衝効果をより向上できると共に、衝撃吸収体への様々な方向からの車両の衝突に対応することができ、衝撃吸収体での緩衝効果をより向上できる。
【0038】
また、請求項5に係る発明の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加えて、ベース部材は、衝撃吸収体を支持する支持柱を備え、衝撃吸収体は、支持柱に嵌合し、かつその支持柱の断面積よりも大きい断面積の細長嵌合孔を備え、支持柱と嵌合孔とによって前記摺動手段が構成されているので、装置を簡単な構造に構成できると共に、衝撃吸収体が破損等した場合には、それ単体での交換をより簡易なものとできる。
【0039】
また、請求項6に係る発明の車両用衝突緩衝装置では、請求項5に記載の発明の効果に加えて、嵌合孔には、この嵌合孔とベース部材に設けられた支持柱との摺動を規制する摺動規制部が形成されており、車両が装置に衝突した場合に、ベース部材に対して衝撃吸収体が簡単には摺動しないようになっているので、衝撃吸収体の摺動時の緩衝効果をより向上させることができる。
【0040】
また、請求項7に係る発明の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至6の何れかに記載の発明の効果に加えて、衝撃吸収体の前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分に、車両からの光線等の光源を反射する反射手段が形成されているので、夜間等にも車両側から装置を確実に視認することができる。
【0041】
また、請求項8に係る発明の車両用衝突緩衝装置では、請求項1乃至7の何れかに記載の発明の効果に加えて、衝撃吸収体は、保持部をもって標識等の長尺物を保持することができるので、路面に別体として標識等を保持する保持装置を設置する必要がない。
【0042】
また、請求項9に係る発明の車両用衝突緩衝装置は、請求項1乃至8の何れかに記載の発明の効果に加えて、交差点直近に設けられた横断歩道の交差点側において、前記横断歩道と直交するセンターラインの延長線上に設置したので、横断歩道を渡る通行者が、前記交差点を右折した車両に巻き込まれるのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、車両用衝突緩衝装置1を路面に設置した状態を示す平面図である。
【図2】図2は、車両用衝突緩衝装置1の斜視図である。
【図3】図3は、車両用衝突緩衝装置1の幅方向中央部における断面図である。
【図4】図4は、車両用衝突緩衝装置1の平面図である。
【図5】図5は、ベース部材20の側面図である。
【符号の説明】
1 車両用衝突緩衝装置
5 衝撃吸収体
6 前面部分
7 後面部分
8 左側面部分
9 右側面部分
10 上面部分
13 保持部
15 細長貫通孔(細長嵌合孔)
15a 嵌合部
15b 摺動規制部
20 ベース部材
23 支持柱
50 横断歩道
R 路面
Claims (9)
- 路面に設置され、歩行者等の通行者を自動車等の車両から保護し、当該車両が衝突した際にその衝撃を緩和するための車両用衝突緩衝装置であって、
前記路面に埋設されるアンカー部を備えたベース部材と、当該ベース部材に対して摺動手段により摺動可能に設けられ、前記車両が衝突した際の衝撃を吸収する衝撃吸収体とを備えたことを特徴とする車両用衝突緩衝装置。 - 前記衝撃吸収体は、その少なくとも表面が弾性材料からなることを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突緩衝装置。
- 前記衝撃吸収体は、前記ベース部材に設けられた状態で前方に位置する前面部分と、左右両側に位置する左右側面部分とを備えた多面体形状を有し、前記前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分が、前記路面方向に向かうにつれて外側に傾斜していることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用衝突緩衝装置。
- 前記衝撃吸収体の前面部分が、前記左右側面部分と所定角度をなす複数の面から構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置。
- 前記ベース部材は、前記衝撃吸収体を支持する支持柱を備え、
前記衝撃吸収体は、前記支持柱に嵌合し、かつその支持柱の断面積よりも大きい断面積の細長嵌合孔を備え、
前記支持柱と細長嵌合孔とによって前記摺動手段が構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置。 - 前記細長嵌合孔には、この細長嵌合孔と前記支持柱との摺動を規制する摺動規制部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用衝突緩衝装置。
- 前記衝撃吸収体の前面部分及び左右側面部分の少なくとも1部分に、前記車両からの光線等の光源を反射する反射手段が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置。
- 前記衝撃吸収体は、標識等の長尺物を保持するための保持部をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置。
- 交差点直近に設けられた横断歩道の交差点側において、前記横断歩道と直交するセンターラインの延長線上に設置されて、横断歩道を渡る前記通行者が、前記交差点を右折した車両に巻き込まれるのを防ぐようにしたことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の車両用衝突緩衝装置。
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Cited By (2)
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US8777593B2 (en) | 2010-03-30 | 2014-07-15 | Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki | Electric compressor |
JP2016199978A (ja) * | 2015-04-14 | 2016-12-01 | 三重重工業株式会社 | 衝突緩衝装置 |
-
2003
- 2003-04-25 JP JP2003121952A patent/JP2004324278A/ja active Pending
Cited By (2)
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US8777593B2 (en) | 2010-03-30 | 2014-07-15 | Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki | Electric compressor |
JP2016199978A (ja) * | 2015-04-14 | 2016-12-01 | 三重重工業株式会社 | 衝突緩衝装置 |
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