JP2004323867A - 超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼 - Google Patents

超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼 Download PDF

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Abstract

【課題】超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼を提供すること。
【解決手段】質量%で、C:0.04〜0.2%、Si:0.02〜0.15%、Mn:1.5〜3.0%、P:0.02%以下、S:0.004〜0.01%、Cu:0.2〜2.0%、Ti:0.04〜0.1%、Nb:0.004〜0.03%、Mg:0.001〜0.01%、N:0.004〜0.008%、Al:0.001%未満、を含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼であって、該鋼中に、Mn、Cu、Nb、Mgの1種または2種以上を含有する硫化物粒子の内、粒子径が3nm以上3μm以下である粒子を2×10個/mm以上1×10個/mm以下含有することを特徴とする超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高層建築のボックス柱の組み立てで適用されるエレクトロスラグ溶接などの超大入熱溶接における熱影響部(以下、HAZと称する)靭性に優れた溶接用高張力鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の建築構造物の高層化に伴い、鋼製柱が大型化し、これに使用される鋼材の板厚も増してきた。このような板厚の大きな鋼を高能率で溶接するために、入熱量の大きなエレクトロスラグ溶接が広く用いられるようになってきた。その際の入熱量は200〜1500kJ/cmであり、このような超大入熱溶接では、HAZは1200℃以上の高温に長時間さらされるためオーステナイト粒(γ粒)の粗大化が著しく、HAZの高靭性を確保することが困難であった。最近の大地震を契機に、建築構造物の信頼性確保が大きな課題となってきており、超大入熱溶接におけるHAZの靭性向上が望まれている。
HAZ靭性向上に有効な技術の一つとして、ピン止め(ピンニング)粒子によるオーステナイト粒の粗大化抑制技術がある。オーステナイト粒の粗大化抑制に有効な粒子としては、従来、TiNやMg含有酸化物が知られており、例えば、非特許文献1には、TiNの微細分散によりオーステナイト粒粗大化が抑制されることが示されている。
【0003】
しかしながら、TiNだけでは粒子密度が十分でなく、オーステナイト粒径は200μm程度までしか微細化できず、最近の社会要請に応えることが難しくなってきている。また、超大入熱溶接では、HAZは1350℃以上の高温になることもあり、その場合にはほとんどのTiNは固溶し、オーステナイト粒粗大化抑制効果を失う。
一方、Mg含有酸化物は、1350℃以上の高温でも安定であり、超大入熱溶接のHAZにおけるオーステナイト粒の粗大化抑制に適用可能であることが、特許文献1に開示されている。しかしながら、Mg含有酸化物の粒子密度も十分でなく、オーステナイト粒の粗大化を十分に抑制できない。従って、TiNおよびMg含有酸化物に加えて、他のピンニング粒子を付与し、粒子密度を高める必要がある。
【0004】
【非特許文献1】
鉄と鋼、vol.61、No.11、68頁
【特許文献1】
特開平9−157787号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題点を解決し、高層建築のボックス柱の組み立てで適用されるエレクトロスラグ溶接などの超大入熱溶接におけるHAZ靭性に優れた溶接用高張力鋼を提供することをその課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、超大入熱溶接HAZの組織と靭性に関する詳細な研究を実施した結果、Mn、Cu、Nb、Mgの1種または2種以上を含有する硫化物を鋼中に高密度に分散させることができ、かつ、前記硫化物は、Al含有酸化物やMg含有酸化物よりも、オーステナイト粒(γ粒)のピンニング能力が高いことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、鋼中に、粒径3nm以上3μm以下であるMn、Cu、Nb、Mgの1種または2種以上を含有する硫化物粒子を2×10個/mm以上含有させ、オーステナイト粒成長を著しく抑制することで、超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼を得るものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
(1) 質量%で、C:0.04〜0.2%、Si:0.02〜0.15%、Mn:1.5〜3.0%、P:0.02%以下、S:0.004〜0.01%、Cu:0.2〜2.0%、Ti:0.04〜0.1%、Nb:0.004〜0.03%、Mg:0.001〜0.01%、N:0.004〜0.008%、Al:0.001%未満、を含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼であって、該鋼中に、Mn、Cu、Nb、Mgの1種または2種以上を含有する硫化物粒子の内、粒子径が3nm以上3μm以下である粒子を2×10個/mm以上1×10個/mm以下含有することを特徴とする超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
(2) 前記鋼が、さらに、質量%で、Ni:2.0%以下、Cr:1%以下、Mo:1%以下、V:0.05%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)に記載の超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
(3) 前記鋼が、さらに、質量%で、B:0.002%以下、Zr:0.03%以下、Ca:0.001〜0.01%、Ba:0.001〜0.01%、Sr:0.001〜0.01%、REM:0.03%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
(4) 前記鋼中のオーステナイト粒径が、100μm以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
(5) 前記鋼が、5.0≦[Mn]+[Cu]+100[Nb]+200[Mg]≦10.0であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
(上式において、[Mn]は質量%で表わしたMn濃度、[Cu]は質量%で表わしたCu濃度、[Nb]は質量%で表わしたNb濃度、[Mg]は質量%で表わしたMg濃度を示す。)
(6) 前記硫化物粒子の平均球相当半径をrとし、体積分率をfとした場合に、10μm≦r/f≦80μmであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
(7) 前記鋼中のオーステナイト粒径が、70μm以下であることを特徴とする(5)または(6)に記載の超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、下記文中の成分元素の含有量の%は、質量%を示す。また、本発明における超大入熱溶接とは、入熱量200〜1500kJ/cmの溶接であり、超大入熱溶接における熱影響部(HAZ)は、1200℃以上の高温に長時間さらされる。
本発明は、鋼中に、粒径3nm以上3μm以下であるMn、Cu、Nb、Mgの1種または2種以上を含有する硫化物粒子を2×10個/mm以上、1×10個/mm以下の高密度に分散させ、オーステナイト粒(γ粒)成長を著しく抑制することで、超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼を得るものである。前記硫化物は、Al含有酸化物やMg含有酸化物よりも、オーステナイト粒のピンニング能力が高い。
【0008】
硫化物粒子を2×10個/mm以上の高密度に分散させるには、鋼中のMn濃度を[Mn]、Cu濃度を[Cu]、Nb濃度を[Nb]、Mg濃度を[Mg]とした時に、[Mn]+[Cu]+100[Nb]+200[Mg]≧3.5とすることで達成できる。本発明者らは、前記硫化物粒子が、鋼中に高密度に分散できる理由については、次のように考えている。すなわち、前記硫化物の晶出温度が鋼の凝固温度と近いため、鋼の凝固時に晶出する二次晶出と成り易いためと考えている。鋼の凝固前に溶鋼中で晶出する一次晶出では、粗大な介在物と成り易いが、二次晶出であるため、微細かつ高密度に分散できるものと思われる。
【0009】
前記硫化物粒子が、オーステナイト粒のピンニング能に優れている原因は、現段階では明らかでないが、本発明者らは、次のように考えている。すなわち、前記硫化物と鋼の界面エネルギーが他の介在物と鋼の界面エネルギーに比較して小さいため、オーステナイト粒界が通り過ぎて界面エネルギーが高い状態となるよりも、オーステナイト粒界をピンニングしておいたほうがエネルギー的に有利であるため、ピンニング力が強くなるものと考えている。
【0010】
超大入熱溶接におけるHAZの靭性を十分に高めるためには、オーステナイト粒径は100μm以下であることが望ましい。なお、粒径は小さいことが好ましいため、下限については特に限定はない。前記硫化物粒子の密度が2×10個/mm以上の場合には、オーステナイト粒径は100μm以下となる。ただし、前記硫化物粒子の密度が1×10個/mm超になると、硫化物粒子が破壊起点となり靭性を劣化させる恐れがあるため、硫化物粒子密度の上限を1×10個/mmとした。
【0011】
更に優れたHAZ靭性が必要な場合には、オーステナイト粒径は70μm以下であることが望ましい。その場合には、前記硫化物粒子の平均球相当半径をrとし、前記硫化物粒子の体積分率をfとした場合に、r/fを80μm以下にすれば、HAZにおけるγ粒径を70μm以下にすることができる。ただし、r/fが10μm未満になるような高密度の硫化物粒子が存在すると、硫化物粒子が破壊起点となり靭性を劣化させる恐れがあるため、r/fの下限を10μmとした。
硫化物粒子の体積分率測定は次のように行う。すなわち、TEM観察により各硫化物粒子の球相当半径を測定し、この半径の値から個々の硫化物粒子の体積を計算し、観察を行った領域の鋼の体積で割った値を個々の硫化物粒子の体積分率とし、個々の硫化物粒子の体積分率の値をすべての硫化物粒子について加算し、全体の硫化物粒子の体積分率とした。この際、硫化物粒子は球形と見なした。
【0012】
r/fが80μm以下となるような鋼を製造するためには、後述の成分含有量であって、粒径3nm以上3μm以下であるMn、Cu、Nb、Mgの1種または2種以上を含有する硫化物粒子を2×10個/mm以上含む溶接用高張力鋼において、[Mn]+[Cu]+100[Nb]+200[Mg]≧5.0の場合に達成できる。ただし、[Mn]+[Cu]+100[Nb]+200[Mg]>10.0となると、r/fが10μm未満となる恐れがあるため、[Mn]+[Cu]+100[Nb]+200[Mg]の上限値を10.0とした。
なお、Mn、Cu、Nb、Mgの1種または2種以上を含有する硫化物粒子の粒径が3nm未満では、オーステナイト粒のピンニング効果が著しく低下し、硫化物粒子の粒径が3μmを超えると、硫化物粒子が破壊起点となり、かえって靭性を劣化させる。このため、前記硫化物粒子の粒径を3nm以上3μm以下とした。
【0013】
次に、成分元素の限定理由を示す。
Cは、0.04%未満では母材強度が確保できないので、下限を0.04%とした。また、0.2%を超えると、脆性破壊起点となるセメンタイトが増加するため靱性が低下する。このため上限を0.2%とした。
【0014】
Siは、0.02%未満では母材強度が確保できないので、下限を0.02%とした。また、0.15%を超えると、HAZ中に島状マルテンサイトが生成し、靱性が低下する。このため上限を0.15%とした。
【0015】
Mnは、硫化物を生成させ、γ粒成長を抑制する効果がある。1.5%未満では、オーステナイト粒内フェライト変態率が著しく減少するため、1.5%を下限とした。また、3%を超えると、粒径が5μmを超える硫化物が発生するようになり、良好なHAZ靱性が得られない。従って3%を上限とした。
【0016】
Pは、粒界脆化をもたらすため低い方が望ましい。0.02%を超えると靱性低下が顕著になるため、0.02%以下とした。
【0017】
Sは、硫化物を生成させるために必須の元素である。0.004%未満では、十分な硫化物粒子密度が得られないため、下限を0.004%とした。ただし、0.01%を超えると板厚方向の延性低下が顕著となるため、上限を0.01%とした。
【0018】
Cuは、硫化物を生成させ、γ粒成長を抑制する効果がある。また、鋼を高強度化するためにもCu添加は有効である。0.2%未満の場合、硫化物の高密度化、および、鋼の高強度化の効果が小さいことから、下限値を0.2%とした。しかしながら、2.0%を超えると、鋼の焼き入れ性を過度に高め、母材靭性およびHAZ靭性を損ねる恐れがある。従って、上限値を2.0%とした。
【0019】
Tiは、硫化物を微細化し、高密度化する効果がある。また、TiN粒子を生成させることによりオーステナイト粒径を微細化するため、必須の元素である。0.04%未満では十分な粒子密度が得られないため0.04%を下限とした。ただし0.1%を超えると、破壊起点となる粗大なTi酸化物を生成し靱性低下をもたらす。従って上限を0.1%した。
【0020】
Nbは、硫化物およびNb含有窒化物を生成させ、γ粒成長を抑制する効果がある。Nb含有窒化物もオーステナイト粒のピンニングに有効である。0.004%未満では、粒子密度が低すぎるため0.004%を下限とした。逆に、0.03%を超えると、焼き入れ性が強くなり、靭性が劣化する。従って、上限を0.03%とした。
【0021】
Mgは、硫化物およびMg含有酸化物を生成、γ粒成長を抑制する効果がある。0.001%未満では、粒子密度が低すぎるため0.001%を下限とした。逆に、0.01%を超えると、酸化物が多くなりすぎて延性低下をもたらす。従って、上限を0.01%した。
【0022】
Nは、TiNを析出するために必須の元素である。TiNは、高温では溶融し、オーステナイト粒粗大化抑制の効果を失うが、溶接融合線から離れた部分では、加熱温度が低くなりオーステナイト粒粗大化抑制に効果を発揮する。HAZ全域にわたって靱性を向上させるには、TiNの利用が必要である。Nが0.004%未満では十分なTiNが析出しないため、下限を0.004%とした。0.008%を超えるとフェライト鋼中に固溶して靱性低下をもたらすため、上限を0.008%とした。
【0023】
Alは、添加することにより生成する硫化物が粗大化し、粒子密度が低くなるため、Al濃度は低い方が望ましい。0.001%以上になると硫化物密度が著しく低下するため、添加量は0.001%未満とした。
【0024】
また、本発明に係る鋼は、上記元素に加えて、必要に応じてNi、Cr、Mo、V、B、Zr、Ca、Ba、Sr、REMの1種または2種以上を添加する。Niは、適当量の添加により、鋼を高強度化することが可能である。ただし、2.0%を超えると焼き入れ性を過度に高め、母材靭性およびHAZ靭性を損ねる恐れがある。従って、上限値を2.0%とした。
Mo、Crは、強度向上に効果がある。これらの元素は、1%超含有すると強度が高くなり過ぎて靭性が劣化するため、それぞれ上限を1%とした。
Vは、強度および靭性向上に効果がある。0.05%超含有すると、効果がほとんど変化しなくなるため、上限を0.05%とした。
【0025】
Bは、粒界からのフェライト生成を抑制し、粒内フェライト生成を促進するため、靭性向上に効果がある。0.002%超含有すると、効果がほとんど変化しなくなるため、上限を0.002%とした。
Zrは、粒内フェライト変態促進、オーステナイト粒粗大化抑制に効果がある。0.03%超含有すると、効果がほとんど変化しなくなるため、上限を0.03%とした。
Ca、Ba、Srは、これらの元素は、粒内フェライト変態を促進し、靭性向上に効果があるため、それぞれ0.001%以上含有することが望ましい。逆に0.01%を超えると、酸化物が多くなりすぎて延性低下をもたらす。従って、ぞれぞれ上限を0.01%した。
REMは、粒内フェライト変態促進、オーステナイト粒粗大化抑制に効果がある。0.003%超含有すると、効果がほとんど変化しなくなるため、上限を0.003%とした。
【0026】
硫化物粒子のサイズおよび密度の測定は次のように行う。すなわち、各鋼試料から非水溶媒系低電位電解法により抽出レプリカ試料を作製し、この試料を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、硫化物のサイズおよび密度を測定した。
【0027】
【実施例】
転炉により鋼を溶製し、連続鋳造により厚さ240mmのスラブを製造した。それらの化学組成を表1に示す。これらの鋼を用いて、図1に示すエレクトロスラグ溶接により溶接試験体を作成した。溶接の電流は380A、電圧は46V、速度は1.14cm/分とした。入熱は920kJ/cmである。
図1に示すように、溶接融合線および溶接融合線から3mmの位置がノッチ位置に一致するようにシャルピー試験片を採取した。シャルピー衝撃試験を0℃で行い、靱性を評価した結果を表2に示す。
また、エレクトロスラグ溶接部融合線近傍のHAZの光学顕微鏡組織観察を行い、オーステナイト粒径を測定した。さらに、Mn、Cu、Mg、Nbを含有する硫化物の大きさ、密度をTEM観察により調べた。TEM観察用試料には、非水溶媒系低電位電解法により抽出レプリカ試料を作製し、これを用いた。これらの結果も併せて表2に示す。
【0028】
表2から明らかなように、本発明鋼は比較鋼に比べて超大入熱溶接におけるHAZ靱性が優れている。本発明鋼では、Mn、Cu、Mg、Nbの1種または2種以上を含有する粒径3nm以上3μm以下である硫化物が2×10/mm以上の密度で存在し、γ粒径が小さいことが判る。特に、r/fが80μm以下の場合、γ粒径は特に小さく70μm以下であった。また、r/fが80μm以下となるのは、[Mn]+[Cu]+100[Nb]+200[Mg]が5.0以上の場合であることが判る。
一方、比較鋼では、Mn、Cu、Mg、Nbの1種または2種以上を含有する粒径3nm以上3μm以下である硫化物が2×10/mm未満の密度であり、γ粒径は大きく、靱性は悪い。
【0029】
【表1】
Figure 2004323867
【0030】
【表2】
Figure 2004323867
【0031】
【発明の効果】
本発明は、高層建築のボックス柱の組み立てで適用されるエレクトロスラグ溶接などの200kJ/cm以上の超大入熱溶接におけるHAZ部で、粒内変態フェライト分率を著しく高くし、オーステナイト粒径を小さくすることができ、その結果、HAZ靭性に優れた溶接用高張力鋼を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例におけるエレクトロスラグ溶接条件を示す模式図である。

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C :0.04〜0.2%、
    Si:0.02〜0.15%、
    Mn:1.5〜3.0%、
    P :0.02%以下、
    S :0.004〜0.01%、
    Cu:0.2〜2.0%、
    Ti:0.04〜0.1%、
    Nb:0.004〜0.03%、
    Mg:0.001〜0.01%、
    N :0.004〜0.008%、
    Al:0.001%未満、
    を含有し、
    残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼であって、
    該鋼中に、Mn、Cu、Nb、Mgの1種または2種以上を含有する硫化物粒子の内、粒子径が3nm以上3μm以下である粒子を2×10個/mm以上1×10個/mm以下含有することを特徴とする超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
  2. 前記鋼が、さらに、質量%で、Ni:2.0%以下、Cr:1%以下、Mo:1%以下、V:0.05%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
  3. 前記鋼が、さらに、質量%で、B:0.002%以下、Zr:0.03%以下、Ca:0.001〜0.01%、Ba:0.001〜0.01%、Sr:0.001〜0.01%、REM:0.03%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
  4. 前記鋼中のオーステナイト粒径が、100μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
  5. 前記鋼が、
    5.0≦[Mn]+[Cu]+100[Nb]+200[Mg]≦10.0
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
    (上式において、[Mn]は質量%で表わしたMn濃度、[Cu]は質量%で表わしたCu濃度、[Nb]は質量%で表わしたNb濃度、[Mg]は質量%で表わしたMg濃度を示す。)
  6. 前記硫化物粒子の平均球相当半径をrとし、体積分率をfとした場合に、10μm≦r/f≦80μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
  7. 前記鋼中のオーステナイト粒径が、70μm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の超大入熱溶接熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力鋼。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100463994C (zh) * 2005-11-07 2009-02-25 鞍钢股份有限公司 一种适合大线能量焊接的Nb-Ti微合金钢及冶炼方法

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