JP2004323806A - 遷移金属化合物、オレフィン類重合触媒、オレフィン化合物重合方法、およびオレフィン化合物重合体 - Google Patents

遷移金属化合物、オレフィン類重合触媒、オレフィン化合物重合方法、およびオレフィン化合物重合体 Download PDF

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Katsuhiko Ono
勝彦 大野
Tokifumi Masukawa
解文 益川
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JNC Petrochemical Corp
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Chisso Corp
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Abstract

【課題】新規な遷移金属化合物およびそれを用いるオレフィン重合用触媒、該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合方法を提供する。
【解決手段】遷移金属化合物は、一般式KMXで表される遷移金属化合物である。式中、Kはイミノ基を含有するフェノール化合物残基であり、Lはイミノ基を含有する(複素)5員環化合物残基であり、Mは周期表第3〜11族の遷移金属原子であり、Xは水素原子、ハロゲン原子もしくは有機基である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な遷移金属化合物およびそれを用いるオレフィン重合用触媒、該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合方法に関するものである。また本発明は、該重合方法により得られるオレフィン重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン重合用触媒としては、いわゆるカミンスキー触媒が良く知られている。この触媒は非常に重合活性が高く、分子量分布が狭い重合体が得られるという特徴がある。このようなカミンスキー触媒に用いられる遷移金属化合物としては、たとえばビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドや、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドなどが知られている(例えば特許文献1、2参照。)。また重合に用いる遷移金属化合物が異なると、オレフィン重合活性や得られたポリオレフィンの性状が大きく異なることも知られている。さらに最近新しいオレフィン重合用触媒としてジイミン構造の配位子を持った遷移金属化合物が提案されている(例えば特許文献3参照。)。さらに、イミノメチルピロリル配位子を有するクロム錯体化合物をα−オレフィン重合用触媒成分として用いる方法も知られている(例えば非特許文献1参照。)。
【0003】
一般にポリオレフィンは、機械的特性などに優れているため、各種成形体など種々の分野に用いられているが、近年ポリオレフィンに対する物性の要求が多様化しており様々な性状のポリオレフィンが望まれている。また生産性の向上も望まれている。
このような状況のもと、オレフィン重合活性に優れ、しかも優れた性状を有するポリオレフィンを製造しうるようなオレフィン重合用触媒の出現が望まれており、またそのようなオレフィン重合用触媒成分となり得るような新たな遷移金属化合物の出現が望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58−19309号公報
【特許文献2】
特開昭61−130314号公報
【特許文献3】
国際公開特許第9623010号公報
【非特許文献1】
Chem.Commun.,1998,1651
【0005】
【発明が解決する課題】
本発明は新たに見出した新規な化学構造を有する遷移金属化合物と、それを用いることを特徴とするオレフィン重合用触媒、また該オレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合方法を提供することを目的とする。また本発明はかかる重合方法により得られる、押し出し成形や射出成形が可能な高分子量で且つ高融点のオレフィン重合体を提供することをも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、オレフィン重合活性に優れ、しかも優れた性状を有するポリオレフィンを製造しうるオレフィン重合用触媒を開発すべく鋭意研究した結果、従来知られていない新規な配位構造を有する遷移金属化合物がオレフィン重合用の優れた触媒能を有するものであることを見出し本発明を完成した。かかる遷移金属化合物は相違する構造を有する有機配位子(同一配位子だけでない)がその金属に配位した化合物(いわば混合配位子型)であり、その構造的特徴は一般式(I)で表されるものであり、以下本発明に係わるオレフィン重合用触媒の説明中で詳しく説明されるものである。
本発明の錯体は、相違する構造を有する複数の配位子が遷移金属に配位した構造を有する点に特徴があるのであるが、これら配位子骨格の製造法、置換基の導入法等自体は、公知技術を用いて行うことができる。
すなわち、本発明に係わる第1のオレフィン重合用触媒は、下記一般式 KMX で表される遷移金属化合物(A)と、(B−1)有機金属化合物及び(B−2)活性化化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とからなることを特徴としている。
式中、Kは下記式(I)で表される。Lは下記式(II)、(III)または(IV)で表される配位子のうちから選ばれる少なくとも1つの配位子を示す。
【0007】
【化12】
Figure 2004323806
(式中、MXは前記式中のMXを示す)
【0008】
【化13】
Figure 2004323806
(式中、MXは前記式中のMXを示す)
【0009】
【化14】
Figure 2004323806
(式中、MXは前記式中のMXを示す)
【0010】
【化15】
Figure 2004323806
(式中、MXは前記式中のMXを示す)
【0011】
Eは、イオウ原子、セレン原子または窒素原子を示し、
Dは、窒素原子、結合基R2を有する炭素原子、または結合基R2を有していてもよいリン原子を示し、
Gは、窒素原子、結合基R8を有する炭素原子、または結合基R8を有していてもよいリン原子を示し、
Jは、窒素原子、結合基R9を有する炭素原子、または結合基R9を有していてもよいリン原子を示し、
Qは、窒素原子、結合基R10を有する炭素原子、または結合基R10を有していてもよいリン原子を示し、
Tは、窒素原子、結合基R11を有する炭素原子、または結合基R11を有していてもよいリン原子を示し、
Yは、窒素原子、結合基R13を有する炭素原子、または結合基R13を有していてもよいリン原子を示し、
Uは、窒素原子、結合基R14を有する炭素原子、または結合基R14を有していてもよいリン原子を示し、
Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、
Nは窒素原子を示し、
mおよびnは1〜6の整数を示し、
Aは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子または結合基R7を有する窒素原子を示し、
【0012】
R1からR19は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成してもよく、
また、mが2以上のとき、Kは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのKが有するR1〜R7のうちの少なくとも1つが、他のKが有するR1〜R7のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。また、nが2以上のとき、Lは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのLが有するR8〜R19のうちの少なくとも1つが、他のLが有するR8〜R19のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。
【0013】
lはMの原子価を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0014】
本発明では、前記一般式 KMX で表される遷移金属化合物が下記一般式(II−a)で表される遷移金属化合物であることが好ましい。
【0015】
【化16】
Figure 2004323806
(ここで式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属化合物を示し、mおよびnは1〜3の整数を示し、Aは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子または結合基−R7を有する窒素原子を示し、Dは、置換基R2を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Eは、イオウ原子、セレン原子または窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、R1からR12は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシル基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mまたはnが2以上の場合には、R1〜R7およびR8〜R12で示される基のうち2個以上が互いに連結されていてもよく(但し、R1同士およびR12同士が結合されることはない)、lはMの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0016】
前記一般式(II−a)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルフォンエステル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシル基であることが好ましい。
【0017】
また、前記一般式 KMX で表される遷移金属化合物が下記一般式(II−a−1)で表される遷移金属化合物であることが好ましい。
【0018】
【化17】
Figure 2004323806
式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、
mおよびnは1〜6の整数を示し、
R1からR12は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシル基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
また、mが2以上のとき、Kは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのKが有するR1〜R6のうちの少なくとも1つが、他のKが有するR1〜R6のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。また、nが2以上のとき、Lは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのLが有するR8〜R12のうちの少なくとも1つが、他のLが有するR8〜R12のうちの少なくとも1つと連結していてもよい(但し、R1同士およびR12同士が結合されることはない)。
lはMの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基またはケイ素含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してよい。
【0019】
前記一般式(II−a−1)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルフォンエステル基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基であることが好ましい。
【0020】
本発明は、前記一般式 KMX で表される遷移金属化合物が、下記一般式(II−b)で表される遷移金属化合物であることが好ましい。
【0021】
【化18】
Figure 2004323806
(ここで式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、mおよびnは1〜3の整数を示し、R1〜R12は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、ニトリル基またはニトロ基を示し、これらの内2個以上の基が互いに連結して環を形成していてもよく、mまたはnが2以上の場合には、R1〜R6およびR8〜R12で示される基のうち2個以上が互いに連結されていてもよい(但し、R1同士およびR12同士が結合されることはない)。)
【0022】
前記一般式(II−b)においてR6は、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルフォンエステル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシル基であることが好ましい。
【0023】
本発明は、前記一般式 KMX で表される遷移金属化合物が、下記一般式(III−a)で表される遷移金属化合物であることが好ましい。
【0024】
【化19】
Figure 2004323806
(ここで式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属化合物を示し、mおよびnは1〜3の整数を示し、Aは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子または結合基−R7を有する窒素原子を示し、Dは、置換基R2を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Eは、イオウ原子、セレン原子または窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Yは、置換基R13を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Uは、置換基R14を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、R1からR15は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成してもよく、mまたはnが2以上の場合は、R1〜R7およびR8〜R15で示される基のうち2個以上が互いに連結されていてもよく(但しR1同士、R15同士が結合することはない)、lはMの原子価を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0025】
前記一般式(III−a)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基であることが好ましい。
【0026】
本発明は、前記一般式 KMX で表される遷移金属化合物が、下記一般式(III−a−1)で表される遷移金属化合物であることが好ましい。
【0027】
【化20】
Figure 2004323806
式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、
mおよびnは1〜6の整数を示し、
R1からR15は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシル基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
また、mが2以上のとき、Kは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのKが有するR1〜R6のうちの少なくとも1つが、他のKが有するR1〜R6のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。また、nが2以上のとき、Lは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのLが有するR8〜R15のうちの少なくとも1つが、他のLが有するR8〜R15のうちの少なくとも1つと連結していてもよい(但し、R1同士およびR15同士が結合されることはない)。
lはMの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基またはケイ素含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してよい。
【0028】
前記一般式(III−a−1)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルフォンエステル基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基であることが好ましい。
【0029】
本発明は、前記一般式 KMX で表される遷移金属化合物が、下記一般式(III−b)で表される遷移金属化合物であることが好ましい。
【0030】
【化21】
Figure 2004323806
(ここで式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、mおよびnは1〜6の整数を示し、R1〜R15は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、ニトリル基またはニトロ基を示し、これらの内2個以上の基が互いに連結して環を形成していてもよく、mまたはnが2以上の場合は、R1〜R6およびR8〜R15で示される基のうち2個以上が互いに連結されていてもよく(但し、R1同士およびR12同士が結合されることはない)。)
【0031】
前記一般式(III−b)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基スルホンアミド基、シアノ基またはニトロ基であることが好ましい。
【0032】
本発明は、前記一般式 KMX で表される遷移金属化合物が、下記一般式(IV−a)で表される遷移金属化合物であることが好ましい。
【0033】
【化22】
Figure 2004323806
【0034】
式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属化合物を示し、mおよびnは1〜3の整数を示し、Aは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子または結合基−R7を有する窒素原子を示し、Dは、置換基R2を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、R1からR19は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成してもよく、mまたはnが2以上の場合は、R1〜R7およびR15〜R19で示される基のうち2個以上が互いに連結されていてもよく(但しR1同士が結合することはない)、lはMの原子価を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0035】
前記一般式(IV−a)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基であることが好ましい。
本発明は、前記一般式 KMX で表される遷移金属化合物が下記一般式(IV−a−1)で表される遷移金属化合物であることが好ましい。
【0036】
【化23】
Figure 2004323806
式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、
mおよびnは1〜6の整数を示し、
R1からR19は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシル基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
また、mが2以上のとき、Kは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのKが有するR1〜R6のうちの少なくとも1つが、他のKが有するR1〜R6のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。また、nが2以上のとき、Lは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのLが有するR15〜R19のうちの少なくとも1つが、他のLが有するR15〜R19のうちの少なくとも1つと連結していてもよい(但し、R1同士およびR15同士が結合されることはない)。
lはMの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基またはケイ素含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してよい。
【0037】
前記一般式(IV−a−1)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルフォンエステル基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基であることが好ましい。
【0038】
本発明は、前記一般式 KMX で表される遷移金属化合物が、下記一般式(IV−b)で表される遷移金属化合物であることが好ましい。
【0039】
【化24】
Figure 2004323806
(ここで式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、mおよびnは1〜6の整数を示し、R1〜R19は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、ニトリル基またはニトロ基を示し、これらの内2個以上の基が互いに連結して環を形成していてもよく、mまたはnが2以上の場合は、R1〜R6およびR15〜R19で示される基のうち2個以上が互いに連結されていてもよく(但し、R1同士が結合されることはない)、lはMの原子価を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0040】
前記一般式(IV−b)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基スルホンアミド基、シアノ基またはニトロ基であることが好ましい。
遷移金属化合物(A)において、Mが周期律表第3〜5族および第9族から選ばれる少なくとも一種の遷移金属化合物であることが好ましい。
本発明に係わる第1のオレフィンの重合触媒では、前記遷移金属化合物(A)と、(B−1)有機金属化合物、(B−2)活性化化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(B)に加えて、担体(C)を含んでいてもよい。
【0041】
本発明に係わる第1のオレフィンの重合方法は、前記のような触媒の存在下にオレフィンを重合または共重合することを特徴としている。
本発明に係わる第2のオレフィン重合用触媒は、下記一般式(V)で表される遷移金属化合物(A′)と、(B−1)有機金属化合物及び(B−2)活性化化合物(B)から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなることを特徴としている。
【0042】
【化25】
Figure 2004323806
式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、
L′およびL″は、それらが互いに異なるという条件のもとに、下記式(VI)、(VII)または(VIII)
【0043】
【化26】
Figure 2004323806
(式中、MXは前記式(V)中のMXを示す)
【0044】
【化27】
Figure 2004323806
(式中、MXは前記式(V)中のMXを示す)
【0045】
【化28】
Figure 2004323806
(式中、MXは前記式(V)中のMXを示す)
で表される配位子の群から選ばれる少なくとも一つの配位子を示し、
【0046】
Eは、イオウ原子、セレン原子または窒素原子を示し、
Dは、窒素原子、結合基R2を有する炭素原子、または結合基R2を有していてもよいリン原子を示し、
Gは、窒素原子、結合基R8を有する炭素原子、または結合基R8を有していてもよいリン原子を示し、
Jは、窒素原子、結合基R9を有する炭素原子、または結合基R9を有していてもよいリン原子を示し、
Qは、窒素原子、結合基R10を有する炭素原子、または結合基R10を有していてもよいリン原子を示し、
Tは、窒素原子、結合基R11を有する炭素原子、または結合基R11を有していてもよいリン原子を示し、
Yは、窒素原子、結合基R13を有する炭素原子、または結合基R13を有していてもよいリン原子を示し、
Uは、窒素原子、結合基R14を有する炭素原子、または結合基R14を有していてもよいリン原子を示し、
Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、
Nは窒素原子を示し、
mおよびnは1〜6の整数を示し、
Aは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子または結合基R7を有する窒素原子を示し、
【0047】
R1からR19は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成してもよく、
また、mが2以上のとき、L′は互いに同一でも異なっていてもよく、1つのL′が有するR8〜R19のうちの少なくとも1つが、他のL′が有するR8〜R19のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。また、nが2以上のとき、L″は互いに同一でも異なっていてもよく、1つのL″が有するR8〜R19のうちの少なくとも1つが、他のL″が有するR8〜R19のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。
【0048】
lはMの原子価を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0049】
前記一般式(V)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基であることが好ましい。
遷移金属化合物(A)において、Mが周期律表第3〜5族および第9族から選ばれる少なくとも一種の遷移金属化合物であることが好ましい。
【0050】
本発明に係わる第2のオレフィンの重合触媒では、前記遷移金属化合物(A′)と(B−1)有機金属化合物、(B−2)活性化化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(B)に加えて、担体(C)を含んでいてもよい。
本発明に係わる第2のオレフィンの重合方法は、前記のような触媒の存在下にオレフィンを重合または共重合することを特徴としている。
【0051】
ここで本発明に係わる新規な遷移金属化合物としては、下記一般式(IX)で表される遷移金属化合物がより好ましい。
【0052】
【化29】
Figure 2004323806
(ここで式中、Mは周期律表第4または第5族の遷移金属原子を示し、mおよびnは1〜6の整数を示し、R1およびR12は、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、スルフォンエステル基またはヒドロキシ基を示し、R2〜R5、R8〜R12は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシ基を示し、R6は、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基またはシアノ基を示し、R1からR12のうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mまたはnが2以上の場合は、R1〜R6およびR8〜R12で示される基のうち2個以上が互いに連結されていてもよく(但し、R1同士およびR12同士が結合されることはない)、
lはMの価数を満たす数であり、Xは、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成していてもよい。)
前記遷移金属化合物は、下記一般式(IX−a)で表されるものが更に好ましい。
【0053】
【化30】
Figure 2004323806
(ここで式中、Mは周期律表第4または第5族の遷移金属原子を示し、mおよびnは1〜6の整数を示し、R1〜R5およびR7〜R12は互いに同一でも異なっていてもよく、炭化水素基、アルコキシ基または炭化水素置換シリル基を示し、R6は、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またシアノ基を示し、R1からR12のうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mまたはnが2以上の場合は、R1〜R6およびR7〜R12で示される基のうち2個以上が互いに連結されていてもよく(但し、R1同士およびR12同士が結合されることはない)、lはMの価数を満たす数であり、Xは、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ハロゲン現有基またはケイ素含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
また、本発明に係わる新規な遷移金属化合物は、下記一般式(X)で表されるものも好ましい。
【0054】
【化31】
Figure 2004323806
(ここで式中、Mは周期律表第4または第5族の遷移金属原子を示し、mおよびnは1〜6の整数を示し、R1およびR15は、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、スルフォンエステル基またはヒドロキシ基を示し、R2〜R5、R8〜R15は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシ基を示し、R6は、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基またはシアノ基を示し、R1からR15のうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mまたはnが2以上の場合は、R1〜R6およびR8〜R15で示される基のうち2個以上が互いに連結されていてもよく(但し、R1同士およびR15同士が結合されることはない)、lはMの価数を満たす数であり、Xは、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成していてもよい。)
また、前記遷移金属化合物は、下記一般式(X−a)で表されるものが更に好ましい。
【0055】
【化32】
Figure 2004323806
(ここで式中、Mは周期律表第4または第5族の遷移金属原子を示し、mおよびnは1〜6の整数を示し、R1〜R5およびR8〜R15は互いに同一でも異なっていてもよく、炭化水素基、アルコキシ基または炭化水素置換シリル基を示し、R6は、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またシアノ基を示し、R1からR12のうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mまたはnが2以上の場合は、R1〜R6およびR8〜R15で示される基のうち2個以上が互いに連結されていてもよく(但し、R1同士およびR15同士が結合されることはない)、lはMの価数を満たす数であり、Xは、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ハロゲン現有基またはケイ素含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0056】
本発明に係わる新規な遷移金属化合物としては、下記一般式(XI)で表されるものも好ましい。
【0057】
【化33】
Figure 2004323806
(ここで式中、Mは周期律表第4または第5族の遷移金属原子を示し、mおよびnは1〜6の整数を示し、R1は、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、スルフォンエステル基またはヒドロキシ基を示し、R2〜R5、R15〜R19は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシ基を示し、R6は、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基またはシアノ基を示し、R1からR19のうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mまたはnが2以上の場合は、R1〜R6およびR15〜R19で示される基のうち2個以上が互いに連結されていてもよく(但し、R1同士が結合されることはない)、lはMの価数を満たす数であり、Xは、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0058】
また、前記遷移金属化合物は、下記一般式(XI−a)で表されるものが更に好ましい。
【0059】
【化34】
Figure 2004323806
(ここで式中、Mは周期律表第4または第5族の遷移金属原子を示し、mおよびnは1〜6の整数を示し、R1〜R5およびR15〜R19は互いに同一でも異なっていてもよく、炭化水素基、アルコキシ基または炭化水素置換シリル基を示し、R6は、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またシアノ基を示し、R1からR19のうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mまたはnが2以上の場合は、R1〜R6およびR15〜R19で示される基のうち2個以上が互いに連結されていてもよく(但し、R1同士が結合されることはない)、lはMの価数を満たす数であり、Xは、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ハロゲン現有基またはケイ素含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
さらに本発明に係わる、オレフィン重合体は、オレフィンがプロピレンおよび/またはエチレン、1−ブテンであることが好ましい。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における新規な遷移金属化合物、それを用いたオレフィン重合用触媒及びこの触媒を用いたオレフィンの重合方法について発明の実施の形態に即して具体的に説明する。
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
【0061】
(遷移金属化合物及びオレフィン重合用触媒)
第1のオレフィン重合用触媒
本発明に係わる第1のオレフィン重合用触媒は、(A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、(B)(B−1)有機金属化合物、(B−2)活性化化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物とから形成されている。
まず、本発明のオレフィン重合用触媒を形成する各触媒成分について説明する。
【0062】
(A)遷移金属化合物
本発明で用いられる遷移金属化合物は一般式 KMX で表される。
式中、Kは下記式(I)で表される。Lは下記式(II)、(III)または(IV)で表される配位子のうちから選ばれる少なくとも1つの配位子を示す。
【0063】
【化35】
Figure 2004323806
(式中、MXは前記式中のMXを示す)
【0064】
【化36】
Figure 2004323806
(式中、MXは前記式中のMXを示す)
【0065】
【化37】
Figure 2004323806
(式中、MXは前記式中のMXを示す)
【0066】
【化38】
Figure 2004323806
(式中、MXは前記式中のMXを示す)
【0067】
Eは、イオウ原子、セレン原子または窒素原子を示し、
Dは、窒素原子、結合基R2を有する炭素原子、または結合基R2を有していてもよいリン原子を示し、
Gは、窒素原子、結合基R8を有する炭素原子、または結合基R8を有していてもよいリン原子を示し、
Jは、窒素原子、結合基R9を有する炭素原子、または結合基R9を有していてもよいリン原子を示し、
Qは、窒素原子、結合基R10を有する炭素原子、または結合基R10を有していてもよいリン原子を示し、
Tは、窒素原子、結合基R11を有する炭素原子、または結合基R11を有していてもよいリン原子を示し、
Yは、窒素原子、結合基R13を有する炭素原子、または結合基R13を有していてもよいリン原子を示し、
Uは、窒素原子、結合基R14を有する炭素原子、または結合基R14を有していてもよいリン原子を示し、
Nは窒素原子を示し、
mおよびnは1〜6の整数を示し、
Aは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子または結合基R7を有する窒素原子を示し、
R1からR19は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成してもよく、
また、mが2以上のとき、Kは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのKが有するR1〜R7のうちの少なくとも1つが、他のKが有するR1〜R7のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。また、nが2以上のとき、Lは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのLが有するR8〜R19のうちの少なくとも1つが、他のLが有するR8〜R19のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。
【0068】
lはMの原子価を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0069】
式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子(3族にはランタノイドも含まれる)を示し、好ましくは3〜9族(3族にはランタノイドも含まれる)の金属原子であり、より好ましくは3〜5族及び9族の金属原子であり、特に好ましくは4族または5族の金属原子である。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウム、イットリウム、クロム、モリブテン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウムなどであり、好ましくは、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウムなどであり、より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルト、ロジウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、特に好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0070】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数が5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
【0071】
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、例えばトリフロオロメチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
【0072】
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基かアンモニウム塩となたものなどの窒素含有化合物;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソシアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有化合物;ホスフィド基、ホスフォリル基、チオホスフォリル基、ホスファイト基などのリン含有化合物;ケイ素含有化合物、ゲルマニウム含有化合物、またはスズ含有基を有していてもよい。
【0073】
これらのうち、特に、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらののアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20ののアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
【0074】
酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記例示したものと同様なものが挙げられる。ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0075】
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基など、具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
【0076】
次に上記で説明したR1からR19の例についてより具体的に説明する。
アルコキシ基として具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。アリキルチオ基として具体的には、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
【0077】
アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6,−トリメチルフェノキシなどが挙げられる。アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオなどが挙げられる。
【0078】
アシル基として具体的には、フォルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などが挙げられる。エステル基として具体的には、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどが挙げられる。
【0079】
チオエステル基として具体的には、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどが挙げられる。アミド基として具体的には、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどが挙げられる。
【0080】
イミド基として具体的には、アセトイミド、ベンズイミドなどが挙げられる。アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノなどが挙げられる。
【0081】
イミノ基として具体的には、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどが挙げられる。スルフォンエステル基として具体的には、スルフォン酸メチル、スルフォン酸エチル、スルフォン酸フェニルなどが挙げられる。
【0082】
スルフォンアミド基として具体的には、フェニルスルフォンアミド、N−メチルスルフォンアミド、N−メチル−p−トルエンスルフォンアミドなどが挙げられる。なお、R6は水素以外の置換基であることが好ましい。すなわちR6は、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基が好ましい。特にR6は、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、アミノ基、イミド基、イミノ基、スルフォンエステル基、スルフォンアミド基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基であることが好ましい。
【0083】
R6として好ましい炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、トリフェニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;および、これらの基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基などの置換基がさらに置換した基などが好ましく挙げられる。
【0084】
R6として好ましい炭化水素置換シリル基としては、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。特に好ましくは、トリメチルシリル、トリエチルフェニル、ジフェニルメチルシリル、イソフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。
【0085】
本発明では、R6としては特に、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の分岐状アルキル基、及びこれらの基の水素原子を炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基で置換した基(クミル基など)、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、あるいはフェニル、ナフチル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基、または炭化水素置換シリル基であることも好ましい。
【0086】
R1〜R19は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香族環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
また、mまたはnが2以上の場合には、R1〜R7、およびR8〜R19で示される基のうち2個以上の基が連結されていてもよい。ただし、R1およびR11同士は結合されることはない。さらに、mまたはnが2以上の場合には、R1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士、R7同士、R8同士、R9同士、R10同士、R11同士、R12同士、R13同士、R14同士、R15同士、R16同士、R17同士、R18同士、R19同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0087】
lは、Mの原子価を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なおlが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0088】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。炭化水素基としては前記R1〜R19で例示したものと同様のものが挙げられる。具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニル、などのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。
【0089】
これらのうち、炭素原子数が1〜20のものが好ましい。ヘテロ環式化合物残基としては、前記R1〜R19で例示したものと同様のものが挙げられる。
【0090】
酸素含有基としては、前記R1〜R19で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシ等のアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
イオウ含有基としては、前記R1〜R11で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0092】
窒素含有基として具体的には、前記R1〜R19で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、アミノ基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアミノアルキル基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
ホウ素含有基として具体的には、BR(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子などを示す)が挙げられる。リン含有基として具体的には、トリメチルフォスフィン、トリブチルフォスフィン、トリシクロヘキシルフォスフィンなどのトリアルキルフォスフィン基;トリフェニルフォスフィン、トリトリルフォスフィンなどのトリアリールフォスフィン基;メチルフォスファイト、エチルフォスファイト、フェニルフォスファイトなどのフォスファイト基(フォスフィド基);フォスフォン酸基;フォスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
ケイ素含有基として具体的には、前記R1〜R19で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、とりシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換チリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0095】
ゲルマニウム含有基として具体的には、前記R1〜R19で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
【0096】
スズ含有基として具体的には、前記R1〜R19で例示したものと同様のものがあげられ、より具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
【0097】
ハロゲン含有基として具体的には、PF、BFなどのフッ素含有基、ClO、SbClなどの塩素含有基、IOなどのヨウ素含有基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
アルミニウム含有基として具体的には、AlR(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子などを示す)が挙げられるが、これら仁限定されるものではない。
【0099】
なお、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して缶を形成してもよい。
【0100】
遷移金属化合物( II −a)
このような式 KMX で表される遷移金属化合物としては、下記一般式(II−a)で表される化合物が好ましい。
【0101】
【化39】
Figure 2004323806
【0102】
式(II−a)中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属化合物を示し、前記と同様のものが挙げられる。mおよびnは、1〜3の整数であり、好ましくはmおよびnは1である。Aは、酸素原子、イオウ原子、または結合基−R7を有する窒素原子を示し、好ましくは、酸素原子、または結合基−R7を有する窒素原子である。Dは、置換基R2を有する炭素原子、または窒素原子を示し、好ましくは、置換基R2を有する炭素原子である。
【0103】
Eは、イオウ原子、セレン原子または窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、好ましくは、Eは、イオウ原子、または窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子、または窒素原子を示し、より好ましくは、Eは、窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子を示す。
【0104】
R1〜R12は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシル基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。こられの基としては前記と同様なものが挙げられる。
【0105】
なお、mまたはnが2以上の場合には、R1〜R7、およびR8〜R12で示される基のうち2個以上の基が連結されていてもよい。ただし、R1およびR12同士は結合されることはない。lはMの価数を満たす数であり、具体的には、0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。
【0106】
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、具体的には前記と同様のものが挙げられる。
【0107】
なお、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。このような遷移金属化合物として、特に下記一般式(II−a−1)で示される化合物が好ましい。
【0108】
【化40】
Figure 2004323806
【0109】
式(II−a−1)中、R1〜R12、MおよびXとしては前記と同様のものが挙げられるが、特に以下のものが好ましい。
Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、好ましくは3〜5族及び9族の金属原子であり、好ましくは、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウムなどであり、より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルト、ロジウムなどであり、特に好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0110】
mおよびnは、1〜3の整数である。R1〜R12は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、チオエステル基、エステル基、アシル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルフォンエステル基、スルフォンアミド基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基などを示す。これらの中では特に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシル基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、スルフォンアミド基、シアノ基またはニトロ基が好ましい。
【0111】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、ヘキシルなどの炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパギルなど炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜20の環状飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、トリフェニルなどの炭素原子数が6〜20のアリール基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数が5〜20の環状不飽和炭化水素基;および、これらの基に炭素原子数が1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基、炭素原子数が6〜20のアリーロキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。これらの中では特に、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの炭素原子数が1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基;フェニル、ナフチルなどの炭素原子数が6〜20のアリール基;これらのアリール基に前記炭素原子数が1〜20のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基、炭素原子数が6〜20のアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
【0112】
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、及びこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0113】
炭化水素置換シリル基として具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では特に、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。
【0114】
炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。アルコキシ基として具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
【0115】
アリキルチオ基として具体的には、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシなどが挙げられる。
【0116】
アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオなどが挙げられる。アシル基として具体的には、フォルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などが挙げられる。
【0117】
エステル基として具体的には、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどが挙げられる。
【0118】
チオエステル基として具体的には、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどが挙げられる。アミド基として具体的には、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどが挙げられる。
【0119】
イミド基として具体的には、アセトイミド、ベンズイミドなどが挙げられる。アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノなどが挙げられる。
【0120】
イミノ基として具体的には、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどが挙げられる。スルフォンエステル基として具体的には、スルフォン酸メチル、スルフォン酸エチル、スルフォン酸フェニルなどが挙げられる。
【0121】
スルフォンアミド基として具体的には、フェニルスルフォンアミド、N−メチルスルフォンアミド、N−メチル−p−トルエンスルフォンアミドなどが挙げられる。なお、R6は水素以外の置換基であることが好ましい。すなわちR6は、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基。炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、アミノ基、イミド基、イミノ基、スルフォンエステル基、スルフォンアミド基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基であることが好ましい。
【0122】
R6として好ましい炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜20の環状飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、トリフェニルなどの炭素原子数が6〜20のアリール基;および、これらの基に炭素原子数が1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基などの置換基がさらに置換した基などが好ましく挙げられる。
【0123】
R6として好ましい炭化水素置換シリル基としては、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。
【0124】
本発明では、R6としては特に、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素原子数が3〜20の分岐状アルキル基、およびこれらの基の水素原子を炭素原子数が6〜20のアリール基で置換した基(クミル基など)、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素原子数が3〜20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、あるいは炭化水素置換シリル基であることも好ましい。
【0125】
R1〜R12は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香族環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
【0126】
また、mまたはnが2以上の場合には、R1〜R7、およびR8〜R12で示される基のうち2個以上の基が連結されていてもよい。ただし、R1およびR12同士は結合されることはない。さらに、mまたはnが2以上の場合には、R1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士、R7同士、R8同士、R9同士、R10同士、R11同士、R12同士は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0127】
lは、Mの原子価を満たす数であり、具体的には1〜3の整数である。Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基などを示し、lが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0128】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。炭素原子数が1〜20の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリール基などが挙げられる。より具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボニル、アダマンチルなどのシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。
【0129】
炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記炭素原子数が1〜20の炭化水素基にハロゲンが置換した基が挙げられる。酸素含有基としては、ヒドロキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などが挙げられる。
【0130】
イオウ含有基としては、前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基、ならびに、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基などが挙げられる。
【0131】
ケイ素含有基としては、メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル基;ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0132】
Xで示される基としては、これらのうち、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基またはスルフォネート基であることが好ましい。またlが2以上の場合は、Xで示される基は互いに同一でも異なっていてもよく、あるいは互いに連結して環を形成していてもよい。
【0133】
以下に、上記一般式(II−a−1)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。なお、下記具体例においてMは遷移金属元素であり、個々には、Sc(III)、Ti(III)、Ti(IV)、Zr(III)、Zr(IV)、Hf(IV)、V(IV)、Nb(V)、Ta(V)、Co(II)、Co(III)、Rh(II)、Rh(III)、Rh(IV)を示すが、これらに限定されるものではない。これらのなかで特に、Ti(IV)、Zr(IV)、Hf(IV)が好ましい。
【0134】
Xは、Cl、Brなどのハロゲン、もしくはメチル等のアルキル基を示すが、これらに限定されるものではない。また、Xが複数ある場合は、これらは同じであっても、異なっていても良い。
【0135】
nは金属Mの価数により決定される。例えば、2種のモノアニオン種が金属に結合している場合、2価金属ではl=0、3価金属ではl=1、4価金属ではl=2、5価金属ではl=3になる。例えば金属がTi(IV)の場合は、l=2であり、Hf(IV)の場合はl=2である。
【0136】
【化41】
Figure 2004323806
【0137】
【化42】
Figure 2004323806
【0138】
【化43】
Figure 2004323806
【0139】
【化44】
Figure 2004323806
【0140】
【化45】
Figure 2004323806
【0141】
【化46】
Figure 2004323806
【0142】
【化47】
Figure 2004323806
【0143】
【化48】
Figure 2004323806
【0144】
【化49】
Figure 2004323806
【0145】
【化50】
Figure 2004323806
【0146】
【化51】
Figure 2004323806
【0147】
【化52】
Figure 2004323806
【0148】
【化53】
Figure 2004323806
【0149】
【化54】
Figure 2004323806
【0150】
なお、上記例示中、Meはメチル基、Etはエチル基、iPrはiso−プロピル基、tert−Buはtert−ブチル基、Phはフェニル基を示す。さらにTiを中心金属とする場合についてより具体的に例示すると、以下のようなものが挙げられる。また、これらの化合物においてチタンをジルコニウム、ハフニウム、コバルトまたはロジウムに置き換えた化合物も挙げられる。
【0151】
【化55】
Figure 2004323806
【0152】
【化56】
Figure 2004323806
【0153】
【化57】
Figure 2004323806
【0154】
【化58】
Figure 2004323806
【0155】
【化59】
Figure 2004323806
【0156】
【化60】
Figure 2004323806
【0157】
【化61】
Figure 2004323806
【0158】
【化62】
Figure 2004323806
【0159】
【化63】
Figure 2004323806
【0160】
【化64】
Figure 2004323806
【0161】
【化65】
Figure 2004323806
【0162】
【化66】
Figure 2004323806
【0163】
【化67】
Figure 2004323806
【0164】
【化68】
Figure 2004323806
【0165】
遷移金属化合物 (II −b)
また、本発明では(A)遷移金属化合物として、下記一般式(II−b)で表される遷移金属化合物を用いることもできる。
【0166】
【化69】
Figure 2004323806
【0167】
式(II−b)中、Mは周期表第3〜11族の遷移金属原子を示し、好ましくは第3〜5族または第9族、特に好ましくは第4族または第5族の遷移金属原子であり、特にチタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルトまたはロジウムである。
【0168】
R1〜R12は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基を示す。これらの基のうち、特に、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基が好ましい。
【0169】
これらの基R1〜R12としては、前記一般式(II−a)および(II−a−1)で表される遷移金属化合物において例示したものと同様のものが挙げられる。また、R1〜R12は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して環を形成してもよい。但し、R1とR12が連結されることはない。
以下に、上記一般式(II−b)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0170】
【化70】
Figure 2004323806
【0171】
【化71】
Figure 2004323806
【0172】
本発明では、上記のような化合物において、コバルト金属をチタン、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、銅、ロジウムなどの金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0173】
(A)成分として下記の一般式(IX)の新規な遷移金属化合物を用いることが特に好ましい。
【0174】
(遷移金属化合物)
本発明に係る新規な遷移金属化合物は下記一般式(IX)で表される。
【化72】
Figure 2004323806
【0175】
式(IX)中、Mは周期律表第4または5族の遷移金属原子を示し、R1およびR12は、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、スルホンエステル基またはヒドロキシ基を示し、R2〜R11は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシ基を示し、R6は、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基またはシアノ基を示し、R1〜R12のうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、R1〜R12で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく(但し、R1とR12が結合されることはない)、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0176】
一般式(IX)の遷移金属化合物のうち、下記一般式(IX−a)で表されるものが好ましい。
【化73】
Figure 2004323806
【0177】
式(IX−a)中、Mは周期律表第4または5族の遷移金属原子を示し、具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブである。
R1〜R12は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭化水素基、アルコキシ基または炭化水素置換シリル基を示し、R6は、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはシアノ基を示し、R1〜R12のうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、またR1〜R12で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく(但し、R1とR12が結合されることはない)、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ハロゲン含有基またはケイ素含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。これらのうち、Xはハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基であることが好ましい。
【0178】
一般式(IX−a)におけるR1〜R12およびXの個々の例としては、前記一般式(IX)で挙げたものと同じ基を挙げることができる。新規な遷移金属化合物としては、以下のものが例示される。
【0179】
【化74】
Figure 2004323806
【0180】
【化75】
Figure 2004323806
【0181】
【化76】
Figure 2004323806
【0182】
【化77】
Figure 2004323806
【0183】
【化78】
Figure 2004323806
【0184】
【化79】
Figure 2004323806
【0185】
【化80】
Figure 2004323806
【0186】
一般式(IX)、好ましくは一般式(IX−a)表される本発明に係る新規な遷移金属化合物は、たとえば、オレフィン重合用触媒として好適に用いることができる。
【0187】
遷移金属化合物( III −a)
一般式 KMX で表される遷移金属化合物としては、下記一般式(III−a)で表される化合物が好ましい。
【0188】
【化81】
Figure 2004323806
【0189】
式(III−a)中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属化合物を示し、前記と同様のものが挙げられる。mおよびnは、1〜3の整数であり、好ましくはmおよびnは1である。Aは、酸素原子、イオウ原子、または結合基−R7を有する窒素原子を示し、好ましくは、酸素原子、または結合基−R7を有する窒素原子である。Dは、置換基R2を有する炭素原子、または窒素原子を示し、好ましくは、置換基R2を有する炭素原子である。
【0190】
Eは、イオウ原子、セレン原子または窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Yは、置換基R13を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Uは、置換基R14を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、好ましくは、Eは、イオウ原子、または窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Yは、置換基R13を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Uは、置換基R14を有する炭素原子、または窒素原子であり。より好ましくは、Eは、窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子を示し、Yは、置換基R13を有する炭素原子を示し、Uは、置換基R14を有する炭素原子である。
【0191】
R1〜R15は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシル基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。こられの基としては前記と同様なものが挙げられる。
【0192】
なお、mまたはnが2以上の場合には、R1〜R7、およびR8〜R15で示される基のうち2個以上の基が連結されていてもよい。ただし、R1およびR15同士は結合されることはない。lはMの価数を満たす数であり、具体的には、0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。
【0193】
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、具体的には前記と同様のものが挙げられる。
【0194】
なお、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。このような遷移金属化合物として、特に下記一般式(III−a−1)で示される化合物が好ましい。
【0195】
【化82】
Figure 2004323806
【0196】
式(III−a−1)中、R1〜R15、MおよびXとしては前記と同様のものが挙げられるが、特に以下のものが好ましい。
【0197】
Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、好ましくは3〜5族及び9族の金属原子であり、好ましくは、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウムなどであり、より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルト、ロジウムなどであり、特に好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0198】
mおよびnは、1〜3の整数である。R1〜R15は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、チオエステル基、エステル基、アシル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルフォンエステル基、スルフォンアミド基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基などを示す。これらの中では特に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシル基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、スルフォンアミド基、シアノ基またはニトロ基が好ましい。
【0199】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、ヘキシルなどの炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパギルなど炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜20の環状飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、トリフェニルなどの炭素原子数が6〜20のアリール基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数が5〜20の環状不飽和炭化水素基;および、これらの基に炭素原子数が1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基、炭素原子数が6〜20のアリーロキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。これらの中では特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの炭素原子数が1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基;フェニル、ナフチルなどの炭素原子数が6〜20のアリール基;これらのアリール基に前記炭素原子数が1〜20のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基、炭素原子数が6〜20のアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
【0200】
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、及びこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0201】
炭化水素置換シリル基として具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では特に、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。
【0202】
炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。アルコキシ基として具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる
【0203】
アリキルチオ基として具体的には、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシなどが挙げられる。
アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオなどが挙げられる。アシル基として具体的には、フォルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などが挙げられる。
【0204】
エステル基として具体的には、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどが挙げられる。
チオエステル基として具体的には、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどが挙げられる。アミド基として具体的には、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどが挙げられる。
【0205】
イミド基として具体的には、アセトイミド、ベンズイミドなどが挙げられる。アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノなどが挙げられる。
イミノ基として具体的には、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどが挙げられる。スルフォンエステル基として具体的には、スルフォン酸メチル、スルフォン酸エチル、スルフォン酸フェニルなどが挙げられる。
【0206】
スルフォンアミド基として具体的には、フェニルスルフォンアミド、N−メチルスルフォンアミド、N−メチル−p−トルエンスルフォンアミドなどが挙げられる。なお、R6は水素以外の置換基であることが好ましい。すなわちR6は、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基。炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、アミノ基、イミド基、イミノ基、スルフォンエステル基、スルフォンアミド基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基であることが好ましい。
【0207】
R6として好ましい炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜20の環状飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、トリフェニルなどの炭素原子数が6〜20のアリール基;および、これらの基に炭素原子数が1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基などの置換基がさらに置換した基などが好ましく挙げられる。
【0208】
R6として好ましい炭化水素置換シリル基としては、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。
【0209】
本発明では、R6としては特に、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素原子数が3〜20の分岐状アルキル基、およびこれらの基の水素原子を炭素原子数が6〜20のアリール基で置換した基(クミル基など)、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素原子数が3〜20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、あるいは炭化水素置換シリル基であることも好ましい。
【0210】
R1〜R15は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香族環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
また、mまたはnが2以上の場合には、R1〜R6、およびR8〜R15で示される基のうち2個以上の基が連結されていてもよい。ただし、R1およびR15同士は結合されることはない。さらに、mまたはnが2以上の場合には、R1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士、R7同士、R8同士、R9同士、R10同士、R11同士、R13同士、R14同士。R15同士は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0211】
lは、Mの原子価を満たす数であり、具体的には1〜3の整数である。Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基などを示し、lが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。炭素原子数が1〜20の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリール基などが挙げられる。より具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボニル、アダマンチルなどのシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。
【0212】
炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記炭素原子数が1〜20の炭化水素基にハロゲンが置換した基が挙げられる。酸素含有基としては、ヒドロキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などが挙げられる。
【0213】
イオウ含有基としては、前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基、ならびに、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基などが挙げられる。
【0214】
ケイ素含有基としては、メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル基;ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0215】
Xで示される基としては、これらのうち、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基またはスルフォネート基であることが好ましい。またlが2以上の場合は、Xで示される基は互いに同一でも異なっていてもよく、あるいは互いに連結して環を形成していてもよい。
【0216】
以下に、上記一般式(III−a−1)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。なお、下記具体例においてMは遷移金属元素であり、個々には、Sc(III)、Ti(III)、Ti(IV)、Zr(III)、Zr(IV)、Hf(IV)、V(IV)、Nb(V)、Ta(V)、Co(II)、Co(III)、Rh(II)、Rh(III)、Rh(IV)を示すが、これらに限定されるものではない。これらのなかで特に、Ti(IV)、Zr(IV)、Hf(IV)が好ましい。
【0217】
Xは、Cl、Brなどのハロゲン、もしくはメチル等のアルキル基を示すが、これらに限定されるものではない。また、Xが複数ある場合は、これらは同じであっても、異なっていても良い。
nは金属Mの価数により決定される。例えば、2種のモノアニオン種が金属に結合している場合、2価金属ではl=0、3価金属ではl=1、4価金属ではl=2、5価金属ではl=3になる。例えば金属がTi(IV)の場合は、l=2であり、Hf(IV)の場合はl=2である。
【0218】
【化83】
Figure 2004323806
【0219】
【化84】
Figure 2004323806
【0220】
【化85】
Figure 2004323806
【0221】
【化86】
Figure 2004323806
【0222】
【化87】
Figure 2004323806
【0223】
【化88】
Figure 2004323806
【0224】
【化89】
Figure 2004323806
【0225】
【化90】
Figure 2004323806
【0226】
なお、上記例示中、Meはメチル基、Etはエチル基、iPrはiso−プロピル基、tert−Buはtert−ブチル基、Phはフェニル基を示す。さらにTiを中心金属とする場合についてより具体的に例示すると、以下のようなものが挙げられる。また、これらの化合物においてチタンをジルコニウム、ハフニウム、コバルトまたはロジウムに置き換えた化合物も挙げられる。
【0227】
【化91】
Figure 2004323806
【0228】
【化92】
Figure 2004323806
【0229】
【化93】
Figure 2004323806
【0230】
【化94】
Figure 2004323806
【0231】
【化95】
Figure 2004323806
【0232】
遷移金属化合物 (III −b)
また、本発明では(A)遷移金属化合物として、下記一般式(III−b)で表される遷移金属化合物を用いることもできる。
【0233】
【化96】
Figure 2004323806
【0234】
式(III−b)中、Mは周期表第3〜11族の遷移金属原子を示し、好ましくは第3〜5族または第9族、特に好ましくは第4族または第5族の遷移金属原子であり、特にチタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルトまたはロジウムである。
【0235】
R1〜R15は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基を示す。これらの基のうち、特に、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基が好ましい。
【0236】
これらの基R1〜R15としては、前記一般式(III−a)および(III−a−1)で表される遷移金属化合物において例示したものと同様のものが挙げられる。また、R1〜R15は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して環を形成してもよい。但し、R1とR15が連結されることはない。
【0237】
以下に、上記一般式(III−b)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0238】
【化97】
Figure 2004323806
【0239】
【化98】
Figure 2004323806
【0240】
【化99】
Figure 2004323806
【0241】
本発明では、上記のような化合物において、コバルト金属をチタン、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、銅、ロジウムなどの金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0242】
(A)成分として下記一般式(X)の新規な遷移金属化合物を用いることが特に好ましい。
【0243】
【化100】
Figure 2004323806
【0244】
式(X)中、Mは周期律表第4または5族の遷移金属原子を示し、R1およびR15は、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、スルホンエステル基またはヒドロキシ基を示し、R2〜R14は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシ基を示し、R6は、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基またはシアノ基を示し、R1〜R15のうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、R1〜R15で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく(但し、R1とR15が結合されることはない)、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0245】
一般式(X)の遷移金属化合物のうち、下記一般式(X−a)で表されるものが好ましい。
【0246】
【化101】
Figure 2004323806
式(X−a)中、Mは周期律表第4または5族の遷移金属原子を示し、具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブである。
【0247】
R1〜R15は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭化水素基、アルコキシ基または炭化水素置換シリル基を示し、R6は、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはシアノ基を示し、R1〜R15のうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、またR1〜R15で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく(但し、R1とR12が結合されることはない)、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ハロゲン含有基またはケイ素含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。これらのうち、Xはハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基であることが好ましい。
【0248】
一般式(X−a)におけるR1〜R15およびXの個々の例としては、前記一般式(X)で挙げたものと同じ基を挙げることができる。新規な遷移金属化合物としては、以下のものが例示される。
【0249】
【化102】
Figure 2004323806
【0250】
【化103】
Figure 2004323806
【0251】
【化104】
Figure 2004323806
【0252】
【化105】
Figure 2004323806
【0253】
式 (X)、好ましくは一般式(X−a)表される本発明に係る新規な遷移金属化合物は、たとえば、オレフィン重合用触媒として好適に用いることができる。
【0254】
遷移金属化合物( IV −a)
一般式 KMX で表される遷移金属化合物としては、下記一般式(IV−a)で表される化合物が好ましい。
【0255】
【化106】
Figure 2004323806
【0256】
式(IV−a)中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属化合物を示し、前記と同様のものが挙げられる。mおよびnは、1〜3の整数であり、好ましくはmおよびnは1である。Aは、酸素原子、イオウ原子、または結合基R7を有する窒素原子を示し、好ましくは、酸素原子、または結合基R7を有する窒素原子である。Dは、置換基R2を有する炭素原子、または窒素原子を示し、好ましくは、置換基R2を有する炭素原子である。
【0257】
R1〜R19は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシル基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。こられの基としては前記と同様なものが挙げられる。
【0258】
なお、mまたはnが2以上の場合には、R1〜R7、およびR15〜R19で示される基のうち2個以上の基が連結されていてもよい。ただし、R1同士は結合されることはない。lはMの価数を満たす数であり、具体的には、0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。
【0259】
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、具体的には前記と同様のものが挙げられる。
なお、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0260】
前記一般式(IV−a)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基であることが好ましい。
このような遷移金属化合物として、特に下記一般式(IV−a−1)で示される化合物が好ましい。
【0261】
【化107】
Figure 2004323806
【0262】
式(IV−a−1)中、R1〜R19、MおよびXとしては前記と同様のものが挙げられるが、特に以下のものが好ましい。
Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、好ましくは3〜5族及び9族の金属原子であり、好ましくは、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウムなどであり、より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルト、ロジウムなどであり、特に好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0263】
mおよびnは、1〜3の整数である。R1〜R19は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、チオエステル基、エステル基、アシル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルフォンエステル基、スルフォンアミド基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基などを示す。これらの中では特に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシル基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、スルフォンアミド基、シアノ基またはニトロ基が好ましい。
【0264】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、ヘキシルなどの炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパギルなど炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜20の環状飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、トリフェニルなどの炭素原子数が6〜20のアリール基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数が5〜20の環状不飽和炭化水素基;および、これらの基に炭素原子数が1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基、炭素原子数が6〜20のアリーロキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。これらの中では特に、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの炭素原子数が1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基;フェニル、ナフチルなどの炭素原子数が6〜20のアリール基;これらのアリール基に前記炭素原子数が1〜20のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基、炭素原子数が6〜20のアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
【0265】
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、及びこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0266】
炭化水素置換シリル基として具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では特に、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。
【0267】
炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。アルコキシ基として具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
アリキルチオ基として具体的には、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシなどが挙げられる。
【0268】
アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオなどが挙げられる。アシル基として具体的には、フォルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などが挙げられる。
エステル基として具体的には、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどが挙げられる。
【0269】
チオエステル基として具体的には、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどが挙げられる。アミド基として具体的には、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどが挙げられる。
イミド基として具体的には、アセトイミド、ベンズイミドなどが挙げられる。アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノなどが挙げられる。
【0270】
イミノ基として具体的には、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどが挙げられる。スルフォンエステル基として具体的には、スルフォン酸メチル、スルフォン酸エチル、スルフォン酸フェニルなどが挙げられる。
スルフォンアミド基として具体的には、フェニルスルフォンアミド、N−メチルスルフォンアミド、N−メチル−p−トルエンスルフォンアミドなどが挙げられる。なお、R6は水素以外の置換基であることが好ましい。すなわちR6は、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基。炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、アミノ基、イミド基、イミノ基、スルフォンエステル基、スルフォンアミド基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基であることが好ましい。
【0271】
R6として好ましい炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜20の環状飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、トリフェニルなどの炭素原子数が6〜20のアリール基;および、これらの基に炭素原子数が1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基などの置換基がさらに置換した基などが好ましく挙げられる。
【0272】
R6として好ましい炭化水素置換シリル基としては、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。
本発明では、R6としては特に、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素原子数が3〜20の分岐状アルキル基、およびこれらの基の水素原子を炭素原子数が6〜20のアリール基で置換した基(クミル基など)、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素原子数が3〜20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、あるいは炭化水素置換シリル基であることも好ましい。
【0273】
R1〜R19は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香族環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
また、mまたはnが2以上の場合には、R1〜R6、およびR15〜R19で示される基のうち2個以上の基が連結されていてもよい。ただし、R1同士は結合されることはない。さらに、mまたはnが2以上の場合には、R1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士、R15同士、R16同士、R17同士、R18同士、R19同士は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0274】
lは、Mの原子価を満たす数であり、具体的には1〜3の整数である。Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基などを示し、lが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0275】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。炭素原子数が1〜20の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリール基などが挙げられる。より具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボニル、アダマンチルなどのシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。
【0276】
炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記炭素原子数が1〜20の炭化水素基にハロゲンが置換した基が挙げられる。酸素含有基としては、ヒドロキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などが挙げられる。
【0277】
イオウ含有基としては、前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基、ならびに、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基などが挙げられる。
【0278】
ケイ素含有基としては、メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル基;ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0279】
Xで示される基としては、これらのうち、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基またはスルフォネート基であることが好ましい。またlが2以上の場合は、Xで示される基は互いに同一でも異なっていてもよく、あるいは互いに連結して環を形成していてもよい。
以下に、上記一般式(IV−a−1)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。なお、下記具体例においてMは遷移金属元素であり、個々には、Sc(III)、Ti(III)、Ti(IV)、Zr(III)、Zr(IV)、Hf(IV)、V(IV)、Nb(V)、Ta(V)、Co(II)、Co(III)、Rh(II)、Rh(III)、Rh(IV)を示すが、これらに限定されるものではない。これらのなかで特に、Ti(IV)、Zr(IV)、Hf(IV)が好ましい。
【0280】
Xは、Cl、Brなどのハロゲン、もしくはメチル等のアルキル基を示すが、これらに限定されるものではない。また、Xが複数ある場合は、これらは同じであっても、異なっていても良い。
nは金属Mの価数により決定される。例えば、2種のモノアニオン種が金属に結合している場合、2価金属ではl=0、3価金属ではl=1、4価金属ではl=2、5価金属ではl=3になる。例えば金属がTi(IV)の場合は、l=2であり、Hf(IV)の場合はl=2である。
【0281】
【化108】
Figure 2004323806
【0282】
【化109】
Figure 2004323806
【0283】
【化110】
Figure 2004323806
【0284】
【化111】
Figure 2004323806
【0285】
なお、上記例示中、Meはメチル基、Etはエチル基、iPrはiso−プロピル基、tert−Buはtert−ブチル基、Phはフェニル基を示す。さらにZrを中心金属とする場合についてより具体的に例示すると、以下のようなものが挙げられる。また、これらの化合物においてチタンをジルコニウム、ハフニウム、コバルトまたはロジウムに置き換えた化合物も挙げられる。
【0286】
【化112】
Figure 2004323806
【0287】
【化113】
Figure 2004323806
【0288】
遷移金属化合物 (IV −b)
また、本発明では(A)遷移金属化合物として、下記一般式(IV−b)で表される遷移金属化合物を用いることもできる。
【0289】
【化114】
Figure 2004323806
【0290】
式(IV−b)中、Mは周期表第3〜11族の遷移金属原子を示し、好ましくは第3〜5族または第9族、特に好ましくは第4族または第5族の遷移金属原子であり、特にチタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルトまたはロジウムである。
【0291】
R1〜R6およびR15〜R19は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基を示す。
これらの基のうち、特に、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基が好ましい。
【0292】
これらの基R1〜R19としては、前記一般式(IV−a)および(IV−a−1)で表される遷移金属化合物において例示したものと同様のものが挙げられる。また、R1〜R19は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して環を形成してもよい。
【0293】
以下に、上記一般式(IV−b)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0294】
【化115】
Figure 2004323806
【0295】
本発明では、上記のような化合物において、コバルト金属をチタン、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、銅、ロジウムなどの金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0296】
本発明に係るオレフィン重合用触媒において、(A)成分として下記一般式(XII)の新規な遷移金属化合物を用いることが特に好ましい。
【0297】
【化116】
Figure 2004323806
【0298】
式(XII)中、Mは周期律表第4または5族の遷移金属原子を示し、R1は、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、スルホンエステル基またはヒドロキシ基を示し、R2〜R6およびR15〜R19は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシ基を示し、R6は、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基またはシアノ基を示し、R1〜R15のうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、R1〜R19で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0299】
一般式(XII)の遷移金属化合物のうち、下記一般式(XII−a)で表されるものが好ましい。
【0300】
【化117】
Figure 2004323806
【0301】
式(XII−a)中、Mは周期律表第4または5族の遷移金属原子を示し、具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブである。
R1〜R19は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭化水素基、アルコキシ基または炭化水素置換シリル基を示し、R6は、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはシアノ基を示し、R1〜R19のうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、またR1〜R19で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ハロゲン含有基またはケイ素含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。これらのうち、Xはハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基であることが好ましい。
【0302】
一般式(XII−a)におけるR1〜R19およびXの個々の例としては、前記一般式(I)で挙げたものと同じ基を挙げることができる。新規な遷移金属化合物としては、以下のものが例示される。
【0303】
【化118】
Figure 2004323806
【0304】
【化119】
Figure 2004323806
【0305】
【化120】
Figure 2004323806
【0306】
【化121】
Figure 2004323806
【0307】
式(XII)、好ましくは一般式(XII−a)で表される本発明に係る新規な遷移金属化合物は、たとえば、オレフィン重合用触媒として好適に用いることができる。
新規な遷移金属化合物をオレフィン重合用触媒として用いると、高い重合活性で、分子量分布が狭いオレフィン(共)重合体を合成できる。
【0308】
第2のオレフィン重合用触媒
本発明に係わる第2のオレフィン重合用触媒は、(A′)下記一般式(V)で表される遷移金属化合物と、(B)(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)遷移金属化合物(A′)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物とから形成されている。
【0309】
まず、本発明のオレフィン重合用触媒を形成する各触媒成分について説明する。
(A′)遷移金属化合物
本発明で用いられる(A′)遷移金属化合物は、下記一般式(V)で表される化合物である。
【0310】
【化122】
Figure 2004323806
【0311】
なお、ここでN・・・・・・Mは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していなくともよい。
式中、MおよびXは前記と同様のものが挙げられるが、特に以下のものが好ましい。
【0312】
Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子(3族にはランタノイドも含まれる)を示し、好ましくは3〜5族及び9族の金属原子であり、より好ましくは4族または5族の金属原子である。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウムなどであり、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルト、ロジウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0313】
mおよびnは1〜6、好ましくは1〜4の整数を示す。Aは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子または結合基R7を有する窒素原子を示し、好ましくは、酸素原子、イオウ原子または結合基R7を有する窒素原子を示し、より好ましくは、酸素原子、または結合基R7を有する窒素原子である。Dは、置換基R2を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、好ましくは、置換基R2を有する炭素原子、または窒素原子を示し、より好ましくは、置換基R2を有する炭素原子である。lは、Mの原子価を満たす整数である。
【0314】
L′およびL″は前記Lと同様なものが挙げられるが、具体的には式(VI)、(VII)または(VIII)のうちから選ばれる少なくとも一つで表される配位子を示し、L′とL″は互いに異なる。
【0315】
【化123】
Figure 2004323806
【0316】
式中、MXは前記式(V)中のMXを示し、Eは、イオウ原子または窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、好ましくは、Eは、イオウ原子、または窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子、または窒素原子を示し、より好ましくは、Eは、窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子を示す。
【0317】
【化124】
Figure 2004323806
【0318】
式中、MXは前記式(V)中のMXを示し、Eは、イオウ原子または窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Yは、置換基R13を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、Uは、置換基R14を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、好ましくは、Eは、イオウ原子、または窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Yは、置換基R13を有する炭素原子、または窒素原子を示し、Uは、置換基R14を有する炭素原子、または窒素原子を示し、より好ましくは、Eは、窒素原子を示し、Gは、置換基R8を有する炭素原子を示し、Jは、置換基R9を有する炭素原子を示し、Qは、置換基R10を有する炭素原子を示し、Tは、置換基R11を有する炭素原子を示し、Yは、置換基R13を有する炭素原子を示し、Uは、置換基R14を有する炭素原子を示す。
【0319】
【化125】
Figure 2004323806
【0320】
式中、MXは前記式(V)中のMXを示す。
前記式(V)〜(VIII)中、R1〜R19は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記式(I)〜(IV)中のR1〜R19と同様のものが挙げられるが、具体的には水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらの内2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
【0321】
なお、R6は水素以外の置換基であることが好ましい。すなわちR6は、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基が好ましい。特にR6は、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、アミノ基、イミド基、イミノ基、スルフォンエステル基、スルフォンアミド基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基であることが好ましい。
【0322】
本発明では、R6としては特に、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の分岐状アルキル基、及びこれらの基の水素原子を炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基で置換した基(クミル基など)、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、あるいはフェニル、ナフチル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基、または炭化水素置換シリル基であることも好ましい。
【0323】
R1〜R19は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香族環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
また、mまたはnが2以上の場合には、R1〜R7、およびR8〜R19で示される基のうち2個以上の基が連結されていてもよい。ただし、R1およびR11同士は結合されることはない。さらに、mまたはnが2以上の場合には、R1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士、R7同士、R8同士、R9同士、R10同士、R11同士、R12同士、R13同士、R14同士、R15同士、R16同士、R17同士、R18同士、R19同士は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0324】
lは、Mの原子価を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なおlが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
以下に、上記一般式(V)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0325】
【化126】
Figure 2004323806
【0326】
なお、上記例示中、Meはメチル気、Etはエチル気、iPrはiso−プロピル基、tert−Buはてrt−ブチル基、Phはフェニル基を示す。さらに中心金属をチタンからジルコニウム、ハフニウム、コバルトまたはレロジウムに置き換えた化合物も挙げられる。
以上のような遷移金属化合物(A)および(A′)は、1種単独または2種以上組み合わせて用いられる。また、上記以外の遷移金属化合物、例えば窒素、酸素、硫黄、硼素または燐などのヘテロ原子を含有する配位子からなる公知の遷移金属化合物と組み合わせて用いることもできる。
【0327】
さらに、遷移金属化合物(A)および(A′)には、下記のような遷移金属化合物を使用することもできる。
(a−1)下記式で表される遷移金属イミド化合物(I−c)
【0328】
【化127】
Figure 2004323806
【0329】
式中、Mは、周期表第8〜10族の遷移金属原子を示し、好ましくはニッケル、パラジウムまたは白金である。R21〜R24は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜50の炭化水素基、炭素数1〜50のハロゲン化炭化水素基、炭化水素置換シリル基または窒素、酸素、リン、イオウおよびケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む置換基で置換された炭化水素基を示す。
R21〜R24で表される基は、これらのうちの2個以上、好ましくは隣接する基が互いに連結して環を形成していてもよい。qは0〜4の整数を示す。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示し、qが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
(a−2)下記式で表される遷移金属アミド化合物(I−d)
【0330】
【化128】
Figure 2004323806
【0331】
式中、Mは、周期表第3〜6族の遷移金属原子を示し、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムであることが好ましい。R′およびR″は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜50の炭化水素基、炭素数1〜50のハロゲン化炭化水素基、炭化水素置換シリル基、または、窒素、酸素、リン、硫黄およびケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を有する置換基を示す。
mは、0〜2の整数である。nは、1〜5の整数である。Aは、周期表第13〜16族の原子を示し、具体的には、ホウ素、炭素、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、ゲルマニウム、セレン、スズなどが挙げられ、炭素またはケイ素であることが好ましい。nが2以上の場合には、複数のAは、互いに同一でも異なっていてもよい。
Eは、炭素、水素、酸素、ハロゲン、窒素、硫黄、リン、ホウ素およびケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を有する置換基である。mが2の場合、2個のEは、互いに同一でも異なっていてもよく、あるいは互いに連結して環を形成していてもよい。
【0332】
pは、0〜4の整数である。Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示す。なおpが2以上の場合には、Xで示される複数の基は、互いに同一でも異なっていてもよい。これらのうち、Xはハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基またはスルホネート基であることが好ましい。
(a−3)下記式で表される遷移金属ジフェノキシ化合物(I−e)
【0333】
【化129】
Figure 2004323806
【0334】
式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、lおよびmはそれぞれ0または1の整数であり、AおよびA′は炭素原子数1〜50の炭化水素基、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素、または、酸素、硫黄またはケイ素を含有する置換基を持つ炭化水素基、または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基であり、AとA′は同一でも異なっていてもよい。
【0335】
Bは、炭素原子数0〜50の炭化水素基、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基、R1R2Zで表される基、酸素または硫黄であり、ここで、R1およびR2は炭素原子数1〜20の炭化水素基または少なくとも1個のヘテロ原子を含む炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、Zは炭素、窒素、硫黄、リンまたはケイ素を示す。
【0336】
nは、Mの価数を満たす数である。Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、あるいは互いに結合して環を形成してもよい。
(a−4)下記式で表される少なくとも1個のヘテロ原子を含むシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物(I−f)
【0337】
【化130】
Figure 2004323806
【0338】
式中、Mは周期律表3〜11族の遷移金属原子を示す。Xは、周期律表第13、14または15族の原子を示し、Xのうちの少なくとも1つは炭素以外の元素である。
aは、0または1を示す。Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭化水素基置換シリル基、または窒素、酸素、リン、イオウおよびケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む置換基で置換された炭化水素基を示し、2個以上のRが互いに連結して環を形成していてもよい。
【0339】
bは、1〜4の整数であり、bが2以上の場合、各[((R)a)5−X5]基は同一でも異なっていてもよく、さらにR同士が架橋していてもよい。cは、Mの価数を満たす数である。
Yは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示す。
【0340】
cが2以上の場合は、Yで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またYで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
(a−5)式RB(Pz)3MXn で表される遷移金属化合物式中、Mは、周期律表3〜11族遷移金属化合物を示し、Rは水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示し、Pzは、ピラゾイル基または置換ピラゾイル基を示す。
【0341】
nは、Mの価数を満たす数である。Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示す。nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、あるいは互いに結合して環を形成してもよい。
(a−6)下記式で示される遷移金属化合物(I−g)
【0342】
【化131】
Figure 2004323806
【0343】
式中、Y1 およびY3 は、互いに同一であっても異なっていてもよく、周期律表第15族の元素であり、Y2は周期律表第16族の元素である。R21〜R28は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基またはケイ素含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
(a−7)下記式(I−h)で表される化合物とVIII族の遷移金属原子との化合物
【0344】
【化132】
Figure 2004323806
【0345】
式中、R31〜R34は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
(a−8)下記式(I−i)で示される遷移金属化合物
【0346】
【化133】
Figure 2004323806
【0347】
式中、Mは、周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、mは、0〜3の整数であり、nは、0または1の整数であり、pは、1〜3の整数であり、qは、Mの価数を満たす数である。
【0348】
R41〜R48は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
【0349】
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示し、qが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またはXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
Yは、ボラータベンゼン環を架橋する基であり、炭素、ケイ素またはゲルマニウムを示す。Aは、周期律表第14、15または16族の元素を示す。
【0350】
(B−1) 有機金属化合物
本発明で用いられる(B−1)有機金属化合物として、具体的には下記のような周期律表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が用いられる。
(B−1a)
一般式 RamAl(ORb)n Hp Xq (式中、Ra およびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
【0351】
(B−1b)
一般式 M2 AlRa4 (式中、MはLi、NaまたはKを示し、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
【0352】
(B−1c)
一般式 Ra Rb M3 (式中、Ra およびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである。)で表される周期律表第2族または第12族金属のジアルキル化合物。
前記(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物などを例示できる。一般式 Ram Al(ORb)3−m (式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、一般式 Ram AlX3−m (式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、一般式Ram AlH3−m (式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、一般式 Ram Al(ORb)n Xq (式中、Ra およびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
【0353】
(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的にはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;(i−C Al(C10(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;Ra2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0354】
また(B−1a)に類似する化合物も使用することができ、たとえば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(CAlN(C)Al(Cなどを挙げることができる。
前記(B−1b)に属する化合物としては、LiAl(C、LiAl(C15 などを挙げることができる。またその他にも、(B−1)有機金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムなどを使用することもできる。
【0355】
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、たとえばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組み合わせ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組み合わせなどを使用することもできる。
(B−1) 有機金属化合物のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましい。上記のような(B−1)有機金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0356】
(B−2)活性化化合物
本発明で用いられる活性化化合物は、遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物であり、(B−2a)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−2b)その他の活性化化合物を挙げることができる。
【0357】
(B−2a 有機アルミニウムオキシ化合物
本発明で用いられる(B−2a)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0358】
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0359】
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0360】
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
【0361】
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(1)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
【0362】
【化134】
Figure 2004323806
【0363】
式中、R17は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。R18は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。
前記一般式(1)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(2)で表されるアルキルボロン酸と
R17−B−(OH) …(2)
(式中、R17は前記と同じ基を示す。)有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
【0364】
前記一般式(2)で表されるアルキルボロン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0365】
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0366】
上記のような(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0367】
B−2b 遷移金属化合物と反応してイオン対を形成するその他の活性化化合物
本発明で用いられる遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する有機アルミニウムオキシ化合物以外の化合物(B−2b)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
【0368】
具体的には、ルイス酸としては、BR(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
イオン性化合物としては、たとえば下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0369】
【化135】
Figure 2004323806
【0370】
式中、R19としては、H+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
【0371】
R20〜R23は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
【0372】
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0373】
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
R19としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
【0374】
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
【0375】
N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、たとえばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩として具体的にはは、たとえばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0376】
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(4)または(5)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
【0377】
【化136】
Figure 2004323806
(式中、Etはエチル基を示す。)
【0378】
【化137】
Figure 2004323806
【0379】
ボラン化合物として具体的には、たとえばデカボラン(14);ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
カルボラン化合物として具体的には、たとえば4−カルバノナボラン(14)、1,3−ジカルバノナボラン(13)、6,9−ジカルバデカボラン(14)、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン(13)、2,7−ジカルバウンデカボラン(13)、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(14)、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート(13)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0380】
ヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素もしくは錫からなる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子からなっている。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジンン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、これらの酸の塩、例えば周期律表第Ia族またはIIa族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、およびトリフェニルエチル塩等の有機塩、およびイソポリ化合物を使用できるが、この限りではない。
【0381】
ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物としては、上記の化合物の中の1種に限らず、2種以上用いることができる。上記のような(B−3)イオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
本発明に係る遷移金属化合物を触媒とする場合、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)とを併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示す。また助触媒成分としてトリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのイオン化イオン性化合物(B−3)を用いると良好な活性で非常に分子量の高いオレフィン重合体が得られる。
【0382】
また、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記説明した、遷移金属化合物(A)、(B−1) 有機金属化合物、(B−2)活性化化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とともに、必要に応じて後述するような担体(C)を用いることもできる。
【0383】
(C)担体
本発明で用いられる(C)担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機塩化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。多孔質酸化物として、具体的にはSiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThOなど、またはこれらを含む複合物または混合物を使用、例えば天然または合成ゼオライト、SiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−V、SiO−Cr、SiO−TiO−MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiOおよび/またはAlを主成分とするものが好ましい。
【0384】
なお、上記無機酸化物は、少量のNaCO、KCO、CaCO、MgCO、NaSO、Al(SO、BaSO、KNO、Mg(NO、Al(NO 、NaO、KO、LiOなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m/g、好ましくは100〜700m/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
【0385】
無機塩化物としては、MgCl、MgBr、MnCl、MnBr等が用いられる。無機塩化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機塩化物を溶解させた後、析出剤によってを微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
本発明で用いられる粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
【0386】
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl型、CdI型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO・HO、α−Zr(HPO、α−Zr(KPO・3HO、α−Ti(HPO、α−Ti(HAsO・HO、α−Sn(HPO・HO、γ―Zr(HPO、γ−Ti(HPO、γ−Ti(NHPO・HOなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
【0387】
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20オングストローム以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜3×10Åの範囲について測定される。
【0388】
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。本発明で用いられる粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
【0389】
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)、Zr(OR)、PO(OR)、B(OR)などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al13(OH)247+、[Zr(OH)142+、[FeO(OCOCHなどの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)、Al(OR)、Ge(OR)などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)などを加水分解して得た重合物、SiOなどのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
【0390】
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
【0391】
有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびびそれらの変成体を例示することができる。
さらに、本発明に係る第一のオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、(B−1) 有機金属化合物、(B−2)活性化化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)、必要に応じて担体(C)と共に、必要に応じて後述するような特定の有機化合物(D)を含むこともできる。
【0392】
(D)有機化合物成分
本発明において、(D)有機化合物成分は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
【0393】
アルコール類およびフェノール性化合物としては、通常、R31−OHで表されるものが使用され、ここで、R31は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す。
アルコール類としては、R31がハロゲン化炭化水素のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α′−位が炭素数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
【0394】
カルボン酸としては、通常、R32−COOHで表されるものが使用される。R32は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基
が好ましい。
燐化合物としては、P−O−H結合を有する燐酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。スルホン酸塩としては、下記一般式(6)で表されるものが使用される。
【0395】
【化138】
Figure 2004323806
【0396】
式中、Mは周期律表1−14族の元素である。R33は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基である。mは1〜7の整数であり、nは1≦n≦7である。
【0397】
(オレフィン重合触媒の調製)
図1に、本発明に係る第一のオレフィン重合触媒の調製工程を示す。重合の際、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)成分(A)と、(B−1) 有機金属化合物、(B−2) 有機アルミニウムオキシ化合物および(B−3) イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の成分(B)(以下単に「成分(B)」という。)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(2)成分(A)と成分(B)とを予め接触させた触媒を重合器に添加する方法。
(3)成分(A)と成分(B)を予め接触させた触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(4)成分(A)を担体(C)に担持した触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)成分(A)と成分(B)とを担体(C)に担持した触媒を重合器に添加する方法。
【0398】
(6)成分(A)と成分(B)とを担体(C)に担持した触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(7)成分(B)を担体(C)に担持した触媒成分、および成分(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(8)成分(B)を担体(C)に担持した触媒成分、成分(A)、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(9)成分(A)を担体(C)に担持した成分、および成分(B)を担体(C)に担持した成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(10)成分(A)を担体(C)に担持した成分、成分(B)を担体(C)に担持した成分、および成分(B)を任意の順序重合器に添加する方法。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
【0399】
(11)成分(A)、成分(B)、および有機化合物成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(12)成分(B)と成分(D)をあらかじめ接触させた成分、および成分(A) を任意の順序で重合器に添加する方法。
(13)成分(B)と成分(D)を担体(C)に担持した成分、および成分(A) を任意の順序で重合器に添加する方法。
(14)成分(A)と成分(B)を予め接触させた触媒成分、および成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(15)成分(A)と成分(B)を予め接触させた触媒成分、および成分(B)、成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
【0400】
(16)成分(A)と成分(B)を予め接触させた触媒成分、および成分(B)と成分(D)をあらかじめ接触させた成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(17)成分(A)を担体(C)に担持した成分、成分(B)、および成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(18)成分(A)を担体(C)に担持した成分、および成分(B)と成分(D)をあらかじめ接触させた成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(19)成分(A)と成分(B)と成分(D)を予め任意の順序で接触させた触媒成分を重合器に添加する方法。
(20)成分(A)と成分(B)と成分(D)を予め接触させた触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
【0401】
(21)成分(A)と成分(B)と成分(D)を担体(C)に担持した触媒を重合器に添加方法。
(22)成分(A)と成分(B)と成分(D)を担体(C)に担持した触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
上記の担体(C)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分はオレフィンが予備重合されていてもよい。本発明に係る第1のオレフィンの重合方法では、上記のようなオレフィン重合触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合することによりオレフィン重合体を得る。
【0402】
(重合反応)
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0403】
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、成分(A)は、反応容積1リットル当り、通常10−12〜10−2モル、好ましくは10−10〜10−3モルとなるような量で用いられる。本発明では、成分(A)を、比較的薄い濃度で用いた場合であっても、高い重合活性でオレフィンを重合することができる。ここで、「反応容積」とは、液相重合においては溶媒の容積であり、気相重合においては反応器の容積である。
【0404】
成分(B−1) は、成分(B−1) と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−1)/M〕が、通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。成分(B−2a) は、成分(B−2a) 中のアルミニウム原子と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−2a) /M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。成分(B−2b) は、成分(B−2b)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−2b) /M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
【0405】
成分(D)は成分(B)に対して、成分(B−1)の場合は、モル比〔(D)/(B−1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で、成分(B−2a)の場合は、成分(D)と成分(B−2a)中のアルミニウム原子とのモル比〔(D)/(B−2a)〕が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で、成分(B−2b)の場合は、モル比〔(D)/(B−2b)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
【0406】
また、このようなオレフィン重合触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm、好ましくは常圧〜50kg/cmの条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する成分(B)の違いにより調節することもできる。
【0407】
本発明の遷移金属化合物を触媒に用いて重合することができる脂肪族オレフィン化合物としては、炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィン、たとえばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン;炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状オレフィン、たとえばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン;極性モノマー、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などのα,β−不飽和カルボン酸、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸 tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステルなどの不飽和グリシジルなどを挙げることができる。また、ビニルシクロヘキサン、ジエンまたはポリエンなどを用いることもできる。ジエンまたはポリエンとしては、炭素原子数が4〜30、好ましくは4〜20であり二個以上の二重結合を有する環状又は鎖状の化合物が用いられる。具体的には、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン;7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン;さらに芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノもしくはポリアルキルスチレン;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体;および3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0408】
本発明の遷移金属化合物を触媒に用いて重合可能な芳香族オレフィン化合物としては以下のスチレン類やビニルナフタレン類ならびにそれらの側鎖および(または)核置換体が挙げられる。
ここでスチレン類としては、特に制限はなく、スチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−プロピルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−メチルスチレン、o−エチルスチレン、o−プロピルスチレン、o−イソプロピルスチレン、m−メチルスチレン、m−エチルスチレン、m−イソプロピルスチレン、m−ブチルスチレン、メシチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン等のアルキルスチレン類、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン類、p−クロロスチレン、m−クロロスチレン、o−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、o−ブロモスチレン、p−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、o−フルオロスチレン、o−メチル−p−フルオロスチレン等のハロゲン化スチレン、更にはトリメチルシリルスチレン、ビニル安息香酸エステル、3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
上記のスチレン類の中でもスチレン、アルキルスチレン類、ジビニルベンゼンが好ましい。中でも、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼンが好ましい。
【0409】
また共役ジエンとしては、たとえば1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエンなどの炭素原子数が4〜30、好ましくは4〜20の脂肪族共役ジエンが挙げられる。これらの共役ジエンは、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0410】
本発明では、α−オレフィンと共役ジエンとを共重合させるに際して、さらに非共役ジエンまたはポリエンを用いることができ、非共役ジエンまたはポリエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7− ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−
デカトリエン等を挙げることができる。
【0411】
(オレフィン重合体)
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法においては、前述のようにして得られたオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィン類の単独重合、又はオレフィンと他のオレフィン類及び/又は他の単量体との共重合(つまり、異種のオレフィン類相互との共重合、オレフィン類と他の単量体との共重合、あるいは異種のオレフィン類相互と他の単量体との共重合)を好適に行うことができる。
【0412】
ここで用いられるオレフィンとしては、α−オレフィンが好ましく、上記と同様の炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィンが挙げられる。なかでもエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンが好ましく、エチレン、プロピレンが特に好ましい。これらのα−オレフィンは、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0413】
また共役ジエンとしては、たとえば1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエンなどの炭素原子数が4〜30、好ましくは4〜20の脂肪族共役ジエンが挙げられる。これらの共役ジエンは、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0414】
本発明では、α−オレフィンと共役ジエンとを共重合させるほかに、さらに非共役ジエンまたはポリエンを用いることができ、非共役ジエンまたはポリエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7− ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8− デカトリエン等を挙げることができる。
【0415】
また、オレフィン重合体は、3.5以下の分子量分布(Mw/Mn)の値を示し、均一な組成分布を有し、分子量は重量平均分子量(Mw)で1000以上、好ましくは5000以上である。
本発明において、α−オレフィンと共役ジエン、非共役ジエンまたはポリエンは、主鎖または側鎖に2重結合を有することにより、各種変性が可能である。例えば過酸化物変性により、2重結合をエポキシ化し、共重合体中に反応性に富むエポキシ基を導入することができる。これにより、熱硬化型樹脂としての利用、または反応性樹脂としての利用も可能となる。さらには、ディールスアルダー反応、マイケル付加反応等にも2重結合は利用可能である。その他、主鎖に2重結合を有する場合には、2重結合を選択的に水素添加し、飽和することによって、耐熱性、耐オゾン性もさらに向上する。
【0416】
本発明において、オレフィン共重合体の一部または全部を不飽和カルボン酸、その誘導体、または芳香族ビニル化合物で変性してもよく、その変性量は0.01〜30重量%の範囲であることが好ましい。
【0417】
変性に用いられるモノマー(以下、「グラフトモノマー」という。)としては、不飽和カルボン酸、その誘導体、または芳香族ビニル化合物が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。また不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩などが挙げられ、具体的には、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N,N−ジエチルアミド、マレイン酸−N−モノブチルアミド、マレイン酸−N,N−ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸−N−モノエチルアミド、フマル酸−N,N−ジエチルアミド、フマル酸−N−モノブチルアミド、フマル酸−N,N−ジブチルアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウムなどが挙げられる。これらのグラフトモノマーの中では無水マレイン酸を使用することが好ましい。
【0418】
芳香族ビニル化合物としては具体的に、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノもしくはポリアルキルスチレン;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体;3−フェニルプロピレン、4−フェニルブテン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。これらのなかではスチレンまたは4−メトキシスチレンが好ましい。
【0419】
グラフトモノマーをα−オレフィン共重合体にグラフト共重合して変性共重合体を製造するには、公知の種々の方法を採用することができる。例えば、α−オレフィン共重合体およびグラフトモノマーを溶媒の存在下または不存在下で、ラジカル開始剤を添加してまたは添加せずに高温で加熱することによってグラフト共重合を行なう方法がある。反応に際し、グラフトモノマーは、2種以上併用してもよい。
【0420】
グラフト率が0.01〜30重量%の一部または全部が変性されたグラフト変性α−オレフィン系共重合体を製造するには、工業的製造上からは、グラフト率のより高いグラフト変性α−オレフィン共重合体を製造しておき、次に未変性α−オレフィン共重合体にこのグラフト変性α−オレフィン共重合体を混合してグラフト率を調整する方法が、組成物中のグラフトモノマーの濃度を適当に調整できるため好ましい方法であるが、最初からα−オレフィン共重合体を所定量のグラフトモノマーでグラフト変性しても差し支えない。
【0421】
α−オレフィン共重合体へのグラフトモノマーによる変性量は、上記のような樹脂組成物全体におけるグラフト率が0.01〜30重量%、特に0.05〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
本発明に係るα−オレフィン共重合体(上記の変性物を含む)は、(i)ポリオレフィン樹脂、および必要に応じ(ii)充填剤とブレンドして樹脂組成物とし、種々の用途に使用できる。
【0422】
(i) ポリオレフィン樹脂
本発明に係るα−オレフィン・共役ジエン系共重合体にブレンドできる(i)ポリオレフィン樹脂としては、結晶性ポリオレフィンであっても、非晶性ポリオレフィンであってもよく、また複数種のポリオレフィン樹脂の混合物であってもよい。
結晶性ポリオレフィンとしては、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンまたは環状オレフィンの単独重合体または共重合体が挙げられる。また、非晶性ポリオレフィンとしては、1種類以上の炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと1種類以上の環状オレフィンとの共重合体が挙げられる。
【0423】
この炭素原子数が2〜20のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、4,4ージメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。
【0424】
環状オレフィンとしては、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどが挙げられる。結晶性ポリオレフィン樹脂の具体的な例としては、下記の(1)〜(11)に示すような(共)重合体が挙げられ、特に下記の(3)および(5)が好ましい。(1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法のいずれでも良い)(2)エチレンと、20モル%以下の他のα−オレフィンまたはビニルモノマー(例:酢酸ビニル、エチルアクリレートなど)または環状オレフィンとの共重合体(3)プロピレン単独重合体(4)プロピレンと20モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体(5)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体(6)1−ブテン単独重合体(7)1−ブテンと20モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体(8)4−メチル−1−ペンテン単独重合体(9)4−メチル−1−ペンテンと20モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体(10)シクロペンテン単独重合体(11)シクロペンテンと20モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体など。
【0425】
上記(1)〜(11)における「他のα−オレフィン」としては、上記例示のα−オレフィンのうちでは好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが用いられる。また、環状オレフィンとしては、好ましくは、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、テトラシクロドデセンが用いられる。
【0426】
このような結晶性ポリオレフィン樹脂は、メルトフローレート(ASTM D1238−65T に従い230℃、2.16kg荷重の条件下に測定)が0.01〜100g/10分、好ましくは0.3〜70g/10分の範囲にあることが望ましい。また、X線回折法により求めた結晶化度は通常5〜100%、好ましくは20〜80%の範囲にあることが望ましい。
【0427】
このような結晶性ポリオレフィン樹脂は、従来より公知の方法により製造することができる。非晶性ポリオレフィン樹脂の具体的な例としては、以下のような(共)重合体を挙げることができる。(1)ノルボルネンの単独重合体(2)エチレンとノルボルネンの共重合体、またはエチレンとノルボルネンと他のα−オレフィンとの共重合体(3)エチレンとテトラシクロドデセンの共重合体、またはエチレンとテトラシクロドデセンと他のα−オレフィンとの共重合体など。
【0428】
(ii) 充填剤
本発明に係るα−オレフィン共重合体にブレンドできる充填剤としては、特に制限なく一般に用いられるものを必要に応じて用いることができる。
無機充填剤として、具体的には、微粉末タルク、カオリナイト、焼成クレー、パイロフィライト、セリサイト、ウォラスナイトなどの珪酸塩、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、水産化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物、酸化亜鉛、亜鉛華、酸化マグネシウムなどの酸化物、含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸などの合成珪酸または珪酸塩などの粉末状充填剤;マイカなどのフレーク状充填剤;塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、セピオライト、PMF(Processed MineralFiber)、ゾノトライト、チタン酸カリ、エレスタダイトなどの繊維状充填剤;ガラスバルン、フライアッシュバルンなどのバルン状充填剤;などを挙げることができる。
【0429】
これらの充填剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。本発明に係るα−オレフィン共重合体に、前記(i)ポリオレフィン樹脂および(ii)充填剤をブレンドする場合、得られる組成物の合計量を100重量部とするとき、α−オレフィン共重合体は10〜90重量部、好ましくは15〜80重量部、さらに好ましくは20〜75重量部の量で含有されていることが望ましい。
α−オレフィン共重合体を上記のような範囲の量で用いると、耐衝撃性、耐候性、熱安定性に優れるとともに、剛性、強度、耐熱性に優れた成形体を提供し得る、成形性に優れたα−オレフィン共重合体組成物が得られる。
【0430】
(i)ポリオレフィン樹脂は、得られる組成物の合計量を100重量部とするとき、1〜99重量部、好ましくは10〜85重量部、さらに好ましくは20〜80重量部の量で含有されていることが望ましい。
(i)ポリオレフィン樹脂を上記のような範囲の量で用いると、耐衝撃性、耐寒性に優れるとともに、剛性、強度、耐熱性、成形性に優れたα−オレフィン共重合体組成物が得られる。
【0431】
(ii)充填剤は、得られる組成物の合計量を100重量部とするとき、0〜40重量部、好ましくは0〜30重量部の範囲の量で含有されていることが望ましい。このような量で(ii)充填剤を用いると、剛性、表面外観、耐熱性等に優れた組成物が得られる。
さらに、本発明に係るα−オレフィン共重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で、核剤、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、架橋助剤、架橋促進剤、過酸化物などの流れ性改良剤、ウェルド強度改良剤、加工助剤、耐候安定剤、ブルーミング防止剤などの添加剤を添加してもよい。これら任意の添加剤は、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0432】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。ここで合成実施例で得られた化合物の構造は、270MHz H−NMR (日本電子 GSH−270)を用いて決定した。本実施例において、極限粘度[η]は、135℃デカリン中で測定した。分子量分布(Mw/Mn)は、o−ジクロルベンゼンを溶媒として、140℃におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定して求めた。
以下に具体的な配位子合成例を示す。
【0433】
(配位子合成例1) 配位子(L1)の合成
充分に窒素置換した100mlの反応器にエタノール50ml、無水硫酸ナトリウム(5g)、アニリン2.95g(31.68mmol)および3−t−ブチルサリチルアルデヒド5.0g(28.05mmol)を装入し、室温で24時間撹拌を続けた。反応液を濾過し、減圧濃縮して溶媒を除去し、シリカゲルカラムで分別してL1で示される橙色オイルの化合物を6.71g(26.52mmol、収率95%)を得た。
【0434】
【化139】
Figure 2004323806
1H−NMR(CDCl3):1.47(s、9H) 6.78−7.44(m、8H) 8.62(s、1H) 13.90(s、1H)
【0435】
(配位子合成例2) 配位子(L2)の合成
充分に窒素置換した200mlの反応器にトルエン100ml、アニリン2.95g(31.61mmol)、p−TsOH(少量)およびピロ−ル−2−カルボキシアルデヒド20.00g(21.03mmol)を装入し、モレキュラーシーブス3Aを5gを添加後、室温下24時間撹拌を続けた。この反応液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムにより精製して、L2で示される黒褐色の固体化合物を2.17g(12.76mmol、収率61%)得た。
【0436】
【化140】
Figure 2004323806
H−NMR(CDCl):6.36(s、1H) 6.78(s、1H) 7.08(s、1H) 7.22−7.44(m、5H) 8.36(s、1H) 9.5(s(Broad)、1H)
【0437】
(配位子合成例3) 配位子(L3)の合成
充分に窒素置換した300mlの反応器にトルエン100ml、p−TsOH(少量)、ペンタフルオロアニリン10.34g(56.62mmol)および3−t−ブチルサリチルアルデヒド5.00g(28.05mmol)を装入し、還流下で7時間撹拌を続けた。この反応液に無水硫酸ナトリウムを加え乾燥したのち、減圧濃縮し、シリカゲルカラムにより精製することで、L3で示される黄橙色の固体化合物を11.91g(34.72mmol、収率95%)得た。
【0438】
【化141】
Figure 2004323806
H−NMR(CDCl):1.35(s、9H) 7.03(t、1H) 7.29(d−d、1H) 7.64(d−d、1H) 8.82(s、1H) 12.88(s、1H)
【0439】
(配位子合成例4) 配位子(L4)の合成
充分に窒素置換した300mlの反応器にトルエン150ml、ペンタフルオロアニリン7.71g(42.11mmol)、p−TsOH(少量)およびピロ−ル−2−カルボキシアルデヒド2.00g(21.03mmol)を装入し、モレキュラーシーブス3Aを5gを添加後、室温下12時間撹拌し、さらに還流下で8時間撹拌を続けた。この反応液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムにより精製して、L4で示される黒褐色の固体化合物を3.17g(12.19mmol、収率58%)得た。
【0440】
【化142】
Figure 2004323806
H−NMR(CDCl):6.36(s、1H) 6.78(s、1H) 7.08(s、1H) 8.36(s、1H) 9.5(s(Broad)、1H)
以下に本発明に係る遷移金属化合物の具体的な合成例を示す。
【0441】
(合成実施例1) 化合物A−1の合成:
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、化合物L1;1.52g(6.00mmol)とジエチルエーテル60mlを仕込み、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム(1.60mmol/mln−ヘキサン溶液、6.3mmol)を滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温し、室温で6時間撹拌を続け、リチウム塩溶液を調製した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタン溶液(6mmol(1.0mmol/mlトルエン溶液)とジエチルエーテル160mlの混合溶液に徐々に滴下した。
【0442】
滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で16時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、さらに得られた固体を塩化メチレンで溶解洗浄し、不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレン10mlに溶解し、ジエチルエーテール160mlを添加し、L1−四塩化チタン−ジエチルエーテル混合溶液を調整し、この混合液を−78℃に冷却し撹拌した。
【0443】
別途、充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、化合物L2;1.02g(6.00mmol)とジエチルエーテル60mlを仕込み、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム(1.60mmol/mln−ヘキサン溶液、6.3mmol)を滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温し、室温で6時間撹拌を続け、リチウム塩溶液を調製した。この溶液を、先に調整したL1−四塩化チタン−ジエチルエーテル混合液に−78℃でゆっくりと滴下した。
【0444】
滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で16時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、さらに得られた固体を塩化メチレンで溶解洗浄し、不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレン10mlに溶解し、さらにn−ヘキサン150mlを加え、固体を析出させた。固体をろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより下記式で示される。黒褐色の化合物A−1、0.809g(1.5mmol、収率25%)得た。
【0445】
【化143】
Figure 2004323806
H−NMR(CDCl):1.35(s、9H) 6.23−7.85(m、16H) 8.08(s、1H) 8.22(s、1H)
【0446】
(合成実施例2) 化合物B−1の合成:
充分に乾燥、窒素置換した300mlの反応器に、化合物L1;1.52g(6.00mmol)とテトラヒドロフラン(THF)60mlを仕込み、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム(1.60mmol/ml n−ヘキサン溶液、6.3mmol)を滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温し、室温で6時間撹拌を続け、リチウム塩溶液を調製した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム溶液(6mmol(1.0mmol/mlトルエン溶液)とエチルエーテル160mlの混合溶液に徐々に滴下した。
【0447】
滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で16時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、さらに得られた固体を塩化メチレンで溶解洗浄し、不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレン10mlに溶解し、THF160mlを添加し、L1−四塩化ジルコニウム−THF溶液を調整した。この混合液を−78℃に冷却し撹拌した。
【0448】
別途、充分に乾燥、窒素置換した300mlの反応器に、化合物L2;1.02g(6.00mmol)とジエチルエーテル60mlを仕込み、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム(1.60mmol/ml n−ヘキサン溶液、6.3mmol)を滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温し、室温で6時間撹拌を続け、リチウム塩溶液を調製した。この溶液を、先に調整したL1−四塩化ジルコニウム−THF溶液に−78℃でゆっくりと滴下した。
【0449】
滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で4時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、さらに得られた固体を塩化メチレンで溶解洗浄し、不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレン10mlに溶解し、さらにn−ヘキサン150mlを加え、固体を析出させた。固体をろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより下記式で示される。黄白色の化合物B−1、1.46g(2.51mmol、収率42%)を得た。
【0450】
【化144】
Figure 2004323806
H−NMR(CDCl):1.33(s、9H) 6.20−7.80(m、16H) 8.12(s、1H) 8.95(s、1H)
【0451】
(合成実施例4) 化合物a−1、化合物A−2の合成
充分に乾燥、窒素置換した200mlの反応器に化合物L3;2.06g(6.00mmol)とジエチルエーテル60mlを仕込み、−78℃に冷却し撹拌した。これにn−ブチルリチウム3.9ml(1.6mmol/ml n−ヘキサン溶液、6.3mmol)を滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温し、さらに室温で4時間撹拌を続け、リチウム塩溶液を調製した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタン溶液(9mmol(1.0mmol/mlトルエン溶液)とジエチルエーテル160mlの混合溶液に徐々に滴下した。
滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で16時間撹拌した後、この反応液を減圧濃縮し、n−ヘキサン150mlを加え固体を析出させた。得られた固体を濾別し、さらにn−ヘキサンで洗浄し、赤褐色固体a−1を2.67g(5.38mmol、収率90%)を得た。
【0452】
【化145】
Figure 2004323806
H−NMR(CDCl):1.57(s、9H)、7.26−7.87(m、3H)8.57(s、1H)
【0453】
別途、充分に乾燥、窒素置換した300mlの反応器に、化合物L4;1.56g(6.00mmol)とジエチルエーテル60mlを仕込み、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム(1.60mmol/ml n−ヘキサン溶液、6.3mmol)を滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温し、室温で4時間撹拌を続け、リチウム塩溶液を調製した。
この溶液を、先に合成した(a−1)2.67g(5.38mmol)のジエチルエーテル(150ml)溶液に−78℃でゆっくりと滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で48時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、さらに得られた固体を塩化メチレンで溶解洗浄し、不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレン10mlに溶解し、さらにn−ヘキサン150mlを加え、固体を析出させた。固体をろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより下記式で示される。黒褐色の化合物A−2、1.08g(1.50mmol、収率25%)得た。
【0454】
【化146】
Figure 2004323806
H−NMR(CDCl):1.34(s、9H)6.15−6.87(m、3H) 7.01−7.85(m,3H) 8.19(s、1H)、8.42(s、1H)
【0455】
(合成実施例5) 化合物B−2の合成
充分に乾燥、窒素置換した200mlの反応器に化合物L3;2.06g(6.00mmol)とテトラヒドロフラン(THF)60mlを仕込み、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム(1.60mmol/ml n−ヘキサン溶液、6.3mmol)を滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温し、室温で6時間撹拌を続け、リチウム塩溶液を調製した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム溶液(6mmol(1.0mmol/mlトルエン溶液))とエチルエーテル160mlの混合溶液に徐々に滴下した。
【0456】
滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で16時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、さらに得られた固体を塩化メチレンで溶解洗浄し、不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレン10mlに溶解し、THF160mlを添加し、L3−四塩化ジルコニウム−THF混合溶液を調整した。この混合液を−78℃に冷却し撹拌した。
【0457】
別途、充分に乾燥、窒素置換した300mlの反応器に、化合物L2;1.02g(6.00mmol)とジエチルエーテル60mlを仕込み、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム(1.60mmol/ml n−ヘキサン溶液、6.3mmol)を滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温し、室温で4時間撹拌を続け、リチウム塩溶液を調製した。この溶液を、先に調整したL3−四塩化ジルコニウム−THF混合溶液に−78℃でゆっくりと滴下した。
【0458】
滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で24時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、さらに得られた固体を塩化メチレンで溶解洗浄し、不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレン10mlに溶解し、さらにn−ヘキサン150mlを加え、固体を析出させた。固体をろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより下記式で示される。黒褐色の化合物B−2、1.41g(2.09mmol、収率35%)得た。
【0459】
【化147】
Figure 2004323806
H−NMR(CDCl):1.34(s、9H) 6.10−7.90(m、11H) 8.22(s、1H)、8.49(s、1H)
【0460】
(合成実施例6) 化合物B−3の合成
充分に乾燥、窒素置換した300mlの反応器に、化合物L1;1.52g(6.00mmol)とテトラヒドロフラン(THF)60mlを仕込み、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム(1.60mmol/ml n−ヘキサン溶液、6.3mmol)を滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温し、室温で4時間撹拌を続け、リチウム塩溶液を調製した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム溶液(6mmol(1.0mmol/mlトルエン溶液)とエチルエーテル160mlの混合溶液に徐々に滴下した。
【0461】
滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で16時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、さらに得られた固体を塩化メチレンで溶解洗浄し、不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレン10mlに溶解し、THF160mlを添加し、L1−四塩化ジルコニウム−THF混合溶液を調整し、−78℃に冷却し撹拌した。
別途、充分に乾燥、窒素置換した300mlの反応器に、化合物L4;1.56g(6.00mmol)とジエチルエーテル60mlを仕込み、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム(1.60mmol/ml n−ヘキサン溶液、6.3mmol)を滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温し、室温で4時間撹拌を続け、リチウム塩溶液を調製した。この溶液を、先に調整したL1−四塩化ジルコニウム−THF混合溶液に−78℃でゆっくりと滴下した。
【0462】
滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で24時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、さらに得られた固体を塩化メチレンで溶解洗浄し、不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレン10mlに溶解し、さらにn−ヘキサン150mlを加え、固体を析出させた。固体をろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより下記式で示される。黒褐色の化合物B−3、0.606g(0.9mmol、収率15%)得た。
【0463】
【化148】
Figure 2004323806
H−NMR(CDCl):1.51(s、9H) 6.20−7.83(m、11H)、8.15(s、1H) 8.41(s、1H)
【0464】
(配位子合成例5) 配位子(L5)の合成
充分に窒素置換した300mlの反応器にトルエン150ml、アニリン2.95g(31.61mmol)、p−TsOH(少量)および7−フォルミルインドール1.45g(10.00mmol)を装入し、無水硫酸ナトリウムを5gを添加後、室温下で24時間撹拌を続けた。この反応液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムにより精製して、L5で示される黒褐色の固体化合物を0.77g(3.52mmol、収率35%)得た。
【0465】
【化149】
Figure 2004323806
H−NMR(CDCl):6.20−7.8(m、10H) 8.23(s、1H) 8.34(s、1H)
【0466】
(配位子合成例6) 配位子(L6)の合成
充分に窒素置換した300mlの反応器にトルエン150ml、ペンタフルオロアニリン7.71g(42.11mmol)、p−TsOH(少量)および7−フォルミルインドール2.90g(19.98mmol)を装入し、無水硫酸ナトリウムを5gを添加後、還流下で60時間撹拌を続けた。この反応液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムにより精製して、L5で示される黒褐色の固体化合物を2.48g(8.00mmol、収率40%)得た。
【0467】
【化150】
Figure 2004323806
H−NMR(CDCl):6.20−7.50(m、5H) 8.23(s、1H) 8.34(s、1H)
【0468】
(合成実施例7) 化合物a−2、化合物A−3の合成
充分に乾燥、窒素置換した200mlの反応器に化合物L1;1.52g(6.00mmol)とジエチルエーテル60mlを仕込み、−78℃に冷却し撹拌した。これにn−ブチルリチウム3.9ml(1.6mmol/ml n−ヘキサン溶液、6.3mmol)を滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温し、さらに室温で4時間撹拌を続け、リチウム塩溶液を調製した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタン溶液(9mmol(1.0mmol/mlトルエン溶液)とジエチルエーテル160mlの混合溶液に徐々に滴下した。
【0469】
滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で16時間撹拌した後、この反応液を減圧濃縮し、n−ヘキサン150mlを加え固体を析出させた。得られた固体を濾別し、さらにn−ヘキサンで洗浄し、赤褐色固体a−2を1.99g(4.89mmol、収率82%)を得た。
【0470】
【化151】
Figure 2004323806
H−NMR(CDCl):1.37(s、9H)、7.06−7.83(m、8H)8.42(s、1H)
【0471】
充分に乾燥、窒素置換した300mlの反応器に、化合物L5;1.32g(6.00mmol)とジエチルエーテル60mlを仕込み、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム(1.60mmol/ml n−ヘキサン溶液、6.3mmol)を滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温し、室温で4時間撹拌を続け、リチウム塩溶液を調製した。
【0472】
この溶液を、先に合成した(a−2)2.69g(6.60mmol)のジエチルエーテル(150ml)溶液に−78℃でゆっくりと滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で48時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、さらに得られた固体を塩化メチレンで溶解洗浄し、不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレン10mlに溶解し、さらにn−ヘキサン150mlを加え、固体を析出させた。固体をろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより下記式で示される。黒褐色の化合物A−3、1.18g(2.50mmol、収率42%)得た。
【0473】
【化152】
Figure 2004323806
【0474】
(合成実施例8) 化合物A−4の合成
充分に乾燥、窒素置換した300mlの反応器に、化合物L5;1.86g(6.00mmol)とジエチルエーテル60mlを仕込み、−78℃に冷却し、撹拌した。これにn−ブチルリチウム(1.60mmol/ml n−ヘキサン溶液、6.3mmol)を滴下し、その後ゆっくりと室温まで昇温し、室温で4時間撹拌を続け、リチウム塩溶液を調製した。
【0475】
この溶液を、先に合成した(a−1)3.28g(6.60mmol)のジエチルエーテル(150ml)溶液に−78℃でゆっくりと滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で48時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、さらに得られた固体を塩化メチレンで溶解洗浄し、不溶物を除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレン10mlに溶解し、さらにn−ヘキサン150mlを加え、固体を析出させた。固体をろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより下記式で示される。黒褐色の化合物A−4、1.69g(2.20mmol、収率37%)得た。
【0476】
【化153】
Figure 2004323806
【0477】
以下の実施例には本発明に係る重合方法の具体的な実施例を示す。
(実施例1)
充分に窒素置換した内容積1.5Lのステンレス製オートクレーブにトルエン750mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、メチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム原子換算で37.5mmol、引き続き、前記合成実施例1で得られた化合物A−1を0.0015mmol加え重合を開始した。常圧のエチレンガス雰囲気下、25℃で10分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を大量のメタノールに投入してポリマーを全量析出させた後、塩酸を加えて濾過した。ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、ポリエチレン(PE)を3.08g得た。
重合活性は12320g/mmol−Ti・hであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は0.55dl/gであった。
【0478】
(実施例2)
充分に窒素置換した内容積1.5Lのステンレス製オートクレーブに、トルエン750mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相、及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で20.0mmol、化合物A−2 を0.01mmol加え、重合を開始した。25℃にて10分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。
得られたポリマ−懸濁液を、少量の塩酸を含む3.0リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。グラスフィルターでろ過し溶媒を除いた後、メタノールで洗浄し、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、13.6gであり、重合活性は8160g/mmol−Ti・hであり、極限粘度[η]は1.42dl/gであった。
【0479】
(実施例3)
重合温度を50℃にした以外は実施例2と同様に重合を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
重合温度を75℃にした以外は実施例2と同様に重合を行った。結果を表1に示す。
(実施例5〜実施例9)
化合物A−1の代わりに表1に示す化合物を用いた以外は、実施例1と同様にしてエチレンの重合を行った。結果を表1に示す。
(実施例10):ポリスチレンの実施例
充分に窒素置換した内容積1.5Lのステンレス製オートクレーブに、トルエン750mlおよびスチレン100gを装入した。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で50.0mmol、化合物A−2 を0.15mmol加え、重合を開始した。50℃にて120分間重合を行った後、少量のメタノールを添加することにより重合を停止した。
得られたポリマー懸濁液を、少量の塩酸を含む3.0リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。グラスフィルターでろ過し溶媒を除いた後、メタノールで洗浄し、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリスチレンは、4.2gであり、重合活性は28g/mmol−Ti・hであり、融点は269℃であった。また、得られたポリスチレンの13C−NMRで測定したラセミダイアッド(r)は0.82であった。
【0480】
(比較例)
実施例2と同様の条件下、シクロペンタジエニルチタントリクロリドを0.01mmol加え重合を開始した。
常圧のエチレンガス雰囲気下、25℃で30分間反応させた後、実施例1と同様の後処理を行ったところ、ポリエチレン0.54g得た。重合活性は、110g/mmol−Ti・hであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は、13.5dl/gであった。
【表1】
Figure 2004323806
【0481】
【発明の効果】
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上で説明したような化学構造を有する遷移金属化合物を含むものであることから、オレフィンに対して高い重合活性を有し、高い重合活性でオレフィン(共)重合体を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係わるオレフィン重合用触媒の調整工程を示す。

Claims (18)

  1. 一般式 KMX で表される遷移金属化合物。
    式中、Kは下記式(I)で表される。Lは下記式(II)、(III)または(IV)で表される配位子のうちから選ばれる少なくとも1つの配位子を示す。
    Figure 2004323806
    (式中、MXは前記式中のMXを示す)
    Figure 2004323806
    (式中、MXは前記式中のMXを示す)
    Figure 2004323806
    (式中、MXは前記式中のMXを示す)
    Figure 2004323806
    (式中、MXは前記式中のMXを示す)
    Eは、イオウ原子、セレン原子または窒素原子を示し、
    Dは、窒素原子、結合基R2を有する炭素原子、または結合基R2を有していてもよいリン原子を示し、
    Gは、窒素原子、結合基R8を有する炭素原子、または結合基R8を有していてもよいリン原子を示し、
    Jは、窒素原子、結合基R9を有する炭素原子、または結合基R9を有していてもよいリン原子を示し、
    Qは、窒素原子、結合基R10を有する炭素原子、または結合基R10を有していてもよいリン原子を示し、
    Tは、窒素原子、結合基R11を有する炭素原子、または結合基R11を有していてもよいリン原子を示し、
    Yは、窒素原子、結合基R13を有する炭素原子、または結合基R13を有していてもよいリン原子を示し、
    Uは、窒素原子、結合基R14を有する炭素原子、または結合基R14を有していてもよいリン原子を示し、
    Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、
    Nは窒素原子を示し、
    mおよびnは1〜6の整数を示し、
    Aは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子または結合基R7を有する窒素原子を示し、
    R1からR19は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成してもよく、また、mが2以上のとき、Kは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのKが有するR1〜R7のうちの少なくとも1つが、他のKが有するR1〜R7のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。また、nが2以上のとき、Lは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのLが有するR8〜R19のうちの少なくとも1つが、他のLが有するR8〜R19のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。
    lはMの原子価を満たす数であり、
    Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成していてもよい。
  2. 前記一般式(I)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基である請求項1に記載の遷移金属化合物。
  3. 前記一般式 KMX で表される遷移金属化合物が下記一般式(II−a−1)で表される遷移金属化合物であることを特徴とする請求項1に記載の遷移金属化合物。
    Figure 2004323806
    式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、
    mおよびnは1〜6の整数を示し、
    R1からR12は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシル基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
    また、mが2以上のとき、Kは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのKが有するR1〜R6のうちの少なくとも1つが、他のKが有するR1〜R6のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。また、nが2以上のとき、Lは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのLが有するR8〜R12のうちの少なくとも1つが、他のLが有するR8〜R12のうちの少なくとも1つと連結していてもよい(但し、R1同士およびR12同士が結合されることはない)。
    lはMの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基またはケイ素含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してよい。
  4. 前記一般式(II−a−1)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルフォンエステル基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基である請求項3に記載の遷移金属化合物。
  5. 前記一般式 KMX で表される遷移金属化合物が下記一般式(III−a−1)で表される、請求項1に記載の遷移金属化合物。
    Figure 2004323806
    式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、
    mおよびnは1〜6の整数を示し、
    R1からR15は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシル基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
    また、mが2以上のとき、Kは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのKが有するR1〜R6のうちの少なくとも1つが、他のKが有するR1〜R6のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。また、nが2以上のとき、Lは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのLが有するR8〜R15のうちの少なくとも1つが、他のLが有するR8〜R15のうちの少なくとも1つと連結していてもよい(但し、R1同士およびR15同士が結合されることはない)。
    lはMの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基またはケイ素含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してよい。
  6. 前記一般式(III−a−1)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルフォンエステル基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基である請求項5に記載の遷移金属化合物。
  7. 前記一般式 KMX で表される遷移金属化合物が下記一般式(IV−a−1)で表される、請求項1に記載の遷移金属化合物。
    Figure 2004323806
    式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、
    mおよびnは1〜6の整数を示し、
    R1からR19は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基またはヒドロキシル基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
    また、mが2以上のとき、Kは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのKが有するR1〜R6のうちの少なくとも1つが、他のKが有するR1〜R6のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。また、nが2以上のとき、Lは互いに同一でも異なっていてもよく、1つのLが有するR15〜R19のうちの少なくとも1つが、他のLが有するR15〜R19のうちの少なくとも1つと連結していてもよい(但し、R1同士およびR15同士が結合されることはない)。
    lはMの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基またはケイ素含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してよい。
  8. 前記一般式(IV−a−1)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルフォンエステル基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシル基である請求項7に記載の遷移金属化合物。
  9. (A)下記一般式(V)で表される遷移金属化合物。
    Figure 2004323806
    式中、Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、
    L′およびL″は、それらが互いに異なるという条件のもとに、下記式(VI)、(VII)または(VIII)
    Figure 2004323806
    (式中、MXは前記式(V)中のMXを示す)
    Figure 2004323806
    (式中、MXは前記式(V)中のMXを示す)
    Figure 2004323806
    (式中、MXは前記式(V)中のMXを示す)
    で表される配位子の群から選ばれる少なくとも一つの配位子を示し、
    Eは、イオウ原子、セレン原子または窒素原子を示し、
    Dは、窒素原子、結合基R2を有する炭素原子、または結合基R2を有していてもよいリン原子を示し、
    Gは、窒素原子、結合基R8を有する炭素原子、または結合基R8を有していてもよいリン原子を示し、
    Jは、窒素原子、結合基R9を有する炭素原子、または結合基R9を有していてもよいリン原子を示し、
    Qは、窒素原子、結合基R10を有する炭素原子、または結合基R10を有していてもよいリン原子を示し、
    Tは、窒素原子、結合基R11を有する炭素原子、または結合基R11を有していてもよいリン原子を示し、
    Yは、窒素原子、結合基R13を有する炭素原子、または結合基R13を有していてもよいリン原子を示し、
    Uは、窒素原子、結合基R14を有する炭素原子、または結合基R14を有していてもよいリン原子を示し、
    Mは周期律表第3〜11族の遷移金属原子を示し、
    Nは窒素原子を示し、
    mおよびnは1〜6の整数を示し、
    Aは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子または結合基R7を有する窒素原子を示し、
    R1からR19は、互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成してもよく、
    また、mが2以上のとき、L′は互いに同一でも異なっていてもよく、1つのL′が有するR8〜R19のうちの少なくとも1つが、他のL′が有するR8〜R19のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。また、nが2以上のとき、L″は互いに同一でも異なっていてもよく、1つのL″が有するR8〜R19のうちの少なくとも1つが、他のL″が有するR8〜R19のうちの少なくとも1つと連結していてもよい。
    lはMの原子価を満たす数であり、
    Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、lが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
  10. 前記一般式(V)においてR6が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基である請求項9に記載の遷移金属化合物。
  11. mおよびnが1〜3の整数であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の遷移金属化合物。
  12. 遷移金属化合物(A)において、Mが周期律表第3〜5族および第9族から選ばれる少なくとも一種の遷移金属原子であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の遷移金属化合物。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の遷移金属化合物(A)と、(B−1)有機金属化合物及び(B−2)活性化化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とからなることを特徴とするオレフィン類重合用触媒。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の遷移金属化合物(A)と、(B−1)有機金属化合物及び(B−2)活性化化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(B)に加えて、担体(C)を含むことを特徴とするオレフィン類重合用触媒。
  15. 請求項13または14のいずれかに記載のオレフィン類重合用触媒の存在下に脂肪族オレフィン化合物を重合または共重合することを特徴とする脂肪族オレフィン化合物の重合方法。
  16. 請求項15に記載の方法で製造されることを特徴とする、脂肪族オレフィン化合物重合体。
  17. 請求項13または14のいずれかに記載のオレフィン類重合用触媒の存在下に芳香族オレフィン化合物を重合または共重合することを特徴とする、芳香族オレフィン化合物の重合方法。
  18. 請求項17に記載の方法で製造されることを特徴とする、芳香族オレフィン化合物重合体。
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