JP2004323628A - 粘性有機質廃物の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】家畜排泄物や廃油を始めとする粘性有機質廃物を確実に熱分解でき、簡素な装置構成により、大量の化石燃料を用いることなく低コストで高能率の処理を行え、処理生成物が安全で有用な再生資源となる処理方法を提供する。
【解決手段】粘性有機質廃物と助燃用木質チップとを混合し、この混合物Mを乾燥処理し、内底部に複数の空気導入孔26を有する略密閉式の炉本体1内に、下部に炉内空間1aに連通する排気導入口41を備えて上部が炉外への排気路に繋がる加熱排気筒40が配置された自燃式炭化炉1を用い、炉本体10内混合物Mを装填し、炉本体10の底部から着火し、以降は加熱排気筒40の赤熱を伴って混合物Mを酸素不足状態で自発燃焼させ、熱分解して炭化する。
【選択図】 図5
【解決手段】粘性有機質廃物と助燃用木質チップとを混合し、この混合物Mを乾燥処理し、内底部に複数の空気導入孔26を有する略密閉式の炉本体1内に、下部に炉内空間1aに連通する排気導入口41を備えて上部が炉外への排気路に繋がる加熱排気筒40が配置された自燃式炭化炉1を用い、炉本体10内混合物Mを装填し、炉本体10の底部から着火し、以降は加熱排気筒40の赤熱を伴って混合物Mを酸素不足状態で自発燃焼させ、熱分解して炭化する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば家畜の排泄物や廃油の如き粘性有機質廃物の処理方法及び処理装置に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
近年、食の欧米化による食肉需要の拡大に伴い、都市近郊では畜産業が発展しており、これに伴って必然的に家畜排泄物の排出量も増大しているが、古くからの肥料等に使用されるのは牛糞等の極一部に限られ、もはや有効利用手段としては量的に全く問題外になっている。しかるに、現状では家畜排泄物の根本的な処理は行われておらず、殆どが垂れ流しの状態か、汚染水の浄化を行う程度であるため、環境汚染による多くの問題が生起している。
【0003】
例えば、水質汚濁した河川下流域での取水による上水化には、濾過滅菌に多大な手間及び時間を要するが、曝気式処理法や砂泥濾過法の如き緩速濾過法は近年の都市水需要の増大に対応できず、専ら急速濾過法を採用せざるを得なくなっている。しかるに、急速濾過法では、原水中の濁りや粗い粒子等を除くだけであるため、有機物群含量が多い場合はその残存によって細菌が繁殖し易く、濾過後の滅菌用塩素濃度を高くすることになるが、有機物と塩素との反応によって発癌性のトリハロメタンが生成し、渇水期の上水中には規定値を上回るトリハロメタンが含まれる懸念も生じている。
【0004】
また、家畜排泄物の流入等で富栄養化した河川水が海に流入すると、特に湾のような潮流の穏やかな海域でプランクトンの大量発生を招き、魚介類の養殖を始めとする沿岸漁業に壊滅的な打撃を与えることになる。更に、家畜の糞尿中には寄生虫が存在しているが、糞尿処理が不完全であると土壌、河川、湖沼等が寄生虫卵で汚染され、農産物や水産物を介して経口的に人が摂取し、寄生虫感染者が増えることになる。更に、特に雑食性の豚の糞尿のように強烈な臭気を有する上に粘性の高いものは、取扱い性が悪く肥料等への利用も困難であるから、悪臭の拡散による周辺環境の悪化や畜舎自体の飼育環境の悪化等を防止するために、その処理が急務になっている。
【0005】
しかるに、一般的な焼却処理は、多量の水分を含む家畜排泄物が自燃しないことから、灰化するまで完全に燃焼させるのに大量の燃料が必要になる上、悪臭や有害物が発生しないように高温燃焼させるための焼却設備が大規模で高価なものにならざるを得ず、処理コストが非常に高く付いて到底実用的ではない。また、近年では生物学的分解法が検討され、その分解時に発生するメタンガスを利用した発電等も試みられているが、生物学的分解には長時間を要することから、大量処理を行う上で大規模な分解槽が必要であり、そのための膨大な設備コストの負担が普及を阻む最大の要因になっている他、分解菌の維持管理が難しいという技術的な問題も残している。
【0006】
一方、近年においては、自動車や船舶等のエンジンオイルを始めとして様々な機械可動部に使用後に回収された潤滑油類、食品工場等で用済みとなった揚げ物用油類等の廃油が大量に発生しており、また往々にして海難事故や貯蔵タンクの事故等があった際にも海面等に流出した石油類が膨大な量の廃油として回収されるが、温暖化防止等の地球的規模での環境保全の面から、これら廃油の処理も大きな課題になっている。
【0007】
すなわち、廃油は元来が可燃物であるから、従来より専ら焼却処理が採用されているが、その焼却によって地球温暖化の要因とされる炭酸ガスが大量に発生すると共に、廃油成分や燃焼条件によって例えばダイオキシン類の如き環境ホルモンになるような有害成分が広域に放散されるという問題を生じている。
【0008】
本発明は、上述の情況に鑑み、前記の家畜排泄物や廃油等の粘性有機質廃物を処理対象として、簡素な加熱装置構成により、大量の化石燃料を用いることなく低コストで高能率の処理を行える上、しかも処理生成物が安全で且つ非常に有用な再生資源となるという画期的な処理方法及び処理装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る粘性有機質廃物の処理方法は、図面の参照符号を付して示せば、粘性有機物を主体とする廃物W,O又は/及び粘性有機物を担持体に被着させた廃物と、助燃用木質チップTとを混合し、この混合物を乾燥処理し、内底部(内側底板15a)に複数の空気導入孔26…を有する略密閉式の炉本体10内に、下部に炉内空間1aに連通する排気導入孔41…を備えて上部が炉外への排気路(排気管部42)に繋がる加熱排気筒40が配置した自燃式炭化炉1を用い、この炭化炉1の炉本体10内に前記乾燥処理後の混合物を収容し、炉本体10の底部から着火し、以降は加熱排気筒40内を通る燃焼排ガスG1 の熱気による当該加熱排気筒40の赤熱を伴って前記混合物を酸素不足状態で自発燃焼させることにより、前記粘性有機物を助燃用木質チップTと共に熱分解して炭化させることを特徴としている。
【0010】
また、請求項2の発明は、上記請求項1の処理方法において、前記炭化炉1の加熱排気筒50から排出される燃焼排ガスG1 をガス再燃焼炉2内に導いて再燃焼させることを特徴としている。そして、請求項3の発明は、この請求項2の粘性有機質廃物の処理方法において、前記ガス再燃焼炉2から排出される高温排ガスG2 との熱交換によって導入外気A0 を昇温させ、得られる加熱空気A1 を冷却して含有水分の結露によって除湿乾燥し、この乾燥空気A2 によって前記混合物の乾燥処理を行うものとしている。
【0011】
更に、請求項4の発明は、上記請求項1〜3のいずれかの処理方法において、前記粘性有機質物を主体とする廃物が家畜排泄物Wであり、前記炭化炉1における炉内温度が300℃以上で5時間以上継続するように設定する構成としている。また、請求項5の発明は、上記請求項1〜3のいずれかの処理方法において、前記粘性有機質物を主体とする廃物が廃油Oであり、前記炭化炉1における炉内温度が300℃以上で5時間以上継続して且つ800℃以上に達する過程を経るように設定する構成としている。
【0012】
一方、請求項6の発明に係る粘性有機質廃物の処理装置は、粘性有機物を主体とする廃物W,O又は/及び粘性有機物を担持体に被着させた廃物と助燃用木質チップTとを混合する混合機(パドル混合機6)と、該混合機6にて混合された混合物を乾燥させる乾燥器4と、内底部(内側底板15a)に複数の空気導入孔26…を有する略密閉式の炉本体10内に、下部に炉内空間に連通する排気導入口41…を備えて上部が炉外への排気路42に繋がる加熱排気筒40が配置し、底部側を着火部として装填された前記乾燥後の混合物を自発燃焼させて炭化する自燃式炭化炉1と、該炭化炉1の加熱排気筒40から排出される燃焼排ガスA0 を再燃焼させるガス再燃焼炉2と、該ガス再燃焼炉2から排出される高温排ガスG2 と導入外気とを熱交換させる熱交換部(熱交換ジャケット2c)と、該熱交換部2cより導出される加熱空気A1 を水冷して結露による除湿を行う冷却装置3と、該冷却装置3にて除湿された乾燥空気A2 を前記乾燥器4へ送る送気手段(ファン7b)とを備えてなるものとしている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る有機質固形廃棄物の処理方法及び処理装置について、図面を参照して具体的に説明する。図1及び図2は第一及び第四実施形態の各々処理方法のフローチャート、図3〜6は該処理方法に使用する自然式炭化炉の構成例を示す。
【0014】
図1のフローチャートは、本発明の処理方法を家畜排泄物Wの処理に適用した第一実施形態を示し、図中の1は自然式炭化炉、2はガス再燃焼炉、3は冷却装置、4は乾燥器、5は温水器、6はパドル式混合機、7a,7bは送気経路に介在するファンである。
【0015】
この第一実施形態では、まず処理対象の家畜排泄物Wと助燃用木質チップTとをパドル式混合機6に投入して攪拌混合し、この混合物を乾燥器4内に収容してある程度まで水分を除いた上で、該乾燥器4の下部に設けたベルトコンベア4aを介して下方の炭化炉1内に装填し、当該炭化炉1内で自発燃焼により炭化させる。しかして、自然式炭化炉1内での自発燃焼に伴って発生する燃焼排ガスG1 はファン7aを介してガス再燃焼炉2内へ送られ、このガス再燃焼炉2内で乾燥器4から送られてくる空気A3 と合流し、ガスバーナー2aを用いた再燃焼によって更に昇温して排煙筒2bへ排出されるが、該排煙筒2bを通過する際に外側に設けた熱交換ジャケット2c内に導入される空気A0 と熱交換し、ある程度降温した高温排ガスG2 となって温水器5へ送られ、この温水器5内で更に水と熱交換して冷却された上で、当該温水器5の出口に設けた排気口5aより外部へ放出される。
【0016】
また、熱交換ジャケット2c内に導入された空気A0 は、当該ジャケット2c内の螺旋状に形成された通気路を通る過程で前記熱交換によって昇温し、加熱空気A1 として冷却装置3へ送られ、該冷却装置3の結露室3a内でクーリングタワー3bを介して循環供給される冷却水と熱交換し、含有水分の結露によって除湿乾燥され、乾燥空気A2 としてファン7bを介して乾燥器4へ送られ、該乾燥器4内の前記混合物を乾燥させる機能を果たす。そして、該混合物より移行した水分を含む空気A3 は、乾燥器4内よりガス再燃焼炉2へ送られ、前記のように炭化炉1からの燃焼排ガスG1 と合流して再燃焼される。
【0017】
ここで、自燃式炭化炉1は、図5に示すように、有底縦円筒状に形成されて上端開口部を材料出入口11とする炉本体10と、この炉本体10の材料出入口11を封鎖する開閉蓋30と、炉本体10内の中心部に立設された金属製の加熱排気筒40とから構成されている。
【0018】
炉本体10は、周壁部10aが内外金属板12a,12b間に断熱材13を装填した二重壁構造をなしており、その前面側には図6に示すように内外に透通する複数個の熱電対挿入孔14…が上下方向に沿って所定間隔置きに設けられている。なお、これら熱電対挿入孔14…は栓(図示省略)によって閉塞できるようになっている。また、炉本体10の底部10bには、金属製の上部底板15aと下部底板15bとの間に着火室16が構成され、この着火室16から下方へ突出した短円筒状の中継室16aと、該中継室16aより前方へ延出する着火熱源導入筒17とが設けられると共に、着火室16の側方に開口する外気吸入口18を有している。そして、図6に示すように、外気吸入口18には一端側を外部に開放した外気吸入管19が接続され、この外気吸入管19の途中に流量制御弁20が介在している。
【0019】
しかして、図3及び図4に示すように、炉本体10の左右両側には台形状の支持フレーム22a,22bが立設されており、両支持フレーム22a,22bの上端に設けた軸受23a,23bに、炉本体10のやや下部寄り位置の左右両側に突設された枢軸21a,21bを枢支させることにより、両支持フレーム22a,22bに炉本体10が図3の実線で示す直立姿勢と同仮想線で示す転倒姿勢とに転換可能に支持されている。なお、24は軸受23b側のギヤボックス25より突出する姿勢変換用ハンドルであり、その回転操作によって該ギヤボックス25内のウォーム減速ギヤ機構(図示省略)を介して炉本体10を起倒回動させるようになっている。
【0020】
加熱排気筒40は、炉本体10内において、下端を上部底板15a上に載置した状態で、閉鎖した上端が当該炉本体10の材料出入口11近傍に達する高さに設定され、下部の周囲に多数の孔からなる排気導入口41を有すると共に、上端近傍から後方へ水平に延設された排気管部42が炉本体10の周壁部10aを貫通して後方外部へ突出している。しかして、排気管部42の外部側にはレバー付き開閉弁43が介装されると共に、その外端にはガス再燃焼炉2(図1参照)に繋がるフレキシブル配管44がワンタッチクランプ継手45を介して接続されている。
【0021】
また、炉本体10の上部底板15aには、図6に拡大して示すように、加熱排気筒40の周囲に配置して当該加熱排気筒40の位置ずれを防止する位置決め突片26…と、当該加熱排気筒40の中央部を除く領域に、相互に適当な間隔を置いて配置した多数の空気流入孔27…が穿設されると共に、各空気流入孔26の上側に閉塞防止用の山形カバー片27aが溶接にて固着されている。更に、図6のA−A線方向の構造を矢印方向に取り出して示すように、着火熱源導入筒17の入口17a側には上下をガイド溝とするダンパー保持部17aが設けてあり、このダンパー保持部17aに連通孔27a付きのダンパー28が左右移動自在に嵌装されており、その連通孔28aが着火熱源導入筒17の入口17bに合致する開放状態から図の仮想線で示すようにダンパー28を押し込むことにより、当該入口17bを遮断できるようになっている。
【0022】
開閉蓋30は、炉本体10とは別体として、金属製の表裏板30a,30b間に断熱材31を介装した円形厚板状に形成されている。しかして、炉本体10の後方には左右一対の支柱32a,32bが立設されており、両支柱32a,32bの上部間にわたされた枢軸33に左右一対の逆へ字形の取付けアーム34,34が中間部で固設され、両取付けアーム34,34の前端に開閉蓋30が取り付けられると共に、両取付けアーム34,34の後端側に角柱状のバランスウエイト35が固設されている。また、右側の支柱32bの上端には枢軸33の軸受部をなすギヤボックス35が設けてあり、該ギヤボックス35より突出する蓋開閉用ハンドル26の回転操作により、該ギヤボックス35内のウォーム減速ギヤ機構(図示省略)を介して枢軸33が両取付けアーム34,34と一体に回動し、もって開閉蓋30が図5の実線で示す閉鎖姿勢と同仮想線で示す開放姿勢とに転換するように構成されている。
【0023】
しかして、炉本体10の材料出入口11の周縁には一定間隔置きに複数個のハンドル式クランプ具29…が起倒回動自在に枢着される一方、開閉蓋30の外周部には各クランプ具29に対応する溝付き突片36が突設されており、該開閉蓋30を材料出入口11に被せた状態で、各クランプ具29の軸部29aを溝付き突片36の溝部(図示省略)に係入し、ハンドル部29bを回して締め付けることにより、該開閉蓋20が材料出入口11に圧着して密閉状態になるように設定されている。なお、図3〜図5では、図面の錯綜を避けるためにクランプ具29の1個又は2個のみを図示している。
【0024】
第一実施形態の家畜排泄物Wの処理においては、既述のように乾燥器4での乾燥処理を経た排泄物Wと助燃用木質チップTとの混合物を自然式炭化炉1の炉本体10内に装填するが、この装填に際し、該混合物とは別途に木質チップTを用い、図5に示すように、最下部に木質チップTの層を形成し、その上に混合物Mを充填し、更に最上部に木質チップTの層を形成するのがよい。これは、最下部に燃え易い木質チップTの層が存在することによって着火から自発燃焼への過程がスムーズに進むことと、この最下部と最上部の木質チップTの層が加熱初期段階の低温時に生じ易い有機質成分の飛散を防ぐカバーとして機能することによる。
【0025】
使用する助燃用木質チップTとしては、木や竹の間伐材、剪定の切り枝、製材工程や加工工程から出る端材や残材、建築に伴う木屑、木や竹を使用した製品の廃棄物や家屋解体等で生じる廃材の如き様々な不要材、更にはナッツ類の殻のような堅果殻等を使用できる。また、木質チップTの大きさや形態にも特に制約はなく、大きさが不揃いでも支障はないが、余りに大き過ぎては装填物層内での通気経路が不均等になり、逆にあまりに小さ過ぎては相互の間隙が小さくなり、共に熱気の下方から上方への伝播を阻害するため、最長部が1〜20cm程度のもの、特に棒片状のものが推奨される。
【0026】
家畜排泄物Wと木質チップTの混合比率は、家畜排泄物Mの性状によって異なるが、豚糞尿のような粘性ペーストに近いものでは一般的にW/Tの重量比で1/1〜5/1程度であり、また着火から自発燃焼に至る過程を円滑に進める上で、炉内空間の最下層を構成する木質チップTが混合物Mに対して5〜30容量%程度となる範囲に設定するのがよい。しかして、家畜排泄物Wと木質チップTの混合物は、図6において断面で示すように、木質チップTを芯にして、その周囲を覆うように排泄物Wが被着した塊状粒子の状態になっている。
【0027】
かくして家畜排泄物Wと木質チップTの混合物Mを自然式炭化炉1内に装填後、図5に示すように、着火熱源導入筒17の入口17aを開放し、ガスバーナー50の火炎等の着火熱源を導入筒17に導入する。これにより、着火熱源の燃焼ガスと熱せられた空気とが混合状態で中継室16aを経て着火室16内に充満し、更に内側底板15aの空気導入孔27…より炉内空間1aへ侵入し、もって最下部の木質チップT…が着火し、その自発燃焼による熱分解が開始される。しかして、着火熱源導入筒17の入口17aは、最下部の木質チップT…が自発燃焼を始めた時点でダンパー28によって閉鎖する。
【0028】
上記自発燃焼の開始に伴い、発生する高温の燃焼ガスが木質チップT…間の隙間を通って上昇して熱気を下から上へ伝播させると共に、該燃焼ガスの一部は排気導入口41…より加熱排気筒40内に吸い込まれ、この吸い込まれる燃焼ガスの熱気と周囲の木質チップT…の自発燃焼による熱気とで当該排気筒40の下部が内外両側から熱せられて赤熱する。そして更に自発燃焼が拡がるにしたがって、増加する燃焼ガスの熱気と蓄熱によって当排気筒40の赤熱部分が次第に上方へ拡大してゆき、遂には加熱排気筒40全体が赤熱状態になる。これにより、屑肉M…は、下方から上昇してくる熱気と、赤熱した加熱排気筒40から周囲へ放射される熱気とで加熱され、堆積層の下部側と中央側の両方から熱分解し始め、更に自燃温度に達して自発燃焼し、この自発燃焼・熱分解の領域が拡がるに伴い、加熱排気筒40が流入する燃焼ガスの増加によって更に高温化して周囲への熱放射を増し、その相乗効果で熱分解反応の進行と自発燃焼領域の拡大が速められ、やがて炉内空間1a全体が均一な高温状態になり、装填した混合物Mの家畜排泄物W及び木質チップTの全てが熱分解する。
【0029】
この炭化処理においては、加熱排気筒40からの燃焼排ガスG1 の排出に伴い、着火室16内に外気吸入口18より外気が吸入されるが、この外気吸入量を外気吸入管19の途中に設けた流量制御弁20にて制限することにより、炉内空間1aを酸素不足状態に維持する。これにより、排泄物W及び木質チップTは、不完全燃焼によって炭素成分が殆ど燃焼しない状態で熱分解を継続し、もって最終的に内部まで完全に炭化することになる。一方、加熱排気筒40から排出される燃焼排ガスG1 は、既述のようにガス再燃焼炉2に送って再燃焼させるから、ガス中に微量の有機物が付随していても完全に分解されることになる。
【0030】
また、炭化炉1の炉内温度や該炭化炉1からの燃焼排ガスG1 の温度を温度センサー等で計測し、この計測温度に応じて流量制御弁20の開閉及び開度調整を行うことにより、炉内温度を調整できる。しかして、この流量制御弁20の開閉及び開度調整は、予め得た試験データに基づいて設定した処理温度条件を制御機構にインプットし、温度センサー等による計測温度に応じて自動制御するように構成すればよい。この第一実施形態の家畜排泄物Wの処理では、炭化炉1の炉内温度は、300℃以上で5時間以上継続するように設定するのがよい。
【0031】
炭化炉1内での自発燃焼が終息すれば、クランプ具29…を外し、図5の仮想線で示すように、開閉蓋30を開放した上で、炭化炉1を前方へ倒し、内部の炭化処理物を掻き出して適当な容器や袋に収容する。得られた炭化処理物は完全に炭化しており、木質チップTの炭化物は元の形状を保った炭素含有率100%の木炭あるいは竹炭になっている。また、家畜排泄物Wの炭化物は、体積減少して芯であった木質チップTの炭化物から分離し、概して細かく分解して砂状を呈している。
【0032】
このような処理方法では、家畜排泄物Wを木質チップTと共に自発燃焼によって炭化させるため、処理開始時の着火熱源とガス再燃焼炉2の熱源として極少量の燃料を消費するだけであり、しかも完全に灰化燃焼させることなく炭素成分の殆どが残る形になる。従って、この処理方法によれば、化石燃料を用いた完全焼却処理に比較して、エネルギー消費が非常に少なくて済み、極めて低コストで処理を行える上、二酸化炭素の排出量も格段に低減されるから、環境への負荷が僅少である。また、家畜排泄物Wの炭化物は、元の汚物のイメージを完全に消失し、有機物を全く含まず臭気もない状態になっているため、衛生的に取り扱えて且つ安全な再生資源物質として肥料や土壌改質材等に利用できる。
【0033】
更に、第一実施形態の処理方法では、ガス再燃焼炉2から出る高温排ガスG2 の熱を利用して導入外気A0 を加熱し、得られた加熱空気A1 を冷却して除湿乾燥し、この乾燥空気A2 にて炭化処理前の屑肉Mを乾燥処理することから、この乾燥処理のための熱源が不要となる上、炭化炉1へ装填する混合物Mの水分含有量の減少により、炭化処理時の水の気化熱による温度低下作用が小さくなる上、混合物Mの塊状粒子が表面の乾燥によって互いに密着しにくくなり、その塊状粒子の相互間に熱気を通す間隙ができ易く、それだけ処理効率が向上して速やかに炭化が進む。また、前記導入外気A0 との熱交換後の高温排ガスG2 を温水器5に通した上で外部へ放出することにより、その熱を更に温水製造にも使い、もって処理全体を通して熱エネルギーを極限に近く有効利用する形になっている。
【0034】
更に、乾燥器4を経た空気A3 は、湿気と共に家畜排泄物Wから移行した強烈な悪臭成分を含み、また腐敗菌や黴胞子等も混じる可能性があるが、ガス再燃焼炉2へ導入して炭化炉1からの燃焼排ガスG1 と一緒に再燃焼させるから、臭気や菌類も完全に分解され、温水器5を経て外部へ放出されるガスは無臭で有害成分も含まないものとなる。なお、ガス再燃焼炉2の炉内温度は、微量有機物を完全に熱分解する上で、600〜1000℃程度に設定するのがよい。
【0035】
〔処理例〕
図1のフローチャートで示す装置構成において、図3〜図5に示す構造で容量300Lの炭化炉1を使用し、豚舎から出た豚糞尿の処理を行った。この処理では、助燃用木質チップとして長さ1〜10cm,幅1〜3cmの竹間伐材チップを用い、まず豚糞尿123Kgと竹間伐材チップ20Kgとをパドル式混合機で攪拌混合し、この混合物を乾燥器4内に装填する一方、炭化炉1には竹間伐材チップのみを100Kg装填し、その自発燃焼による昇温後の炉内温度を450℃前後に設定して竹炭の製造を行い、この時に稼働させたガス再燃焼炉2(炉内温度は約800℃に固定)から出る高温排ガスG2 と導入外気A0 との熱交換、冷却装置3での除湿乾燥にて得られる乾燥空気A2 (温度70〜80℃,湿度1〜2%)を乾燥器4へ送り、前記混合物を乾燥処理した。
【0036】
次に、前記炭化炉1の着火から20時間後に生成した竹炭を取り出し、この炭化炉1内に、乾燥器4内の混合物全量102Kg(全量…乾燥減量41Kg)と上記同様の竹間伐材チップ50kgとを、竹間伐材チップは全量を半分に分けて最下層と最上層を構成する形で装填し、炭化処理を行った。なお、この処理では積極的な炉内温度調整を行わずに流量制御弁20を一定開度で放置し、熱電対挿入孔14に熱電対を挿入して混合物堆積層の中間位置における温度を継続して測定した。なお、ガス再燃焼炉2は炉内温度約800℃で固定し、前記同様の熱交換、除湿乾燥にて得られる乾燥空気A2 を乾燥器4へ送って次の処理に用いる混合物の乾燥に供した。
【0037】
上記炭化処理の着火から18時間後、既に自発燃焼を終息している炭化炉1の開閉蓋30を開き、該炭化炉1を前方へ倒して炭化処理物を取り出したところ、竹間伐材チップの形状を保った竹炭と、豚糞尿に由来する砂状になった炭化物とが混ざった状態であり、元の豚糞尿の強烈な臭気は完全に消えていた。しかして、竹炭の重量は8.8Kg、豚糞尿炭化物の重量は5.8Kgであり、豚糞尿は初期重量の約5%に減少したことになる。また、処理中に測定した炉内温度は、図7に示すように、着火後30分程度で約800℃の最高温度に達したのち、着火後1時間程度で約500℃まで下がるが、以降は10数時間にわたって300℃以上に保たれており、元の豚糞尿中の有機物は完全に分解されていることが明らかである。更に、処理中に外部へ排出される排気には全く悪臭はなかった。
【0038】
図2のフローチャートは、本発明の処理方法を廃油Oの処理に適用した第二実施形態を示す。図中の1は自然式炭化炉、2はガス再燃焼炉、3は冷却装置、4は乾燥器、5は温水器、6はパドル式混合機、7a,7bは送気経路に介在するファン、8は廃液タンクであり、廃液タンク8以外は前記第一実施形態と共通である。また、炭化炉1は、前記第一実施形態において図3〜図6を用いて説明したものと同じである。
【0039】
この第二実施形態では、処理対象の廃油Oは、廃液タンク8からバルブ8aの開放によってパドル式混合機7内に注入される。しかして、パドル式混合機7内には予め助燃用木質チップTが装填されており、該混合機7を稼働して廃油Oを木質チップTと攪拌混合することにより、木質チップTの表面に廃油Oが被着した状態となる。この混合物を乾燥器4に投入し、該乾燥器4内である程度まで水分を除いた上でベルトコンベヤ4aを介して炭化炉1内へ装填し、自発燃焼により炭化処理する。
【0040】
この炭化炉1からの燃焼排ガスG1 はガス再燃焼炉2内へ送られ、再燃焼されて排煙筒2bへ排出されるが、該排煙筒2bを通過する際に熱交換ジャケット2c内に導入される空気A0 と熱交換した上で高温排ガスG2 として温水器5へ送られ、水と熱交換して冷却された上で排気口5aより外部へ放出される。また、熱交換ジャケット2c内での熱交換によって昇温した加熱空気A1 は、冷却装置3へ送られて含有水分の結露によって除湿乾燥され、乾燥空気A2 として乾燥器4へ送られ、廃油Oと木質チップTとの混合物の乾燥を担った上で、該混合物から移行した水分を含む空気A3 となって乾燥器4から出るが、その一部が外部へ放出されると共に、残りは新たに導入される空気A0 に合流して熱交換ジャケット2c内へ還流される。
【0041】
この第二実施形態では、処理対象の廃油Oは粘性液状をなしているが、木質チップTと混合して、且つ乾燥器4にてある程度まで乾燥させるから、炭化炉1内へ装填した際には木質チップTの個々が表面に廃油Oを被着した状態で個々に分離した形になる。従って、炭化炉1内での前記混合物の堆積層は、その内部に熱気を下から上へと伝播させる無数の隙間を有することになり、もって自発燃焼による熱分解が効率よく進行し、廃油O及び木質チップTの全てが最終的に完全に炭化する。この場合の炭化処理でも、着火から自発燃焼への過程をスムーズに進行させる上で、前記第一実施形態と同様に、廃油Oと助燃用木質チップTとの混合物とは別に、同様の木質チップTを用いて最下部に当該木質チップTのみの層を形成し、その上に前記混合物を装填することが推奨される。しかして、廃油Oと木質チップTの使用比率は、一般的にO/Tの重量比で1/1〜5/1程度とすればよい。
【0042】
炭化炉1の炉内温度は、家畜排泄物Wの場合と同様に300℃以上で5時間以上継続するように設定するが、特にダイオキシン類の生成を防止する上で、800℃に達する過程を経るように設定することが望ましい。また、ガス再燃焼炉2の炉内温度についても、炭化処理の初期段階で万一ダイオキシン類が生成しても確実に分解できるように800℃以上に設定するのがよい。
【0043】
この第二実施形態の炭化処理において、自発燃焼が終息して炭化炉1から取り出される炭化処理物は、木質チップTが元の形態を保って炭化した木炭あるいは竹炭の表面を廃油O由来の炭層が覆った状態になっており、個々の炭片は内部まで完全に熱分解していて有機物を全く含まない。しかして、このような炭化処理物は、土壌改良材、吸湿材、水質浄化材等の多用途に再利用することが可能である。
【0044】
この処理方法では、廃油Oを木質チップTと共に自発燃焼によって炭素成分が殆ど残る形で炭化させるから、従来の焼却処理に比較して炭酸ガスの排出量は格段に少なくなり、京都議定書で批准された二酸化炭素排出量規制にも見合うことになる。また、炭化炉1での自発燃焼による熱と再燃焼炉2での再燃焼による熱を利用して予備乾燥を行うようにしているから、処理のための燃料消費も非常に少なくて済み、極めて低コストで処理を行える。
【0045】
なお、前述した第一及び第二実施形態では、排ガスを外部へ放出する前に温水器5に通して温水を製造するようにしているが、排ガスの熱は種々の材料の乾燥、保温、加熱等の温水製造以外の様々な熱エネルギーを使う用途に利用できる。また、本発明では、粘性有機質廃物として例示した家畜排泄物W及び廃油O以外のものも処理対象とすることができる。そして、粘性有機物は、例えば海面等に流出した石油類の回収に吸着材を使用した場合のように、様々な担持体に被着(吸着)された状態にあるものでも差し支えない。また、粘性有機物を主体とする廃物と粘性有機物を担持体に被着させた廃物とを一緒に処理することも可能である。
【0046】
本発明の処理方法では、処理対象が粘性有機質廃物であるにも関わらず、助燃用木質チップTと混合した上で乾燥処理を行うため、炭化炉内に装填した被処理物の堆積層中に自発燃焼を可能にする間隙を確保でき、もって支障なく炭化処理を行える。また、本発明の処理装置は、第一及び第二実施形態として例示したように、構成的に非常に簡素であるため、必要とする粘性有機質廃物の処理量に対応した小型化ならびに大型化が容易である上、炭化処理及び排ガスの再燃焼にて発生する熱を乾燥器4での乾燥処理や温水器5による温水製造を始めとして様々な形で有効利用できる。
【0047】
しかして、炭化炉については、図3〜図6で例示した構造以外に種々設計変更可能である。すなわち、例示した起倒回動可能な枢支構造では処理後の炭化処理物の取り出しが容易になるが、例えば、固定式にして下部に炭化処理物の取出し口を設けたり、クレーン等で吊り上げて傾倒あるいは逆転させて炭化処理物を取り出すような構成としてもよい。また、炭化炉の炉本体内に配設する加熱排気筒は、複数本に設定してもよいし、その上端からの排気経路を二重筒状とした当該加熱排気筒の内管部で構成したり、上端から折り返して炉本体の底部側に向かう管路で構成することも可能である。更に、ガス再燃焼炉から排出される高温排ガスと導入外気との熱交換部は、当該高温排ガスの外部への放出に至る煙道の任意の位置に設ける得ると共に、煙道の略全長にわたって熱交換部を構成してもよい。
【0048】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、家畜排泄物や廃油を始めとする粘性有機質廃物の処理方法として、粘性有機物を主体とする廃物又は/及び粘性有機物を担持体に被着させた廃物と、助燃用木質チップとを混合し、この混合物を乾燥処理した上で、特定構造の自燃式炭化炉の炉本体内に装填し、炉本体の底部から着火した以降は炉本体内に配設した加熱排気筒の赤熱を伴って酸素不足状態で自発燃焼させることにより、粘性有機質廃物を助燃用木質チップと共に熱分解して炭化するようにしているから、処理後の炭化処理物は内部まで完全に炭化して有機物を全く含まない状態となり、家畜排泄物きような汚物も完全に浄化でき、しかも簡素な装置構成により、大量の化石燃料を用いることなく極めて低コストで高能率の処理を行え、従来の灰化燃焼させる焼却処理のような大気中への大量の炭酸ガス放出を回避できる上、処理生成物が炭材として安全で且つ有用な再生資源となるという画期的な処理方法が提供される。
【0049】
請求項2の発明によれば、上記の粘性有機質廃物の処理方法において、前記炭化炉の加熱排気筒から排出される燃焼排ガスをガス再燃焼炉内に導いて再燃焼させることから、該燃焼排ガスに微量有機物が付随していても再燃焼によって完全に熱分解でき、もって悪臭成分、腐敗菌や黴胞子、環境ホルモンのような有害成分等が排ガスに伴って外部へ放出されるのを確実に阻止できる。
【0050】
請求項3の発明によれば、上記の粘性有機質廃物の処理方法において、前記ガス再燃焼炉から排出される高温排ガスとの熱交換によって導入外気を昇温させ、得られる加熱空気を冷却して含有水分の結露によって除湿乾燥し、この乾燥空気によって前記混合物の乾燥処理を行うようにしているから、乾燥処理用としての各別な熱源を必要とせず、それだけエネルギー消費を少なくして処理コストを低減できる。
【0051】
請求項4の発明によれば、上記の粘性有機質廃物の処理方法において、前記粘性有機質物を主体とする廃物が家畜排泄物である場合に、前記炭化炉における炉内温度が300℃以上で5時間以上継続するように設定することから、該家畜排泄物を炭化処理過程で完全に熱分解して浄化できる。
【0052】
請求項5の発明によれば、上記の粘性有機質廃物の処理方法において、前記粘性有機物が廃油である場合に、前記炭化炉における炉内温度が300℃以上で5時間以上継続して且つ800℃以上に達する過程を経るように設定することから、炭化処理過程でダイオキシン類が発生するのを確実に防止できる。
【0053】
請求項6の発明によれば、粘性有機質廃物の処理装置として、上記の処理方法に好適に適用して低コストで能率よく処理を行える上、外界への有害物質の排出を確実に防止できると共に、熱エネルギーを高度に循環利用でき、しかも構成的に非常に簡素であるため、必要とする処理量に対応した小型化ならびに大型化が容易である上、設備コストも安くて済むものが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る粘性有機質廃物の処理方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の第二実施形態に係る粘性有機質廃物の処理方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の処理方法及び処理装置に用いる炭化炉の側面図である。
【図4】同炭化炉の正面図である。
【図5】同炭化炉の縦断側面図である。
【図6】同炭化炉の下部の拡大縦断側面図である。
【図7】本発明の処理例における同炭化炉の炉内温度と処理時間との関係を示す相関図である。
【符号の説明】
1 炭化炉
1a 炉内空間
2 ガス再燃焼炉
2a ガスバーナー
2b 排気筒(熱交換部)
2c 熱交換ジャケット(熱交換部)
3 冷却装置
3a 結露室
3b クーリングタワー
4 乾燥器
5 温水器
5a 排気口
6 パドル式混合機(混合機)
7a,7b ファン
8 廃液タンク
10 炉本体
15a 内側底板(内底部)
16 着火室(着火部)
26 空気導入孔
30 開閉蓋
40 加熱排気筒
41 排気導入口
42 排気管部(排気路)
A0 導入空気
A1 加熱空気
A2 乾燥空気
A3 乾燥器から出た空気
G1 燃焼排ガス
G2 高温排ガス
W 家畜排泄物
O 廃油
T 助燃用木質チップ
M 混合物
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば家畜の排泄物や廃油の如き粘性有機質廃物の処理方法及び処理装置に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
近年、食の欧米化による食肉需要の拡大に伴い、都市近郊では畜産業が発展しており、これに伴って必然的に家畜排泄物の排出量も増大しているが、古くからの肥料等に使用されるのは牛糞等の極一部に限られ、もはや有効利用手段としては量的に全く問題外になっている。しかるに、現状では家畜排泄物の根本的な処理は行われておらず、殆どが垂れ流しの状態か、汚染水の浄化を行う程度であるため、環境汚染による多くの問題が生起している。
【0003】
例えば、水質汚濁した河川下流域での取水による上水化には、濾過滅菌に多大な手間及び時間を要するが、曝気式処理法や砂泥濾過法の如き緩速濾過法は近年の都市水需要の増大に対応できず、専ら急速濾過法を採用せざるを得なくなっている。しかるに、急速濾過法では、原水中の濁りや粗い粒子等を除くだけであるため、有機物群含量が多い場合はその残存によって細菌が繁殖し易く、濾過後の滅菌用塩素濃度を高くすることになるが、有機物と塩素との反応によって発癌性のトリハロメタンが生成し、渇水期の上水中には規定値を上回るトリハロメタンが含まれる懸念も生じている。
【0004】
また、家畜排泄物の流入等で富栄養化した河川水が海に流入すると、特に湾のような潮流の穏やかな海域でプランクトンの大量発生を招き、魚介類の養殖を始めとする沿岸漁業に壊滅的な打撃を与えることになる。更に、家畜の糞尿中には寄生虫が存在しているが、糞尿処理が不完全であると土壌、河川、湖沼等が寄生虫卵で汚染され、農産物や水産物を介して経口的に人が摂取し、寄生虫感染者が増えることになる。更に、特に雑食性の豚の糞尿のように強烈な臭気を有する上に粘性の高いものは、取扱い性が悪く肥料等への利用も困難であるから、悪臭の拡散による周辺環境の悪化や畜舎自体の飼育環境の悪化等を防止するために、その処理が急務になっている。
【0005】
しかるに、一般的な焼却処理は、多量の水分を含む家畜排泄物が自燃しないことから、灰化するまで完全に燃焼させるのに大量の燃料が必要になる上、悪臭や有害物が発生しないように高温燃焼させるための焼却設備が大規模で高価なものにならざるを得ず、処理コストが非常に高く付いて到底実用的ではない。また、近年では生物学的分解法が検討され、その分解時に発生するメタンガスを利用した発電等も試みられているが、生物学的分解には長時間を要することから、大量処理を行う上で大規模な分解槽が必要であり、そのための膨大な設備コストの負担が普及を阻む最大の要因になっている他、分解菌の維持管理が難しいという技術的な問題も残している。
【0006】
一方、近年においては、自動車や船舶等のエンジンオイルを始めとして様々な機械可動部に使用後に回収された潤滑油類、食品工場等で用済みとなった揚げ物用油類等の廃油が大量に発生しており、また往々にして海難事故や貯蔵タンクの事故等があった際にも海面等に流出した石油類が膨大な量の廃油として回収されるが、温暖化防止等の地球的規模での環境保全の面から、これら廃油の処理も大きな課題になっている。
【0007】
すなわち、廃油は元来が可燃物であるから、従来より専ら焼却処理が採用されているが、その焼却によって地球温暖化の要因とされる炭酸ガスが大量に発生すると共に、廃油成分や燃焼条件によって例えばダイオキシン類の如き環境ホルモンになるような有害成分が広域に放散されるという問題を生じている。
【0008】
本発明は、上述の情況に鑑み、前記の家畜排泄物や廃油等の粘性有機質廃物を処理対象として、簡素な加熱装置構成により、大量の化石燃料を用いることなく低コストで高能率の処理を行える上、しかも処理生成物が安全で且つ非常に有用な再生資源となるという画期的な処理方法及び処理装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る粘性有機質廃物の処理方法は、図面の参照符号を付して示せば、粘性有機物を主体とする廃物W,O又は/及び粘性有機物を担持体に被着させた廃物と、助燃用木質チップTとを混合し、この混合物を乾燥処理し、内底部(内側底板15a)に複数の空気導入孔26…を有する略密閉式の炉本体10内に、下部に炉内空間1aに連通する排気導入孔41…を備えて上部が炉外への排気路(排気管部42)に繋がる加熱排気筒40が配置した自燃式炭化炉1を用い、この炭化炉1の炉本体10内に前記乾燥処理後の混合物を収容し、炉本体10の底部から着火し、以降は加熱排気筒40内を通る燃焼排ガスG1 の熱気による当該加熱排気筒40の赤熱を伴って前記混合物を酸素不足状態で自発燃焼させることにより、前記粘性有機物を助燃用木質チップTと共に熱分解して炭化させることを特徴としている。
【0010】
また、請求項2の発明は、上記請求項1の処理方法において、前記炭化炉1の加熱排気筒50から排出される燃焼排ガスG1 をガス再燃焼炉2内に導いて再燃焼させることを特徴としている。そして、請求項3の発明は、この請求項2の粘性有機質廃物の処理方法において、前記ガス再燃焼炉2から排出される高温排ガスG2 との熱交換によって導入外気A0 を昇温させ、得られる加熱空気A1 を冷却して含有水分の結露によって除湿乾燥し、この乾燥空気A2 によって前記混合物の乾燥処理を行うものとしている。
【0011】
更に、請求項4の発明は、上記請求項1〜3のいずれかの処理方法において、前記粘性有機質物を主体とする廃物が家畜排泄物Wであり、前記炭化炉1における炉内温度が300℃以上で5時間以上継続するように設定する構成としている。また、請求項5の発明は、上記請求項1〜3のいずれかの処理方法において、前記粘性有機質物を主体とする廃物が廃油Oであり、前記炭化炉1における炉内温度が300℃以上で5時間以上継続して且つ800℃以上に達する過程を経るように設定する構成としている。
【0012】
一方、請求項6の発明に係る粘性有機質廃物の処理装置は、粘性有機物を主体とする廃物W,O又は/及び粘性有機物を担持体に被着させた廃物と助燃用木質チップTとを混合する混合機(パドル混合機6)と、該混合機6にて混合された混合物を乾燥させる乾燥器4と、内底部(内側底板15a)に複数の空気導入孔26…を有する略密閉式の炉本体10内に、下部に炉内空間に連通する排気導入口41…を備えて上部が炉外への排気路42に繋がる加熱排気筒40が配置し、底部側を着火部として装填された前記乾燥後の混合物を自発燃焼させて炭化する自燃式炭化炉1と、該炭化炉1の加熱排気筒40から排出される燃焼排ガスA0 を再燃焼させるガス再燃焼炉2と、該ガス再燃焼炉2から排出される高温排ガスG2 と導入外気とを熱交換させる熱交換部(熱交換ジャケット2c)と、該熱交換部2cより導出される加熱空気A1 を水冷して結露による除湿を行う冷却装置3と、該冷却装置3にて除湿された乾燥空気A2 を前記乾燥器4へ送る送気手段(ファン7b)とを備えてなるものとしている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る有機質固形廃棄物の処理方法及び処理装置について、図面を参照して具体的に説明する。図1及び図2は第一及び第四実施形態の各々処理方法のフローチャート、図3〜6は該処理方法に使用する自然式炭化炉の構成例を示す。
【0014】
図1のフローチャートは、本発明の処理方法を家畜排泄物Wの処理に適用した第一実施形態を示し、図中の1は自然式炭化炉、2はガス再燃焼炉、3は冷却装置、4は乾燥器、5は温水器、6はパドル式混合機、7a,7bは送気経路に介在するファンである。
【0015】
この第一実施形態では、まず処理対象の家畜排泄物Wと助燃用木質チップTとをパドル式混合機6に投入して攪拌混合し、この混合物を乾燥器4内に収容してある程度まで水分を除いた上で、該乾燥器4の下部に設けたベルトコンベア4aを介して下方の炭化炉1内に装填し、当該炭化炉1内で自発燃焼により炭化させる。しかして、自然式炭化炉1内での自発燃焼に伴って発生する燃焼排ガスG1 はファン7aを介してガス再燃焼炉2内へ送られ、このガス再燃焼炉2内で乾燥器4から送られてくる空気A3 と合流し、ガスバーナー2aを用いた再燃焼によって更に昇温して排煙筒2bへ排出されるが、該排煙筒2bを通過する際に外側に設けた熱交換ジャケット2c内に導入される空気A0 と熱交換し、ある程度降温した高温排ガスG2 となって温水器5へ送られ、この温水器5内で更に水と熱交換して冷却された上で、当該温水器5の出口に設けた排気口5aより外部へ放出される。
【0016】
また、熱交換ジャケット2c内に導入された空気A0 は、当該ジャケット2c内の螺旋状に形成された通気路を通る過程で前記熱交換によって昇温し、加熱空気A1 として冷却装置3へ送られ、該冷却装置3の結露室3a内でクーリングタワー3bを介して循環供給される冷却水と熱交換し、含有水分の結露によって除湿乾燥され、乾燥空気A2 としてファン7bを介して乾燥器4へ送られ、該乾燥器4内の前記混合物を乾燥させる機能を果たす。そして、該混合物より移行した水分を含む空気A3 は、乾燥器4内よりガス再燃焼炉2へ送られ、前記のように炭化炉1からの燃焼排ガスG1 と合流して再燃焼される。
【0017】
ここで、自燃式炭化炉1は、図5に示すように、有底縦円筒状に形成されて上端開口部を材料出入口11とする炉本体10と、この炉本体10の材料出入口11を封鎖する開閉蓋30と、炉本体10内の中心部に立設された金属製の加熱排気筒40とから構成されている。
【0018】
炉本体10は、周壁部10aが内外金属板12a,12b間に断熱材13を装填した二重壁構造をなしており、その前面側には図6に示すように内外に透通する複数個の熱電対挿入孔14…が上下方向に沿って所定間隔置きに設けられている。なお、これら熱電対挿入孔14…は栓(図示省略)によって閉塞できるようになっている。また、炉本体10の底部10bには、金属製の上部底板15aと下部底板15bとの間に着火室16が構成され、この着火室16から下方へ突出した短円筒状の中継室16aと、該中継室16aより前方へ延出する着火熱源導入筒17とが設けられると共に、着火室16の側方に開口する外気吸入口18を有している。そして、図6に示すように、外気吸入口18には一端側を外部に開放した外気吸入管19が接続され、この外気吸入管19の途中に流量制御弁20が介在している。
【0019】
しかして、図3及び図4に示すように、炉本体10の左右両側には台形状の支持フレーム22a,22bが立設されており、両支持フレーム22a,22bの上端に設けた軸受23a,23bに、炉本体10のやや下部寄り位置の左右両側に突設された枢軸21a,21bを枢支させることにより、両支持フレーム22a,22bに炉本体10が図3の実線で示す直立姿勢と同仮想線で示す転倒姿勢とに転換可能に支持されている。なお、24は軸受23b側のギヤボックス25より突出する姿勢変換用ハンドルであり、その回転操作によって該ギヤボックス25内のウォーム減速ギヤ機構(図示省略)を介して炉本体10を起倒回動させるようになっている。
【0020】
加熱排気筒40は、炉本体10内において、下端を上部底板15a上に載置した状態で、閉鎖した上端が当該炉本体10の材料出入口11近傍に達する高さに設定され、下部の周囲に多数の孔からなる排気導入口41を有すると共に、上端近傍から後方へ水平に延設された排気管部42が炉本体10の周壁部10aを貫通して後方外部へ突出している。しかして、排気管部42の外部側にはレバー付き開閉弁43が介装されると共に、その外端にはガス再燃焼炉2(図1参照)に繋がるフレキシブル配管44がワンタッチクランプ継手45を介して接続されている。
【0021】
また、炉本体10の上部底板15aには、図6に拡大して示すように、加熱排気筒40の周囲に配置して当該加熱排気筒40の位置ずれを防止する位置決め突片26…と、当該加熱排気筒40の中央部を除く領域に、相互に適当な間隔を置いて配置した多数の空気流入孔27…が穿設されると共に、各空気流入孔26の上側に閉塞防止用の山形カバー片27aが溶接にて固着されている。更に、図6のA−A線方向の構造を矢印方向に取り出して示すように、着火熱源導入筒17の入口17a側には上下をガイド溝とするダンパー保持部17aが設けてあり、このダンパー保持部17aに連通孔27a付きのダンパー28が左右移動自在に嵌装されており、その連通孔28aが着火熱源導入筒17の入口17bに合致する開放状態から図の仮想線で示すようにダンパー28を押し込むことにより、当該入口17bを遮断できるようになっている。
【0022】
開閉蓋30は、炉本体10とは別体として、金属製の表裏板30a,30b間に断熱材31を介装した円形厚板状に形成されている。しかして、炉本体10の後方には左右一対の支柱32a,32bが立設されており、両支柱32a,32bの上部間にわたされた枢軸33に左右一対の逆へ字形の取付けアーム34,34が中間部で固設され、両取付けアーム34,34の前端に開閉蓋30が取り付けられると共に、両取付けアーム34,34の後端側に角柱状のバランスウエイト35が固設されている。また、右側の支柱32bの上端には枢軸33の軸受部をなすギヤボックス35が設けてあり、該ギヤボックス35より突出する蓋開閉用ハンドル26の回転操作により、該ギヤボックス35内のウォーム減速ギヤ機構(図示省略)を介して枢軸33が両取付けアーム34,34と一体に回動し、もって開閉蓋30が図5の実線で示す閉鎖姿勢と同仮想線で示す開放姿勢とに転換するように構成されている。
【0023】
しかして、炉本体10の材料出入口11の周縁には一定間隔置きに複数個のハンドル式クランプ具29…が起倒回動自在に枢着される一方、開閉蓋30の外周部には各クランプ具29に対応する溝付き突片36が突設されており、該開閉蓋30を材料出入口11に被せた状態で、各クランプ具29の軸部29aを溝付き突片36の溝部(図示省略)に係入し、ハンドル部29bを回して締め付けることにより、該開閉蓋20が材料出入口11に圧着して密閉状態になるように設定されている。なお、図3〜図5では、図面の錯綜を避けるためにクランプ具29の1個又は2個のみを図示している。
【0024】
第一実施形態の家畜排泄物Wの処理においては、既述のように乾燥器4での乾燥処理を経た排泄物Wと助燃用木質チップTとの混合物を自然式炭化炉1の炉本体10内に装填するが、この装填に際し、該混合物とは別途に木質チップTを用い、図5に示すように、最下部に木質チップTの層を形成し、その上に混合物Mを充填し、更に最上部に木質チップTの層を形成するのがよい。これは、最下部に燃え易い木質チップTの層が存在することによって着火から自発燃焼への過程がスムーズに進むことと、この最下部と最上部の木質チップTの層が加熱初期段階の低温時に生じ易い有機質成分の飛散を防ぐカバーとして機能することによる。
【0025】
使用する助燃用木質チップTとしては、木や竹の間伐材、剪定の切り枝、製材工程や加工工程から出る端材や残材、建築に伴う木屑、木や竹を使用した製品の廃棄物や家屋解体等で生じる廃材の如き様々な不要材、更にはナッツ類の殻のような堅果殻等を使用できる。また、木質チップTの大きさや形態にも特に制約はなく、大きさが不揃いでも支障はないが、余りに大き過ぎては装填物層内での通気経路が不均等になり、逆にあまりに小さ過ぎては相互の間隙が小さくなり、共に熱気の下方から上方への伝播を阻害するため、最長部が1〜20cm程度のもの、特に棒片状のものが推奨される。
【0026】
家畜排泄物Wと木質チップTの混合比率は、家畜排泄物Mの性状によって異なるが、豚糞尿のような粘性ペーストに近いものでは一般的にW/Tの重量比で1/1〜5/1程度であり、また着火から自発燃焼に至る過程を円滑に進める上で、炉内空間の最下層を構成する木質チップTが混合物Mに対して5〜30容量%程度となる範囲に設定するのがよい。しかして、家畜排泄物Wと木質チップTの混合物は、図6において断面で示すように、木質チップTを芯にして、その周囲を覆うように排泄物Wが被着した塊状粒子の状態になっている。
【0027】
かくして家畜排泄物Wと木質チップTの混合物Mを自然式炭化炉1内に装填後、図5に示すように、着火熱源導入筒17の入口17aを開放し、ガスバーナー50の火炎等の着火熱源を導入筒17に導入する。これにより、着火熱源の燃焼ガスと熱せられた空気とが混合状態で中継室16aを経て着火室16内に充満し、更に内側底板15aの空気導入孔27…より炉内空間1aへ侵入し、もって最下部の木質チップT…が着火し、その自発燃焼による熱分解が開始される。しかして、着火熱源導入筒17の入口17aは、最下部の木質チップT…が自発燃焼を始めた時点でダンパー28によって閉鎖する。
【0028】
上記自発燃焼の開始に伴い、発生する高温の燃焼ガスが木質チップT…間の隙間を通って上昇して熱気を下から上へ伝播させると共に、該燃焼ガスの一部は排気導入口41…より加熱排気筒40内に吸い込まれ、この吸い込まれる燃焼ガスの熱気と周囲の木質チップT…の自発燃焼による熱気とで当該排気筒40の下部が内外両側から熱せられて赤熱する。そして更に自発燃焼が拡がるにしたがって、増加する燃焼ガスの熱気と蓄熱によって当排気筒40の赤熱部分が次第に上方へ拡大してゆき、遂には加熱排気筒40全体が赤熱状態になる。これにより、屑肉M…は、下方から上昇してくる熱気と、赤熱した加熱排気筒40から周囲へ放射される熱気とで加熱され、堆積層の下部側と中央側の両方から熱分解し始め、更に自燃温度に達して自発燃焼し、この自発燃焼・熱分解の領域が拡がるに伴い、加熱排気筒40が流入する燃焼ガスの増加によって更に高温化して周囲への熱放射を増し、その相乗効果で熱分解反応の進行と自発燃焼領域の拡大が速められ、やがて炉内空間1a全体が均一な高温状態になり、装填した混合物Mの家畜排泄物W及び木質チップTの全てが熱分解する。
【0029】
この炭化処理においては、加熱排気筒40からの燃焼排ガスG1 の排出に伴い、着火室16内に外気吸入口18より外気が吸入されるが、この外気吸入量を外気吸入管19の途中に設けた流量制御弁20にて制限することにより、炉内空間1aを酸素不足状態に維持する。これにより、排泄物W及び木質チップTは、不完全燃焼によって炭素成分が殆ど燃焼しない状態で熱分解を継続し、もって最終的に内部まで完全に炭化することになる。一方、加熱排気筒40から排出される燃焼排ガスG1 は、既述のようにガス再燃焼炉2に送って再燃焼させるから、ガス中に微量の有機物が付随していても完全に分解されることになる。
【0030】
また、炭化炉1の炉内温度や該炭化炉1からの燃焼排ガスG1 の温度を温度センサー等で計測し、この計測温度に応じて流量制御弁20の開閉及び開度調整を行うことにより、炉内温度を調整できる。しかして、この流量制御弁20の開閉及び開度調整は、予め得た試験データに基づいて設定した処理温度条件を制御機構にインプットし、温度センサー等による計測温度に応じて自動制御するように構成すればよい。この第一実施形態の家畜排泄物Wの処理では、炭化炉1の炉内温度は、300℃以上で5時間以上継続するように設定するのがよい。
【0031】
炭化炉1内での自発燃焼が終息すれば、クランプ具29…を外し、図5の仮想線で示すように、開閉蓋30を開放した上で、炭化炉1を前方へ倒し、内部の炭化処理物を掻き出して適当な容器や袋に収容する。得られた炭化処理物は完全に炭化しており、木質チップTの炭化物は元の形状を保った炭素含有率100%の木炭あるいは竹炭になっている。また、家畜排泄物Wの炭化物は、体積減少して芯であった木質チップTの炭化物から分離し、概して細かく分解して砂状を呈している。
【0032】
このような処理方法では、家畜排泄物Wを木質チップTと共に自発燃焼によって炭化させるため、処理開始時の着火熱源とガス再燃焼炉2の熱源として極少量の燃料を消費するだけであり、しかも完全に灰化燃焼させることなく炭素成分の殆どが残る形になる。従って、この処理方法によれば、化石燃料を用いた完全焼却処理に比較して、エネルギー消費が非常に少なくて済み、極めて低コストで処理を行える上、二酸化炭素の排出量も格段に低減されるから、環境への負荷が僅少である。また、家畜排泄物Wの炭化物は、元の汚物のイメージを完全に消失し、有機物を全く含まず臭気もない状態になっているため、衛生的に取り扱えて且つ安全な再生資源物質として肥料や土壌改質材等に利用できる。
【0033】
更に、第一実施形態の処理方法では、ガス再燃焼炉2から出る高温排ガスG2 の熱を利用して導入外気A0 を加熱し、得られた加熱空気A1 を冷却して除湿乾燥し、この乾燥空気A2 にて炭化処理前の屑肉Mを乾燥処理することから、この乾燥処理のための熱源が不要となる上、炭化炉1へ装填する混合物Mの水分含有量の減少により、炭化処理時の水の気化熱による温度低下作用が小さくなる上、混合物Mの塊状粒子が表面の乾燥によって互いに密着しにくくなり、その塊状粒子の相互間に熱気を通す間隙ができ易く、それだけ処理効率が向上して速やかに炭化が進む。また、前記導入外気A0 との熱交換後の高温排ガスG2 を温水器5に通した上で外部へ放出することにより、その熱を更に温水製造にも使い、もって処理全体を通して熱エネルギーを極限に近く有効利用する形になっている。
【0034】
更に、乾燥器4を経た空気A3 は、湿気と共に家畜排泄物Wから移行した強烈な悪臭成分を含み、また腐敗菌や黴胞子等も混じる可能性があるが、ガス再燃焼炉2へ導入して炭化炉1からの燃焼排ガスG1 と一緒に再燃焼させるから、臭気や菌類も完全に分解され、温水器5を経て外部へ放出されるガスは無臭で有害成分も含まないものとなる。なお、ガス再燃焼炉2の炉内温度は、微量有機物を完全に熱分解する上で、600〜1000℃程度に設定するのがよい。
【0035】
〔処理例〕
図1のフローチャートで示す装置構成において、図3〜図5に示す構造で容量300Lの炭化炉1を使用し、豚舎から出た豚糞尿の処理を行った。この処理では、助燃用木質チップとして長さ1〜10cm,幅1〜3cmの竹間伐材チップを用い、まず豚糞尿123Kgと竹間伐材チップ20Kgとをパドル式混合機で攪拌混合し、この混合物を乾燥器4内に装填する一方、炭化炉1には竹間伐材チップのみを100Kg装填し、その自発燃焼による昇温後の炉内温度を450℃前後に設定して竹炭の製造を行い、この時に稼働させたガス再燃焼炉2(炉内温度は約800℃に固定)から出る高温排ガスG2 と導入外気A0 との熱交換、冷却装置3での除湿乾燥にて得られる乾燥空気A2 (温度70〜80℃,湿度1〜2%)を乾燥器4へ送り、前記混合物を乾燥処理した。
【0036】
次に、前記炭化炉1の着火から20時間後に生成した竹炭を取り出し、この炭化炉1内に、乾燥器4内の混合物全量102Kg(全量…乾燥減量41Kg)と上記同様の竹間伐材チップ50kgとを、竹間伐材チップは全量を半分に分けて最下層と最上層を構成する形で装填し、炭化処理を行った。なお、この処理では積極的な炉内温度調整を行わずに流量制御弁20を一定開度で放置し、熱電対挿入孔14に熱電対を挿入して混合物堆積層の中間位置における温度を継続して測定した。なお、ガス再燃焼炉2は炉内温度約800℃で固定し、前記同様の熱交換、除湿乾燥にて得られる乾燥空気A2 を乾燥器4へ送って次の処理に用いる混合物の乾燥に供した。
【0037】
上記炭化処理の着火から18時間後、既に自発燃焼を終息している炭化炉1の開閉蓋30を開き、該炭化炉1を前方へ倒して炭化処理物を取り出したところ、竹間伐材チップの形状を保った竹炭と、豚糞尿に由来する砂状になった炭化物とが混ざった状態であり、元の豚糞尿の強烈な臭気は完全に消えていた。しかして、竹炭の重量は8.8Kg、豚糞尿炭化物の重量は5.8Kgであり、豚糞尿は初期重量の約5%に減少したことになる。また、処理中に測定した炉内温度は、図7に示すように、着火後30分程度で約800℃の最高温度に達したのち、着火後1時間程度で約500℃まで下がるが、以降は10数時間にわたって300℃以上に保たれており、元の豚糞尿中の有機物は完全に分解されていることが明らかである。更に、処理中に外部へ排出される排気には全く悪臭はなかった。
【0038】
図2のフローチャートは、本発明の処理方法を廃油Oの処理に適用した第二実施形態を示す。図中の1は自然式炭化炉、2はガス再燃焼炉、3は冷却装置、4は乾燥器、5は温水器、6はパドル式混合機、7a,7bは送気経路に介在するファン、8は廃液タンクであり、廃液タンク8以外は前記第一実施形態と共通である。また、炭化炉1は、前記第一実施形態において図3〜図6を用いて説明したものと同じである。
【0039】
この第二実施形態では、処理対象の廃油Oは、廃液タンク8からバルブ8aの開放によってパドル式混合機7内に注入される。しかして、パドル式混合機7内には予め助燃用木質チップTが装填されており、該混合機7を稼働して廃油Oを木質チップTと攪拌混合することにより、木質チップTの表面に廃油Oが被着した状態となる。この混合物を乾燥器4に投入し、該乾燥器4内である程度まで水分を除いた上でベルトコンベヤ4aを介して炭化炉1内へ装填し、自発燃焼により炭化処理する。
【0040】
この炭化炉1からの燃焼排ガスG1 はガス再燃焼炉2内へ送られ、再燃焼されて排煙筒2bへ排出されるが、該排煙筒2bを通過する際に熱交換ジャケット2c内に導入される空気A0 と熱交換した上で高温排ガスG2 として温水器5へ送られ、水と熱交換して冷却された上で排気口5aより外部へ放出される。また、熱交換ジャケット2c内での熱交換によって昇温した加熱空気A1 は、冷却装置3へ送られて含有水分の結露によって除湿乾燥され、乾燥空気A2 として乾燥器4へ送られ、廃油Oと木質チップTとの混合物の乾燥を担った上で、該混合物から移行した水分を含む空気A3 となって乾燥器4から出るが、その一部が外部へ放出されると共に、残りは新たに導入される空気A0 に合流して熱交換ジャケット2c内へ還流される。
【0041】
この第二実施形態では、処理対象の廃油Oは粘性液状をなしているが、木質チップTと混合して、且つ乾燥器4にてある程度まで乾燥させるから、炭化炉1内へ装填した際には木質チップTの個々が表面に廃油Oを被着した状態で個々に分離した形になる。従って、炭化炉1内での前記混合物の堆積層は、その内部に熱気を下から上へと伝播させる無数の隙間を有することになり、もって自発燃焼による熱分解が効率よく進行し、廃油O及び木質チップTの全てが最終的に完全に炭化する。この場合の炭化処理でも、着火から自発燃焼への過程をスムーズに進行させる上で、前記第一実施形態と同様に、廃油Oと助燃用木質チップTとの混合物とは別に、同様の木質チップTを用いて最下部に当該木質チップTのみの層を形成し、その上に前記混合物を装填することが推奨される。しかして、廃油Oと木質チップTの使用比率は、一般的にO/Tの重量比で1/1〜5/1程度とすればよい。
【0042】
炭化炉1の炉内温度は、家畜排泄物Wの場合と同様に300℃以上で5時間以上継続するように設定するが、特にダイオキシン類の生成を防止する上で、800℃に達する過程を経るように設定することが望ましい。また、ガス再燃焼炉2の炉内温度についても、炭化処理の初期段階で万一ダイオキシン類が生成しても確実に分解できるように800℃以上に設定するのがよい。
【0043】
この第二実施形態の炭化処理において、自発燃焼が終息して炭化炉1から取り出される炭化処理物は、木質チップTが元の形態を保って炭化した木炭あるいは竹炭の表面を廃油O由来の炭層が覆った状態になっており、個々の炭片は内部まで完全に熱分解していて有機物を全く含まない。しかして、このような炭化処理物は、土壌改良材、吸湿材、水質浄化材等の多用途に再利用することが可能である。
【0044】
この処理方法では、廃油Oを木質チップTと共に自発燃焼によって炭素成分が殆ど残る形で炭化させるから、従来の焼却処理に比較して炭酸ガスの排出量は格段に少なくなり、京都議定書で批准された二酸化炭素排出量規制にも見合うことになる。また、炭化炉1での自発燃焼による熱と再燃焼炉2での再燃焼による熱を利用して予備乾燥を行うようにしているから、処理のための燃料消費も非常に少なくて済み、極めて低コストで処理を行える。
【0045】
なお、前述した第一及び第二実施形態では、排ガスを外部へ放出する前に温水器5に通して温水を製造するようにしているが、排ガスの熱は種々の材料の乾燥、保温、加熱等の温水製造以外の様々な熱エネルギーを使う用途に利用できる。また、本発明では、粘性有機質廃物として例示した家畜排泄物W及び廃油O以外のものも処理対象とすることができる。そして、粘性有機物は、例えば海面等に流出した石油類の回収に吸着材を使用した場合のように、様々な担持体に被着(吸着)された状態にあるものでも差し支えない。また、粘性有機物を主体とする廃物と粘性有機物を担持体に被着させた廃物とを一緒に処理することも可能である。
【0046】
本発明の処理方法では、処理対象が粘性有機質廃物であるにも関わらず、助燃用木質チップTと混合した上で乾燥処理を行うため、炭化炉内に装填した被処理物の堆積層中に自発燃焼を可能にする間隙を確保でき、もって支障なく炭化処理を行える。また、本発明の処理装置は、第一及び第二実施形態として例示したように、構成的に非常に簡素であるため、必要とする粘性有機質廃物の処理量に対応した小型化ならびに大型化が容易である上、炭化処理及び排ガスの再燃焼にて発生する熱を乾燥器4での乾燥処理や温水器5による温水製造を始めとして様々な形で有効利用できる。
【0047】
しかして、炭化炉については、図3〜図6で例示した構造以外に種々設計変更可能である。すなわち、例示した起倒回動可能な枢支構造では処理後の炭化処理物の取り出しが容易になるが、例えば、固定式にして下部に炭化処理物の取出し口を設けたり、クレーン等で吊り上げて傾倒あるいは逆転させて炭化処理物を取り出すような構成としてもよい。また、炭化炉の炉本体内に配設する加熱排気筒は、複数本に設定してもよいし、その上端からの排気経路を二重筒状とした当該加熱排気筒の内管部で構成したり、上端から折り返して炉本体の底部側に向かう管路で構成することも可能である。更に、ガス再燃焼炉から排出される高温排ガスと導入外気との熱交換部は、当該高温排ガスの外部への放出に至る煙道の任意の位置に設ける得ると共に、煙道の略全長にわたって熱交換部を構成してもよい。
【0048】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、家畜排泄物や廃油を始めとする粘性有機質廃物の処理方法として、粘性有機物を主体とする廃物又は/及び粘性有機物を担持体に被着させた廃物と、助燃用木質チップとを混合し、この混合物を乾燥処理した上で、特定構造の自燃式炭化炉の炉本体内に装填し、炉本体の底部から着火した以降は炉本体内に配設した加熱排気筒の赤熱を伴って酸素不足状態で自発燃焼させることにより、粘性有機質廃物を助燃用木質チップと共に熱分解して炭化するようにしているから、処理後の炭化処理物は内部まで完全に炭化して有機物を全く含まない状態となり、家畜排泄物きような汚物も完全に浄化でき、しかも簡素な装置構成により、大量の化石燃料を用いることなく極めて低コストで高能率の処理を行え、従来の灰化燃焼させる焼却処理のような大気中への大量の炭酸ガス放出を回避できる上、処理生成物が炭材として安全で且つ有用な再生資源となるという画期的な処理方法が提供される。
【0049】
請求項2の発明によれば、上記の粘性有機質廃物の処理方法において、前記炭化炉の加熱排気筒から排出される燃焼排ガスをガス再燃焼炉内に導いて再燃焼させることから、該燃焼排ガスに微量有機物が付随していても再燃焼によって完全に熱分解でき、もって悪臭成分、腐敗菌や黴胞子、環境ホルモンのような有害成分等が排ガスに伴って外部へ放出されるのを確実に阻止できる。
【0050】
請求項3の発明によれば、上記の粘性有機質廃物の処理方法において、前記ガス再燃焼炉から排出される高温排ガスとの熱交換によって導入外気を昇温させ、得られる加熱空気を冷却して含有水分の結露によって除湿乾燥し、この乾燥空気によって前記混合物の乾燥処理を行うようにしているから、乾燥処理用としての各別な熱源を必要とせず、それだけエネルギー消費を少なくして処理コストを低減できる。
【0051】
請求項4の発明によれば、上記の粘性有機質廃物の処理方法において、前記粘性有機質物を主体とする廃物が家畜排泄物である場合に、前記炭化炉における炉内温度が300℃以上で5時間以上継続するように設定することから、該家畜排泄物を炭化処理過程で完全に熱分解して浄化できる。
【0052】
請求項5の発明によれば、上記の粘性有機質廃物の処理方法において、前記粘性有機物が廃油である場合に、前記炭化炉における炉内温度が300℃以上で5時間以上継続して且つ800℃以上に達する過程を経るように設定することから、炭化処理過程でダイオキシン類が発生するのを確実に防止できる。
【0053】
請求項6の発明によれば、粘性有機質廃物の処理装置として、上記の処理方法に好適に適用して低コストで能率よく処理を行える上、外界への有害物質の排出を確実に防止できると共に、熱エネルギーを高度に循環利用でき、しかも構成的に非常に簡素であるため、必要とする処理量に対応した小型化ならびに大型化が容易である上、設備コストも安くて済むものが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る粘性有機質廃物の処理方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の第二実施形態に係る粘性有機質廃物の処理方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の処理方法及び処理装置に用いる炭化炉の側面図である。
【図4】同炭化炉の正面図である。
【図5】同炭化炉の縦断側面図である。
【図6】同炭化炉の下部の拡大縦断側面図である。
【図7】本発明の処理例における同炭化炉の炉内温度と処理時間との関係を示す相関図である。
【符号の説明】
1 炭化炉
1a 炉内空間
2 ガス再燃焼炉
2a ガスバーナー
2b 排気筒(熱交換部)
2c 熱交換ジャケット(熱交換部)
3 冷却装置
3a 結露室
3b クーリングタワー
4 乾燥器
5 温水器
5a 排気口
6 パドル式混合機(混合機)
7a,7b ファン
8 廃液タンク
10 炉本体
15a 内側底板(内底部)
16 着火室(着火部)
26 空気導入孔
30 開閉蓋
40 加熱排気筒
41 排気導入口
42 排気管部(排気路)
A0 導入空気
A1 加熱空気
A2 乾燥空気
A3 乾燥器から出た空気
G1 燃焼排ガス
G2 高温排ガス
W 家畜排泄物
O 廃油
T 助燃用木質チップ
M 混合物
Claims (6)
- 粘性有機物を主体とする廃物又は/及び粘性有機物を担持体に被着させた廃物と、助燃用木質チップとを混合し、この混合物を乾燥処理し、内底部に複数の空気導入孔を有する略密閉式の炉本体内に、下部に炉内空間に連通する排気導入口を備えて上部が炉外への排気路に繋がる加熱排気筒が配置した自燃式炭化炉を用い、この炭化炉の炉本体内に前記乾燥処理後の混合物を収容し、炉本体の底部から着火し、以降は加熱排気筒内を通る燃焼排ガスの熱気による当該加熱排気筒の赤熱を伴って前記混合物を酸素不足状態で自発燃焼させることにより、前記粘性有機物を助燃用木質チップと共に熱分解して炭化させることを特徴とする粘性有機質廃物の処理方法。
- 前記炭化炉の加熱排気筒から排出される燃焼排ガスをガス再燃焼炉内に導いて再燃焼させることを特徴とする請求項1記載の粘性有機質廃物の処理方法。
- 前記ガス再燃焼炉から排出される高温排ガスとの熱交換によって導入外気を昇温させ、得られる加熱空気を冷却して含有水分の結露によって除湿乾燥し、この乾燥空気によって前記混合物の乾燥処理を行う請求項2記載の粘性有機質廃物の処理方法。
- 前記粘性有機質物を主体とする廃物が家畜排泄物であり、前記炭化炉における炉内温度が300℃以上で5時間以上継続するように設定する請求項1〜3のいずれかに記載の粘性有機質廃物の処理方法。
- 前記粘性有機質物を主体とする廃物が廃油であり、前記炭化炉における炉内温度が300℃以上で5時間以上継続して且つ800℃以上に達する過程を経るように設定する請求項1〜3のいずれかに記載の粘性有機質廃物の処理方法。
- 粘性有機物を主体とする廃物又は/及び粘性有機物を担持体に被着させた廃物と助燃用木質チップとを混合する混合機と、該混合機にて混合された混合物を乾燥させる乾燥器と、内底部に複数の空気導入孔を有する略密閉式の炉本体内に、下部に炉内空間に連通する排気導入口を備えて上部が炉外への排気路に繋がる加熱排気筒が配置し、底部側を着火部として装填された前記乾燥後の混合物を自発燃焼させて炭化する自燃式炭化炉と、該炭化炉の加熱排気筒から排出される燃焼排ガスを再燃焼させるガス再燃焼炉と、該ガス再燃焼炉から排出される高温排ガスと導入外気とを熱交換させる熱交換部と、該熱交換部より導出される加熱空気を水冷して結露による除湿を行う冷却装置と、該冷却装置にて除湿された乾燥空気を前記乾燥器へ送る送気手段とを備えてなる粘性有機質廃物の処理装置。
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Cited By (2)
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-
2003
- 2003-04-23 JP JP2003118455A patent/JP2004323628A/ja not_active Withdrawn
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060704 |