JP2004323404A - W/o/w型複合エマルション - Google Patents

W/o/w型複合エマルション Download PDF

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Abstract

【課題】内水相に封入したコバラミン類が劣化するのを防止し、経時的に安定なW/O/W型複合エマルションを提供すること。
【解決手段】内水相にコバラミン類、外水相にコバラミン類を劣化させる成分を配合したW/O/W型複合エマルションにおいて、外水相に非還元性の糖(ただし、ショ糖を除く。)または糖アルコールを配合し、内水相に配合したコバラミン類が経時的に劣化するのを防止したことを特徴とするW/O/W型複合エマルション。または、内水相にコバラミン類を配合し、外水相のpHが2.5〜4.5であるW/O/W型複合エマルションにおいて、外水相に非還元性の糖(ただし、ショ糖を除く。)または糖アルコールを配合し、内水相に配合したコバラミン類が経時的に劣化するのを防止したことを特徴とするW/O/W型複合エマルション。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、W/O/W型複合エマルションに関し、更に詳しくは、内水相にコバラミン類、外水相にコバラミン類を劣化させる成分を配合したW/O/W型複合エマルションにおいて、不安定なコバラミン類が経時的に劣化するのを防止した技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
液剤は、生活者にとって非常に利便性のある剤型である。例えば、内服用の液剤は、嚥下能力が劣った老人や小児でも容易に服用することができる。そのため、医薬品や機能性食品などの分野で幅広く利用されている。
【0003】
しかしながら、水溶液中では薬物同士が相互作用しやすいため、反応性の高い薬物同士を配合した場合、含量値の低下等安定性に問題の生じることも少なくなかった。
【0004】
こうした問題に対して、W/O/W型複合エマルションを用いれば、相互反応し易い成分を内水相と外水相に分配することにより、成分安定性の良好な液剤を提供することが可能となる。
【0005】
そこで、粒子径が小さく、分散安定性に優れ、内水相への薬物封入率が高いW/O/W型複合エマルションが開発された(特許文献1〜3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特願2000−362918
【特許文献2】
特願2001−287435
【特許文献3】
特願2002−094513
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内水相に封入したコバラミン類が外水相成分の影響を受けて経時的に劣化するという現象が生じた。この現象は、平均粒子径が小さく、内水相薬物の封入率が高いW/O/W型複合エマルションではより顕著であった。
【0008】
本発明は、内水相に封入したコバラミン類が劣化するのを防止し、経時的に安定なW/O/W型複合エマルションを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために種々検討した結果、内水相に不安定なコバラミン類を配合したW/O/W型複合エマルションの外水相に、還元性のない糖または糖アルコールを配合することによって、内水相に封入したコバラミン類の劣化が抑えられることを見出した。
【0010】
かかる知見に基づき完成した本発明の態様の一つは、(a)内水相にコバラミン類、(b)外水相にコバラミン類を劣化させる成分、及び(c)外水相に非還元性の糖(ただし、ショ糖を除く。)または糖アルコール、を配合したことを特徴とするW/O/W型複合エマルションである。
【0011】
本発明の他の態様は、内水相にコバラミン類、外水相にコバラミン類を劣化させる成分を配合したW/O/W型複合エマルションにおいて、外水相に非還元性の糖(ただし、ショ糖を除く。)または糖アルコールを配合し、内水相に配合したコバラミン類が経時的に劣化するのを防止したことを特徴とするW/O/W型複合エマルションである。
【0012】
本発明の他の態様は、内水相にコバラミン類、油相に親油性乳化剤、外水相にコバラミン類を劣化させる成分及び水溶性高分子を配合したW/O/W型複合エマルションにおいて、外水相に非還元性の糖(ただし、ショ糖を除く。)または糖アルコールを配合し、内水相に配合したコバラミン類が経時的に劣化するのを防止したことを特徴とするW/O/W型複合エマルションである。
【0013】
本発明の他の態様は、内水相にコバラミン類を配合し、外水相のpHが2.5〜4.5であるW/O/W型複合エマルションにおいて、外水相に非還元性の糖(ただし、ショ糖を除く。)または糖アルコールを配合し、内水相に配合したコバラミン類が経時的に劣化するのを防止したことを特徴とするW/O/W型複合エマルションである。
【0014】
本発明の他の態様は、内水相にコバラミン類、油相に親油性乳化剤、外水相に水溶性高分子を配合し、外水相のpHが2.5〜4.5であるW/O/W型複合エマルションにおいて、外水相に非還元性の糖(ただし、ショ糖を除く。)または糖アルコールを配合し、内水相に配合したコバラミン類が経時的に劣化するのを防止したことを特徴とするW/O/W型複合エマルションである。
【0015】
本発明の他の態様は、内水相に配合したコバラミン類がシアノコバラミン、メチルコバラミンヒドロキソコバラミン及びアデモシルコバラミンの少なくとも1種である前記W/O/W型複合エマルションである。
【0016】
本発明の他の態様は、外水相に配合したコバラミン類を劣化させる成分がチアミン類またはピリドキシン類である前記W/O/W型複合エマルションである。
【0017】
本発明の他の態様は、外水相に配合した非還元性の糖がトレハロースである前記W/O/W型複合エマルションである。
【0018】
本発明の他の態様は、外水相中に配合した非還元性の糖アルコールが、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール及びラクチトールの少なくとも1種である前記W/O/W型複合エマルションである。
【0019】
本発明の他の態様は、油相に配合した親油性乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルである前記W/O/W型複合エマルションである。
【0020】
本発明の他の態様は、ポリグリセリン脂肪酸エステルが、HLB値が10以下のポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルである前記W/O/W型複合エマルションである。
【0021】
本発明の他の態様は、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルがポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである前記W/O/W型複合エマルションである。
【0022】
本発明の他の態様は、外水相に配合した水溶性高分子がポリビニルアルコールである前記W/O/W型複合エマルションである。
【0023】
本発明の他の態様は、平均粒子径が0.05μm〜1μmである前記各W/O/W型複合エマルションである。
【0024】
本発明の他の態様は、液剤である前記各W/O/W型複合エマルションである。
【0025】
本発明における内水相に配合した「コバラミン類」は、単独ではそれほど劣化しないが、他の成分の影響を受けて著しく劣化する性質を有する成分である。コバラミン類としては、シアノコバラミン、メチルコバラミン、ヒドロキソコバラミンまたはアデノシルコバラミンが挙げられる。
【0026】
ここに「劣化」とは、薬物が分解等して、その含量値や品質が低下することをいう。
【0027】
内水相におけるコバラミン類の配合量は内水相全体に対して0.001〜50質量%であり、好ましくは0.01〜10質量%である。本発明は、内水相の薬物封入率が高く、したがって、油相が薄く、内水相に配合した不安定薬物が外水相に配合した成分に影響され易い場合に特に有効だからである。
【0028】
本発明における外水相に配合した「コバラミン類を劣化させる成分」とは、コバラミン類を劣化させる成分であれば特に限定はないが、例えば、硝酸チアミン等のチアミン類や塩酸ピリドキシン等のピリドキシン類が挙げられる。
【0029】
また、コバラミン類は、特にコバラミン類を劣化させる成分が外水相に配合されていなくてもpH2.5〜4.5において劣化する。そこえ、外水相のpHが2.5〜4.5のときは、外水相に被還元性の糖(ショ糖を除く。)または糖アルコールを配合して、内水相に配合したコバラミン類の劣化を防止することができる。
【0030】
本発明における外水相に配合した「非還元性の糖」としては、非還元性の二糖以上の糖が該当するが、内服液剤等の飲用に供する場合、服用性の点で最も好ましいのはトレハロースである。
【0031】
なお、ショ糖は非還元性の二糖であるが、酸性域ではグルコシド結合が切れてグルコースとフルクトースに分解し、還元性を生じるので好ましくない。
【0032】
本発明における外水相に配合した「糖アルコール」としては、例えば、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、ラクチトールが挙げられる。
【0033】
非還元性の糖または糖アルコールは、1種を用いるだけでなく、2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、W/O/W型複合エマルションを内服用の液剤に利用した場合、糖アルコールは多量に配合すると下痢等の副作用を生じることがあるので、甘味が不足するときには非還元性の糖と併用するのが好ましい。また、非還元性の糖のみではカロリー値が高いときには、糖アルコールと併用して糖の量を減らすことができる。
【0034】
非還元性の糖または糖アルコールの配合量は、内水相に配合した薬物の1質量部に対して7質量部以上であり、通常10〜300000質量部である。もっとも、甘味を付与する等の他の目的でこれを超える量を配合することは差し支えない。なお、糖アルコールには緩下作用があるので、内用の液剤とする場合、1回服用量は1〜40gで最大無作用量以下に設定する必要がある。
【0035】
本発明における油相に配合した「親油性乳化剤」は特に限定はないが、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステルまたはショ糖脂肪酸エステルが挙げられ、各種の不飽和脂肪酸が広範に用いられる。中でも、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸が使用され、具体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレイン酸、エルカ酸が挙げられる。さらに、不飽和脂肪酸の中でもヒドロキシ不飽和脂肪酸が好ましく、例えば、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが挙げられる。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとしては、テトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ペンタグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、デカグリセリン縮合リシノレイン酸エステルなどがあるが、これらのいずれも用いることができ、これらは単独で、または2種以上を併用することもできる。これらの親油性乳化剤の添加量は、充分な乳化効果が得られる限り特に制限されないが、油相中の0.1〜70質量%程度である。
【0036】
本発明における外水相に配合した「水溶性高分子」は、平均粒子径が小さく、分散安定性のよいW/O/W型複合エマルションにおいて、内水相への成分封入率を上げるために配合される(特許文献1参照)。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、 ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。好ましいのは、ポリビニルアルコールである。
【0037】
水溶性高分子の外水相への配合量は、外水相全体に対して0.05〜10質量%であり、好ましくは、0.1〜5質量%である。
【0038】
本発明における「平均粒子径」とは、W/O/W型複合エマルションにおけるW/O粒子の直径を指し、レーザー回折・散乱式粒度分布測定法により測定した平均粒子径が0.05μm〜1μm、好ましくは、0.1μm〜1μmであることを要する。W/O/W型複合エマルションにおいて内水相に封入した成分の劣化は、平均粒子径が小さく、成分封入率の高い、結果的に、油相が薄いW/O/W型複合エマルションにおいて著しいからである。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明において、油相として用いられる油は特に制限されず、エマルション製造用に従来から用いられている天然または合成の油であればよい。例えば、動植物油、硬化動食物油、分別動食物油等の油性成分を適宜に用いることができる。これらの油性成分は、目的とするエマルションに付加しようとする特性により、硬化若しくは分別して用いることができる。また2種以上の油性成分を併用してもよい。さらに、本発明では油相に油溶性の薬剤を配合することもできる。これにより油溶性薬剤と水溶性薬剤を同時に配合し、摂取することができる製剤を提供することができる。
【0040】
また、外水相に添加する乳化剤についても、公知の親水性乳化剤を使用することができる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、レシチン、高分子乳化剤等が挙げられる。特に、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
【0041】
これらの親水性乳化剤のHLB(Hydrophlic Lipophilic Balance)は8.0以上であることが好ましく、10.0以上であることがより好ましい。これらの親水性乳化剤は、所望の乳化特性に応じて単独で、または2種以上混合して用いることができる。これらの親水性乳化剤の添加量についても、充分な乳化効果が得られる限り特に制限されないが、通常エマルション全体に対し0.001質量%以上、0.2質量%未満である。
【0042】
本発明において、W/O/W型複合エマルション中のW/Oエマルション濃度は、0.1〜30質量%が好ましい.
【0043】
本発明のW/O/W型複合エマルションは以下の様に製造することができる。
まず、油性成分と親油性乳化剤等の油相を容器に入れ、これを例えば真空乳化機のような攪拌機にセットし、攪拌しながら50〜90℃程度で加熱溶解させ均一にする。次に封入対象物質及び任意の添加物を含む所定量の水相を徐々に添加し、液温を50〜90℃程度で一定に維持しながら攪拌乳化し、その後、20〜40℃まで冷却しながら一定時間攪拌し、W/O型エマルションを調製する。このW/O型エマルションは、0.01μm〜0.5μm程度の平均水相粒子径を有するように製造されていることが望ましい。さらにこのW/O型エマルションを所定量の水溶性高分子を含有する外水相に分散させることにより、W/O/W型複合エマルションを製造することができる。このW/O/W型複合エマルションの製造方法としては、慣用されている方法を適宜用いることができる。例えば、高圧ホモジナイザー法、高速攪拌法、超音波乳化法、膜乳化法などが挙げられる。また、このW/O/W型複合エマルションを調製する際には、必要に応じて熱を加えることができる。このW/O/W型複合エマルションは、0.05μm〜1μm程度の平均粒子径を有するように製造されていることが望ましい。
【0044】
本発明のW/O/W型複合エマルションにおける内水相には、水溶性でコバラミン類の安定性に影響を及ぼさない成分であれば種類を問わずに配合することができる。また、pHが2.5〜4.5であるとコバラミン類が劣化するので、内水相のpHは2.5〜4.5の範囲を外れるように調整されていることを要する。
【0045】
また、必要があれば外水相に本発明の効果を損なわない成分、防腐剤、矯味剤、香料などを適宜配合できる。
【0046】
本発明のW/O/W型複合エマルションにおいて、多量の還元性物質(例えば、還元糖)を配合すると内水相に封入したコバラミン類が経時的に不安定化するので好ましくないが、実質的に影響を及ぼさない程度の量を配合することは差し支えない。
【0047】
本発明のW/O/W型複合エマルションの用途は特に限定せず、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の用途に使用でき、製品の形態としては、液剤、乳液、クリーム等とすることができる。特に、相互反応し易い成分同士を内水相と外水相に分配した液剤に有効である。
【0048】
【実施例】
以下に実施例及び比較例をあげて本発明を更に詳細に説明する。
【0049】
(実施例1)
Figure 2004323404
【0050】
b及びc成分を70〜80℃に加温し、混合溶解した後、攪拌しながらa成分を徐々に添加し、液温を70〜80℃程度で一定に維持しながら攪拌乳化し、その後、20〜40℃まで冷却しながら一定時間攪拌し、W/O型エマルションを得た。
【0051】
[濃縮W/O/W型複合エマルションの調製]
2質量%ポリビニルアルコール(EG05 日本合成化学工業製)、20質量%トレハロースを含む水溶液90gに、ホモジナイザーで攪拌しながら上記で得られたW/O型エマルション10gを添加し、まず粒子径の比較的大きいW/O/W型複合エマルションを得た。次に、このW/O/W型複合エマルションを、多孔質膜を通過させることにより、濃縮W/O/W型複合エマルションを得た。得られたW/O/W型複合エマルションの平均粒子径をレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA−920)により測定した結果、0.24μmであり、油相粒子径の分布のCV(標準偏差/平均粒子径)は0.28であった。
【0052】
<薬物(シアノコバラミン)封入率の測定>
封入対象薬物(シアノコバラミン)のW/O/W型複合エマルション中への封入率は次式により算出した。
【0053】
封入率(%)={(Ct−Co×A)/Ct}×100
Ct:W/O/W型複合エマルション製剤中の薬物(シアノコバラミン)濃度
Co:外水相中の封入対象薬物(シアノコバラミン)濃度
A:(外水相重量)/(W/O/W型複合エマルション重量)
【0054】
W/O/W型複合エマルション製剤中のシアノコバラミン濃度は、エマルションを前処理操作により壊し、また外水相に含まれるシアノコバラミン濃度はW/O/W型複合エマルションを遠心分離(5x10G,90分)によりエマルション粒子と外水相を分離する操作を行った後に、HPLC法により測定した。その結果、封入対象薬物として測定したシアノコバラミンの封入率は、98.8%であった。
【0055】
[安定性試験サンプルの調製および評価]
上記で得られた濃縮W/O/W型複合エマルション10g、硝酸チアミン0.0113g、塩酸ピリドキシン0.1g、クエン酸0.63g、PVA(UP300;ユニチカ製)0.8g、トレハロース4gに精製水を加え、pHを水酸化ナトリウムで3.8にした後に、100gとし、安定性試験サンプルとした.
【0056】
<薬物(シアノコバラミン)残存率の測定>
W/O/W型複合エマルション製剤中のシアノコバラミン濃度は、エマルションを前処理操作により壊した後、HPLC法により測定した。
【0057】
50℃における保存試験の結果、調製直後のシアノコバラミン量を100%とすると、50℃2週間で97.0%、50℃1ヶ月で85.6%であった.
【0058】
<W/O/W型複合エマルション平均粒子径の測定>
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA−920)により測定した.
50℃における保存試験の結果、W/O/W型複合エマルションの平均粒子径は、調製直後では0.229μm、50℃2週間で0.239μm、50℃1ヶ月で0.333μmであった。
【0059】
(実施例2〜5)
[W/O型エマルションの調製]
W/O型エマルションの調製は、実施例1と同様に行った。組成をは表1に示す。
【0060】
なお、表1においてPGCRはポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、PVAはポリビニルアルコールを示す。
【0061】
[濃縮W/O/W型複合エマルションの調製]
濃縮W/O/W型複合エマルションの調製は、実施例1と同様に行った。組成とシアノコバラミン封入率は表1に示す。
【0062】
[安定性試験サンプルの調製および評価]
安定性試験サンプルの調製および評価は、実施例1と同様に行った。組成と50℃での保存試験の結果(シアノコバラミン残存率とW/O/W型複合エマルションの平均粒子径)は表2に示す。
【0063】
(比較例1〜2)
[W/O型エマルションの調製]
W/O型エマルションの調製は、実施例1と同様に行った。組成は表1に示す。
【0064】
[濃縮W/O/W型複合エマルションの調製]
濃縮W/O/W型複合エマルションの調製は、実施例1と同様に行った。組成とシアノコバラミン封入率は表1に示す。
【0065】
[安定性試験サンプルの調製および評価]
安定性試験サンプルの調製および評価は、実施例1と同様に行った。組成と50℃での保存試験の結果(シアノコバラミン残存率とW/O/W型複合エマルションの平均粒子径)は表2に示す。
【0066】
【表1】
Figure 2004323404
【表2】
Figure 2004323404
【0067】
シアノコバラミンを内水相に配合し、シアノコバラミンを劣化させる性質を有する硝酸チアミン及び塩酸ピリドキシンを外水相に配合した場合、トレハロースやマルチトールを外水相に配合した場合には内水相のシアノコバラミンが経時的に安定であったが、ショ糖を配合した場合にはシアノコバラミンの劣化が著しかった。
【0068】
(比較例3)
[安定性試験サンプルの調製および評価]
シアノコバラミン0.0017g、硝酸チアミン0.0113g、塩酸ピリドキシン0.1g、クエン酸0.63g、トレハロース8gに精製水を加え、pHを水酸化ナトリウム(NaOH)で3.8にした後に、100gとし、安定性試験サンプルとした。
【0069】
安定性試験サンプルの評価は、実施例1と同様に行った。組成と50℃での保存試験の結果(シアノコバラミン残存率)は表3に示す。
【0070】
(比較例4)
[安定性試験サンプルの調製および評価]
シアノコバラミン0.0017g、硝酸チアミン0.0113g、塩酸ピリドキシン0.1g、クエン酸0.63g、砂糖8gに精製水を加え、pHを水酸化ナトリウム(NaOH)で3.8にした後に、100gとし、安定性試験サンプルとした。
【0071】
安定性試験サンプルの評価は、実施例1と同様に行った。組成と50℃での保存試験の結果(シアノコバラミン残存率)は表3に示す。
【0072】
【表3】
Figure 2004323404
【0073】
シアノコバラミンを硝酸チアミン及び塩酸ピリドキシンとともに内水相に配合した場合、外水相にトレハロースを配合した場合とショ糖を配合した場合とで大差はなく、シアノコバラミンは何れの場合も著しく劣化した。
【0074】
【発明の効果】
本発明により、内水相に配合したコバラミン類の劣化を防止し、経時的に安定なW/O/W型複合エマルションを提供することが可能となった。

Claims (15)

  1. (a)内水相にコバラミン類、(b)外水相にコバラミン類を劣化させる成分、及び(c)外水相に非還元性の糖(ただし、ショ糖を除く。)または糖アルコール、を配合したことを特徴とするW/O/W型複合エマルション。
  2. 内水相にコバラミン類、外水相にコバラミン類を劣化させる成分を配合したW/O/W型複合エマルションにおいて、外水相に非還元性の糖(ただし、ショ糖を除く。)または糖アルコールを配合し、内水相に配合したコバラミン類が経時的に劣化するのを防止したことを特徴とするW/O/W型複合エマルション。
  3. 内水相にコバラミン類、油相に親油性乳化剤、外水相にコバラミン類を劣化させる成分及び水溶性高分子を配合したW/O/W型複合エマルションにおいて、外水相に非還元性の糖(ただし、ショ糖を除く。)または糖アルコールを配合し、内水相に配合したコバラミン類が経時的に劣化するのを防止したことを特徴とするW/O/W型複合エマルション。
  4. 内水相にコバラミン類を配合し、外水相のpHが2.5〜4.5であるW/O/W型複合エマルションにおいて、外水相に非還元性の糖(ただし、ショ糖を除く。)または糖アルコールを配合し、内水相に配合したコバラミン類が経時的に劣化するのを防止したことを特徴とするW/O/W型複合エマルション。
  5. 内水相にコバラミン類、油相に親油性乳化剤、外水相に水溶性高分子を配合し、外水相のpHが2.5〜4.5であるW/O/W型複合エマルションにおいて、外水相に非還元性の糖(ただし、ショ糖を除く。)または糖アルコールを配合し、内水相に配合したコバラミン類が経時的に劣化するのを防止したことを特徴とするW/O/W型複合エマルション。
  6. 内水相に配合したコバラミン類がシアノコバラミン、メチルコバラミンヒドロキソコバラミン及びアデモシルコバラミンの少なくとも1種である請求項1〜5の何れか1項に記載のW/O/W型複合エマルション。
  7. 外水相に配合したコバラミン類を劣化させる成分がチアミン類またはピリドキシン類である請求項1〜3の何れか1項に記載のW/O/W型複合エマルション。
  8. 外水相に配合した非還元性の糖がトレハロースである請求項1〜5の何れか1項に記載のW/O/W型複合エマルション。
  9. 外水相中に配合した非還元性の糖アルコールが、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール及びラクチトールの少なくとも1種である請求項1〜5の何れか1項に記載のW/O/W型複合エマルション。
  10. 油相に配合した親油性乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルである請求項3又は5記載のW/O/W型複合エマルション。
  11. ポリグリセリン脂肪酸エステルが、HLB値が10以下のポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルである請求項10記載のW/O/W型複合エマルション。
  12. ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルがポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである請求項11記載のW/O/W型複合エマルション。
  13. 外水相に配合した水溶性高分子がポリビニルアルコールである請求項3又は5記載のW/O/W型複合エマルション。
  14. 平均粒子径が0.05μm〜1μmである請求項1〜13の何れか1項に記載のW/O/W型複合エマルション。
  15. 液剤である請求項1〜14の何れか1項に記載のW/O/W型複合エマルション。
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