JP2004323141A - 自動倉庫の搬送制御システム及び搬送制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】物品が効率よく、かつ的確に搬送される自動倉庫の搬送制御システム及び搬送制御方法を提供する。
【解決手段】複数の棚10と複数の入出庫口11と、これらの間で物品を搬送する2つのクレーン21、22が同一レール上を走行する自動倉庫1において、自動倉庫1内の物品の情報を管理し物品の搬送要求を出す倉庫管理手段101と、倉庫管理手段101から出された搬送要求からクレーン21、22の搬送命令を決定する搬送計画手段103と、搬送計画手段103により決定された搬送命令を、クレーン21、22に伝える搬送制御手段102を備える。搬送計画手段103は、クレーンの位置、物品の優先度、搬送要求が出されてからの経過時間等をもとに搬送要求の優先順位を決定し、優先順位の高い搬送要求を処理するクレーンから順にクレーン同士が干渉しない搬送命令を決定する。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の棚10と複数の入出庫口11と、これらの間で物品を搬送する2つのクレーン21、22が同一レール上を走行する自動倉庫1において、自動倉庫1内の物品の情報を管理し物品の搬送要求を出す倉庫管理手段101と、倉庫管理手段101から出された搬送要求からクレーン21、22の搬送命令を決定する搬送計画手段103と、搬送計画手段103により決定された搬送命令を、クレーン21、22に伝える搬送制御手段102を備える。搬送計画手段103は、クレーンの位置、物品の優先度、搬送要求が出されてからの経過時間等をもとに搬送要求の優先順位を決定し、優先順位の高い搬送要求を処理するクレーンから順にクレーン同士が干渉しない搬送命令を決定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同一レール上に複数台のクレーンが走行する自動倉庫に関し、特に、クレーンの使用効率の向上を図る自動倉庫の搬送制御システム及び搬送制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、同一レール上にある複数台のクレーンを走行させる場合、クレーン同士の衝突防止のために、自クレーンの搬送要求に対して、他クレーンの現在動作との干渉チェックを行っている。しかし、この場合、他クレーンの搬送動作中に発生する待機時間や回避動作に掛かる時間そのものを短くすることはできず、クレーン全体の搬送効率を向上させることには限界があった。
【0003】
上記の問題点を解決するために、各クレーンに対する搬送要求の全てについて、他クレーンと干渉を起こさないように待機もしくは回避動作を考慮したスケジューリングを行い、搬送命令を作成する各クレーンの制御方法が公開されている。この提案において、搬送命令の作成は、搬送要求の順序とクレーンの動作順序によって存在する全ての場合について実施する。そして作成された搬送命令の中から、クレーンの待機時間がもっとも短くなる搬送命令を選択して、各クレーンの非干渉性を考慮した効率的な運用を行うものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、同一のレール上を2台のクレーンが走行する自動倉庫において、通常時には各クレーンの走行範囲を完全に分離しているが、もし一方のクレーンが故障した場合には故障したクレーンを走行レールの端部まで退避させ、残りのクレーンが全範囲の搬送を実施する方法も公開されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−282968号公報(第2−3頁、第1図、第8図、第9図)
【特許文献2】
特開2001−130708号公報(第3頁、第3図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1のクレーンの制御方法では、クレーンの待機時間がもっとも短くなる搬送命令を選択して効率化を図るのみで、搬送する物品の優先度が考慮されていない。また、特許文献2においても同様に物品の搬送の効率化は図られているが、搬送する物品の優先度は考慮されていない。
【0007】
従って、緊急の物品であっても搬送が後回しにされることや、いつまで経っても搬送されない物品が発生するといった問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、同一レール上に複数台のクレーンが走行する自動倉庫において、クレーン同士の干渉を避けながら搬送する物品の優先度を考慮して物品が効率よく、かつ的確に搬送される自動倉庫の搬送制御システム及び搬送制御方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の自動倉庫の搬送制御システムは、複数の棚と複数の入出庫口と、これらの間で物品を搬送する複数のクレーンが同一レール上を走行する自動倉庫の搬送制御システムにおいて、自動倉庫内の物品の情報を管理し、物品の搬送要求を出す倉庫管理手段と、搬送要求から各クレーンに対する搬送命令を決定する搬送計画手段と、搬送命令を各クレーンに伝える搬送制御手段を備えることを特徴とすることにより、搬送要求の優先順位を考慮しつつ、各クレーンの干渉を防止して、自動倉庫を効率的に運用することができる。
【0010】
すなわち、倉庫管理手段は、自動倉庫内の物品の情報及び入出庫口の状況を管理し、搬送要求を発行する。また、搬送制御手段は、複数のクレーンの稼動状況及び現在位置を管理し、搬送計画手段で決定した搬送命令に従って搬送すべき物品の現在位置と搬送完了位置を各クレーンに命令する。
【0011】
搬送命令は、個々の搬送要求に対して物品を搬送するクレーン、その搬送開始時刻、搬送開始位置及び搬送完了位置からなる。個々の搬送要求の決定は、物品の情報、入出庫口の状況、各クレーンの稼動状況及び現在位置に基づいて行われる。ここで、物品の情報及び入出庫口の状況からは納期、先入れ先出し等の情報を取り入れることによって搬送する物品の優先度を考慮することができる。また、複数のクレーンの稼動状況及び現在位置を取り入れることによってクレーン同士の干渉を避けて搬送する物品の優先度を考慮することができる。
【0012】
従って、本発明の自動倉庫の搬送制御システムによれば、搬送計画手段は、各クレーンの位置及び物品の搬送要求の優先度を考慮して各クレーンに対する搬送命令を決定して、効率的に優先度が高い物品から搬送を行うことができる。
【0013】
また、この搬送計画手段は、優先度が高い物品の搬送要求から順番に搬送命令を決定することができる。
【0014】
また、この搬送計画手段は、搬送要求が出されてからの経過時間が長い搬送要求から順番に各クレーンに対する搬送命令を決定することができる。
【0015】
また、この搬送計画手段は、クレーンの動作ダイヤグラムを作成することにより、効率的に搬送要求を実行し、クレーン同士が干渉しないクレーンに対する搬送命令を決定することができる。
【0016】
本発明においては、複数の棚と複数の入出庫口と、これらの間で物品を搬送する複数のクレーンが同一レール上を走行する自動倉庫の搬送制御システムの制御方法も本発明の技術的思想の範疇である。この制御方法においては、自動倉庫内の物品の情報を管理し、物品の搬送要求を出す倉庫管理ステップと、搬送要求から各クレーンの搬送命令を決定する搬送計画ステップと、搬送命令を各クレーンに伝える搬送制御ステップとを備えることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る自動倉庫の搬送制御システムの概略構成を示している。
【0019】
この自動倉庫の搬送制御システムは自動倉庫1と制御管理部2を備えている。自動倉庫1は、複数の棚10と複数の入出庫口11、これらの間で物品を搬送する2つのクレーン21、22を備えている。図1では、棚10と入出庫口11の位置をX1からX10で表している。また、クレーン21、22の位置もX1からX10で表すこととする。
【0020】
クレーン21、22は同一のレール上に存在し、クレーン21の搬送可能範囲21aはX1からX6であり、クレーン22の搬送可能範囲22aはX5からX10である。クレーン21の搬送可能範囲21aとクレーン22の搬送可能範囲22aが重複する重複エリア(X5、X6)に、片方のクレーンがいる場合、もう一方のクレーンが重複エリアへの移動はできないものとする。重複エリア(X5、X6)は、主にクレーン21と22の間で物品をやり取りする時に使用する。また、重複エリアの範囲は、自動倉庫1内での搬送回数によって適宜、決定する。
【0021】
なお、図面中の重複エリアは、その記号を四角で囲んでいる。
【0022】
また、制御管理部2は倉庫管理手段101と、搬送制御手段102と、搬送計画手段103と、搬送要求リスト104と、搬送命令リスト105とからなる。倉庫管理手段101は、自動倉庫1内の物品の情報や入出庫口11の状況を管理し、搬送要求を発行する。
【0023】
また、搬送制御手段102は、クレーン21、22の稼動状況や現在位置を管理し、搬送すべき物品の現在位置と搬送完了位置をクレーン21、22に命令する。
【0024】
また、搬送計画手段103は、倉庫管理手段101の発行した搬送要求に対して搬送制御手段102が管理しているクレーン21、22の現在の情報をもとに、クレーン21、22で搬送する搬送要求を決定する。
【0025】
搬送要求リスト104は、未処理の搬送要求群であり、図2に示すデータ構造をしている。各々の搬送要求は、それぞれ搬送開始位置、搬送完了位置、搬送に使用するクレーン番号(使用クレーン)及び優先順位を持ち、個別の搬送要求に対して番号が割当てられている。使用クレーン番号は、搬送開始位置と搬送完了位置により決定される。
【0026】
例えば、搬送要求301は搬送開始位置がX6、搬送完了位置がX2である。この2ヶ所は搬送可能範囲21aに含まれているため、クレーン21を使用することになる。同様に、搬送要求302は搬送開始位置がX5、搬送完了位置がX9である。この2ヶ所は搬送可能範囲22aに含まれているため、クレーン22を使用することになる。
【0027】
優先順位は未処理の搬送要求群の中で、優先度の高い搬送要求から順位付けしたものである。優先度は、納期の近いもの、先入れ先出し、物品の搬送要求が出されてからの経過時間が長いものなど任意の条件によって決定すればよい。ここでは、搬送要求302の優先度が最も高く、以下、順に搬送要求301、搬送要求303、搬送要求304となるものとする。
【0028】
また、搬送命令リスト105は、搬送計画手段103で決定したクレーンごとの搬送命令、又は回避命令であり、図3に示すデータ構造をしている。搬送命令は、各クレーンが搬送する搬送要求、搬送開始時刻、搬送開始位置及び搬送完了位置からなる。回避命令の場合は、移動開始時刻、移動完了位置のみとなる。
【0029】
そして、搬送計画手段103は、搬送計画を立案するためにクレーン別搬送要求リスト201と動作ダイヤグラム202を作成する。
【0030】
クレーン別搬送要求リスト201は、図4に示すデータ構造をしている。クレーンごとに計画順位M、各クレーンが処理すべき搬送要求とそれに対する要求順位N、搬送要求の個数である搬送要求数からなる。計画順位Mは搬送計画を立てる順番であり、各クレーンが処理すべき搬送要求の優先順位が高いものから順位付けしたものである。また、各クレーンが処理すべき搬送要求を優先順位が高いものから順位付けしたものが要求順位Nである。
【0031】
図5は、クレーン別搬送要求リスト201による各クレーンの動作ダイヤグラム202を示している。この動作ダイヤグラム202では、横軸に現在時刻T0からの時間をとり、縦軸にクレーン21、22の位置を表している。実線はクレーンが搬送要求を処理しているときを表しており、破線はクレーンが搬送開始位置への移動や、回避移動を表している。例えばクレーン21では、時刻T0における位置がX4であり、搬送要求303の搬送開始位置もX4のため、時刻T0から物品をクレーン21へ移載するための時間t0だけ待機してから、搬送完了位置X1へ移動を開始する。X1へ到着すると、物品を移載する時間t1だけ待機した時刻T1で搬送要求を完了する。続いて、搬送要求301を処理することになるが、クレーン22が重複エリア(X5、X6)内にいるため、クレーン22が重複エリアを出た時刻T11から搬送開始位置X6への移動を開始することになる。
【0032】
次に、上記構成の自動倉庫の搬送制御システムにおける搬送要求から搬送する物品を決定する処理動作について、図6に示す搬送計画作成のフローチャートを参照して説明する。その前提として、搬送計画を作成して物品の搬送命令を決定する搬送計画手段103の起動は、物品からの搬送要求が発生した場合、又はクレーン21、22の動作が完了した場合に行われる。ここでは、クレーン21、22は待機中であり、図2に示す搬送要求が時刻T0において発生した場合について説明する。
【0033】
まず、ステップS1では搬送要求リスト104に登録された搬送要求に対して、使用するクレーン番号を搬送開始位置と搬送完了位置から決定し、搬送要求リスト104に書き込む。次に、搬送要求の優先順位を決定し、搬送要求リスト104に書き込む。この優先順位は、搬送する物品の重要度や搬送要求が出されてからの経過時間から導かれる優先度が高いものから順位付けしたものである。
【0034】
この優先順位と使用クレーンに基づいてクレーン別搬送要求リスト201を作成する。このとき、計画順位Mは全クレーンに対して割り付けられ、各クレーンの要求順位Nが1番目の搬送要求の優先順位が高いものからの通し番号とする。図2に示す搬送要求の場合、クレーン別搬送要求リスト201は図4に示すようになる。
【0035】
例えば、クレーン21を使用する搬送要求は搬送要求301と303の2つであるため、搬送要求数は2となる。また、搬送要求301の優先順位が搬送要求303よりも高いため、搬送要求301の要求順位が1番になり、搬送要求303の要求順位が2番となる。
【0036】
また、クレーン21の要求順位Nが1番の搬送要求301の優先順位は図2から2番であり、クレーン22の要求順位Nが1番の搬送要求302の優先順位は図2から1番であるため、計画順位Mはクレーン22が1番となり、クレーン21が2番となる。
【0037】
ステップS2では全クレーンの稼動状況や現在位置を搬送制御手段103から収集する。もし動作中のクレーンがある場合、その現在位置と移動完了位置、移動完了時刻からクレーンの動作ダイヤグラム202を作成する。
【0038】
ステップS3では計画順位Mを初期化する(M=1)。
【0039】
続いて、ステップS4では、計画順位Mのクレーンが使用可能であるかを確認する。使用可能であればステップS5へ進む。もし、クレーンが移動中などで、直ちに搬送を開始できない状態の場合はステップS13へ進み、計画順位Mに1を加算して、計画順位Mがクレーンの総数を超えていないことを確認した後ステップS4へ戻る。
【0040】
ステップS5では計画順位Mのクレーンに対する搬送要求が存在するかを確認する。搬送要求が存在する場合はステップS6へ進む。一方、搬送要求が存在しない場合はステップS12へ進む。ステップS12では、計画順位Mのクレーンに対する搬送要求は存在しないが、現在のクレーン位置が他クレーンの動作と干渉しないかを確認する必要がある。干渉する場合には、回避命令を搬送命令リスト105に登録する。また、クレーンの移動開始時刻、現在位置及び移動完了位置についてのクレーンの動作を動作ダイヤグラム202に追加する。
【0041】
ステップS6では要求順位Nを初期化する(N=1)。
【0042】
続いて、ステップS7では要求順位Nが計画順位Mのクレーンに割当てられた搬送要求数を超えていないかを確認する。超えていない場合はステップS8へ進む。一方、搬送要求数を越えている場合はステップS11へ進む。
【0043】
ステップS11では計画順位Mのクレーンに対する全ての搬送要求が他クレーンと干渉している状態である。そこで、要求順位Nが1の搬送要求を搬送命令リスト105に登録する。ただし、搬送開始時刻は他クレーンと干渉しない時刻を動作ダイヤグラム202から求める。また、搬送開始時刻と搬送開始位置と搬送完了位置から動作ダイヤグラム202にクレーンの動作を追加する。
【0044】
ステップS8では要求順位Nの搬送要求が他クレーンの動作と干渉しないかを動作ダイヤグラム202を用いて確認する。干渉しない場合はステップS9へ進む。一方、干渉する場合はステップS10へ進む。
【0045】
ステップS9では計画順位Mのクレーンの搬送命令リスト105に要求順位Nの搬送要求を登録する。また、搬送開始位置と搬送完了位置から動作ダイヤグラム202にクレーンの動作を追加する。この時、搬送開始時刻は現在時刻とする。一方、ステップS10では、要求順位Nに1を加算して、再度ステップS7へ戻る。
【0046】
ステップS13では計画順位Mに1を加算する。
【0047】
続いて、ステップS14で計画順位Mがクレーンの総数を超えるかどうかを確認する。超えない場合はステップS4へ戻る。一方、超える場合は搬送計画作成の処理を完了する。
【0048】
以上のフローにより、図2に示す搬送要求から計画された搬送命令リスト105は図3に示すようになる。そして、前述の図5に示す動作ダイヤグラムに従って搬送制御手段102からの命令により、クレーン21は搬送要求303を処理し、クレーン22は搬送要求302を処理する。この後、新たな搬送要求が発生しなければ、搬送要求303の処理が完了した時刻T1において、クレーン21に搬送要求301を処理する搬送命令が出される。続いて、搬送要求302の処理が完了した時刻T2において、クレーン22に搬送要求304を処理する搬送命令が出される。
【0049】
ここで、図7の動作ダイヤグラムは、図2に示す搬送要求を優先順位のみでクレーン21、22を運行した場合の動作ダイヤグラム202を示している。この場合、クレーン21は、クレーン22が重複エリア(X5、X6)から出るまで待機状態となり、仮に時刻T0で搬送要求301を処理する搬送命令が出されたとしても実際の処理開始は時刻T01となるため、全ての搬送要求の処理完了までに時間が掛かっている。しかし、優先順位が1番の搬送要求302の処理(クレーン22)が完了する時刻は、図5に示す場合と同じ時刻T2となり、また、優先順位が2番の搬送要求301の処理(クレーン21)が図5に示す場合より早く完了している。従って、この方法も緊急性を要する物品をより早く処理するには有効な手段である。
【0050】
ここで理解を助けるために、図2に示す搬送要求を物品の搬送の優先順位を考慮せずにクレーン21、22の位置を基にして運行を計画した場合の動作ダイヤグラム202を図8に示す。この場合、クレーン21、22は、待機時間が短く効率的に利用されている。しかし、優先順位が1番の搬送要求302の搬送完了が3つの動作ダイヤグラム(図5、図7及び図8)の中で最も遅くなっている。このため、緊急性を要する物品の到着が遅れることになり、製造工程全体の能力低下につながる事態も想定される。
【0051】
以上のように、本形態の自動倉庫の搬送制御方法によれば、クレーン21、22は、待機時間も短く効率よく利用され、優先順位に従って速やかに搬送要求を処理することができる。
【0052】
次に、自動倉庫1にクレーンが3台ある場合に関して、本発明の自動倉庫の搬送制御システムについて、図9〜図14を参照して説明する。
【0053】
図9は、クレーンが3台ある場合の自動倉庫1の概略構成を示している。自動倉庫1は、複数の棚10と複数の入出庫口11と、これらの間で物品を搬送する3台のクレーン23、24、25とを備えている。棚10及び入出庫口11の位置をX1からX14で表している。また、クレーン23、24、25は同一のレール上に存在し、クレーン23の搬送可能範囲23aはX1からX6であり、クレーン24の搬送可能範囲24aはX5からX10であり、クレーン25の搬送可能範囲25aはX9からX14である。
【0054】
そして、図10に示す搬送要求リスト104を図6に示すフローチャートに従って処理すると、図11に示すクレーン別搬送要求リスト201が作成され、続いて図12に示す搬送命令リスト105が作成される。
【0055】
次に搬送制御手段102からの命令により、各クレーンの優先順位に従いクレーン23は搬送要求313を処理し、クレーン24は搬送要求312を処理し、クレーン25は搬送要求315の処理を行う。
【0056】
この後、新たな搬送要求が発生しなければ、搬送要求313の処理が完了した時刻T11において、クレーン23に搬送要求311を処理する搬送命令が出される。しかし、クレーン24が重複エリアになり、クレーン24がここを出るまでクレーン23は待機して、時刻T111で移動を開始する。続いて、搬送要求315の処理が完了した時刻T12では、クレーン25に対する新たな搬送要求がないため、クレーン25は待機状態となる。
【0057】
次に搬送要求312の処理が完了した時刻T13において、クレーン24に搬送要求314を処理する搬送命令が出される。これにより、クレーン23、24、25の動作は、図13に示している動作ダイヤグラム202のようになる。
【0058】
ここで、図14の動作ダイヤグラムは、図10に示す搬送要求を優先順位のみで各クレーン23、24、25を運行した場合の動作ダイヤグラム202を示している。この場合、クレーン23は時刻T0で搬送命令が出されているが、クレーン24が重複エリア(X5、X6)から出るまで待機状態となり、時刻T41で移動開始となるため全ての搬送要求の処理完了までに時間が掛かっている。しかし、優先順位が1番の搬送要求312の処理(クレーン24)及び優先順位が2番の搬送要求311の処理(クレーン23)については、図13に示す場合より早く完了している。従って、この方法も緊急性を要する物品をより早く処理するには有効な手段である。
【0059】
なお、クレーンが4台以上であっても本発明の搬送制御方法によって同様の処理が可能である。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、同一レール上に複数台のクレーンが走行する自動倉庫において、クレーン同士の干渉を避けながら搬送する物品の優先度を考慮して物品が効率よく、かつ的確に搬送される自動倉庫の搬送制御システム及び搬送制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動倉庫の搬送制御システムであって、クレーンが2台ある自動倉庫の構成図である。
【図2】クレーンが2台ある場合の搬送要求リストのデータ構造を示す図である。
【図3】クレーンが2台ある場合の搬送命令リストのデータ構造を示す図である。
【図4】クレーンが2台ある場合のクレーン別搬送要求リストのデータ構造を示す図である。
【図5】図4に示すクレーン別搬送要求リストによるクレーンの動作ダイヤグラムである。
【図6】本発明における搬送計画作成のフローチャート図である。
【図7】図2に示す搬送要求リストにおいて、優先順位の高い順番に物品を搬送する場合のクレーンの動作ダイヤグラムである。
【図8】優先順位を考慮しないで物品を搬送する場合のクレーンの動作ダイヤグラムである。
【図9】本発明の実施の形態に係る自動倉庫の搬送制御システムであって、クレーンが3台ある自動倉庫の構成図である。
【図10】クレーンが3台ある場合のクレーンが3台ある場合の搬送要求リストのデータ構造を示す図である。
【図11】クレーンが3台ある場合の搬送命令リストのデータ構造を示す図である。
【図12】クレーンが3台ある場合のクレーン別搬送要求リストのデータ構造を示す図である。
【図13】図12に示すクレーン別搬送要求リストによるクレーンの動作ダイヤグラムである。
【図14】図10に示す搬送要求リストにおいて、優先順位の高い順番に部品を搬送した場合のクレーンの動作ダイヤグラムである。
【符号の説明】
1 自動倉庫
2 制御管理部
10 棚
11 入出庫口
21〜25 クレーン
101 倉庫管理手段
102 搬送制御手段
103 搬送計画手段
104 搬送要求リスト
105 搬送命令リスト
201 クレーン別搬送要求リスト
202 動作ダイヤグラム
【発明の属する技術分野】
本発明は、同一レール上に複数台のクレーンが走行する自動倉庫に関し、特に、クレーンの使用効率の向上を図る自動倉庫の搬送制御システム及び搬送制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、同一レール上にある複数台のクレーンを走行させる場合、クレーン同士の衝突防止のために、自クレーンの搬送要求に対して、他クレーンの現在動作との干渉チェックを行っている。しかし、この場合、他クレーンの搬送動作中に発生する待機時間や回避動作に掛かる時間そのものを短くすることはできず、クレーン全体の搬送効率を向上させることには限界があった。
【0003】
上記の問題点を解決するために、各クレーンに対する搬送要求の全てについて、他クレーンと干渉を起こさないように待機もしくは回避動作を考慮したスケジューリングを行い、搬送命令を作成する各クレーンの制御方法が公開されている。この提案において、搬送命令の作成は、搬送要求の順序とクレーンの動作順序によって存在する全ての場合について実施する。そして作成された搬送命令の中から、クレーンの待機時間がもっとも短くなる搬送命令を選択して、各クレーンの非干渉性を考慮した効率的な運用を行うものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、同一のレール上を2台のクレーンが走行する自動倉庫において、通常時には各クレーンの走行範囲を完全に分離しているが、もし一方のクレーンが故障した場合には故障したクレーンを走行レールの端部まで退避させ、残りのクレーンが全範囲の搬送を実施する方法も公開されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−282968号公報(第2−3頁、第1図、第8図、第9図)
【特許文献2】
特開2001−130708号公報(第3頁、第3図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1のクレーンの制御方法では、クレーンの待機時間がもっとも短くなる搬送命令を選択して効率化を図るのみで、搬送する物品の優先度が考慮されていない。また、特許文献2においても同様に物品の搬送の効率化は図られているが、搬送する物品の優先度は考慮されていない。
【0007】
従って、緊急の物品であっても搬送が後回しにされることや、いつまで経っても搬送されない物品が発生するといった問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、同一レール上に複数台のクレーンが走行する自動倉庫において、クレーン同士の干渉を避けながら搬送する物品の優先度を考慮して物品が効率よく、かつ的確に搬送される自動倉庫の搬送制御システム及び搬送制御方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の自動倉庫の搬送制御システムは、複数の棚と複数の入出庫口と、これらの間で物品を搬送する複数のクレーンが同一レール上を走行する自動倉庫の搬送制御システムにおいて、自動倉庫内の物品の情報を管理し、物品の搬送要求を出す倉庫管理手段と、搬送要求から各クレーンに対する搬送命令を決定する搬送計画手段と、搬送命令を各クレーンに伝える搬送制御手段を備えることを特徴とすることにより、搬送要求の優先順位を考慮しつつ、各クレーンの干渉を防止して、自動倉庫を効率的に運用することができる。
【0010】
すなわち、倉庫管理手段は、自動倉庫内の物品の情報及び入出庫口の状況を管理し、搬送要求を発行する。また、搬送制御手段は、複数のクレーンの稼動状況及び現在位置を管理し、搬送計画手段で決定した搬送命令に従って搬送すべき物品の現在位置と搬送完了位置を各クレーンに命令する。
【0011】
搬送命令は、個々の搬送要求に対して物品を搬送するクレーン、その搬送開始時刻、搬送開始位置及び搬送完了位置からなる。個々の搬送要求の決定は、物品の情報、入出庫口の状況、各クレーンの稼動状況及び現在位置に基づいて行われる。ここで、物品の情報及び入出庫口の状況からは納期、先入れ先出し等の情報を取り入れることによって搬送する物品の優先度を考慮することができる。また、複数のクレーンの稼動状況及び現在位置を取り入れることによってクレーン同士の干渉を避けて搬送する物品の優先度を考慮することができる。
【0012】
従って、本発明の自動倉庫の搬送制御システムによれば、搬送計画手段は、各クレーンの位置及び物品の搬送要求の優先度を考慮して各クレーンに対する搬送命令を決定して、効率的に優先度が高い物品から搬送を行うことができる。
【0013】
また、この搬送計画手段は、優先度が高い物品の搬送要求から順番に搬送命令を決定することができる。
【0014】
また、この搬送計画手段は、搬送要求が出されてからの経過時間が長い搬送要求から順番に各クレーンに対する搬送命令を決定することができる。
【0015】
また、この搬送計画手段は、クレーンの動作ダイヤグラムを作成することにより、効率的に搬送要求を実行し、クレーン同士が干渉しないクレーンに対する搬送命令を決定することができる。
【0016】
本発明においては、複数の棚と複数の入出庫口と、これらの間で物品を搬送する複数のクレーンが同一レール上を走行する自動倉庫の搬送制御システムの制御方法も本発明の技術的思想の範疇である。この制御方法においては、自動倉庫内の物品の情報を管理し、物品の搬送要求を出す倉庫管理ステップと、搬送要求から各クレーンの搬送命令を決定する搬送計画ステップと、搬送命令を各クレーンに伝える搬送制御ステップとを備えることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る自動倉庫の搬送制御システムの概略構成を示している。
【0019】
この自動倉庫の搬送制御システムは自動倉庫1と制御管理部2を備えている。自動倉庫1は、複数の棚10と複数の入出庫口11、これらの間で物品を搬送する2つのクレーン21、22を備えている。図1では、棚10と入出庫口11の位置をX1からX10で表している。また、クレーン21、22の位置もX1からX10で表すこととする。
【0020】
クレーン21、22は同一のレール上に存在し、クレーン21の搬送可能範囲21aはX1からX6であり、クレーン22の搬送可能範囲22aはX5からX10である。クレーン21の搬送可能範囲21aとクレーン22の搬送可能範囲22aが重複する重複エリア(X5、X6)に、片方のクレーンがいる場合、もう一方のクレーンが重複エリアへの移動はできないものとする。重複エリア(X5、X6)は、主にクレーン21と22の間で物品をやり取りする時に使用する。また、重複エリアの範囲は、自動倉庫1内での搬送回数によって適宜、決定する。
【0021】
なお、図面中の重複エリアは、その記号を四角で囲んでいる。
【0022】
また、制御管理部2は倉庫管理手段101と、搬送制御手段102と、搬送計画手段103と、搬送要求リスト104と、搬送命令リスト105とからなる。倉庫管理手段101は、自動倉庫1内の物品の情報や入出庫口11の状況を管理し、搬送要求を発行する。
【0023】
また、搬送制御手段102は、クレーン21、22の稼動状況や現在位置を管理し、搬送すべき物品の現在位置と搬送完了位置をクレーン21、22に命令する。
【0024】
また、搬送計画手段103は、倉庫管理手段101の発行した搬送要求に対して搬送制御手段102が管理しているクレーン21、22の現在の情報をもとに、クレーン21、22で搬送する搬送要求を決定する。
【0025】
搬送要求リスト104は、未処理の搬送要求群であり、図2に示すデータ構造をしている。各々の搬送要求は、それぞれ搬送開始位置、搬送完了位置、搬送に使用するクレーン番号(使用クレーン)及び優先順位を持ち、個別の搬送要求に対して番号が割当てられている。使用クレーン番号は、搬送開始位置と搬送完了位置により決定される。
【0026】
例えば、搬送要求301は搬送開始位置がX6、搬送完了位置がX2である。この2ヶ所は搬送可能範囲21aに含まれているため、クレーン21を使用することになる。同様に、搬送要求302は搬送開始位置がX5、搬送完了位置がX9である。この2ヶ所は搬送可能範囲22aに含まれているため、クレーン22を使用することになる。
【0027】
優先順位は未処理の搬送要求群の中で、優先度の高い搬送要求から順位付けしたものである。優先度は、納期の近いもの、先入れ先出し、物品の搬送要求が出されてからの経過時間が長いものなど任意の条件によって決定すればよい。ここでは、搬送要求302の優先度が最も高く、以下、順に搬送要求301、搬送要求303、搬送要求304となるものとする。
【0028】
また、搬送命令リスト105は、搬送計画手段103で決定したクレーンごとの搬送命令、又は回避命令であり、図3に示すデータ構造をしている。搬送命令は、各クレーンが搬送する搬送要求、搬送開始時刻、搬送開始位置及び搬送完了位置からなる。回避命令の場合は、移動開始時刻、移動完了位置のみとなる。
【0029】
そして、搬送計画手段103は、搬送計画を立案するためにクレーン別搬送要求リスト201と動作ダイヤグラム202を作成する。
【0030】
クレーン別搬送要求リスト201は、図4に示すデータ構造をしている。クレーンごとに計画順位M、各クレーンが処理すべき搬送要求とそれに対する要求順位N、搬送要求の個数である搬送要求数からなる。計画順位Mは搬送計画を立てる順番であり、各クレーンが処理すべき搬送要求の優先順位が高いものから順位付けしたものである。また、各クレーンが処理すべき搬送要求を優先順位が高いものから順位付けしたものが要求順位Nである。
【0031】
図5は、クレーン別搬送要求リスト201による各クレーンの動作ダイヤグラム202を示している。この動作ダイヤグラム202では、横軸に現在時刻T0からの時間をとり、縦軸にクレーン21、22の位置を表している。実線はクレーンが搬送要求を処理しているときを表しており、破線はクレーンが搬送開始位置への移動や、回避移動を表している。例えばクレーン21では、時刻T0における位置がX4であり、搬送要求303の搬送開始位置もX4のため、時刻T0から物品をクレーン21へ移載するための時間t0だけ待機してから、搬送完了位置X1へ移動を開始する。X1へ到着すると、物品を移載する時間t1だけ待機した時刻T1で搬送要求を完了する。続いて、搬送要求301を処理することになるが、クレーン22が重複エリア(X5、X6)内にいるため、クレーン22が重複エリアを出た時刻T11から搬送開始位置X6への移動を開始することになる。
【0032】
次に、上記構成の自動倉庫の搬送制御システムにおける搬送要求から搬送する物品を決定する処理動作について、図6に示す搬送計画作成のフローチャートを参照して説明する。その前提として、搬送計画を作成して物品の搬送命令を決定する搬送計画手段103の起動は、物品からの搬送要求が発生した場合、又はクレーン21、22の動作が完了した場合に行われる。ここでは、クレーン21、22は待機中であり、図2に示す搬送要求が時刻T0において発生した場合について説明する。
【0033】
まず、ステップS1では搬送要求リスト104に登録された搬送要求に対して、使用するクレーン番号を搬送開始位置と搬送完了位置から決定し、搬送要求リスト104に書き込む。次に、搬送要求の優先順位を決定し、搬送要求リスト104に書き込む。この優先順位は、搬送する物品の重要度や搬送要求が出されてからの経過時間から導かれる優先度が高いものから順位付けしたものである。
【0034】
この優先順位と使用クレーンに基づいてクレーン別搬送要求リスト201を作成する。このとき、計画順位Mは全クレーンに対して割り付けられ、各クレーンの要求順位Nが1番目の搬送要求の優先順位が高いものからの通し番号とする。図2に示す搬送要求の場合、クレーン別搬送要求リスト201は図4に示すようになる。
【0035】
例えば、クレーン21を使用する搬送要求は搬送要求301と303の2つであるため、搬送要求数は2となる。また、搬送要求301の優先順位が搬送要求303よりも高いため、搬送要求301の要求順位が1番になり、搬送要求303の要求順位が2番となる。
【0036】
また、クレーン21の要求順位Nが1番の搬送要求301の優先順位は図2から2番であり、クレーン22の要求順位Nが1番の搬送要求302の優先順位は図2から1番であるため、計画順位Mはクレーン22が1番となり、クレーン21が2番となる。
【0037】
ステップS2では全クレーンの稼動状況や現在位置を搬送制御手段103から収集する。もし動作中のクレーンがある場合、その現在位置と移動完了位置、移動完了時刻からクレーンの動作ダイヤグラム202を作成する。
【0038】
ステップS3では計画順位Mを初期化する(M=1)。
【0039】
続いて、ステップS4では、計画順位Mのクレーンが使用可能であるかを確認する。使用可能であればステップS5へ進む。もし、クレーンが移動中などで、直ちに搬送を開始できない状態の場合はステップS13へ進み、計画順位Mに1を加算して、計画順位Mがクレーンの総数を超えていないことを確認した後ステップS4へ戻る。
【0040】
ステップS5では計画順位Mのクレーンに対する搬送要求が存在するかを確認する。搬送要求が存在する場合はステップS6へ進む。一方、搬送要求が存在しない場合はステップS12へ進む。ステップS12では、計画順位Mのクレーンに対する搬送要求は存在しないが、現在のクレーン位置が他クレーンの動作と干渉しないかを確認する必要がある。干渉する場合には、回避命令を搬送命令リスト105に登録する。また、クレーンの移動開始時刻、現在位置及び移動完了位置についてのクレーンの動作を動作ダイヤグラム202に追加する。
【0041】
ステップS6では要求順位Nを初期化する(N=1)。
【0042】
続いて、ステップS7では要求順位Nが計画順位Mのクレーンに割当てられた搬送要求数を超えていないかを確認する。超えていない場合はステップS8へ進む。一方、搬送要求数を越えている場合はステップS11へ進む。
【0043】
ステップS11では計画順位Mのクレーンに対する全ての搬送要求が他クレーンと干渉している状態である。そこで、要求順位Nが1の搬送要求を搬送命令リスト105に登録する。ただし、搬送開始時刻は他クレーンと干渉しない時刻を動作ダイヤグラム202から求める。また、搬送開始時刻と搬送開始位置と搬送完了位置から動作ダイヤグラム202にクレーンの動作を追加する。
【0044】
ステップS8では要求順位Nの搬送要求が他クレーンの動作と干渉しないかを動作ダイヤグラム202を用いて確認する。干渉しない場合はステップS9へ進む。一方、干渉する場合はステップS10へ進む。
【0045】
ステップS9では計画順位Mのクレーンの搬送命令リスト105に要求順位Nの搬送要求を登録する。また、搬送開始位置と搬送完了位置から動作ダイヤグラム202にクレーンの動作を追加する。この時、搬送開始時刻は現在時刻とする。一方、ステップS10では、要求順位Nに1を加算して、再度ステップS7へ戻る。
【0046】
ステップS13では計画順位Mに1を加算する。
【0047】
続いて、ステップS14で計画順位Mがクレーンの総数を超えるかどうかを確認する。超えない場合はステップS4へ戻る。一方、超える場合は搬送計画作成の処理を完了する。
【0048】
以上のフローにより、図2に示す搬送要求から計画された搬送命令リスト105は図3に示すようになる。そして、前述の図5に示す動作ダイヤグラムに従って搬送制御手段102からの命令により、クレーン21は搬送要求303を処理し、クレーン22は搬送要求302を処理する。この後、新たな搬送要求が発生しなければ、搬送要求303の処理が完了した時刻T1において、クレーン21に搬送要求301を処理する搬送命令が出される。続いて、搬送要求302の処理が完了した時刻T2において、クレーン22に搬送要求304を処理する搬送命令が出される。
【0049】
ここで、図7の動作ダイヤグラムは、図2に示す搬送要求を優先順位のみでクレーン21、22を運行した場合の動作ダイヤグラム202を示している。この場合、クレーン21は、クレーン22が重複エリア(X5、X6)から出るまで待機状態となり、仮に時刻T0で搬送要求301を処理する搬送命令が出されたとしても実際の処理開始は時刻T01となるため、全ての搬送要求の処理完了までに時間が掛かっている。しかし、優先順位が1番の搬送要求302の処理(クレーン22)が完了する時刻は、図5に示す場合と同じ時刻T2となり、また、優先順位が2番の搬送要求301の処理(クレーン21)が図5に示す場合より早く完了している。従って、この方法も緊急性を要する物品をより早く処理するには有効な手段である。
【0050】
ここで理解を助けるために、図2に示す搬送要求を物品の搬送の優先順位を考慮せずにクレーン21、22の位置を基にして運行を計画した場合の動作ダイヤグラム202を図8に示す。この場合、クレーン21、22は、待機時間が短く効率的に利用されている。しかし、優先順位が1番の搬送要求302の搬送完了が3つの動作ダイヤグラム(図5、図7及び図8)の中で最も遅くなっている。このため、緊急性を要する物品の到着が遅れることになり、製造工程全体の能力低下につながる事態も想定される。
【0051】
以上のように、本形態の自動倉庫の搬送制御方法によれば、クレーン21、22は、待機時間も短く効率よく利用され、優先順位に従って速やかに搬送要求を処理することができる。
【0052】
次に、自動倉庫1にクレーンが3台ある場合に関して、本発明の自動倉庫の搬送制御システムについて、図9〜図14を参照して説明する。
【0053】
図9は、クレーンが3台ある場合の自動倉庫1の概略構成を示している。自動倉庫1は、複数の棚10と複数の入出庫口11と、これらの間で物品を搬送する3台のクレーン23、24、25とを備えている。棚10及び入出庫口11の位置をX1からX14で表している。また、クレーン23、24、25は同一のレール上に存在し、クレーン23の搬送可能範囲23aはX1からX6であり、クレーン24の搬送可能範囲24aはX5からX10であり、クレーン25の搬送可能範囲25aはX9からX14である。
【0054】
そして、図10に示す搬送要求リスト104を図6に示すフローチャートに従って処理すると、図11に示すクレーン別搬送要求リスト201が作成され、続いて図12に示す搬送命令リスト105が作成される。
【0055】
次に搬送制御手段102からの命令により、各クレーンの優先順位に従いクレーン23は搬送要求313を処理し、クレーン24は搬送要求312を処理し、クレーン25は搬送要求315の処理を行う。
【0056】
この後、新たな搬送要求が発生しなければ、搬送要求313の処理が完了した時刻T11において、クレーン23に搬送要求311を処理する搬送命令が出される。しかし、クレーン24が重複エリアになり、クレーン24がここを出るまでクレーン23は待機して、時刻T111で移動を開始する。続いて、搬送要求315の処理が完了した時刻T12では、クレーン25に対する新たな搬送要求がないため、クレーン25は待機状態となる。
【0057】
次に搬送要求312の処理が完了した時刻T13において、クレーン24に搬送要求314を処理する搬送命令が出される。これにより、クレーン23、24、25の動作は、図13に示している動作ダイヤグラム202のようになる。
【0058】
ここで、図14の動作ダイヤグラムは、図10に示す搬送要求を優先順位のみで各クレーン23、24、25を運行した場合の動作ダイヤグラム202を示している。この場合、クレーン23は時刻T0で搬送命令が出されているが、クレーン24が重複エリア(X5、X6)から出るまで待機状態となり、時刻T41で移動開始となるため全ての搬送要求の処理完了までに時間が掛かっている。しかし、優先順位が1番の搬送要求312の処理(クレーン24)及び優先順位が2番の搬送要求311の処理(クレーン23)については、図13に示す場合より早く完了している。従って、この方法も緊急性を要する物品をより早く処理するには有効な手段である。
【0059】
なお、クレーンが4台以上であっても本発明の搬送制御方法によって同様の処理が可能である。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、同一レール上に複数台のクレーンが走行する自動倉庫において、クレーン同士の干渉を避けながら搬送する物品の優先度を考慮して物品が効率よく、かつ的確に搬送される自動倉庫の搬送制御システム及び搬送制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動倉庫の搬送制御システムであって、クレーンが2台ある自動倉庫の構成図である。
【図2】クレーンが2台ある場合の搬送要求リストのデータ構造を示す図である。
【図3】クレーンが2台ある場合の搬送命令リストのデータ構造を示す図である。
【図4】クレーンが2台ある場合のクレーン別搬送要求リストのデータ構造を示す図である。
【図5】図4に示すクレーン別搬送要求リストによるクレーンの動作ダイヤグラムである。
【図6】本発明における搬送計画作成のフローチャート図である。
【図7】図2に示す搬送要求リストにおいて、優先順位の高い順番に物品を搬送する場合のクレーンの動作ダイヤグラムである。
【図8】優先順位を考慮しないで物品を搬送する場合のクレーンの動作ダイヤグラムである。
【図9】本発明の実施の形態に係る自動倉庫の搬送制御システムであって、クレーンが3台ある自動倉庫の構成図である。
【図10】クレーンが3台ある場合のクレーンが3台ある場合の搬送要求リストのデータ構造を示す図である。
【図11】クレーンが3台ある場合の搬送命令リストのデータ構造を示す図である。
【図12】クレーンが3台ある場合のクレーン別搬送要求リストのデータ構造を示す図である。
【図13】図12に示すクレーン別搬送要求リストによるクレーンの動作ダイヤグラムである。
【図14】図10に示す搬送要求リストにおいて、優先順位の高い順番に部品を搬送した場合のクレーンの動作ダイヤグラムである。
【符号の説明】
1 自動倉庫
2 制御管理部
10 棚
11 入出庫口
21〜25 クレーン
101 倉庫管理手段
102 搬送制御手段
103 搬送計画手段
104 搬送要求リスト
105 搬送命令リスト
201 クレーン別搬送要求リスト
202 動作ダイヤグラム
Claims (6)
- 複数の棚及び複数の入出庫口の相互間で、物品を搬送する複数のクレーンが同一レール上を走行する自動倉庫の搬送制御システムであって、
前記自動倉庫内の物品の情報を管理し、物品の搬送要求を出す倉庫管理手段と、
前記搬送要求から各クレーンに対して搬送命令を決定する搬送計画手段と、
前記搬送命令を各クレーンに対して伝える搬送制御手段とを備えることを特徴とする自動倉庫の搬送制御システム。 - 前記搬送計画手段は、前記各クレーンの位置及び物品の搬送要求の優先度を考慮して、前記各クレーンに対して搬送命令を決定することを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫の搬送制御システム。
- 前記搬送計画手段は、優先度が高い物品の搬送要求から順番に前記各クレーンに対して搬送命令を決定することを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫の搬送制御システム。
- 前記搬送計画手段は、物品の搬送要求が出されてからの経過時間が長い物品の搬送要求から順番に前記各クレーンに対して搬送命令を決定することを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫の搬送制御システム。
- 前記搬送計画手段は、クレーンの動作ダイヤグラムを作成してクレーン同士が干渉しないクレーンに対して搬送命令を決定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動倉庫の搬送制御システム。
- 複数の棚及び複数の入出庫口の相互間で、物品を搬送する複数のクレーンが同一レール上を走行する自動倉庫の搬送制御方法であって、
前記自動倉庫内の物品の情報を管理し、物品の搬送要求を出す倉庫管理ステップと、
前記搬送要求から各クレーンの搬送命令を決定する搬送計画ステップと、
前記搬送命令を各クレーンに伝える搬送制御ステップとを備えることを特徴とする自動倉庫の搬送制御方法。
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