JP2009037406A - 生産管理方法および生産管理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】通常ロットと、通常ロットよりも優先的に処理されるべき優先ロットとが混在して進行する生産ラインにおいて、最適なロット進行を実現することができる生産管理方法および生産管理システムを提供する。
【解決手段】特定の処理ステップにおける通常ロットおよび優先ロットの納期余裕度が算出される。次いで、優先ロットの納期余裕度がゼロ以上となる条件下で、優先ロットの処理開始時刻が決定される。当該決定された優先ロットの処理開始時刻に到達するまでの間で、まず、通常ロットの一部が処理される。優先ロットの処理開始時刻に到達するまでに、処理中の通常ロットの処理が一時停止され、優先ロットの処理開始時刻に、優先ロットの処理が開始される。そして、優先ロットの処理が完了した後、優先ロットの処理開始前に一部が処理された通常ロットの残部の処理が再開される。
【選択図】図10

Description

本発明は半導体集積回路装置等の製造技術に関し、特に、半導体集積回路装置等の生産ラインにおける生産管理方法および生産管理システムに関するものである。
半導体集積回路装置や液晶基板等の生産ラインにおいて、製造時間(製造リードタイム)を短縮するために、以下のような生産管理方法が従来から存在する。その従来技術は、複数のローダ、アンローダ、上位システムの指示によりローダにある優先度の高いロットを先に処理する機能、およびウェーハ識別機能を備えた設備により達成される。この設備は、ウェーハ識別機能を備えており、ロットの分割および合成を設備上で行うことができる。この設備を利用した製造ラインには、さらに、各工程の負荷状況を考慮してロットの分割および合成を指示できる試作生産管理装置を配置される。これにより、生産数量が多い製品を製造ライン上で効率良く生産することが望まれる量産品と、生産数量は少ないが製作期間が短いことを優先する試作品とが当該製造ラインで混在して生産される場合でも、量産品の生産数量を減らさずに試作品の製作期間を短くする、ロット進行を実現することができるとされている(例えば、特許文献1等参照)。
図18は、上記従来の生産管理方法における半導体集積回路装置の製造ライン(生産ライン)の構成を示す概略構成図である。図18に示すように、この製造ライン100は、4つの工程108a、108b、108c、108dからなる。各工程には、バッチ処理を行う製造設備107、枚葉処理を行う製造設備106、あるいは、バッチ処理を行う製造設備107と枚葉処理を行う製造設備106とが混在した設備が、それぞれ設置されている。さらに、製造ライン100には、ロットを分割するロット分割設備110と、ロットを合成するロット合成設備111が配置されている。
また、以上の製造ライン100の進度を管理するために、進度管理システム121、製造条件管理システム122および日程計画システム123が接続されている。これらの各システムと各製造設備は、LAN(Local Area Network)109で接続されており、相互にデータの授受を行うことができる。
進度管理システム121は、進度管理装置102と、進度管理D/B(データベース)103を含む。進度管理装置102は、製造ライン100全体のロットの進捗を管理する。また、進度管理D/B103は、進度管理装置102が管理するデータを保管する。製造条件管理システム122には、製造条件管理装置104と、製造条件管理D/B105を含む。製造条件管理装置104は、製造ラインを構成する各製造設備の製造条件を管理する。製造条件管理D/B105は、製造条件管理装置104が管理するデータを保管する。日程計画システム123は、日程計画装置101を含む。日程計画装置101は、進度管理システム122と製造条件管理システム123から、ロット進度データと製造条件データとを受取り、製造ライン100における全ロットの進行日程を立案する。
上記のような製造ライン100により、試作品は、工程108a〜108dを順に処理され、各工程で処理が完了したロットは、ロット搬送装置112によって、次の工程に搬送される。
上記構成では、各工程の製造装置内においてロットを追い越して生産することができるため、優先度の高い試作品などのロットを量産品のロットより早く生産することができる。さらに、設備の稼動率を低下させずに試作品を生産できるので、効率の良い生産ラインを実現できる。つまり、半導体集積回路装置の製造時間の短縮(以下、QTAT:Quick Turn Around Timeという。)を実現することができる。
また、後掲の非特許文献1には、QTATについて、3つのパターンが記載されている。1つ目は、複数のロードポートを備えた製造装置のロードポートに空がない状態でQTATの必要性が発生した場合に、処理中のロットの完了を待って、処理が完了したロットを搬出し、QTATの対象となるロットを搬入するパターンである。2つ目は、ロードポートに空がない状態でQTATの必要性が発生した場合に、待機中のロットを搬出し、QTATの対象となるロットを搬入するパターンである。3つ目は、ロードポートに空がある状態でQTATの必要性が発生した場合に、空いているロードポートにQTATの対象となるロットを搬入するパターンである。
特開平8−46006号公報 「製造装置オンライン運用解説書<固定バッファ/枚葉処理装置編>」、第5.0版、株式会社半導体先端テクノロジーズ、2001年12月
しかしながら、上述の従来の生産管理手法においては、以下の3つの課題が存在する。
まず、1つ目の課題は、特許文献1に開示された生産管理手法では、工程(処理ステップ)ごとの納期が考慮できないことである。一般に、半導体集積回路装置の製造ラインでは、最終納期を遵守することのみを基準とした生産スケジューリングに基づいて、各工程でのロットの処理順が決まる。しかし、この生産管理手法では、各処理ステップの納期が考慮されていないため、最終納期までに余裕がないロットが優先的に処理され、最終納期までに余裕があるロットの処理が常に後回しにされる。すなわち、最終納期までに余裕がないロットの処理を、最終納期までに余裕があるロットの処理の前に、割り込ませるロット進行制御が実施される。当該手法では、最終納期までに余裕があるロットが仕掛ロットである場合でも、最終納期までに余裕がないロットが到着する予定があると、仕掛ロットは直ちに処理されず、優先的に処理されるロットの後に処理されることになる。この場合、製造ラインの設備稼動率およびスループットが低下し、製造ラインの最大生産能力を発揮することができない。
また、当該手法では、通常ロットの進行が常に遅れ、生産ライン中では、納期に余裕のない優先ロットが増大することになる。一方、上記特許文献1には、優先ロット到着時に、処理中の通常ロットの処理を中断して、優先ロットを処理する手法も開示されている。当該手法によれば、設備稼働率を向上させることができる。しかしながら、通常ロットの進行が常に遅れ、生産ライン中に、納期に余裕のない優先ロットが増大することに変わりはない。このように、従来法では、最終納期を考慮した生産スケジュールを遵守する条件下で、設備の稼動率低下を最小化し、かつ設備通過リードタイムを最小化するために、最適なロット進行を実現することができなかった。
2つ目の課題は、ロットを分割して、製造リードタイムの短縮と設備稼動率の向上を図る状況下で、ロットの処理順を組み替える場合に生じる。上記非特許文献1には、QTATを実現するために、3種のロット進行制御(上述のQTATを実現する3つのパターン)が開示されている。しかし、どのような状況で各パターンを使い分けるか、あるいは、パターンを選択するために、どのような評価材料が必要であるか等、各パターンの選択基準が明確ではない。そのため、複数種存在するロット進行制御の中で、どれが最適であるかを判断することができない。したがって、ロット分割の際の、製造設備の一時処理停止や、設備処理再開を適切に指示することができない。
3つ目の課題は、製造ラインで得られたデータに基づいて、適切なロット進行制御を決定する時期を固定してしまうと、その後の製造ラインの状況変化に追随できず、誤ったロット進行制御が決定されてしまうことである。
本発明は、上記課題を鑑み、通常ロットと、通常ロットよりも優先的に処理されるべき優先ロットとが混在して進行する生産ラインにおいて、従来に比べてより適切なロット進行を実現することができる生産管理方法および生産管理システムを提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するため、本発明は以下の技術的手段を採用している。まず、本発明は、納期に余裕のある通常ロットと納期に余裕のない優先ロットとを含む複数のロットが並行して生産される半導体集積回路装置の生産ラインにおいて、特定の処理ステップに先着する通常ロットよりも、当該通常ロットに遅れて前記処理ステップに到着する優先ロットを、優先的に処理する生産管理方法を前提としている。そして、本発明に係る生産管理方法は、まず、通常ロットおよび優先ロットの、上記処理ステップにおける納期を算出する。次いで、算出された、通常ロットおよび優先ロットの納期に対する納期余裕度がゼロ以上となる条件下で、優先ロットの処理開始時刻を決定する。当該決定された優先ロットの処理開始時刻に到達するまでの間で、まず、通常ロットの一部が処理される。処理開始時刻に到達したときに、優先ロットの処理が開始される。そして、優先ロットの処理が完了した後、優先ロットの処理開始前に一部が処理された通常ロットの残部の処理が再開される。ここで、ロットとは、1枚または複数枚のウェーハが属する生産管理の単位である。また、処理ステップの納期余裕度とは、生産ラインのロット進行計画を立案するスケジューラが算出した当該処理ステップ設備通過期限と、実際のロット進行との差を指す。
本生産管理方法によれば、工場全体の最終納期の遵守を考慮した生産スケジュールを立案した上で、工場全体として最終納期に余裕のないロットの進行速度を落とすことなく、最終納期に余裕のあるロットの進行遅れを最小限にすることができる。
上記生産管理方法において、優先ロットの処理開始時刻に到達するまでの間で、通常ロットの一部を処理する工程は、次の構成を採用することができる。まず、通常ロットを複数のロットに分割する。そして、分割された通常ロットを単位として、決定された優先ロットの処理開始時刻に到達するまでの間で、当該分割された通常ロットを順次処理する。この場合、通常ロットは、例えば、上記特定の処理ステップのスループットを優先する条件下やリードタイムを優先する条件下で分割することができる。これにより、製造設備の一時処理停止や、処理再開等を適切に指示することができる。
また、上記生産管理方法において、通常ロットおよび優先ロットの処理が完了した後、実施された一連の処理が適切であったか否かを判定し、判定の結果、不適切であった場合に、上記優先ロットの処理開始時刻の決定基準を修正する構成とすることもできる。本構成では、例えば、特定の処理ステップへの優先ロットの到着が遅れ、事前に決定した優先ロットの処理開始時刻に優先ロットの処理を開始できない状況が発生したとしても、以降の処理を、ロットの到着が遅れるという当該生産ラインの状況を反映した状態で実施することができる。すなわち、工場の状況変化を反映した、適切なロット進行制御を実施することができる。
一方、他の観点では、納期に余裕のある通常ロットと納期に余裕のない優先ロットとを含む複数のロットが並行して生産される半導体集積回路装置の生産ラインにおいて、特定の処理ステップに先着する通常ロットよりも、当該通常ロットに遅れて前記処理ステップに到着する優先ロットを、優先的に処理する生産管理システムを提供することができる。すなわち、本発明に係る生産管理システムは、通常ロットおよび優先ロットの、上記処理ステップにおける納期を算出するスケジューラを備える。また、算出された、通常ロットおよび優先ロットの納期に対する納期余裕度がゼロ以上となる条件下で、優先ロットの処理開始時刻を決定するロット進行決定部を備える。さらに、決定された優先ロットの処理開始時刻に到達するまでの間で、通常ロットの一部を処理し、優先ロットの処理開始時刻に到達したときに、優先ロットの処理を開始し、優先ロットの処理が完了した後、優先ロットの処理開始前に一部が処理された通常ロットの残部の処理を再開するロット進行を指示する処理指示部を備える。
本発明によれば、工場全体の最終納期の遵守を考慮した生産スケジュールを立案した上で、優先ロットの進行速度を低下させることなく、通常ロットの進行遅れを最小限にすることができる。また、優先ロットの進行速度を過度に早めることなく、通常ロットの進行遅れを最小限にすることもできる。その結果、設備稼動率や、スループットの低下を最小限にすることができる。また、本発明によれば、通常ロットを分割して処理する場合に、製造設備の一時処理停止や、処理再開等を適切に指示することができる。さらに、工場の状況変化に追随した、適切なロット進行制御を採用することができる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、半導体集積回路装置の生産ラインに適用した事例により、本発明を具体化している。なお、本発明の生産管理システムは、従来の生産管理システムと3つの点で異なる。1つ目は、ロット進行を制御する方法(ロット進行制御方法)である。2つ目は、ロットの分割とロットの処理順を決定する方法である。3つ目は、ロット進行制御を再評価(検証)する点である。
まず、本実施形態における生産ラインと生産管理システムの構成について説明する。図1は、本実施形態における半導体集積回路装置の生産ラインと生産管理システムの基本構成の一例を示すものである。図1に示すように、生産ライン10は、複数の半導体製造設備11(以下では、製造設備11という。)、複数のロット収納棚12および複数の搬送機13から構成されている。また、生産ライン10を構成する製造設備11、ロット収納棚12および搬送機13は、それぞれ、LAN等の通信回線30を介して生産管理システム20に接続されている。
生産管理システム20は、生産実行装置21、スケジューラ22、進行制御評価装置23、および再評価装置24から構成されている。生産実行装置21は、主として生産ライン10におけるロットの進行を管理する。スケジューラ22は、予め設定されているロットごとの納期を考慮して、生産ライン10におけるロットの進行スケジュールを計画する。すなわち、生産ライン10の種々の制約を満足し、かつ最終納期を達成可能な条件下で、使用する製造設備11やロットの処理順を決定する。なお、本実施形態のスケジューラ22は、後述で詳述するように、ロットを処理する処理ステップ(例えば、1台の製造設備11)ごとに、納期を算出する点で、従来のスケジューラと異なる。進行制御評価装置23は、ロット進行制御を評価する。ここで、ロット進行制御とは、処理優先度が異なる複数のロットが、特定の製造設備11に同時期に到着したときに、通常ロットと、通常ロットよりも処理優先度が高い優先ロットとを、どのような順序で進行させるかの手順を指す。当該ロット進行制御には、例えば、後で詳述する、「FIFO制御」、「処理中割込制御」等がある。また、評価については後述する。再評価装置24は、進行制御評価装置23が行ったロット進行制御の評価を検証する。
生産実行装置21は、ロット進行データ収集部211、ロット進行データベース212、ロット進行制御決定部213、および処理指示部214を備える。ロット進行データ収集部211は、通信回線30を通して、生産ライン10に投入されている各ロットの進行状況を取得する。ここで、ロットの進行状況とは、それぞれのロットに対して完成までに実施される数百におよぶ処理ステップの中で、現在、どの処理ステップに滞在しているか等を指す。ロット進行データベース212は、生産ライン10に関するデータを一括して管理する。
図2は、ロット進行データベース212に格納されるデータ種別の一例を示す図である。図2の例では、ロット進行データベース212には、ロットデータ41、プロセスフローデータ42、ロット進行データ43、設備データ44、設備処理能力データ45、搬送機器データ46および搬送時間データ47が格納されている。ロットデータ41は、生産ライン10に投入されている各ロットに関する情報である。プロセスフローデータ42は、生産ライン10に投入されているロットに対して実施される処理のフローに関する情報である。ロット進行データ43は、上述のロット進行データ収集部211により収集されたロット進行データである。設備データ44は、生産ライン10に属する各製造設備11に関する情報である。設備処理能力データ45は、生産ライン10に属する各製造設備11の処理能力に関する情報である。搬送機器データ46は、各搬送機13に関する情報である。搬送時間データ47は、搬送機13が指定された搬送路のロット搬送に要する時間に関する情報である。
また、図3は、図2に示す各データ種別に含まれるより詳細なデータ項目の一例を示す図である。図3に示すように、ロットデータ41には、ロットID、ウェーハID、キャリアID、ロット分割情報、ウェーハ枚数、処理済枚数、未処理枚数、ロットステータス、処理開始時刻、処理終了時刻等が含まれる。ここでは、各項目のデータがロットごとに関連づけられている。プロセスフローデータ42には、プロセス名、プロセス順、処理ステップ、処理可能設備、レシピID等が含まれる。ここでは、各項目のデータがプロセスフローごとに関連づけられている。なお、レシピIDとは、製造設備11がロットを加工もしくは検査する手順や、各手順における処理条件を表すレシピを区別するための番号等を指す。ロット進行データ43には、ロットID、プロセスフロー中の現在のステップ、ロットの現在所在地、納期残り日数、搬送先、処理優先順位、仕掛ロット数、搬送開始時刻設定、搬送先変更情報、到着予定時刻、ロット通過期限時刻、納期余裕度等が含まれる。ここでは、各項目のデータがロットごとに関連づけられている。設備データ44には、設備ID、メンテナンス予定、設備ステータス、ポートステータス、ポート数、設備タイプ、原動費用、加工工数、処理数量等が含まれる。ここでは、各項目のデータが製造設備11ごとに関連づけられている。設備処理能力データ45には、設備ID、レシピID、1枚あたり平均処理時間、レシピ切り替え時間等が含まれる。ここでは、各項目のデータが製造設備11ごとに関連づけられている。搬送機器データ46には、搬送ステータス、ルート情報等が含まれる。ここでは、各項目のデータが搬送機13ごとに関連づけられている。搬送時間データ47には、搬送元搬送先毎平均搬送時間、ルート毎平均搬送時間差異等が含まれる。ここで、搬送元搬送先毎平均搬送時間は、生産ライン10において、特定の搬送元から特定の搬送先へのロット搬送に要する平均時間である。例えば、特定のロット収納棚13から特定の製造設備11への搬送や、特定の製造設備11から特定のロット収納棚13への搬送等である。搬送元搬送先毎平均搬送時間は、例えば、搬送元、搬送先、および平均搬送時間を対応づけた表として登録される。また、ルート毎平均搬送時間差異は、特定の搬送元から特定の搬送先への搬送経路(搬送ルート)が複数存在する場合に、その搬送経路の違いによる搬送時間の時間差である。ルート毎平均搬送時間差異は、例えば、「+15秒」や「−29秒」等の平均搬送時間に対する時間差として、搬送経路ごとに登録される。
ロット進行データベース212のデータは、逐次、生産ライン10から通信回線30を通じて取得される、各製造設備11、各ロット収納棚12、各搬送機13の稼動状況や、ロットの進行状況に基づいて最新の情報に更新される。なお、ロット進行データベース212に格納されるデータ種別および各データ種別に属するデータ項目は、上述の構成に限定されるものではない。
また、図1に示すロット進行制御決定部213は、通常ロットと優先ロットとが、特定の製造設備11に同時期に到着する場合に、採用するロット進行制御を決定する。ここでは、ロット進行制御決定部213は、想定されるロット進行制御のそれぞれについて進行制御評価装置23により算出された評価値に基づいて、各ロット進行制御の優劣を評価し、採用するロット進行制御を決定する。
決定されたロット進行制御は処理指示部214に通知される。処理指示部214は、実際の処理指示を生産ライン10の各部に出力する機能を有する。すなわち、処理指示部214は、通知されたロット進行制御に対応したロット進行指示を、生産ライン10を構成する製造設備11、ロット収納棚12および搬送機13に通知する。製造設備11、ロット収納棚12および搬送機13は、通知されたロット進行指示にしたがってロット処理を実行する。
一方、進行制御評価装置23は、評価基準データベース231、ロット進行制御データベース232、評価時期決定部233、評価実行部234、評価結果判定テーブル235を備える。
評価基準データベース231は、ロット進行制御を評価する評価基準に対応した評価項目を管理する。図4は、評価基準データベース231に格納されるデータ項目の一例を示す図である。図4の例では、評価基準データベース231には、評価基準名、重点データ、評価パラメータ名、評価関数、および優劣判定基準が格納されている。ここでは、各項目のデータが評価基準ごとに関連づけられている。
ロット進行制御データベース232は、ロット進行制御に必要な処理パターン(処理順序や処理時期)を管理する。図5は、ロット進行制御データベース232に格納されるデータ項目の一例を示す図である。図5の例では、ロット進行制御データベース232には、ロット進行制御名、処理順データ、分割時期データおよび一時停止時期データが格納されている。ここでは、各項目のデータがロット進行制御(FIFO制御、処理中割込制御)ごとに関連づけられている。
評価時期決定部233は、ロット進行制御の評価時期を決定する。評価時期決定部233が、後述の手法により、ロット進行制御を評価するタイミングであると判断すると、評価時期決定部233は、評価実行部234に対して、ロット進行制御の評価を指示する。
評価実行部234は、ロット進行制御の評価に必要なデータを、評価基準データベース231およびロット進行制御データベース232から取得して、後で詳述する手法により評価値を算出する。評価実行部234は、算出した評価値を評価結果判定テーブル235に記録する。評価結果判定テーブル235に記録された評価値は、ロット進行制御決定部213が、どのロット進行制御を採用するか優劣を判定するためのデータとして使用される。図6は、評価結果判定テーブル235に記録されるデータ項目の一例を示す図である。図6の例では、評価結果判定テーブル235には、評価基準名、重点データ値、評価パラメータ名、評価関数、優劣判定基準、評価パラメータ値、評価値が記録されている。ここでは、各項目のデータがロット進行制御を特定する情報と関連づけられている。なお、評価実行部234は、想定される全ロット進行制御の評価値を算出すると、その旨をロット進行制御決定部213へ通知する。当該通知を受けたロット進行制御決定部213は、評価結果判定テーブル235に格納されたデータに基づいて、採用するロット進行制御を決定する。
また、図1に示すように、再評価装置24は、再評価実行部241とロット進行制御評価結果データベース242とを備える。再評価実行部241は、生産ライン10に属する製造設備11において、上述のロット進行制御が実施された後、実施されたロット進行制御の実績に基づいて、採用したロット進行制御が適切だったか否かを再評価する。再評価の結果、不適切であった場合、ロット進行制御を修正する。また、ロット進行制御評価結果データベース242は、再評価実行部241により実施された、ロット進行制御の再評価結果を蓄積している。図7は、ロット進行制御評価結果データベース242に格納されるデー項目の一例を示す図である。図7の例では、ロット進行制御評価結果データベース242には、評価基準名、評価関数、評価値、ロット進行制御名、納期余裕度、優劣判定基準データが格納されている。ここでは、各項目のデータが、実施されたロット進行制御を特定する情報と関連づけられている。ロット進行制御データベース232に格納されているデータは、ロット進行制御評価結果データベース242に格納されているデータに更新される。
なお、生産実行装置21と、スケジューラ22、進行制御評価装置23および再評価装置24とは、相互にデータの授受を行っている。また、生産実行装置21と、スケジューラ22、進行制御評価装置23および再評価装置24は、例えば、プロセッサとRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリとを備えたハードウェア、および当該メモリに格納され、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実現することができる。
続いて、以上の構成を有する生産管理システム20において実施される生産管理方法について説明する。
図8は、従来の生産管理方法と本実施形態の生産管理方法との間の、納期管理の差異を説明するための模式図である。図8(a)は、従来の生産管理方法が採用する、最終納期のみを考慮した納期余裕度を示す図である。また、図8(b)は、本実施形態の生産管理方法が採用する処理ステップごとの納期余裕度を示す図である。図8(a)および図8(b)において、横軸は生産ライン10へのロット投入から始まるプロセスフローに対応する。また、縦軸は、生産ライン10へのロット投入からのリードタイムに対応する。なお、図8(b)では、1つの処理ステップにおける標準ロット進行と、現実のロット進行とを拡大して示している。
図8(a)に示すように、従来のスケジューラは、ロットが完成しなければならない最終納期のみを考慮して、生産スケジューリングを行っていた。この場合、スケジューラは、まず、ロットの投入から全処理完了までの最終納期に合わせた標準ロット進行データを算出する。次いで、現時点での現実のロット進行データが、標準ロット進行データと同一の傾きで生産ラインを進行すると仮定して、現時点での予測納期を算出する。そして、最終納期と予測納期の差を納期余裕度として算出する。
これに対し、本実施形態では、スケジューラ22は、図8(b)に示すように、処理ステップごとに納期を算出する。すなわち、スケジューラ22は、ロットの投入から全処理完了までの最終納期に合わせた標準ロット進行データを算出するとともに、処理ステップごとにその処理ステップを完了しなければならない納期(以下、設備通過期限という。)を算出する。そして、そのロットが現時点で滞在している処理ステップの設備通過期限と、現時点での現実のロット進行データとの差を、現時点での処理ステップごとの納期余裕度として算出する。
図9は、最終納期に余裕のある通常ロットと、最終納期に余裕のない優先ロットとが、生産ライン10に属する特定の処理ステップ(ここでは、特定の製造設備11とする。)に同時期に到着したときに、実施されるロットの進行制御方法を、ロット進行制御ごとに図示したものである。ここで、同時期とは、到着順にロットを処理したときに、いずれかのロットに待機が発生する状況である。また、特定の製造設備11は、1度に1ロットしか処理できないものとする。なお、図9では、横軸が時間軸である。
また、図9において、ロットLAが当該製造設備11において現在処理中であり、未処理ロットLB、LC、LDが、ロットLB、ロットLD、ロットLCの順で到着するものとする。特に限定されないが、本実施形態では、各ロットLB、LC、LDの到着予定時刻は、スケジューラ22が算出する。スケジューラ22は、生産実行装置21にあるロット進行データベース212のデータに基づいて、所定のタイミング(例えば、1つの処理ステップが完了する都度)で、各ロットの到着予定時刻、各ロットの処理終了予定時刻、および上述の設備通過期限時刻を算出する。算出した各時刻データは、ロット進行データベース212にロット進行データとして記録される。また、各ロットLB、LC、LDは、算出された到着予定時刻どおりに、上記特定の製造設備11に到着するものとする。
ここでは、ロットLA、LB、LDは、設備通過期限に余裕のある通常ロットであり、ロットLC設備通過期限に余裕のない優先ロットである。また、以下では、ロットLBの到着予定時刻をTB0、処理終了予定時刻をTBE、設備通過期限時刻をTBL、処理ステップ納期余裕度をSBとする。また、ロットLCの到着予定時刻をTC0、処理終了予定時刻をTCE、通過期限時刻をTCL、処理ステップ納期余裕度をSCとする。さらに、ロットLDの到着予定時刻をTD0、処理終了予定時刻をTDE、通過期限時刻をTDL、処理ステップ納期余裕度をSDとする。ここで、各ロットの処理ステップ納期余裕度SB、SC、SDは以下の関係式1〜3をそれぞれ満足する。
SB=TBL−TBE ・・・(1)
SC=TCL−TCE ・・・(2)
SD=TDL−TDE ・・・(3)
また、式1〜3において、各ロットの処理ステップ納期余裕度SB、SC、SDが、それぞれゼロ以上であれば、各ロットLB、LC、LDは、最終納期を満足することになる。
図9(a)は、スケジューラ22が、従来の最終納期優先でロットの処理順序を決定する事例(以下、事例1という。)である。上述したように、通常ロットLDの到着時刻TD0が、優先ロットLCの到着時刻TC0より早くなっている(TD0<TC0)。また、優先ロットLCの設備通過期限時刻TCLの方が通常ロットLDの設備通過期限時刻TDLよりも早くなっている(TCL<TDL)。
この状況において、スケジューラ22は各ロットLB、LC、LDの処理ステップ納期余裕度を計算する。そして、SC≧0を満足させるために、優先ロットLCを先に処理するよう処理順序を決定する。なお、当該ロット進行制御を「処理前割込制御」という。
この処理前割込制御では、優先ロットLCを優先して処理する。そのため、到着予定時刻TD0に、通常ロットLDが、当該製造設備11に到着しても通常ロットLDを待機させ、通常ロットLDの処理開始時間を遅らせる。つまり、製造設備11に後れて到着する優先ロットLCのために当該製造設備11を空けておく。そして、優先ロットLCが到着予定時刻TC0に当該製造設備に到着したときに、直ちに優先ロットLCの処理を開始する。優先ロットLCの処理が完了すると、通常ロットLDの処理を開始する。
事例1では、優先ロットLCは遅滞なく処理されるが、通常ロットLDの処理開始時間が遅れるため、結果として、4ロット分(ロットLA〜LD)の処理必要時間TZは長くなる。また、当該製造設備11についていえば、時刻TBEから時刻TC0の間は、ロットを処理できる状態であるにもかかわらず、ロットが処理されていない。このため、製造設備の稼動効率が低下している。
図9(b)は、最終納期を満足する条件下で、スループット優先で処理順序を決定する事例2を示している。図9(a)と同様に、通常ロットLDの到着時刻TD0<優先ロットLCの到着時刻TC0であり、優先ロットLCの設備通過期限時刻TCL<通常ロットLDの設備通過期限時刻TDLである。事例2では、この状況において、スケジューラ22は各ロットLB、LC、LDの処理ステップ納期余裕度を計算する。後述するロット進行制御の評価を行う際に、処理ステップ納期余裕度SCはゼロであってもよいとし(ここでは、SC=0)、単位時間あたりの処理数量、つまりスループットを優先させる条件でロットを処理する順序を決定する。この場合、到着順に処理が開始されることになる。なお、当該ロット進行制御を「FIFO制御」という。
図9(b)に示すように、FIFO制御は、事例1の処理前割込制御と比較して、4ロット分の処理必要時間TZが短くなる。したがって、ロットのスループットは高くなる。また、当該製造設備11についていえば、事例2では、事例1においてロットが処理されていなかったTBEからTC0の間にロットが処理される。このため、当該製造設備11の稼動効率が向上する。
図9(c)は、最終納期を満足する条件下で、設備通過リードタイム優先で処理順序を決定する事例3を示している。図9(a)と同様に、通常ロットLDの到着時刻TD0<優先ロットLCの到着時刻TC0であり、優先ロットLCの設備通過期限時刻TCL<通常ロットLDの設備通過期限時刻TDLである。事例3では、処理ステップ納期余裕度SCを最大にする状態に、ロットの進行を制御し、ロットを処理する順序を決定している。ここでは、ロット分割と処理中の割込制御を組み合わせて、ロットの進行を制御する。なお、ロットを分割して、他のロットを割り込ませるロット進行制御を「処理中割込制御」という。
ロットLCの設備通過リードタイムを優先させた処理中割込制御では、通常ロットLDは、ロット到着後、直ちに処理が開始される。また、処理ステップ納期余裕度SCを最大にするためには、優先ロットLCも、当該製造設備11に到着次第、直ちに処理される必要がある。そのため、本実施形態では、ロットLDをウェーハ1枚ずつの分割ロット(以下、子ロットという。)に予め分割して処理する。つまり、最終納期に余裕のない優先ロットの到着タイミングに合わせて、先に処理している最終納期に余裕のある通常ロットの処理を一時停止するロット進行制御を行っている。
図10(a)および図10(b)は、図9(c)において、ロットを分割して処理する様子を詳細に示す模式図である。本実施形態では、ロットLDをウェーハ1枚ずつの子ロットに予め分割して処理する。以下では、各子ロットをLD1〜LDn(nは、分割数)という。また、各子ロットLDnの処理終了予定時刻をTDnE(n=1、2、・・・、n)とする。なお、ロットLDは、複数の子ロットLD1〜LDnに分割され子ロット単位で処理されるが、子ロットLDnの処理が完了する都度、当該子ロットLDnが次処理ステップに進行することはない。ロットLDは、全ての子ロットLD1〜LDnの処理が完了したときに、次処理ステップに進行する。したがって、処理完了後に搬送機13でロットLDを搬送するときも、ロットLDに属するウェーハ全てが、同一のキャリアに収容され、ロットLDが一体となって搬送される。つまり、ここでのロット分割は、当該製造装置11における、ロットの管理単位が細分化されるだけである。
設備通過リードタイムを優先させた処理中割込制御では、優先ロットLCが到着する予定時刻TC0と各子ロットLDnの処理終了予定時刻TDnEとを比較して、優先ロットLCが到着する時刻TC0の前かつ直近の子ロットLDnの処理終了予定時刻TDnEを処理一時停止時刻TDSとする。図10(a)の例では、子ロットLD9の処理終了予定時刻TD9EがロットLCの到着時刻TC0の直前になっている。したがって、処理一時停止時刻TDSとして、処理終了予定時刻TD9Eが設定される。この場合、図10(b)に示すように、子ロットLD1から子ロットLD9までを連続して処理し、時刻TDSにおいて子ロットLD9の処理が終了したら、ロットLDの処理が一時停止される。
次に、優先ロットLCの到着後、直ちに、優先ロットLCの処理が開始される。そして、ロットLCの処理が完了すると、ロットLDの処理が再開される。そして、未処理の子ロットLD10からLDnまでが連続して処理される。
このような設備通過リードタイムを優先させた処理中割込制御を使用すると、優先ロットLCの処理ステップ納期余裕度SCは最大になり、かつ通常ロットLDの処理ステップ納期余裕度SDが事例1の時よりも大きくなる。その結果、設備通過リードタイムが短縮される。したがって、工場全体の最終納期遵守を考慮した生産スケジュールを立案した上で、工場全体として最終納期に余裕のない優先ロットの進行速度を低下させることなく、最終納期に余裕のあるロットの進行遅れを最小限にすることができる。
上記設備通過リードタイムを優先させた処理中割込制御では、ロットLCの処理ステップ納期余裕度SCを最大にする状態にロットの進行を制御した。しかしながら、図9(d)に示すように、処理ステップ納期余裕度SCがゼロとなる条件下で、上述のロット分割を行ってもよい。この場合、図10(c)に示すように、処理ステップ納期余裕度SC=0としたときに、優先ロットLCの処理が開始される時刻と、各子ロットLDnの処理終了予定時刻TDnEとを比較して、優先ロットLCの処理が開始される時刻の前かつ直近の子ロットLDnの処理終了予定時刻TDnEが処理一時停止時刻TDSになる。これにより、図9(b)で説明したFIFO制御と同様に、事例1(図9(a))の場合に比べて、スループットを優先させた処理中割込制御を実現することができる。なお、優先ロットLCの処理が開始される時刻の直前に処理が完了する子ロットLDnが、最後尾の子ロットであった場合、当該ロット進行制御は、上述のFIFO制御になる。
このようなスループットを優先させた処理中割込制御を使用すると、工場全体の最終納期遵守を考慮した生産スケジュールを立案した上で、工場全体として最終納期に余裕のない優先ロットの進行速度を過度に早めることなく、最終納期に余裕のあるロットの進行遅れを最小限にすることができる。
以上のように、処理中割込制御を採用することで、工場全体の最終納期遵守を考慮した生産スケジュールを立案した上で、優先ロットの進行速度を低下させることなく、通常ロットの進行遅れを最小限にすることができる。また、優先ロットの進行速度を過度に早めることなく、通常ロットの進行遅れを最小限にすることができる。その結果、製造設備の稼動率や、スループットの低下を最小限にすることができるという効果を得ることができる。
続いて、上述のFIFO制御、処理中割込制御を実施する際に、生産管理システム20が最適なロット進行制御を決定する手法について説明する。本実施形態では、通常ロットと優先ロットとが同時期に特定の製造設備11に到着したときに、評価実行部234が、特定の評価基準に基づいて、想定されるロット進行制御(ここでは、FIFO制御または処理中割込制御)を順に評価する。そして、ロット進行制御決定部213が、その評価結果に基づいて、ロット進行制御を決定する。
図11は、評価実行部234が実行する評価値算出処理を示す図である。評価値算出処理は、評価時期決定部233から、評価開始指示が入力されたときに開始される。また、図12は、評価基準データベース231に格納されているデータ項目(図4参照)をより詳細に示す図である。上述のように、評価基準データベース231には、評価基準名、重点データ、評価パラメータ、評価関数、および優劣判定基準が、評価基準ごとに関連づけて格納されている。各データ項目について、より詳細に説明すると、重点データは、ロット進行制御を評価するために、特に重要なデータである。評価パラメータは、評価対象となる項目である。評価関数は、ロット進行制御の優劣を評価するための評価値の算出に使用される数式である。また、優劣判定基準は、評価関数により算出された評価値の、優劣を判定するための判定基準である。
図12では、評価基準として、設備スループット、リードタイム、および加工コストを例示している。評価基準「設備スループット」では、重点データとして、ロット枚数、納期残り日数、搬送元搬送先毎平均搬送時間、ルート毎平均搬送時間差異、ルート情報、到着予定時刻、1枚あたり平均処理時間、レシピ切替時間、および処理数量が登録されている。また、評価パラメータとして、納期余裕度(設備通過期限)、製造設備における単位時間当たりの処理量を示す、設備時間あたりアウトプット数量が登録されている。さらに、評価関数として、設備時間あたりアウトプット数量の総和が登録されている。そして、優劣判定基準として、最大値が最も良いという条件が登録されている。
また、評価基準「リードタイム」では、重点データとして、納期残り日数、搬送元搬送先毎平均搬送時間、ルート毎平均搬送時間差異、ルート情報、および到着予定時刻が登録されている。また、評価パラメータとして、納期余裕度(設備通過期限)が登録されている。評価関数としては、納期余裕度の総和が登録されている。そして、優劣判定基準として、最大値が最も良いという条件が登録されている。なお、評価基準「加工コスト」については、評価基準「設備スループット」および評価基準「リードタイム」と同様に、図示のとおりであるので記述を省略する。
評価実行部234は、まず、生産状況などを考慮して予め指定された評価基準データベース231に格納されている評価基準を設定する(ステップS1101)。ここでは、評価基準として、「リードタイム」が指定されているものとする。
次いで、評価実行部234は、評価基準データベース231から、設定した評価基準に対応する重点データ、評価パラメータ名、評価関数、優劣判定基準を取得する(ステップS1102)。ここでは、評価基準が「リードタイム」であるので、評価実行部234は、重点データとして、納期残り日数、搬送元搬送先毎平均搬送時間、ルート毎平均搬送時間差異、ルート情報、到着予定時刻を取得する。評価パラメータ名として、納期余裕度を取得する。評価関数として、Σ(納期余裕度)を取得する。また、優劣判定基準として、「最大値が最も良い」を取得する。
また、評価実行部234は、生産実行装置21のロット進行データベース212より、ロット進行制御の対象となる通常ロットおよび優先ロットのロットデータ41、プロセスフローデータ42、ロット進行データ43、設備データ44、設備処理能力データ45、搬送機器データ46、搬送時間データ47を取得し、重点データに対応するデータを評価結果判定テーブル235に記録する(ステップS1103)。
例えば、図9の各事例のように、特定の製造設備11に通常ロットLB、通常ロットLD、優先ロットLCが、同時期に順に到着する場合、評価実行部234は、各ロットLB、LC、LDの上記データ41〜47を取得し、評価判定テーブル235に記録する。
続いて、評価実行部234は、ロット進行制御データベース232に格納されているデータにより、ロットを処理する順序とロットを処理する時期を決定する(ステップS1104)。上述のように、ロット進行制御データベース232には、ロット進行制御名、処理順データ、分割時期データ、一次停止時期データが格納されている。ここでは、処理順データ、分割時期データ、一時停止時期データとして、通常ロットに遅れて優先ロットが到着した場合の、各ロットの処理順の前後関係および処理時期の前後関係が格納されている。当該前後関係に基づいて、処理順および処理時期がロット進行制御に応じて決定される。なお、分割時期データ、一次停止時期データは、処理中割込制御の処理時期を決定するためのデータである。
上述のように、本実施形態では、FIFO制御、設備通過リードタイムを優先した処理中割込制御およびスループットを優先した処理中割込制御がロット進行制御データベース232に登録されている。
例えば、FIFO制御の場合、評価実行部234は、処理順を、通常ロットLB、通常ロットLD(分割なし)、優先ロットLCと決定する。また、各ロットの処理開始時期を、各ロットの納期に対する納期余裕度がゼロ以上となる条件下で、以下のように決定する。すなわち、通常ロットLBの処理を、到着時刻TB0に開始する。通常ロットLDの処理を、到着時刻TD0後かつ通常ロットLBの処理終了時刻TBE後に開始する。優先ロットLCの処理を、到着時刻TC0後かつ通常ロットLDの処理終了時刻TDE後に開始する。この場合、優先ロットの処理開始時刻は、通常ロットLDの処理終了時刻TDE後に決定されることになる。
一方、設備通過リードタイム優先処理中割込制御およびスループット優先処理中割込制御の場合、評価実行部234は、処理順を、通常ロットLB、通常ロットLD(分割あり)、優先ロットLC、と決定する。設備通過リードタイム優先処理中割込制御の場合、評価実行部234は、各ロットの処理開始時期を、各ロットの納期に対する納期余裕度がゼロ以上となる条件下で、以下のように決定する。通常ロットLBの処理を、到着時刻TB0に開始する。通常ロットLDの処理を、到着時刻TD0後かつ通常ロットLBの処理終了時刻TBE後に開始し、優先ロットLCの到着時刻TC0前に一時停止する。優先ロットLCの処理を、到着時刻TC0に開始する。通常ロットLDの残部の処理を、優先ロットLCの処理終了時刻TCE後に再開する。この場合、優先ロットの処理開始時刻は、優先ロットの到着時刻TC0に決定されることになる。また、スループット優先処理中割込制御の場合、評価実行部234は、各ロットの処理開始時期を、各ロットの納期に対する納期余裕度がゼロ以上となる条件下で、以下のように決定する。通常ロットLBの処理を、到着時刻TB0に開始する。通常ロットLDの処理を、到着時刻TD0後かつ通常ロットLBの処理終了時刻TBE後に開始し、優先ロットLCの処理開始時刻前に一時停止する。優先ロットLCの処理を、到着時刻TC0後かつ通常ロットLDの処理一時停止後に開始する。通常ロットLDの残部の処理を、優先ロットLCの処理終了時刻TCE後に再開する。この場合、優先ロットの処理開始時刻は、通常ロットLDの一時停止時刻後に決定されることになる。
ここでは、評価実行部234は、まず、FIFO制御の処理順および処理時期を決定する。
次いで、評価実行部234は、決定したロット処理順および処理時期と、評価結果判定テーブル235に記録されたデータとを用いて、それぞれのロット(ここでは、ロットLB、LC,LD)ごとに評価パラメータの値を計算する(ステップS1105)。
評価基準が「リードタイム」である場合、評価パラメータは納期余裕度である。このため、評価実行部234は、決定した処理順および処理時期に基づいて、各ロットLB、LC、LDの納期余裕度(式1〜3参照。)を評価パラメータ値として取得する。ここでは、評価実行部234は、スケジューラ22に各ロットの納期余裕度を算出させる。納期余裕度を算出するためには、各ロットの通過期限時刻および処理終了時刻が必要である。上述のように、通過期限時刻は、納期残り日数に基づいてスケジューラ22が予め算出している。また、処理終了予定時刻は、ロットが、到着後直ちに処理される場合は、到着予定時刻と処理時間との和として求められる。ロットが、他のロットの処理が完了した後で処理される場合は、当該他のロットの処理終了予定時刻と処理時間との和が、処理終了予定時刻になる。なお、到着予定時刻は、搬送元搬送先毎平均搬送時間、ルート毎平均搬送時間差異、ルート情報に基づいてスケジューラ22により算出され、ロット進行データベース212に格納されている。例えば、優先ロットLCが、処理開始前に、ロット収納棚Mに収納されていたとする。そして、ロット収納棚Mから製造設備Nまでの平均搬送時間が5分40秒であり、ロット収納棚Mから製造設備Nまでの搬送ルートAのルート毎平均搬送時間差異が+15秒であるとする。この場合、優先ロットLCの到着予定時刻TC0は、搬送開始指示から5分55秒後になる。また、処理時間TPは、製造装置Nにおける1枚あたりの平均処理時間とロット枚数により算出できる。したがって、優先ロットTCの終了予定時刻TCEは、TCE=TC0+TPにより算出される。通常ロットLBの終了予定時刻TBEも同様にして算出される。また、通常ロットLDの終了予定時刻TDEは、TCE=TBE+TPにより算出される。
以上のようにして算出される各ロットLB、LC、LDの処理終了予定時刻に基づいて、評価実行部234は、各ロットLB、LC、LDの納期余裕度を評価パラメータ値として取得する。評価実行部234は、取得した各ロットの評価パラメータ値と優劣判定基準とを評価結果判定テーブル235に記録する(ステップS1106)。
また、評価実行部234は、評価パラメータ値と評価関数とを用いて、ロット進行制御の評価値を算出し、評価結果判定テーブル235に記録する(ステップS1107)。ここでは、評価実行部234は、評価関数にしたがって、評価パラメータ値である納期余裕度の総和(SB+SC+SD)を評価値として算出する。
以上のようにして、ロット進行制御の評価値を算出した評価実行部234は、続いて、他のロット進行制御の有無を判定する(ステップS1108)。他にロット進行制御があれば、再度、ロットを処理する順序とロットを処理する時期を決定し、評価する(ステップS1108Yes、S1104)。ここでは、他のロット進行制御として、設備通過リードタイムを優先した処理中割込制御およびスループットを優先した処理中割込制御が存在するため、これらのロット進行制御に対して、上述の評価値の算出が実施される。また、これらのロット進行制御に対する評価値の算出が完了した場合は、他のロット進行制御がないため、処理が終了する(ステップS1108No)。なお、評価実行部234は、評価値算出処理を終了する際に、その旨をロット進行制御決定部213に通知する。
図13は、ロット進行制御決定部213が実行するロット進行制御決定処理を示すフロー図である。ロット進行制御決定処理は、評価実行部234から、評価値算出処理が終了した通知を受信したときに実行される。ロット進行制御決定部213は、評価実行部234からの通知に応じて、評価結果判定テーブル235に記録されている、各ロット進行制御の評価値と、優劣判定基準(上述の例では、「最大値が最も良い」)とに基づいて、ロット進行制御の優劣を判断する(ステップ1301)。そして、優劣判定基準において、最終的に最も良い評価を得たロット進行制御を、採用するロット進行制御として決定する(ステップS1302)。評価基準が「リードタイム」である例では、評価値(SB+SC+SD)が最大となるロット進行制御、すなわち、評価値が算出されたロット進行制御の中から、各ロットLB、LC、LDの納期余裕度が最大となるロット進行制御が、採用するロット進行制御として決定される。
ロット進行制御決定部213は、決定したロット進行制御を、処理指示部214に通知する(ステップS1303)。また、ロット進行制御決定部213は、採用したロット進行制御の評価値および優劣判定基準を、ロット進行制御を特定する情報とともに、ロット進行制御評価結果データベース242に蓄積する(ステップS1304)。
図14は、ロット進行制御決定部213からロット進行制御を通知されたときに、処理指示部214が実施する指示作成処理を示すフロー図である。処理指示部214は、ロット進行制御が通知されると、当該ロット進行制御を実行するために、生産ライン10を構成する製造設備11、ロット収納棚12、搬送機13に通知する指示の作成を開始する(ステップS1401)。ここで、通知する指示とは、生産ライン10を構成する製造設備11、ロット収納棚12、搬送機13に指定した動作をさせる指示を指す。
処理指示部214は、まず、通知されたロット進行制御が、処理中割込制御であるか否かを判定する(ステップS1402)。通知されたロット進行制御が処理中割込制御でない場合、すなわち、上述のFIFO制御である場合、処理指示部214は、生産ライン10に通知する指示として、通知されたロット進行制御に応じた、各ロットの処理開始指示を作成する(ステップS1402No、S1403)。各指示は、その指示を出力すべき時刻等の指示出力タイミングと対応づけられており、対応する指示出力タイミングに到達したときに、生産実行装置21の指示として、各指示がロット進行制御対象の製造設備11へ出力される。これにより、FIFO制御が実施される。
一方、通知されたロット進行制御が処理中割込制御である場合、処理指示部214は、ロット分割指示、処理開始指示、処理一時停止指示を作成する(ステップS1402Yes、S1404)。図15は、処理指示部214が、ロット分割指示、処理開始指示、処理一時停止指示を作成するステップS1404を、より詳細に示すフロー図である。ここでは、図10に示した例に基づいて説明する。
通知されたロット進行制御が、設備通過リードタイムを優先した処理中割込制御であった場合、処理指示部214は、まず、ロット進行データベース212から、割り込み対象の通常ロットLDに属するウェーハ枚数、当該通常ロットに適用される処理条件を示すレシピID、当該ロットの到着予定時刻TD0、該当レシピIDの1枚あたり平均処理時間、および優先ロットLCの到着予定時刻TC0を取得する(ステップS1501)。次に、処理一時停止時刻TDSを計算するために、各子ロットTDnの処理終了予定時刻TDnEを算出する(ステップS1502、S1503)。ここで、上記1枚あたり平均処理時間をTrpとすると、n番目に処理される子ロットTDnの処理終了予定時刻TDnEは、以下の式4を満足する。
TDnE=TD0+n×Trp ・・・(4)
処理指示部214は、式4により、各子ロットTDnの処理終了予定時刻TDnEを算出する(ステップS1503)。ここでは、まず、1番目の子ロットTD1の処理終了予定時刻TD1Eが算出される。処理指示部214は、処理終了予定時刻TD1E算出した処理終了予定時刻TD1Eと、優先ロットTCの処理開始時刻(ここでは、到着予定時刻TC0)と比較する(ステップS1504)。このとき、子ロットTD1の処理終了予定時刻TD1Eが、優先ロットTCの到着予定時刻TC0以下であれば、次子ロットTD2の処理終了予定時刻TD2Eを算出し、優先ロットTCの処理開始時刻(到着予定時刻TC0)と比較する(ステップS1504No、S1507、S1504)。当該比較は、子ロットTDnの処理終了予定時刻TDnEが優先ロットLCの処理開始時刻(到着予定時刻TC0)を超えるまで繰り返される。そして、優先ロットLCの処理開始時刻(到着予定時刻TC0)を超えた子ロットTDnの、1つ前に処理される子ロットTD(n−1)Eの処理終了予定時刻TD(n−1)Eを処理一時停止時刻TDSとする(ステップS1504Yes、S1505)。図10の例では、10番目の子ロットLD10の処理完了予定時刻TD10Eが、優先ロットTCの到着予定時刻TC0を始めて超える。したがって、9番目の子ロットLD9の処理完了予定時刻TD9Eが処理一時停止時刻TDSに決定される。
処理一時停止時刻TDSを算出した処理指示部214は、ロット分割指示、子ロットの処理開始指示、処理一時停止指示、子ロット処理再開指示を作成する(ステップS1506)。各指示は、その指示を出力すべき時刻等の指示出力タイミングと対応づけられており、対応する指示出力タイミングに到達したときに、生産実行装置21の指示として、各指示がロット進行制御対象の製造設備11へ出力される。
すなわち、処理指示部214は、ロット分割指示は、通常ロットLDの処理開始時刻前に、ロット分割指示を、生産実行装置21の指示として製造設備11に出力する。これにより、上述のようにデータ上で通常ロットLDの管理単位が、ウェーハ1枚ずつの子ロットに分割される。また、処理指示部214は、通常ロットの処理開始時刻に、処理指示部214は、子ロットの処理開始指示を出力する。これにより、子ロット処理が開始され、製造設備11において、各子ロットが順に処理される。そして、処理一時停止時刻TDSに到達すると、処理指示部214は、処理一時停止指示を出力する。これにより、通常ロットLDの処理が一旦停止される。当該状態で、優先ロットの処理開始時刻(ここでは、優先ロットの到着予定時刻TC0)に到達すると、優先ロットの処理が開始される。そして、優先ロットの処理が完了すると、処理指示部214は、子ロット処理再開指示を出力する。これにより、通常ロットLDの子ロットの処理が再開され、未処理の子ロットが順に処理される。これにより、設備通過リードタイムを優先した処理中割込制御が実施される。なお、通知されたロット進行制御が、スループットを優先した処理中割込制御である場合にも、処理指示部214は、同様にして、ロット分割指示、処理開始指示、処理一時停止指示を作成する。
なお、本実施形態ではロットを分割する単位はウェーハ1枚ずつとしたが、分割単位は、複数枚数であってもよく、さらには、1枚と3枚に分割する等分割単位が混在していてもよい。この場合、上記式4は、分割単位に応じて適宜修正される。
以上説明した処理により、工場全体のロット進行評価基準を考慮したロット分割、ロット処理順組み替えの進行制御が可能となる。
続いて、評価実行部234に、評価開始指示を入力する評価時期決定部233の動作を説明する。図16は、評価時期決定部233が実行する、評価時期決定処理を示すフロー図である。評価時期決定処理は所定の周期で繰り返し実行されている。
評価時期決定部233は、まず、各製造装置11において特定の状態遷移が発生したか否かを確認する。図16の例では、状態遷移として、各製造設備11における、ロットの処理開始、処理終了、待機など進行イベントが更新されたとき(ステップS1601)、各製造設備11の設備ステータスが「STANDBY(待機)」から「PRODUCTIVE(稼動)」に遷移したとき(ステップS1602)、および前回のロット進行制御の評価を実行してから一定周期経過したとき(ステップS1603)を例示している。これらの状態遷移は、評価時期決定部233に予め登録されているとする。
評価時期決定部233は、状態遷移の発生を確認すると(ステップS1601Yes、S1602YesまたはS1603No)、状態遷移の発生評価実行部234に、状態遷移が発生した製造設備11のロット進行制御の評価実行を指示する(ステップS1604)。当該指示にしたがって、評価実行部234は、状態遷移が発生した製造設備11について、上述の評価値算出処理を開始する。なお、状態遷移の発生が確認されなかった場合、評価時期決定部233は、処理を終了する(ステップS1601No、S1602NoまたはS1603Yes)。
上述したロット進行制御の評価は、通常ロットと優先ロットとが、同時期に特定の製造設備11に到着する場合に実施する必要がある。本構成によれば、ロット進行イベントが更新される都度、評価実行部234に評価時期決定部233から評価指示が通知される。そのため、特定の製造装置11(特定の処理ステップ)に新たにロットが進行する都度、ロット進行制御の評価が実施されることになる。加えて、製造設備11が、待機状態から稼動状態となり、当該製造設備11に、ロットが投入された場合にもロット進行制御の評価が実施される。さらに、ロット進行制御の評価を実行してから一定周期経過したときにも、再度、ロット進行制御の評価が実施されるため、生産ライン10の状況変化に追随して、ロット進行制御を変更することもできる。
さらに、本実施形態の生産処理システム20は、ロット進行制御の評価精度を向上するために、実施されたロット進行制御の再評価する。以下、ロット進行制御の再評価について説明する。図17は、再評価実行部241が実行する再評価処理を示すフローチャートである。再評価処理は、所定の周期で繰り返し実行されている。
まず、再評価実行部241は、評価実行部234により評価されたロットが、評価が実施された処理ステップより進行しているか否かを判定する(ステップS1701)。進行していた場合、再評価実行部241は、ロット進行データベース212からロット進行実績データを取得する(ステップS1702)。また、再評価実行部241は、ロット進行制御評価結果判定テーブル242から、評価時のロット進行制御および優劣判定基準を取得する(ステップS1703)。
次に、再評価実行部241は、取得したデータに基づいて、ロット進行制御の再評価を行う(ステップS1704)。前回の評価値と再度評価した評価値とを比較する(ステップS1705)。このとき、前回の評価値と再評価値とが異なっていれば、ロット進行制御を修正し、再評価値とともにロット進行制御評価結果データベース242に記録する(ステップS1705Yes、S1706、S1707)。ここで、ロット進行制御の修正は、ロット進行制御データベース232に格納されている、処理順データ、分割時期データおよび一時停止時期データを修正することを意味する。再評価値と前評価値とが異なる場合、生産ライン10の状態が、ロット進行制御を決定するための前提とした生産ライン10の状態から変化していることになる。当該修正により、優先ロットの処理開始時刻の決定基準が修正され、ロット進行制御の決定に生産ライン10の状態変化を反映させることができる。
例えば、通常ロットLB、通常ロットLD、優先ロットLCが、この順で特定の製造設備11に同時期に到着し、評価基準を「リードタイム」として、設備通過リードタイムを優先したロット進行制御が採用された場合、再評価は、以下のように実施される。
当該条件下において、例えば、搬送経路の混雑等により、ロットTCが当該製造設備に想定外に遅れて到着し、処理がなされたとする。この場合、ロットTCの現実の到着時刻が到着予定時刻TC0よりも遅れたため、到着予定時刻TC0から現実のロットLC到着時刻の間は、当該製造設備11においてロットの処理が実施されていないことになる。このため、現実に実施されたロット進行制御では、ロットLCの納期余裕度およびロットLDの納期余裕度は、前回の評価値(ロット進行制御決定時の評価値)算出の際に使用された納期余裕度に比べて小さくなっている。したがって、前評価値と再評価値との関係は、前評価値>再評価値となり、両者は異なる値になる。すなわち、再評価値と前評価値とを比較することにより、ロット進行制御決定時に予測したとおりに各ロットの処理が実施されたか否かを判定することができる。
この場合、再評価実行部241は、ロット進行データベース232から、設備通過リードタイムを優先した処理中割込制御の分割時期データと一次停止時期データとを取得し、各データを、評価実行部234が決定する優先ロットの処理時期を遅らせる状態に修正する。例えば、図10の例では到着予定時刻TC0が遅れるので、分割時期データを遅らせる。すなわち、通常ロットLDの処理開始時刻前にロット分割指示を出す時刻を遅らせる。また、一次停止時期データは、この例の場合、ロット分割指示9番目の子ロットLD9の処理完了予定時刻TD9E、すなわち処理一時停止時刻TDSである。これも到着予定時刻TC0が遅れるので、処理一時停止時刻TDSの計算結果を修正し、遅らせる。修正された分割時期データと一次停止時期データは、ロット進行制御を特定する情報(ロット進行制御名)とともに、ロット進行制御評価結果データベース242に記録する。なお、ロット進行制御データベース232に格納されているデータは、ロット進行制御評価結果データベース242に格納されているデータに更新される。
なお、前評価値と再評価値とが同一であれば、再評価実行部241は処理を終了する(ステップS1705No)。
以上の処理により、工場(生産ライン10)の状態変化に対して、当該状態変化を反映したロット進行制御の評価を、ロット進行制御実施後に、直ちに実現することができる。その結果、工場の状況変化に追随し、適切なロット進行制御を採用することができる。
なお、以上説明したロット進行制御の評価およびロット進行制御の決定は、生産ライン10を構成し、上述のロット進行制御が適用可能な全ての製造設備11について実施される。
以上説明したように、本発明によれば、工場全体の最終納期の遵守を考慮した生産スケジュールを立案した上で、優先ロットの進行速度を低下させることなく、通常ロットの進行遅れを最小限にすることができる。また、優先ロットの進行速度を過度に早めることなく、通常ロットの進行遅れを最小限にすることもできる。その結果、設備稼動率や、スループットの低下を最小限にすることができる。また、本発明によれば、通常ロットを分割して処理する場合に、製造設備の一時処理停止や、処理再開等を適切に指示することができる。さらに、工場の状況変化に追随し、適切なロット進行制御を採用することができる。
なお、本発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲において、種々の変形および応用が可能である。
本発明は、工場全体として最終納期に余裕のないロットの進行速度を落とすことなく、最終納期に余裕のあるロットの進行遅れを最小限にすることができるという効果を有し、半導体集積回路装置や液晶基板等の生産ラインの生産管理方法および生産管理システムとして有用である。
本発明の一実施形態における生産管理システムが適用された半導体集積回路装置生産ラインを示す概略構成図 ロット進行データベースの構成図 ロット進行データベースのデータ項目の一例を示す図 評価基準データベースのデータ項目の一例を示す図 ロット進行制御データベースのデータ項目の一例を示す図 評価結果判定テーブルのデータ項目の一例を示す図 ロット進行制御評価結果データベースのデータ項目の一例を示す図 従来の納期余裕度と処理ステップごとの納期余裕度との差異を示す図 ロット進行制御の一例を示す図 処理中割込制御をより詳細に示す図 評価値算出処理を示すフローチャート 評価基準データベースのデータ項目の具体例を示す図 ロット進行制御決定処理を示すフローチャート 指示作成処理を示すフローチャート 指示作成処理中の、分割指示、処理開始指示、処理一時停止指示作成処理を詳細に示すフローチャート 評価時期決定処理を示すフローチャート 再評価処理を示すフローチャート 従来の半導体集積回路装置の生産ラインと生産管理システムとを示す構成図
符号の説明
10 生産ライン
11 半導体製造設備
12 ロット収納棚
13 搬送機
20 生産管理システム
21 生産実行装置
211 ロット進行データ収集部
212 ロット進行データベース
213 ロット進行制御決定部
214 処理指示部
22 スケジューラ
23 進行制御評価装置
231 評価基準データベース
232 ロット進行制御データベース
233 評価時期決定部
234 評価実行部
235 評価結果判定テーブル
24 再評価装置
241 再評価実行部
242 ロット進行制御評価結果データベース
30 通信回線

Claims (5)

  1. 納期に余裕のある通常ロットと納期に余裕のない優先ロットとを含む複数のロットが並行して生産される生産ラインにおいて、特定の処理ステップに先着する通常ロットよりも、当該通常ロットに遅れて前記処理ステップに到着する優先ロットを、優先的に処理する生産管理方法であって、
    前記通常ロットおよび前記優先ロットの、前記処理ステップにおける納期を算出する工程(a)と、
    算出された、通常ロットおよび優先ロットの納期に対する納期余裕度がゼロ以上となる条件下で、前記優先ロットの処理開始時刻を決定する工程(b)と、
    前記決定された優先ロットの処理開始時刻に到達するまでの間で、前記通常ロットの一部を処理する工程(c)と、
    前記処理開始時刻に到達したときに、前記優先ロットの処理を開始する工程(d)と、
    前記優先ロットの処理が完了した後、前記優先ロットの処理開始前に一部が処理された通常ロットの残部の処理を再開する工程(e)と、
    を有することを特徴とする生産管理方法。
  2. 前記工程(c)が、
    通常ロットを複数のロットに分割する工程と、
    前記分割された通常ロットを単位として、前記決定された優先ロットの処理開始時刻に到達するまでの間で、当該分割された通常ロットを順次処理する工程と、
    を有する請求項1記載の生産管理方法。
  3. 前記通常ロットが、前記特定の処理ステップのスループットを優先する条件下で分割される請求項2記載の生産管理方法。
  4. 前記通常ロットおよび前記優先ロットの処理が完了した後、実施された一連の処理が適切であったか否かを判定する工程と、
    前記判定の結果、不適切であった場合に、前記工程(b)における優先ロットの処理開始時刻決定基準を修正する工程と、
    をさらに有する請求項1記載の生産管理方法。
  5. 納期に余裕のある通常ロットと納期に余裕のない優先ロットとを含む複数のロットが並行して生産される生産ラインにおいて、特定の処理ステップに先着する通常ロットよりも、当該通常ロットに遅れて前記処理ステップに到着する優先ロットを、優先的に処理する生産管理システムであって、
    前記通常ロットおよび前記優先ロットの、前記処理ステップにおける納期を算出する手段と、
    算出された、通常ロットおよび優先ロットの納期に対する納期余裕度がゼロ以上となる条件下で、前記優先ロットの処理開始時刻を決定する手段と、
    前記決定された優先ロットの処理開始時刻に到達するまでの間で、前記通常ロットの一部を処理し、前記処理開始時刻に到達したときに、前記優先ロットの処理を開始し、前記優先ロットの処理が完了した後、前記優先ロットの処理開始前に一部が処理された通常ロットの残部の処理を再開するロット進行を指示する手段と、
    を備えたことを特徴とする生産管理システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010225890A (ja) * 2009-03-24 2010-10-07 Dainippon Screen Mfg Co Ltd 基板処理装置のスケジュール作成方法及びそのプログラム
JP2013239122A (ja) * 2012-05-17 2013-11-28 Ulvac Japan Ltd 製造システムの管理装置、製造システムの管理方法、及び、製造システムの管理プログラム
JP2018195145A (ja) * 2017-05-18 2018-12-06 株式会社Screenホールディングス 基板処理方法および基板処理装置

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