JP2004323070A - 水平蓋開閉装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓋板が浮き上がってから上方へ開き、回動させる蓋板の外側面と該蓋板を囲む枠体内側面との間に間隙が生じない水平蓋開閉装置を提供する。
【解決手段】蓋板の裏面に固着する取付プレートと、取付プレートに枢着する主リンク体と、取付プレートにおいて主リンク体よりも下方で枢着する従リンク体と、主リンク体および従リンク体の固定軸を支承する支持枠台とを備え、主リンク体の固定軸点は蓋板閉鎖状態において可動軸点とほぼ同一平面かまたはわずかに下方に位置し、且つ従リンク体の固定軸点は主リンク体の固定軸点よりも下方に位置する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓋板が浮き上がってから上方へ開く水平蓋開閉装置に関し、回動させる蓋板の外側面と該蓋板を囲む枠体内側面との間に間隙が生じない水平蓋開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
容器類には、開閉蓋が取り付けられることが多く、この取付金具は一般にヒンジである。容器の開閉蓋は、垂直に配置されている場合、蓋板の重量はヒンジに作用するだけであるから、ヒンジの強度が問題になることはあっても、蓋板の開閉に際してその重量が問題視されることは殆どない。また、小型で軽い開閉蓋であれば、蓋板の配置がどのような方向であっても、その開閉は容易である。
【0003】開閉蓋を水平に配置すると、開閉の際に蓋板の重量が直接作用することになり、180度の完全開放でない部分的な開放が必要であるならば、蓋板を一時的に掛止めする金具を取り付けることが望ましい。金属蓋のような比較的重い開閉蓋があれば、板バネやコイルバネを設置して蓋板の開放を補助したり、蓋板の急激な閉鎖を防ぐために緩衝部材を取り付けることも必要である。これらの金具や部品は、現在、数多く市販されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
水平蓋の特殊な用途として、例えば、マンホールや排水溝の蓋のように、人が蓋の上を歩く可能性があるならば、図9に示すように、蓋板aの表面bと該蓋板を囲む枠体cの表面dとの高さが等しくなるように設置することを要する。このような蓋設置は美観を高めるうえでも望ましい。蓋板aの表面bと枠体cの表面dとの高さを等しくすると、図9において一点鎖線で示すように、蓋板aの開閉を可能にするために、蓋板の外側面と該蓋板を囲む枠体内側面との間に間隙eを設けなければならない。
【0005】歩行面において間隙eが存在することは、この間隙に人が躓いて危険であり、美観的にも好ましくない。このため、マンホール蓋などでは、ヒンジなどの開閉部材を取り付けることなく、その蓋をマンホールや排水溝の穴に嵌めるだけの構成である。しかしながら、蓋板が蓋枠体から遊離していると、蓋板の閉め忘れが発生して危険であり、重い蓋板であれば、それを蓋枠体に外したり嵌めたりする作業も重労働である。
【0006】本発明は、水平蓋に関する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、蓋板が枠体にぴったり嵌る水平蓋開閉装置を提供することを目的としている。本発明の他の目的は、重い蓋板であっても開閉が比較的容易である水平蓋開閉装置を提供することである。本発明の別の目的は、蓋板を所定の開放位置で静止できて安全な水平蓋開閉装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る水平蓋開閉装置は、蓋板の裏面に固着する取付プレートと、取付プレートに枢着する主リンク体と、取付プレートにおいて主リンク体よりも下方で枢着する従リンク体と、主リンク体および従リンク体の固定軸を支承する支持枠台とを備える。この水平蓋開閉装置において、主リンク体の固定軸点は蓋板閉鎖状態において可動軸点とほぼ同一平面かまたはわずかに下方に位置し、且つ従リンク体の固定軸点は主リンク体の固定軸点よりも下方に位置する。この水平蓋開閉装置では、蓋板を上方へ引き上げると、取付プレートを経て主リンク体および従リンク体がともに上方へ回動し、主リンク体の回転によって該取付プレートをほぼ垂直上方へ引き上げてから、従リンク体の回転によって取付プレートを上方へ開放する。
【0008】本発明の水平蓋開閉装置は、蓋板の裏面に固着する取付プレートと、取付プレートに枢着する主リンク体と、取付プレートにおいて主リンク体よりも下方で枢着する従リンク体と、主リンク体および従リンク体の固定軸を支承する支持枠台と、該支持枠台内に収納する圧縮コイルバネとで構成してもよい。この水平蓋開閉装置において、従リンク体の固定軸点は主リンク体の固定軸点よりも下方に位置し、従リンク体における固定軸点の部分が圧縮コイルバネと接触する板カム部からなる。この水平蓋開閉装置では、蓋板を閉じると、取付プレートを経て主リンク体および従リンク体がともに下方へ回動し、この際に、従リンク体の板カム部が圧縮コイルバネを圧縮するによって回動を制動し、蓋板の急激な下降を抑制する。
【0009】この発明の水平蓋開閉装置は、蓋板の裏側に固着する取付プレートと、取付プレートに枢着し且つ面カム部を有する主リンク体と、取付プレートにおいて主リンク体よりも下方で枢着する従リンク体と、従リンク体に取り付け且つ面カム部の案内溝に沿って摺動する突起を有する従動片とで構成してもよい。この水平蓋開閉装置では、蓋板を上方へ引き上げると、取付プレートを経て主リンク体および従リンク体がともに上方へ回動し、従動片の突起は従リンク体とともに面カム部の案内溝に沿って摺動し、取付プレートを上方へ開放していくと従動片の突起は案内溝の隅部で停止する。この蓋体が全開位置から急激に閉鎖することを折り返し位置で止めるため、面カム部の案内溝において下向き折曲部を設ける。一方、取付プレートを閉じると、主リンク体および従リンク体が従動片とともに下方へ回動し、該従動片の突起が案内溝のプランジャ片を押し退けて案内溝の原位置に戻る。
【0010】この水平蓋開閉装置において、従動片は、従リンク体の表面に回動自在に軸着し且つバネによって前方へ付勢すると好ましい。また、この水平蓋開閉装置において、面カム部の案内溝は往路と復路が異なる環状であり、案内溝の復路側に位置するプランジャ片はバネによって復路を常時閉じていると好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る水平蓋開閉装置1は、矩形枠体5との間に間隙や段差が生じないので、工作機械の取付容器、電気機器の部品収納ボックス自動車のコンソールボックス、机の天板の一部、キャビネットや収納箱の水平蓋などに適用できる。水平蓋開閉装置1では、人が蓋体の近辺を歩いたり該蓋体の上を歩いてもつまずくことがなく、非常に重い蓋でないならば、ビルや個人住宅における排水溝や配管容器の蓋、工場のマンホール蓋、地下室への入口扉などに利用できる。
【0012】水平蓋開閉装置1は、通常、図1のように左右1対で用い、蓋板3の裏面において容器内側壁に両側に設置する。開閉装置1は、比較的幅狭の矩形蓋や円形蓋であれば1台だけ取り付けてもよく、この場合には縦方向について対称の構造に形成すると好ましい。開閉装置1において、適用可能な蓋体の平面形状は任意であり、図1のような矩形や円形のほかに、楕円形や菱形などの変形蓋でもよい。
【0013】水平蓋開閉装置1では、所定の形状の取付プレート7、主リンク体16、従リンク体20および支持枠台8との組合せにより、蓋板3を枠体5にぴったり嵌合させ、該枠体との間に間隙や段差が生じないように構成することが可能である。比較的軽い蓋体であるならば、圧縮コイルバネ66の使用および/または主リンク体16の案内溝46と従リンク体20の従動片44との組合せを省略することも可能である。
【0014】支持枠台8に収納した圧縮コイルバネ66は、従リンク体20の板カム部64とともに、重い蓋体3の開放を補助し、該蓋体3の急激な閉鎖を抑制する。コイルバネ66に代えて、板バネまたは捻りコイルバネなどを使用してもよい。また、コイルバネ66と板カム部64との組合せの代わりに、引張りコイルバネを使用することも可能である。
【0015】開閉装置1の主リンク体16について、面カム部24は主リンク体16と一体に形成してもよい。面カム部24において、案内溝46の平面形状は蓋体3の開口度、開口の仕方、静止位置などに応じて任意に変更できる。蓋板3の全開位置(図3)において、従動片44の突起70は案内溝46の隅部46bで停止し、この状態において蓋体3は安定して静止する。また、案内溝46に下向き折曲部46cを形成すると、従動片44の突起70が下向き折曲部46cでも停止するため、蓋体3が全開位置から急激に閉鎖することを折り返し位置(図8)で止めることになり、全開位置の蓋体3に人が寄りかかるだけで急閉鎖することを防ぐという安全機構を構成している。
【0016】開閉装置1について、例えば、蓋体3が全開位置だけで静止させるならば、案内溝46における下向き折曲部46cの形成は不要である。2重の安全化のために、異なる折り返し位置で2回静止させる必要があるならば、下向き折曲部を2個有する案内溝を形成すればよい。
【0017】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。図1に例示するように、本発明に係る水平蓋開閉装置1は、机の天板2の一部に設置され、人が蓋板3の上を歩くことはないけれども、美観と実用性のために、蓋板3の表面と該蓋板を囲む矩形枠体5の表面との高さを等しく定める。水平蓋開閉装置1で構成する容器つまり上開き箱の中には、ノートパソコンやB4判の紙などをそのまま容易に収納できる。
【0018】水平蓋開閉装置1は、蓋板3を安定支持するために通常1対で用い、図1のように蓋板裏面の左右両側に配置する。開閉装置1に関して、取付プレート7(図2参照)を蓋板3の裏側にボルト止めし、支持枠台8(図5参照)を箱内側壁に直接または間接的に固着する。蓋体3の表面において、その前方中央に蓋体3を引き上げるための回転金具10などを設置し、該金具は不使用時には蓋体3と同一平面に位置すると好ましい。図2から図8では、図1における右側の開閉装置1を示しており、蓋板3の長さは図1の場合よりもかなり短めである。
【0019】開閉装置1について、図2に取付プレート7を示し、該プレートは、矩形平面の水平部12と直角三角形側面の垂直部14とからなる。水平部12には複数個の貫通孔(図示しない)を設け、該貫通孔によってプレート7を蓋板3の裏側にボルト止めする。垂直部14には、主リンク体16(図3)用の貫通孔18と、従リンク体20(図4)用の貫通孔22とを設ける。図2において、貫通孔18は垂直部14のほぼ縦方向中間であり、貫通孔22は垂直部14の下方部に位置する。貫通孔18,22の直線距離は、蓋体3の開口度およびリンク体16,20の位置と長さに応じて適切に定める。
【0020】主リンク体16は、図3に示すようにやや幅広で細長く、中央より少し前方に矩形平面の面カム部24の段差部をピンでかしめ止めし、該面カム部は主リンク体16とほぼ同じ平面に設置する。主リンク体16の前方部には、部分円形平面のせり出し面26を形成し、該せり出し面の表面高さは面カム部24の表面高さと同じかまたはそれよりも高く、該せり出し面とほぼ同心状に貫通孔28を設ける。貫通孔28および取付プレート7の貫通孔18にピン30(図5)を通すことにより、主リンク体16は取付プレート7に対して相互回転可能である。一方、主リンク体16の後方部は棒状であり、その後端部に貫通孔32を設け、該貫通孔および支持枠台8の貫通孔34にピン36(図5)を通すことにより、主リンク体16は支持枠台8に対して回動自在である。
【0021】主リンク体16は、ほぼ中央部において円柱状のストッパ38を垂直に設置し、該ストッパに従リンク体20の突出部40が係止されるまで蓋体3を開くことができる。主リンク体16において、後方の棒状部42は後端に向かって上方へ屈曲し、該棒状部がほぼ水平に達する位置まで主リンク体16は上下可能である(図5参照)。
【0022】面カム部24は、主リンク体16と別体または一体であり、別体の場合には耐磨耗性の高い金属を用いる。面カム部24には、従動片44(図4)の突起70が嵌る案内溝46および該案内溝と隣接する凹部48を形成し、該凹部を矩形薄板50で被覆して固着する。案内溝46は、原位置であるほぼ水平の湾曲部46aから上方へ急角度に湾曲して上端偶部46bに至る往路と、上端偶部46bから下向き折曲部46cおよび斜め下降部46dを経て原位置に戻る復路からなるほぼハート形平面の環状である。案内溝46の湾曲部46aの上側面は薄板50の下端面で構成し、下降部46dの左側面は薄板50の右端面で構成する。
【0023】面カム部24の凹部48内には、細長くて平らなプランジャ片52を収納し、該プランジャ片を右方へ付勢する捻りコイルバネ54を取り付ける。プランジャ片52は、後方円形部が凹部48の円形部に嵌って前方部が揺動可能であり、その前端面は湾曲部46aの上側面と合致するように湾曲している。プランジャ片52は、バネ54によって付勢されて斜め下降部46dへ部分的に露出し、案内溝46の復路を常時閉じている。従動片44の突起70が原位置から始動する際には、露出したプランジャ片52の前端面に接触してから、湾曲部46aを経て上端偶部46bに至る。また、従動片44の突起70が下向き折曲部46cから下方へ摺動する際には、斜め下降部46dに突出するプランジャ片52を押し退け、水平部46aから原位置に戻る。
【0024】従リンク体20は、図4において図3の主リンク体16との対向面を示している。従リンク体20は、図4に示すように直線状で細長く、その前方部に貫通孔56を設ける。貫通孔56および取付プレート7の貫通孔22にピン57(図5)を通すことにより、従リンク体20は取付プレート7に対して相互回転可能である。一方、従リンク体20の後端部に貫通孔58を設け、該貫通孔および支持枠台8の貫通孔60にピン62(図5)を通すことにより、従リンク体20は支持枠台8に対して回動自在である。
【0025】従リンク体20の後方部において、アセタール樹脂などのプラスチック製の板カム部64を一体的に固着し、該カム部の厚みは支持枠台8の内幅にほぼ等しい。板カム部64の周面は、従リンク体20の水平位置(図6)における接触点64aから図7の位置を経て最大傾斜位置(図5)の接触点64bまでピン62の中心からの距離が漸減するので、従リンク体20の上方回動を圧縮コイルバネ66で補助し、その下方回動つまり蓋体3の閉鎖を圧縮コイルバネ66で抑制する。
【0026】従リンク体20は、ほぼ中央の上面において突出部40を形成する。突出部40が主リンク体16のストッパ38に係止されると、従リンク体20および主リンク体16を静止することにより、蓋体3の開放を阻止する(図5参照)。
【0027】従リンク体20の前方には、半円形平面で平らな従動片44をピン68で回動自在に取り付ける。従動片44は、上方突起70が面カム体24の案内溝46内を摺動しながら、従リンク体20の表面と接した状態で揺動する。従リンク体20には、従動片44の回動ピン68と隣接させてほぼ扇形平面の凹部72を形成する。凹部72に関して、従リンク体20は比較的薄いので、該凹部を貫通形成して裏側に矩形薄板(図示しない)を被せて固着する。凹部72内には、捻りコイルバネ74を配置し、該バネの一端部は凹部側壁と他端部は従動片44の裏側凸部76に係止することにより、該従動片を図4の突起70を矢印方向へ付勢している。
【0028】横断面が細長い逆U字形である支持枠台8は、前側面が開口した1対の並行壁78からなり、図5に示すように主リンク体用の貫通孔34および従リンク体用の貫通孔60を設ける。貫通孔34は貫通孔60よりもかなり後方に配置する。貫通孔34に嵌入したピン36は、主リンク体16の固定軸点であり、該固定軸点は蓋板閉鎖状態(図6)において可動軸点つまりピン30とほぼ同一平面かまたはわずかに下方に位置する。貫通孔60に嵌入したピン62は従リンク体20の固定軸点であり、該固定軸点は主リンク体16の固定軸点つまりピン36よりも下方に位置する。
【0029】圧縮コイルバネ66は、支持枠台8内の下方部において水平に配置する。圧縮コイルバネ66の前方部には、枠台8の内寸に対応する厚みのプラスチックハウジング80を嵌装し、並行壁78,78の間に固着した水平板82でハウジング80を前後動可能に支える。ハウジング80の前端には、円弧状側面の凹部84を形成し、該凹部で円筒形のコロ86を保持する。コロ86は、バネ66の弾力によって従リンク体20の板カム部64のカム面と常に接触する。一方、円形カバー88をバネ66の後端に被せ、該カバーはボルト90の下端部と接触する。ボルト90は、ネジ孔を設けた板片92および壁折曲部94で取り付け、該ボルトによってバネ66の付勢力を調整できる。
【0030】開閉装置1は、水平面において主リンク体16と従リンク体20との間に取付プレート7の垂直部14を配置し、ピン30で主リンク体16とピン57で従リンク体20と相互に連結する。従リンク体20において、従動片44の突起70は主リンク体16の案内溝46に沿って摺動する。図6において、蓋板3が閉鎖されていると、主リンク体16および従リンク体20はともにほぼ水平に位置し、この位置において、従動片44の突起70は原位置つまり案内溝46の後方部に位置する。
【0031】次に回転金具10などを持って蓋体3を上方へ引っ張ると、取付プレート7の垂直部14を介して主リンク体16が引き上げられ、支持枠体8におけるピン36の回りで回動し、図7に示すように蓋体3を上方へそのまま少し持ち上げることができる。このため、蓋体3を、ぴったり嵌った矩形枠体5から容易に脱離できる。この際に、従リンク体20は、ピン62の回りで回動して蓋体3をわずかに傾けるだけであり、従動片44の突起70は原位置から案内溝46の水平湾曲部46a内を前進し、露出したプランジャ片52の前端面に接触して水平湾曲部46aを通過する。従動片44は、湾曲部46aを通過時にバネ74(図4)をかなり押圧する。
【0032】蓋体3をさらに引き上げると、従動片44の突起70が案内溝46の急角度湾曲部46eを通過することにより、主に従リンク体20がピン62の回りで回動し、同時に取付プレート7をピン30の回りに回動して蓋体3を大きく開口する。この際に、従リンク体20の上方回動は、圧縮コイルバネ66(図5)で補助されるので、重い蓋体3でも開放は比較的容易であり、主リンク体16はピン36の回りでわずかに回動するだけである。
【0033】従動片44の突起70が案内溝46の上端偶部46bに到達し、従リンク体20の突出部40が主リンク体16のストッパ38に係止されると、従リンク体20および取付プレート7は図5に示す位置にある。図5の位置において、蓋体3の重心はピン30の中心より外側になるので、ピン57を経て従リンク体20に対して上方への引っ張り力が作用することにより、従動片44の突起70は案内溝46の上端偶部46bで係止されて停止する。この結果、蓋体3は図5に示す全開位置で静止する。
【0034】次に蓋体3を若干閉じ、該蓋体の重心がピン30の中心より内側に戻ると、ピン57を経て従リンク体20は下方への引っ張られて下方へ回動する。同時に従動片44も下降するけれども、該従動片の突起70はバネ74で前方へ付勢されていることにより、案内溝46の急角度湾曲部46eに戻らず、該案内溝の下向き折曲部46cの方へ移動し、下向き折曲部46cで係止されて停止する。この状態が図8に示す折り返し位置であり、蓋体3は全開位置から直ちに閉鎖せず、全開位置から少し閉じた位置でも安定して静止するので、蓋体3の急閉鎖という危険性を防止でき、蓋体3を開いて内部作業を行う際などに安全である。
【0035】蓋体3を図8の折り返し位置から若干引き上げると、ピン57を経て従リンク体20は上方へ引っ張られて上方へ回動する。同時に従動片44も上昇し、該従動片の突起70がバネ74で前方へ付勢されていることにより、案内溝46の下向き折曲部46cに戻らず、該案内溝の斜め下降部46dの方へ移動する。
【0036】蓋体3を若干引き上げてから軽く下方へ押すと、その自重によって取付プレート7がピン30の回りで回動して蓋体3を閉じ、同時に従リンク体20がピン62の回りで下方へ回動する。従リンク体20の下方回動は、圧縮コイルバネ66で抑制され、重い蓋体3であっても急激に下降しないので安全である。従動片44の突起70は、下向き折曲部46cから下方へ摺動し、斜め下降部46d(図3)に突出するプランジャ片52を押し退けて水平部46aに戻る。この際に、主リンク体16はピン36の回りでわずかに下方へ回動し、図7に示す位置に戻る。
【0037】蓋体3を完全に閉じると、該蓋体は図7の位置からほぼ垂直に下降して図6の位置に達する。この際に、従動片44の突起70は、水平部46aに戻ってから後進して原位置に復帰する。
【0038】
【発明の効果】
本発明に係る水平蓋開閉装置は、蓋板が枠体にぴったり嵌合し、枠体との間に間隙や段差が生じないので全体の美観および実用性に優れ、机の天板の一部、キャビネットの水平蓋、自動車のコンソールボックスなどに適用できる。本発明の水平蓋開閉装置では、人が蓋体の上を歩くことがあってもつまずくことがなく、ビルや個人住宅における排水溝や配管容器の蓋、工場のマンホール蓋、地下室への入口扉などに利用できる。
【0039】本発明の水平蓋開閉装置を適用すると、圧縮コイルバネの弾力による補助と抑制により、重い蓋板であっても開閉が比較的容易である。したがって、非力な人でも容易に重い水平蓋を開くことができ、重い蓋体でも自重で急激に閉まらずに緩やかに閉まり、該蓋体で指や足を挟むことがないので安全である。
【0040】本発明の水平蓋開閉装置では、蓋板を全開位置で静止できるだけでなく、少し閉じた折り返し位置でも確実に静止する。この折り返し位置でも蓋体は安定して静止するので、蓋体が全開位置から急激に閉鎖することを折り返し位置で止めることができる。このため、人が寄りかかったり地震などの振動で全開位置の蓋体が急閉鎖することを防ぐという安全機構を構成しており、該蓋体を開いたままで内部作業を安全に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水平蓋開閉装置を取り付けた蓋板の概略平面図である。
【図2】本発明で用いる取付プレートを蓋体とともに示す側面図である。
【図3】本発明で用いる主リンク体を示す側面図である。
【図4】本発明で用いる従リンク体を示す一部断面の側面図であり、図2および図3と反対側の側面を示す。
【図5】水平蓋開閉装置を完全開口した状態を一部切り欠いて示す側面図である。
【図6】水平蓋開閉装置を完全閉鎖した状態を示す側面図であり、従リンク体は一点鎖線で示す。
【図7】水平蓋開閉装置を部分開口した状態を示す側面図であり、従リンク体は一点鎖線で示す。
【図8】水平蓋開閉装置を折り返し開口した状態を示す側面図であり、従リンク体は一点鎖線で示す。
【図9】従来の水平蓋容器を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 水平蓋開閉装置
3 蓋板
5 枠体
7 取付プレート
8 支持枠台
24 面カム部
44 従動片
46 案内溝
52 プランジャ片
66 圧縮コイルバネ

Claims (5)

  1. 蓋板の裏面に固着する取付プレートと、取付プレートに枢着する主リンク体と、取付プレートにおいて主リンク体よりも下方で枢着する従リンク体と、主リンク体および従リンク体の固定軸を支承する支持枠台とを備え、主リンク体の固定軸点は蓋板閉鎖状態において可動軸点とほぼ同一平面かまたはわずかに下方に位置し、且つ従リンク体の固定軸点は主リンク体の固定軸点よりも下方に位置し、蓋板を上方へ引き上げると、取付プレートを経て主リンク体および従リンク体がともに上方へ回動し、主リンク体の回転によって該取付プレートをほぼ垂直上方へ引き上げてから、従リンク体の回転によって取付プレートを上方へ開放する水平蓋開閉装置。
  2. 蓋板の裏面に固着する取付プレートと、取付プレートに枢着する主リンク体と、取付プレートにおいて主リンク体よりも下方で枢着する従リンク体と、主リンク体および従リンク体の固定軸を支承する支持枠台と、該支持枠台内に収納する圧縮コイルバネとを備え、従リンク体の固定軸点は主リンク体の固定軸点よりも下方に位置し、従リンク体における固定軸点の部分が圧縮コイルバネと接触する板カム部からなり、蓋板を閉じると、取付プレートを経て主リンク体および従リンク体がともに下方へ回動し、この際に、従リンク体の板カム部が圧縮コイルバネを圧縮することによって回動を制動し、蓋板の急激な下降を抑制する水平蓋開閉装置。
  3. 蓋板の裏側に固着する取付プレートと、取付プレートに枢着し且つ面カム部を有する主リンク体と、取付プレートにおいて主リンク体よりも下方で枢着する従リンク体と、従リンク体に取り付け且つ面カム部の案内溝に沿って摺動する突起を有する従動片とを備え、蓋板を上方へ引き上げると、取付プレートを経て主リンク体および従リンク体がともに上方へ回動し、従動片の突起は従リンク体とともに面カム部の案内溝に沿って摺動し、蓋板の全開位置において従動片の突起は案内溝の隅部で停止し、蓋体が全開位置から急激に閉鎖することを折り返し位置で止めるため、面カム部の案内溝において下向き折曲部を設け、一方、取付プレートを閉じると従動片の突起が案内溝のプランジャ片を押し退けて案内溝の原位置に戻る水平蓋開閉装置。
  4. 従動片は、従リンク体の表面に回動自在に軸着し且つバネによって前方へ付勢している請求項3記載の開閉装置。
  5. 面カム部の案内溝は往路と復路が異なる環状であり、案内溝の復路側に位置するプランジャ片がバネによって復路を常時閉じている請求項3記載の開閉装置。
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