JP2004322727A - 車載情報提供装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示手段および観察者の位置関係が変動する場合でも、観察者に違和感を与えないようにした車載情報提供装置を提供する。
【解決手段】車載情報提供装置100は、乗員が着座した状態で体圧測定を行い、人体データベース部103を検索して乗員の体格および着座姿勢を推定し、人体振動伝達関数を選択する。人体振動伝達関数および車両運動の検出データを用いて、乗員の頭部(とくに眼球)運動の推定値を算出する。車両運動を示す検出データを用いて、画像表示部108のピッチ方向の移動量を算出する。推定した眼球位置および画像表示部108の位置を用いて、両者の相対変位を求める。ピッチ方向の移動量、ならびに相対変位に起因する表示画像の動きをキャンセルするように、画像表示部108に表示する画像の表示位置を移動させる。画像に付加情報が含まれる場合は、当該付加情報の表示位置は移動させない。
【選択図】図1
【解決手段】車載情報提供装置100は、乗員が着座した状態で体圧測定を行い、人体データベース部103を検索して乗員の体格および着座姿勢を推定し、人体振動伝達関数を選択する。人体振動伝達関数および車両運動の検出データを用いて、乗員の頭部(とくに眼球)運動の推定値を算出する。車両運動を示す検出データを用いて、画像表示部108のピッチ方向の移動量を算出する。推定した眼球位置および画像表示部108の位置を用いて、両者の相対変位を求める。ピッチ方向の移動量、ならびに相対変位に起因する表示画像の動きをキャンセルするように、画像表示部108に表示する画像の表示位置を移動させる。画像に付加情報が含まれる場合は、当該付加情報の表示位置は移動させない。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両内で画像などを表示する車載情報提供装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像などを表示する表示装置に関し、観察者が動いた場合に当該観察者に違和感を与えないようにする技術が知られている。特許文献1には、表示装置と観察者との間にフレネルレンズなどの光学素子を配設した表示装置が開示されている。この表示装置では、フレネルレンズによって無限遠に近い位置に投影される虚像を観察者が観察する。観察者がフレネルレンズの法線に対して下側から観察すると法線より上側に、法線に対して上側から観察すると法線より下側に、それぞれ投影像が観察される。
【0003】
また、特許文献2には、表示装置を観察者の頭部に固定した表示装置が開示されている。この表示装置では、当該観察者の頭部の動きに応じて、表示映像を頭部の動きと逆にスクロールさせることにより、観察者にとって映像があたかも固定されているかのように見える。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−73785号公報
【特許文献2】
特開平8−220470号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の技術では、ディスプレイと観察者との間に光学素子を配設するので、たとえば、車両内に配設されたディスプレイを観察する場合、光学素子用の光路スペースを確保する必要性から小型化が難しくなる。また、特許文献2の技術では、表示装置を頭部に固定しているので、車両内に取り付けられている表示装置による映像を観察する場合には適さない。
【0006】
本発明は、車室内で画像や文字などを表示する情報提供装置と、表示情報の観察者との位置関係が変動する場合でも、観察者に違和感を与えないようにした車載情報提供装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による車載情報提供装置は、車両の動きを検出し、検出情報から表示映像の並進方向の変位を演算し、この変位をキャンセルするように画像をリアルタイムに変位させる上に、画像に付加されている付加情報を継続して表示させるようにしたものである。
本発明による車載情報提供装置は、車両の動きを検出し、検出情報から表示映像の並進方向の変位を演算し、この変位をキャンセルするように画像を表示させる上に、上記並進方向の変位をキャンセルした後も、画像に付加されている付加情報が表示映像に含まれるようにしたものである。
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、表示手段による表示映像の並進方向の変位を演算し、演算した変位をキャンセルするようにリアルタイムに変位する画像を表示させたので、表示手段および観察者の頭部の位置関係が変動する場合でも、表示映像を観察する乗員に違和感を与えないようにすることが可能になる。さらに、上記画像に付加されている付加情報を継続して表示させるようにしたので、付加情報が表示画面から外れて見えなくなることを防止できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第一の実施の形態)
図1は、本発明の第一の実施の形態による車載情報提供装置の概要を示すブロック構成図である。図1において、車載情報提供装置100は、車両運動検出部101と、乗員運動推定部104と、座面圧力検出部102と、人体データベース部103と、制御部106と、映像入力部105と、画像変位部107と、画像表示部108と、付加情報抽出部115とを有する。観察者は、車両内の座席(不図示)に着座して画像表示部108に表示される画像を観察する。
【0010】
車両運動検出部101は、車両の並進運動、および車両の回転運動をそれぞれ検出し、検出信号を乗員運動推定部104および制御部106へそれぞれ出力する。座面圧力検出部102は、観察者(この場合は車両の乗員)が着座した座席上の体圧分布を検出し、検出信号を乗員運動推定部104へ出力する。人体データベース部103は、体圧分布と乗員の体格との関係を示すデータ、体圧分布と乗員の着座姿勢との関係を示すデータ、ならびに車両揺動に対する人体頭部の揺動伝達関数を示すデータをそれぞれ格納する。格納データは、体格が異なる複数の被験者に関してあらかじめ計測し、データベース化したものである。車両揺動は、車両運動の検出値によって示される。
【0011】
乗員運動推定部104は、車両運動を示す検出信号、ならびに乗員による体圧分布を示す検出信号を用いて、当該乗員の体格および姿勢に類似する人の頭部運動を示す情報を人体データベース部103から読み出し、乗員の頭部、とくに眼球の運動(変位)を推定する。推定した眼球の変位を示す情報は、乗員運動推定部104から制御部106へ送られる。
【0012】
映像入力部105は、外部機器から入力される表示データを画像変位部107および付加情報抽出部115へそれぞれ送出する。表示データは、画像表示部108に表示する画像、この画像に重ねて表示(スーパーインポーズ)する字幕などのデータである。
【0013】
制御部106は、推定した眼球の変位を示す情報、ならびに車両運動を示す検出信号を用いて、画像の変位量を決定する。制御部106は、画像変位量を決定する他に、車載情報提供装置100の各部を制御するように構成されている。制御部106は、決定した画像変位量を示す情報を画像変位部107へ送る。
【0014】
付加情報抽出部115は、表示データに付加情報、すなわち、字幕など画像以外の表示を行うためのデータが付加されているか否かを判定し、付加されている場合には付加情報が存在することを示す情報を制御部106へ送る。付加情報抽出部115はさらに、表示データのうち付加情報を含むデータを切り出し、当該切り出しデータと、当該切り出しデータを除く表示データとをそれぞれ画像変位部107へ送出する。
【0015】
画像変位部107は、画像変位量を示す情報に基づいて、画像表示部108の表示画面内で画像の表示位置が移動する(画像シフトする)ように、表示データを加工する。画像シフトの詳細については後述する。画像変位部107はさらに、制御部106から指令を受けると付加情報抽出部115から上記切り出しデータおよび切り出しデータを除く表示データをそれぞれ入力する。画像変位部107は、画像表示部108の表示画面内で画像の表示位置が移動する(画像シフトする)ように切り出しデータを除く表示データを加工し、加工後の表示データに上記切り出しデータを重ね表示させるオーバーレイ処理を行う。これにより、画像のうち字幕が含まれない領域のみを画像シフトし、字幕が含まれている領域は画像シフトをしないように表示データが加工される。
【0016】
加工後の表示データは、画像表示部108の入力インターフェイスに応じた表示信号として画像変位部107から画像表示部108へ出力される。画像表示部108は、たとえば、液晶表示器などで構成され、入力された表示信号による画像(字幕などが付加されている場合はこれら付加情報も含む)を表示する。
【0017】
本発明は、車両の加減速状態であっても画像表示部108に表示されている画像が乗員にとって空間上に停止して見えるようにするとともに、字幕などの表示は画像表示部108による表示画面内にとどめるものである。第一の実施の形態では、乗員の頭部(とくに眼球)と画像表示部108との相対変位を算出し、画像表示部108の表示画面内で画像の表示位置を相対変位に応じて移動させる。乗員の頭部の運動は、着座時の体圧分布を用いて推定する。
【0018】
上述した車載情報提供装置100の制御部106で行われる表示処理の流れについて、図2のフローチャートを参照して説明する。ステップS10において、制御部106は、画像表示部108の画面電源がオンされているか否かを判定する。制御部106は、画面電源がオンされている場合にステップS10を肯定判定してステップS20へ進み、画面電源がオンされていない場合にステップS10を否定判定し、ステップS10の判定処理を繰り返す。
【0019】
ステップS20において、制御部106は、座面圧力検出部102に指令を出力し、乗員が着座している座席上の体圧分布を検出させて(体圧測定)ステップS30へ進む。ステップS30において、制御部106は、乗員運動推定部104に指令を出力し、乗員の体格および姿勢を推定させてステップS40へ進む。これにより、乗員運動推定部104が人体データベース部103を検索し、検出された体圧分布に最も近い体圧分布に対応する体格および姿勢を、乗員の体格および姿勢の推定値とする。
【0020】
ステップS40において、制御部106は、車両運動検出部101に指令を出力し、車両の運動を検出させて(運動測定)ステップS50へ進む。これにより、車両運動検出部101が車両の並進運動(左右動)および回転運動(ロール動)をそれぞれ検出する。ステップS50において、制御部106は、乗員の姿勢変化があるか否かを判定する。制御部106は、前回の姿勢推定値と今回の姿勢推定値とを比較し、両者が異なる場合にステップS50を肯定判定してステップS60へ進み、両者が一致する場合にステップS50を否定判定してステップS70へ進む。
【0021】
ステップS60において、制御部106は、乗員運動推定部104に指令を出力し、人体振動伝達関数を選択させてステップS70へ進む。これにより、乗員運動推定部104が人体データベース部103を検索し、現在推定されている乗員の体格・姿勢、ならびに最新の車両運動の検出値に対応する人体振動伝達関数をデータベースより選択する。
【0022】
ステップS70において、制御部106は、乗員運動推定部104に指令を出力し、乗員の頭部の運動を推定させてステップS80へ進む。これにより、乗員運動推定部104が人体振動伝達関数、ならびに車両運動の検出値を用いて乗員の頭部(とくに眼球)運動(左右動およびロール動)の推定値を算出する。ステップS80において、制御部106は、車両運動を示す検出信号を用いて、車両の回転運動にともなう並進方向の画面移動量を算出し、ステップS90へ進む。この場合の画面移動量は、画像表示部108のピッチ方向(上下方向)の移動量である。
【0023】
ステップS90において、制御部106は、車両運動の検出値および乗員頭部運動の推定値に基づいて画像表示部108および眼球間の相対変位を算出し、ステップS100へ進む。ステップS100において、制御部106は、画面の上下移動量および上記相対変位を用いて、画像表示部108に表示されている画像が乗員にとって空間上に揺動無く停止して見えるために必要な表示画像の変位量を算出し、ステップS110へ進む。
【0024】
ステップS110において、制御部106は、表示データに付加情報が有るか否かを判定する。制御部106は、付加情報抽出部115から付加情報が存在することを示す情報を受けた場合にステップS110を肯定判定してステップS120へ進み、付加情報が存在することを示す情報を受けない場合にステップS110を否定判定し、ステップS150へ進む。
【0025】
ステップS120において、制御部106は、付加情報抽出部115で抽出(切り出し)されたデータを用いるように画像変位部107へ指令を出力し、ステップS130へ進む。ステップS130において、制御部106は、算出した画像変位量を示す情報を画像変位部107へ送るとともに、画像変位部107に画像シフト処理を行うように指令を出力してステップS140へ進む。表示データに付加情報がある場合は、表示画像のうち付加情報を含む領域を画像シフト処理の対象から除外する。これにより、画像変位部107は、切り出しデータを除く表示データについて、画像表示部108の表示画面内で画像の表示位置が移動するように表示データを加工する。
【0026】
ステップS140において、制御部106は、画像変位部107に画像合成処理を行うように指令を出力してステップS150へ進む。これにより、画像変位部107が上記加工後の表示データに上記切り出しデータを重ねるオーバーレイ処理を行うと、画像のうち字幕が含まれない領域のみ画像シフトを行い、字幕が含まれている領域の画像シフトは行わないように表示データが加工される。
【0027】
ステップS150において、制御部106は、画像表示部108へ指令を送り、加工後の表示データによる画像を表示させてステップS170へ進む。これにより、表示画面内を並進移動した画像が画像表示部108に表示される。ステップS170において、制御部106は、画像表示部108の画面電源がオフされたか否かを判定する。制御部106は、画面電源がオフされた場合にステップS170を肯定判定し、図2による処理を終了する。一方、制御部106は、画面電源がオフされていない場合にステップS170を否定判定し、ステップS20へ戻って上述した処理を繰り返す。
【0028】
上述したステップS110を否定判定して進むステップS160において、制御部106は、算出した画像変位量を示す情報を画像変位部107へ送るとともに、画像変位部107に画像シフト処理を行うように指令を出力してステップS150へ進む。表示データに付加情報がない場合は、表示画像の全体を画像シフト処理の対象にする。これにより、画像変位部107は、画像入力部105から送出された表示データについて、画像表示部108の表示画面内で画像の表示位置が並進移動するように表示データを加工する。
【0029】
画像シフトの詳細について説明する。車両の加減速にともなうピッチ方向の運動について着目する場合、乗員の眼球と画像表示部108との相対位置の変位は、次の2つに大別される。
▲1▼車両側に生じるピッチ動に起因するもの
▲2▼乗員側(とくに眼球)に生じるピッチ動に起因するもの
【0030】
上記▲1▼について説明する。一般に、車両が減速すると車両の前部が沈むノーズダイブ現象が生じる。画像表示部108による表示画面が乗員に対して車両の進行方向に位置する場合は、ノーズダイブによって画像表示部108にピッチ方向(この場合下向き)の回転運動が生じる。このため、乗員の頭部(とくに眼球)の位置が移動しない場合は、乗員には画像情報提供装置108が下方に移動するように見える。そこで、制御部106は、画像表示部108の移動をキャンセルするようにピッチ方向(この場合上向き)に画像の表示位置を変位させるための表示データ加工を行う。
【0031】
図3(a)は、ノーズダイブが生じる前に画像表示部108に表示されている画像例を示す図である。図3(a)において、表示画面の上部に、画像に重ねて付加情報31が表示されている。図3(b)は、ノーズダイブ時に車両ピッチ動をキャンセルするための画像シフトを説明する図である。図3(b)において、画像表示部108の下方への移動量に応じて、画像表示部108に表示される画像を上方へ移動する。この結果、表示画像および眼球間の相対変位が0になり、乗員にとって表示画像が空間上に停止して見えるようになる。ところが、画像とともに付加情報を上方へ移動させると、付加情報31が画像表示部108の表示画面から外れて付加情報31の一部が見えなくなったり、付加情報31の全てが見えなくなるおそれが生じる。
【0032】
図3(c)は、本発明による画像シフト後の付加情報の表示例である。図3(c)に示すように、表示画像のうち付加情報31が表示されている領域を除く領域(図3(c)では星形図形および六角図形を含む領域)について、表示画像を上方へ移動させる。表示画像のうち付加情報31が表示されている領域(図3(c)では画面上部の帯状領域)については表示画像を上方へ移動させない。この結果、表示画像のうち主要部分(上記の例では図形)を含む領域は乗員にとって空間上に停止しているように見え、字幕などの付加情報31は画面からはみ出ることなく所定位置に常に表示される。
【0033】
車両減速時のノーズダイブと反対に、車両が加速すると車両の後部が沈むスクワット現象が生じる。画像表示部108による表示画面が乗員に対して車両の進行方向に位置する場合は、スクワットによって画像表示部108にピッチ方向(この場合上向き)の回転運動が生じる。このため、乗員の頭部(とくに眼球)の位置が移動しない場合は、乗員には画像情報提供装置108が上方に移動するように見える。そこで、制御部106は、画像表示部108の移動をキャンセルするようにピッチ方向(この場合下向き)に画像の表示位置を変位させるための表示データ加工を行う。
【0034】
スクワット時には、画像表示部108の上方への移動量に応じて、画像表示部108に表示される画像を下方へ移動させる。この結果、表示画像および眼球間の相対変位が0になり、乗員にとって表示画像が空間上に停止して見えるようになる。ところが、画像とともに付加情報を下方へ移動させると、付加情報が表示画面の下部に表示されている場合には、付加情報が画像表示部108の表示画面から外れて一部が見えなくなったり、付加情報の全てが見えなくなるおそれが生じる。
【0035】
そこで、表示画像のうち付加情報が表示されている領域を除く領域(すなわち、主要な画像を含む領域)について表示画像を下方へ移動させ、付加情報が表示されている画面下部の帯状領域(不図示)については表示画像を下方へ移動させないようにする。この結果、主要な画像は乗員にとって空間上に停止しているように見え、字幕などの付加情報は画面からはみ出ることなく表示が続けられる。
【0036】
上記▲2▼について説明する。実際の車両減速時・加速時においては、乗員の頭部にもピッチ方向の回転運動がそれぞれ生じる。車両減速時に乗員の頭部が前方に回転すると、画像表示部108の位置が移動しない場合は、画像表示部108に対して乗員の頭部(とくに眼球)の位置が下方へ移動する。そこで、乗員にとって表示画像が空間上に停止して見えるように表示するためには、乗員の眼球の下方移動量に応じて画像表示部108に表示される画像を下方へ移動させる。この場合の画像シフトの向きは、スクワット時に車両ピッチ動をキャンセルする向きと同様である。
【0037】
車両減速時と反対に、車両加速時に乗員の頭部が後方に回転すると、画像表示部108の位置が移動しない場合は画像表示部108に対して乗員の頭部(とくに眼球)の位置が上方へ移動する。そこで、乗員にとって表示画像が空間上に停止して見えるように表示するためには、乗員の眼球の上方移動量に応じて、画像表示部108に表示される画像を上方へ移動させる。この場合の画像シフトの向きは、ノーズダイブ時に車両ピッチ動をキャンセルする向きと同様である。
【0038】
本実施の形態では、画像表示部108および眼球間の相対変位を求め、この相対変位に応じて画像シフトを行うので、上記▲1▼および▲2▼の両ピッチ動による影響をキャンセルするように画像シフトを行うことが可能である。
【0039】
以上説明した第一の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)乗員が着座した状態で体圧測定を行い、人体データベース部103を検索して乗員の体格および着座姿勢を推定するようにしたので、大人や子供、男性や女性、ならびに着座姿勢にかかわらず、適切な人体振動伝達関数を選択することができる。
【0040】
(2)上記(1)による人体振動伝達関数と、車両運動の検出データとを用いて、乗員の頭部(とくに眼球)運動の推定値を算出するので、乗員の頭部などに運動検出センサを設けなくても、乗員の眼球位置を得ることができる。乗員に検出センサを取り付けないので、コスト上昇が抑えられる上に、乗員に負担を与えることもない。
【0041】
(3)車両運動を示す検出データを用いて、車両の回転運動にともなう画像表示部108のピッチ方向(上下方向)の移動量を算出するので、画像表示部108用に運動検出センサを設けなくても、画像表示部108の位置を得ることができる。
【0042】
(4)上記(2)の眼球位置および上記(3)の画像表示部108の位置を用いて両者の相対変位を求めるので、それぞれが異なる運動状態であっても、両者間の変位を得ることができる。
【0043】
(5)画像表示部108のピッチ方向(上下方向)の移動量、ならびに、上記(4)の相対変位の変化に起因する表示画像の動きをキャンセルするように、画像表示部108に表示する画像の表示位置をピッチ方向に移動させた(画像シフトした)ので、乗員にとって表示画像が遠方の静止風景に対応する空間上に停止して見える。この結果、乗員にとって画像が見やすくなる上に、乗員が表示画面を注視している状態で、乗員が得る視覚情報と前庭器(三半規管、耳石)からの情報が一致するので、画像シフトしない場合に比べて、乗員が感じる違和感を低減することができる。
【0044】
(6)表示画像に字幕などの付加情報が含まれる場合は、表示画像のうち字幕などが表示されている領域を除外してピッチ方向へ移動させ、字幕などが表示されている領域についてはピッチ方向へ移動させないようにした。この結果、主要な画像は乗員にとって空間上に停止しているように見え、字幕などの付加情報は画像表示部108の画面からはみ出ることなく表示が続けられるので、画像シフトによって字幕が読めなくなることを防止できる。
【0045】
上述した人体データベース部103は、車両揺動に対する人体各部(とくに頭部)の振動の情報として伝達関数を示すデータを格納するようにした。この代わりに、数値モデルをテーブル化して格納してもよい。具体的には、LUT(look up table)を構成し、車両の揺動を示す値をLUTに入力すると、当該揺動に対応する人体振動を示す値が当該LUTから出力されるようにする。
【0046】
以上の説明では、ピッチ方向の回転運動を例にあげて説明したが、車両のロール方向(左右方向)の回転運動についても同様に処理することができる。すなわち、画像の付加情報が画像の左端、もしくは右端に表示される場合にも、画像シフトによって字幕が読めなくなることを防止できる。
【0047】
(第二の実施の形態)
図4は、本発明の第二の実施の形態による車載情報提供装置の概要を説明するブロック構成図である。図4において、車載情報提供装置100Bは、図1の画像変位部107の代わりに画像縮小・変位部107Bを有する点が図1の車載情報提供装置100と異なる。そこで、この相違点を中心に説明する。
【0048】
制御部106Bは、推定した眼球の変位を示す情報、ならびに車両運動を示す検出信号を用いて画像変位量を算出する。画像変位量は第一の実施の形態と同様である。制御部106Bはさらに、この画像変位量に応じて画像表示部108の表示画面内で画像シフトを行う場合に、字幕などの付加情報が画像シフトを行うことによって画像表示部108の表示画面からはみ出す確率Poutを算出する。制御部106Bは、確率Poutが所定値より大きい場合に、画像シフト後の付加情報が画像表示部108の表示画面からはみ出さないようにする表示画像全体の大きさ(表示倍率)および画像シフト時の変位中心位置を決定する。変位中心位置とは、画像シフトを繰り返す場合に画像の中心が平均的に表示される位置である。
【0049】
画像縮小・変位部107Bは、制御部106Bからの画像変位量を示す情報に応じて画像表示部108の表示画面内で画像シフトするように、表示データを加工する。画像シフトについては第一の実施の形態と同様である。画像縮小・変位部107Bはさらに、制御部106Bから指令を受けると、表示画像の大きさを小さく変更するように表示データを加工したり、画像シフト時の変位中心位置を変更するように表示データを加工したりする。
【0050】
車載情報提供装置100Bの制御部106Bで行われる表示処理の流れについて、図5のフローチャートを参照して説明する。図5において、ステップS120B〜ステップS150Bまでの処理が図2による処理(第一の実施の形態)と異なるので、これらの処理を中心に説明する。
【0051】
ステップS120Bにおいて、制御部106Bは、付加情報の表示位置を特定してステップS130Bへ進む。表示位置は、画像表示部108の表示ピクセルの中で付加情報を表示するピクセルを示すものである。制御部106Bは、表示データを解析することにより、たとえば、付加情報に対応する表示ピクセルの座標位置を特定する。この座標位置は、画像表示部108によるデータ表示空間を示す座標系において、付加情報を表示する表示ピクセルの位置を示すものである。
【0052】
ステップS130Bにおいて、制御部106Bは、画像表示部108および乗員頭部の相対変位に応じて求めた画像変位量で画像シフトを行った場合に付加情報が隠れる(すなわち、画像表示部108の表示画面からはみ出す)確率Poutを算出し、ステップS140Bへ進む。確率Poutの算出は上記座標を用いて行う。付加情報の座標位置に上記画像変位量を加えたとき、加算後の座標位置が画像表示部108の表示空間から外れると、画像シフト後に付加情報は表示画面からはみ出すと考えられる。制御部106Bは、あらかじめ記憶されている画像変位量の大きさとその発生頻度との関係を示すデータを参照し、確率Poutを算出する。参照データは、画像変位量の大きさごとの発生頻度を示すものである。
【0053】
ステップS140Bにおいて、制御部106Bは、確率Poutが所定値P0より大きいか否かを判定する。制御部106Bは、Pout>P0が成立する場合にステップS140Bを肯定判定してステップS150Bへ進み、Pout>P0が成立しない場合にステップS140Bを否定判定し、ステップS160へ進む。
【0054】
ステップS150Bにおいて、制御部106Bは、上記画像変位量による画像シフト後の上記確率PoutがP0以下になるように、表示画像の大きさを小さくする縮小倍率、ならびに変位中心位置を決定する。制御部106Bは、決定した縮小倍率へ変更するとともに、画像シフト時の変位中心を変更するように画像縮小・変位部107Bへ指令を送り、ステップS160へ進む。
【0055】
図6(a)は、画像シフト前に画像表示部108に表示されている画像例を示す図である。図6(a)において、表示画面の上部に、画像に重ねて付加情報31が表示されている。初期状態では、ピッチ方向に画像シフトする場合の画像変位の中心位置61が表示画面の縦方向の中心に設定されている。この状態で車両にノーズダイブが生じると、上方向への画像シフトによって付加情報31が画面からはみ出す可能性がある。
【0056】
図6(b)は、ピッチ方向に画像シフトする場合の画像変位の中心位置62を表示画面の縦方向の中心より下方に下げた状態を示す図である。図6(b)において、表示画面の付加情報よりさらに上部にシフト代63が設けられている。画像変位の中心位置62を下げたことにより、画像表示部108の表示画像を上方へ移動させてもシフト代63に相当する領域に付加情報が表示される。この結果、乗員にとって表示画像が空間上に停止して見えるとともに、付加情報が画像表示部108の表示画面から外れて見えなくなるおそれを低減できる。
【0057】
図6(c)は、画像シフトの際の表示画像を縮小表示した状態を示す図である。図6(c)において、表示画面の周囲にシフト代64が設けられている。縮小表示したことにより、画像表示部108の表示画像を上方へ移動させてもシフト代64に相当する領域に付加情報が表示される。この結果、乗員にとって表示画像が空間上に停止して見えるとともに、付加情報が画像表示部108の表示画面から外れて見えなくなるおそれを低減できる。
【0058】
以上説明したように第二の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)車両および乗員頭部が揺動したとしても、乗員にとって画像表示部108による表示画像が空間上に停止して見えるように画像シフトしたので、乗員が感じる違和感を低減することができる。さらに、画像シフトを行うことによって字幕などの付加情報が表示画面から外れて見えなくなる可能性がある場合には、表示画像を縮小表示したり、画像シフト時の変位中心位置を変更したりしたので、付加情報が画像表示部108の表示画面から外れて見えなくなるおそれを低減できる。
【0059】
(2)表示画像の縮小表示や画像シフト時の変位中心位置の変更は、画像表示部108および乗員頭部の相対変位に応じて算出される画像変位量で画像シフトを行う場合に、画像シフト後に付加情報が表示画面からはみ出す確率Poutが所定値P0より大きいときのみについて行うようにしたので、縮小表示や変位中心位置の変更を常に行う場合に比べて、処理量を少なくすることができる。
【0060】
表示画像の縮小表示、および画像シフト時の変位中心位置の変更は、いずれか一方のみを行ってもよいし、両方を行うようにしてもよい。
【0061】
なお、画像表示手段8と乗員との距離が十分離れている場合は、乗員の頭部回転に伴う乗員の眼球の運動(変位)が小さいので、上述したステップS70の処理をスキップしてもよい。この場合は、乗員の眼球位置が固定されているとみなし、眼球および画像表示部108間の相対変位を求めればよい。
【0062】
特許請求の範囲における各構成要素と、発明の実施の形態における各構成要素との対応について説明する。車両運動検出手段は、たとえば、車両運動検出部101によって構成される。表示手段は、たとえば、画像表示部108によって構成される。並進方向の変位は、たとえば、画面移動量が対応する。表示映像変位演算手段は、たとえば、制御部106(106B)によって構成される。表示制御手段は、たとえば、制御部106および画像変位部107(制御部106Bおよび画像縮小・変位部107B)によって構成される。制御手段、付加情報処理手段は、たとえば、制御部106および付加情報抽出部115(制御部106Bおよび付加情報抽出部115B)によって構成される。表示サイズの変更は、縮小倍率の変更が対応する。移動の中心位置は、画像シフト時の変位中心位置が対応する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態による車載情報提供装置の概要を示すブロック構成図である。
【図2】制御部で行われる表示処理の流れを説明するフローチャートである。
【図3】(a)ノーズダイブが生じる前に画像表示部に表示されている画像例を示す図である。
(b)ノーズダイブ時に車両ピッチ動をキャンセルするための画像シフトを説明する図である。
(c)本発明による画像シフト後の付加情報の表示を説明する図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態による車載情報提供装置の概要を説明するブロック構成図である。
【図5】制御部で行われる表示処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】(a)画像シフト前に画像表示部に表示されている画像例を示す図である。
(b)画像シフトの際のピッチ方向の画像変位の中心位置を縦方向の中心より下方に下げた状態を示す図である。
(c)画像シフトの際の表示画像を縮小表示した状態を示す図である。
【符号の説明】
100(100B)…車載情報提供装置、
101…車両運動検出部、 102…座面圧力検出部、
103…人体データベース部、 104…乗員運動推定部、
105…画像入力部、 106(106B)…制御部、
107…画像変位部、 107B…画像縮小・変位部、
108…画像表示部、 115(115B)…付加情報抽出部
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両内で画像などを表示する車載情報提供装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像などを表示する表示装置に関し、観察者が動いた場合に当該観察者に違和感を与えないようにする技術が知られている。特許文献1には、表示装置と観察者との間にフレネルレンズなどの光学素子を配設した表示装置が開示されている。この表示装置では、フレネルレンズによって無限遠に近い位置に投影される虚像を観察者が観察する。観察者がフレネルレンズの法線に対して下側から観察すると法線より上側に、法線に対して上側から観察すると法線より下側に、それぞれ投影像が観察される。
【0003】
また、特許文献2には、表示装置を観察者の頭部に固定した表示装置が開示されている。この表示装置では、当該観察者の頭部の動きに応じて、表示映像を頭部の動きと逆にスクロールさせることにより、観察者にとって映像があたかも固定されているかのように見える。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−73785号公報
【特許文献2】
特開平8−220470号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の技術では、ディスプレイと観察者との間に光学素子を配設するので、たとえば、車両内に配設されたディスプレイを観察する場合、光学素子用の光路スペースを確保する必要性から小型化が難しくなる。また、特許文献2の技術では、表示装置を頭部に固定しているので、車両内に取り付けられている表示装置による映像を観察する場合には適さない。
【0006】
本発明は、車室内で画像や文字などを表示する情報提供装置と、表示情報の観察者との位置関係が変動する場合でも、観察者に違和感を与えないようにした車載情報提供装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による車載情報提供装置は、車両の動きを検出し、検出情報から表示映像の並進方向の変位を演算し、この変位をキャンセルするように画像をリアルタイムに変位させる上に、画像に付加されている付加情報を継続して表示させるようにしたものである。
本発明による車載情報提供装置は、車両の動きを検出し、検出情報から表示映像の並進方向の変位を演算し、この変位をキャンセルするように画像を表示させる上に、上記並進方向の変位をキャンセルした後も、画像に付加されている付加情報が表示映像に含まれるようにしたものである。
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、表示手段による表示映像の並進方向の変位を演算し、演算した変位をキャンセルするようにリアルタイムに変位する画像を表示させたので、表示手段および観察者の頭部の位置関係が変動する場合でも、表示映像を観察する乗員に違和感を与えないようにすることが可能になる。さらに、上記画像に付加されている付加情報を継続して表示させるようにしたので、付加情報が表示画面から外れて見えなくなることを防止できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第一の実施の形態)
図1は、本発明の第一の実施の形態による車載情報提供装置の概要を示すブロック構成図である。図1において、車載情報提供装置100は、車両運動検出部101と、乗員運動推定部104と、座面圧力検出部102と、人体データベース部103と、制御部106と、映像入力部105と、画像変位部107と、画像表示部108と、付加情報抽出部115とを有する。観察者は、車両内の座席(不図示)に着座して画像表示部108に表示される画像を観察する。
【0010】
車両運動検出部101は、車両の並進運動、および車両の回転運動をそれぞれ検出し、検出信号を乗員運動推定部104および制御部106へそれぞれ出力する。座面圧力検出部102は、観察者(この場合は車両の乗員)が着座した座席上の体圧分布を検出し、検出信号を乗員運動推定部104へ出力する。人体データベース部103は、体圧分布と乗員の体格との関係を示すデータ、体圧分布と乗員の着座姿勢との関係を示すデータ、ならびに車両揺動に対する人体頭部の揺動伝達関数を示すデータをそれぞれ格納する。格納データは、体格が異なる複数の被験者に関してあらかじめ計測し、データベース化したものである。車両揺動は、車両運動の検出値によって示される。
【0011】
乗員運動推定部104は、車両運動を示す検出信号、ならびに乗員による体圧分布を示す検出信号を用いて、当該乗員の体格および姿勢に類似する人の頭部運動を示す情報を人体データベース部103から読み出し、乗員の頭部、とくに眼球の運動(変位)を推定する。推定した眼球の変位を示す情報は、乗員運動推定部104から制御部106へ送られる。
【0012】
映像入力部105は、外部機器から入力される表示データを画像変位部107および付加情報抽出部115へそれぞれ送出する。表示データは、画像表示部108に表示する画像、この画像に重ねて表示(スーパーインポーズ)する字幕などのデータである。
【0013】
制御部106は、推定した眼球の変位を示す情報、ならびに車両運動を示す検出信号を用いて、画像の変位量を決定する。制御部106は、画像変位量を決定する他に、車載情報提供装置100の各部を制御するように構成されている。制御部106は、決定した画像変位量を示す情報を画像変位部107へ送る。
【0014】
付加情報抽出部115は、表示データに付加情報、すなわち、字幕など画像以外の表示を行うためのデータが付加されているか否かを判定し、付加されている場合には付加情報が存在することを示す情報を制御部106へ送る。付加情報抽出部115はさらに、表示データのうち付加情報を含むデータを切り出し、当該切り出しデータと、当該切り出しデータを除く表示データとをそれぞれ画像変位部107へ送出する。
【0015】
画像変位部107は、画像変位量を示す情報に基づいて、画像表示部108の表示画面内で画像の表示位置が移動する(画像シフトする)ように、表示データを加工する。画像シフトの詳細については後述する。画像変位部107はさらに、制御部106から指令を受けると付加情報抽出部115から上記切り出しデータおよび切り出しデータを除く表示データをそれぞれ入力する。画像変位部107は、画像表示部108の表示画面内で画像の表示位置が移動する(画像シフトする)ように切り出しデータを除く表示データを加工し、加工後の表示データに上記切り出しデータを重ね表示させるオーバーレイ処理を行う。これにより、画像のうち字幕が含まれない領域のみを画像シフトし、字幕が含まれている領域は画像シフトをしないように表示データが加工される。
【0016】
加工後の表示データは、画像表示部108の入力インターフェイスに応じた表示信号として画像変位部107から画像表示部108へ出力される。画像表示部108は、たとえば、液晶表示器などで構成され、入力された表示信号による画像(字幕などが付加されている場合はこれら付加情報も含む)を表示する。
【0017】
本発明は、車両の加減速状態であっても画像表示部108に表示されている画像が乗員にとって空間上に停止して見えるようにするとともに、字幕などの表示は画像表示部108による表示画面内にとどめるものである。第一の実施の形態では、乗員の頭部(とくに眼球)と画像表示部108との相対変位を算出し、画像表示部108の表示画面内で画像の表示位置を相対変位に応じて移動させる。乗員の頭部の運動は、着座時の体圧分布を用いて推定する。
【0018】
上述した車載情報提供装置100の制御部106で行われる表示処理の流れについて、図2のフローチャートを参照して説明する。ステップS10において、制御部106は、画像表示部108の画面電源がオンされているか否かを判定する。制御部106は、画面電源がオンされている場合にステップS10を肯定判定してステップS20へ進み、画面電源がオンされていない場合にステップS10を否定判定し、ステップS10の判定処理を繰り返す。
【0019】
ステップS20において、制御部106は、座面圧力検出部102に指令を出力し、乗員が着座している座席上の体圧分布を検出させて(体圧測定)ステップS30へ進む。ステップS30において、制御部106は、乗員運動推定部104に指令を出力し、乗員の体格および姿勢を推定させてステップS40へ進む。これにより、乗員運動推定部104が人体データベース部103を検索し、検出された体圧分布に最も近い体圧分布に対応する体格および姿勢を、乗員の体格および姿勢の推定値とする。
【0020】
ステップS40において、制御部106は、車両運動検出部101に指令を出力し、車両の運動を検出させて(運動測定)ステップS50へ進む。これにより、車両運動検出部101が車両の並進運動(左右動)および回転運動(ロール動)をそれぞれ検出する。ステップS50において、制御部106は、乗員の姿勢変化があるか否かを判定する。制御部106は、前回の姿勢推定値と今回の姿勢推定値とを比較し、両者が異なる場合にステップS50を肯定判定してステップS60へ進み、両者が一致する場合にステップS50を否定判定してステップS70へ進む。
【0021】
ステップS60において、制御部106は、乗員運動推定部104に指令を出力し、人体振動伝達関数を選択させてステップS70へ進む。これにより、乗員運動推定部104が人体データベース部103を検索し、現在推定されている乗員の体格・姿勢、ならびに最新の車両運動の検出値に対応する人体振動伝達関数をデータベースより選択する。
【0022】
ステップS70において、制御部106は、乗員運動推定部104に指令を出力し、乗員の頭部の運動を推定させてステップS80へ進む。これにより、乗員運動推定部104が人体振動伝達関数、ならびに車両運動の検出値を用いて乗員の頭部(とくに眼球)運動(左右動およびロール動)の推定値を算出する。ステップS80において、制御部106は、車両運動を示す検出信号を用いて、車両の回転運動にともなう並進方向の画面移動量を算出し、ステップS90へ進む。この場合の画面移動量は、画像表示部108のピッチ方向(上下方向)の移動量である。
【0023】
ステップS90において、制御部106は、車両運動の検出値および乗員頭部運動の推定値に基づいて画像表示部108および眼球間の相対変位を算出し、ステップS100へ進む。ステップS100において、制御部106は、画面の上下移動量および上記相対変位を用いて、画像表示部108に表示されている画像が乗員にとって空間上に揺動無く停止して見えるために必要な表示画像の変位量を算出し、ステップS110へ進む。
【0024】
ステップS110において、制御部106は、表示データに付加情報が有るか否かを判定する。制御部106は、付加情報抽出部115から付加情報が存在することを示す情報を受けた場合にステップS110を肯定判定してステップS120へ進み、付加情報が存在することを示す情報を受けない場合にステップS110を否定判定し、ステップS150へ進む。
【0025】
ステップS120において、制御部106は、付加情報抽出部115で抽出(切り出し)されたデータを用いるように画像変位部107へ指令を出力し、ステップS130へ進む。ステップS130において、制御部106は、算出した画像変位量を示す情報を画像変位部107へ送るとともに、画像変位部107に画像シフト処理を行うように指令を出力してステップS140へ進む。表示データに付加情報がある場合は、表示画像のうち付加情報を含む領域を画像シフト処理の対象から除外する。これにより、画像変位部107は、切り出しデータを除く表示データについて、画像表示部108の表示画面内で画像の表示位置が移動するように表示データを加工する。
【0026】
ステップS140において、制御部106は、画像変位部107に画像合成処理を行うように指令を出力してステップS150へ進む。これにより、画像変位部107が上記加工後の表示データに上記切り出しデータを重ねるオーバーレイ処理を行うと、画像のうち字幕が含まれない領域のみ画像シフトを行い、字幕が含まれている領域の画像シフトは行わないように表示データが加工される。
【0027】
ステップS150において、制御部106は、画像表示部108へ指令を送り、加工後の表示データによる画像を表示させてステップS170へ進む。これにより、表示画面内を並進移動した画像が画像表示部108に表示される。ステップS170において、制御部106は、画像表示部108の画面電源がオフされたか否かを判定する。制御部106は、画面電源がオフされた場合にステップS170を肯定判定し、図2による処理を終了する。一方、制御部106は、画面電源がオフされていない場合にステップS170を否定判定し、ステップS20へ戻って上述した処理を繰り返す。
【0028】
上述したステップS110を否定判定して進むステップS160において、制御部106は、算出した画像変位量を示す情報を画像変位部107へ送るとともに、画像変位部107に画像シフト処理を行うように指令を出力してステップS150へ進む。表示データに付加情報がない場合は、表示画像の全体を画像シフト処理の対象にする。これにより、画像変位部107は、画像入力部105から送出された表示データについて、画像表示部108の表示画面内で画像の表示位置が並進移動するように表示データを加工する。
【0029】
画像シフトの詳細について説明する。車両の加減速にともなうピッチ方向の運動について着目する場合、乗員の眼球と画像表示部108との相対位置の変位は、次の2つに大別される。
▲1▼車両側に生じるピッチ動に起因するもの
▲2▼乗員側(とくに眼球)に生じるピッチ動に起因するもの
【0030】
上記▲1▼について説明する。一般に、車両が減速すると車両の前部が沈むノーズダイブ現象が生じる。画像表示部108による表示画面が乗員に対して車両の進行方向に位置する場合は、ノーズダイブによって画像表示部108にピッチ方向(この場合下向き)の回転運動が生じる。このため、乗員の頭部(とくに眼球)の位置が移動しない場合は、乗員には画像情報提供装置108が下方に移動するように見える。そこで、制御部106は、画像表示部108の移動をキャンセルするようにピッチ方向(この場合上向き)に画像の表示位置を変位させるための表示データ加工を行う。
【0031】
図3(a)は、ノーズダイブが生じる前に画像表示部108に表示されている画像例を示す図である。図3(a)において、表示画面の上部に、画像に重ねて付加情報31が表示されている。図3(b)は、ノーズダイブ時に車両ピッチ動をキャンセルするための画像シフトを説明する図である。図3(b)において、画像表示部108の下方への移動量に応じて、画像表示部108に表示される画像を上方へ移動する。この結果、表示画像および眼球間の相対変位が0になり、乗員にとって表示画像が空間上に停止して見えるようになる。ところが、画像とともに付加情報を上方へ移動させると、付加情報31が画像表示部108の表示画面から外れて付加情報31の一部が見えなくなったり、付加情報31の全てが見えなくなるおそれが生じる。
【0032】
図3(c)は、本発明による画像シフト後の付加情報の表示例である。図3(c)に示すように、表示画像のうち付加情報31が表示されている領域を除く領域(図3(c)では星形図形および六角図形を含む領域)について、表示画像を上方へ移動させる。表示画像のうち付加情報31が表示されている領域(図3(c)では画面上部の帯状領域)については表示画像を上方へ移動させない。この結果、表示画像のうち主要部分(上記の例では図形)を含む領域は乗員にとって空間上に停止しているように見え、字幕などの付加情報31は画面からはみ出ることなく所定位置に常に表示される。
【0033】
車両減速時のノーズダイブと反対に、車両が加速すると車両の後部が沈むスクワット現象が生じる。画像表示部108による表示画面が乗員に対して車両の進行方向に位置する場合は、スクワットによって画像表示部108にピッチ方向(この場合上向き)の回転運動が生じる。このため、乗員の頭部(とくに眼球)の位置が移動しない場合は、乗員には画像情報提供装置108が上方に移動するように見える。そこで、制御部106は、画像表示部108の移動をキャンセルするようにピッチ方向(この場合下向き)に画像の表示位置を変位させるための表示データ加工を行う。
【0034】
スクワット時には、画像表示部108の上方への移動量に応じて、画像表示部108に表示される画像を下方へ移動させる。この結果、表示画像および眼球間の相対変位が0になり、乗員にとって表示画像が空間上に停止して見えるようになる。ところが、画像とともに付加情報を下方へ移動させると、付加情報が表示画面の下部に表示されている場合には、付加情報が画像表示部108の表示画面から外れて一部が見えなくなったり、付加情報の全てが見えなくなるおそれが生じる。
【0035】
そこで、表示画像のうち付加情報が表示されている領域を除く領域(すなわち、主要な画像を含む領域)について表示画像を下方へ移動させ、付加情報が表示されている画面下部の帯状領域(不図示)については表示画像を下方へ移動させないようにする。この結果、主要な画像は乗員にとって空間上に停止しているように見え、字幕などの付加情報は画面からはみ出ることなく表示が続けられる。
【0036】
上記▲2▼について説明する。実際の車両減速時・加速時においては、乗員の頭部にもピッチ方向の回転運動がそれぞれ生じる。車両減速時に乗員の頭部が前方に回転すると、画像表示部108の位置が移動しない場合は、画像表示部108に対して乗員の頭部(とくに眼球)の位置が下方へ移動する。そこで、乗員にとって表示画像が空間上に停止して見えるように表示するためには、乗員の眼球の下方移動量に応じて画像表示部108に表示される画像を下方へ移動させる。この場合の画像シフトの向きは、スクワット時に車両ピッチ動をキャンセルする向きと同様である。
【0037】
車両減速時と反対に、車両加速時に乗員の頭部が後方に回転すると、画像表示部108の位置が移動しない場合は画像表示部108に対して乗員の頭部(とくに眼球)の位置が上方へ移動する。そこで、乗員にとって表示画像が空間上に停止して見えるように表示するためには、乗員の眼球の上方移動量に応じて、画像表示部108に表示される画像を上方へ移動させる。この場合の画像シフトの向きは、ノーズダイブ時に車両ピッチ動をキャンセルする向きと同様である。
【0038】
本実施の形態では、画像表示部108および眼球間の相対変位を求め、この相対変位に応じて画像シフトを行うので、上記▲1▼および▲2▼の両ピッチ動による影響をキャンセルするように画像シフトを行うことが可能である。
【0039】
以上説明した第一の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)乗員が着座した状態で体圧測定を行い、人体データベース部103を検索して乗員の体格および着座姿勢を推定するようにしたので、大人や子供、男性や女性、ならびに着座姿勢にかかわらず、適切な人体振動伝達関数を選択することができる。
【0040】
(2)上記(1)による人体振動伝達関数と、車両運動の検出データとを用いて、乗員の頭部(とくに眼球)運動の推定値を算出するので、乗員の頭部などに運動検出センサを設けなくても、乗員の眼球位置を得ることができる。乗員に検出センサを取り付けないので、コスト上昇が抑えられる上に、乗員に負担を与えることもない。
【0041】
(3)車両運動を示す検出データを用いて、車両の回転運動にともなう画像表示部108のピッチ方向(上下方向)の移動量を算出するので、画像表示部108用に運動検出センサを設けなくても、画像表示部108の位置を得ることができる。
【0042】
(4)上記(2)の眼球位置および上記(3)の画像表示部108の位置を用いて両者の相対変位を求めるので、それぞれが異なる運動状態であっても、両者間の変位を得ることができる。
【0043】
(5)画像表示部108のピッチ方向(上下方向)の移動量、ならびに、上記(4)の相対変位の変化に起因する表示画像の動きをキャンセルするように、画像表示部108に表示する画像の表示位置をピッチ方向に移動させた(画像シフトした)ので、乗員にとって表示画像が遠方の静止風景に対応する空間上に停止して見える。この結果、乗員にとって画像が見やすくなる上に、乗員が表示画面を注視している状態で、乗員が得る視覚情報と前庭器(三半規管、耳石)からの情報が一致するので、画像シフトしない場合に比べて、乗員が感じる違和感を低減することができる。
【0044】
(6)表示画像に字幕などの付加情報が含まれる場合は、表示画像のうち字幕などが表示されている領域を除外してピッチ方向へ移動させ、字幕などが表示されている領域についてはピッチ方向へ移動させないようにした。この結果、主要な画像は乗員にとって空間上に停止しているように見え、字幕などの付加情報は画像表示部108の画面からはみ出ることなく表示が続けられるので、画像シフトによって字幕が読めなくなることを防止できる。
【0045】
上述した人体データベース部103は、車両揺動に対する人体各部(とくに頭部)の振動の情報として伝達関数を示すデータを格納するようにした。この代わりに、数値モデルをテーブル化して格納してもよい。具体的には、LUT(look up table)を構成し、車両の揺動を示す値をLUTに入力すると、当該揺動に対応する人体振動を示す値が当該LUTから出力されるようにする。
【0046】
以上の説明では、ピッチ方向の回転運動を例にあげて説明したが、車両のロール方向(左右方向)の回転運動についても同様に処理することができる。すなわち、画像の付加情報が画像の左端、もしくは右端に表示される場合にも、画像シフトによって字幕が読めなくなることを防止できる。
【0047】
(第二の実施の形態)
図4は、本発明の第二の実施の形態による車載情報提供装置の概要を説明するブロック構成図である。図4において、車載情報提供装置100Bは、図1の画像変位部107の代わりに画像縮小・変位部107Bを有する点が図1の車載情報提供装置100と異なる。そこで、この相違点を中心に説明する。
【0048】
制御部106Bは、推定した眼球の変位を示す情報、ならびに車両運動を示す検出信号を用いて画像変位量を算出する。画像変位量は第一の実施の形態と同様である。制御部106Bはさらに、この画像変位量に応じて画像表示部108の表示画面内で画像シフトを行う場合に、字幕などの付加情報が画像シフトを行うことによって画像表示部108の表示画面からはみ出す確率Poutを算出する。制御部106Bは、確率Poutが所定値より大きい場合に、画像シフト後の付加情報が画像表示部108の表示画面からはみ出さないようにする表示画像全体の大きさ(表示倍率)および画像シフト時の変位中心位置を決定する。変位中心位置とは、画像シフトを繰り返す場合に画像の中心が平均的に表示される位置である。
【0049】
画像縮小・変位部107Bは、制御部106Bからの画像変位量を示す情報に応じて画像表示部108の表示画面内で画像シフトするように、表示データを加工する。画像シフトについては第一の実施の形態と同様である。画像縮小・変位部107Bはさらに、制御部106Bから指令を受けると、表示画像の大きさを小さく変更するように表示データを加工したり、画像シフト時の変位中心位置を変更するように表示データを加工したりする。
【0050】
車載情報提供装置100Bの制御部106Bで行われる表示処理の流れについて、図5のフローチャートを参照して説明する。図5において、ステップS120B〜ステップS150Bまでの処理が図2による処理(第一の実施の形態)と異なるので、これらの処理を中心に説明する。
【0051】
ステップS120Bにおいて、制御部106Bは、付加情報の表示位置を特定してステップS130Bへ進む。表示位置は、画像表示部108の表示ピクセルの中で付加情報を表示するピクセルを示すものである。制御部106Bは、表示データを解析することにより、たとえば、付加情報に対応する表示ピクセルの座標位置を特定する。この座標位置は、画像表示部108によるデータ表示空間を示す座標系において、付加情報を表示する表示ピクセルの位置を示すものである。
【0052】
ステップS130Bにおいて、制御部106Bは、画像表示部108および乗員頭部の相対変位に応じて求めた画像変位量で画像シフトを行った場合に付加情報が隠れる(すなわち、画像表示部108の表示画面からはみ出す)確率Poutを算出し、ステップS140Bへ進む。確率Poutの算出は上記座標を用いて行う。付加情報の座標位置に上記画像変位量を加えたとき、加算後の座標位置が画像表示部108の表示空間から外れると、画像シフト後に付加情報は表示画面からはみ出すと考えられる。制御部106Bは、あらかじめ記憶されている画像変位量の大きさとその発生頻度との関係を示すデータを参照し、確率Poutを算出する。参照データは、画像変位量の大きさごとの発生頻度を示すものである。
【0053】
ステップS140Bにおいて、制御部106Bは、確率Poutが所定値P0より大きいか否かを判定する。制御部106Bは、Pout>P0が成立する場合にステップS140Bを肯定判定してステップS150Bへ進み、Pout>P0が成立しない場合にステップS140Bを否定判定し、ステップS160へ進む。
【0054】
ステップS150Bにおいて、制御部106Bは、上記画像変位量による画像シフト後の上記確率PoutがP0以下になるように、表示画像の大きさを小さくする縮小倍率、ならびに変位中心位置を決定する。制御部106Bは、決定した縮小倍率へ変更するとともに、画像シフト時の変位中心を変更するように画像縮小・変位部107Bへ指令を送り、ステップS160へ進む。
【0055】
図6(a)は、画像シフト前に画像表示部108に表示されている画像例を示す図である。図6(a)において、表示画面の上部に、画像に重ねて付加情報31が表示されている。初期状態では、ピッチ方向に画像シフトする場合の画像変位の中心位置61が表示画面の縦方向の中心に設定されている。この状態で車両にノーズダイブが生じると、上方向への画像シフトによって付加情報31が画面からはみ出す可能性がある。
【0056】
図6(b)は、ピッチ方向に画像シフトする場合の画像変位の中心位置62を表示画面の縦方向の中心より下方に下げた状態を示す図である。図6(b)において、表示画面の付加情報よりさらに上部にシフト代63が設けられている。画像変位の中心位置62を下げたことにより、画像表示部108の表示画像を上方へ移動させてもシフト代63に相当する領域に付加情報が表示される。この結果、乗員にとって表示画像が空間上に停止して見えるとともに、付加情報が画像表示部108の表示画面から外れて見えなくなるおそれを低減できる。
【0057】
図6(c)は、画像シフトの際の表示画像を縮小表示した状態を示す図である。図6(c)において、表示画面の周囲にシフト代64が設けられている。縮小表示したことにより、画像表示部108の表示画像を上方へ移動させてもシフト代64に相当する領域に付加情報が表示される。この結果、乗員にとって表示画像が空間上に停止して見えるとともに、付加情報が画像表示部108の表示画面から外れて見えなくなるおそれを低減できる。
【0058】
以上説明したように第二の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)車両および乗員頭部が揺動したとしても、乗員にとって画像表示部108による表示画像が空間上に停止して見えるように画像シフトしたので、乗員が感じる違和感を低減することができる。さらに、画像シフトを行うことによって字幕などの付加情報が表示画面から外れて見えなくなる可能性がある場合には、表示画像を縮小表示したり、画像シフト時の変位中心位置を変更したりしたので、付加情報が画像表示部108の表示画面から外れて見えなくなるおそれを低減できる。
【0059】
(2)表示画像の縮小表示や画像シフト時の変位中心位置の変更は、画像表示部108および乗員頭部の相対変位に応じて算出される画像変位量で画像シフトを行う場合に、画像シフト後に付加情報が表示画面からはみ出す確率Poutが所定値P0より大きいときのみについて行うようにしたので、縮小表示や変位中心位置の変更を常に行う場合に比べて、処理量を少なくすることができる。
【0060】
表示画像の縮小表示、および画像シフト時の変位中心位置の変更は、いずれか一方のみを行ってもよいし、両方を行うようにしてもよい。
【0061】
なお、画像表示手段8と乗員との距離が十分離れている場合は、乗員の頭部回転に伴う乗員の眼球の運動(変位)が小さいので、上述したステップS70の処理をスキップしてもよい。この場合は、乗員の眼球位置が固定されているとみなし、眼球および画像表示部108間の相対変位を求めればよい。
【0062】
特許請求の範囲における各構成要素と、発明の実施の形態における各構成要素との対応について説明する。車両運動検出手段は、たとえば、車両運動検出部101によって構成される。表示手段は、たとえば、画像表示部108によって構成される。並進方向の変位は、たとえば、画面移動量が対応する。表示映像変位演算手段は、たとえば、制御部106(106B)によって構成される。表示制御手段は、たとえば、制御部106および画像変位部107(制御部106Bおよび画像縮小・変位部107B)によって構成される。制御手段、付加情報処理手段は、たとえば、制御部106および付加情報抽出部115(制御部106Bおよび付加情報抽出部115B)によって構成される。表示サイズの変更は、縮小倍率の変更が対応する。移動の中心位置は、画像シフト時の変位中心位置が対応する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態による車載情報提供装置の概要を示すブロック構成図である。
【図2】制御部で行われる表示処理の流れを説明するフローチャートである。
【図3】(a)ノーズダイブが生じる前に画像表示部に表示されている画像例を示す図である。
(b)ノーズダイブ時に車両ピッチ動をキャンセルするための画像シフトを説明する図である。
(c)本発明による画像シフト後の付加情報の表示を説明する図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態による車載情報提供装置の概要を説明するブロック構成図である。
【図5】制御部で行われる表示処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】(a)画像シフト前に画像表示部に表示されている画像例を示す図である。
(b)画像シフトの際のピッチ方向の画像変位の中心位置を縦方向の中心より下方に下げた状態を示す図である。
(c)画像シフトの際の表示画像を縮小表示した状態を示す図である。
【符号の説明】
100(100B)…車載情報提供装置、
101…車両運動検出部、 102…座面圧力検出部、
103…人体データベース部、 104…乗員運動推定部、
105…画像入力部、 106(106B)…制御部、
107…画像変位部、 107B…画像縮小・変位部、
108…画像表示部、 115(115B)…付加情報抽出部
Claims (4)
- 車両の動きを検出する車両運動検出手段と、
乗員に提供する画像およびその画像に対する付加情報を表示映像として表示する表示手段と、
前記車両運動検出手段によって検出された前記車両の動きを示す情報を用いて、前記表示手段による表示映像の並進方向の変位を演算する表示映像変位演算手段と、
前記表示映像変位演算手段によって演算された前記並進方向の変位をキャンセルするように前記表示手段に画像をリアルタイムに変位させる表示制御手段と、
前記表示手段に前記付加情報を継続して表示させる制御手段とを備えることを特徴とする車載情報提供装置。 - 車両の動きを検出する車両運動検出手段と、
乗員に提供する画像およびその画像に対する付加情報を表示映像として表示する表示手段と、
前記車両運動検出手段によって検出された前記車両の動きを示す情報を用いて、前記表示手段による表示映像の並進方向の変位を演算する表示映像変位演算手段と、
前記表示映像変位演算手段によって演算された前記並進方向の変位をキャンセルするように前記表示手段に画像を表示させる表示制御手段と、
前記表示制御手段によって前記並進方向の変位がキャンセルされたとき、前記付加情報が前記表示手段による表示映像に含まれるように処理する付加情報処理手段とを備えることを特徴とする車載情報提供装置。 - 請求項2に記載の車載情報提供装置において、
前記付加情報処理手段は、前記付加情報が前記画像に付加されている場合にのみ当該付加情報を前記画像から除外し、
前記表示制御手段は、前記付加情報が除外された画像について前記並進方向の変位をキャンセルするとともに、前記変位をキャンセルした後の画像、および前記キャンセルから除外された付加情報の双方をそれぞれ前記表示手段に表示させることを特徴とする車載情報提供装置。 - 請求項2に記載の車載情報提供装置において、
前記表示制御手段は、前記表示映像が前記並進方向の変位と逆に移動するように前記表示手段に画像を表示させ、
前記付加情報処理手段は、前記付加情報が前記画像に付加されている場合にのみ、前記画像の表示サイズの変更、もしくは前記移動の中心位置の変更の少なくとも一方を前記表示制御手段に指示することを特徴とする車載情報提供装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003117218A JP2004322727A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | 車載情報提供装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP (1) | JP2004322727A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006195333A (ja) * | 2005-01-17 | 2006-07-27 | Nissan Motor Co Ltd | 車載情報提供装置、および車載情報提供装置の制御方法 |
JP2011257553A (ja) * | 2010-06-08 | 2011-12-22 | Sony Corp | 画像安定化装置、画像安定化方法、及びプログラム |
-
2003
- 2003-04-22 JP JP2003117218A patent/JP2004322727A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9524561B2 (en) | 2010-06-08 | 2016-12-20 | Sony Corporation | Image stabilization device, image stabilization method, and program |
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