JP4175167B2 - 車載情報提供装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両内で画像などを表示する車載情報提供装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像などを表示する表示装置に関し、観察者が動いた場合に当該観察者に違和感を与えないようにする技術が知られている。特許文献1には、表示装置と観察者との間にフレネルレンズなどの光学素子を配設した表示装置が開示されている。この表示装置では、フレネルレンズによって無限遠に近い位置に投影される虚像を観察者が観察する。観察者がフレネルレンズの法線に対して下側から観察すると法線より上側に、法線に対して上側から観察すると法線より下側に、それぞれ投影像が観察される。
【0003】
また、特許文献2には、表示装置を観察者の頭部に固定した表示装置が開示されている。この表示装置では、当該観察者の頭部の動きに応じて、表示映像を頭部の動きと逆にスクロールさせることにより、観察者にとって映像があたかも固定されているかのように見える。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−73785号公報
【特許文献2】
特開平8−220470号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の技術では、ディスプレイと観察者との間に光学素子を配設するので、たとえば、車両内に配設されたディスプレイを観察する場合、光学素子用の光路スペースを確保する必要性から小型化が難しくなる。また、ディスプレイおよび観察者間の並進方向の相対変位のみしか考慮されないので、ディスプレイが観察者に対して回転運動する場合には視線方向が変化してしまい、投影像が無限遠に近い空間に固定されているようには見えない。一方、特許文献2の技術では、表示装置を頭部に固定しているので、車両内に取り付けられている表示装置には適さない。
【0006】
本発明は、車両の走行により表示装置および観察者(乗員)の位置関係が変動する場合でも、観察者に違和感を与えないようにした車載情報提供装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による車載情報提供装置は、車両の動きを検出し、乗員の座席から検出した体圧分布情報および車両の動き検出情報を用いて、車両揺動に対する人体頭部の揺動を示す情報を格納するデータベースを参照し、乗員の頭部または眼球の動きに関する運動値を推定し、乗員頭部または眼球と表示手段による表示映像との並進方向の相対変位および相対回転角をキャンセルするように情報表示手段に表示される画像に補正を行うものである。
本発明による車載情報提供装置は、車両の横方向の動きおよびロール回転の少なくとも一方を検出し、乗員の座席から検出した体圧分布情報および車両の動き、ロール回転の検出情報を用いて、車両揺動に対する人体頭部の揺動を示す情報を格納するデータベースを参照し、乗員の頭部または眼球の動きに関する運動値を推定し、横方向に関する検出情報と運動値情報とを用いて乗員頭部または眼球と表示手段による表示映像との間の並進方向の相対変位を演算し、ロール回転に関する検出情報と運動値情報とを用いて乗員頭部または眼球に対する表示映像の相対回転角を演算し、この相対変位および相対回転角をキャンセルするように情報表示手段に表示される画像を移動、回転させるものである。
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、車両揺動により表示映像および観察者の頭部または眼球間の位置関係が変動する場合でも、観察者に違和感を与えないようにした車載情報提供装置を提供できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による車載情報提供装置の概要を示すブロック構成図である。図1において、車載情報提供装置100は、車両運動検出部101と、乗員運動推定部104と、座面圧力検出部102と、人体データベース部103と、制御部106と、情報源装置105と、画像変位部107と、表示装置108とを有する。観察者は、車両内の座席(不図示)に着座して表示装置108に表示される画像を観察する。
【0010】
車両運動検出部101は、車両の並進運動、および車両の回転運動をそれぞれ検出し、検出信号を乗員運動推定部104および制御部106へそれぞれ出力する。座面圧力検出部102は、観察者(この場合は車両の乗員)が着座した座席上の体圧分布を検出し、検出信号を乗員運動推定部104へ出力する。人体データベース部103は、体圧分布と乗員の体格との関係を示すデータ、体圧分布と乗員の着座姿勢との関係を示すデータ、ならびに車両揺動に対する人体頭部の揺動伝達関数を示すデータをそれぞれ格納する。格納データは、体格が異なる複数の被験者に関してあらかじめ計測し、データベース化したものである。車両揺動は、車両運動の検出値によって示される。
【0011】
乗員運動推定部104は、車両運動を示す検出信号、ならびに乗員による体圧分布を示す検出信号を用いて、当該乗員の体格および姿勢に類似する人の頭部運動を示す情報を人体データベース部103から読み出し、乗員の頭部、とくに眼球の動き(変位)を推定する。推定した眼球の変位を示す情報は、乗員運動推定部104から制御部106へ送られる。
【0012】
情報源装置105は、外部機器から入力される表示データを画像変位部107へ送出する。表示データは、表示装置108に表示する画像もしくはテキストのデータである。制御部106は、推定した眼球の変位を示す情報、ならびに車両運動を示す検出信号を用いて、表示装置108に表示されている画像の変位量を決定する。制御部106は、画像変位量を決定する他に、車載情報提供装置100の各部を制御するように構成されている。制御部106で決定された画像変位量を示す情報は、制御部106から画像変位部107へ送られる。画像変位部107は、画像変位量を示す情報に基づいて、表示装置108の表示画面内で画像(テキストを含む)の表示位置が移動する(画像シフトする)ように、表示データを加工する。画像シフトの詳細については後述する。
【0013】
加工後の表示データは、表示装置108の入力インターフェイスに応じた表示信号として表示装置108へ出力される。表示装置108は、たとえば、液晶表示器などで構成され、入力された表示信号による画像(テキストを含む)を表示する。
【0014】
本発明は、車両走行時に車室内の表示装置108に表示されている画像を、乗員にとって遠方の静止風景に対応する空間上に停止して見えるようにするものである。本実施の形態では、乗員の頭部(とくに眼球)と表示装置108との相対変位を算出し、表示装置108の表示画面内で画像(テキストを含む)の表示位置を相対変位に応じて移動させる。乗員の頭部の運動は、着座時の体圧分布を用いて推定する。
【0015】
上述した車載情報提供装置100の制御部106で行われる表示処理の流れについて、図2のフローチャートを参照して説明する。ステップS10において、制御部106は、表示装置108の画面電源がオンされているか否かを判定する。制御部106は、画面電源がオンされている場合にステップS10を肯定判定してステップS20へ進み、画面電源がオンされていない場合にステップS10を否定判定し、ステップS10の判定処理を繰り返す。
【0016】
ステップS20において、制御部106は、座面圧力検出部102に指令を出力し、乗員が着座している座席上の体圧分布を検出させて(体圧測定)ステップS30へ進む。ステップS30において、制御部106は、乗員運動推定部104に指令を出力し、乗員の体格および姿勢を推定させてステップS40へ進む。これにより、乗員運動推定部104が人体データベース部103を検索し、検出された体圧分布に最も近い体圧分布に対応する体格および姿勢を、乗員の体格および姿勢の推定値とする。
【0017】
ステップS40において、制御部106は、車両運動検出部101に指令を出力し、車両の運動を検出させて(運動測定)ステップS50へ進む。これにより、車両運動検出部101が車両の並進運動および回転運動をそれぞれ検出する。ステップS50において、制御部106は、乗員の姿勢変化があるか否かを判定する。制御部106は、前回の姿勢推定値と今回の姿勢推定値とを比較し、両者が異なる場合にステップS50を肯定判定してステップS60へ進み、両者が一致する場合にステップS50を否定判定してステップS70へ進む。
【0018】
ステップS60において、制御部106は、乗員運動推定部104に指令を出力し、人体振動伝達関数を選択させてステップS70へ進む。これにより、乗員運動推定部104が人体データベース部103を検索し、現在推定されている乗員の体格・姿勢、ならびに最新の車両運動の検出値に対応する人体振動伝達関数をデータベースより選択する。
【0019】
ステップS70において、制御部106は、乗員運動推定部104に指令を出力し、乗員の頭部の運動(とくに、左右動・ロール動)を推定させてステップS80へ進む。これにより、乗員運動推定部104が人体振動伝達関数、ならびに車両運動の検出値を用いて乗員の頭部(とくに眼球)運動の推定値を算出する。ステップS80において、制御部106は、車両運動を示す検出信号を用いて、車両の運動にともなう画面の左右移動量およびロール回転角を算出し、ステップS90へ進む。この場合の画面の移動量は、表示装置108の表示画面における左右方向、ならびに表示画面におけるロール方向の移動量である。
【0020】
ステップS90において、制御部106は、表示装置108および眼球間の相対変位を算出し、ステップS100へ進む。ステップS100において、制御部106は、画面の左右移動量、ロール回転角および上記相対変位を用いて、表示装置108に表示されている画像が乗員にとって空間上に揺動無く安定して見えるために必要な表示画像の並進方向の変位量を算出し、ステップS110へ進む。
【0021】
ステップS110において、制御部106は、画像変位部107へ算出した画像変位量を示す情報を送るとともに、画像シフト・回転を行うように指令を出力してステップS120へ進む。これにより、画像変位部107が情報源装置105から入力された表示データに対し、上記変位量に応じて表示データを加工する。
【0022】
ステップS120において、制御部106は、表示装置108へ指令を送り、加工後の表示データによる画像を表示させてステップS130へ進む。これにより、画面内を移動した画像が表示装置108に表示される。ステップS130において、制御部106は、表示装置108の画面電源がオフされたか否かを判定する。制御部106は、画面電源がオフされた場合にステップS130を肯定判定し、図2による処理を終了する。一方、制御部106は、画面電源がオフされていない場合にステップS130を否定判定し、ステップS20へ戻って上述した処理を繰り返す。
【0023】
画像シフトの詳細について説明する。車両走行にともなう左右動およびロール動について着目する場合、乗員の眼球と表示装置108との相対位置の変位は、次の2つに大別される。
▲1▼車両側に生じる左右動・ロール動に起因するもの
▲2▼乗員側(とくに眼球)に生じる左右動・ロール動に起因するもの
【0024】
上記▲1▼について、図3(a)を参照して説明する。一般に、車両が走行すると、路面の不整により車両が左右方向(図において横方向)に変位したり、ロール方向に回転したりする。点Oは回転中心である。このため、乗員の頭部(とくに眼球)の位置が移動しない場合でも、乗員にとって画像表示装置108の画面が左右に移動したり、回転するように見える。
【0025】
上記▲2▼について、図3(b)を参照して説明する。実際の車両走行時には、乗員の上体がシート上で左右に振られたり、乗員の頭部がロール動したりする。このため、表示装置108の位置が移動しなくても、乗員の頭部(とくに眼球)の位置が表示装置108の画面に対して左右に移動したり、回転したりする。さらに、車両のコーナリング時には、慣性力によって車体のロール動、乗員の上体や頭部の左右動およびロール動がそれぞれ生じるため、表示装置108および乗員の頭部(とくに眼球)間にはさらに相対移動・相対回転が生じるようになる。この結果、乗員には画像表示装置108の画面が左右に移動したり、回転するように見える。
【0026】
そこで、制御部106は、上記相対回転をキャンセルするように表示画像を回転させるための表示データ加工を行う。図4(a)は、表示画像のロール補正例を説明する図である。図4(a)において、乗員の頭部に対する表示画面のロール動をキャンセルする方向に表示画像が回転される。
【0027】
また、制御部106は、上記相対移動をキャンセルするように表示画像を並進方向(左右方向もしくは斜め方向)に並行移動させるための表示データ加工を行う。図4(b)は、表示装置108および乗員頭部間の相対変位の補正例を説明する図である。図4(b)において、乗員の頭部に対する表示画面の並進移動をキャンセル方向に表示画像がシフトされる。
【0028】
本実施の形態では、表示装置108および乗員頭部間の相対変位を求め、この相対変位に応じて画像シフトを行うので、上記▲1▼および▲2▼のロール動および左右動による影響をキャンセルするように画像シフトが行われる。図4(c)は、表示画像のロール補正および相対変位補正を組み合わせて行う例を説明する図である。図4(c)において、乗員頭部に対する表示装置108の相対変位量に応じて表示装置108に表示される画像を回転したり、並進移動したりする結果、表示画像および眼球間の相対変位が0になり、乗員にとって表示画像が空間上に停止して見える。
【0029】
なお、車両のコーナリング時には車両に対するヨー回転も同時に発生するが、本実施の形態ではコーナリング時に定常的に生じるヨー回転をキャンセルするための画像シフトは行わない。この理由は、ヨー方向の回転をキャンセルするために車両の回転方向と反対の向きに大きく早い画像シフトを行うと、乗員にとって表示画像が見にくくなる上に、オプティックフローによって乗員に違和感を与えるおそれがあるからである。
【0030】
車両運動検出部101を角速度センサで構成する場合の角速度補正について説明する。図5は、車両の座標系を示す図である。図5において、X軸回りの回転運動ΓXを検出する角速度センサ(不図示)を用いて、車両のロール方向の運動を検出する。また、Y軸回りの回転運動ΓYを検出する角速度センサ(不図示)を用いて、車両のピッチ方向の運動を検出する。さらに、Z軸回りの回転運動ΓZを検出する角速度センサ(不図示)を用いて、車両のヨー方向の運動を検出する。
【0031】
車両がブレーキングにより減速しながら旋回する場合、車両にノーズダイブが生じることにより、当該車両はピッチ方向に傾きながらヨー回転およびロール動が作用する。ロール方向の角速度センサの軸がX軸に対してピッチ方向にθx傾くと、当該角速度センサの検出値にはヨー方向の回転成分が混入するようになる。一般に、車両旋回時のヨー方向の角速度はロール方向およびピッチ方向の角速度に比べてはるかに大きいので、ヨー方向の回転成分が混入した場合にはロール動の検出値に誤差が生じてしまう。
【0032】
そこで、ピッチ方向(Y軸回り)の角速度センサで検出されるピッチ動の検出値を用いて車両のピッチ角θxを求め、このピッチ角θxを用いて混入したヨー方向の回転成分を算出し、ロール動の検出値を補正する。
【0033】
図6は、ロール動の検出値を補正する処理を説明するフローチャートである。ステップS210において、制御部106は、車両運動検出部101から検出値(ピッチ方向の角速度センサによる検出値、ロール方向の角速度センサによる検出値、ヨー方向の角速度センサによる検出値)をそれぞれ入力し、ステップS220へ進む。ステップS220において、制御部106は、ピッチ方向の検出値を用いて車両のピッチ角θxを算出し、ステップS230へ進む。
【0034】
ステップS230において、制御部106は、ロール方向の検出値(ロール角速度θRoll)に混入しているヨー角速度成分θRoll(Yaw)を次式(1)により算出し、ステップS240へ進む。
【数1】
θRoll(Yaw)=−θYaw×sin (θx) (1)
ただし、θYawはヨー方向の検出値(ヨー角速度)である。
【0035】
ステップS240において、制御部106は、混入しているヨー角速度成分θRoll(Yaw)を除去後のロール方向の検出値(補正済みロール角速度θRoll')を次式(2)により算出し、図6による処理を終了する。制御部106は、このように補正した車両運動検出値を用いることにより、図2のステップS80において画面の移動量を算出する。
【数2】
θRoll'=θRoll−θRoll(Yaw) (2)
【0036】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)乗員が着座した状態で体圧測定を行い、人体データベース部103を検索して乗員の体格および着座姿勢を推定するようにしたので、大人や子供、男性や女性、ならびに着座姿勢にかかわらず、適切な人体振動伝達関数を選択することができる。
【0037】
(2)上記(1)による人体振動伝達関数と、車両運動の検出データとを用いて、乗員の頭部(とくに眼球)運動の推定値を算出するので、乗員の頭部などに運動検出センサを設けなくても、乗員の眼球位置を得ることができる。乗員に検出センサを取り付けないので、コスト上昇が抑えられる上に、乗員に負担を与えることもない。
【0038】
(3)車両運動を示す検出データを用いて、車両の回転運動にともなう表示装置108の左右動、ロール回転による移動量を算出するので、表示装置108用に運動検出センサを設けなくても、表示装置108の位置を得ることができる。
【0039】
(4)上記(2)の眼球位置および上記(3)の表示装置108の位置を用いて両者の相対変位を求めるので、それぞれが異なる運動状態であっても、両者間の相対変位を得ることができる。
【0040】
(5)表示装置108の並進方向の移動量、ならびに、上記(4)の相対変位の変化に起因する表示画像の移動をキャンセルするように、表示装置108に表示する画像(テキストを含む)の表示位置を並行移動および回転させた(画像シフトした)ので、乗員にとって表示画像が遠方の静止風景に対応する空間上に停止して見える。この結果、乗員にとって画像が見やすくなる上に、乗員が表示画面を注視している状態で、乗員が得る視覚情報と前庭器(三半規管、耳石)からの情報が一致するので、画像シフトしない場合に比べて、乗員が感じる違和感を低減することができる。
【0041】
(6)ピッチ方向(図6でY軸回り)の角速度センサで検出されるピッチ動の検出値を用いて車両のピッチ角θxを求め、このピッチ角θxを用いてロール方向(図6でX軸回り)の角速度センサで検出されるロール動の検出値θRollに混入しているヨー角速度成分θRoll(Yaw)を除去することにより、真のロール角速度θRoll'を得るようにした。したがって、正確にロール動を検出することが可能になり、車両がブレーキングにより減速しながら旋回する場合などにおいて、ヨー回転をキャンセルするための画像シフトを行わずに、ロール回転をキャンセルするための画像シフトを行うことができる。この結果、乗員にとって表示画像が見づらくなることがない上に、乗員が違和感を感じることもない。
【0042】
なお、表示装置108と乗員との距離が十分離れている場合は、乗員の頭部回転に伴う乗員の眼球の運動(変位)が小さいので、上述したステップS70の処理をスキップしてもよい。この場合は、乗員の眼球位置が固定されているとみなし、眼球および表示装置108間の相対変位を求めればよい。
【0043】
上述した人体データベース部103は、車両揺動に対する人体各部(とくに頭部)の振動の情報として伝達関数を示すデータを格納するようにした。この代わりに、数値モデルをテーブル化して格納してもよい。具体的には、LUT(look up table)を構成し、車両の揺動を示す値をLUTに入力すると、当該揺動に対応する人体振動を示す値が当該LUTから出力されるようにする。
【0044】
乗員頭部の運動値を推定する代わりに、乗員頭部の運動値を直接検出する検出センサを設けるようにしてもよい。
【0045】
以上の説明では、ロール方向の回転運動を例にあげて説明したが、車両のピッチ方向(上下方向)の回転運動についても同様に処理することができる。これにより、表示装置108の上下方向の移動量、ならびに、表示装置108および乗員間の相対変位の変化に起因する表示画像の移動をキャンセルするように、表示装置108に表示する画像の表示位置を上下にシフトすることができる。
【0046】
なお、表示画像をピッチ方向にシフトさせる場合には、ピッチ方向の角速度センサの検出値に混入するヨー方向の回転成分を以下のように除去する。一般に、車両がロール方向に傾きながら旋回すると、ピッチ方向の角速度センサの検出値にヨー方向の回転成分が混入する。そこで、ロール方向(X軸回り)の角速度センサで検出されるロール動の検出値を用いて車両のロール角θy(図6)を求め、このロール角θyを用いて混入したヨー方向の回転成分を算出し、ピッチ動の検出値を補正する。
【0047】
すなわち、制御部106は、ピッチ方向の検出値(ピッチ角速度θPitch)に混入しているヨー角速度成分θPitch(Yaw)を次式(3)により算出する。
【数3】
θPitch(Yaw)=θYaw×sin (θy) (3)
ただし、θYawはヨー方向の検出値(ヨー角速度)である。
【0048】
制御部106はさらに、混入しているヨー角速度成分θPitch(Yaw)を除去後のピッチ方向の検出値(補正済みピッチ角速度θPitch')を次式(4)により算出する。制御部106は、このように補正した車両運動検出値を用いることにより、画面の上下移動量を算出する。
【数4】
θPitch'=θPitch−θPitch(Yaw) (4)
【0049】
特許請求の範囲における各構成要素と、発明の実施の形態における各構成要素との対応について説明する。車両運動検出手段は、たとえば、車両運動検出部101によって構成される。表示手段は、たとえば、表示装置108によって構成される。表示映像変位演算手段は、たとえば、制御部106によって構成される。表示制御手段は、たとえば、画像変位部107によって構成される。運動値検出手段は、たとえば、乗員運動推定部104、座面圧力検出部102および人体データベース部103によって構成される。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【0050】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による車載情報提供装置の概要を示すブロック構成図である。
【図2】制御部で行われる表示処理の流れを説明するフローチャートである。
【図3】(a)車両側に生じる左右動・ロール動に起因する画面位置の変位を説明する図である。
(b)乗員側に生じる左右動・ロール動に起因する変位を説明する図である。
【図4】(a)表示画像のロール補正例を説明する図である。
(b)表示画像の相対変位の補正例を説明する図である。
(c)表示画像のロール補正および相対変位補正を組み合わせて行う例を説明する図である。
【図5】車両の座標系を示す図である。
【図6】ロール動検出値の補正処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
100…車載情報提供装置、 101…車両運動検出部、
102…座面圧力検出部、 103…人体データベース部、
104…乗員運動推定部、 105…情報源装置、
106…制御部、 107…画像変位部、
108…表示装置
Claims (4)
- 車室内に備えられた情報表示手段と、
車両の動きを検出する車両運動検出手段と、
車両揺動に対する人体頭部の揺動を示す情報を格納するデータベースと、
乗員の座席から検出した体圧分布情報および前記車両運動検出手段による検出情報を用いて前記データベースを参照し、乗員の頭部または眼球の動きに関する運動値を推定する運動値推定手段と、
前記車両運動検出手段によって検出された前記車両の横方向の変位または回転の少なくとも一方を示す情報と、前記運動値推定手段による運動値情報とに基づいて、前記乗員頭部または眼球と前記表示手段による表示映像との並進方向の相対変位および相対回転角をそれぞれ演算する表示映像変位演算手段と、
前記表示映像変位演算手段によって演算された前記変位または前記回転角をキャンセルするように前記情報表示手段に表示される画像を補正する表示制御手段とを備えることを特徴とする車載情報提供装置。 - 車両の横方向の動きおよびロール回転の少なくとも一方を検出する車両運動検出手段と、
画像を表示する表示手段と、
車両揺動に対する人体頭部の揺動を示す情報を格納するデータベースと、
乗員の座席から検出した体圧分布情報および前記車両運動検出手段による検出情報を用いて前記データベースを参照し、乗員の頭部または眼球の動きに関する運動値を推定する運動値推定手段と、
前記車両運動検出手段によって検出された前記横方向に関する検出情報と、前記運動値推定手段によって推定された運動値情報とを用いて前記乗員頭部または眼球と前記表示手段による表示映像との間の並進方向の相対変位を演算し、前記車両運動検出手段によって検出された前記ロール回転に関する検出情報と、前記運動値推定手段によって推定された運動値情報とを用いて前記乗員頭部または眼球に対する前記表示映像の相対回転角を演算する表示映像変位演算手段と、
前記表示手段による表示映像の左右方向への移動、上下方向への移動、およびロール方向への回転のうち少なくとも1つを行い、前記相対変位をキャンセルするように前記情報表示手段に表示される画像を前記左右方向および前記上下方向へ移動させ、前記相対回転角をキャンセルするように前記表示される画像を前記ロール方向に回転させる表示制御手段とを備えることを特徴とする車載情報提供装置。 - 請求項2に記載の車載情報提供装置において、
前記車両運動検出手段は、車両のヨー方向の動きを含めて検出し、
前記表示映像変位演算手段は、定常的な前記ヨー方向の検出情報に対応する前記演算をしないことを特徴とする車載情報提供装置。 - 請求項2または3に記載の車載情報提供装置において、
前記車両運動検出手段は、車両のピッチ方向、ロール方向、およびヨー方向の角速度をそれぞれ検出する角速度検出センサを有し、
前記表示映像変位演算手段は、(1)車両がピッチ方向に傾くことによって前記ロール方向の角速度に混入する前記ヨー方向の角速度成分を、前記ピッチ方向の角速度の検出情報を用いて除去する、および、(2)車両がロール方向に傾くことによって前記ピッチ方向の角速度に混入する前記ヨー方向の角速度成分を、前記ロール方向の角速度の検出情報を用いて除去することの少なくとも一方を行うことを特徴とする車載情報提供装置。
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