JP2004322356A - 記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型新規ジアゾニウム塩化合物を用いる感熱記録材料の記録方法において、プリント時間が短縮され、また長期間短縮されたプリント時間が維持され、かつ低エネルギー記録が可能な記録方法を提供すること。
【解決手段】1)支持体上に、下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物及びカプラーを含む感熱記録層1、2)感熱記録層1と前記ジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物及びカプラーを含む感熱記録層2、又は3)感熱記録層1及び感熱記録層2及び他の感熱記録層3を設けた感熱記録材料1〜3を画像記録する方法であって、記録後、感熱記録材料1〜3の、ジアゾニウム塩化合物を含む感熱記録層の少なくとも1層を発光ダイオードで光分解させて定着する記録方法。
【化1】
【化2】
一般式(1)及び(2)における置換基の定義は本文中で示す。
【選択図】 なし
【解決手段】1)支持体上に、下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物及びカプラーを含む感熱記録層1、2)感熱記録層1と前記ジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物及びカプラーを含む感熱記録層2、又は3)感熱記録層1及び感熱記録層2及び他の感熱記録層3を設けた感熱記録材料1〜3を画像記録する方法であって、記録後、感熱記録材料1〜3の、ジアゾニウム塩化合物を含む感熱記録層の少なくとも1層を発光ダイオードで光分解させて定着する記録方法。
【化1】
【化2】
一般式(1)及び(2)における置換基の定義は本文中で示す。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジアゾニウム塩化合物とカプラーを含む感熱記録材料を用いて、画像を形成する記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録方式としては、直接感熱記録方式や熱転写方式等が知られており、直接感熱記録方式に用いる感熱記録材料としては、ジアゾニウム塩化合物とカプラーを含む感熱記録材料が広く知られている。そして、ジアゾニウム塩化合物として種々のものが開発されており、本出願人は先に、ベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型新規ジアゾニウム塩化合物を提案した(特願2002−241646号及び特願2002−261318号)。前記ジアゾニウム塩化合物は400〜500nmの波長の光に対して定着感度を持ち、光定着性に優れており、またこれを発色剤として含む感熱記録材料は生感材保存性、地肌耐光性に優れている。
【0003】
ところで、画像記録の高速化は一般的な要請であり、ジアゾニウム塩化合物とカプラーを含む感熱記録材料についても例外ではない。
しかしながら、ジアゾニウム塩化合物とカプラーを含む感熱記録材料は、通常地肌濃度を低く保つため、記録後に光定着処理が行われるので、そのプリント時間は、他の記録方法に比較して定着処理を行う分長くなるという問題がある。
特にジアゾニウム塩化合物とカプラーを含む感熱記録層を2層以上設けた多色感熱記録材料(例えば以下の特許文献1を参照)を記録する場合には、複数回の光定着処理を行わなければならず、光定着処理の短縮化は喫緊の要請となっている。
したがって、前記のごとき優れた特性を有するベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型新規ジアゾニウム塩化合物を用いる感熱記録材料についても、よりプリント時間を短縮した記録方法が望まれる。
【0004】
ところで、ジアゾニウム塩化合物を発色成分として用いる感熱記録材料の光定着では、蛍光ランプを定着光源とすることが一般的であった。しかしながら、蛍光ランプの使用回数が増えるにしたがい、光強度が低下し、定着時間はプリント枚数が増えるにしたがい長くなるという問題がある。一般に蛍光ランプは連続100時間点灯すると強度が約50%劣化することから、劣化分を見積もってランプ照射時間を調整しなければならない。このように、従来の蛍光ランプを定着光源として用いるプリンターは、長く使用していると定着時間が長くなる、すなわち、プリント時間が長くなるという問題がある。
したがって、ジアゾ発色系の感熱記録材料においては、ジアゾニウム塩化合物自体の光分解速度の向上だけでなく、定着光源に関する考察も必要となる。
一方、光強度劣化のない光源である発光ダイオードを定着用光源として用いて光定着型の感熱記録材料を記録する装置が知られている(例えば、以下の特許文献2及び3を参照)。しかしながら、この特許文献2及び3には、発光ダイオードで定着させる光定着型の感熱記録材料については具体的に全く記載されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−288688号公報
【特許文献2】
特許第2664133号明細書
【特許文献3】
特許第3158037号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のごとき要請に基づいてなされたものであり、その目的は、ベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型新規ジアゾニウム塩化合物を用いる感熱記録材料の記録方法において、プリント時間が短縮され、多数枚プリント後であっても短縮されたプリント時間が維持され、かつ低エネルギー記録が可能な記録方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、以下の記録方法を提供することにより解決される。
(1)支持体上に、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む感熱記録層を設けた感熱記録材料を用いて画像を記録する記録方法であって、該ジアゾニウム塩化合物が下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物であり、かつ該ジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする記録方法。
【0008】
【化3】
【0009】
(一般式(1)中、R1及びR2は、アルキル基又はアリール基を表す。R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。X−は1価のアニオンを表す。)
【0010】
【化4】
【0011】
(一般式(2)中、R7及びR8は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基を表し、R7とR8は互いに結合して環を形成してもよい。R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。X−は1価のアニオンを表す。)
【0012】
(2)支持体上に、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第1の感熱記録層と、該第1の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第2の感熱記録層とを設けた感熱記録材料を用いて画像を記録する記録方法であって、該第1の感熱記録層又は第2の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物が前記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物であり、更に、前記第1及び第2の感熱記録層の少なくとも1つの感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする記録方法。
【0013】
(3)支持体上に、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第1の感熱記録層と、該第1の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第2の感熱記録層と、第3の感熱記録層とを設けた感熱記録材料を用いて画像を記録する記録方法であって、該第1の感熱記録層又は第2の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物が一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物であり、更に、ジアゾニウム塩化合物を含む感熱記録層の少なくとも1つの層のジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする記録方法。
【0014】
(4)前記発光ダイオードが窒化ガリウム系化合物からなる半導体により構成されていることを特徴とする前記(1)ないし(3)のいずれか1に記載の記録方法。
(5)前記ジアゾニウム塩化合物がマイクロカプセルに内包されていることを特徴とする前記(1)ないし(4)のいずれか1に記載の記録方法。
(6)前記ジアゾニウム塩化合物が感熱記録層中において、マイクロカプセルに内包されており、該マイクロカプセルがポリウレタン又は/及びポリウレアからなることを特徴とする前記(1)ないし(5)のいずれか1に記載の記録方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、先に、新規なベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型ジアゾニウム塩化合物を提案した(特願2002−241646号及び特願2002−261318号)。前記ジアゾニウム塩化合物は400〜500nmの波長の光に対して定着感度を持ち、光定着性に優れており、またこれを発色剤として含む感熱記録材料は生感材保存性、地肌耐光性に優れている。そして、本発明者らは、前記ジアゾニウム塩化合物を発色成分として用いる感熱記録材料の記録方法において、近年著しく技術が向上した発光ダイオードを定着光源に用いることにより、該ジアゾニウム塩化合物を効率よく短時間で定着できることを見い出し、プリント時間が短縮され、多数枚プリント後であっても短縮されたプリント時間が維持され、かつ低エネルギー記録が可能な記録方法を達成した。
さらに本発明者らは、前記ベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型ジアゾニウム塩化合物を含む感熱記録層を有する多色感熱記録材料の、少なくとも1つのジアゾ系感熱記録層を発光ダイオードで定着する記録方法により、全体のプリント時間が短縮され、多数枚プリント後であっても短縮されたプリント時間が維持され、かつ低エネルギー記録が可能な記録方法を達成した。
また、発光ダイオードは水銀のような有害物質を用いないので安全であり、消費電力が少なく、さらに設置スペースが小さいので記録装置の省スペース化が図れるのは勿論である。
【0016】
本発明の記録方法(第1の記録方法)は、支持体上に、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む感熱記録層を設けた感熱記録材料を用いて、画像を記録する方法であって、該ジアゾニウム塩化合物が下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物であり、かつ該ジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする。
【0017】
また本発明の他の記録方法(第2の記録方法)は、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第1の感熱記録層と、第1の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第2の感熱記録層を有し、前記第1又は第2の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物が一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物である感熱記録材料(多色感熱記録材料)を用い、前記第1及び第2の感熱記録層の少なくとも1つの感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする。また、第1及び第2の感熱記録層の定着をともに発光ダイオードで行ってもよい。
【0018】
また、本発明の更に他の記録方法(第3の記録方法)は、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第1の感熱記録層と、第1の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第2の感熱記録層と、第3の感熱記録層とを有し、前記第1又は第2の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物が下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物である感熱記録材料(多色感熱記録材料)を用い、ジアゾニウム塩化合物を含む感熱記録層の少なくとも1つの層のジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする。また、ジアゾニウム塩化合物を含むすべての感熱記録層を発光ダイオードで定着してもよい。
【0019】
本発明において用いる感熱記録材料の第3の感熱記録層における発色系としては、電子供与性無色染料と電子受容性化合物の組み合わせ、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとの組み合わせ、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を生じて発色する発色系等のいずれであってもよい。これらの発色系としては、感熱記録材料に通常用いられるものが制限なく使用可能である。
【0020】
前記第1、第2及び第3の感熱記録層は、感熱記録材料の層構成における位置関係を示すものではなく、支持体からみてどの位置に形成されていてもよい。
例えば、第3の感熱記録層が電子供与性無色染料と電子受容性化合物の組み合わせからなる発色成分を含む場合、第3の感熱記録層は支持体に最も近い側に設けることが好ましく、第1及び第2感熱記録層は第3の感熱記録層の上に設けられる。
また第1及び第2の感熱記録層が支持体から遠い側に設けられ、かつ第1又は第2の感熱記録層で用いられるジアゾニウム塩化合物の定着が紫外光で行われる場合、紫外光で定着される感熱記録層を支持体から最も遠い層に形成することが好ましい(この感熱記録層におけるジアゾニウム塩化合物の光分解工程にかかる時間が短縮され、その結果、プリント時間がさらに短くなる。)
【0021】
[感熱記録材料]
まず、本発明の記録方法に用いる感熱記録材料について説明する。
本発明の第1の記録方法に用いられる感熱記録材料は、支持体に、下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む感熱記録層を設けたものである。また、第2の記録方法に用いられる感熱記録材料は、支持体に前記感熱記録層の他にさらに前記感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物及びそのカプラーを含む感熱記録層を設けたものである。さらに第3の記録方法は、第2の記録方法に用いる感熱記録材料にさらに他の感熱記録層(第3の感熱記録層)を設けたものである。
一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物について説明する。
【0022】
【化5】
【0023】
一般式(1)中、R1及びR2は、アルキル基又はアリール基を表す。R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。X−は1価のアニオンを表す。
前記R1及びR2で表されるアルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルキル基に導入される置換基としては、例えば、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボキシル基、スルホニル基、ヘテロ環残基が好ましい。
前記R1及びR2で表されるアルキル基としては、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ベンジル基、(4−エトキシフェニル)メチル基、N,N−ジエチルカルバモイルメチル基、N,N−ジブチルカルバモイルメチル基、1−(N,N−ジブチルカルバモイル)エチル基、2−メトキシエチル基、1−メチル−2−フェノキシエチル基、(4−クロロフェニル)メチル基、、(2,4−ジクロロフェニル)メチル基が好ましくエチル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基、N,N−ジエチルカルバモイルメチル基、N,N−ジブチルカルバモイルメチル基、1−(N,N−ジブチルカルバモイル)エチル基、1−メチル−2−フェノキシエチル基、(4−クロロフェニル)メチル基、(2,4−ジクロロフェニル)メチル基が特に好ましい。更に、R1及びR2で表されるアルキル基は、R1及びR2のアルキル基の炭素数の合計が4以上であることが好ましい。
【0024】
前記R1及びR2で表されるアリール基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルキル基に導入される置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボキシル基、スルホニル基、ヘテロ環残基が好ましい。
前記R1及びR2で表されるアリール基としては、総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、総炭素数1〜20のアリール基がさらに好ましい。具体的には、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−フェニルフェノキシ基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、2,4−ジエトキシフェニル基、2,5−ジブトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基、ナフチル基、4−ジブチルカルバモイルフェニル基、4−ジブチルスルファモイルフェニル基が好ましく、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基が特に好ましい。
【0025】
前記R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。−N2 +はジアゾニオ基を表し、X−はアニオンを表す。
【0026】
前記R3、R4、R5及びR6で表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基が好ましく、さらにハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、又は−N2 +X−が好ましいが、上述のごとく、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。
【0027】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアルキル基及びアリール基は、前記R1の場合と同義であり、好ましい具体例も同様である。
【0028】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子がさらに好ましい。
【0029】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアルコキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、総炭素数1〜20のアルコキシ基がさらに好ましい。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、アリルオキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、3−ペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、2−フェノキシエトキシ基、2−(3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)エトキシ基、ジブチルカルバモイルメトキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、3−ペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、2−フェノキシエトキシ基、ジブチルカルバモイルメトキシ基がさらに好ましい。
【0030】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアリールオキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、総炭素数6〜20のアリールオキシ基がさらに好ましい。具体的には、例えば、フェノキシ基、トリルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、4−アセトアミドフェニルオキシ基、2−ブトキシフェニルオキシ基、2−ベンゾイルアミノフェニルオキシ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルオキシ基、3−オクチルオキシフェニルオキシ基が好ましく、フェノキシ基、トリルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、4−アセトアミドフェニルオキシ基、2−ブトキシフェニルオキシ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルオキシ基がさらに好ましい。
【0031】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアルキルチオ基として、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルキルチオ基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキルチオ基がさらに好ましい。具体的には、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,5,5−トリメチルヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、2−フェノキシエチルチオ基、2−(3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)エチルチオ基、ジブチルカルバモイルメチルチオ基、ヘキサデシルチオ基、オクタデシルチオ基が好ましく、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,5,5−トリメチルヘキシルチオ基、2−フェノキシエチルチオ基、ジブチルカルバモイルメチルチオ基がさらに好ましい。
【0032】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアリールチオ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリールチオ基が好ましく、総炭素数6〜20のアリールチオ基がさらに好ましい。具体的には、例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、4−アセトアミドフェニルチオ基、2−ブトキシフェニルチオ基、2−ベンゾイルアミノフェニルチオ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルチオ基、3−オクチルオキシフェニルチオ基が好ましく、フェニルチオ基、トリルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、4−アセトアミドフェニルチオ基、2−ブトキシフェニルチオ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルチオ基がさらに好ましい。
【0033】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアシルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアシルアミノ基が好ましく、総炭素数1〜20のアシルアミノ基がさらに好ましい。具体的には、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ブチリルアミノ基、2−エチルヘキサノイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、トルオイルアミノ基、フェノシキアセチル基、(4−メトキシフェノキシ)アセチル基、2’,4’−ジクロロベンゾイルアミノ基、2’,4’−ジ−t−アミルベンゾイルアミノ基、アセチルメチルアミノ基、ベンゾイルメチルアミノ基、アセチルベンジルアミノ基が好ましく、アセチルアミノ基、ブチリルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、トルオイルアミノ基、フェノシキアセチル基、2’,4’−ジ−t−アミルベンゾイルアミノ基、アセチルメチルアミノ基、ベンゾイルメチルアミノ基、アセチルベンジルアミノ基がさらに好ましい。
【0034】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアルコキシカルボニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基が好ましく、総炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、(2−エチルヘキシル)オキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、(4−メトキシフェニル)オキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基が特に好ましい。
【0035】
前記R3、R4、R5、R6で表されるカルバモイル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のカルバモイル基が好ましく、総炭素数1〜20のカルバモイル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、カルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N,N−ジヘキシルカルバモイル基、N,N−ジフェニルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基、N−エチル−N−フェニルカルバモイル基、N−メチル−N−トリルカルバモイル、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、N,N−ビス(2−メトキシエチル)カルバモイル基が好ましく、N−ブチルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基が特に好ましい。
【0036】
前記R3、R4、R5、R6で表されるアルキルスルホニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルキルスルホニル基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキルスルホニル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、ベンジルスルホニル基が好ましく、メチルスルホニル基、ベンジルスルホニル基が特に好ましい。
【0037】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアリールスルホニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアリールスルホニル基が好ましく、総炭素数1〜20のアリールスルホニル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、2−n−オクチルオキシ−5−t−オクチルフェニルスルホニル基が好ましく、フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基が特に好ましい。
【0038】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるスルファモイル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のスルファモイル基が好ましく、総炭素数1〜20のスルファモイル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、スルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジヘキシルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル基、N−メチル−N−トリルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、N,N−ビス(2−メトキシエチル)スルホニル基が好ましく、スルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基が特に好ましい。
【0039】
また、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表すが、R5が−N2 +X−であることが特に好ましい。
【0040】
一般式(1)においては、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つはアルコキシル基又はアリールオキシ基であることが好ましい。このアルコキシル基、アリールオキシ基は、上記したアルコシキル基、アリールオキシ基と同義であり、好ましい例も同様である。また、置換位置としては、−N2 +X−の隣接位が、アルコキシ基又はアリールオキシ基であることが特に好ましい。
【0041】
1価のアニオンX−は1価の酸アニオンであり、該酸としては無機酸又は有機酸のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜20のパーフルオロアルキルカルボン酸(例えば、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロデカン酸、パーフルオロドデカン酸)、炭素数1〜20のパーフルオロアルキルスルホン酸(例えば、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロデカンスルホン酸、パーフルオロヘキサデカンスルホン酸)、炭素数7〜50の芳香族カルボン酸(例えば、4,4−ジ−t−ブチルサリチル酸、4−t−オクチルオキシ安息香酸、2−n−オクチルオキシ安息香酸、4−t−ヘキサデシル安息香酸、2,4−ビス−n−オクタデシルオキシ安息香酸、4−n−デシルナフトエ酸)、炭素数6〜50の芳香族スルホン酸(例えば、1,5−ナフタレンジスルホン酸、4−t−オクチルオキシベンゼンスルホン酸、4−n−ドデシルベンゼンスルホン酸)、4,5−ジ−t−ブチル−2−ナフトエ酸、テトラフッ化ホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ヘキサフルオロリン酸等が挙げられる。中でも、炭素数6〜16のパーフルオロアルキルカルボン酸、炭素数10〜40の芳香族カルボン酸、炭素数10〜40の芳香族スルホン酸、テトラフッ化ホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ヘキサフルオロリン酸などが好ましい。
【0042】
さらに、一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物としては、R1、R2、R3、R4、R5及びR6が置換基としてジアゾニオアリール基を有し、複数のジアゾニオ基を有していてもよい。
【0043】
以下に、一般式(1)に表されるジアゾニウム塩化合物の具体例(例示化合物(A−1)〜(A−30))を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】
【化8】
【0047】
<一般式(1)のジアゾニウム塩化合物の合成方法>
本発明におけるジアゾニウム塩化合物の合成方法は、特願2002−241646号出願の段落0065〜0081及び段落0176〜0202に詳細に記載されているように、下記一般式(3)で表される化合物を原料として使用することを特徴とする。
【0048】
【化9】
【0049】
一般式(3)中、R1及びR2は、アルキル基又はアリール基を表す。R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−NHRaを表す。Raは、水素原子又はアシル基を表す。
【0050】
一般式(3)において、R1及びR2で表されるアルキル基又はアリール基は、前記一般式(1)におけるR1及びR2がアルキル基又はアリール基を表す場合と同義であり、その好ましい例も同様である。
【0051】
一般式(3)におけるR3、R4、R5及びR6における一価の置換基は前記一般式(1)におけるものと同義である。
【0052】
一般式(3)においては、R3、R4、R5及びR6の少なくとも一つが−NHRaを表し、Raは水素原子又はアシル基を表す。
上記Raで表されるアシル基としては、総炭素数1〜30のアシル基が好ましく、総炭素数1〜20のアシル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ブチロイル基、ベンゾイル基、(4−メトキシフェニル)カルボニル基、(2−ブトキシフェニル)カルボニル基、(4−クロロフェニル)カルボニル基が好ましく、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ベンゾイル基が特に好ましい。
一般式(3)におけるR3、R4、R5及びR6のいずれかがアミノ基である場合、酸と塩を形成していてもよい。好ましい酸としては、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0053】
ジアゾニウム塩化合物の合成にあたっては、一般式(3)におけるR3、R4、R5及びR6が、−NHRa(Ra=アシル基)の場合、これを−NH2に変換して用いる。この変換は、酸性条件下でも、塩基性条件下でも可能であり、添加する酸としては塩酸、硫酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸が好ましく、添加する塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムが好ましい。添加によって酸を発生する化合物も好ましく、塩化アセチル、塩化プロピオニルが好ましい。
反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、酢酸が好ましく、これらの混合溶媒も好ましい。
反応温度は、室温から溶媒の沸点の間が好ましいが、反応速度及び溶解性の点から50℃以上の高温で行う方が好ましい。
また、一般式(3)におけるR3、R4、R5及びR6が、−NHRa(Ra=H)の場合、この化合物を酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等を用いてジアゾ化することによりジアゾニウム塩化合物が得られる。
【0054】
《一般式(3)で表される化合物の合成方法》
上記一般式(3)で表される化合物は、下記一般式(4)で表される化合物を酸化剤により酸化することにより合成することができる。
【0055】
【化10】
【0056】
一般式(4)中、R1及びR2は、アルキル基又はアリール基を表す。R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−NHRaを表す。Raは、水素原子又はアシル基を表す。
【0057】
一般式(4)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6及びRaは、前記一般式(3)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6及びRaと同義であり、好ましい具体例も同様である。
【0058】
酸化反応に用いる酸化剤としては、塩素、臭素、ヨウ素、塩化スルホニル、又は塩化スルフリルが好ましく、取り扱い、収率の点からは、臭素が最も好ましい。
酸化剤の使用量は、一般式(4)で表される化合物に対し、モル比で90%〜130%が好ましく、100%〜110%が特に好ましい。酸化剤量が少ないと原料が残留し、多いと副反応物が増えることがある。
【0059】
反応に使用する溶媒としては、酸化剤と反応しないものであればよく、酢酸、プロピオン酸、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、クロロベンゼンが好ましい。特に、酢酸、クロロホルム、塩化メチレンが、収率の点から好ましい。これらの溶媒の混合溶媒も使用できる。溶媒の使用量は、原料が溶解する程度でよいが、高濃度であると高粘化し撹拌効率が下がり、低濃度では容積効率が低下するため、使用する一般式(4)で表される化合物の質量に対し、100%〜2000%の範囲が好ましい。200%〜500%であればさらに好ましい。
【0060】
反応温度は、−10℃〜120℃の範囲で選べばよい。一般的に高温ほど早く反応は完結するが、本合成方法は室温以下でも速やかに反応するため、収率の点から、−5℃〜35℃範囲で行うことが好ましい。また、酢酸を溶媒に使用する場合には、酢酸の結晶化を防ぐために10℃以上で行うことが好ましい。
【0061】
一般式(3)で表される化合物の合成は、「Organic Functional Group Preparations Volume II」(Stanley R. Sandler, Wolf Karo著(1971) Academic Press, Inc.)、「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応III」((1976)丸善株式会社)、J.Chem.Soc.(C)(1967)2212−2220等による公知の方法で合成できる。
【0062】
次に一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物について詳細に説明する。
【0063】
【化11】
【0064】
一般式(2)中、R7及びR8は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基を表し、R7とR8は互いに結合して環を形成してもよい。R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。X−は1価のアニオンを表す。
【0065】
前記R7及びR8で表されるアルキル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルキル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R7及びR8で表されるアルキル基として、具体的には、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、2−(4−ブトキシフェノキシ)エチル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、エトキシエチル、ジブチルアミノカルボニルメチル基が好適に挙げられる。
これらの中でも、総炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、デシル基、オクチル基、ベンジル基、メトキシエチル基が特に好ましい。
【0066】
前記R7及びR8で表されるアリール基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリール基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R7及びR8で表されるアリール基として、具体的には、総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ブトキシフェニル基が好適に挙げられる。
【0067】
前記R7及びR8で表されるアシル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該アシル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R7及びR8で表されるアシル基として、具体的には、総炭素数1〜20のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ベンゾイル基が好適に挙げられる。
これらの中でも、総炭素数1〜10のアシル基が好ましく、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基が特に好ましい。
【0068】
前記R7及びR8で表されるアルコキシカルボニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルコキシカルボニル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R7及びR8で表されるアルコキシカルボニル基として、具体的には、総炭素数2〜30アルコキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、2−フェノキシエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基が好適に挙げられる。
これらの中でも、総炭素数2〜15のアルコキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基が特に好ましい。
【0069】
前記R7及びR8で表されるカルバモイル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該カルバモイル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R7及びR8で表されるカルバモイル基として、具体的には、総炭素数1〜30のカルバモイル基が好ましく、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジプロピルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N,N−ジオクチルカルバモイル基、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)カルバモイル基、N−エチル−N−ベンジルカルバモイル基、N−エチル−N−ブチルカルバモイル基、N−エチル−N−フェニルカルバモイル基、ピペリジノカルボニル基、ピロリジノカルボニル基、モルホリノカルボニル基、及び4−オクタノイルピペラジノカルボニル基が好適に挙げられる。
【0070】
前記R7及びR8が互いに結合し環を形成する場合は、R7とR8を併せた総炭素数が2〜20であることが好ましく、形成される環は更に置換基を有していてもよい。形成される環の員数としては、窒素原子を含めて5〜8員環であることが好ましい。具体的には、R7とR8が結合している窒素原子を含めた環構造としては、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ヘキサメチレンイミン環、ヘプタメチレンイミン環、フタルイミド環、ピロリドン環、及びピペリドン環が好ましく、これらは更に置換基を有してもよい。
【0071】
前記R9、R10、R11及びR12で表される1価の置換基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基が挙げられる。
【0072】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が好ましい。
【0073】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルキル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルキル基として、具体的には、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、2−(4−ブトキシフェノキシ)エチル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、エトキシエチル、ジブチルアミノカルボニルメチル基が好適に挙げられる。
これらの中でも、総炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、デシル基、ベンジル基、メトキシエチル基、が特に好ましい。
【0074】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリール基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリール基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリール基として、具体的には、総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ブトキシフェニル基が好適に挙げられる。
【0075】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルコキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルコキシ基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルコキシ基として、具体的には、総炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、3−ペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−フェノキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、ブトキシカルボニルメトキシ基、ジブチルアミノカルボニルメトキシ基、ジエチルアミノカルボニルメトキシ基が好適に挙げられる。
【0076】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリールオキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリールオキシ基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアリールオキシ基として、具体的には、総炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、フェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、4−エトキシカルボニルフェノキシ基、4−ジブチルアミノカルボニルフェノキシ基、3,5−ジクロロフェノキシ基が好適に挙げられる。
【0077】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルキルチオ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルキルチオ基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルキルチオ基として、具体的には、総炭素数1〜20のアルキルチオ基が好ましく、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ドデシルチオ基、2−ヒドロキシエチルチオ基、及びベンジルチオ基が好適に挙げられる。
これらの中でも、総炭素数1〜15のアルキルチオ基が好ましく、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、オクチルチオ基が特に好ましい。
【0078】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリールチオ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリールチオ基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリールチオ基として、具体的には、総炭素数6〜20のアリールチオ基が好ましく、例えば、フェニルチオ基、2−ブトキシカルボニルフェニルチオ基、2−クロロフェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基が好適に挙げられる。
【0079】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルキルスルホニル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルキルスルホニル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアルキルスルホニル基として、具体的には、総炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、ベンジルスルホニル基が好適に挙げられる。
【0080】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリールスルホニル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリールスルホニル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリールスルホニル基として、具体的には、総炭素数6〜30のアリールスルホニル基が好ましく、例えば、フェニルスルホニル基、2−クロロフェニルメチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、及び4−クロロフェニルメチルスルホニル基が好適に挙げられる。
【0081】
前記R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも1つは−N2 +X−を表す。X−は1価のアニオンを表す。
前記1価のアニオンX−は1価の酸アニオンであり、該酸としては無機酸又は有機酸のいずれでもよく、具体例としては一般式(1)におけるX−について示したものが同様に挙げられる。
【0082】
【化12】
【0083】
【化13】
【0084】
【化14】
【0085】
【化15】
【0086】
【化16】
【0087】
【化17】
【0088】
【化18】
【0089】
本発明の一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物は、特願2002−261318号の段落0164〜01999に詳細に説明されているように、既知の方法で製造することが可能である。すなわち、対応するアニリンを酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等を用いてジアゾ化することにより得られる。
【0090】
(その他のジアゾニウム塩化合物)
また、前記第1ないし第3の感熱記録層の1つの感熱記録層又は2つの感熱記録層に、前記一般式(1)及び一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物以外のジアゾニウム塩化合物を発色成分として含む場合、該ジアゾニウム塩化合物としては前記一般式(1)及び一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物とはその発色色相と極大吸収波長が互いに異なるものが用いられ、例えば以下の一般式(5)及び一般式(6)で示されるようなジアゾニウム塩化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
【化19】
【0092】
前記一般式(5)において、R31、R32及びR33は、各々独立に、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。R31とR32とは、窒素原子とともに環を形成してもよい。Xは酸アニオンを表す。
【0093】
前記一般式(5)において、R31、R32及びR33で表される基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数7〜21のアラルキル基、及び炭素数6〜20のアリール基が好ましく、これらはさらに置換基を有していてもよい。
【0094】
前記一般式(5)において、R31、R32、及びR33がさらに置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基等が好ましい。
【0095】
前記一般式(5)において、R31、R32、及びR33の炭素数の総和は、油溶性の点から12以上が好ましく、14以上がより好ましい。
【0096】
前記一般式(5)において、Xで表される酸アニオンの酸の具体例としては、例えば、炭素数1〜9までのポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素数1〜9までのポリフルオロアルキルスルホン酸、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸等が好適に挙げられる。また、塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズなどを用いて錯化合物を形成させ、ジアゾニウム塩の安定化を行うこともできる。
【0097】
前記一般式(5)で表されるジアゾニウム塩化合物は特願2001−85607号に詳細に記載され(段落0042〜段落0056)、その具体例としては、段落0052〜段落0056のものを挙げることができる。
【0098】
【化20】
【0099】
[一般式(6)中、R41、R42、R43及びR44は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、−OR51、−SR51、−COOR51、−CONR51R52、−SO2R51、−SO2NR51R52、−COR51、−NR51R52、ニトロ基及びシアノ基からなる群より選ばれるいずれかの基を表し、R51及びR52は各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基及びアシル基からなる群より選ばれるいずれかの基を表す。R45は、水素原子、アルキル基、アリール基、−COOR53、−CONR53R54、−SO2R53、−SO2NR53R54、−COR53からなる群より選ばれるいずれかの基を表し、R53及びR54は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基及びアシル基からなる群より選ばれるいずれかの基を表す。]
【0100】
一般式(6)中、R41〜R44で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が好ましく、中でも、フッ素及び塩素が好ましい。
【0101】
一般式(6)において、R41〜R44がアルキル基を表す場合、無置換のアルキル基及び置換基を有するアルキル基が含まれ、アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、不飽和結合を有していてもよい。
【0102】
一般式(6)において、R41〜R44が表すアルキル基としては、炭素原子数が1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、ドデシル、2−クロロエチル、2−メタンスルホニルエチル、2−メトキシエチル、2−ベンゾイルオキシエチル、N,N−ジブチルカルバモイルメチル、2−エトキシカルボニルエチル、ブトキシカルボニルメチル、2−イソプロピルオキシエチル、2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)エチル、2−フェノキシエチル、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−プロピル、1−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)−2−プロピル、ベンジル、α−メチルベンジル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル等が好ましい。
【0103】
一般式(6)において、R41〜R44がアリール基を表す場合、無置換のアリール基及び置換基を有するアリール基が含まれる。該R41〜R44が表すアリール基としては、炭素原子数が6〜30のアリール基が好ましい。具体的には、フェニル、4−メチルフェニル、2−クロロフェニル等が好ましい。
【0104】
一般式(6)において、R41〜R44が−OR51、−SR51、−COOR51、−CONR51R52、−SO2R51、−SO2NR51R52、−COR51、又はNR51R52を表す場合、R51及びR52は各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、及びアシル基からなる群より選ばれるいずれかの基を表す。
【0105】
一般式(6)において、R51及びR52が表すアルキル基には、無置換のアルキル基及び置換基を有するアルキル基が含まれる。R51及びR52が表すアルキル基としては、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル、エチル、i−プロピル、s−ブチル、t−ブチル、t−アミル等が好ましい。
【0106】
一般式(6)において、R51及びR52が表すアリール基には、無置換のアリール基及び置換基を有するアリール基が含まれる。R51及びR52が表すアリール基としては、炭素原子数が6〜30のアリール基が好ましい。具体的には、フェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−クロロフェニル、2,5−t−アミルフェニル等が好ましい。
【0107】
一般式(6)において、R51及びR52が表すアシル基には、無置換のアシル基及び置換基を有するアシル基が含まれる。R51及びR52が表すアシル基としては、炭素原子数1〜30のアシル基が好ましく、炭素原子数が1〜10のアシル基がより好ましい。具体的には、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ベンゾノイル等が挙げられる。
【0108】
一般式(6)において、R45が表すアルキル基には、無置換のアルキル基及び置換基を有するアルキル基が含まれ、アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、不飽和結合を有していてもよい。R45が表すアルキル基としては、炭素原子数1〜30のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、2−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、ドデシル、2−クロロエチル、2−メタンスルホニルエチル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、2−ベンゾイルオキシエチル、N,N−ジブチルカルバモイルメチル、2−エトキシカルボニルエチル、ブトキシカルボニルメチル、オクチルオキシカルボニルメチル、シクロヘキシル、2−イソプロピルオキシエチル、2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)エチル、2−フェノキシエチル、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−プロピル、1−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)−2−プロピル、ベンジル、α−メチルベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、アリル、メタリル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル等が好ましい。
【0109】
一般式(6)において、R45が表すアリール基には、無置換のアリール基及び置換基を有するアリール基が含まれる。R45が表すアリール基としては、炭素原子数が6〜30のアリール基が好ましい。具体的には、フェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−イソプロピルフェニル等が好ましい。
【0110】
一般式(6)において、R45が−COOR53、−CONR53R54、−SO2R53、−SO2NR53N54、又はCOR53−を表す場合、R53及びR54は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、及びアシル基からなる群より選ばれるいずれかの基を表す。
【0111】
一般式(6)において、R53及びR54が表すアルキル基には、無置換のアルキル基及び置換基を有するアルキル基が含まれる。R53及びR54が表すアルキル基としては、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル、エチル、i−プロピル、s−ブチル、t−ブチル、t−アミル等が好ましい。
【0112】
一般式(6)において、R53及びR54が表すアリール基には、無置換のアリール基及び置換基を有するアリール基が含まれる。R53及びR54が表すアリール基としては、炭素原子数が6〜30のアリール基が好ましい。具体的には、フェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−クロロフェニル、2,5−t−アミルフェニル等が好ましい。
【0113】
一般式(6)において、R53及びR54が表すアシル基には、無置換のアシル基及び置換基を有するアシル基が含まれる。R53及びR54が表すアシル基としては、炭素原子数1〜30のアシル基が好ましく、炭素原子数が1〜10のアシル基がより好ましい。具体的には、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ベンゾノイル等が挙げられる。
【0114】
前記一般式(6)で表される化合物は特願2002−219741号に詳細に記載されており(段落0026〜段落0055)、その具体例としては、段落0044〜段落0055に記載のものを挙げることができる。
【0115】
前記一般式(1)及び(2)で表されるジアゾニウム塩化合物及びその他のジアゾニウム塩化合物は、油状、結晶状のいずれであってもよいが、取扱い性の点で常温で結晶状態のものが好ましい。このジアゾニウム塩化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、また、既存のジアゾニウム塩化合物と併用してもよい。
【0116】
前記ジアゾニウム塩化合物の感熱記録層における含有量としては、0.02〜5g/m2が好ましく、発色濃度の点から0.1〜4g/m2がより好ましい。
【0117】
ジアゾニウム塩化合物の安定化のために、塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズ等を用いて錯化合物を形成させ、ジアゾニウム塩化合物の安定化を図ることもできる。
【0118】
(カプラー)
次に、本発明の多色感熱記録材料において前記ジアゾニウム塩化合物(一般式(1)及び(2)で示されるものを含む)と組み合わせて用いるカプラー(カップリング成分)について説明する。
前記カプラーとしては、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気で前記ジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成するものであればいずれの化合物も使用可能である。ハロゲン化銀写真感光材料用のいわゆる4当量カプラー化合物はすべてカプラーとして使用可能である。また、2当量カプラーの一部も使用可能である。これらは目的とする色相に応じて選択することが可能である。
例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体等があり、具体的には以下のものが挙げられ、本発明の目的に合致する範囲で使用される。
【0119】
前記カプラーの具体例としては、例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−l,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロへキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジーn−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン;
【0120】
N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オタタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキジフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ビバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0121】
カプラーの詳細については、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特開平7−125446号、特開平7−96671号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平9−156229号、特開平9−216468号、特開平9−216469号、特開平9−203472号、特開平9−319025号、特開平10−35113号、特開平10−193801号、特開平10−264532号等の公報に記載されている。
【0122】
上記のうち、本発明においては、下記一般式(7)で表される化合物又はその互変異性体が特に好ましい。
以下に、一般式(7)で表されるカプラーについて詳述する。
E1−CH(X)−E2 一般式(7)
一般式(7)中、E1とE2はそれぞれ独立して電子吸引性基を表し、Xはアゾカップリングするときに離脱してアゾ色素を形成することができる基を表し、またE1とびE2は結合して環を形成してもよい。
【0123】
前記E1及びE2で表される電子吸引性基とは、Hammettのσp値が正である置換基を意味し、これらは同一であっても異なっていてもよく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のオキシカルボニル基;カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−〔2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、N−〔2,4−ビス(オクチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、モルホリノカルボニル基等のカルバモイル基;メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基;ジエチルホスホノ基等のホスホノ基;ベンゾオキサゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−スルホン−2−イル基等の複素環基;ヘテロ環基;ニトロ基;イミノ基;シアノ基が好適に挙げられる。
【0124】
Xはアゾカップリング時に脱離する基を示すが、離脱基Xとしては、ハロゲン原子(フッ素、臭素、塩素、沃素)、置換アルキル基(ヒドロキシメチル基、ジメチルアミノメチル基)、アルキルチオ基(例えば、エチルチオ基、2−カルボキシエチルチオ基、ドデシルチオ基、1−カルボキシドデシルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、2−ブトキシ−t−オクチルフェニルチオ基)、アルコキシル基(例えば、エトキシ基、ドデシルオキシ基、メトキシエチルカルバモイルメトキシ基、カルボキシプロピルオキシ基、メチルスルホニルエトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、4−メチルフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−カルボキシフェノキシ基、3−エトキシカルボキシフェノキシ基、3−アセチルアミノフェノキシ基、2−カルボキシフェノキシ基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、テトラデカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、アリールスルホニルオキシ基(例えば、トルエンスルホニルオキシ基)、ジアルキルアミノカルボニルオキシ基(例えば、ジメチルアミノカルボニルオキシ基、ジエチルアミノカルボニルオキシ基)、ジアリールアミノカルボニルオキシ基(例えば、ジフェニルアミノカルボニルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、エトキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基)、又は複素環基(例えば、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基)が挙げられる。
【0125】
また、E1及びE2で表される電子吸引性基は、両者が結合し環を形成してもよい。E1及びE2で形成される環としては、5員ないし6員の炭素環又は複素環が好ましい。
【0126】
以下に、一般式(7)で表されるカプラーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下に示すカプラーの互変異性体も好適なものとして挙げることができる。
【0127】
【化21】
【0128】
【化22】
【0129】
【化23】
【0130】
【化24】
【0131】
【化25】
【0132】
【化26】
【0133】
【化27】
【0134】
前記カプラーの互変異性体とは、上記に代表されるカプラーの異性体として存在するものであって、その両者間で構造が容易に変化し合う関係にあるものをいい、本発明に用いるカプラーとしては、該互変異性体も好ましい。
【0135】
(電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物)
本発明の感熱記録材料において前記第3の感熱記録層に用いることができる電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物などは、特開平6−328860号公報、特開平7−290826号公報、特開平7−314904号公報、特開平8−324116号公報、特開平3−37727号公報、特開平9−31345号公報、特開平9−111136号公報、特開平9−118073号公報、特開平11−157221号公報、などに詳しく記載されている。具体例を以下に示すが本発明はこれに限定されるものではない。
【0136】
【化28】
【0137】
【化29】
【0138】
【化30】
【0139】
【化31】
【0140】
−電子受容性化合物の具体例−
電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。これらの一部を例示すれば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
【0141】
(マイクロカプセル化)
本発明の多色感熱記録材料においては、その使用前の生保存性を良化する目的で、感熱記録層におけるジアゾニウム塩化合物マイクロカプセルに内包させることが好ましい。また、電子供与性無色染料を含む感熱記録層がある場合には、該電子供与性染料前駆体をマイクロカプセルに内包させることが好ましい。該マイクロカプセルの形成方法としては、既に公知の方法の中から適宜選択することができる。
マイクロカプセルのカプセル壁を形成する高分子物質としては、常温では非透過性であり、加熱時に透過性となる性質を有することが必要である点から、特にガラス転移温度が60〜200℃のものが好ましく、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン・メタクリレート共重合体、スチレン・アクリレート共重合体及びこれらの混合系を挙げることができる。
【0142】
マイクロカプセル形成方法としては、具体的には、界面重合法や内部重合法が適している。該カプセル形成方法の詳細及びリアクタントの具体例等については、米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書に記載がある。例えば、カプセル壁材として、ポリウレア、ポリウレタンを用いる場合には、ポリイソシアネート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオールやポリアミン)を水性媒体又はカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれらを乳化分散し次に加温することにより油滴界面で高分子形成反応を起こしマイクロカプセル壁を形成する。尚、上記第2物質の添加を省略した場合もポリウレアを生成することができる。
【0143】
本発明においては、マイクロカプセルのカプセル壁を形成する高分子物質としては、ポリウレタン及び/又はポリウレアを成分として含有することが、製造適性と熱応答感度に優れるので好ましい。
【0144】
次に、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について述べる。
まず、ジアゾニウム塩化合物は、カプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ、マイクロカプセルの芯となる油相を調製する。このとき、さらに壁材として多価イソシアネートが添加される。
【0145】
前記油相の調製に際し、ジアゾニウム塩化合物を溶解、分散してマイクロカプセルの芯の形成に用いる疎水性の有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、例えば、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
【0146】
カプセル化しようとするジアゾニウム塩化合物の前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いるジアゾニウム塩化合物の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもでき、該低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
このため、ジアゾニウム塩化合物は、高沸点疎水性有機溶媒、低沸点溶媒に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には、該溶剤に5%以上の溶解度を有していることが好ましい。水に対する溶解度は1%以下が好ましい。
【0147】
一方、用いる水相には水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、該水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は公知の乳化用界面活性剤が使用可能である。
界面活性剤を添加する場合の添加量としては、油相質量に対して0.1〜5%が好ましく、0.5〜2%がより好ましい。
【0148】
調製された油相を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子は、乳化しようとする温度における、水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、例えば、ポリビニルアルコール及びその変成物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0149】
前記水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、若しくは低いことが好ましく、例えば、ゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成する等して反応性をなくしておくことが好ましい。
【0150】
前記多価イソシアネート化合物としては、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物であってもよい。具体的には、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
【0151】
多価イソシアネートの使用量としては、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。また、その分散粒子径としては、0.2〜10μm程度が一般的である。
水相中に油相を加えた乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0152】
水相中又は油相の疎水性溶媒中に、さらにポリオール及び/又はポリアミンを添加しておけば、多価イソシアネートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして用いることもできる。上記反応において、反応温度を高く保ち、或いは、適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
これらのポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
【0153】
乳化は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置の中から適宜選択して行うことができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、十分な攪拌を行う等の必要がある。
【0154】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセルを得ることができる。
【0155】
次に、本発明に用いるカプラーは、例えば、水溶性高分子、有機塩基、その他の発色助剤等とともに、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、特に好ましくは、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。さらに、カプラー、有機塩基は別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することも可能である。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
【0156】
前記カプラーの使用量としては、ジアゾニウム塩化合物1部に対して、0.1〜30部が好ましい。
【0157】
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載の高沸点オイルの中から適宜選択することができる。中でも、乳化分散物の乳化安定性の観点から、エステル類が好ましく、リン酸トリクレジルが特に好ましい。上記オイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0158】
前記有機溶剤に、さらに溶解助剤として、低沸点の補助溶剤を加えることもでき、該補助溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等を好適に挙げることができる。場合に応じて、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0159】
また、水相中に保護コロイドとして含有させる水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができ、中でも、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等が好ましい。
【0160】
また、水相中に含有させる界面活性剤としては、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤であって、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。該界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
【0161】
(塩基性物質、その他)
本発明においては、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で、有機塩基等の塩基性物質を加えることも好ましい態様である。
前記有機塩基としては、第3級アミン類、ピぺリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられ、例えば、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものを好適に挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0162】
上記のうち、具体的には、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ)ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,8−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0163】
前記塩基性物質の使用量としては、ジアゾニウム塩化合物1部に対して、0.1〜30部が好ましい。
前記使用量が、0.1部未満であると、十分な発色濃度が得られなくなることがあり、30部を超えると、ジアゾニウム塩化合物の分解が促進されることがある。
【0164】
また、感熱記録層中には、上記塩基性物質の他、発色反応を促進させる、即ち、低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画させる目的で、発色助剤を加えることもできる。ここで、発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、若しくは発色温度を制御する物質であり、カプラー、塩基性物質若しくはジアゾニウム塩化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下させうる作用により、ジアゾニウム塩化合物、塩基性物質、カプラー等が反応しやすい条件とするためのものである。
前記発色助剤としては、例えば、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物、ヒドロキシ化合物等が挙げられる。
【0165】
前記発色助剤には、熱融解性物質も含まれる。
該熱融解性物質は、常温下では固体であって、加熱により融解する融点50℃〜150℃の物質であり、ジアゾニウム塩化合物、カプラー、或いは、有機塩基等を溶解しうる物質である。具体的には、カルボン酸アミド、N置換カルボン酸アミド、ケトン化合物、尿素化合物、エステル類等を挙げることができる。
【0166】
本発明の多色感熱記録材料においては、熱発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、又は、定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
前記酸化防止剤については、例えば、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同第309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載されている。
【0167】
感熱若しくは感圧感熱記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。
前記各種添加剤としては、例えば、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0168】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2.4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0169】
前記酸化防止剤、又は各種添加剤の添加量としては、ジアゾニウム塩化合物1部に対して、0.05〜100部が好ましく、0.2〜30部がより好ましい。
【0170】
前記酸化防止剤及び各種添加剤は、マイクロカプセル中にジアゾニウム塩化合物とともに含有させてもよいし、或いは、固体分散物としてカプラー、塩基性物質及びその他の発色助剤とともに含有させてもよいし、乳化物にして適当な乳化助剤とともに含有させてもよいし、又はその両形態で含有させてもよい。また、酸化防止剤、又は各種添加剤は、単独で用いてもよく、複数併用することもできる。さらに、保護層に含有させることもできる。
【0171】
前記酸化防止剤及び各種添加剤は、必ずしも同一層に添加しなくてもよい。
前記酸化防止剤及び/又は各種添加剤を複数組合わせて用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ビンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、リン化合物、硫黄化合物のように構造的に分類し、互いに異構造のものを組合わせてもよいし、同一のものを複数組合わせることもできる。
【0172】
画像記録後の地肌部の黄着色を軽減する目的で、光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を添加することができる。
前記遊離基発生剤としては、例えば、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類等が挙げられる。
該遊離基発生剤の添加量としては、ジアゾニウム塩化合物1部に対して、0.01〜5部が好ましい。
【0173】
また、同様に黄着色を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、「ビニルモノマー」と称する。)を用いることもできる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。
前記ビニルモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。該ビニルモノマーは、ジアゾニウム塩化合物1部に対して、0.2〜20部の割合で用いる。
前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
【0174】
さらに、酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することもできる。
【0175】
前記感熱記録層は、例えば、ジアゾニウム塩化合物を含有したマイクロカプセル、カプラー、必要に応じて塩基性物質及び他の成分等を含有する塗布液を調製し、該塗布液を紙や合成樹脂フィルム等の支持体上に塗布、乾燥することにより塗設することができる。
本発明においては、前記感熱記録層が塩基性物質を含有する態様が好ましい。
【0176】
前記塗布は、公知の塗布方法の中から適宜選択することができ、例えば、バー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等が挙げられる。
また、塗布、乾燥後の感熱記録層の乾燥塗布量としては、2.5〜30g/m2が好ましい。
【0177】
本発明の多色感熱記録材料における感熱記録層の構成態様としては、特に限定されるものではなく、例えば、マイクロカプセル、カプラー、塩基性物質等が全て同一層に含まれた、単一層よりなる態様であってもよいし、別層に含まれるような複数層積層型の態様であってもよい。また、支持体上に、特開昭61−54980号公報等に記載の中間層を設けた後、感熱記録層を塗布形成した態様であってもよい。いずれの態様においても、さらに、色相の異なる単色かつ単一の感熱記録層を複数層積層したフルカラー発色型の態様である。
【0178】
本発明の多色感熱記録材料において、感熱記録層、中間層又は後述の保護層等の各層にはバインダーを含有することができ、該バインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等の中から適宜選択することができる。
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変性物等が挙げられる。
【0179】
前記ラテックス類としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニル酢酸ビニル混合物エマルジョン等が挙げられる。
中でも、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン誘導体、ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリル酸アミド誘導体等が好ましい。
【0180】
また、本発明の多色感熱記録材料には顔料を含有させることもでき、該顔料としては、有機、無機を問わず公知のものが挙げられ、例えば、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
【0181】
また、必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその前駆体等の各種添加剤を使用することもできる。
【0182】
本発明の多色感熱記録材料においては、必要に応じて、感熱記録層上に保護層を設けてもよい。該保護層は、必要に応じて二層以上積層してもよい。
前記保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類等が挙げられる。
【0183】
前記水溶性高分子化合物は、架橋させることで、より一層保存安定性を向上させることもできる。該架橋剤としては、公知の架橋剤の中から適宜選択することができ、例えば、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物;グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類;硼酸、硼砂等の無機系架橋剤;ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0184】
前記保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤等を使用することもできる。
保護層の塗布量としては、乾燥塗布量で0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜2g/m2がより好ましい。その膜厚としては、0.2〜5μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。
また、保護層を設ける場合には、該保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有させてもよい。
前記保護層は、支持体上に感熱記録層を形成する場合と同様、上述の公知の塗布方法により設けることができる。
【0185】
本発明の多色感熱記録材料に使用可能な支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙等に用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム等を使用することができる。
【0186】
支持体上には、カールバランスを補正する目的で、或いは、裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよい。該バックコート層は、前記保護層と同様にして設けることができる。
さらに、必要に応じて、支持体と感熱記録層との間、或いは、支持体の感熱記録層が設けられた側の表面にアンチハレーション層を、その裏側の表面にスベリ層、アンチスタチック層、粘着剤層等を設けることもできる。
また、支持体の裏面(感熱記録層が設けられない側の表面)に、接着剤層を介して剥離紙を組合わせてラベルの形態としてもよい。
【0187】
ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルに内包することにより、感熱記録材料としての長期での安定性をより高めることができる。
【0188】
感熱記録層相互の混色を防ぐ目的で、各感熱記録層間に中間層を設けることもできる。
該中間層は、ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子化合物からなり、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
【0189】
本発明の多色感熱記録材料は、必要に応じて、さらにその上層として光透過率調整層若しくは保護層、又は光透過率調整層及び保護層を設けることが望ましい。
前記光透過率調整層については、特開平9−39395号公報、同9−39396号公報、特願平7−208386号公報等に記載されている。
光透過率調整層に、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を用いる場合には、定着に必要な波長領域の光を照射する前は、紫外線吸収剤として機能しないために高い光透過率を有するため、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させることができ、かつ可視光線の透過率も高く、感熱記録層の定着に支障をきたすことはない。
【0190】
一方、前記紫外線吸収剤の前駆体は、光定着型感熱記録層の光定着(光照射によるジアゾニウム塩化合物の光分解)に必要な波長領域の光を照射した後、該光により反応を起こし紫外線吸収剤として機能するようになる。この紫外線吸収剤により、紫外線領域の波長の光の大部分が吸収されてその透過率が低下し、感熱記録材料の耐光性を向上させることが可能となる。しかしながら、可視光線の吸収性はないため、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は、感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、中でも特に、感熱記録層と保護層との間に形成することが好ましい。また、光透過率調整層の機能を保護層に持たせ、兼用させてもよい。
【0191】
[記録方法]
本発明の第1の記録方法は、前記ベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型ジアゾニウム塩化合物を感熱記録層に含有する感熱記録材料を用い、かつ、前記感熱記録層を発光ダイオードで定着する方法である。この第1の記録方法は、プリント時間が短縮され、多数枚プリント後であっても短縮されたプリント時間が維持され、かつ低エネルギー記録が可能なである。
また、本発明の第2及び第3の記録方法は、前記ベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型ジアゾニウム塩化合物を感熱記録層に含有する感熱記録材料を用い、かつ、ジアゾニウム塩化合物を含む感熱記録層(ジアゾ系感熱記録層)の少なくとも1層を発光ダイオードで定着する方法である。この第2及び第3の記録方法は、全体のプリント時間が短縮され、多数枚プリント後であっても短縮されたプリント時間が維持され、かつ低エネルギー記録が可能である。
【0192】
本発明の記録方法における発光ダイオードは、窒化ガリウム系化合物からなる半導体で構成されていることが好ましい。窒化ガリウム系化合物からなる半導体で構成された発光ダイオードは、発光効率が高いため、低い投入電力でジアゾニウム塩化合物の光分解が可能となる。その結果、低エネルギー記録が可能となる。
【0193】
前記窒化ガリウム系化合物としては、窒化ガリウム単独あるいは窒化ガリウムにアルミニウム及び/又はインジウムを混合したものを使用することが好ましい。
3次元結晶の場合、ガリウムに対してアルミニウム又はインジウムを任意の割合で混合してもよい。4次元結晶の場合、ガリウムに対してアルミニウムとインジウムの合計量が任意の割合となるように混合してよく、アルミニウムとインジウムの混合比率も任意でよい。
【0194】
本発明の記録方法は、具体的には例えば、感熱記録材料の感熱記録層が設けられた側の表面を、サーマルヘッド等の加熱装置により画像様に加熱印画することにより行われる。そうすると感熱記録層の加熱部では、層中のポリウレア及び/又はポリウレタンを含むカプセル壁が軟化して物質透過性となり、カプセル外のカプラーや塩基性物質(有機塩基)がマイクロカプセル内に浸入し、画像様に発色する。そして発色後、さらにジアゾニウム塩化合物の吸収波長に相当する光を発光ダイオードを用いて照射することにより(光定着)、ジアゾニウム塩化合物が分解しカプラーとの反応性が失われ、画像が定着される。上記のように光定着を施すことにより、未反応のジアゾニウム塩化合物は、分解反応を生じてその活性を失うため、形成した画像の濃度変動や、非画像部(地肌部)におけるステインの発生による着色、即ち、白色性の低下、該低下に伴う画像コントラストの低下を抑制することができる。
【0195】
以下において、本発明における感熱記録材料として、例えば、支持体上に電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物とを含有する感熱記録層(A層)と、第1のジアゾニウム塩化合物を含む第1のジアゾ感熱記録層(B層)と、第2のジアゾニウム塩化合物を含む第2のジアゾ感熱記録層(C層)とをこの順に設けた感熱記録材料を用いた場合の記録方法の一例を説明する。
まず、第2のジアゾ感熱記録層(C層)を画像様に加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを反応させ発色させる。次いで、第2のジアゾニウム塩化合物の吸収波長に相当する光を発光ダイオードにより照射してC層中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させる。次に、第1のジアゾ感熱記録層(B層)が発色するに十分な熱を画像様に与え、該層に含まれているジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物とを反応させ発色させる。このとき第2のジアゾ感熱記録層(C層)も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。この後、第1のジアゾニウム塩化合物の吸収波長に相当する光を発光ダイオードにより照射して第1のジアゾ感熱記録層(B層)に含まれているジアゾニウム塩化合物を分解させる。最後に、第3の感熱記録層(A層)が発色するに十分な熱を与えて発色させる。このとき第1、第2のジアゾ感熱記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。
【0196】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
実施例1(感熱記録材料T−1の作製と記録)
(1)塗布液調製用ゼラチン液の調製
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン,ニッピコラーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,ダイトーケミックス(株)製)0.914部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0197】
<アルカリ処理ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,ダイトーケミックス(株)製)0.729部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作成用ゼラチン水溶液を得た。
【0198】
(2)イエロー感熱記録層液の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル24部に、下記ジアゾニウム塩化合物(A−1)4.4部、モノイソプロピルビフェニル2.4部、フタル酸ジフェニル4.8部、フタル酸ジイソノニル2.4部及びジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASFジャパン(株)製)0.55部を添加し、40℃に加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)8.7部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0199】
【化32】
【0200】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50%)日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら酢酸エチルを除去した。この後、この乳化液にイオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加えて、更に攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20%になるように濃度調節した。
かかる方法によりジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。
【0201】
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル34.0部に下記カプラー化合物(C)9.8部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.7部、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.8部、3,3,3´,3 ´−テトラメチル−5,5´、6,6´−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1´−スピロビスインダン4.3部(三協化学(株)製)、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製) 12.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 4.2部を均一に溶解し、混合液(III)を得た。
【0202】
【化33】
【0203】
また、別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になるように濃度調節を行った。
更に上記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(商品名SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調製したものを9部添加して均一に撹拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0204】
<塗布液(a)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)及び前記カプラー化合物分乳化液(a)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物のモル比が2/1になるように混合し、感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0205】
(3)マゼンタ感熱記録層液の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム塩化合物(D)2.8部、フタル酸ジイソノニル3.8部、フェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(商品名;ライトエステルTMP,共栄油脂化学(株)製)4.2部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 0.1部を添加し均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0206】
【化34】
【0207】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部、イオン交換水21.0部添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら酢酸エチルを除去した。
この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。
【0208】
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(E)11.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))14.0部、4,4‘−(2−エチルヘキシリデン)ジフェノール14部、3,3,3´,3 ´−テトラメチル−5,5´、6,6´−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1´−スピロビスインダン3.5部(三協化学(株)製)、2,2‘−(イソブチリデン)−ジ(4,6−ジメチルフェノール) 3.5部、リン酸トリクレジル 1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 4.5部を均一に溶解し、混合液(VII)を得た。
【0209】
【化35】
【0210】
別途アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を攪拌しながら酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。
【0211】
<塗布液(b)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)及び前記カプラー化合物分乳化液(b)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)をカプセル液量10部に対し、0.2部になるように混合し、感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0212】
(4)シアン感熱記録層液の調製
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料(H)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタン及び1−(1−メチルプロプルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名;ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)8.0部、下記化合物(I)(商品名;Irgaperm2140 チバガイギー(株)の商品名)8.0部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物 (商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部を添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0213】
【化36】
【0214】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50%)日本精化(株)製)0.17部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(X)を得た。
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行いカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。
更に上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2‘−ジスルフォン誘導体(商品名;Kaycall BXNL、日本曹達(株)製)を添加して均一に撹拌してマイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0215】
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4‘−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部、2%−2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散した後、分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6%であった。
上記分散液100部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0216】
<塗布液(c)の調製>
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)及び前記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が10/1になるように混合し、塗布液(c)を得た。
【0217】
(5)発色層以外の各層の塗布液調製
<中間層用塗布液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,ダイトーケミックス(株)製)2.86部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃にて溶解し、中間層作成用ゼラチン水溶液を得た。
前記中間層作成用ゼラチン水溶液10.0部、4−〔(4−ノニルフェノキシ)トリオキシエチレン〕ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0%水溶液)0.05部、硼酸(4.0%水溶液)1.5部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)0.19部、下記化合物(J)の4%水溶液3.42部、下記化合物(J‘)の4%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0218】
【化37】
【0219】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
(iii−1)紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製
酢酸エチル71部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5部、2,5−ジ(t−オクチル)ハイドロキノン5.0部、燐酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C (70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製) 0.45部を溶解し均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物 (商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)54.7部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液(XI)を得た。
【0220】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52部に30%燐酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を作成した。
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06部に前記紫外線吸収剤前駆体混合液(XI)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3 (オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。このカプセル液859.1部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0221】
(iii−2)光透過率調整層用塗布液の調製
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,5%水溶液,大日本インキ化学工業(株))5.2部、4%水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0222】
<保護層用塗布液の調製>
(iv−1)保護層用ポリビニルアルコール溶液の作成
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57,(54%水溶液),東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0223】
(iv−2)保護層用顔料分散液の作成
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して保護層用顔料分散液を作成した。
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20%水分散液)、日産化学(株)製)8.1部を添加して目的の分散物を得た。
【0224】
(iv−3)保護層用マット剤分散液の作成
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に1,2−ベンズイソチアゾリン−3(2H)−オン水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0225】
(iv−4)保護層用塗布ブレンド液の調製
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部にフッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,5%水溶液,、大日本インキ化学工業(株))40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部を均一混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0226】
(6)下塗り層つき支持体の製造
<下塗り層液の作製>
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:15mP、PAGI法ゼリー強度:20g)40部イオン交換水60部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8部と水92部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
次いで、40℃の40%の前記ゼラチン水溶液100部に、水120部及びメタノール556部を加え、十分攪拌混合した後、5%前記雲母分散液208部を加えて、十分攪拌混合し、1.66%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を加えた。そして液温を35℃から40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤(ナガセ化成工業(株)製・デナコールEX80)7.3部を加えて下塗り層用塗布液(5.7%)を調製した。
【0227】
<下塗り層つき支持体の作製>
LBPS 50部LBPK 50部からなる木材パルプをデイスクリファイナーによりカナデイアンフリーネス300ccまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造しキャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
次に原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押し出し機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーテイングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面をウラ面と呼ぶ)。次に上記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10%及び微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmとなるようにコーテイングし光沢面からなる樹脂層を形成した(この面をオモテ面と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名;アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名;スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2塗布した。次にオモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り液を雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0228】
(7)感熱記録材料の製造
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記下塗り層つき支持体の上に、下から、前記感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、30℃湿度30%、及び40℃湿度30%の条件でそれぞれ乾燥して多色感熱記録材料T−1を得た。
【0229】
〈画像記録〉
画像記録は、サーマルヘッドKST(商品名;京セラ(株)製)と発光ダイオードを用いて以下の方法で行った。
前記のようにして作製した感熱記録材料を、単位面積当たりの記録エネルギーとして25〜75mJ/mm2の範囲のエネルギーで印画(イエロー記録)し、次に発光中心波長440〜460nmの発光ダイオード(LED−a)で10秒間(定着時間)曝光し、イエロー感熱記録層のジアゾニウム塩化合物を完全に光分解して画像定着を行った。
次に、感熱記録材料の、イエロー感熱記録層を画像記録してない領域でかつLED−a曝光領域に対して、単位面積当たりの記録エネルギーとして80〜125mJ/mm2の範囲のエネルギーで印画(マゼンタ記録)し、次に発光中心波長365〜380nmの発光ダイオード(LED−b)で18秒間(定着時間)曝光し、マゼンタ感熱記録層のジアゾニウム塩化合物を完全に光分解して画像定着を行った。
前記発光ダイオード(LED−a及びLED−b)の出力は、それぞれ7秒でジアゾニウム塩化合物が光分解するように投入電力を設定した。
次いで、感熱記録材料の、イエロー感熱記録層及びマゼンタ感熱記録層のいずれも画像記録していない領域であってかつ発光ダイオード(LED−a、LED−b)曝光領域に対して、位面積当たりの記録エネルギーとして130〜170mJ/mm2の範囲のエネルギーで印画(シアン記録)した。
得られた多色の感熱記録材料の画像濃度は、X−rite model 310(X−rite Incorporated 製)により測定した。結果を表1に示す。
【0230】
<LEDランプの繰り返し使用後の劣化試験>
前記発光ダイオード(LED−a)及び発光ダイオード(LED−b)の投入電力を前記の1回目の画像記録における定着の際と同じにし、それぞれ10秒点灯させ、次いで消灯を50秒行った。これを1サイクルとして20,000サイクル繰り返した。
別途、実施例1により得られる別の感熱記録材料を前記サイクル繰り返し後の発光ダイオード(LED−a)で曝光し、イエロー感熱記録層のジアゾニウム塩化合物が完全に光分解する定着時間を測定した。同様にしてマゼンタ感熱記録層のジアゾニウム塩化合物が完全に光分解する定着時間を測定した。結果を表2に示す。
【0231】
実施例2(感熱記録材料T−2の作製と記録)
実施例1に記載の感熱記録材料T−1の作製において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)の調製の際、ジアゾニウム塩化合物(A−1)に替えて下記ジアゾニウム塩化合物(A−3)を用いる他は、実施例1と同様にしてて、感熱記録材料T−2を作製した。
実施例1と同様にして画像記録と評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0232】
【化38】
【0233】
実施例3(感熱記録材料T−3の作製と記録)
実施例1に記載の感熱記録材料T−1の作製において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)の調製の際、ジアゾニウム塩化合物(A−1)に替えて下記ジアゾニウム塩化合物(B−1)を用いる他は、実施例1と同様にして、感熱記録材料T−3を作製した。
実施例1と同様にして画像記録と評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0234】
【化39】
【0235】
比較例1(感熱記録材料H−1の作製と記録)
実施例1記載の感熱記録材料T−1の作製において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)の調製の際、ジアゾニウム塩化合物(A−1)に替えて下記ジアゾニウム塩化合物(C−1)を用い、またモノイソプロピルビフェニル2.4部、フタル酸ジイソノニル7.2部に替えて、モノイソプロピルビフェニル7.2部、フタル酸ジフェニル2.4部を用いる他は、実施例1と同様にして、感熱記録材料H−1を作製した。
【0236】
【化40】
【0237】
〈画像記録〉
画像記録は、サーマルヘッドKST(商品名;京セラ(株)製)と発光ダイオードを用いて以下の方法で行った。
感熱記録材料を、単位面積当たりの記録エネルギーとして25〜75mJ/mm2の範囲のエネルギーで印画(イエロー記録)し、次に発光中心波長410〜430nmの発光ダイオード(LED−c)で10秒間(定着時間)曝光し、イエロー感熱記録層のジアゾニウム塩化合物を完全に光分解して画像定着を行った。発光ダイオード(LED−c)の出力は実施例1の発光ダイオードの投入電力と同じであった。
次に、感熱記録材料の、イエロー感熱記録層を画像記録してない領域でかつLED−c曝光領域に対して、単位面積当たりの記録エネルギーとして80〜125mJ/mm2の範囲のエネルギーで印画(マゼンタ記録)し、次に発光中心波長365〜380nmの発光ダイオード(LED−d)(投入電力はLED−cと同じ)で18秒間(定着時間)曝光し、マゼンタ感熱記録層のジアゾニウム塩化合物を完全に光分解して画像定着を行った。
次いで、感熱記録材料の、イエロー感熱記録層及びマゼンタ感熱記録層のいずれも画像記録していない領域であってかつ発光ダイオード(LED−c、LED−d)曝光領域に対して、単位面積当たりの記録エネルギーとして130〜170mJ/mm2の範囲のエネルギーで印画(シアン記録)した。
得られた多色の感熱記録材料の画像濃度は、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0238】
比較例2(感熱記録材料H−2の作製と記録)
実施例1に記載の感熱記録材料T−1の作製において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)の調製の際、ジアゾニウム塩化合物(A−1)4.4部に替えて前記ジアゾニウム塩化合物(C−1)を3.3部及び下記ジアゾニウム塩化合物(C−2)を1.1部用い、またモノイソプロピルビフェニル2.4部、フタル酸ジイソノニル7.2部に替えて、モノイソプロピルビフェニル7.2部、フタル酸ジフェニル2.4部を用いる他は、実施例1と同様にして、感熱記録材料H−2を作製した。
比較例1と同様にして、画像記録と評価を行った。結果を表1に示す。
【0239】
【化41】
【0240】
比較例3
実施例1の感熱記録材料の定着光源として、発光ダイオードを用いる代わりに蛍光ランプを用い、蛍光ランプの繰り返し使用後の劣化を調べた。
イエロー感熱記録層に対しては発光中心波長420nmの蛍光ランプ(FL−a)を、マゼンタ感熱記録層に対しては発光中心波長360nmの蛍光ランプ(FL−b)をそれぞれ用い、定着時間をそれぞれ7秒間とした。そして蛍光ランプ(FL−a)及び蛍光ランプ(FL−b)を10秒間点灯し、その後50秒間消灯し、これを1サイクルとして20,000サイクル繰り返した。
次に、実施例1により得られる感熱記録材料を用い、前記サイクル繰り返し後のイエロー感熱記録層用蛍光ランプを曝光させ、ジアゾニウム塩化合物が完全に分解する時間を測定した。マゼンタ感熱記録層についても同様にして分解時間を測定した。
比較例1と同様な条件で、劣化試験を行った。結果を表2に示す。
【0241】
【表1】
【0242】
【表2】
【0243】
表1から分かるように、本発明の記録方法により十分な画像濃度が得られる。また、表2から分かるように、発光ダイオードを繰り返し定着に用いても、定着光強度の経時劣化が生じないが、蛍光ランプを用いた場合では、定着時間が長くなっており、定着光強度の劣化が生じていることが検証された。
【0244】
【発明の効果】
本発明の記録方法は、プリント時間が短縮され、多数枚プリント後であっても短縮されたプリント時間が維持され、かつ低エネルギー記録が可能なである。また、発光ダイオードは水銀のような有害物質を用いないので安全であり、消費電力が少なく、さらに設置スペースが小さいので記録装置の省スペース化が図れる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジアゾニウム塩化合物とカプラーを含む感熱記録材料を用いて、画像を形成する記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録方式としては、直接感熱記録方式や熱転写方式等が知られており、直接感熱記録方式に用いる感熱記録材料としては、ジアゾニウム塩化合物とカプラーを含む感熱記録材料が広く知られている。そして、ジアゾニウム塩化合物として種々のものが開発されており、本出願人は先に、ベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型新規ジアゾニウム塩化合物を提案した(特願2002−241646号及び特願2002−261318号)。前記ジアゾニウム塩化合物は400〜500nmの波長の光に対して定着感度を持ち、光定着性に優れており、またこれを発色剤として含む感熱記録材料は生感材保存性、地肌耐光性に優れている。
【0003】
ところで、画像記録の高速化は一般的な要請であり、ジアゾニウム塩化合物とカプラーを含む感熱記録材料についても例外ではない。
しかしながら、ジアゾニウム塩化合物とカプラーを含む感熱記録材料は、通常地肌濃度を低く保つため、記録後に光定着処理が行われるので、そのプリント時間は、他の記録方法に比較して定着処理を行う分長くなるという問題がある。
特にジアゾニウム塩化合物とカプラーを含む感熱記録層を2層以上設けた多色感熱記録材料(例えば以下の特許文献1を参照)を記録する場合には、複数回の光定着処理を行わなければならず、光定着処理の短縮化は喫緊の要請となっている。
したがって、前記のごとき優れた特性を有するベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型新規ジアゾニウム塩化合物を用いる感熱記録材料についても、よりプリント時間を短縮した記録方法が望まれる。
【0004】
ところで、ジアゾニウム塩化合物を発色成分として用いる感熱記録材料の光定着では、蛍光ランプを定着光源とすることが一般的であった。しかしながら、蛍光ランプの使用回数が増えるにしたがい、光強度が低下し、定着時間はプリント枚数が増えるにしたがい長くなるという問題がある。一般に蛍光ランプは連続100時間点灯すると強度が約50%劣化することから、劣化分を見積もってランプ照射時間を調整しなければならない。このように、従来の蛍光ランプを定着光源として用いるプリンターは、長く使用していると定着時間が長くなる、すなわち、プリント時間が長くなるという問題がある。
したがって、ジアゾ発色系の感熱記録材料においては、ジアゾニウム塩化合物自体の光分解速度の向上だけでなく、定着光源に関する考察も必要となる。
一方、光強度劣化のない光源である発光ダイオードを定着用光源として用いて光定着型の感熱記録材料を記録する装置が知られている(例えば、以下の特許文献2及び3を参照)。しかしながら、この特許文献2及び3には、発光ダイオードで定着させる光定着型の感熱記録材料については具体的に全く記載されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−288688号公報
【特許文献2】
特許第2664133号明細書
【特許文献3】
特許第3158037号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のごとき要請に基づいてなされたものであり、その目的は、ベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型新規ジアゾニウム塩化合物を用いる感熱記録材料の記録方法において、プリント時間が短縮され、多数枚プリント後であっても短縮されたプリント時間が維持され、かつ低エネルギー記録が可能な記録方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、以下の記録方法を提供することにより解決される。
(1)支持体上に、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む感熱記録層を設けた感熱記録材料を用いて画像を記録する記録方法であって、該ジアゾニウム塩化合物が下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物であり、かつ該ジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする記録方法。
【0008】
【化3】
【0009】
(一般式(1)中、R1及びR2は、アルキル基又はアリール基を表す。R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。X−は1価のアニオンを表す。)
【0010】
【化4】
【0011】
(一般式(2)中、R7及びR8は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基を表し、R7とR8は互いに結合して環を形成してもよい。R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。X−は1価のアニオンを表す。)
【0012】
(2)支持体上に、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第1の感熱記録層と、該第1の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第2の感熱記録層とを設けた感熱記録材料を用いて画像を記録する記録方法であって、該第1の感熱記録層又は第2の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物が前記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物であり、更に、前記第1及び第2の感熱記録層の少なくとも1つの感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする記録方法。
【0013】
(3)支持体上に、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第1の感熱記録層と、該第1の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第2の感熱記録層と、第3の感熱記録層とを設けた感熱記録材料を用いて画像を記録する記録方法であって、該第1の感熱記録層又は第2の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物が一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物であり、更に、ジアゾニウム塩化合物を含む感熱記録層の少なくとも1つの層のジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする記録方法。
【0014】
(4)前記発光ダイオードが窒化ガリウム系化合物からなる半導体により構成されていることを特徴とする前記(1)ないし(3)のいずれか1に記載の記録方法。
(5)前記ジアゾニウム塩化合物がマイクロカプセルに内包されていることを特徴とする前記(1)ないし(4)のいずれか1に記載の記録方法。
(6)前記ジアゾニウム塩化合物が感熱記録層中において、マイクロカプセルに内包されており、該マイクロカプセルがポリウレタン又は/及びポリウレアからなることを特徴とする前記(1)ないし(5)のいずれか1に記載の記録方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、先に、新規なベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型ジアゾニウム塩化合物を提案した(特願2002−241646号及び特願2002−261318号)。前記ジアゾニウム塩化合物は400〜500nmの波長の光に対して定着感度を持ち、光定着性に優れており、またこれを発色剤として含む感熱記録材料は生感材保存性、地肌耐光性に優れている。そして、本発明者らは、前記ジアゾニウム塩化合物を発色成分として用いる感熱記録材料の記録方法において、近年著しく技術が向上した発光ダイオードを定着光源に用いることにより、該ジアゾニウム塩化合物を効率よく短時間で定着できることを見い出し、プリント時間が短縮され、多数枚プリント後であっても短縮されたプリント時間が維持され、かつ低エネルギー記録が可能な記録方法を達成した。
さらに本発明者らは、前記ベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型ジアゾニウム塩化合物を含む感熱記録層を有する多色感熱記録材料の、少なくとも1つのジアゾ系感熱記録層を発光ダイオードで定着する記録方法により、全体のプリント時間が短縮され、多数枚プリント後であっても短縮されたプリント時間が維持され、かつ低エネルギー記録が可能な記録方法を達成した。
また、発光ダイオードは水銀のような有害物質を用いないので安全であり、消費電力が少なく、さらに設置スペースが小さいので記録装置の省スペース化が図れるのは勿論である。
【0016】
本発明の記録方法(第1の記録方法)は、支持体上に、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む感熱記録層を設けた感熱記録材料を用いて、画像を記録する方法であって、該ジアゾニウム塩化合物が下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物であり、かつ該ジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする。
【0017】
また本発明の他の記録方法(第2の記録方法)は、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第1の感熱記録層と、第1の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第2の感熱記録層を有し、前記第1又は第2の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物が一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物である感熱記録材料(多色感熱記録材料)を用い、前記第1及び第2の感熱記録層の少なくとも1つの感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする。また、第1及び第2の感熱記録層の定着をともに発光ダイオードで行ってもよい。
【0018】
また、本発明の更に他の記録方法(第3の記録方法)は、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第1の感熱記録層と、第1の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第2の感熱記録層と、第3の感熱記録層とを有し、前記第1又は第2の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物が下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物である感熱記録材料(多色感熱記録材料)を用い、ジアゾニウム塩化合物を含む感熱記録層の少なくとも1つの層のジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする。また、ジアゾニウム塩化合物を含むすべての感熱記録層を発光ダイオードで定着してもよい。
【0019】
本発明において用いる感熱記録材料の第3の感熱記録層における発色系としては、電子供与性無色染料と電子受容性化合物の組み合わせ、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとの組み合わせ、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を生じて発色する発色系等のいずれであってもよい。これらの発色系としては、感熱記録材料に通常用いられるものが制限なく使用可能である。
【0020】
前記第1、第2及び第3の感熱記録層は、感熱記録材料の層構成における位置関係を示すものではなく、支持体からみてどの位置に形成されていてもよい。
例えば、第3の感熱記録層が電子供与性無色染料と電子受容性化合物の組み合わせからなる発色成分を含む場合、第3の感熱記録層は支持体に最も近い側に設けることが好ましく、第1及び第2感熱記録層は第3の感熱記録層の上に設けられる。
また第1及び第2の感熱記録層が支持体から遠い側に設けられ、かつ第1又は第2の感熱記録層で用いられるジアゾニウム塩化合物の定着が紫外光で行われる場合、紫外光で定着される感熱記録層を支持体から最も遠い層に形成することが好ましい(この感熱記録層におけるジアゾニウム塩化合物の光分解工程にかかる時間が短縮され、その結果、プリント時間がさらに短くなる。)
【0021】
[感熱記録材料]
まず、本発明の記録方法に用いる感熱記録材料について説明する。
本発明の第1の記録方法に用いられる感熱記録材料は、支持体に、下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む感熱記録層を設けたものである。また、第2の記録方法に用いられる感熱記録材料は、支持体に前記感熱記録層の他にさらに前記感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物及びそのカプラーを含む感熱記録層を設けたものである。さらに第3の記録方法は、第2の記録方法に用いる感熱記録材料にさらに他の感熱記録層(第3の感熱記録層)を設けたものである。
一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物について説明する。
【0022】
【化5】
【0023】
一般式(1)中、R1及びR2は、アルキル基又はアリール基を表す。R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。X−は1価のアニオンを表す。
前記R1及びR2で表されるアルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルキル基に導入される置換基としては、例えば、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボキシル基、スルホニル基、ヘテロ環残基が好ましい。
前記R1及びR2で表されるアルキル基としては、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ベンジル基、(4−エトキシフェニル)メチル基、N,N−ジエチルカルバモイルメチル基、N,N−ジブチルカルバモイルメチル基、1−(N,N−ジブチルカルバモイル)エチル基、2−メトキシエチル基、1−メチル−2−フェノキシエチル基、(4−クロロフェニル)メチル基、、(2,4−ジクロロフェニル)メチル基が好ましくエチル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基、N,N−ジエチルカルバモイルメチル基、N,N−ジブチルカルバモイルメチル基、1−(N,N−ジブチルカルバモイル)エチル基、1−メチル−2−フェノキシエチル基、(4−クロロフェニル)メチル基、(2,4−ジクロロフェニル)メチル基が特に好ましい。更に、R1及びR2で表されるアルキル基は、R1及びR2のアルキル基の炭素数の合計が4以上であることが好ましい。
【0024】
前記R1及びR2で表されるアリール基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルキル基に導入される置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボキシル基、スルホニル基、ヘテロ環残基が好ましい。
前記R1及びR2で表されるアリール基としては、総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、総炭素数1〜20のアリール基がさらに好ましい。具体的には、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−フェニルフェノキシ基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、2,4−ジエトキシフェニル基、2,5−ジブトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基、ナフチル基、4−ジブチルカルバモイルフェニル基、4−ジブチルスルファモイルフェニル基が好ましく、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基が特に好ましい。
【0025】
前記R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。−N2 +はジアゾニオ基を表し、X−はアニオンを表す。
【0026】
前記R3、R4、R5及びR6で表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基が好ましく、さらにハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、又は−N2 +X−が好ましいが、上述のごとく、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。
【0027】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアルキル基及びアリール基は、前記R1の場合と同義であり、好ましい具体例も同様である。
【0028】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子がさらに好ましい。
【0029】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアルコキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、総炭素数1〜20のアルコキシ基がさらに好ましい。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、アリルオキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、3−ペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、2−フェノキシエトキシ基、2−(3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)エトキシ基、ジブチルカルバモイルメトキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、3−ペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、2−フェノキシエトキシ基、ジブチルカルバモイルメトキシ基がさらに好ましい。
【0030】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアリールオキシ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、総炭素数6〜20のアリールオキシ基がさらに好ましい。具体的には、例えば、フェノキシ基、トリルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、4−アセトアミドフェニルオキシ基、2−ブトキシフェニルオキシ基、2−ベンゾイルアミノフェニルオキシ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルオキシ基、3−オクチルオキシフェニルオキシ基が好ましく、フェノキシ基、トリルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、4−アセトアミドフェニルオキシ基、2−ブトキシフェニルオキシ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルオキシ基がさらに好ましい。
【0031】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアルキルチオ基として、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルキルチオ基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキルチオ基がさらに好ましい。具体的には、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,5,5−トリメチルヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、2−フェノキシエチルチオ基、2−(3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)エチルチオ基、ジブチルカルバモイルメチルチオ基、ヘキサデシルチオ基、オクタデシルチオ基が好ましく、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,5,5−トリメチルヘキシルチオ基、2−フェノキシエチルチオ基、ジブチルカルバモイルメチルチオ基がさらに好ましい。
【0032】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアリールチオ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数6〜30のアリールチオ基が好ましく、総炭素数6〜20のアリールチオ基がさらに好ましい。具体的には、例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、4−アセトアミドフェニルチオ基、2−ブトキシフェニルチオ基、2−ベンゾイルアミノフェニルチオ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルチオ基、3−オクチルオキシフェニルチオ基が好ましく、フェニルチオ基、トリルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、4−アセトアミドフェニルチオ基、2−ブトキシフェニルチオ基、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニルチオ基がさらに好ましい。
【0033】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアシルアミノ基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアシルアミノ基が好ましく、総炭素数1〜20のアシルアミノ基がさらに好ましい。具体的には、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ブチリルアミノ基、2−エチルヘキサノイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、トルオイルアミノ基、フェノシキアセチル基、(4−メトキシフェノキシ)アセチル基、2’,4’−ジクロロベンゾイルアミノ基、2’,4’−ジ−t−アミルベンゾイルアミノ基、アセチルメチルアミノ基、ベンゾイルメチルアミノ基、アセチルベンジルアミノ基が好ましく、アセチルアミノ基、ブチリルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、トルオイルアミノ基、フェノシキアセチル基、2’,4’−ジ−t−アミルベンゾイルアミノ基、アセチルメチルアミノ基、ベンゾイルメチルアミノ基、アセチルベンジルアミノ基がさらに好ましい。
【0034】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアルコキシカルボニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基が好ましく、総炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、(2−エチルヘキシル)オキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、(4−メトキシフェニル)オキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基が特に好ましい。
【0035】
前記R3、R4、R5、R6で表されるカルバモイル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のカルバモイル基が好ましく、総炭素数1〜20のカルバモイル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、カルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N,N−ジヘキシルカルバモイル基、N,N−ジフェニルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基、N−エチル−N−フェニルカルバモイル基、N−メチル−N−トリルカルバモイル、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、N,N−ビス(2−メトキシエチル)カルバモイル基が好ましく、N−ブチルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基が特に好ましい。
【0036】
前記R3、R4、R5、R6で表されるアルキルスルホニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアルキルスルホニル基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキルスルホニル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、ベンジルスルホニル基が好ましく、メチルスルホニル基、ベンジルスルホニル基が特に好ましい。
【0037】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアリールスルホニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のアリールスルホニル基が好ましく、総炭素数1〜20のアリールスルホニル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、2−n−オクチルオキシ−5−t−オクチルフェニルスルホニル基が好ましく、フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基が特に好ましい。
【0038】
前記R3、R4、R5及びR6で表されるスルファモイル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、総炭素数1〜30のスルファモイル基が好ましく、総炭素数1〜20のスルファモイル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、スルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジヘキシルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル基、N−メチル−N−トリルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、N,N−ビス(2−メトキシエチル)スルホニル基が好ましく、スルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基が特に好ましい。
【0039】
また、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表すが、R5が−N2 +X−であることが特に好ましい。
【0040】
一般式(1)においては、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つはアルコキシル基又はアリールオキシ基であることが好ましい。このアルコキシル基、アリールオキシ基は、上記したアルコシキル基、アリールオキシ基と同義であり、好ましい例も同様である。また、置換位置としては、−N2 +X−の隣接位が、アルコキシ基又はアリールオキシ基であることが特に好ましい。
【0041】
1価のアニオンX−は1価の酸アニオンであり、該酸としては無機酸又は有機酸のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜20のパーフルオロアルキルカルボン酸(例えば、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロデカン酸、パーフルオロドデカン酸)、炭素数1〜20のパーフルオロアルキルスルホン酸(例えば、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロデカンスルホン酸、パーフルオロヘキサデカンスルホン酸)、炭素数7〜50の芳香族カルボン酸(例えば、4,4−ジ−t−ブチルサリチル酸、4−t−オクチルオキシ安息香酸、2−n−オクチルオキシ安息香酸、4−t−ヘキサデシル安息香酸、2,4−ビス−n−オクタデシルオキシ安息香酸、4−n−デシルナフトエ酸)、炭素数6〜50の芳香族スルホン酸(例えば、1,5−ナフタレンジスルホン酸、4−t−オクチルオキシベンゼンスルホン酸、4−n−ドデシルベンゼンスルホン酸)、4,5−ジ−t−ブチル−2−ナフトエ酸、テトラフッ化ホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ヘキサフルオロリン酸等が挙げられる。中でも、炭素数6〜16のパーフルオロアルキルカルボン酸、炭素数10〜40の芳香族カルボン酸、炭素数10〜40の芳香族スルホン酸、テトラフッ化ホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ヘキサフルオロリン酸などが好ましい。
【0042】
さらに、一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物としては、R1、R2、R3、R4、R5及びR6が置換基としてジアゾニオアリール基を有し、複数のジアゾニオ基を有していてもよい。
【0043】
以下に、一般式(1)に表されるジアゾニウム塩化合物の具体例(例示化合物(A−1)〜(A−30))を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】
【化8】
【0047】
<一般式(1)のジアゾニウム塩化合物の合成方法>
本発明におけるジアゾニウム塩化合物の合成方法は、特願2002−241646号出願の段落0065〜0081及び段落0176〜0202に詳細に記載されているように、下記一般式(3)で表される化合物を原料として使用することを特徴とする。
【0048】
【化9】
【0049】
一般式(3)中、R1及びR2は、アルキル基又はアリール基を表す。R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−NHRaを表す。Raは、水素原子又はアシル基を表す。
【0050】
一般式(3)において、R1及びR2で表されるアルキル基又はアリール基は、前記一般式(1)におけるR1及びR2がアルキル基又はアリール基を表す場合と同義であり、その好ましい例も同様である。
【0051】
一般式(3)におけるR3、R4、R5及びR6における一価の置換基は前記一般式(1)におけるものと同義である。
【0052】
一般式(3)においては、R3、R4、R5及びR6の少なくとも一つが−NHRaを表し、Raは水素原子又はアシル基を表す。
上記Raで表されるアシル基としては、総炭素数1〜30のアシル基が好ましく、総炭素数1〜20のアシル基がさらに好ましい。具体的には、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ブチロイル基、ベンゾイル基、(4−メトキシフェニル)カルボニル基、(2−ブトキシフェニル)カルボニル基、(4−クロロフェニル)カルボニル基が好ましく、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ベンゾイル基が特に好ましい。
一般式(3)におけるR3、R4、R5及びR6のいずれかがアミノ基である場合、酸と塩を形成していてもよい。好ましい酸としては、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0053】
ジアゾニウム塩化合物の合成にあたっては、一般式(3)におけるR3、R4、R5及びR6が、−NHRa(Ra=アシル基)の場合、これを−NH2に変換して用いる。この変換は、酸性条件下でも、塩基性条件下でも可能であり、添加する酸としては塩酸、硫酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸が好ましく、添加する塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムが好ましい。添加によって酸を発生する化合物も好ましく、塩化アセチル、塩化プロピオニルが好ましい。
反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、酢酸が好ましく、これらの混合溶媒も好ましい。
反応温度は、室温から溶媒の沸点の間が好ましいが、反応速度及び溶解性の点から50℃以上の高温で行う方が好ましい。
また、一般式(3)におけるR3、R4、R5及びR6が、−NHRa(Ra=H)の場合、この化合物を酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等を用いてジアゾ化することによりジアゾニウム塩化合物が得られる。
【0054】
《一般式(3)で表される化合物の合成方法》
上記一般式(3)で表される化合物は、下記一般式(4)で表される化合物を酸化剤により酸化することにより合成することができる。
【0055】
【化10】
【0056】
一般式(4)中、R1及びR2は、アルキル基又はアリール基を表す。R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも一つは−NHRaを表す。Raは、水素原子又はアシル基を表す。
【0057】
一般式(4)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6及びRaは、前記一般式(3)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6及びRaと同義であり、好ましい具体例も同様である。
【0058】
酸化反応に用いる酸化剤としては、塩素、臭素、ヨウ素、塩化スルホニル、又は塩化スルフリルが好ましく、取り扱い、収率の点からは、臭素が最も好ましい。
酸化剤の使用量は、一般式(4)で表される化合物に対し、モル比で90%〜130%が好ましく、100%〜110%が特に好ましい。酸化剤量が少ないと原料が残留し、多いと副反応物が増えることがある。
【0059】
反応に使用する溶媒としては、酸化剤と反応しないものであればよく、酢酸、プロピオン酸、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、クロロベンゼンが好ましい。特に、酢酸、クロロホルム、塩化メチレンが、収率の点から好ましい。これらの溶媒の混合溶媒も使用できる。溶媒の使用量は、原料が溶解する程度でよいが、高濃度であると高粘化し撹拌効率が下がり、低濃度では容積効率が低下するため、使用する一般式(4)で表される化合物の質量に対し、100%〜2000%の範囲が好ましい。200%〜500%であればさらに好ましい。
【0060】
反応温度は、−10℃〜120℃の範囲で選べばよい。一般的に高温ほど早く反応は完結するが、本合成方法は室温以下でも速やかに反応するため、収率の点から、−5℃〜35℃範囲で行うことが好ましい。また、酢酸を溶媒に使用する場合には、酢酸の結晶化を防ぐために10℃以上で行うことが好ましい。
【0061】
一般式(3)で表される化合物の合成は、「Organic Functional Group Preparations Volume II」(Stanley R. Sandler, Wolf Karo著(1971) Academic Press, Inc.)、「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応III」((1976)丸善株式会社)、J.Chem.Soc.(C)(1967)2212−2220等による公知の方法で合成できる。
【0062】
次に一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物について詳細に説明する。
【0063】
【化11】
【0064】
一般式(2)中、R7及びR8は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基を表し、R7とR8は互いに結合して環を形成してもよい。R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又は一価の置換基を表す。但し、R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも一つは−N2 +X−を表す。X−は1価のアニオンを表す。
【0065】
前記R7及びR8で表されるアルキル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルキル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R7及びR8で表されるアルキル基として、具体的には、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、2−(4−ブトキシフェノキシ)エチル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、エトキシエチル、ジブチルアミノカルボニルメチル基が好適に挙げられる。
これらの中でも、総炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、デシル基、オクチル基、ベンジル基、メトキシエチル基が特に好ましい。
【0066】
前記R7及びR8で表されるアリール基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリール基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R7及びR8で表されるアリール基として、具体的には、総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ブトキシフェニル基が好適に挙げられる。
【0067】
前記R7及びR8で表されるアシル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該アシル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R7及びR8で表されるアシル基として、具体的には、総炭素数1〜20のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ベンゾイル基が好適に挙げられる。
これらの中でも、総炭素数1〜10のアシル基が好ましく、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基が特に好ましい。
【0068】
前記R7及びR8で表されるアルコキシカルボニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルコキシカルボニル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R7及びR8で表されるアルコキシカルボニル基として、具体的には、総炭素数2〜30アルコキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、2−フェノキシエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基が好適に挙げられる。
これらの中でも、総炭素数2〜15のアルコキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基が特に好ましい。
【0069】
前記R7及びR8で表されるカルバモイル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、該カルバモイル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R7及びR8で表されるカルバモイル基として、具体的には、総炭素数1〜30のカルバモイル基が好ましく、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジプロピルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N,N−ジオクチルカルバモイル基、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)カルバモイル基、N−エチル−N−ベンジルカルバモイル基、N−エチル−N−ブチルカルバモイル基、N−エチル−N−フェニルカルバモイル基、ピペリジノカルボニル基、ピロリジノカルボニル基、モルホリノカルボニル基、及び4−オクタノイルピペラジノカルボニル基が好適に挙げられる。
【0070】
前記R7及びR8が互いに結合し環を形成する場合は、R7とR8を併せた総炭素数が2〜20であることが好ましく、形成される環は更に置換基を有していてもよい。形成される環の員数としては、窒素原子を含めて5〜8員環であることが好ましい。具体的には、R7とR8が結合している窒素原子を含めた環構造としては、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ヘキサメチレンイミン環、ヘプタメチレンイミン環、フタルイミド環、ピロリドン環、及びピペリドン環が好ましく、これらは更に置換基を有してもよい。
【0071】
前記R9、R10、R11及びR12で表される1価の置換基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基が挙げられる。
【0072】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が好ましい。
【0073】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルキル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルキル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルキル基として、具体的には、総炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、2−(4−ブトキシフェノキシ)エチル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、エトキシエチル、ジブチルアミノカルボニルメチル基が好適に挙げられる。
これらの中でも、総炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、デシル基、ベンジル基、メトキシエチル基、が特に好ましい。
【0074】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリール基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリール基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリール基として、具体的には、総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ブトキシフェニル基が好適に挙げられる。
【0075】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルコキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルコキシ基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルコキシ基として、具体的には、総炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、3−ペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−フェノキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、ブトキシカルボニルメトキシ基、ジブチルアミノカルボニルメトキシ基、ジエチルアミノカルボニルメトキシ基が好適に挙げられる。
【0076】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリールオキシ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリールオキシ基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアリールオキシ基として、具体的には、総炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、フェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、4−エトキシカルボニルフェノキシ基、4−ジブチルアミノカルボニルフェノキシ基、3,5−ジクロロフェノキシ基が好適に挙げられる。
【0077】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルキルチオ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルキルチオ基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルキルチオ基として、具体的には、総炭素数1〜20のアルキルチオ基が好ましく、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ドデシルチオ基、2−ヒドロキシエチルチオ基、及びベンジルチオ基が好適に挙げられる。
これらの中でも、総炭素数1〜15のアルキルチオ基が好ましく、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、オクチルチオ基が特に好ましい。
【0078】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリールチオ基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリールチオ基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリールチオ基として、具体的には、総炭素数6〜20のアリールチオ基が好ましく、例えば、フェニルチオ基、2−ブトキシカルボニルフェニルチオ基、2−クロロフェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基が好適に挙げられる。
【0079】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアルキルスルホニル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アルキルスルホニル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R3、R4、R5及びR6で表されるアルキルスルホニル基として、具体的には、総炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、ベンジルスルホニル基が好適に挙げられる。
【0080】
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリールスルホニル基は、無置換でも置換基を有していてもよく、該アリールスルホニル基に導入可能な置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、及びヘテロ環基が好ましい。
前記R9、R10、R11及びR12で表されるアリールスルホニル基として、具体的には、総炭素数6〜30のアリールスルホニル基が好ましく、例えば、フェニルスルホニル基、2−クロロフェニルメチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、及び4−クロロフェニルメチルスルホニル基が好適に挙げられる。
【0081】
前記R9、R10、R11及びR12のうち少なくとも1つは−N2 +X−を表す。X−は1価のアニオンを表す。
前記1価のアニオンX−は1価の酸アニオンであり、該酸としては無機酸又は有機酸のいずれでもよく、具体例としては一般式(1)におけるX−について示したものが同様に挙げられる。
【0082】
【化12】
【0083】
【化13】
【0084】
【化14】
【0085】
【化15】
【0086】
【化16】
【0087】
【化17】
【0088】
【化18】
【0089】
本発明の一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物は、特願2002−261318号の段落0164〜01999に詳細に説明されているように、既知の方法で製造することが可能である。すなわち、対応するアニリンを酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等を用いてジアゾ化することにより得られる。
【0090】
(その他のジアゾニウム塩化合物)
また、前記第1ないし第3の感熱記録層の1つの感熱記録層又は2つの感熱記録層に、前記一般式(1)及び一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物以外のジアゾニウム塩化合物を発色成分として含む場合、該ジアゾニウム塩化合物としては前記一般式(1)及び一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物とはその発色色相と極大吸収波長が互いに異なるものが用いられ、例えば以下の一般式(5)及び一般式(6)で示されるようなジアゾニウム塩化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
【化19】
【0092】
前記一般式(5)において、R31、R32及びR33は、各々独立に、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。R31とR32とは、窒素原子とともに環を形成してもよい。Xは酸アニオンを表す。
【0093】
前記一般式(5)において、R31、R32及びR33で表される基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数7〜21のアラルキル基、及び炭素数6〜20のアリール基が好ましく、これらはさらに置換基を有していてもよい。
【0094】
前記一般式(5)において、R31、R32、及びR33がさらに置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基等が好ましい。
【0095】
前記一般式(5)において、R31、R32、及びR33の炭素数の総和は、油溶性の点から12以上が好ましく、14以上がより好ましい。
【0096】
前記一般式(5)において、Xで表される酸アニオンの酸の具体例としては、例えば、炭素数1〜9までのポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素数1〜9までのポリフルオロアルキルスルホン酸、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸等が好適に挙げられる。また、塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズなどを用いて錯化合物を形成させ、ジアゾニウム塩の安定化を行うこともできる。
【0097】
前記一般式(5)で表されるジアゾニウム塩化合物は特願2001−85607号に詳細に記載され(段落0042〜段落0056)、その具体例としては、段落0052〜段落0056のものを挙げることができる。
【0098】
【化20】
【0099】
[一般式(6)中、R41、R42、R43及びR44は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、−OR51、−SR51、−COOR51、−CONR51R52、−SO2R51、−SO2NR51R52、−COR51、−NR51R52、ニトロ基及びシアノ基からなる群より選ばれるいずれかの基を表し、R51及びR52は各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基及びアシル基からなる群より選ばれるいずれかの基を表す。R45は、水素原子、アルキル基、アリール基、−COOR53、−CONR53R54、−SO2R53、−SO2NR53R54、−COR53からなる群より選ばれるいずれかの基を表し、R53及びR54は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基及びアシル基からなる群より選ばれるいずれかの基を表す。]
【0100】
一般式(6)中、R41〜R44で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が好ましく、中でも、フッ素及び塩素が好ましい。
【0101】
一般式(6)において、R41〜R44がアルキル基を表す場合、無置換のアルキル基及び置換基を有するアルキル基が含まれ、アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、不飽和結合を有していてもよい。
【0102】
一般式(6)において、R41〜R44が表すアルキル基としては、炭素原子数が1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、ドデシル、2−クロロエチル、2−メタンスルホニルエチル、2−メトキシエチル、2−ベンゾイルオキシエチル、N,N−ジブチルカルバモイルメチル、2−エトキシカルボニルエチル、ブトキシカルボニルメチル、2−イソプロピルオキシエチル、2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)エチル、2−フェノキシエチル、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−プロピル、1−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)−2−プロピル、ベンジル、α−メチルベンジル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル等が好ましい。
【0103】
一般式(6)において、R41〜R44がアリール基を表す場合、無置換のアリール基及び置換基を有するアリール基が含まれる。該R41〜R44が表すアリール基としては、炭素原子数が6〜30のアリール基が好ましい。具体的には、フェニル、4−メチルフェニル、2−クロロフェニル等が好ましい。
【0104】
一般式(6)において、R41〜R44が−OR51、−SR51、−COOR51、−CONR51R52、−SO2R51、−SO2NR51R52、−COR51、又はNR51R52を表す場合、R51及びR52は各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、及びアシル基からなる群より選ばれるいずれかの基を表す。
【0105】
一般式(6)において、R51及びR52が表すアルキル基には、無置換のアルキル基及び置換基を有するアルキル基が含まれる。R51及びR52が表すアルキル基としては、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル、エチル、i−プロピル、s−ブチル、t−ブチル、t−アミル等が好ましい。
【0106】
一般式(6)において、R51及びR52が表すアリール基には、無置換のアリール基及び置換基を有するアリール基が含まれる。R51及びR52が表すアリール基としては、炭素原子数が6〜30のアリール基が好ましい。具体的には、フェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−クロロフェニル、2,5−t−アミルフェニル等が好ましい。
【0107】
一般式(6)において、R51及びR52が表すアシル基には、無置換のアシル基及び置換基を有するアシル基が含まれる。R51及びR52が表すアシル基としては、炭素原子数1〜30のアシル基が好ましく、炭素原子数が1〜10のアシル基がより好ましい。具体的には、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ベンゾノイル等が挙げられる。
【0108】
一般式(6)において、R45が表すアルキル基には、無置換のアルキル基及び置換基を有するアルキル基が含まれ、アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、不飽和結合を有していてもよい。R45が表すアルキル基としては、炭素原子数1〜30のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、2−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、ドデシル、2−クロロエチル、2−メタンスルホニルエチル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、2−ベンゾイルオキシエチル、N,N−ジブチルカルバモイルメチル、2−エトキシカルボニルエチル、ブトキシカルボニルメチル、オクチルオキシカルボニルメチル、シクロヘキシル、2−イソプロピルオキシエチル、2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)エチル、2−フェノキシエチル、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−プロピル、1−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)−2−プロピル、ベンジル、α−メチルベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、アリル、メタリル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル等が好ましい。
【0109】
一般式(6)において、R45が表すアリール基には、無置換のアリール基及び置換基を有するアリール基が含まれる。R45が表すアリール基としては、炭素原子数が6〜30のアリール基が好ましい。具体的には、フェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−イソプロピルフェニル等が好ましい。
【0110】
一般式(6)において、R45が−COOR53、−CONR53R54、−SO2R53、−SO2NR53N54、又はCOR53−を表す場合、R53及びR54は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、及びアシル基からなる群より選ばれるいずれかの基を表す。
【0111】
一般式(6)において、R53及びR54が表すアルキル基には、無置換のアルキル基及び置換基を有するアルキル基が含まれる。R53及びR54が表すアルキル基としては、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル、エチル、i−プロピル、s−ブチル、t−ブチル、t−アミル等が好ましい。
【0112】
一般式(6)において、R53及びR54が表すアリール基には、無置換のアリール基及び置換基を有するアリール基が含まれる。R53及びR54が表すアリール基としては、炭素原子数が6〜30のアリール基が好ましい。具体的には、フェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−クロロフェニル、2,5−t−アミルフェニル等が好ましい。
【0113】
一般式(6)において、R53及びR54が表すアシル基には、無置換のアシル基及び置換基を有するアシル基が含まれる。R53及びR54が表すアシル基としては、炭素原子数1〜30のアシル基が好ましく、炭素原子数が1〜10のアシル基がより好ましい。具体的には、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ベンゾノイル等が挙げられる。
【0114】
前記一般式(6)で表される化合物は特願2002−219741号に詳細に記載されており(段落0026〜段落0055)、その具体例としては、段落0044〜段落0055に記載のものを挙げることができる。
【0115】
前記一般式(1)及び(2)で表されるジアゾニウム塩化合物及びその他のジアゾニウム塩化合物は、油状、結晶状のいずれであってもよいが、取扱い性の点で常温で結晶状態のものが好ましい。このジアゾニウム塩化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、また、既存のジアゾニウム塩化合物と併用してもよい。
【0116】
前記ジアゾニウム塩化合物の感熱記録層における含有量としては、0.02〜5g/m2が好ましく、発色濃度の点から0.1〜4g/m2がより好ましい。
【0117】
ジアゾニウム塩化合物の安定化のために、塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズ等を用いて錯化合物を形成させ、ジアゾニウム塩化合物の安定化を図ることもできる。
【0118】
(カプラー)
次に、本発明の多色感熱記録材料において前記ジアゾニウム塩化合物(一般式(1)及び(2)で示されるものを含む)と組み合わせて用いるカプラー(カップリング成分)について説明する。
前記カプラーとしては、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気で前記ジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成するものであればいずれの化合物も使用可能である。ハロゲン化銀写真感光材料用のいわゆる4当量カプラー化合物はすべてカプラーとして使用可能である。また、2当量カプラーの一部も使用可能である。これらは目的とする色相に応じて選択することが可能である。
例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体等があり、具体的には以下のものが挙げられ、本発明の目的に合致する範囲で使用される。
【0119】
前記カプラーの具体例としては、例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−l,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロへキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジーn−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン;
【0120】
N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オタタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキジフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ビバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0121】
カプラーの詳細については、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特開平7−125446号、特開平7−96671号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平9−156229号、特開平9−216468号、特開平9−216469号、特開平9−203472号、特開平9−319025号、特開平10−35113号、特開平10−193801号、特開平10−264532号等の公報に記載されている。
【0122】
上記のうち、本発明においては、下記一般式(7)で表される化合物又はその互変異性体が特に好ましい。
以下に、一般式(7)で表されるカプラーについて詳述する。
E1−CH(X)−E2 一般式(7)
一般式(7)中、E1とE2はそれぞれ独立して電子吸引性基を表し、Xはアゾカップリングするときに離脱してアゾ色素を形成することができる基を表し、またE1とびE2は結合して環を形成してもよい。
【0123】
前記E1及びE2で表される電子吸引性基とは、Hammettのσp値が正である置換基を意味し、これらは同一であっても異なっていてもよく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のオキシカルボニル基;カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−〔2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、N−〔2,4−ビス(オクチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、モルホリノカルボニル基等のカルバモイル基;メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基;ジエチルホスホノ基等のホスホノ基;ベンゾオキサゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−スルホン−2−イル基等の複素環基;ヘテロ環基;ニトロ基;イミノ基;シアノ基が好適に挙げられる。
【0124】
Xはアゾカップリング時に脱離する基を示すが、離脱基Xとしては、ハロゲン原子(フッ素、臭素、塩素、沃素)、置換アルキル基(ヒドロキシメチル基、ジメチルアミノメチル基)、アルキルチオ基(例えば、エチルチオ基、2−カルボキシエチルチオ基、ドデシルチオ基、1−カルボキシドデシルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、2−ブトキシ−t−オクチルフェニルチオ基)、アルコキシル基(例えば、エトキシ基、ドデシルオキシ基、メトキシエチルカルバモイルメトキシ基、カルボキシプロピルオキシ基、メチルスルホニルエトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、4−メチルフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−カルボキシフェノキシ基、3−エトキシカルボキシフェノキシ基、3−アセチルアミノフェノキシ基、2−カルボキシフェノキシ基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、テトラデカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、アリールスルホニルオキシ基(例えば、トルエンスルホニルオキシ基)、ジアルキルアミノカルボニルオキシ基(例えば、ジメチルアミノカルボニルオキシ基、ジエチルアミノカルボニルオキシ基)、ジアリールアミノカルボニルオキシ基(例えば、ジフェニルアミノカルボニルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、エトキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基)、又は複素環基(例えば、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基)が挙げられる。
【0125】
また、E1及びE2で表される電子吸引性基は、両者が結合し環を形成してもよい。E1及びE2で形成される環としては、5員ないし6員の炭素環又は複素環が好ましい。
【0126】
以下に、一般式(7)で表されるカプラーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下に示すカプラーの互変異性体も好適なものとして挙げることができる。
【0127】
【化21】
【0128】
【化22】
【0129】
【化23】
【0130】
【化24】
【0131】
【化25】
【0132】
【化26】
【0133】
【化27】
【0134】
前記カプラーの互変異性体とは、上記に代表されるカプラーの異性体として存在するものであって、その両者間で構造が容易に変化し合う関係にあるものをいい、本発明に用いるカプラーとしては、該互変異性体も好ましい。
【0135】
(電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物)
本発明の感熱記録材料において前記第3の感熱記録層に用いることができる電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物などは、特開平6−328860号公報、特開平7−290826号公報、特開平7−314904号公報、特開平8−324116号公報、特開平3−37727号公報、特開平9−31345号公報、特開平9−111136号公報、特開平9−118073号公報、特開平11−157221号公報、などに詳しく記載されている。具体例を以下に示すが本発明はこれに限定されるものではない。
【0136】
【化28】
【0137】
【化29】
【0138】
【化30】
【0139】
【化31】
【0140】
−電子受容性化合物の具体例−
電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。これらの一部を例示すれば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
【0141】
(マイクロカプセル化)
本発明の多色感熱記録材料においては、その使用前の生保存性を良化する目的で、感熱記録層におけるジアゾニウム塩化合物マイクロカプセルに内包させることが好ましい。また、電子供与性無色染料を含む感熱記録層がある場合には、該電子供与性染料前駆体をマイクロカプセルに内包させることが好ましい。該マイクロカプセルの形成方法としては、既に公知の方法の中から適宜選択することができる。
マイクロカプセルのカプセル壁を形成する高分子物質としては、常温では非透過性であり、加熱時に透過性となる性質を有することが必要である点から、特にガラス転移温度が60〜200℃のものが好ましく、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン・メタクリレート共重合体、スチレン・アクリレート共重合体及びこれらの混合系を挙げることができる。
【0142】
マイクロカプセル形成方法としては、具体的には、界面重合法や内部重合法が適している。該カプセル形成方法の詳細及びリアクタントの具体例等については、米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書に記載がある。例えば、カプセル壁材として、ポリウレア、ポリウレタンを用いる場合には、ポリイソシアネート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオールやポリアミン)を水性媒体又はカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれらを乳化分散し次に加温することにより油滴界面で高分子形成反応を起こしマイクロカプセル壁を形成する。尚、上記第2物質の添加を省略した場合もポリウレアを生成することができる。
【0143】
本発明においては、マイクロカプセルのカプセル壁を形成する高分子物質としては、ポリウレタン及び/又はポリウレアを成分として含有することが、製造適性と熱応答感度に優れるので好ましい。
【0144】
次に、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について述べる。
まず、ジアゾニウム塩化合物は、カプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ、マイクロカプセルの芯となる油相を調製する。このとき、さらに壁材として多価イソシアネートが添加される。
【0145】
前記油相の調製に際し、ジアゾニウム塩化合物を溶解、分散してマイクロカプセルの芯の形成に用いる疎水性の有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、例えば、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
【0146】
カプセル化しようとするジアゾニウム塩化合物の前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いるジアゾニウム塩化合物の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもでき、該低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
このため、ジアゾニウム塩化合物は、高沸点疎水性有機溶媒、低沸点溶媒に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には、該溶剤に5%以上の溶解度を有していることが好ましい。水に対する溶解度は1%以下が好ましい。
【0147】
一方、用いる水相には水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、該水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は公知の乳化用界面活性剤が使用可能である。
界面活性剤を添加する場合の添加量としては、油相質量に対して0.1〜5%が好ましく、0.5〜2%がより好ましい。
【0148】
調製された油相を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子は、乳化しようとする温度における、水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、例えば、ポリビニルアルコール及びその変成物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0149】
前記水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、若しくは低いことが好ましく、例えば、ゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成する等して反応性をなくしておくことが好ましい。
【0150】
前記多価イソシアネート化合物としては、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物であってもよい。具体的には、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
【0151】
多価イソシアネートの使用量としては、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。また、その分散粒子径としては、0.2〜10μm程度が一般的である。
水相中に油相を加えた乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0152】
水相中又は油相の疎水性溶媒中に、さらにポリオール及び/又はポリアミンを添加しておけば、多価イソシアネートと反応してマイクロカプセル壁の構成成分の一つとして用いることもできる。上記反応において、反応温度を高く保ち、或いは、適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
これらのポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
【0153】
乳化は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置の中から適宜選択して行うことができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、十分な攪拌を行う等の必要がある。
【0154】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセルを得ることができる。
【0155】
次に、本発明に用いるカプラーは、例えば、水溶性高分子、有機塩基、その他の発色助剤等とともに、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、特に好ましくは、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。さらに、カプラー、有機塩基は別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することも可能である。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
【0156】
前記カプラーの使用量としては、ジアゾニウム塩化合物1部に対して、0.1〜30部が好ましい。
【0157】
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載の高沸点オイルの中から適宜選択することができる。中でも、乳化分散物の乳化安定性の観点から、エステル類が好ましく、リン酸トリクレジルが特に好ましい。上記オイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0158】
前記有機溶剤に、さらに溶解助剤として、低沸点の補助溶剤を加えることもでき、該補助溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等を好適に挙げることができる。場合に応じて、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0159】
また、水相中に保護コロイドとして含有させる水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができ、中でも、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等が好ましい。
【0160】
また、水相中に含有させる界面活性剤としては、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤であって、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。該界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
【0161】
(塩基性物質、その他)
本発明においては、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で、有機塩基等の塩基性物質を加えることも好ましい態様である。
前記有機塩基としては、第3級アミン類、ピぺリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられ、例えば、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものを好適に挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0162】
上記のうち、具体的には、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ)ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,8−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0163】
前記塩基性物質の使用量としては、ジアゾニウム塩化合物1部に対して、0.1〜30部が好ましい。
前記使用量が、0.1部未満であると、十分な発色濃度が得られなくなることがあり、30部を超えると、ジアゾニウム塩化合物の分解が促進されることがある。
【0164】
また、感熱記録層中には、上記塩基性物質の他、発色反応を促進させる、即ち、低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画させる目的で、発色助剤を加えることもできる。ここで、発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、若しくは発色温度を制御する物質であり、カプラー、塩基性物質若しくはジアゾニウム塩化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下させうる作用により、ジアゾニウム塩化合物、塩基性物質、カプラー等が反応しやすい条件とするためのものである。
前記発色助剤としては、例えば、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物、ヒドロキシ化合物等が挙げられる。
【0165】
前記発色助剤には、熱融解性物質も含まれる。
該熱融解性物質は、常温下では固体であって、加熱により融解する融点50℃〜150℃の物質であり、ジアゾニウム塩化合物、カプラー、或いは、有機塩基等を溶解しうる物質である。具体的には、カルボン酸アミド、N置換カルボン酸アミド、ケトン化合物、尿素化合物、エステル類等を挙げることができる。
【0166】
本発明の多色感熱記録材料においては、熱発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、又は、定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
前記酸化防止剤については、例えば、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同第309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載されている。
【0167】
感熱若しくは感圧感熱記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。
前記各種添加剤としては、例えば、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0168】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2.4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0169】
前記酸化防止剤、又は各種添加剤の添加量としては、ジアゾニウム塩化合物1部に対して、0.05〜100部が好ましく、0.2〜30部がより好ましい。
【0170】
前記酸化防止剤及び各種添加剤は、マイクロカプセル中にジアゾニウム塩化合物とともに含有させてもよいし、或いは、固体分散物としてカプラー、塩基性物質及びその他の発色助剤とともに含有させてもよいし、乳化物にして適当な乳化助剤とともに含有させてもよいし、又はその両形態で含有させてもよい。また、酸化防止剤、又は各種添加剤は、単独で用いてもよく、複数併用することもできる。さらに、保護層に含有させることもできる。
【0171】
前記酸化防止剤及び各種添加剤は、必ずしも同一層に添加しなくてもよい。
前記酸化防止剤及び/又は各種添加剤を複数組合わせて用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ビンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、リン化合物、硫黄化合物のように構造的に分類し、互いに異構造のものを組合わせてもよいし、同一のものを複数組合わせることもできる。
【0172】
画像記録後の地肌部の黄着色を軽減する目的で、光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を添加することができる。
前記遊離基発生剤としては、例えば、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類等が挙げられる。
該遊離基発生剤の添加量としては、ジアゾニウム塩化合物1部に対して、0.01〜5部が好ましい。
【0173】
また、同様に黄着色を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、「ビニルモノマー」と称する。)を用いることもできる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。
前記ビニルモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。該ビニルモノマーは、ジアゾニウム塩化合物1部に対して、0.2〜20部の割合で用いる。
前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
【0174】
さらに、酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することもできる。
【0175】
前記感熱記録層は、例えば、ジアゾニウム塩化合物を含有したマイクロカプセル、カプラー、必要に応じて塩基性物質及び他の成分等を含有する塗布液を調製し、該塗布液を紙や合成樹脂フィルム等の支持体上に塗布、乾燥することにより塗設することができる。
本発明においては、前記感熱記録層が塩基性物質を含有する態様が好ましい。
【0176】
前記塗布は、公知の塗布方法の中から適宜選択することができ、例えば、バー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等が挙げられる。
また、塗布、乾燥後の感熱記録層の乾燥塗布量としては、2.5〜30g/m2が好ましい。
【0177】
本発明の多色感熱記録材料における感熱記録層の構成態様としては、特に限定されるものではなく、例えば、マイクロカプセル、カプラー、塩基性物質等が全て同一層に含まれた、単一層よりなる態様であってもよいし、別層に含まれるような複数層積層型の態様であってもよい。また、支持体上に、特開昭61−54980号公報等に記載の中間層を設けた後、感熱記録層を塗布形成した態様であってもよい。いずれの態様においても、さらに、色相の異なる単色かつ単一の感熱記録層を複数層積層したフルカラー発色型の態様である。
【0178】
本発明の多色感熱記録材料において、感熱記録層、中間層又は後述の保護層等の各層にはバインダーを含有することができ、該バインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等の中から適宜選択することができる。
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変性物等が挙げられる。
【0179】
前記ラテックス類としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニル酢酸ビニル混合物エマルジョン等が挙げられる。
中でも、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン誘導体、ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリル酸アミド誘導体等が好ましい。
【0180】
また、本発明の多色感熱記録材料には顔料を含有させることもでき、該顔料としては、有機、無機を問わず公知のものが挙げられ、例えば、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
【0181】
また、必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその前駆体等の各種添加剤を使用することもできる。
【0182】
本発明の多色感熱記録材料においては、必要に応じて、感熱記録層上に保護層を設けてもよい。該保護層は、必要に応じて二層以上積層してもよい。
前記保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類等が挙げられる。
【0183】
前記水溶性高分子化合物は、架橋させることで、より一層保存安定性を向上させることもできる。該架橋剤としては、公知の架橋剤の中から適宜選択することができ、例えば、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物;グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類;硼酸、硼砂等の無機系架橋剤;ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0184】
前記保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤等を使用することもできる。
保護層の塗布量としては、乾燥塗布量で0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜2g/m2がより好ましい。その膜厚としては、0.2〜5μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。
また、保護層を設ける場合には、該保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有させてもよい。
前記保護層は、支持体上に感熱記録層を形成する場合と同様、上述の公知の塗布方法により設けることができる。
【0185】
本発明の多色感熱記録材料に使用可能な支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙等に用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム等を使用することができる。
【0186】
支持体上には、カールバランスを補正する目的で、或いは、裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよい。該バックコート層は、前記保護層と同様にして設けることができる。
さらに、必要に応じて、支持体と感熱記録層との間、或いは、支持体の感熱記録層が設けられた側の表面にアンチハレーション層を、その裏側の表面にスベリ層、アンチスタチック層、粘着剤層等を設けることもできる。
また、支持体の裏面(感熱記録層が設けられない側の表面)に、接着剤層を介して剥離紙を組合わせてラベルの形態としてもよい。
【0187】
ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルに内包することにより、感熱記録材料としての長期での安定性をより高めることができる。
【0188】
感熱記録層相互の混色を防ぐ目的で、各感熱記録層間に中間層を設けることもできる。
該中間層は、ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子化合物からなり、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
【0189】
本発明の多色感熱記録材料は、必要に応じて、さらにその上層として光透過率調整層若しくは保護層、又は光透過率調整層及び保護層を設けることが望ましい。
前記光透過率調整層については、特開平9−39395号公報、同9−39396号公報、特願平7−208386号公報等に記載されている。
光透過率調整層に、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を用いる場合には、定着に必要な波長領域の光を照射する前は、紫外線吸収剤として機能しないために高い光透過率を有するため、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させることができ、かつ可視光線の透過率も高く、感熱記録層の定着に支障をきたすことはない。
【0190】
一方、前記紫外線吸収剤の前駆体は、光定着型感熱記録層の光定着(光照射によるジアゾニウム塩化合物の光分解)に必要な波長領域の光を照射した後、該光により反応を起こし紫外線吸収剤として機能するようになる。この紫外線吸収剤により、紫外線領域の波長の光の大部分が吸収されてその透過率が低下し、感熱記録材料の耐光性を向上させることが可能となる。しかしながら、可視光線の吸収性はないため、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は、感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、中でも特に、感熱記録層と保護層との間に形成することが好ましい。また、光透過率調整層の機能を保護層に持たせ、兼用させてもよい。
【0191】
[記録方法]
本発明の第1の記録方法は、前記ベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型ジアゾニウム塩化合物を感熱記録層に含有する感熱記録材料を用い、かつ、前記感熱記録層を発光ダイオードで定着する方法である。この第1の記録方法は、プリント時間が短縮され、多数枚プリント後であっても短縮されたプリント時間が維持され、かつ低エネルギー記録が可能なである。
また、本発明の第2及び第3の記録方法は、前記ベンゾチアゾリン型及びベンゾチアゾール型ジアゾニウム塩化合物を感熱記録層に含有する感熱記録材料を用い、かつ、ジアゾニウム塩化合物を含む感熱記録層(ジアゾ系感熱記録層)の少なくとも1層を発光ダイオードで定着する方法である。この第2及び第3の記録方法は、全体のプリント時間が短縮され、多数枚プリント後であっても短縮されたプリント時間が維持され、かつ低エネルギー記録が可能である。
【0192】
本発明の記録方法における発光ダイオードは、窒化ガリウム系化合物からなる半導体で構成されていることが好ましい。窒化ガリウム系化合物からなる半導体で構成された発光ダイオードは、発光効率が高いため、低い投入電力でジアゾニウム塩化合物の光分解が可能となる。その結果、低エネルギー記録が可能となる。
【0193】
前記窒化ガリウム系化合物としては、窒化ガリウム単独あるいは窒化ガリウムにアルミニウム及び/又はインジウムを混合したものを使用することが好ましい。
3次元結晶の場合、ガリウムに対してアルミニウム又はインジウムを任意の割合で混合してもよい。4次元結晶の場合、ガリウムに対してアルミニウムとインジウムの合計量が任意の割合となるように混合してよく、アルミニウムとインジウムの混合比率も任意でよい。
【0194】
本発明の記録方法は、具体的には例えば、感熱記録材料の感熱記録層が設けられた側の表面を、サーマルヘッド等の加熱装置により画像様に加熱印画することにより行われる。そうすると感熱記録層の加熱部では、層中のポリウレア及び/又はポリウレタンを含むカプセル壁が軟化して物質透過性となり、カプセル外のカプラーや塩基性物質(有機塩基)がマイクロカプセル内に浸入し、画像様に発色する。そして発色後、さらにジアゾニウム塩化合物の吸収波長に相当する光を発光ダイオードを用いて照射することにより(光定着)、ジアゾニウム塩化合物が分解しカプラーとの反応性が失われ、画像が定着される。上記のように光定着を施すことにより、未反応のジアゾニウム塩化合物は、分解反応を生じてその活性を失うため、形成した画像の濃度変動や、非画像部(地肌部)におけるステインの発生による着色、即ち、白色性の低下、該低下に伴う画像コントラストの低下を抑制することができる。
【0195】
以下において、本発明における感熱記録材料として、例えば、支持体上に電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物とを含有する感熱記録層(A層)と、第1のジアゾニウム塩化合物を含む第1のジアゾ感熱記録層(B層)と、第2のジアゾニウム塩化合物を含む第2のジアゾ感熱記録層(C層)とをこの順に設けた感熱記録材料を用いた場合の記録方法の一例を説明する。
まず、第2のジアゾ感熱記録層(C層)を画像様に加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを反応させ発色させる。次いで、第2のジアゾニウム塩化合物の吸収波長に相当する光を発光ダイオードにより照射してC層中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させる。次に、第1のジアゾ感熱記録層(B層)が発色するに十分な熱を画像様に与え、該層に含まれているジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物とを反応させ発色させる。このとき第2のジアゾ感熱記録層(C層)も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。この後、第1のジアゾニウム塩化合物の吸収波長に相当する光を発光ダイオードにより照射して第1のジアゾ感熱記録層(B層)に含まれているジアゾニウム塩化合物を分解させる。最後に、第3の感熱記録層(A層)が発色するに十分な熱を与えて発色させる。このとき第1、第2のジアゾ感熱記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。
【0196】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
実施例1(感熱記録材料T−1の作製と記録)
(1)塗布液調製用ゼラチン液の調製
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン,ニッピコラーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,ダイトーケミックス(株)製)0.914部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0197】
<アルカリ処理ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,ダイトーケミックス(株)製)0.729部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作成用ゼラチン水溶液を得た。
【0198】
(2)イエロー感熱記録層液の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル24部に、下記ジアゾニウム塩化合物(A−1)4.4部、モノイソプロピルビフェニル2.4部、フタル酸ジフェニル4.8部、フタル酸ジイソノニル2.4部及びジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASFジャパン(株)製)0.55部を添加し、40℃に加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)8.7部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0199】
【化32】
【0200】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50%)日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら酢酸エチルを除去した。この後、この乳化液にイオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加えて、更に攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20%になるように濃度調節した。
かかる方法によりジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。
【0201】
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル34.0部に下記カプラー化合物(C)9.8部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.7部、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.8部、3,3,3´,3 ´−テトラメチル−5,5´、6,6´−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1´−スピロビスインダン4.3部(三協化学(株)製)、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製) 12.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 4.2部を均一に溶解し、混合液(III)を得た。
【0202】
【化33】
【0203】
また、別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になるように濃度調節を行った。
更に上記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(商品名SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調製したものを9部添加して均一に撹拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0204】
<塗布液(a)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)及び前記カプラー化合物分乳化液(a)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物のモル比が2/1になるように混合し、感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0205】
(3)マゼンタ感熱記録層液の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム塩化合物(D)2.8部、フタル酸ジイソノニル3.8部、フェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(商品名;ライトエステルTMP,共栄油脂化学(株)製)4.2部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 0.1部を添加し均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0206】
【化34】
【0207】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部、イオン交換水21.0部添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら酢酸エチルを除去した。
この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。
【0208】
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(E)11.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))14.0部、4,4‘−(2−エチルヘキシリデン)ジフェノール14部、3,3,3´,3 ´−テトラメチル−5,5´、6,6´−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1´−スピロビスインダン3.5部(三協化学(株)製)、2,2‘−(イソブチリデン)−ジ(4,6−ジメチルフェノール) 3.5部、リン酸トリクレジル 1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 4.5部を均一に溶解し、混合液(VII)を得た。
【0209】
【化35】
【0210】
別途アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を攪拌しながら酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。
【0211】
<塗布液(b)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)及び前記カプラー化合物分乳化液(b)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の質量比が3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)をカプセル液量10部に対し、0.2部になるように混合し、感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0212】
(4)シアン感熱記録層液の調製
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料(H)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタン及び1−(1−メチルプロプルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名;ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)8.0部、下記化合物(I)(商品名;Irgaperm2140 チバガイギー(株)の商品名)8.0部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物 (商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部を添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0213】
【化36】
【0214】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50%)日本精化(株)製)0.17部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(X)を得た。
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行いカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。
更に上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2‘−ジスルフォン誘導体(商品名;Kaycall BXNL、日本曹達(株)製)を添加して均一に撹拌してマイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0215】
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4‘−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部、2%−2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散した後、分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6%であった。
上記分散液100部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0216】
<塗布液(c)の調製>
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)及び前記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が10/1になるように混合し、塗布液(c)を得た。
【0217】
(5)発色層以外の各層の塗布液調製
<中間層用塗布液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,ダイトーケミックス(株)製)2.86部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃にて溶解し、中間層作成用ゼラチン水溶液を得た。
前記中間層作成用ゼラチン水溶液10.0部、4−〔(4−ノニルフェノキシ)トリオキシエチレン〕ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0%水溶液)0.05部、硼酸(4.0%水溶液)1.5部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)0.19部、下記化合物(J)の4%水溶液3.42部、下記化合物(J‘)の4%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0218】
【化37】
【0219】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
(iii−1)紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製
酢酸エチル71部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5部、2,5−ジ(t−オクチル)ハイドロキノン5.0部、燐酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C (70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製) 0.45部を溶解し均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物 (商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)54.7部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液(XI)を得た。
【0220】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52部に30%燐酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を作成した。
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06部に前記紫外線吸収剤前駆体混合液(XI)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3 (オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。このカプセル液859.1部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0221】
(iii−2)光透過率調整層用塗布液の調製
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、フッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,5%水溶液,大日本インキ化学工業(株))5.2部、4%水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0222】
<保護層用塗布液の調製>
(iv−1)保護層用ポリビニルアルコール溶液の作成
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57,(54%水溶液),東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0223】
(iv−2)保護層用顔料分散液の作成
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して保護層用顔料分散液を作成した。
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20%水分散液)、日産化学(株)製)8.1部を添加して目的の分散物を得た。
【0224】
(iv−3)保護層用マット剤分散液の作成
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に1,2−ベンズイソチアゾリン−3(2H)−オン水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0225】
(iv−4)保護層用塗布ブレンド液の調製
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部にフッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,5%水溶液,、大日本インキ化学工業(株))40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部を均一混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0226】
(6)下塗り層つき支持体の製造
<下塗り層液の作製>
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:15mP、PAGI法ゼリー強度:20g)40部イオン交換水60部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8部と水92部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
次いで、40℃の40%の前記ゼラチン水溶液100部に、水120部及びメタノール556部を加え、十分攪拌混合した後、5%前記雲母分散液208部を加えて、十分攪拌混合し、1.66%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を加えた。そして液温を35℃から40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤(ナガセ化成工業(株)製・デナコールEX80)7.3部を加えて下塗り層用塗布液(5.7%)を調製した。
【0227】
<下塗り層つき支持体の作製>
LBPS 50部LBPK 50部からなる木材パルプをデイスクリファイナーによりカナデイアンフリーネス300ccまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し長網抄紙機により坪量114g/m2の原紙を抄造しキャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
次に原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押し出し機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーテイングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面をウラ面と呼ぶ)。次に上記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10%及び微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmとなるようにコーテイングし光沢面からなる樹脂層を形成した(この面をオモテ面と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名;アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名;スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2塗布した。次にオモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り液を雲母の塗布量が0.26g/m2となるように塗布し、下塗り層つき支持体を得た。
【0228】
(7)感熱記録材料の製造
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記下塗り層つき支持体の上に、下から、前記感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、30℃湿度30%、及び40℃湿度30%の条件でそれぞれ乾燥して多色感熱記録材料T−1を得た。
【0229】
〈画像記録〉
画像記録は、サーマルヘッドKST(商品名;京セラ(株)製)と発光ダイオードを用いて以下の方法で行った。
前記のようにして作製した感熱記録材料を、単位面積当たりの記録エネルギーとして25〜75mJ/mm2の範囲のエネルギーで印画(イエロー記録)し、次に発光中心波長440〜460nmの発光ダイオード(LED−a)で10秒間(定着時間)曝光し、イエロー感熱記録層のジアゾニウム塩化合物を完全に光分解して画像定着を行った。
次に、感熱記録材料の、イエロー感熱記録層を画像記録してない領域でかつLED−a曝光領域に対して、単位面積当たりの記録エネルギーとして80〜125mJ/mm2の範囲のエネルギーで印画(マゼンタ記録)し、次に発光中心波長365〜380nmの発光ダイオード(LED−b)で18秒間(定着時間)曝光し、マゼンタ感熱記録層のジアゾニウム塩化合物を完全に光分解して画像定着を行った。
前記発光ダイオード(LED−a及びLED−b)の出力は、それぞれ7秒でジアゾニウム塩化合物が光分解するように投入電力を設定した。
次いで、感熱記録材料の、イエロー感熱記録層及びマゼンタ感熱記録層のいずれも画像記録していない領域であってかつ発光ダイオード(LED−a、LED−b)曝光領域に対して、位面積当たりの記録エネルギーとして130〜170mJ/mm2の範囲のエネルギーで印画(シアン記録)した。
得られた多色の感熱記録材料の画像濃度は、X−rite model 310(X−rite Incorporated 製)により測定した。結果を表1に示す。
【0230】
<LEDランプの繰り返し使用後の劣化試験>
前記発光ダイオード(LED−a)及び発光ダイオード(LED−b)の投入電力を前記の1回目の画像記録における定着の際と同じにし、それぞれ10秒点灯させ、次いで消灯を50秒行った。これを1サイクルとして20,000サイクル繰り返した。
別途、実施例1により得られる別の感熱記録材料を前記サイクル繰り返し後の発光ダイオード(LED−a)で曝光し、イエロー感熱記録層のジアゾニウム塩化合物が完全に光分解する定着時間を測定した。同様にしてマゼンタ感熱記録層のジアゾニウム塩化合物が完全に光分解する定着時間を測定した。結果を表2に示す。
【0231】
実施例2(感熱記録材料T−2の作製と記録)
実施例1に記載の感熱記録材料T−1の作製において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)の調製の際、ジアゾニウム塩化合物(A−1)に替えて下記ジアゾニウム塩化合物(A−3)を用いる他は、実施例1と同様にしてて、感熱記録材料T−2を作製した。
実施例1と同様にして画像記録と評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0232】
【化38】
【0233】
実施例3(感熱記録材料T−3の作製と記録)
実施例1に記載の感熱記録材料T−1の作製において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)の調製の際、ジアゾニウム塩化合物(A−1)に替えて下記ジアゾニウム塩化合物(B−1)を用いる他は、実施例1と同様にして、感熱記録材料T−3を作製した。
実施例1と同様にして画像記録と評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0234】
【化39】
【0235】
比較例1(感熱記録材料H−1の作製と記録)
実施例1記載の感熱記録材料T−1の作製において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)の調製の際、ジアゾニウム塩化合物(A−1)に替えて下記ジアゾニウム塩化合物(C−1)を用い、またモノイソプロピルビフェニル2.4部、フタル酸ジイソノニル7.2部に替えて、モノイソプロピルビフェニル7.2部、フタル酸ジフェニル2.4部を用いる他は、実施例1と同様にして、感熱記録材料H−1を作製した。
【0236】
【化40】
【0237】
〈画像記録〉
画像記録は、サーマルヘッドKST(商品名;京セラ(株)製)と発光ダイオードを用いて以下の方法で行った。
感熱記録材料を、単位面積当たりの記録エネルギーとして25〜75mJ/mm2の範囲のエネルギーで印画(イエロー記録)し、次に発光中心波長410〜430nmの発光ダイオード(LED−c)で10秒間(定着時間)曝光し、イエロー感熱記録層のジアゾニウム塩化合物を完全に光分解して画像定着を行った。発光ダイオード(LED−c)の出力は実施例1の発光ダイオードの投入電力と同じであった。
次に、感熱記録材料の、イエロー感熱記録層を画像記録してない領域でかつLED−c曝光領域に対して、単位面積当たりの記録エネルギーとして80〜125mJ/mm2の範囲のエネルギーで印画(マゼンタ記録)し、次に発光中心波長365〜380nmの発光ダイオード(LED−d)(投入電力はLED−cと同じ)で18秒間(定着時間)曝光し、マゼンタ感熱記録層のジアゾニウム塩化合物を完全に光分解して画像定着を行った。
次いで、感熱記録材料の、イエロー感熱記録層及びマゼンタ感熱記録層のいずれも画像記録していない領域であってかつ発光ダイオード(LED−c、LED−d)曝光領域に対して、単位面積当たりの記録エネルギーとして130〜170mJ/mm2の範囲のエネルギーで印画(シアン記録)した。
得られた多色の感熱記録材料の画像濃度は、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0238】
比較例2(感熱記録材料H−2の作製と記録)
実施例1に記載の感熱記録材料T−1の作製において、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a−1)の調製の際、ジアゾニウム塩化合物(A−1)4.4部に替えて前記ジアゾニウム塩化合物(C−1)を3.3部及び下記ジアゾニウム塩化合物(C−2)を1.1部用い、またモノイソプロピルビフェニル2.4部、フタル酸ジイソノニル7.2部に替えて、モノイソプロピルビフェニル7.2部、フタル酸ジフェニル2.4部を用いる他は、実施例1と同様にして、感熱記録材料H−2を作製した。
比較例1と同様にして、画像記録と評価を行った。結果を表1に示す。
【0239】
【化41】
【0240】
比較例3
実施例1の感熱記録材料の定着光源として、発光ダイオードを用いる代わりに蛍光ランプを用い、蛍光ランプの繰り返し使用後の劣化を調べた。
イエロー感熱記録層に対しては発光中心波長420nmの蛍光ランプ(FL−a)を、マゼンタ感熱記録層に対しては発光中心波長360nmの蛍光ランプ(FL−b)をそれぞれ用い、定着時間をそれぞれ7秒間とした。そして蛍光ランプ(FL−a)及び蛍光ランプ(FL−b)を10秒間点灯し、その後50秒間消灯し、これを1サイクルとして20,000サイクル繰り返した。
次に、実施例1により得られる感熱記録材料を用い、前記サイクル繰り返し後のイエロー感熱記録層用蛍光ランプを曝光させ、ジアゾニウム塩化合物が完全に分解する時間を測定した。マゼンタ感熱記録層についても同様にして分解時間を測定した。
比較例1と同様な条件で、劣化試験を行った。結果を表2に示す。
【0241】
【表1】
【0242】
【表2】
【0243】
表1から分かるように、本発明の記録方法により十分な画像濃度が得られる。また、表2から分かるように、発光ダイオードを繰り返し定着に用いても、定着光強度の経時劣化が生じないが、蛍光ランプを用いた場合では、定着時間が長くなっており、定着光強度の劣化が生じていることが検証された。
【0244】
【発明の効果】
本発明の記録方法は、プリント時間が短縮され、多数枚プリント後であっても短縮されたプリント時間が維持され、かつ低エネルギー記録が可能なである。また、発光ダイオードは水銀のような有害物質を用いないので安全であり、消費電力が少なく、さらに設置スペースが小さいので記録装置の省スペース化が図れる。
Claims (6)
- 支持体上に、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む感熱記録層を設けた感熱記録材料を用いて画像を記録する記録方法であって、該ジアゾニウム塩化合物が下記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物であり、かつ該ジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする記録方法。
- 支持体上に、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第1の感熱記録層と、該第1の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第2の感熱記録層とを設けた感熱記録材料を用いて画像を記録する記録方法であって、該第1の感熱記録層又は第2の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物が前記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物であり、更に、前記第1及び第2の感熱記録層の少なくとも1つの感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする記録方法。
- 支持体上に、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第1の感熱記録層と、該第1の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物とは極大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーを含む第2の感熱記録層と、第3の感熱記録層とを設けた感熱記録材料を用いて画像を記録する記録方法であって、該第1の感熱記録層又は第2の感熱記録層に含まれるジアゾニウム塩化合物が一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物であり、更に、ジアゾニウム塩化合物を含む感熱記録層の少なくとも1つの層のジアゾニウム塩化合物を発光ダイオードにより光分解させることを特徴とする記録方法。
- 前記発光ダイオードが窒化ガリウム系化合物からなる半導体により構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の記録方法。
- 前記ジアゾニウム塩化合物がマイクロカプセルに内包されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の記録方法。
- 前記ジアゾニウム塩化合物が感熱記録層中において、マイクロカプセルに内包されており、該マイクロカプセルがポリウレタン又は/及びポリウレアからなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の記録方法。
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