JP2005343109A - マイクロカプセル及びその製造方法並びにそれを用いた記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光と熱の両方の刺激が与えられたときに物質透過性が顕著に変化するマイクロカプセル及びその製造方法の提供並びに、プリント時の省エネルギー化を実現可能な記録材料を提供すること。
【解決手段】 ウレタン及び/又はウレア構造を有する高分子化合物により形成されるカプセル壁を有するマイクロカプセルであって、前記カプセル壁は、下記一般式(A)で表されるビスイミダゾール化合物を含有することを特徴とするマイクロカプセル及びその製造方法並びにそれを用いた記録材料。
【化1】
Figure 2005343109

(一般式(A)中、RA〜RCは、各々独立に、アルキル基又はアリール基を表す。前記アルキル基又はアリール基は、さらに置換基を有していてもよい。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、マイクロカプセル及びその製造方法並びにそれを用いた記録材料に関する。
マイクロカプセルは工業的に有用であり、様々な分野で使用される。マイクロカプセルについては各種文献にその詳細が記載されている(例えば、非特許文献1〜4参照。)。
ウレタン及び/又はウレア構造を有する高分子化合物により形成されるカプセル壁を有するマイクロカプセル(以下、ウレタン・ウレア型マイクロカプセルと称することがある。)は、圧力や熱といったエネルギーで刺激することによりマイクロカプセルの物質透過性を変化させることができるという機能を持つことが知られている。すなわち、ウレタン・ウレア型マイクロカプセルは「刺激に応答して物質透過性を制御する容器」と見なすことができる。
従来知られているウレタン・ウレア型マイクロカプセルは1種類の刺激(圧力や熱)に応答して物質透過性を制御する容器であった。このようなマイクロカプセルは、例えば、従来のフルカラー画像を直接感熱方式で得る方式に用いられている。
フルカラー画像を得る感熱記録方式はいくつか知られているが、直接感熱方式でフルカラー画像を得ることは一般に難しく、何らかの工夫が必要である。
これまでに種々検討されているが、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物とを組み合わせた記録層と、極大吸収波長が異なる2種のジアゾニウム塩化合物とそれぞれのジアゾニウム塩化合物と反応して異なった色相に発色するカプラーとを組み合わせた2つの記録層、合計3つの記録層を用いることにより、直接感熱方式でフルカラーを得る方式が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1において、2種のジアゾニウム塩化合物の感光波長域は、それぞれ極大吸収波長400±20nmと360±20nmのものであり、支持体から見て近い方の層(特許文献1中では第二の感熱記録層と記載)に極大吸収波長360±20nmのジアゾニウム塩化合物(B')を用い、その上の層(遠い方の層、特許文献1中では第三の感熱記録層と記載)に極大吸収波長400±20nmのジアゾニウム塩化合物(A')を用いる構成が提案されている。
その記録方法としては、第三の感熱記録層を熱印字して発色させ、次いで第三の感熱記録層のジアゾニウム塩化合物(A')を光照射により分解する。その後に第二の感熱記録層を熱印字して発色させ、次いで第二の感熱記録層のジアゾニウム塩化合物(B')を光照射により分解する手順が採用されている。
近年、フルカラー画像を得るためのプリント時の省エネルギー化が求められている。
特許文献1に記載された方式は、インクリボンに塗布された染料を受像紙に転写するいわゆる熱転写方式に比べて、ジアゾニウム塩化合物の光分解(光定着)工程が余分に2つあるので、その分プリント時に必要なエネルギーは増える。そこで、プリント時間を短くするためには、ジアゾニウム塩化合物の光分解工程をできるだけ短時間で行うことが必要とされる。
また、特許文献1に記載の第三の感熱記録層を低熱エネルギーで、第二の感熱記録層を中熱エネルギーで、第一の感熱記録層を高熱エネルギーで記録するといったように3つ領域の熱エネルギーを分けて印字するが、当然のことながら熱エネルギーが高くなるに従い記録エネルギーは増大する。
このように熱印字の点からはできるだけ低熱エネルギーで記録(高感度記録)する方が好ましい。
特開平3−288688号公報 「マイクロカプセル〜その機能と応用」(近藤保編、日本規格協会、1991年)。 「マイクロカプセル〜その製法・性質・応用」(近藤保、小石真純著、三共出版、1987年)。 「コントロールリリース技術」(CMC出版、1985年)。 「Encapsulation and Controlled Release」(D.R.Karsa and R.A.Stephenson Ed.,Royal Society of Chemistry,1993)。
本発明は、記録材料のプリント時の省エネルギー化を実現するためになされたもので低熱エネルギー及び/又は低光定着エネルギーにて記録可能であり、具体的には、光と熱の両方の刺激が与えられたときに物質透過性が顕著に変化するマイクロカプセル及びその製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、本発明のマイクロカプセルを用いた、プリント時の省エネルギー化を実現可能な記録材料を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、
<1> ウレタン及び/又はウレア構造を有する高分子化合物により形成されるカプセル壁を有するマイクロカプセルであって、前記カプセル壁は、下記一般式(A)で表されるビスイミダゾール化合物を含有することを特徴とするマイクロカプセルである。
Figure 2005343109
(一般式(A)中、RA〜RCは、各々独立に、アルキル基又はアリール基を表す。前記アルキル基又はアリール基は、さらに置換基を有していてもよい。)
<2> 前記高分子化合物は、多価イソシアネート化合物を原料として製造されたものであることを特徴とする<1>に記載のマイクロカプセルである。
<3> 一般式(A)で表されるビスイミダゾール化合物は、前記高分子化合物と共有結合していることを特徴とする<1>又は<2>に記載のマイクロカプセルである。
<4> マイクロカプセルに内包される物質と、多価イソシアネート化合物と、を疎水性溶媒に溶解又は分散させて疎水性混合物を調製し、前記疎水性混合物を水溶性高分子水溶液中で連続的又は断続的に乳化分散させた後に前記多価イソシアネート化合物を界面重合反応させるマイクロカプセルの製造方法であって、前記多価イソシアネート化合物の少なくとも一種は、ビスイミダゾール骨格を有する化合物であることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法である。
<5> 支持体上に、少なくとも1層の記録層を有する記録材料であって、前記記録層の少なくとも1層は、<1>乃至<3>のいずれか1つに記載のマイクロカプセルを含有することを特徴とする記録材料である。
<6> 前記マイクロカプセルは、ジアゾニウム塩化合物又は電子供与性染料前駆体を内包することを特徴とする<5>に記載の記録材料である。
<7> 前記記録層は、感熱記録層であることを特徴とする<5>又は<6>に記載の記録材料である。
従来知られているウレタン・ウレア型マイクロカプセルは1種類の刺激(圧力や熱)に応答して物質透過性を制御する容器であるが、物質透過性を高度に制御するためには2種類の刺激を受けたときに初めて応答する容器の方が好ましい。このような点に着目して本発明者は研究を進めた結果、光と熱の両方の刺激が与えられたときに物質透過性が顕著に変化するマイクロカプセルを見出した。
本発明者の見出した「光と熱の両方の刺激が与えられたときに物質透過性が顕著に変化するマイクロカプセル」は、記録層の熱発色特性が、記録前は低感度であるが、記録直前の刺激(エネルギー付与)により高感度側に感度変化するものであり、この技術を高熱エネルギーで記録している第一の感熱記録層に適用することでプリント時の印字エネルギーを少なくすることが可能になる。
本発明によれば、光と熱の両方の刺激が与えられたときに物質透過性が顕著に変化するマイクロカプセル及びその製造方法を提供することができる。
さらに本発明は、プリント時の省エネルギー化を実現可能な記録材料を提供することができる。
以下、本発明のマイクロカプセル及びその製造方法並びにそれを用いた記録材料について詳細に説明する。
<マイクロカプセル>
本発明のマイクロカプセルは、ウレタン及び/又はウレア構造を有する高分子化合物により形成されるカプセル壁を有するマイクロカプセルであって、前記カプセル壁は、下記一般式(A)で表されるビスイミダゾール化合物(以下、本発明のBIM化合物と称することがある。)を含有することを特徴とする。
Figure 2005343109
一般式(A)中、RA〜RCは、各々独立に、アルキル基又はアリール基を表す。前記アルキル基又はアリール基は、さらに置換基を有していてもよい。
本発明のBIM化合物は感光性物質であり、光照射により下記スキームに従って分解する。ビスイミダゾール化合物の光化学的特性については、L.A.Cescos,G.R.Coraor et.al.;J.Org.Chem.,36,2262(1971)、T.Hayasi and K.Maeda,Bull.Chem.Soc.Jpn.,33,565(1960)、idem,ibid,37,1563(1964)及びL.A.Cescos,G.R.Coraor et.al.;J.Org.Chem.,36,2267(1971)等に詳しい。
Figure 2005343109
上記スキームに示すように、光照射された本発明のBIM化合物は、分解してラジカルを生ずる。該ラジカルは、水などの適当な水素原子供与分子から水素原子を引き抜いて安定なイミダゾール化合物となる。
本発明のBIM化合物の感光波長域は、紫外から可視短波領域(〜450nm)であるが、可視吸収色素を増感色素として用いると感光波長域を可視領域(〜700nm)にまで拡張できる。
従って、本発明のBIM化合物を分解させるのに必要な光源としては紫外光、可視光のものを任意に選択することができる。
前記増感色素としては、クマリン化合物、アミノフェニルケトン化合物、シアニン化合物など各種の色素を選択することができる。
具体的には、ビスイミダゾール化合物の増感色素として知られているものが有用であり、USP3533797号、同3552973号、同3554753号、同3563750号、同3652275号、同4454218号などに記載されているものを用いることができる。
本発明のBIM化合物は、光照射により独立した分子2つに分解するが、ウレタン・ウレア型マイクロカプセルにこの機構を適用すると光照射の前後でカプセル壁を形成する高分子化合物の架橋密度を変化させることが可能となる。
具体的には、マイクロカプセルのカプセル壁を形成するウレタン及び/又はウレア構造を有する高分子化合物と本発明のBIM化合物とを共有結合させて本発明のBIM化合物を前記高分子化合物の骨格中に導入する。このマイクロカプセルに光照射を行なうと、本発明のBIM化合物は開裂してカプセル壁の架橋密度が低下する。架橋密度は、物質の透過性を支配するものであるから、光照射の前後でカプセル壁における物質透過性を変化させることが可能となる。
そのため、本発明においては、本発明のBIM化合物は、前記高分子化合物と共有結合していることが好ましい。
一般式(A)におけるRA〜RCとしては、炭素数1〜15のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基が好ましい。特に、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ナフチル基が好ましい。さらにアルキル基は分岐していてもよい。
前記アルキル基、フェニル基又はナフチル基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、フェニル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、−OH、−NH2、−SH、−NCO、−NCSで置換されていてもよい。
以下に、一般式(A)におけるRA〜RCの具体例を示すが、本発明は下記具体例により限定されるものではない。
Figure 2005343109
本発明のBIM化合物の合成方法については、L.A.Cescons et.al.,J.Org.Chem.,36,2262(1971)に基本的な方法が記載されている。置換基RB、RCが異なる化合物の合成についてはUSP42522887号、同462286号に記載されている。置換基RA〜RCがNCO基置換されたフェニル基のものについては上記文献に記載のニトロ基置換されたフェニル基を還元、ホスゲン処理して容易に得られる。
また、置換基RA〜RCがヒドロキシフェニル基(フェノール残基)のものについてはUSP4009040に記載されているポリマー誘導体の中間体であり、容易に合成できる。
本発明のBIM化合物が、ウレタン及び/又はウレア構造を形成する高分子化合物と共有結合するためには、前記RA〜RCのうち少なくとも一つは−OH、−NH2、−SH、−NCO、−NCS基を有していることが好ましい。
すなわち、ウレタン・ウレア型マイクロカプセルの出発物質(モノマー)としては、−OH、−NH2、−SHを有している本発明のBIM化合物と多官能イソシアネートとの部分反応体(モノマーA)もしくは、−NCO、−NCSを有している本発明のBIM化合物と多官能アミン、多官能アルコール、多官能チオールとの部分反応体(モノマーB)を用いることが好ましい。
前記モノマーA及び前記モノマーBは、以下に示すビスイミダゾール化合物(BI)と、モノマー部分反応用原料(M)とを適切なモル比で反応させた反応生成物のことである。
ビスイミダゾール化合物(BI)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2005343109
Figure 2005343109
モノマー部分反応用原料(M)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2005343109
Figure 2005343109
前記モノマーA及び前記モノマーBは、下記[1]、[2]及び[3]の組み合わせで示される。
[1] ビスイミダゾール化合物(BI)の種類。
[2] モノマー部分反応用原料(M)の種類。
[3] BIとMとの反応モル比。
例えば、ビスイミダゾール化合物の具体例であるBI−2と、モノマー部分反応用原料の具体例であるM−1とを1:2のモル比で反応させた反応生成物(モノマーA)の場合、BI−2/M−1(1/2)化合物と表すこととする。BI−2/M−1(1/2)化合物の代表例を以下に示す。なお、モノマーAは、ビスイミダゾール化合物とモノマー部分反応用原料とが所定のモル比で反応した反応生成物であれば、複数の反応生成物の混合物であってもよい。
Figure 2005343109
同様に、モノマーBにおいて、BI−10/M−9(1/1)化合物というのは、ビスイミダゾール化合物の具体例であるBI−10と、モノマー部分反応用原料の具体例であるM−9とを1:1のモル比で反応させた反応生成物である。BI−10/M−9(1/1)化合物の代表例を以下に示す。モノマーAと同様、モノマーBは、ビスイミダゾール化合物とモノマー部分反応用原料とが所定のモル比で反応した反応生成物であれば、複数の反応生成物の混合物であってもよい。
Figure 2005343109
モノマーAの具体例としては、BI−1〜BI−9と、M−1〜M−8との組み合わせが挙げられ、モノマーBの具体例としては、BI−10〜BI−11と、M−9〜M−14との組み合わせが挙げられる。
本発明のマイクロカプセルに係るカプセル壁を形成する高分子化合物は、多価イソシアネート化合物を原料として製造されたものであることが好ましい。前記高分子化合物が、多価イソシアネート化合物を原料として製造されたものであれば、上述のモノマーA及びモノマーBをその他の原料として用いることにより、本発明のBIM化合物を前記高分子化合物と容易に共有結合させることができる。
前記多価イソシアネート化合物の具体例としては、米国特許3135716号、同3281383号、同3773695号、同3793268号、特開昭48−40347号、同49−24159号、同48−80191号、同48−84086号などに記載される化合物、特開昭60−49991の3項の10行目から示される化合物、特開平7−88356の段落番号0009から段落番号0032に記載される化合物、特開2001−129387の段落番号0017に記載される化合物、特開2002−144738の段落番号0006から段落番号0024に記載される化合物、特開2002−212256の段落番号0026から段落番号0040に記載される化合物、特開2003−64144の段落番号0028から段落番号0057に記載される化合物をあげることができる。
その他の具体例としては、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
また、特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物を用いることもできる。
これらの具体的化合物例としては以下を挙げることができる。
Figure 2005343109
本発明のBIM化合物と前記多価イソシアネート化合物との使用比率は任意でよいが、本発明のマイクロカプセルへ光照射した後に、本発明のマイクロカプセル中の内容物を外界から隔離する機能を残したい場合には、本発明のBIM化合物と前記多価イソシアネート化合物との使用比率(質量比)は、本発明のBIM化合物:前記多価イソシアネート化合物=10:90〜90:10が好ましく、特には30:70〜70:30が好ましい。
<マイクロカプセルの製造方法>
本発明のマイクロカプセルの製造方法は、マイクロカプセルに内包される物質と、多価イソシアネート化合物と、を疎水性溶媒に溶解又は分散させて疎水性混合物を調製し、前記疎水性混合物を水溶性高分子水溶液中で連続的又は断続的に乳化分散させた後に前記多価イソシアネート化合物を界面重合反応させるマイクロカプセルの製造方法であって、前記多価イソシアネート化合物の少なくとも一種は、ビスイミダゾール骨格を有する化合物であることを特徴とする。
本発明のマイクロカプセルの製造方法によれば、本発明のマイクロカプセルに係るカプセル壁に、本発明のBIM化合物を含有させることができる。
前記マイクロカプセルに内包される物質としては、例えば、後述するジアゾニウム塩化合物、電子供与性染料前駆体等が挙げられる。
前記ビスイミダゾール骨格を有する化合物としては、例えば、前記モノマーA及び前記モノマーBが挙げられる。
以下に、本発明のマイクロカプセルの製造方法を、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセルを例にして説明する。
ジアゾニウム塩化合物は、マイクロカプセルの芯となる疎水性溶媒に溶解又は分散させ、マイクロカプセルの芯となる疎水性混合物(油相)を調製する。このとき、さらに壁材として前述の多価イソシアネート化合物が添加される。
前記油相の調製に際し、ジアゾニウム塩化合物を溶解、分散してマイクロカプセルの芯の形成に用いる疎水性溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましく、例えば、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
カプセル化しようとするジアゾニウム塩化合物の前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いるジアゾニウム塩化合物の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもでき、該低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
このため、ジアゾニウム塩化合物は、高沸点疎水性有機溶媒、低沸点溶媒に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には、該溶剤に5質量%以上の溶解度を有していることが好ましい。水に対する溶解度は1質量%以下が好ましい。
水溶性高分子水溶液(水相)に前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により連続的又は断続的に乳化分散を行うが、該水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は公知の乳化用界面活性剤が使用可能である。
界面活性剤を添加する場合の添加量としては、油相質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
調製された油相を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子は、乳化しようとする温度における、水に対する溶解度が5質量%以上の水溶性高分子が好ましく、例えば、ポリビニルアルコール及びその変成物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
前記水溶性高分子は、多価イソシアネート化合物との反応性がないか、若しくは低いことが好ましく、例えば、ゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成する等して反応性をなくしておくことが好ましい。
前記多価イソシアネート化合物の使用量としては、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。また、その分散粒子径としては、0.2〜10μm程度が一般的である。
水相中に油相を加えた乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネート化合物の重合反応が起こりウレタン及び/又はウレア構造を有する高分子化合物により形成されるカプセル壁が生じる。
水相中又は油相の疎水性溶媒中に、さらにポリオール及び/又はポリアミンを添加しておけば、多価イソシアネート化合物と反応してカプセル壁の構成成分の一つとして用いることもできる。上記反応において、反応温度を高く保ち、或いは、適当な重合触媒を添加することが反応速度を速める点で好ましい。
これらのポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
ポリオール、反応触媒、あるいは、カプセル壁を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
乳化は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置の中から適宜選択して行うことができる。乳化後は、前記多価イソシアネート化合物の界面重合反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また、反応中はマイクロカプセル同士の凝集を防止するために、加水してマイクロカプセル同士の衝突確率を下げたり、十分な攪拌を行う等の必要がある。
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成の反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセルを得ることができる。
<記録材料>
本発明の記録材料は、支持体上に、少なくとも1層の記録層を有する記録材料であって、前記記録層の少なくとも1層は、本発明のマイクロカプセルを含有することを特徴とする。
本発明の記録材料における記録層としては、好ましくは感熱記録層が挙げられる。感熱記録層の発色成分としては、ロイコ系発色成分、ジアゾ系発色成分など、公知のものが制限なく用いうる。
本発明の記録材料において、本発明のマイクロカプセルは電子供与性染料前駆体又はジアゾニウム塩化合物などの発色成分を含む。本発明の記録材料の保存時は光照射前であるため、カプセル壁の架橋密度が高く物質の透過が生じにくく生保存性を向上することができる。一方、光照射後は、カプセル壁の架橋密度が低下するため物質の透過が生じやすくなり低い熱エネルギーでも記録層を発色させることができるようになる。
前記感熱記録層がジアゾニウム塩化合物を含むジアゾ感熱記録層である場合は、前記感熱記録層はジアゾニウム塩化合物と、前記ジアゾニウム塩化合物と反応して発色するカプラーと、を含有する。前記感熱記録層がジアゾニウム塩化合物を含む場合は、熱記録の後、定着(光定着)することが好ましい。
また、本発明の記録材料として、複数の互いに異なる色相に発色する感熱記録層を設けた多色感熱記録材料が挙げられる。前記多色感熱記録材料としては、極大吸収波長が異なる2種のジアゾニウム塩化合物と、それぞれのジアゾニウム塩化合物と反応して異なる色相に発色するカプラーとを組み合わせて含む2層のジアゾ感熱記録層、及び該ジアゾ感熱記録層とは別の感熱記録層を有するものが好ましい。
また、さらに前記多色感熱記録材料において、支持体に近い順から前記別の感熱記録層と前記2層のジアゾ感熱記録層とが積層されているものがより好ましい。前記別の感熱記録層としては、ジアゾ系発色成分を含む感熱記録層でも、ロイコ系発色成分を含む感熱記録層でも、さらに、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を生じて発色する発色系等のいずれの発色成分を含む感熱記録層でもよい。
前記ジアゾ感熱記録層2層における、前記ジアゾニウム塩化合物の一方の極大吸収波長は、445±50nmであり、前記ジアゾニウム塩化合物の他の一方の極大吸収波長は、365±30nmであることが好ましい。つまり、前記ジアゾ感熱記録層2層は、光定着時の定着波長を分画するために極大吸収波長445±50nmのジアゾニウム塩化合物(DA化合物)を含むジアゾ感熱記録層(A層)、極大吸収波長365±30nmのジアゾニウム塩化合物(DB化合物)を含むジアゾ感熱記録層(B層)から構成されていることが好ましい。
ジアゾ感熱記録層とは別の感熱記録層(C層)としてはロイコ染料(LC化合物)もしくは極大吸収波長305±30nmのジアゾニウム塩化合物(DC化合物)のどちらを用いても良い。3つの感熱記録層のうちC層は支持体に最も近いことが好ましいが、A層とB層とは支持体からどの順に設けても良い。すなわち、感熱記録層としては支持体から、C層/A層/B層の順に積層されていても、C層/B層/A層の順に積層されていても良い。
前記多色感熱記録材料の場合、支持体に最も近い記録層(C層)に本発明のマイクロカプセルが含有される態様であると、ジアゾ感熱記録層(A層又はB層)におけるジアゾニウム塩化合物の光定着に用いられる光により本発明のマイクロカプセルのカプセル壁の架橋密度を低下させることができるため好ましい。
本発明の記録材料においては、感熱記録層相互の混色を防ぐ目的で、各感熱記録層間に中間層を設けることもできる。
該中間層は、ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子化合物からなり、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明の多色感熱記録材料は、必要に応じて、さらにその上層として光透過率調整層若しくは保護層、又は光透過率調整層及び保護層を設けることが望ましい。
前記光透過率調整層については、特開平9−39395号公報、同9−39396号公報、特願平7−208386号公報等に記載されている。
光透過率調整層に、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を用いる場合には、定着に必要な波長領域の光を照射する前は、紫外線吸収剤として機能しないために高い光透過率を有するため、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させることができ、かつ可視光線の透過率も高く、感熱記録層の定着に支障をきたすことはない。
一方、前記紫外線吸収剤の前駆体は、光定着型感熱記録層の光定着(光照射によるジアゾニウム塩化合物の光分解)に必要な波長領域の光を照射した後、該光により反応を起こし紫外線吸収剤として機能するようになる。この紫外線吸収剤により、紫外線領域の波長の光の大部分が吸収されてその透過率が低下し、感熱記録材料の耐光性を向上させることが可能となる。しかしながら、可視光線の吸収性はないため、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は、感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、中でも特に、感熱記録層と保護層との間に形成することが好ましい。また、光透過率調整層の機能を保護層に持たせ、兼用させてもよい。
次に、本発明の記録層に用いる発色成分等について説明する。
(ジアゾニウム塩化合物)
ジアゾニウム塩化合物の詳細については、特開平4−59287号、特開平4−59288号、特開平10−337961号、特開平11−78233号、特開平11−116553号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特開平7−125446号、特開平7−96671号、特開2001−162946号、特開2002−326981号、特公平3−213120号、特公平3−394613号、特公平8−310133号、特願2002−241646号、特願2002−261318に記載されている。
前記多色感熱記録材料においては、前述の通り、2層のジアゾ感熱記録層のうちの一方に極大吸収波長445±50nmのジアゾニウム塩化合物を、他方に極大吸収波長365±30nmのジアゾニウム塩化合物を含有させることが望ましい。ジアゾ感熱記録層とは別の感熱記録層(C層)にジアゾニウム塩化合物を使用する場合には、305±30nmのジアゾニウム塩化合物を含有させることが望ましい。
−極大吸収波長445±50nmのジアゾニウム塩化合物(DA化合物)−
前記極大吸収波長が上限を超えると、ジアゾニウム塩化合物の安定性が劣化して実用性が不足し、下限を超えると、極大吸収波長365±30nmのジアゾニウム塩化合物の極大吸収波長範囲となり好ましくない。前記ジアゾニウム塩化合物(DA化合物)の極大吸収波長の範囲は、より好ましくは、395〜475nmである。
極大吸収波長445±50nmのジアゾニウム塩化合物としては、一般式(1)〜(5)で表されるジアゾニウム塩化合物であることが好ましい。
Figure 2005343109
一般式(1)〜(5)中、R1、R2、及びR4〜R11、R13〜R15は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、R3、R12、R16は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、スルホニル基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基を表し、D1はHammettのσp値が−0.05以下の電子供与性基を表し、中でも、置換アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基が好ましい。X-は対アニオンを表す。AはHammettのσp値が0.3以上の電子吸引性基を表す。Y1、Y2は酸素原子または硫黄原子を表す。一般式(1)〜(5)中のそれぞれのベンゼン環は更に置換基を有していてもよい。
前記R1、R2、及びR4〜R11、R13〜R15は、水素原子、炭素数1〜15のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基が好ましい。特に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基が好ましい。アルキル基は分岐していてもよく、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、フェニル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、又はカルバモイル基で置換されていてもよい。また、フェニル基は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、又はアシル基で置換されていてもよい。
前記R1、R2、及びR4〜R11、R13〜R15は、具体的には例えば以下に示すものが挙げられる。
Figure 2005343109
前記R3、R12、R16は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、塩素原子、フッ素原子、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜18のアシル基、又は炭素数1〜18のアルコキシカルボニル基が好ましい。アルキル基、アルキルスルホニル基は分岐していてもよく、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、フェニル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、又はカルバモイル基で置換していてもよい。
アリールスルホニル基は、ハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基で置換されていてもよい。
3、R12、R16は、具体的には例えば、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2005343109
前記Aとしては、スルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はシアノ基が好ましい。スルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基は、R3が表すスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基と同義である。
8とR9、R13とR14は互いに結合して環を形成していてもよい。
対アニオンX-の例としては、炭素数1〜20のパーフルオロアルキルカルボン酸(例えば、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロデカン酸、パーフルオロドデカン酸)、炭素数1〜20のパーフルオロアルキルスルホン酸(例えば、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロデカンスルホン酸、パーフルオロヘキサデカンスルホン酸)、炭素数7〜50の芳香族カルボン酸(例えば、4,4−ジ−t−ブチルサリチル酸、4−t−オクチルオキシ安息香酸、2−n−オクチルオキシ安息香酸、4−t−ヘキサデシル安息香酸、2,4−ビス−n−オクタデシルオキシ安息香酸、4−n−デシルナフトエ酸)、炭素数6〜50の芳香族スルホン酸(例えば、1,5−ナフタレンジスルホン酸、4−t−オクチルオキシベンゼンスルホン酸、4−n−ドデシルベンゼンスルホン酸)、4,5−ジ−t−ブチル−2−ナフトエ酸、テトラフッ化ホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、炭素数2〜20のビス(アルキルスルホニル)イミン、炭素数2〜20のビス(パーフルオロメタンスルホニル)イミン等が挙げられる。中でも、炭素数6〜16のパーフルオロアルキルカルボン酸、炭素数10〜40の芳香族カルボン酸、炭素数10〜40の芳香族スルホン酸、テトラフッ化ホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、炭素数2〜20のビス(パーフルオロメタンスルホニル)イミン等が好ましい。
前記D1が、Hammettのσp値が−0.05以下の電子供与性基として、置換アミノ基を表わす場合、置換アミノ基としては、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、炭素数6〜10のアリールアミノ基、炭素数7〜20のN−アルキル−N−アリールアミノ基、炭素数2〜20のアシルアミノ基が好ましく、これらの基はさらに1又は2以上の置換基を有していてもよい。また、前記アルキル基等の置換基同士が結合して環状アミノ基を形成してもよい。
1がHammettのσp値が−0.05以下の電子供与性基として、アルキルチオ基を表わす場合、炭素数1〜18のアルキルチオ基が好ましく、アリールチオ基を表わす場合、炭素数6〜10のアリールチオ基が好ましく、アルコキシ基を表わす場合、炭素数1〜18のアルコキシ基が好ましく、アリールオキシ基を表わす場合、炭素数6〜10のアリールオキシ基が好ましく、これらの基はさらに1又は2以上の置換基を有していてもよい。
ジアゾニウム塩化合物の安定性の観点から、D1がジアルキルアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。
前記D1が示すHammettのσp値が−0.05以下の電子供与性基である、置換アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基におけるアルキル基、アリール基としては以下のようなものが挙げられる。
Figure 2005343109
一般式(1)中のD1が置換アミノ基を示す場合の、置換基同士が結合して形成される環状アミノ基、並びに一般式(2)中の−N(R8)R9、及び一般式(5)中の−N(R13)R14の環状のものとしては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2005343109
一般式(3)のインドリル基上のベンゼン環は核置換基を有していてもよく、特に環の安定性の観点から電子吸引性基が好ましい。電子吸引性基のHammettのσp値としては0.1以上が好ましい。中でも、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、スルホンアミド基、又はカルボンアミド基が好ましい。アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基は前記R3と同義であり、好ましい態様も同様である。スルホンアミド基は炭素数1〜12のものが好ましく、具体的には、次のものが挙げられる。
Figure 2005343109
カルボンアミド基は、炭素数2〜13のものが好ましく、具体的には以下のものが挙げられる。
Figure 2005343109
以下に、一般式(1)〜(5)で表されるジアゾニウム塩化合物(DA化合物)の具体例(例示化合物(DA1)〜(DA16))を挙げるが本発明は以下に限定されるものではない。
Figure 2005343109
Figure 2005343109
Figure 2005343109
−極大吸収波長365±30nmのジアゾニウム塩化合物(DB化合物)−
前記極大吸収波長が上限を超えると、極大吸収波長445±50nmジアゾニウム塩化合物の極大吸収波長範囲となり好ましくない。また、下限を超えると、ジアゾニウム塩化合物の安定性劣化と光分解性劣化となる。前記ジアゾニウム塩化合物(DB化合物)の極大吸収波長の範囲は、より好ましくは、350〜375nmである。
前記極大吸収波長365±30nmのジアゾニウム塩化合物としては、下記一般式(6)で表されるジアゾニウム塩化合物が好ましい。
Figure 2005343109
一般式(6)中、R17及びR18は、R1と同義であり、好ましい例も同様である。
前記D2はアルコキシ基又はアリールオキシ基を表す。該アルコキシ基のアルキル部、アリールオキシ基のアリール部はR1が表すアルキル基、アリール基と同義であり、好ましい例も同様である。
以下に、一般式(6)で表されるジアゾニウム塩化合物の具体例(例示化合物(DB−1)〜(DB−6))を挙げるが本発明は以下に限定されるものではない。
Figure 2005343109
−極大吸収波長305±30nmのジアゾニウム塩化合物(DC化合物)−
前記極大吸収波長が上限を超えると、極大吸収波長365±30nmジアゾニウム塩化合物の極大吸収波長範囲となり好ましくない。また、下限を超えると、ジアゾニウム塩化合物の安定性劣化となる。前記ジアゾニウム塩化合物(DC化合物)の極大吸収波長の範囲は、より好ましくは、280〜325nmである。
前記極大吸収波長305±30nmのジアゾニウム塩化合物としては、下記一般式(7)、(8)で表されるジアゾニウム塩化合物が好ましい。
Figure 2005343109
一般式(7)、(8)中、D3、D4はHammettのσp値が−0.45以上の基を表す。R19は、パーフルオロアルキル基、アシル基又はスルホニル基を表し、アシル基及びスルホニル基は前記R3と同義である。
パーフルオロアルキル基としては、炭素数1〜8のものが好ましく、特に−CF3、−C37又は−C817が好ましい。
一般式(7)中のX-は対アニオンを表す。一般式(8)のZは−SO2−、−CO−を表す。
Hammettのσp値が−0.45以上の基を表すD3、D4としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、水素原子、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アルコキシカルボニル基が好ましい。さらに好ましくは、Hammettのσp値が−0.30以上の基である。
アルコキシ基としては、置換可能な炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ(σp=−0.27)、エトキシ、ブチルオキシ(σp=−0.32)、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、3−メチル−5,5−ジメチルヘキシルオキシ、デシルオキシ、フェノキシエトキシ、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェニル)オキシエチルオキシ等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、置換可能な炭素数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェノキシ(σp=−0.03)、メチルフェノキシ、イソプロピルフェノキシ、2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ、クロロフェノキシ、メトキシフェノキシ等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル(σp=−0.17)、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、置換可能な炭素数1〜8のアルキルチオ基が好ましく、例えば、メチルチオ、エチルチオ(σp=0.03)、ブチルチオ、オクチルチオ、ベンジルチオ等が挙げられる。
アリールチオ基としては、置換可能な炭素数6〜10のアリールチオ基が好ましく、例えば、フェニルチオ(σp=0.18)、メチルフェニルチオ、クロロフェニルチオ、メトキシフェニルチオ等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子(σp=0.23)、フッ素原子(σp=0.06)等が好ましい。
アルキルスルホニル基としては、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル(σp=0.72)、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、ベンジルスルホニル等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル(σp=0.45)、ブチルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル等が挙げられる。
一般式(7)中のX-は一般式(1)と同義である。
一般式(7)、(8)中のベンゼン環は、更に置換基を有していても良い。
該置換基としては、どんな置換基でも可能であるが、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アルコキシカルボニル基などが好ましい。前記アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルコキシカルボニル基は、前記D3のそれぞれに対応する置換基と同義である。
一般式(7)では、前記ベンゼン環上のジアオニオ基のオルト位(o−位)に置換されていることが好ましい。
以下に、一般式(7)、(8)で表されるジアゾニウム塩化合物の具体例(例示化合物(DC−1)〜(DC−6))を挙げるが本発明は以下に限定されるものではない。
Figure 2005343109
また、ジアゾニウム塩化合物は、油状、結晶状のいずれであってもよいが、取扱い性の点で常温で結晶状態のものが好ましい。このジアゾニウム塩化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、また、既存のジアゾニウム塩化合物と併用してもよい。
前記ジアゾニウム塩化合物のジアゾ感熱記録層における含有量としては、0.02〜5g/m2が好ましく、発色濃度の点から0.1〜4g/m2がより好ましい。
ジアゾニウム塩化合物の安定化のために、塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズ等を用いて錯化合物を形成させ、ジアゾニウム塩化合物の安定化を図ることもできる。
(カプラー)
次に、本発明の記録材料において使用可能なカプラー(カップリング成分)について説明する。
前記カプラーとしては、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成するものであればいずれの化合物も使用可能である。ハロゲン化銀写真感光材料用のいわゆる4当量カプラー化合物はすべてカプラーとして使用可能である。また、2当量カプラーの一部も使用可能である。これらは目的とする色相に応じて選択することが可能である。
例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体等があり、本発明の目的に合致する範囲で使用される。
カプラーの詳細については、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特開平7−125446号、特開平7−96671号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平9−156229号、特開平9−216468号、特開平9−216469号、特開平9−203472号、特開平9−319025号、特開平10−35113号、特開平10−193801号、特開平10−264532号等の公報に記載されている。
上記のうち、本発明においては、下記一般式(9)で表される化合物又はその互変異性体が特に好ましい。
以下に、一般式(9)で表されるカプラーについて詳述する。
Figure 2005343109
一般式(9)中、E1とE2はそれぞれ独立に電子吸引性基を表し、Lはアゾカップリングするときに離脱してアゾ色素を形成することができる基を表す。またE1とびE2は結合して環を形成してもよい。
前記E1及びE2で表される電子吸引性基とは、Hammettのσp値が正である置換基を意味し、これらは同一であっても異なっていてもよく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、1−メチルシクロプロピルカルボニル基、1−エチルシクロプロピルカルボニル基、1−ベンジルシクロプロピルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、テノイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、4−メトキシフェノキシカルボニル基等のオキシカルボニル基;カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−〔2,4−ビス(ペンチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、N−〔2,4−ビス(オクチルオキシ)フェニル〕カルバモイル基、モルホリノカルボニル基等のカルバモイル基;メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基;ジエチルホスホノ基等のホスホノ基;ベンゾオキサゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン−2−イル基、3,4−ジヒドロキナゾリン−4−スルホン−2−イル基等の複素環基;ヘテロ環基;ニトロ基;イミノ基;シアノ基が好適に挙げられる。
また、E1及びE2で表される電子吸引性基は、両者が結合し環を形成してもよい。E1及びE2で形成される環としては、5員ないし6員の炭素環又は複素環が好ましい。
一般式(9)におけるLはアゾカップリング時に脱離する基を示すが、離脱基Lとしては、ハロゲン原子(フッ素、臭素、塩素、沃素)、置換アルキル基(ヒドロキシメチル基、ジメチルアミノメチル基)、アルキルチオ基(例えば、エチルチオ基、2−カルボキシエチルチオ基、ドデシルチオ基、1−カルボキシドデシルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、2−ブトキシ−t−オクチルフェニルチオ基)、アルコキシル基(例えば、エトキシ基、ドデシルオキシ基、メトキシエチルカルバモイルメトキシ基、カルボキシプロピルオキシ基、メチルスルホニルエトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、4−メチルフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−カルボキシフェノキシ基、3−エトキシカルボキシフェノキシ基、3−アセチルアミノフェノキシ基、2−カルボキシフェノキシ基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、テトラデカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、アリールスルホニルオキシ基(例えば、トルエンスルホニルオキシ基)、ジアルキルアミノカルボニルオキシ基(例えば、ジメチルアミノカルボニルオキシ基、ジエチルアミノカルボニルオキシ基)、ジアリールアミノカルボニルオキシ基(例えば、ジフェニルアミノカルボニルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、エトキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基)、又は複素環基(例えば、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基)が挙げられる。
以下に、一般式(9)で表されるカプラーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下に示すカプラーの互変異性体も好適なものとして挙げることができる。
Figure 2005343109
Figure 2005343109
Figure 2005343109
Figure 2005343109
Figure 2005343109
Figure 2005343109
前記カプラーの互変異性体とは、上記に代表されるカプラーの異性体として存在するものであって、その両者間で構造が容易に変化し合う関係にあるものをいい、本発明に用いるカプラーとしては、該互変異性体も好ましい。
本発明に用いるカプラーは、例えば、水溶性高分子、有機塩基、その他の発色助剤等とともに、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、特に好ましくは、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。さらに、カプラー、有機塩基は別々に乳化分散することも、混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することも可能である。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
前記カプラーの使用量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
この場合に使用される高沸点有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載の高沸点オイルの中から適宜選択することができる。中でも、乳化分散物の乳化安定性の観点から、エステル類が好ましく、リン酸トリクレジルが特に好ましい。上記オイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
前記有機溶剤に、さらに溶解助剤として、低沸点の補助溶剤を加えることもでき、該補助溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等を好適に挙げることができる。場合に応じて、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
また、水相中に保護コロイドとして含有させる水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができ、中でも、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等が好ましい。
また、水相中に含有させる界面活性剤としては、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤であって、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。該界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
(塩基性物質、その他)
本発明においては、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で、有機塩基等の塩基性物質を加えることも好ましい態様である。
前記有機塩基としては、第3級アミン類、ピぺリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられ、例えば、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものを好適に挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上併用してもよい。
上記のうち、具体的には、N,N'−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N'−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N'−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N'−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N'−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N'−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ)ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,8−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
本発明の記録材料においては、カプラーとしてアゾカップリング時に脱離する基Lを有する化合物を用いる場合、カップリング反応を促進する目的で、記録層中に、アミノフェノール系、フェノール系、カテコール系、ハイドロキノン系、アミン系、ヒドロキシアミン系、アルコール系、チオール系、スルフィド系、アルカリ金属、アルカリ土類金属、金属水素化物、ヒドラジン系、フェニドン系、アニリン系、フェニルエーテル系、L−アスコルビン酸類等の還元剤を添加することが好ましく、なかでも、ハイドロキノン系、カテコール系、アミノフェノール系還元剤が好ましい。中でも、ハイドロキノン系、カテコール系、アミノフェノール系が好ましい。
これらの還元剤は、記録層に微粒子状態で固体分散させてもよい。また、ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセル化した場合には、マイクロカプセルの内に添加することも、マイクロカプセルの内と外の両方に添加することも可能である。
また、前記還元剤の含有量は、ジアゾニウム塩化合物に対して1〜10倍モルであることが好ましく、1〜4倍モルであることがより好ましい。ジアゾニウム塩化合物の含有量の1倍モルより少ない添加量では、発色性の向上効果や、画像保存性の向上効果が充分に得られないことがあり、一方、10倍モルより多く添加すると、却って発色性の向上効果が小さくなったり、また、生保存性が悪化したりすることがある。
前記塩基性物質の使用量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
前記使用量が、0.1質量部未満であると、十分な発色濃度が得られなくなることがあり、30質量部を超えると、ジアゾニウム塩化合物の分解が促進されることがある。
また、感熱記録層中には、上記塩基性物質の他、発色反応を促進させる、即ち、低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画させる目的で、発色助剤を加えることもできる。ここで、発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、若しくは発色温度を制御する物質であり、カプラー、塩基性物質若しくはジアゾニウム塩化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下させうる作用により、ジアゾニウム塩化合物、塩基性物質、カプラー等が反応しやすい条件とするためのものである。
前記発色助剤としては、例えば、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物、ヒドロキシ化合物等が挙げられる。
前記発色助剤には、熱融解性物質も含まれる。
該熱融解性物質は、常温下では固体であって、加熱により融解する融点50℃〜150℃の物質であり、ジアゾニウム塩化合物、カプラー、或いは、有機塩基等を溶解しうる物質である。具体的には、カルボン酸アミド、N置換カルボン酸アミド、ケトン化合物、尿素化合物、エステル類等を挙げることができる。
本発明の記録材料においては、熱発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、又は、定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
前記酸化防止剤については、例えば、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同第309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載されている。
感熱若しくは感圧記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。
前記各種添加剤としては、例えば、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2.4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
前記酸化防止剤、又は各種添加剤の添加量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.05〜100質量部が好ましく、0.2〜30質量部がより好ましい。
前記酸化防止剤及び各種添加剤は、マイクロカプセル中にジアゾニウム塩化合物とともに含有させてもよいし、或いは、固体分散物としてカプラー、塩基性物質及びその他の発色助剤とともに含有させてもよいし、乳化物にして適当な乳化助剤とともに含有させてもよいし、又はその両形態で含有させてもよい。また、酸化防止剤、又は各種添加剤は、単独で用いてもよく、複数併用することもできる。さらに、保護層に含有させることもできる。
前記酸化防止剤及び各種添加剤は、必ずしも同一層に添加しなくてもよい。
前記酸化防止剤及び/又は各種添加剤を複数組合わせて用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ビンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、リン化合物、硫黄化合物のように構造的に分類し、互いに異構造のものを組合わせてもよいし、同一のものを複数組合わせることもできる。
画像記録後の地肌部の黄着色を軽減する目的で、光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を添加することができる。
前記遊離基発生剤としては、例えば、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類等が挙げられる。
該遊離基発生剤の添加量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
また、同様に黄着色を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、「ビニルモノマー」と称する。)を用いることもできる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。
前記ビニルモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。該ビニルモノマーは、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.2〜20質量部の割合で用いる。
前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
さらに、酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することもできる。
前記感熱記録層は、例えば、ジアゾニウム塩化合物を含有したマイクロカプセル、カプラー、必要に応じて塩基性物質及び他の成分等を含有する塗布液を調製し、該塗布液を紙や合成樹脂フィルム等の支持体上に塗布、乾燥することにより塗設することができる。
本発明においては、前記感熱記録層が塩基性物質を含有する態様が好ましい。
前記塗布は、公知の塗布方法の中から適宜選択することができ、例えば、バー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等が挙げられる。
また、塗布、乾燥後の感熱記録層の乾燥塗布量としては、2.5〜30g/m2が好ましい。
本発明の記録材料における感熱記録層の構成態様としては、特に限定されるものではなく、例えば、マイクロカプセル、カプラー、塩基性物質等が全て同一層に含まれた、単一層よりなる態様であってもよいし、別層に含まれるような複数層積層型の態様であってもよい。また、支持体上に、特開昭61−54980号公報等に記載の中間層を設けた後、感熱記録層を塗布形成した態様であってもよい。いずれの態様においても、さらに、色相の異なる単色かつ単一の感熱記録層を複数層積層したフルカラー発色型の態様である。
本発明の記録材料において、感熱記録層、中間層又は後述の保護層等の各層にはバインダーを含有することができ、該バインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等の中から適宜選択することができる。
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変性物等が挙げられる。
前記ラテックス類としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
中でも、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン誘導体、ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリル酸アミド誘導体等が好ましい。
また、本発明の記録材料には顔料を含有させることもでき、該顔料としては、有機、無機を問わず公知のものが挙げられ、例えば、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
また、必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその前駆体等の各種添加剤を使用することもできる。
本発明の記録材料においては、必要に応じて、感熱記録層上に保護層を設けてもよい。該保護層は、必要に応じて二層以上積層してもよい。
前記保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類等が挙げられる。
前記水溶性高分子化合物は、架橋させることで、より一層保存安定性を向上させることもできる。該架橋剤としては、公知の架橋剤の中から適宜選択することができ、例えば、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物;グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類;硼酸、硼砂等の無機系架橋剤;ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
前記保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤等を使用することもできる。また、前記蛍光増白剤前駆体を保護層に含有せしめてもよい。
保護層の塗布量としては、乾燥塗布量で0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜2g/m2がより好ましい。その膜厚としては、0.2〜5μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。
また、保護層を設ける場合には、該保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有させてもよい。
前記保護層は、支持体上に感熱記録層を形成する場合と同様、上述の公知の塗布方法により設けることができる。
本発明の記録材料に使用可能な支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙等に用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム等を使用することができる。
支持体上には、カールバランスを補正する目的で、或いは、裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよい。該バックコート層は、前記保護層と同様にして設けることができる。
さらに、必要に応じて、支持体と感熱記録層との間、或いは、支持体の感熱記録層が設けられた側の表面にアンチハレーション層を、その裏側の表面にスベリ層、アンチスタチック層、粘着剤層等を設けることもできる。
また、支持体の裏面(感熱記録層が設けられない側の表面)に、接着剤層を介して剥離紙を組合わせてラベルの形態としてもよい。
ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルに内包することにより、記録材料としての長期での安定性をより高めることができる。
(電子供与性染料前駆体)
本発明の記録材料の記録層は、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物を含有してもよい。また、電子供与性染料前駆体は、前記ジアゾニウム塩化合物と同様マイクロカプセルに内包させることが好ましい。
電子供与性染料前駆体および電子受容性化合物などは、特開平6−328860号公報、特開平7−290826号公報、特開平7−314904号公報、特開平8−324116号公報、特開平3−37727号公報、特開平9−31345号公報、特開平9−111136号公報、特開平9−118073号公報、特開平11−157221号公報、などに詳しく記載されている。電子供与性染料前駆体の具体例を以下に示すが本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2005343109
Figure 2005343109
Figure 2005343109
(電子受容性化合物)
電子受容性化合物としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。これらの一部を例示すれば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフ
ェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
(記録方法)
本発明の記録材料を用いた記録方法は以下の通りである。
画像記録工程について、記録層としてジアゾニウム塩化合物を含むジアゾ感熱記録層を設けた感熱記録材料を例にとって説明すると、感熱記録材料のジアゾ感熱記録層が設けられた側の表面を、サーマルヘッド等の加熱装置により画像様に加熱印画することにより、ジアゾ感熱記録層の加熱部で、層中のウレタン及び/又はウレア構造を有する高分子化合物により形成されるカプセル壁が軟化して物質透過性となり、カプセル外のカプラーや塩基性物質(有機塩基)がマイクロカプセル内に浸入すると、画像様に発色して画像形成する態様の方法であってもよい。
この場合、マイクロカプセルを加熱する前に光照射することによりマイクロカプセル壁を形成する高分子化合物の架橋密度を低下させることができる。その結果として、低い熱エネルギーでも記録層を発色させることができるようになる。
また、発色後、さらにジアゾニウム塩化合物の吸収波長に相当する光を照射することにより(光定着)、ジアゾニウム塩化合物が分解反応を起こしてカプラーとの反応性を失い、画像の定着を図ることができる。上記のように光定着を施すことにより、未反応のジアゾニウム塩化合物は、分解反応を生じてその活性を失うため、形成した画像の濃度変動や、非画像部(地肌部)におけるステインの発生による着色、即ち、白色性の低下、該低下に伴う画像コントラストの低下を抑制することができる。
前記光定着に用いる光源としては、種々の発光ダイオード、蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯等が挙げられ、これら光源の発光スペクトルが感熱記録材料中のジアゾニウム塩化合物の吸収スペクトルとほぼ一致していることが、高効率に定着しうる点で好ましい。また、光定着の経時的安定性の観点から発光ダイオードが好ましい。 加熱は熱ヘッドによって行ってもよく、熱ローラーを用いて行ってもよい。
また、光により画像様に書き込みを行い、熱現像して画像化する光書込み熱現像型感熱記録材料として用いることもできる。この場合、印字印画過程を、上記のような加熱装置に代えてレーザ等の光源が担う。
本発明の記録材料において、複数の互いに異なる色相に発色する感熱記録層を設けた多色感熱記録材料であって、支持体に最も近い記録層(C層)に含まれる発色成分が本発明のマイクロカプセルに含有されている場合の記録工程を説明する。
感熱記録層として支持体からC層/B層/A層の順に積層されている場合、例えば、以下のようにして行うことができる。以下は、支持体上に電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物とを含有する第三の感熱記録層(C層)と、極大吸収波長365±30nmのジアゾニウム塩化合物を含む第二の感熱記録層(B層)と、極大吸収波長445±50nmのジアゾニウム塩化合物を含む第一の感熱記録層(A層)とを有する多色感熱記録材料を用いた例である。
まず、第一の感熱記録層(A層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物(DA化合物)とカプラーとを反応させ発色させる。次いで、445±50nmの光を照射(光定着)して第一の感熱記録層(A層)中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物(DA化合物)を分解させる。次に、第二の感熱記録層(B層)が発色するに十分な熱を与え、該層に含まれているジアゾニウム塩化合物(DB化合物)とカプラー化合物とを反応させ発色させる。このとき第一の感熱記録層(A層)も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物(DA化合物)は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。この後、365±30nmの光を照射(光定着)して第二の感熱記録層(B層)に含まれているジアゾニウム塩化合物(DB化合物)を分解させる。最後に、第三の感熱記録層(C層)が発色するに十分な熱を与えて発色させる。このとき第一、第二の感熱記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解しており、発色能力が失われているので発色しない。
また、A層またはB層を光定着する際にC層に存在する本発明のマイクロカプセルのカプセル壁を形成する高分子化合物の架橋密度が低下するため、C層を発色させるための熱エネルギーは、少なくてすむ。
感熱記録層として支持体から、C層/B層/A層の順に積層されている場合、発色色相としては、支持体からシアン/マゼンタ/イエロー、マゼンタ/シアン/イエロー、イエロー/シアン/マゼンタの組合せが好ましい。感熱記録層として支持体から、C層/A層/B層の順に積層されている場合、発色色相としては、支持体からシアン/イエロー/マゼンタ、マゼンタ/イエロー/シアン、イエロー/マゼンタ/シアンの組合せが好ましい。
以下、実施例において本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、以下において「部」は特に限定のない限り「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
[実施例1]
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン,ニッピコラーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
<アルカリ処理ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、アルカリ処理ゼラチン溶液を得た。
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液の調製>
酢酸エチル18.1部に、電子供与性染料前駆体(LC−4)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタンおよび1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名;ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)16.0部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材として本発明のBI−2/M−1(1/2)化合物5.3部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)7.2部を添加し、均一に攪拌し混合液(A)を得た。
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50%)日本精化(株)製)0.17部およびドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加して混合液(B)を得た。
混合液(A)に混合液(B)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、エチルトリアミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行ないカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.97μmであった。
更に上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部を添加して均一に撹拌して電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液を得た。
<電子受容性化合物分散液の調製>
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4'−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部、2%−2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散した後、分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6%であった。
上記分散液100部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液を得た。
<感熱記録層用塗布液の調製>
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液及び前記電子受容性化合物分散液を混合し感熱記録層用塗布液を得た。これらの配合比(質量)は、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体が10/1(質量)となるようにした。
<保護層用塗布ブレンド液の調製>
(iv−1)保護層用ポリビニルアルコール溶液の作成
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57,(54%水溶液),東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
(iv−2)保護層用顔料分散液の作成
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して保護層用顔料分散液を作成した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20%水分散液)、日産化学(株)製)8.1部を添加して目的の分散物を得た。
(iv−3)保護層用マット剤分散液の作成
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)180部に1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
(iv−4) 保護層用塗布ブレンド液の調製
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部にフッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,5%水溶液,大日本インキ化学工業(株))40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製、2.0%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部、イオン交換水280部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
<感熱記録層用塗布液の塗布>
上質紙にポリエチレンラミネートした印画紙用支持体の上に、下から、前記感熱記録層用塗布液、前記保護層用塗布ブレンド液の順に2層同時に連続塗布し、30℃湿度30%、および40℃湿度30%の条件でそれぞれ乾燥して感熱記録材料を得た。
前記感熱記録層用塗布液(c)の塗布量は液中に含まれる電子供与性染料(LC−4)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となるように塗布を行った。保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布を行った。
[実施例2]
実施例1のカプセル壁材を本発明のBI−6/M−1(1/2)化合物4.9部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)7.6部の組成に変更した他は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
[実施例3]
実施例1のカプセル壁材を本発明のBI−6/M−1(1/2)化合物3.7部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物 (商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)8.1部の組成に変更した他は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
[比較例1]
実施例1のカプセル壁材をポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)12.5部に変更した他は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
[比較例2]
実施例1のカプセル壁材をキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物 (商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)13.0部に変更した他は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
[画像記録]
画像記録は、サーマルヘッドKST(京セラ(株)製)と発光ダイオードを用いて以下の方法で行った。
最初に発光中心波長が380nmの発光ダイオードで20秒間露光した。発光ダイオードの出力としては、単位面積あたりの露光エネルギーとして下記実施例4で用いたジアゾニウム塩化合物(DB−4)が完全に分解するエネルギー量に設定した。
次いで、露光部と未露光部の両方に対し、サーマルヘッドで80〜140mJ/mm2の印加エネルギーで熱記録した。このようにして得た画像部のシアン濃度を、X−rite model 310(X−rite、Incorporated製)で測定した。露光部と未露光部の両方に対し、サーマルヘッドで熱印加しない部分(白地部)のシアン濃度についても、X−rite model 310(X−rite、Incorporated製)で測定した。
印加エネルギーが80、100、120、140mJ/mm2の4点に対するシアン濃度の測定結果を表1に示す。
Figure 2005343109
表1から、本発明のマイクロカプセルを使用することにより、露光部の発色感度が大きく向上することがわかる。すなわち、光と熱の両方のエネルギーが加わることにより発色するという特性を持つ記録材料が提供できる。
[実施例4]
感熱記録層として支持体から、C層/B層/A層の順に積層されている場合である。
(1)第一の感熱記録層(A層)液の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル16.1部に、ジアゾニウム化合物(DA−2)4.4部、イソプロピルビフェニル4.8部、フタル酸ジフェニル4.8部およびジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASFジャパン(株)製)0.4部を添加し40℃に加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50%)日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.36μmであった。
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル33.0部にカプラー化合物(C−31)9.9部と4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.8部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製) 13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 4.2部を溶解し、混合液(III)を得た。
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になるように濃度調節を行った。得られたカプラー化合物乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
更に上記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(商品名SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に撹拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
<感熱記録層用塗布液(a)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)および前記カプラー化合物分乳化液(a)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾニウム塩化合物の質量比が2.1/1になるように混合し、感熱記録層用塗布液(a)を得た。
(2)第二の感熱記録層(B層)液の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.1部に、ジアゾニウム塩化合物(DB−4)(極大吸収波長365nm)2.8部、フタル酸ジフェニル3.5部、フェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.5部及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(商品名;ライトエステルTMP,共栄油脂化学(株)製)4.2部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 0.1部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部添加、混合し、混合液(VI)を得た。
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.43μmであった。
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル36.9部にカプラー化合物(C−9)11.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))14.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン 14部、リン酸トリクレジル 1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
別途アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(VIII)を得た。
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液(b)の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.22μmであった。
<感熱記録層用塗布液(b)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)および前記カプラー化合物分乳化液(b)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾニウム塩化合物の質量比が3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)をカプセル液量10部に対し、0.2部になるように混合し、感熱記録層用塗布液(b)を得た。
(3)第三の感熱記録層(C層)液の調製
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料前駆体(LC−4)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタンおよび1−(1−メチルプロプルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名;ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)8.0部、下記化合物(I)(商品名;Irgaperm2140 チバガイギー(株)の商品名)8.0部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材として本発明のBI−2/M−1(1/2)化合物5.3部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)7.2部を添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50%)日本精化(株)製)0.17部およびドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(X)を得た。
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、エチルトリアミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行ないカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で1.00μmであった。
更に上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部を添加して均一に撹拌して電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)を得た。
Figure 2005343109
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4'−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部、2%−2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散した後、分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6%であった。
上記分散液100部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
<感熱記録層用塗布液(c)の調製>
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)、前記電子受容性化合物分散液(c)を混合し感熱記録層用塗布液(c)を得た。前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)と前記電子受容性化合物分散液(c)の配合比(質量)は、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体が10/1(質量)となるようにした。
<中間層用塗布液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃にて溶解し、中間層作成用ゼラチン水溶液を得た。
前記中間層作成用ゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0%水溶液)0.05部、硼酸(4.0%水溶液)1.5部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)0.19部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4%水溶液3.42部、下記化合物(J')の4%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
Figure 2005343109
<光透過率調整層用塗布液の調製>
(iii−1)紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製
酢酸エチル71部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート4.5部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン1.0部、燐酸トリクレジル3.8部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C (70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製) 0.45部を溶解し均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物 (商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)54.7部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を得た。
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52部に30%燐酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を作成した。
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06部に前記紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3 (オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13.5%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このカプセル液859.1部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
(iii−2) 光透過率調整層用塗布液の調製
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、フッ素系界面活性剤 (商品名:メガファックF−120,5%水溶液,大日本インキ化学工業 (株))5.2部、4%水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
<保護層用塗布液の調製>
(iv−1)保護層用ポリビニルアルコール溶液の作成
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57,(54%水溶液),東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
(iv−2)保護層用顔料分散液の作成
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して保護層用顔料分散液を作成した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20%水分散液)、日産化学(株)製)8.1部を添加して目的の分散物を得た。
(iv−3)保護層用マット剤分散液の作成
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)180部に1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
(iv−4) 保護層用塗布ブレンド液の調製
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部にフッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120,5%水溶液,大日本インキ化学工業(株))40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製、2.0%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部、イオン交換水280部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
上質紙にポリエチレンラミネートした印画紙用支持体の上に、下から、前記感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、30℃湿度30%、および40℃湿度30%の条件でそれぞれ乾燥して多色感熱記録材料を得た。
この際前記感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(DA−2)の塗布量が固形分塗布量で0.150g/m2となるように、同様に前記感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(DB−4)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/m2となるように、同様に前記感熱記録層用塗布液(c)の塗布量は液中に含まれる電子供与性染料(LC−4)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となるように塗布を行った。
また、前記中間層用塗布液は前記感熱記録層用塗布液(a)と前記感熱記録層用塗布液(b)との間は固形分塗布量が2.39g/m2、前記感熱記録層用塗布液(b)と前記感熱記録層用塗布液(c)との間は固形分塗布量が3.34g/m2、前記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.20g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布を行った。
[比較例3]
実施例4における電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)のカプセル壁材をポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)12.5部に変更した他は実施例4と同様に行い、感熱記録材料を得た。
[画像記録、白色度試験及び定着性試験]
<画像記録>
画像記録は、サーマルヘッドKST(京セラ(株)製)と発光ダイオードを用いて以下の方法で行った。
最初に第一の感熱記録層(A層)の記録を行った。未印字部を残しながら単位面積当たりの記録エネルギーとして25〜75mJ/mm2の範囲で印画し、その後発光中心波長が450nmの発光ダイオードで20秒間曝光し、第一の感熱記録層(A層)のジアゾニウム塩化合物(DA化合物)を完全に光分解させて画像定着を行った。発光ダイオードの出力としては、第一の感熱記録層(A層)のジアゾニウム塩化合物が20秒で完全に光分解するように投入電力を設定した。
次に第二の感熱記録層(B層)の記録を行った。未印字部を残しながら単位面積当たりの記録エネルギーとして80〜120mJ/mm2の範囲で印画し、その後発光中心波長が380nmの発光ダイオードで20秒間曝光し、第二の感熱記録層(B層)のジアゾニウム塩化合物(DB化合物)を完全に光分解させて画像定着を行った。発光ダイオードの出力は、第二の感熱記録層(B層)のジアゾニウム塩化合物が20秒で完全に光分解するように投入電力を設定した。
最後に、未印字部を残しながら単位面積当たりの記録エネルギーとして100〜145mJ/mm2の範囲で印画し、第三の感熱記録層(C層)の記録を行った。
第二の感熱記録層(B層)を定着するときの露光部と未露光部の両方に対し、サーマルヘッドで熱印加しない部分(白地部)のシアン濃度についても、X−rite model 310(X−rite、Incorporated製)で測定した。
印加エネルギーが100、115、130、145mJ/mm2の4点に対するシアン濃度の測定結果を表2に示す。
Figure 2005343109
表2から、本発明のマイクロカプセルを使用することにより、露光部の発色感度が大きく向上することがわかる。すなわち、光と熱の両方のエネルギーが加わることにより発色するという特性を持つ記録材料が提供できる。

Claims (7)

  1. ウレタン及び/又はウレア構造を有する高分子化合物により形成されるカプセル壁を有するマイクロカプセルであって、
    前記カプセル壁は、下記一般式(A)で表されるビスイミダゾール化合物を含有することを特徴とするマイクロカプセル。
    Figure 2005343109
    (一般式(A)中、RA〜RCは、各々独立に、アルキル基又はアリール基を表す。前記アルキル基又はアリール基は、さらに置換基を有していてもよい。)
  2. 前記高分子化合物は、多価イソシアネート化合物を原料として製造されたものであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロカプセル。
  3. 一般式(A)で表されるビスイミダゾール化合物は、前記高分子化合物と共有結合していることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロカプセル。
  4. マイクロカプセルに内包される物質と、多価イソシアネート化合物と、を疎水性溶媒に溶解又は分散させて疎水性混合物を調製し、前記疎水性混合物を水溶性高分子水溶液中で連続的又は断続的に乳化分散させた後に前記多価イソシアネート化合物を界面重合反応させるマイクロカプセルの製造方法であって、
    前記多価イソシアネート化合物の少なくとも一種は、ビスイミダゾール骨格を有する化合物であることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
  5. 支持体上に、少なくとも1層の記録層を有する記録材料であって、前記記録層の少なくとも1層は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロカプセルを含有することを特徴とする記録材料。
  6. 前記マイクロカプセルは、ジアゾニウム塩化合物又は電子供与性染料前駆体を内包することを特徴とする請求項5に記載の記録材料。
  7. 前記記録層は、感熱記録層であることを特徴とする請求項5又は6に記載の記録材料。
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