JP2004322246A - 数値制御装置,工作機械,工作機械の数値制御方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

数値制御装置,工作機械,工作機械の数値制御方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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康夫 棚橋
Hidenobu Iwao
秀信 岩尾
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Abstract

【課題】加工負荷が変動する加工開始期間,加工終了期間における加工品位を向上させることができる数値制御装置を提供する。
【解決手段】数値制御装置のマスタCPUは、工具によりワークを加工する1工程内において、加工を開始した時点から所定の期間である加工開始期間に、主軸ヘッドの回転数及び送り速度を連続的に変化させるように制御する。その際、工具をワークに対して相対的に移動させる加工移動量が等しくなるようにして、加工品位をより高める。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、先端に工具が取付けられた主軸を回転駆動させると共に、工具をワークに対して相対的に移動させることでワークを加工する工作機械を数値制御するための数値制御装置、その数値制御装置を備えてなる工作機械、工作機械の数値制御方法及び前記数値制御装置において使用されるコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、工作機械によってワークに穴あけ加工を行う場合、工具がワークに対する加工を開始する期間では回転している工具の切削抵抗が大きくなる。その際、主軸の剛性が比較的低い構造においては主軸の振動が一時的に大きくなる所謂「びびり」が発生することがある。そのような「びびり」の発生を防止する技術として、例えば特許文献1に開示されているものがある。
【0003】
特許文献1では、穴あけ加工を行う際にドリルの負荷トルクを検出し、その負荷トルクが所定トルク以下の場合は所定の深さまで加工を行った後一旦ドリルを退避させ、検出した負荷トルクが所定トルク以上になるとその時点で一旦ドリルを退避させる。そして、ドリルを退避させた状態で加工条件を変更し(即ち、送り速度と主軸回転数とを一定割合で低減させる)、変更した条件で再度加工を行うようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−24011号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では深穴あけ加工を前提としており、加工条件は、1ブロック単位(即ち、ドリルによる1回の加工開始から加工終了までの連続した期間)でしか変更することができない。また、負荷トルクを検出しようとすると、純粋な加工負荷のみならず主軸の加減速に伴って発生する負荷変動も検出してしまうため、誤動作するおそれがある。
【0006】
その他の方式として、1つの穴の加工動作を2ブロックに分けて、加工開始時のブロックでは送り速度を低速にし、加工途中となる次のブロックでは送り速度を上昇させることが考えられる。しかし、このように送り速度を変化させると、速度が変化したところでワークにカッターマークが残ってしまい、加工品位が低下するという問題がある。
【0007】
尚、穴あけ加工やボーリング加工では、1ブロックの加工が終了する近傍の期間においても負荷が大きく変動するため、上述した加工開始時と同様の問題が発生する。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加工負荷が変動する加工開始期間,加工終了期間における加工品位を向上させることができる数値制御装置、その数値制御装置を備えてなる工作機械、工作機械の数値制御方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の数値制御装置は、先端に工具が取付けられた主軸を回転駆動する回転駆動手段と、前記工具をワークに対して相対的に移動させる移動手段とを備えてなる工作機械を制御するものにおいて、
前記工具により加工を開始した時点から所定の期間(加工開始期間)、及び/又は加工を終了する時点から遡る所定の期間(加工終了期間)に、前記主軸の回転速度及び前記工具をワークに対して相対的に移動させる移動速度を連続的に変化させるように前記回転駆動手段及び前記移動手段を制御する加工制御手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
斯様に構成すれば、加工負荷が変動しようとする加工開始期間,加工終了期間において、その変動を、主軸の回転速度及び移動速度を連続的に変化させることで吸収することができる。従って、負荷トルクの検出を行なうことなくそれらの期間における加工品位を向上させることが可能となる。
【0011】
この場合、請求項2に記載したように、前記加工制御手段を、前記加工開始期間及び/又は前記加工終了期間において、前記工具をワークに対して相対的に移動させる移動速度が略等しくなるように、前記回転駆動手段及び前記移動手段を制御するように構成するのが好ましい。斯様に構成すれば、主軸の回転速度及び移動速度が変化してもワークの加工精度が変化することが無いので、加工品位をより高めることができる。
【0012】
また、請求項3に記載したように、前記加工制御手段を、前記加工開始期間においては、前記主軸の回転速度及び前記移動速度を共に漸増させるように変化させ、前記加工終了期間においては、前記主軸の回転速度及び前記移動速度を共に漸減させるように変化させると良い。斯様に構成すれば、加工開始期間,加工終了期間における夫々の加工負荷変動の傾向に応じて、主軸の回転速度及び移動速度を変化させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図5を参照して説明する。図4は、マシニングセンタ40の機械的構成を示す斜視図である。マシニングセンタ40では、基台1に直立して固定されたコラム2に主軸台3が支持されている。主軸台3は、上下動モータ(移動手段)4及び送りネジ5により上下方向に移動される。主軸台3には主軸モータ(回転駆動手段)6、主軸ヘッド7及び回転型の工具マガジン8が搭載されている。
【0014】
主軸ヘッド7は、その先端に工具Tを脱着可能であって、主軸台3の運動に伴なって、鉛直方向に移動するとともに、主軸モータ6によって工具Tを鉛直軸回りを回転させる。工具マガジン8は、工具Tを着脱可能に保持しうる通常水平の姿勢にある保持ポットを、主軸に直角な軸回りを回動可能に備えたものである。この工具マガジン8は、マガジンモータ9によって回転可能である。その回転によって最下位に位置した保持ポットは、揺動モータSMによって、水平状態から90度下方に回転して鉛直な姿勢、即ち主軸と平行な姿勢をとることができる。
【0015】
主軸台3には、また、工具マガジン8と主軸ヘッド7との間で工具Tを交換する旋回アーム10が設けられている。旋回アーム10は、旋回アーム本体10Aと、その中心に関して対称な位置に、本体10Aから外側に延出する2組配された開閉可能なフィンガ対10a,10bとを中心として構成されている。
【0016】
旋回アーム10は、1つの加工が終了したとき、主軸ヘッド7と工具マガジン8の最下位の保持ポットとにセットされた工具Tをフィンガ対10a,10bを閉じて把持した後下降し、それに伴って、主軸ヘッド7及び工具マガジン8から工具Tを抜取り、次いで、旋回後上昇することによって、主軸ヘッド7の工具Tと工具マガジン8の工具Tとの入れ換えを実行する。そして、フィンガ対10a,10bを開いて工具Tを離すことにより、工具交換を完了する。旋回アーム10は、工具交換モータ10Mによって駆動される。
【0017】
また、基台1には、前記したコラム2の他に、テーブル11が設けられている。テーブル11は、X軸モータ(移動手段)XM,Y軸モータ(移動手段)YM(図5参照)により水平面方向(X軸、Y軸)に移動可能である。
【0018】
図5は、マシニングセンタを数値制御する数値制御装置20の電気的構成を示す機能ブロック図である。数値制御装置20は、制御全体を司るマスタCPU(加工制御手段)21,ワーク加工や工具交換を司るスレーブCPU22を中心にとして構成されている。
【0019】
マスタCPU21には、制御装置自体を動作させるプログラムや定数等を格納するマスタ部ROM23と、ワーク加工プログラム24を格納したり、制御実行中の変数やフラグ等を一時記憶するマスタ部RAM25とが接続されている。
スレーブCPU22には、ワーク加工のためのモータ駆動プログラムや定数等を格納するスレーブ部ROM26と、ワーク加工制御実行中の変数,フラグ等を一時記憶するスレーブ部RAM27とが接続されている。
【0020】
マスタCPU21とスレーブCPU22との間には、マスタCPU21からスレーブCPU22への指令或はその逆方向の情報等が格納されるC(Common)RAM28が接続されている。CRAM28は、マスタCPU21及びスレーブCPU22の双方から情報が書き込まれ或は参照される。
【0021】
また、マスタCPU21には、加工プログラム等を作成・入力するキーや、一連の加工処理を開始させるための起動スイッチや、加工プログラムの各ステップの処理を確認などのため個別に実施可能とする手動用スイッチ等のスイッチ部29と、キーボード30と、加工プラグラム等を表示して参照するためのCRT(Cathode Ray Tube)が接続されている。
【0022】
スレーブCPU22は、テーブル11をX軸方向に移動させるX軸モータXM,同じくY軸方向へ移動させるY軸モータYMに接続されており、これらに制御信号を送出してワークの被加工面及び被加工位置を変更する。更に、スレーブCPU22は、上下動モータ4及び主軸モータ6に接続されており、それらに制御信号を送出し、被加工面,被加工位置が決定されたワークに対して所定の工具Tによる加工を実行する。また、スレーブCPU22は、加工工程中に、必要に応じてマガジンモータ9並びに工具交換モータ10Mへ制御信号を送出し、工具交換を実行する。
【0023】
これら、スレーブCPU22の実行するワーク加工制御,工具交換制御は、マスタCPU21からの指示に基づいて実行される。マスタCPU21は、キーボード30から入力されてマスタ部RAM25に格納された加工プログラム24を1動作ずつ読み込み、ワーク加工に関する情報であればCRAM28に書き込む。スレーブCPU22は、この書き込まれた情報を読み出して上述のワーク加工制御を実行する。
【0024】
ここで、マシニングセンタ40と数値制御装置20とを組み合わせたものが、工作機械50を構成している。また、数値制御装置20は、所謂オーバーライド機能を備えており、加工プログラム24に基づく加工動作が行なわれている状態においても、マスタCPU21側より与えられる指令によって主軸回転数や送り速度をダイナミックに変更することが可能となっている。
尚、主軸ヘッド7の送り速度は、工具Tをワークに対して相対的に移動させる加工移動量(移動速度)を設定するためのパラメータである。
【0025】
次に、本実施例の作用について図1乃至図3をも参照して説明する。図1は、マスタCPU21によって実行されるプログラム運転起動処理の制御内容を示すフローチャートである。尚、図1におけるステップA1〜A7のうちステップA3,A5を除けば、一般的な数値制御装置の処理と特に変わるところは無い。
【0026】
即ち、マスタCPU21は、スイッチ部29における起動スイッチが押下操作されると(ステップA1,「YES」)、マスタ部RAM25より加工プログラム24を1ブロック読み込む(ステップA2)。そして、読み込んだブロックが「G101」であるか否かを判断し(ステップA3)、「G101」で無ければ(「NO」)ワークを加工するための軸種類、移動量、送り速度、主軸回転数をスレーブCPU22に通知する(ステップA4)。
【0027】
続くステップA6においては、ステップA4においてスレーブCPU22に通知した加工作業に伴う各アクチュエータ等の移動が終了するまで待機し、移動が終了すると(「YES」)ステップA7に移行する。ステップA7では、後述するようにステップA5において起動した速度変動処理を停止させる処理を行なう。即ち、速度変動処理の割り込み受付を禁止する(従って、ステップA5を経ることなく実行される通常の加工処理には無関係である)。
【0028】
そして、プログラムに次のブロックがある場合は(ステップA8,「YES」)ステップA2に移行し、次のブロックが無ければ(「NO」)処理を終了する。
【0029】
一方、ステップA3において、読み込んだブロックが「G101」である場合(「YES」)、マスタCPU21は、速度変動処理を起動する(ステップA5)。速度変動処理は、例えば、加工プログラム24中のブロック「G101」を以下のように記述することで設定する。
Figure 2004322246
ここで、各パラメータは、以下のように定義される。
Z:加工終点座標[mm]
W:最終的な主軸回転数及び最終的な送り速度に到達する距離[mm]
E:加工開始時の送り速度[mm/min]
L:加工開始時の主軸回転数[rpm]
F:最終的な送り速度[mm/min]
S:最終的な主軸回転数[rpm]
そして、(1)は、Zを20.000[mm],Wを7.000[mm],Eを500[mm/min],Lを2000[rpm],Fを1000[mm/min],Sを4000[rpm]に設定することを示している。
【0030】
即ち、図3(a)に示すように、主軸回転数を、距離(位置)0における加工開始においてLとし、加工が進み距離Wに到達した時点で最終的な回転数Sに達するように連続的に変化させる。また、図3(b)に示すように、送り速度を、距離0における加工開始においてEとし、加工が進み距離Wに到達した時点で最終的な速度Fに達するように連続的に変化させる。このように、加工距離0〜Wまでの間に加工を行なう期間を加工開始期間と定義する。
【0031】
尚、図3(a),(b)においては、加工開始前に回転数,速度がL,Eに到達するまでの加速期間と、加工終了後に回転数,速度が0に到達するまでの減速期間は図示を省略している。
【0032】
ここで、上記のパラメータを設定する場合、加工開始期間において工具Tによる1刃当たりの加工ピッチ(主軸ヘッド7の1回転当たりにおける加工移動量,工具Tをワークに対して相対的に移動させる加工移動量)が、距離W〜Zにおける通常の加工期間と同じピッチとなるように設定する。この条件を付加することで、パラメータE,L,F,Sの内3つを設定すると、残りの1つは自動的に定まる。例えば、加工開始時の送り速度Eは、他のパラメータL,F,Sを設定すれば計算によって決定することができる。即ち、1刃当たりの加工ピッチを等しくするということは、例えば、
L/E=S/F ・・・(2)
の条件が付加されることを意味するからである。
【0033】
また、図2は、ステップA5において速度変動処理が起動された場合に、マスタCPU21が受付を可能(イネーブル)とする割り込み処理、即ち速度変動処理の内容を示すフローチャートである。この割り込み処理は、例えば10ms周期で実行されるようになっている。従って、図2のフローチャートは、図1のステップA5において割り込み受付が許可された時点から、ステップA7において割り込み受付が禁止されるまでの間に10ms周期で実行される。
【0034】
マスタCPU21は、先ず、現在の加工移動量が距離W未満か否かを判断し(ステップB1)、距離W未満であれば(「YES」)ステップB2に移行する。続くステップB2,B3において、マスタCPU21は、スレーブCPU22に対して指令する主軸回転数,送り速度を演算によって求め、それらをステップB4においてスレーブCPU22に指令するようになっている。即ち、加工開始期間(加工距離0〜Wの期間)における主軸回転数,送り速度は、(3)、(4)式に示すように、現在の加工移動量の一次関数として求めることができる。
主軸回転数=((現在の移動量/W)×(S−L)+L ・・・(3)
送り速度=((現在の移動量/W)×(F−E)+E ・・・(4)
そして、ステップB4を実行すると、割り込み処理を終了する。
【0035】
また、図2の割り込み処理が開始された場合でも、現在の加工移動量が距離W以上となっていれば(ステップB1,「NO」)、ステップB2〜B4の処理は実行することなく処理を終了する。
【0036】
以上のように本実施例によれば、数値制御装置20のマスタCPU21は、工具Tによりワークを加工する1工程内において、加工を開始した時点から所定の期間である加工開始期間に、主軸ヘッド7の回転数及び送り速度を連続的に変化させるように制御するので、加工開始期間における加工負荷の変動を吸収させることができる。従って、ワークの加工品位を向上させることが可能となる。
【0037】
また、マスタCPU21は、加工開始期間において、工具Tによる一刃当たりの加工ピッチ、即ち、主軸ヘッド7の1回転当たりにおける加工移動量が等しくなるように主軸ヘッド7の回転数及び送り速度を連続的に変化させるので、主軸ヘッド7の回転数及び送り速度が変化してもワークの加工精度が変化することが無く、加工品位をより高めることができる。
【0038】
そして、マスタCPU21は、加工開始期間においては、主軸ヘッド7の回転数及び送り速度を共に漸増させるように変化させるので、加工開始期間における加工負荷変動の傾向に応じて、主軸ヘッド7の回転数及び送り速度を変化させることができる。
【0039】
(第2実施例)
図6は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第2実施例では、第1実施例において加工開始期間について行った速度変動処理を、加工終了期間について行なうものである。
【0040】
即ち、加工プログラム24中のブロック「G101」を、(1)式と同様に(5)式のように記述することで設定する。
Figure 2004322246
但し、各パラメータは、第1実施例と異なり以下のように定義される。
Z:加工終点座標[mm]
W:通常加工時の主軸回転数及び送り速度の変化を開始させる距離[mm]
E:最終的な送り速度[mm/min]
L:最終的な主軸回転数[rpm]
F:通常加工時の送り速度[mm/min]
S:通常加工時の主軸回転数[rpm]
【0041】
即ち、(5)の記述によれば、図6(a)に示すように、主軸回転数を、距離0〜Wにおける通常加工期間においてSとし、加工が進み距離Wに到達した時点から回転数を低下させ、最終的な加工距離Zに到達した時点で回転数Lに達するように連続的に変化させる。また、図6(b)に示すように、送り速度を、距離0における加工開始においてFとし、加工が進み距離Wに到達した時点から速度を低下させ、最終的な加工距離Zに到達した時点で速度Eに達するように連続的に変化させる。このように、加工距離W〜Zまでの間に加工を行なう期間を加工終了期間と定義する。
【0042】
尚、この場合も第1実施例と同様に、加工終了期間において、工具Tによる一刃当たりの加工ピッチが等しくなるように主軸ヘッド7の回転数及び送り速度を連続的に変化させるようにする。
【0043】
以上のように第2実施例によれば、マスタCPU21は、工具Tによりワークを加工する1工程内において、加工を終了する時点から遡る所定の期間である加工終了期間に、主軸ヘッド7の回転数及び送り速度を連続的に変化させるように制御するので、加工終了期間における加工負荷の変動を吸収させることができる。従って、ワークの加工品位を向上させることが可能となる。
【0044】
また、マスタCPU21は、加工終了期間において、工具Tによる一刃当たりの加工ピッチが等しくなるように主軸ヘッド7の回転数及び送り速度を連続的に変化させるので、主軸ヘッド7の回転数及び送り速度が変化してもワークの加工精度が変化することが無く、加工品位をより高めることができる。
【0045】
そして、マスタCPU21は、加工終了期間において、主軸ヘッド7の回転数及び送り速度を共に漸減させるように変化させるので、加工終了期間における加工負荷変動の傾向に応じて、主軸ヘッド7の回転数及び送り速度を変化させることができる。
【0046】
(第3実施例)
図7は本発明の第3実施例を示すものである。第3実施例では、第1,第2実施例において加工開始期間,加工終了期間について行った速度変動処理を、双方の期間について共に行なうものである。即ち、加工終了期間におけるパラメータは第2実施例と同様とし、第1実施例におけるパラメータL,W,Eをl,w,eに置き換え、夫々について設定を行うようにする。
以上のような第3実施例によれば、第1,第2実施例の夫々によって得られる効果を同時に得ることができる。
【0047】
本発明は上記し且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形または拡張が可能である。
テーブル11側を固定して、主軸ヘッド7側をX,Y軸方向に移動可能となるように構成し、加工を行うようにしても良い。
速度変動処理を行なう場合は、必ずしも工具Tによる一刃当たりの加工ピッチが等しくなるように変化させるものに限らない。
【0048】
【発明の効果】
請求項1記載の数値制御装置によれば、加工制御手段は、加工開始期間及び/又は加工終了期間に、主軸の回転速度及び移動速度を連続的に変化させるので、加工負荷が変動しようとする加工開始期間,加工終了期間において、その変動を、主軸の回転速度及び移動速度を連続的に変化させることで吸収することができる。従って、それらの期間における加工品位を向上させることが可能となる。
【0049】
請求項2記載の数値制御装置によれば、加工制御手段は、加工開始期間及び/又は加工終了期間において、工具をワークに対して相対的に移動させる移動速度が略等しくなるように、回転駆動手段及び移動手段を制御するので、主軸の回転速度及び移動速度が変化してもワークの加工精度が変化することが無く、加工品位をより高めることができる。
【0050】
請求項3記載の数値制御装置によれば、加工制御手段は、加工開始期間においては主軸の回転速度及び移動速度を共に漸増させるように変化させ、加工終了期間においては主軸の回転速度及び移動速度を共に漸減させるように変化させるので、加工開始期間,加工終了期間における夫々の加工負荷変動の傾向に応じて、主軸の回転速度及び移動速度を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であり、数値制御装置のマスタCPUによって実行されるプログラム運転起動処理の制御内容を示すフローチャート
【図2】速度変動処理の内容を示すフローチャート
【図3】(a)は加工位置に対する主軸回転数の変化、(b)は加工位置に対する送り速度の変化を示す図
【図4】マシニングセンタの機械的構成を示す斜視図
【図5】数値制御装置の電気的構成を示す機能ブロック図
【図6】本発明の第2実施例を示す図3相当図
【図7】本発明の第3実施例を示す図3相当図
【符号の説明】
4は上下動モータ(移動手段)、6は主軸モータ(回転駆動手段)、7は主軸ヘッド、20は数値制御装置、21はマスタCPU(加工制御手段)、24はワーク加工プログラム、40はマシニングセンタ、50は工作機械、Tは工具、XMはX軸モータ(移動手段)、YMはY軸モータ(移動手段)を示す。

Claims (10)

  1. 先端に工具が取付けられた主軸を回転駆動する回転駆動手段と、前記工具をワークに対して相対的に移動させる移動手段とを備えてなる工作機械を制御する数値制御装置において、
    前記工具により加工を開始した時点から所定の期間(加工開始期間)、及び/又は加工を終了する時点から遡る所定の期間(加工終了期間)に、前記主軸の回転速度及び前記工具をワークに対して相対的に移動させる移動速度を連続的に変化させるように前記回転駆動手段及び前記移動手段を制御する加工制御手段を備えたことを特徴とする数値制御装置。
  2. 前記加工制御手段は、前記加工開始期間及び/又は前記加工終了期間において、前記工具をワークに対して相対的に移動させる移動速度が略等しくなるように、前記回転駆動手段及び前記移動手段を制御することを特徴とする請求項1記載の数値制御装置。
  3. 前記加工制御手段は、
    前記加工開始期間においては、前記主軸の回転速度及び前記移動速度を共に漸増させるように変化させ、
    前記加工終了期間においては、前記主軸の回転速度及び前記移動速度を共に漸減させるように変化させることを特徴とする請求項1又は2記載の数値制御装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の数値制御装置を備えてなることを特徴とする工作機械。
  5. 先端に工具が取付けられた主軸を回転駆動する回転駆動手段と、前記工具をワークに対して相対的に移動させる移動手段とを備えてなる工作機械を数値制御する方法において、
    前記工具により加工を開始した時点から所定の期間(加工開始期間)、及び/又は加工を終了する時点から遡る所定の期間(加工終了期間)に、前記主軸の回転速度及び前記工具をワークに対して相対的に移動させる移動速度を連続的に変化させるように前記回転駆動手段及び前記移動手段を制御することを特徴とする工作機械の数値制御方法。
  6. 前記加工開始期間及び/又は前記加工終了期間において、前記工具をワークに対して相対的に移動させる移動速度が略等しくなるように、前記主軸の回転速度及び前記移動速度を制御することを特徴とする請求項5記載の工作機械の数値制御方法。
  7. 前記加工開始期間においては、前記主軸の回転速度及び前記移動速度を共に漸増させるように変化させ、
    前記加工終了期間においては、前記主軸の回転速度及び前記移動速度を共に漸減させるように変化させることを特徴とする請求項5又は6記載の工作機械の数値制御方法。
  8. 先端に工具が取付けられた主軸を回転駆動する回転駆動手段と、前記工具をワークに対して相対的に移動させる移動手段とを備えてなる工作機械を数値制御するコンピュータによって実行されるプログラムにおいて、
    前記工具により加工を開始した時点から所定の期間(加工開始期間)、及び/又は加工を終了する時点から遡る所定の期間(加工終了期間)に、前記主軸の回転速度及び前記工具をワークに対して相対的に移動させる移動速度が連続的に変化するように前記回転駆動手段及び前記移動手段を制御させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  9. 前記加工開始期間及び/又は前記加工終了期間において、前記工具をワークに対して相対的に移動させる移動速度が略等しくなるように、前記主軸の回転速度及び前記移動速度を制御させることを特徴とする請求項8記載のコンピュータプログラム。
  10. 前記加工開始期間においては、前記主軸の回転速度及び前記移動速度を共に漸増させるように変化させ、
    前記加工終了期間においては、前記主軸の回転速度及び前記移動速度を共に漸減させるように変化させることを特徴とする請求項8又は9記載のコンピュータプログラム。
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