JP2011073069A - 数値制御装置、数値制御装置の制御プログラム、記憶媒体及び数値制御装置の制御方法 - Google Patents

数値制御装置、数値制御装置の制御プログラム、記憶媒体及び数値制御装置の制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011073069A
JP2011073069A JP2009223916A JP2009223916A JP2011073069A JP 2011073069 A JP2011073069 A JP 2011073069A JP 2009223916 A JP2009223916 A JP 2009223916A JP 2009223916 A JP2009223916 A JP 2009223916A JP 2011073069 A JP2011073069 A JP 2011073069A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tap
spindle
tool
return
control device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009223916A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayuki Koyasu
隆幸 子安
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP2009223916A priority Critical patent/JP2011073069A/ja
Publication of JP2011073069A publication Critical patent/JP2011073069A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Numerical Control (AREA)

Abstract

【課題】タップ加工中に加工が中断されて再開するときに、ワークから工具を確実に抜くことができる数値制御装置、数値制御装置の制御プログラム、記憶媒体及び数値制御装置の制御方法を提供する。
【解決手段】タップ動作中にタップ戻し情報がバックアップRAMに記憶される。停電時にタップ動作が中断し、電源復帰時には主軸9を逆回転させながら上昇させるタップ戻し動作が実行される。このタップ戻し動作の前に主軸9をワークに向けて移動させるZ軸下降動作が実行される。これにより主軸と工具との間の隙間をなくすことができるので、タップ戻し動作を良好に行うことができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、数値制御装置、数値制御装置の制御プログラム、記憶媒体及び数値制御装置の制御方法に関する。
従来、数値制御によって制御される工作機械(数値制御装置)において、タップ加工中に停電又はエラー等で加工が中断して再開するときに、タップ工具をワークから抜くことができる所謂「タップ戻し機能」を備えたものがある。例えば、タップ加工時の主軸の回転数で主軸を逆回転させ、記憶されている送り速度とは逆方向の同一送り速度で工具を移動させ、ワークから工具を一定距離だけ引き抜いた後、早送りで特定位置へ復帰させるようにした数値制御方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特公平3−25293号公報
工作機械は、停電時において、作業者の怪我等を防ぐために、工具を装着した主軸を上下に移動するZ軸機構については、停止位置を維持するブレーキ装置を備えている。一方、主軸は、ブレーキ装置を備えていない。それ故、従来の工作機械は、Z軸機構の移動が停止しても主軸の回転はすぐに停止しないことがある。これにより、タップ加工中に停電又は非常停止スイッチ等により該タップ加工が中断した場合、Z軸機構は中断した位置を維持するが、主軸(工具)は、しばらく回転した状態となる。タップ工具は、往動時にその回転を継続すると、往動方向に進行する。前述により、タップ工具は、往動方向に進むが、タップ工具を装着した主軸は、移動することはない。それ故、図3に示すように、主軸とタップ工具との装着状態が不完全になることがある。アルミ等の特に軟らかい素材を加工している場合、前述したタップ工具の不完全な装着状態が発生し易く且つタップ工具がワークに食い付いてしまうことがあった。前述の場合、特許文献1に記載の数値制御方式では、タップ工具を無理に抜くことになり、タップ工具が折損したり、主軸からタップ工具が抜けるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、タップ加工中に加工が中断されて再開するときに、ワークから工具を確実に抜くことができる数値制御装置、数値制御装置の制御プログラム、記憶媒体及び数値制御装置の制御方法を提供することを目的とする。
本発明の第1態様にかかる数値制御装置は、タップ動作中に該動作が中断された際に、主軸を逆回転させてタップをワークから引き抜き、前記中断位置から所定位置まで復帰させる工具抜き動作を行う工作機械の数値制御を行う数値制御装置において、前記工具抜き動作を実行する前に、前記主軸を前記ワーク側に向けて所定距離移動させる軸方向移動制御手段を備えている。
第1態様にかかる数値制御装置は、工作機械を数値制御するものであり、タップ動作中に該動作が中断された際に、主軸を逆回転させてタップをワークから引き抜き、中断位置から所定位置まで復帰させる工具抜き動作を行わせることができる。ワークに工具が喰いついた状態において、工具抜き動作を実行する前に、軸方向移動制御手段が主軸をワーク側に向けて所定距離移動させるので、ワークに対して工具が押し付けられる。このとき、主軸と工具との間に発生した隙間がなくなるので、この状態から工具を引き抜くことで、工具が主軸から外れることがない。よって、その後の工具抜き動作を確実に行うことができる。また、ワークに工具が喰いついても、ワークに対して工具が押し付けられてから引き抜くので、ワークから工具を剥がすことができる。よって、ワークから工具を無理なく抜くことができる。
また、第1態様は、前記タップ動作を指示するタップ動作指令が生成された場合に、当該タップ動作指令に基づき、前記タップ動作中の前記主軸の回転数を取得する主軸回転数取得手段と、前記タップ動作中の前記主軸の回転数と前記所定距離とを対応付けて記憶する所定距離記憶手段と、前記所定距離記憶手段に記憶された複数の前記所定距離の中から、前記主軸回転数取得手段によって取得された前記回転数に対応する前記所定距離を特定する所定距離特定手段とを備え、前記軸方向移動制御手段は、前記工具抜き動作を実行する前に、前記主軸を、前記ワーク側に向けて前記所定距離特定手段によって取得された前記所定距離移動させてもよい。主軸回転数特定手段によって、タップ動作指令に基づき、タップ動作時の主軸の回転数が特定されると、その回転数に基づき、所定距離特定手段が、所定距離記憶手段に記憶されたその回転数に対応する所定距離を特定する。これにより、主軸の回転数に対応する所定距離が自動的に特定されるので、更に、ワークに傷を付けることを防ぐことができる。
本発明の第2態様に係る数値制御装置の制御プログラムは、タップ動作中に該動作が中断された際に、主軸を逆回転させてタップをワークから引き抜き、前記中断位置から所定位置まで復帰させる工具抜き動作を行う工作機械の数値制御を行う数値制御装置の制御プログラムにおいて、前記工具抜き動作を実行する前に、前記主軸を前記ワーク側に向けて所定距離移動させる軸方向移動制御ステップを備えている。
第2態様に係る数値制御装置の制御プログラムは、工作機械を数値制御するものであり、タップ動作中に該動作が中断された際に、主軸を逆回転させてタップをワークから引き抜き、中断位置から所定位置まで復帰させる工具抜き動作を行わせることができる。軸方向移動制御ステップにおいて、工具抜き動作を実行する前に、主軸をワーク側に向けて所定距離移動させるので、ワークに工具が喰いついた状態において、工具抜き動作を実行する前に、軸方向移動制御手段が主軸をワーク側に向けて所定距離移動させるので、ワークに対して工具が押し付けられる。このとき、主軸と工具との間に発生した隙間がなくなるので、この状態から工具を引き抜くことで、工具が主軸から外れることがない。よって、その後の工具抜き動作を確実に行うことができる。また、ワークに工具が喰いついても、ワークに対して工具が押し付けられてから引き抜くので、ワークから工具を剥がすことができる。よって、ワークから工具を無理なく抜くことができる。
本発明の第3態様に係る記憶媒体は、請求項3に記載の制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
第3態様に係る記憶媒体は、請求項3に記載の制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であるので、第2態様に記載の効果を得ることができる。
本発明の第4態様に係る数値制御装置の制御方法は、タップ動作中に該動作が中断された際に、主軸を逆回転させてタップをワークから引き抜き、前記中断位置から所定位置まで復帰させる工具抜き動作を行う工作機械の数値制御を行う数値制御装置の制御方法において、前記工具抜き動作を実行する前に、前記主軸を前記ワーク側に向けて所定距離移動させることを特徴とする。
第4態様に係る数値制御装置の制御方法は、タップ動作中に該動作が中断された際に、主軸を逆回転させてタップをワークから引き抜き、前記中断位置から所定位置まで復帰させる工具抜き動作を行う工作機械の数値制御を行う数値制御装置の制御方法において、前記工具抜き動作を実行する前に、前記主軸を前記ワーク側に向けて所定距離移動させることを特徴とする。工具抜き動作を実行する前に、主軸をワーク側に向けて所定距離移動させるので、ワークに工具が喰いついた状態において、工具抜き動作を実行する前に、軸方向移動制御手段が主軸をワーク側に向けて所定距離移動させるので、ワークに対して工具が押し付けられる。このとき、主軸と工具との間に発生した隙間がなくなるので、この状態から工具を引き抜くことで、工具が主軸から外れることがない。よって、その後の工具抜き動作を確実に行うことができる。また、ワークに工具が喰いついても、ワークに対して工具が押し付けられてから引き抜くので、ワークから工具を剥がすことができる。よって、ワークから工具を無理なく抜くことができる。
工作機械1の正面図である。 工作機械1の斜視図(スプラッシュカバー省略)である。 主軸9に装着された工具13でワーク30を加工する状態を示す図である。 加工プログラムの一例を示す図である。 タップ動作の説明図である。 タップ戻し動作の説明図である。 数値制御装置50の電気的構成を示すブロック図である。 RAM53の概念図である。 バックアップRAM55の概念図である。 フラッシュメモリ57の概念図である。 戻し操作画面40の図である。 戻し操作画面40の図(タップ戻しモード中)である。 メインの制御処理のフローチャートである。 電源復帰処理のフローチャートである。 タップ戻し処理のフローチャートである。 タップ動作時の主軸回転数とZ軸下降量との対応関係を示したグラフである。 移動禁止処理のフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態である数値制御装置50について、図面を参照して説明する。図7に示す数値制御装置50は、制御コマンドの配列からなる加工プログラム(NCプログラム)を実行することによって、工作機械1のワークの加工動作を制御するものである。
はじめに、工作機械1の構造について、図1,図2を参照して簡単に説明する。工作機械1は、ワークと工具とを相対移動させることで、ワークに所望の切削加工を施すことができる機械である。図1に示すように、工作機械1は、鉄製のベース2と、該ベース2の上部に設けられた機械本体3(図2参照)とを備えている。ベース2の上部には、機械本体3の周囲を覆う箱状のスプラッシュカバー4が固定されている。
スプラッシュカバー4の正面には開口(図示外)が設けられ、その開口にはスライド式の一対の開閉扉5,6が設けられている。開口の右側には、工作機械1を操作するための操作パネル10が設けられている。操作パネル10の上部には、各種設定画面等が表示されるディスプレイ11が設けられ、下部には、各種操作キーを備えたキーボード12が設けられている。
機械本体3は、図2に示すように、ベース2の上部後方に立設したコラム21と、該コラム21の前面に沿って昇降可能に設けられた主軸ヘッド7と、該主軸ヘッド7の下部に回転可能に支持された主軸9と、主軸ヘッド7の右側に設けられ、主軸9に装着された工具を自動的に交換する工具交換装置25と、該工具交換装置25の右側に設けられ、複数の工具を格納する工具マガジン26と、ベース2の上部に設置され、XY軸方向に移動可能に支持されたテーブル15とを備えている。コラム21の背面には制御ボックス22が設けられている。制御ボックス22の内側には、工作機械1の動作を制御する数値制御装置50(図7参照)が収納されている。
主軸ヘッド7は、コラム21の前面側に設けられたガイドレール(図示外)に沿って昇降自在に支持されている。コラム21の前面には、上下方向に延びる送りネジ(図示外)が回転可能に支持され、その送りネジの上端部には、Z軸モータ73(図7参照)の駆動軸が連結されている。送りネジには、主軸ヘッド7がナット(図示外)を介して連結されている。Z軸モータ73の駆動によって送りネジが正逆方向に回転すると主軸ヘッド7が昇降する。主軸ヘッド7は、主軸9を回転自在に支持している。主軸9は、主軸ヘッド7の上部に設けられた主軸モータ8によって回転駆動される。主軸9は、その装着穴(図示外)に工具13(図3参照)を装着する。
テーブル15は、図2に示すように、ベース2の上部において、X軸方向(左右方向)及びY軸方向(前後方向)に移動可能に設けられている。テーブル15の移動機構は、テーブル15を支持する支持台16と、支持台16をX軸方向に移動させるX軸移動機構17と、支持台16をY軸方向に移動させるY軸移動機構18とを備えている。X軸移動機構17には、支持台16をX軸方向にガイドするX軸送りガイド(図示外)が設けられている。Y軸移動機構には、Y軸送りガイド(図示外)が設けられている。支持台16は、サーボモータからなるX軸モータ71(図7参照)及びY軸モータ72(図7参照)によって、X軸方向及びY軸方向に移動制御される。
次に、工作機械1のタップ動作について説明する。タップとは、金属加工において、穴の内側にねじを刻むために用いられる工具である。タップである工具13を主軸9に装着し、ワーク30に先に形成された穴に回転しながら該穴に侵入することでねじが形成される。タップ動作を行う場合、例えば、図4に示す加工プログラムに基づき、ワーク30に対してねじを形成する一連の工程が実行される。ねじを形成するためには、ドリルで穴を空ける「穴空け加工」と、穴の内側にねじを刻む「タップ加工」とが行われる。「G81」はドリル指令、「G74」はタップ指令である。まず、「G81」のドリル指令によって穴空け加工が行われる。次いで、「G74X−30.Y0.Z−8.R2.F5000 S5000」の指令に基づき、以下のタップ加工が行われる。
図5に示すように、ステップ1で、XY座標位置(−30.0)に位置決めされる。ステップ2で、Z軸をタップ動作開始(2)位置に位置決めされる(R2.に基づく)。ステップ3で、下方向へのタップ動作が穴底まで実行される。ステップ4で、穴底から上方向へのタップ動作が実行される。タップ動作は、ピッチ=1mmのタップで、送り速度(F)=5000mm/min、主軸回転数(S)=5000RPMで実行される。こうしてワーク30にねじが形成される。尚、ピッチは、送り速度を主軸回転数で除算した値となる。
次に、工作機械1のタップ戻し動作について説明する。図6に示すように、ステップ3で、停電や非常停止操作等の何らかの理由でタップ動作が中断した場合、電源復帰時に加工を再開するときは、工具13とワーク30の破損を防止するため、「タップ戻し動作」を実行する。タップ戻し動作では、ステップ5で、主軸9を逆回転させながら工具13をワーク30から引き抜き、タップ開始位置まで移動させる。本実施形態では、タップ動作の中断位置からタップ開始位置まで連続で移動させるのではなく、所定量ずつ断続的に移動させる「インチング動作」を行うことができる。インチング動作によって、工具13を断続的に回転させながら工具13をワークから引き抜くことで、ワーク30から工具13を剥がすことができ、かつワーク30及び工具13の状態を確認しながらタップ戻し動作を実行できる。なお、インチング動作の詳細については後述する。
また、本実施形態では、図6に示すように、通常のタップ戻し動作や、最初のインチング動作の際に、主軸9をZ軸方向に所定量下降させてから、タップ戻し動作を実行させる。これは、タップ戻し動作の際に主軸9が高回転であったり、軟らかい材質であるワーク30に対して工具13が喰いついてしまった場合に特に効果的である。このとき、主軸9と工具13とに隙間が発生している可能性がある(図3参照)。該隙間が発生した状態で、従来のタップ戻し動作を行うと、工具13が折損したり、主軸9から工具13が外れて主軸9が損傷する。主軸9が下降することで、該隙間をなくすことができる。これにより、その後のタップ戻しを良好に行うことができる。Z軸下降動作については後述する。
次に、タップ戻し情報について説明する。タップ戻し情報とは、タップ戻し動作を実行する際に必要な情報であって、例えば、タップ動作開始位置(x,y,z)と、ねじピッチ(mm)と、主軸回転数(RPM)と、ねじ種類(右ねじ/左ねじ)等を含むものである。タップ戻し情報は、タップ動作中に、加工プログラムに記載されたタップ指令に基づいて作成される。タップ戻し情報は、後述するバックアップRAM55の各種記憶エリア552〜555(図9参照)に各々記憶される。タップ戻し動作を実行する際に、バックアップRAM55に記憶されたタップ戻し情報が読み込まれ、そのタップ戻し情報に基づき、タップ戻し動作が実行される。
次に、タップ戻し動作に必要なパラメータについて説明する。上記したように、本実施形態では、現在位置からタップ開始位置まで連続で移動させる通常のタップ戻し動作に加え、所定量ずつ断続的に移動させる「インチング動作」でタップ戻し動作を行うことができる。インチング動作は、所定量ずつ主軸9の位置を戻すので、1回の戻し移動量を設定する必要がある。戻し移動量として、主軸9のZ軸方向の上昇量、又は主軸9の戻し回転角度の何れかを設定できる。上昇量を設定した場合、タップ戻し情報のねじピッチから、1回の主軸9の戻し回転角度を算出できる。戻し回転角度を設定した場合、タップ戻し情報のねじピッチから、1回の主軸9の上昇量を算出できる。前述した上昇量又は回転角度は、後述するキーボード12によって設定する。
例えば、タップのピッチが1mmで、戻し回転角度を90度に設定した場合、1回の戻し動作として主軸9を0.25mm(1mm/(90度/360度))上昇させる。この場合、後述するCPU51による制御処理では、0.25mmが単位動作当たりの目標位置として、RAM53の後述する戻し制御値記憶エリア532(図8参照)に記憶される。これとは逆に、タップのピッチが1mmで、上昇量を0.25mmに設定した場合、1回の戻し動作として主軸9を90度回転させる。この場合、後述するCPU51による制御処理では、90度が単位動作当たりの目標位置として、RAM53の後述する戻し制御値記憶エリア532(図8参照)に記憶される。尚、戻し回転角度を設定するキーボード12は、本発明の「回転量設定手段」に相当する。
次に、数値制御装置50の電気的構成について、図7を参照して説明する。数値制御装置50は、CPU51、ROM52、RAM53、バックアップRAM55及びフラッシュメモリ57からなるマイクロコンピュータと、入力インタフェイス54、入出力インタフェイス59を備えている。バックアップRAM55には、バックアップ電源56が接続されている。入力インタフェイス54には、操作パネル10のキーボード12と、主軸9に設けられ、主軸9のZ軸における原点(以下、Z軸原点という。)を検知するZ軸原点センサ77とが電気的に各々接続されている。キーボード12は、軸移動キーを備えている。軸移動キーは、テーブル15をX軸の+方向、−方向に移動させるためのキー、テーブル15をY軸の+方向、−方向に移動させるためのキー、主軸ヘッド7をZ軸の+方向、−方向に移動させるためのキーである。
一方、入出力インタフェイス59には、X軸モータ71を駆動させるX軸駆動回路61と、Y軸モータ72を駆動させるY軸駆動回路62と、Z軸モータ73を駆動させるZ軸駆動回路63と、主軸モータ8を駆動させる主軸駆動回路64と、操作パネル10のディスプレイ11を駆動させるためのディスプレイ駆動回路65等が電気的に接続されている。X軸モータ71、Y軸モータ72、Z軸モータ73、主軸モータ8には、それぞれモータの位置を検出するエンコーダを設けている。各エンコーダは、各軸駆動回路61、62、63、64に接続されている。各軸駆動回路61、62、63、64は、各モータ71、72、73,8の回転位置を記憶するRAM53及び1回転するごとに計数したカウンタ(図示外)を備えている。
次に、RAM53の各種記憶エリアについて、図8を参照して説明する。RAM53には、インチング動作を実行する前に主軸9を一旦下降させる移動量(以下、Z軸下降量)を記憶するZ軸下降量記憶エリア531と、タップ戻し情報に基づいて算出されたタップ戻し動作の各種制御値を記憶する戻し制御値記憶エリア532とが少なくとも記憶されている。
次に、バックアップRAM55の各種記憶エリアについて、図9を参照して説明する。バックアップRAM55には、戻し情報フラグを記憶するための戻し情報フラグ記憶エリア551と、タップ動作の開始位置が記憶されるタップ動作開始位置記憶エリア552と、タップのピッチが記憶されるねじピッチ記憶エリア553と、タップ動作時の主軸回転数が記憶される主軸回転数記憶エリア554と、タップが右ねじか左ねじかを記憶するためのねじ種類記憶エリア555とが少なくとも設けられている。
戻し情報フラグは、タップ戻し情報がバックアップRAM55に登録されているか否かを記憶するものである。タップ戻し情報として、タップ動作開始位置、タップのピッチ、タップ動作時の主軸回転数、ねじの種類がバックアップRAM55に記憶されている場合は、戻し情報フラグ記憶エリア551に「1」が記憶され、記憶されていない場合は「0」が記憶される。ねじ種類記憶エリア555には、右ねじか左ねじかのタップの種類が記憶される。バックアップRAM55には、バックアップ電源56が接続されているので、停電時に電源が供給されない場合でも、バックアップ電源56から電源が供給されるので、バックアップRAM55の記憶内容は保持される。
次に、フラッシュメモリ57の各種記憶エリアについて、図10を参照して説明する。フラッシュメモリ57には、タップ戻し動作のパラメータを記憶するパラメータ記憶エリア571と、主軸9の現在位置を記憶する現在位置記憶エリア572と、インチング動作の最初で主軸9をZ軸方向に下降させる下降量を判定するテーブルを記憶するZ軸下降量判定テーブル記憶エリア573とが少なくとも設けられている。パラメータ記憶エリア571には、上述したように、タップ戻し動作において、主軸9のタップ戻し最高回転数と、インチング動作において、主軸9の戻し回転角度(又はZ軸方向の上昇量)とが各々記憶される。
Z軸下降量判定テーブル記憶エリア573に記憶されるテーブルには、主軸回転数と、主軸9を下降させる下降量とが対応付けられて記憶されている。タップ動作時の主軸回転数が高ければ高いほど、停電によるタップ動作中断時において、工具13が惰性で回転しようとする力が強くなり、工具13と主軸9との隙間が大きくなる。
このような性質に基づき、例えば、図16に示すグラフのように、タップ動作時の主軸回転数が所定値未満(例えば、50RPM未満)では、最初のインチング動作で行われるZ軸下降動作を行わずに、所定値以上の場合には主軸回転数に応じたZ軸下降動作を行わせるようにする。そして、タップ動作時の主軸回転数が所定値以上の場合では、主軸回転数に比例させてZ軸下降量を大きくしているので、工具13と主軸9との隙間の大きさに応じて、主軸9を下降することができ、工具13の折損又は主軸9の損傷を防ぐことができる。
次に、タップ戻し操作画面40について、図11,図12を参照して説明する。タップ動作中に停電が起きて加工が中断され、電源が復帰すると、操作パネル10のディスプレイ11に、図11に示すタップ戻し操作画面40が表示される。バックアップRAM55に設けられた戻し情報フラグ記憶エリア551に「1」が記憶されている場合、バックアップRAM55にタップ戻し情報が記憶されている。この場合、操作画面の下側に表示されたボタン表示欄42の右側に、「タップ戻し有効にする」ボタンと、「タップ戻し情報クリア」ボタンとが各々表示される。
ディスプレイ11の下側には、F0〜F7のファンクションキーが設けられている。F6キーの上に「タップ戻し情報クリア」ボタンが表示され、F7キーの上に「タップ戻し有効にする」ボタンが表示される。バックアップRAM55に記憶されているタップ戻し情報を消去する場合はF6キーを押下する。タップ戻しモードを設定する場合はF7キーを押下する。尚、バックアップRAM55に設けられた戻し情報フラグ記憶エリア551に「0」が記憶されている場合、「タップ戻し有効にする」ボタンと、「タップ戻し情報クリア」ボタンは、表示されることはない。
F7キーを押下してタップ戻しモードを設定した場合は、図12に示すように、ボタン表示欄42の上側に位置するメッセージ表示欄41に、「タップ戻しを行ってください。(操作方法はヘルプを参照してください。」のメッセージが表示される。タップ戻し動作の準備が完了したことを報知する。その横には[ヘルプ]が表示される。メッセージ表示欄41の右側の直上には、「タップ戻しモード中」のメッセージが表示され、現在タップ戻しモードが設定されていることを報知している。ボタン表示欄42に表示されていた「タップ戻し有効にする」ボタンと、「タップ戻し情報クリア」ボタンとは何れも消えて、F7キーの上に、「タップ戻し無効にする」ボタンが表示される。タップ戻しモードを解除する場合にはF7キーを押下する。
タップ戻し操作画面40に「タップ戻しモード中」が表示されている場合に、作業者が、キーボード12に設けられた解除キー(図示外)と「F」キー(図示外)とを同時に押すと、現在位置からタップ動作開始位置まで主軸9を連続で戻す通常のタップ戻し動作が実行される。解除キーと「H」キー(図示外)とを同時に押すと、所定量ずつ断続的にタップ戻し動作を行うためのインチング動作が実行される。
次に、CPU51によるメインの制御処理について、図13のフローチャートを参照して説明する。まず、作業者が操作パネル10において、加工プログラムを選択すると、その加工プログラムが読み出され、1ブロック解釈される(S11)。解釈された1ブロックがタップ指令「G74」であるか否かが判断される(S12)。タップ指令でなければ(S12:NO)、その1ブロックで解釈された動作指令に基づき、指定の動作が実行される(S14)。
一方、タップ指令であった場合(S12:YES)、そのタップ指令に基づき、タップ戻し情報が作成され、バックアップRAM55の各種記憶エリア552〜555(図9参照)に各値が各々記憶される(S13)。このとき、バックアップRAM55の戻し情報フラグ記憶エリア551に「1」が記憶される。タップ指令に基づき、ワーク30に対してタップ動作が実行される(S14)。タップ動作によって、ワーク30に先に形成された穴にねじが形成される。正常にねじが形成された場合、バックアップRAM55の戻し情報フラグ記憶エリア551に「0」が記憶される。
次ブロックに移行し、プログラムエンド「M30」であるか否かが判断される(S15)。プログラムエンドであれば(S15:YES)、処理を終了する。プログラムエンドでなければ(S15:NO)、S11に戻って、引き続き次の1ブロックが解釈され、処理が繰り返される。
次に、CPU51による電源復帰処理について、図14のフローチャートを参照して説明する。タップ動作中に停電が起きて加工が中断されると(戻し情報フラグ記憶エリア551に「1」が記憶されていると)、電源復帰時においてディスプレイ11に図11に示すタップ戻し操作画面40が表示される。すると、操作パネル10のキーボード12において、キー入力の受け付けがなされる(S21)。受付されたキー入力がタップ戻しモードの設定(図11のF7キー)であるか否かが判断される(S22)。タップ戻しモードの設定でなければ(S22:NO)、各種キーに対応する処理が実行され(S23)、処理が終了する。
F7キーが押されて、タップ戻しモードの設定であった場合(S22:YES)、ディスプレイ11には、図12に示すタップ戻し操作画面40が表示され、続いて、主軸9(主軸ヘッド7)の軸移動又はテーブル15の移動を指示する軸移動キー(図示外)が押下されたか否かが判断される(S24)。軸移動キーが押下された場合(S24:YES)、ワークに対して工具13が喰いついた状態であれば、主軸9又はテーブル15を移動させると主軸9やワークを損傷する虞がある。よって、軸移動キーの押下による軸移動指令、及びテーブル15の移動指令が無効となり、主軸9の移動と、テーブル15のXY軸方向への移動とが何れも禁止され(S30)、処理が終了する。
そして、タップ戻しモードが設定されている状態で(S22:YES)、タップ戻しキー(図示外)が押下された場合(S24:NO、S25:YES)、即ち、解除キーと「F」キー、又は解除キーと「H」キーとが同時に押下された場合は、タップ戻し処理が実行される(S28)。
タップ戻し処理について、図15のフローチャートを参照して説明する。インチング動作の指示であるか否かが判断される(S41)。解除キーと「F」キーとが同時に押下された場合(S41:NO)、通常のタップ戻し動作であるので、タップ動作が中断して停止した主軸9の現在位置が、フラッシュメモリ57の現在位置記憶エリア572(図10参照)に記憶される(S44)。
次いで、バックアップRAM55の各種記憶エリア552〜555からタップ戻し情報が読み出される(S45)。さらに、フラッシュメモリ57のパラメータ記憶エリア571からタップ戻し動作に必要な各種パラメータが読み出される(S46)。通常のタップ戻し動作の場合は、最大主軸回転数が読み出される。尚、最大主軸回転数は、予めフラッシュメモリ57に記憶している。バックアップRAM55の主軸回転数記憶エリア554に記憶された主軸回転数が最大主軸回転数を超えている場合は、最大主軸回転数が主軸回転数記憶エリア554に記憶される。
次いで、そのタップ戻しが最初のタップ戻しか否かが判断される(S47)。最初のタップ戻しか否かは、RAM53(図7参照)に記憶したタップ戻しフラグで判断する。タップ戻しフラグが立っていなければ最初と判断される。通常のタップ戻し動作の場合は、タップ戻しフラグは立っておらず、最初のタップ戻しであるので(S47:YES)、フラッシュメモリ57のZ軸下降量判定テーブル記憶エリア573に記憶されたテーブルが参照され、主軸9をワークに向けて移動させるZ軸下降動作が実行される(S48)。
このZ軸下降動作は、主軸回転数記憶エリア554に記憶された主軸回転数が所定値(例えば、50RPM)以上の場合は、Z軸下降量が設定される。主軸回転数が所定値未満の場合は、Z軸下降量は設定されない。Z軸下降量は、RAM53のZ軸下降量記憶エリア531に記憶される。そして、Z軸下降量記憶エリア531に記憶されたZ軸下降量だけ、主軸9がZ軸方向に下降する。
Z軸下降動作は、主軸9が高回転数でタップ動作を行った場合に特に効果的である。この場合、主軸9と工具13との間に隙間が発生している可能性がある(図3参照)。主軸9が下降することで、該隙間をなくすことができる。これにより、工具13が主軸9から外れることがない。また、ワーク30に工具13が喰いついても、ワーク30に対して工具13が押し付けられてから引き抜くので、ワーク30から工具13を剥がすことができる。よって、ワーク30から工具13を無理なく抜くことができる。
次いで、タップ戻し情報と、フラッシュメモリ57の現在位置記憶エリア572に記憶された現在位置(x,y,z)と、Z軸下降量記憶エリア531に記憶されたZ軸下降量とに基づき、Z軸方向に下降した地点からタップ度動作開始位置に主軸9を復帰させるために必要な主軸9のZ軸方向の上昇量、主軸回転数、主軸回転方向が決定される。主軸回転方向は、工具13が右ねじなら反時計回り、左ねじなら時計回りとなる。これらの値は、通常のタップ戻し動作の制御値として、RAM53の戻し制御値記憶エリア532に記憶される。戻し制御値記憶エリア532に記憶された制御値に基づいてタップ戻し指令が生成される(S49)。
そして、生成されたタップ戻し指令に基づいて通常のタップ戻し動作が実行される(S50)。この場合、Z軸方向に下降した位置からタップ動作開始位置まで主軸9が回転しながら連続で上昇することによって、ワーク30から工具13が引き抜かれる。そして、図14のS29に移行する。
ところで、ワークがアルミニウムのように軟らかい材質の場合、停電によって主軸9が停止しても工具13が惰性で回転しようとするので、ワーク30に対して工具13が喰いついてしまうことがある。この場合、通常のタップ戻し動作を行うと、ワーク30から工具13が剥がれず、主軸9から工具13が外れ、工具13の折損又は主軸9が損傷する虞がある。このような場合、作業者はインチング動作を選択する。
作業者によって、解除キーと「H」キーとが同時に押され、インチング動作が選択された場合(S41:YES)、バックアップRAM55の各種記憶エリア552〜555からタップ戻し情報が読み出される(S42)。さらに、フラッシュメモリ57のパラメータ記憶エリア571からインチング動作に必要な各種パラメータが読み出される(S43)。まず、最大主軸回転数が読み出される。バックアップRAM55の主軸回転数記憶エリア554に記憶された主軸回転数が最大主軸回転数を超えている場合は、最大主軸回転数が主軸回転数記憶エリア554に記憶される。次いで、インチング動作における1回の戻し移動量として設定された主軸9の戻し回転角度(又は、主軸9のZ軸方向の上昇量)が読み出される。
次いで、タップ戻し情報と、パラメータとして設定された主軸9の戻し回転角度とに基づき、1回の戻し動作で上昇させる主軸9の移動量が算出される。例えば、タップのピッチが1mmで、戻し回転角度を90度に設定した場合、1回の戻し動作として主軸9を0.25mm上昇させる。この0.25mmが1回のインチング動作における目標位置となる。そして、主軸9の戻し回転角度、目標位置、主軸回転数、主軸回転方向が、インチング動作の制御値として、RAM53の戻し制御値記憶エリア532(図8参照)に記憶される。
次いで、そのタップ戻しが最初のタップ戻しか否かが判断される(S47)。タップ戻しフラグが立っていなければ、最初のタップ戻しであるので(S47:YES)、フラッシュメモリ57のZ軸下降量判定テーブル記憶エリア573に記憶されたテーブルが参照され、上記と同様に、主軸9をワークに向けて移動させるZ軸下降動作が実行される(S48)。
そして、戻し制御値記憶エリア532に記憶された制御値に基づいてタップ戻し指令が生成され(S49)、そのタップ戻し指令に基づいてインチング動作が実行される(S50)。インチング動作では、タップ動作開始位置まで主軸9が一気に上昇せず、所定量だけ上昇するので、作業者は、工具13とワーク30との状況を確認できる。これで1回のインチング動作が終了し、図14のS29に移行する。なお、タップ戻しフラグが立っていれば、最初のインチング動作ではないので(S47:NO)、Z軸下降動作は実行せずに、戻し制御値記憶エリア532に記憶された制御値に基づいてタップ戻し指令が生成され(S49)、そのタップ戻し指令に基づいてインチング動作が実行される(S50)。そして、図14のS29に移行する。
次に、タップ動作開始位置に復帰したか否かが判断される(S29)。ここでは、主軸9の現在位置が、バックアップRAM55のタップ動作開始位置記憶エリア552に記憶されたタップ動作開始位置に到達したか否かが判断される。タップ動作開始位置まで復帰した場合(S29:YES)、バックアップRAM55に記憶されているタップ戻し情報とタップ戻しフラグとがクリアされ(S27)、処理が終了する。
そして、インチング動作において、主軸9がタップ動作開始位置まで復帰していない場合は(S29:NO)、処理が終了する。さらに、作業者は、解除キーと「H」キーとを再度押すことで、上記とキー入力処理(S21、S22、S24、S25、S28)、が実行され、同じタップ生成指令に基づき、インチング動作が実行される(S41〜S45)。これにより、断続的に主軸9をワーク30から引き上げることができるので、作業者は、工具13とワーク30との状況を確認しながら、タップ戻し動作を行うことができる。なお、主軸9がタップ動作開始位置に復帰するまでは、タップ戻しフラグはクリアされないので、Z軸下降動作は実行されずに、インチング動作が実行される。そして、主軸9がタップ動作開始位置に復帰した場合(S29:YES)、バックアップRAM55に記憶されているタップ戻し情報とタップ戻しフラグとがクリアされ(S27)、処理が終了する。
なお、タップ戻しモード中に(S22:YES)、タップ戻し無効にするキーであるF7(図12参照)が押下された場合(S24:NO、S25:NO、S26:YES)、図11の画面に切り替わり(S27)、処理が終了する。また、タップ戻しモード中に(S22:YES)、軸移動キー、タップ戻しキー、キャンセルキーの何れも押されない場合は、処理が終了する。
以上説明において、図13に示すS13において、タップ指令に基づき、主軸回転を取得するCPU51が本発明の「主軸回転数取得手段」に相当し、図15に示すS48の処理を実行するCPU51が本発明の「軸方向移動制御手段」に相当し、図10に示すフラッシュメモリ57のZ軸下降量判定テーブル記憶エリア573が本発明の「所定距離記憶手段」に相当する。
以上説明したように、本実施形態の数値制御装置50では、タップ動作中にタップ戻し情報がバックアップRAM55に記憶される。停電時にタップ動作が中断し、電源復帰時には主軸9を逆回転させながら上昇させるタップ戻し動作が実行されるが、所定量ずつ断続的に移動させるインチング動作が行われる。最初のインチング動作の際には、主軸9をZ軸方向に所定距離下降させる。これにより、ワークに対して工具が押し付けられる。このとき、主軸9と工具との間に発生した隙間がなくなるので、この状態から工具を引き抜くことで、工具が主軸9から外れることがない。よって、その後のタップ戻し動作を確実に行うことができる。また、ワークに工具が喰いついても、ワークに対して工具が押し付けられてから引き抜くので、ワークから工具を剥がすことができる。よって、ワークから工具を無理なく抜くことができる。また、タップ動作中の主軸9の回転数が所定値未満の場合は、Z軸下降動作を行わずに、所定値以上の場合には主軸回転数に応じたZ軸下降動作を行わせるようにする。タップ動作時の主軸回転数が所定値以上の場合では、主軸回転数に比例させてZ軸下降量を大きくしているので、工具13と主軸9との隙間の大きさに応じて、主軸9を下降することができ、工具13の折損又は主軸9の損傷を防ぐことができる。
なお、本発明の数値制御装置、数値制御装置の制御プログラム、記憶媒体及び数値制御装置の制御方法は、上記実施形態に限らず、各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、上記実施形態では、インチング動作のパラメータにおいて、戻し回転角度を設定し、1回の戻し動作における単位移動量を算出したが、主軸9の上昇量を設定し、1回の戻し動作における戻し回転角度を算出するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、最初のインチング動作におけるZ軸下降量を、フラッシュメモリ57に記憶されたZ軸下降量判定テーブルを参照し、タップ動作時の主軸回転数に基づいて決定したが、タップ動作時の主軸回転数に関わらず、作業者がZ軸下降量を予め設定できるようにしてもよい。
また、上記実施形態の工作機械1は、主軸9がZ軸方向にのみ移動可能であって、テーブル15をXY軸方向に移動させることにより、主軸9とテーブル15との相対の位置関係をXYZ軸方向において制御するものであるが、テーブル15の位置を固定し、主軸9がXYZ軸方向に移動するタイプの工作機械にも本発明の適用が可能である。
また、上記実施形態の工作機械1は、縦型のマシニングセンタであるが、横型のマシニングセンタにも本発明の適用が可能である。
また、本発明の制御プログラムを記憶する記憶媒体としては、ROM、RAM等の素子の他、種々の形態が考えられる。例えば、CD−ROM、フロッピー(登録商標)等でもよく、カードスロットへ挿入可能なプログラムカートリッジ等でもよく、インターネット上のファイルサーバであってもよい。
また、本実施形態では、図14に示すS30において、X軸、Y軸、Z軸の移動を禁止するようにしているが、操作パネル10に設けたZ軸移動キー(図示外)が押下された場合は、Z軸の移動のみを許可するようにしてもよい。例えば、図17に示す移動禁止処理のように、操作パネル10に設けたZ軸移動キー(図示外)が押下されたか否かを判断する(S310)。Z軸移動キーが押下されない場合は(S310:NO)、X軸、Y軸の移動を禁止し(S330)、Z軸移動キーが押下された場合は(S310:YES)、Z軸の移動のみ許可する(S320)。作業者は、ワークと工具の状況に応じて主軸9をZ軸方向に移動できる。
1 工作機械
9 主軸
10 操作パネル
11 ディスプレイ
12 キーボード
13 工具
15 テーブル
16 支持台
17 X軸移動機構
18 Y軸移動機構
22 制御ボックス
30 ワーク
50 数値制御装置
51 CPU
52 ROM
53 RAM
55 バックアップRAM
56 バックアップ電源
57 フラッシュメモリ

Claims (5)

  1. タップ動作中に該動作が中断された際に、主軸を逆回転させてタップをワークから引き抜き、前記中断位置から所定位置まで復帰させる工具抜き動作を行う工作機械の数値制御を行う数値制御装置において、
    前記工具抜き動作を実行する前に、前記主軸を前記ワーク側に向けて所定距離移動させる軸方向移動制御手段を備えたことを特徴とする数値制御装置。
  2. 前記タップ動作を指示するタップ動作指令が生成された場合に、当該タップ動作指令に基づき、前記タップ動作中の前記主軸の回転数を取得する主軸回転数取得手段と、
    前記タップ動作中の前記主軸の回転数と前記所定距離とを対応付けて記憶する所定距離記憶手段と、
    前記所定距離記憶手段に記憶された複数の前記所定距離の中から、前記主軸回転数取得手段によって取得された前記回転数に対応する前記所定距離を特定する所定距離特定手段と
    を備え、
    前記軸方向移動制御手段は、
    前記工具抜き動作を実行する前に、前記主軸を、前記ワーク側に向けて前記所定距離特定手段によって取得された前記所定距離移動させることを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  3. タップ動作中に該動作が中断された際に、主軸を逆回転させてタップをワークから引き抜き、前記中断位置から所定位置まで復帰させる工具抜き動作を行う工作機械の数値制御を行う数値制御装置の制御プログラムにおいて、
    前記工具抜き動作を実行する前に、前記主軸を前記ワーク側に向けて所定距離移動させる軸方向移動制御ステップを備えたことを特徴とする数値制御装置の制御プログラム。
  4. 請求項3に記載の制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
  5. タップ動作中に該動作が中断された際に、主軸を逆回転させてタップをワークから引き抜き、前記中断位置から所定位置まで復帰させる工具抜き動作を行う工作機械の数値制御を行う数値制御装置の制御方法において、
    前記工具抜き動作を実行する前に、前記主軸を前記ワーク側に向けて所定距離移動させることを特徴とする数値制御装置の制御方法。
JP2009223916A 2009-09-29 2009-09-29 数値制御装置、数値制御装置の制御プログラム、記憶媒体及び数値制御装置の制御方法 Pending JP2011073069A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009223916A JP2011073069A (ja) 2009-09-29 2009-09-29 数値制御装置、数値制御装置の制御プログラム、記憶媒体及び数値制御装置の制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009223916A JP2011073069A (ja) 2009-09-29 2009-09-29 数値制御装置、数値制御装置の制御プログラム、記憶媒体及び数値制御装置の制御方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011073069A true JP2011073069A (ja) 2011-04-14

Family

ID=44017616

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009223916A Pending JP2011073069A (ja) 2009-09-29 2009-09-29 数値制御装置、数値制御装置の制御プログラム、記憶媒体及び数値制御装置の制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011073069A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017167997A (ja) * 2016-03-18 2017-09-21 ファナック株式会社 工作機械
KR20180124574A (ko) * 2017-05-12 2018-11-21 두산공작기계 주식회사 전원 차단이나 비상정지 시 수직축에 부설된 스핀들헤드의 인상 량 자동 조정방법
US11281188B2 (en) 2019-11-06 2022-03-22 Fanuc Corporation Controller for machining device and control method for machining device

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02256417A (ja) * 1989-03-30 1990-10-17 Okuma Mach Works Ltd ねじ切り制御方法及びその装置
JPH02303750A (ja) * 1989-05-18 1990-12-17 Nissan Motor Co Ltd 工作機械の自動復帰装置
JPH04210323A (ja) * 1990-11-30 1992-07-31 Nissan Motor Co Ltd タップ加工装置
JPH1190772A (ja) * 1997-09-11 1999-04-06 Yaskawa Electric Corp 主軸と送り軸の指令装置
JP3117939U (ja) * 2005-10-25 2006-01-19 株式会社湖東製作所 タッピング装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02256417A (ja) * 1989-03-30 1990-10-17 Okuma Mach Works Ltd ねじ切り制御方法及びその装置
JPH02303750A (ja) * 1989-05-18 1990-12-17 Nissan Motor Co Ltd 工作機械の自動復帰装置
JPH04210323A (ja) * 1990-11-30 1992-07-31 Nissan Motor Co Ltd タップ加工装置
JPH1190772A (ja) * 1997-09-11 1999-04-06 Yaskawa Electric Corp 主軸と送り軸の指令装置
JP3117939U (ja) * 2005-10-25 2006-01-19 株式会社湖東製作所 タッピング装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017167997A (ja) * 2016-03-18 2017-09-21 ファナック株式会社 工作機械
US10110157B2 (en) 2016-03-18 2018-10-23 Fanuc Corporation Machine tool
KR20180124574A (ko) * 2017-05-12 2018-11-21 두산공작기계 주식회사 전원 차단이나 비상정지 시 수직축에 부설된 스핀들헤드의 인상 량 자동 조정방법
KR102274047B1 (ko) 2017-05-12 2021-07-08 두산공작기계(주) 전원 차단이나 비상정지 시 수직축에 부설된 스핀들헤드의 인상 량 자동 조정방법
US11281188B2 (en) 2019-11-06 2022-03-22 Fanuc Corporation Controller for machining device and control method for machining device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102029446B (zh) 数控装置
JP6398254B2 (ja) 数値制御装置と数値制御装置の制御方法
JP6617474B2 (ja) 数値制御装置と制御方法
US6257348B1 (en) Control apparatus for drilling machine and drilling method
KR20080025598A (ko) 안전장치를 갖는 탁상 드릴링머신
JP2015060480A (ja) 数値制御装置
JP6900564B1 (ja) 工作機械および情報処理装置
JP2011073069A (ja) 数値制御装置、数値制御装置の制御プログラム、記憶媒体及び数値制御装置の制御方法
JP2005088162A (ja) マシニングセンタ
JP6801552B2 (ja) 工作機械及び制御方法
JP3117939U (ja) タッピング装置
JP2011073070A (ja) 数値制御装置、数値制御装置の制御プログラム及び記憶媒体
JP5384956B2 (ja) ミシン
JP2010069545A (ja) 数値制御式工作機械及び数値制御式工作機械の制御プログラム
JP2009172001A (ja) ミシン
JP2011086001A (ja) 数値制御装置、制御プログラム及び記憶媒体
JP2012093822A (ja) 送り装置
WO2021141016A1 (ja) 数値制御装置、切粉除去システム、切粉除去方法
JP5874478B2 (ja) 工作機械
JP4487593B2 (ja) ドリル加工機能付き工作機械
JP7057703B2 (ja) 工作機械
JP4037087B2 (ja) 数値制御工作機械のねじ切り制御方法および制御装置とそれを組み込んだ数値制御工作機械
JP5350131B2 (ja) 穿孔装置及び穿孔方法
JP5861522B2 (ja) 工作機械
JP2008234278A (ja) 数値制御装置、制御プログラム、制御プログラム記録媒体及び工作機械

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130219

A02 Decision of refusal

Effective date: 20130625

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02