JP2004322239A - 加工用工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】切削加工時において潤滑効果を得るために必要な切削液を簡単な構造により、加工部に供給し、加工精度を向上することのできる加工用工具を提供する。
【解決手段】ブローチ本体10内に切削液を貯留可能な切削液貯留部54を形成し、また切削液貯留部54から外部に空気孔60を貫通形成し、更に切削液貯留部54から、ブローチ加工時において加工部に摺接する刃12のランド面26に切削液供給孔56を貫通形成する。これにより、加工時に潤滑効果を得るための適量の切削液を加工部に適切に供給することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】ブローチ本体10内に切削液を貯留可能な切削液貯留部54を形成し、また切削液貯留部54から外部に空気孔60を貫通形成し、更に切削液貯留部54から、ブローチ加工時において加工部に摺接する刃12のランド面26に切削液供給孔56を貫通形成する。これにより、加工時に潤滑効果を得るための適量の切削液を加工部に適切に供給することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークに切削加工を施す加工用工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワークの切削加工時に加工部に切削液を供給することは、切削加工にとって、重要な技術である。即ち、切削加工部に切削液を供給することによりワークと加工用工具に備えられた切削刃との間に潤滑効果を得ることができ、仕上げ精度の向上を図ることができる。このため、切削加工中においても加工部に切削液を供給することが好ましい。しかし、加工の種類によっては加工中に切削液が加工部に供給されない場合がある。例えば、ブローチ加工においては、切削液は加工前にワークに塗布されるのみで、加工中に切削液が加工部に供給されることはなかった。ここで、ブローチ加工とは、スプライン穴、キー溝、及び異形穴のような複雑な形状をした穴を一度に精度良く加工するためのものである。
【0003】
一方、切削加工中に切削液を加工部に供給する技術としては、例えばドリル加工においてドリル刃部に切削液供給孔を設け切削液をドリル刃部から噴出させながら加工する技術が開発されている(例えば、特許文献1〜2、参照)。
【0004】
この技術は、例えば特許文献1に開示されている。図7は、同文献1に係るエンドミルを示したものである。図に示すように、エンドミル100内に流通路102を形成し、この流通路102に連通する複数の噴出口104を刃部106の外周面に形成する。そして、切削加工時、切削液を流通路102に供給して、噴出口104からワークの加工部位に噴出させるものである。
【0005】
また、他の例が特許文献2に開示されている。図8は、同文献2に係るクーラント供給装置の構成を示している。切削作業は、切削工具120を工具ホルダ124に装着して行う。クーラントは、クーラント供給源130から流体回転継手132を介し、パイプ128を通って切削工具120に供給される。切削工具120の工具本体外周には工具先端の切刃部に向けて工具長さ方向に凹形状のクーラント供給溝122が形成されている。切削工具120に供給されたクーラントはこのクーラント供給溝122内を流通して工具先端の切刃部のすくい面に直接当たるように噴出させる。なお、図中符号126は工具主軸である。
【0006】
また、上記切削液を噴出させる技術以外では切削液を霧化して切削加工部に切削液を吹き付ける技術がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−169308号公報
【特許文献2】
特開平6−134647号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1及び2に記載された技術はワークの加工部とドリルを冷却する冷却効果を得るためのものであるため、大量の切削液を使用する。一方、切削液を加工部に供給する目的は、冷却効果を得ることの他に、ワークと切削刃との間に潤滑効果を得、加工精度の向上を得ることも重要な要素として含まれる。例えば、ブローチ加工において切削液を供給するのは、この潤滑効果を得ることにより加工精度の向上を目的としているので、少量の切削液を的確に供給するような構成が必要である。このため、上記特許文献1及び2に記載された技術を、ブローチ等の加工技術に使用することは、適切ではない。また、切削液を霧化させる技術においては、装置が大がかりで複雑なものになる。一方、切削液を切削加工時に全く使用しないか、もしくはワークに切削液を塗布するのみでは、充分な潤滑効果が得られず、工具摩耗や仕上面粗さの原因になる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、切削加工時において潤滑効果を得るために必要な最小量の切削液を加工部に供給し、加工精度を向上することのできる加工用工具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の加工用工具は、切削加工装置に取り付けられて用いられ、切削用の刃部を有する加工用工具であって、加工用工具本体内部に形成され、切削液を貯留可能な貯留部と、貯留部から加工用工具本体外部に貫通形成された空気孔と、貯留部から、切削加工時にワークの加工部に接触する刃部までの間に貫通形成された切削液供給孔と、を有することを特徴とする。
【0011】
これにより、切削液を加工部に供給するための構成が簡易かつコンパクトになる。また、加工部に直接切削液を供給することができるので、加工時に潤滑効果を得るための適量の切削液を適切に供給でき、加工精度の向上が図られる。
【0012】
請求項2に記載の加工用工具は、請求項1に記載の加工用工具であって、前記加工用工具本体は加工用ブローチ本体であり、刃部には、荒削り用の刃部領域と仕上げ用の刃部領域とが連続して形成され、切削液供給孔は仕上げ用の刃部領域に形成されていることを特徴とする。
【0013】
これにより、ブローチ加工の仕上げ段階でのみ切削液が加工部に供給される構成となり、構成の簡略化が図られると共に、高い加工精度の要求される部分にのみ適切に切削液が供給されるので加工精度を維持しつつ、切削液の効率的利用が図られる。
【0014】
請求項3に記載の加工用工具は、請求項2に記載の加工用工具であって、前記仕上げ用の刃部領域には複数の刃が所定の間隔毎に突設形成され、切削液供給孔は、各刃のランド面毎に開口端を有するように形成されていることを特徴とする。
【0015】
加工工具本体に形成された刃のランド面は加工時にワークの加工部と摺接するので、この部位から加工部に切削液を供給することとし、加工部への確実な切削液供給が達成され、潤滑作用の効率化が図れる。
【0016】
請求項4に記載の加工用工具は、請求項2又は3の何れかに記載の加工用工具であって、切削液供給孔の開口端は、ブローチ本体長手方向に直交する方向の位置を隣接の開口端の位置と相互にずらして形成されたことを特徴とする。
【0017】
隣接の切削液供給孔の位置を相互にずらすことにより、切削液の加工部への供給位置が隣接する切削液供給孔間でずらされることとなり、加工部全域に渡り切削液が効率良く供給される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明に係る実施の形態を加工用ブローチを例にとり詳細に説明する。図1は本発明に係るブローチ本体の平面図であり、図2は図1の側面図である。本実施の形態で使用するブローチ本体10は、一方の側部に刃12を備えており、このブローチ本体10にてワークの加工孔内側にキー溝を切削加工するものである。
【0019】
まず、図5にブローチによりワーク16の加工孔18にキー溝24を切削加工する概要を示した(図上ブローチ本体10のみを示した)。ワーク16の加工孔18を垂直上方に向けた状態で固定し、ブローチ本体10を垂直に立てた状態で加工孔18に挿入する。ブローチ本体10は下端20と、上端22とを有し、下端20から加工孔18に挿入する。またブローチ本体10の略全長に亘って備えられた刃12は下端20から上端22に向かうに従い少しずつ突出量が大きくなっている。この刃12により、加工孔18を徐々に切削し、キー溝24を加工する。
【0020】
図6には、断面円形の製品加工孔が示されており、本実施の形態に係るブローチで加工したキー溝24が形成されている。図示のようにキー溝24は、ブローチ本体10の刃12によって徐々に切削され所定の深さに仕上げられる。
【0021】
なお、図示しないがブローチ本体10はブローチ盤に取り付けられて使用されるものであり、ワーク16はブローチ盤に備えられたテーブル上にチャックで保持されて加工される。なお、ブローチ本体10の下降動作はシリンダ機構などにより、支柱等に沿って行われる。
【0022】
次に、本発明の特徴的事項である切削液を加工部に供給するための構成を説明する。図1に示したように所定量の切削液を貯留する切削液貯留部54がブローチ本体10内(図において上部)に形成されている。この切削液貯留部54からブローチ本体10の上端22側の外部にかけては空気孔60が貫通形成され、切削液貯留部54を大気開放している。また、切削液貯留部54から刃12のランド面26までの間には切削液供給孔56が貫通形成され、ワーク16の加工部に切削液を供給するようになっている。
【0023】
これらの刃12は所定の間隔毎に、ブローチ本体10に整列して突設形成され、図の下端20側から上端22側にかけて順次刃高が高く形成されており、下端20側に荒削り用の刃部領域が、上端22側に、仕上げ用の刃部領域が形成されている。すなわち、ワーク16の加工孔18に対し図においてブローチ本体10を下方向に引き抜くことによりブローチ加工(切削加工)が行われ、下端20側の荒削り用の刃部領域から切削を開始して荒削りを行い、上端22側の仕上げ用の刃部領域で仕上削りが行なわれキー溝24が加工される。本実施の形態は図示のように切削液貯留部54は仕上げ用の刃部領域の部分に設けられている。
【0024】
図3は、切削液貯留部54等が形成されている部位のブローチ本体10の拡大説明図であり、図示のように切削液供給孔56の開口端は、切削加工時にワーク16の加工部と接触する刃12のランド面26に形成されている。この切削液供給孔56は毛細管現象を利用しており、ランド面26がワーク16の加工部と摺接した時に切削液52がワーク16の加工部に供給されるように、孔径が調整されている。すなわち、ランド面26が加工部と摺接しない時は、切削液52は各刃に保持されている。そして、ランド面26が加工面と摺接する加工時に、加工部に切削液52が供給される。
【0025】
本実施の形態は、切削液供給孔56は仕上げ用の刃12に該当する上端22側の4カ所の刃12に貫通形成されている。即ち、仕上げ段階で切削液を加工部に供給することにより、効率的、効果的に仕上げ面の加工精度の向上を図ったものである。
【0026】
図4に、切削液供給孔56により切削液が加工部に供給され、刃12により加工部が切削される態様を示した。切削液供給孔56−1〜56−4は対応する刃12−1〜12−4のランド面26−1〜26−4に開口端を有するように貫通形成されている。加工用ブローチの前述した構造により、刃12−1から12−5はこの順序で加工面に接触する。刃12−1が加工面に接触した時にランド面26−1から切削液が加工部に供給される。そして、この供給された状態で刃12−2が加工部を切削する。このように、ランド面26−1〜26−4で切削液を供給し、切削液が供給された状態の加工部は刃12−2〜12−5で切削加工が行なわれる。
【0027】
なお、図2に示すように各切削液供給孔56のランド面26における開口位置は隣り合う刃12毎に位置を相互にずらしている。すなわち、本実施の形態では、ブローチ10の長手方向に直交する方向に交互にシフトさせている。これは各切削液供給孔56から排出する切削液の量はわずかであることから、切削液供給孔56の位置を上記のように入れ違いに交互に設けることにより、加工部全域に切削液を供給できるようにしたものである。
【0028】
本実施の形態において切削液貯留部54の切削液量の管理としては、例えば、切削液貯留部54に予め適量切削液を供給しておき、規定回数の加工が終了した後適宜切削液を補給する。切削液貯留部54に対する切削液の補給は、ブローチ盤からブローチ本体10を取り外して、ブローチ本体10を横にし(図1において左90度回転)、図示しないボルトを外して蓋54aを開けて切削液貯留部54に切削液を補給する。或いは、図示しないが、切削液貯留部54の上部と外部を連通するねじ孔をブローチ本体10に穿設し、このねじ孔に盲ねじを取付け、切削液の補給時は、盲ねじを取り外すことにより行うようにしても良く、または、単に切削液貯留部54の上部と外部を連通する補給孔をブローチ本体10に穿設し、この補給孔から切削液を補給するようにしてもよい。
【0029】
なお、本発明の構成は、上記実施の形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、切削液供給孔56を形成する数は、上記の4個に限られず種々の数を選択することができる。また、仕上げ用の刃部領域のみ切削液貯留部54を形成した例を示したが、これに限られず、荒削り用の刃部領域に切削液貯留部54を形成してもよい。
【0030】
また、本発明は加工用ブローチに限られるものではなく、種々の加工用工具例えばフライス等の切削工具にも適用可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る加工用工具によれば、潤滑効果を得るために必要な切削液が適切かつ適量、加工部に供給される。このため、切削加工の加工精度の向上を図ることができる。また、切削液を供給するために複雑な設備を必要としないので、低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブローチの平面図である。
【図2】本発明に係るブローチの側面図である。
【図3】切削液貯留部54が形成されている部位のブローチ本体10の拡大説明図である。
【図4】切削液供給孔56により切削液が加工部に供給され、刃12により加工部が切削される態様を示した図である。
【図5】加工孔に本発明に係るブローチを挿入する概要を示した図である。
【図6】本実施の形態における製品加工孔を示した図である。
【図7】従来の技術に関する実施例である。
【図8】従来の技術に関する実施例である。
【符号の説明】
10 ブローチ本体
12 刃
16 ワーク
18 加工孔
20 下端
22 上端
26 ランド面
54 切削液貯留部
56 切削液供給孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークに切削加工を施す加工用工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワークの切削加工時に加工部に切削液を供給することは、切削加工にとって、重要な技術である。即ち、切削加工部に切削液を供給することによりワークと加工用工具に備えられた切削刃との間に潤滑効果を得ることができ、仕上げ精度の向上を図ることができる。このため、切削加工中においても加工部に切削液を供給することが好ましい。しかし、加工の種類によっては加工中に切削液が加工部に供給されない場合がある。例えば、ブローチ加工においては、切削液は加工前にワークに塗布されるのみで、加工中に切削液が加工部に供給されることはなかった。ここで、ブローチ加工とは、スプライン穴、キー溝、及び異形穴のような複雑な形状をした穴を一度に精度良く加工するためのものである。
【0003】
一方、切削加工中に切削液を加工部に供給する技術としては、例えばドリル加工においてドリル刃部に切削液供給孔を設け切削液をドリル刃部から噴出させながら加工する技術が開発されている(例えば、特許文献1〜2、参照)。
【0004】
この技術は、例えば特許文献1に開示されている。図7は、同文献1に係るエンドミルを示したものである。図に示すように、エンドミル100内に流通路102を形成し、この流通路102に連通する複数の噴出口104を刃部106の外周面に形成する。そして、切削加工時、切削液を流通路102に供給して、噴出口104からワークの加工部位に噴出させるものである。
【0005】
また、他の例が特許文献2に開示されている。図8は、同文献2に係るクーラント供給装置の構成を示している。切削作業は、切削工具120を工具ホルダ124に装着して行う。クーラントは、クーラント供給源130から流体回転継手132を介し、パイプ128を通って切削工具120に供給される。切削工具120の工具本体外周には工具先端の切刃部に向けて工具長さ方向に凹形状のクーラント供給溝122が形成されている。切削工具120に供給されたクーラントはこのクーラント供給溝122内を流通して工具先端の切刃部のすくい面に直接当たるように噴出させる。なお、図中符号126は工具主軸である。
【0006】
また、上記切削液を噴出させる技術以外では切削液を霧化して切削加工部に切削液を吹き付ける技術がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−169308号公報
【特許文献2】
特開平6−134647号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1及び2に記載された技術はワークの加工部とドリルを冷却する冷却効果を得るためのものであるため、大量の切削液を使用する。一方、切削液を加工部に供給する目的は、冷却効果を得ることの他に、ワークと切削刃との間に潤滑効果を得、加工精度の向上を得ることも重要な要素として含まれる。例えば、ブローチ加工において切削液を供給するのは、この潤滑効果を得ることにより加工精度の向上を目的としているので、少量の切削液を的確に供給するような構成が必要である。このため、上記特許文献1及び2に記載された技術を、ブローチ等の加工技術に使用することは、適切ではない。また、切削液を霧化させる技術においては、装置が大がかりで複雑なものになる。一方、切削液を切削加工時に全く使用しないか、もしくはワークに切削液を塗布するのみでは、充分な潤滑効果が得られず、工具摩耗や仕上面粗さの原因になる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、切削加工時において潤滑効果を得るために必要な最小量の切削液を加工部に供給し、加工精度を向上することのできる加工用工具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の加工用工具は、切削加工装置に取り付けられて用いられ、切削用の刃部を有する加工用工具であって、加工用工具本体内部に形成され、切削液を貯留可能な貯留部と、貯留部から加工用工具本体外部に貫通形成された空気孔と、貯留部から、切削加工時にワークの加工部に接触する刃部までの間に貫通形成された切削液供給孔と、を有することを特徴とする。
【0011】
これにより、切削液を加工部に供給するための構成が簡易かつコンパクトになる。また、加工部に直接切削液を供給することができるので、加工時に潤滑効果を得るための適量の切削液を適切に供給でき、加工精度の向上が図られる。
【0012】
請求項2に記載の加工用工具は、請求項1に記載の加工用工具であって、前記加工用工具本体は加工用ブローチ本体であり、刃部には、荒削り用の刃部領域と仕上げ用の刃部領域とが連続して形成され、切削液供給孔は仕上げ用の刃部領域に形成されていることを特徴とする。
【0013】
これにより、ブローチ加工の仕上げ段階でのみ切削液が加工部に供給される構成となり、構成の簡略化が図られると共に、高い加工精度の要求される部分にのみ適切に切削液が供給されるので加工精度を維持しつつ、切削液の効率的利用が図られる。
【0014】
請求項3に記載の加工用工具は、請求項2に記載の加工用工具であって、前記仕上げ用の刃部領域には複数の刃が所定の間隔毎に突設形成され、切削液供給孔は、各刃のランド面毎に開口端を有するように形成されていることを特徴とする。
【0015】
加工工具本体に形成された刃のランド面は加工時にワークの加工部と摺接するので、この部位から加工部に切削液を供給することとし、加工部への確実な切削液供給が達成され、潤滑作用の効率化が図れる。
【0016】
請求項4に記載の加工用工具は、請求項2又は3の何れかに記載の加工用工具であって、切削液供給孔の開口端は、ブローチ本体長手方向に直交する方向の位置を隣接の開口端の位置と相互にずらして形成されたことを特徴とする。
【0017】
隣接の切削液供給孔の位置を相互にずらすことにより、切削液の加工部への供給位置が隣接する切削液供給孔間でずらされることとなり、加工部全域に渡り切削液が効率良く供給される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明に係る実施の形態を加工用ブローチを例にとり詳細に説明する。図1は本発明に係るブローチ本体の平面図であり、図2は図1の側面図である。本実施の形態で使用するブローチ本体10は、一方の側部に刃12を備えており、このブローチ本体10にてワークの加工孔内側にキー溝を切削加工するものである。
【0019】
まず、図5にブローチによりワーク16の加工孔18にキー溝24を切削加工する概要を示した(図上ブローチ本体10のみを示した)。ワーク16の加工孔18を垂直上方に向けた状態で固定し、ブローチ本体10を垂直に立てた状態で加工孔18に挿入する。ブローチ本体10は下端20と、上端22とを有し、下端20から加工孔18に挿入する。またブローチ本体10の略全長に亘って備えられた刃12は下端20から上端22に向かうに従い少しずつ突出量が大きくなっている。この刃12により、加工孔18を徐々に切削し、キー溝24を加工する。
【0020】
図6には、断面円形の製品加工孔が示されており、本実施の形態に係るブローチで加工したキー溝24が形成されている。図示のようにキー溝24は、ブローチ本体10の刃12によって徐々に切削され所定の深さに仕上げられる。
【0021】
なお、図示しないがブローチ本体10はブローチ盤に取り付けられて使用されるものであり、ワーク16はブローチ盤に備えられたテーブル上にチャックで保持されて加工される。なお、ブローチ本体10の下降動作はシリンダ機構などにより、支柱等に沿って行われる。
【0022】
次に、本発明の特徴的事項である切削液を加工部に供給するための構成を説明する。図1に示したように所定量の切削液を貯留する切削液貯留部54がブローチ本体10内(図において上部)に形成されている。この切削液貯留部54からブローチ本体10の上端22側の外部にかけては空気孔60が貫通形成され、切削液貯留部54を大気開放している。また、切削液貯留部54から刃12のランド面26までの間には切削液供給孔56が貫通形成され、ワーク16の加工部に切削液を供給するようになっている。
【0023】
これらの刃12は所定の間隔毎に、ブローチ本体10に整列して突設形成され、図の下端20側から上端22側にかけて順次刃高が高く形成されており、下端20側に荒削り用の刃部領域が、上端22側に、仕上げ用の刃部領域が形成されている。すなわち、ワーク16の加工孔18に対し図においてブローチ本体10を下方向に引き抜くことによりブローチ加工(切削加工)が行われ、下端20側の荒削り用の刃部領域から切削を開始して荒削りを行い、上端22側の仕上げ用の刃部領域で仕上削りが行なわれキー溝24が加工される。本実施の形態は図示のように切削液貯留部54は仕上げ用の刃部領域の部分に設けられている。
【0024】
図3は、切削液貯留部54等が形成されている部位のブローチ本体10の拡大説明図であり、図示のように切削液供給孔56の開口端は、切削加工時にワーク16の加工部と接触する刃12のランド面26に形成されている。この切削液供給孔56は毛細管現象を利用しており、ランド面26がワーク16の加工部と摺接した時に切削液52がワーク16の加工部に供給されるように、孔径が調整されている。すなわち、ランド面26が加工部と摺接しない時は、切削液52は各刃に保持されている。そして、ランド面26が加工面と摺接する加工時に、加工部に切削液52が供給される。
【0025】
本実施の形態は、切削液供給孔56は仕上げ用の刃12に該当する上端22側の4カ所の刃12に貫通形成されている。即ち、仕上げ段階で切削液を加工部に供給することにより、効率的、効果的に仕上げ面の加工精度の向上を図ったものである。
【0026】
図4に、切削液供給孔56により切削液が加工部に供給され、刃12により加工部が切削される態様を示した。切削液供給孔56−1〜56−4は対応する刃12−1〜12−4のランド面26−1〜26−4に開口端を有するように貫通形成されている。加工用ブローチの前述した構造により、刃12−1から12−5はこの順序で加工面に接触する。刃12−1が加工面に接触した時にランド面26−1から切削液が加工部に供給される。そして、この供給された状態で刃12−2が加工部を切削する。このように、ランド面26−1〜26−4で切削液を供給し、切削液が供給された状態の加工部は刃12−2〜12−5で切削加工が行なわれる。
【0027】
なお、図2に示すように各切削液供給孔56のランド面26における開口位置は隣り合う刃12毎に位置を相互にずらしている。すなわち、本実施の形態では、ブローチ10の長手方向に直交する方向に交互にシフトさせている。これは各切削液供給孔56から排出する切削液の量はわずかであることから、切削液供給孔56の位置を上記のように入れ違いに交互に設けることにより、加工部全域に切削液を供給できるようにしたものである。
【0028】
本実施の形態において切削液貯留部54の切削液量の管理としては、例えば、切削液貯留部54に予め適量切削液を供給しておき、規定回数の加工が終了した後適宜切削液を補給する。切削液貯留部54に対する切削液の補給は、ブローチ盤からブローチ本体10を取り外して、ブローチ本体10を横にし(図1において左90度回転)、図示しないボルトを外して蓋54aを開けて切削液貯留部54に切削液を補給する。或いは、図示しないが、切削液貯留部54の上部と外部を連通するねじ孔をブローチ本体10に穿設し、このねじ孔に盲ねじを取付け、切削液の補給時は、盲ねじを取り外すことにより行うようにしても良く、または、単に切削液貯留部54の上部と外部を連通する補給孔をブローチ本体10に穿設し、この補給孔から切削液を補給するようにしてもよい。
【0029】
なお、本発明の構成は、上記実施の形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、切削液供給孔56を形成する数は、上記の4個に限られず種々の数を選択することができる。また、仕上げ用の刃部領域のみ切削液貯留部54を形成した例を示したが、これに限られず、荒削り用の刃部領域に切削液貯留部54を形成してもよい。
【0030】
また、本発明は加工用ブローチに限られるものではなく、種々の加工用工具例えばフライス等の切削工具にも適用可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る加工用工具によれば、潤滑効果を得るために必要な切削液が適切かつ適量、加工部に供給される。このため、切削加工の加工精度の向上を図ることができる。また、切削液を供給するために複雑な設備を必要としないので、低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブローチの平面図である。
【図2】本発明に係るブローチの側面図である。
【図3】切削液貯留部54が形成されている部位のブローチ本体10の拡大説明図である。
【図4】切削液供給孔56により切削液が加工部に供給され、刃12により加工部が切削される態様を示した図である。
【図5】加工孔に本発明に係るブローチを挿入する概要を示した図である。
【図6】本実施の形態における製品加工孔を示した図である。
【図7】従来の技術に関する実施例である。
【図8】従来の技術に関する実施例である。
【符号の説明】
10 ブローチ本体
12 刃
16 ワーク
18 加工孔
20 下端
22 上端
26 ランド面
54 切削液貯留部
56 切削液供給孔
Claims (4)
- 切削加工装置に取り付けられて用いられ、切削用の刃部を有する加工用工具であって、
前記加工用工具本体内部に形成され、切削液を貯留可能な貯留部と、
該貯留部を大気開放するために前記貯留部から前記加工用工具本体外部に貫通形成された空気孔と、
前記加工用工具本体の前記貯留部から、切削加工時にワークの加工部に接触する前記刃部までの間に貫通形成された切削液供給孔と、
を有することを特徴とする加工用工具。 - 前記加工用工具本体は加工用ブローチ本体であり、前記刃部には、荒削り用の刃部領域と仕上げ用の刃部領域とが連続して形成され、
前記切削液供給孔は前記仕上げ用の刃部領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の加工用工具。 - 前記仕上げ用の刃部領域には複数の刃が所定の間隔毎に突設形成され、
前記切削液供給孔は、前記突設形成された各刃のランド面毎に開口端を有するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の加工用工具。 - 前記切削液供給孔の前記開口端は、前記ブローチ本体長手方向に直交する方向の位置を隣接の開口端の位置と相互にずらして形成されたことを特徴とする請求項2又は3の何れかに記載の加工用工具。
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