JP2004320857A - 電気接続ボックス用閉塞板及び電気接続ボックス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】壁Wの貫通孔Hを通して表面側に開口する状態で配設される配線ボックス2内の開口側に装着自在で、かつ、熱膨張によって配線ボックス2の開口を実質的に閉塞する熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板部11Aの周縁に、壁裏面の貫通孔H周縁部分に弾性変形可能な状態で当て付けられる環状閉塞部11Bが形成されている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気スイッチ、電気コンセント、通信コンセント、漏電ブレーカー、警報用音響装置、暖房用パネルスイッチ等の付設接続器の一つ又は複数個を建造物の壁に埋め込み方式で取付ける場合に用いられる電気接続ボックで、特に、火炎又は煙、有毒ガス等が配線ボックスの開口を通して隣室に拡がるのを防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な電気接続ボックスでは、図13に示すように、壁Wに形成された貫通口Hに臨む状態で壁裏面側に固定配設される金属製又は耐熱合成樹脂製の配線ボックス2と、配線ボックス2側から導出される電気ケーブル3に接続される付設接続器の一例である電気コンセント1に対する取付け部4Aを備え、かつ、壁表面側に位置する状態で配線ボックス2にネジ8止め固定される金属製のフレーム枠4と、これの前面の周囲を覆う状態でフレーム枠4にネジ10止め固定される合成樹脂製の化粧枠5と、化粧枠5に対して脱着自在に装着され、かつ、その装着時に電気コンセント1の前部が外部に臨む開口6aを形成してある合成樹脂製の化粧カバー6とから構成されている。
【0003】
この種の電気接続ボックスでは、壁Wに形成された貫通口Hを通して、壁裏面側に位置する配線ボックス2と壁表面側に位置するフレーム枠4とをネジ止め固定することにより、フレーム枠4の取付け部4Aに取付けられるコンセントやスイッチ等の付設接続器1の前方側への突出量を極力少なくした状態で体裁良く取付けることができる反面、壁Wには必ず貫通口Hを形成する必要があるため、壁Wを石膏ボードや耐火ボード等を用いた耐熱構造壁に構成しても、火災発生よって化粧カバー6や化粧枠5等が軟化変形すると、フレーム枠4側から貫通口Hを通して配線ボックス2に至るまでの経路中に存在する多数の隙間、及び、配線ボックス2に形成されている多数の孔を通して火災や有害ガスが隣室側に流入する可能性がある。
【0004】
そこで、従来では、配線ボックスの内面に熱膨張性ゴムを張設して、火災発生時に熱膨張する熱膨張ゴムにより、配線ボックス内に充満してさや管等の入口を閉塞するように構成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平2001−65745号公報(図2、図3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電気接続ボックスでは、配線ボックスの内面に熱膨張性ゴムが張設されているものの、配線ボックスの周壁に張設される熱膨張性ゴムの前端と配線ボックスの開口周縁との間に比較的大きなスペースがあり、しかも、配線ボックスの開口周縁と壁裏面の貫通孔周縁部分との間にも間隙が発生している。特に、壁の貫通孔周縁は大きく歪み易いため、壁裏面側に位置する配線ボックス2と壁表面側に位置するフレーム枠4とを強くネジ止めしても、配線ボックスの開口周縁と壁裏面の貫通孔周縁部分との間に大きな間隙が発生し易く、それらの隙間を熱膨張性ゴムの熱膨張で閉塞することができないため、それらの隙間を通して火災や有害ガスが隣室側に流入する可能性がある。
【0007】
また、耐熱構造壁に防音機能を持たせている場合でも、フレーム枠4側から貫通口Hを通して配線ボックス2に至るまでの経路中に存在する多数の隙間、及び、配線ボックス2に形成されている多数の孔を通して隣室側に音が漏れ易く、防音性能の低下を招来する要因になっていた。
【0008】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、第1の主たる課題は、配線ボックスに形成されている各種孔や、開口周縁と壁裏面の貫通孔周縁部分との間にも形成される隙間を通して煙や有毒ガスが隣室側に流入することを抑制することができるとともに、防音性能も向上することのできる電気接続ボックス用閉塞板を提供する点にあり、第2の主たる課題は、配線ボックスに形成されている各種孔や、開口周縁と壁裏面の貫通孔周縁部分との間にも形成される隙間を通して火災や有毒ガスが隣室側に流入することを効果的に抑制することができるとともに、防音性能も向上することのできる電気接続ボックス用閉塞板及び電気接続ボックスを提供する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1による電気接続ボックス用閉塞板の特徴構成は、壁の貫通孔を通して表面側に開口する状態で配設される配線ボックスの開口を閉塞する状態で装着自在で、かつ、配線の挿通孔を形成可能な閉塞板部の周縁に、壁裏面の貫通孔周縁部分に当て付けられる環状閉塞部が形成されている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、配線ボックス内の開口を閉塞する閉塞板部に、配線のための挿通孔をするだけで済むから、火災発生時に煙や有毒ガスが隣室側に流入することを抑制することができる。
【0011】
しかも、閉塞板部の周縁に形成された環状閉塞部が壁裏面の貫通孔周縁部分に当接するから、この環状閉塞部と閉塞板部とにより、壁の貫通孔全域を効果的に閉塞することができる。
【0012】
従って、配線ボックスに形成されている各種孔や、開口周縁と壁裏面の貫通孔周縁部分との間にも形成される隙間を通して煙や有毒ガスが隣室側に流入することを抑制することができるとともに、通常時における防音性能も向上することができる。
【0013】
本発明の請求項2による電気接続ボックス用閉塞板の特徴構成は、壁の貫通孔を通して表面側に開口する状態で配設される配線ボックス内の開口側に装着自在で、かつ、熱膨張によって配線ボックスの開口を実質的に閉塞する熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板部の周縁に、壁裏面の貫通孔周縁部分に弾性変形可能な状態で当て付けられる環状閉塞部が形成されている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、配線ボックス内の開口側に装着される熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板部により、熱膨張前においても配線ボックスの開口を閉塞することが可能であり、勿論、火災発生時には、閉塞板部の熱膨張により、配線に関係なく配線ボックスの開口を実質的に閉塞することができる。
【0015】
しかも、閉塞板部の周縁に形成された環状閉塞部が壁裏面の貫通孔周縁部分に弾性変形可能な状態で当接するから、壁の貫通孔周縁が大きく歪み変形していても、この環状閉塞部を壁裏面の貫通孔周縁部分の全域に隙間のない又は少ない状態で密着させることができる。
【0016】
従って、配線ボックスに形成されている各種孔や、開口周縁と壁裏面の貫通孔周縁部分との間にも形成される隙間を通して火災や有毒ガスが隣室側に流入することを効果的に抑制することができるとともに、通常時における防音性能も向上することができる。
【0017】
本発明の請求項3による電気接続ボックス用閉塞板の特徴構成は、前記閉塞板部と環状閉塞部とが熱膨張性耐熱ゴムで一体成形されている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、閉塞板部と環状閉塞部とを同時成形によって経済的に製作することができるばかりでなく、火災発生時における環状閉塞部での熱膨張により、配線ボックスの開口周縁と壁裏面の貫通孔周縁部分との間に存在する間隙を効率良く閉塞することができる。
【0019】
本発明の請求項4による電気接続ボックス用閉塞板の特徴構成は、前記環状閉塞部が、外拡がりの階段状に形成されている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、閉塞板部の周縁に形成された環状閉塞部が壁裏面の貫通孔周縁部分に当接したとき、環状閉塞部全体が弾性的に撓み変形するとともに、各屈曲部を支点としても撓み変形するから、この環状閉塞部を壁裏面の貫通孔周縁部分の全域に隙間のない又は少ない状態でスムースに密着させることができる。
【0021】
本発明の請求項5による電気接続ボックス用閉塞板の特徴構成は、前記環状閉塞部が、外拡がりのテーパー状に形成されている点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、閉塞板部の周縁に形成された環状閉塞部が壁裏面の貫通孔周縁部分に当接したとき、テーパー状に形成された環状閉塞部全体が拡径変形しながら弾性的に撓み変形するから、この環状閉塞部を壁裏面の貫通孔周縁部分の全域に隙間のない又は少ない状態でスムースに密着させることができる。
【0023】
本発明の請求項6よる電気接続ボックス用閉塞板の特徴構成は、前記閉塞板部、環状閉塞部又はこれら両者の境界相当箇所には、配線ボックスの開口周縁から内側に突設された取付け片に対して抜き差し自在な係止孔が形成されている点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、閉塞板部、環状閉塞部又はこれら両者の境界相当箇所に形成された係止孔を、閉塞板自体の弾性を利用して変形させながら、配線ボックスの開口周縁から内側に突設された取付け片に係合させることにより、熱膨張性閉塞ゴム板を簡単な操作で確実に取付けることができる。
【0025】
本発明の請求項7による電気接続ボックス用閉塞板の特徴構成は、前記閉塞板部に、配線箇所を選択的に切り抜くための切抜き誘導線が形成されている点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、閉塞板部に形成された切抜き誘導線に沿って所定の配線箇所を簡単に切り抜くことができ、配線工事の能率向上を図ることができる。
【0027】
本発明の請求項8による特徴構成は、壁に形成された貫通口に臨む状態で壁裏面側に配設される配線ボックスと、配線ボックス側から導出されるケーブルに接続されるコンセントやスイッチ等の付設接続器に対する取付け部を有し、かつ、壁表面側に位置する状態で配線ボックスに固定されるフレーム枠とが主要構成として備えられ、更に、フレーム枠の前面の周囲を覆う状態でフレーム枠に装着される化粧枠と、この化粧枠に対して付設接続器の特定部位が外部に臨む状態で脱着自在に装着される化粧カバーとの組み合わせ、若しくは、フレーム枠に対して付設接続器の特定部位が外部に臨む状態で脱着自在に装着される化粧カバーが備えられている電気接続ボックスであって、
前記配線ボックス内の開口側に、熱膨張によって配線ボックスの開口を実質的に閉塞する熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板部と、それの周縁に形成された壁裏面の貫通孔周縁部分に弾性変形可能な状態で当て付けられる環状閉塞部とからなる熱膨張性閉塞ゴム板が脱着自在に装着されている点にある。
【0028】
上記特徴構成によれば、壁に形成された貫通口を通して、壁裏面側に位置する配線ボックスと壁表面側に位置するフレーム枠とを固定して、フレーム枠の取付け部に取付けられるコンセントやスイッチ等の付設接続器の前方への突出を極力少なくした状態で体裁良く取付けながらも、配線ボックス内の開口側に装着される熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板部により、熱膨張前においても配線ボックスの開口を閉塞することが可能であり、勿論、火災発生時には、閉塞板部の熱膨張により、配線に関係なく配線ボックスの開口を実質的に閉塞することができるから、フレーム枠側から貫通口を通して配線ボックスに至るまでの経路中に存在する多数の隙間、及び、配線ボックスに形成されている多数の孔を通して火災や有害ガスが隣室側に流入することを抑制することができる。
【0029】
しかも、閉塞板部の周縁に形成された環状閉塞部が壁裏面の貫通孔周縁部分に弾性変形可能な状態で当接するから、壁の貫通孔周縁が大きく歪み変形していても、この環状閉塞部を壁裏面の貫通孔周縁部分の全域に隙間のない又は少ない状態で密着させることができる。
【0030】
従って、配線ボックスに形成されている各種孔や、開口周縁と壁裏面の貫通孔周縁部分との間にも形成される隙間を通して火災や有毒ガスが隣室側に流入することを効果的に抑制することができるとともに、通常時における防音性能も向上することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
図1 〜図3は、石膏ボードや耐火ボード等を用いた耐熱構造壁Wに、付設接続器の一例である電気スイッチ又は電気コンセント1の複数個を建造物の壁に埋め込み方式で取付ける電気接続ボックスを示し、耐熱構造壁Wに形成された貫通口Hに臨む状態で壁裏面側に固定配設される金属製又は耐熱合成樹脂製の配線ボックス2と、配線ボックス2側から導出される電気ケーブル3に接続される電気スイッチ又は電気コンセント1に対する取付け部4Aを備え、かつ、壁表面側に位置する状態で配線ボックス2に固定される金属製のフレーム枠4が主要構成として備えられ、更に、フレーム枠4の前面の周囲を覆う状態でフレーム枠4にネジ止め固定される合成樹脂製の化粧枠5と、化粧枠5に対して脱着自在に装着され、かつ、その装着時に電気スイッチ又は電気コンセント1の特定部位である前部1aが外部に臨む開口6aを形成してある合成樹脂製の化粧カバー6との組合せ、若しくは、フレーム枠4に対して脱着自在に装着され、かつ、その装着時に電気スイッチ又は電気コンセント1の特定部位である前部1aが外部に臨む開口7aを形成してある合成樹脂製の化粧カバー7が備えられている。
【0032】
前記配線ボックス2は、耐熱構造壁Wの裏面側から貫通口Hに向って開口する状態で壁裏面側の胴縁や間柱等にビス等で固定されているとともに、その開口部の周縁の複数箇所には、フレーム枠4の取付け孔4cに挿通された取付けネジ8に対するネジ孔2aを形成してある取付け片2bが折り曲げ形成されているとともに、底壁部2c及び周壁部2dには、壁裏面側に沿って配設される電気ケーブル3をボックス内側に導出したり、或いは、ビス等で固定するための貫通口2eを選択的に簡易形成可能な導出口形成用脆弱部2fが打ち出し形成されている。
【0033】
前記フレーム枠4の横幅寸法は貫通口Hの横幅寸法よりも小さく、かつ、縦幅寸法は貫通口Hの縦幅寸法よりも大に構成されているとともに、前記取付け部4Aが、電気スイッチ又は電気コンセント1の一つ又は複数個を選択的に嵌合装着可能な嵌合孔4aと、それに嵌合された電気スイッチ又は電気コンセント1を抜止め状態で係止保持するべく、電気スイッチ又は電気コンセント1に対して係合自在又は係合側に折り曲げ可能な状態で嵌合孔4aの周縁に形成された複数の係止片4bとから構成されている。
【0034】
前記フレーム枠4に対して脱着自在に係合保持される化粧枠5及び化粧カバー7の各横幅寸方及び縦幅寸法は、貫通口Hの横幅寸方及び縦幅寸法よりも共に大に構成されているとともに、化粧枠5には、フレーム枠4の取付け部4Aが嵌まり込む装着口5aと、化粧カバー6の内面側に突設された係止突起6bに対して脱着自在に係合する係合保持可能な係止孔5bが形成され、更に、化粧枠5及び化粧カバー7の各々には、フレーム枠4のネジ孔4dに取付けネジ10で螺合固定するためのネジ孔5c,7bが形成されている。
【0035】
そして、配線ボックス2の開口相当箇所には、図4〜図8に示すように、それの開口全体を閉止する大きさ、換言すれば、配線ボックス2の開口側内周面の全域に接触する大きさを備え、かつ、火災時の熱膨張によって配線ボックス2の開口を実質的に閉塞する可撓性、電気絶縁性、弾性を備えた熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板部11Aと、これの外周縁において、壁裏面の貫通孔H周縁部分に弾性変形可能な状態で当て付けられる可撓性、電気絶縁性、弾性を備えた熱膨張性耐熱ゴム製の環状閉塞部11Bとからなる閉塞板11が脱着自在に装着されているとともに、閉塞板部11Aと環状閉塞部11Bとが一体成形され、更に、環状閉塞部11Bの横断面形状が、壁裏面の貫通孔H周縁部分に接触する先端側ほど外方に位置する外拡がりの三段の階段状に形成されている。
【0036】
そのため、配線ボックス2の取付け片2bに対してフレーム枠4を取付けネジ8で締付け固定する際、この取付けネジ8の締付け操作に連れて変形する壁裏面の貫通孔H周縁部分と配線ボックス2との相対近接移動により、配線ボックス2の取付け片2bに係止保持された熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板11のうち、閉塞板部11Aの周縁に形成された環状閉塞部11Bが壁裏面の貫通孔H周縁部分に圧接されながら弾性的に撓み変形するとともに、各段差箇所の屈曲部11bを支点としても撓み変形するから、この環状閉塞部11Bを壁裏面の貫通孔H周縁部分の全域に隙間のない状態で確実、スムースに密着させることができる。
【0037】
前記閉塞板部11Aと環状閉塞部11Bとの境界相当箇所のうち、上側辺及び下側辺の各幅方向中央位置には、図5、図7に示すように、配線ボックス2の開口上縁及び開口下縁の各幅方向中央位置から内側に突設された取付け片2bに対して抜き差し自在な係止孔11Cが形成されているとともに、前記閉塞板部11Aには、図7、図8に示すように、配線箇所を選択的に切り抜くための細溝状の切抜き誘導線11Dが、貫通孔Hに臨む内面側において開口する状態で格子状に形成されている。
【0038】
そのため、閉塞板部11Aと環状閉塞部11Bとの境界相当箇所に形成された係止孔11Cを、熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板11自体の弾性を利用して変形させながら、配線ボックス2の開口周縁から内側に突設された取付け片2bに係合させることにより、閉塞板11を簡単な操作で所定位置に確実、容易に取付けることができるとともに、閉塞板部11Aに形成された細溝状の切抜き誘導線11Dに沿って所定の配線箇所をカッター等で簡単に切り抜くことができ、配線工事の能率向上を図ることができる。
【0039】
前記閉塞板部11Aと環状閉塞部11Bとを構成する熱膨張性耐熱ゴムの組成には、炭酸カルシウム等の無機質充填材、熱膨張性基材、ゴム成分、合成樹脂等を含有しており、熱膨張性基材としては、膨張黒鉛、バーミキュライト、アルカリ金属ケイ酸塩などを挙げることができる。
【0040】
また、熱膨張性耐熱ゴムの熱膨張倍率も任意に設定することが可能であるが、当該実施形態では4倍〜20倍の範囲内に設定している。
【0041】
そして、火災が発生したとき、配線ボックス2の開口相当箇所に係止状態で装着された閉塞板部11A及び環状閉塞部11Bの熱膨張により、電気ケーブル3等が存在していても、それらを押し潰しながら配線ボックス2の開口及び貫通口Hを壁裏面側から実質的に閉塞することができるから、フレーム枠4側から貫通口Hを通して配線ボックス2に至るまでの経路中に存在する多数の隙間、及び、配線ボックス2に形成されている多数の孔を通して火災や有害ガスが隣室側に流入することを抑制することができる。
【0042】
しかも、耐熱構造壁Wに取付けられている電気接続ボックスのフレーム枠4に対して、化粧カバー6と化粧枠5又は化粧カバー7を取外したのち、配線ボックス2からフレーム枠4を取外し、配線ボックス2の取付け片2bに熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板11を係合保持させたのち、フレーム枠4を配線ボックス2に固定し、化粧カバー6と化粧枠5又は化粧カバー7を再び組付けることにより、既存の電気接続ボックスに対しても簡単かつ安価に耐火性能を高めることができる。
【0043】
更に、配線ボックス2の開口部を熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板11の閉塞板部11Aで閉止し、かつ、耐熱構造壁W裏面の貫通口H周縁部分と配線ボックス2の開口端縁との間を環状閉塞部11Bで閉止することにより、これら両者間からの騒音の漏洩を抑制して防音性能の向上を図ることができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
上述の実施形態では、一つのフレーム枠4を取付ける1 個タイプの電気接続ボックスを例に挙げて説明したが、図9〜図11に示すように、2個(複数個)タイプの電気接続ボックスに本願発明の閉塞板11を装着して実施してもよい。
【0045】
この実施形態では、熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板11が、配線ボックス2の開口全体を閉止する大きさを備え、かつ、火災時の熱膨張によって配線ボックス2の開口を実質的に閉塞する可撓性、電気絶縁性、弾性を備えた熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板部11Aと、これの外周縁において、壁裏面の貫通孔H周縁部分に弾性変形可能な状態で当て付けられる可撓性、電気絶縁性、弾性を備えた熱膨張性耐熱ゴム製の環状閉塞部11Bとを一体成形して構成されているとともに、環状閉塞部11Bの横断面形状が、壁裏面の貫通孔H周縁部分に接触する先端側ほど外方に位置する外拡がりの三段の階段状に形成されている。
【0046】
ただ、上述の第1実施形態に比して、閉塞板11の上側辺及び下側辺の長さが倍になり、かつ、配線ボックス2の開口上縁及び開口下縁には夫々、内方側に向かって左右一対の係止孔11Cが突設されているため、図9、図10に示すように、閉塞板部11Aと環状閉塞部11Bとの境界相当箇所のうち、上側辺及び下側辺の各左右両側部には、配線ボックス2の開口上縁及び開口下縁の各幅方向中央位置から内側に突設された取付け片2bに対して抜き差し自在な係止孔11Cが形成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0047】
〔第3実施形態〕
上述の実施形態では、環状閉塞部11Bの横断面形状が、壁裏面の貫通孔H周縁部分に接触する先端側ほど外方に位置する外拡がりの三段の階段状に形成したが、図12に示すように、環状閉塞部11Bの横断面形状を、壁裏面の貫通孔H周縁部分に接触する先端側ほど外方に位置する外拡がりのテーパー状に形成してもよい。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0048】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、環状閉塞部11Bの横断面形状を、壁裏面の貫通孔H周縁部分に接触する先端側ほど外方に位置する外拡がりの三段の階段状に形成したが、二段又は四段以上の階段状に形成してもよい。
【0049】
(2)上述の各実施形態では、熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板11の閉塞板部11Aと環状閉塞部11Bとを一体成形したが、閉塞板部11Aと環状閉塞部11Bとを各別に製作したのち、これら両者を接着剤等の適宜手段で結合してもよい。
【0050】
(3)上述の実施形態では、一つのフレーム枠4を取付ける1 個タイプと、二つのフレーム枠4を取付ける2個タイプの電気接続ボックスを例に挙げて説明したが、三つ以上のフレーム枠4を取付ける三個以上のタイプの電気接続ボックスに本発明を適用してもよい。
【0051】
(4)上述の各実施形態では、前記閉塞板11を熱膨張性耐熱ゴムから製作したが、耐火材料や難燃性材料等で成形して製作してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1実施形態を示す電気接続ボックスの分解斜視図
【図2】電気接続ボックスの取付け時における断面側面図
【図3】フレーム枠の正面図
【図4】熱膨張性閉塞ゴム板の正面図
【図5】図4におけるV−V線矢視図
【図6】図4におけるVI−VI線断面図
【図7】図4におけるVII−VII線断面図
【図8】図4におけるVIII−VIII線断面図
【図9】本願発明の第2実施形態を示す熱膨張性閉塞ゴム板の正面図
【図10】図9におけるX−X線矢視図
【図11】図9におけるIX−IX線断面図
【図12】本願発明の第3実施形態を示す熱膨張性閉塞ゴム板の断面図
【図13】従来の電気接続ボックスの分解斜視図
【符号の説明】
W 壁(耐熱構造壁)
H 貫通孔
1 付設接続器(電気ステッチ、電気コンセント)
1a 特定部位(前部)
2 配線ボックス
2b 取付け片
2f 導出口形成用脆弱部
3 電気ケーブル
4 フレーム枠
4A 取付け部
5 化粧枠
6 化粧カバー
7 化粧カバー
11 熱膨張性閉塞ゴム
11A 閉塞板部
11B 環状閉塞部
11C 係止孔
11D 切抜き誘導線
Claims (8)
- 壁の貫通孔を通して表面側に開口する状態で配設される配線ボックスの開口を閉塞する状態で装着自在で、かつ、配線の挿通孔を形成可能な閉塞板部の周縁に、壁裏面の貫通孔周縁部分に当て付けられる環状閉塞部が形成されている電気接続ボックス用閉塞板。
- 壁の貫通孔を通して表面側に開口する状態で配設される配線ボックス内の開口側に装着自在で、かつ、熱膨張によって配線ボックスの開口を実質的に閉塞する熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板部の周縁に、壁裏面の貫通孔周縁部分に弾性変形可能な状態で当て付けられる環状閉塞部が形成されている電気接続ボックス用閉塞板。
- 前記閉塞板部と環状閉塞部とが熱膨張性耐熱ゴムで一体成形されている請求項1又は請求項2記載の電気接続ボックス用閉塞板。
- 前記環状閉塞部が、外拡がりの階段状に形成されている請求項1、2又は3記載の電気接続ボックス用閉塞板。
- 前記環状閉塞部が、外拡がりのテーパー状に形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気接続ボックス用閉塞板。
- 前記閉塞板部、環状閉塞部又はこれら両者の境界相当箇所には、配線ボックスの開口周縁から内側に突設された取付け片に対して抜き差し自在な係止孔が形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気接続ボックス用閉塞板。
- 前記閉塞板部には、配線箇所を選択的に切り抜くための切抜き誘導線が形成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気接続ボックス用閉塞板。
- 壁に形成された貫通口に臨む状態で壁裏面側に配設される配線ボックスと、配線ボックス側から導出されるケーブルに接続されるコンセントやスイッチ等の付設接続器に対する取付け部を有し、かつ、壁表面側に位置する状態で配線ボックスに固定されるフレーム枠とが主要構成として備えられ、更に、フレーム枠の前面の周囲を覆う状態でフレーム枠に装着される化粧枠と、この化粧枠に対して付設接続器の特定部位が外部に臨む状態で脱着自在に装着される化粧カバーとの組み合わせ、若しくは、フレーム枠に対して付設接続器の特定部位が外部に臨む状態で脱着自在に装着される化粧カバーが備えられている電気接続ボックスであって、
前記配線ボックス内の開口側に、熱膨張によって配線ボックスの開口を実質的に閉塞する熱膨張性耐熱ゴム製の閉塞板部と、それの周縁に形成された壁裏面の貫通孔周縁部分に弾性変形可能な状態で当て付けられる環状閉塞部とからなる閉塞板が脱着自在に装着されている電気接続ボックス。
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