JP2004319852A - Tab用テープの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】TABテープやフレキシブルプリント基板への加工工程において、そりやカールすることのないTAB用テープの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも導電層と絶縁層とを含むテープを、芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程を含むTAB用テープを製造する方法において、芯材又はリールに巻き取られたテープの最外層の巻取り半径が400mm以下であることを特徴とするTAB用テープの製造方法により上記課題を解決しうる。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも導電層と絶縁層とを含むテープを、芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程を含むTAB用テープを製造する方法において、芯材又はリールに巻き取られたテープの最外層の巻取り半径が400mm以下であることを特徴とするTAB用テープの製造方法により上記課題を解決しうる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、様々な電子機器の軽量、小型化に伴い、多用されるようになってきたTAB(Tape Automated Bonding)用テープの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスの多ピン化、小型化、高密度実装に対応できる技術として、長尺の絶縁フィルムにLSI等の半導体チップを載置するための孔(デバイスホール)を設け、その上に非常に薄い銅箔リードを形成し、このリードを介してLSI等とプリント配線板などを接続するTAB技術が注目されている。このようなTAB技術において、一般に保護層、接着剤層、及び有機絶縁フィルム層(ベースフィルム層)の3層構造からなるFCテープが用いられており、FCテープを加工したTABテープ上にLSIを実装するまでの加工工程は以下のようにして行われる。
【0003】
すなわち、TABテープの加工工程は、▲1▼パンチングによりスプロケットホール、デバイスホールを形成する工程、▲2▼保護層を除去し銅箔をラミネートした後、接着剤を硬化する工程、▲3▼配置パターン形成工程(レジスト塗布、銅のエッチング、レジスト剥離)、▲4▼メッキ処理工程、▲5▼インナーリードボンディング工程、▲6▼樹脂封止工程、▲7▼パンチング工程、▲8▼アウターリードボンディング工程の8工程で行われ、以上の加工工程を経て、LSIが実装されるのである。
【0004】
上記工程の▲5▼インナーリードボンディング工程や▲8▼アウターリードボンディング工程において、TABテープが反りを有していると、微細な配線の位置がずれていしまい、接合不良を引き起こしてしまうという問題があった。
これまでに反りを小さくするために様々な工夫が凝らされてきたが、そのほとんどがベースフィルムの特性を最適化する、補強板を設ける、生じてしまった反りを矯正する、などといった方法であり、コストが高くなってしまうという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平05−263049
【0006】
【特許文献2】特開平11−274348
【0007】
【特許文献3】特開2002−217245
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記状況に鑑み、本発明者らは鋭意検討を行った結果、TABテープやフレキシブルプリント基板への加工工程において、そりやカールすることのないTAB用テープの製造方法を提供することを目的とし、本発明に至ったのである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の構成からなる新規な製造方法を提供するものであり、これにより上記目的が達成される。
(1)少なくとも導電層と絶縁層とを含むテープを、芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程を含むTAB用テープを製造する方法であって、芯材又はリールに巻き取られたテープの最外層の巻取り半径が400mm以下であることを特徴とするTAB用テープの製造方法。
(2)前記テープがさらに接着剤層を含むことを特徴とする(1)記載のTAB用テープの製造方法。
(3)前記接着剤層がBステージ状態であることを特徴とする(2)記載のTAB用テープの製造方法。
(4)前記テープを芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程が接着剤の硬化工程であることを特徴とする(2)または(3)記載のTAB用テープの製造方法。
(5)前記接着剤が硬化した状態であることを特徴とする(2)記載のTAB用テープの製造方法。
(6)少なくとも
1)絶縁層に接着剤を塗布または転写する工程
2)導電層をラミネートする工程
3)芯材またはリールに巻き取る工程
4)芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程
を含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載のTAB用テープの製造方法。
(7)前記芯材又はリールの巻芯の径が半径50mm以上であることを特徴とする(1)〜(6)記載のいずれか一項にTAB用テープの製造方法。
(8)絶縁層が、少なくともポリイミドを含むことを特徴とする(1)〜(7)のいずれか一項に記載のTAB用テープの製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のTAB用テープの製造方法についてその実施の形態の一例に基づき説明する。本発明のTAB用テープは、少なくとも導体層と絶縁層とを含むテープを芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程を経て製造される。まず、芯材またはリールに巻き取るテープを構成する材料について説明する。該テープは、少なくとも絶縁層、導体層を含む。また接着剤層や保護フィルムを有していてもよい。
【0011】
〈絶縁層〉
本発明のTAB用テープは、少なくとも絶縁層を有する。該絶縁層は、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド等、いかなる物を用いても良いが、これらの中でも電気絶縁性、耐熱性に優れたポリイミドを用いることが好ましい。本発明に用いるポリイミドは公知のいかなるものを用いても良いが、製法を含めその一例を以下に示す。
【0012】
ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶剤溶液を、エンドレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上に流延し、乾燥・イミド化させることにより製造される。 本発明に用いられるポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
【0013】
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、特に好ましい重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。
【0014】
ここで、本発明に用いられるポリアミド酸の材料について説明する。
本ポリイミドにおける使用のための適当な酸無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
【0015】
これらのうち、本発明において用いられるポリアミド酸において最も適当な酸二無水物としてp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ピロメリット酸二無水物およびこれらの混合物が上げられる。
【0016】
またさらにp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)とピロメリット酸二無水物のモル比で95/5〜5/95、好ましくは80/20〜5/95、更には70/30〜10/90、更に好ましくは60/40〜15/85の割合の混合物を用いた場合に吸湿率、吸湿膨張係数などの吸湿特性や弾性率などの機械的特性のバランスに優れたポリイミドフィルムを得ることができる。
【0017】
本発明にかかるポリアミド酸において使用し得る適当なジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン及びそれらの類似物などが挙げられる。これらジアミン化合物の中で、4,4‘−オキシジアニリン及びp−フェニレンジアミンをモル比で1/9〜9/1、好ましくは1/7〜7/1、更に好ましくは1/4〜4/1の範囲で用いるのが、弾性率や引張伸び率などの機械的特性のバランスに優れたポリイミドフィルムが得られるので好ましい。
【0018】
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。
【0019】
また本発明においては、フィルムに種々の機能を付与するために無機粒子を任意の割合で添加することもできる。例えば、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、シリカ、酸化チタン、アルミナ等いかなるものも用いることができる。無機粒子の形状は付与する機能に応じていかなる形状、大きさのものを用いてもかまわない。例えば粒状、球状、針状、板状等の形状が挙げられ、典型的な大きさは、平均粒径0.01〜100μm、好ましくは0.05〜50μmである。フィラーの大きさがこの範囲を下回ると分散不良がおきる場合があり、この範囲を上回るとフィルムの表面粗さが大きくなりすぎ、TABテープに導電層回路を形成する際に不具合がおきる場合がある。フィラーの添加は、
▲1▼ポリアミド酸の重合前または途中に重合反応液に添加する方法
▲2▼ポリアミド酸の重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
▲3▼フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため、好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
【0020】
次に、ポリイミドフィルムの製造工程を、一例をあげて説明する。
ポリアミド酸溶液からポリイミドとするには、熱的に脱水閉環する熱的方法、脱水剤を用いる化学キュア法の何れでも良いが、化学キュア法が好ましい。化学キュア法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表されるイミド化触媒とを作用させる方法である。化学キュア法に熱イミド化法を併用してもよい。加熱条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ等により、変動し得る。
脱水剤及びイミド化触媒を低温でポリアミド酸溶液中に混合して製膜ドープを得る。引き続いてこの製膜ドープをガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上にフィルム状にキャストし、支持体上で80℃〜200℃、好ましくは100℃〜180℃の温度領域で加熱することで脱水剤及びイミド化触媒を活性化することによって部分的に硬化及び/または乾燥した後支持体から剥離してポリアミド酸フィルム(以下、ゲルフィルムという)を得る。
【0021】
脱水剤の好ましい量は、ポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、1〜5モル、好ましくは1.5〜4モルである。また、イミド化触媒の好ましい量は0.2〜3モル、好ましくは0.3〜2モルである。
【0022】
脱水剤及びイミド化触媒が上記範囲を下回ると化学的イミド化が不十分で、焼成途中で破断したり、機械的強度が低下したりすることがある。また、これらの量が上記範囲を上回ると、イミド化の進行が早くなりすぎ、フィルム状にキャストすることが困難となることがある。
【0023】
前記ゲルフィルムの端部を固定して硬化時の収縮を回避して乾燥し、水、残留溶媒、残存脱水剤及びイミド化触媒を除去し、そして残ったアミド酸を完全にイミド化して、本発明のポリイミドフィルムが得られる。
【0024】
この時、最終的に400〜600℃の温度で5〜400秒加熱するのが好ましい。この温度より高い及び/または時間が長いと、フィルムの熱劣化が起こり問題が生じることがある。逆にこの温度より低い及び/または時間が短いと所定の効果が発現しないことがある。
〈導電層〉
本発明における導電層には銅箔、ステンレス箔などいかなるものを用いても良いが、種類が豊富であり、入手しやすいという意味で銅箔を用いるのが一般的である。
〈接着剤〉
本発明に用いられる接着剤としては、特に限定はされないが、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、マレイミド樹脂等から選ばれる少なくとも一種以上の樹脂を含有することが好ましく、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を併用することが好ましい。
【0025】
エポキシ樹脂としては、一分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであればいかなるものを用いてもよいが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンジフェノール型、エポキシ化フェノールノボラック型フェノール樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。
【0026】
またフェノール樹脂としてはノボラック型、レゾール型等、公知のいかなるものを用いても良い。例えばフェノール、クレゾール、アルキル置換フェノール、ジシクロペンタジエン等の環状アルキル変性フェノールを原料とするフェノール樹脂、また、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、ピロガロール等の多官能性フェノールを原料とするフェノール樹脂等が挙げられる。
【0027】
マレイミド樹脂としては、2官能以上のものを用いるのが好ましく、例えば、N,N‘−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N‘−p−フェニレンビスマレイミド等に代表されるビスマレイミド等が挙げられる。
【0028】
また、本発明において用いられる接着剤層には熱硬化性樹脂の硬化剤及び/又は硬化促進剤を添加しても良い。例えば、三フッ化ホウ素のアミン錯体、イミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の有機酸無水物、ジシアンジアミド、トリフェニルフォスフィン、ジアザビシクロウンデセン等、公知のいかなるものでも良い。これら硬化剤及び/又は効果促進剤を添加する場合は、接着剤層100重量%に対して0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.2〜8重量%の割合で添加することが好ましい。
【0029】
接着剤層に含まれ得る熱可塑性樹脂成分のポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド等の樹脂は、接着剤層の軟化温度、半硬化状態(Bステージ)での接着強度、硬化時の接着強度、可とう性、低吸水性を発現させる目的で添加することができる。こういった熱可塑性樹脂成分の好ましい添加量は、接着剤層100重量%に対して25〜60重量%、更には30〜55重量%、特には30〜50重量%である。
また、これら熱可塑性樹脂は分子中にアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基、ビニル基、シラノール基等、フェノール樹脂やエポキシ樹脂と反応しうる官能基を有していても良い。
【0030】
本発明に用いられる接着剤は、完全硬化後の高温時弾性率が高いものを用いた方が反りが小さくなる傾向にあるため好ましい。例えば、150℃における貯蔵弾性率が50〜300MPaのものを用いるのが好ましく、60〜250MPaがより好ましく、70〜220MPaのものが特に好ましい。
〈保護フィルム〉
本発明で用いうる保護用フィルムとしては、接着剤層から容易に剥離できるものであればいかなるものを用いても良いが、例えば、シリコーン又はフッ素化合物で表面処理したポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルム等が挙げられる。
〈TAB用テープの製造〉
まず、前述の絶縁層に前述の接着剤を塗布または転写する。接着剤を塗布する場合、リバースコーターやグラビアコーターなどの公知の塗工機を用いてポリイミドフィルム上に接着剤層を形成させた後、保護フィルムをラミネートする等の方法が一例として挙げられる。転写する場合においては、保護フィルム上に公知の方法で接着剤層を形成した後、ロールラミネート法などの方法を用いてポリイミドフィルムと積層するといった方法が挙げられる。
【0031】
次に前述の導電層をラミネートし、芯材またはリールに巻き取る工程を経る。このときに用いる芯材又はリールの材質はいかなるものであっても良い。例えば塩化ビニール製、スチロール製、ポリエステル製、ナイロン製、アルミ製、ステンレス製などが挙げられる。本発明においては、テープを巻き取った状態で加熱する工程を含むので、この加熱工程において高温雰囲気に曝されることがあるという観点から、アルミ製やステンレス製などの金属製を用いることが好ましい。
【0032】
この芯材又はリールの巻芯の径は、半径が40〜200mm、好ましくは45〜180mm、特に好ましくは50〜150mmである。巻芯の径がこの範囲を下回るとTABテープの、巻内部分(芯材又はリールの巻芯に近い部分)と巻外部分(芯材に巻き取られた状態の最外層部分)反り量が大きく異なることがある。
【0033】
巻芯またはリールに、導電層をラミネートしたテープを巻き取る方法としては、導電層を外側にして芯材又はリールに巻き取ることが好ましい。導電層を内側にして巻取り、接着剤を硬化した場合、反りやカールが大きくなる。このとき、TABテープがはみ出した接着剤の影響で互いに接着させない目的等でスペーサーを用いても良い。このようなスペーサーは典型的には主にポリエステル、ポリイミドフィルム、銅箔、ステンレス箔等で構成されたものが広く用いられているが、本発明においては特に材質、形状等は限定されるものではない。
【0034】
本発明者らは、前述の少なくとも絶縁層と導体層を含むテープを芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程を経る製造方法において、これまで着目されていなかった、巻き取られたテープの最外層の半径と、得られるTAB用テープの反りの関係に着目し、テープの半径が大きすぎると反りが発生することを見出した。すなわち、芯材又はリールに巻き取られた最外層の半径が400mm以下にすることが好ましく、さらに好ましくは350mm以下、特に好ましくは300mm以下である。本発明においては、巻き取られたテープの最外層の半径が重要であるので、最外層の半径が400mm以下とすれば、芯材又はリールに巻き取られるテープの長さはいくらであっても良いが、TABテープの長さは、絶縁層、接着剤層、導電層の厚み、巻取り張力、スペーサーの有無などに依存して決定される。最外層の半径が上記範囲を上回ると本発明の効果を得にくくなる。
【0035】
本発明において、芯材またはリールに巻き取られたテープの接着剤層が、Bステージ状態で加熱することが好ましく、テープを芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程は、該接着剤の硬化工程であることが好ましいが、前記接着剤が完全に硬化されたテープを上記リールに巻取り加熱する事によっても、反りを矯正することが可能である。この場合加熱温度は完全硬化状態の接着剤のガラス転移温度以上に加熱することが好ましい。加熱温度がガラス転移温度以下であると反りの低減幅が小さくなりすぎることがある。
【0036】
本発明の製造方法で得られたTAB用テープは、接着剤を完全硬化させた後(導体層付きテープ)の反り量は、好ましくは−3.0〜1.0mm以下、さらに好ましくは−3.0〜0.7mm以下、特に好ましくは−2.0〜0.5mm以下である。導体層付きテープの反り量がこれら範囲を外れてしまうと、加工および実装工程における反り由来の不具合が生じる場合がある。
【0037】
また、本発明者は、最終的に、TAB用テープに回路形成、ソルダーレジスト塗布等の複数の工程を経た後の反りを低減するためには、導体層付きテープの状態としては、導体層を外側にして多少反っていることが好ましいことを見出した。上記のようにして得られるTABテープが、導電層を外側にした反りを有していると、回路形成、ソルダーレジスト塗布等の複数の工程を経た後、反りが−1〜1mm、好ましくは−0.7〜0.7mm、特に好ましくは−0.5〜0.5mmの反りとすることが可能である。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0039】
〔反り測定〕
反りの値は、以下の手順で作成したTAB用テープ35mm角に切り出し、湿度60%RH、温度23℃の部屋に72時間放置したのち、平面上に静置し4隅のうき上がり高さを測定し、4点のデータの平均値で示した。なお、導体層を内側とする反りを+とし、導体層を外側とする反りを−とした。
【0040】
(参考例1)
815gのDMFに燐酸水素カルシウム(平均粒径1〜2μm)を0.027g分散させた後、40.30gの4,4’−オキシジアニリン(ODAと略す)、21.76gのパラフェニレンジアミン(PDAと略す)を溶解して、この溶液を0℃に保った。ここに、23.69gの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDAと略す)を徐々に添加し、2時間撹拌してBPDAを完全に溶解させた。この溶液に55.35gのp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMHQと略す)を徐々に添加して1時間撹拌した後、さらに43.90gのピロメリット酸二無水物(PMDAと略す)を添加して1時間撹拌して23℃における溶液粘度3300ポイズ、固形分濃度18.5wt%のポリアミック酸溶液を得た(ODA/PDA/BPDA/TMHQ/PMDA=50/50/20/30/50)。
【0041】
このポリアミック酸溶液100gに無水酢酸11.4g、イソキノリン4.8gおよびDMF33.8gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を90℃で600秒間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを120℃、250℃、350℃、450℃で各180秒間加熱した後、400℃の遠赤外線オーブンでさらに180秒間加熱処理した後、ポリイミドフィルムを得た。
【0042】
(参考例2)
815gのDMFに燐酸水素カルシウム(平均粒径1〜2μm)を0.027g分散させた後、37.31gのODA、20.15gのPDAを溶解して、この溶液を0℃に保った。ここに、60.04gの3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDAと略す)を徐々に添加し、1時間撹拌してBTDAを完全に溶解させた。この溶液に51.24gのTMHQを徐々に添加して1時間撹拌した後、さらに16.26gのPMDAを添加して1時間撹拌して23℃における溶液粘度3000ポイズ、固形分濃度18.5wt%のポリアミック酸溶液を得た(ODA/PDA/BTDA/TMHQ/PMDA=50/50/50/30/20)。
【0043】
このポリアミック酸溶液100gに無水酢酸11.4g、イソキノリン4.8gおよびDMF33.8gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を90℃で600秒間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを120℃、250℃、350℃、450℃で各180秒間加熱した後、400℃の遠赤外線オーブンでさらに180秒間加熱処理した後、ポリイミドフィルムを得た。
【0044】
(参考例3)
TABテープ作成
▲1▼ポリアミド樹脂(日本リルサン社製プラタボンドM1276)50重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製エピコート828)30重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂10重量部、トルエン/イソプロピルアルコール1/1混合溶液150重量部を混合した溶液に、ジアミノジフェニルスルホン/ジシアンジアミド4/1 20%メチルセロソルブ溶液45重量部を混合した接着剤溶液を調製し、
▲2▼25μm厚みのPETフィルム上に接着剤を、乾燥後11μmになるように塗布し、120℃で2分乾燥した。このBステージ接着剤付きPETフィルムを27mm幅にスリットした。
▲3▼参考例1〜2で得たポリイミドフィルムを35mm幅にスリットし、その中央部にBステージ接着剤付きPETフィルムを張り合わせ、90℃で1kg/cm2の圧力で圧着した。 PETフィルムを剥がし、銅箔(三井金属製、VLP18μm厚み)と、ロールラミネート法で張り合わせた。張り合わせの温度は120℃、圧力は2kg/cm2である。(硬化前テープ)
▲4▼この硬化前テープを、必要があれば35mm幅にスリットされたポリイミドフィルム(鐘淵化学製アピカル75AH)とつなぎ、見かけ上長尺の硬化前テープとする。
▲5▼スペーサーであるポリイミドフィルム(鐘淵化学製アピカル75AH)と共に上記のつなぎあわせた長尺の硬化前テープを所定のリールに巻きつけ、60℃で3時間、80℃で3時間、120℃で3時間、140℃で3時間、160℃で4時間のステップで加熱後徐冷して接着剤の硬化を行った。 (銅箔付きテープ)
(実施例1)
参考例1で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア径120mmのリールに、最外径が300mm、銅箔が巻外となるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの厚み構成、リール構成、反り特性を表1に示す。
【0045】
(実施例2)
参考例1で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア外径250mmのリールに、最外径が400mmとなるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り特性を表1に示す。
【0046】
(実施例3、4)
参考例2で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア径120mmのリールに、最外径が300mm、銅箔が巻外となるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り特性を表1に示す。
【0047】
(実施例5、6)
参考例1で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア外径250mmのリールに、最外径が400mmとなるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り特性を表1に示す。
【0048】
(実施例7)
参考例2で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア外径90mmのリールに、最外径が300mmとなるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り特性を表1に示す。
【0049】
(実施例8)
参考例1で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを長さ30cmに切り出し、リールに巻きつけることなく平板に乗せた状態で熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り量は1.5mmであった。この銅箔付きテープをコア外径250mmのリールに巻きつけ、熱風循環オーブン中で160℃で30分加熱した。この加熱処理後の銅箔付きテープの反りは−0.5mmであった。
【0050】
(比較例1)
参考例1で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア外径600mmのリールに、最外径が650mmとなるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り特性を表1に示す。
【0051】
(比較例2)
参考例2で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア外径250mmのリールに、最外径が600mmとなるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り特性を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
本発明により、TAB用テープの構成を変更することなくTABテープの反りやカールを小さくすることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、様々な電子機器の軽量、小型化に伴い、多用されるようになってきたTAB(Tape Automated Bonding)用テープの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスの多ピン化、小型化、高密度実装に対応できる技術として、長尺の絶縁フィルムにLSI等の半導体チップを載置するための孔(デバイスホール)を設け、その上に非常に薄い銅箔リードを形成し、このリードを介してLSI等とプリント配線板などを接続するTAB技術が注目されている。このようなTAB技術において、一般に保護層、接着剤層、及び有機絶縁フィルム層(ベースフィルム層)の3層構造からなるFCテープが用いられており、FCテープを加工したTABテープ上にLSIを実装するまでの加工工程は以下のようにして行われる。
【0003】
すなわち、TABテープの加工工程は、▲1▼パンチングによりスプロケットホール、デバイスホールを形成する工程、▲2▼保護層を除去し銅箔をラミネートした後、接着剤を硬化する工程、▲3▼配置パターン形成工程(レジスト塗布、銅のエッチング、レジスト剥離)、▲4▼メッキ処理工程、▲5▼インナーリードボンディング工程、▲6▼樹脂封止工程、▲7▼パンチング工程、▲8▼アウターリードボンディング工程の8工程で行われ、以上の加工工程を経て、LSIが実装されるのである。
【0004】
上記工程の▲5▼インナーリードボンディング工程や▲8▼アウターリードボンディング工程において、TABテープが反りを有していると、微細な配線の位置がずれていしまい、接合不良を引き起こしてしまうという問題があった。
これまでに反りを小さくするために様々な工夫が凝らされてきたが、そのほとんどがベースフィルムの特性を最適化する、補強板を設ける、生じてしまった反りを矯正する、などといった方法であり、コストが高くなってしまうという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平05−263049
【0006】
【特許文献2】特開平11−274348
【0007】
【特許文献3】特開2002−217245
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記状況に鑑み、本発明者らは鋭意検討を行った結果、TABテープやフレキシブルプリント基板への加工工程において、そりやカールすることのないTAB用テープの製造方法を提供することを目的とし、本発明に至ったのである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の構成からなる新規な製造方法を提供するものであり、これにより上記目的が達成される。
(1)少なくとも導電層と絶縁層とを含むテープを、芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程を含むTAB用テープを製造する方法であって、芯材又はリールに巻き取られたテープの最外層の巻取り半径が400mm以下であることを特徴とするTAB用テープの製造方法。
(2)前記テープがさらに接着剤層を含むことを特徴とする(1)記載のTAB用テープの製造方法。
(3)前記接着剤層がBステージ状態であることを特徴とする(2)記載のTAB用テープの製造方法。
(4)前記テープを芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程が接着剤の硬化工程であることを特徴とする(2)または(3)記載のTAB用テープの製造方法。
(5)前記接着剤が硬化した状態であることを特徴とする(2)記載のTAB用テープの製造方法。
(6)少なくとも
1)絶縁層に接着剤を塗布または転写する工程
2)導電層をラミネートする工程
3)芯材またはリールに巻き取る工程
4)芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程
を含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載のTAB用テープの製造方法。
(7)前記芯材又はリールの巻芯の径が半径50mm以上であることを特徴とする(1)〜(6)記載のいずれか一項にTAB用テープの製造方法。
(8)絶縁層が、少なくともポリイミドを含むことを特徴とする(1)〜(7)のいずれか一項に記載のTAB用テープの製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のTAB用テープの製造方法についてその実施の形態の一例に基づき説明する。本発明のTAB用テープは、少なくとも導体層と絶縁層とを含むテープを芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程を経て製造される。まず、芯材またはリールに巻き取るテープを構成する材料について説明する。該テープは、少なくとも絶縁層、導体層を含む。また接着剤層や保護フィルムを有していてもよい。
【0011】
〈絶縁層〉
本発明のTAB用テープは、少なくとも絶縁層を有する。該絶縁層は、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド等、いかなる物を用いても良いが、これらの中でも電気絶縁性、耐熱性に優れたポリイミドを用いることが好ましい。本発明に用いるポリイミドは公知のいかなるものを用いても良いが、製法を含めその一例を以下に示す。
【0012】
ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶剤溶液を、エンドレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上に流延し、乾燥・イミド化させることにより製造される。 本発明に用いられるポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
【0013】
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、特に好ましい重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。
【0014】
ここで、本発明に用いられるポリアミド酸の材料について説明する。
本ポリイミドにおける使用のための適当な酸無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
【0015】
これらのうち、本発明において用いられるポリアミド酸において最も適当な酸二無水物としてp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ピロメリット酸二無水物およびこれらの混合物が上げられる。
【0016】
またさらにp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)とピロメリット酸二無水物のモル比で95/5〜5/95、好ましくは80/20〜5/95、更には70/30〜10/90、更に好ましくは60/40〜15/85の割合の混合物を用いた場合に吸湿率、吸湿膨張係数などの吸湿特性や弾性率などの機械的特性のバランスに優れたポリイミドフィルムを得ることができる。
【0017】
本発明にかかるポリアミド酸において使用し得る適当なジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン及びそれらの類似物などが挙げられる。これらジアミン化合物の中で、4,4‘−オキシジアニリン及びp−フェニレンジアミンをモル比で1/9〜9/1、好ましくは1/7〜7/1、更に好ましくは1/4〜4/1の範囲で用いるのが、弾性率や引張伸び率などの機械的特性のバランスに優れたポリイミドフィルムが得られるので好ましい。
【0018】
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。
【0019】
また本発明においては、フィルムに種々の機能を付与するために無機粒子を任意の割合で添加することもできる。例えば、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、シリカ、酸化チタン、アルミナ等いかなるものも用いることができる。無機粒子の形状は付与する機能に応じていかなる形状、大きさのものを用いてもかまわない。例えば粒状、球状、針状、板状等の形状が挙げられ、典型的な大きさは、平均粒径0.01〜100μm、好ましくは0.05〜50μmである。フィラーの大きさがこの範囲を下回ると分散不良がおきる場合があり、この範囲を上回るとフィルムの表面粗さが大きくなりすぎ、TABテープに導電層回路を形成する際に不具合がおきる場合がある。フィラーの添加は、
▲1▼ポリアミド酸の重合前または途中に重合反応液に添加する方法
▲2▼ポリアミド酸の重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
▲3▼フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくすむため、好ましい。フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
【0020】
次に、ポリイミドフィルムの製造工程を、一例をあげて説明する。
ポリアミド酸溶液からポリイミドとするには、熱的に脱水閉環する熱的方法、脱水剤を用いる化学キュア法の何れでも良いが、化学キュア法が好ましい。化学キュア法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表されるイミド化触媒とを作用させる方法である。化学キュア法に熱イミド化法を併用してもよい。加熱条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ等により、変動し得る。
脱水剤及びイミド化触媒を低温でポリアミド酸溶液中に混合して製膜ドープを得る。引き続いてこの製膜ドープをガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上にフィルム状にキャストし、支持体上で80℃〜200℃、好ましくは100℃〜180℃の温度領域で加熱することで脱水剤及びイミド化触媒を活性化することによって部分的に硬化及び/または乾燥した後支持体から剥離してポリアミド酸フィルム(以下、ゲルフィルムという)を得る。
【0021】
脱水剤の好ましい量は、ポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、1〜5モル、好ましくは1.5〜4モルである。また、イミド化触媒の好ましい量は0.2〜3モル、好ましくは0.3〜2モルである。
【0022】
脱水剤及びイミド化触媒が上記範囲を下回ると化学的イミド化が不十分で、焼成途中で破断したり、機械的強度が低下したりすることがある。また、これらの量が上記範囲を上回ると、イミド化の進行が早くなりすぎ、フィルム状にキャストすることが困難となることがある。
【0023】
前記ゲルフィルムの端部を固定して硬化時の収縮を回避して乾燥し、水、残留溶媒、残存脱水剤及びイミド化触媒を除去し、そして残ったアミド酸を完全にイミド化して、本発明のポリイミドフィルムが得られる。
【0024】
この時、最終的に400〜600℃の温度で5〜400秒加熱するのが好ましい。この温度より高い及び/または時間が長いと、フィルムの熱劣化が起こり問題が生じることがある。逆にこの温度より低い及び/または時間が短いと所定の効果が発現しないことがある。
〈導電層〉
本発明における導電層には銅箔、ステンレス箔などいかなるものを用いても良いが、種類が豊富であり、入手しやすいという意味で銅箔を用いるのが一般的である。
〈接着剤〉
本発明に用いられる接着剤としては、特に限定はされないが、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、マレイミド樹脂等から選ばれる少なくとも一種以上の樹脂を含有することが好ましく、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を併用することが好ましい。
【0025】
エポキシ樹脂としては、一分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであればいかなるものを用いてもよいが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンジフェノール型、エポキシ化フェノールノボラック型フェノール樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。
【0026】
またフェノール樹脂としてはノボラック型、レゾール型等、公知のいかなるものを用いても良い。例えばフェノール、クレゾール、アルキル置換フェノール、ジシクロペンタジエン等の環状アルキル変性フェノールを原料とするフェノール樹脂、また、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、ピロガロール等の多官能性フェノールを原料とするフェノール樹脂等が挙げられる。
【0027】
マレイミド樹脂としては、2官能以上のものを用いるのが好ましく、例えば、N,N‘−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N‘−p−フェニレンビスマレイミド等に代表されるビスマレイミド等が挙げられる。
【0028】
また、本発明において用いられる接着剤層には熱硬化性樹脂の硬化剤及び/又は硬化促進剤を添加しても良い。例えば、三フッ化ホウ素のアミン錯体、イミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の有機酸無水物、ジシアンジアミド、トリフェニルフォスフィン、ジアザビシクロウンデセン等、公知のいかなるものでも良い。これら硬化剤及び/又は効果促進剤を添加する場合は、接着剤層100重量%に対して0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.2〜8重量%の割合で添加することが好ましい。
【0029】
接着剤層に含まれ得る熱可塑性樹脂成分のポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド等の樹脂は、接着剤層の軟化温度、半硬化状態(Bステージ)での接着強度、硬化時の接着強度、可とう性、低吸水性を発現させる目的で添加することができる。こういった熱可塑性樹脂成分の好ましい添加量は、接着剤層100重量%に対して25〜60重量%、更には30〜55重量%、特には30〜50重量%である。
また、これら熱可塑性樹脂は分子中にアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基、ビニル基、シラノール基等、フェノール樹脂やエポキシ樹脂と反応しうる官能基を有していても良い。
【0030】
本発明に用いられる接着剤は、完全硬化後の高温時弾性率が高いものを用いた方が反りが小さくなる傾向にあるため好ましい。例えば、150℃における貯蔵弾性率が50〜300MPaのものを用いるのが好ましく、60〜250MPaがより好ましく、70〜220MPaのものが特に好ましい。
〈保護フィルム〉
本発明で用いうる保護用フィルムとしては、接着剤層から容易に剥離できるものであればいかなるものを用いても良いが、例えば、シリコーン又はフッ素化合物で表面処理したポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルム等が挙げられる。
〈TAB用テープの製造〉
まず、前述の絶縁層に前述の接着剤を塗布または転写する。接着剤を塗布する場合、リバースコーターやグラビアコーターなどの公知の塗工機を用いてポリイミドフィルム上に接着剤層を形成させた後、保護フィルムをラミネートする等の方法が一例として挙げられる。転写する場合においては、保護フィルム上に公知の方法で接着剤層を形成した後、ロールラミネート法などの方法を用いてポリイミドフィルムと積層するといった方法が挙げられる。
【0031】
次に前述の導電層をラミネートし、芯材またはリールに巻き取る工程を経る。このときに用いる芯材又はリールの材質はいかなるものであっても良い。例えば塩化ビニール製、スチロール製、ポリエステル製、ナイロン製、アルミ製、ステンレス製などが挙げられる。本発明においては、テープを巻き取った状態で加熱する工程を含むので、この加熱工程において高温雰囲気に曝されることがあるという観点から、アルミ製やステンレス製などの金属製を用いることが好ましい。
【0032】
この芯材又はリールの巻芯の径は、半径が40〜200mm、好ましくは45〜180mm、特に好ましくは50〜150mmである。巻芯の径がこの範囲を下回るとTABテープの、巻内部分(芯材又はリールの巻芯に近い部分)と巻外部分(芯材に巻き取られた状態の最外層部分)反り量が大きく異なることがある。
【0033】
巻芯またはリールに、導電層をラミネートしたテープを巻き取る方法としては、導電層を外側にして芯材又はリールに巻き取ることが好ましい。導電層を内側にして巻取り、接着剤を硬化した場合、反りやカールが大きくなる。このとき、TABテープがはみ出した接着剤の影響で互いに接着させない目的等でスペーサーを用いても良い。このようなスペーサーは典型的には主にポリエステル、ポリイミドフィルム、銅箔、ステンレス箔等で構成されたものが広く用いられているが、本発明においては特に材質、形状等は限定されるものではない。
【0034】
本発明者らは、前述の少なくとも絶縁層と導体層を含むテープを芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程を経る製造方法において、これまで着目されていなかった、巻き取られたテープの最外層の半径と、得られるTAB用テープの反りの関係に着目し、テープの半径が大きすぎると反りが発生することを見出した。すなわち、芯材又はリールに巻き取られた最外層の半径が400mm以下にすることが好ましく、さらに好ましくは350mm以下、特に好ましくは300mm以下である。本発明においては、巻き取られたテープの最外層の半径が重要であるので、最外層の半径が400mm以下とすれば、芯材又はリールに巻き取られるテープの長さはいくらであっても良いが、TABテープの長さは、絶縁層、接着剤層、導電層の厚み、巻取り張力、スペーサーの有無などに依存して決定される。最外層の半径が上記範囲を上回ると本発明の効果を得にくくなる。
【0035】
本発明において、芯材またはリールに巻き取られたテープの接着剤層が、Bステージ状態で加熱することが好ましく、テープを芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程は、該接着剤の硬化工程であることが好ましいが、前記接着剤が完全に硬化されたテープを上記リールに巻取り加熱する事によっても、反りを矯正することが可能である。この場合加熱温度は完全硬化状態の接着剤のガラス転移温度以上に加熱することが好ましい。加熱温度がガラス転移温度以下であると反りの低減幅が小さくなりすぎることがある。
【0036】
本発明の製造方法で得られたTAB用テープは、接着剤を完全硬化させた後(導体層付きテープ)の反り量は、好ましくは−3.0〜1.0mm以下、さらに好ましくは−3.0〜0.7mm以下、特に好ましくは−2.0〜0.5mm以下である。導体層付きテープの反り量がこれら範囲を外れてしまうと、加工および実装工程における反り由来の不具合が生じる場合がある。
【0037】
また、本発明者は、最終的に、TAB用テープに回路形成、ソルダーレジスト塗布等の複数の工程を経た後の反りを低減するためには、導体層付きテープの状態としては、導体層を外側にして多少反っていることが好ましいことを見出した。上記のようにして得られるTABテープが、導電層を外側にした反りを有していると、回路形成、ソルダーレジスト塗布等の複数の工程を経た後、反りが−1〜1mm、好ましくは−0.7〜0.7mm、特に好ましくは−0.5〜0.5mmの反りとすることが可能である。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0039】
〔反り測定〕
反りの値は、以下の手順で作成したTAB用テープ35mm角に切り出し、湿度60%RH、温度23℃の部屋に72時間放置したのち、平面上に静置し4隅のうき上がり高さを測定し、4点のデータの平均値で示した。なお、導体層を内側とする反りを+とし、導体層を外側とする反りを−とした。
【0040】
(参考例1)
815gのDMFに燐酸水素カルシウム(平均粒径1〜2μm)を0.027g分散させた後、40.30gの4,4’−オキシジアニリン(ODAと略す)、21.76gのパラフェニレンジアミン(PDAと略す)を溶解して、この溶液を0℃に保った。ここに、23.69gの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDAと略す)を徐々に添加し、2時間撹拌してBPDAを完全に溶解させた。この溶液に55.35gのp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMHQと略す)を徐々に添加して1時間撹拌した後、さらに43.90gのピロメリット酸二無水物(PMDAと略す)を添加して1時間撹拌して23℃における溶液粘度3300ポイズ、固形分濃度18.5wt%のポリアミック酸溶液を得た(ODA/PDA/BPDA/TMHQ/PMDA=50/50/20/30/50)。
【0041】
このポリアミック酸溶液100gに無水酢酸11.4g、イソキノリン4.8gおよびDMF33.8gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を90℃で600秒間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを120℃、250℃、350℃、450℃で各180秒間加熱した後、400℃の遠赤外線オーブンでさらに180秒間加熱処理した後、ポリイミドフィルムを得た。
【0042】
(参考例2)
815gのDMFに燐酸水素カルシウム(平均粒径1〜2μm)を0.027g分散させた後、37.31gのODA、20.15gのPDAを溶解して、この溶液を0℃に保った。ここに、60.04gの3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDAと略す)を徐々に添加し、1時間撹拌してBTDAを完全に溶解させた。この溶液に51.24gのTMHQを徐々に添加して1時間撹拌した後、さらに16.26gのPMDAを添加して1時間撹拌して23℃における溶液粘度3000ポイズ、固形分濃度18.5wt%のポリアミック酸溶液を得た(ODA/PDA/BTDA/TMHQ/PMDA=50/50/50/30/20)。
【0043】
このポリアミック酸溶液100gに無水酢酸11.4g、イソキノリン4.8gおよびDMF33.8gからなる硬化剤を混合、攪拌し、遠心分離による脱泡の後、アルミ箔上に流延塗布した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。このアルミ箔とポリアミド酸溶液の積層体を90℃で600秒間加熱し、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをアルミ箔から剥がし、フレームに固定した。このゲルフィルムを120℃、250℃、350℃、450℃で各180秒間加熱した後、400℃の遠赤外線オーブンでさらに180秒間加熱処理した後、ポリイミドフィルムを得た。
【0044】
(参考例3)
TABテープ作成
▲1▼ポリアミド樹脂(日本リルサン社製プラタボンドM1276)50重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製エピコート828)30重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂10重量部、トルエン/イソプロピルアルコール1/1混合溶液150重量部を混合した溶液に、ジアミノジフェニルスルホン/ジシアンジアミド4/1 20%メチルセロソルブ溶液45重量部を混合した接着剤溶液を調製し、
▲2▼25μm厚みのPETフィルム上に接着剤を、乾燥後11μmになるように塗布し、120℃で2分乾燥した。このBステージ接着剤付きPETフィルムを27mm幅にスリットした。
▲3▼参考例1〜2で得たポリイミドフィルムを35mm幅にスリットし、その中央部にBステージ接着剤付きPETフィルムを張り合わせ、90℃で1kg/cm2の圧力で圧着した。 PETフィルムを剥がし、銅箔(三井金属製、VLP18μm厚み)と、ロールラミネート法で張り合わせた。張り合わせの温度は120℃、圧力は2kg/cm2である。(硬化前テープ)
▲4▼この硬化前テープを、必要があれば35mm幅にスリットされたポリイミドフィルム(鐘淵化学製アピカル75AH)とつなぎ、見かけ上長尺の硬化前テープとする。
▲5▼スペーサーであるポリイミドフィルム(鐘淵化学製アピカル75AH)と共に上記のつなぎあわせた長尺の硬化前テープを所定のリールに巻きつけ、60℃で3時間、80℃で3時間、120℃で3時間、140℃で3時間、160℃で4時間のステップで加熱後徐冷して接着剤の硬化を行った。 (銅箔付きテープ)
(実施例1)
参考例1で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア径120mmのリールに、最外径が300mm、銅箔が巻外となるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの厚み構成、リール構成、反り特性を表1に示す。
【0045】
(実施例2)
参考例1で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア外径250mmのリールに、最外径が400mmとなるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り特性を表1に示す。
【0046】
(実施例3、4)
参考例2で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア径120mmのリールに、最外径が300mm、銅箔が巻外となるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り特性を表1に示す。
【0047】
(実施例5、6)
参考例1で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア外径250mmのリールに、最外径が400mmとなるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り特性を表1に示す。
【0048】
(実施例7)
参考例2で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア外径90mmのリールに、最外径が300mmとなるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り特性を表1に示す。
【0049】
(実施例8)
参考例1で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを長さ30cmに切り出し、リールに巻きつけることなく平板に乗せた状態で熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り量は1.5mmであった。この銅箔付きテープをコア外径250mmのリールに巻きつけ、熱風循環オーブン中で160℃で30分加熱した。この加熱処理後の銅箔付きテープの反りは−0.5mmであった。
【0050】
(比較例1)
参考例1で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア外径600mmのリールに、最外径が650mmとなるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り特性を表1に示す。
【0051】
(比較例2)
参考例2で得たポリイミドフィルムを用い、参考例3に従って硬化前テープを得た。この硬化前テープを、コア外径250mmのリールに、最外径が600mmとなるように硬化前テープ及びスペーサーであるポリイミドフィルムを巻きつけた。このリールを熱風循環オーブンに入れ、参考例3−▲4▼に記載のステップで接着剤を硬化して銅箔付きテープを得た。この銅箔付きテープの反り特性を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
本発明により、TAB用テープの構成を変更することなくTABテープの反りやカールを小さくすることができる。
Claims (8)
- 少なくとも導電層と絶縁層とを含むテープを、芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程を含むTAB用テープを製造する方法であって、芯材又はリールに巻き取られたテープの最外層の巻取り半径が400mm以下であることを特徴とするTAB用テープの製造方法。
- 前記テープがさらに接着剤層を含むことを特徴とする請求項1記載のTAB用テープの製造方法。
- 前記接着剤層がBステージ状態であることを特徴とする請求項2記載のTAB用テープの製造方法。
- 前記テープを芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程が接着剤の硬化工程であることを特徴とする請求項2または3記載のTAB用テープの製造方法。
- 前記接着剤が硬化した状態であることを特徴とする請求項2記載のTAB用テープの製造方法。
- 少なくとも
1)絶縁層に接着剤を塗布または転写する工程
2)導電層をラミネートする工程
3)芯材またはリールに巻き取る工程
4)芯材またはリールに巻き取った状態で加熱する工程
を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のTAB用テープの製造方法。 - 前記芯材又はリールの巻芯の径が半径50mm以上であることを特徴とする請求項1〜6記載のいずれか一項にTAB用テープの製造方法。
- 絶縁層が、少なくともポリイミドを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のTAB用テープの製造方法。
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-
2003
- 2003-04-17 JP JP2003113304A patent/JP2004319852A/ja active Pending
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