〔第1の実施形態〕
本発明の一実施形態について図1ないし図9に基づいて説明すると以下の通りである。すなわち、本実施形態に係る画像表示装置1は、各画素に表示される映像の表示品質を見かけ上低下させることなく、画素の応答速度を向上可能で、しかも、回路規模および演算量の削減が可能な画像表示装置であって、例えば、テレビジョン受像機の画像表示装置として、好適に使用できる。なお、当該テレビジョン受像機が受像するテレビジョン放送の一例としては、地上波テレビジョン放送、BS(Broadcasting Satellite)デジタル放送やCS(Communication Satellite) デジタル放送などの人工衛星を用いた放送、あるいは、ケーブルテレビテレビジョン放送などが挙げられる。
上記画像表示装置1のパネル11は、例えば、R、G、Bの各色を表示可能なサブ画素から1つの画素を構成し、各サブ画素の輝度を制御することによって、カラー表示可能なパネルであって、例えば、図2に示すように、マトリクス状に配されたサブ画素SPIX(1,1) 〜SPIX(n,m) を有する画素アレイ2と、画素アレイ2のデータ信号線SL1〜SLnを駆動するデータ信号線駆動回路3と、画素アレイ2の走査信号線GL1〜GLmを駆動する走査信号線駆動回路4とを備えている。また、画像表示装置1には、両駆動回路3・4へ制御信号を供給する制御回路12と、入力される映像信号に基づいて、上記階調遷移を強調するように、上記制御回路12へ与える映像信号を変調する変調駆動処理部(駆動装置)21とが設けられている。なお、これらの回路は、電源回路13からの電力供給によって動作している。また、本実施形態では、走査信号線GL1〜GLmに沿った方向に隣接する3つのサブ画素SPIXから、1つの画素PIXが構成されている。さらに、本実施形態に係るサブ画素SPIX(1,1) …が特許請求の範囲に記載の画素に対応している。
以下では、変調駆動処理部21の詳細構成について説明する前に、画像表示装置1全体の概略構成および動作を説明する。また、説明の便宜上、例えば、i番目のデータ信号線SLiのように、位置を特定する必要がある場合にのみ、位置を示す数字または英字を付して参照し、位置を特定する必要がない場合や総称する場合には、位置を示す文字を省略して参照する。
上記画素アレイ2は、複数(この場合は、n本)のデータ信号線SL1〜SLnと、各データ信号線SL1〜SLnに、それぞれ交差する複数(この場合は、m本)の走査信号線GL1〜GLmとを備えており、1からnまでの任意の整数をi、および1からmまでの任意の整数をjとすると、データ信号線SLiおよび走査信号線GLjの組み合わせ毎に、サブ画素SPIX(i,j) が設けられている。
本実施形態の場合、各サブ画素SPIX(i,j) は、隣接する2本のデータ信号線SL(i-1) ・SLiと、隣接する2本の走査信号線GL(j-1) ・GLjとで囲まれた部分に配されている。
一例として、画像表示装置1が液晶表示装置の場合について説明すると、上記サブ画素SPIX(i,j) は、例えば、図3に示すように、スイッチング素子として、ゲートが走査信号線GLjへ、ドレインがデータ信号線SLiに接続された電界効果トランジスタSW(i,j) と、当該電界効果トランジスタSW(i,j) のソースに、一方電極が接続された画素容量Cp(i,j) とを備えている。また、画素容量Cp(i,j) の他端は、全サブ画素SPIX…に共通の共通電極線に接続されている。上記画素容量Cp(i,j) は、液晶容量CL(i,j) と、必要に応じて付加される補助容量Cs(i,j) とから構成されている。
上記サブ画素SPIX(i,j) において、走査信号線GLjが選択されると、電界効果トランジスタSW(i,j) が導通し、データ信号線SLiに印加された電圧が画素容量Cp(i,j) へ印加される。一方、当該走査信号線GLjの選択期間が終了して、電界効果トランジスタSW(i,j) が遮断されている間、画素容量Cp(i,j) は、遮断時の電圧を保持し続ける。ここで、液晶の透過率あるいは反射率は、液晶容量CL(i,j) に印加される電圧によって変化する。したがって、走査信号線GLjを選択し、当該サブ画素SPIX(i,j) への映像データD(i,j,k) に応じた電圧をデータ信号線SLiへ印加すれば、当該サブ画素SPIX(i,j) の表示状態を、映像データD(i,j,k) に合わせて変化させることができる。
本実施形態に係る上記液晶表示装置は、液晶セルとして、垂直配向モードの液晶セル、すなわち、電圧無印加時には、液晶分子が基板に対して略垂直に配向し、サブ画素SPIX(i,j) の液晶容量CL(i,j) への印加電圧に応じて、液晶分子が垂直配向状態から傾斜する液晶セルを採用しており、当該液晶セルをノーマリブラックモード(電圧無印加時には、黒表示となるモード)で使用している。
上記構成において、図2に示す走査信号線駆動回路4は、各走査信号線GL1〜GLmへ、例えば、電圧信号など、選択期間か否かを示す信号を出力している。また、走査信号線駆動回路4は、選択期間を示す信号を出力する走査信号線GLjを、例えば、制御回路12から与えられるクロック信号GCKやスタートパルス信号GSPなどのタイミング信号に基づいて変更している。これにより、各走査信号線GL1〜GLmは、予め定められたタイミングで、順次選択される。
さらに、データ信号線駆動回路3は、映像信号として、時分割で入力される各サブ画素SPIX…への映像データD…を、所定のタイミングでサンプリングするなどして、それぞれ抽出する。さらに、データ信号線駆動回路3は、走査信号線駆動回路4が選択中の走査信号線GLjに対応する各サブ画素SPIX(1,j) 〜SPIX(n,j) へ、各データ信号線SL1〜SLnを介して、それぞれへの映像データに応じた出力信号を出力する。
なお、データ信号線駆動回路3は、制御回路12から入力される、クロック信号SCKおよびスタートパルス信号SSPなどのタイミング信号に基づいて、上記サンプリングタイミングや出力信号の出力タイミングを決定している。
一方、各サブ画素SPIX(1,j) 〜SPIX(n,j) は、自らに対応する走査信号線GLjが選択されている間に、自らに対応するデータ信号線SL1〜SLnに与えられた出力信号に応じて、発光する際の輝度や透過率などを調整して、自らの明るさを決定する。
ここで、走査信号線駆動回路4は、走査信号線GL1〜GLmを順次選択している。したがって、画素アレイ2の全画素を構成するサブ画素SPIX(1,1) 〜SPIX(n,m) を、それぞれへの映像データが示す明るさ(階調)に設定でき、画素アレイ2へ表示される画像を更新できる。
なお、映像データDは、サブ画素SPIXの階調レベルを特定できれば、階調レベル自体であってもよいし、階調レベルを算出するためのパラメータであってもよいが、以下では、一例として、映像データDがサブ画素SPIXの階調レベル自体である場合について説明する。
また、上記画像表示装置1において、映像信号源VSから変調駆動処理部21へ与えられる映像信号DATは、フレーム単位(画面全体単位)で伝送されていてもよいし、1フレームを複数のフィールドに分割すると共に、当該フィールド単位で伝送されていてもよいが、以下では、一例として、フィールド単位で伝送される場合について説明する。
すなわち、本実施形態において、映像信号源VSから変調駆動処理部21へ与えられる映像信号DATは、1フレームを複数のフィールド(例えば、2フィールド)に分割すると共に、当該フィールド単位で伝送されている。
より詳細には、映像信号源VSは、映像信号線VLを介して、画像表示装置1の変調駆動処理部21に映像信号DATを伝送する際、あるフィールド用の映像データを全て伝送した後に、次のフィールド用の映像データを伝送するなどして、各フィールド用の映像データを時分割伝送している。
また、上記フィールドは、複数の水平ラインから構成されており、上記映像信号線VLでは、例えば、あるフィールドにおいて、ある水平ライン用の映像データ全てが伝送された後に、次に伝送する水平ライン用の映像データを伝送するなどして、各水平ライン用の映像データが時分割伝送されている。
なお、本実施形態では、2フィールドから1フレームを構成しており、偶数フィールドでは、1フレームを構成する各水平ラインのうち、偶数行目の水平ラインの映像データが伝送される。また、奇数フィールドでは、奇数行目の水平ラインの映像データが伝送される。さらに、上記映像信号源VSは、1水平ライン分の映像データを伝送する際も上記映像信号線VLを時分割駆動しており、予め定められた順番で、各映像データが順次伝送される。
一方、変調駆動処理部21において、図示しない受信回路は、映像信号線VLを伝送される映像データをサンプリングして、各サブ画素SPIX(i,j) への映像データD(i,j,k) を取得する。なお、映像信号線VLを各サブ画素SPIX(i,j) への映像データD(i,j,k) が伝送されている場合、上記受信回路は、予め定められたタイミングでサンプリングすることによって、当該映像データD(i,j,k) 自体を取得する。一方、映像信号線VLを各画素への映像データが伝送されている場合、上記受信回路は、予め定められたタイミングでサンプリングすることによって、各画素への映像データを取得し、当該映像データの示す色を、当該画素の各サブ画素の色成分に分解することによって、各サブ画素SPIX(i,j) への映像データD(i,j,k) を取得する。
本実施形態に係る画像表示装置1では、1画素が、R、G、Bにそれぞれ対応する3つのサブ画素SPIXから構成されており、図2に示す変調駆動処理部21も、R用の回路、すなわち、Rに対応するサブ画素SPIXへの映像データDを処理する回路だけではなく、G用およびB用の回路も設けられているが、各回路は、入力される映像データD(i,j,k) を除いて同じ構成なので、以下では、図1を参照しながら、R用の回路についてのみ説明する。
すなわち、図1に示すように、本実施形態に係る変調駆動処理部21には、R用の回路として、Rのサブ画素SPIXへの映像データの1フレーム分を次のフレームまで記憶するフレームメモリ31と、現フレームFR(k) の映像データをフレームメモリ31へ書き込むと共に、フレームメモリ31から前フレームFR(k-1) の映像データD0(i,j,k-1) を読み出し、前フレーム映像信号DAT0として出力するメモリ制御回路32と、現フレームから前フレームへの階調遷移を強調するように、上記現フレームFR(k) の映像データを補正し、補正後の映像データD2(i,j,k) を補正映像信号DAT2として出力する変調処理部(第1補正手段)33とを備えている。なお、本実施形態では、説明の便宜上、フレームメモリ31から出力される映像データのうち、前フレームFR(k-1) の映像データをD0(i,j,k-1) で示し、前々フレームFR(k-2) の映像データ(後述)をD00(i,j,k-2) として参照する。また、両映像データD00(i,j,k-2) およびD0(i,j,k-1) に基づいて、後述の前フレーム階調補正回路37が生成した映像データをD0a(i,j,k-1) で参照する。なお、本実施形態では、サブ画素SPIX(1,j) 、(4,j) …がRを表示するので、入力端子T1には、映像データD(1,j,k) 、D(4,j,k) …が入力されている。
さらに、本実施形態に係る変調駆動処理部21には、画素アレイ2に表示される映像の表示品質を見かけ上低下させることなく、上記フレームメモリ31へ格納される映像データD(i,j,k) のデータ量を削減するために、上記入力端子T1とメモリ制御回路32および変調処理部33との間に、入力端子T1に入力される映像データD(i,j,k) へノイズ生成回路(ノイズ生成手段)35が生成したノイズを加算して出力するノイズ付加回路34と、ノイズ付加回路34が出力する各映像データの下位ビットを切り捨てて、映像データのビット幅を縮小する切り捨て回路36とを含むBDE(Bit-Depth Extension )回路が設けられており、切り捨て回路36の出力する映像データD1(i,j,k) は、現フレームFR(k) の映像データとして、変調処理部33およびメモリ制御回路32へ入力される。なお、上記ノイズ生成回路35および切り捨て回路36が特許請求の範囲に記載のノイズ付加手段に対応している。
上記ノイズ生成回路35は、平均値が0であり、画素アレイ2へ表示される映像に擬似輪郭が発生しない程度にランダムなノイズを出力している。また、ノイズデータの最大値が大き過ぎると、ノイズパターンが画像表示装置1の使用者に認識される虞があるので、上記ノイズの最大値は、ノイズパターンが認識されない程度に設定されている。本実施形態では、入力端子T1へ入力される各サブ画素SPIX(i,j) への映像データD(i,j,k) は、8ビットで表現されており、ノイズデータの大きさは、±5ビット以内に設定されている。また、上記切り捨て回路36は、ノイズ生成回路35の出力する8ビットの映像データから、下位2ビットを切り捨て、6ビットの映像データD1(i,j,k) として出力する。これに伴ない、上記フレームメモリ31において、現フレームFR(k) の各映像データD1(i,j,k) を記憶するための記憶領域は、1つの映像データD1(i,j,k) あたり、6ビットに抑えられている。
これにより、画素アレイ2へ表示される映像にノイズパターンも擬似輪郭も発生せず、切り捨て前の映像データDを表示した場合と見かけ上相違していないにも拘わらず、切り捨て回路36以降の回路で処理される映像データのビット数を削減できる。
ここで、付加されたノイズは、画像表示装置1の使用者によって、観察している階調が周囲の画素とどの程度異なっているか(変動率)、および、目指す輝度とどの程度異なっているか(誤差)として認識される。一般に、画像表示装置1のように、100ppiを基準にして絵作りする分野では、上記誤差の許容限界は、白輝度の5%程度であり、上記変動率の許容限界は、表示階調の5%程度であることが知られている。ここで、図4は、画素の表示階調をx階調だけ増加したときに、画素の透過率が、周囲の輝度(階調を増加する前の透過率)を基準に何%だけ増加するかを示している。また、図5は、画素の表示階調をx階調だけ増加したときに、本来の透過率(階調を増加する前の透過率)を基準に何%だけ増加するかを示している。この結果、8〜12階調のノイズであれば、殆どの階調で上記許容限界を下回り、使用者に見かけ上表示品質が劣化していないと感じさせることができる。なお、上記各図は、一般的な映像信号DATとして、γ=2.2の映像信号が入力された場合の値である。
したがって、1つの画素を単独で視認できない距離で見ることが想定されている場合、2〜3画素(6〜9サブ画素)の間で、上記変動率および誤差が5%を下回るように設定すればよい。ここで、上記ノイズデータが略正規分布であるとすると、8〜12〔階調〕×6(1/2) 〜9(1/2) =20〜36〔階調〕となる。したがって、5ビット程度、すなわち、映像データDよりも3ビット程度少ないビット幅で時系列的に固定のノイズを付加しても、ノイズパターンが画像表示装置の使用者に視認される虞はない。
なお、一般には、画素サイズが大きくなっても、観察距離は、それに比例する程には増大しないことが多いので、画素サイズが大きくなる程、ノイズデータの許容レベルが小さくなる。したがって、1〜32階調(5ビット以内)という数値範囲の中でも、上記ノイズデータの絶対値の最大値として、多くの画像表示装置1で好ましく使用される数値範囲は、12〜20階調の範囲であり、さらに好ましくは、15階調(4ビット)に設定する方が望ましい。
上記ノイズ生成回路35は、例えば、線形帰還シフトレジスタ(M系列やGold系列など)を含む演算回路など、種々の演算回路であってもよいが、本実施形態に係るノイズ生成回路35は、16×16あるいは32×32など、予め定められたブロック分のノイズデータを記憶したメモリ51と、当該メモリ51から順次ノイズデータを読み出すアドレスカウンタ52と、アドレスカウンタ52をリセットするためのリセット信号を生成する制御回路53とを備えている。
上記制御回路53は、同一のサブ画素SPIX(i,j) への映像データD(i,j,*) へ、全フレームに渡って、互いに同じ値のノイズデータが印加されるように、アドレスカウンタ52をリセットしている。例えば、本実施形態では、上記制御回路53は、図2に示す映像信号源VSから映像データと共に伝送される水平同期信号および垂直同期信号の少なくとも一方に同期してアドレスカウンタ52をリセットする。この結果、上記ノイズ付加回路34は、同一のサブ画素SPIX(i,j) への映像データD(i,j,*) へ、全フレームに渡って、互いに同じ値のノイズデータを付加できる。したがって、画像表示装置1が画素アレイ2に静止画を表示している場合、各サブ画素SPIX(i,j) への補正映像データD2(i,j,*) は、変化せず、補正映像データD2(i,j,*) の変化に起因するチラツキやノイズ感のない安定した静止画を表示できる。ここで、*は、任意の値を示している。
なお、上記メモリ51には、ランダムなノイズデータが格納されているので、各フレームにおいて、同じブロック内に位置するサブ画素SPIXへの映像データには、ランダムなノイズデータが付加され、画素アレイ2に表示される映像に擬似輪郭が発生しない。
さらに、本実施形態では、上記フレームメモリ31は、前フレームの映像データも、次のフレームまで記憶しており、制御回路32は、フレームメモリ31から、前々フレームFR(k-2) の映像データD00(i,j,k-2) を読み出し、前々フレーム映像信号DAT00として出力できる。
また、本実施形態に係る変調駆動処理部21には、各サブ画素SPIX(i,j) について、サブ画素SPIX(i,j) が上記映像データD00(i,j,k-2) から映像データD0(i,j,k-1) への階調遷移によって到達した階調を予測すると共に、前フレームFR(k-1) の映像データD0(i,j,k-1) を当該予測値D0a(i,j,k-1) へ補正して出力する前フレーム階調補正回路(第2補正手段)37が設けられており、上記変調処理部33は、補正後の前フレーム映像信号DAT0aと上記現フレーム映像信号DATとに基づいて、各サブ画素SPIX(i,j) の前フレームから現フレームへの階調遷移を強調するように、現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) を補正できる。
上記構成では、変調処理部33が前フレームFR(k-1) から現フレームFR(k) への階調遷移を強調するように、現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) を補正しているので、サブ画素SPIXの応答速度を向上でき、本来は応答速度が遅いサブ画素SPIXを使用している場合であっても、十分な応答速度で映像を表示できる。
また、フレームメモリ31の前段に、ノイズ付加回路34および切り捨て回路36を含むBDE回路が設けられているので、画素アレイ2に表示される映像の表示品質を見かけ上低下させることなく、上記フレームメモリ31へ格納される映像データD(i,j,k) のデータ量を削減できる。本実施形態では、入力端子T1へ入力される映像データD(i,j,k) のビット幅が8ビットであるにも拘わらず、フレームメモリ31に格納される映像データD1(i,j,k) のビット幅が6ビットにまで削減されている。これにより、フレームメモリ31に必要なメモリ容量を削減できる。また、切り捨て回路36以降の回路、すなわち、メモリ制御回路32、前フレーム階調補正回路37、変調処理部33、図2に示す制御回路12、データ信号線駆動回路3において、映像データのビット幅が8ビットから6ビットに削減されているので、それぞれを接続するための配線の数および占有面積も3/4に削減でき、それらの回路での演算量も削減できる。
なお、映像データは、比較的高速に伝送する必要があるため、比較的遅い回路で、映像データを伝送するためには、複数の回路を並列に設けて交互に動作させる必要があり、映像データのビット数が増大すると、回路の占有面積が増大してしまう。ところが、上記構成では、ビット幅が3/4に削減されているので、8ビットの場合と比較して、並列に動作する回路を設ける場合であっても、回路の占有面積の増大量を抑えることができる。
また、上記構成では、フレームメモリ31および変調処理部33の前段に、ノイズ付加回路34および切り捨て回路36を含むBDE回路が設けられている。したがって、BDE回路が変調処理部33の後段に設けられている場合と異なり、以下の不具合、すなわち、変調処理部33が白光りの発生しない範囲で、できる限り階調遷移を強調した後、BDE回路がノイズを付加した結果、白光りが視認されるという不具合が発生しない。この結果、ノイズ付加と階調遷移の強調とを併用しているにも拘わらず、白光りの発生を防止できる。
ところで、サブ画素SPIX(i,j) の応答速度が非常に遅いと、前フレームFR(k-1) において、前々フレームから前フレームへの階調遷移を強調しているにも拘わらず、サブ画素SPIX(i,j) が前フレームFR(k-1) の映像データD1(i,j,k-1) の示す階調に到達できないことがある。この場合、現フレームFR(k) において、前々回から前回へ十分に階調遷移できたと見なして階調遷移を強調すると、適切に階調遷移を強調できず、白光りや黒沈みが発生する虞がある。
例えば、図6中、実線で示すように、前々回から今回への階調遷移がディケイ→ライズの場合、図中、破線で示すように、前々回から前回への階調遷移が十分ではなく、現フレームFR(k) の開始時点における輝度レベルが十分に低下していないにも拘わらず、現フレームFR(k) において、十分に階調遷移した場合(図中、一点鎖線)と同様に画素を駆動すると、階調遷移を強調し過ぎて、白光りが発生してしまう。
また、図7中、実線で示すように、前々回から今回への階調遷移がライズ→ディケイの場合、図中、破線で示すように、前々回から前回への階調遷移が十分ではなく、現フレームFR(k) の開始時点における輝度レベルが十分に上昇していないにも拘わらず、現フレームFR(k) において、十分に階調遷移した場合(図中、一点鎖線)と同様に画素を駆動すると、階調遷移を強調し過ぎて、黒沈みが発生してしまう。
上記白光りや黒沈みが発生すると、これらの階調は、前回の階調から今回の階調までの範囲から外れた階調なので、ユーザの目につきやすく、画像表示装置の表示品質を大幅に低下させる。特に、白光りが発生した場合は、発生期間が一瞬であっても、ユーザの目につきやすいため、特に表示品質を低下させてしまう。
これに対して、本実施形態に係る前フレーム階調補正回路37は、補正前の上記両映像データD00(i,j,k-2) およびD00(i,j,k-1) に基づいて、前々フレームから前フレームへの階調遷移によってサブ画素SPIX(i,j) が到達した階調を予測し、前フレームFR(k-1) の映像データD1(i,j,k-1) を予測値D0a(i,j,k-1) に変更する。この結果、白光りおよび黒沈みの発生を防止でき、画像表示装置1の表示品質を向上できる。
また、フレームメモリ31は、補正前の映像データD1(i,j,k) を記憶しているので、図27に示す表示装置501aとは異なり、補正時に誤差が発生しても、当該誤差が時間の経過と共に蓄積されることはない。したがって、白光りおよび黒沈みの発生を防止できる程度に、予測演算の精度を低下させたとしても、上記画像表示装置501aと異なり、各サブ画素SPIXの階調制御が発散したり、振動したりすることがない。この結果、上記画像表示装置501aよりも小さな回路規模で、白光りおよび黒沈みの発生を防止可能な画像表示装置1を実現できる。
より詳細には、本実施形態に係る前フレーム階調補正回路37は、図1に示すように、前回の階調と今回の階調との組み合わせ、それぞれについて、当該組み合わせの映像データが変調処理部33に入力された場合に、サブ画素SPIX(i,j) が次の映像データによって駆動される時点で到達している階調(到達階調)を記録したLUT(Look Up Table )71を備えている。さらに、本実施形態では、LUT71に必要な記憶容量を削減するために、上記LUT71が記憶している到達階調は、全ての階調同士の組み合わせの到達階調ではなく、予め定められた組み合わせに制限されており、前フレーム階調補正回路37には、LUT71に記憶された各組み合わせに対応する到達階調を補間して、上記両映像データD00(i,j,k-2) および映像データD0(i,j,k-1) の組み合わせに対応する到達階調を算出し、予測値D0a(i,j,k-1) として当該算出結果を出力する演算回路72が設けられている。
また、本実施形態では、フレームメモリ31に必要な記憶容量を削減するために、制御回路32は、現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) のデータ深度を小さくした後で、フレームメモリ31に記憶し、次のフレームFR(k+1) において、前フレームFR(k) の映像データD0(i,j,k) として出力させる。また、制御回路32は、前フレームFR(k-1) の映像データD0(i,j,k-1) のデータ深度をさらに小さくした後で、フレームメモリ31に記憶し、次のフレームFR(k+1) において、前々フレームFR(k-1) の映像データD00(i,j,k-1) として出力させている。
一例として、本実施形態では、前々フレームFR(k-2) の映像データD00(i,j,k-2) のデータ深度、および、前フレームFR(k-1) の映像データD0(i,j,k-1) のデータ深度は、4ビットおよび6ビットに設定されている。この場合は、R、GおよびBのそれぞれを記憶したとしても、30ビットですむ。したがって、汎用のメモリ(データビットの幅が2n に設定されているメモリ)を使用した場合、前々フレームFR(k-2) の映像データD00(i,j,k-2) も記憶しているにも拘わらず、前フレームFR(k-1) の映像データD0(i,j,k-1) を記憶するときと同じ記憶容量のメモリを使用できる。
また、本実施形態では、図8に示すように、上記階調の組み合わせで表現される領域を8×8の計算エリアに分けており、LUT71は、図9に示すように、各計算エリアの4隅となる点(9×9の点)について、到達階調を記憶している。なお、図8および図9では、縦軸がスタート階調(前々フレームの階調)、横軸がエンド階調(前フレームの階調)を示しており、右方および下方になる程、階調が大きくなっている。また、図8、図9および後述の図12では、説明の便宜上、階調を切り捨て前の階調、すなわち、6ビットの映像データD1(i,j,k) を8ビットに伸張した値(4倍した値)を示している。
ここで、図9は、サブ画素SPIX(i,j) として、垂直配向モードかつノーマリブラックモードの液晶素子を採用した場合の数値例を示している。この液晶素子は、ディケイの階調遷移に対する応答速度がライズの場合に比べて遅く、階調遷移を強調するように変調して駆動したとしても、前々回から前回へのディケイの階調遷移において、実際の階調遷移と、所望の階調遷移とに差が発生しやすい。したがって、到達すべき階調(E)よりも実際の到達値が大幅に大きくなっている領域α1は、到達すべき階調よりも到達値が大幅に小さくなっている領域α2と比較して広くなっている。なお、各領域α1・α2は、前フレーム階調補正回路37が補正せず、変調処理部33が前フレームFR(k-1) の映像データD1(i,j,k-1) に基づいて現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) を補正するとユーザに視認される程度に、映像データD1(i,j,k) と実際の階調とが相違する領域である。
さらに、演算回路72は、上記両映像データD00(i,j,k-2) および映像データD0(i,j,k-1) の組み合わせ(S,E)が入力されたとき、当該組み合わせが、上記計算エリアのいずれに属しているかを特定する。
さらに、演算回路72は、当該計算エリアの4隅の到達階調を、左上隅、右上隅、右下隅、左下隅の順に、それぞれ、A、B、C、Dとし、当該計算エリアの広さをY×X、左上隅の組み合わせ(S0,E0)と上記両組み合わせ(S,E)との差を(1,1)に正規化した値を(Δy,Δx)=((S−S0)/Y,(E−E0)/X)とするとき、演算回路72は、Δx>=Δyの場合、LUT71から、上記各到達階調A、BおよびCを読み出し、以下の式(1)に示すように、
D0a(i,j,k-1) =A+Δx・(B−A)+Δy・(C−B) …(1)
D0a(i,j,k-1) を算出する。
また、Δx<Δyの場合、演算回路72は、LUT71から上記各到達階調A、CおよびDを読み出し、以下の式(2)に示すように、
D0a(i,j,k-1) =C+Δx・(C−D)+(1−Δy) ・(D−A) …(2)
D0a(i,j,k-1) を算出する。
例えば、図8および図9の例では、(S,E)が(144,48)の場合、(128,32)、(128,64)、(160,64)および(160,32)で囲まれた計算エリアが特定され、補正後の前フレームFR(k-1) の映像データD0a(i,j,k-1) が60となる。したがって、前フレームFR(k-1) の映像データD1(i,j,k-1) =48に基づいて、変調処理部33が現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) を補正する場合と異なり、補正後の映像データD0a(i,j,k-1) =60に基づいて、映像データD1(i,j,k) を補正するので、白光りの発生を防止できる。
なお、上記では、LUT71が記憶している到達階調のデータ深度(ビット幅)が、映像データD1(i,j,k) と同一の値(6ビット)の場合を例にして説明したが、LUT71の記憶容量削減が強く求められる場合には、上記LUT71に記憶する各到達階調のデータ深度(ビット幅)を、上記前々フレームFR(k-2) の映像データD00(i,j,k-2) のデータ深度、および、前フレームFR(k-1) の映像データD0(i,j,k-1) のデータ深度のうちの大きくない方と一致するように設定することが望まれる。
当該構成であっても、前々回および前回の映像データを用いた演算の有効数字と同じビット幅、すなわち、短い方のビット幅に設定されている。したがって、演算精度を落とさない範囲で、LUT71に必要な記憶容量を最も削減できる。
〔第2の実施形態〕
本実施形態に係る変調駆動処理部21aには、図10に示すように、切り捨て回路36とフレームメモリ31および変調処理部33との間に、FRC(Frame Rate Control)回路(最下位ビット制御手段)38が配置されている。
上記FRC回路38は、切り捨て回路36の出力する映像データの最下位のビットを、映像データD(i,j,k) に応じて、予め定められたパターンで変化させた後、映像データD1(i,j,k) として出力している。上記パターンは、切り捨て回路36によって切り捨てられたビットの値とパターンの平均値とが一致するように設定されている。例えば、切り捨てた値(2ビット)が”01”であれば、その大きさは、切り捨て回路36の出力する映像データの最下位ビットの1/4なので、上記値に対応するパターンとして、例えば、(0、0、0、1)が設定されている。同様に、”00”、”10”、”11”にそれぞれ対応して、(0、0、0、0)、(1、0、1、0)および(1、1、1、0)のパターンが設定されている。
上記構成では、FRC回路38によって、切り捨て回路36の切り捨てたビットの値とパターンの平均値とが一致するようなパターンで、映像データD1(i,j,k) の最下位ビットが変化する。したがって、サブ画素SPIX(i,j) の輝度の平均値を、切り捨て回路36によって切り捨てられる前の映像データが示す輝度と一致させることができる。
なお、サブ画素SPIX(i,j) の応答速度が遅く、サブ画素SPIX(i,j) が補正映像データD2(i,j,k) の変動に追従して輝度を変更できない場合、サブ画素SPIX(i,j) の輝度の平均値は、上記所望の値にならないが、本実施形態に係る変調駆動処理部21aでは、FRC回路38によって変更されるビットが映像データD1(i,j,k) の最下位ビットであり、変調処理部33が前フレームFR(k-1) から現フレームFR(k) への階調遷移を強調している。したがって、変調駆動処理部21aは、何ら支障なく、サブ画素SPIX(i,j) の輝度の平均値を上記所望の値に設定できる。
ここで、各サブ画素SPIX(i,j) の占有面積が極めて小さく、空間分解能および輝度分解能が、人間の視覚の限界近く、あるいは、限界以上に高い範囲に設定されている画素アレイ2の場合、すなわち、画素の1つ1つを視認できない距離で見ることが想定されている画素アレイ2の場合、ノイズ付加回路34によって、5ビット程度の大きさで時系列的に固定のノイズを付加しても、ノイズパターンが画像表示装置の使用者に視認される虞はない。このような画像表示装置としては、例えば、15インチのXGA(eXtended Graphic Arrauy )ディスプレイなどが挙げられ、この場合のサブ画素SPIX(i,j) の間隔(精細度)は、300μm程度に設定されている。
ところが、画素アレイ2の空間分解能および輝度分解能が上記範囲を下回ると、時系列的に固定のノイズを付加する構成では、画素アレイ2が表示している映像が特定の状況(例えば、特定の明るさや特定の動き)にあるときに、ノイズパターンが画像表示装置1の使用者に視認される虞がある。このような画像表示装置としては、例えば、15インチのVGAディスプレイなどが挙げられる。
これに対して、本実施形態に係る変調駆動処理部21aでは、FRC回路38が映像データD1(i,j,k) の最下位ビットを変更している。したがって、このような画像表示装置に適用した場合であっても、使用者によるノイズパターンの視認を妨害でき、時系列的に固定のノイズを付加する場合と比較して、画像表示装置1aの見かけ上の表示品質を向上できる。
〔第3の実施形態〕
ところで、上記第1および第2の実施形態では、ノイズ付加回路34が映像データD(i,j,*) へ付加するノイズが時系列的に固定されており、あるサブ画素SPIX(i,j) への映像データD(i,j,*) には、常時同一の値のノイズが付加される場合について説明した。これに対して、本実施形態では、ノイズ付加回路34が映像データD(i,j,*) へ付加するノイズを時系列的に変化する構成について説明する。なお、当該構成は、第1および第2の実施形態のいずれにも適用できるが、以下では、図1を参照しながら、第1の実施形態に適用した場合について説明する。
すなわち、本実施形態に係る変調駆動処理部21bでは、ノイズ生成回路35に代えて、時系列的に変化するノイズを生成するノイズ生成回路35bが設けられている。本実施形態に係るノイズ生成回路35bでは、制御回路53に代えて設けられた制御回路53bが、アドレスカウンタ52のリセットタイミングと、フレームFR(k) の最初の映像データD(1,1,k) との位相差を、フレーム毎に変更している。
例えば、制御回路53bは、最初のフレームFR(k) では、最初の映像データD(1,1,k) が印加される時点で、アドレスカウンタ52をリセットし、メモリ51の最初のアドレスに記憶されたノイズデータが、最初の映像データD(1,1,k) に付加される。一方、次のフレームFR(k+1) では、制御回路53bは、アドレスカウンタ52のリセットタイミングを1映像データ分早く設定し、メモリ51の2番目のアドレスに記憶されたノイズデータが、最初の映像データD(1,1,k+1) に付加される。
このように、本実施形態では、ノイズ付加回路34が映像データD(i,j,*) へ付加するノイズを時系列的に変化させている。ここで、上述したように、画素アレイ2の空間分解能および輝度分解能が人間の視覚の限界に近いか、限界以上に高い範囲に設定されている場合は、時系列的に固定のノイズを付加しても、ノイズパターンが画像表示装置1の使用者に視認される虞がない。ところが、画素アレイ2の空間分解能および輝度分解能が人間の視覚の限界を大幅に下回り、1つ1つのサブ画素SPIX(i,j) が画像表示装置の使用者に視認される場合、上述のように、時系列的に固定のノイズを付加すると、ノイズパターンが画像表示装置の使用者に認識されてしまう。このような画像表示装置としては、例えば、20インチのVGAディスプレイや40インチのXGAディスプレイなどが挙げられる。
これに対して、本実施形態に係る変調駆動処理部21bでは、ノイズ付加回路34が映像データD(i,j,*) へ付加するノイズを時系列的に変化させている。したがって、このような画像表示装置に適用した場合であっても、使用者によるノイズパターンの視認を妨害でき、時系列的に固定のノイズを付加する場合と比較して、画像表示装置1bの見かけ上の表示品質を向上できる。
ところで、上記各実施形態に係る変調処理部33は、チラツキやノイズ感のない安定した静止画を表示するために、前フレームFR(k-1) の映像データD0a(i,j,k-1) と現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) との差が予め定められたしきい値よりも小さい場合、階調遷移を強調せず、現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) をそのまま出力している。
この場合、上記しきい値は、ノイズの時系列変化の変動幅に合わせて設定される。より詳細には、しきい値は、ノイズの時系列変化の変動幅と同じか、あるいは、大きい値であって、しかも、階調遷移を強調しなくても、サブ画素SPIX(i,j) の応答速度不足による階調遷移の不足が使用者に視認されない程度に小さな値に設定される。一例として、上述した数値、すなわち、映像データD(i,j,k) が8ビットで、ノイズの大きさが±5ビットであり、切り捨て回路36が2ビットを切り捨てる場合、上記しきい値は8階調(=2(5-2) )に設定される。
このように、上記しきい値がノイズの時系列変化の変動幅と同じか、より大きな値に設定されている。したがって、静止画を表示している場合、ノイズによって映像データD1(i,j,k) が変動し、階調遷移が発生しても、変調処理部33は、当該階調遷移を強調せず、現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) をそのまま出力する。このように、第3の実施形態に係る変調処理部33は、階調遷移がノイズデータの加算のみによって発生し得る階調遷移の場合に、階調遷移を強調せず、第3の実施形態にFRC回路38を付加した構成における変調処理部33は、ノイズデータの加算と上記FRC回路38による最下位ビットの変更とのみによって発生し得る階調遷移である場合に階調遷移を強調しない。したがって、ノイズに起因する階調遷移が強調されることはなく、以下の不具合、すなわち、ノイズに起因する階調遷移を強調した結果、ノイズパターンが使用者に視認されるという不具合の発生を防止できる。
また、本実施形態のように、ノイズ付加回路34が映像データD(i,j,*) へ付加するノイズを時系列的に変化させる場合、すなわち、第1の実施形態よりも、短い距離(1つ1つのサブ画素SPIX(i,j) が画像表示装置の使用者に視認される距離)から見ることが想定される場合、ノイズ生成回路35が生成するノイズデータの絶対値の最大値は、8階調以下に設定する方が望ましい。
〔第4の実施形態〕
上記では、ノイズ生成回路が生成するノイズの最大値が一定の場合を例にして説明したが、本実施形態では、入力端子T1に入力される映像データD(i,j,k) の示す階調によって、ノイズの最大値を変更する構成について説明する。なお、当該構成は、第1ないし第3のいずれの実施形態にも適用できるが、以下では、図11を参照しながら、第1の実施形態に適用した場合について説明する。
すなわち、本実施形態に係る変調駆動処理部21cでは、図1に示すノイズ生成回路35に代えて、出力するノイズデータの大きさを変更可能なノイズ生成回路35cが設けられており、さらに、映像データD(i,j,k) の表示階調レベルを検出し、検出結果に応じた大きさのノイズを出力するように、上記ノイズ生成回路35cへ指示する階調判定部(ノイズ量制御手段)39が設けられている。
上記階調判定部39は、例えば、MPEG(Moving Picture Expert Group )ブロックなど、予め定められた大きさのブロックに含まれるサブ画素SPIXへの映像データDを平均し、例えば、平均値に比例した値など、平均値が高い場合は、低い場合よりも最大値が大きな値のノイズを出力するように指示する。
一方、上記ノイズ生成回路35cには、例えば、階調判定部39から指示された値を、メモリ51の出力に乗算して、出力する乗算回路54が設けられており、ノイズ生成回路35cの出力するノイズデータの最大値を、指示された値に変更する。
上記構成では、ブロック内の映像データDの平均値が高い場合、すなわち、平均値が低いときに比べて、ノイズの相対的な大きさが小さくなるため、ノイズの大きさを大きくしても、使用者にノイズパターンが認識され難い場合には、ノイズの最大値を大きく設定する。一方、映像データDの平均値が低い場合、すなわち、平均値が高いときと比較して、ノイズの相対的な大きさが大きいため、ノイズの大きさを小さくしないと、使用者にノイズパターンが認識される虞がある場合には、ノイズの最大値を小さく設定する。この結果、ブロックの輝度の平均値がいずれの値であっても、その値に適した値に、ノイズの最大値を設定でき、ノイズの最大値が固定の場合よりも表示品質の高い画像表示装置1cを実現できる。
なお、上記では、平均値を算出するためのブロックが、MPEGブロックと一致している場合を例にして説明したが、これに限らず、任意の大きさのブロックの平均値を設定してもよい。ただし、MPEG映像のように、ブロック単位で符号化された映像を表示する場合は、符号化のブロックサイズと、平均値を検出するためのブロックサイズとを略同一に設定する方が望ましい。
なお、上記では、ブロックに含まれる全てのサブ画素SPIXの映像データDを平均する場合を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、ブロック内のある走査信号線GLに対応するサブ画素SPIX(i,j) など、ブロック内の一定数のサブ画素SPIXへの映像データDを平均する構成であれば、以下の不具合、すなわち、ブロック内に、周囲と大幅に異なる階調が指示されるサブ画素SPIX(i,j) が存在する場合に、当該サブ画素SPIX(i,j) への映像データD(i,j,k) を基準にして、ノイズの最大値を不適切な値に設定してしまうという不具合の発生を防止できる。
〔第5の実施形態〕
ところで、上記では、前フレーム階調補正回路37が前フレーム映像信号DAT0を常時補正する場合を例にして説明した。これに対して、本実施形態に係る変調駆動処理部21dでは、前フレーム階調補正回路37による予測値D0a(i,j,k-1) と前フレームFR(k-1) の映像データD0(i,j,k-1) との差(絶対値)が予め定められた閾値以上の場合、前フレーム階調補正回路37dが予測値D0a(i,j,k-1) を出力し、それ以外の場合には、前フレーム階調補正回路37dが前フレーム映像信号DAT0を、そのまま出力している。なお、本構成も、上記各実施形態に適用できるが、以下では、図1を参照しながら、第1の実施形態に適用した場合について説明する。
すなわち、本実施形態では、各映像データD1(i,j,k) の階調が6ビットの場合の一例として、上記閾値が2階調程度に設定されている。なお、予測精度を下げる要因としては、例えば量子化ノイズなど、種々の要因が存在するので、これらの影響に応じて、上記閾値は、2〜4階調程度に設定してもよい。
ここで、予測値と目的値(D0(i,j,k-1) )との差が小さい場合は、両者の差が大きい場合と比較して、前フレームFR(k-1) において、サブ画素SPIX(i,j) の階調は、前フレームFR(k-1) の映像データD0(i,j,k-1) が示す階調に十分近づいている。したがって、前フレーム階調補正回路37dが補正せず、変調処理部33が上記映像データD0(i,j,k-1) に基づいて、現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) を補正したとしても、白光りや黒沈みが発生する虞が少なく、仮に発生したとしても、白光りや黒沈みの程度は小さい。また、予測値と目的値との差が小さい場合は、両者の差が大きい場合よりも、予測時の誤差の相対的な大きさが大きくなる。したがって、変調処理部33によって階調遷移が強調されると、予測時の誤差による階調の変化がユーザに視認されやすい。
これに対して、予測値と目的値(D0(i,j,k-1) )との差が大きい場合は、前フレーム映像信号DAT0を補正しないと白光りや黒沈みが発生しやすい。また、予測時の相対的な誤差が小さいため、前フレーム映像信号DAT0を補正しても、予測時の誤差に起因する階調の変化がユーザに視認されにくい。
本実施形態では、予測値と目的値(D0(i,j,k-1) )との差が閾値よりも小さい場合、すなわち、前フレーム映像信号DAT0を補正しなくても、白光りや黒沈みが発生しにくく、しかも、前フレーム映像信号DAT0を補正すると、予測時に誤差が発生した場合に表示品質を低下させやすい場合に、前フレーム階調補正回路37dは、前フレーム映像信号DAT0を補正せず、前フレーム映像信号DAT0を補正しないと、白光りや黒沈みが発生する場合にのみ、前フレーム映像信号DAT0を補正する。この結果、予測時の誤差に起因する表示品質の低下を抑制しながら、白光りや黒沈みの発生を防止できる。
〔第6の実施形態〕
上記第5の実施形態では、予測値と目的値との差に基づいて、前フレーム階調補正回路37dが補正の要否を判定する構成について説明したが、本実施形態では、LUTに予め補正の要否を示す情報を書き込んでおき、前フレーム階調補正回路が当該情報を参照して、補正の要否を判定する構成について説明する。なお、本構成も、上記各実施形態に適用できるが、以下では、図1を参照しながら、第1の実施形態に適用した場合について説明する。
すなわち、本実施形態に係るLUT71eでは、図12に示すように、各領域α1・α2、すなわち、前フレーム階調補正回路37が補正せず、変調処理部33が前フレームFR(k-1) の映像データD1(i,j,k-1) に基づいて現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) を補正するとユーザに視認される程度に、映像データD1(i,j,k) と実際の階調とが相違する領域では、図9と同様の値が記憶されているが、残余の領域α3には、目標値(E)自体が記憶されている。
一方、本実施形態に係る演算回路72eは、上記両映像データD00(i,j,k-2) および映像データD0(i,j,k-1) の組み合わせ(S,E)が入力され、当該組み合わせ(S,E)が、上記計算エリアのいずれに属しているかが特定されると、当該計算エリアの四隅の到達階調A〜Dのうち、予め定められた到達階調を読み出し、当該到達階調が計算エリアの境界の階調と一致しているか否かを判定して、到達階調として目標値が記録されているか否か、すなわち、上記領域α3か否かを判定する。さらに、領域α3に属していると判定したときに、演算回路72eは、前フレーム映像信号DAT0を補正せず、領域α1およびα2に属していると判断したときにのみ、演算回路72eは、前フレーム映像信号DAT0を補正する。
したがって、第5の実施形態と同様に、白光りや黒沈みが発生せず、予測時の誤差に起因する表示品質の低下が見込まれる場合には、前フレーム映像信号DAT0を補正せず、白光りや黒沈みが発生する場合にのみ、前フレーム映像信号DAT0を補正できる。
〔第7の実施形態〕
本実施形態では、温度に応じて、前フレーム階調補正回路による補正処理を変更する構成について説明する。なお、上記第1ないし第6の実施形態のいずれにも適用できるが、以下では、第6の実施形態に適用した場合について説明する。
すなわち、本実施形態に係る変調駆動処理部21fには、図13に示すように、第6の実施形態の構成に加えて、サブ画素SPIXの温度を検出する温度センサ40が設けられており、前フレーム階調補正回路37fは、ある前々フレームの映像データD00および前フレームの映像データD0の組み合わせが入力された場合に、映像データD0を補正すべきか否かと補正後の映像データD0aとを、温度センサ40が検出した温度によって変更する。
具体的には、本実施形態に係る前フレーム階調補正回路37fには、予め定められた各温度範囲にそれぞれ対応する複数のLUT71fが設けられている。各LUT71fには、それぞれに対応する温度範囲における到達値がLUT71と同様に記憶されている。
一方、前フレーム階調補正回路37fの演算回路72fは、温度センサ40からの温度情報に応じて、各LUT71fの中から、補間演算時に参照するLUT71fを選択する。
ここで、例えば、サブ画素SPIXとして液晶素子を採用した場合、液晶素子の応答速度が温度によって変化する。このように、応答速度が温度によって変化するサブ画素SPIXを採用した場合、前フレーム階調補正回路37fが補正しなかったときに変調処理部33による現フレームの映像データD1の補正によって白光りや黒沈みが発生するか否かは、温度によって変化する。
ところが、上記構成では、温度によってサブ画素SPIXの応答速度が変化して、白光りや黒沈みを防止するために必要な補正処理が変化したとしても、前フレーム階調補正回路37fが、現在のサブ画素SPIXの温度に応じて、前フレーム映像信号DAT0を補正できるので、温度に拘らず、白光りや黒沈みの発生を防止することができる。
さらに、本実施形態に係る前フレーム階調補正回路37fは、温度が上昇して、予め定められた温度範囲になると、前フレーム映像信号DAT0の補正を停止する。したがって、温度が上昇して、サブ画素SPIX(i,j) が十分な速度で応答できるようになり、応答不足に起因する白光りや黒沈みが発生しなくなると、変調処理部33は、補正前の前フレーム映像信号DAT0と現フレームの映像信号DATとに基づいて、前フレームから現フレームへの階調遷移を強調するように、現フレームの映像信号DATを補正する。
この結果、以下の現象、すなわち、応答不足に起因する白光りや黒沈みが発生しない温度であるにも拘わらず、前フレーム階調補正回路37fによって階調遷移が抑制されるという現象が発生せず、画像表示装置1の応答速度低下を防止できる。
なお、上記では、LUT71fを切り換える場合を例にして説明したが、温度方向の変化に対しても、到達値は、単調に変化するので、演算回路72fが、現在の温度に最も近い2つのLUT71fから、それぞれの温度での到達値を読み出し、両到達値間を補間して、現在の温度での到達値を算出してもよい。当該構成では、LUT71fの数が少なくても、より高精度に白光りおよび黒沈みの発生を防止できる。
〔第8の実施形態〕
本実施形態では、温度に応じて、フレームメモリ31に記憶する前々フレームの映像データD00(i,j,k-2) のビット幅および前フレームの映像データD0(i,j,k-1) のビット幅を変更する構成について説明する。なお、上記第1ないし第7の実施形態のいずれにも適用できるが、以下では、第7の実施形態に適用した場合について説明する。
すなわち、本実施形態に係る変調駆動処理部21gでは、図13に示すように、制御回路32gが温度センサ40の検出結果に応じて、フレームメモリ31に記憶する前々フレームの映像データD00(i,j,k-2) のビット幅および前フレームの映像データD0(i,j,k-1) のビット幅を変更し、より低い温度範囲になるに従って、前々フレームの映像データD00(i,j,k-2) のビット幅を拡大すると共に、ビット幅の増大分だけ、前フレームの映像データD0(i,j,k-1) のビット幅を縮小している。なお、上記制御回路32gおよび後述の制御回路32iが特許請求の範囲に記載のビット幅制御手段に対応している。
ここで、フレームメモリ31の記憶容量を削減するために、フレームメモリ31に記憶されている上記両映像データD00(i,j,k-2) およびD0(i,j,k-1) のビット幅の合計は、予め定められたビット幅(例えば、10ビット)に制限されており、各映像データD00(i,j,k-2) およびD0(i,j,k-1) のビット幅は、最も的確に前フレームの映像データD0(i,j,k-1) を補正できるように設定されている。一方、サブ画素SPIX(i,j) の応答速度が遅くなるに従って、前々フレームから前フレームへの階調遷移によって、サブ画素SPIX(i,j) が到達する階調は、前々フレームの映像データの影響を受けやすくなるので、温度が変化すると、各映像データD00(i,j,k-2) およびD0(i,j,k-1) のビット幅の最適な割り当ても変化してしまう。
本実施形態に係る前フレーム階調補正回路37gは、温度によってサブ画素SPIXの応答速度が変化して、最適なビット割り当てが変化すると、現在のサブ画素SPIXの温度に応じて、両映像データD00(i,j,k-2) およびD0(i,j,k-1) のビット幅の割り当てを変更し、より低い温度範囲になるに従って、前々フレームの映像データD00(i,j,k-2) のビット幅を拡大する。この結果、温度変化に拘らず、それぞれのビット幅の割り当てを適切な状態に保つことができ、映像データD0(i,j,k-1) をより高精度に補正できる。したがって、より的確に白光りや黒沈みの発生を防止できる。
例えば、前々および前フレームの映像データのビット幅の合計値が上述の数値例のように、10ビットとすると、通常の温度範囲では、前々フレームの映像データD00(i,j,k-2) のビット幅が4ビットに設定され、それよりも低い温度になると、5ビットに変更される。
〔第9の実施形態〕
ところで、上記各実施形態では、LUT71(71e・71f)に到達値が記憶されている場合を例にして説明したが、これに限るものではない。上述したように、白光りの発生が最も表示品質を低下させやすいので、白光りの発生を確実に防止できるように、LUT71に到達値よりも大きな階調が記述されており、前フレーム階調補正回路37(37〜37f)は、前フレーム映像信号DAT0の補正が必要な場合に、到達値よりも大きな階調に補正してもよい。
当該構成では、到達値を記述する場合よりも前フレームから現フレームへの階調遷移強調を抑えることができるので、白光りの発生を確実に防止できる。
さらに、前フレーム階調補正回路による補正処理を映像の種類に応じて変更してもよい。なお、上記第1ないし第8の実施形態のいずれにも適用できるが、以下では、第6の実施形態に適用した場合について説明する。
具体的には、本実施形態に係る変調駆動処理部21hには、図14に示すように、第6の実施形態の構成に加えて、映像の種類を判定する判定回路41が設けられており、前フレーム階調補正回路37hは、ある前々フレームの映像データD00および前フレームの映像データD0の組み合わせが入力された場合に、映像データD0を補正すべきか否かと補正後の映像データD0aとを、判定回路41による判定結果によって変更する。
具体的には、本実施形態に係る前フレーム階調補正回路37hには、予め定められた各温度範囲にそれぞれ対応する複数のLUT71hが設けられている。各LUT71hには、それぞれに対応する種類の映像が入力された場合の到達値がLUT71と同様に記憶されている。一方、前フレーム階調補正回路37hの演算回路72hは、判定回路41からの情報に応じて、各LUT71hの中から、補間演算時に参照するLUT71hを選択する。
ここで、上述したように、前フレーム階調補正回路37hは、前フレーム映像信号DAT0の補正が必要な場合に、到達値よりも大きな階調に補正する場合、補正値を到達値よりも大きくし過ぎると、白光りの発生を確実に防止できる一方で、応答速度が低下してしまう。したがって、補正値と到達値との差は、応答速度低下が目立たない範囲で、白光りの発生を抑制できるように設定されている。ところが、両者の差の適切な値は、映像の種類によっても異なるため、両者の差が固定されている場合、多くの種類の映像が入力される場合には、全ての種類の映像で適切な値に設定することが難しい。
これに対して、本実施形態に係る変調駆動処理部21hでは、補正値と到達値との差が映像の種類に応じて変更される。したがって、例えば、動きのはやい映像と動きの遅い映像となど、いずれの種類の映像が入力される場合であっても、応答速度低下が目立たない範囲で、白光りの発生を抑制できる。
さらに、本実施形態に係る前フレーム階調補正回路37hは、映像の種類が動きの遅い映像であることを示しており、前フレーム階調補正回路37hが前フレーム映像信号DAT0を補正しなくても、応答不足に起因する白光りや黒沈みが発生しないと見込まれる場合、前フレーム映像信号DAT0の補正を停止する。この結果、以下の現象、すなわち、動きが遅く、応答不足に起因する白光りや黒沈みが発生しないような映像を表示しているにも拘わらず、前フレーム階調補正回路37hによって階調遷移が抑制されるという現象が発生せず、画像表示装置1の応答速度低下を防止できる。
〔第10の実施形態〕
本実施形態では、映像の種類に応じて、フレームメモリ31に記憶する前々フレームの映像データD00(i,j,k-2) のビット幅および前フレームの映像データD0(i,j,k-1) のビット幅を変更する構成について説明する。なお、上記第1ないし第9の実施形態のいずれにも適用できるが、以下では、第7の実施形態に適用した場合について説明する。
すなわち、本実施形態に係る変調駆動処理部21iでは、図14に示すように、制御回路32iが判定回路41の検出結果に応じて、フレームメモリ31に記憶する前々フレームの映像データD00(i,j,k-2) のビット幅および前フレームの映像データD0(i,j,k-1) のビット幅を変更し、映像の種類がより動きの速い映像の場合は、前々フレームの映像データD00(i,j,k-2) のビット幅をより拡大すると共に、ビット幅の増大分だけ、前フレームの映像データD0(i,j,k-1) のビット幅を縮小している。
ここで、フレームメモリ31の記憶容量を削減するために、フレームメモリ31に記憶されている上記両映像データD00(i,j,k-2) およびD0(i,j,k-1) のビット幅の合計は、予め定められたビット幅(例えば、10ビット)に制限されており、各映像データD00(i,j,k-2) およびD0(i,j,k-1) のビット幅は、最も的確に前フレームの映像データD0(i,j,k-1) を補正できるように設定されている。一方、前々フレームから前フレームへの階調遷移によって、サブ画素SPIX(i,j) が到達する階調は、動きの速い映像が入力される場合の方が、前々フレームの映像データの影響を受けやすい。したがって、映像の種類が変化して、期待される動きの速さが変化すると、各映像データD00(i,j,k-2) およびD0(i,j,k-1) のビット幅の最適な割り当ても変化してしまう。
本実施形態に係る前フレーム階調補正回路37iは、映像の種類が変化して、最適なビット割り当てが変化すると、現在の映像の種類に応じて、両映像データD00(i,j,k-2) およびD0(i,j,k-1) のビット幅の割り当てを変更し、映像の種類がより動きの速い映像の場合は、前々フレームの映像データD00(i,j,k-2) のビット幅を拡大する。この結果、映像の種類に拘らず、それぞれのビット幅の割り当てを適切な状態に保つことができ、映像データD0(i,j,k-1) をより高精度に補正できる。したがって、より的確に白光りや黒沈みの発生を防止できる。
〔第11の実施形態〕
以下の各実施形態では、最小の階調への階調遷移の場合であっても、画素の応答速度を向上可能な構成について説明する。
より詳細には、図15に示すように、本実施形態に係る変調駆動処理部21jには、R用の回路として、Rのサブ画素SPIXへの映像データの1フレーム分を次のフレームまで記憶するフレームメモリ(記憶手段)131と、現フレームFR(k) の映像データをフレームメモリ131へ書き込むと共に、フレームメモリ131から前フレームFR(k-1) の映像データD0(i,j,k-1) を読み出し、前フレーム映像信号DAT0として出力するメモリ制御回路132と、現フレームから前フレームへの階調遷移を強調するように、上記現フレームFR(k) の映像データを補正し、補正後の映像データD2(i,j,k) を補正映像信号DAT2として出力する変調処理部(補正手段)133とを備えている。
さらに、本実施形態に係る画素アレイ2j(図2参照)は、入力端子T1へ入力される各サブ画素SPIXへの映像データDのγよりも大きなγ特性を持つように設定されており、上記変調駆動処理部21jには、入力端子T1へ入力される各サブ画素SPIXへの映像データDをγ変換して、より大きなγ特性を持った表示デバイスへ表示するための映像データDaに変換するγ変換回路141と、上記映像データDaが取り得る数値範囲を圧縮して、当該映像データDaと同じビット幅で、しかも、映像データDaの黒レベルよりも低い値、および、映像データDaの白レベルよりも高い値を表現可能な映像データDbを生成する階調変換回路142と、当該映像データDbにノイズ生成回路(ノイズ生成手段)144が生成したノイズを加算して出力するノイズ付加回路143と、ノイズ付加回路143が出力する各映像データの下位ビットを切り捨てて、映像データのビット幅を縮小する切り捨て回路145とを含むBDE(Bit-Depth Extension )回路が設けられており、切り捨て回路145の出力する映像データD1(i,j,k) は、現フレームFR(k) の映像データとして、変調処理部133およびメモリ制御回路132へ入力される。なお、上記γ変換回路141および階調変換回路142が特許請求の範囲に記載の階調変換手段に対応し、ノイズ付加回路143および切り捨て回路145がノイズ付加手段に対応する。また、本実施形態では、サブ画素SPIX(1,j) 、(4,j) …がRを表示するので、入力端子T1には、映像データD(1,j,k) 、D(4,j,k) …が入力されている。
本実施形態では、上記入力端子T1には、一般的な映像信号として、γ=2.2の特性を持った表示デバイスへ表示するための映像データDが入力されており、上記画素アレイ2jのγ特性は、γ=2.8に設定されている。また、上記γ変換回路141は、当該画素アレイ2jのγ特性と同じ特性の映像データDa、すなわち、γ=2.8の特性を持った表示デバイスへ表示するための映像データDaを生成する。また、本実施形態に係るγ変換回路141は、γ変換に起因する誤差の発生を抑制するために、映像データDをより広いビット幅の映像データDaに変換している。例えば、上記入力端子T1には、一般的な映像信号として、各色毎に8ビットの映像信号が入力されており、上記γ変換回路141は、8ビットの映像データDを10ビットの映像データDaに変換する。
さらに、上記階調変換回路142は、図16に示すように、上記映像データDaが取り得る数値範囲A1を圧縮して、当該数値範囲よりも狭い数値範囲A2に変換する。また、当該数値範囲A2、すなわち、階調L11〜L12までの範囲は、映像データDbが階調L10〜L13を表現できるとするとき、L10<L11、かつ、L12<L13になるように設定されている。本実施形態では、両映像データDa・Dbがそれぞれ10ビットであり、L1=L10=0、L2=L13=1023であり、上記値L11およびL12は、例えば、79および1013に設定されている。なお、上記映像データDaでは、最小の階調(L1)が黒を示しており、最大の階調(L2)が白を示している。
一方、上記ノイズ生成回路144は、平均値が0であり、画素アレイ2jへ表示される映像に擬似輪郭が発生しない程度にランダムなノイズを出力している。また、ノイズデータの最大値が大き過ぎると、ノイズパターンが画像表示装置1jの使用者に認識される虞があるので、上記ノイズの最大値は、ノイズパターンが認識されない程度に設定されている。
本実施形態では、ノイズ付加回路143へ入力される各サブ画素SPIX(i,j) への映像データDb(i,j,k) は、10ビットで表現されており、ノイズデータの大きさは、±7ビット以内に設定されている。なお、上記ノイズ生成回路144は、生成するノイズの大きさを除けば、第1の実施形態に係るノイズ生成回路35と同じ構成なので、説明を省略する。
また、上記切り捨て回路145は、ノイズ生成回路144の出力する10ビットの映像データから、下位2ビットを切り捨て、8ビットの映像データD1(i,j,k) として出力する。これに伴ない、上記フレームメモリ131において、現フレームFR(k) の各映像データD1(i,j,k) を記憶するための記憶領域は、1つの映像データD1(i,j,k) あたり、8ビットに設定されている。
これにより、画素アレイ2jへ表示される映像にノイズパターンも擬似輪郭も発生せず、切り捨て前の映像データDを表示した場合と見かけ上相違していないにも拘わらず、切り捨て回路145以降の回路で処理される映像データのビット数を削減できる。
ここで、付加されたノイズは、画像表示装置1jの使用者によって、観察している階調が周囲の画素とどの程度異なっているか(変動率)、および、目指す輝度とどの程度異なっているか(誤差)として認識される。一般に、画像表示装置1のように、100ppiを基準にして絵作りする分野では、上記誤差の許容限界は、白輝度の5%程度であり、上記変動率の許容限界は、表示階調の5%程度であることが知られている。
サブ画素SPIXへの階調をx階調だけ増加したときに、画素の透過率が、周囲の輝度(階調を増加する前の透過率)を基準に何%だけ増加するかを計算したところ、画素アレイ2jのγ特性がγ=2.8であり、映像データDbが10ビットで表現される場合、xが32〜48階調であれば、殆どの階調で上記変動率が上記許容限界に収まることが確認できた。同様に、画素の表示階調をx階調だけ増加したときに、本来の透過率(階調を増加する前の透過率)を基準に何%だけ増加するかとを計算したところ、画素アレイ2jのγ特性がγ=2.8であり、映像データDbが10ビットで表現される場合、xが32〜48階調であれば、殆どの階調で上記変動率が上記許容限界に収まることが確認できた。この結果、32〜48階調のノイズであれば、殆どの階調で上記許容限界を下回り、使用者に見かけ上表示品質が劣化していないと感じさせることができる。
したがって、1つの画素を単独で視認できない距離で見ることが想定されている場合、2〜3画素(6〜9サブ画素)の間で、上記変動率および誤差が5%を下回るように設定すればよい。ここで、上記ノイズデータが略正規分布であるとすると、32〜48〔階調〕×6(1/2) 〜9(1/2) =80〜144〔階調〕となる。したがって、7ビット程度、すなわち、映像データDbよりも3ビット程度少ないビット幅で時系列的に固定のノイズを付加しても、ノイズパターンが画像表示装置の使用者に視認される虞はない。
ここで、一般には、画素サイズが大きくなっても、観察距離は、それに比例する程には増大しないことが多いので、画素サイズが大きくなる程、ノイズデータの許容レベルが小さくなる。したがって、1〜144階調(7ビット以内)という数値範囲の中でも、上記ノイズデータの絶対値の最大値として、多くの画像表示装置1で好ましく使用される数値範囲は、48〜80階調の範囲であり、さらに好ましくは、63階調(6ビット)に設定する方が望ましい。
上記構成では、変調処理部133が前フレームFR(k-1) から現フレームFR(k) への階調遷移を強調するように、現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) を補正しているので、サブ画素SPIXの応答速度を向上できる。
加えて、上記構成では、画素アレイ2jは、入力端子T1へ入力される映像データDよりも大きなγ特性を持つように設定されており、入力端子T1へ入力された映像データDは、γ変換回路141によって、より大きなγ特性の映像データDaへ変換され、さらに、階調変換回路142によって、映像データDaの黒レベルよりも低い値を表現可能な映像データDbに階調変換された後、変調処理部133によって、前フレームから現フレームへの階調遷移が強調される。
当該構成では、γ変換によって、図17に示すように、サブ画素SPIXがその階調を表示する際に黒く潰れる階調がより多くなっており、さらに、階調変換によって、それらの階調中の予め定められた階調(図16に示す階調L10〜L11)を映像データDの黒レベルよりも低い階調に割り当てている。
言い換えると、本実施形態では、少なくとも表示階調領域におけるγ特性は、入力されている映像データのγ特性よりも大きく設定されている。さらに、好ましくは、本実施形態では、低階調の階調遷移強調用の領域も含めて、γ特性がより大きく設定されている。
したがって、変調処理部133は、これらの階調L10〜L11、すなわち、階調遷移強調しなかったときの黒レベルよりも低い階調L10〜L11を、階調遷移強調のために使用できる。この結果、階調遷移を強調しなかったときの黒レベルを示す補正映像データD2と、階調を減少させる方向に最も階調遷移を強調したときの補正映像データD2とが一致する構成と比較して、階調を減少させる方向に、より強く階調遷移を強調でき、サブ画素SPIXの応答速度を向上させることができる。
ここで、本実施形態のように、垂直配向モードの液晶セルをノーマリブラックモードで使用している場合、階調が大きくなる方向へ階調遷移する際(ライズの階調遷移)、液晶分子は、画素電極へ印加される電圧によって形成される傾斜電界によって、液晶セルの基板に平行な方向から傾斜する方向に傾斜される。一方、階調が小さくなる方向へ階調遷移する際(ディケイの階調遷移)の場合は、基板に形成された垂直配向膜による垂直方向への規制力によって、液晶分子を垂直方向に復帰させている。したがって、上記液晶セルを使用した場合は、ライズ方向の階調遷移に対して、ディケイの階調遷移の方が遅くなりやすい。
ところが、上記構成の変調駆動処理部21jは、ディケイの階調遷移をより強調できるため、ディケイの応答速度をさらに短縮できる。この結果、このような液晶セルを用いた場合であっても、十分な応答速度を持った画像表示装置1jを実現できる。
特に、低温時には、液晶の応答速度が遅くなるので、ディケイの階調遷移の遅れがさらに目立ちやすくなるが、上記構成の変調駆動処理部21jは、ディケイの階調遷移時の応答速度を短縮できるので、低温での使用も想定される用途で特に好適に使用できる。
また、本実施形態では、フレームメモリ131の前段に、ノイズ付加回路143および切り捨て回路145を含むBDE回路が設けられているので、画素アレイ2jに表示される映像の表示品質を、見かけ上、低下させることなく、上記フレームメモリ131へ格納される映像データD1(i,j,k) のデータ量を削減できる。
本実施形態では、ノイズ付加回路143へ入力される映像データDbのビット幅が10ビットであるにも拘わらず、フレームメモリ131に格納される映像データD1(i,j,k) のビット幅が8ビットにまで削減されている。これにより、フレームメモリ131に必要なメモリ容量を削減できる。また、切り捨て回路145以降の回路、すなわち、メモリ制御回路132、前フレーム階調補正回路137、変調処理部133、図2に示す制御回路12、データ信号線駆動回路3において、映像データのビット幅が10ビットから8ビットに削減されているので、それぞれを接続するための配線の数および占有面積も4/5に削減でき、それらの回路での演算量も削減できる。
なお、映像データは、比較的高速に伝送する必要があるため、比較的遅い回路で、映像データを伝送するためには、複数の回路を並列に設けて交互に動作させる必要があり、映像データのビット数が増大すると、回路の占有面積が増大してしまう。ところが、上記構成では、ビット幅が4/5に削減されているので、10ビットの場合と比較して、並列に動作する回路を設ける場合であっても、回路の占有面積の増大量を抑えることができる。
また、上記構成では、フレームメモリ131および変調処理部133の前段に、ノイズ付加回路143および切り捨て回路145を含むBDE回路が設けられている。したがって、BDE回路が変調処理部133の後段に設けられている場合と異なり、以下の不具合、すなわち、変調処理部133が白光りの発生しない範囲で、できる限り階調遷移を強調した後、BDE回路がノイズを付加した結果、白光りが視認されるという不具合が発生しない。この結果、ノイズ付加と階調遷移の強調とを併用しているにも拘わらず、白光りの発生を防止できる。
以下では、図28および図29を参照し、いくつかの比較例と比較しながら、上記効果について、より詳細に説明する。
まず、第1の比較例として、各部材141〜145を省略し、しかも、入力されている映像データのγ特性と同じγ特性の画素アレイ2が使用されている構成では、図28中、DATA1に示すように、入力端子T1へ入力される、8ビットの映像データD(第1階調データ)が、そのままメモリ制御回路132および変調処理部133へ入力される。
この場合、DATA1には、フル階調に近い大きな階調遷移(例えば、白と黒との間の階調遷移など)を強調するための余裕が設けられていないため、変調処理部133は、フル階調に近い大きな階調遷移を充分には強調できない。この結果、画素アレイ2に表示される階調の中には、階調遷移の強調が充分ではなく、サブ画素の応答速度を充分には短縮できない領域Rb1・Rc1が発生してしまう。
次に、第2の比較例として、図中、DATA2に示すように、階調変換回路142のみを設け、入力されている映像データDを、映像データDよりも狭い領域Ra2に割り当てて出力する構成では、以下のような不具合が発生する虞がある。
より詳細には、変換後の領域Ra2を、以下のように、すなわち、当該領域Ra2内であれば、変調処理部133による階調遷移強調によって、入力される映像データDの範囲全てについて、サブ画素の応答速度を向上可能な領域に設定することによって、いずれの映像データDが入力された場合でも、サブ画素SPIXを充分な応答速度で応答させることができる。
言い換えると、変換後の領域Ra2が、DATA2に割り当てられたビット幅(この例では、8ビット)で表現可能な領域よりも制限されており、残余の領域Rb2・Rc2が設けられている。したがって、変調処理部133は、上記領域Ra2内の階調から、領域Ra2内の階調への階調遷移を強調する際、当該領域Rb2・Rc2を用いて階調遷移を強調できる。この結果、フル階調に近い階調遷移(例えば、領域Ra2の上限と下限との間の階調遷移など)であったとしても、領域Rb2・Rc2を用いて階調遷移を強調でき、サブ画素SPIXを充分な応答速度で応答させることができる。
ところが、この構成では、階調変換回路142が出力する階調(領域Ra2内の階調)が、映像データDのビット幅(この例では、8ビット)で表現可能な階調の数よりも少なくなってしまうので、表示品位(階調数、色数)が低下してしまう。
次に、第3の比較例として、図中、DATA3に示すように、階調変換回路142の前段にビット幅変更回路(図示せず)を設け、ビット幅変更回路が、それに入力される映像データDのビット幅を広げて(例えば、8ビットから10ビットに広げて)出力する構成では、以下のような不具合が発生する虞がある。
より詳細には、当該構成では、階調変換回路142が入力される映像データDを変換することによって出力される階調の領域Ra3は、ビット幅が広げられた後のデータによって表現可能な領域から、残余の領域Rb3およびR3cが除かれた領域であるにも拘わらず、当該領域Ra3によって表現可能な階調の数は、入力される映像データDが取り得る階調の数(この例では、256階調)を大きく上回っている。したがって、第2の比較例とは異なって、表示品位の低下を抑制できる。
ただし、当該構成であっても、低階調側に充分な数の階調を確保できないと、重大な表示エラーが発生する虞がある。より詳細には、人間の視覚は、光のエネルギー(輝度)に対して、対数的な感度スケールを持つため、暗い情報ほど、変換に対して敏感である。言い換えると、相対的に暗い領域では、僅かな誤差があっても、人間に異常な映像として検知されてしまう。したがって、低階調側に充分な階調を確保できないと、表示エラーが発生してしまう。この結果、変調処理部133の階調遷移強調のために確保可能な領域の大きさ(Rb3の大きさ)を充分に広く確保することが難しく、応答速度の向上と表示品質の低下抑制とを両立させることが難しい。特に、本実施形態のように、ノイズ付加回路143〜切り捨て回路145を設けた構成では、ノイズ付加によって、ある程度の誤差が入ることは避けられない。したがって、相対的に明るい領域(高階調側)では、当該誤差が見過ごされたとしても、低階調側に充分な階調を確保しないと、上記表示エラーによって、表示品質を大幅に低下させる虞がある。
一方、第4の比較例として、図中、DATA4に示すように、画素アレイ2jのγ特性をより大きな値(例えば、2.8)に設定し、階調変換回路142の前段にγ変換回路141を設けた構成では、表示品質を損なうことなく、サブ画素SPIXの応答速度を向上できる一方で、以下の不具合、すなわち、階調変換回路142の後段の回路が処理する必要のある映像データのビット幅が大きくなってしまうという不具合が発生する虞がある。
より詳細に説明すると、上記構成では、第3の比較例と比較して、γ変換によって、低階調側により多くの階調数を割り当てることができる。例えば、図17および図29に示すように、γ=2.2の場合に比べて、γ=2.8の場合の方が、低階調側が拡大されている。ここで、コントラスト比を500確保できるように、透過率=0.002となる階調を黒レベルとすると、図29に示すように、黒近傍(透過率が0.002〜0.006)を表現可能な階調の個数は、γ=2.2の場合で、40個、γ=2.8の場合で、52個になる。したがって、γが大きくなるように階調変換することによって、変調駆動処理部21jは、低階調において、より正確に入力を表した輝度の階調を選ぶことができる。
また、透過率=0.002となる階調を黒レベルとすると、図29に示すように、黒レベルよりも下の階調の個数は、γ=2.2の場合で、62個、γ=2.8の場合で、112個になる。したがって、γが大きくなるように階調変換することによって、変調駆動処理部21jは、低階調において、より確実に階調遷移を強調でき、サブ画素SPIXの応答速度をより確実に向上できる。
なお、上記では、透過率=0.002になる階調を黒レベルに設定する場合を例にして説明したが、静止画表示を重視する場合には、より透過率が低い階調を黒レベルに設定して、黒近傍の階調の個数を増加させればよい。これとは逆に、動画表示を重視する場合には、より透過率の大きな階調を黒レベルに設定して、黒レベルよりも下の階調の個数を増加させればよい。いずれの場合であっても、γが大きくなるように階調変換することによって、変調処理部133の階調遷移強調のために確保可能な領域の大きさ(Rb4の大きさ)を充分に広く確保できる。したがって、上記表示エラーの発生を抑えることができ、応答速度の向上と表示品質の低下抑制とを両立させることができる。なお、図中、Rc4は、高階調側に設けられた階調遷移強調用の領域である。
ただし、上記第4の比較例の構成では、本実施形態と異なり、ノイズ付加回路143〜切り捨て回路145が設けられていないので、階調変換回路142以降の回路が、拡張されたビット幅のデータ(例えば、10ビット幅)を処理する必要がある。したがって、フレームメモリ131に、より多くの記憶容量を必要とする。さらに、より広いビット幅(例えば、10ビット)の映像データを表示できるように画素アレイ2jを構成する必要があるので、ドライバICなどのコストが増加してしまう。
これに対して、本実施形態に係る変調駆動処理部21jには、階調変換回路142の後段に、ノイズ付加回路143〜切り捨て回路145が設けられているので、第4の比較例と比較して、階調変換回路142以降の回路が処理すべき映像信号のビット幅を削減できる。また、上述したように、ノイズを付加した後、下位ビットを丸めて、映像データD1を生成している。したがって、ビット幅が削減されているにも拘わらず、ノイズを付加せずに下位ビットを単に切り捨てた構成とは異なり、擬似輪郭の発生を抑制でき、拡張されたビット幅のデータ(例えば、10ビット幅)を表示する場合と見かけ上相違しない程度に、表示品質を保つことができる。なお、図中、Rb5・Rc5は、低階調側および高階調側に設けられた階調遷移強調用の領域である。
以下では、垂直配向モードの液晶セルをノーマリブラックモードで使用している場合を例にしながら、応答速度の向上について、より詳細に説明する。すなわち、典型的な上記液晶セルは、例えば、図18に示すような電圧−透過率特性を持っており、白レベルを表示する際に印加される電圧(白電圧)は、例えば、7.5〔V〕程度に設定される。
ここで、黒電圧を0〔V〕に設定すると、1000以上のコントラストを確保できる一方で、各階調に応じた電圧を生成するために使用される抵抗網の設計が面倒になる。したがって、一般のテレビジョン用途のように、500程度のコントラストを確保できればよい用途では、黒電圧は、0.6〔V〕〜1.1〔V〕程度に設定されている。
比較例として、上記γ変換回路141および階調変換回路142による変換を行わず、γ=2.2に設定された画素アレイが、γ=2.2の映像データDを、そのまま表示する構成では、当該画素アレイのデータ信号線駆動回路における階調−電圧特性は、図19に示すように設定される。なお、上述したように、黒レベルを引き下げると、抵抗網の設計が面倒になるため、γ=2.2の場合は、図19に示すように、黒電圧が1.1〔V〕に設定されている。
一方、本実施形態に係る画素アレイ2jは、γ=2.8に設定されており、データ信号線駆動回路3における階調−電圧特性は、図20に示すように設定されている。ここで、上記画素アレイ2jは、γ=2.8なので、γ=2.2の場合と比較して余り設計時の手間をかけることなく黒電圧を低く設定できる。したがって、図20の例では、データ信号線駆動回路3が印加可能な最も低い電圧は、例えば、0.8〔V〕に設定されている。なお、この場合、900程度のコントラストを確保できている。
また、本実施形態に係るγ変換回路141および階調変換回路142は、図21に示すように、映像データDを映像データDbに変換しており、上記データ信号線駆動回路3は、各映像データDbに対応して、図21に示す電圧を印加している。
このように、本実施形態では、静止画を表示している場合のように、変調処理部133が現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) をそのまま出力している場合、映像データD(i,j,k) が黒レベルを示しているときに、階調変換回路142が出力する映像データDb(i,j,k) は、79階調になり、データ信号線駆動回路3がサブ画素SPIX(i,j) へ印加する電圧は、1.09〔V〕になる。一方、ディケイの階調遷移時に最も階調遷移を強調しようとして、変調処理部133が0階調の補正映像データD2(i,j,k) を出力した場合、データ信号線駆動回路3は、0.8〔V〕の電圧をサブ画素SPIX(i,j) へ印加する。このように、階調遷移強調時において、階調遷移を強調しない場合の黒電圧よりも、低い電圧を印加できるので、サブ画素SPIX(i,j) の応答速度を向上できる。
同様に、本実施形態では、変調処理部133が現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) をそのまま出力している場合、映像データD(i,j,k) が白レベルを示しているときに、階調変換回路142が出力する映像データDb(i,j,k) は、1013階調になり、データ信号線駆動回路3がサブ画素SPIX(i,j) へ印加する電圧は、6.5〔V〕になる。一方、ライズの階調遷移時に最も階調遷移を強調しようとして、変調処理部133が最大階調の補正映像データD2(i,j,k) を出力した場合、データ信号線駆動回路3は、7.5〔V〕の電圧をサブ画素SPIX(i,j) へ印加する。このように、階調遷移強調時において、階調遷移を強調しない場合の白電圧よりも、高い電圧を印加できるので、サブ画素SPIX(i,j) の応答速度を向上できる。
一例として、前フレームFR(k-1) から現フレームFR(k) において、映像データDが0階調から255階調へ変化すると、図21に示すように、上記比較例の構成では、0階調から255階調への遷移がフル階調であり、それ以上階調遷移を強調できないため、データ信号線駆動回路へ与えられる補正映像データD2(i,j,k-1) ・D2(i,j,k) が、それぞれ0階調および255階調になり、サブ画素SPIX(i,j) へ印加される電圧は、1.1〔V〕から7.5〔V〕へと変化する。したがって、図22中、破線に示すように、サブ画素SPIX(i,j) の輝度が白レベルの輝度に到達するまでには、ステップ応答特性により、3フレーム程度(0.03sec程度)必要になる。なお、ステップ応答とは、液晶の応答に伴って液晶層の電気容量が変化することにより、液晶に印加される電位の変位が縮小され、結果的に応答が遅く観察される現象であって、当該現象は、純粋に電気的な現象なので、温度が高い時でも観察される。
これに対して、本実施形態では、図21に示すように、階調変換回路142が出力する映像データDb(i,j,k-1) ・Db(i,j,k) は、それぞれ、79階調および1013階調になる。したがって、変調処理部133は、例えば、現フレームFR(k) の補正映像データD2(i,j,k) を1023階調に相当する階調へ変更するなどして、何ら支障なく、階調遷移を強調できる。これにより、図22中、実線で示すように、サブ画素SPIX(i,j) の輝度は、1フレーム(16.7msec)以内に、白レベルに到達できる。
ところで、液晶表示装置の場合、波長が異なると、同じ電圧を液晶セルの画素電極へ印加したとしても透過率が異なってしまう。したがって、R,G,Bの各サブ画素SPIXを互いに同じ輝度にするために、各サブ画素SPIXへ印加すべき電圧も互いに異なっている。ここで、補正映像データD2(i,j,*) と各サブ画素SPIX(i,j) へ印加する電圧との対応関係が、R,G,Bのそれぞれで異なるように、画素アレイ2jのデータ信号線駆動回路3を構成すると、データ信号線駆動回路3の回路構成が複雑になってしまう。
ところが、本実施形態では、上記γ変換回路141および階調変換回路142による階調変換が、互いに異なる変換に設定されている。したがって、画素アレイ2jのデータ信号線駆動回路3において、補正映像データD2(i,j,*) と各サブ画素SPIX(i,j) へ印加する電圧との対応関係が各色間で共通に設定されているにも拘わらず、それぞれのγ変換回路141および階調変換回路142が、R,G,Bのそれぞれに適切に階調を変換することによって、それぞれの色のサブ画素SPIXの輝度を正しく設定できる。
このように、本実施形態では、γ変換回路141は、入力端子T1へ入力される各サブ画素への映像データをγ変換して、より大きなγ特性を持った表示デバイスへ表示するための映像データDa(i,j,k) に変換する。さらに、階調変換回路142は、上記映像データDa(i,j,k) が取り得る数値範囲を圧縮して、当該映像データDa(i,j,k) と同じビット幅で、しかも、映像データDa(i,j,k) の黒レベルよりも低い値を表現可能な映像データDb(i,j,k) を生成する。当該映像データDb(i,j,k) は、ノイズが付された後、下位ビットが切り捨てられて、映像データD1(i,j,k) になる。さらに、変調処理部133は、前回から今回への階調遷移を強調するように、映像データD1(i,j,k) を補正する。これにより、最小の階調への階調遷移が要求されている場合であっても、画素の応答速度を向上可能な画像表示装置の駆動装置を実現できる。
〔第12の実施形態〕
本実施形態に係る変調駆動処理部21kには、図23に示すように、第11の実施形態の構成に加え、切り捨て回路145とフレームメモリ131および変調処理部133との間に、第2の実施形態のFRC回路38と同様のFRC回路146が配置されている。
上記FRC回路146は、第2の実施形態と同様に、切り捨て回路145の出力する映像データの最下位のビットを、映像データD(i,j,k) に応じて、予め定められたパターンで変化させた後、映像データD1(i,j,k) として出力している。上記パターンは、切り捨て回路146によって切り捨てられたビットの値とパターンの平均値とが一致するように設定されている。
上記構成では、第2の実施形態と同様に、FRC回路146によって、切り捨て回路145の切り捨てたビットの値とパターンの平均値とが一致するようなパターンで、映像データD1(i,j,k) の最下位ビットが変化する。したがって、サブ画素SPIX(i,j) の輝度の平均値を、切り捨て回路145によって切り捨てられる前の映像データが示す輝度と一致させることができる。
なお、サブ画素SPIX(i,j) の応答速度が遅く、サブ画素SPIX(i,j) が補正映像データD2(i,j,k) の変動に追従して輝度を変更できない場合、サブ画素SPIX(i,j) の輝度の平均値は、上記所望の値にならないが、本実施形態に係る変調駆動処理部21kでは、FRC回路146によって変更されるビットが映像データD1(i,j,k) の最下位ビットであり、変調処理部133が前フレームFR(k-1) から現フレームFR(k) への階調遷移を強調している。したがって、変調駆動処理部21kは、何ら支障なく、サブ画素SPIX(i,j) の輝度の平均値を上記所望の値に設定できる。
ここで、各サブ画素SPIX(i,j) の占有面積が極めて小さく、空間分解能および輝度分解能が、人間の視覚の限界近く、あるいは、限界以上に高い範囲に設定されている画素アレイ2jの場合、すなわち、画素の1つ1つを視認できない距離で見ることが想定されている画素アレイ2jの場合、ノイズ付加回路143によって、映像データD(i,j,k) よりも3ビット程度狭いビット幅で時系列的に固定のノイズを付加しても、ノイズパターンが画像表示装置の使用者に視認される虞はない。このような画像表示装置としては、例えば、15インチのXGA(eXtended Graphic Arrauy )ディスプレイなどが挙げられ、この場合のサブ画素SPIX(i,j) の間隔(精細度)は、300μm程度に設定されている。
ところが、画素アレイ2jの空間分解能および輝度分解能が上記範囲を下回ると、時系列的に固定のノイズを付加する構成では、画素アレイ2jが表示している映像が特定の状況(例えば、特定の明るさや特定の動き)にあるときに、ノイズパターンが画像表示装置1kの使用者に視認される虞がある。このような画像表示装置としては、例えば、15インチのVGAディスプレイなどが挙げられる。
これに対して、本実施形態に係る変調駆動処理部21kでは、FRC回路146が映像データD1(i,j,k) の最下位ビットを変更している。したがって、このような画像表示装置に適用した場合であっても、使用者によるノイズパターンの視認を妨害でき、時系列的に固定のノイズを付加する場合と比較して、画像表示装置1kの見かけ上の表示品質を向上できる。
〔第13の実施形態〕
ところで、上記第11および第12の実施形態では、ノイズ付加回路143が映像データD(i,j,*) へ付加するノイズが時系列的に固定されており、あるサブ画素SPIX(i,j) への映像データD(i,j,*) には、常時同一の値のノイズが付加される場合について説明した。これに対して、本実施形態では、第3の実施形態と同様に、ノイズ付加回路143が映像データD(i,j,*) へ付加するノイズを時系列的に変化する構成について説明する。なお、当該構成は、第11および第12の実施形態のいずれにも適用できるが、以下では、図15を参照しながら、第11の実施形態に適用した場合について説明する。
すなわち、本実施形態に係る変調駆動処理部21mでは、ノイズ生成回路144に代えて、第3の実施形態に係るノイズ生成回路35bと略同様のノイズ生成回路144mが設けられており、当該ノイズ生成回路144mは、時系列的に変化するノイズを生成している。
本実施形態に係る変調駆動処理部21mでは、ノイズ付加回路143が映像データD(i,j,*) へ付加するノイズを時系列的に変化させている。したがって、第3の実施形態と同様に、以下のような画像表示装置、すなわち、画素アレイ2jの空間分解能および輝度分解能が人間の視覚の限界を大幅に下回り、1つ1つのサブ画素SPIX(i,j) が画像表示装置の使用者に視認されるような画像表示装置(例えば、20インチのVGAディスプレイや40インチのXGAディスプレイなど)に適用した場合であっても、使用者によるノイズパターンの視認を妨害でき、時系列的に固定のノイズを付加する場合と比較して、画像表示装置1mの見かけ上の表示品質を向上できる。
ところで、上記各実施形態に係る変調処理部133は、チラツキやノイズ感のない安定した静止画を表示するために、前フレームFR(k-1) の映像データD0a(i,j,k-1) と現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) との差が予め定められたしきい値よりも小さい場合、階調遷移を強調せず、現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) をそのまま出力している。
この場合、上記しきい値は、ノイズの時系列変化の変動幅に合わせて設定される。より詳細には、しきい値は、ノイズの時系列変化の変動幅と同じか、あるいは、大きい値であって、しかも、階調遷移を強調しなくても、サブ画素SPIX(i,j) の応答速度不足による階調遷移の不足が使用者に視認されない程度に小さな値に設定される。一例として、上述した数値、すなわち、映像データDb(i,j,k) が10ビットで、ノイズの大きさが±7ビットであり、切り捨て回路145が2ビットを切り捨てる場合、上記しきい値は32階調(=2(7-2) )に設定される。
このように、上記しきい値がノイズの時系列変化の変動幅と同じか、より大きな値に設定されている。したがって、静止画を表示している場合、ノイズによって映像データD1(i,j,k) が変動し、階調遷移が発生しても、変調処理部133は、当該階調遷移を強調せず、現フレームFR(k) の映像データD1(i,j,k) をそのまま出力する。このように、第13の実施形態に係る変調処理部133は、第3の実施形態と同様に、階調遷移がノイズデータの加算のみによって発生し得る階調遷移の場合に、階調遷移を強調せず、第13の実施形態にFRC回路146を付加した構成における変調処理部133は、ノイズデータの加算と上記FRC回路146による最下位ビットの変更とのみによって発生し得る階調遷移である場合に階調遷移を強調しない。したがって、ノイズに起因する階調遷移が強調されることはなく、以下の不具合、すなわち、ノイズに起因する階調遷移を強調した結果、ノイズパターンが使用者に視認されるという不具合の発生を防止できる。
また、本実施形態のように、ノイズ付加回路143が映像データD(i,j,*) へ付加するノイズを時系列的に変化させる場合、すなわち、第11の実施形態よりも、短い距離(1つ1つのサブ画素SPIX(i,j) が画像表示装置の使用者に視認される距離)から見ることが想定される場合、ノイズ生成回路144が生成するノイズデータの絶対値の最大値は、32階調以下に設定する方が望ましい。
〔第14の実施形態〕
上記では、ノイズ生成回路が生成するノイズの最大値が一定の場合を例にして説明したが、本実施形態では、入力端子T1に入力される映像データD(i,j,k) の示す階調によって、ノイズの最大値を変更する構成について説明する。なお、当該構成は、第11ないし第13のいずれの実施形態にも適用できるが、以下では、図24を参照しながら、第11の実施形態に適用した場合について説明する。
すなわち、本実施形態に係る変調駆動処理部21nでは、図11に示すノイズ生成回路144に代えて、第4の実施形態に係るノイズ生成回路35cと同様のノイズ生成回路144nが設けられており、当該ノイズ生成回路144nは、出力するノイズデータの大きさを変更できる。さらに、第4の実施形態と同様に、映像データD(i,j,k) の表示階調レベルを検出し、検出結果に応じた大きさのノイズを出力するように、上記ノイズ生成回路144nへ指示する階調判定部39が設けられている。
上記構成では、第4の実施形態と同様に、ブロック内の映像データDの平均値が高い場合、すなわち、平均値が低いときに比べて、ノイズの相対的な大きさが小さくなるため、ノイズの大きさを大きくしても、使用者にノイズパターンが認識され難い場合には、ノイズの最大値を大きく設定する。一方、映像データDの平均値が低い場合、すなわち、平均値が高いときと比較して、ノイズの相対的な大きさが大きいため、ノイズの大きさを小さくしないと、使用者にノイズパターンが認識される虞がある場合には、ノイズの最大値を小さく設定する。この結果、第4の実施形態と同様に、ブロックの輝度の平均値がいずれの値であっても、その値に適した値に、ノイズの最大値を設定でき、ノイズの最大値が固定の場合よりも表示品質の高い画像表示装置1nを実現できる。
なお、上記第11〜第14の実施形態では、第1〜第10の実施形態とは異なり、変調処理部133がフレームメモリ131に格納された前フレームFR(k-1) の映像データ映像データD0(i,j,k-1) を参照して、現フレームから前フレームへの階調遷移を強調するように、上記現フレームFR(k) の映像データを補正し、補正後の映像データD2(i,j,k) を補正映像信号DAT2として出力する構成について説明したが、第11〜第14の実施形態のように、γ変換回路141および階調変換回路142を有する構成であっても、図25に示すように、第1〜第10の実施形態と同様に、前フレーム階調補正回路(37〜37i)を設けると共に、変調処理部133が、前フレーム階調補正回路の出力する補正後の前フレーム映像信号DAT0aと現フレーム映像信号DATとを参照して、補正映像信号DAT2を生成してもよい。なお、図25では、一例として、第11の実施形態に第1の実施形態を組み合わせた構成を例示しており、図25に示す変調駆動処理部21pには、図15に示す構成に加えて、前フレーム階調補正回路37と同様の前フレーム階調補正回路137pが設けられている。また、変調駆動処理部21pでは、フレームメモリ131および制御回路132に代えて、フレームメモリ31および制御回路32と同様のフレームメモリ131pおよび制御回路132pが設けられており、制御回路132pは、制御回路32と同様に、フレームメモリ131pから、前々フレームFR(k-2) の映像データD00(i,j,k-2) を読み出し、前々フレーム映像信号DAT00として出力できる。
当該構成では、第11の実施形態と同様に、γ変換回路141および階調変換回路142による階調補正によって、画素の応答速度を向上させることができる。また、第1の実施形態と同様に、前フレーム階調補正回路137pによって補正された前フレーム映像信号DAT0aに基づいて、変調処理部133が階調遷移が強調されるので、白光りおよび黒沈みの発生を防止でき、画像表示装置1の表示品質を向上できる。
なお、上記各実施形態では、垂直配向モードかつノーマリブラックモードの液晶セルを表示素子として用いた場合を例にして説明したが、これに限るものではない。応答速度が遅く、階調遷移を強調するように変調して駆動したとしても、前々回から前回への階調遷移において、実際の階調遷移と、所望の階調遷移とに差が発生する表示素子であれば、略同様の効果が得られる。
ただし、垂直配向モードかつノーマリブラックモードの液晶セルは、ディケイの階調遷移に対する応答速度がライズの場合に比べて遅く、階調遷移を強調するように変調して駆動したとしても、前々回から前回へのディケイの階調遷移において、実際の階調遷移と、所望の階調遷移とに差が発生しやすく、白光りが発生しやすい。したがって、上記実施形態の構成によって、白光りの発生を防止すると特に好適である。
また、上記各実施形態では、変調駆動処理部を構成する各部材がハードウェアのみで実現されている場合を例にして説明したが、これに限るものではない。各部材の全部または一部を、上述した機能を実現するためのプログラムと、そのプログラムを実行するハードウェア(コンピュータ)との組み合わせで実現してもよい。一例として、画像表示装置1に接続されたコンピュータが、画像表示装置1を駆動する際に使用されるデバイスドライバとして、変調駆動処理部(21〜21p)を実現してもよい。また、画像表示装置1に内蔵あるいは外付けされる変換基板として、変調駆動処理部が実現され、ファームウェアなどのプログラムの書き換えによって、当該変調駆動処理部を実現する回路の動作を変更できる場合には、当該ソフトウェアが記録された記録媒体を配布したり、当該ソフトウェアを通信路を介して伝送するなどして、当該ソフトウェアを配布し、上記ハードウェアに、そのソフトウェアを実行させることによって、当該ハードウェアを、上記各実施形態の変調駆動処理部として動作させてもよい。
これらの場合は、上述した機能を実行可能なハードウェアが用意されていれば、当該ハードウェアに、上記プログラムを実行させるだけで、上記各実施形態に係る変調駆動処理部を実現できる。
より詳細に説明すると、ソフトウェアを用いて実現する場合、CPU、あるいは、上述した機能を実行可能なハードウェアなどからなる演算手段が、ROMやRAMなどの記憶装置に格納されたプログラムコードを実行し、図示しない入出力回路などの周辺回路を制御することによって上記各実施形態に係る変調駆動処理部21〜21pを実現できる。
この場合、処理の一部を行うハードウェアと、当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うプログラムコードを実行する上記演算手段とを組み合わせても実現することもできる。さらに、上記各部材のうち、ハードウェアとして説明した部材であっても、処理の一部を行うハードウェアと、当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うプログラムコードを実行する上記演算手段とを組み合わせても実現することもできる。なお、上記演算手段は、単体であってもよいし、装置内部のバスや種々の通信路を介して接続された複数の演算手段が共同してプログラムコードを実行してもよい。
上記演算手段によって直接実行可能なプログラムコード自体、または、後述する解凍などの処理によってプログラムコードを生成可能なデータとしてのプログラムは、当該プログラム(プログラムコードまたは上記データ)を記録媒体に格納し、当該記録媒体を配付したり、あるいは、上記プログラムを、有線または無線の通信路を介して伝送するための通信手段で送信したりして配付され、上記演算手段で実行される。
なお、通信路を介して伝送する場合、通信路を構成する各伝送媒体が、プログラムを示す信号列を伝搬し合うことによって、当該通信路を介して、上記プログラムが伝送される。また、信号列を伝送する際、送信装置が、プログラムを示す信号列により搬送波を変調することによって、上記信号列を搬送波に重畳してもよい。この場合、受信装置が搬送波を復調することによって信号列が復元される。一方、上記信号列を伝送する際、送信装置が、デジタルデータ列としての信号列をパケット分割して伝送してもよい。この場合、受信装置は、受信したパケット群を連結して、上記信号列を復元する。また、送信装置が、信号列を送信する際、時分割/周波数分割/符号分割などの方法で、信号列を他の信号列と多重化して伝送してもよい。この場合、受信装置は、多重化された信号列から、個々の信号列を抽出して復元する。いずれの場合であっても、通信路を介してプログラムを伝送できれば、同様の効果が得られる。
ここで、プログラムを配付する際の記録媒体は、取外し可能である方が好ましいが、プログラムを配付した後の記録媒体は、取外し可能か否かを問わない。また、上記記録媒体は、プログラムが記憶されていれば、書換え(書き込み)可能か否か、揮発性か否か、記録方法および形状を問わない。記録媒体の一例として、磁気テープやカセットテープなどのテープ、あるいは、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスクなどの磁気ディスク、または、CD−ROMや光磁気ディスク(MO)、ミニディスク(MD)やデジタルビデオディスク(DVD)などのディスクが挙げられる。また、記録媒体は、ICカードや光カードのようなカード、あるいは、マスクROMやEPROM、EEPROMまたはフラッシュROMなどのような半導体メモリであってもよい。あるいは、CPUなどの演算手段内に形成されたメモリであってもよい。
なお、上記プログラムコードは、上記各処理の全手順を上記演算手段へ指示するコードであってもよいし、所定の手順で呼び出すことで、上記各処理の一部または全部を実行可能な基本プログラム(例えば、オペレーティングシステムやライブラリなど)が既に存在していれば、当該基本プログラムの呼び出しを上記演算手段へ指示するコードやポインタなどで、上記全手順の一部または全部を置き換えてもよい。
また、上記記録媒体にプログラムを格納する際の形式は、例えば、実メモリに配置した状態のように、演算手段がアクセスして実行可能な格納形式であってもよいし、実メモリに配置する前で、演算手段が常時アクセス可能なローカルな記録媒体(例えば、実メモリやハードディスクなど)にインストールした後の格納形式、あるいは、ネットワークや搬送可能な記録媒体などから上記ローカルな記録媒体にインストールする前の格納形式などであってもよい。また、プログラムは、コンパイル後のオブジェクトコードに限るものではなく、ソースコードや、インタプリトまたはコンパイルの途中で生成される中間コードとして格納されていてもよい。いずれの場合であっても、圧縮された情報の解凍、符号化された情報の復号、インタプリト、コンパイル、リンク、または、実メモリへの配置などの処理、あるいは、各処理の組み合わせによって、上記演算手段が実行可能な形式に変換可能であれば、プログラムを記録媒体に格納する際の形式に拘わらず、同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明に係る画像表示装置(1)の駆動装置(21〜21i)は、各画素(サブ画素SPIX(1,1)…)の今回の階調を示す第1階調データが入力される入力端子(T1)と、上記入力端子へ入力される各第1階調データに、ノイズデータを加算し、さらに、予め定められたビット幅の下位ビットを丸めて、第2階調データを生成するノイズ付加手段(34・36)と、互いに同じ色で互いに隣接する画素への第1階調データに加算されるノイズデータ同士がランダムな大きさになるように、上記ノイズデータを生成して、上記ノイズ付加手段へ与えるノイズ生成手段(35〜35c)と、各画素の今回の第2階調データを次回まで記憶する記憶手段(フレームメモリ31)と、当該記憶手段から読み出した前回の第2階調データから、今回の第2階調データへの階調遷移を強調するように、今回の第2階調データを補正する第1補正手段(変調処理部33)とを備えている。なお、上記ノイズ付加手段による丸め処理は、切り捨て処理であってもよいし、切り上げ処理であってもよい。また、10進数の場合の四捨五入処理(2進数の場合の0捨1入処理)のように、予め定められたしきい値を超えるか否かによって、切り捨てるか切り上げるかを選択する処理であってもよい。
ただし、これらの丸め処理のうち、切り捨て処理であれば、上位の桁を変更する必要がない。したがって、処理の簡略化が求められる場合、上記ノイズ付加手段は、切り捨てによって第2階調データを生成する方が望ましい。
上記構成において、入力端子へ、各画素の今回の階調を示す第1階調データが入力されると、ノイズ付加手段は、入力端子へ入力される第1階調データに、ノイズデータを加算し、さらに、下位ビットを丸めて、第2階調データを生成する。ノイズ付加手段によって生成された各画素の今回の第2階調データは、次回まで記憶手段に記憶されており、第1補正手段は、記憶手段から読み出した前回の第2階調データと、ノイズ付加手段から入力される今回の第2階調データとに基づいて、前回から今回への階調遷移を強調するように、今回の第2階調データを補正する。
当該構成では、記憶手段に記憶される第2階調データは、下位ビットの丸め処理によって第1階調データよりもビット幅が短く設定されている。したがって、記憶手段に必要な記憶容量を削減できる。また、ノイズ付加手段以降の回路(記憶手段および第1補正手段など)が処理する階調データのビット幅が削減されているので、これらの回路の回路規模および演算量を削減できると共に、これらの回路を接続するための配線の数および配線の占有面積を削減できる。さらに、上記ノイズ生成手段は、互いに同じ色で互いに隣接する画素への第1階調データに加算されるノイズデータ同士がランダムな大きさになるようなノイズデータを生成しているので、以下の構成、すなわち、第1階調データの下位ビットを単に切り捨てて第2階調データを生成した結果、各画素に表示される映像に擬似輪郭が発生する構成と異なり、擬似輪郭が発生しない。この結果、第2階調データのビット幅が第1階調データよりも短くなっているにも拘わらず、各画素に表示される映像の表示品質を、第1階調データを表示した場合と見かけ上相違しない程度に保つことができる。
また、第1補正手段によって前回から今回への階調遷移が強調されているので、画素の応答速度を向上できる。ここで、ノイズ付加手段を第1補正手段の後段に設けた場合、階調遷移強調後のデータにノイズが付加されるため、階調遷移を強調し過ぎて、画素の輝度が不所望に増大し、白光りとして画像表示装置の使用者に視認されたり、階調遷移を十分に強調できずに、画素の輝度が不所望に低下して、黒沈みとして視認される虞がある。ところが、上記構成では、上記第1補正手段は、ノイズ付加手段の後段に配置されているので、第1補正手段をノイズ付加手段の前段に配置した場合と異なり、ノイズ付加に起因する白光りや黒沈みを発生させることなく、画素の応答速度を向上できる。
これらの結果、各画素に表示される映像の表示品質を見かけ上低下させることなく、画素の応答速度を向上可能で、しかも、回路規模および演算量の削減が可能な画像表示装置の駆動装置を実現できる。
また、上記構成に加えて、上記ノイズ生成手段は、同じ画素への第1階調データに、毎回同じ大きさのノイズデータが加算されるようにノイズデータを生成してもよい。
上記構成によれば、同じ画素への第1階調データの大きさが時系列的に固定されているので、静止画を表示しているとき、各画素への第1階調データにノイズデータが加算されているにも拘わらず、上記各画素への第1補正手段の出力は、毎回同じ値になる。この結果、画像表示装置は、ノイズデータの付加に起因するチラツキやノイズ感のない安定した静止画を表示できる。
また、上記構成に加えて、上記第1階調データは、8ビットで表現されており、上記各ノイズデータの絶対値の最大値は、1階調から32階調の範囲の値に設定されていると共に、上記ノイズ付加手段、ノイズ生成手段、記憶手段および第1補正手段は、RGBの色毎に設けられていてもよい。
当該構成では、上記駆動装置によって駆動される画像表示装置を、1画素を単独で視認できない距離から見た場合、上記ノイズデータの付加によって、ある画素と、それに隣接する画素との間に発生する輝度の差を、各画素の輝度の5%以内に抑えることができる。また、第1階調データによって指示された画素の輝度と、補正手段の出力によって制御された画素の輝度との差も、各輝度の5%以内に抑えることができる。したがって、カラー表示可能で、しかも、特に表示品質の高い画像表示装置を実現できる。
また、同じ画素への第1階調データの大きさを時系列的に固定する構成に代えて、上記ノイズ生成手段は、同じ画素への第1階調データに加算されるノイズデータ同士がランダムな大きさになるようにノイズデータを生成してもよい。
当該構成では、同じ画素への第1階調データに加算されるノイズデータが時系列的に変化する。したがって、1つ1つの画素を十分識別可能な距離から見ることが想定され、ノイズが時系列的に固定されていると、ノイズパターンとして認識される画像表示装置であっても、ノイズデータの時系列的な変化によって、使用者によるノイズパターンの認識を妨げることができる。この結果、このような画像表示装置を駆動する場合に好適な駆動装置を実現できる。
また、上記構成に加えて、上記第1補正手段は、前回の第2階調データと今回の第2階調データとの差が、ノイズデータの加算のみによって発生し得る差である場合、今回の第2階調データの補正を停止してもよい。
当該構成において、上記第1補正手段は、前回の第2階調データと今回の第2階調データとの差が、ノイズデータの加算のみによって発生し得る差である場合、今回の第2階調データの補正を停止する。したがって、ノイズデータによって発生した階調遷移を第1補正手段が強調した結果、ノイズパターンが視認されやすくなるという不具合の発生を防止できる。
さらに、上記構成に加えて、上記第1階調データは、8ビットで表現されており、上記各ノイズデータの絶対値の最大値は、1階調から8階調の範囲の値に設定されていると共に、上記ノイズ付加手段、ノイズ生成手段、記憶手段および第1補正手段は、RGBの色毎に設けられていてもよい。
当該構成では、ノイズデータの絶対値の最大値が上記範囲に設定されているので、上記駆動装置によって駆動される画像表示装置を1画素を単独で視認できる距離から見た場合、上記ノイズデータの付加によって、ある画素と、それに隣接する画素との間に発生する輝度の差、並びに、第1階調データによって指示された画素の輝度と、補正手段の出力によって制御された画素の輝度との差の双方を、各画素の輝度の5%以内に抑えることができる。したがって、カラー表示可能で、しかも、特に表示品質の高い画像表示装置を実現できる。
また、ノイズデータが時系列的に変化するか否かに拘わらず、上記構成に加えて、同じ画素への第2階調データを平均した階調が、上記ノイズ付加手段によって下位ビットが丸められる前の階調になるように、予め設定されたパターンで各第2階調データの最下位ビットを変化させる最下位ビット制御手段(フレーム・レート・コントロール回路38)を備えていてもよい。
当該構成では、静止画を表示する場合であっても、第2階調データが時系列的に変化する。したがって、表示される映像の明るさや動きによって1画素を単独で視認できるか否かが変化する程度の距離から見ることが想定され、静止画を表示する際に第2階調データが時系列的に固定されていると映像によってはノイズパターンが認識される虞のある画像表示装置において、使用者によるノイズパターンの認識を妨げることができる。また、第2階調データの変化は、最下位ビットに制限されており、しかも、同じ画素への第2階調データを平均した階調が、上記ノイズ付加手段によって下位ビットが丸められる前の階調になるように制御されるので、第2階調データが時系列的に変化しているにも拘わらず、各画素に表示される映像の表示品質の見かけ上の劣化を防止できる。これらの結果、上記画像表示装置を駆動する場合に好適な駆動装置を実現できる。
さらに、上記構成に加えて、上記第1補正手段は、前回の第2階調データと今回の第2階調データとの差が、ノイズデータの加算と上記最下位ビット制御手段による最下位ビットの変更とのみによって発生し得る差である場合、今回の第2階調データの補正を停止してもよい。
上記構成において、上記第1補正手段は、前回の第2階調データと今回の第2階調データとの差が、ノイズデータの加算と上記最下位ビット制御手段による最下位ビットの変更とのみによって発生し得る差である場合、今回の第2階調データの補正を停止する。したがって、ノイズ付加手段および最下位ビット制御手段によって発生した階調遷移を第1補正手段が強調した結果、ノイズパターンが視認されやすくなるという不具合の発生を防止できる。
また、上記構成に加えて、上記画素は、複数の領域に分割されており、各領域内に含まれる複数の画素への第1階調データを平均し、平均値が高い場合は、低い場合よりもノイズの絶対値の最大値が大きくなるように、上記ノイズ生成手段を制御するノイズ量制御手段(階調判定部39)を備えていてもよい。
ここで、第1階調データに付加されるノイズデータが大き過ぎると、ノイズパターンが画像表示装置の使用者に視認されやすくなり、ノイズデータが小さすぎると、擬似輪郭が発生して各画素に表示される映像の表示品質が劣化してしまう。また、ノイズパターンの視認のされやすさは、映像の明るさによって異なっており、ノイズデータの絶対値の最大値が一定とすると、階調が低い場合、すなわち、より低い輝度が指示されている場合は、階調が高い場合よりも、ノイズデータの相対的な大きさが大きくなるので、ノイズパターンが視認されやすくなってしまう。この結果、上記最大値を固定する場合は、映像が明るいときと暗いときとの双方で支障がないように、上記最大値を設定せざるを得ず、いずれのときにも最適な値に設定することができない。
これに対して、上記構成では、ノイズ生成手段によって生成されるノイズデータの絶対値の最大値が、第1階調データの平均値によって変更される。したがって、上記最大値が固定の場合と比較して、現在表示中の映像に、より適した値に上記最大値を設定でき、表示品質の高い画像表示装置を実現できる。
また、上記では、各領域内に含まれる複数の画素への第1階調データを平均し、その平均値に基づいて、上記最大値を設定している。したがって、ある画素へ指示された階調が周囲の画素の階調と大きく異なっているにも拘わらず、当該画素への階調を基準にして上記最大値を設定した結果、ノイズパターンが視認されやすくなるという不具合の発生を防止できる。
さらに、上記構成に加えて、上記入力端子へ入力される第1階調データからなる映像信号は、映像を複数の小ブロックに分割し、各小ブロック単位で符号化された映像信号であり、上記領域は、当該小ブロックと一致していることを特徴としている。
当該構成では、上記領域が、映像信号を符号化する際の単位(映像として一体として扱われるサイズ、あるいは、符号化の単位であるためノイズが目立ちやすいサイズ)と一致している。したがって、映像信号をスケール変換して表示する場合(例えば、高精細な液晶表示装置に元信号を拡大して表示する場合など)であっても、上記不具合の発生を防止できる。
また、上記構成に加えて、上記記憶手段は、今回の第2階調データに加えて、前回の第2階調データも次回まで記憶すると共に、上記記憶手段が記憶した前々回および前回の第2階調データの組み合わせが予め定められた組み合わせの場合、上記第1補正手段が参照する前回の第2階調データを、前々回の第2階調データに近づくように補正する第2補正手段(前フレーム階調補正回路37〜37i)を含んでいてもよい。
上記構成では、前々回および前回の第2階調データの組み合わせが予め定められた組み合わせの場合、上記第1補正手段が参照する前回の第2階調データは、前々回の第2階調データに近づくように補正される。したがって、前々回から前回への階調遷移が予め定められた階調遷移の場合、第2補正手段による補正がない場合と比較して、第1補正手段による補正量を抑えることができる。
この結果、例えば、前々回から今回への階調遷移が、ディケイ→ライズの場合あるいはライズ→ディケイの場合のように、第1補正手段にて通常と同様の補正が行われると、以下の現象、すなわち、前々回から前回への階調遷移における画素の応答不足と、第1補正手段での階調遷移強調との相乗効果によって、今回の画素の階調が今回の第2階調データの示す階調と大きく異なり、白光りや黒沈みが発生するという現象が発生する場合であっても、第1補正手段の補正量を抑えることによって、当該現象の発生を抑制でき、画像表示装置の表示品質を向上できる。また、上記記憶手段が第1補正手段にて補正される前の第2階調データを記憶しているので、補正後の第2階調データを記憶する構成とは異なり、第1補正手段の補正に起因する誤差が重畳、累積されることがない。したがって、比較的回路規模が小さく、補正のための演算の精度が低い回路によって、上記第1おおよび第2補正手段を実施したとしても、画素の階調制御が発散したり、振動したりすることがない。これらの結果、比較的小さな回路規模で、表示品質のよい画像表示装置を実現できる。
また、上記記憶手段が次回まで記憶する前回の第2階調データは、今回の第2階調データと同じビット幅であってもよいが、回路規模の縮小が特に求められる場合には、上記構成に加えて、上記記憶手段が今回の第2階調データおよび前回の第2階調データを記憶する前に、当該両第2階調データの少なくとも一方の下位ビットを丸めて、両第2階調データのビット幅の合計が、予め定められた設定値になるように制限するビット幅調整手段(制御回路32g・32i)を備えていてもよい。当該構成では、上記記憶手段が記憶する両第2階調データの合計値が制限されているので、全てを記憶する場合よりも回路規模を縮小できる。なお、上述したように丸め処理としては、種々の丸め処理が考えられるが、処理の簡略化が求められる場合、上記ビット幅調整手段は、切り捨てによって、両第2階調データのビット幅の合計を制限する方が望ましい。
さらに、上記構成に加えて、上記ビット幅調整手段は、映像の種類および温度の少なくとも一方に応じて、上記設定値のうち、次回まで記憶される前回の第2階調データのビット幅が占める割合を変更してもよい。
ここで、上記設定値が今回の第2階調データのビット幅の2倍よりも小さな値に制限されている場合、上記設定値において、前々回の第2階調データのビット幅が占める割合を増大させ過ぎると、補正後の前回の第2階調データに対して、前々回の第2階調データの影響をより正確に反映できる一方で、前回の第2階調データの影響を正確に反映させることができなくなってしまう。したがって、設定値において、前々回の第2階調データのビット幅が占める割合は、両第2階調データの影響に応じた適切な値に設定することが望まれる。一方、動きの速い映像が入力される場合の方が、前々回の映像データの影響を受けやすいので、映像の種類が変化して、期待される動きの速さが変化すると、上記割合の適切な値が変化してしまう。同様に、温度が変化すると画素の応答速度が変化するので、上記割合の適切な値が変化する。
これに対して、上記構成では、映像の種類および温度の少なくとも一方に応じて、上記設定値のうち、前々回の第2階調データとして読み出される第2階調データのビット幅の占める割合が変更されるので、映像の種類や温度に拘わらず、上記割合を適切な値に保ち続けることができる。この結果、画像表示装置の表示品質を高いレベルに維持し続けることができる。
ところで、上記画像表示装置の駆動装置は、ハードウェアで実現してもよいし、プログラムをコンピュータに実行させて実現してもよい。すなわち、本発明に係るプログラムは、上記各手段としてコンピュータを動作させるプログラムである。また、上記プログラムは、上記各手段によって実行される工程と同様の工程(画像表示装置の駆動方法の各工程)をコンピュータに実行させるプログラムであってもよい。さらに、本発明に係る記録媒体には、上記プログラムが記録されている。これらのプログラムが上記コンピュータで実行されると、当該コンピュータは、上記画像表示装置の駆動装置として動作する。なお、上記プログラムが記録媒体に格納されることによって、蓄積や配布できるようになる。
また、上記プログラムは、コンピュータデータ信号によって表現することもできる。例えば、コンピュータは、コンピュータデータ信号を埋め込んだ信号(例えば、搬送波、同期信号、あるいは、他の信号)を受け取り、コンピュータデーター信号によって表されたプログラムを実行すれば、当該コンピュータは、上述の各画像表示装置の駆動装置として動作できる。
したがって、当該画像表示装置の駆動装置と同様に、各画素に表示される映像の表示品質を見かけ上低下させることなく、画素の応答速度を向上可能で、しかも、回路規模および演算量の削減が可能な画像表示装置の駆動装置を実現できる。
また、本発明に係る画像表示装置は、上記各駆動装置を備えていることを特徴としている。さらに、本発明に係るテレビジョン受像機は、当該画像表示装置を備えていることを特徴としている。
当該構成の画像表示装置およびテレビジョン受像機は、上記駆動装置を備えているので、各画素に表示される映像の表示品質を見かけ上低下させることなく、画素の応答速度を向上可能で、しかも、回路規模および演算量を削減できる。
一方、本発明に係る画像表示装置(1)の駆動装置(21j〜21p)は、以上のように、各画素(サブ画素SPIX(1,1) …)の今回の階調を示す第1階調データを、そのγ特性よりも大きなγ特性を持った第2階調データに変換する階調変換手段(142)と、各画素の今回の第2階調データを次回まで記憶する記憶手段(フレームメモリ131)と、当該記憶手段から読み出した前回の第2階調データから、今回の第2階調データへの階調遷移を強調するように、今回の第2階調データを補正する補正手段(変調処理部133)とを備え、上記第1階調データの変換によって取り得る第2階調データの下限値は、第2階調データが表現可能な数値範囲の下限値よりも大きな値に設定されている。
上記構成では、補正手段が前回から今回への階調遷移を強調するように、今回の第2階調データを補正しているので、画素の応答速度を向上できる。加えて、上記構成では、第1階調データは、階調変換手段によって、より大きなγ特性の第2階調データへ変換される。また、上記第1階調データの変換によって取り得る第2階調データの下限値は、第2階調データが表現可能な数値範囲の下限値よりも大きな値に設定されている。
これにより、第2階調データを表示する画素が第2階調データの示す階調を表示する際に黒く潰れる階調は、γ変換しない構成と比較して多くなる。また、それらの第2階調データのうち、最小ではない第2階調データが、第1階調データの下限値(黒レベル)に対応している。したがって、補正手段は、当該第2階調データよりも低い階調の第2階調データを、階調遷移強調のために使用でき、画素の応答速度を向上させることができる。
さらに、上記構成に加えて、上記第2階調データのビット幅は、第1階調データのビット幅よりも広く設定されていてもよい。また、上記構成に加えて、上記第1階調データのビット幅は、8ビットであり、上記第2階調データのビット幅は、10ビットであってもよい。これらの構成では、第2階調データのビット幅が第1階調データのビット幅よりも広く設定されているので、階調変換手段は、より高精度にγ変換できる。
また、上記構成に加えて、上記第2階調データを記憶手段および補正手段へ入力する前に、ノイズデータを加算し、さらに、予め定められたビット幅の下位ビットを丸めるノイズ付加手段と、互いに同じ色で互いに隣接する画素への第2階調データに加算されるノイズデータ同士がランダムな大きさになるように、上記ノイズデータを生成して、上記ノイズ付加手段へ与えるノイズ生成手段とを備えていてもよい。さらに、上記構成に加えて、上記第1階調データのビット幅は、8ビットであり、上記第2階調データのビット幅は、10ビットであり、上記下位ビットのビット幅は、2ビットであってもよい。なお、上述したように上記ノイズ付加手段による丸め処理としては、種々の丸め処理が考えられるが、処理の簡略化が求められる場合には、上記ノイズ付加手段は、切り捨てによって第2階調データを生成する方が望ましい。
これらの構成では、記憶手段に記憶される第2階調データは、下位ビットの丸め処理によって階調変換手段が生成した第2階調データよりもビット幅が短く設定されている。したがって、記憶手段に必要な記憶容量を削減できる。また、ノイズ付加手段以降の回路(記憶手段および補正手段など)が処理する階調データのビット幅が削減されているので、これらの回路の回路規模および演算量を削減できると共に、これらの回路を接続するための配線の数および配線の占有面積を削減できる。さらに、上記ノイズ生成手段は、互いに同じ色で互いに隣接する画素への第2階調データに加算されるノイズデータ同士がランダムな大きさになるようなノイズデータを生成しているので、以下の構成、すなわち、第2階調データの下位ビットを単に切り捨てた結果、各画素に表示される映像に擬似輪郭が発生する構成と異なり、擬似輪郭が発生しない。この結果、記憶手段に記憶される第2階調データのビット幅が、階調変換手段によって生成される第2階調データよりも短くなっているにも拘わらず、各画素に表示される映像の表示品質を、丸めない場合と見かけ上相違しない程度に保つことができる。
なお、ノイズ付加手段を補正手段の後段に設けた場合、階調遷移強調後のデータにノイズが付加されるため、階調遷移を強調し過ぎて、画素の輝度が不所望に増大し、白光りとして画像表示装置の使用者に視認されたり、階調遷移を十分に強調できずに、画素の輝度が不所望に低下して、黒沈みとして視認される虞がある。ところが、上記構成では、上記補正手段は、ノイズ付加手段の後段に配置されているので、補正手段をノイズ付加手段の前段に配置した場合と異なり、ノイズ付加に起因する白光りや黒沈みを発生させることなく、画素の応答速度を向上できる。
これらの結果、各画素に表示される映像の表示品質を見かけ上低下させることなく、しかも、回路規模および演算量を削減できる。
ところで、上記画像表示装置の駆動装置は、ハードウェアで実現してもよいし、プログラムをコンピュータに実行させて実現してもよい。すなわち、本発明に係るプログラムは、上記各手段としてコンピュータを動作させるプログラムである。また、上記プログラムは、上記各手段によって実行される工程と同様の工程(画像表示装置の駆動方法の各工程)をコンピュータに実行させるプログラムであってもよい。さらに、本発明に係る記録媒体には、上記プログラムが記録されている。これらのプログラムが上記コンピュータで実行されると、当該コンピュータは、上記画像表示装置の駆動装置として動作する。なお、上記プログラムが記録媒体に格納されることによって、蓄積や配布できるようになる。
また、上記プログラムは、コンピュータデータ信号によって表現することもできる。例えば、コンピュータは、コンピュータデータ信号を埋め込んだ信号(例えば、搬送波、同期信号、あるいは、他の信号)を受け取り、コンピュータデーター信号によって表されたプログラムを実行すれば、当該コンピュータは、上述の各画像表示装置の駆動装置として動作できる。
したがって、当該画像表示装置の駆動装置と同様に、画素の応答速度を向上可能な画像表示装置の駆動装置を実現できる。
また、本発明に係る画像表示装置は、上記各駆動装置を備えていることを特徴としている。さらに、本発明に係るテレビジョン受像機は、当該画像表示装置を備えていることを特徴としている。
当該構成の画像表示装置およびテレビジョン受像機は、上記駆動装置を備えているので、画素の応答速度を向上できる。
なお、上記では、記憶手段へ格納する前に丸め処理を行う構成について説明したが、格納する前に丸め処理を行う代わりに、記憶手段が、記憶すべきデータを、公知の圧縮技術を用いて圧縮して記憶すると共に、第1補正手段または補正手段が、補正後の映像データを出力する前に、丸め処理してもよい。
例えば、図1または図15の構成を例にすると、切り捨て回路(36・145)が削除され、メモリ制御回路(32・132)が入力されたデータを圧縮してフレームメモリ(31・131)へ格納すると共に、当該フレームメモリからのデータを伸長して出力する。また、変調処理部(33・133)は、補正後の映像データを丸め処理した後で、補正映像データD2(i,j,k) として出力する。
当該構成でも、第1補正手段または補正手段による補正処理よりも前にノイズが付加されているので、ノイズ付加に起因する白光りや黒沈みを発生させることなく、画素の応答速度を向上できる。
また、圧縮処理によって記憶手段に格納されるデータが圧縮されているので、記憶手段に必要な記憶容量を削減できる。さらに、第1補正手段または補正手段によって丸め処理が行われているので、第1補正手段または補正手段よりも後段の回路(例えば、画像表示装置1のパネル11のデータ信号線駆動回路3など)が処理する必要のある映像データのビット幅を削減できる。また、ノイズが付加された後で、丸め処理が行われているので、単に、切り捨てる構成と異なり、擬似輪郭の発生を抑制できる。
これらの結果、各画素に表示される映像の表示品質を見かけ上低下させることなく、画素の応答速度を向上可能で、しかも、回路規模および演算量の削減が可能な画像表示装置の駆動装置を実現できる。
ただし、上記各実施形態のように、より前段の手段(ノイズ付加手段など)で丸めた方が、より回路規模を削減できる。