JP2004317748A - 電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器 - Google Patents
電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、および電気光学装置を提供する。
【解決手段】電気絶縁基板上に、アルミニウム層、クロム層および透明性無機酸化物層を順次に形成した、実質的にライン状の多層配線構造を備えた電気光学装置用基板等において、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にする。
【選択図】 図1
【解決手段】電気絶縁基板上に、アルミニウム層、クロム層および透明性無機酸化物層を順次に形成した、実質的にライン状の多層配線構造を備えた電気光学装置用基板等において、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低抵抗かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、および電気光学装置に関する。特に、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子(薄膜ダイオード)を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である多層配線構造を備えた電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、および電気光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示装置は、対向する第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを含む一対の電気光学装置用基板との間に、液晶材料を注入して構成されている(例えば、特許文献1参照)。
そして、特許文献1に開示された液晶表示装置の場合、図17に例示されるように、電気絶縁基板(SUB)上に、薄膜トランジスタ(TFT)と、そのゲート配線(GL)/ゲート電極(GT)、ドレイン配線(DL)/ドレイン電極(DT)、およびコモン配線(CL)/コモン電極(CT)を有し、各配線/電極のうち、少なくともゲート配線/電極が、アルミニウムもしくはアルミニウムを主体とする合金層(g1)に高融点金属層(g2)を被覆した積層構造膜に、アモルファスITO膜(g3)を被覆した配線を有することを特徴としている。また、多結晶ITO膜を用いる場合には、最下層に形成するとともに、その上に、モリブテン/アルミニウム/モリブテンの積層構造膜を形成することが提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−194676号公報 (第3頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された液晶表示装置の場合、アルミニウム(g1)/高融点金属層(g2)/アモルファスITO膜(g3)の各線幅を考慮していないために、図18に示されるように、露出しているアルミニウム(g1)と、アモルファスITO膜(g3)が接触してしまい、アモルファス透明導電膜を形成する際のレジスト現像時に、電池反応が生じるという問題が見られた。したがって、アルミニウム(g1)が腐蝕してしまい、その結果、高抵抗化したり、耐久性が低下したりするという問題が見られた。
また、アモルファスITO膜(g3)からなる配線を形成するためには、エッチングする必要があるが、エッチャントによって、露出しているアルミニウム(g1)が溶出してしまい、多層配線構造を精度良く形成することが困難であるという問題が見られた。
一方、多結晶ITO膜を用いる場合には、積層構造膜の種類が過度に制限されてしまい、電気絶縁基板上に、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子(薄膜ダイオード)を形成する工程および、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが困難であるという問題が見られた。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、電気絶縁基板上に、アルミニウム層、クロム層、および透明性無機酸化物層を含む多層配線構造を形成した場合であっても、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板、その製造方法、および電気光学装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、電気絶縁基板上に、アルミニウム層、クロム層および透明性無機酸化物層を順次に形成した、実質的にライン状の多層配線構造を備えた電気光学装置用基板において、
クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にすることを特徴とする電気光学装置用基板が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、多層配線構造における各配線の幅を考慮することにより、透明無機酸化物層を形成する際の電池反応を有効に防止し、また、エッチング時のアルミニウム溶出を有効に防止できることから、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板を容易に提供することができる。また、このような構成であれば、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0006】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、クロム層は、アルミニウム層の両端面の少なくとも一部、および上面を被覆していることが好ましい。
このように構成することにより、透明無機酸化物層を現像する際の電池反応を有効に防止できるとともに、エッチング時のアルミニウム溶出をより有効に防止することができる。
【0007】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、アルミニウム層と、透明性無機酸化物層とを、非接触状態とすることが好ましい。
このように構成することにより、透明無機酸化物層を形成する際の現像条件やエッチング条件がばらついたような場合であっても、現像時の電池反応を有効に防止できるとともに、エッチング時のアルミニウム溶出をより有効に防止することができる。
【0008】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、電気絶縁基板と、アルミニウム層との間に、タンタル層、あるいは酸化タンタル層を表面に含むタンタル層を備えるとともに、当該タンタル層あるいは酸化タンタル層を表面に含むタンタル層の線幅(W4)を、アルミニウム層の線幅(W1)よりも大きくすることが好ましい。
このように構成することにより、電気絶縁基板と、アルミニウム層との間の密着力を向上させることができるとともに、アルミニウム層の寸法精度をさらに高めることができる。また、このような構成であれば、タンタル層およびクロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0009】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、クロム層は、アルミニウム層を被覆しており、クロム層の線幅(W2)は、アルミニウム層の線幅(W1)よりも大きく、クロム層の線幅(W2)と、アルミニウム層の線幅(W1)との差が、0.01μm以上であることが好ましい。
このように構成することにより、多層配線構造の低抵抗化と、電池反応抑止およびアルミニウム溶出防止と、のバランスをより良好なものとすることができる。
【0010】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、透明性無機酸化物層が、多結晶インジウムスズ酸化物(ITO)から形成してあることが好ましい。
このように構成することにより、アモルファスインジウムスズ酸化物(ITO)を被覆する場合と比較して、多層配線構造の低抵抗化をさらに図ることができる。
なお、多結晶インジウムスズ酸化物を用いた場合、アモルファスインジウムスズ酸化物を用いる場合と比較して、アルミニウムとの腐蝕電位の差が大きくなるという問題があるが、多層配線構造における各配線の幅を考慮することにより、透明無機酸化物層を形成する際の電池反応を有効に防止することができる。
【0011】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、アルミニウム層の厚さを0.01〜10μmの範囲内の値とし、クロム層の厚さを0.01〜10μmの範囲内の値とし、かつ、透明性無機酸化物層の厚さを0.01〜5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、多層配線構造の低抵抗化と、電池反応抑止およびアルミニウム溶出防止と、のバランスをより良好なものとすることができる。また、このような構成であれば、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0012】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、アルミニウム層の比抵抗を1〜10μΩ・cmの範囲内の値とし、クロム層の比抵抗を15〜50μΩ・cmの範囲内の値とし、かつ、透明性無機酸化物層の比抵抗を100〜300μΩ・cmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、多層配線構造の低抵抗化と、電池反応抑止およびアルミニウム溶出防止と、のバランスをより良好なものとすることができる。また、このような構成であれば、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0013】
また、本発明の別の態様は、電気絶縁基板上に、多層配線構造として、アルミニウム層、クロム層および透明性無機酸化物層を順次に形成する電気光学装置用基板の製造方法であって、
所定の線幅(W1)を有するアルミニウム層を形成する工程と、
アルミニウム層上に、所定の線幅(W2)を有するクロム層を形成する工程と、
クロム層上に、所定の線幅(W3)を有する透明性無機酸化物層を形成する工程と、を含み、かつ、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にする工程を含むことを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法である。
すなわち、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板を効率的に提供することができる。また、このような製造工程であれば、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0014】
また、本発明の別の態様は、電気光学装置に対向使用されるとともに、第1の電気光学装置用基板および第2の電気光学装置用基板からなる一対の電気光学装置用基板であって、
第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、その上に設けられた電気配線と、を備え、
第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備え、
かつ、第2の電気光学装置用基板は、第2のガラス基板に形成されたタンタル層およびその上のアルミニウム層上に、素子第1電極および素子第2電極に電気接続されるクロム層および透明性無機酸化物層を電気接続するための多層配線構造を備えており、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にすることを特徴とする電気光学装置用基板である。
すなわち、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板を容易に提供することができる。また、このような構成であれば、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0015】
また、本発明の別の態様は、対向する第1の電気光学装置用基板と第2の電気光学装置用基板とを含む一対の電気光学装置用基板、およびその間に電気光学的物質を含む電気光学装置であって、
第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、その上に設けられた電気配線と、を備え、
第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備え、
かつ、第2の電気光学装置用基板は、第2のガラス基板に形成されたタンタル層およびその上のアルミニウム層上に、素子第1電極および素子第2電極に電気接続されるクロム層および透明性無機酸化物層を電気接続するための多層配線構造を備えており、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にすることを特徴とする電気光学装置である。
すなわち、このように構成することにより、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板を用いた電気光学装置を容易に提供することができる。また、このような構成であれば、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0016】
また、本発明の別の態様は、上述した電気光学装置用基板の製造方法を用いることを特徴とする電気光学装置の製造方法である。
このように実施することによって、多層配線構造における各配線の幅を考慮することにより、透明無機酸化物層を形成する際の電池反応を有効に防止し、また、エッチング時のアルミニウム溶出を有効に防止できることから、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置を効率的に提供することができる。
【0017】
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの電気光学装置用基板を備えることを特徴とする電子機器である。
このように構成することによって、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板を含む電子機器を効果的に提供することができる。
【0018】
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器である。
このように構成することによって、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置を含む電子機器を効果的に提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の多層配線構造を備えた電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、および電気光学装置に関する実施形態について具体的に説明する。
ただし、かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
【0020】
[第1実施形態]
第1実施形態は、図1(a)〜(b)に例示されるように、電気絶縁基板211上に、アルミニウム層150、クロム層152および透明性無機酸化物層154を順次に形成した、実質的にライン状の多層配線構造160を備えた電気光学装置用基板170であって、クロム層152の線幅(W2)を、アルミニウム層150の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層154の線幅(W3)を、クロム層152の線幅(W2)と同等以上にすることを特徴とする電気光学装置用基板170である。
なお、図1(a)は、電気絶縁基板211上に、直接的にアルミニウム層150等を形成した電気光学装置用基板170の例であって、図1(b)は、電気絶縁基板211上に、酸化タンタル層156およびタンタル層158を介して、間接的にアルミニウム層150等を形成した電気光学装置用基板170の例である。
【0021】
1.電気絶縁基板
(1)種類
図1(a)〜(b)に示される電気絶縁基板211を構成する種類としては、例えば、ガラス基板、フェノール樹脂基板、エポキシ樹脂基板、ポリカーボネート樹脂基板、弗素樹脂基板等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0022】
(2)表面処理
また、図1(b)に示されるように、かかる電気絶縁基板211上に、表面処理することが好ましい。すなわち、タンタル層158、あるいは酸化タンタル層156を表面に含むタンタル層158を備えるとともに、当該タンタル層158あるいは酸化タンタル層156を表面に含むタンタル層158の線幅(W4)を、アルミニウム層150の線幅(W1)よりも大きくすることが好ましい。
この理由は、このようなタンタル層、あるいは酸化タンタル層を表面に含むタンタル層を備えることにより、その上のアルミニウム層、クロム層および透明性無機酸化物層の薄膜抵抗が安定し、インピーダンス特性が良好なものとなるためである。また、このようなタンタル層、あるいは酸化タンタル層を表面に含むタンタル層を備えることにより、電気絶縁基板と、アルミニウム層との間の密着力も向上するためである。
ここで、タンタル層を構成する種類としては、タンタルを主成分としたものであれば特に制限されるものではないが、例えば、タンタル単独や、タンタルと、モリブデン、クロム、又はチタン等とを含むタンタル合金が挙げられる。また、タンタル層の代わりに、モリブデン、タングステン、クロム、又はチタン等の単体金属層や、少なくともそれら1種類を主成分として含む合金層であってもよい。
なお、タンタル層の線幅を0.1〜400μmの範囲内の値とすることが好ましく、タンタル層の厚さについても0.01〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0023】
2.アルミニウム層
(1)種類
図1(a)〜(b)に示されるアルミニウム層150を構成するアルミニウムの種類としては、アルミニウムを主成分としたものであれば特に制限されるものでないが、例えば、アルミニウム単独や、アルミニウムと、銅、銀、スズ、クロム、モリブデン、タンタル、ネオジウム、またはチタン等の少なくとも一種とを含むアルミニウム合金が挙げられる。
【0024】
(2)線幅
また、アルミニウム層の線幅を0.1〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるアルミニウム層の線幅が0.1μm未満の値になると、配線の形成が困難になり、寸法精度もばらつく場合があるためである。
【0025】
(3)厚さ
また、アルミニウム層の厚さを0.01〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるアルミニウム層の厚さが0.01μm未満の値になると、成膜が困難であるために配線が断線するとともに、エッチングが困難となる場合があるためである。一方、かかるアルミニウム層の厚さが100μmを越えると、膜厚の分布が不均一となり、エッチングの加工性に問題が生じる場合があるためである。
【0026】
(4)比抵抗
また、アルミニウム層の比抵抗を1〜10μΩ・cmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0027】
3.クロム層
(1)種類
図1(a)〜(b)に示されるクロム層152を構成する種類としては、クロムを主成分としたものであれば特に制限されるものでないが、例えば、クロム単独や、クロムと、モリブデン、タンルタル、またはチタン等と、を含むクロム合金が挙げられる。また、クロム層の代わりに、モリブデン、タングステン、タンタル、又はチタン等の単体金属層、あるいは、少なくともそれらの2種類以上を含む合金層であってもよい。
【0028】
(2)線幅
また、クロム層の線幅を0.1〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるクロム層の線幅が0.1μm未満の値になると、配線の形成が困難になり、寸法精度もばらつく場合があるためである。
【0029】
また、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)を考慮して定めることがより好ましい。すなわち、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)よりも大きくし、クロム層の線幅(W2)とアルミニウム層の線幅(W1)との差を、0.01μm以上とすることが好ましい。
この理由は、このように数値設計することにより、多層配線構造の低抵抗化と、電池反応抑止およびアルミニウム溶出防止と、のバランスをより良好なものとすることができるためである。
【0030】
(3)厚さ
また、クロム層の厚さを0.01〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるクロム層の厚さが0.01μm未満の値になると、成膜が困難であるために配線が断線するとともに、エッチングが困難になる場合があるためである。一方、かかるクロム層の厚さが100μmを越えると、膜厚の分布が不均一となり、エッチングの加工性に問題が生じる場合があるためである。
【0031】
(4)比抵抗
また、クロム層の比抵抗を15〜50μΩ・cmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0032】
4.透明性無機酸化物層
(1)種類
図1(a)〜(b)に示される透明性無機酸化物層154を構成する導電性無機酸化物の種類としては、例えば、多結晶インジウムスズ酸化物、アモルファスインジウムスズ酸化物、アモルファスインジウム亜鉛酸化物、アモルファスインジウムゲルマニウム酸化物等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
なお、本発明の電気光学装置用基板は、図1(a)〜(b)に示されるように、アルミニウム層150が、クロム層152を介して、透明性無機酸化物層154と隔離されているため、透明性無機酸化物層154として、腐蝕電位が比較的大きく異なる多結晶インジウムスズ酸化物等を用いたとしても、多結晶インジウムスズ酸化物を形成する際に行われるレジスト現像でのアルミニウム層の腐蝕を有効に防止することができる。一方、多結晶インジウムスズ酸化物等は、アモルファスインジウムスズ酸化物等と比較して、それ自体低抵抗であって、しかも成膜温度を低下できるという製造上の利点も得られることから、好ましい透明性無機酸化物層の構成材料である。
【0033】
(2)線幅
また、透明性無機酸化物層の線幅を0.1〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる透明性無機酸化物層の線幅が0.1μm未満の値になると、配線の形成が困難になり、寸法精度もばらつく場合があるためである。
【0034】
(3)厚さ
また、透明性無機酸化物層の厚さを0.01〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる透明性無機酸化物層の厚さが0.01μm未満の値になると、成膜が困難であるために配線が断線するとともに、エッチングが困難になる場合があるためである。一方、かかる透明性無機酸化物層の厚さが100μmを越えると、膜厚の分布が不均一となり、エッチングの加工性に問題が生じる場合があるためである。
【0035】
(4)比抵抗
また、透明性無機酸化物層の比抵抗を100〜300μΩ・cmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0036】
5.多層配線構造
また、図1(a)〜(b)に示される多層配線構造160は、図2に示すように、いわゆる三辺フリーの電気光学装置用基板170におけるコモン電極178として使用するとともに、エッジ部に沿って、配置することが好ましい。
すなわち、図1(a)〜(b)に示される多層配線構造160は、低抵抗であって、ピッチが狭くともインピーダンス特性に優れているため、図2に示される三辺フリーの電気光学装置用基板170におけるコモン電極178として、比較的長い距離を引き回したとしても、画像表示部172における画像表示特性を劣化させるなどの悪影響を及ぼすことが少ないためである。
【0037】
[第2実施形態]
第2実施形態は、図3または図4に例示するように、電気絶縁基板211上に、多層配線構造160として、アルミニウム層150、クロム層152および透明性無機酸化物層154を順次に形成する電気光学装置用基板170の製造方法であって、以下の工程(A)〜(D)を含むことを特徴とする電気光学装置用基板170の製造方法である。
(A)所定の線幅(W1)を有するアルミニウム層を形成する工程(以下、アルミニウム層形成工程と称する場合がある。)
(B)アルミニウム層上に、所定の線幅(W2)を有するクロム層を形成する工程(以下、クロム層形成工程と称する場合がある。)
(C)クロム層上に、所定の線幅(W3)を有する透明性無機酸化物層を形成する工程(以下、透明性無機酸化物層形成工程と称する場合がある。)
(D)クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にする工程(以下、調整工程と称する場合がある。)
【0038】
1.(A)アルミニウム層形成工程
アルミニウム層は、蒸着法やスパッタリング法等と、フォトリソグラフィ法とを組み合わせて、形成することが好ましい。
すなわち、図3(a)または図4(a)に示すように、電気絶縁基板211を準備した後、図3(b)または図4(b)に示すように、電気絶縁基板211上に、蒸着法やスパッタリング法等を用いて、全面的にアルミニウム層を形成した後、所定箇所に、所定幅(W1)のアルミニウム層150を形成することが好ましい。
なお、第1の実施形態において既に説明したように、図1(b)に示されるように、アルミニウム層150を形成する前に、電気絶縁基板211上に、タンタル層158、あるいは酸化タンタル層156を表面に含むタンタル層158を形成しておくことも好ましい。
【0039】
2.(B)クロム層形成工程
次いで、所定幅(W2)を有するクロム層は、所定幅(W1)のアルミニウム層上に、蒸着法やスパッタリング法と、フォトリソグラフィ法とを組み合わせて、形成することが好ましい。
すなわち、図3(c)または図4(c)に示すように、アルミニウム層150を含む電気絶縁基板211上に、蒸着法やスパッタリング法等を用いて、全面的にクロム層を形成した後、アルミニウム層150を覆うように、所定幅(W2)を有するクロム層152を形成することが好ましい。
なお、電気絶縁基材上の所定箇所に設けてあるアルミニウム層上に、所定幅のクロム層を形成するにあたり、製造工程の簡便上、図5(a)〜図6(d)に示すように、TFDを構成する第1素子および第2素子のタンタル層158、あるいは酸化タンタル層156を表面に含むタンタル層158を形成した後、クロム層152を形成するのと同時に、当該クロム層を形成することがより好ましい。
【0040】
3.(C)透明性無機酸化物層形成工程
次いで、所定幅(W3)を有する透明性無機酸化物層は、所定幅(W2)のアルミニウム層上に、蒸着法やスパッタリング法と、フォトリソグラフィ法とを組み合わせて、形成することが好ましい。
すなわち、図3(d)または図4(d)に示すように、アルミニウム層150およびクロム層152を含む電気絶縁基板上に、蒸着法やスパッタリング法等を用いて、全面的に透明性無機酸化物層を形成した後、アルミニウム層150およびクロム層152を覆うように、所定幅(W3)を有する透明性無機酸化物層154を形成することが好ましい。すなわち、図3(c)に示すように、先に所定幅(W2)を有するクロム層152を形成した後に、図3(d)に示すように、所定幅(W3)を有する透明性無機酸化物層154を形成してもよく、また、図4(d)に示すように、全面にクロム層が設けられている状態で、透明性無機酸化物層を形成した後に、図4(e)に示すように、クロム層および透明性無機酸化物層を同時にエッチングして所定幅(W3)を有する透明性無機酸化物層154を形成することもできる。
なお、電気絶縁基材上の所定箇所に順次に設けてあるアルミニウム層およびクロム層上に、所定幅の透明性無機酸化物層を形成するにあたり、製造工程の簡便上、図7(c)に示すように、TFDを構成する第1素子および第2素子に連なる画像表示部における透明電極(透明性無機酸化物層)154を形成するのと同時に、当該透明性無機酸化物層を形成することがより好ましい。
【0041】
4.(D)調整工程
また、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にする調整工程を設けることが好ましい。
すなわち、(A)アルミニウム層形成工程、(B)クロム層形成工程、および(C)透明性無機酸化物層形成工程を実施した直後において、形成されたアルミニウム層、クロム層および透明性無機酸化物層の線幅が、所定寸法であるとともに、それぞれ所定箇所に形成されていることを検査することが好ましい。
この理由は、このように調整工程を設けることにより、アルミニウム層と、透明性無機酸化物層とを、確実に隔離することができ、図8(a)に示すように、透明性無機酸化物層のレジスト155を現像する際の電池反応を有効に防止できるとともに、図8(b)に示すように、透明性無機酸化物層154をエッチングする際のアルミニウムの溶出を有効に防止して、多層配線構造を形成することができるためである。
【0042】
[第3実施形態]
第3実施形態は、対向する第1の電気光学装置用基板と第2の電気光学装置用基板とを含む一対の電気光学装置用基板、およびその間に電気光学的物質を含む電気光学装置であって、
第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、その上に設けられた電気配線と、を備え、
第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備え、
かつ、第2の電気光学装置用基板は、第2のガラス基板に形成されたタンタル層およびその上のアルミニウム層上に、素子第1電極および素子第2電極に電気接続されるクロム層および透明性無機酸化物層を電気接続するための多層配線構造を備えており、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にすることを特徴とする電気光学装置である。
以下、カラーフィルタ基板(第1の電気光学装置用基板)、二つの二端子型非線形素子(薄膜ダイオード)を備えた対向基板(第2の電気光学装置用基板)、およびそれらを用いた液晶パネルを例に採って説明する。
【0043】
1.液晶パネルの基本構造
まず、図9〜図13を参照して、本発明の電気光学装置用基板を用いた電気光学装置の基本構造、すなわち、セル構造や配線、あるいは位相差板および偏光板について具体的に説明する。
また、図9は、本発明に係る電気光学装置を構成する液晶パネル200の外観を示す概略斜視図であり、図10は、液晶パネル200の模式的な概略断面図であり、図11は、アクティブマトリクス配線の電気的構成を示す図であり、図12および図13は、それぞれ二端子型非線形素子としてのTFD(Thin Film Diode)の構成を説明するために供する図である。
なお、図9に示される電気光学装置を構成する液晶パネル200は、図12および図13に示すTFDを用いたアクティブマトリクス型構造を有する液晶パネル200であって、図示しないもののバックライトやフロントライト等の照明装置やケース体などを、必要に応じて、適宜取付けることが好ましい。
【0044】
(1)セル構造
図9に示すように、液晶パネル200は、ガラス板や合成樹脂板等からなる透明な第1のガラス基板221(図12および図13中、第1のガラス基板13に相当)を基体とするカラーフィルタ基板220(第1の電気光学装置用基板と称する場合がある。)と、これに対向配置される第2のガラス基板211(図12および図13中、第2のガラス基板27に相当)を基体とする対向基板210(第2の電気光学装置用基板と称する場合がある。)とが、接着剤等のシール材230を介して貼り合わせられていることが好ましい。そして、カラーフィルタ基板220と、対向基板210とが形成する空間であって、シール材230の内側部分に対して、開口部230aを介して液晶材料232を注入した後、封止材231にて封止されてなるセル構造を備えていることが好ましい。
すなわち、図10に示すように、カラーフィルタ基板220と対向基板210との間に液晶材料232が充填されていることが好ましい。
【0045】
(2)配線
▲1▼マトリクス
図9に示すように、第2のガラス基板211の内面(第1のガラス基板221に対向する表面)上に、マトリクス状の透明電極216を形成し、第1のガラス基板221の内面上には、当該透明電極216に直交する方向に並列した、複数のストライプ状の透明電極222を形成することが好ましい。また、透明電極216を、図示しない非線形素子を介して配線218Aに対して導電接続するとともに、もう一方の透明電極222を、配線228に対して導電接続することが好ましい。
そして、透明電極216と透明電極222とは相互に直交するため、その交差領域がマトリクス状に配列された多数の画素を構成し、これら多数の画素の配列が、全体として液晶表示領域Aを構成することになる。
また、図11に、ドライバICおよびTFD素子を用いたアクティブマトリクス配線の具体的な電気的構成例を示す。すなわち、Y方向に延在する複数のデータ電極26と、X方向に延在する複数の走査電極19とから構成されており、各交差部分において画素50が構成されている。また、各画素50において、液晶表示要素51と、TFD素子31とが直列接続されている。
【0046】
▲2▼入力端子部
また、図9に示すように、第2のガラス基板211は、第1のガラス基板221の外形よりも外側に張り出してなる基板張出部210Tを有し、この基板張出部210T上には、配線218A、配線228に対して、シール材230の一部で構成される上下導通部を介して導電接続された配線218B、および、独立して形成された複数の配線パターンからなる入力端子部219が形成されていることが好ましい。
また、基板張出部210T上には、これら配線218A、218Bおよび入力端子部219に対して導電接続されるように、液晶駆動回路等を内蔵した半導体IC261が実装されていることが好ましい。
さらに、基板張出部210Tの端部には、入力端子部219に導電接続されるように、フレキシブル配線基板263が実装されていることが好ましい。
【0047】
(3)位相差板および偏光板
図9に示される液晶パネル200において、図10に示すように、第1のガラス基板221の所定位置に、鮮明な画像表示が認識できるように、位相差板(1/4波長板)250および偏光板251が配置されていることが好ましい。
そして、第2のガラス基板211の外面においても、位相差板(1/4波長板)240および偏光板241が配置されていることが好ましい。
【0048】
2.カラーフィルタ基板(第1の電気光学装置用基板)
(1)基本的構成
カラーフィルタ基板220は、図10に示すように、基本的に、ガラス基板221と、着色層214と、透明電極222と、配向膜217と、から構成してあることが好ましい。
また、カラーフィルタ基板220において、反射機能が必要な場合、例えば、携帯電話等に使用される反射半透過型の液晶表示装置においては、ガラス基板221と、着色層214との間に、図10に示すように、反射層212を設けることが好ましい。
さらに、カラーフィルタ基板220において、図10に示すように、その表面を平坦化するための平坦化層315や、電気絶縁性を向上させるための絶縁層を設けることも好ましい。
【0049】
(2)着色層
▲1▼構成
また、図10に示す着色層214は、通常、透明樹脂中に顔料や染料等の着色材を分散させて所定の色調を呈するものとされている。着色層の色調の一例としては原色系フィルタとしてR(赤)、G(緑)、B(青)の3色の組み合わせからなるものがあるが、これに限定されるものではなく、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)等の補色系や、その他の種々の色調で形成することができる。
通常、基板表面上に顔料や染料等の着色材を含む感光性樹脂からなる着色レジストを塗布し、フォトリソグラフィ法によって不要部分を欠落させることによって、所定のカラーパターンを有する着色層を形成する。ここで、複数の色調の着色層を形成する場合には上記工程を繰り返すことになる。
【0050】
▲2▼遮光膜
また、図10に示すように、画素毎に形成された着色層214の間の画素間領域に、ブラックマトリクス(黒色遮光膜、あるいはブラックマスクと称する場合もある。)214BMが形成してあることが好ましい。
このようなブラックマトリクス214BMとしては、例えば黒色の顔料や染料等の着色材を樹脂その他の基材中に分散させたものや、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色材を共に樹脂その他の基材中に分散させたものなどを用いることができる。
なお、図10に示すブラックマトリクス214BMにおいては、加色法を利用して、R(赤)層17、G(緑)層16、B(青)層15の三層構造としてある。このように構成することにより、カーボン等の黒色材料を使用しなくとも、優れた遮蔽効果を得ることができる。
【0051】
▲3▼配列パターン
また、着色層の配列パターンとして、ストライプ配列を採用することが多いが、このストライプ配列の他に、斜めモザイク配列や、デルタ配列等の種々のパターン形状を採用することができる。
【0052】
(3)透明電極
図10に示すように、平坦化層315の上には、ITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電体からなる透明電極222を形成することが好ましい。かかる透明電極222は、左右方向に伸びる帯状に形成されているが、複数の透明電極222が並列したストライプ状に構成されていることが好ましい。
また、図11に示すようなアクティブマトリクス配線においては、かかる透明電極222が、走査電極を構成することになる。
【0053】
(4)配向膜
また、図10に示すように、透明電極222の上には、ポリイミド樹脂等からなる配向膜217が形成されていることが好ましい。
この理由は、このように配向膜217を設けることにより、カラーフィルタ基板220を液晶表示装置等に使用した場合に、液晶材料の配向駆動を電圧印加によって容易に実施することができるためである。
【0054】
3.対向基板(第2の電気光学装置用基板)
(1)基本構造
また、図10に示すように、カラーフィルタ基板220と対向するもう一方の対向基板(第2の電気光学装置用基板)210は、ガラス等からなる第2のガラス基板211上に、第1のガラス基板と同様の透明電極216や配向膜224を順次積層させたものであることが好ましい。
なお、このカラーフィルタ基板220の例では、着色層が第1のガラス基板221に設けてあるが、着色層を、かかる対向基板210の第2のガラス基板211上に設けることも好ましい。
【0055】
そして、対向基板に形成する二端子型非線形素子としては、図12および図13に例示するように、TFD素子31、32であることが好ましい。
かかるTFD素子31、32は、図12および図13に例示されるように、素子第1電極としての第1金属膜24、絶縁膜23、および素子第2電極としての第2金属膜22、25からなるサンドイッチ構成を有することが好ましい。ここで、第1金属膜24や第2金属膜22、25としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)や、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)等が挙げられる。また、絶縁膜23としては、このような金属材料を陽極酸化させて構成してあることが好ましい。例えば、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)等が具体的に挙げられる。
そして、正負方向のダイオードスイッチング特性を示し、しきい値以上の電圧が、第1金属膜24および第2金属膜22、25の両端子間に印加されると導通状態となるアクティブ素子である。
【0056】
そして、二端子型非線形素子の配置方法に関して、図12(c)に示すように、二個のTFD素子31、32は、走査電極19またはデータ電極26と、画素電極20との間に介在するように、ガラス基板27上に形成され、反対のダイオード特性を有する第1のTFD素子32および第2のTFD素子31から構成してあることが好ましい。
この理由は、このように二個のTFD素子31、32から構成することにより、印加する電圧波形として、交流を使用することができ、液晶表示装置等における液晶材料の劣化を防止することができるためである。すなわち、液晶材料の劣化を防止するために、ダイオードスイッチング特性が、正負方向において対称的であることが望まれ、図12および図13に例示するように、二個のTFD素子31、32を逆向きに直列接続することにより、交流を使用することができるためである。
【0057】
[第4実施形態]
本発明に係る第4実施形態としての電気光学装置を、電子機器における表示装置として用いた場合について具体的に説明する。
【0058】
(1)電子機器の概要
図14は、本実施形態の電子機器の全体構成を示す概略構成図である。この電子機器は、液晶パネル200と、これを制御するための制御手段1200とを有している。また、図14中では、液晶パネル200を、パネル構造体200Aと、半導体IC等で構成される駆動回路200Bと、に概念的に分けて描いてある。また、制御手段1200は、表示情報出力源1210と、表示処理回路1220と、電源回路1230と、タイミングジェネレータ1240とを有することが好ましい。
また、表示情報出力源1210は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等からなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ1240によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路1220に供給するように構成されていることが好ましい。
【0059】
また、表示情報処理回路1220は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路200Bへ供給することが好ましい。さらに、駆動回路200Bは、走査線駆動回路、データ線駆動回路および検査回路を含むことが好ましい。また、電源回路1230は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する機能を有している。
【0060】
(2)他の電子機器
本発明に係る電気光学装置(液晶表示装置)を適用可能な電子機器としては、パーソナルコンピュータや携帯電話機が代表的であるが、そのほかにも、液晶テレビ、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電気泳動装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた電子機器などが挙げられる。
【0061】
また、本発明の電気光学装置および電子機器は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、第3実施形態に示す液晶パネルは、TFD(薄膜ダイオード)を用いたアクティブマトリクス方式を採用しているが、図15に、回路例を示すように、TFT(薄膜トランジスタ)のアクティブマトリクス方式の電気光学装置にも適用することができる。あるいは、図16に示すように、単純マトリックス方式の液晶パネルとしても適用することができる。
また、第3実施形態に示す液晶パネルは、いわゆるCOGタイプの構造を有しているが、ICチップを直接実装する構造ではない液晶パネル、例えば液晶パネルにフレキシブル配線基板やTAB基板を接続するように構成されたものであっても構わない。
さらに、本発明は、上述した液晶パネルに限定されず、エレクトロルミネッセンス装置、特に、有機エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置等や、プラズマディスプレイ装置、FED(フィールドエミッションディスプレイ)装置、電気泳動表示装置などの各種の電気光学装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の電気光学装置用基板における配線構造を説明するために供する図である。
【図2】第1実施形態の電気光学装置用基板におけるコモン配線を説明するために供する図である。
【図3】第1実施形態の電気光学装置用基板における配線構造の製造方法を説明するために供する図である(その1)。
【図4】第1実施形態の電気光学装置用基板における配線構造の製造方法を説明するために供する図である(その2)。
【図5】TFDの製造方法を説明するために供する図である(その1)。
【図6】TFDの製造方法を説明するために供する図である(その2)。
【図7】TFDの製造方法を説明するために供する図である(その3)。
【図8】第1実施形態の別な電気光学装置用基板における配線構造を説明するために供する図である。
【図9】第3実施形態に係る液晶パネルの外観を示す概略斜視図である。
【図10】第3実施形態のパネル構造を模式的に示す概略断面図である。
【図11】TFDの電気的配線を説明するために供する図である。
【図12】TFDを説明するために供する図である(その1)。
【図13】TFDを説明するために供する図である(その2)。
【図14】本発明に係る電子機器の実施形態における構成ブロックを示す概略構成図である。
【図15】TFTの電気的配線を説明するために供する図である。
【図16】単純マトリックスタイプの液晶パネルの外観を示す概略斜視図である。
【図17】従来の液晶パネルにおける配線構造を説明するために供する図である。
【符号の説明】
10:電気光学装置用基板、12:第1の電気光学装置用基板、13:第1のガラス基板、14:第2の電気光学装置用基板、18:ブラックマトリクス、19:電気配線(走査電極)、20:画素電極、22:第1の素子第2電極、23:絶縁膜、24:素子第1電極、25:第2の素子第2電極、26:データ電極、27:第2のガラス基板、31:第1のTFD素子、32:第2のTFD素子、150:アルミニウム層、152:クロム層、154:透明性無機酸化物層、160:多層配線構造、170:三辺フリー基板、200:液晶パネル、210:対向基板、211:第2基板、212:反射層、212a:開口部、212r:反射部、214:着色層、215a:開口部、216:透明電極、220:カラーフィルタ基板、221:第1基板、222:透明電極、315:平坦化層
【発明の属する技術分野】
本発明は、低抵抗かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、および電気光学装置に関する。特に、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子(薄膜ダイオード)を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である多層配線構造を備えた電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、および電気光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示装置は、対向する第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを含む一対の電気光学装置用基板との間に、液晶材料を注入して構成されている(例えば、特許文献1参照)。
そして、特許文献1に開示された液晶表示装置の場合、図17に例示されるように、電気絶縁基板(SUB)上に、薄膜トランジスタ(TFT)と、そのゲート配線(GL)/ゲート電極(GT)、ドレイン配線(DL)/ドレイン電極(DT)、およびコモン配線(CL)/コモン電極(CT)を有し、各配線/電極のうち、少なくともゲート配線/電極が、アルミニウムもしくはアルミニウムを主体とする合金層(g1)に高融点金属層(g2)を被覆した積層構造膜に、アモルファスITO膜(g3)を被覆した配線を有することを特徴としている。また、多結晶ITO膜を用いる場合には、最下層に形成するとともに、その上に、モリブテン/アルミニウム/モリブテンの積層構造膜を形成することが提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−194676号公報 (第3頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された液晶表示装置の場合、アルミニウム(g1)/高融点金属層(g2)/アモルファスITO膜(g3)の各線幅を考慮していないために、図18に示されるように、露出しているアルミニウム(g1)と、アモルファスITO膜(g3)が接触してしまい、アモルファス透明導電膜を形成する際のレジスト現像時に、電池反応が生じるという問題が見られた。したがって、アルミニウム(g1)が腐蝕してしまい、その結果、高抵抗化したり、耐久性が低下したりするという問題が見られた。
また、アモルファスITO膜(g3)からなる配線を形成するためには、エッチングする必要があるが、エッチャントによって、露出しているアルミニウム(g1)が溶出してしまい、多層配線構造を精度良く形成することが困難であるという問題が見られた。
一方、多結晶ITO膜を用いる場合には、積層構造膜の種類が過度に制限されてしまい、電気絶縁基板上に、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子(薄膜ダイオード)を形成する工程および、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが困難であるという問題が見られた。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、電気絶縁基板上に、アルミニウム層、クロム層、および透明性無機酸化物層を含む多層配線構造を形成した場合であっても、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板、その製造方法、および電気光学装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、電気絶縁基板上に、アルミニウム層、クロム層および透明性無機酸化物層を順次に形成した、実質的にライン状の多層配線構造を備えた電気光学装置用基板において、
クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にすることを特徴とする電気光学装置用基板が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、多層配線構造における各配線の幅を考慮することにより、透明無機酸化物層を形成する際の電池反応を有効に防止し、また、エッチング時のアルミニウム溶出を有効に防止できることから、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板を容易に提供することができる。また、このような構成であれば、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0006】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、クロム層は、アルミニウム層の両端面の少なくとも一部、および上面を被覆していることが好ましい。
このように構成することにより、透明無機酸化物層を現像する際の電池反応を有効に防止できるとともに、エッチング時のアルミニウム溶出をより有効に防止することができる。
【0007】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、アルミニウム層と、透明性無機酸化物層とを、非接触状態とすることが好ましい。
このように構成することにより、透明無機酸化物層を形成する際の現像条件やエッチング条件がばらついたような場合であっても、現像時の電池反応を有効に防止できるとともに、エッチング時のアルミニウム溶出をより有効に防止することができる。
【0008】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、電気絶縁基板と、アルミニウム層との間に、タンタル層、あるいは酸化タンタル層を表面に含むタンタル層を備えるとともに、当該タンタル層あるいは酸化タンタル層を表面に含むタンタル層の線幅(W4)を、アルミニウム層の線幅(W1)よりも大きくすることが好ましい。
このように構成することにより、電気絶縁基板と、アルミニウム層との間の密着力を向上させることができるとともに、アルミニウム層の寸法精度をさらに高めることができる。また、このような構成であれば、タンタル層およびクロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0009】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、クロム層は、アルミニウム層を被覆しており、クロム層の線幅(W2)は、アルミニウム層の線幅(W1)よりも大きく、クロム層の線幅(W2)と、アルミニウム層の線幅(W1)との差が、0.01μm以上であることが好ましい。
このように構成することにより、多層配線構造の低抵抗化と、電池反応抑止およびアルミニウム溶出防止と、のバランスをより良好なものとすることができる。
【0010】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、透明性無機酸化物層が、多結晶インジウムスズ酸化物(ITO)から形成してあることが好ましい。
このように構成することにより、アモルファスインジウムスズ酸化物(ITO)を被覆する場合と比較して、多層配線構造の低抵抗化をさらに図ることができる。
なお、多結晶インジウムスズ酸化物を用いた場合、アモルファスインジウムスズ酸化物を用いる場合と比較して、アルミニウムとの腐蝕電位の差が大きくなるという問題があるが、多層配線構造における各配線の幅を考慮することにより、透明無機酸化物層を形成する際の電池反応を有効に防止することができる。
【0011】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、アルミニウム層の厚さを0.01〜10μmの範囲内の値とし、クロム層の厚さを0.01〜10μmの範囲内の値とし、かつ、透明性無機酸化物層の厚さを0.01〜5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、多層配線構造の低抵抗化と、電池反応抑止およびアルミニウム溶出防止と、のバランスをより良好なものとすることができる。また、このような構成であれば、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0012】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、アルミニウム層の比抵抗を1〜10μΩ・cmの範囲内の値とし、クロム層の比抵抗を15〜50μΩ・cmの範囲内の値とし、かつ、透明性無機酸化物層の比抵抗を100〜300μΩ・cmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、多層配線構造の低抵抗化と、電池反応抑止およびアルミニウム溶出防止と、のバランスをより良好なものとすることができる。また、このような構成であれば、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0013】
また、本発明の別の態様は、電気絶縁基板上に、多層配線構造として、アルミニウム層、クロム層および透明性無機酸化物層を順次に形成する電気光学装置用基板の製造方法であって、
所定の線幅(W1)を有するアルミニウム層を形成する工程と、
アルミニウム層上に、所定の線幅(W2)を有するクロム層を形成する工程と、
クロム層上に、所定の線幅(W3)を有する透明性無機酸化物層を形成する工程と、を含み、かつ、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にする工程を含むことを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法である。
すなわち、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板を効率的に提供することができる。また、このような製造工程であれば、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0014】
また、本発明の別の態様は、電気光学装置に対向使用されるとともに、第1の電気光学装置用基板および第2の電気光学装置用基板からなる一対の電気光学装置用基板であって、
第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、その上に設けられた電気配線と、を備え、
第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備え、
かつ、第2の電気光学装置用基板は、第2のガラス基板に形成されたタンタル層およびその上のアルミニウム層上に、素子第1電極および素子第2電極に電気接続されるクロム層および透明性無機酸化物層を電気接続するための多層配線構造を備えており、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にすることを特徴とする電気光学装置用基板である。
すなわち、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板を容易に提供することができる。また、このような構成であれば、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0015】
また、本発明の別の態様は、対向する第1の電気光学装置用基板と第2の電気光学装置用基板とを含む一対の電気光学装置用基板、およびその間に電気光学的物質を含む電気光学装置であって、
第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、その上に設けられた電気配線と、を備え、
第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備え、
かつ、第2の電気光学装置用基板は、第2のガラス基板に形成されたタンタル層およびその上のアルミニウム層上に、素子第1電極および素子第2電極に電気接続されるクロム層および透明性無機酸化物層を電気接続するための多層配線構造を備えており、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にすることを特徴とする電気光学装置である。
すなわち、このように構成することにより、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板を用いた電気光学装置を容易に提供することができる。また、このような構成であれば、クロム層を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0016】
また、本発明の別の態様は、上述した電気光学装置用基板の製造方法を用いることを特徴とする電気光学装置の製造方法である。
このように実施することによって、多層配線構造における各配線の幅を考慮することにより、透明無機酸化物層を形成する際の電池反応を有効に防止し、また、エッチング時のアルミニウム溶出を有効に防止できることから、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置を効率的に提供することができる。
【0017】
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの電気光学装置用基板を備えることを特徴とする電子機器である。
このように構成することによって、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置用基板を含む電子機器を効果的に提供することができる。
【0018】
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器である。
このように構成することによって、低抵抗であって、かつ製造容易な多層配線構造を備えた電気光学装置を含む電子機器を効果的に提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の多層配線構造を備えた電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、および電気光学装置に関する実施形態について具体的に説明する。
ただし、かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
【0020】
[第1実施形態]
第1実施形態は、図1(a)〜(b)に例示されるように、電気絶縁基板211上に、アルミニウム層150、クロム層152および透明性無機酸化物層154を順次に形成した、実質的にライン状の多層配線構造160を備えた電気光学装置用基板170であって、クロム層152の線幅(W2)を、アルミニウム層150の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層154の線幅(W3)を、クロム層152の線幅(W2)と同等以上にすることを特徴とする電気光学装置用基板170である。
なお、図1(a)は、電気絶縁基板211上に、直接的にアルミニウム層150等を形成した電気光学装置用基板170の例であって、図1(b)は、電気絶縁基板211上に、酸化タンタル層156およびタンタル層158を介して、間接的にアルミニウム層150等を形成した電気光学装置用基板170の例である。
【0021】
1.電気絶縁基板
(1)種類
図1(a)〜(b)に示される電気絶縁基板211を構成する種類としては、例えば、ガラス基板、フェノール樹脂基板、エポキシ樹脂基板、ポリカーボネート樹脂基板、弗素樹脂基板等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0022】
(2)表面処理
また、図1(b)に示されるように、かかる電気絶縁基板211上に、表面処理することが好ましい。すなわち、タンタル層158、あるいは酸化タンタル層156を表面に含むタンタル層158を備えるとともに、当該タンタル層158あるいは酸化タンタル層156を表面に含むタンタル層158の線幅(W4)を、アルミニウム層150の線幅(W1)よりも大きくすることが好ましい。
この理由は、このようなタンタル層、あるいは酸化タンタル層を表面に含むタンタル層を備えることにより、その上のアルミニウム層、クロム層および透明性無機酸化物層の薄膜抵抗が安定し、インピーダンス特性が良好なものとなるためである。また、このようなタンタル層、あるいは酸化タンタル層を表面に含むタンタル層を備えることにより、電気絶縁基板と、アルミニウム層との間の密着力も向上するためである。
ここで、タンタル層を構成する種類としては、タンタルを主成分としたものであれば特に制限されるものではないが、例えば、タンタル単独や、タンタルと、モリブデン、クロム、又はチタン等とを含むタンタル合金が挙げられる。また、タンタル層の代わりに、モリブデン、タングステン、クロム、又はチタン等の単体金属層や、少なくともそれら1種類を主成分として含む合金層であってもよい。
なお、タンタル層の線幅を0.1〜400μmの範囲内の値とすることが好ましく、タンタル層の厚さについても0.01〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0023】
2.アルミニウム層
(1)種類
図1(a)〜(b)に示されるアルミニウム層150を構成するアルミニウムの種類としては、アルミニウムを主成分としたものであれば特に制限されるものでないが、例えば、アルミニウム単独や、アルミニウムと、銅、銀、スズ、クロム、モリブデン、タンタル、ネオジウム、またはチタン等の少なくとも一種とを含むアルミニウム合金が挙げられる。
【0024】
(2)線幅
また、アルミニウム層の線幅を0.1〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるアルミニウム層の線幅が0.1μm未満の値になると、配線の形成が困難になり、寸法精度もばらつく場合があるためである。
【0025】
(3)厚さ
また、アルミニウム層の厚さを0.01〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるアルミニウム層の厚さが0.01μm未満の値になると、成膜が困難であるために配線が断線するとともに、エッチングが困難となる場合があるためである。一方、かかるアルミニウム層の厚さが100μmを越えると、膜厚の分布が不均一となり、エッチングの加工性に問題が生じる場合があるためである。
【0026】
(4)比抵抗
また、アルミニウム層の比抵抗を1〜10μΩ・cmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0027】
3.クロム層
(1)種類
図1(a)〜(b)に示されるクロム層152を構成する種類としては、クロムを主成分としたものであれば特に制限されるものでないが、例えば、クロム単独や、クロムと、モリブデン、タンルタル、またはチタン等と、を含むクロム合金が挙げられる。また、クロム層の代わりに、モリブデン、タングステン、タンタル、又はチタン等の単体金属層、あるいは、少なくともそれらの2種類以上を含む合金層であってもよい。
【0028】
(2)線幅
また、クロム層の線幅を0.1〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるクロム層の線幅が0.1μm未満の値になると、配線の形成が困難になり、寸法精度もばらつく場合があるためである。
【0029】
また、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)を考慮して定めることがより好ましい。すなわち、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)よりも大きくし、クロム層の線幅(W2)とアルミニウム層の線幅(W1)との差を、0.01μm以上とすることが好ましい。
この理由は、このように数値設計することにより、多層配線構造の低抵抗化と、電池反応抑止およびアルミニウム溶出防止と、のバランスをより良好なものとすることができるためである。
【0030】
(3)厚さ
また、クロム層の厚さを0.01〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるクロム層の厚さが0.01μm未満の値になると、成膜が困難であるために配線が断線するとともに、エッチングが困難になる場合があるためである。一方、かかるクロム層の厚さが100μmを越えると、膜厚の分布が不均一となり、エッチングの加工性に問題が生じる場合があるためである。
【0031】
(4)比抵抗
また、クロム層の比抵抗を15〜50μΩ・cmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0032】
4.透明性無機酸化物層
(1)種類
図1(a)〜(b)に示される透明性無機酸化物層154を構成する導電性無機酸化物の種類としては、例えば、多結晶インジウムスズ酸化物、アモルファスインジウムスズ酸化物、アモルファスインジウム亜鉛酸化物、アモルファスインジウムゲルマニウム酸化物等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
なお、本発明の電気光学装置用基板は、図1(a)〜(b)に示されるように、アルミニウム層150が、クロム層152を介して、透明性無機酸化物層154と隔離されているため、透明性無機酸化物層154として、腐蝕電位が比較的大きく異なる多結晶インジウムスズ酸化物等を用いたとしても、多結晶インジウムスズ酸化物を形成する際に行われるレジスト現像でのアルミニウム層の腐蝕を有効に防止することができる。一方、多結晶インジウムスズ酸化物等は、アモルファスインジウムスズ酸化物等と比較して、それ自体低抵抗であって、しかも成膜温度を低下できるという製造上の利点も得られることから、好ましい透明性無機酸化物層の構成材料である。
【0033】
(2)線幅
また、透明性無機酸化物層の線幅を0.1〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる透明性無機酸化物層の線幅が0.1μm未満の値になると、配線の形成が困難になり、寸法精度もばらつく場合があるためである。
【0034】
(3)厚さ
また、透明性無機酸化物層の厚さを0.01〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる透明性無機酸化物層の厚さが0.01μm未満の値になると、成膜が困難であるために配線が断線するとともに、エッチングが困難になる場合があるためである。一方、かかる透明性無機酸化物層の厚さが100μmを越えると、膜厚の分布が不均一となり、エッチングの加工性に問題が生じる場合があるためである。
【0035】
(4)比抵抗
また、透明性無機酸化物層の比抵抗を100〜300μΩ・cmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0036】
5.多層配線構造
また、図1(a)〜(b)に示される多層配線構造160は、図2に示すように、いわゆる三辺フリーの電気光学装置用基板170におけるコモン電極178として使用するとともに、エッジ部に沿って、配置することが好ましい。
すなわち、図1(a)〜(b)に示される多層配線構造160は、低抵抗であって、ピッチが狭くともインピーダンス特性に優れているため、図2に示される三辺フリーの電気光学装置用基板170におけるコモン電極178として、比較的長い距離を引き回したとしても、画像表示部172における画像表示特性を劣化させるなどの悪影響を及ぼすことが少ないためである。
【0037】
[第2実施形態]
第2実施形態は、図3または図4に例示するように、電気絶縁基板211上に、多層配線構造160として、アルミニウム層150、クロム層152および透明性無機酸化物層154を順次に形成する電気光学装置用基板170の製造方法であって、以下の工程(A)〜(D)を含むことを特徴とする電気光学装置用基板170の製造方法である。
(A)所定の線幅(W1)を有するアルミニウム層を形成する工程(以下、アルミニウム層形成工程と称する場合がある。)
(B)アルミニウム層上に、所定の線幅(W2)を有するクロム層を形成する工程(以下、クロム層形成工程と称する場合がある。)
(C)クロム層上に、所定の線幅(W3)を有する透明性無機酸化物層を形成する工程(以下、透明性無機酸化物層形成工程と称する場合がある。)
(D)クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にする工程(以下、調整工程と称する場合がある。)
【0038】
1.(A)アルミニウム層形成工程
アルミニウム層は、蒸着法やスパッタリング法等と、フォトリソグラフィ法とを組み合わせて、形成することが好ましい。
すなわち、図3(a)または図4(a)に示すように、電気絶縁基板211を準備した後、図3(b)または図4(b)に示すように、電気絶縁基板211上に、蒸着法やスパッタリング法等を用いて、全面的にアルミニウム層を形成した後、所定箇所に、所定幅(W1)のアルミニウム層150を形成することが好ましい。
なお、第1の実施形態において既に説明したように、図1(b)に示されるように、アルミニウム層150を形成する前に、電気絶縁基板211上に、タンタル層158、あるいは酸化タンタル層156を表面に含むタンタル層158を形成しておくことも好ましい。
【0039】
2.(B)クロム層形成工程
次いで、所定幅(W2)を有するクロム層は、所定幅(W1)のアルミニウム層上に、蒸着法やスパッタリング法と、フォトリソグラフィ法とを組み合わせて、形成することが好ましい。
すなわち、図3(c)または図4(c)に示すように、アルミニウム層150を含む電気絶縁基板211上に、蒸着法やスパッタリング法等を用いて、全面的にクロム層を形成した後、アルミニウム層150を覆うように、所定幅(W2)を有するクロム層152を形成することが好ましい。
なお、電気絶縁基材上の所定箇所に設けてあるアルミニウム層上に、所定幅のクロム層を形成するにあたり、製造工程の簡便上、図5(a)〜図6(d)に示すように、TFDを構成する第1素子および第2素子のタンタル層158、あるいは酸化タンタル層156を表面に含むタンタル層158を形成した後、クロム層152を形成するのと同時に、当該クロム層を形成することがより好ましい。
【0040】
3.(C)透明性無機酸化物層形成工程
次いで、所定幅(W3)を有する透明性無機酸化物層は、所定幅(W2)のアルミニウム層上に、蒸着法やスパッタリング法と、フォトリソグラフィ法とを組み合わせて、形成することが好ましい。
すなわち、図3(d)または図4(d)に示すように、アルミニウム層150およびクロム層152を含む電気絶縁基板上に、蒸着法やスパッタリング法等を用いて、全面的に透明性無機酸化物層を形成した後、アルミニウム層150およびクロム層152を覆うように、所定幅(W3)を有する透明性無機酸化物層154を形成することが好ましい。すなわち、図3(c)に示すように、先に所定幅(W2)を有するクロム層152を形成した後に、図3(d)に示すように、所定幅(W3)を有する透明性無機酸化物層154を形成してもよく、また、図4(d)に示すように、全面にクロム層が設けられている状態で、透明性無機酸化物層を形成した後に、図4(e)に示すように、クロム層および透明性無機酸化物層を同時にエッチングして所定幅(W3)を有する透明性無機酸化物層154を形成することもできる。
なお、電気絶縁基材上の所定箇所に順次に設けてあるアルミニウム層およびクロム層上に、所定幅の透明性無機酸化物層を形成するにあたり、製造工程の簡便上、図7(c)に示すように、TFDを構成する第1素子および第2素子に連なる画像表示部における透明電極(透明性無機酸化物層)154を形成するのと同時に、当該透明性無機酸化物層を形成することがより好ましい。
【0041】
4.(D)調整工程
また、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にする調整工程を設けることが好ましい。
すなわち、(A)アルミニウム層形成工程、(B)クロム層形成工程、および(C)透明性無機酸化物層形成工程を実施した直後において、形成されたアルミニウム層、クロム層および透明性無機酸化物層の線幅が、所定寸法であるとともに、それぞれ所定箇所に形成されていることを検査することが好ましい。
この理由は、このように調整工程を設けることにより、アルミニウム層と、透明性無機酸化物層とを、確実に隔離することができ、図8(a)に示すように、透明性無機酸化物層のレジスト155を現像する際の電池反応を有効に防止できるとともに、図8(b)に示すように、透明性無機酸化物層154をエッチングする際のアルミニウムの溶出を有効に防止して、多層配線構造を形成することができるためである。
【0042】
[第3実施形態]
第3実施形態は、対向する第1の電気光学装置用基板と第2の電気光学装置用基板とを含む一対の電気光学装置用基板、およびその間に電気光学的物質を含む電気光学装置であって、
第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、その上に設けられた電気配線と、を備え、
第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備え、
かつ、第2の電気光学装置用基板は、第2のガラス基板に形成されたタンタル層およびその上のアルミニウム層上に、素子第1電極および素子第2電極に電気接続されるクロム層および透明性無機酸化物層を電気接続するための多層配線構造を備えており、クロム層の線幅(W2)を、アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、クロム層の線幅(W2)と同等以上にすることを特徴とする電気光学装置である。
以下、カラーフィルタ基板(第1の電気光学装置用基板)、二つの二端子型非線形素子(薄膜ダイオード)を備えた対向基板(第2の電気光学装置用基板)、およびそれらを用いた液晶パネルを例に採って説明する。
【0043】
1.液晶パネルの基本構造
まず、図9〜図13を参照して、本発明の電気光学装置用基板を用いた電気光学装置の基本構造、すなわち、セル構造や配線、あるいは位相差板および偏光板について具体的に説明する。
また、図9は、本発明に係る電気光学装置を構成する液晶パネル200の外観を示す概略斜視図であり、図10は、液晶パネル200の模式的な概略断面図であり、図11は、アクティブマトリクス配線の電気的構成を示す図であり、図12および図13は、それぞれ二端子型非線形素子としてのTFD(Thin Film Diode)の構成を説明するために供する図である。
なお、図9に示される電気光学装置を構成する液晶パネル200は、図12および図13に示すTFDを用いたアクティブマトリクス型構造を有する液晶パネル200であって、図示しないもののバックライトやフロントライト等の照明装置やケース体などを、必要に応じて、適宜取付けることが好ましい。
【0044】
(1)セル構造
図9に示すように、液晶パネル200は、ガラス板や合成樹脂板等からなる透明な第1のガラス基板221(図12および図13中、第1のガラス基板13に相当)を基体とするカラーフィルタ基板220(第1の電気光学装置用基板と称する場合がある。)と、これに対向配置される第2のガラス基板211(図12および図13中、第2のガラス基板27に相当)を基体とする対向基板210(第2の電気光学装置用基板と称する場合がある。)とが、接着剤等のシール材230を介して貼り合わせられていることが好ましい。そして、カラーフィルタ基板220と、対向基板210とが形成する空間であって、シール材230の内側部分に対して、開口部230aを介して液晶材料232を注入した後、封止材231にて封止されてなるセル構造を備えていることが好ましい。
すなわち、図10に示すように、カラーフィルタ基板220と対向基板210との間に液晶材料232が充填されていることが好ましい。
【0045】
(2)配線
▲1▼マトリクス
図9に示すように、第2のガラス基板211の内面(第1のガラス基板221に対向する表面)上に、マトリクス状の透明電極216を形成し、第1のガラス基板221の内面上には、当該透明電極216に直交する方向に並列した、複数のストライプ状の透明電極222を形成することが好ましい。また、透明電極216を、図示しない非線形素子を介して配線218Aに対して導電接続するとともに、もう一方の透明電極222を、配線228に対して導電接続することが好ましい。
そして、透明電極216と透明電極222とは相互に直交するため、その交差領域がマトリクス状に配列された多数の画素を構成し、これら多数の画素の配列が、全体として液晶表示領域Aを構成することになる。
また、図11に、ドライバICおよびTFD素子を用いたアクティブマトリクス配線の具体的な電気的構成例を示す。すなわち、Y方向に延在する複数のデータ電極26と、X方向に延在する複数の走査電極19とから構成されており、各交差部分において画素50が構成されている。また、各画素50において、液晶表示要素51と、TFD素子31とが直列接続されている。
【0046】
▲2▼入力端子部
また、図9に示すように、第2のガラス基板211は、第1のガラス基板221の外形よりも外側に張り出してなる基板張出部210Tを有し、この基板張出部210T上には、配線218A、配線228に対して、シール材230の一部で構成される上下導通部を介して導電接続された配線218B、および、独立して形成された複数の配線パターンからなる入力端子部219が形成されていることが好ましい。
また、基板張出部210T上には、これら配線218A、218Bおよび入力端子部219に対して導電接続されるように、液晶駆動回路等を内蔵した半導体IC261が実装されていることが好ましい。
さらに、基板張出部210Tの端部には、入力端子部219に導電接続されるように、フレキシブル配線基板263が実装されていることが好ましい。
【0047】
(3)位相差板および偏光板
図9に示される液晶パネル200において、図10に示すように、第1のガラス基板221の所定位置に、鮮明な画像表示が認識できるように、位相差板(1/4波長板)250および偏光板251が配置されていることが好ましい。
そして、第2のガラス基板211の外面においても、位相差板(1/4波長板)240および偏光板241が配置されていることが好ましい。
【0048】
2.カラーフィルタ基板(第1の電気光学装置用基板)
(1)基本的構成
カラーフィルタ基板220は、図10に示すように、基本的に、ガラス基板221と、着色層214と、透明電極222と、配向膜217と、から構成してあることが好ましい。
また、カラーフィルタ基板220において、反射機能が必要な場合、例えば、携帯電話等に使用される反射半透過型の液晶表示装置においては、ガラス基板221と、着色層214との間に、図10に示すように、反射層212を設けることが好ましい。
さらに、カラーフィルタ基板220において、図10に示すように、その表面を平坦化するための平坦化層315や、電気絶縁性を向上させるための絶縁層を設けることも好ましい。
【0049】
(2)着色層
▲1▼構成
また、図10に示す着色層214は、通常、透明樹脂中に顔料や染料等の着色材を分散させて所定の色調を呈するものとされている。着色層の色調の一例としては原色系フィルタとしてR(赤)、G(緑)、B(青)の3色の組み合わせからなるものがあるが、これに限定されるものではなく、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)等の補色系や、その他の種々の色調で形成することができる。
通常、基板表面上に顔料や染料等の着色材を含む感光性樹脂からなる着色レジストを塗布し、フォトリソグラフィ法によって不要部分を欠落させることによって、所定のカラーパターンを有する着色層を形成する。ここで、複数の色調の着色層を形成する場合には上記工程を繰り返すことになる。
【0050】
▲2▼遮光膜
また、図10に示すように、画素毎に形成された着色層214の間の画素間領域に、ブラックマトリクス(黒色遮光膜、あるいはブラックマスクと称する場合もある。)214BMが形成してあることが好ましい。
このようなブラックマトリクス214BMとしては、例えば黒色の顔料や染料等の着色材を樹脂その他の基材中に分散させたものや、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色材を共に樹脂その他の基材中に分散させたものなどを用いることができる。
なお、図10に示すブラックマトリクス214BMにおいては、加色法を利用して、R(赤)層17、G(緑)層16、B(青)層15の三層構造としてある。このように構成することにより、カーボン等の黒色材料を使用しなくとも、優れた遮蔽効果を得ることができる。
【0051】
▲3▼配列パターン
また、着色層の配列パターンとして、ストライプ配列を採用することが多いが、このストライプ配列の他に、斜めモザイク配列や、デルタ配列等の種々のパターン形状を採用することができる。
【0052】
(3)透明電極
図10に示すように、平坦化層315の上には、ITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電体からなる透明電極222を形成することが好ましい。かかる透明電極222は、左右方向に伸びる帯状に形成されているが、複数の透明電極222が並列したストライプ状に構成されていることが好ましい。
また、図11に示すようなアクティブマトリクス配線においては、かかる透明電極222が、走査電極を構成することになる。
【0053】
(4)配向膜
また、図10に示すように、透明電極222の上には、ポリイミド樹脂等からなる配向膜217が形成されていることが好ましい。
この理由は、このように配向膜217を設けることにより、カラーフィルタ基板220を液晶表示装置等に使用した場合に、液晶材料の配向駆動を電圧印加によって容易に実施することができるためである。
【0054】
3.対向基板(第2の電気光学装置用基板)
(1)基本構造
また、図10に示すように、カラーフィルタ基板220と対向するもう一方の対向基板(第2の電気光学装置用基板)210は、ガラス等からなる第2のガラス基板211上に、第1のガラス基板と同様の透明電極216や配向膜224を順次積層させたものであることが好ましい。
なお、このカラーフィルタ基板220の例では、着色層が第1のガラス基板221に設けてあるが、着色層を、かかる対向基板210の第2のガラス基板211上に設けることも好ましい。
【0055】
そして、対向基板に形成する二端子型非線形素子としては、図12および図13に例示するように、TFD素子31、32であることが好ましい。
かかるTFD素子31、32は、図12および図13に例示されるように、素子第1電極としての第1金属膜24、絶縁膜23、および素子第2電極としての第2金属膜22、25からなるサンドイッチ構成を有することが好ましい。ここで、第1金属膜24や第2金属膜22、25としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)や、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)等が挙げられる。また、絶縁膜23としては、このような金属材料を陽極酸化させて構成してあることが好ましい。例えば、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)等が具体的に挙げられる。
そして、正負方向のダイオードスイッチング特性を示し、しきい値以上の電圧が、第1金属膜24および第2金属膜22、25の両端子間に印加されると導通状態となるアクティブ素子である。
【0056】
そして、二端子型非線形素子の配置方法に関して、図12(c)に示すように、二個のTFD素子31、32は、走査電極19またはデータ電極26と、画素電極20との間に介在するように、ガラス基板27上に形成され、反対のダイオード特性を有する第1のTFD素子32および第2のTFD素子31から構成してあることが好ましい。
この理由は、このように二個のTFD素子31、32から構成することにより、印加する電圧波形として、交流を使用することができ、液晶表示装置等における液晶材料の劣化を防止することができるためである。すなわち、液晶材料の劣化を防止するために、ダイオードスイッチング特性が、正負方向において対称的であることが望まれ、図12および図13に例示するように、二個のTFD素子31、32を逆向きに直列接続することにより、交流を使用することができるためである。
【0057】
[第4実施形態]
本発明に係る第4実施形態としての電気光学装置を、電子機器における表示装置として用いた場合について具体的に説明する。
【0058】
(1)電子機器の概要
図14は、本実施形態の電子機器の全体構成を示す概略構成図である。この電子機器は、液晶パネル200と、これを制御するための制御手段1200とを有している。また、図14中では、液晶パネル200を、パネル構造体200Aと、半導体IC等で構成される駆動回路200Bと、に概念的に分けて描いてある。また、制御手段1200は、表示情報出力源1210と、表示処理回路1220と、電源回路1230と、タイミングジェネレータ1240とを有することが好ましい。
また、表示情報出力源1210は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等からなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ1240によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路1220に供給するように構成されていることが好ましい。
【0059】
また、表示情報処理回路1220は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路200Bへ供給することが好ましい。さらに、駆動回路200Bは、走査線駆動回路、データ線駆動回路および検査回路を含むことが好ましい。また、電源回路1230は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する機能を有している。
【0060】
(2)他の電子機器
本発明に係る電気光学装置(液晶表示装置)を適用可能な電子機器としては、パーソナルコンピュータや携帯電話機が代表的であるが、そのほかにも、液晶テレビ、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電気泳動装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた電子機器などが挙げられる。
【0061】
また、本発明の電気光学装置および電子機器は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、第3実施形態に示す液晶パネルは、TFD(薄膜ダイオード)を用いたアクティブマトリクス方式を採用しているが、図15に、回路例を示すように、TFT(薄膜トランジスタ)のアクティブマトリクス方式の電気光学装置にも適用することができる。あるいは、図16に示すように、単純マトリックス方式の液晶パネルとしても適用することができる。
また、第3実施形態に示す液晶パネルは、いわゆるCOGタイプの構造を有しているが、ICチップを直接実装する構造ではない液晶パネル、例えば液晶パネルにフレキシブル配線基板やTAB基板を接続するように構成されたものであっても構わない。
さらに、本発明は、上述した液晶パネルに限定されず、エレクトロルミネッセンス装置、特に、有機エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置等や、プラズマディスプレイ装置、FED(フィールドエミッションディスプレイ)装置、電気泳動表示装置などの各種の電気光学装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の電気光学装置用基板における配線構造を説明するために供する図である。
【図2】第1実施形態の電気光学装置用基板におけるコモン配線を説明するために供する図である。
【図3】第1実施形態の電気光学装置用基板における配線構造の製造方法を説明するために供する図である(その1)。
【図4】第1実施形態の電気光学装置用基板における配線構造の製造方法を説明するために供する図である(その2)。
【図5】TFDの製造方法を説明するために供する図である(その1)。
【図6】TFDの製造方法を説明するために供する図である(その2)。
【図7】TFDの製造方法を説明するために供する図である(その3)。
【図8】第1実施形態の別な電気光学装置用基板における配線構造を説明するために供する図である。
【図9】第3実施形態に係る液晶パネルの外観を示す概略斜視図である。
【図10】第3実施形態のパネル構造を模式的に示す概略断面図である。
【図11】TFDの電気的配線を説明するために供する図である。
【図12】TFDを説明するために供する図である(その1)。
【図13】TFDを説明するために供する図である(その2)。
【図14】本発明に係る電子機器の実施形態における構成ブロックを示す概略構成図である。
【図15】TFTの電気的配線を説明するために供する図である。
【図16】単純マトリックスタイプの液晶パネルの外観を示す概略斜視図である。
【図17】従来の液晶パネルにおける配線構造を説明するために供する図である。
【符号の説明】
10:電気光学装置用基板、12:第1の電気光学装置用基板、13:第1のガラス基板、14:第2の電気光学装置用基板、18:ブラックマトリクス、19:電気配線(走査電極)、20:画素電極、22:第1の素子第2電極、23:絶縁膜、24:素子第1電極、25:第2の素子第2電極、26:データ電極、27:第2のガラス基板、31:第1のTFD素子、32:第2のTFD素子、150:アルミニウム層、152:クロム層、154:透明性無機酸化物層、160:多層配線構造、170:三辺フリー基板、200:液晶パネル、210:対向基板、211:第2基板、212:反射層、212a:開口部、212r:反射部、214:着色層、215a:開口部、216:透明電極、220:カラーフィルタ基板、221:第1基板、222:透明電極、315:平坦化層
Claims (14)
- 電気絶縁基板上に、アルミニウム層、クロム層および透明性無機酸化物層を順次に形成した、実質的にライン状の多層配線構造を備えた電気光学装置用基板において、
前記クロム層の線幅(W2)を、前記アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、前記透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、前記クロム層の線幅(W2)と同等以上にすることを特徴とする電気光学装置用基板。 - 前記クロム層は、前記アルミニウム層の両端面の少なくとも一部、および上面を被覆していることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用基板。
- 前記アルミニウム層と、前記透明性無機酸化物層とを、非接触状態とすることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置用基板。
- 前記電気絶縁基板と、前記アルミニウム層との間に、タンタル層、あるいは酸化タンタル層を表面に含むタンタル層を備えるとともに、当該タンタル層あるいは酸化タンタル層を表面に含むタンタル層の線幅(W4)を、前記アルミニウム層の線幅(W1)よりも大きくすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
- 前記クロム層は、前記アルミニウム層を被覆しており、前記クロム層の線幅(W2)は、前記アルミニウム層の線幅(W1)よりも大きく、前記クロム層の線幅(W2)と、前記アルミニウム層の線幅(W1)との差が、0.01μm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
- 前記透明性無機酸化物層が、多結晶インジウム錫酸化物(ITO)から形成してあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
- 前記アルミニウム層の厚さを0.01〜10μmの範囲内の値とし、前記クロム層の厚さを0.01〜10μmの範囲内の値とし、かつ、前記透明性無機酸化物層の厚さを0.01〜5μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
- 前記アルミニウム層の比抵抗を1〜10μΩ・cmの範囲内の値とし、前記クロム層の比抵抗を15〜50μΩ・cmの範囲内の値とし、かつ、前記透明性無機酸化物層の比抵抗を100〜300μΩ・cmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
- 電気絶縁基板上に、多層配線構造として、アルミニウム層、クロム層および透明性無機酸化物層を順次に形成する電気光学装置用基板の製造方法において、
所定の線幅(W1)を有するアルミニウム層を形成する工程と、
前記アルミニウム層上に、所定の線幅(W2)を有するクロム層を形成する工程と、
前記クロム層上に、所定の線幅(W3)を有する透明性無機酸化物層を形成する工程と、を含み、かつ、
前記クロム層の線幅(W2)を、前記アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、前記透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、前記クロム層の線幅(W2)と同等以上にする工程を含むことを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。 - 電気光学装置に対向使用されるとともに、第1の電気光学装置用基板および第2の電気光学装置用基板からなる一対の電気光学装置用基板において、
前記第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、その上に設けられた電気配線と、を備え、
前記第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備え、
かつ、前記第2の電気光学装置用基板は、第2のガラス基板に形成されたタンタル層およびその上のアルミニウム層上に、前記素子第1電極および素子第2電極に電気接続されるクロム層および透明性無機酸化物層を電気接続するための多層配線構造を備えており、
前記クロム層の線幅(W2)を、前記アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、前記透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、前記クロム層の線幅(W2)と同等以上にすることを特徴とする耐蝕多層配線構造を備えた電気光学装置用基板。 - 対向する第1の電気光学装置用基板と第2の電気光学装置用基板とを含む一対の電気光学装置用基板、およびその間に電気光学的物質を含む電気光学装置において、
前記第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、その上に設けられた電気配線と、を備え、
前記第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備え、
かつ、前記第2の電気光学装置用基板は、第2のガラス基板に形成されたタンタル層およびその上のアルミニウム層上に、前記素子第1電極および素子第2電極に電気接続されるクロム層および透明性無機酸化物層を電気接続するための多層配線構造を備えており、
前記クロム層の線幅(W2)を、前記アルミニウム層の線幅(W1)と同等以上にするとともに、前記透明性無機酸化物層の線幅(W3)を、前記クロム層の線幅(W2)と同等以上にすることを特徴とする電気光学装置。 - 請求項9に記載の電気光学装置用基板の製造方法を用いることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
- 請求項1〜8、および10のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板を備えることを特徴とする電子機器。
- 請求項11に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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