JP2004109819A - 電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置、および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対向使用されるとともに、第1の電気光学装置用基板および第2の電気光学装置用基板からなる一対の電気光学装置用基板であって、第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、遮光層として、ブラックマトリクスと、その上に設けられた電気配線と、を備え、第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備えるとともに、第1の電気光学装置用基板の前記ブラックマトリクスにおける赤色層、緑色層、および青色層の少なくとも一層を形成しない。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置用基板を含む電気光学装置、および、電気光学装置を含む電子機器に関する。特に、近接して対向配置し、薄型化した場合であっても、電気絶縁性に優れた電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、および、このような電気光学装置用基板を含む電気光学装置や電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示装置等の電気光学装置は、図15に例示されるように、対向する第1の電気光学装置用基板512と、第2の電気光学装置用基板514とを含む一対の電気光学装置用基板512、514との間に、液晶材料504を注入して構成されている。また、アクティブマトリクス方式の液晶表示装置の場合には、第2の電気光学装置用基板514上に、複数の画素電極520がマトリクス状に配列されるとともに、図16(a)および(b)に示すように、これらの画素電極520のそれぞれに非線形素子(スイッチング素子)、例えば、薄膜ダイオード(TFD素子)531、532が設けられており、第1の電気光学装置用基板512上に、対向電極519が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
そして、非線形素子としての薄膜ダイオード531、532に対して、しきい値以上の電圧を印加し、当該非線形素子を導通状態にするとともに、当該非線形素子と、対向電極519との間に電圧をさらに印加することにより、液晶材料の配向性を制御して、所定の画像表示を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−231351号 (第3頁、第4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図16(b)に示されるように、第1の電気光学装置用基板512における対向電極としての電気配線(走査電極)519と、第2の電気光学装置用基板514における素子第1電極524の端部とを近接して対向配置するとともに、電気光学装置を薄型化して構成した場合に、外圧によりパネルが変形した際、第1の電気光学装置用基板512における電気配線519と、第2の電気光学装置用基板514における素子第1電極524の端部との間の電気絶縁性が低下して、電気配線519から素子第1電極524の端部に対して、リーク電流が生じ、それが非線形素子としての薄膜ダイオード532中を流れ、データ電極526に到達して、絶縁膜523が破壊されたり、誤動作を生じ易たりするという問題が見られた。なお、参考のため、図16(b)中に、矢印でリーク電流の流れを示してある。
特に、近年は、第1の電気光学装置用基板および第2の電気光学装置用基板を含む電気光学装置の厚さを、例えば、5μm以下にするという薄型化が図られており、そのため、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを近接して対向配置した場合であっても、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部との間の電気絶縁性を所定値以上の値とすることが望まれていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、その課題は、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部とを近接して対向配置した場合であっても、第1の電気光学装置用基板における電気配線(走査電極)と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部との間の電気絶縁性に優れた電気光学装置用基板や、それを利用した電気光学装置等を効率的に提供することにある。
すなわち、本発明は、近接して対向配置した場合であっても、電気絶縁性に優れた電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、薄型に構成した場合であっても電気絶縁性に優れた電気光学装置、および、このような電気光学装置を含む電子機器を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、電気光学装置に対向使用されるとともに、第1の電気光学装置用基板および第2の電気光学装置用基板からなる一対の電気光学装置用基板において、第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、遮光層として、ブラックマトリクスと、その上に設けられた電気配線と、を備え、第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備えるとともに、第1の電気光学装置用基板の前記ブラックマトリクスにおける赤色層、緑色層、および青色層の少なくとも一層を形成しない(除去した)電気光学装置用基板が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、通常、赤色層、緑色層、および青色層からなるブラックマトリクスから少なくとも一層を除去することにより、着色層の厚さが薄くなり、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部との間の距離を、比較的離すことができる。したがって、近接して対向配置した場合であっても、第1の電気光学装置用基板および第2の電気光学装置用基板に形成された対向する電極間でのリーク電流の発生を防ぎ、優れた電気絶縁性を示すことができ、一対の電気光学装置用基板を用いて、電気光学装置を薄型化して構成した場合であっても、画素欠陥の発生を有効に防止することができる。
【0007】
本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、ブラックマトリクスにおける赤色層および緑色層、あるいは、いずれか一層を除去することが好ましい。
このように構成することにより、青色層を含む他の着色層でカバーして、隠蔽性の低下を抑制することができる。
【0008】
本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを対向させた場合に、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部と、第1の電気光学装置用基板における電気配線とを、鉛直方向に透視した場合に、それぞれが重ならないように配置してあることが好ましい。
すなわち、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部との間の距離が、さらに離れるように配置してあるため、第1および第2の電気光学装置用基板を近接して対向配置した場合であっても、対向する電極間のリーク電流の発生を防ぎ、優れた電気絶縁性を示すことができる。
【0009】
本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを対向させた場合に、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部に対応した位置の、第1の電気光学装置用基板における電気配線が部分的に除去してあることが好ましい。
このように構成することにより、電極の所定配置が容易になるとともに、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを近接して対向配置した場合であっても、対向する電極間でのリーク電流の発生を有効に防いで、優れた電気絶縁性を示すことができる。
【0010】
本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを対向させた場合に、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部に対応した位置の、第1の電気光学装置用基板における電気配線が絶縁処理してあることが好ましい。
このように構成することにより、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを近接して対向配置した場合であっても、対向する電極同士の配置位置にかかわらず、絶縁材等がリーク電流の発生を有効に防ぎ、優れた電気絶縁性を示すことができる。
【0011】
本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極と、第1の電気光学装置用基板におけるブラックマトリクスとを、垂直透視した場合に、それぞれが平行配置または直交配置してあることが好ましい。
このように構成することにより、画素電極の面積減少を抑制しつつ、対向する電極間でのリーク電流の発生を有効に防いで、優れた電気絶縁性を示すことができる。
【0012】
本発明の別の態様は、対向する第1の電気光学装置用基板と第2の電気光学装置用基板とを含む一対の電気光学装置用基板、およびその間に電気光学的物質を含む電気光学装置において、第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、着色層と、遮光層として、ブラックマトリクスと、その上に設けられた電気配線と、を備え、第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備えるとともに、第1の電気光学装置用基板のブラックマトリクスにおける赤色層、緑色層、および青色層の少なくとも一層を形成しない(除去する)ことを特徴とする電気光学装置である。
すなわち、通常、赤色層、緑色層、および青色層からなるブラックマトリクスから少なくとも一層を除去することにより、着色層の厚さが薄くなり、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部との間の距離を、比較的離すことができる。したがって、電気光学装置を薄型化して構成した場合であっても、画素欠陥の発生を有効に防止することができる。
【0013】
本発明の電気光学装置を構成するにあたり、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部と、第1の電気光学装置用基板における電気配線とを、垂直透視した場合に、それぞれが重ならないように配置してあることが好ましい。
すなわち、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部との間の距離が、さらに離れるように配置してあるため、電気光学装置をより薄型化して構成した場合であっても、画素欠陥の発生を有効に防止することができる。
【0014】
本発明の電気光学装置を構成するにあたり、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部に対応した位置の、第1の電気光学装置用基板における電気配線の一部に、非形成箇所が設けてあることが好ましい。
このように構成することにより、電気光学装置用基板における電極の所定配置が容易になるとともに、電気光学装置をより薄型化して構成した場合であっても、画素欠陥の発生を有効に防止することができる。
【0015】
本発明の電気光学装置を構成するにあたり、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部位置に対応して、第1の電気光学装置用基板における電気配線が絶縁処理してあることが好ましい。
このように構成することにより、電気光学装置用基板における電極の所定配置が容易になるとともに、電気光学装置をより薄型化して構成した場合であっても、画素欠陥の発生を有効に防止することができる。
【0016】
本発明の別の態様は、対向する第1の電気光学装置用基板と第2の電気光学装置用基板とを含む一対の電気光学装置用基板の製造方法において、
基板としての第1のガラス基板上に、着色層と、遮光層として、ブラックマトリクスと、電気配線とを形成することにより、第1の電気光学装置用基板を準備する工程と、
対向基板としての第2のガラス基板上に、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極と、絶縁膜と、素子第2電極とを形成することにより、第2の電気光学装置用基板を準備する工程と、を備えるとともに、
第1の電気光学装置用基板の前記ブラックマトリクスにおける赤色層、緑色層、および青色層の少なくとも一層を形成しない(除去する)工程を含むことを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法である。
すなわち、通常、赤色層、緑色層、および青色層からなるブラックマトリクスから少なくとも一層を除去することにより、着色層の厚さが薄くなり、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを近接して対向配置した場合であっても、優れた電気絶縁性を示す電気光学装置用基板を効率的に提供することができる。
【0017】
本発明の電気光学装置の製造方法を実施するにあたり、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部と、第1の電気光学装置用基板における電気配線とを、鉛直方向に透視した場合に、それぞれが重ならないように配置する工程を含むことが好ましい。
このように実施すると、電極の所定配置が容易であり、かつ、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを近接して対向配置した場合であっても、優れた電気絶縁性を示す電気光学装置用基板を効率的に提供することができる。
【0018】
本発明の電気光学装置の製造方法を実施するにあたり、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部位置に対応させて、第1の電気光学装置用基板における電気配線の一部に、非形成箇所を設ける工程を含むことが好ましい。
このように実施すると、電極の所定配置が容易であり、かつ、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを近接して対向配置した場合であっても、優れた電気絶縁性を示す電気光学装置用基板を効率的に提供することができる。
【0019】
本発明の電気光学装置の製造方法を実施するにあたり、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部位置に対応して、第1の電気光学装置用基板における電気配線を絶縁処理する工程を含むことが好ましい。
このように実施すると、電極の所定配置が容易であり、かつ、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを近接して対向配置した場合であっても、優れた電気絶縁性を示す電気光学装置用基板を効率的に提供することができる。
【0020】
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの電気光学装置と、当該電気光学装置を制御するための制御手段と、を備えたことを特徴とする電子機器である。
このように構成することにより、薄型の電気光学装置を利用した電子機器を効率的に提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置用基板を含む電気光学装置、および、電気光学装置を含む電子機器に関する実施形態について具体的に説明する。
ただし、かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
【0022】
[第1実施形態]
第1実施形態は、図1(a)〜(c)に例示されるように、電気光学装置に対向使用されるとともに、第1の電気光学装置用基板12および第2の電気光学装置用基板14からなる一対の電気光学装置用基板であって、第1の電気光学装置用基板12は、基板としての第1のガラス基板13と、着色層(図示せず)と、遮光層として、通常、青色層15、赤色層16、および緑色層17を含むブラックマトリクス18と、その上に設けられた電気配線19と、を備え、第2の電気光学装置用基板14は、基板としての第2のガラス基板27と、二端子型非線形素子31、32を構成する素子第1電極24、絶縁膜23および素子第2電極22、25と、を備えるとともに、第1の電気光学装置用基板12のブラックマトリクス18における青色層15、赤色層16、および緑色層17の少なくとも一層を形成しない(除去した)ことを特徴とする電気光学装置用基板である。
以下、本発明の第1実施形態の電気光学装置用基板について、カラーフィルタ基板(第1の電気光学装置用基板)、二つの二端子型非線形素子を備えた対向基板(第2の電気光学装置用基板)、およびそれらを用いた液晶パネルを例に採って説明する。
【0023】
1.基本構造
まず、図2〜図4を参照して、本発明の第1実施形態の電気光学装置用基板を用いた電気光学装置の基本構造、すなわち、セル構造や配線、あるいは位相差板および偏光板について具体的に説明する。なお、図2は、本発明に係る第1実施形態の電気光学装置を構成する液晶パネル200の外観を示す概略斜視図であり、図3は、液晶パネル200の模式的な概略断面図であり、図4は、アクティブマトリクス配線の電気的構成を示す図である。
また、図2に示される電気光学装置を構成する液晶パネル200は、二端子型非線形素子としてのTFD(Thin Film Diode)を用いたアクティブマトリクス型構造を有する液晶パネル200であって、図示しないもののバックライトやフロントライト等の照明装置やケース体などを、必要に応じて、適宜取付けることが好ましい。
【0024】
(1)セル構造
図2に示すように、液晶パネル200は、ガラス板や合成樹脂板等からなる透明な第1のガラス基板221(図1中、第1のガラス基板13に相当)を基体とするカラーフィルタ基板(第1の電気光学装置用基板と称する場合がある。)220と、これに対向配置される第2のガラス基板211(図1中、第2のガラス基板27に相当)を基体とする対向基板210(第2の電気光学装置用基板と称する場合がある。)とが、接着剤等のシール材230を介して貼り合わせられていることが好ましい。そして、カラーフィルタ基板220と、対向基板210とが形成する空間であって、シール材230の内側部分に対して、開口部230aを介して液晶材料232を注入した後、封止材231にて封止されてなるセル構造を備えていることが好ましい。
すなわち、図3に示すように、カラーフィルタ基板220と、対向基板210との間に液晶材料232が充填されていることが好ましい。
【0025】
(2)配線
▲1▼マトリクス
図2に示すように、第2のガラス基板211の内面(第1のガラス基板221に対向する表面)上に、マトリクス状の透明電極216を形成し、第1のガラス基板221の内面上には、当該透明電極216に直交する方向に並列した、複数のストライプ状の透明電極222を形成することが好ましい。また、透明電極216を、図示しない非線形素子を介して配線218Aに対して導電接続するとともに、もう一方の透明電極222を、配線228に対して導電接続することが好ましい。
そして、透明電極216と透明電極222とは相互に直交するため、その交差領域がマトリクス状に配列された多数の画素を構成し、これら多数の画素の配列が、全体として液晶表示領域Aを構成することになる。
【0026】
また、図4に、ドライバICおよびTFD素子を用いたアクティブマトリクス配線の具体的な電気的構成例を示す。すなわち、Y方向に延在する複数のデータ電極26と、X方向に延在する複数の走査電極19とから構成されており、各交差部分において画素50が構成されている。また、各画素50において、液晶表示要素51と、TFD素子31とが直列接続されている。
【0027】
▲2▼入力端子部
また、図2に示すように、第2のガラス基板211は、第1のガラス基板221の外形よりも外側に張り出してなる基板張出部210Tを有し、この基板張出部210T上には、配線218A、配線228に対して、シール材230の一部で構成される上下導通部を介して導電接続された配線218B、および、独立して形成された複数の配線パターンからなる入力端子部219が形成されていることが好ましい。
また、基板張出部210T上には、これら配線218A、218Bおよび入力端子部219に対して導電接続されるように、液晶駆動回路等を内蔵した半導体IC261が実装されていることが好ましい。
さらに、基板張出部210Tの端部には、入力端子部219に導電接続されるように、フレキシブル配線基板263が実装されていることが好ましい。
【0028】
(3)位相差板および偏光板
図2に示される液晶パネル200において、図3に示すように、第1のガラス基板221の所定位置に、鮮明な画像表示が認識できるように、位相差板(1/4波長板)250および偏光板251が配置されていることが好ましい。
そして、第2のガラス基板211の外面においても、位相差板(1/4波長板)240および偏光板241が配置されていることが好ましい。
【0029】
2.カラーフィルタ基板(第1の電気光学装置用基板)
次いで、図1および図2、あるいは図3〜図8を適宜参照しながら、本発明の第1の電気光学装置用基板としての構造的特徴や動作を、カラーフィルタ基板220を例に採って詳細に説明する。
【0030】
(1)基本的構成
カラーフィルタ基板220は、図3に示すように、基本的に、ガラス基板221と、着色層214と、透明電極222と、配向膜217と、から構成してあることが好ましい。
また、カラーフィルタ基板220において、反射機能が必要な場合、例えば、携帯電話等に使用される反射半透過型の液晶表示装置においては、ガラス基板221と、着色層214との間に、図3に示すように、反射層212を設けることが好ましい。
さらに、カラーフィルタ基板220において、図3に示すように、その表面を平坦化するための平坦化層315や、電気絶縁性を向上させるための絶縁層を設けることも好ましい。
【0031】
(2)着色層
▲1▼構成
また、図3に示す着色層214は、通常、透明樹脂中に顔料や染料等の着色材を分散させて所定の色調を呈するものとされている。着色層の色調の一例としては原色系フィルタとしてR(赤)、G(緑)、B(青)の3色の組合せからなるものがあるが、これに限定されるものではなく、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)等の補色系や、その他の種々の色調で形成することができる。
通常、基板表面上に顔料や染料等の着色材を含む感光性樹脂からなる着色レジストを塗布し、フォトリソグラフィ法によって不要部分を欠落させることによって、所定のカラーパターンを有する着色層を形成する。ここで、複数の色調の着色層を形成する場合には上記工程を繰り返すことになる。
【0032】
▲2▼遮光膜
また、図3に示すように、画素毎に形成された着色層214の間の画素間領域に、ブラックマトリクス(黒色遮光膜、あるいはブラックマスクと称する場合がある。)214BMが形成してあることが好ましい。
このブラックマトリクス214BMとしては、例えば黒色の顔料や染料等の着色材を樹脂その他の基材中に分散させたものや、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色材を共に樹脂その他の基材中に分散させたものなどを用いることができる。
【0033】
また、図1に示すように、第1の電気光学装置用基板では、ブラックマトリクスにおける赤色層、緑色層、および青色層の少なくとも一層を形成しない(除去する)ことを特徴とする。
この理由は、少なくとも一層を形成しないことにより、ブラックマトリクスにおける着色層の厚さが薄くなって、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部との間の距離が、比較的離れるためである。したがって、第1および第2の電気光学装置用基板を、近接して対向配置した場合であっても、第1の電気光学装置用基板および第2の電気光学装置用基板に形成された対向する電極間でのリーク電流の発生を防ぎ、優れた電気絶縁性を示すことができる。
【0034】
また、ブラックマトリクスにおける青色層を残して、赤色層および緑色層、あるいは、いずれか一層を形成しない(除去する)ことが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、隠蔽性の高い青色層を含む他の着色層でカバーすることにより、遮光膜における隠蔽性の低下を抑制することができるためである。
【0035】
▲3▼配列パターン
また、着色層の配列パターンとして、図5(a)に示すように、ストライプ配列を採用することが多いが、このストライプ配列の他に、図5(b)に示すような斜めモザイク配列や、図5(c)に示すようなデルタ配列等の種々のパターン形状を採用することができる。
【0036】
(3)透明電極
▲1▼透明電極
図3に示すように、平坦化層315の上には、ITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電体からなる透明電極222を形成することが好ましい。かかる透明電極222は、図2において、左右方向に伸びる帯状に形成されているが、複数の透明電極222が並列したストライプ状に構成されていることが好ましい。
また、アクティブマトリクス配線においては、かかる透明電極222が、走査電極を構成することになる。
【0037】
▲2▼電極配置
また、図6(a)〜(c)に例示されるように、第2の電気光学装置用基板14は、第2のガラス基板27、二端子型非線形素子31、32を構成する素子第1電極24、絶縁膜23および二つの素子第2電極22、25と、を備えるとともに、第1の電気光学装置用基板12と、第2の電気光学装置用基板14とを対向させ、第2の電気光学装置用基板14における素子第1電極24のいずれかの端部と、第1の電気光学装置用基板12における電気配線19とを、鉛直方向に透視した場合に、それぞれが重ならないように配置してあることを特徴とする。
この理由は、このように構成することにより、第1の電気光学装置用基板12における電気配線19と、第2の電気光学装置用基板14における素子第1電極24の端部との間の距離が、比較的離れているため、近接して対向配置した場合であっても、第1の電気光学装置用基板12における電気配線19と、第2の電気光学装置用基板14に形成された対向する電極間でのリーク電流の発生を防いで、優れた電気絶縁性を示すことができるためである。
なお、このように第1の電気光学装置用基板12における電気配線19の配置を考慮して、第2の電気光学装置用基板14における素子第1電極24のいずれかの端部に重ならないように構成することも好ましいし、あるいは、図7(a)〜(c)に示すように、第2の電気光学装置用基板14における素子第1電極24の配置を考慮して、第1の電気光学装置用基板12における電気配線19と重ならないように構成することも好ましい。
【0038】
(4)配向膜
また、図3に示すように、透明電極222の上には、ポリイミド樹脂等からなる配向膜217が形成されていることが好ましい。
この理由は、このように配向膜217を設けることにより、カラーフィルタ基板220を液晶表示装置等に使用した場合に、液晶材料の電圧駆動を容易に実施することができるためである。
【0039】
(5)反射層
また、図3に示すように、第1のガラス基板221の表面には、反射層212が形成されている。この反射層212は、アルミニウム、アルミニウム合金、クロム、クロム合金、銀、銀合金などからなる金属薄膜と、から構成することが好ましい。また、反射層212には、画素毎に、反射面を有する反射部212rと、開口部212aとが設けられていることが好ましい。
そして、反射層212の上には、画素毎に着色層214が形成され、その上をアクリル樹脂やエポキシ樹脂などの透明樹脂からなる平坦化層(表面保護層、オーバーコート層)315により、被覆してあることが好ましい。したがって、この着色層214と平坦化層315とによってカラーフィルタが形成されることになる。
【0040】
3.対向基板(第2の電気光学装置用基板)
(1)基本構造
また、図1および図3に示すように、カラーフィルタ基板220と対向するもう一方の対向基板(第2の電気光学装置用基板)210は、ガラス等からなる第2のガラス基板211上に、第1のガラス基板と同様の透明電極216や配向膜224を順次積層させたものであることが好ましい。
なお、このカラーフィルタ基板220の例では、着色層が第1のガラス基板に設けてあるが、着色層を、かかる対向基板210の第2のガラス基板211上に設けることも好ましい。
【0041】
(2)二端子型非線形素子
二端子型非線形素子としては、図1に例示するように、TFD素子31、32が典型的である。
かかるTFD素子31、32は、図1に例示されるように、素子第1電極としての第1金属膜24、絶縁膜23、および素子第2電極としての第2金属膜22、25からなるサンドイッチ構成を有することが好ましい。ここで、第1金属膜24や第2金属膜22、25としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)や、クロム(Cr)等が挙げられる。また、絶縁膜23としては、このような金属材料を陽極酸化させて構成してあることが好ましい。例えば、酸化タンタル(Ta2O5)や酸化アルミニウム(Al2O3)等が具体的に挙げられる。
そして、正負方向のダイオードスイッチング特性を示し、しきい値以上の電圧が、第1金属膜24および第2金属膜22、25の両端子間に印加されると導通状態となるアクティブ素子である。
【0042】
(3)二端子型非線形素子の配置方法1
二端子型非線形素子の配置方法に関して、図1(c)に示すように、二個のTFD素子31、32は、走査電極19またはデータ電極26と、画素電極20との間に介在するように、ガラス基板27上に形成され、反対のダイオード特性を有する第1のTFD素子32および第2のTFD素子31から構成してあることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、印加する電圧波形として、交流を使用することができ、液晶表示装置等における液晶材料の劣化を防止することができるためである。すなわち、液晶材料の劣化を防止するために、ダイオードスイッチング特性が、正負方向において対称的であることが望まれ、図1に例示するように、二個のTFD素子31、32を逆向きに直列接続することにより、交流を使用することができるためである。
【0043】
なお、第1のTFD素子32は、図1中、A−A´断面を矢印方向に眺めた場合に、電気配線26から分岐した部分に相当する第2金属膜25と、絶縁膜23と、第1金属膜24と、がこの順に積層されて構成されていることが好ましい。一方、第2のTFD素子31は、同様に、A−A断面を矢印方向に眺めた場合に、画素電極20に電気接続された第2金属膜22と、絶縁膜23と、第1金属膜24と、がこの順に積層されて構成されていることが好ましい。
また、第1のTFD素子32および第2のTFD素子31において、それぞれ別個の第2金属膜25、22が設けてあるが、絶縁膜23および第1金属膜24は、それぞれ共通していることが好ましい。
【0044】
(4)二端子型非線形素子の配置方法2
また、二端子型非線形素子の配置方法に関して、図6および図8〜10に例示されるように、第2の電気光学装置用基板14における素子第1電極24と、第1の電気光学装置用基板12におけるブラックマトリクス18(参考のため、ブラックマトリクス18の存在箇所を、図6および図8〜10のそれぞれにおいて、点線で表している。)を、鉛直方向に透視した場合に、それぞれが平行配置してあることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、電極の所定配置による画素電極における開口率の低下が少なくなり、かつ、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを近接して対向配置した場合であっても、対向する電極間でのリーク電流の発生を防いで、優れた電気絶縁性を示すことができるためである。また、このように構成することにより、ダイオードスイッチング特性が、正負方向において対称的である第1のTFD素子32および第2のTFD素子31をそれぞれ配置できるとともに、第1のTFD素子32が、電気配線19の配線間スペース部分と、第1のTFD素子用第1金属膜25との間の交差部分に形成されるため、省スペース化を図ることができるためである。
【0045】
(5)二端子型非線形素子の配置方法3
また、第2の電気光学装置用基板における二端子型非線形素子の配置方法に関して、TFD素子31、32が、図8(a)に示されるように、第1のTFD素子32および第2のTFD素子31の二つから構成されており、少なくとも第1のTFD素子32が、鉛直方向に透視した場合に、第1の電気光学装置用基板(図示せず)の電気配線の配線間スペース部分と、第2の電気光学装置用基板の第1金属膜25との間の交差部分に形成されることが好ましい。
そして、図8(b)に示されるように、第1のTFD素子32は、第1金属膜24と、絶縁膜23と、第2金属膜25とから構成されており、第2のTFD素子31は、第1金属膜24と、絶縁膜23と、第2金属膜22とから構成されていることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、ダイオードスイッチング特性が、正負方向において対称的である第1のTFD素子32および第2のTFD素子31の両方を配置できるとともに、第2のTFD素子31が、第1の電気光学装置用基板(図示せず)の電気配線と、第1金属膜25との間の交差部分に形成されるため、省スペース化を図ることができるためである。
【0046】
(6)二端子型非線形素子の配置方法4
また、二端子型非線形素子の配置方法に関して、図9に示すように、第2の電気光学装置用基板14における素子第1電極24が直線状であって、鉛直方向に透視した場合に、素子第1電極24と、第1の電気光学装置用基板12におけるブラックマトリクス18とが、重なって配置されていることが好ましい。
この理由は、このように重なって配置されていることにより、素子第1電極24の設計配置が容易になるとともに、画素電極における開口率の低下を抑制しつつ、対向する電極間でのリーク電流の発生を防いで、優れた電気絶縁性を示すことができるためである。
【0047】
(7)二端子型非線形素子の配置方法5
また、二端子型非線形素子の配置方法に関して、図10(a)に示すように、第2の電気光学装置用基板14における素子第1電極24および素子第2電極22、25が、それぞれかぎ状であって、鉛直方向に透視した場合に、第2の電気光学装置用基板14における素子第1電極24と、第1の電気光学装置用基板12におけるブラックマトリクス18とが、実質的に重なって配置されていることも好ましい。
また、図10(b)および(c)に示すように、第2の電気光学装置用基板14における素子第1電極24が直線状であって、素子第2電極22、25の両方またはいずれか一方が、それぞれかぎ状であって、鉛直方向に透視した場合に、第2の電気光学装置用基板14における素子第1電極24と、第1の電気光学装置用基板12におけるブラックマトリクス18とが、実質的に重なって配置されていることも好ましい。
さらに、図10(d)および(e)に示すように、第2の電気光学装置用基板14における素子第1電極24が直線状であって、素子第2電極22、25の両方またはいずれか一方が、それぞれ斜め直線状であって、鉛直方向に透視した場合に、第2の電気光学装置用基板14における素子第1電極24と、第1の電気光学装置用基板12におけるブラックマトリクス18とが、実質的に重なって配置されていることも好ましい。
【0048】
[第2実施形態]
第2実施形態は、対向する第1の電気光学装置用基板と第2の電気光学装置用基板とを含む一対の電気光学装置用基板の製造方法であって、
基板としての第1のガラス基板上に、遮光層として、通常、赤色層、緑色層、および青色層からなるブラックマトリクスおよび電気配線を形成し、第1の電気光学装置用基板を準備する工程と、
対向基板としての第2のガラス基板上に、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極を形成し、第2の電気光学装置用基板を準備する工程と、を備えるとともに、
第1の電気光学装置用基板の前記ブラックマトリクスにおける赤色層、緑色層、および青色層の少なくとも一層を形成しない(除去する)工程を含むことを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法である。
以下、図11(a)〜(e)を参照して、本発明に係る電気光学装置あるいは電気光学装置用基板の製造方法の実施形態について詳細に説明する。本実施形態において製造する電気光学装置は、図1に示す上記第1実施形態の液晶パネル200を備えたものである。
【0049】
1.第1の電気光学装置用基板の製造
(1)着色層の形成
図11(a)に示すように、第1基板221上には、画像表示領域に相当する箇所に、反射層212、および黒色遮光層214BMを順次形成することが好ましい。
ここで、開口部212aを備えた反射層212は、蒸着法やスパッタリング法にて金属材料等を基板上に被着させた後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いてパターニングすることにより形成される。また、黒色遮光層214BMは、顔料や染料等の着色材を分散させた透明樹脂等からなる感光性樹脂を塗布し、これにパターン露光、現像処理を順次施すことによって形成する。
また、着色層214についても、顔料や染料等の着色材を分散させた透明樹脂等からなる感光性樹脂を、反射層212等の上に塗布し、これにパターン露光、現像処理を順次施すことによっても形成することができる。
なお、複数の色の着色層214を配列形成する場合には、色毎に上記工程を繰り返すことになる。
【0050】
(2)遮光層の形成
また、遮光層として、通常、赤色層、緑色層、および青色層を含むブラックマトリクスを形成するものの、本実施形態においては、赤色層、緑色層、および青色層のうち、いずれか一つ以上を形成しないか、あるいは一旦形成した後、削除することを特徴とする。
すなわち、このように実施すると、ブラックマトリクスにおける着色層の厚さが薄くなるために、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを近接して対向配置した場合であっても、優れた電気絶縁性を示す電気光学装置用基板を効率的に提供することができるためである。
【0051】
(3)透光保護層の形成
次いで、図11(b)に示すように、第1基板221上に全面的に透光保護層315Xを形成する。この透光保護層315Xは、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、フッ素樹脂などで構成することができる。これらの樹脂は流動性を有する未硬化状態で基板上に塗布され、乾燥、光硬化、熱硬化などの適宜の手段で硬化される。塗布方法としては、スピンコート法や印刷法などを用いることができる。
【0052】
次いで、上記透光保護層315Xに、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いてパターニングを施し、図11(c)に示すように、画像表示領域に限定された平坦化層315を形成する。この工程によって、透光保護層315Xから画像表示領域以外の領域、すなわち、図13に示すシール材230の外側に配置される領域とほぼ同じ領域上から透光性素材が欠落される。
【0053】
(4)透明導電層の形成
次いで、図11(d)に示すように、平坦化層315上に、電気配線として、全面的にITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電体材料からなる透明導電層222Xを形成することが好ましい。この透明導電層222Xは、一例として、スパッタリング法により成膜することができる。
そして、透明導電層222Xに対して、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いてパターニングを施し、図11(e)に示すように透明電極222を形成することが好ましい。
以下、透明導電層222Xの形成に関して、配置工程、非形成箇所の形成工程、および絶縁処理工程に分けてそれぞれ説明する。
【0054】
▲1▼電気配線の配置工程
第1の電気光学装置用基板における透明導電層(電気配線)を形成するにあたり、第1の電気光学装置用基板上に、遮光層としてのブラックマトリクスと、電気配線と、を順次に形成するとともに、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の位置を考慮して、それと重ならないように、第1の電気光学装置用基板における電気配線をずらしたり、平行移動させたりすることが好ましい。
すなわち、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを対向配置した場合に、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部との間の距離が比較的離れていることから、薄型化が容易な電気光学装置用基板を効率的に製造することができる。
ただし、後述するように、第1の電気光学装置用基板における透明導電層(電気配線)については、通常どおり形成し、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の形成位置を考慮して、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを対向配置した場合に、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極のいずれかの端部とが重ならないように配置することがより好ましい。
【0055】
▲2▼非形成箇所の形成工程
また、電気配線の一部に非形成箇所を形成させる工程を設けて、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極と、第1の電気光学装置用基板における電気配線とを、鉛直方向に透視した場合に、それぞれの電気配線が相互に重ならないようにすることが好ましい。
例えば、フォトリソグラフィ法により、第1の電気光学装置用基板における電気配線の一部をエッチングして非形成箇所を形成しても良いし、あるいは、機械的に該当箇所を削除しても良い。さらに、マスキング法により、第1の電気光学装置用基板における電気配線を形成する際に、所定箇所に電気配線を形成しないことによっても、電気配線の一部に容易に非形成箇所を形成することができる。
なお、このように実施することにより、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを対向配置した場合に、優れた絶縁特性が得られるとともに、薄型化が容易な電気光学装置用基板を効率的に製造することができる。
【0056】
▲3▼電気配線の絶縁処理工程
第1の電気光学装置用基板における電気配線の絶縁処理工程を設けて、対向する第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部と、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、の間の絶縁抵抗を所定値以上の値にすることが好ましい。
すなわち、第1の電気光学装置用基板における電気配線を形成した後に、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極のいずれかの端部位置に対応させて、絶縁処理を施すことが好ましい。
なお、このように実施することにより、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを対向配置した場合に、優れた絶縁特性が得られるとともに、薄型化が容易な電気光学装置用基板を効率的に製造することができる。
【0057】
2.第2の電気光学装置用基板の製造
(1)素子第1電極の形成
図12(a)に示すように、第2の電気光学装置用基板のガラス基板27上に、金属膜61を形成する工程である。この金属膜61は、例えば、タンタルから構成されており、スパッタリング法や電子ビーム蒸着法を用いて形成することができる。また、この金属膜61の厚さはTFD素子の用途等に対応して、適宜変更することができるが、通常、100〜500nmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0058】
また、金属膜61の形成前に、第2の電気光学装置用基板のガラス基板27上に、酸化タンタル(Ta2O5)等からなる絶縁膜を形成することも好ましい。この理由は、第2の電気光学装置用基板のガラス基板27と、金属膜61との間に、このように絶縁膜を形成することにより、ガラス基板27に対する金属膜61の密着力を著しく向上させることができるとともに、ガラス基板27から金属膜61への不純物の拡散を効率的に抑制することができるためである。
次いで、図12(b)に示すように、金属膜61をフォトリソグラフィ法やエッチング技術を用いて、パターニングして、素子第1電極とすることが好ましい。
【0059】
なお、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極のいずれかの端部と、第1の電気光学装置用基板における電気配線とを鉛直方向に透視した場合に、それぞれが重ならないように配置することも好ましい。すなわち、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを対向配置した場合に、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極のいずれかの端部とが重ならないように配置することが好ましい。
したがって、図1に示すように、第1の電気光学装置用基板12における電気配線19と、第2の電気光学装置用基板14における素子第1電極24の端部との間の距離が比較的離れており、それぞれ近接して対向配置した場合であっても、第1の電気光学装置用基板12と、第2の電気光学装置用基板14に形成された対向する電極間で、リーク電流の発生を防いで、優れた電気絶縁性を示すことができる。
【0060】
(2)酸化膜の形成
次いで、図12(c)に示すように、金属膜24の表面を陽極酸化法によって酸化させることにより、酸化膜を形成することが好ましい。より具体的には、金属膜24が形成されたガラス基板27を、クエン酸溶液等の電解液中に浸漬した後、かかる電解液と、金属膜24との間に所定電圧を印加して、金属膜24の表面を酸化させることが好ましい。
なお、酸化膜23の厚さはTFD素子の用途等に対応して、適宜変更することができるが、通常、10〜50nmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0061】
(3)素子第2電極の形成
次いで、図示しないが、再び、スパッタリング法等により、全面的に金属膜を形成し、それをフォトリソグラフィ法やエッチング技術を用いて、パターニングすることにより、図12(d)に示すように、素子第2電極22、25を形成することが好ましい。
【0062】
[第3実施形態]
本発明に係る第3実施形態としての電気光学装置を、電子機器における表示装置として用いた場合について具体的に説明する。
【0063】
(1)電子機器の概要
図14は、本実施形態の電子機器の全体構成を示す概略構成図である。この電子機器は、液晶パネル200と、これを制御するための制御手段1200とを有している。また、図14中では、液晶パネル200を、パネル構造体200Aと、半導体IC等で構成される駆動回路200Bと、に概念的に分けて描いてある。また、制御手段1200は、表示情報出力源1210と、表示処理回路1220と、電源回路1230と、タイミングジェネレータ1240とを有することが好ましい。
また、表示情報出力源1210は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等からなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ1240によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路1220に供給するように構成されていることが好ましい。
【0064】
また、表示情報処理回路1220は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路200Bへ供給することが好ましい。そして、駆動回路200Bは、走査線駆動回路、データ線駆動回路および検査回路を含むことが好ましい。また、電源回路1230は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する機能を有している。
【0065】
(2)電子機器
本発明に係る電気光学装置としての液晶表示装置を適用可能な電子機器としては、パーソナルコンピュータや、携帯電話機のほかにも、液晶テレビ、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電気泳動装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた電子機器などが挙げられる。
さらに、本発明の電気光学装置および電子機器は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態の液晶パネルは、いわゆるCOGタイプの構造を有しているが、ICチップを直接実装する構造ではない液晶パネル、例えば液晶パネルにフレキシブル配線基板やTAB基板を接続するように構成されたものであっても構わない。
また、上述した実施形態では、電気光学装置として、液晶装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、エレクトロルミネッセンス装置、特に、有機エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置等や、プラズマディスプレイ装置、FED(フィールドエミッションディスプレイ)装置、LED(発光ダイオード)表示装置、電気泳動表示装置、薄型のブラウン管、液晶シャッター、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いた装置などの各種の電気光学装置に適用できる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電気光学装置用基板によれば、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部との間の距離が、比較的離れていたり、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部位置に対応させて、第1の電気光学装置用基板の電気配線に欠落箇所を設けたり、さらには、第1の電気光学装置用基板の電気配線に特定の絶縁処理を施してしてあったりすることから、近接して対向配置した場合であっても、第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板に形成された対向する電極間のリーク電流の発生を防ぎ、優れた電気絶縁性を示すことができるようになった。したがって、二端子型非線形素子の電圧破壊を有効に防止し、二端子型非線形素子の耐久性を著しく高めることができるようになった。
【0067】
また、本発明の電気光学装置用基板の製造方法によれば、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部との間の距離が比較的離れていたり、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部位置に対応させて、第1の電気光学装置用基板の電気配線に欠落箇所を設けてあったり、さらには、第1の電気光学装置用基板の電気配線に特定の絶縁処理を施してしてあったりする電気光学装置用基板を効率的に製造することができるようになった。したがって、耐久性に優れた二端子型非線形素子を有する電気光学装置用基板を安価に提供することができるようになった。
【0068】
また、本発明の電気光学装置によれば、第1の電気光学装置用基板における電気配線と、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部との間の距離が、比較的離れていたり、第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部位置に対応させて、第1の電気光学装置用基板の電気配線に欠落箇所を設けたり、さらには、第1の電気光学装置用基板の電気配線に特定の絶縁処理を施してしてあったりする電気光学装置用基板を使用することから、薄型化のために、近接して対向配置した場合であっても、第1の電気光学装置用基板および第2の電気光学装置用基板における対向する電極間でのリーク電流の発生を防ぎ、優れた電気絶縁性を示すことができるようになった。よって、薄型化した場合であっても、優れた画像特性を示すことができる電気光学装置を効率的に提供することができるようになった。
【0069】
さらに、本発明の電子機器によれば、よって、薄型化した場合であっても、優れた画像特性を示すことができる電気光学装置を含む電子機器を効率的に提供することができるようになった。
【0070】
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、第1実施形態に係る対向基板の斜視図であり、(b)は、第1実施形態に係る電気光学装置用基板の断面図であり、(c)は、第1実施形態に係る対向基板の平面図である。
【図2】第1実施形態に係る液晶パネルの外観を示す概略斜視図である。
【図3】第1実施形態のパネル構造を模式的に示す概略断面図である。
【図4】アクティブマトリクス配線の電気的構成を示す図である。
【図5】それぞれ着色層におけるパターン配列を説明するために供する図である。
【図6】二端子型非線形素子の配置方法を説明するために供する図である(その1)。
【図7】二端子型非線形素子の配置方法を説明するために供する図である(その2)。
【図8】二端子型非線形素子の配置方法を説明するために供する図である(その3)。
【図9】(a)は、第2実施形態に係る対向基板の斜視図であり、(b)は、第2実施形態に係る電気光学装置用基板の断面図であり、(c)は、第2実施形態に係る対向基板の平面図である。
【図10】(a)は、第3実施形態に係る対向基板の斜視図であり、(b)は、第3実施形態に係る電気光学装置用基板の断面図であり、(c)は、第3実施形態に係る対向基板の平面図である。
【図11】第1の電気光学装置用基板の製造方法を説明するために供する図である。
【図12】第2の電気光学装置用基板の製造方法を説明するために供する図である。
【図13】本発明に係る第3実施形態である電気光学装置を示す断面図である。
【図14】本発明に係る電子機器の実施形態における構成ブロックを示す概略構成図である。
【図15】従来の反射半透過型の液晶パネルの構造を模式的に示す概略断面図である。
【図16】(a)は、従来の対向基板の斜視図であり、(b)は、従来の電気光学装置用基板の断面図であり、(c)は、従来の対向基板の平面図である。
【0071】
【符号の説明】
10:電気光学装置用基板、12:第1の電気光学装置用基板、13:第1のガラス基板、14:第2の電気光学装置用基板、18:ブラックマトリクス、19:電気配線(走査電極)、20:画素電極、22:第1の素子第2電極、23:絶縁膜、24:素子第1電極、25:第2の素子第2電極、26:データ電極、27:第2のガラス基板、31:第1のTFD素子、32:第2のTFD素子、200:液晶パネル、210:対向基板、211:第2基板、212:反射層、212a:開口部、212r:反射部、214:着色層、216:透明電極
220:カラーフィルタ基板、221:第1基板、222:透明電極、315:平坦化層
Claims (15)
- 対向使用されるとともに、第1の電気光学装置用基板および第2の電気光学装置用基板からなる一対の電気光学装置用基板において、
前記第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、遮光層としてのブラックマトリクスと、その上に設けられた電気配線と、を備え、
前記第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、
二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備え、
かつ、前記第1の電気光学装置用基板の前記ブラックマトリクスにおける赤色層、緑色層、および青色層の少なくとも一層を形成していないことを特徴とする電気光学装置用基板。 - 前記ブラックマトリクスにおける赤色層および緑色層、あるいは、いずれか一層を形成しないことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用基板。
- 前記第1の電気光学装置用基板と、前記第2の電気光学装置用基板とを対向させた場合に、前記第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部と、前記第1の電気光学装置用基板における電気配線とを、鉛直方向に透視した場合に、それぞれが重ならないように配置することを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置用基板。
- 前記第1の電気光学装置用基板と、前記第2の電気光学装置用基板とを対向させた場合に、前記第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部位置に対応して、前記第1の電気光学装置用基板における電気配線の一部に、非形成箇所を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。電気光学装置用基板。
- 前記第1の電気光学装置用基板と、前記第2の電気光学装置用基板とを対向させた場合に、前記第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部位置に対応して、前記第1の電気光学装置用基板における電気配線が絶縁処理してあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
- 前記第2の電気光学装置用基板における素子第1電極と、前記第1の電気光学装置用基板におけるブラックマトリクスとを、鉛直方向に透視した場合に、平行配置または直交配置してあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
- 対向する第1の電気光学装置用基板と第2の電気光学装置用基板とを含む一対の電気光学装置用基板、およびその間に電気光学的物質を含む電気光学装置において、
前記第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、遮光層としてのブラックマトリクスと、その上に設けられた電気配線と、を備え、
前記第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備え、
かつ、前記第1の電気光学装置用基板の前記ブラックマトリクスにおける赤色層、緑色層、および青色層の少なくとも一層を形成しないことを特徴とする電気光学装置。 - 前記第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部と、前記第1の電気光学装置用基板における電気配線とを、鉛直方向に透視した場合に、それぞれが重ならないように配置することを特徴とする請求項7に記載の電気光学装置。
- 前記第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部に対応した位置の、前記第1の電気光学装置用基板における電気配線の一部に、非形成箇所が設けてあることを特徴とする請求項7または8に記載の電気光学装置。
- 前記第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部位置に対応して、前記第1の電気光学装置用基板における電気配線が、絶縁処理してあることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 対向する第1の電気光学装置用基板と第2の電気光学装置用基板とを含む一対の電気光学装置用基板の製造方法において、
基板としての第1のガラス基板上に、遮光層としてのブラックマトリクスおよび電気配線を形成し、第1の電気光学装
置用基板を準備する工程と、
対向基板としての第2のガラス基板上に、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極を形成し、第2の電気光学装置用基板を準備する工程と、を備えるとともに、
前記第1の電気光学装置用基板の前記ブラックマトリクスにおける赤色層、緑色層、および青色層の少なくとも一層を形成しないことを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。 - 前記第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部と、前記第1の電気光学装置用基板における電気配線とを、鉛直方向に透視した場合に、それぞれが重ならないように配置することを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 前記第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部位置に対応して、前記第1の電気光学装置用基板における電気配線の一部に、非形成箇所を設ける工程を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 前記第2の電気光学装置用基板における素子第1電極の端部に対応した位置の、前記第1の電気光学装置用基板における電気配線を絶縁処理する工程を含むことを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 請求項7〜10のいずれか一項に記載された電気光学装置と、当該電気光学装置を制御するための制御手段と、を備えることを特徴とする電子機器。
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