JP2004316694A - ブーツアダプター - Google Patents
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Abstract
【課題】締付け荷重のばらつきがなく、シール性を向上できる信頼性の高いブーツ用アダプターを提供する。
【解決手段】ジョイント部3を覆う樹脂ブーツ7との間に介在して嵌め込まれるリング状部材であって、当該樹脂ブーツ7に嵌め込まれる締付けバンド8を縮径した際にジョイント部3の外ケース4の凹凸面と樹脂ブーツ7の内周面との隙間を埋めるように変形して固定される。
【選択図】 図1
【解決手段】ジョイント部3を覆う樹脂ブーツ7との間に介在して嵌め込まれるリング状部材であって、当該樹脂ブーツ7に嵌め込まれる締付けバンド8を縮径した際にジョイント部3の外ケース4の凹凸面と樹脂ブーツ7の内周面との隙間を埋めるように変形して固定される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、主に駆動軸どうしを軸方向に相対的に移動可能に接続する等速ジョイント部と該ジョイント部を覆う樹脂ブーツとの間に介在して嵌め込まれるブーツ用アダプターに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用の駆動軸どうしの連結部に用いられる等速ジョイント部の一例としてトリポートタイプのジョイント部がある。このトリポートジョイント部は、入力側と出力側の一方のシャフトに、ローラを有する3つのトラニオンを軸方向と直交する方向に突設したトリポートと、該トリポートを収容する外ケース内に設けられた摺動溝内を軸方向へ摺動してシャフト間の回転トルクの伝達が行われるようになっている。
【0003】
上記トリポートジョイント部は外ケース内部にトラニオンが摺動する摺動溝を有するため外周形状が凹凸面に形成されている。この外ケースに樹脂ブーツの一端が嵌め込まれ、樹脂ブーツに様々なタイプの締付けバンドが嵌め込まれて縮径することで固定される。トリポートジョイントの外ケースの凹面部に嵌め込まれる部位に厚肉部を設けた樹脂ブーツ(特許文献1参照)、締付けバンドによる固定時に生ずる樹脂ブーツの周方向へのずれによる厚肉部と薄肉部との隙間を防ぐような楔形のリップを設けた樹脂ブーツ(特許文献2参照)、厚肉部に端面から軸方向に溝を設けて肉厚差を減らして延びのばらつきによる隙間の発生を防止した樹脂ブーツ(特許文献3)が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−13546号
【特許文献2】
特開平10−196673号
【特許文献3】
特開平10−110738号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した各樹脂ブーツは、ブロー成形などにより一体成形されるが、樹脂ブーツに部分的に厚肉部と薄肉部とを精度良く形成することは困難である。また、成形後に厚肉部と薄肉部とでは収縮率が異なるため、厚肉部に肉引けが生じ易く厚さの管理ができない。よって、樹脂ブーツの真円度が低下して締付けバンドによる締付け荷重がばらつくおそれがある。
また、樹脂ブーツを締付けバンドで固定する際に、厚肉部の変形により薄肉部との境界部分に引張り力が集中し易く、薄肉部を周方向へ引寄せてしわがより易く、トリポートジョイントの外ケースとの間に隙間が生じて面圧が低下してシール性が悪くなる。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、締付け荷重のばらつきがなく、シール性を向上できる信頼性の高いブーツアダプターを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を備える。
ジョイント部を覆う樹脂ブーツとの間に介在して嵌め込まれるリング状部材であって、当該樹脂ブーツに嵌め込まれる締付けバンドを縮径した際に前記ジョイント部の外ケースの凹凸面と樹脂ブーツの内周面との隙間を埋めるように変形して固定されることを特徴とする。
具体的には、前記リング状部材は、前記外ケースの凹面部に密着すると共に樹脂ブーツの内周面部と頂面部で接触して変形可能な突出部が形成されていることを特徴とする。この場合、前記突出部は、その基端両側に内周側に向かう楔状の溝が形成され、頂面部の周方向両側への変形を助長するくびれ形状に設けられているのが好ましい。
或いは、前記リング状部材は、前記外ケースの凹面部に密着すると共に樹脂ブーツの内周面部と曲率の異なる外周面部で接触して移動変形可能な突出部が形成されていることを特徴とする。この場合前記突出部の外周面部の周方向両端部が当該突出部の両側に連なる連結部上へオーバーラップして設けられているのが好ましい。
また、前記リング状部材は樹脂ブーツと硬度が同等若しくは柔らかい樹脂部材であることを特徴とする。
更には、前記ジョイント部は駆動軸どうしを軸方向に相対的に移動可能に接続するトリポート型ジョイント部であり、該ジョイント部の外ケースにリング状部材が嵌め込まれることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。
本実施の形態は、例えば車両用の駆動軸どうしを接続する等速ジョイント部に用いられるブーツアダプターについて説明する。
【0009】
図1(a)(b)はブーツアダプターの正面図及び斜視図、図2(a)(b)は他例に係るブーツアダプターの正面図及び斜視図、図3はブーツアダプターの等速ジョイント部への組付け工程を示す説明図、図4は締付け状態のブーツアダプターの正面図及び軸方向断面図である。
【0010】
先ず、等速ジョイントの概略構成について図3を参照して説明する。
図3において、駆動軸(ドライブシャフト)1、2どうしを軸方向に相対的に移動可能に接続する等速ジョイント部としてトリポートジョイント部3が用いられる。トリポートジョイント部3はシャフト1の端部に設けた外ケース4に図示しないトリポートが嵌め込まれている。トリポートは、ローラを有する3つのトラニオンが軸方向と直交する方向に突設され、外ケース4内に設けられた摺動溝5内を軸方向へ摺動しつつシャフト間の回転トルクの伝達が行われるようになっている。
【0011】
外ケース4は、摺動溝5に対応して凹面部4aと凸面部4bとが交互に形成されている。ブーツアダプター6はトリポートジョイント部3と樹脂ブーツ7との間に介在して嵌め込まれる。樹脂ブーツ7は、一端をシャフト2に小径の締付けバンド8にて固定され、他端をトリポートジョイント部3に嵌め込まれて大径の締付けバンド8にて固定される。このとき、締付けバンド8を縮径した際にブーツアダプター6が外ケース4の凹凸面と樹脂ブーツ7の内周面との隙間を埋めるように変形して固定される。
【0012】
次にブーツアダプター6の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1(a)(b)において、ブーツアダプター6はリング状部材が用いられ、トリポートジョイント部3の外ケース4の外周面に密着して嵌め込まれる。ブーツアダプター6の内周面は外ケース4と相似形に形成されている。
【0013】
外ケース4の凹面部4aに密着する部位には樹脂ブーツ7の内周面部と頂面部9aで接触して変形可能な厚肉の突出部9が本実施例では3箇所に形成されている。これらの突出部9は、その基端両側に内周面側に向かって楔状の溝10が形成されて各突出部9の周方向両側への変形を助長するくびれ形状に形成されている。この溝10の両側は凹面部11が形成されている。突出部9は樹脂ブーツ7に当接して変形し、締付けバンド8を縮径することで溝10を埋め両側の凹面部11を埋めるように変形して頂面部9aに作用する圧力が周方向両側へ分散するようになっている。
【0014】
外ケース4の凸面部4bに密着する部位は薄肉の連結部12に形成され厚肉な突出部9どうしを繋いでいる。上述したように、突出部9が周方向両側へ変形することで、連結部12には周方向への引張り力は作用せず、しわが寄ったり、薄肉状に延ばされることがない。
【0015】
ブーツアダプター6は樹脂ブーツ7の樹脂部材と硬度が同等若しくは柔らかく使用環境による影響を受け難い樹脂部材(例えば、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、その他ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリウレタンなどの熱可塑性エラストマー樹脂等)が好適に用いられる。
【0016】
図3において、トリポートジョイント部3の外ケース4にブーツアダプター6を嵌め込んでおき、ブーツアダプター6を覆って樹脂ブーツ7を嵌め込んで外周側に設けられた締付けバンド8を縮径するトリポートジョイント部3の組み立てが行われる。図4(a)(b)に、締付固定状態の樹脂ブーツ7及びブーツアダプター6を示す。外ケース4の凹面部4aは突出部9の周方向両側への変形により円弧状に広がって樹脂ブーツ7との隙間を埋めることが分かる。尚、締付けバンド8は、例えばステンレススチール材(SUS301、SUS304、SUS430など)が好適に用いられ、所謂レバーを傾倒させて縮径する掌合タイプ、門形の締付け耳を有するオメガタイプ、引寄せ爪により縮径する引寄せタイプなど様々なタイプの締付けバンドが用いられる。また、締付けバンド側に弾性力を持たせなくてもブーツアダプター6より反力(復元力)が得られるので、バンド側の構造を簡素化しても高度な締付け信頼性を確保できる。
【0017】
次に、図2(a)(b)にブーツアダプターの他例を示す。尚、上述した実施例と同様にブーツアダプターはリング状部材が用いられ、樹脂ブーツと硬度が同等若しくは柔らかい樹脂部材が好適に用いられる。
ブーツアダプター13は、トリポートジョイント部3の外ケース4の外周面に密着して嵌め込まれ、ブーツアダプター6の内周面は外ケース4と相似形に形成されている。外ケース4の凹面部4aに密着する部位には、樹脂ブーツ7の内周面部と曲率の異なる(例えば曲率が大きい)外周面部(頂面部)14aで接触して変形可能な厚肉の突出部14が本実施例では3箇所に形成されている。これらの突出部14は、薄肉の密着凹部15に複数の支持部16を介して支持され、密着凹面部15との間には隙間19が形成されている。すなわち、突出部14は密着凹部15に対して周方向両側への移動変形を助長するように支持されている。また、各突出部14の外周面部14aの両端部17は両側の薄肉状の連結部18にオーバーラップして設けられている。
【0018】
突出部14は樹脂ブーツ7に当接して周方向両側へ変形し、締付けバンド8を縮径することで凹面部15に密着して隙間19を埋めるように変形して外周面部14aに作用する圧力が周方向両側へ分散するようになっている。したがって、締付け時に突出部14の移動変形により密着凹部15と連結部18との境界部に引張り力が集中することがなく、外周面部14aの両端部17が連結部18にオーバーラップして密着するので、連結部18の周方向の引寄せを防ぐことができる。
【0019】
図4(a)(b)に締付け状態の樹脂ブーツ及びブーツアダプターを示す。ブーツアダプター6、13は、図示しないトリポートジョイント部3の外ケース4に密着して装着され、突出部9、14は外ケース4の凹面部4a及び樹脂ブーツ7の開口内周面に各々密着して隙間を埋めるように変形する。よって、締付けによるブーツアダプター6、13に周方向のずれが生じ難く、樹脂ブーツ7は肉厚差が少なく肉引けなどによる真円度のばらつきが少ないものを使用できるため締付けバンド8による締付け荷重のばらつきがなく、シール性が向上でき、締付け信頼性を高めることができる。また、ブーツアダプター6、13は、樹脂ブーツ7に比べて廉価な材料を使用できるので、部品コストも低減することができる。
【0020】
以上、本発明の好適な実施例について述べてきたが、本発明は上述した各実施例に限定されるのものではなく、ブーツアダプター6、13が設けられる等速ジョイント部はトリポートジョイント部3に限らず円形とは異なる凹凸形状をした他のジョイント部に適用することも可能である。またブーツアダプター6、13の材質や形状は、締付時の変形を許容し被締付物との間に隙間を生ずるするものでなければ、他の材質や形状であっても良い。また、締付けバンド8の種類は、掌合タイプ、オメガタイプ、引寄せタイプに限らず様々なバンドを用いることができる。被締付物は車両の等速ジョイントを覆う樹脂ブーツに限らず、樹脂ホース等であっても良い等、更に多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【0021】
【発明の効果】
本発明に係るブーツアダプターを用いれば、ジョイント部を覆う樹脂ブーツとの間にリング状部材が嵌め込まれ、当該樹脂ブーツに嵌め込まれる締付けバンドを縮径した際に前記ジョイント部の外ケースの凹凸面と樹脂ブーツの内周面との隙間を埋めるように変形して固定されるので、ブーツアダプターに締付けによる周方向のずれが生じ難く、樹脂ブーツには肉厚差が少なく肉引けなどによる真円度のばらつきが少ないものを用いることができるため、締付け荷重のばらつきがなく、シール性が向上でき、締付け信頼性を高めることができる。ブーツアダプターは、樹脂ブーツに比べて廉価な材料を使用できるので、部品コストも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブーツアダプターの正面図及び斜視図である。
【図2】他例に係るブーツアダプターの正面図及び斜視図である。
【図3】ブーツアダプターの等速ジョイント部への組付け工程を示す説明図である。
【図4】締付け状態のブーツアダプターの正面図及び軸方向断面図である。
【符号の説明】
1、2駆動軸
3 トリポートジョイント部
4 外ケース
4a、11 凹面部
4b 凸面部
5 摺動溝
6、13 ブーツアダプター
7 樹脂ブーツ
8 締付けバンド
9、14 突出部
9a 頂面部
10 溝
12、18 連結部
14a 外周面部
15 密着凹部
16 支持部
17 端部
19 隙間
【発明の属する利用分野】
本発明は、主に駆動軸どうしを軸方向に相対的に移動可能に接続する等速ジョイント部と該ジョイント部を覆う樹脂ブーツとの間に介在して嵌め込まれるブーツ用アダプターに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用の駆動軸どうしの連結部に用いられる等速ジョイント部の一例としてトリポートタイプのジョイント部がある。このトリポートジョイント部は、入力側と出力側の一方のシャフトに、ローラを有する3つのトラニオンを軸方向と直交する方向に突設したトリポートと、該トリポートを収容する外ケース内に設けられた摺動溝内を軸方向へ摺動してシャフト間の回転トルクの伝達が行われるようになっている。
【0003】
上記トリポートジョイント部は外ケース内部にトラニオンが摺動する摺動溝を有するため外周形状が凹凸面に形成されている。この外ケースに樹脂ブーツの一端が嵌め込まれ、樹脂ブーツに様々なタイプの締付けバンドが嵌め込まれて縮径することで固定される。トリポートジョイントの外ケースの凹面部に嵌め込まれる部位に厚肉部を設けた樹脂ブーツ(特許文献1参照)、締付けバンドによる固定時に生ずる樹脂ブーツの周方向へのずれによる厚肉部と薄肉部との隙間を防ぐような楔形のリップを設けた樹脂ブーツ(特許文献2参照)、厚肉部に端面から軸方向に溝を設けて肉厚差を減らして延びのばらつきによる隙間の発生を防止した樹脂ブーツ(特許文献3)が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−13546号
【特許文献2】
特開平10−196673号
【特許文献3】
特開平10−110738号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した各樹脂ブーツは、ブロー成形などにより一体成形されるが、樹脂ブーツに部分的に厚肉部と薄肉部とを精度良く形成することは困難である。また、成形後に厚肉部と薄肉部とでは収縮率が異なるため、厚肉部に肉引けが生じ易く厚さの管理ができない。よって、樹脂ブーツの真円度が低下して締付けバンドによる締付け荷重がばらつくおそれがある。
また、樹脂ブーツを締付けバンドで固定する際に、厚肉部の変形により薄肉部との境界部分に引張り力が集中し易く、薄肉部を周方向へ引寄せてしわがより易く、トリポートジョイントの外ケースとの間に隙間が生じて面圧が低下してシール性が悪くなる。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、締付け荷重のばらつきがなく、シール性を向上できる信頼性の高いブーツアダプターを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を備える。
ジョイント部を覆う樹脂ブーツとの間に介在して嵌め込まれるリング状部材であって、当該樹脂ブーツに嵌め込まれる締付けバンドを縮径した際に前記ジョイント部の外ケースの凹凸面と樹脂ブーツの内周面との隙間を埋めるように変形して固定されることを特徴とする。
具体的には、前記リング状部材は、前記外ケースの凹面部に密着すると共に樹脂ブーツの内周面部と頂面部で接触して変形可能な突出部が形成されていることを特徴とする。この場合、前記突出部は、その基端両側に内周側に向かう楔状の溝が形成され、頂面部の周方向両側への変形を助長するくびれ形状に設けられているのが好ましい。
或いは、前記リング状部材は、前記外ケースの凹面部に密着すると共に樹脂ブーツの内周面部と曲率の異なる外周面部で接触して移動変形可能な突出部が形成されていることを特徴とする。この場合前記突出部の外周面部の周方向両端部が当該突出部の両側に連なる連結部上へオーバーラップして設けられているのが好ましい。
また、前記リング状部材は樹脂ブーツと硬度が同等若しくは柔らかい樹脂部材であることを特徴とする。
更には、前記ジョイント部は駆動軸どうしを軸方向に相対的に移動可能に接続するトリポート型ジョイント部であり、該ジョイント部の外ケースにリング状部材が嵌め込まれることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。
本実施の形態は、例えば車両用の駆動軸どうしを接続する等速ジョイント部に用いられるブーツアダプターについて説明する。
【0009】
図1(a)(b)はブーツアダプターの正面図及び斜視図、図2(a)(b)は他例に係るブーツアダプターの正面図及び斜視図、図3はブーツアダプターの等速ジョイント部への組付け工程を示す説明図、図4は締付け状態のブーツアダプターの正面図及び軸方向断面図である。
【0010】
先ず、等速ジョイントの概略構成について図3を参照して説明する。
図3において、駆動軸(ドライブシャフト)1、2どうしを軸方向に相対的に移動可能に接続する等速ジョイント部としてトリポートジョイント部3が用いられる。トリポートジョイント部3はシャフト1の端部に設けた外ケース4に図示しないトリポートが嵌め込まれている。トリポートは、ローラを有する3つのトラニオンが軸方向と直交する方向に突設され、外ケース4内に設けられた摺動溝5内を軸方向へ摺動しつつシャフト間の回転トルクの伝達が行われるようになっている。
【0011】
外ケース4は、摺動溝5に対応して凹面部4aと凸面部4bとが交互に形成されている。ブーツアダプター6はトリポートジョイント部3と樹脂ブーツ7との間に介在して嵌め込まれる。樹脂ブーツ7は、一端をシャフト2に小径の締付けバンド8にて固定され、他端をトリポートジョイント部3に嵌め込まれて大径の締付けバンド8にて固定される。このとき、締付けバンド8を縮径した際にブーツアダプター6が外ケース4の凹凸面と樹脂ブーツ7の内周面との隙間を埋めるように変形して固定される。
【0012】
次にブーツアダプター6の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1(a)(b)において、ブーツアダプター6はリング状部材が用いられ、トリポートジョイント部3の外ケース4の外周面に密着して嵌め込まれる。ブーツアダプター6の内周面は外ケース4と相似形に形成されている。
【0013】
外ケース4の凹面部4aに密着する部位には樹脂ブーツ7の内周面部と頂面部9aで接触して変形可能な厚肉の突出部9が本実施例では3箇所に形成されている。これらの突出部9は、その基端両側に内周面側に向かって楔状の溝10が形成されて各突出部9の周方向両側への変形を助長するくびれ形状に形成されている。この溝10の両側は凹面部11が形成されている。突出部9は樹脂ブーツ7に当接して変形し、締付けバンド8を縮径することで溝10を埋め両側の凹面部11を埋めるように変形して頂面部9aに作用する圧力が周方向両側へ分散するようになっている。
【0014】
外ケース4の凸面部4bに密着する部位は薄肉の連結部12に形成され厚肉な突出部9どうしを繋いでいる。上述したように、突出部9が周方向両側へ変形することで、連結部12には周方向への引張り力は作用せず、しわが寄ったり、薄肉状に延ばされることがない。
【0015】
ブーツアダプター6は樹脂ブーツ7の樹脂部材と硬度が同等若しくは柔らかく使用環境による影響を受け難い樹脂部材(例えば、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、その他ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリウレタンなどの熱可塑性エラストマー樹脂等)が好適に用いられる。
【0016】
図3において、トリポートジョイント部3の外ケース4にブーツアダプター6を嵌め込んでおき、ブーツアダプター6を覆って樹脂ブーツ7を嵌め込んで外周側に設けられた締付けバンド8を縮径するトリポートジョイント部3の組み立てが行われる。図4(a)(b)に、締付固定状態の樹脂ブーツ7及びブーツアダプター6を示す。外ケース4の凹面部4aは突出部9の周方向両側への変形により円弧状に広がって樹脂ブーツ7との隙間を埋めることが分かる。尚、締付けバンド8は、例えばステンレススチール材(SUS301、SUS304、SUS430など)が好適に用いられ、所謂レバーを傾倒させて縮径する掌合タイプ、門形の締付け耳を有するオメガタイプ、引寄せ爪により縮径する引寄せタイプなど様々なタイプの締付けバンドが用いられる。また、締付けバンド側に弾性力を持たせなくてもブーツアダプター6より反力(復元力)が得られるので、バンド側の構造を簡素化しても高度な締付け信頼性を確保できる。
【0017】
次に、図2(a)(b)にブーツアダプターの他例を示す。尚、上述した実施例と同様にブーツアダプターはリング状部材が用いられ、樹脂ブーツと硬度が同等若しくは柔らかい樹脂部材が好適に用いられる。
ブーツアダプター13は、トリポートジョイント部3の外ケース4の外周面に密着して嵌め込まれ、ブーツアダプター6の内周面は外ケース4と相似形に形成されている。外ケース4の凹面部4aに密着する部位には、樹脂ブーツ7の内周面部と曲率の異なる(例えば曲率が大きい)外周面部(頂面部)14aで接触して変形可能な厚肉の突出部14が本実施例では3箇所に形成されている。これらの突出部14は、薄肉の密着凹部15に複数の支持部16を介して支持され、密着凹面部15との間には隙間19が形成されている。すなわち、突出部14は密着凹部15に対して周方向両側への移動変形を助長するように支持されている。また、各突出部14の外周面部14aの両端部17は両側の薄肉状の連結部18にオーバーラップして設けられている。
【0018】
突出部14は樹脂ブーツ7に当接して周方向両側へ変形し、締付けバンド8を縮径することで凹面部15に密着して隙間19を埋めるように変形して外周面部14aに作用する圧力が周方向両側へ分散するようになっている。したがって、締付け時に突出部14の移動変形により密着凹部15と連結部18との境界部に引張り力が集中することがなく、外周面部14aの両端部17が連結部18にオーバーラップして密着するので、連結部18の周方向の引寄せを防ぐことができる。
【0019】
図4(a)(b)に締付け状態の樹脂ブーツ及びブーツアダプターを示す。ブーツアダプター6、13は、図示しないトリポートジョイント部3の外ケース4に密着して装着され、突出部9、14は外ケース4の凹面部4a及び樹脂ブーツ7の開口内周面に各々密着して隙間を埋めるように変形する。よって、締付けによるブーツアダプター6、13に周方向のずれが生じ難く、樹脂ブーツ7は肉厚差が少なく肉引けなどによる真円度のばらつきが少ないものを使用できるため締付けバンド8による締付け荷重のばらつきがなく、シール性が向上でき、締付け信頼性を高めることができる。また、ブーツアダプター6、13は、樹脂ブーツ7に比べて廉価な材料を使用できるので、部品コストも低減することができる。
【0020】
以上、本発明の好適な実施例について述べてきたが、本発明は上述した各実施例に限定されるのものではなく、ブーツアダプター6、13が設けられる等速ジョイント部はトリポートジョイント部3に限らず円形とは異なる凹凸形状をした他のジョイント部に適用することも可能である。またブーツアダプター6、13の材質や形状は、締付時の変形を許容し被締付物との間に隙間を生ずるするものでなければ、他の材質や形状であっても良い。また、締付けバンド8の種類は、掌合タイプ、オメガタイプ、引寄せタイプに限らず様々なバンドを用いることができる。被締付物は車両の等速ジョイントを覆う樹脂ブーツに限らず、樹脂ホース等であっても良い等、更に多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【0021】
【発明の効果】
本発明に係るブーツアダプターを用いれば、ジョイント部を覆う樹脂ブーツとの間にリング状部材が嵌め込まれ、当該樹脂ブーツに嵌め込まれる締付けバンドを縮径した際に前記ジョイント部の外ケースの凹凸面と樹脂ブーツの内周面との隙間を埋めるように変形して固定されるので、ブーツアダプターに締付けによる周方向のずれが生じ難く、樹脂ブーツには肉厚差が少なく肉引けなどによる真円度のばらつきが少ないものを用いることができるため、締付け荷重のばらつきがなく、シール性が向上でき、締付け信頼性を高めることができる。ブーツアダプターは、樹脂ブーツに比べて廉価な材料を使用できるので、部品コストも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブーツアダプターの正面図及び斜視図である。
【図2】他例に係るブーツアダプターの正面図及び斜視図である。
【図3】ブーツアダプターの等速ジョイント部への組付け工程を示す説明図である。
【図4】締付け状態のブーツアダプターの正面図及び軸方向断面図である。
【符号の説明】
1、2駆動軸
3 トリポートジョイント部
4 外ケース
4a、11 凹面部
4b 凸面部
5 摺動溝
6、13 ブーツアダプター
7 樹脂ブーツ
8 締付けバンド
9、14 突出部
9a 頂面部
10 溝
12、18 連結部
14a 外周面部
15 密着凹部
16 支持部
17 端部
19 隙間
Claims (7)
- ジョイント部を覆う樹脂ブーツとの間に介在して嵌め込まれるリング状部材であって、当該樹脂ブーツに嵌め込まれる締付けバンドを縮径した際に前記ジョイント部の外ケースの凹凸面と樹脂ブーツの内周面との隙間を埋めるように変形して固定されることを特徴とするブーツアダプター。
- 前記リング状部材は、前記外ケースの凹面部に密着すると共に樹脂ブーツの内周面部と頂面部で接触して変形可能な突出部が形成されていることを特徴とするブーツアダプター。
- 前記突出部は、その基端両側に内周側に向かう楔状の溝が形成され、頂面部の周方向両側への変形を助長するくびれ形状に設けられていることを特徴とする請求項2記載のブーツアダプター。
- 前記リング状部材は、前記外ケースの凹面部に密着すると共に樹脂ブーツの内周面部と曲率の異なる外周面部で接触して移動変形可能な突出部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のブーツアダプター。
- 前記突出部の外周面部の周方向両端部が当該突出部の両側に連なる連結部上へオーバーラップして設けられていることを特徴とする請求項4記載のブーツアダプター。
- 前記リング状部材は樹脂ブーツと硬度が同等若しくは柔らかい樹脂部材であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項記載のブーツアダプター。
- 前記ジョイント部は駆動軸どうしを軸方向に相対的に移動可能に接続するトリポート型ジョイント部であり、該ジョイント部の外ケースにリング状部材が嵌め込まれることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項記載のブーツアダプター。
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-
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