JP2004315925A - 靭性および溶接性に優れた低降伏比高強度鋼 - Google Patents

靭性および溶接性に優れた低降伏比高強度鋼 Download PDF

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Abstract

【課題】490〜590MPaの引張強さを有し、母材靭性および溶接性に優れた低降伏比高強度鋼を提供する。
【解決手段】本発明の高強度鋼は、mass%で、C:0.01〜0.15%、Si:0.8%以下、Mn:1.0〜2.0%、Al:0.05%以下、Ti:0.005〜0.050%、B:0.0003〜0.0050%を含み、残部がFe及び不純物からなり、ポリゴナルフェライトが5〜30 vol%、MA(マルテンサイトとオーステナイトの混合物)が3〜15 vol%、残部がベイナイトからなる組織を有し、前記MAの平均サイズが5μm 以下とされる。上記基本成分のほか、(1) 所定量のCu、Ni、Cr、Moのいずれか1種または2種以上、(2) 所定量のNb、Vのいずれか1種または2種などの各群から選ばれた元素を単独で、あるいは複合してさらに添加することができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、主として建築構造物や橋梁などの大型構造物に使用される490〜590MPaの引張強さを有する高強度鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築構造物や橋梁などの大型構造物に使用される建築用鋼材には、ある程度の強度を確保しつつ耐震性が要求され、さらに大入熱溶接に対する良好な溶接性が求められる。前記耐震性は鋼材の降伏比を低くすることによって確保される。
【0003】
鋼材の強度を確保しつつ、低降伏比を達成して耐震性を改善するには、フェライトおよび第二相組織を形成する低温変態生成物の形態が重要であることが知られている。一般的に、軟質のフェライト組織にマルテンサイトなどの硬質組織を分散させることによって低降伏比を実現しているが、母材靭性が劣化する傾向がある。近年、耐震性能等、構造物の安全性の向上に対する要求が強まっており、引張強さが490〜590MPa級の高強度鋼板においても母材靭性の向上が求められている。
【0004】
低降伏比でありながら母材靭性を改善する技術として、例えば、特開2002−266022号公報(特許文献1)には、軟質相であるフェライトの靭性を高めることによって、二相組織全体として靭性を確保する高靭性・高張力鋼の製造方法が提案されている。また、特開2001−342538号公報(特許文献2)には、マルテンサイトまたはMA(Martensite−Austenite Constituents:マルテンサイトとオーステナイトの混合物)の分率を1〜10%とし、そのサイズを3μm 以下に制限した低降伏比高張力鋼およびその製造方法が記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−266022号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開2001−342538号公報(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載された技術は、二相域熱処理前の組織を超細粒化するため、低温域で特殊な熱間圧延を行うことが必要であり、圧延負荷が大きく、生産性が悪い。また、特許文献2の技術は、未再結晶域で圧延するため、やはり圧延負荷が大きく、また鋼板の機械的性質に異方性が発現するおそれがあり、材質の均一性が損なわれる。さらにマルテンサイト分率、サイズのみを規定するに過ぎず、フェライトの生成を回避するように圧延終了温度を規定しているものの(段落番号0045)、結局、マルテンサイトあるいはMA以外の他の組織構成は不明であり、技術内容が不明瞭である。
【0007】
本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、低温度域での熱間圧延を行うことなく製造することができる、490〜590MPaの引張強さを有し、母材靭性および溶接性に優れた低降伏比高強度鋼を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の高強度鋼は、mass%で、
C:0.01〜0.15%、
Si:0.8%以下、
Mn:1.0〜2.0%、
Al:0.10%以下、
Ti:0.005〜0.050%、
B:0.0003〜0.0050%、
を含み、残部がFe及び不純物からなり、ポリゴナルフェライトが5〜30 vol%、MA(マルテンサイトとオーステナイトの混合物)が3〜15 vol%、残部がベイナイトからなる組織を有し、前記MAの平均サイズが5μm 以下とされたものである。
【0009】
上記本発明鋼において、上記基本成分のほか、(1) Cu1.5%以下、Ni1.5%以下、Cr1.5%以下、Mo1.5%以下のいずれか1種または2種以上、(2) Nb:0.05%以下、V:0.20%のいずれか1種または2種、(3) Zr:0.05%以下、Mg:0.005%以下の1種または2種、(4) Ca:0.005%以下、REM:0.005%以下の各群から選ばれた元素を単独で、あるいは複合してさらに添加することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
発明者は、延性特性に優れた低降伏比を有する鋼として、軟質相を延性に富んだポリゴナルフェライトで形成し、硬質相をマルテンサイトとオーステナイト(残留オーステナイト)の混合物であるMA、ベイナイトを有する高強度鋼について、靭性を向上させる方法を研究したところ、ポリゴナルフェライトが旧オーステナイト粒界に沿って生成した鋼では、これらのポリゴナルフェライトが生成した粒界に沿って亀裂が進展する結果、母材靭性が低下することを知見した。また、MA量が多くなるとその粒径も大きくなり、MAが破壊の起点になるためやはり母材靭性を劣化させることを知見した。本発明はかかる知見を基に、合金元素を適正化することによって大入熱溶接時のHAZ(溶接熱影響部)靭性を確保するとともに、鋼の組織を適正に制御することによって、延性(低降伏比)、母材靭性および大入熱溶接時の溶接性(HAZ靭性)に優れた高強度鋼を完成した。すなわち、本発明の高強度鋼は、体積率で、ポリゴナルフェライトが5〜30%、MAが3〜15%、残部がベイナイトからなる組織を有し、前記MAの平均サイズが5μm 以下とされたものである。
【0011】
ポリゴナルフェライトは、延性に優れた組織であり、降伏比を低下させるのに有効な組織である。一方、ポリゴナルフェライトは旧オーステナイト粒界に沿って生成するため、その量が多くなると組織が不均一になり、靭性を劣化させる。このため、本発明ではポリゴナルフェライト量の下限を5%、好ましくは7%とし、一方その上限を30%、好ましくは20%とした。
【0012】
MAは、強度の確保と降伏比を低下させるのに有効な組織である。もっとも、その平均サイズが5μm を超えると塊状のMAは亀裂の発生源となり、靭性が低下するので、本発明では5μm 以下とする。平均サイズがあまりに小さいと前記作用も過小となるので、1μm 以上とすることが好ましい。かかる平均サイズのMA量が5%未満では強度向上および降伏比の低減効果が過小であり、一方15%超では靭性が低下するようになる。このため、MA量の下限を5%、好ましくは5%とし、その上限を15%、好ましくは10%とする。
【0013】
残部の組織はベイナイトで構成される。前記微細なMAを組織中に分散生成させるためには、熱間圧延後の二相熱処理の前の組織をポリゴナルフェライトの生成を低減したベイナイト組織とすることが重要であり、二相熱処理時にベイナイトのラス界面にオーステナイトを生成させ、この一部をマルテンサイトに変態させることで前記平均サイズの微細なMA組織を得ることができる。また、残部組織をベイナイトとすることにより、5〜30%のポリゴナルフェライト、3〜15%のMAの存在下で490MPa以上の強度化を図ることができる。なお、組織観察法、各相の分率( vol%)、MAの平均サイズの測定法は後述の実施例において説明する。
【0014】
次に、上記3相組織を形成するに際し、好適な鋼成分(単位mass%)について説明する。
【0015】
C:0.01〜0.15%
Cは母材強度を確保するために必要な元素である。0.01%未満では本発明の企図する強度レベルを得ることができず、一方0.15%超では溶接時にHAZでのMAの生成を促進し、靭性が劣化する。このため、本発明ではC量の下限を0.01%、好ましくは0.03%とし、その上限は0.15%、好ましくは0.09%とする。
【0016】
Si:0.8%以下
Siは脱酸作用を有する元素であり、また延性の劣化を抑制しつつ強度を向上させる効果を有するため、0.1%以上添加することが好ましい。しかし、0.8%超ではHAZのMAの生成を促進し、靭性が劣化する。このため、Si量の上限を0.8%、好ましくは0.6%とする。
【0017】
Mn:1.0〜2.0%
Mnは焼き入れ性を向上させ強度、靭性の確保に有効であり、1.0%未満ではかかる作用が過小であり、一方2.0%超では強度が過多となり、靭性が劣化する。このため、Mn量の下限を1.0%、好ましくは1.2%とし、その上限を2.0%、好ましくは1.8%とする。
【0018】
Al:0.10%以下
Alは脱酸およびミクロ組織の微細化による母材靭性向上効果を有するため、好ましくは0.01%以上添加するのがよい。しかし、過剰に添加するとSiと同様、HAZのMAの生成を助長し、靭性が低下する。このため、上限を0.10%、好ましくは0.05%とする。
【0019】
Ti:0.005〜0.050%
TiはNと結合して固溶Nを低減するとともにHAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制し、HAZ靭性改善に有効な元素である。Ti量が0.005%未満では細粒化効果が過小であり、一方0.050%を超えるとTiNが粗大化して、TiNの個数が減少するため、HAZ靭性が返って劣化するようになる。このため、Ti量の下限を0.005%とし、その上限を0.050%、好ましくは0.030%とする。
【0020】
B:0.0003〜0.0050%
Bはオーステナイト粒界からポリゴナルフェライトが生成するのを抑制し、またHAZ靭性を改善する作用を有するため、0.0003%以上添加する。しかし、焼き入れ性向上作用を有するので、過剰に添加すると、強度が過大になり、返ってHAZ靭性が低下するようになる。このため、含有量を0.0050%以下、好ましくは0.0040%以下に止める。
【0021】
本発明の鋼は、以上の基本成分のほか、残部Feおよび不純物によって形成される。不純物であるP、Sは母材靭性、HAZ靭性を劣化させるため少ない程よく、いずれも0.01%以下に止めることが好ましい。もっとも、鋼成分として、前記基本成分の作用効果を損なわず、あるいは機械的特性をより向上させる元素の添加を妨げるものではない。例えば、特性向上成分として、(1) Cu1.5%以下、Ni1.5%以下、Cr1.5%以下、Mo1.5%以下のいずれか1種または2種以上、(2) Nb:0.05%以下、V:0.20%のいずれか1種または2種、(3) Zr:0.05%以下、Mg:0.005%以下の1種または2種、(4) Ca:0.005%以下、REM:0.005%以下の各群から選ばれた元素を単独で、あるいは複合してさらに添加することができる。以下、これらの元素の添加理由を説明する。
【0022】
Cu:1.5%以下、Ni:1.5%以下、Cr:1.5%以下、Mo:1.5%以下
これらの元素は焼き入れ性を改善する作用を有し、HAZ靭性を損なうことなく母材の強度、靭性を改善する。かかる作用を効果的に発現させるには、これらの元素は各々0.10%以上添加することが好ましい。しかし、過剰に添加すると強度が過大となり、HAZ靭性が返って低下するようになる。このため、各々1.5%以下、好ましくは1.0%以下とする。
【0023】
Nb:0.05%以下、V:0.20%以下
これらの元素は、圧延後のベイナイト組織を微細化することができ、炭化物を微細分散させることが可能で、二相域熱処理前のベイナイト組織を好ましい形態にすることができる。さらに、炭化物の析出により二相域熱処理時の組織粗大化による不均一化を抑制することができ、強度、靭性の低下を防止することができる。かかる作用を効果的に発現させるには、Nbを0.01%以上、Vを0.05%以上添加することが好ましい。しかし、過剰な添加は炭化物が粗大化してHAZ靭性を劣化させるので、Nbを0.05%以下、Vを0.20%以下に止める。
【0024】
Zr:0.05%以下、Mg:0.005%以下
これらの元素はHAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制する作用を有し、HAZ靭性を向上させる作用を有する。ZrはTiと同様、窒化物を形成することにより、MgはTiN等の窒化物の析出の核となる酸化物を微細分散させることにより上記作用を奏する。かかる作用を効果的に発現させるには、Zrを0.005%以上、Mgを0.001%以上添加することが好ましい。しかし、過剰に添加すると介在物が粗大化し、HAZ靭性が返って低下するようになる。このため、Zrは0.05%以下、好ましくは0.03%とし、一方Mgは0.005%以下、好ましくは0.004%以下とする。
【0025】
Ca:0.005%以下、REM(La、Ceなどの希土類元素):0.005%以下
これらの元素は介在物の異方性を低減させる作用を有し、HAZ靭性の改善に寄与する。かかる作用を効果的に発現させるには、各々0.0005%以上添加することが好ましい。しかし、過剰に添加すると介在物が粗大化し、返ってHAZ靭性を劣化させる。このため、各元素の添加量の上限を0.005%、好ましくは0.004%とする。
【0026】
本発明の鋼は、板、H形、管などの適宜の形態の鋼材として使用に供されるが、建築用鋼材としては主として鋼板として用いられる。特に、490〜590MPa級の鋼板は肉厚が30〜80mm程度の厚鋼板として使用される場合が多い。そこで、本発明鋼の製造方法を板材として製造する場合を例として説明する。なお、板材に限らず、H形鋼材など圧延によって鋼材を製造する場合、同様の条件によって製造することができる。
【0027】
本発明にかかる鋼板は、前記成分を有する鋼を溶製し、その鋼片を熱間圧延した後、二相域で熱処理することによって製造される。熱間圧延は、常法によって行えばよく、圧延終了温度についても従来のように再結晶温度域、あるいはそれより低い温度域で行う必要はなく、850〜900℃程度とすればよい。
【0028】
圧延終了後の冷却は、ポリゴナルフェライトの生成を抑制しつつ、ベイナイト組織を微細化させるように、代表的には500℃までを2℃/s〜7℃/sで冷却することが好ましい。500℃以下の冷却速度は特に制限されない。ベイナイト組織を微細化することによって、後工程の二相域熱処理の際にMA組織を微細化することができる。
【0029】
以上のようにして、適量のポリゴナルフェライトと微細ベイナイト組織とされた鋼板を板厚にもよるが700〜760℃程度の二相域温度に1.5〜3.0hr程度加熱する。この加熱によって、ベイナイトのラス間からオーステナイトが生成する。その後、1〜3℃/sの冷却速度で冷却することによって、前記オーステナイトが変態して微細分散したMAが得られる。MAは二相域熱処理の温度、保持時間によって所定の組織分率に制御される。
【0030】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例によって限定的に解釈されるものではない。
【0031】
【実施例】
下記表1に示す鋼を溶製し、その溶湯を鋳造して得られたスラブ(厚さ250mm)を1100℃で加熱した後、板厚50mmまで熱間圧延を行い、表2に示す圧延終了温度にて熱間圧延を終了し、同表に示す冷却速度にて冷却した。その後、同表に示す二相域温度に加熱し、2.0hr程度保持した後、同表に示す冷却速度にて冷却した。
【0032】
【表1】
Figure 2004315925
【0033】
得られた熱延鋼板に対し、下記要領にて組織観察を行い、ポリゴナルフェライト分率( vol%)、MA分率( vol%)およびMAの平均サイズを測定した。なお、ポリゴナルフェライト、MA以外の組織はベイナイトであった。
ポリゴナルフェライトの分率は、熱延鋼板の板厚1/4部位について、光学顕微鏡を用いて倍率200倍で300μm ×300μm の領域を5視野観察し、画像解析ソフトを用いてポリゴナルフェライトの面積率の平均値を求め、その値を vol%と見なした。また、MAの分率は、熱延鋼板の板厚1/4部位について、レペラー腐食をした後、光学顕微鏡を用いて倍率1000倍で50μm ×50μm の領域を10視野観察し、画像解析ソフトを用いてMAの面積率の平均値を求め、その値を vol%と見なした。また、MAの平均サイズは、前記観察視野について画像解析ソフトを用いてMA粒の面積と同面積の円(相当円)を想定し、その相当円の直径の平均値を求め、その値を平均サイズとした。
【0034】
また下記要領にて引張試験、衝撃試験を行い、母材の機械的性質を調べた。
・引張試験
各鋼板の板厚1/4部位からJIS4号試験片を得て、引張試験を行い、0.2%耐力、引張強さを測定した。
・衝撃試験
各鋼板の板厚1/4部位からJIS4号試験片を採取し、シャルピー衝撃試験(試験温度−20℃)を行い、吸収エネルギー(vE−20 )を求めた。
【0035】
さらに、以下の要領にて溶接を模擬した熱サイクル試験を行い、HAZ靭性を調べた。溶接入熱量が1000kJ/cmに相当する熱サイクル(1350℃に加熱した後、800℃から500℃までの冷却時間が720sec である熱履歴)を与えた後、JIS4号試験片を採取し、シャルピー衝撃試験(試験温度−20℃)を行い、ボンド部の吸収工ネルギ(vE−20 )の平均値を求めた。なお、サンプル数は3とした。
【0036】
【表2】
Figure 2004315925
【0037】
上記調査結果を表2に併せて示す。表2より、発明例(試料No. 1〜14)は母材の降伏比(YR)が70〜77%と低降伏比でありながら、吸収エネルギーが250J以上と靭性に優れる。さらに大入熱溶接後のHAZにおいても、その吸収エネルギーが200J以上であり、優れたHAZ靭性が得られた。一方、成分が本発明範囲外の比較例(試料No. 15〜20)は、引張強さ、降伏比は本発明レベルを満足するものの、母材靭性あるいはHAZ靭性のいずれか一方が著しく劣化した。また、本発明の成分条件を満足するものの、製造条件が不適切であるため、本発明の組織条件を満足するに至らなかった比較例(試料No. 21〜25)は、強度およびHAZ靭性は本発明レベルを満足するものの、降伏比が高くなったり、降伏比が低い場合には母材靭性が劣化した。
【0038】
【発明の効果】
本発明鋼によれば、HAZ靭性を確保すべく合金成分を調整しつつ、組織をポリゴナルフェライトの生成を5〜30%に抑制しつつ、平均サイズが5μm 以下の微細なMAを3〜15%および残部ベイナイトとしたので、490〜590MPaの引張強さを確保しながら、HAZ靭性に優れ、しかも優れた母材靭性を有する。

Claims (5)

  1. mass%で、
    C:0.01〜0.15%、
    Si:0.8%以下、
    Mn:1.0〜2.0%、
    Al:0.10%以下、
    Ti:0.005〜0.050%、
    B:0.0003〜0.0050%、
    を含み、残部がFe及び不純物からなり、ポリゴナルフェライトが5〜30 vol%、MA(マルテンサイトとオーステナイトの混合物)が3〜15 vol%、残部がベイナイトからなる組織を有し、前記MAの平均サイズが5μm 以下である、靭性および溶接性に優れた低降伏比高強度鋼。
  2. さらに、
    Cu:1.5%以下、
    Ni:1.5%以下、
    Cr:1.5%以下、
    Mo:1.5%以下
    のいずれか1種または2種以上を含有する請求項1に記載した低降伏比高強度鋼。
  3. さらに、
    Nb:0.05%以下、
    V:0.20%以下
    のいずれか1種または2種を含有する請求項1または2に記載した低降伏比高強度鋼。
  4. さらに、
    Zr:0.05%以下、
    Mg:0.005%以下
    のいずれか1種または2種を含有する請求項1から3のいずれか1項に記載した低降伏比高強度鋼。
  5. さらに、
    Ca:0.005%以下、
    REM:0.005%以下
    のいずれか1種または2種を含有する請求項1から4のいずれか1項に記載した低降伏比高強度鋼。
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