JP2004315465A - ラクトン構造を有する化合物 - Google Patents

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Junji Nakamura
純士 中村
Shinya Yamada
伸也 山田
Hiroyuki Kenmochi
宏行 劔持
Yasushi Hori
容嗣 堀
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Abstract

【課題】本発明は、レジスト材料等としてより優れた特性を有するポリマーを与える、ラクトン構造を有する新規モノマー化合物を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、下記一般式[1]
【化1】
Figure 2004315465

(式中、R及びRは、何れか一方はメチル基を表し、他方はイソプロピル基を表す。R及びRは、何れか一方は水素原子を表し、他方は水酸基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す。R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す。Xは−(R)(R)C−C(R)(R10)−を表し、R、R、R及びR10は、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す。)
で示される化合物に関する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は塗料、接着剤、粘着剤、インキ用レジン、レジスト等に用いられる樹脂の構成モノマー等として有用なラクトン構造を有する化合物及びその原料等として有用なラクトン構造を有するアルコール体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体分野はますます高集積化が進み、それに用いられるレジスト材料にもさまざまな性能が要求されている。要求されている性能としては、例えば、透明性や安定性に加えて、疎水性、耐熱性、適度な極性及び各種有機溶媒への適度な溶解性などがある。このような性質を有するものとして、近年ラクトン構造を有する化合物の開発が盛んに行われ、例えば、特許文献1にはビシクロ環又はトリシクロ環のラクトン構造を有する(メタ)アクリレート化合物が提案されている。また、特許文献2にはトリシクロ環上に、更に置換基を有するラクトン構造を有する(メタ)アクリレート化合物が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−234882号公報
【特許文献2】
特開2002−308866号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1、特許文献2等に記載のラクトン構造を有する(メタ)アクリレート化合物は、何れもエッチング耐性や基板密着性に優れたポリマーを与えるが、更に優れた性能を有するポリマーを与えるモノマーが求められている。従って、本発明は、レジスト材料等としてより優れた特性を有するポリマーを与える、ラクトン構造を有する新規モノマー化合物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した如き現状に鑑み、鋭意研究を行った結果、ラクトン構造を有する特定の多環式化合物が上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0006】
即ち、本発明は、下記一般式[1]
【化2】
Figure 2004315465
(式中、R及びRは、何れか一方はメチル基を表し、他方はイソプロピル基を表す。R及びRは、何れか一方は水素原子を表し、他方は水酸基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す。R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す。Xは−(R)(R)C−C(R)(R10)−を表し、R、R、R及びR10は、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す。)
で示される化合物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に係る上記一般式[1]で示される化合物において、R、Rで表されるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜10,好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
これらのアルキル基の中で、R、Rとして特に好ましいアルキル基としてはメチル基、エチル基及びイソプロピル基が挙げられる。
【0008】
本発明に係る上記一般式[1]で示される化合物において、R〜R10で表されるアルキル基としては、上記R、Rで表されるアルキル基と同様、例えば、炭素数1〜10,好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体例としても上記R、Rで表されるアルキル基の具体例と同様のものが挙げられる。また、R〜R10として好ましいアルキル基としては、メチル基及びエチル基が挙げられる。
【0009】
上記一般式[1]において、R及びRの何れか一方が水素原子で、他方がアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である化合物は、塗料、接着剤、粘着剤、インキ用レジン、レジスト等に用いられる樹脂の構成モノマー等として有用な化合物であり、R及びRの何れか一方が水素原子で、他方が水酸基である化合物は、その原料等として有用なラクトン構造を有するアルコール体である。
【0010】
本発明の一般式[1]で表される化合物においてはendo体やexo体といった構造異性体が存在するが、本発明はそれら全ての異性体を包含するものである。
【0011】
本発明に係る一般式[1]で表される化合物は下記反応スキームに従って容易に製造し得る。
【0012】
【化3】
Figure 2004315465
【化4】
Figure 2004315465
【0013】
即ち、先ず、環状ジエン化合物と無水マレイン酸とからディールス・アルダー(Diels−Alder)付加物である酸無水物構造を有する環状オレフィン[2]を得(第一工程)、続いて酸無水物構造を選択的に還元してラクトン構造を有する環状オレフィン[3]とした(第二工程)後、
(i)ハイドロボレーションを行うか(第三工程(i))、又は
(ii)エポキシ化した後、水素化を行う(第三工程(ii))ことにより、
一般式[1]において、R及びRの何れか一方が水素原子で、他方が水酸基である本発明化合物、即ち、ラクトン構造を有するアルコール体[4−1]又は[4−2]を得る。
次いで、このアルコール体を(メタ)アクリロイル化剤で(メタ)アクリロイル化する(第四工程)ことにより、一般式[1]において、R及びRの何れか一方が水素原子で、他方がアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である化合物、即ち、(メタ)アクリル酸エステル[6−1]又は[6−2]を得る。
【0014】
以下、各工程について詳細に説明する。
第一工程:環状ジエン化合物と無水マレイン酸とのディールス・アルダー反応
式[2]で表される酸無水物構造を有する環状オレフィンは、環状ジエン化合物と無水マレイン酸とのディールス・アルダー反応により製造することができる。 この反応は、通常、オートクレーブ等の耐圧密閉容器中、反応に不活性な溶媒を用い、加熱して行われるが、無水マレイン酸のジエノフィルとしての活性が非常に高いため、40〜100℃程度の温度で、必要により還流管等を用い、開放系でも行うことができる。
ここで用いられる環状ジエンとしては、炭素数10〜20の6員環構造を有する共役ジエン化合物が挙げられ、具体的には、例えばα−テルピネン等が挙げられる。
得られたディールス・アルダー付加体[2]は、蒸留、晶析、各種クロマトグラフィー等の常法により単離、精製を行うことができる。
【0015】
第二工程:酸無水物構造からラクトン構造への選択的還元
式[3]で表されるラクトン構造を有する環状オレフィンは、式[2]で表される酸無水物を金属水素化物で還元することにより得られる。
ここで用いられる金属水素化物としては、例えば水素化リチウムアルミニウムやその水素原子の一部をアルコラートで置換した化合物、水素化ホウ素ナトリウムやその水素原子の一部をアルコラートで置換した化合物などが挙げられるが、取り扱い等の点から水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
金属水素化物の使用量は、式[2]で表される酸無水物1モルに対して0.5モル〜1.5モルであることが好ましい。
反応はジエチルエーテルやテトラヒドロフラン(以下、THFと略す。)などの環状及び非環状のエーテル系溶媒で行うのが好ましい。反応温度は−30℃〜50℃、好ましくは5℃〜30℃で行われ、反応終了後は酸性物質を加えて中和、好ましくは酸性にし、ラクトン化することで式[3]のラクトン化合物が得られる。このときに用いられる酸性物質としては、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸類、酢酸等の有機酸が挙げられるが、硫酸又は酢酸が操作の点から好ましい。
このようにして得られたラクトン構造を有する環状オレフィンは晶析、蒸留及び各種クロマトグラフィーにより精製することができる。
【0016】
第三工程:(i)ハイドロボレーションによる二重結合の水和、又は( ii )エポキシ化及び水素化による水酸基導入
第三工程(i)の方法は式[3]で表されるラクトン構造を有する環状オレフィンに、ボラン化合物を作用させて、ホウ素の付加体を生成させ、これにアルカリ性条件下で過酸化物を作用させることにより水酸基を導入し、アルコール体[4−1]及び[4−2]を得るものである。
ここで用いられるボラン化合物としては、ジボラン、アルキルボラン又はボラン錯体等が挙げられ、このなかでもボラン/THF錯体が好ましい。これらボラン化合物の使用量は式[3]で表されるオレフィンに対して0.5〜1.5倍モル、好ましくは0.5〜0.8倍モル用いられる。また、反応系をアルカリ性条件にするために使用されるアルカリ性化合物としては、アルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましい。また、アルカリ性化合物を溶解させるために水を加えることも好ましい態様である。
過酸化物としては有機又は無機の過酸化物が用いられ、有機過酸化物としては、m−クロロ過安息香酸又はtert−ブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられ、無機過酸化物としては過酸化水素水等が挙げられるが、過酸化水素水がより好ましい。
これら過酸化物の使用量は、式[3]の化合物に対して、通常1.0〜5.0倍モル、好ましくは1.0〜3.0倍モル用いられる。
反応温度は、10℃以下が好ましい。反応溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、THF、メチルt−ブチルエーテル等の環状又は非環状のエーテル類等を用いることができる。
反応終了後は、亜硫酸ナトリウムのような還元剤を加え、過剰の過酸化物を中和した後、酸性物質を加えpHを調整し、抽出、水洗等を行うことによりヒドロキシ体[4−1]及び[4−2]が得られる。このものは晶析やカラムクロマトグラフィー等により精製してもよいが、未精製のままで次工程に供することも可能である。
【0017】
第三工程(ii)の方法は式[3]で表されるラクトン構造を有する環状オレフィンに過酸化物等のエポキシ化剤を作用させ、二重結合部位をエポキシ化した後、水素を添加してアルコール体[4−2]及び[4−3]を得るものである。
エポキシ化反応において、過酸化物としては有機又は無機の過酸化物が用いられる。有機過酸化物としては過酢酸、トリフルオロ過酢酸及びm−クロロ過安息香酸等が挙げられ、無機過酸化物としては過酸化水素とヘテロポリ酸との共触媒等が挙げられるが、m−クロロ過安息香酸や過酸化水素とヘテロポリ酸との共触媒等がより好ましい。
反応溶媒としては、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、トルエン等の炭化水素類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、水等が挙げられるが、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
反応温度は−50℃〜100℃、好ましくは0℃〜50℃である。
【0018】
上述のようにして得られたエポキシ体は、触媒存在下で水素ガスを反応させることによりアルコール体[4−1]又は[4−2]へと導くことができる。
ここで用いられる触媒としては遷移金属を中心金属としたものが用いられ、遷移金属が担体によって担持されているような不均一系触媒、及び遷移金属に配位子が配位した錯体のような均一系触媒を用いることができる。具体的な遷移金属としてはニッケル,コバルト、パラジウム、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム等が挙げられる。
不均一系触媒としては、ラネーニッケル、パラジウム−炭素、白金−アルミナ、ロジウム−炭素、ルテニウム−炭素等が挙げられ、均一系触媒としてはロジウム−ホスフィン錯体、ルテニウム−ホスフィン錯体等が挙げられるが、これらの触媒の中ではラネーニッケル及びパラジウム−炭素が特に好ましい。
反応溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、THF等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、トルエン等の炭化水素類、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられるが、メタノール等のアルコール類がより好ましい。
反応温度は0℃〜200℃、好ましくは50℃〜180℃であり、水素圧は1〜15MPa、好ましくは2〜10MPaで、オートクレーブ等の耐圧密閉反応容器で行うことができる。
このようにして得られた、アルコール体[4−1]及び[4−2]は晶析、各種クロマトグラフィー等により精製することもできるが、未精製のまま次工程へと供することも可能である。
【0019】
第四工程:エステル化反応
エステル化反応は、上記のようにして得られたアルコール体[4−1]又は[4−2]を(メタ)アクリル酸クロリドや(メタ)アクリル酸無水物等の(メタ)アクリロイル化剤と反応させることにより行われる。反応は通常、塩基存在下で行われるが、塩基としては有機塩基が好ましく、特に第3級アミン類が好適に用いられる。具体的にはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン等の脂肪族アミン類、ピリジン、α−,β−又はγ−ピコリン等の芳香族アミン類等が挙げられる。
塩基の使用量はアルコール体[4−1]又は[4−2]に対して、1.0倍モル〜2.0倍モル、好ましくは1.0倍モル〜1.5倍モルである。
また、(メタ)アクリロイル化剤の使用量としては、基質のアルコール体[4−1]又は[4−2]に対して1.0〜2.0倍モル、好ましくは1.0〜1.5倍モルである。
エステル化反応の際には溶媒を用いることが好ましいが、用いられる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であれば何れの溶媒でもよい。具体的にはトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素や、THF、ジメトキシエタン等の環状又は非環状のエーテル類等が好ましい溶媒として用いられる。
反応温度は−20℃〜100℃で行うことができ、好ましくは0℃〜60℃である。
なお、後処理時又は精製時の重合を防止するために、重合禁止剤を用いることが好ましく、例えば、ヒドロキノンや4−メトキシフェノールのようなフェノール系化合物、又は4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルのようなN−オキシル系化合物を用いることができる。
【0020】
このようにして得られる、一般式[1]において、R及びRの何れか一方が水素原子で、他方がアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である本発明化合物の具体例としては、例えば、下記のような化合物が挙げられる。
【0021】
【化5】
Figure 2004315465
【0022】
また、一般式[1]において、R及びRの何れか一方が水素原子で、他方が水酸基である本発明化合物(アルコール体)の具体例としては、例えば、下記のような化合物が挙げられる。
【0023】
【化6】
Figure 2004315465
【0024】
本発明化合物を製造するに際しては、通常、ディールス・アルダー付加反応の段階でexo体、endo体等を含む立体構造の異なる種々の異性体が生成するため、上記アルコール体及びこれを(メタ)アクリロイル化した化合物、何れにおいても異性体の混合物として得られる。必要であればクロマトグラフィー等の操作により各異性体を分離することもできるが、通常は混合物のままで、レジスト材料のベース樹脂として好適なポリマーを与えるモノマーとして使用できる。
一般式[1]において、R及びRの何れか一方が水素原子で、他方がアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である本発明化合物は、架橋環構造とγ−ブチロラクトン構造とを同一分子内に有する(メタ)アクリレート化合物であって、架橋している橋の一端にメチル基、他端にイソプロピル基を有する点に特徴を有するものであり、斯かる構造を有するが故に、本発明化合物は、耐熱性及び適度な極性を有すると共に、R又はRにイソプロピル基を導入したことに起因して適度な疎水性をも有し、且つ溶液重合による(共)重合体の製造に好適な対有機溶媒溶解性を有する。また、該重合により得られる重合体も、同様に、R又はRに導入したイソプロピル基に起因して溶媒溶解性に優れ、例えば、レジスト用の好適な溶媒として汎用されているプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(2−アセトキシ−1−メトキシプロパン)などにも非常に溶けやすくなるので、該重合体をベース樹脂として用いたレジスト材料をSi基板上に塗布(スピンコート)した場合には、均一に塗布することが出来る。
該重合体をベース樹脂として用いたレジスト材料は、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー等の遠紫外線や電子線等による微細加工に有用であり、半導体製造時により高精細なパターンが形成できる。
一般式[1]において、R及びRの何れか一方が水素原子で、他方が水酸基である本発明化合物(アルコール体)は、上記一般式[1]において、R及びRの何れか一方が水素原子で、他方がアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である本発明化合物の原料等として有用である。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
なお、H−NMRスペクトルは以下の機器で測定した。
H−NMRスペクトル:GEMINI200型装置(バリアン社製)又はDRX−500型装置(ブルカー社製)
内部標準物質:テトラメチルシラン
【0026】
実施例1 9−メタクリロイルオキシ−7−イソプロピル−1−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ドデカン−3−オンと9−メタクリロイルオキシ−1−イソプロピル−7−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ドデカン−3−オンと8−メタクリロイルオキシ−7−イソプロピル−1−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ドデカン−3−オンと8−メタクリロイルオキシ−1−イソプロピル−7−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ドデカン−3−オンの混合物の合成
(1)7−イソプロピル−1−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]−8−ドデセン−3,5−ジオンと1−イソプロピル−7−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]−8−ドデセン−3,5−ジオンの混合物の合成
【化7】
Figure 2004315465
1000mLの反応容器に無水マレイン酸98g(1.0mol)及びトルエン200mLを加えて撹拌溶解した。この溶液にα−テルピネン186g(純度87%、α−テルピネン純分として163g、無水マレイン酸に対し1.2当量)を60℃で滴下し、滴下後80℃で2時間撹拌した。反応終了後、トルエン及びα−テルピネンを減圧下で留去し、目的物を96%の純度で248g得た。粗生成物での収率106%。得られた粗生成物(以下、粗DA付加体と略す。)をそのまま次工程の反応に供した。
なお、128℃/26.7Paで減圧蒸留を行うことにより精製品が得られた。
蒸留精製物の重クロロホルム中でのH−NMRスペクトルを図1に示す。
【0027】
(2)7−イソプロピル−1−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]−8−ドデセン−3−オンと1−イソプロピル−7−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]−8−ドデセン−3−オンの混合物の合成
【化8】
Figure 2004315465
窒素気流下、1000mLの反応容器に、水素化ホウ素ナトリウム13.64g(0.36mol)及びTHF270mLを加え、更にメタノール0.8mLを加えた後、氷水浴にて冷却しながら上記(1)で得られた粗DA付加体100g(0.41mol)のTHF180mL溶液を、反応温度が20℃以下を保つようにしながら滴下した。滴下後、氷水浴を外し、室温にて8時間撹拌した後、50重量%の酢酸水溶液を注入して反応を停止し、THFを回収した。続いて、トルエン及び水を加えて有機層を抽出し、有機層からトルエンを留去して目的物を90%の純度で100g得た。更にこのものを減圧蒸留(120℃/26.7Pa)して精製することにより、65gの目的物を得た。収率72%。
蒸留精製物の重クロロホルム中でのH−NMRスペクトルを図2に示す。
【0028】
(3)9−ヒドロキシ−7−イソプロピル−1−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ドデカン−3−オンと9−ヒドロキシ−1−イソプロピル−7−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ドデカン−3−オンと8−ヒドロキシ−7−イソプロピル−1−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ドデカン−3−オンと8−ヒドロキシ−1−イソプロピル−7−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ドデカン−3−オンの混合物の合成
【化9】
Figure 2004315465
上記(2)で得られたラクトン体50g(0.23mol)を脱水THF200mlに溶解させ、0℃にてBH/THF130mL(0.14mol)を滴下して、室温にて2時間攪拌を行った後、水75mLを0℃にて1時間10分を要してゆっくりと滴下した。
続いて、水酸化ナトリウム17gを加えてアルカリ性にした後、0℃にて30%過酸化水素水75mL(0.66mol)を1時間15分を要して滴下した。
室温にて1時間攪拌した後、再び冷却し、0℃にて飽和亜硫酸ナトリウム水溶液200mLを加え、ヨウ素チェックシートにて過酸化物が検出されないことを確認した。
反応液にトルエン250mLを加え、10%硫酸水溶液210mLにて中和した後、有機層を分取し、水150mLで2回洗浄を行った後、濃縮して溶媒を溜去すると、粗アルコール体65gが得られた。この粗アルコール体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、トルエン:酢酸エチル=9:1)にて精製すると、精製アルコール体40gが得られた(収率:75%)。
精製したものの重クロロホルム中でのH−NMRスペクトルを図3に示す。NMR測定によると、このアルコール体は4種類の異性体混合物であることが示唆される。
【0029】
(4)9−メタクリロイルオキシ−7−イソプロピル−1−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ドデカン−3−オンと9−メタクリロイルオキシ−1−イソプロピル−7−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ドデカン−3−オンと8−メタクリロイルオキシ−7−イソプロピル−1−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ドデカン−3−オンと8−メタクリロイルオキシ−1−イソプロピル−7−メチル−4−オキサトリシクロ[5.2.2.02,6]ドデカン−3−オンの混合物の合成
【化10】
Figure 2004315465
窒素気流下、1000mLの反応容器に上記(3)と同様にして得られた粗アルコール体65g、トルエン350mL及び4−ジメチルアミノピリジン1.8gを加え、0℃に冷却して、メタクリル酸無水物のトルエン溶液106g(メタクリル酸無水物含量66.2g(0.414mol))を加えた。これにトリエチルアミン46.9gを滴下した後、室温で2時間、次いで40℃で4時間撹拌した後、メタノール8.7gを加えて反応を停止した。反応液にトルエン250mL及び10%硫酸水溶液200mLを加えて10分間撹拌した後、有機層を分取し、水層を更にトルエン200mLで抽出した。有機層を合わせ、水250mL、10%水酸化ナトリウム水溶液130mL及び水150mL×2回と順次洗浄を行った後、重合禁止剤としてN−オキシル系化合物を加えて、トルエンを回収し、残渣を減圧蒸留(161〜163℃/16.0Pa)することにより56.7gの目的物を得た。収率67%。
蒸留精製物の重クロロホルム中でのH−NMRスペクトルを図4に示す。
NMR測定によると、このアルコール体は4種類の異性体混合物であることが示唆される。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、例えばレジスト材料としてより優れた特性を有するポリマーを与える、ラクトン構造を有する新規モノマー化合物及びその原料等として有用なラクトン構造を有するアルコール体を提供するものであり、本発明に係るモノマーは、例えば以下の如き優れた特性を有する。
i)耐熱性及び適度な極性を有すると共に、R又はRにイソプロピル基を導入したことに起因して適度な疎水性をも有し、且つ溶液重合による(共)重合体の製造に好適な対有機溶媒溶解性を有する。
ii) 本発明に係るモノマーを(共)重合して得られる(共)重合体も、同様に、R又はRに導入したイソプロピル基に起因して溶媒溶解性に優れ、例えば、レジスト用の好適な溶媒として汎用されているプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(2−アセトキシ−1−メトキシプロパン)、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどにも非常に溶けやすくなるので、該重合体をベース樹脂として用いたレジスト材料をSi基板上に塗布(スピンコート)した場合には、均一に塗布することが出来る。
iii)本発明に係るモノマーをベース樹脂として用いたレジスト材料は、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー等の遠紫外線や電子線等による微細加工に有用であり、半導体製造時により高精細なパターンが形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1の(1)で得られた目的物を蒸留精製したものの重クロロホルム中でのH−NMRスペクトルを示す。
【図2】図2は、実施例1の(2)で得られた目的物(蒸留精製物)の重クロロホルム中でのH−NMRスペクトルを示す。
【図3】図3は、実施例1の(3)で得られた目的物を精製したものの重クロロホルム中でのH−NMRスペクトルを示す。
【図4】図4は、実施例1の(4)で得られた目的物(蒸留精製物)の重クロロホルム中でのH−NMRスペクトルを示す。

Claims (3)

  1. 下記一般式[1]
    Figure 2004315465
    (式中、R及びRは、何れか一方はメチル基を表し、他方はイソプロピル基を表す。R及びRは、何れか一方は水素原子を表し、他方は水酸基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す。R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す。Xは−(R)(R)C−C(R)(R10)−を表し、R、R、R及びR10は、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す。)
    で示される化合物。
  2. 一般式[1]において、R及びRの何れか一方が水素原子で、他方がアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である請求項1に記載の化合物。
  3. 一般式[1]において、R及びRの何れか一方が水素原子で、他方が水酸基である請求項1に記載の化合物。
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