JP4064667B2 - 脂環構造を有する新規第三級アルコール化合物 - Google Patents

脂環構造を有する新規第三級アルコール化合物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細加工技術に適した化学増幅型レジスト材料のベース樹脂用のモノマーとして有用な新規第三級アルコール化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められているなか、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィーが有望視されている。中でもKrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光を光源としたフォトリソグラフィーは、0.3μm以下の超微細加工に不可欠な技術としてその実現が切望されている。
【0003】
エキシマレーザー光、特に波長193nmのArFエキシマレーザー光を光源としたフォトリソグラフィーで用いられるレジスト材料に対しては、該波長における高い透明性を確保することは当然として、薄膜化に対応できる高いエッチング耐性、高価な光学系材料に負担をかけない高い感度、そして何よりも、微細なパターンを正確に形成できる高い解像性能を併せ持つことが求められている。それらの要求を満たすためには、高透明性、高剛直性かつ高反応性のベース樹脂の開発が必至であるが、現在知られている高分子化合物の中にはそれらの特性をすべて備えるものがなく、未だ実用に足るレジスト材料が得られていないのが現状である。
【0004】
高透明性樹脂としては、アクリル酸又はメタクリル酸誘導体の共重合体、ノルボルネン誘導体由来の脂肪族環状化合物を主鎖に含有する高分子化合物等が知られているが、そのいずれもが満足のいくものではない。例えば、アクリル酸又はメタクリル酸誘導体の共重合体は、高反応性モノマーの導入や酸不安定単位の増量が自由にできるので反応性を高めることは比較的容易だが、主鎖の構造上剛直性を高めることは極めて難しい。一方、脂肪族環状化合物を主鎖に含有する高分子化合物については、剛直性は許容範囲内にあるものの、主鎖の構造上ポリ(メタ)アクリレートよりも酸に対する反応性が鈍く、また重合の自由度も低いことから、容易には反応性を高められない。加えて、主鎖の疎水性が高いために、基板に塗布した際に密着性が劣るという欠点も有する。従って、これらの高分子化合物をベース樹脂としてレジスト材料を調製した場合、感度と解像性は足りていてもエッチングには耐えられない、あるいは許容できるエッチング耐性を有していても低感度、低解像性で実用的でないという結果に陥ってしまう。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、好ましくは300nm以下の波長、特に好ましくはArFエキシマレーザー光を光源としたフォトリソグラフィーにおいて、透明性と基板との親和性に優れたフォトレジスト材料製造用のモノマーとして有用な新規第三級アルコール化合物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、後述の方法により、下記一般式(1)で示される第三級アルコール化合物が高収率かつ簡便に得られること、さらに、この第三級アルコール化合物を用いて得られた樹脂が、エキシマレーザー露光波長での透明性が高く、これをベース樹脂として用いたレジスト材料が解像性及び基板密着性に優れることを知見した。
【化3】
Figure 0004064667
(式中、R、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示。また、R、Rは互いに結合して、脂肪族炭化水素環を形成してもよい。Zは炭素数2〜10の直鎖状、分岐状又は環状の2価の有機基を示し、具体的には、エチレン、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,1−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,1−ジイル、ペンタン−1,2−ジイル、ペンタン−1,3−ジイル、ペンタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイル、ヘキサン−1,1−ジイル、ヘキサン−1,2−ジイル、ヘキサン−1,3−ジイル、ヘキサン−1,4−ジイル、ヘキサン−1,5−ジイル、ヘキサン−1,6−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル、シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、シクロペンタン−1,1−ジイル、シクロペンタン−1,2−ジイル、シクロペンタン−1,3−ジイル、シクロヘキサン−1,1−ジイル、シクロヘキサン−1,2−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイル及びシクロヘキサン−1,4−ジイルからなる群から選ばれる。kは0又は1である。)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき更に詳細に説明する。
本発明の第三級アルコール化合物は、一般式(1)で示されるものである。
、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、tert−アミル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[4.4.0]デカニル、アダマンチル等を例示できる。また、R、Rは互いに結合して、脂肪族炭化水素環を形成してもよい。形成する環として具体的には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、アダマンタン等を例示できる。Zは炭素数2〜10の直鎖状、分岐状又は環状の2価の有機基を示し、具体的にはエチレン、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,1−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,1−ジイル、ペンタン−1,2−ジイル、ペンタン−1,3−ジイル、ペンタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイル、ヘキサン−1,1−ジイル、ヘキサン−1,2−ジイル、ヘキサン−1,3−ジイル、ヘキサン−1,4−ジイル、ヘキサン−1,5−ジイル、ヘキサン−1,6−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル、シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、シクロペンタン−1,1−ジイル、シクロペンタン−1,2−ジイル、シクロペンタン−1,3−ジイル、シクロヘキサン−1,1−ジイル、シクロヘキサン−1,2−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイルである。kは0又は1である。
【0008】
一般式(1)で示される第三級アルコール化合物としては、特に下記一般式(2)で示される第三級アルコール化合物であることが好ましい。
【化4】
Figure 0004064667
(上式中、R3、R4はそれぞれ独立に炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。また、R3、R4は互いに結合して、脂肪族炭化水素環を形成してもよい。mは3≦m≦6を満たす整数である。)
【0009】
ここで、R3、R4はそれぞれ独立に炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、tert−アミル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を例示することができる。
【0010】
上記一般式(1)及び(2)で示される第三級アルコール化合物として、具体的には下記のものを例示できる。
【化5】
Figure 0004064667
【0011】
これらの化合物をモノマーとして用いたレジストポリマーにおいて、密着性発現のための極性基と考えられる第三級アルコール性水酸基をポリマー主鎖からリンカー{式(1)中の−Z−)}によって離れた部位に位置させることができ、良好な基板密着性を発揮するものと考えられる。また、式中のk、R1、R2及びZから適当な炭素数のものを選択しポリマー原料として用いることで、ポリマー全体の脂溶性を適当に調節することができ、ポリマーの溶解特性をも制御できると考えられる。
【0012】
本発明の式(1)で示される第三級アルコール化合物は、例えば、下記の四つの方法にて製造できるが、これに限定されるものではない。以下、詳しく説明する。
(A)まず、第一の方法としては、有機金属試薬(3)のケトン化合物(4)への求核付加反応により目的の第三級アルコール化合物(1)を合成できる。
【化6】
Figure 0004064667
(上式中、R1、R2、Z、kは上記と同様である。MはLi、Na、K、MgP又はZnPを示し、Pはハロゲン原子を示す。)
【0013】
有機金属試薬(3)の使用量は、ケトン化合物(4)1モルに対して、0.5〜2.0モル、特に0.9〜1.2モルとすることが望ましい。溶媒としてテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類が好ましく、これらの溶媒を単独もしくは混合して使用することができる。反応温度、反応時間は、条件により種々異なるが、例えば、有機金属試薬としてGrignard試薬{式(3)において、MがMgPの場合}を用いる場合は、反応温度を−20〜80℃、好ましくは0〜50℃で行う。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜10時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)により目的の第三級アルコール化合物(1)を得ることができ、必要があれば蒸留、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。
【0014】
(B)第二の方法としては、有機金属試薬(5)のケトン化合物(6)への求核付加反応により目的の第三級アルコール化合物(1)を合成できる。
【化7】
Figure 0004064667
(式中、R1、R2、Z、k、Mは上記と同様である。)
【0015】
有機金属試薬(5)の使用量は、ケトン化合物(6)1モルに対して、1.0〜3.0モル、特に1.1〜1.5モルとすることが望ましい。溶媒としてテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類が好ましく、これらの溶媒を単独もしくは混合して使用することができる。反応温度、反応時間は、条件により種々異なるが、例えば、有機金属試薬としてGrignard試薬{式(5)において、MがMgPの場合}を用いる場合は、反応温度を−20〜80℃、好ましくは0〜50℃で行う。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜10時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)により目的の第三級アルコール化合物(1)を得ることができ、必要があれば蒸留、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。
【0016】
(C)第三の方法として、有機金属試薬(5)及び(7)のエステル化合物(8)への求核付加反応により目的の第三級アルコール化合物(1)を合成できる。
【化8】
Figure 0004064667
(式中、R1、R2、Z、k、Mは上記と同様である。R5はメチル基、エチル基等のアルキル基を示す。)
【0017】
有機金属試薬(5)及び(7)の使用量は、エステル化合物(8)1モルに対して、2.0〜5.0モル、特に2.0〜3.0モルとすることが望ましい。溶媒としてテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類が好ましく、これらの溶媒を単独もしくは混合して使用することができる。反応温度、反応時間は、条件により種々異なるが、例えば、有機金属試薬としてGrignard試薬{式(5)及び(7)において、MがMgPの場合}を用いる場合は、反応温度を0〜100℃、好ましくは20〜70℃で行う。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜10時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)により目的の第三級アルコール化合物(1)を得ることができ、必要があれば蒸留、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。
【0018】
(D)第四の方法として、一般式(1)で示される第三級アルコール化合物において、R1、R2が互いに結合して、脂肪族炭化水素環を形成する場合、即ち部分構造式
【化9】
Figure 0004064667
が、
【化10】
Figure 0004064667
(上式中、R6は、R1、R2が互いに結合して、脂肪族炭化水素環を形成する場合の二価の炭化水素基を示す。)である場合、有機金属試薬(9)のエステル化合物(8)への求核付加反応により目的の第三級アルコール化合物(1)を合成できる。
【化11】
Figure 0004064667
(上式中、R1、R2、R5、R6、Z、k、Mは上記と同様である。)
【0019】
有機金属試薬(9)の使用量は、エステル化合物(8)1モルに対して、1.0〜3.0モル、特に1.1〜1.5モルとすることが望ましい。溶媒としてテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類が好ましく、これらの溶媒を単独もしくは混合して使用することができる。反応温度、反応時間は、条件により種々異なるが、例えば、有機金属試薬としてGrignard試薬{式(9)において、MがMgPの場合}を用いる場合は、反応温度を0〜100℃、好ましくは20〜70℃で行う。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜10時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)により目的の第三級アルコール化合物(1)を得ることができ、必要があれば蒸留、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。
【0020】
本発明の第三級アルコール化合物をモノマーとして用い、そのポリマーを製造する場合、一般的には、上記モノマー類と溶媒を混合し、触媒または重合開始剤を添加して、場合によっては、加熱あるいは冷却しながら重合反応を行う。これらの重合は、常法に従って行うことができる。上記の重合の例としては、開環メタセシス重合、付加重合、無水マレイン酸またはマレイミド類との交互共重合などをあげることができ、場合によって他のノルボルネン型あるいは(メタ)アクリレート型モノマー等を共重合させることも可能である。
【0021】
上記の重合により得られたポリマーをベースポリマーとしたレジスト材料は、これに有機溶剤と酸発生剤を加えて調製する方法が一般的である。更に必要に応じて、架橋剤、塩基性化合物、溶解阻止剤等を加えることができる。これらのレジスト材料の調製は、その常法に従って行うことができる。
【0022】
【実施例】
以下、合成例、参考例及び比較参考例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
[合成例]
本発明の第三級アルコール化合物を以下に示す処方で合成した。
[合成例1]2−メチル−6−(5−ノルボルネン−2−イル)ヘキサン−2−オール(monomer1)の合成
1−クロロ−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタン95.5g、マグネシウム13.3g、無水テトラヒドロフラン200mlより調製したGrignard試薬にアセトン35.5gを窒素雰囲気下40℃にて1時間かけて加えた。1時間撹拌後、塩化アンモニウム水溶液を加え、加水分解し分液を行なった。次に有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥後減圧濃縮した。減圧蒸留により精製を行ない、2−メチル−6−(5−ノルボルネン−2−イル)ヘキサン−2−オール90.5gを得た(沸点:93−98℃/66Pa、収率87%)。
IR (薄膜): ν =3371,3058,2966,2933,2863,1465,1380,1379,1377,1336,1253,1203,1186,1151,906,833,825,769,717cm-1
主要異性体の1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=0.44−0.50(1H,m),1.03−1.12(2H,m),1.16(6H,s),1.22−1.46(9H,m),1.77−1.85(1H,m),1.91−2.01(1H,m),2.70−2.76(2H,m),5.86−5.93(1H,m),6.06−6.11(1H,m)
【0023】
[合成例2] 3−メチル−7−(5−ノルボルネン−2−イル)ヘプタン−3−オール(monomer2)の合成
アセトンの替わりに2−ブタノンを用いた以外は合成例1と同様な方法で3−メチル−7−(5−ノルボルネン−2−イル)ヘプタン−3−オールを得た(沸点:106−110℃/53Pa、収率88%)。
IR (薄膜): ν =3380,3058,2966,2935,2863,1461,1373,1336,1270,1253,1178,1149,993,929,904,879,833,775,717cm-1
主要異性体の1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=0.42−0.51(1H,m),0.87(3H,t),1.03−1.09(2H,m),1.12(3H,s),1.16−1.51(11H,m),1.77−1.85(1H,m),1.93−2.01(1H,m),2.70−2.76(2H,m),5.86−5.92(1H,m),6.06−6.11(1H,m)
【0024】
[合成例3] 3−エチル−7−(5−ノルボルネン−2−イル)ヘプタン−3−オール(monomer3)の合成
アセトンの替わりに3−ペンタノンを用いた以外は合成例1と同様な方法で3−エチル−7−(5−ノルボルネン−2−イル)ヘプタン−3−オールを得た(沸点:118−121℃/53Pa、収率89%)。
IR (薄膜): ν =3403,3058,2964,2935,2863,1569,1459,1394,1376,1336,1253,1149,944,833,825,769,717cm-1
主要異性体の1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=0.42−0.51(1H,m),0.84(6H,t),1.01−1.48(15H,m),1.77−1.85(1H,m),1.93−2.02(1H,m),2.70−2.76(2H,m),5.87−5.92(1H,m),6.07−6.11(1H,m)
【0025】
[合成例4] 2−メチル−7−(5−ノルボルネン−2−イル)ヘプタン−2−オール(monomer4)の合成
1−クロロ−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタンの替わりに1−クロロ−5−(5−ノルボルネン−2−イル)ペンタンを用いた以外は合成例1と同様な方法で2−メチル−7−(5−ノルボルネン−2−イル)ヘプタン−2−オールを得た(沸点:118−121℃/66Pa、収率91%)。
IR (薄膜): ν =3363,3058,2966,2931,2863,2852,1569,1465,1380,1336,1251,1199,1182,1151,904,835,769,717cm-1
主要異性体の1H−NMR(300MHz in CDCl3) : δ=0.44−0.50(1H,m),0.96−1.12(2H,m),1.18(6H,s),1.20−1.47(11H,m),1.77−1.85(1H,m),1.90−2.01(1H,m),2.70−2.76(2H,m),5.86−5.92(1H,m),6.07−6.11(1H,m)
【0026】
[合成例5] 1−{4−(5−ノルボルネン−2−イル)−1−ブチル}シクロヘキサノール(monomer5)の合成
アセトンの替わりにシクロヘキサノンを用いた以外は合成例1と同様な方法で1−{4−(5−ノルボルネン−2−イル)−1−ブチル}シクロヘキサノールを得た(収率89%)。
【0027】
[合成例6]2−メチル−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−6,6−テトラメチレンヘキサン−2−オール(monomer6)の合成
1−クロロ−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタンの替わりに1−クロロ−4−(5−ノルボルネン−2−イル)−4,4−テトラメチレンブタンを用いた以外は合成例1と同様な方法で2−メチル−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−6,6−テトラメチレンヘキサン−2−オールを得た(収率84%)。
【0028】
[合成例7] 2−メチル−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタン−2−オール(monomer7)の合成
1−クロロ−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタンの替わりに1−クロロ−2−(5−ノルボルネン−2−イル)エタンを用いた以外は合成例1と同様な方法で2−メチル−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタン−2−オールを得た(収率89%)。
【0029】
[合成例8] 2,3−ジメチル−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタン−2−オール(monomer8)の合成
1−クロロ−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタンの替わりに2−クロロ−1−(5−ノルボルネン−2−イル)プロパンを用いた以外は合成例1と同様な方法で2,3−ジメチル−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタン−2−オールを得た(収率90%)。
【0030】
[合成例9] 2−メチル−4−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン−3−イル)ブタン−2−オール(monomer9)の合成
1−クロロ−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタンの替わりに1−クロロ−2−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン−3−イル)エタンを用いた以外は合成例1と同様な方法で2−メチル−4−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン−3−イル)ブタン−2−オールを得た(収率83%)。
【0031】
[合成例10] 2−メチル−5−(5−ノルボルネン−2−イル)ペンタン−2−オール(monomer10)の合成
1−クロロ−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタンの替わりに1−クロロ−3−(5−ノルボルネン−2−イル)プロパンを用いた以外は合成例1と同様な方法で2−メチル−5−(5−ノルボルネン−2−イル)ペンタン−2−オールを得た(収率89%)。
【0032】
[合成例11] 1−{3−(5−ノルボルネン−2−イル)プロピル}シクロペンタノール(monomer11)の合成
アセトンの替わりにシクロペンタノンを、1−クロロ−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタンの替わりに1−クロロ−3−(5−ノルボルネン−2−イル)プロパンを用いた以外は合成例1と同様な方法で1−{3−(5−ノルボルネン−2−イル)プロピル}シクロペンタノールを得た(収率86%)。
【0033】
[合成例12] 2−メチル−6−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン−3−イル)ヘキサン−2−オール(monomer12)の合成
1−クロロ−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタンの替わりに1−クロロ−4−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン−3−イル)ブタンを用いた以外は合成例1と同様な方法で2−メチル−6−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン−3−イル)ヘキサン−2−オールを得た(収率82%)。
【0034】
[合成例13]1,1−ジイソプロピル−6−(5−ノルボルネン−2−イル)ヘキサノール(monomer13)の合成
アセトンの替わりにジイソプロピルケトンを、1−クロロ−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタンの替わりに1−クロロ−5−(5−ノルボルネン−2−イル)ペンタンを用いた以外は合成例1と同様な方法で1,1−ジイソプロピル−6−(5−ノルボルネン−2−イル)ヘキサノールを得た(収率85%)。
【0035】
[合成例14] 1,1−ジシクロペンチル−6−(5−ノルボルネン−2−イル)ヘキサノール(monomer14)の合成
アセトンの替わりにジシクロペンチルケトンを、1−クロロ−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタンの替わりに1−クロロ−5−(5−ノルボルネン−2−イル)ペンタンを用いた以外は合成例1と同様な方法で1,1−ジシクロペンチル−6−(5−ノルボルネン−2−イル)ヘキサノールを得た(収率85%)。
【0036】
[合成例15] 1−{5−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン−3−イル)ペンチル}シクロペンタノール(monomer15)の合成
アセトンの替わりにシクロペンタノンを、1−クロロ−4−(5−ノルボルネン−2−イル)ブタンの替わりに1−クロロ−5−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン−3−イル)ペンタンを用いた以外は合成例1と同様な方法で1−{5−(8−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン−3−イル)ペンチル}シクロペンタノールを得た(収率82%)。
【0037】
【化12】
Figure 0004064667
【0038】
[参考例]
上記合成例で得られた第三級アルコール化合物を用いて高分子化合物を合成し、ベース樹脂として配合したレジスト材料の基板密着性を調べた。
5−ノルボルネン−2−カルボン酸tert−ブチル、monomer1及び無水マレイン酸を和光純薬社製V60を開始剤に用いて重合させ、[5−ノルボルネン−2−カルボン酸tert−ブチル]−[2−メチル−6−(5−ノルボルネン−2−イル)ヘキサン−2−オール]−[無水マレイン酸]交互共重合体(共重合比4:1:5)を得た。この高分子化合物を用いて、下記に示す組成でレジスト材料を調製した。このものを、90℃、40秒間ヘキサメチルジシラザンを噴霧したシリコンウェハー上へ回転塗布し、110℃、90秒間の熱処理を施して、厚さ500nmのレジスト膜を形成した。これをKrFエキシマレーザー光で露光し、110℃、90秒間の熱処理を施した後、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて60秒間浸漬現像を行ない、1:1のライン・アンド・スペース・パターンを形成した。現像済ウェハーを上空SEMで観察したところ、0.26μmのパターンまで剥れずに残っているのが確認された。
【0039】
なお、レジスト材料の組成は、次の通りである。
ベース樹脂:80重量部
酸発生剤:トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、1.0重量部
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、480重量部
その他:トリn−ブチルアミン、0.08重量部
【0040】
[比較参考例]
比較のため、[5−ノルボルネン−2−カルボン酸tert−ブチル]−[無水マレイン酸]交互共重合体(共重合比1:1)を用いて、上記参考例と同様の組成でレジスト材料を調製した。このものを上記と同様の条件で露光し、基板密着性を評価したところ、0.50μm以下のパターンは残っていなかった。
以上の結果より、本発明の第三級アルコール化合物を原料とした高分子化合物が、従来品に比べ、極めて高い基板密着性を有していることが確認された。
【0041】
【発明の効果】
本発明の第三級アルコール化合物を重合することにより得られるポリマーを用いて調製したレジスト材料は、高エネルギー線に感応し、基板との密着性、感度、解像性、エッチング耐性に優れ、電子線や遠紫外線による微細加工に有用である。特に、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザーの露光波長での吸収が小さいため、微細でしかも基板に対して垂直なパターンを容易に形成でき、超LSI製造用の微細パターン形成材料として好適である。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0004064667
    (上式中、R、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示。また、R、Rは互いに結合して、脂肪族炭化水素環を形成してもよい。Zは炭素数2〜10の直鎖状、分岐状又は環状の2価の有機基を示す。kは0又は1である。)
    で示され、上記Zが、エチレン、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,1−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,1−ジイル、ペンタン−1,2−ジイル、ペンタン−1,3−ジイル、ペンタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイル、ヘキサン−1,1−ジイル、ヘキサン−1,2−ジイル、ヘキサン−1,3−ジイル、ヘキサン−1,4−ジイル、ヘキサン−1,5−ジイル、ヘキサン−1,6−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル、シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、シクロペンタン−1,1−ジイル、シクロペンタン−1,2−ジイル、シクロペンタン−1,3−ジイル、シクロヘキサン−1,1−ジイル、シクロヘキサン−1,2−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイル及びシクロヘキサン−1,4−ジイルからなる群から選ばれる第三級アルコール化合物。
  2. 下記一般式(2)
    Figure 0004064667
    (上式中、R、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。また、R、Rは互いに結合して、脂肪族炭化水素環を形成してもよい。mは3≦m≦6を満たす整数である。)
    で示される請求項1に記載の第三級アルコール化合物。
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