JP2004315459A - 筆ペン型化粧料用液状化粧料 - Google Patents

筆ペン型化粧料用液状化粧料 Download PDF

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Abstract

【課題】黒酸化鉄を着色顔料として配合した筆ペン型化粧料用液状化粧料であって、前記液状化粧料は顔料の分散性が良好で、また、前記液状化粧料を充填した筆ペン型化粧料は、経時での液状化粧料の吐出性(経時吐出性)及び使用性が優れたものである、前記筆ペン型化粧料用液状化粧料を提供すること。
【解決手段】疎水化処理黒酸化鉄、親水性非イオン界面活性剤、ヒドロキシ酸および/またはその塩、ポリマーエマルジョンを含有する筆ペン型化粧料用液状化粧料。さらに、水膨潤性粘土鉱物及び/又はビニルピロリドン系ポリマーを含有する前記筆ペン型化粧料用液状化粧料。さらに、前記筆ペン型化粧料用液状化粧料を充填してなる筆ペン型化粧料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆ペン型化粧料用液状化粧料及びそれを充填した筆ペン型化粧料に関する。さらに詳しくは、黒色顔料として黒酸化鉄を用いた筆ペン型化粧料用液状化粧料及びそれを充填した筆ペン型化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
筆ペン型化粧料とは筆ペンタイプの化粧料であり、液状化粧料を内蔵させ、該液状化粧料を筆先に導き、前記筆により化粧を行うものである。筆ペン型化粧料は、通常、レフィルまたはカートリッジ等と呼ばれる容器に低粘度の液状化粧料を充填したものを、筆ペン型の塗布具内に装着することにより、液状化粧料を塗布具内の筆先へと導入させるものである。また塗布具は筆先と反対側(後端)をノックすることにより、筆先への液状化粧料の導入を補助する機能を備えたものが多い。
【0003】
これらの筆ペン型化粧料においては、液状化粧料の粘度が高いと、筆に液が流れなかったり、筆先から液が吐出しなかったり、詰まったりするため、また高粘度の液を加圧により吐出させると吐出時に液ダレや噴出し等が発生する危険があり、また筆先の液の含み量を調整することが困難で一定のラインがかけず使用性が悪いため100mPa・s以下の低粘度であることが要求される。前記液状化粧料が低粘度であると液状化粧料中で、顔料の沈降、凝集等が起こり目詰まりを発生するため、従来の筆ペン型化粧料に用いる液状化粧料は、黒色顔料として分散性の良い、カーボンブラックやタール色素を利用したものがあるが、これらは安全性の上で問題視されることがある。
【0004】
一方、黒色顔料としての黒酸化鉄は、安全性に問題はないが、カーボンブラックやタール色素に比べて分散性に劣り、また沈降分離した顔料を外力を与えて、再び均一に分散させる、いわゆる再分散性も悪い。そのため、筆ペン型化粧料用の液状化粧料に配合した場合、使用する前に筆ペン型化粧料を複数回振る行為をしても、経時で筆つまりを生じ、液状化粧料が吐出されなくなる為、配合することは困難であった。
【0005】
黒酸化鉄を配合による経時的な目詰まりを抑制する技術としては、例えば、特定の高分子分散剤と特定のノニオン性活性剤を併用した技術(例えば、特許文献1参照)、また黒酸化鉄を脂肪酸及びその塩で表面処理し、特定のミセル化剤を用いた技術(例えば、特許文献2参照)等がある。しかしながら、いずれも効果が充分でなかったり、化粧持ち向上のためのポリマーエマルジョンの配合が困難で化粧持ちが充分でなかったりして満足できるものではなかった。
【0006】
【特許文献1】
特許第2604190号公報
【特許文献2】
特許第2622590号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、黒酸化鉄を着色顔料として配合した筆ペン型化粧料用液状化粧料であって、前記液状化粧料は顔料の分散性が良好で、また、前記液状化粧料を充填した筆ペン型化粧料は、経時での液状化粧料の吐出性(経時吐出性)及び使用性が優れたものである、前記筆ペン型化粧料用液状化粧料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、疎水化処理黒酸化鉄、親水性非イオン界面活性剤、ヒドロキシ酸および/またはその塩、ポリマーエマルジョンを必須成分として含有することにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、疎水化処理黒酸化鉄、親水性非イオン界面活性剤、ヒドロキシ酸および/またはその塩、ポリマーエマルジョンを含有することを特徴とする筆ペン型化粧料用液状化粧料である。
【0010】
本発明における前記親水性非イオン界面活性剤は、HLB11〜18の非イオン界面活性剤であることが好ましい。
【0011】
また前記ヒドロキシ酸はクエン酸であることが好ましく、クエン酸および/またはその塩が好ましく用いられる。
【0012】
本発明においては、さらに、水膨潤性粘土鉱物又はビニルピロリドン系ポリマーを含有することにより、経時での液状化粧料の吐出性(経時吐出性)がさらに向上した筆ペン型化粧料用液状化粧料が得られる。水膨潤性粘土鉱物及びビニルピロリドン系ポリマーは併用することができ、効果の増強がなされる。
【0013】
さらに、本発明は、本発明の筆ペン型化粧料用液状化粧料を充填してなる筆ペン型化粧料である。
【0014】
本発明に係る筆ペン型化粧料とは、前記したように筆ペンタイプの化粧料であり、液状化粧料を内蔵させ、該液状化粧料を筆先に導き、前記筆により化粧を行うものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【0016】
本発明の筆ペン型化粧料用液状化粧料(以下、単に「液状化粧料」ともいう。)には、疎水化処理黒酸化鉄、親水性非イオン界面活性剤、ヒドロキシ酸および/またはその塩並びにポリマーエマルジョンが含有される。
【0017】
本発明において黒酸化鉄は疎水化処理剤で疎水化処理されたものが用いられる。疎水化処理されたものでないと、液状化粧料の顔料分散性が悪く、また筆ペン型化粧料の経時吐出性の効果が得られず、そのため使用性も悪い。なお、疎水化処理黒酸化鉄は液状化粧料製造中に疎水化処理されても構わない。疎水化処理黒酸化鉄は、通常化粧料に配合される公知の疎水化処理黒酸化鉄が使用できる。疎水化処理剤としては、例えば金属石鹸、シリコーン系化合物、デキストリン脂肪酸エステル、有機フッ素化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの疎水化処理剤のうち、金属石鹸が好ましい。黒酸化鉄に対する疎水化処理は公知の方法を用いて行うことができる。
【0018】
また、黒酸化鉄は、通常の化粧料に用いられる顔料レベルのものが使用され、微粒子化による経時での酸化褐変の起こらないものが好ましい。本発明における好ましい具体的な疎水化処理黒酸化鉄としては、ジミリスチン酸アルミニウム処理黒酸化鉄が挙げられる。疎水化処理黒酸化鉄は1種または2種以上が任意に選択されて配合される。
【0019】
疎水化処理黒酸化鉄は、液状化粧料全量中2〜20質量%含有されることが好ましい。含有量が2質量%未満では顔料としての機能を充分発揮することができず、また20質量%を越えると液状化粧料の分散状態が悪くなる傾向にあり、筆ペン型化粧料に目詰まりが発生しやすくなる。さらに好ましい含有量は液状化粧料全量中5〜15質量%である。
【0020】
本発明においては、親水性非イオン界面活性剤が用いられる。親水性非イオン界面活性剤としては、化粧料に配合できる親水性非イオン界面活性剤であれば特に制限されないが、好ましくは、ポリオキシエチレン(以下、POEという。)、ポリオキシプロピレン(以下、POPという。)等のポリオキシアルキレン(以下、POAという。)付加型の非イオン界面活性剤(以下、「POA系活性剤」ともいう。)であって、親水性に調整されたものが用いられる。
【0021】
前記親水性POA系活性剤としては、例えば、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POE2−ヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル等のPOEアルキルエーテル、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリル、モノイソステアリン酸POEグリセリル等のPOEグリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタン等のPOEソルビタン脂肪酸エステル、モノラウリン酸POEソルビット等のPOEソルビット脂肪酸エステル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(PEG)、モノオレイン酸PEG、モノラウリン酸PEG等のPEG脂肪酸エステル等であって、これらがPOE、POPの付加モル数の調整等常法により親水性に調整されたものが挙げられる。親水性POA系活性剤としては、脂肪族アルコール等のOH基にPOA、好ましくはPOEを付加させた、エーテル基を有するエーテル系の界面活性剤であって、親水性に調整されたものが好ましい。特に、親水性POEアルキルエーテル、POE・POPアルキルエーテルが好ましく、なかでもPOEアルキルエーテルが好ましい。なお、親水性非イオン界面活性剤は1種または2種以上が任意に選択されて配合される。
【0022】
本発明における親水性非イオン界面活性剤の親水性の範囲は、HLB値で11〜18が好ましく、特に、13〜18が好ましい。なお、前記本発明におけるHLB値は、小田らによって提案されている(例えば、化粧品ハンドブック、日光ケミカルズ他、1996年、p.150)次式によって求められる値である。
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性値)×10
有機性値、無機性値に関しては、矢守吉衛、フレグランスジャーナル、1989年、17巻、4号、p.29〜38等にも記載されており、また日本エマルジョン社製品カタログには、有機性値、無機性値の値が記載されているのでそれが利用できる。
【0023】
本発明の親水性非イオン界面活性剤は、市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテルであるEMALEX500系(日本エマルジョン社製)、ポリオキシエチレンステアリルエーテルであるEMALEX600系(日本エマルジョン社製)、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルであるEMALEX BHA系(日本エマルジョン社製)等のうちの親水性のものが挙げられる。
【0024】
親水性非イオン界面活性剤の含有量は、液状化粧料全量中0.1〜5質量%が好ましい。含有量が0.1質量%未満では液状化粧料の顔料分散性が充分でなく、筆ペン型化粧料の経時での吐出性効果が充分に得られない。また5質量%を越えると、化粧持ちが充分でなくなってくる。さらに好ましい含有量は液状化粧料全量中1〜3質量%である。
【0025】
本発明において用いられるヒドロキシ酸としては、1分子中にカルボキシル基とアルコール性水酸基とを持つ化合物であれば特に制限されない。本発明においては、ヒドロキシ酸であってもその塩であっても構わず、ヒドロキシ酸および/またはその塩が含有される。本発明において用いられるヒドロキシ酸および/またはその塩を構成するヒドロキシ酸の具体例としては、例えば、クエン酸、乳酸、酒石酸、グリコール酸等が挙げられる。ヒドロキシ酸および/またはその塩は1種または2種以上が任意に選択されて配合される。
【0026】
本発明においてヒドロキシ酸はクエン酸が好ましく、クエン酸および/またはその塩が好ましく用いられる。クエン酸および/またはその塩の使用により特に液状化粧料の顔料分散性が優れたものとなり、経時での吐出性が優れた筆ペン型化粧料が得られる。
【0027】
ヒドロキシ酸および/またはその塩の含有量は、液状化粧料全量中0.01〜2質量%が好ましい。含有量が0.01質量%未満では液状化粧料の顔料分散性が充分でなく、筆ペン型化粧料の経時での吐出性効果が充分に得られない。また2質量%を越えると、顔料や樹脂の凝集が発生しやすくなり経時での吐出性効果が充分に得られない。さらに好ましい含有量は液状化粧料全量中0.05〜1質量%である。
【0028】
本発明において用いられるポリマーエマルジョンは、水にポリマーが分散されたものであり、通常化粧料に配合されるポリマーエマルジョンが使用できる。本発明においては、重合性モノマーを乳化重合して得られるポリマーエマルジョンを用いることが好ましい。ポリマーエマルジョン中に分散されているポリマーとしては、ポリマーエマルジョンを基材に塗布して乾燥させた後に皮膜を形成するものであれば特に制限されず、具体的には、アクリル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー等が挙げられ、これらが好ましい。
【0029】
アクリル系ポリマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル酸エステル系モノマーを含むモノマーの重合物(アクリル酸エステル系モノマー単位を含むポリマー)が好ましい。前記アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。アクリル酸エステル系モノマーは1種または2種以上が組合されて用いられる。
【0030】
前記アクリル系ポリマーは、アクリル酸エステル系モノマーからなるポリマーでも、他モノマーとのコポリマーでも構わない。前記他モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、スチレン、エチレン、プロピレン等のオレフィン等が挙げられる。
【0031】
前記アクリル系ポリマーとしては、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを主成分とするポリマーが好ましい。特に、アクリル酸エチル及び/又はメタクリル酸エチルを主成分とするポリマーが好ましい。
【0032】
また酢酸ビニル系ポリマーとしては、酢酸ビニルを含むモノマーの重合物(酢酸ビニル単位を含むポリマー)が好ましい。前記酢酸ビニル系ポリマーは酢酸ビニルホモポリマーでも、他モノマーとのコポリマーでも構わない。前記他モノマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、エチレン、プロピレン等のオレフィン等が挙げられる。酢酸ビニル系ポリマーとしては、酢酸ビニルポリマーが好ましい。ポリマーエマルジョンは1種または2種以上が任意に選択されて配合される。
【0033】
本発明のポリマーエマルジョンは、市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えばアクリル酸エステル共重合体のポリマーエマルジョンとして、ダイトゾール(大東化成工業社製)、ヨドゾール(日本NSC社製)、ポリ酢酸ビニルポリマーエマルジョンとして、ビニブラン(日信化学工業社製)等が挙げられる。
【0034】
ポリマーエマルジョンの含有量は、液状化粧料全量中有効ポリマー分として1〜17.5質量%が好ましい。含有量が1質量%未満では化粧持ちが悪くなってくる傾向にあり、また17.5質量%を越えると、筆割れや目詰まりが発生する場合がある。さらに好ましい含有量は液状化粧料全量中有効ポリマー分として5〜15質量%である。
【0035】
本発明液状化粧料においては、前記必須成分に加えて水膨潤性粘土鉱物が含有されると筆ペン型化粧料の経時での液状化粧料の吐出性(経時吐出性)がさらに向上する。水膨潤性粘土鉱物としては、化粧料に配合できる水膨潤性粘土鉱物であれば特に制限されず、天然物であっても合成物であっても構わない。具体的には、例えばスメクタイト、ベントナイト、ケイ酸A1Mg、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等が挙げられる。水膨潤性粘土鉱物は1種または2種以上が任意に選択されて配合される。
【0036】
本発明の水膨潤性粘土鉱物は、市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えばクニピア(クニミネ工業社製)、ベンゲル(豊順洋行社製)、スメクトン(クニミネ工業社製)、ラポナイト(ラポート社製)等が挙げられる。
【0037】
水膨潤性粘土鉱物の含有量は、液状化粧料全量中0.01〜2質量%が好ましい。含有量が0.01質量%未満では水膨潤性粘土鉱物の添加効果が充分発揮されず、また2質量%を越えると、液のゲル化により筆への吐出が困難になる場合がある。さらに好ましい含有量は液状化粧料全量中0.1〜1質量%である。
【0038】
さらに、本発明液状化粧料においては、前記必須成分に加えてビニルピロリドン系ポリマーが含有されると経時での液状化粧料の吐出性(経時吐出性)がさらに向上する。なお、本発明においては、前記水膨潤性粘土鉱物と併用して配合されても構わない。両者の併用により、前記両者の効果が増強される。ビニルピロリドン系ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンと他モノマーとの共重合体が挙げられる。具体的には、例えばポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。ビニルピロリドン系ポリマーは1種または2種以上が任意に選択されて配合される。
【0039】
本発明においてビニルピロリドン系ポリマーはポリビニルピロリドンが好ましい。
【0040】
本発明のビニルピロリドン系ポリマーは、市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えばポリビニルピロリドン(ISP社製、BASF社製)、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(ISP社製、BASF社製)等が挙げられる。
【0041】
ビニルピロリドン系ポリマーの含有量は、液状化粧料全量中0.1〜15質量%が好ましい。含有量が0.1質量%未満ではビニルピロリドン系ポリマーの添加効果が充分発揮されず、また15質量%を越えると、液の増粘により筆への吐出が困難になってきたり、筆割れが起こりやすくなってくる傾向が場合がある。さらに好ましい含有量は液状化粧料全量中1〜10質量%である。
【0042】
本発明の液状化粧料には、前記成分の他に、通常化粧料に用いられる他の成分を必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。前記任意配合成分としては、例えば、本発明以外の粉末・顔料、多価アルコール、本発明以外の高分子化合物、油分、本発明以外の界面活性剤、保湿剤、増粘剤、染料、低級アルコール、紫外線吸収剤、本発明以外の有機酸、有機アミン、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、ポリマーエマルジョン中以外の水等を挙げることができる。
【0043】
上記任意配合成分のうち、本発明以外の粉末・顔料の具体例としては、例えば、合成雲母、シリカ、ベンガラ、黄酸化鉄、コンジョウ、赤色226号,青色204号等の有機顔料、硫酸バリウム、金属セッケン、雲母チタン、結晶セルロース等が挙げられる。
【0044】
また、多価アルコールの具体例としては、1、3−ブチレングリコール(1,3−BG)、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
【0045】
また、本発明以外の高分子化合物の具体例としては、カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子、デキストリン,アラビアガム等の植物系高分子、キサンタンガム,ヒアルロン酸等の微生物系高分子、ポリビニルアルコール,ポリエチレングリコール等の合成高分子等が挙げられる。
【0046】
本発明における液状化粧料は、筆ペン型化粧料の使用性の点から粘度を1〜40mPa・sに調整することが好ましい。より好ましくは1〜30mPa・sである。なお、ここでいう粘度はB型粘度計(RB−80L:東機産業社製品)を用いて、ローターNo.1、60rpmにおいて30秒後に測定した値である。
【0047】
本発明においては、前記液状化粧料を筆ペン型化粧料容器に充填して筆ペン型化粧料を調製する。調製の方法は特に限定されず一般的な方法が用いられる。充填に際しては、一端に筆を設けた筆ペン型化粧料容器に直接充填する方式、カートリッジやレフィルに充填し、筆ペン型化粧料容器に組み込む方式等があるが特に限定されるものではない。
【0048】
前記本発明の液状化粧料を充填した筆ペン型化粧料は、経時で液状化粧料の筆からの吐出は良好で、経時吐出安定性に優れ、使用に際しては塗布しやすく、塗布された化粧料の化粧持ちも優れる等使用性も良好なものである。
【0049】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。配合量は質量%である。実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験方法について説明する。
【0050】
1.顔料分散性
試料(液状化粧料)をガラスビンに詰め、室温で1週間静置保管したものにつき、撹拌後の分散状態(顔料の凝集の程度)を観察し、以下の4段階で評価した。
【0051】
(評価基準)
◎:凝集体が見られない。(分散性が非常に良い。)
○:ほとんど凝集体が見られない。(分散性が良い。)
△:顔料の凝集が見られる。(分散性が悪い。)
×:顔料の凝集が多く見られる。(分散性が非常に悪い。)
【0052】
2.経時吐出性
試料(液状化粧料)を、一端に筆、その反対側の端にノックにより内部の液が筆に送り込まれるノック機構を設けた筆ペン型化粧料容器に充填し、室温で1ヶ月静置保管した。次いで、そのものにつき、使用直前に容器を3回振り、次いで2回ノックした後、筆で手の甲に塗布した。その時の、筆からの吐出状態(目詰まり)、塗布面のかすれ、塗布むら等を観察し、経時吐出性として以下の4段階で評価した。
【0053】
(評価基準)
◎:目詰まり、塗布むら等がなく、経時での吐出性が非常に良い。
○:目詰まり、塗布むら等がほとんどなく、経時での吐出性が良い。
△:目詰まり、塗布むら等がややあり、経時での吐出性が悪い。
×:目詰まり、塗布むら等があり、経時での吐出性が非常に悪い。
【0054】
3.使用性
試料(液状化粧料)を筆ペン型化粧料容器に充填し、評価パネル10名に使用してもらい、塗布のしやすさと、化粧持ちについて2段階で評価した。
【0055】
(評価基準)
○:10名中6名以上が良好であるとした。
×:10名中5名以下が良好であるとした。
【0056】
(実施例1〜4、比較例1〜4)
表1に示す成分、配合量の処方(配合合計100質量%)の液状化粧料(アイライナー)を、(1)〜(6)を混合粉砕し、それを(7)〜(12)の混合溶液に加えることにより調製した。次いで前記アイライナーを、一端に筆を設け、他端にノックにより内部の液が筆に送り込まれるノック機構を設けた筆ペン型化粧料用容器に充填して筆ペン型化粧料(アイライナー)を得た。さらに、前記アイライナー及び前記筆ペン型化粧料(アイライナー)につき効果試験を行った。試験結果については表2に示した。
【0057】
【表1】
Figure 2004315459
【0058】
表1中、
(*1)HLB13.3のPOEオレイルエーテル
(*2)HLB12.5のPOEベヘニルエーテル
(*3)HLB8.3のPOEオレイルエーテル
(*4)ジミリスチン酸アルミニウム1.5質量%処理黒酸化鉄
(*5)ヨドゾールGH34(固形分46質量%)(日本NSC社製)
【0059】
【表2】
Figure 2004315459
【0060】
表2から分かるように、疎水化処理黒酸化鉄、親水性非イオン界面活性剤、ヒドロキシ酸塩、ポリマーエマルジョンを配合した実施例1〜4の液状化粧料(アイライナー)及びそれらを充填した筆ペン型化粧料(アイライナー)は、いずれも優れた効果を有するものであった。なお、さらに水膨潤性粘土鉱物を配合した実施例3、さらに、ビニルピロリドン系ポリマーを配合した実施例4の液状化粧料(アイライナー)を充填した筆ペン型化粧料(アイライナー)はいずれも経時吐出性がさらに優れたものであった。
【0061】
これらに対して、未処理黒酸化鉄を配合した比較例1、HLB8.3の非イオン界面活性剤を配合した比較例2、ポリマーエマルジョンが配合されていない比較例3及び疎水化処理黒酸化鉄が配合されていない比較例4の液状化粧料(アイライナー)、並びにこれら比較例1〜4の液状化粧料(アイライナー)を充填した筆ペン型化粧料(アイライナー)は、いずれも本発明の効果を発揮し得ないことが分かる。
【0062】
以下、さらに本発明液状化粧料の実施例を示す。なお、製造は実施例1〜4の方法に準じて行った。また、実施例1〜4の方法と同様にしてこれらの液状化粧料を筆ペン型化粧料用容器に充填して筆ペン型化粧料を得た。さらに、前記液状化粧料及び前記筆ペン型化粧料につき前記の効果試験方法にしたがって効果試験を行ったところ、いずれも優れた結果が得られた。
【0063】
Figure 2004315459
【0064】
(注1)ジミリスチン酸アルミニウム1.5%処理黒酸化鉄
(注2)ダイトゾール5000AD(SP)(固形分50質量%)(大東化成工業株式会社製)
【0065】
Figure 2004315459
【0066】
(注1)ジミリスチン酸アルミニウム1.5%処理黒酸化鉄
(注2)ダイトゾール5000AD(SP)(固形分50質量%)(大東化成工業株式会社製)
【0067】
Figure 2004315459
【0068】
(注1)ジミリスチン酸アルミニウム1.5%処理黒酸化鉄
(注2)ダイトゾール5000AD(SP)(固形分50質量%)(大東化成工業株式会社製)
【0069】
Figure 2004315459
【0070】
(注1)ジミリスチン酸アルミニウム1.5%処理黒酸化鉄
(注2)ダイトゾール5000AD(SP)(固形分50質量%)(大東化成工業株式会社製)
【0071】
Figure 2004315459
【0072】
(注1)ジミリスチン酸アルミニウム1.5%処理黒酸化鉄
(注2)ダイトゾール5000AD(SP)(固形分50質量%)(大東化成工業株式会社製)
(注3)ビニブランUGV−5651(固形分35質量%)(日信化学工業社製)
(注4)ラポナイト(ラポート社製)
(注5)ルビスコールVA73W(固形分50%)(BASF社製)
【0073】
Figure 2004315459
【0074】
(注1)ジミリスチン酸アルミニウム1.5%処理黒酸化鉄
(注2)ダイトゾール5000SJ(固形分50質量%)(大東化成工業株式会社製)
(注3)ラポナイト(ラポート社製)
【0075】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によれば、黒酸化鉄を着色顔料として配合した液状化粧料に親水性非イオン界面活性剤、ヒドロキシ酸および/またはその塩並びにポリマーエマルジョンを配合することにより、顔料の分散性が良好な液状化粧料が得られ、該液状化粧料を筆ペン型化粧料容器に充填することにより経時での液状化粧料の吐出性(経時吐出性)及び使用性が優れた筆ペン型化粧料が得られる。さらに、前記液状化粧料に水膨潤性粘土鉱物及び/又はビニルピロリドン系ポリマーを配合することにより、前記筆ペン型化粧料の経時での液状化粧料の吐出性(経時吐出性)がさらに向上する。
が得られる。

Claims (6)

  1. 疎水化処理黒酸化鉄、親水性非イオン界面活性剤、ヒドロキシ酸および/またはその塩、ポリマーエマルジョンを含有することを特徴とする筆ペン型化粧料用液状化粧料。
  2. 親水性非イオン界面活性剤が、HLB11〜18の非イオン界面活性剤である請求項1記載の筆ペン型化粧料用液状化粧料。
  3. ヒドロキシ酸がクエン酸である請求項1又は2記載の筆ペン型化粧料用液状化粧料。
  4. さらに、水膨潤性粘土鉱物を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の筆ペン型化粧料用液状化粧料。
  5. さらに、ビニルピロリドン系ポリマーを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の筆ペン型化粧料用液状化粧料。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の筆ペン型化粧料用液状化粧料を充填してなる筆ペン型化粧料。
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