JP2004315452A - ドライフラワーの製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】生花を短時間で自然に近い形態、花色を損なうことなく脱水乾燥すると共に、耐衝撃性に優れ、取り扱い及び使用中に破損することがないドライフラワーを提供する。
【解決手段】生花中の水分を脱水液で置換脱水した直後、脱水された生花に脱水液と相溶性のある樹脂溶液を塗布して樹脂塗膜を形成して、脱水された生花と塗膜を同時に乾燥することによってドライフラワーの表面を樹脂皮膜で被覆した。

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明はドライフラワーの製造方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ドライフラワーの製造方法として、生花を加熱乾燥する加熱乾燥法、生花をシリカゲル中に埋設して乾燥するシリカゲル法、生花をアルコールで脱水して乾燥する脱水乾燥法がしられている。
【０００３】
しかしながら、加熱乾燥法で製造されたものは、乾燥中に花が収縮したり、変色したりして生花本来の自然な形態・花色を保持することが出来ない欠点があった。
【０００４】
シリカゲル法で製造されたものは、乾燥中シリカゲルの付着によって汚染されたり、乾燥後吸湿によって変色し易い欠点があり、しかも乾燥に１０日前後を要し量産が困難でコスト高であった。
【０００５】
脱水法は生花を、花の種類大きさにもよるが３〜５０時間の比較的短時間で、自然な形態・花色に脱水乾燥可能であるが、乾燥されたドライフラワーは、極めて脆弱で取り扱い中の僅かな衝撃で破損されてしまう欠点があった。したがって脱水法で乾燥されたドライフラワーに透明性のアクリル系樹脂溶液、ビニル系樹脂溶液、ゴム系溶液を塗布して樹脂叉はゴム皮膜を形成して補強する方法も提案されているが、これらの溶液を塗布する際、花びらが僅かな衝撃で破損されたり、脱落する欠点があり、実用化されていないのが実状である。
【０００６】
このため本件発明者等は生花を脱水直後の未乾燥時、即ち生花中の水分が脱水液と置換脱水され、脱水された生花がある程度の強度を保持している時点で、これらの樹脂系溶液又はゴム系溶液を、脱水された生花に塗布することを試みたが、これらの溶液がトルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系の溶剤を溶媒とするものである場合、生花中に置換されているアルコール等の脱水剤と相溶性がないため皮膜がゲル化され不透明化し、花色が喪失されてしまう欠点があつた。叉これらの樹脂系溶液叉はゴム系溶液が水を溶媒とすエマルジョン、ラテックス等の場合は、折角脱水された生花が再び給水して柔らかくなり変形してしまう欠点があった。
【０００７】
【特許文献１】
特公招４９−１８７３０号
【特許文献２】
特開昭６３−１９０８０１号
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、脱水法の改良に係り、生花を短時間で自然に近い形態・花色を損なうことなく脱水乾燥すると共に、耐衝撃性に優れ、取り扱い及び使用中に破損することがない室内装飾用、又はコサージュ、ブーケ、髪飾り等の装身具として有用なドライフラワーを低コストで提供しようとするものである。
【０００９】
【課題を解決する手段】
この発明は、生花中の水分を脱水液で置換脱水した直後、脱水された生花に、脱水液と相溶性のある樹脂溶液を塗布して樹脂塗膜を形成して、脱水された生花と塗膜を同時に乾燥することによって表面を樹脂皮膜で被覆したことをとを特徴とするドライフラワーの製造方法を請求項１の発明とし、請求項１の発明において脱水液がアルコールを主成分とすることを特徴とするドライフラワーの製造方法を請求項２の発明とし、請求項１又は請求項２の発明において樹脂溶液がアルコール１００重量部に対して、アルコール可溶性樹脂５〜３０重量部を主成分とすることを特徴とするドライフラワーの製造方法を請求項３の発明とするものである。
【００１０】
【発明の実施形態】
この発明において、脱水液としてはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類のような親水性有機溶剤を主成分とし、必要により脱水する生花の種類、花の色によって、これに無機又は有機酸、或いは無機又は有機塩からなるＰＨ調整剤、グリセリン、ポリエチレングリコール等の柔軟剤、酸化防止剤を添加したものが使用される。この発明において脱水液をアルコールを主成分として構成しておけば、アルコールによる殺菌作用により、得られるドライフラワーは腐敗による変色が防止でき好都合である。
【００１１】
この発明において樹脂溶液としては、セラック、ニトロセルロース、エチルセルロース等のセルロース系樹脂、アルキッド系樹脂、マレイン酸系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂等のビニル系樹脂、アルコール溶性フノール樹脂等の樹脂等の一種又は樹脂二種以上の混合物からなるアルコール可溶性の透明性樹脂をメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコールの一種叉は二種の混合物に、必要によって可塑剤、酸化防止剤等を添加して溶解したものが使用される。
【００１２】
そして、これらの樹脂溶液としては、アルコール１００重量部に対して、アルコール可溶性樹脂（固形分）５〜３０部を主成分とするのものが好適である。樹脂がそれ以下になれば、樹脂皮膜が薄くなりすぎ補強効果が低下すぎるきらいがあり、樹脂がそれ以上となれば、溶液の粘度が高くなりすぎ、花びらが多重の場合塗布時に花の隅々まで液を浸透させることができず、部分的に樹脂の付着量が多すぎ樹脂溶液並び生花花の乾燥性が低下したり、花びらが薄い場合、乾燥時に樹脂の重みで生花が変形し易くなるきらいがある。
【００１３】
この発明において、生花にたいする樹脂溶液の塗布は、スプレー、刷毛、浸漬等適宜手段によって行うことができる。
【００１４】
脱水された生花並びにこれに塗布された塗膜は、シリカゲル、ゼオライトのような乾燥剤、真空乾燥機、加熱乾燥機により適宜行うことができる。
【００１５】
そしてこのようにして乾燥されたドライフラワーは、さらに用途により合成樹脂叉はゴム皮膜を施すことにより補強されてもよい。
【００１６】
【実施例】
イソプロピルアルコールアルコール１００重量部に対してＰＨ調整剤として燐酸１重量部を添加した脱水液に、赤いばらを２時間浸漬して脱水し、これを脱水液から引上げ余剰な脱水液を垂れ切りした直後、これを表１上段の実施例１．２．３に示すイソプロピルアルコール１００重量に対してアクリル樹脂（固形分）５部（実施例１）、１０部（実施例２）、２０部（実施例３）からなる樹脂溶液に５秒間浸漬して引上げ、余剰に付着した樹脂溶液を垂れ切りした後、これを加熱乾燥機により、６０℃で３時間乾燥して赤いバラのドライフラワーを形成した。これを実施例と同様に脱水し、これに樹脂溶液を付着させることなく乾燥して得られたドライフラワーと耐衝撃性、形態保持性を比較して表１下段に示す。
【００１７】
【表１】

【００１８】
【発明の効果】
本発明は、生花を脱水液で脱水した直後、これを脱水液と相溶性のある樹脂融溶液を塗布するので、樹脂塗布時又は塗膜乾燥時に脱水液によって生花が濡れていても、生花にたいする樹脂の付着性が良好で、生花中に置換含浸された脱水液も塗膜を通して簡単に気化除去され、塗膜もゲル化することなく透明性が保持される。又未乾燥の生花は、生花中に置換含浸されている脱水液が気化してしまうまでは、生花中に含浸されている脱水液で生花の強度が保持され、乾燥後は生花中から脱水液が気化除去されるが、乾燥された塗膜で形成された樹脂皮膜で乾燥された生花、即ちドライフラワーが補強されることになる。
【００１９】
したがって比較的に短時間で生花を短時間で自然に近い形態・花色を損なうことなく脱水乾燥でき、しかも完成したドライフラワーは耐衝撃性に優れ、取り扱い及び使用中に破損することがない室内装飾用、又はコサージュ、ブーケ、髪飾り等の装身具として有用なドライフラワーを低コストで提供できる。

Claims (4)

1. 生花中の水分を脱水液で置換脱水した直後、脱水された生花に脱水液と相溶性のある樹脂溶液を塗布して樹脂塗膜を形成して、脱水された生花と塗膜を同時に乾燥することによって表面を樹脂皮膜で被覆したことを特徴とするドライフラワーの製造方法。
2. 脱水液がアルコールを主成分とすることを特徴とする請求項１のドライフラワーの製造方法。
3. 樹脂溶液がアルコール可溶性樹脂をアルコールに溶解させたものであることを特徴とする請求項２のドライフラワーの製造方法。
4. 樹脂溶液がアルコール１００重量部に対して、アルコール可溶性樹脂５〜３０重量部を主成分とすることを特徴とする請求項３のドライフラワーの製造方法。