JP2004314128A - 金属部材表面の改質方法 - Google Patents

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Kyoichi Iwata
恭一 岩田
Mitsugi Umemura
貢 梅村
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Sintokogio Ltd
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Abstract

【課題】金属部材表面に生成された硬質薄膜が簡単に剥離してしまうことのない金属部材表面の改質方法を提供する。
【解決手段】金属部材を液体中に配置した後前記金属部材表面上にパルスレーザー光を照射し、その後、パルスレーザー光を照射した前記金属部材表面上に硬質薄膜を生成させることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属部材表面の改質方法に係り、より詳しくは金属部材表面上に硬質薄膜を生成するようにした金属部材表面の改質方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
近年、金型、切削工具、各種機械部品などの各種の金属部材の表面に、耐摩耗性、耐酸化性、摺動性を付与する観点から、これら金属部材の表面に窒化チタン、窒化クロム、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの硬質薄膜を生成させて金属部材表面を改質することが行われるようになってきている(例えば、
非特許文献1)。
しかし、従来の金属部材表面の改質方法では金属部材表面に生成された硬質薄膜が面圧荷重を受けることによって比較的簡単に剥離してしまうなどの問題があった。
【0003】
【非特許文献1】
池永、「DLC膜の特徴と工業的応用」、表面技術、日本、社団法人 表面技術協会、平成14年11月1日、第53巻第11号、P7〜10
【0004】
本発明は上記の問題を解消するためになされたもので、その目的は、金属部材表面に生成された硬質薄膜が簡単に剥離してしまうことのない金属部材表面の改質方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明における金属部材表面の改質方法は、各種金属部材の表面を改質する方法であって、金属部材を液体中に配置した後前記金属部材表面上にパルスレーザー光を照射し、その後、パルスレーザー光を照射した前記金属部材表面上に硬質薄膜を生成させることを特徴とする。
【0006】
金属部材表面上にパルスレーザー光を照射すると、金属部材表面にV字状の凹みが多数形成され、その後V字状の凹み内に深く生成された硬質薄膜が金属部材表面に生成された硬質薄膜のアンカー部を構成する。こうして生成された硬質薄膜と金属部材表面との接合面は複雑に入り組んでこれらのせん断抵抗が増大し、この結果、生成された硬質薄膜は金属部材表面から簡単に剥離しないようになる。さらに、金属部材表面上にパルスレーザー光を照射すると、パルスレーザー光の照射の代りにショットを投射した場合と比較して、金属部材は、表面硬度が向上しかつ圧縮残留応力が付与されるため、疲労強度が向上する。
【0007】
なお、本発明において前記パルスレーザー光の照射工程と前記硬質薄膜の生成工程との間に、前記パルスレーザー光を照射した金属部材表面上にショットを投射することにより、金属部材表面の粗さを調整することができる。
この場合に用いるショットは、アルミナ・ジリコニア等のセラミックス、ガラス粉、非鉄金属粉、鉄金属粉等の単体またはこれらの混合物である。
【0008】
またなお、本発明において用いる硬質薄膜の生成方法としては、気体状のベンゼン(C)を用いるイオン源方式、直接固体カーボン源を用いるアーク放電方式、メタン(CH)ガスを用いるプラズマCVDおよび非平衡の磁気でスパッタ成膜させるUBMSがある。
【0009】
またなお、本発明において硬質薄膜を生成させる前の金属部材表面は、十点平均粗さが2〜5μmが望ましい。 2μm未満では、V字状の凹みが少なくなって硬質薄膜の
金属部材表面に対する固着力が弱くなり、これに伴って、
荷重を受けた場合に硬質薄膜が金属部材表面から剥離し易くなりとなり、また、5μmを越えると、金属部材は、硬質薄膜生成後の表面粗さが増大して摩擦抵抗が増大する。
またなお、本発明における金属部材は、特に限定しないが、表面に摺動部を有するものである場合には特に効果を発揮する。
【0010】
【実施例1】
合金工具鋼SKD11で作製した表面硬度700HVの円盤状の試験片を液体中に配置し、続いて、この試験片表面上に、パルスエネルギー100mJ、スポット径0.6mmの条件でパルスレーザー光を照射する。次いで、パルスレーザー光を照射した表面に、イオン源方式により硬質薄膜としてダイヤモンドライクカーボンを生成し、その後、ボール・オン・ディスク型の摩擦試験機を用いて円盤状の試験片に、鋼球を回転させながら段階的に大きくなる荷重をかけたところ、1000Nの荷重をかけても硬質薄膜は剥離しなかった。
【0011】
なお、ボール・オン・ディスク型の摩擦試験機は、試料と相手材を摺動摩擦し、その際の摩擦係数や摩耗量を測定する装置であって、相手材としてボールを用いている。
【0012】
【実施例2】
合金工具鋼SKD11で作製した表面硬度700HVの円盤状の試験片を液体中に配置し、続いて、この試験片表面上に、パルスエネルギー100mJ、スポット径0.6mmの条件でパルスレーザー光を照射する。次いで、パルスレーザー光を照射した表面に、ホワイトアランダム#180(新東ブレーター株式会社製)のショットを圧力0.2MPaの圧縮空気を用いてノズルから噴射させて15秒間衝突させ、続いて、ショットを衝突させた試験片表面上に、イオン源方式により硬質薄膜としてダイヤモンドライクカーボンを生成した。その後、ボール・オン・ディスク型の摩擦試験機を用いて円盤状の試験片に、鋼球を回転させながら段階的に大きくなる荷重をかけたところ、1000Nの荷重をかけても硬質薄膜は剥離しなかった。
【0013】
【実施例3】
比較例として、合金工具鋼SKD11で作製した表面硬度700HVの試験片の表面上に、イオン源方式により硬質薄膜としてダイヤモンドライクカーボンを生成した。その後、ボール・オン・ディスク型の摩擦試験機を用いて試験片に、鋼球を回転させながら段階的に大きくなる荷重をかけたところ、800Nの荷重によって硬質薄膜は剥離した。
【0014】
【効果】
上記の説明から明らかなように本発明は、各種金属部材の表面を改質する方法であって、金属部材を液体中に配置した後前記金属部材表面上にパルスレーザー光を照射し、その後、パルスレーザー光を照射した前記金属部材表面上に硬質薄膜を生成するから、金属部材表面に生成された硬質薄膜が簡単に剥離してしまうことのないなどの優れた実用的効果を奏する。

Claims (5)

  1. 各種金属部材の表面を改質する方法であって、
    金属部材を液体中に配置した後前記金属部材表面上にパルスレーザー光を照射し、その後、パルスレーザー光を照射した前記金属部材表面上に硬質薄膜を生成させることを特徴とする金属部材表面の改質方法。
  2. 請求項1に記載の金属部材表面の改質方法において、
    前記パルスレーザー光の照射工程と前記硬質薄膜の生成工程との間に前記パルスレーザー光を照射した前記金属部材表面上にショットを投射することを特徴とする金属部材表面の改質方法。
  3. 請求項1または2に記載の金属部材表面の改質方法において、
    前記硬質薄膜は、ダイヤモンドライクカーボンであることを特徴とする金属部材表面の改質方法。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の金属部材表面の改質方法において、
    前記硬質薄膜を生成させる前の金属部材表面は、十点平均粗さが2〜5μmであることを特徴とする金属部材表面の改質方法。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の金属部材表面の改質方法において、
    前記金属部材表面における硬質薄膜を生成せさる箇所は前記金属部材の摺動部であることを特徴とする金属部材表面の改質方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007268557A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Hitachi Via Mechanics Ltd レーザ加工機およびウインドセル
JP2009226479A (ja) * 2008-02-25 2009-10-08 Sumitomo Electric Ind Ltd 表面改質方法

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