JP2004313846A - 有機性廃棄物の可溶化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可溶化処理槽に有機性廃棄物と水を供給して有機性廃棄物のスラリーを形成する(S1)。このスラリーに、炭酸ガスを含むガスを通気して、スラリー中に炭酸ガスを溶存させ、これにより、溶存した炭酸ガスを有機性廃棄物中の各種細胞に取り込ませる(S2)。炭酸ガスを溶存させてなるスラリーを、30乃至90℃に加熱処理することにより、有機性廃棄物の各種細胞中に取り込ませてある溶存炭酸ガスをガス化させ、気泡化させることにより上記各種細胞を破壊させて、有機性廃棄物の可溶化処理を行わせる(S3)。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は家庭から排出される厨芥やし尿、し尿処理場や下水処理場から排出される汚泥、あるいは、畜産廃棄物といわれる畜産糞尿や藁、木屑、バーク等の有機性廃棄物の単独あるいは混合物を、消化処理する前段にて可溶化させるために用いる有機性廃棄物の可溶化処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機性廃棄物の資源化、有用物化を図る手法の一つとして、有機性廃棄物を原料として、微生物の働きでメタンガスを生成させて回収する消化処理方法がある。従来、このような有機性廃棄物の消化処理は、主として、排水中に溶解する有機物を対象にしていたため、有機性廃棄物の固形物を含むスラリーを消化処理しようとすると、該スラリー中の固形物が溶けるのに時間がかかって消化槽における滞留時間が長くなることから、一ヶ月程度の処理期間が必要とされていた。
【0003】
このため、有機性廃棄物を消化処理前に予め可溶化させることにより、後段の消化処理を効率的に行わせるようにすることが考えられ、このことに鑑みて、たとえば、有機性汚泥にアルカリ性物質を添加してpHを7.3〜9.2に調整すると共に、処理温度を50〜100℃に維持することで前処理(可溶化処理)を行うことにより、その後、上記可溶化処理された有機性汚泥の高負荷消化処理を可能とさせるようにしたものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
又、従来提案されている他の手法としては、都市ごみ中の厨芥を酵素を用いて可溶化し、厨芥のスラリー(厨芥固形物と水との混合物)中のセルロール性繊維を微細化してから比重差によって三相に分離し、厨芥を多く含む相を消化処理することで消化処理を容易に行うことができるようにしたものがある(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
有機性廃棄物の可溶化処理を行うための更に他の手法としては、有機性廃棄物を所要濃度の炭酸塩又は重炭酸塩の存在下で加熱処理するようにしたり(たとえば、特許文献3参照)、あるいは、有機性廃棄物を所要濃度の炭酸イオンを存在させた条件下にて、密閉容器内で高温、高圧条件下で加熱することも提案されている(たとえば、特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−345200号公報
【特許文献2】
特公昭60−9879号公報
【特許文献3】
特開2000−185300号公報
【特許文献4】
特開2001−9410号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特許文献1に示されている手法では、アルカリ処理のpHを7.3〜9.2に調整するため多くのアルカリ性物質を消費すると共に、より効果的に汚泥を可溶化しようとすると、pHを9付近に調整する必要があるため、可溶化した処理液を消化槽に投入する場合には酸で逆中和する必要があった。又、処理温度は最低でも50℃必要で、より効率的な可溶化を進める場合は100℃程度の高温処理となり、最も良く用いられる消化槽温度である35℃で操業する場合、この温度付近まで冷却する必要があった。このように、操業容易性や設備コストおよび運転コストの点で数々の問題点を有するため、実際にこの方法を適用し具現化することはかなりの困難が伴うものと考えられる。
【0008】
又、上記特許文献2に示されている手法の場合、使用する酵素の価格は非常に高いものであることから、効果を見出す濃度の酵素を添加することは、実際のプラントで実施を考えた場合、全く採用し得ないものである。又、三相に比重分離し厨芥を多く含む相を消化処理することは、消化処理自体を簡略化することはできると考えられるが、その他の廃水や残渣の処理をあわせて考慮すると、この方法を実現することははなはだ難しい。
【0009】
したがって、上記特許文献1及び特許文献2に示された手法により有機性廃棄物の可溶化処理を行おうとする場合、可溶化処理に係わる方法は最適化されているものの、その処理液をそのまま消化処理に投入することは難しく、しかも処理コストも高価になるという問題がある。
【0010】
なお、特許文献3及び特許文献4に示された手法は、いずれもアルカリ性物質や酵素を必要としないことから、特許文献1や特許文献2の手法の場合に生じる上記のような問題点は解消することができるものと考えられる。しかし、上記特許文献3に示された手法では、被処理液中に所要濃度の炭酸塩や重炭酸塩を存在させておく必要があることから、被処理液中における上記炭酸塩や重炭酸塩の濃度を測定する手間を要すると共に、被処理液中の炭酸塩や重炭酸塩濃度が上記所要濃度に達していない場合には、外部から炭酸塩あるいは重炭酸塩を添加したり、炭酸ガスと所要の塩基を加える必要が生じる等の手間を要することから、有機性廃棄物の可溶化処理に伴う手間をより削減できるようにすることが望まれる。
【0011】
一方、特許文献4に示された手法では、有機性廃棄物の可溶化処理に高温、高圧条件を必要とするため耐圧の処理容器を必要としたり、被処理液の加熱に要するコストが嵩むというのが実状である。このため、より穏やかな反応条件の下で有機性廃棄物の可溶化処理を実施できるようにすることが望まれていた。
【0012】
そこで、本発明者等は有機性廃棄物の可溶化処理に要する手間の更なる削減化を図ると共に、処理条件を緩和化するための工夫、研究を重ねた結果、被処理液としての有機性廃棄物のスラリーに炭酸ガスを通気することにより該スラリーに炭酸ガスを溶存させ、しかる後、上記スラリーを加熱して該スラリー中に溶存している炭酸ガスを再びガス化させることで、スラリー中の有機性廃棄物を可溶化できることを見出し、本発明をなした。
【0013】
したがって、本発明の目的とするところは、従来に比して処理に要する手間を削減できると共に、緩和な処理条件の下で実施できる有機性廃棄物の可溶化処理方法を提供しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、有機性廃棄物を含むスラリーに炭酸ガスを含むガスを通気させることで該スラリー中に炭酸ガスを溶存させ、次に、炭酸ガスを溶存させてなる上記スラリーを加熱して該スラリー中に溶存している炭酸ガスをガス化させることにより有機性廃棄物を可溶化させるようにする。
【0015】
有機性廃棄物を含むスラリー中に炭酸ガスを通気すると、該炭酸ガスは、上記スラリー中に溶存させられ、この溶存させられた炭酸ガスが、上記スラリーに含まれる有機性廃棄物中に存在する植物細胞や動物細胞あるいは菌体等の細胞内へ、濃度勾配に従って取り込まれる。その後、上記炭酸ガスを溶存させてなるスラリーを加熱すると、水中における炭酸ガスの溶解量は温度が上昇するに従って減少することから、上記スラリー中に溶存させられていた炭酸ガスはガス化されて気泡が発生する。この炭酸ガスのガス化による気泡の発生は、上記各種細胞内に取り込まれている炭酸ガスがガス化することによっても生じるため、該各細胞は、その内部で発生する気泡により破壊され、これにより、有機性廃棄物の可溶化が行なわれるようになる。
【0016】
又、炭酸ガスを含むガスとしてボイラー排ガス及び、又は消化槽排ガスを用いるようにすることにより、上記ボイラー排ガスや消化槽排ガスに含まれる炭酸ガスを有効利用できると共に、炭酸ガスの供給を、簡単な設備でしかも低コストで実施できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1及び図2は本発明の有機性廃棄物の可溶化処理方法の実施の一形態を示すもので、図1は手順のフローを示すものである。
【0019】
先ず、図2に示す如き厨芥等の有機性廃棄物を可溶化させるための可溶化処理槽4内に、上記有機性廃棄物1と共に水2を投入して、被処理液となるスラリー3を形成し(ステップ1:S1)、次に、上記可溶化処理槽4内にてスラリー3を後述する比較的低温の温度条件の下に保持したまま、図2に二点鎖線で示す如く、該スラリー3中に、炭酸ガス(二酸化炭素)を含むガス5として、たとえば、ボイラー排ガスや消化槽排ガス等のガスを通気させて、上記スラリー3中に炭酸ガスを溶存(ステップ2:S2)させた後、上記スラリー3を、炭酸ガスを溶存させたままの状態で所要時間維持させる。
【0020】
これにより、上記スラリー3中の溶存炭酸ガスは、時間の経過と共に、濃度勾配が均等になるよう拡散させられ、この拡散の過程にて、有機性廃棄物1中に含まれている各種の細胞、たとえば、動物細胞、植物細胞、菌体の内部にも取り込まれるようになる。
【0021】
次いで、上記炭酸ガスが溶存されているスラリー3を、上記可溶化処理槽4内にて加熱処理することにより、後述する所要温度まで昇温させ、これにより、上記スラリー3中の溶存炭酸ガスをガス化させることに伴って、スラリー3中の有機性廃棄物1を可溶化させるようにする(ステップ3:S3)。
【0022】
すなわち、図3に示す水温と、水への炭酸ガスの溶解量との相関図より明らかなように、炭酸ガスの水への溶解は温度依存性が高く、低い温度条件の場合の炭酸ガスの溶解量は、より高い温度条件の下における溶解量に比して大となる。このために、比較的温度が低い状態で水中に炭酸ガスを溶存させ、その後、該炭酸ガスの溶存している水を加熱処理して昇温させると、温度上昇により炭酸ガスの水へ溶解可能な量が低下することに伴い、この昇温時における水中へ溶解可能な炭酸ガスの量が、上記比較的低い温度条件の下で水中に溶存させた炭酸ガスの量を下回るようになると、余剰分の炭酸ガスは、水中に溶存していられなくなるためガス化させられ、気泡として発生するようになる。
【0023】
したがって、ステップ2(S2)にて比較的低温条件の下で炭酸ガスを溶存させてなるスラリー3を、上記ステップ3(S3)において加熱して昇温させると、この温度上昇に伴って、上記スラリー3中に溶存している炭酸ガスが、一部ガス化されて気泡として発生させられ、この際、上記スラリー3の有機性廃棄物1に含まれている各種細胞に取り込まれている炭酸ガスもガス化されて気泡として発生させられるようになり、このように上記各種細胞の内部で炭酸ガスの気泡が発生されることにより、該細胞の破壊が行なわれ、このため有機性廃棄物1の可溶化が行なわれるようになる。
【0024】
よって、上記ステップ3(S3)にて加熱処理後の処理液としての可溶化物6を、下流側の消化槽7へ送りメタン発酵を行わせてメタンを生成させるようにする。
【0025】
上記において、ステップ2(S2)における炭酸ガスを溶存させる際のスラリー3の温度条件、及び、ステップ3(S3)におけるスラリー3中に溶存している炭酸ガスをガス化させるべく加熱する際の温度条件は、図3に示した水温と、水への炭酸ガスの溶解量との相関性を考慮して、スラリー3中に一旦溶存させた炭酸ガスをガス化させることにより、有機性廃棄物1の可溶化処理を効率よく行えるようにそれぞれの温度条件を選定すればよく、たとえば、ステップ2(S2)における炭酸ガスを溶存させる際のスラリー3の温度条件としては、常温付近の10乃至30℃程度が好適であり、又、ステップ3(S3)におけるスラリー3の加熱条件としては、上記ステップ2(S2)にてスラリー3中に溶存させた炭酸ガスをガス化させて気泡化させることができるように、30乃至90℃に設定すればよい。なお、上記ステップ3(S3)における加熱条件としては、温度が50℃以上ならば90℃までほぼ同様の効果が得られることから、過剰な高温、たとえば、100℃以上の高温処理を必要としない。
【0026】
上記ステップ3(S3)における加熱処理時間としては、1時間以上で効果が現れ、その後は時間が長くても一向に効果は低下しないが、通常1日以内で処理したほうが実用的である。
【0027】
なお、上述したように、有機性廃棄物1の可溶化は、スラリー3の加熱に伴って、有機性廃棄物1に含まれる各種細胞内にて炭酸ガスの気泡を発生させることにより行なわれるものであるため、スラリー3中の有機性廃棄物1に含まれる各種細胞内に予め炭酸水素イオン(HCO3 −)を取り込ませた後、加熱することによっても上記有機性廃棄物1の可溶化現象を観測できるが、その効果は十分ではない。したがって、スラリー3中に炭酸ガスを含むガス5を通気するのが最も好適である。
【0028】
又、上記スラリー3へ炭酸ガスを含むガス5を通気させると、炭酸ガスが水中に溶存し、炭酸が発生するため、スラリー3のpHは低下するが、溶存炭酸ガス濃度が100〜500ppmの範囲であればpHは5程度となる。後述する実施例の結果によれば、溶存炭酸ガス濃度を更に増加させることが好ましく、この場合、スラリーはpH4以下になる。万一、必要量以上の炭酸ガスを溶存させたとしても、有機性廃棄物1の可溶化そのものの効果は変化しない。更に、このように、炭酸ガスを溶存させた時点でのpHが4以下の場合であっても、加熱処理によって、スラリー3中の炭酸ガスはガス化させられて気泡として外部へ放出されるようになり、このため、加熱処理後に得られる可溶化物6のpHは5〜7まで戻されるので、該可溶化物6は、特段のCO2除去処理を必要とすることなく消化槽7に受け入れてメタン発酵処理に供することが可能となる。
【0029】
このように、上記本発明の処理方法によれば、有機性廃棄物1のスラリー3に、炭酸ガスを含むガス5を通気させた後、100℃以下の所要温度に加熱することのみで有機性廃棄物1の可溶化を実施することができることから、従来の特許文献3や特許文献4に示された方法に比して、処理に要する手間を削減できると共に、緩和な処理条件の下で可溶化処理を実施することができる。
【0030】
又、炭酸ガスを含むガス5として、ボイラーの排ガスや消化槽排ガスを用いるようにすれば、簡単な設備でしかも低コストで炭酸ガスを含むガス5を供給できる。
【0031】
更に、スラリー3中に炭酸ガスを含むガス5を通気させることにより、スラリー3中に存在する塩基と炭酸ガスが反応して炭酸塩、炭酸水素塩等が生じたとしても、該炭酸塩、炭酸水素塩等は消化槽7におけるメタン発酵(消化)反応の基質となり、生物反応の結果メタンに変換するため、消化槽7内でのメタンの生成量を向上させることができる。
【0032】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、可溶化処理槽4へ、有機性廃棄物1と水2を供給して該可溶化処理槽4内にてスラリー3を形成させることに代えて、スラリー状の有機性廃棄物1や、予め有機性廃棄物1と水とを混合して形成させてなるスラリー3を上記可溶化処理槽4へ直接供給するようにしてもよいこと、可溶化処理槽4のスラリー3中に通気させるガスとしては、炭酸ガスを含むガス5であり、且つ後段の消化槽7にてメタン発酵処理を行わせるための生物反応を阻害するような成分を含まなければ、ボイラー以外の燃焼設備の排ガス等、ボイラーの排ガスや消化槽排ガス以外のガスを用いてもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0033】
【実施例】
以下、本発明者等の行った実験結果について説明する。
【0034】
(実施例1)
有機性廃棄物のスラリーとして、水の存在下にある厨芥を、表1に示す条件の如く、10%の原料濃度としておき、これに対し、30℃の温度条件下にて、炭酸ガスを、その溶存濃度を種々変更して溶存させた後、5時間その状態を維持し、しかる後、70℃に加熱して上記溶存させてなる炭酸ガスをガス化させて有機性廃棄物の可溶化処理を実施した。その結果は図4に示すとおりであった。
【0035】
【表1】
(実施例2)
又、上記と同様に水の存在下にある厨芥を、表2に示す条件の如く、10%の原料濃度としておき、これに対し10℃の温度条件下にて、炭酸ガスを、その溶存濃度を種々変更して溶存させた後、5時間その状態を維持し、しかる後70℃に加熱して上記溶存させてなる炭酸ガスをガス化させて可溶化処理を実施した。その結果は図5に示すとおりであった。
【0036】
【表2】
これら図4及び図5から明らかなように、一定濃度以上の炭酸ガスを溶存させた後、加熱処理すると、無添加(溶存炭酸ガス濃度0%)の場合に比して、S−COD(溶解性COD)換算でかなりの量の有機物質が溶解していることがわかる。又、炭酸ガスを溶存させるときの温度としては、30℃で溶存させた場合に比べて、10℃で処理した場合の方がS−CODの溶解度が促進されていることが判明した。
【0037】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の有機性廃棄物の可溶化処理方法によれば、有機性廃棄物を含むスラリーに炭酸ガスを含むガスを通気させることで該スラリー中に炭酸ガスを溶存させ、次に、炭酸ガスを溶存させてなる上記スラリーを加熱して該スラリー中に溶存している炭酸ガスをガス化させることにより有機性廃棄物を可溶化させるようにしてあるので、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1) 有機性廃棄物のスラリーに、炭酸ガスを含むガスを通気させた後、所要温度に加熱することのみで有機性廃棄物の可溶化を実施することができることから、従来の有機性廃棄物の可溶化処理方法に比して、処理に要する手間を削減できる。
(2) 炭酸ガスを溶存させてなるスラリーの加熱処理は、100℃を超すような高温条件を必要としないため、緩和な処理条件の下で可溶化処理を実施することができ、このために、低コストで有機性廃棄物の可溶化処理を行うことができる。(3) スラリー中に炭酸ガスを過剰に溶存させたとしても、可溶化性能が低下することはなく、その後の加熱処理により、上記溶存させた炭酸ガスがガス化されてスラリー中から除去されるため、後段のメタン発酵処理の前のpH再調整等の操作を不要にできて、上記可溶化処理物を速やかにメタン発酵処理に移行させることが可能になる。
(4) スラリー中に炭酸ガスを含むガスを通気させることにより、スラリー中に存在する塩基と炭酸ガスが反応して炭酸塩、炭酸水素塩等が生じたとしても、該炭酸塩、炭酸水素塩等は後段のメタン発酵(消化)反応の基質となり、生物反応の結果メタンに変換するため、メタン発酵処理時におけるメタンの生成量を向上させることができる。
(5) 又、炭酸ガスを含むガスとしてボイラー排ガス及び、又は消化槽排ガスを用いるようにすることにより、上記ボイラー排ガスや消化槽排ガスに含まれる炭酸ガスを有効利用できると共に、炭酸ガスの供給を、簡単な設備でしかも低コストで実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機性廃棄物の可溶化処理方法の実施の一形態における手順を示すフローである。
【図2】図1の方法の実施に用いる装置の概要図である。
【図3】水温と、水への炭酸ガスの溶解量との相関性を示す図である。
【図4】炭酸ガスを溶存させるときの処理温度を30℃として厨芥を可溶化処理した場合の実験結果を示すグラフである。
【図5】炭酸ガスを溶存させるときの処理温度を10℃として厨芥を可溶化処理した場合の実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 有機性廃棄物
3 スラリー
5 炭酸ガスを含むガス
Claims (2)
- 有機性廃棄物を含むスラリーに炭酸ガスを含むガスを通気させることで該スラリー中に炭酸ガスを溶存させ、次に、炭酸ガスを溶存させてなる上記スラリーを加熱して該スラリー中に溶存している炭酸ガスをガス化させることにより有機性廃棄物を可溶化させることを特徴とする有機性廃棄物の可溶化処理方法。
- 炭酸ガスを含むガスとしてボイラー排ガス及び、又は消化槽排ガスを用いるようにした請求項1記載の有機性廃棄物の可溶化処理方法。
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