JP2004167382A - 有機性物質からのメタン発酵方法及びメタン発酵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機性物質の可溶化が余分なエネルギーを必要とせずに効率的に行なわれ、メタンの生成量を増加することのできるメタン発酵方法を提供する。
【解決手段】有機性物質を可溶化槽4で可溶化する可溶化工程と、その可溶化工程で得られた可溶化物をメタン発酵槽14でメタンを発酵させる発酵工程を有する有機性物質からのメタン発酵方法において、前記可溶化工程で、燃焼装置15の排ガスを前記可溶化槽4内に供給することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】有機性物質を可溶化槽4で可溶化する可溶化工程と、その可溶化工程で得られた可溶化物をメタン発酵槽14でメタンを発酵させる発酵工程を有する有機性物質からのメタン発酵方法において、前記可溶化工程で、燃焼装置15の排ガスを前記可溶化槽4内に供給することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,有機性廃棄物などの有機性物質を可溶化し、メタン発酵させてメタンガスを発生させ、廃棄物処理と同時にエネルギー回収を行うメタン発酵方法及びメタン発酵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
メタン発酵は、下水・し尿処理の分野では、最終沈殿池汚泥及び余剰活性汚泥の処理に適用されてきた。近年、ごみ焼却炉からのダイオキシン類の排出、埋立地の不足、CO2 よる地球温暖化等が大きな問題となり、これらの環境汚染を低減する方法の一つとして、メタン発酵技術の利用が活発化している。メタン発酵は、有機性廃棄物(厨芥類、汚泥、バイオマス等)を発酵させてメタンガスを回収できる技術であり、そのまま燃焼してはエネルギー回収ができない高水分廃棄物からのエネルギー回収が可能である。
【0003】
メタン発酵は、大きく分けると加水分解菌、酢酸化菌による可溶化工程と、メメタン生成菌によるメタン発酵工程の二段階の生化学反応から成っている。タンパク質、炭水化物、脂肪等の高分子有機化合物は、まず加水分解菌などによって低分子化されて高級脂肪酸、アミノ酸、糖類となる。次にこれらの低分子有機物は発酵菌、酢酸化菌によってH2、CO2、有機酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸、ピルビン酸、ギ酸、乳酸、コハク酸等)に分解され、最後にメタン発酵工程でメタン生成菌によってメタンとなる。
【0004】
このように可溶化工程とメタン発酵工程では、活躍する微生物の種類が異なり、最適pH値も可溶化工程は4〜5、メタン生成工程は7.5前後と異なることから、最近は可溶化槽とメタン発酵槽を分離して発酵効率を高める二相式と呼ばれる方法が採用される場合が多い。
【0005】
メタン発酵を行う菌は絶対嫌気性であり、酸素が存在する環境では生育できないが、可溶化に関係した菌は好気性、通性嫌気性のものが多く、酸素の有無やその存在量に応じて最適な菌が活動し、有機性物質を分解する。また、好気性菌は嫌気性菌に比べて分解速度が速いが、分解の最終生成物が二酸化炭素と水であるため、メタン発酵の前処理として好気性で可溶化を進めすぎると、原料の有機性物質の分解が有機酸までで止まらず、炭素分の多くが二酸化炭素にまで変換されてしまい、その分メタン発酵におけるメタンの生成量が減少することになる。
【0006】
図5に、従来技術による厨芥類のメタン発酵エネルギー回収システムのフローチャートを示す(本図に関連する技術は、非特許文献1に記載されている)。
【0007】
例えば厨芥類や草木等の廃棄物からなる有機性物質1は破砕機2で破砕された後、流動性を持たせるための適量の水3と共に可溶化槽4に投入される。そして攪拌機5で攪拌しながら、主に廃棄物中に存在する微生物の働きによって可溶化され、メタン発酵の原料となる有機酸及び、有機酸の前駆体となる高級脂肪酸、アミノ酸、糖類等の有機物が生成される。このとき、システムによっては可溶化速度を速めるために、可溶化槽4に底部から空気を供給して好気雰囲気にする場合もある。一般に、可溶化槽4は可溶化途上のものを排出しないようにバッチで運転され、1〜3日程度経過した後、可溶化物を弁6から抜き出し、貯留槽7に一旦溜める。
【0008】
可溶化槽4および貯留槽7は、投入物(有機性物質、水、可溶化物)を入れるとき以外は投入口を塞いでいるが、いずれも臭気が発生するため、可溶化槽4からの排ガスと貯留槽7からの排ガスはファン11により活性炭フィルタ12を通して排出し、可溶化槽4と貯留槽7内は弱い負圧となっている。
【0009】
貯留槽7は、後段のメタン発酵槽14へ可溶化物を定量供給するためのバッフファであるだけでなく、貯留中に溶存酸素を消費させ、可溶化物を嫌気性のメタン発酵に適した状態とする。また、貯留槽7では、固形分の沈殿を防ぐために攪拌機8により攪拌を行っている。貯留槽7内の可溶化物は、ポンプ13によりメタン発酵槽14へ定量的に送られ、メタン生成菌の働きにより、有機酸からメタン約65%、二酸化炭素約35%のガス(バイオガス)が生成される。
【0010】
バイオガスはガスホルダ15に貯留される。バイオガス中には数百ppm程度の硫化水素が含まれているため、脱硫装置16で処理した後、コージェネレーション装置17の燃料として使用される。コージェネレーション装置17では発電を行う他、熱交換器18により、貯水槽19からポンプ20で循環された水を加熱して温水を得る。燃焼排ガスは脱硝装置21で処理した後、熱交換器22により貯水槽19からポンプ23で循環された水を加熱し、最終排ガス24として排出される。最終排ガス24の温度は露点を避けるために100〜150℃程度に設定されており、成分はほとんど窒素、二酸化炭素、酸素のクリーンな排ガスである。
【0011】
貯水槽19に溜まった温水は、ポンプ25によりメタン発酵槽14の温水ジャケット26内を循環して加温に使用し、メタン発酵槽14の温度を35℃前後あるいは55℃前後に維持する。得られた電気は所内動力として使用し、余剰分は外部へ売却する場合もある。
【0012】
メタン発酵槽14の廃液はポンプ27により抜き出されて沈降槽28に送られ、底部に濃縮した濃縮汚泥29と上澄の廃水30に分けられる。濃縮汚泥29は、主にメタン菌の菌体と、分解しきれずに残った有機物(分解残査)からなり、ポンプ31によって抜き出され、切替弁32を介して、一部は濃縮汚泥返送ライン33を経由してメタン発酵槽14へ返送し、メタン発酵の種汚泥として利用される。
【0013】
濃縮汚泥29の残りは濃縮汚泥排出ライン34から排出され、通常はコンポスト化して肥料として利用されるか、または単純に焼却処理される場合が多い。廃水30はポンプ35で抜き出され、一部は可溶化槽4へ送られ、水分調整用の水3として使用される。残りは廃水排出ライン36から廃水処理装置へ送られ、活性汚泥法等により最終処理された後放流される。
【0014】
【非特許文献1】
「生活と環境」(財)日本環境衛生センター発行1999 vol.44, No.6, P72
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
この従来のメタン発酵システムには、以下のような問題点がある。
(1)微生物の多くは常温以上の温度で活発に活動・増殖する。よって気温が低い場合は、冷蔵庫では食物が腐りにくいのと同様、有機性物質の分解速度が非常に遅い。メタン発酵の最適温度は厳密であり、34〜39℃(中温発酵)あるいは53〜58℃(高温発酵)に限定されているため、メタン発酵槽14を積極的に加温するのが必須である。
【0016】
一方、可溶化は30〜40℃程度が最適ではあるが、実際には幅広い温度域で活動する菌が混在していることから、温度の影響を比較的受けにくいため、メタン発酵のように加温が必須というわけではない。しかし、気温が低いほど分解速度は低下し、5℃を下回るような場合は著しく反応が阻害される。このため、水分調整用に添加する水3を温水としたり、可溶化
槽4自体を加温する必要が生じ、余分なエネルギーが必要となる。
【0017】
(2)可溶化のスピードと可溶化率を向上させるために、可溶化槽4に空気を吹き込んで好気性とするシステムでは、分解が始まれば自己発熱が起こって可溶化槽4の温度が上昇する。しかし、冬季のように初期温度が低い場合は結局分解が始まらないため、温度上昇も望めない。一方、有機性物質に含まれる通常の微生物による可溶化は、図6に示すように35〜40℃が最適温度範囲であり、有機性物質の低分子化や有機酸の生成が活発となる。なお、図6は、実験で明らかになった可溶化性有機炭素と有機酸の可溶
化反応に対する温度の影響を示す特性図である。
【0018】
また、可溶化槽4の温度が過度に上昇すると微生物の活動が抑制される。さらに、可溶化槽4への空気の供給は、攪拌を助ける意味もあるため、ある程度まとまった量を均一に吹き込むのが望ましい。しかし、空気量が多いと、槽内の温度を低下させてしまう。さらに好気雰囲気においては、強力な好気性菌により、分解の中間生成物であり、メタン発酵の直接の原料ともなる有機酸が、二酸化炭素にまで分解されて失われる炭素が増加し、
その分メタン発酵槽におけるメタンの生成量が減少する。
【0019】
(3)排出されるメタン発酵汚泥は、コンポスト化あるいは焼却処理されているが、現状、コンポストの需要は実際には少なく、季節変動が大きく、流通ルートも確立していないため、大量に製造しても消費しきることができない。
【0020】
また、水分含有率が高いため、焼却処理するためには大量の燃料が必要となる。可燃ごみと共に焼却炉で燃やすこともあるが、熱回収などの面では不利である。さらに、廃棄物中に草木などが多量に含まれる場合は、残査がさらに増大する。これらのことから、汚泥の発生量をできるだけ低減す
ることが望まれている。
【0021】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、有機性物質の可溶化が余分なエネルギーを必要とせずに効率的に行なわれ、メタンの生成量を増加することのできる有機性物質からのメタン発酵方法及びメタン発酵装置を提供するにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、例えば厨芥類、汚泥、バイオマス等の有機性物質を可溶化槽で可溶化する可溶化工程と、その可溶化工程で得られた可溶化物をメタン発酵槽でメタンを発酵させる発酵工程を有する有機性物質からのメタン発酵方法を対象とするものである。そして前記可溶化工程で、燃焼装置の排ガスを前記可溶化槽内に供給することを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記燃焼装置は前記メタン発酵により生じたガスを燃焼させる装置であることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第3の手段は前記第1の手段または第2の手段において、前記可溶化槽内の温度を測定し、その可溶化槽内の温度が有機性物質の可溶化に適した例えば30〜40℃の温度になるように、前記燃焼装置からの排ガスの温度を制御することを特徴とするものである。
【0025】
本発明の第4の手段は前記第3の手段において、前記燃焼装置からの排ガスの一部を冷却して冷却排ガスとし、前記排ガスの他の一部を冷却しないで(例えば保温して)非冷却排ガス(例えば保温排ガス)として、その冷却排ガスと非冷却排ガスの混合割合によって前記可溶化槽内に供給する排ガスの温度を制御することを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第5の手段は前記第3の手段において、前記燃焼装置からの排ガスの保有熱を貯水槽中の水を循環させることにより回収し、前記可溶化槽内の測定温度に基づいて例えばポンプによる前記水の循環量を調整して排ガスの温度を制御することを特徴とするものである。
【0027】
本発明の第6の手段は前記第1の手段ないし第5の手段において、前記可溶化槽から排出される排ガス中の酸素濃度を測定し、その酸素濃度を低減する、例えばゼロにするように、前記燃焼装置からの排ガスの供給量を制御することを特徴とするものである。
【0028】
本発明の第7の手段は前記第1の手段ないし第6の手段において、前記可溶化槽で生成した可溶化物をメタン発酵槽へ導入する前に可溶化物を貯留槽に貯め、前記可溶化槽からの排ガスをその貯留槽内に供給して可溶化物を攪拌することを特徴とするものである。
【0029】
本発明の第8の手段は、有機性物質を可溶化する可溶化槽と、その可溶化槽で得られた可溶化物を導入してメタンを発酵するメタン発酵槽を備えた有機性物質からのメタン発酵装置を対象とするものである。そして燃焼装置と、その燃焼装置からの排ガスを前記可溶化槽内に導く排ガスラインと、その排ガスラインからの排ガスを可溶化槽内で分散させる散気装置を備えたことを特徴とするものである。
【0030】
本発明の第9の手段は前記第8の手段において、前記燃焼装置は前記メタン発酵により生じたガスを燃焼させる装置であることを特徴とするものである。
【0031】
本発明の第10の手段は前記第8の手段または第9の手段において、前記可溶化槽内の温度を測定する温度計と、前記燃焼装置からの排ガスの温度を調整する排ガス温度調整手段とを備え、前記温度計の測定に基づいて前記排ガス温度調整手段により可溶化槽内の温度が有機性物質の可溶化に適した温度に制御されることを特徴とするものである。
【0032】
本発明の第11の手段は前記第10の手段において、前記燃焼装置からの排ガスの一部を冷却する排ガス冷却手段と、その排ガス冷却手段によって冷却された冷却排ガスの流量を制御する冷却排ガス制御弁と、前記排ガスの他の一部を保温する排ガス保温手段と、その排ガス保温手段によって保温された保温排ガスの流量を制御する保温排ガス制御弁とを備え、前記温度計の測定温度に基づいて、前記冷却排ガス制御弁と保温排ガス制御弁の開度により冷却排ガスと保温排ガスの混合割合を調整して、前記可溶化槽内の温度が有機性物質の可溶化に適した温度になるように制御することを特徴とするものである。
【0033】
本発明の第12の手段は前記第10の手段において、前記燃焼装置からの排ガス経路上に設けられた熱交換器と、前記メタン発酵槽に加温のための温水を送る貯水槽と、その貯水槽中の水を前記熱交換器に循環させて熱回収を行なうポンプとを備え、前記可溶化槽内の測定温度に基づいて前記ポンプによる水の循環量を調整して排ガスの温度を制御するように構成されていることを特徴とするものである。
【0034】
本発明の第13の手段は前記第8の手段ないし第12の手段において、前記可溶化槽から排出される排ガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度計と、前記燃焼装置からの排ガスの供給量を制御する排ガス制御弁とを備え、前記酸素濃度計の測定酸素濃度に基づいて、その酸素濃度を低減するように、前記排ガス制御弁により燃焼装置からの排ガスの供給量を制御することを特徴とするものである。
【0035】
本発明の第14の手段は前記第8の手段ないし第13の手段において、前記可溶化槽で生成した可溶化物をメタン発酵槽へ導入する前に可溶化物を貯留する貯留槽と、前記可溶化槽からの排ガスをその貯留槽内に分散して可溶化物を攪拌する散気装置を備えたことを特徴とするものである。
【0036】
【発明の実施形態】
次に本発明の各実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るメタン発酵システムのフローチャートである。なお、同図において符号1から36までの部材の機能などは、先に説明した図5のものと同様であるので、それらの説明は省略する。なお、本実施形態では可溶化槽4内に攪拌機5が設置されていない(後述)。
【0037】
図1に示すようにコージェネレーション装置17からの最終排ガス24のラインを分岐し、最終排ガス24の一部を、保温された排ガスライン41、保温排ガス制御弁42を経由して可溶化槽4の底部に設置した散気装置43から、可溶化槽4内に均一に導入する。散気装置43としては、管体の周壁に多数の排気孔を形成した散気管が好適である。
【0038】
また、保温排ガス制御弁42よりも上流でライン41を分岐して冷却排ガスライン44を設け、冷却排ガス制御弁45を経由して保温排ガス制御弁42の下流で排ガスライン41に合流させる。冷却排ガスライン44からのドレインは弁46から適宜抜き出される。
【0039】
本実施形態では、低コストで簡便な排ガス冷却方法として、配管の引き回しによる自然放冷を行っているが、別途ガス冷却器を設置してもよい。また、排ガスの発生源は、コージェネレーション装置17に限らず、単なる燃焼装置でも良いし、その燃料はメタン発酵槽14の生成ガスでなくても構わない。また、近隣に存在するメタン発酵以外のプラント、例えばごみ焼却炉などの燃焼排ガスを利用しても構わない。
【0040】
制御器47によって制御弁42,45の開度を変化させ、保温された排ガスと冷却された排ガスの混合割合を変えることにより、可溶化槽4へ導入される排ガスの温度と流量を調節する。この制御は、以下の3条件を同時に満たすように行われる。
【0041】
(1)温度計48で測定される可溶化槽4内の温度を30〜40℃の範囲にする。
(2)酸素濃度計49で測定される可溶化槽4からの排ガス中の酸素濃度をできるだけ低く、望ましくはゼロにする。
(3)可溶化槽4内が導入された排ガスにより可溶化物を攪拌する。
その具体的な制御方法を図2に示し、以下に詳細を述べる。
【0042】
(A)S1で可溶化槽4内の温度を温度計48で測定し、可溶化槽4内の温度が微生物による可溶化の最適温度30〜40℃となるように(S4)、弁42,45の開度を変化させて、可溶化槽4へ導入される保温排ガスと冷却排ガスの量を調整する。すなわち、外気温が低い冬季などは、保温排ガスの量を増加させて可溶化槽4を積極的に加温して可溶化反応を開始させる(S2)。可溶化が進んで自己発熱が起こり、可溶化槽4の温度が上昇したときや、外気温の高い夏季などは保温排ガス量を減らし、その分冷却排ガス量を増やし、可溶化槽温度が40℃を超えないようにする。(S3)この制御により、外気温が低い場合でも加温用に新たなエネルギーを使用せずに微生物による可溶化反応を始めることができ、かつ自己発熱により温度が過度に上昇するのを抑えて最適温度に保つことが可能となり、可溶
化が促進される。
【0043】
(B)可溶化槽4に導入された排ガス中の酸素は微生物によって消費されるため、可溶化槽4からの排気中の酸素濃度は低下する。そこで、S5で可溶化槽排気ライン9に設置された酸素濃度計49で排気中の酸素濃度が測定され、酸素濃度ができるだけゼロに近づくよう、弁42,45の開度を変化させて、可溶化槽4へ導入される排ガスの総量を調節する。すなわち酸素濃度が上昇するとS6で排ガスの導入ガス量を減少し、可溶化槽4からの排気中の酸素濃度をできるだけゼロに近づける(S7)。このとき、導入される最終排ガスの酸素濃度は10%程度であるため、可溶化槽4は弱い好気雰囲気となり、通性嫌気性菌から好気性菌まで幅広い範囲の菌が活動し、有機性物質の固形分を低分子化し、メタン発酵の原料となる有機酸が生成する。
【0044】
従来技術のように酸素濃度の高い空気を供給した場合は、好気性菌が主に活動して高速で高度な分解が起こり、炭素が二酸化炭素にまで変換されてしまう。逆に完全な嫌気雰囲気では分解速度が遅く、難分解性有機物が分解されにくい。これらに対して本発明では、より酸素濃度の低い排ガスを導入することにより、分解速度を部分的に速め、かつ嫌気雰囲気では分解されにくい有機性物質もある程度分解され、炭素分の損失も少なく、効率良く高濃度の有機酸を生成させることが可能である。
【0045】
(C)可溶化槽4に散気管43から導入される排ガスのバブリングにより、槽内容物を攪拌できるだけのガス量が最低限確保されるよう、弁42,45の開度を調節する。散気管43によって可溶化槽4内が攪拌できているか否かは監視カメラ52で監視し(S8)、攪拌ができていない場合はS9で弁42,45の開度を開いて導入ガス量を増し、可溶化槽4内が良好な攪拌状態になるように調節する(S10)。この制御によって、攪拌機が不要となり、攪拌動力に必要なエネルギーを節減できる。また、機械的回転物である攪拌機の絡まり等のトラブルも回避できる。
【0046】
以上の3条件を満たす制御により、可溶化槽4の温度を最適範囲に保って有機性物質の可溶化を促進し、過剰に酸素が供給されることを防止して分解活性の高い好気性菌の活動を適度に抑制する。このことにより、低分子有機物性物質や有機酸が二酸化炭素にまで分解される割合を下げ、メタン発酵槽14へ送られる炭素分の量を確保する。それと同時に、ガス攪拌を行うことにより、トラブルを起こしやすく動力エネルギーも必要とする機械式攪拌機が不要となる。
【0047】
ただし、攪拌機など槽内を均一に攪拌できる手段を備えた既設の可溶化槽に適用する場合は、排ガス導入手段は散気装置でなくともよい。
【0048】
また、可溶化に関わる酸生成菌の中には、二酸化炭素と水素から酢酸を合成する菌が存在することから、排ガスに含まれる二酸化炭素も酢酸合成の原料として利用されれば、さらに可溶化物中の有機酸濃度を高めることができる。
【0049】
このように本実施形態で有機性物質の可溶化が促進されることにより、メタン発生量を増大させることができ、その分、排出される汚泥量を減らすことが可能となる。
【0050】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を、図3を用いて説明する。なお、同図において符号1から36までの部材の機能などは、先に説明した図5のものと同様であるので、それらの説明は省略する。なお、本実施形態では可溶化槽4内に攪拌機5が、貯留槽7内に攪拌機8が設置されておらず、また可溶化槽4からファン11に延びた可溶化槽排気ライン9が省略されている(後述)。
【0051】
図3に示すように、コージェネレーション装置17からの最終排ガス24のラインを分岐し、最終排ガス24の一部を、保温排ガスライン41と冷却排ガスライン44に分け、制御弁42,45の開度を変化させて、可溶化槽4の底部に設置した散気装置43から、可溶化槽4内に排ガスを均一に導入することにより攪拌し、可溶化槽4の温度と導入酸素量を制御する点は、前述の第1実施形態と同様である。
【0052】
有機性物質の可溶化の条件によっては、可溶化槽4内において導入した排ガス中の酸素がほとんど全て消費され、可溶化槽4の排気中の酸素濃度がほぼゼロになる。そのため、可溶化槽4の排気を排ガスライン50により貯留槽7の底部に設置した散気装置51から貯留槽7内へ均一に導入する。
【0053】
本実施形態によると、貯留槽7の内容物を散気装置50から導入されるガスのバブリングによって攪拌できることから、貯留槽7内の攪拌機8が不要となり、動力エネルギーが節約できる。導入されるガス中には酸素がほとんど含まれないため、溶存酸素が消費され、貯留槽7内を嫌気状態に保つことができ、後段のメタン発酵槽14に良好な条件とすることができる。
【0054】
本実施形態により、有機性物質の可溶化が促進されることにより、結果的にメタン発生量を増大させることができ、その分排出される汚泥量を減らすことが可能となる。
【0055】
(第3実施形態)
前記第1,2実施形態において、可溶化槽4へ投入される有機性物質の性状(高固形分率、高粘度等)により燃焼排ガスのバブリングだけでは十分な攪拌混合が行えない場合、可溶化槽4において燃焼排ガスのバブリングと攪拌機5(図5参照)を併用する。また、可溶化槽4からの排気の酸素濃度が下りにくい、すなわち可溶化槽4内が強い好気雰囲気となる場合、可溶化槽4に導入する燃焼排ガス量を減らし、攪拌機5を併用する。
【0056】
本実施形態によれば、攪拌機5を単独で使用する場合よりも必要な動力は少なくてすみ、かつ可溶化槽4内の雰囲気と温度の調整が可能である。
【0057】
(第4実施形態)
前記第2実施形態において、貯留槽7へ導入される可溶化槽排気の量が少なく十分な攪拌混合が行えない場合は、攪拌機8(図1参照)を併用する。本実施形態によれば、攪拌機8を単独で使用する場合よりも必要な動力は少なくてすみ、かつ貯留槽7内を嫌気雰囲気に保つことが可能である。
【0058】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態を、図4を用いて説明する。同図に示すように熱交換器22からの最終排ガス24のラインを分岐し、最終排ガス24の一部を排ガスライン41に分け、制御弁42を通して、可溶化槽4の底部に設置した散気装置43から、可溶化槽4内に排ガスを均一に導入して可溶化物を攪拌する。
【0059】
制御器47からの制御信号は、前記制御弁42とポンプ23に入力される。このポンプ23は貯水槽19の水を熱交換器22に循環するためのものであり、ポンプ23の回転数、すなわち水の循環量により最終排ガス24の温度調整がなされる。このようにして温度調整された最終排ガス24の一部を排ガスライン41を通して可溶化槽4内に導入する。
【0060】
【発明の効果】
前記第1の手段ならびに第8の手段により、▲1▼可溶化槽の初期温度を高めることができ、外気温が低いときでも可溶化反応を開始することができる。▲2▼可溶化槽の加熱と攪拌に必要なエネルギーを節減できる。▲3▼可溶化槽の温度と雰囲気を適正化し、有機性物質の可溶化を促進することができる。▲4▼メタン生成量を増大させ、その分排出される残査量を減らすことができる。
【0061】
前記第2の手段ならびに第9の手段により、前記▲1▼ないし▲4▼の効果に加えて、燃焼用の燃料を別途準備する必要がなく、ランニングコストの低減が図れる。
【0062】
前記第3の手段ないし第5の手段ならびに第10の手段ないし第12の手段により、前記▲1▼ないし▲4▼の効果が得られる。
【0063】
前記第6の手段ならびに第13の手段により、前記▲1▼ないし▲4▼の効果に加えて、可溶化槽が弱い好気雰囲気となり、通性嫌気性菌から好気性菌まで幅広い範囲の菌が活動し、有機性物質の固形分を低分子化し、メタン発酵の原料となる有機酸が効率良く生成する。
【0064】
前記第7の手段ならびに第14の手段により、前記▲1▼ないし▲4▼の効果に加えて、貯留槽内に導入されるガス中には酸素がほとんど含まれないため、溶存酸素が消費され、貯留槽内を嫌気状態に保つことができ、メタン発酵に良好な条件となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るメタン発酵システムのフローチャートである。
【図2】その第1実施形態に係るメタン発酵システムにおける可溶化槽の運転制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係るメタン発酵システムのフローチャートである。
【図4】本発明の第5実施形態に係るメタン発酵システムのフローチャートである。
【図5】従来のメタン発酵システムのフローチャートである。
【図6】可溶化性有機炭素と有機酸の可溶化反応に対する温度の影響を示す特性図である。
【符号の説明】
1:有機性物質、2:破砕機、3:水、4:可溶化槽、5:攪拌機、6:弁、7:貯留槽、8:攪拌機、9:可溶化槽排気ライン、10:貯留槽排気ライン、11:ファン、12:活性炭フィルタ、13:ポンプ、14:メタン発酵槽、15:ガスホルダ、16:脱硫装置、17:コージェネレーション装置、18:熱交換器、19:貯水槽、20:ポンプ、21:脱硝装置、22:熱交換器、23:ポンプ、24:最終排ガス、25:ポンプ、26:温水ジャケット、27:ポンプ、28:汚泥沈降槽、29:濃縮汚泥、30:廃水、31:ポンプ、32:切替弁、33:濃縮汚泥返送ライン、34:濃縮汚泥排出ライン、35:ポンプ、36:廃水排出ライン、41:保温排ガスライン、42:保温排ガス制御弁、43:散気装置、44:冷却排ガスライン、45:冷却排ガス制御弁、46:ドレイン弁、47:制御器、48:温度計、49:酸素濃度計、50:可溶化槽排ガスライン、51:散気装置、52:監視カメラ
【発明の属する技術分野】
本発明は,有機性廃棄物などの有機性物質を可溶化し、メタン発酵させてメタンガスを発生させ、廃棄物処理と同時にエネルギー回収を行うメタン発酵方法及びメタン発酵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
メタン発酵は、下水・し尿処理の分野では、最終沈殿池汚泥及び余剰活性汚泥の処理に適用されてきた。近年、ごみ焼却炉からのダイオキシン類の排出、埋立地の不足、CO2 よる地球温暖化等が大きな問題となり、これらの環境汚染を低減する方法の一つとして、メタン発酵技術の利用が活発化している。メタン発酵は、有機性廃棄物(厨芥類、汚泥、バイオマス等)を発酵させてメタンガスを回収できる技術であり、そのまま燃焼してはエネルギー回収ができない高水分廃棄物からのエネルギー回収が可能である。
【0003】
メタン発酵は、大きく分けると加水分解菌、酢酸化菌による可溶化工程と、メメタン生成菌によるメタン発酵工程の二段階の生化学反応から成っている。タンパク質、炭水化物、脂肪等の高分子有機化合物は、まず加水分解菌などによって低分子化されて高級脂肪酸、アミノ酸、糖類となる。次にこれらの低分子有機物は発酵菌、酢酸化菌によってH2、CO2、有機酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸、ピルビン酸、ギ酸、乳酸、コハク酸等)に分解され、最後にメタン発酵工程でメタン生成菌によってメタンとなる。
【0004】
このように可溶化工程とメタン発酵工程では、活躍する微生物の種類が異なり、最適pH値も可溶化工程は4〜5、メタン生成工程は7.5前後と異なることから、最近は可溶化槽とメタン発酵槽を分離して発酵効率を高める二相式と呼ばれる方法が採用される場合が多い。
【0005】
メタン発酵を行う菌は絶対嫌気性であり、酸素が存在する環境では生育できないが、可溶化に関係した菌は好気性、通性嫌気性のものが多く、酸素の有無やその存在量に応じて最適な菌が活動し、有機性物質を分解する。また、好気性菌は嫌気性菌に比べて分解速度が速いが、分解の最終生成物が二酸化炭素と水であるため、メタン発酵の前処理として好気性で可溶化を進めすぎると、原料の有機性物質の分解が有機酸までで止まらず、炭素分の多くが二酸化炭素にまで変換されてしまい、その分メタン発酵におけるメタンの生成量が減少することになる。
【0006】
図5に、従来技術による厨芥類のメタン発酵エネルギー回収システムのフローチャートを示す(本図に関連する技術は、非特許文献1に記載されている)。
【0007】
例えば厨芥類や草木等の廃棄物からなる有機性物質1は破砕機2で破砕された後、流動性を持たせるための適量の水3と共に可溶化槽4に投入される。そして攪拌機5で攪拌しながら、主に廃棄物中に存在する微生物の働きによって可溶化され、メタン発酵の原料となる有機酸及び、有機酸の前駆体となる高級脂肪酸、アミノ酸、糖類等の有機物が生成される。このとき、システムによっては可溶化速度を速めるために、可溶化槽4に底部から空気を供給して好気雰囲気にする場合もある。一般に、可溶化槽4は可溶化途上のものを排出しないようにバッチで運転され、1〜3日程度経過した後、可溶化物を弁6から抜き出し、貯留槽7に一旦溜める。
【0008】
可溶化槽4および貯留槽7は、投入物(有機性物質、水、可溶化物)を入れるとき以外は投入口を塞いでいるが、いずれも臭気が発生するため、可溶化槽4からの排ガスと貯留槽7からの排ガスはファン11により活性炭フィルタ12を通して排出し、可溶化槽4と貯留槽7内は弱い負圧となっている。
【0009】
貯留槽7は、後段のメタン発酵槽14へ可溶化物を定量供給するためのバッフファであるだけでなく、貯留中に溶存酸素を消費させ、可溶化物を嫌気性のメタン発酵に適した状態とする。また、貯留槽7では、固形分の沈殿を防ぐために攪拌機8により攪拌を行っている。貯留槽7内の可溶化物は、ポンプ13によりメタン発酵槽14へ定量的に送られ、メタン生成菌の働きにより、有機酸からメタン約65%、二酸化炭素約35%のガス(バイオガス)が生成される。
【0010】
バイオガスはガスホルダ15に貯留される。バイオガス中には数百ppm程度の硫化水素が含まれているため、脱硫装置16で処理した後、コージェネレーション装置17の燃料として使用される。コージェネレーション装置17では発電を行う他、熱交換器18により、貯水槽19からポンプ20で循環された水を加熱して温水を得る。燃焼排ガスは脱硝装置21で処理した後、熱交換器22により貯水槽19からポンプ23で循環された水を加熱し、最終排ガス24として排出される。最終排ガス24の温度は露点を避けるために100〜150℃程度に設定されており、成分はほとんど窒素、二酸化炭素、酸素のクリーンな排ガスである。
【0011】
貯水槽19に溜まった温水は、ポンプ25によりメタン発酵槽14の温水ジャケット26内を循環して加温に使用し、メタン発酵槽14の温度を35℃前後あるいは55℃前後に維持する。得られた電気は所内動力として使用し、余剰分は外部へ売却する場合もある。
【0012】
メタン発酵槽14の廃液はポンプ27により抜き出されて沈降槽28に送られ、底部に濃縮した濃縮汚泥29と上澄の廃水30に分けられる。濃縮汚泥29は、主にメタン菌の菌体と、分解しきれずに残った有機物(分解残査)からなり、ポンプ31によって抜き出され、切替弁32を介して、一部は濃縮汚泥返送ライン33を経由してメタン発酵槽14へ返送し、メタン発酵の種汚泥として利用される。
【0013】
濃縮汚泥29の残りは濃縮汚泥排出ライン34から排出され、通常はコンポスト化して肥料として利用されるか、または単純に焼却処理される場合が多い。廃水30はポンプ35で抜き出され、一部は可溶化槽4へ送られ、水分調整用の水3として使用される。残りは廃水排出ライン36から廃水処理装置へ送られ、活性汚泥法等により最終処理された後放流される。
【0014】
【非特許文献1】
「生活と環境」(財)日本環境衛生センター発行1999 vol.44, No.6, P72
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
この従来のメタン発酵システムには、以下のような問題点がある。
(1)微生物の多くは常温以上の温度で活発に活動・増殖する。よって気温が低い場合は、冷蔵庫では食物が腐りにくいのと同様、有機性物質の分解速度が非常に遅い。メタン発酵の最適温度は厳密であり、34〜39℃(中温発酵)あるいは53〜58℃(高温発酵)に限定されているため、メタン発酵槽14を積極的に加温するのが必須である。
【0016】
一方、可溶化は30〜40℃程度が最適ではあるが、実際には幅広い温度域で活動する菌が混在していることから、温度の影響を比較的受けにくいため、メタン発酵のように加温が必須というわけではない。しかし、気温が低いほど分解速度は低下し、5℃を下回るような場合は著しく反応が阻害される。このため、水分調整用に添加する水3を温水としたり、可溶化
槽4自体を加温する必要が生じ、余分なエネルギーが必要となる。
【0017】
(2)可溶化のスピードと可溶化率を向上させるために、可溶化槽4に空気を吹き込んで好気性とするシステムでは、分解が始まれば自己発熱が起こって可溶化槽4の温度が上昇する。しかし、冬季のように初期温度が低い場合は結局分解が始まらないため、温度上昇も望めない。一方、有機性物質に含まれる通常の微生物による可溶化は、図6に示すように35〜40℃が最適温度範囲であり、有機性物質の低分子化や有機酸の生成が活発となる。なお、図6は、実験で明らかになった可溶化性有機炭素と有機酸の可溶
化反応に対する温度の影響を示す特性図である。
【0018】
また、可溶化槽4の温度が過度に上昇すると微生物の活動が抑制される。さらに、可溶化槽4への空気の供給は、攪拌を助ける意味もあるため、ある程度まとまった量を均一に吹き込むのが望ましい。しかし、空気量が多いと、槽内の温度を低下させてしまう。さらに好気雰囲気においては、強力な好気性菌により、分解の中間生成物であり、メタン発酵の直接の原料ともなる有機酸が、二酸化炭素にまで分解されて失われる炭素が増加し、
その分メタン発酵槽におけるメタンの生成量が減少する。
【0019】
(3)排出されるメタン発酵汚泥は、コンポスト化あるいは焼却処理されているが、現状、コンポストの需要は実際には少なく、季節変動が大きく、流通ルートも確立していないため、大量に製造しても消費しきることができない。
【0020】
また、水分含有率が高いため、焼却処理するためには大量の燃料が必要となる。可燃ごみと共に焼却炉で燃やすこともあるが、熱回収などの面では不利である。さらに、廃棄物中に草木などが多量に含まれる場合は、残査がさらに増大する。これらのことから、汚泥の発生量をできるだけ低減す
ることが望まれている。
【0021】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、有機性物質の可溶化が余分なエネルギーを必要とせずに効率的に行なわれ、メタンの生成量を増加することのできる有機性物質からのメタン発酵方法及びメタン発酵装置を提供するにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、例えば厨芥類、汚泥、バイオマス等の有機性物質を可溶化槽で可溶化する可溶化工程と、その可溶化工程で得られた可溶化物をメタン発酵槽でメタンを発酵させる発酵工程を有する有機性物質からのメタン発酵方法を対象とするものである。そして前記可溶化工程で、燃焼装置の排ガスを前記可溶化槽内に供給することを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記燃焼装置は前記メタン発酵により生じたガスを燃焼させる装置であることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第3の手段は前記第1の手段または第2の手段において、前記可溶化槽内の温度を測定し、その可溶化槽内の温度が有機性物質の可溶化に適した例えば30〜40℃の温度になるように、前記燃焼装置からの排ガスの温度を制御することを特徴とするものである。
【0025】
本発明の第4の手段は前記第3の手段において、前記燃焼装置からの排ガスの一部を冷却して冷却排ガスとし、前記排ガスの他の一部を冷却しないで(例えば保温して)非冷却排ガス(例えば保温排ガス)として、その冷却排ガスと非冷却排ガスの混合割合によって前記可溶化槽内に供給する排ガスの温度を制御することを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第5の手段は前記第3の手段において、前記燃焼装置からの排ガスの保有熱を貯水槽中の水を循環させることにより回収し、前記可溶化槽内の測定温度に基づいて例えばポンプによる前記水の循環量を調整して排ガスの温度を制御することを特徴とするものである。
【0027】
本発明の第6の手段は前記第1の手段ないし第5の手段において、前記可溶化槽から排出される排ガス中の酸素濃度を測定し、その酸素濃度を低減する、例えばゼロにするように、前記燃焼装置からの排ガスの供給量を制御することを特徴とするものである。
【0028】
本発明の第7の手段は前記第1の手段ないし第6の手段において、前記可溶化槽で生成した可溶化物をメタン発酵槽へ導入する前に可溶化物を貯留槽に貯め、前記可溶化槽からの排ガスをその貯留槽内に供給して可溶化物を攪拌することを特徴とするものである。
【0029】
本発明の第8の手段は、有機性物質を可溶化する可溶化槽と、その可溶化槽で得られた可溶化物を導入してメタンを発酵するメタン発酵槽を備えた有機性物質からのメタン発酵装置を対象とするものである。そして燃焼装置と、その燃焼装置からの排ガスを前記可溶化槽内に導く排ガスラインと、その排ガスラインからの排ガスを可溶化槽内で分散させる散気装置を備えたことを特徴とするものである。
【0030】
本発明の第9の手段は前記第8の手段において、前記燃焼装置は前記メタン発酵により生じたガスを燃焼させる装置であることを特徴とするものである。
【0031】
本発明の第10の手段は前記第8の手段または第9の手段において、前記可溶化槽内の温度を測定する温度計と、前記燃焼装置からの排ガスの温度を調整する排ガス温度調整手段とを備え、前記温度計の測定に基づいて前記排ガス温度調整手段により可溶化槽内の温度が有機性物質の可溶化に適した温度に制御されることを特徴とするものである。
【0032】
本発明の第11の手段は前記第10の手段において、前記燃焼装置からの排ガスの一部を冷却する排ガス冷却手段と、その排ガス冷却手段によって冷却された冷却排ガスの流量を制御する冷却排ガス制御弁と、前記排ガスの他の一部を保温する排ガス保温手段と、その排ガス保温手段によって保温された保温排ガスの流量を制御する保温排ガス制御弁とを備え、前記温度計の測定温度に基づいて、前記冷却排ガス制御弁と保温排ガス制御弁の開度により冷却排ガスと保温排ガスの混合割合を調整して、前記可溶化槽内の温度が有機性物質の可溶化に適した温度になるように制御することを特徴とするものである。
【0033】
本発明の第12の手段は前記第10の手段において、前記燃焼装置からの排ガス経路上に設けられた熱交換器と、前記メタン発酵槽に加温のための温水を送る貯水槽と、その貯水槽中の水を前記熱交換器に循環させて熱回収を行なうポンプとを備え、前記可溶化槽内の測定温度に基づいて前記ポンプによる水の循環量を調整して排ガスの温度を制御するように構成されていることを特徴とするものである。
【0034】
本発明の第13の手段は前記第8の手段ないし第12の手段において、前記可溶化槽から排出される排ガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度計と、前記燃焼装置からの排ガスの供給量を制御する排ガス制御弁とを備え、前記酸素濃度計の測定酸素濃度に基づいて、その酸素濃度を低減するように、前記排ガス制御弁により燃焼装置からの排ガスの供給量を制御することを特徴とするものである。
【0035】
本発明の第14の手段は前記第8の手段ないし第13の手段において、前記可溶化槽で生成した可溶化物をメタン発酵槽へ導入する前に可溶化物を貯留する貯留槽と、前記可溶化槽からの排ガスをその貯留槽内に分散して可溶化物を攪拌する散気装置を備えたことを特徴とするものである。
【0036】
【発明の実施形態】
次に本発明の各実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るメタン発酵システムのフローチャートである。なお、同図において符号1から36までの部材の機能などは、先に説明した図5のものと同様であるので、それらの説明は省略する。なお、本実施形態では可溶化槽4内に攪拌機5が設置されていない(後述)。
【0037】
図1に示すようにコージェネレーション装置17からの最終排ガス24のラインを分岐し、最終排ガス24の一部を、保温された排ガスライン41、保温排ガス制御弁42を経由して可溶化槽4の底部に設置した散気装置43から、可溶化槽4内に均一に導入する。散気装置43としては、管体の周壁に多数の排気孔を形成した散気管が好適である。
【0038】
また、保温排ガス制御弁42よりも上流でライン41を分岐して冷却排ガスライン44を設け、冷却排ガス制御弁45を経由して保温排ガス制御弁42の下流で排ガスライン41に合流させる。冷却排ガスライン44からのドレインは弁46から適宜抜き出される。
【0039】
本実施形態では、低コストで簡便な排ガス冷却方法として、配管の引き回しによる自然放冷を行っているが、別途ガス冷却器を設置してもよい。また、排ガスの発生源は、コージェネレーション装置17に限らず、単なる燃焼装置でも良いし、その燃料はメタン発酵槽14の生成ガスでなくても構わない。また、近隣に存在するメタン発酵以外のプラント、例えばごみ焼却炉などの燃焼排ガスを利用しても構わない。
【0040】
制御器47によって制御弁42,45の開度を変化させ、保温された排ガスと冷却された排ガスの混合割合を変えることにより、可溶化槽4へ導入される排ガスの温度と流量を調節する。この制御は、以下の3条件を同時に満たすように行われる。
【0041】
(1)温度計48で測定される可溶化槽4内の温度を30〜40℃の範囲にする。
(2)酸素濃度計49で測定される可溶化槽4からの排ガス中の酸素濃度をできるだけ低く、望ましくはゼロにする。
(3)可溶化槽4内が導入された排ガスにより可溶化物を攪拌する。
その具体的な制御方法を図2に示し、以下に詳細を述べる。
【0042】
(A)S1で可溶化槽4内の温度を温度計48で測定し、可溶化槽4内の温度が微生物による可溶化の最適温度30〜40℃となるように(S4)、弁42,45の開度を変化させて、可溶化槽4へ導入される保温排ガスと冷却排ガスの量を調整する。すなわち、外気温が低い冬季などは、保温排ガスの量を増加させて可溶化槽4を積極的に加温して可溶化反応を開始させる(S2)。可溶化が進んで自己発熱が起こり、可溶化槽4の温度が上昇したときや、外気温の高い夏季などは保温排ガス量を減らし、その分冷却排ガス量を増やし、可溶化槽温度が40℃を超えないようにする。(S3)この制御により、外気温が低い場合でも加温用に新たなエネルギーを使用せずに微生物による可溶化反応を始めることができ、かつ自己発熱により温度が過度に上昇するのを抑えて最適温度に保つことが可能となり、可溶
化が促進される。
【0043】
(B)可溶化槽4に導入された排ガス中の酸素は微生物によって消費されるため、可溶化槽4からの排気中の酸素濃度は低下する。そこで、S5で可溶化槽排気ライン9に設置された酸素濃度計49で排気中の酸素濃度が測定され、酸素濃度ができるだけゼロに近づくよう、弁42,45の開度を変化させて、可溶化槽4へ導入される排ガスの総量を調節する。すなわち酸素濃度が上昇するとS6で排ガスの導入ガス量を減少し、可溶化槽4からの排気中の酸素濃度をできるだけゼロに近づける(S7)。このとき、導入される最終排ガスの酸素濃度は10%程度であるため、可溶化槽4は弱い好気雰囲気となり、通性嫌気性菌から好気性菌まで幅広い範囲の菌が活動し、有機性物質の固形分を低分子化し、メタン発酵の原料となる有機酸が生成する。
【0044】
従来技術のように酸素濃度の高い空気を供給した場合は、好気性菌が主に活動して高速で高度な分解が起こり、炭素が二酸化炭素にまで変換されてしまう。逆に完全な嫌気雰囲気では分解速度が遅く、難分解性有機物が分解されにくい。これらに対して本発明では、より酸素濃度の低い排ガスを導入することにより、分解速度を部分的に速め、かつ嫌気雰囲気では分解されにくい有機性物質もある程度分解され、炭素分の損失も少なく、効率良く高濃度の有機酸を生成させることが可能である。
【0045】
(C)可溶化槽4に散気管43から導入される排ガスのバブリングにより、槽内容物を攪拌できるだけのガス量が最低限確保されるよう、弁42,45の開度を調節する。散気管43によって可溶化槽4内が攪拌できているか否かは監視カメラ52で監視し(S8)、攪拌ができていない場合はS9で弁42,45の開度を開いて導入ガス量を増し、可溶化槽4内が良好な攪拌状態になるように調節する(S10)。この制御によって、攪拌機が不要となり、攪拌動力に必要なエネルギーを節減できる。また、機械的回転物である攪拌機の絡まり等のトラブルも回避できる。
【0046】
以上の3条件を満たす制御により、可溶化槽4の温度を最適範囲に保って有機性物質の可溶化を促進し、過剰に酸素が供給されることを防止して分解活性の高い好気性菌の活動を適度に抑制する。このことにより、低分子有機物性物質や有機酸が二酸化炭素にまで分解される割合を下げ、メタン発酵槽14へ送られる炭素分の量を確保する。それと同時に、ガス攪拌を行うことにより、トラブルを起こしやすく動力エネルギーも必要とする機械式攪拌機が不要となる。
【0047】
ただし、攪拌機など槽内を均一に攪拌できる手段を備えた既設の可溶化槽に適用する場合は、排ガス導入手段は散気装置でなくともよい。
【0048】
また、可溶化に関わる酸生成菌の中には、二酸化炭素と水素から酢酸を合成する菌が存在することから、排ガスに含まれる二酸化炭素も酢酸合成の原料として利用されれば、さらに可溶化物中の有機酸濃度を高めることができる。
【0049】
このように本実施形態で有機性物質の可溶化が促進されることにより、メタン発生量を増大させることができ、その分、排出される汚泥量を減らすことが可能となる。
【0050】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を、図3を用いて説明する。なお、同図において符号1から36までの部材の機能などは、先に説明した図5のものと同様であるので、それらの説明は省略する。なお、本実施形態では可溶化槽4内に攪拌機5が、貯留槽7内に攪拌機8が設置されておらず、また可溶化槽4からファン11に延びた可溶化槽排気ライン9が省略されている(後述)。
【0051】
図3に示すように、コージェネレーション装置17からの最終排ガス24のラインを分岐し、最終排ガス24の一部を、保温排ガスライン41と冷却排ガスライン44に分け、制御弁42,45の開度を変化させて、可溶化槽4の底部に設置した散気装置43から、可溶化槽4内に排ガスを均一に導入することにより攪拌し、可溶化槽4の温度と導入酸素量を制御する点は、前述の第1実施形態と同様である。
【0052】
有機性物質の可溶化の条件によっては、可溶化槽4内において導入した排ガス中の酸素がほとんど全て消費され、可溶化槽4の排気中の酸素濃度がほぼゼロになる。そのため、可溶化槽4の排気を排ガスライン50により貯留槽7の底部に設置した散気装置51から貯留槽7内へ均一に導入する。
【0053】
本実施形態によると、貯留槽7の内容物を散気装置50から導入されるガスのバブリングによって攪拌できることから、貯留槽7内の攪拌機8が不要となり、動力エネルギーが節約できる。導入されるガス中には酸素がほとんど含まれないため、溶存酸素が消費され、貯留槽7内を嫌気状態に保つことができ、後段のメタン発酵槽14に良好な条件とすることができる。
【0054】
本実施形態により、有機性物質の可溶化が促進されることにより、結果的にメタン発生量を増大させることができ、その分排出される汚泥量を減らすことが可能となる。
【0055】
(第3実施形態)
前記第1,2実施形態において、可溶化槽4へ投入される有機性物質の性状(高固形分率、高粘度等)により燃焼排ガスのバブリングだけでは十分な攪拌混合が行えない場合、可溶化槽4において燃焼排ガスのバブリングと攪拌機5(図5参照)を併用する。また、可溶化槽4からの排気の酸素濃度が下りにくい、すなわち可溶化槽4内が強い好気雰囲気となる場合、可溶化槽4に導入する燃焼排ガス量を減らし、攪拌機5を併用する。
【0056】
本実施形態によれば、攪拌機5を単独で使用する場合よりも必要な動力は少なくてすみ、かつ可溶化槽4内の雰囲気と温度の調整が可能である。
【0057】
(第4実施形態)
前記第2実施形態において、貯留槽7へ導入される可溶化槽排気の量が少なく十分な攪拌混合が行えない場合は、攪拌機8(図1参照)を併用する。本実施形態によれば、攪拌機8を単独で使用する場合よりも必要な動力は少なくてすみ、かつ貯留槽7内を嫌気雰囲気に保つことが可能である。
【0058】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態を、図4を用いて説明する。同図に示すように熱交換器22からの最終排ガス24のラインを分岐し、最終排ガス24の一部を排ガスライン41に分け、制御弁42を通して、可溶化槽4の底部に設置した散気装置43から、可溶化槽4内に排ガスを均一に導入して可溶化物を攪拌する。
【0059】
制御器47からの制御信号は、前記制御弁42とポンプ23に入力される。このポンプ23は貯水槽19の水を熱交換器22に循環するためのものであり、ポンプ23の回転数、すなわち水の循環量により最終排ガス24の温度調整がなされる。このようにして温度調整された最終排ガス24の一部を排ガスライン41を通して可溶化槽4内に導入する。
【0060】
【発明の効果】
前記第1の手段ならびに第8の手段により、▲1▼可溶化槽の初期温度を高めることができ、外気温が低いときでも可溶化反応を開始することができる。▲2▼可溶化槽の加熱と攪拌に必要なエネルギーを節減できる。▲3▼可溶化槽の温度と雰囲気を適正化し、有機性物質の可溶化を促進することができる。▲4▼メタン生成量を増大させ、その分排出される残査量を減らすことができる。
【0061】
前記第2の手段ならびに第9の手段により、前記▲1▼ないし▲4▼の効果に加えて、燃焼用の燃料を別途準備する必要がなく、ランニングコストの低減が図れる。
【0062】
前記第3の手段ないし第5の手段ならびに第10の手段ないし第12の手段により、前記▲1▼ないし▲4▼の効果が得られる。
【0063】
前記第6の手段ならびに第13の手段により、前記▲1▼ないし▲4▼の効果に加えて、可溶化槽が弱い好気雰囲気となり、通性嫌気性菌から好気性菌まで幅広い範囲の菌が活動し、有機性物質の固形分を低分子化し、メタン発酵の原料となる有機酸が効率良く生成する。
【0064】
前記第7の手段ならびに第14の手段により、前記▲1▼ないし▲4▼の効果に加えて、貯留槽内に導入されるガス中には酸素がほとんど含まれないため、溶存酸素が消費され、貯留槽内を嫌気状態に保つことができ、メタン発酵に良好な条件となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るメタン発酵システムのフローチャートである。
【図2】その第1実施形態に係るメタン発酵システムにおける可溶化槽の運転制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係るメタン発酵システムのフローチャートである。
【図4】本発明の第5実施形態に係るメタン発酵システムのフローチャートである。
【図5】従来のメタン発酵システムのフローチャートである。
【図6】可溶化性有機炭素と有機酸の可溶化反応に対する温度の影響を示す特性図である。
【符号の説明】
1:有機性物質、2:破砕機、3:水、4:可溶化槽、5:攪拌機、6:弁、7:貯留槽、8:攪拌機、9:可溶化槽排気ライン、10:貯留槽排気ライン、11:ファン、12:活性炭フィルタ、13:ポンプ、14:メタン発酵槽、15:ガスホルダ、16:脱硫装置、17:コージェネレーション装置、18:熱交換器、19:貯水槽、20:ポンプ、21:脱硝装置、22:熱交換器、23:ポンプ、24:最終排ガス、25:ポンプ、26:温水ジャケット、27:ポンプ、28:汚泥沈降槽、29:濃縮汚泥、30:廃水、31:ポンプ、32:切替弁、33:濃縮汚泥返送ライン、34:濃縮汚泥排出ライン、35:ポンプ、36:廃水排出ライン、41:保温排ガスライン、42:保温排ガス制御弁、43:散気装置、44:冷却排ガスライン、45:冷却排ガス制御弁、46:ドレイン弁、47:制御器、48:温度計、49:酸素濃度計、50:可溶化槽排ガスライン、51:散気装置、52:監視カメラ
Claims (14)
- 有機性物質を可溶化槽で可溶化する可溶化工程と、
その可溶化工程で得られた可溶化物をメタン発酵槽でメタンを発酵させる発酵工程を有する有機性物質からのメタン発酵方法において、
前記可溶化工程で、燃焼装置の排ガスを前記可溶化槽内に供給することを特徴とする有機性物質からのメタン発酵方法。 - 請求項1記載のメタン発酵方法において、前記燃焼装置は前記メタン発酵により生じたガスを燃焼させる装置であることを特徴とする有機性物質からのメタン発酵方法。
- 請求項1または請求項2記載のメタン発酵方法において、前記可溶化槽内の温度を測定し、その可溶化槽内の温度が有機性物質の可溶化に適した温度になるように、前記燃焼装置からの排ガスの温度を制御することを特徴とする有機性物質からのメタン発酵方法。
- 請求項3記載のメタン発酵方法において、前記燃焼装置からの排ガスの一部を冷却して冷却排ガスとし、前記排ガスの他の一部を冷却しないで非冷却排ガスとして、その冷却排ガスと非冷却排ガスの混合割合によって前記可溶化槽内に供給する排ガスの温度を制御することを特徴とする有機性物質からのメタン発酵方法。
- 請求項3記載のメタン発酵方法において、前記燃焼装置からの排ガスの保有熱を貯水槽中の水を循環させることにより回収し、前記可溶化槽内の測定温度に基づいて前記水の循環量を調整して排ガスの温度を制御することを特徴とする有機性物質からのメタン発酵方法。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載のメタン発酵方法において、前記可溶化槽から排出される排ガス中の酸素濃度を測定し、その酸素濃度を低減するように、前記燃焼装置からの排ガスの供給量を制御することを特徴とする有機性物質からのメタン発酵方法。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載のメタン発酵方法において、前記可溶化槽で生成した可溶化物をメタン発酵槽へ導入する前に可溶化物を貯留槽に貯め、前記可溶化槽からの排ガスをその貯留槽内に供給して可溶化物を攪拌することを特徴とする有機性物質からのメタン発酵方法。
- 有機性物質を可溶化する可溶化槽と、
その可溶化槽で得られた可溶化物を導入してメタンを発酵するメタン発酵槽を備えた有機性物質からのメタン発酵装置において、
燃焼装置と、
その燃焼装置の排ガスを前記可溶化槽内に導く排ガスラインと、
その排ガスラインからの排ガスを可溶化槽内で分散させる散気装置を備えたことを特徴とする有機性物質からのメタン発酵装置。 - 請求項8記載のメタン発酵装置において、前記燃焼装置は前記メタン発酵により生じたガスを燃焼させる装置であることを特徴とする有機性物質からのメタン発酵装置。
- 請求項8または請求項9記載のメタン発酵装置において、前記可溶化槽内の温度を測定する温度計と、前記燃焼装置からの排ガスの温度を調整する排ガス温度調整手段とを備え、前記温度計の測定に基づいて前記排ガス温度調整手段により可溶化槽内の温度が有機性物質の可溶化に適した温度に制御されることを特徴とする有機性物質からのメタン発酵装置。
- 請求項10記載のメタン発酵装置において、前記燃焼装置からの排ガスの一部を冷却する排ガス冷却手段と、その排ガス冷却手段によって冷却された冷却排ガスの流量を制御する冷却排ガス制御弁と、前記排ガスの他の一部を保温する排ガス保温手段と、その排ガス保温手段によって保温された保温排ガスの流量を制御する保温排ガス制御弁とを備え、
前記温度計の測定温度に基づいて、前記冷却排ガス制御弁と保温排ガス制御弁の開度により冷却排ガスと保温排ガスの混合割合を調整して、前記可溶化槽内の温度が有機性物質の可溶化に適した温度になるように制御することを特徴とする有機性物質からのメタン発酵装置。 - 請求項10記載のメタン発酵装置において、前記燃焼装置からの排ガス経路上に設けられた熱交換器と、前記メタン発酵槽に加温のための温水を送る貯水槽と、その貯水槽中の水を前記熱交換器に循環させて熱回収を行なうポンプとを備え、前記可溶化槽内の測定温度に基づいて前記ポンプによる水の循環量を調整して排ガスの温度を制御するように構成されていることを特徴とする有機性物質からのメタン発酵装置。
- 請求項8ないし請求項12のいずれか1項記載のメタン発酵装置において、前記可溶化槽から排出される排ガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度計と、前記燃焼装置からの排ガスの供給量を制御する排ガス制御弁とを備え、
前記酸素濃度計の測定酸素濃度に基づいて、その酸素濃度を低減するように、前記排ガス制御弁により燃焼装置からの排ガスの供給量を制御することを特徴とする有機性物質からのメタン発酵装置。 - 請求項8ないし請求項13のいずれか1項記載のメタン発酵装置において、前記可溶化槽で生成した可溶化物をメタン発酵槽へ導入する前に可溶化物を貯留する貯留槽と、前記可溶化槽からの排ガスをその貯留槽内に分散して可溶化物を攪拌する散気装置を備えたことを特徴とする有機性物質からのメタン発酵装置。
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