JP2001129520A - 有機性廃棄物の処理方法 - Google Patents
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Abstract
水分調整した後堆肥化する従来の処理方法に比べてエネ
ルギー消費が極めて少なくて済み、微小プラスチック片
混入のない高品質の堆肥が得られ、需要に応じて堆肥製
造量を減らしメタンガス量を増加できる有機性廃棄物の
処理方法を提供する。 【解決手段】生ごみを含む有機性廃棄物スラリーを嫌気
性消化処理してメタンガスを回収するメタン回収工程
と、メタン回収工程後の消化スラリーを、温度150〜
200℃、消化処理スラリーの液相を保持する圧力、処
理時間15〜60分の条件で、酸素供給量が消化スラリ
ーのCODCr値の5〜25質量%に相当する酸素含有ガ
スを供給して部分分解する可溶化工程と、可溶化工程か
らの処理物の少なくとも一部を脱水機で脱水する脱水工
程と、脱水工程後の脱水物を好気性発酵して堆肥とする
堆肥化工程とからなる。
Description
たは、し尿、浄化槽汚泥、下水汚泥、家畜糞尿、余剰汚
泥等と混合した、生ごみを含む有機性廃棄物を嫌気性消
化し、その消化物を堆肥にする有機性廃棄物の処理方法
に関するものである。
て湿式酸化法が知られている。この湿式酸化法とは、ジ
ンマーマン法と呼ばれる液相酸化法で特定温度で水が液
相を保持する圧力の下に水中の有機物を空気等の酸素含
有ガスの酸素を利用して酸化分解する方法である。かよ
うな湿式酸化法においては、被湿式酸化処理物を加熱す
るのに必要な熱量を、酸化反応で生ずる酸化熱で充足さ
せ、自燃させている。
公昭63−25839号公報、特公昭63−49560
号公報等には、下水汚泥やし尿を嫌気性消化槽で嫌気性
消化し、次いでこの嫌気性消化槽からの消化汚泥を湿式
酸化した後、固液分離し、その分離液を再び前記嫌気性
消化槽に返送することが示されている。このように湿式
酸化した後の分離液を嫌気性消化槽に返送することによ
り、嫌気性消化槽で発生するメタンガス量を増加させ、
得られたメタンガスを発電や燃料に使用してエネルギー
の回収をより効率的にしようとするものである。
なわずに直接に湿式酸化した後、固液分離し、固形分で
ある脱水汚泥を好気性発酵して、肥料や土壌改良材等に
使用できる堆肥(コンポスト)にすることが、特公昭5
6−51040号公報に記載されている。かような堆肥
化方法においては、嫌気性消化を行なって有機成分が低
くなった消化汚泥は対象としていない。すなわち、嫌気
性消化槽で生成する消化汚泥は、生物処理を経た後の有
機成分の低いものであるため、通常は脱水してその脱水
汚泥を乾燥焼却処分するのが一般的であり、ごくまれに
堆肥化が行われるだけであり、その堆肥の品質も有機成
分が少ないため低品質の堆肥しか得られなかった。有機
成分の少ない消化汚泥を湿式酸化したものでは、さらに
有機成分が酸化分解されて減少してしまい、もはや堆肥
化の対象にならなかった。
ごみやその他の有機成分の多い有機性廃棄物を混合して
資源化したり、消化日数を30〜60日から10〜20
日前後にして有機成分の多い消化汚泥を排出するように
して資源化することが行われだした。この方法として、
例えば特開平9−201599号公報等には、多種類の
有機性廃棄物を嫌気性消化してメタンガスを回収すると
共に、その消化汚泥をコンポスト化して回収することが
示されている。
一般的工程を図8を参照して説明すると、必要に応じて
破砕した有機スラリーや濃縮汚泥のごとき各種有機性廃
棄物を、混合貯留槽で混合、水分調整して原料汚泥とな
し、メタン回収工程へ供給する。メタン回収工程では、
嫌気性消化槽で原料汚泥を嫌気性消化処理してメタンガ
スを含むバイオガスを回収する。次いで、脱水工程で消
化スラリー(消化汚泥)を機械的脱水した後、得られた
脱水汚泥を水分調整工程で加熱乾燥して水分調整汚泥と
し、堆肥化工程で好気性発酵して、肥料や土壌改良材等
に使用する堆肥を得る。メタン回収工程で回収されたバ
イオガスは、温水や蒸気の発生装置の熱源として利用さ
れ、得られた温水や蒸気は各処理工程の加熱又は加温用
エネルギーとして用いられる。
した従来方法は、消化スラリーが難脱水性のため脱水用
薬剤を多量に使用しなければならず、しかも脱水工程後
に得られた脱水汚泥が80〜90質量%と高い含水率の
ため、効果的な堆肥化を行えるように水分調整する際の
加熱乾燥に多量の熱量を必要とする。
肥ではあるが、需要に季節変動が大きく、長期に保管し
なくてはならないことが多く、さらに近年堆肥そのもの
がだぶつき傾向にある。
する場合には、堆肥中にポリエチレン(PE)、ポリス
チレン(PS)、塩化ビニルなどの微小プラスチック片
等が混入しているため品質が低く、上記事情に加えて用
途先がかなり少ないという問題がある。
る問題点を解消することを目的とするもので、被湿式酸
化処理物を加熱するのに必要な熱量を、酸化反応で生ず
る酸化熱で充足させる従来の湿式酸化法とは異なり、特
定の条件で酸素の供給を制限して部分酸化を施し、これ
を従来の嫌気性消化スラリーを堆肥化する図8に示す従
来方法の水分調整工程に代えることによって、熱効率が
向上し従来方法に比してエネルギー消費が極めて少なく
て済み、微小プラスチック片の混入もない高品質の堆肥
が得られ、必要に応じて堆肥製造量を調整して堆肥製造
量を減らしメタンガス量を増加できるような、新規かつ
改良された有機性廃棄物の処理方法を提供しようとする
ものである。
なされた請求項1に記載の本発明に係る有機性廃棄物の
処理方法は、生ごみを含む有機性廃棄物スラリーを嫌気
性消化槽で嫌気性消化処理してメタンガスを回収するメ
タン回収工程と、前記メタン回収工程後の消化処理スラ
リーを、温度が150〜200℃で、かつ該消化処理ス
ラリーの液相を保持する圧力で、処理時間を15〜60
分とする条件で、酸素供給量が該消化処理スラリーのC
ODCr値の5〜25質量%に相当する酸素含有ガスを供
給して部分分解する可溶化工程と、前記可溶化工程から
の処理物の少なくとも一部を脱水機で脱水して含水率7
0質量%以下とする脱水工程と、前記脱水工程後の脱水
物を好気性発酵して堆肥とする堆肥化工程と、を備えた
ことを特徴とする。
みを含む有機性廃棄物は流動性を保持できるように水分
調整されてスラリーに形成され、嫌気性消化槽で嫌気性
消化処理されてメタンガスが回収される。
ターが使用できる。さらには、酸発酵とメタン発酵とを
別々の槽に分けた二槽式のものや、し尿処理で行われて
いる適切な加温と攪拌が行われる第一消化槽と主として
消化汚泥の沈殿分離を行う第二消化槽とからなる二槽式
のものでもよい。嫌気性消化には中温発酵と高温発酵と
があるがいずれの方式を採用しても差し支えない。
は、嫌気性消化処理を施した消化処理スラリーのCOD
Cr値の5〜25質量%になるように制限される。このC
ODCr値とは、JIS K0102(1998)工業排
水試験法に規定される二クロム酸カリウムによる酸素消
費量である。例えば、消化処理スラリーのCODCr値が
50g/Lである場合、消化処理スラリー1リットル
と、2.5〜12.5gの酸素量を含む酸素含有ガスと
を混合することを意味する。酸素含有ガスとしては、爆
発や有害物含有などの危険性がない酸素含有ガスであれ
ばよく、空気、酸素富ガス、純酸素、さらには原動機や
ボイラーの排ガス等が挙げられる。この可溶化工程は、
上記割合で酸素を供給するのであれば、消化処理スラリ
ーと酸素含有ガスを連続的に供給して処理する連続式
や、所定量の消化処理スラリーと酸素含有ガスとを反応
器に密閉した後処理する回分式のいずれの方式を採用し
ても差し支えない。
るので、消化処理スラリーは部分的に酸化されて部分分
解することになる。そのため、被湿式酸化処理物を加熱
するのに必要な熱量を、酸化反応で生ずる酸化熱で充足
させる、すなわち、自燃させる従来の湿式酸化法とは異
なり、温度を上記150〜200℃に維持するには、外
部から加熱し続けなければならない。かかる加熱は、間
接加熱やスチーム等を直接処理スラリーに接触させる直
接加熱のいずれでもよい。本発明の可溶化工程では、こ
のように加熱し続けなければならないにもかかわらず、
これに要する熱量は、従来の嫌気性消化スラリーを脱水
し加熱乾燥して水分調整した後堆肥化する図8に示した
方法における水分調整工程で使用する熱量よりも少なく
て済む。
たように制限しているので、従来の湿式酸化処理スラリ
ーの如く強熱減量成分率(強熱減量VS/全蒸発残留物
TS)を35〜50質量%まで低下させることなく、6
0〜75質量%程度に維持することができるため、後段
の堆肥化工程での自己発酵を可能なものとすることがで
きる。
タン回収工程での嫌気性消化に際して嫌気性微生物が分
解できなかった有機成分が部分分解されて可溶化され、
再び嫌気性微生物が分解可能なものが液相や固相に形成
されと共に、固相に残る有機固形分の減量化がなされ
る。
リーを脱水し加熱乾燥して水分調整した後堆肥化する図
8に示した方法に比して、有機性廃棄物スラリーの単位
処理当たりの堆肥生成量を少なくできるため、堆肥がだ
ぶつき傾向にある社会状況に対応できる。
成分の部分酸化によって、極めて脱水性がよくなる。し
たがって、外部から水分調整剤を添加しなくても脱水機
で容易に含水率70質量%以下に脱水できる。また、脱
水汚泥の含水率を大幅に低くできるので、堆肥化におい
て必要により行われる加温のエネルギー量が大幅に低減
される。
ン、ポリスチレン、塩化ビニル等の微小プラスチック片
が分解除去され、かつ殺菌され病原菌等も死滅している
ので衛生学的にも安全性の高い品質の堆肥原料となる。
庭から排出される厨芥や残飯等のごみ、または食堂、ホ
テル等から排出される事業系の厨芥や残飯類、若しくは
水産加工、蓄肉加工、農林加工等の動植物処理施設から
排出される残査等の有機性廃棄物を意味する。
は、請求項1に係る有機性廃棄物の処理方法において、
前記可溶化工程の熱源に、前記メタン回収工程で得られ
たメタンガスの熱量を利用することを特徴とする。
化工程の熱源を、メタン回収工程で得られたメタンガス
量で十分にまかなうことが可能である。さらに、前述し
たように、本発明の可溶化工程に要する熱量は、従来の
嫌気性消化スラリーを脱水し加熱乾燥して水分調整した
後堆肥化する図8に示した方法の水分調整工程に必要な
熱量よりも少なくて済むため、余剰のメタンガスを発電
や他の用途に振り分けることが可能である。
は、請求項1または2に係る有機性廃棄物の処理方法に
おいて、前記可溶化工程からの処理物の一部を脱水せず
に前記メタン回収工程の前記嫌気性消化槽または別の嫌
気性消化槽に供給し、その供給量を調整することによ
り、前記堆肥化工程からの堆肥製造量および前記メタン
回収工程のメタンガス発生量を調整することを特徴とす
る。
化工程からの処理物の脱水工程さらには堆肥化工程への
供給量が減少し、嫌気性消化槽への供給量が増加するこ
とにより、堆肥製造量を減らしてメタンガス量を増加さ
せることができる。一方、可溶化工程からの処理物の全
量または大部分を脱水工程さらには堆肥化工程へ供給す
る場合には、嫌気性消化槽への返送量が減少またはゼロ
となるため、堆肥製造量を増加させメタンガス量を減少
させることができる。可溶化工程からの処理物を嫌気性
消化槽へ返送する場合には、建設する嫌気性消化槽の容
量を大きくしなければならないという経済性を考慮して
も、可溶化工程からの処理物の20〜30質量%程度を
嫌気性消化槽に返送することが可能となり、これにより
堆肥製造量を約10〜20質量%の範囲内で調整でき、
堆肥の製造量を需要の季節変動に合わせて調整できると
いう利点が得られる。
は、請求項1〜3の何れか1つに係る有機性廃棄物の処
理方法において、前記脱水工程後の脱水物の一部を前記
メタン回収工程の前記嫌気性消化槽または別の嫌気性消
化槽に供給し、その供給量を調整することにより、前記
堆肥化工程からの堆肥製造量および前記メタン回収工程
のメタンガス発生量を調整することを特徴とする。
工程後の脱水物の堆肥化工程への供給量が減少し、嫌気
性消化槽への供給量が増加することにより、堆肥製造量
を減らしてメタンガス量を増加させることができる。一
方、脱水工程からの脱水物の全量または大部分を堆肥化
工程へ供給する場合には、嫌気性消化槽への返送量が減
少またはゼロとなるため、堆肥製造量を増加させメタン
ガス量を減少させることができる。したがって、請求項
3の発明とほぼ同等に堆肥の製造量を需要の季節変動に
合わせて調整することが可能である。さらに、脱水物を
嫌気性消化槽に返送するので、請求項3のように可溶化
工程からの処理物を脱水せずに返送する場合に比べて、
含水率の大きい有機性廃棄物スラリーを嫌気性消化槽で
処理できる。
は、請求項1〜4の何れか1つに係る有機性廃棄物の処
理方法において、前記脱水工程からの脱水分離液の少な
くとも一部を前記メタン回収工程の前記嫌気性消化槽ま
たは別の嫌気性消化槽に供給することを特徴とする。
分離液中に残存する未分解有機成分を再度嫌気性消化さ
らには可溶化することができるため、嫌気性消化による
メタンガスの発生量を増加できると共に、廃水処理系の
負荷を低減できる。
は、請求項2に係る有機性廃棄物の処理方法において、
前記メタン回収工程で得られたメタンガスの一部をボイ
ラの燃料とし、そのボイラからのスチームを前記可溶化
工程の加熱熱源に利用し、かつ前記メタンガスの残りの
少なくとも一部を発電機を備えた原動機の燃料とすると
共に、該原動機からの排ガスの熱により水を加熱して得
られた温水を前記嫌気性消化槽の加温熱源に利用するこ
とを特徴とする。
にエネルギーを回収でき、可溶化工程に要する熱源を発
電と切り離すことによってフレキシビリティーをより一
層もたせることが可能となり、原料である有機性廃棄物
スラリーの性状が変化しメタン発生量が変化しても安定
して可溶化工程を運転できる。
は、請求項1〜6の何れか1つに係る有機性廃棄物の処
理方法において、前記メタン回収工程のメタン発酵日数
が7〜20日であり、前記可溶化工程の液相を保持する
圧力が絶対圧0.5〜2.5MPaであり、前記堆肥化
工程の好気性発酵日数が5〜20日であることを特徴と
する。
しく安定してメタンガスの発生と堆肥化が行える。な
お、より好ましくは、メタン回収工程のメタン発酵日数
が12〜18日であり、可溶化工程の液相を保持する圧
力が絶対圧0.7〜2.0MPaであり、堆肥化工程の
好気性発酵日数が7〜14日である。可溶化工程の液相
を保持する圧力をゲージ圧力1MPa未満で行うことに
よって、高圧ガス保安法が適用されなくなるため、より
安価な装置で本発明を実施することができる。
して各工程毎に説明する。 1.有機性廃棄物(原料汚泥)のメタン回収工程 分別された厨芥等の生ごみ(固形廃棄物)1をコンベヤ
やパワーシャベル等によって破砕選別装置2に投入し、
8mm以下の大きさに破砕した後、生ごみ中の軽量物(プ
ラスチック細片類)と重量物(金属類やガラス類)とを
選別除去し、濃度8〜12質量%の粥状にした有機スラ
リー3を作製し、有機スラリー移送ポンプ4により混合
貯留槽5に移送する。
等の液状廃棄物6、6′は、それぞれ供給ポンプ7、
7′により遠心分離型やスクリュープレス型等の濃縮装
置8、8′に凝集剤と共に送られ、濃度7〜13質量%
の濃縮汚泥9、9′を作製し移送ポンプ10、10′に
より混合貯留槽5に移送され、前述の有機スラリー3と
混合され貯留される。また、濃縮分離液11、11′は
生物処理系70にて処理される。
S)濃度8〜12質量%に調整された原料汚泥12は投
入ポンプ13により嫌気性消化槽14へ投入される。嫌
気性消化における処理条件は、槽内温度が32〜38℃
の中温発酵(または53〜57℃の高温発酵でもよ
い)、水理学的滞留日数(HRT)が7〜20日、好ま
しくは12〜18日とする。なお、嫌気性消化槽14は
一般的には酸生成相とメタン生成相とを一緒にした一槽
式で行なわれるが、一槽を二つの槽に分割してもよく、
あるいは従来から使用されている別々の槽とした二槽
式、さらには温度等を変えて消化効率を向上させる多槽
式及び固定床式などいずれの構造でもよい。しかし、消
化槽からの放熱や消化液の移送などを考慮すると一槽式
か二槽式が好ましい。
ガス15(メタンガス濃度が58〜65体積%)は、ガ
スホルダー16に貯留され、発電装置17及び/又は加
温用ボイラー18などの燃料として使用し、得られた温
水19及び/又は蒸気20は、嫌気性消化槽14の加温
や後述する可溶化設備50及び堆肥化装置42等への加
温及び保温に利用される。嫌気性消化槽14の加温及び
保温は、バイオガス15の一部を発電装置17の原動機
17aの燃料として用い、原動機冷却水用熱交換器17
c及び/又は原動機排ガス用熱交換器17dより得られ
た温水19を嫌気性消化槽14の外側に設けられたジャ
ケットなどに通水することによって行なわれる。なお、
図1の発電装置17における17bは、原動機17aに
より駆動される発電機を、17eは原動機排ガスを表し
ている。
リー21は、自然流下またはポンプなどにより消化スラ
リー貯留槽22に移送され貯留される。
うず巻型や一軸式などの消化スラリー供給ポンプ23に
よって第一熱交換器24、第二熱交換器25及び反応塔
26と順次に移送され、部分的な酸化処理により部分分
解されて酸化処理スラリー27とされる。第一熱交換器
24においては、消化スラリー21と反応塔26から排
出された高温の酸化処理スラリー27との熱交換が行わ
れ、第二熱交換器25においては、第一熱交換器24で
温められた消化スラリー21と、嫌気性消化槽14から
回収したバイオガス15の一部を熱料として用いた加温
用ボイラー18にて得られる蒸気20との熱交換が行わ
れ、消化スラリーは140〜190℃に昇温された状態
で反応塔26に入る。
自己の酸化熱にて温度がさらに5〜10℃上がるため、
温度が150〜200℃好ましくは160〜180℃、
時間が15〜60分好ましくは20〜40分、絶対圧力
が0.5〜2.5MPa(所要処理温度における液相保
持圧力)好ましくは0.7〜2.0MPaの条件で部分
酸化処理される。
レッサー29のスナッパー(圧縮空気貯槽)から流量調
整弁(FCV)30を介して反応塔26の下部へ注入さ
れる。酸素供給量は、消化スラリー21のCODCr値に
対して5〜25質量%相当分、好ましくは10〜20質
量%相当分となるように流量調整弁30によって制御さ
れる。酸素供給量の制御要領は、消化スラリーのCOD
Cr濃度を通常1日1回以上測定し、次式の計算で得ら
れた必要空気流量を流量調整弁30でその都度設定する
ことによって行なわれる。
S)濃度とCODCr濃度との関係を予め求めておき、反
応塔26に流入する消化スラリーのSS濃度を汚泥濃度
計(MLSS計)などで連続的に測定し、その値から予
め求めておいた上記関係からCODCr濃度を得た後、式
で算出される空気流量を連続して流量調整弁30によ
り制御調整することによっても行なえる。
応塔26下部に限定されるものではなく、第二熱交換器
25から流出してくる消化スラリー21に酸素を合流さ
せて反応塔26へ供給してもよく、消化スラリー供給ポ
ンプ23から流出してくる消化スラリー21に酸素を合
流させて第一熱交換器24の入口に供給しても差し支え
ない。さらに、酸素源は空気28に限定されるものでは
なく、爆発や有害性物質含有などの危険性がない酸素含
有ガスであればよく、場合によっては発電装置17及び
加温用ボイラー18からの排ガスを用いることも可能で
ある。その場合は、排ガス中の残存酸素濃度を測定し、
その酸素濃度に応じた必要排ガス量を供給するようにす
ればよい。
での液相を保持するためには所要処理温度に対応した圧
力となるが、現在日本国内では圧力容器及び製造設備な
どについては各種の規制がある。その中で、規制の最も
厳しい高圧ガス保安法の対象から逃れるにはゲージ圧力
を1MPa未満(常用の温度において)にしなければな
らないため、前述したように処理温度を150〜180
℃とすることが好ましい。それでも、蒸気圧の関係から
処理温度が170〜180℃となる場合には、反応塔2
6内の気相はやや湿り状態となるが、反応塔26から排
出された気相を含む酸化処理スラリー27は第一熱交換
器24において温度80℃以下に冷やされるため、気相
内の水分は復水(ドレン)となって酸化処理スラリーに
還流される。従って、大気圧の状態となる気液分離器3
2からの酸化処理排ガス33中には水分がほとんどなく
なるため問題はない。また、反応塔26への酸素供給量
を少なく制限していることも、温度180℃で絶対圧力
1.1MPa未満においても反応塔26内の液相が保持
できる一因ともなっている。
ー27は、第一熱交換器24を経て液温50〜80℃と
なって圧力制御弁(PCV)31に流れ、ここで反応系
内の圧力を一定に保ちながら絶対圧0.5〜2.5MP
aから大気圧の0.1MPaまで減圧された後、気液分
離器32に流入し、酸化処理スラリー27と酸化処理排
ガス33に分離される。酸化処理排ガス33は、生物処
理系70の曝気用ガスの一部として用いられ、該曝気槽
の微生物によって生物脱臭されて大気に放出されるか、
または、脱臭設備60により処理されて大気放出され
る。一方、酸化処理スラリー27は酸化処理スラリー移
送ポンプ34によって酸化処理スラリー貯留槽35に流
入する。
化工程 酸化処理スラリー貯留槽35から酸化処理スラリー27
は、酸化処理スラリー供給ポンプ36によりフィルター
プレスやベルトプレスなどの脱水装置37に供給され、
無薬注あるいは高分子凝集剤の微量添加によって脱水処
理が行なわれる。なお、脱水装置は上記で例示した種類
に限定されるものではなく、公知の脱水装置であればい
かなる種類の装置を用いても差し支えない。脱水装置3
3から排出される脱水分離液38は脱水分離液移送ポン
プ39によって生物処理系70に移送され処理される。
一方、得られた脱水汚泥40はスクリュー式やベルト式
などのコンベヤ41によって横型パドル式や多段縦型パ
ドル式などの堆肥化装置42に投入され、堆肥43が製
造される。堆肥化の条件は、温度が45〜60℃、空気
通気量が発酵槽単位体積当り10〜40L(Normal)/L
・hおよび滞留日数が5〜20日である。なお、堆肥化
装置は上記で例示した形式に限定されるものではなく、
公知の堆肥化装置であればいかなる形式の装置を用いて
も差し支えない。また、堆肥化装置42への空気28の
供給はブロワー44によって行なわれ、堆肥化装置42
の加温並びに保温は、前述した嫌気性消化槽14から回
収されたバイオガス15の一部を発電装置17の燃料と
して用い、原動機冷却水用熱交換器17c及び/又は原
動機排ガス用熱交換器17dより得られた温水19を堆
肥化装置42の外側に設けられたジャケットなどに通水
することによって行なわれる。
方法に比べて堆肥製造量を最大約55質量%減量させる
ことができる。堆肥の需要量には季節的変動があり、製
造した堆肥を貯蔵しておく場所が必要となってくるが、
その貯蔵容積は一般的にかなり大きなものとなる。堆肥
の貯蔵量を少しでも低減させる方法として、図2に示す
ように、酸化処理スラリー貯留槽35から酸化処理スラ
リー供給ポンプ36によって脱水装置37へ移送される
酸化処理スラリー27の一部を、脱水装置37へ移送せ
ずに、バルブ45の切り換えによって前段のメタン回収
工程の混合貯留槽5に返送する場合がある。あるいはま
たは、この酸化処理スラリー27の一部を、嫌気性消化
槽14とは別に設置された図示しない嫌気性消化槽(固
定床法又は浮遊法などいずれでもよい)へ移送して、嫌
気性消化槽14におけると同様に嫌気性消化処理を行っ
てメタンガスを回収する場合もある。
図3に示したように、脱水装置37から排出される脱水
汚泥40の一部をスクリュー式やベルト式などのコンベ
ヤ41’によって前段のメタン回収工程の混合貯留槽5
へ返送する場合がある。あるいはまたは、この脱水汚泥
40の一部を、嫌気性消化槽14とは別に設置された嫌
気性消化槽(図示せず)へ移送して、嫌気性消化槽14
におけると同様に嫌気性消化処理を行ってメタンガスを
回収する場合もある。
を嫌気性消化槽14へ返送し、あるいは別途設置した嫌
気性消化槽へ移送する上述した方法を実施できる理由
は、部分酸化を既に受けた酸化処理スラリー27が再度
嫌気性消化できるものに分解されるためである。従っ
て、可溶化工程において、可溶化工程の処理条件を高く
することによって、消化スラリー12中のSSを効果的
に減量でき(例えば処理温度160℃で酸素供給率10
質量%の場合で消化スラリー21中のSSを約20質量
%減量できる)、堆肥製造量を大幅に減少できるととも
に、バイオガス(メタンガス)生成量を大幅に増加させ
てエネルギー回収量を増加させることが可能となる。嫌
気性消化槽の容量や返送負荷による経済性を考慮して
も、返送率及び移送率は30質量%程度は可能である。
槽5へ返送しない場合と返送した場合における堆肥製造
量とバイオガス生成量を比較した例を示す。また、図8
の従来方法における場合についても図4に併せて示す。
図4からわかるように、可溶化工程の処理条件によって
SS減少量は異なってくるが、温度160℃で酸素供給
率が10質量%の条件で酸化処理し酸化処理スラリーの
30質量%を返送した場合、返送しない場合と比べる
と、堆肥製造量は約17質量%(従来方法と比べると約
28質量%)減量でき、バイオガス生成量は約9体積%
増量できる。また、温度200℃で酸素供給率が25質
量%の条件で酸化処理し酸化処理スラリーの30質量%
を返送した場合、返送しない場合に比べると、堆肥製造
量は約10質量%(従来方法と比べると約60質量%)
減量でき、バイオガス生成量は約2体積%増量できる。
なお、脱水汚泥40を返送した場合の堆肥製造量の減量
およびバイオガス発生量の増加も、酸化処理スラリー2
7を返送した場合とほぼ同様な結果となる。
オガスの生成量を増加させる方法として、図5に示すよ
うに、脱水工程から排出される脱水分離液38の少なく
とも一部を生物処理系70へ移送せずに、バルブ46の
切り換えによって破砕選別装置2またはメタンガス回収
工程の混合貯留槽5へ濃度調整用水の代替として返送す
る場合もある。あるいはまた、この脱水分離液38の少
なくとも一部を、嫌気性消化槽14とは別に設置された
嫌気性消化槽(図示せず)へ移送する場合もある。ちな
みに、酸化処理スラリー27や脱水汚泥40を混合貯留
槽5へ返送せず、脱水分離液38だけを破砕選別装置2
や混合貯留槽5に全量返送した場合、約7体積%のバイ
オガス生成量の増加ができる。
ー貯留槽35からの酸化処理スラリー27、脱水汚泥4
0及び脱水分離液38を前段のメタン回収工程の混合貯
留槽5へ返送する場合には、3種のもののうちの1種だ
けを返送してもよいし、複数種を同時に並行して返送し
てもよい。また、これら3種のものを別途設置された嫌
気性消化槽(図示せず)へ移送する場合でも、3種のも
ののうちの1種だけを移送してもよいし、複数種を同時
に並行して移送してもよい。
限して部分酸化に止めるため、被湿式酸化処理物を加熱
するのに必要な熱量を、酸化反応で生ずる酸化熱で充足
させる、すなわち自然させる従来の湿式酸化法とは異な
り、温度を150〜200℃に維持するには、外部から
加熱し続けなければならない。かかる加熱は、熱交換器
によるスチーム等の間接加熱や消化スラリーに直接スチ
ーム等を接触させる直接加熱のいずれでもよい。本発明
の可溶化工程では、このように加熱し続けなければなら
ないにもかかわらず、これに要する熱量は、従来の嫌気
性消化スラリーを脱水し加熱乾燥して水分調整した後堆
肥化する図8に示した方法における水分調整工程で使用
する熱量よりも少なくて済む。
しているため、従来の湿式酸化処理スラリーの如く強熱
減量成分率(VS/TS)を35〜50質量%まで低下
させることなく、60〜75質量%程度に保つことがで
きるため、後段の堆肥化工程での自己発酵を可能なもの
とすることができると共に、強熱減量成分の分解率を考
慮しても、製造される堆肥の乾燥重量当りの強熱減量成
分率を40〜60質量%に保つことができる。さらに、
可溶化工程では、メタン回収工程からの消化スラリーの
極端な分解が抑えられているので、肥料成分として必要
な窒素分を減少させることがなく、得られた堆肥のC/
N比は推奨基準値を十分達成にすることができる。
タン回収工程での嫌気性消化で嫌気性微生物が分解でき
なかった有機成分が部分分解されて可溶化され、再び嫌
気性微生物が分解可能なものが液相や固相に形成されと
共に、固相に残る有機固形分の減量化が図られる。さら
に、この可溶化工程の処理物は、ポリエチレン、ポリス
チレン、塩化ビニル等のプラスチック類の微小片等が分
解除去され、かつ殺菌され病原菌等も死滅しているため
衛生学的にも安全性の高い品質の堆肥の原料となると共
に、脱水性が極めてよくなる。
ーは脱水機で容易に含水率70質量%以下に脱水でき
る。また、脱水汚泥の含水率を大幅に低くできるので、
堆肥化において必要により行われる加温のエネルギー量
が大幅に低減される。
施例を参照して以下に説明する。また、実施例の結果を
まとめて表1に示す。なお、表中に示すTS(蒸発残留
物)、VS(強熱減量)、SS(懸濁物質)及びVSS
(揮発性浮遊物質)の濃度は、JIS−K0102(1
998)の14項に記載の方法で求めた数値である。
11質量%程度に調整した有機スラリー0.83kg
と、夾雑物を除去したし尿及び浄化槽汚泥をそれぞれT
S濃度12質量%程度に濃縮した濃縮汚泥を容量比3:
2で混ぜ合わせたもの0.22kgと、を攪拌混合し原
料汚泥を作製した。この原料汚泥を体積約20L(有効
体積17L程度)の一槽式嫌気性消化槽に1日1回セミバ
ッチ方式にて投入し嫌気性消化処理を行なった。なお、
原料汚泥のTS濃度は約11質量%であり、強熱減量成
分率(VS/TS)は約89質量%程度であった。
日数が16日程度で行なった。この消化処理の結果は、
表1からわかるように、VS減少率が約66質量%、T
S減少率が約60質量%であった。一方、バイオガス生
成量は投入VS質量1kg当り0.62m3 程度であ
り、メタンガス濃度は約61体積%であった(メタンガ
ス発生量では投入VS質量1kg当り約0.38m3 と
なる)。得られた消化スラリーは、TS濃度が約4.6
質量%で強熱減量成分率(VS/TS)が約76質量%
程度であり、SS濃度が約4.0質量%で懸濁物質中の
揮発成分率(VSS/SS)が約77質量%程度の性状
であった。なお、消化スラリー中には目視ではあるがポ
リエチレン、ポリスチレン、塩化ビニル等のプラスチッ
ク微小片がかなり混在していた。
0.76Lのオートクレーブテスト機に1日2回投入し
バッチ式で部分酸化処理して可溶化した。酸化処理条件
は、温度が160℃、圧力が0.9MPa及び時間が3
0分であり、酸素供給量は消化スラリーの酸素要求量
(CODCr値)の10質量%相当分とした。この酸化処
理の結果は、表1からわかるように、VS減少率が約1
0質量%、SS減少率が約20質量%,VSS減少率が
約23質量%であった。得られた酸化処理スラリーは、
TS濃度が約4.3質量%で強熱減量成分率(VS/T
S)が約74質量%程度であり、SS濃度が約3.2質
量%で懸濁物質中の揮発成分率(VSS/SS)が約7
3質量%程度の性状であった。なお、酸化処理スラリー
中にはポリエチレン、ポリスチレン、塩化ビニル等の微
小片の混在は目視では全く認められなかった。さらに、
酸化処理スラリー中の細菌類は完全に死滅していたこと
から、衛生学的に問題ないことが認められた。
温度とCST(Capillary SuctionTime 下水試験方
法)値及びVSS減少率の関係を表2に、酸素供給量
(消化スラリーのCODCr値に対する質量%)とCST
値及びVSS減少率の関係を表3にそれぞれ示す。CS
T値はろ過比抵抗値と密接な関係があり、CST値が低
くなるに伴いろ過比抵抗値が低くなる、つまり脱水性が
良好になってくることを表す値である。表2および表3
から、CST値は、処理温度が高くなる程低くなり(脱
水性が良くなり)、酸素供給量が多くなる程低くなる
(脱水性が良くなる)ことがわかる。また、酸素供給量
を多くする程VSS減少率が大きくなり、消化スラリー
中の汚泥の可溶化も大きくなることがわかる。この可溶
化工程は、消化スラリーを部分酸化させ可溶化(VSS
量を減少)によって調質する(懸濁物質中の揮発成分率
(VSS/SS)の低下などを行う)ことを目的にして
いるが、可溶化させる量があまり多くなると後段の堆肥
化工程で製造される堆肥の品質(基準値)が保持できな
くなるため、VSS減少率が約60質量%以下となるよ
うな処理条件に留めることが望ましい。
ッチェテスト機にて行なった。その結果、水分調整剤等
を添加せずとも含水率が約63質量%の脱水汚泥が得ら
れ、脱水分離液のSS濃度は約1.48g/Lであっ
た。また、脱水汚泥の強熱減量成分率(VS/TS)は
約74質量%となった。表1の脱水汚泥及び脱水分離液
の分析結果から、消化スラリーのVSS量のうち約10
質量%が部分酸化によって分解除去され、約13質量%
が脱水分離液に可溶化しているものと推察される。従っ
て、脱水分離液における溶解性のBOD濃度は約5g/
Lとかなり高くなっている。
機付き容器に投入し、約10日間の好気性発酵で堆肥を
製造した。表1に示した分析結果から、得られた堆肥は
SS減少率が約10質量%(図8の従来方法では約15
質量%)、VS減少率が約10質量%、強熱減量成分率
(VS/TS)が約71質量%、炭素/窒素質量比(C
/N)が約13であり、し尿汚泥堆肥における品質規準
値を十分満足するものであった。また、得られた堆肥中
にはポリエチレン、ポリスチレン、塩化ビニルなどの微
小片は目視ではほとんど認められず、小松菜による発芽
試験においても何ら問題がなかったことから、品質の高
い堆肥であることがわかる。
0kL/日、浄化槽汚泥60kL/日及び生ごみ質量2
0t/日)における本発明方法と従来方法(図8)のエ
ネルギー収支を算出した。なお、上記規模における原料
汚泥(嫌気性消化槽流入物)のTS濃度は10.8質量
%で、その質量は45.36t/日程度となり、嫌気性
消化槽から回収されるメタンガス量は約1530m3 (N
ormal)/日(メタンガス濃度を60体積%としてバイオ
ガス量では約2550m3 (Normal)/日)である。本発
明方法と従来方法のエネルギー収支算出結果を表4なら
びに図7にまとめて示す。なお、各工程の温度はメタン
回収工程が35℃、可溶化工程が170℃、水分調整工
程が80℃及び堆肥化工程が60℃である。また、メタ
ンガスの発熱量は35.79MJ/m3 (Normal)、ボイ
ラー熱回収効率を80%、発電装置の発電効率を25
%、発電装置排ガスからの熱回収効率は50%と設定し
た。
用熱量総計は、本発明方法で17825MJ/日程度、
従来方法で52920MJ/日程度であり、本発明方法
におけるような可溶化工程によって、従来方法の水分調
整工程に使用される熱量が大幅に低減できることがわか
る。なお、本発明方法の脱水工程で得られる脱水汚泥の
含水率は65質量%、従来方法の脱水工程で得られる脱
水汚泥の含水率は85質量%、乾燥工程で得られる汚泥
の含水率は60質量%として算出している。また、両方
法での堆肥化工程における使用熱量の違いは、上記含水
率の違いによるほかに、本発明方法では可溶化によって
脱水汚泥量が減る反面、VS/TS比は低くなり自己発
熱量が少なくなるためによるものである。
回収されたメタンガスのボイラー燃料によって得られる
熱量(約43807MJ/日)を施設の加温及び保温用
に全量使用してもなお不足するため、外部(施設外)か
らのエネルギー約9113MJも必要となる。これに対
して本発明方法では、回収されたメタンガスの極一部
(104m3 (Normal)/日程度)は可溶化工程において
使用されるが、残りのメタンガス(1426m3 (Norma
l)/日程度)は発電装置の燃料に使用でき、約3544
kwh/日の電力が得られる上に、その廃ガス熱量によ
る温水回収によって約25518MJ/日の熱量が得ら
れるため、メタン回収工程(嫌気性消化槽)及び堆肥化
工程(堆肥化装置)の加温及び保温用熱量を賄えるだけ
でなく余剰熱量も得られる。
をベースとして本発明の可溶化工程を実施する形態を説
明したが、消化スラリーとスチームとを直接接触させて
特定の温度で加熱することにより有機物を熱変性させ脱
水性を改善するポーチャスプロセスに代表される熱処理
装置を使用することもでき、この場合も、温度が150
〜200℃で、かつ消化スラリーの液相を保持する圧力
で、処理時間を15〜60分とする条件で、酸素供給量
が消化スラリーのCODCr値の5〜25質量%に相当す
る酸素含有ガスを供給することにより可溶化工程を実施
することができる。
明によれば、可溶化工程において酸素供給量を制限する
ことにより、強熱減量成分率(VS/TS)を比較的高
く保つことができ、後段の堆肥化工程での自己発酵を可
能なものとすることができる。さらに、嫌気性消化で嫌
気性微生物が分解できなかった有機成分を可溶化するた
め、再び嫌気性微生物が分解可能なものが液相や固相に
形成できると共に、固相に残る有機固形分の減量化がで
きる結果、有機性廃棄物スラリーの単位処理当たりの堆
肥生成量を小さくできて、堆肥がだぶつき傾向にある社
会状況に対応した処理方法とすることができる。
ン、ポリスチレン、塩化ビニル等の微小なプラスチック
片等が分解除去され、殺菌もされ、さらに脱水性の改善
がなされるため、脱水助剤の無添加あるいは極少量の添
加で低い含水率の脱水汚泥が得られるので、衛生学的に
も安全性の高い品質の堆肥を得ることができる。
性消化スラリーを脱水し加熱乾燥して水分調整した後堆
肥化する図8に示した方法の水分調整工程に必要な熱量
よりも少ない熱量で達成でき、経済的な資源循環型の廃
棄物処理が行なえる。
で必要な熱量をメタン回収工程で得られたメタンガスの
熱量で十分にまかなうことが可能であり、余剰のメタン
ガスを発電や他の用途に振り分けることができる。
溶化工程からの処理物中に残存する未分解有機成分を再
度嫌気性消化さらには可溶化することができると共に、
嫌気性消化槽に供給する処理物の供給量が増加するた
め、堆肥需要の季節変動に合わせて堆肥製造量を調整し
たり、発電等に使用できる汎用性の高いメタンガス量を
増加させることができる。
の脱水物を嫌気性消化槽に供給するため、含水率の大き
い有機性廃棄物スラリーを嫌気性消化槽に供給しても効
果的に嫌気性消化槽で処理することが可能となる。
脱水分離液中に残存する未分解有機成分を再度嫌気性消
化さらには可溶化することができるため、嫌気性消化に
よるメタンガスの発生量を増加できると共に、廃水処理
系の負荷を低減を図ることができる。
を、フレキシビリティーを持った、より効率的にエネル
ギーを回収するシステムとすることができ、原料である
有機性廃棄物スラリーの性状が変化してメタン発生量が
変化する場合でも安定して可溶化工程を運転できる。
程、可溶化工程および堆肥化工程を全体的に効率よく運
転できる結果、好ましく安定したメタンガスの発生と堆
肥化を行うことが可能となる。
ト。
ト。
および従来方法と比較するSS量およびメタンガス生成
量指数図
ート。
ート。
エネルギー収支比較図
ロー。
Claims (7)
- 【請求項1】 生ごみを含む有機性廃棄物スラリーを嫌
気性消化槽で嫌気性消化処理してメタンガスを回収する
メタン回収工程と、 前記メタン回収工程後の消化処理スラリーを、温度が1
50〜200℃で、かつ該消化処理スラリーの液相を保
持する圧力で、処理時間を15〜60分とする条件で、
酸素供給量が該消化処理スラリーのCODCr値の5〜2
5質量%に相当する酸素含有ガスを供給して部分分解す
る可溶化工程と、 前記可溶化工程からの処理物の少なくとも一部を脱水機
で脱水して含水率70質量%以下とする脱水工程と、 前記脱水工程後の脱水物を好気性発酵して堆肥とする堆
肥化工程と、を備えたことを特徴とする有機性廃棄物の
処理方法。 - 【請求項2】 前記可溶化工程の熱源に、前記メタン回
収工程で得られたメタンガスの熱量を利用することを特
徴とする請求項1に記載の有機性廃棄物の処理方法。 - 【請求項3】 前記可溶化工程からの処理物の一部を脱
水せずに前記メタン回収工程の前記嫌気性消化槽または
別の嫌気性消化槽に供給し、その供給量を調整すること
により、前記堆肥化工程からの堆肥製造量および前記メ
タン回収工程のメタンガス発生量を調整することを特徴
とする請求項1または2に記載の有機性廃棄物の処理方
法。 - 【請求項4】 前記脱水工程後の脱水物の一部を前記メ
タン回収工程の前記嫌気性消化槽または別の嫌気性消化
槽に供給し、その供給量を調整することにより、前記堆
肥化工程からの堆肥製造量および前記メタン回収工程の
メタンガス発生量を調整することを特徴とする請求項1
〜3の何れか1つに記載の有機性廃棄物の処理方法。 - 【請求項5】 前記脱水工程からの脱水分離液の少なく
とも一部を前記メタン回収工程の前記嫌気性消化槽また
は別の嫌気性消化槽に供給することを特徴とする請求項
1〜4の何れか1つに記載の有機性廃棄物の処理方法。 - 【請求項6】 前記メタン回収工程で得られたメタンガ
スの一部をボイラの燃料とし、該ボイラからのスチーム
を前記可溶化工程の加熱熱源に利用し、かつ前記メタン
ガスの残りの少なくとも一部を発電機を備えた原動機の
燃料とすると共に、該原動機からの排ガスの熱により水
を加熱して得られた温水を前記嫌気性消化槽の加温熱源
に利用することを特徴とする請求項2に記載の有機性廃
棄物の処理方法。 - 【請求項7】 前記メタン回収工程のメタン発酵日数が
7〜20日であり、前記可溶化工程の液相を保持する圧
力が絶対圧0.5〜2.5MPaであり、前記堆肥化工
程の好気性発酵日数が5〜20日であることを特徴とす
る請求項1〜6の何れか1つに記載の有機性廃棄物の処
理方法。
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