JP2004311841A - 半導体ウェハ用容器 - Google Patents

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JP2004311841A JP2003105724A JP2003105724A JP2004311841A JP 2004311841 A JP2004311841 A JP 2004311841A JP 2003105724 A JP2003105724 A JP 2003105724A JP 2003105724 A JP2003105724 A JP 2003105724A JP 2004311841 A JP2004311841 A JP 2004311841A
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Abstract

【課題】半導体ウェハを収容するとき、半導体ウェハが仕切板に接触して損傷することを防ぐことができる半導体ウェハ用容器を提供する。
【解決手段】仕切板12の開放端側の一部によって案内部18が構成され、挿排方向の一方へ向かうにつれて並び方向の寸法が小さくなるように先細状に形成される。これによって半導体ウェハ13を半導体ウェハ用容器に収容するとき、案内部18に半導体ウェハ13の幅方向両側部21が接触しても、半導体ウェハ13の移動を妨げることなく、円滑に配置領域15に案内する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の半導体ウェハを収容する半導体ウェハ用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、第1の従来の技術の半導体ウェハ用容器1を示す斜視図である。図6は、半導体ウェハ用容器1の仕切板3を簡略化して示す正面図であり、図7は、図6の切断面線S7−S7から見て示す断面図である。半導体ウェハ用容器1は、容器本体2および仕切板3から構成される。容器本体2は、大略的に、四角枠形状に形成され、その枠内部に複数の角形の半導体ウェハ4が収容される収容空間が形成される。容器本体2は、半導体ウェハ4が挿排されるように、収容空間を上方向に開放するように形成される。仕切板3は、収容空間を半導体ウェハ4が厚み方向に間隔をあけて個別に配置される配置領域6に仕切る。仕切板3は、対を成す仕切片5を有する。各仕切片5は、容器本体2の長手方向に延びる壁部の収容空間に臨む一端面部に、短手方向の内方に突出し、上下方向に全域にわたって延びるように設けられる。各仕切片3の厚み寸法は、一様に形成される。半導体ウェハ4を半導体ウェハ用容器1に収容する場合、半導体ウェハ4を半導体ウェハ用容器1の配置領域6に対して下方向7へ移動させ、配置領域6に配置される。
【0003】
第2の従来の技術の半導体ウェハ用容器は、第1の従来の技術の半導体ウェハ用容器のおける仕切板の形状が異なる。この仕切板の形状は、半導体ウェハを水平に支持できるように、仕切板の厚み方向一端面部が平面状に形成される。したがって半導体ウェハを水平に安定して支持することができる(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
第3の従来の技術の半導体ウェハ用容器は、第1の従来の技術の半導体ウェハ用容器のおける仕切板の形状が異なる。この仕切板の形状が、半導体ウェハの表面と線接触して半導体ウェハを水平に支持できるように形成されている。したがって収容されている半導体ウェハが、仕切片に接触して損傷するのを可及的に防いでいる(たとえば特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−216229号公報
【特許文献2】
実開平3−69240号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図8は、第1の従来の技術の半導体ウェハ用容器1を図7と同一の方向に見て示す断面図である。図8に示すように、半導体ウェハ用容器1に半導体ウェハ4を挿入方向7へ移動させたとき、半導体ウェハ4の移動経路が配置領域6に導かれておらず、仕切片5の開放端部によって遮られることがある。半導体ウェハ4の移動経路が仕切片5によって遮られていると、半導体ウェハ4が挿入方向7に移動され、半導体ウェハ4の周縁部が仕切片5に接触し、半導体ウェハ4に仕切片5からの反力が作用し、半導体ウェハ4に削れおよび欠けなどが生じるおそれがある。また半導体ウェハ4の移動経路が仕切片5によって遮られると、半導体ウェハ4を半導体ウェハ用容器1に搬送する作業が滞り、作業効率が低下する。また仕切片5の厚み寸法が、長手方向に隣接する仕切片5の間隔に対して大きいので、半導体ウェハ4の移動経路を高精度に制御しないと、半導体ウェハ4の周縁部が仕切片5に接触する可能性が高い。また半導体ウェハ用容器1は、できるだけ多くの半導体ウェハ4を収容できるように、前記仕切片5の間隔を半導体ウェハの厚み寸法に対して小さく形成されている。これによって半導体ウェハ4の周縁部が、仕切片5に接触する可能性が高い。
【0007】
第2および第3の従来の技術の半導体ウェハ用容器は、仕切片の形状が、半導体ウェハが収容された状態で、半導体ウェハを水平に支持するように形成されている。したがってこれらの半導体ウェハ用容器の仕切板は、半導体ウェハを挿入するときに生じる、仕切片と半導体ウェハとの接触に関して考慮していない。
【0008】
したがって本発明の目的は、半導体ウェハを収容するとき、半導体ウェハが仕切板に接触して損傷することを防ぐことができる半導体ウェハ用容器を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の半導体ウェハを収容する収容空間が形成され、収容空間を予め定める挿排方向の一方へ開放する容器本体と、
挿排方向と交差する並び方向に間隔をあけて容器本体に設けられ、収容空間を各半導体ウェハが個別に配置される配置領域に仕切り、容器本体の開放端側の一部によって案内部が構成され、案内部は、挿排方向の一方へ向かうにつれて並び方向の寸法が小さくなるように先細状に形成される仕切板とを含むことを特徴とする半導体ウェハ用容器である。
【0010】
本発明に従えば、案内部は、仕切板の開放端側の一部によって構成され、挿排方向の一方へ向かうにつれて並び方向の寸法が小さくなるように先細状に形成される。これによって半導体ウェハを半導体ウェハ用容器に収容するとき、案内部に半導体ウェハの周縁部が接触しても、案内部が前記先細状に形成されるので、半導体ウェハの移動を妨げることなく、円滑に配置領域に案内することができる。したがって半導体ウェハを半導体ウェハ用容器に収容するとき、半導体ウェハの周縁部が仕切板に接触しても、半導体ウェハの削れおよび欠けなどの損傷を防ぐことができる。半導体ウェハ用容器に可及的に多くの半導体ウェハを収容するため、配置領域の寸法を可及的に小さくすると仕切板に半導体ウェハが接触する可能性が大きくなるが、案内部が前記先細状に形成されるので、接触することによって生じる損傷を防ぐことができ、より多くの半導体ウェハを収容することができる。
【0011】
また本発明は、案内部は、挿排方向の一方へ向かうにつれて一様な寸法減少率で並び方向の寸法が小さくなるように先細状に形成されることを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、案内部は、挿排方向の一方へ向かうにつれて一様な寸法減少率で並び方向の寸法が小さくなるように先細状に形成される。案内部が、たとえば挿排方向の一方へ向かうにつれて寸法減少率が一様でない場合、半導体ウェハの周縁部が案内部に接触すると、半導体ウェハが案内部に引っ掛かり、円滑に配置領域に案内されず、半導体ウェハが損傷することがある。したがって案内部を、前述のように一様な寸法減少率で先細状に形成するので、半導体ウェハを半導体ウェハ用容器に収容するとき、案内部に半導体ウェハの周縁部が接触しても、さらに円滑に配置領域に案内することができる。
【0013】
また本発明は、案内部の挿排方向の寸法は、仕切板全体の挿排方向の寸法の3分の1以下であり、残余の部分は、並び方向に垂直に形成されることを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、案内部の挿排方向の寸法は、仕切板全体の挿排方向の寸法の3分の1以下であり、残余の部分は、並び方向に垂直に形成される。半導体ウェハ用容器は、複数の半導体ウェハを収容している状態で、搬送される場合がある。この場合、収容される半導体ウェハが部分的に、半導体ウェハ用容器の外方に突出していると、搬送中に突出している部分が半導体ウェハ用容器以外の何かに接触して損傷するおそれがあるので、半導体ウェハは、収容空間に収まる寸法に形成される。案内部の挿排方向の寸法は、仕切板全体の挿排方向の寸法の3分の1以下であるので。収容されている半導体ウェハの重心が、挿排方向に関して中間部にある場合、半導体ウェハ用容器における半導体ウェハの重心は、挿排方向に関して仕切板の案内部を除く残余の部分にある。前記残余の部分は、並び方向に垂直に形成されるので、半導体ウェハ用容器に半導体ウェハが収容された状態で、半導体ウェハ用容器の並び方向が略鉛直になるように配置して、換言すると、半導体ウェハが略水平になるように配置すると、半導体ウェハは、前記残余の部分に支持される。これによって半導体ウェハの位置が案内部に起因してずれることなく、落下するのを防ぐことができる。したがって半導体ウェハ用容器は、並び方向をたとえば略鉛直に配置しても、半導体ウェハを安定して支持することができる。
【0015】
また本発明は、各仕切板は、挿排方向および並び方向と交差する方向に間隔をあけて対を成して設けられる仕切片を有し、各仕切片に、前記案内部がそれぞれ形成され、
対を成す仕切片の案内部によって各半導体ウェハの両側部が案内され、
各仕切片における案内部の先端部は、前記挿排方向および並び方向と交差する方向に相互に近づくにつれて、挿排方向の他方へ傾斜して形成されることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、半導体ウェハを挿排方向の他方に移動させて、半導体ウェハ用容器に収容するとき、対を成す仕切片の案内部によって半導体ウェハの両側部が案内される。各仕切片における案内部の先端部は、前記挿排方向および並び方向と交差する方向に相互に近づくにつれて、挿排方向の他方へ傾斜して形成される。先端部がこのように形成されるので、半導体ウェハが挿排方向の他方に移動されて、万一案内部の先端部に接触しても、先端部が半導体ウェハに与える負荷を軽減することができ、半導体ウェハが損傷するのを防ぐことができる。また前述のように案内部の先端部が形成されるので、半導体ウェハの両側部が先端部に接触すると、両側部はそれぞれ先端部から配置領域に案内されるような反力を受け、配置領域に案内される。半導体ウェハが挿排方向の他方に移動するに伴って、半導体ウェハの両側部は先端部から反力を受けるので、配置領域における前記挿排方向および並び方向と交差する方向の中央部に案内することができる。
【0017】
また本発明は、各仕切板は、ポリフェニレンスルフイド、ペルフロロアルコキシふっ素樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、塩化ビニル樹脂またはポリプロピレンから成ることを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、各仕切板は、ポリフェニレンスルフイド、ペルフロロアルコキシふっ素樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、塩化ビニル樹脂またはポリプロピレンから成るので、耐薬品性および耐熱性を有する半導体ウェハ用容器を容易に形成することができる。
【0019】
また本発明は、収容する半導体ウェハは、多結晶シリコン角型ウェハであることを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、収容する半導体ウェハは、多結晶シリコン角型ウェハである。多結晶シリコン角形ウェハは複数の結晶粒界を有すので、外力によって損傷しやすいが、収納するとき前記仕切板によって、損傷する可能性を小さくすることができる。
【0021】
また本発明は、前記半導体ウェハ用容器を用いて、半導体ウェハを搬送することを特徴とする半導体ウェハ搬送方法である。
【0022】
本発明に従えば、前記半導体ウェハ用容器を用いて、半導体ウェハを搬送するので、半導体ウェハを半導体ウェハ用容器に容易に収容して、搬送することができる。したがって複数の前記半導体ウェハ用容器を用いて、前記半導体ウェハ用容器に収容されている半導体ウェハを、別の前記半導体ウェハ用容器に搬送することを容易にすることができる。また前記半導体ウェハ用容器に収容されている半導体ウェハを、別の前記半導体ウェハ用容器に搬送するとき、半導体ウェハが仕切板に接触して引っ掛かり、搬送が中断されることを防ぐことができる。したがって半導体ウェハの搬送を高効率に行うことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である半導体ウェハ用容器(以下、単に「容器」ということがある)10を示す斜視図である。容器10は、複数の半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」ということがある)13が収容される。容器10は、収容されるウェハ13をたとえば熱処理、薬液塗布、エッチングおよび電気特性出力測定などを行うときにウェハ13を支持している。
【0024】
容器10に収容されるウェハ13は、本実施の形態では、多結晶シリコン角形ウェハである。多結晶シリコン角形ウェハは、たとえば太陽電池に用いられる半導体ウェハであって、多結晶シリコンから成り、長方形板状、本実施の形態では正方形板状である角形に形成される。ウェハ13は、たとえば長さ寸法および幅寸法が125mmに形成され、厚み寸法が0.3mmに形成される。
【0025】
容器10には、予め定める挿排方向Aが設定される。容器10に収容されるウェハ13は、挿排方向Aのうちの一方である排出方向A1に移動されて、容器10から排出される。また挿排方向Aのうちの他方である挿入方向A2に移動されて、容器10に収容される。
【0026】
容器10は、挿排方向Aに交差する並び方向Bが設定される。容器10は、複数のウェハ13を予め定める並び方向Bに複数並べて収容する。本実施の形態では、挿排方向Aと並び方向Bとは、略直交する。また容器10は、挿排方向Aおよび並び方向Bにともに交差する幅方向Cが設定される。本実施の形態では、幅方向Cは、挿排方向Aおよび並び方向Bと略直交する。
【0027】
容器10は、容器本体11および仕切板12を含んで構成される。容器本体11は、大略的に、四角枠形状に形成され、その枠内部に複数のウェハ13が収容される収容空間14が形成される。また容器本体11は、収容空間14を排出方向A1に開放するように形成される。
【0028】
容器本体11は、一対の壁部16a,16bと、一対の連結部17a,17bと、一対の係止片23とを含んで構成される。各壁部16a,16bおよび各連結部17a,17bは、板状にそれぞれ形成される。各壁部16a,16bは、幅方向Cに対して対向して設けられ、並び方向Bに延びる。2つのうち一方の連結部17aは、各壁部16a,16bの並び方向一端部40a,40bを連結する。2つのうち他方の連結部17bは、各壁部16a,16bの並び方向他端部41a,41bを連結する。これによって容器本体11は、挿排方向Aに垂直な断面形状が略直方体状の枠体に形成される。また収容空間14は、一対の壁部16a,16bおよび一対の連結部17a,17bに囲まれて形成される。
【0029】
一対の係止片23は、ウェハ13が収容空間14を挿入方向A2に通過することを防止する。一対の係止片23は、各壁部16a,16bの挿入方向A1側部分に設けられる。一方の壁部16aに設けられる係止片23は、他方の壁部16bに向かって突出する。また他方の壁部16bに設けられる係止片23は、一方の壁部16aに向かって突出する。このような一対の係止片23は、互いに対向する。収容空間14に収容されるウェハ13は、係止片23によって係止されて、さらに挿入方向A2に移動することが阻止される。したがって収容空間14は、ウェハ13が挿排可能に排出方向A1に開放され、挿入方向A2にウェハ13が通過できないように係止片23によって塞がれている。
【0030】
収容空間14の幅方向Cの寸法は、少なくともウェハ13の幅寸法よりも大きい寸法に形成され、収容空間14の挿排方向Aの寸法は、少なくともウェハ13の長さ寸法よりも大きい寸法に形成される。このように収容空間14は、ウェハ13よりも大きく形成されるので、収容空間14に収容されるウェハ13は、容器10の外方に突出することなく収容される。また収容空間14の並び方向Bの寸法は、収容するウェハの数に基づいて決定される。
【0031】
図2は、仕切板3を簡略化して示す正面図である。仕切板12は、収容空間14を各ウェハ13が個別に配置される配置領域15に仕切る。仕切板12は、並び方向Bに間隔をあけて、各壁部16a,16bに複数設けられる。本実施の形態では、各仕切板12は、並び方向Bに等間隔に間隔を開けて設けられる。各仕切板12は、幅方向Cに間隔をあけて対を成して設けられる仕切片19a,19bを有する。一方の壁部16aに設けられる仕切片19aは、他方の壁部16bに向かって突出する。また他方の壁部16bに設けられる仕切片19bは、一方の壁部16aに向かって突出する。一対の仕切片19a,19bは、挿排方向Aに全域にわたって延びるように設けられる。このような一対の仕切片19a,19bは、互いに対向する。各仕切片19は、挿排方向Aおよび幅方向Bを含む仮想平面に関して、対称に形成される。各仕切片19a,19bは、排出方向A1側端部に案内部18a,18bがそれぞれ形成される。言い換えると、容器本体の開放端側の一部に案内部18a,18bが形成される。
【0032】
各案内部は、一対の仕切片19ごとに設けられ、対をなして設けられる。対を成す案内部18a,18bは、各ウェハ13の両側部である幅方向両端部21を各配置領域15に案内する。各案内部18a,18bは、排出方向A2へ向かうにつれて並び方向Bの寸法が小さくなるような先細状に形成される。また各案内部18a,18bは、排出方向A2に向かうにつれて一様な寸法減少率で並び方向Bの寸法が小さくなるように形成される。寸法減少率とは、予め定める方向の寸法の減少率を示す。具体的には、寸法減少率とは、予め定める位置における寸法と、予め定める位置が連続的に予め定める方向に変位し、変位した位置における寸法との変化率であって、寸法の減少の割合を示す。したがって本実施の形態では、各案内部18a,18bは、幅方向一方から見て、各案内部18a,18bの並び方向両側部が直線状に形成される。
【0033】
案内部18と、案内部18を除く残余の部分44との境界43は、挿排方向Aに垂直な仮想平面上に配置される。換言すると、案内部18は、幅方向Bの両端面部41,42が挿排方向Aに関して同一の位置から、並び方向中間部に向かってテーパ状に形成される。案内部18を除く残余の部分44は、並び方向Bの寸法L3が一様に形成され、並び方向Bに垂直に形成される。案内部18の挿排方向Aの寸法L1は、仕切板12全体の挿排方向Aの寸法L2の3分の1以下となるように形成される。
【0034】
幅方向Cに対を成し、1つの仕切板12を構成する2つの仕切片19a,19bにおける各案内部18a,18bの先端部20a,20bは、幅方向Cに相互に近づくにつれて、排出方向A1へ傾斜して形成される。換言すると、一方の仕切片19aの先端部20aは、他方の仕切片19bに向かって傾斜して形成される。
【0035】
図3は、図2の切断面線S22−S22から見て示す断面図である。隣接する仕切片19の並び方向Bの間隔L4は、ウェハ13の厚み寸法L5に比べて大きく設定される。具体的には、各仕切片19の並び方向Bの間隔L4は、挿排操作のときに仕切板12間において、ウェハ13が狭持されて挿排できなくなる不具合が生じない程度に大きく設定される。各仕切片19の並び方向Bの間隔L4は、たとえばウェハ13の厚み寸法L5の10倍に設定される。仕切片19の先端部20を除く残余の部分44は、幅方向Cの寸法である突出高さが、少なくとも収容されるウェハ13の厚み方向両端部を支持できる寸法に形成される。
【0036】
各仕切板12は、ポリフェニレンスルフイド(Polyphenylen sulfide:略称PPS)、ペルフロロアルコキシふっ素樹脂(Perfluoroalcoxy fluororesins:略称PFA)、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene terephthalate:略称PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone:略称PEEK)、塩化ビニル樹脂(Poly vinyl chloride:略称PVC)またはポリプロピレン(Polypropylene:略称PP)から成る。したがって各仕切板12は、たとえば耐熱性および耐薬品性を有し、仕切板12を容易に形成することができる。
【0037】
容器10に複数のウェハ13を収容する場合、収容する前の工程において、図3に示すように、各ウェハ13は、収容空間14を挿入方向A2に臨む位置に配置される。具体的には各ウェハ13は、長さ方向Dを挿排方向Aと略平行にし、ウェハ13の厚み方向Eを並び方向Bと略平行にして配置される。各ウェハ13は、挿排方向Aに関して、各ウェハ13の厚み方向中間部が、それぞれ隣接する仕切片19の並び方向中間部と同一の位置となるように配置される。また各ウェハ13は、挿排方向Aに関して、各ウェハ13の幅方向中間部が、容器10の幅方向中間部と同一の位置となるように配置される。
【0038】
前述のように複数のウェハ13を配置した後、各ウェハ13を収容する工程において、各ウェハ13を挿入方向A1に変位させる。ウェハ13の幅方向両端部21が、係止片23に当接するまで変位させる。これによってウェハ13は、係止片23および仕切板12によって支持される。したがって複数のウェハ13は、挿入された配置領域15に個別に配置される。
【0039】
図4は、仕切板12を図3と同一の方向に見て示す断面図である。図4に示すように、収容する前の工程において、ウェハ13の配置位置が並び方向Bに関してずれている場合がある。この場合、ウェハ13を挿入方向A1に変位させると、ウェハ13の幅方向両端部21が、仕切片19の案内部18に接触する。案内部18は、前述のように先細状に形成されるので、案内部18にウェハ13の幅方向両端部21が案内部18に接触しながら、案内部18の挿入方向A1の断面形状に沿うような移動経路23で配置領域15に案内される。したがってウェハ13の移動を妨げることなく、円滑に配置領域15に案内することができる。これによってウェハ13の幅方向両端部21が仕切板12に接触しても、ウェハ13の削れおよび欠けなどの損傷を防ぐことができる。
【0040】
本実施の形態において、容器に収容されるウェハ13は、多結晶シリコンから成る。多結晶シリコンから成る半導体ウェハは、結晶粒界が複数存在するので、単結晶シリコンから成る半導体ウェハより強度が小さく、外力によって損傷しやすい。またウェハ13の形状は、角形に形成されるので、丸形の半導体ウェハに比べて、周縁部が何かに接触すると、反力が作用しやすい形状であるので、接触によって損傷しやすい。したがって本実施の形態におけるウェハ13は、外力が作用すると損傷する可能性が高い。
【0041】
しかしながら、前述したような容器10に収容することによって、ウェハを円滑に配置領域に案内することによって、多結晶シリコン角形ウェハのような外力が作用すると損傷しやすいウェハでも、損傷を防ぐことができる。また容器10に可及的に多くのウェハ13を収容するため、配置領域15の寸法を可及的に小さくすると、仕切板12にウェハ13が接触する可能性が大きくなるが、案内部18が前記先細状に形成されるので、接触することによって生じる損傷を防ぐことができ、より多くのウェハ13を収容することができる。これによって製造コストが低い多結晶シリコンを用いた場合であっても、製造されるウェハ13の歩留まりを向上することができ、太陽電池に用いられる半導体ウェハの製造コストを低減することができる。
【0042】
前述のように案内部18の先端部20が形成されるので、ウェハ13の幅方向両端部21が万一先端部20に接触しても、ウェハ13の幅方向両端部21はそれぞれ先端部20から容器10の幅方向中間部に向かうような反力を受ける。したがってウェハ13が万一先端部20に接触しても、先端部20がウェハ13に与える負荷を軽減することができる。またウェハ13が、容器10の幅方向Cに対して、不所望に変位することなく、配置領域15における幅方向中央部に案内される。
【0043】
また案内部18と仕切片19の案内部18を除く残余の部分44との境界43は、挿排方向Aに垂直な仮想平面上に配置されるように形成される。対を成す仕切片19の案内部18における先端部20が、互いに近づくにつれて、案内部18はウェハ13が接触した場合に挿入方向上流寄りの部分では、容器10の幅方向の中央部に向かって、いわばセンタリングするように案内し、挿入方向下流寄り、換言すると、前記残余の部分44寄りになるにつれて前記センタリング効果を減少させて配置領域15へ案内することができる。これによってウェハ13は、ウェハ13の容器10における壁部16への接触を確実に避けて、容器10の幅方向中央寄りに配置されるように案内されることはもちろん、加えて案内部18だけでセンタリング効果を発揮する場合に比べて、案内部18から受ける負荷を軽減して、より円滑に案内することができる。収容されるウェハ13を処理する容器10に対して、このようにウェハ13を容器10に対して間隔をあけて配置されるのが好ましい。これによってウェハ13を薬液などのよって処理する場合に、処理の効果を高めることができる。
【0044】
また案内部18は、前述のように一様な寸法減少率で並び方向Bの寸法が小さくなるように先細状に形成される。案内部18が、前記寸法減少率が一様でない場合、換言すると、案内部が直線状ではなく曲率を有して形成される場合、ウェハ13の幅方向両端部21が案内部18に接触すると、ウェハ13が案内部18に引っ掛かり、円滑に配置領域15に案内されず、ウェハ13が損傷することがある。したがって案内部18を、前述のように一様な寸法減少率で先細状に形成するので、ウェハ13を容器10に収容するとき、案内部18にウェハ13の幅方向両端部21が接触しても、確実に配置領域15に案内することができる。
【0045】
複数のウェハ13が収容している容器10を、たとえば並び方向Bを鉛直方向と略平行にして配置することがある。前述のように案内部18の挿排方向Aの寸法は、仕切板12全体の挿排方向Aの寸法の3分の1以下である。ウェハ14の重心は、本実施の形態では、挿排方向Aに関して中間部にあるので、収容されているウェハ13の重心は、挿排方向Aに関して仕切板12の案内部18を除く残余の部分44にある。これによって容器10にウェハ13が収容された状態で、容器10の並び方向Bが略鉛直になるように配置して、換言すると、ウェハ13の幅方向Cが略水平になるように配置しても、ウェハ13の位置が案内部18に起因してずれることなく、容器10から落下するのを防ぐことができる。したがって容器10は、並び方向Bをたとえば略鉛直に配置しても、ウェハ13を安定して支持することができる。
【0046】
容器10に複数のウェハ13を収容する方法として、容器10を複数、たとえば二つ用いる方法がある。一方の容器10に収容されているウェハ13を、他方の容器10に収容する方法である。まず一方の容器10に予め複数のウェハ13を収容しておき、この一方の容器10を予め定める位置に搬送する。一方の容器10は、開放端側を他方の容器10の開放端側に臨み、互いの挿排方向Aの軸線が同軸の状態であって、互いの並び方向Bが略平行となるように配置する。したがって一方の容器10に収容されている複数のウェハ13まとめて挿排方向Aの一方に変位させることによって、他方の容器10に収容する。他方の容器10は、前述のように仕切板12が形成されるので、ウェハ13が仕切板12に接触して損傷することを防ぐことができる。また一方の容器10に収容されている複数のウェハ13を、他方の容器10に搬送するとき、ウェハ13が仕切板12に接触して引っ掛かり、搬送が中断されることを防ぐことができる。したがってウェハ13の搬送を高効率に行うことができる。
【0047】
前述の実施の形態の容器10において、各仕切片19は、挿排方向Aに全域にわたって延びるように設けられたけれども、これに限ることはない。各仕切片は、挿排方向の部分的に設けられてもよく、たとえば挿排方向の中間部から一方に向かって設けられてもよい。これによって隣接する配置領域に収容されるウェハ同士が接触することを防ぐことができる。また本実施例では、容器10は、多結晶シリコン角型ウェハを収容するとしたが、他の形態のウェハを収容してもよい。たとえば単結晶シリコンから成るウェハであってもよい。また容器10は、丸形に形成されるウェハであっても収容可能である。また収容されるウェハは、長さ方向の中間部から挿排方向の他方側が、仕切片と接触しないようにすることができる。したがってこの容器を用いて、収容されるウェハにウェットエッチングなどの薬液処理を効果的に行うことができる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、半導体ウェハを半導体ウェハ用容器に収容するとき、案内部に半導体ウェハの周縁部が接触しても、案内部が前記先細状に形成されるので、半導体ウェハの移動を妨げることなく、円滑に配置領域に案内することができる。したがって半導体ウェハを半導体ウェハ用容器に収容するとき、半導体ウェハの周縁部が仕切板に接触しても、半導体ウェハの削れおよび欠けなどの損傷を防ぐことができる。これによって半導体ウェハの歩留まりをよくすることができるので、半導体ウェハの製造コストを低くすることができる。また本発明の半導体ウェハ用容器は、より多くの半導体ウェハを収容することができる。また案内部は、仕切板の開放端側の一部によって構成されるので、仕切板の案内部を除く残余の部分によって、隣接する配置領域に収容される半導体ウェハ同士が接触することを防ぐことができる。
【0049】
また本発明によれば、半導体ウェハを半導体ウェハ用容器に収容するとき、案内部に半導体ウェハの周縁部が接触しても、さらに円滑に配置領域に案内することができる。
【0050】
また本発明によれば、半導体ウェハ用容器に半導体ウェハが収容された状態で、半導体ウェハ用容器の並び方向が略鉛直になるように配置して、換言すると、半導体ウェハが略水平になるように配置しても、半導体ウェハの位置が案内部に起因してずれることなく、落下するのを防ぐことができる。したがって半導体ウェハ用容器は、並び方向をたとえば略鉛直に配置しても、半導体ウェハを安定して支持することができる。
【0051】
また本発明によれば、半導体ウェハが挿排方向の他方に移動されて、案内部の先端部に接触しても、先端部が半導体ウェハに与える負荷をさらに軽減することができ、半導体ウェハが損傷するのを確実に防ぐことができる。また前述のように案内部の先端部が形成されるので、半導体ウェハの両側部が先端部に接触すると、両側部はそれぞれ先端部から配置領域に案内されるような反力を受け、配置領域に案内される。半導体ウェハが挿排方向の他方に移動するに伴って、半導体ウェハの両側部は先端部から反力を受けるので、配置領域における前記挿排方向および並び方向と交差する方向の中央部に案内することができる。
【0052】
また本発明によれば、耐薬品性および耐熱性を有する半導体ウェハ用容器を容易に形成することができる。
【0053】
また本発明によれば、多結晶シリコン角形ウェハは複数の結晶粒界を有すので、外力によって損傷しやすいが、収納するとき前記仕切板によって、多結晶シリコン角形ウェハであっても損傷する可能性を小さくすることができる。
【0054】
また本発明によれば、前記半導体ウェハ用容器を用いて、半導体ウェハを搬送するので、半導体ウェハを半導体ウェハ用容器に容易に収容して、搬送することができる。また前記半導体ウェハ用容器に収容されている半導体ウェハを、別の前記半導体ウェハ用容器に搬送するとき、半導体ウェハが仕切板に接触して損傷することを防ぐことができる。また前記半導体ウェハ用容器に収容されている半導体ウェハを、別の前記半導体ウェハ用容器に搬送するとき、半導体ウェハが仕切板に接触して引っ掛かり、搬送が中断されることを防ぐことができる。したがって半導体ウェハの搬送を高効率に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である半導体ウェハ用容器10を示す斜視図である。
【図2】容器10を並び方向一方に見て示す概略図である。
【図3】容器10を幅方向一方に見て示す概略図である。
【図4】容器10を幅方向一方に見て示す概略図である。
【図5】第1の従来の技術の半導体ウェハ用容器1を示す斜視図である。
【図6】半導体ウェハ用容器1を長手方向一方に見て示す概略図である。
【図7】半導体ウェハ用容器1を短手方向一方に見て示す概略図である。
【図8】第1の従来の技術の半導体ウェハ用容器1を図7と同一の方向に見て示す断面図である。
【符号の説明】
10 半導体ウェハ用容器
11 容器本体
12 仕切板
13 半導体ウェハ
14 収容空間
15 配置領域
18 案内部
19 仕切片
20 先端部

Claims (7)

  1. 複数の半導体ウェハを収容する収容空間が形成され、収容空間を予め定める挿排方向の一方へ開放する容器本体と、
    挿排方向と交差する並び方向に間隔をあけて容器本体に設けられ、収容空間を各半導体ウェハが個別に配置される配置領域に仕切り、容器本体の開放端側の一部によって案内部が構成され、案内部は、挿排方向の一方へ向かうにつれて並び方向の寸法が小さくなるように先細状に形成される仕切板とを含むことを特徴とする半導体ウェハ用容器。
  2. 案内部は、挿排方向の一方へ向かうにつれて一様な寸法減少率で並び方向の寸法が小さくなるように先細状に形成されることを特徴とする請求項1記載の半導体ウェハ用容器。
  3. 案内部の挿排方向の寸法は、仕切板全体の挿排方向の寸法の3分の1以下であり、残余の部分は、並び方向に垂直に形成されることを特徴とする請求項1または2記載の半導体ウェハ用容器。
  4. 各仕切板は、挿排方向および並び方向と交差する方向に間隔をあけて対を成して設けられる仕切片を有し、各仕切片に、前記案内部がそれぞれ形成され、
    対を成す仕切片の案内部によって各半導体ウェハの両側部が案内され、
    各仕切片における案内部の先端部は、前記挿排方向および並び方向と交差する方向に相互に近づくにつれて、挿排方向の他方へ傾斜して形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体ウェハ用容器。
  5. 各仕切板は、ポリフェニレンスルフイド、ペルフロロアルコキシふっ素樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、塩化ビニル樹脂またはポリプロピレンから成ることを特徴とする請求項1〜4のいいずれかに記載の半導体ウェハ用容器。
  6. 収容する半導体ウェハは、多結晶シリコン角型ウェハであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体ウェハ用容器。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の半導体ウェハ用容器を用いて、半導体ウェハを搬送することを特徴とする半導体ウェハ搬送方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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