JP2004311463A - 半導体装置用テープキャリアおよびその製造方法 - Google Patents

半導体装置用テープキャリアおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ソルダーレジストの密着性を向上させると共に、粗化後の銅箔の形状が変化せず、所望の粗化量や粗化形状に応ずることができる半導体装置用テープキャリア及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】絶縁フィルムから成るテープ基材4の片面又は両面に銅箔の回路パターン21、22を形成し、その回路パターンの接続端子部を除く領域の上にソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設けた半導体装置用テープキャリアの製造方法において、ソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設ける直前に、回路パターン21、22の銅箔表面及び側面を粗化する粗化処理を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はTAB(Tape Automated Bonding)テープ又はCSP(Chip Size Package )、BGA(Ball Grid Array)、COF(Chip On Film)用テープ等、絶縁性基板の片面又は両面に銅箔の回路パターンを形成し、その上にソルダーレジスト(又は感光性ソルダーレジスト(PSR))を設けた半導体装置用テープキャリアおよびその製造方法に関するもので、特に銅箔の粗化処理を行うことによって、ソルダーレジストの密着性を向上し、これによりめっき液のしみ込み防止・半田のもぐり込み防止・信頼性の向上を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
TABテープにおいてはポリイミドテープを絶縁層としてその片面に回路パターンを形成する1メタルTABテープが一般的であるが、パソコンなどに搭載されるチップは高周波化が進んでおり、これに伴い伝送速度の早い回路の必要性が高まってきていることから、これに対応したTABテープとしてポリイミドテープを絶縁層としてその上下に回路パターンを形成する2メタルTABテープが実用化されている。
【0003】
このTABテープ5は通常次のように形成される。ここでは、絶縁フィルムから成るテープ基材の両面に銅箔の回路パターン(配線パターン)を形成し、両回路パターンがビアホールによって連結された3層構造の2メタルTABテープであって、その回路パターン上のインナーリード、アウターリードを除く領域に感光性ソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成した半導体装置用テープキャリアの製造方法について説明する。
【0004】
このTABテープの製造方法は、まず図6(a)に示すように、ポリイミド樹脂製等の絶縁フィルムから成るテープ基材4の両面に、接着剤を介して又は接着剤を介することなく銅箔2a、2bを張った両面銅張積層板8を基材テープとして用意する(図6(a))。
【0005】
この基材テープたる両面銅張積層板8に、スプロケットホールをパンチで穴開けした後、レーザー加工によりテープ基材4に銅箔2aに達するビアホール6を形成し(図6(b))、デスミア工程においてレーザー加工時において生じた銅箔の表面のカスを除去する。その後、ビアホール6に銅めっき7を行い(図6(b))、ビアホール6による回路を形成する。
【0006】
両面銅張積層板8には、エスパネックス(新日鉄化学製)やマイクロラックス(デュポン製)を用いる。積層されている銅箔はSQ−VLP(三井金属製)やF2−WS(古河サーキットフォイル製)などを用いる。
【0007】
次に、シグナル面の銅箔2aに複数の回路からなるシグナル回路パターン21を形成し、またグランド面の銅箔2bに複数の回路からなるグランド回路パターン22を形成する(図6(c))。回路パターン形成は、ドライフィルムの貼り付け、露光、現像、エッチングおよび剥膜の各工程を経て行う。
【0008】
さらに回路パターン21、22の形成後は、図6(d)に示すようにシグナル面の銅箔2a(シグナル回路パターン21)上にのみ、又はシグナル面の銅箔2a及びグランド面の銅箔2b(シグナル回路パターン21及びグランド回路パターン22)の両面に、感光性ソルダーレジスト3を形成する。この感光性ソルダーレジスト3は、例えばPSR4000(太陽インキ製)やSR9000(日立化成製)を用い、印刷、乾燥、露光、現像およびベーク工程を経て形成される。
【0009】
上記感光性ソルダーレジスト3の形成後は、図6(e)に示すように金めっき9を形成し、半導体装置用テープキャリアが形成される。TABテープの基本構造はこのようなものになる。
【0010】
ところで、銅箔に回路形成後、上記のようなソルダーレジストやポリイミドフィルムでカバーレイを施すと、リフロー時に半田ペーストがカバーレイ等の下部に毛細現象でしみ込み、隣の回路とショートすることがある。この問題を解決するため、従来、銅箔を粗化処理することが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、出発材料としての圧延又は電解銅箔を電解液中で交流、直流又は前記電流の組み合せにより、電解エッチングした銅箔を、絶縁性ベースフィルムに接着剤を塗布して貼り合わせ、その後前記電解エッチングにより粗化された銅箔に化学エッチングにより回路を形成し、形成された回路の部品や接続端子部を除き、フィルムカバーレイ又はソルダーレジストカバーレイを設けるフレキシブル印刷配線板の製造方法である。ここで電解めっき銅箔を用いる場合、電解めっき面は荒れているので、その粗面(1.0〜5μm粗化面)を接着剤により絶縁性ベースフィルムに貼り合わせるベース側とし、光沢ある片面のみ電解エッチングを行い、0.5〜3μmの深さに粗化する。圧延銅箔を用いる場合は、電解エッチングにより両面を0.5〜5μmに粗化する。
【0011】
【特許文献1】
特開平1−101697号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、半導体装置用テープキャリアの製造においては、図6で説明したように、スプロケットホールをパンチで穴開けした後、レーザー加工によりテープ基材4に銅箔2aに達するビアホール6を形成し、デスミア工程においてレーザー加工時において生じた銅箔の表面のカスを除去するといったことが行われる。この点に関し、特許文献1(特開平1−101697号公報)の銅箔粗化は、出発材料としての銅箔単体で行われており、粗化後、化学研磨を始めとしてデスミア工程など数種の製造工程を経る為に銅箔の粗化形状が変化してしまうという課題がある。
【0013】
また特許文献1では、出発材料として粗化を行う為に、粗化形態が一義的に決定されてしまい、各品種や納品先毎に要求される特性などの用途に応じてエッチング量や粗化形状を自在に調整することができない。
【0014】
さらにまた、感光性ソルダーレジストの密着性は、銅箔との密着性ばかりでなく基材フィルムであるポリイミドテープとの密着性も重要となる場合もある。特許文献1では、回路パターンの形成前に銅箔を粗化する為、回路パターンの銅箔の表面を粗化することはできるが、回路パターンの銅箔の側面までは粗化することが出来ない。従って、回路パターンの銅箔の表面及び側面の双方を粗化して、感光性ソルダーレジストとポリイミド基材との密着性に起因する不具合をなくすことが望まれる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、半導体装置用テープキャリアにおけるソルダーレジストの密着性の向上を図り、めっき液のしみ込みを生じさせず、信頼性も向上し、鉛フリー化においても実装時において半田もぐりを生じさせないTABテープやCOFテープを供給することにある。また、本発明の他の目的は、ソルダーレジストの密着性を向上させると共に、粗化後の銅箔の形状が変化せず、所望の粗化量や粗化形状に応ずることができる半導体装置用テープキャリア及びその製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
【0017】
請求項1の発明に係る半導体装置用テープキャリアは、絶縁フィルムから成るテープ基材の片面又は両面に銅箔の回路パターンを形成し、その回路パターンの接続端子部を除く領域の上に、ソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設けた半導体装置用テープキャリアにおいて、ソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設ける前に行う粗化処理により、回路パターンの銅箔表面及び側面を粗化したことを特徴とする。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1記載の半導体装置用テープキャリアにおいて、上記テープ基材の一方の片面に信号線の回路パターンを形成し、他方の片面にグランドとなる回路パターンを形成し、このグランド側の回路パターンをビアホールを通して上記信号線側の回路パターンの一部と電気的に接続したことを特徴とする。
【0019】
請求項3の発明に係る半導体装置用テープキャリアの製造方法は、絶縁フィルムから成るテープ基材の片面又は両面に銅箔の回路パターンを形成し、その回路パターンの接続端子部を除く領域の上にソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設けた半導体装置用テープキャリアの製造方法において、ソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設ける直前に、回路パターンの銅箔表面及び側面を粗化する粗化処理を行うことを特徴とする。
【0020】
請求項4の発明に係る半導体装置用テープキャリアの製造方法は、絶縁フィルムから成るテープ基材の一方の片面にシグナル用銅箔を形成すると共に他方の片面にグランド用銅箔を形成し、該グランド用銅箔側からレーザー加工によりシグナル用銅箔に至るビアホールを形成した後、デスミア工程においてレーザー加工時において生じた銅箔の表面のカスを除去し、その後当該ビアホールにめっきを施して導通化し、次いで、上記シグナル用銅箔に信号線の回路パターンを形成すると共に、上記グランド用銅箔にグランドとなる回路パターンを形成し、その後、上記回路パターンの銅箔表面及び側面を粗化する粗化処理を行い、次いで、上記信号線の回路パターンの接続端子部を除く領域の上にソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設けることを特徴とする。
【0021】
請求項5の発明は、請求項3又は4記載の半導体装置用テープキャリアの製造方法において、上記銅箔表面及び側面を粗化する粗化処理は、エッチング量が平均で1μm以下であるエッチング処理により行うことを特徴とする。
【0022】
請求項6の発明は、請求項5記載の半導体装置用テープキャリアの製造方法において、上記銅箔表面及び側面を粗化する粗化処理は、エッチング量が平均で0.4〜0.6μmの範囲であるエッチング処理により行うことを特徴とする。
【0023】
請求項7の発明は、請求項3〜6のいずれかに記載の半導体装置用テープキャリアの製造方法において、上記銅箔表面及び側面の粗化処理を行い、ソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設けた後、銅箔表面の平滑処理を行い、平滑化された銅箔表面にめっきを形成することを特徴とする。
【0024】
請求項8の発明は、請求項4〜8のいずれかに記載の半導体装置用テープキャリアの製造方法において、上記銅箔に信号線の回路パターン及びグランドの回路パターンを形成するに先立ち、回路パターンの銅箔表面を粗化する粗化処理を行い、その後、銅箔上にドライフィルムを設け、このドライフィルムを露光・現像して回路パターンを形成することを特徴とする。
【0025】
すなわち、絶縁フィルムから成るテープ基材の片面又は両面に銅箔を設け、この銅箔上にドライフィルムを形成し、このドライフィルムを露光・現像して回路パターンを形成し、その回路パターン上の部品や接続端子部(リードやパッドのような電気接続部等)を除く領域にソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設けた半導体装置用テープキャリアの製造方法において、上記ドライフィルムを形成する前に、回路パターンの銅箔表面を粗化する粗化処理を行うことを特徴とする半導体装置用テープキャリアの製造方法である。
【0026】
<発明の要点>
半導体材料は鉛フリー化が進められており、半田を用いた実装においても鉛を用いない半田の採用が検討されている。この鉛フリー化により実装温度は20〜30℃上昇し、またリフロー時に使用するフラックスもより濡れ性の良いものが使用されるようになる。このことによりリフロー時において銅箔と感光性ソルダーレジストとの界面に半田がもぐり込みやすくなる。
【0027】
また半導体製品の小型化に伴いCOFテープのようなフィルムキャリアはフレキシブル性の要求が強くなってきている。一般に感光性ソルダーレジストは、低反り・フレキシブル性と耐PCT特性などの信頼性や耐熱性とは相反する関係にあり両特性を両立する材料開発は困難である。フレキシブル性の良い感光性ソルダーレジストを使用しても、信頼性を維持する必要がある。
【0028】
同時にフレキシブル性の良い感光性ソルダーレジストでは耐めっき液性に劣る場合が多く、めっき液耐性の向上も必要である。めっき工程においてめっき液が感光性ソルダーレジストと銅界面の間にしみ込むことにより外観不良になるばかりでなく、めっき液のしみ込みによって感光性ソルダーレジストと銅界面が剥離した部位を起点として、リフロー工程において半田または半田ボールが潜り込むこととなり、接合不良や絶縁不良を引き起こすこととなる。
【0029】
本発明は、ソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成する直前又はカバーフィルムを設ける直前に、回路パターンの銅箔表面及び側面を粗化する粗化処理を行うものであり、これにより銅箔とソルダーレジスト(感光性ソルダーレジスト又は非感光性ソルダーレジスト)やカバーフィルムとの密着性が向上することから、めっき液のしみ込みや実装時の半田もぐりを生じさせず、信頼性の向上が達成可能となる。
【0030】
特許文献1(特開平1−101697号公報)の銅箔粗化は、出発材料としての銅箔単体で行われており、本発明のように感光性ソルダーレジスト形成直前に行われず、粗化後、化学研磨を始めとした数種の製造工程を経る為に銅箔粗化形状が変化してしまう。また出発材料として粗化を行う為に粗化形態が一義的に決定されてしまう。これに対し、本発明の場合は、各品種や納品先毎に要求される特性などの用途に応じてエッチング量や粗化形状を自在に調整することが可能である。
【0031】
また、感光性ソルダーレジストの密着性は、銅箔との密着性ばかりでなくポリイミド樹脂フィルムからなるテープ基材との密着性も重要となる場合もある。特にHAST試験などの信頼性試験において感光性ソルダーレジスト(PSR)が剥離する場合があり、この場合は銅回路パターンの表面ばかりでなく側面まで粗化されていることが、感光性ソルダーレジストとポリイミド樹脂製テープ基材との密着性を向上することとなる。特許文献1(特開平1−101697号公報)では、回路パターンの形成前に銅表面を粗化する為、回路パターン側面まで粗化することは出来ない。これに対し、本発明では、回路パターン形成後に銅箔を粗化している為、感光性ソルダーレジストとポリイミドテープの界面の密着性に起因する不具合にも対応可能である。
【0032】
本発明は、回路パターン上にソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成する形態だけでなく、ソルダーレジストによる絶縁膜の代わりにカバーフィルムを設ける形態においても適用することができる。
【0033】
また、回路パターン形成用のドライフィルムの密着性の向上という観点からは、ドライフィルムラミネート前に銅箔表面を粗化することも有効であり、これにより、銅箔とドライフィルムの密着性が向上し、エッチング時における断線などの不良を低減し、回路パターンのエッチングファクタ(Ef)(特許文献1参照)を向上することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
【0035】
[実施形態1]
図1に、本半導体装置用テープキャリアの第一の実施形態として、液晶表示装置のCOF用2メタルTABテープの製造方法を示す。ここには、本発明の特徴である感光性ソルダーレジスト印刷前に銅箔粗化処理を行う工程が含まれている。
【0036】
このTABテープの製造方法は、まず図1(a)に示すように、ポリイミド樹脂製等の絶縁フィルムから成るテープ基材4の両面に、接着剤を介して又は接着剤を介することなくシグナル用銅箔2a、グランド用銅箔2bを張った両面銅張積層板8を基材テープとして用意する(図1(a))。
【0037】
この基材テープたる両面銅張積層板8に、スプロケットホールをパンチで穴開けする。次に、グランド用銅箔2b側からビアレーザー加工によりテープ基材4にシグナル用銅箔2aに達するビアホール6を形成し(図1(b))、続いて行われるデスミア工程(デスミア処理)においてレーザー加工時において生じた銅箔の表面のカスを除去する。ここで、ビアホール6は、ブラインドビア構造である。続いて、ビアホール6に銅めっき7を行い(図1(b))、ビアホール6の導通化により、シグナル用銅箔2aの一部とグランド用銅箔2bを導通させる。
【0038】
次に、回路パターンを形成するため、ドライフィルムのラミネートを行うが、その前に、ここで銅箔粗化処理を行ってもよい。ドライフィルムラミネート前に銅箔粗化処理を行うことによって、ドライフィルムの密着性が向上し、回路パターンの断線やピンホール発生などの不良を低減することが出来る。
【0039】
ドライフィルムを両面にラミネートした後は、露光によりドライフィルムを感光し、現像により光の照射されていない部位のドライフィルムを除去し、エッチング工程にてドライフィルムの除去された部位の銅箔を除去し、剥膜工程で残ったドライフィルムを除去し、両面の回路パターンを形成する(図1(c))。すなわち、上記シグナル用銅箔2aに信号線の回路パターン(シグナル回路パターン21)を形成すると共に、上記グランド用銅箔2bにグランドとなる回路パターン(グランド回路パターン22)を形成する(図1(c))。23は信号線としてのリード、24はリード23と電気的に接続されているパッドを示す。
【0040】
次に、本発明に従い、図1(d)に示すように、感光性ソルダーレジストを印刷する直前に銅箔2a、2bの粗化処理を行い、回路パターンの銅箔表面及び側面を粗化面1とする(図1(d))。粗化処理液はCZ8101(メック製)又はCPE900(菱江化学製)などを用いる。本実施例では、グランド回路パターン22およびシグナル回路パターン21の双方を粗化処理する態様を例示しているが、少なくともシグナル回路パターン21、つまり信号線としてのリード23およびパッド24が粗化処理されていればよい。
【0041】
この粗化処理により、リード23におけるインナーリードやアウターリード等の接続端子やパッド24等の接続端子の表面及び側面が粗化される。また同時に、ビアホール6の銅めっき7の面及びビアホール内に露出しているパッド面24aも粗化される。
【0042】
銅箔粗化後は、回路パターン21の接続端子部(インナーリードやアウターリード等の接続端子やパッド24のような接続端子)を除く領域に、感光性ソルダーレジスト3を塗布して絶縁膜を形成する(図1(e))。すなわち、感光性ソルダーレジスト3の印刷、乾燥、露光、現像およびベークを行い、所望パターンの感光性ソルダーレジスト3の絶縁膜を形成する。なお、必要に応じて後露光を行う場合もある。
【0043】
感光性ソルダーレジスト3による保護膜を形成した後は、露出しているインナーリード等の接続端子の銅箔表面に、めっき工程で金めっき9を形成する(図1(f))。
【0044】
銅箔表面が粗化されたまま金めっき9を形成すると、めっき表面が凹凸を持ち、一定温度の加熱ツールで一定時間加圧してAu−Sn共晶接合(加熱接合)する際のワイヤボンディングツールの磨耗が懸念される場合がある。この場合には、上記金めっき9のめっき工程前に、銅箔表面の平滑化処理を行う必要がある。この銅箔表面の平滑化処理を行う場合には、ソフトエッチング液によって回路パターン21,22の銅箔表面を均一化すれば良い。例えばCPE750(菱江化学製)などの液をめっき工程の前処理槽へ適用すればよい。
【0045】
本実施形態においても、上記銅箔表面及び側面の粗化処理を行い、感光性ソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成した後、銅箔表面を再び平滑にする平滑処理を行い、平滑化された銅箔表面に金めっきを形成する。
【0046】
上記のように、本発明では、銅箔の粗化後に、直ぐに感光性ソルダーレジスト3による保護膜を形成するため、従来のように粗化後にデスミア処理等が行われ、それにより粗化面が変形してしまうことがない。また銅箔の表面のみならず側面も粗化されるため、感光性ソルダーレジスト3がより強固に銅箔2a及びテープ基材4に接着する。
【0047】
図2は、上記のようにして得られた2メタルTABテープを利用して組立てたCOF構造の半導体装置の構造を示す。即ち、2メタルTABテープに半導体素子36を搭載して、その電極を上記銅箔2aの回路パターン21のインナーリード23aと接続する。COF用2メタルTABテープにはデバイスホールは存在せず、半導体素子36のバンプはインナーリード23aとテープ基材4上で接続(Au−Sn共晶接合)される。また、銅箔2aのシグナル回路パターン21とビアホール6を通して導通している他面側の銅箔2bのグランド回路パターン22においては、ボールパッド上に半田ボール38を設け、上記上下の銅箔2a、2bの回路パターンの一方2bをグランド層とした構成を有する。
【0048】
次に銅箔の粗化処理工程の詳細を述べる。
【0049】
本発明にかかる銅箔粗化工程を図3に示す。巻き出し機10から巻き出されたTABテープ5は前処理槽11を通る。前処理槽11は通常酸液でディップ方式であり、塩酸や硫酸または市販の脱脂液などを用いる。ここでTABテープの銅箔表面の酸化膜や防錆処理膜を除去し、純銅を露出させる。
【0050】
前処理槽11の後に1〜2段の水洗工程(水洗部14)を経て、粗化処理槽12に至る。粗化処理槽12は、例えばCZ8101(メック製)を用いる場合は、液温25℃のスプレー方式である。スプレー圧は0.2MPaでノズル18は扇型ノズル(例えばいけうち製9030ノズル)を用いる。エッチング時間は約20〜30秒程度であるが、これはエッチング量によって決定される。即ち、粗化処理前後での重量差から平均エッチング量を算出し、銅箔粗化量が0.5μmとなる条件でノズル配置やライン速度を決定する。
【0051】
粗化処理後は1〜2段の水洗工程(水洗部14)を経て酸洗槽13となる。酸洗槽13では、塩酸により銅箔粗化処理面に生じた酸化膜を除去する。
【0052】
酸洗後は1〜2段の水洗工程(水洗部14)を経た後、銅箔表面に酸化防止膜や防錆処理膜(防錆処理槽15にて)を形成し、水洗工程(水洗部14)を経て乾燥部16にて乾燥し、最後に巻き取り装置17でTABテープ5を巻き取る。
【0053】
別の粗化処理液を用いる場合、例えばCPE900(菱江化学製)の場合も、基本ライン工程は同様であるが、粗化処理槽12でのスプレー圧力やノズル18の個数などが異なる。またCPE900を用いる場合の酸洗槽13には通常硫酸を用いる。
【0054】
[実施形態2]
他の実施形態として、BGA(Ball Grid Array)用2メタルTABテープを用いて、本発明による感光性ソルダーレジスト印刷前に銅箔粗化処理を行う工程につき、図5を用いて説明する。
【0055】
まず図5(a)に示すように、ポリイミド樹脂製等の絶縁フィルムから成るテープ基材4の両面に、接着剤を介して又は接着剤を介することなくシグナル用銅箔2a、グランド用銅箔2bを張った両面銅張積層板8を基材テープとして用意する(図5(a))。この両面銅張積層板8に搬送用のスプロケットホールをパンチで形成する。
【0056】
次に、グランド用銅箔2b側からビアレーザー加工によりテープ基材4にシグナル用銅箔2aに達するビアホール6を形成し、続いて行われるデスミア工程(デスミア処理)においてレーザー加工時において生じた銅箔の表面のカスを除去する(図5(b))。続いて、ビアホール6に銅めっき7を行い、ビアホール6の導通化により、シグナル用銅箔2aの一部とグランド用銅箔2bを導通させる(図5(b))。
【0057】
次に、回路パターンを形成するため、ドライフィルムのラミネートを行うが、その前に、ここで銅箔粗化処理を行ってもよい。
【0058】
ドライフィルムを両面にラミネートした後、露光によりドライフィルムを感光し、現像により光の照射されていない部位のドライフィルムを除去し、エッチング工程にてドライフィルムの除去された部位の銅箔を除去し、剥膜工程で残ったドライフィルムを除去し、両面の回路パターンを形成する。
【0059】
次に、本発明に従い、図5(c)に示すように、感光性ソルダーレジストを印刷する直前に銅箔2a、2bの粗化処理を行い、回路パターンの銅箔表面及び側面を粗化面1とする(図5(c))。粗化処理液はCZ8101(メック製)又はCPE900(菱江化学製)などを用いる。なお、ドライフィルムラミネート前に既に粗化処理を行っている場合は、ここで粗化処理を行わなくてもよい。
【0060】
銅箔粗化後は、回路パターン21の接続端子部(インナーリード26やアウターリード等の接続端子やランド25のような接続端子)を除く領域の上に、感光性ソルダーレジスト3を塗布して絶縁膜を形成する(図5(d))。すなわち、感光性ソルダーレジスト3の印刷、乾燥、露光、現像およびベークを行い、所望パターンの感光性ソルダーレジスト3の絶縁膜を形成する。なお、必要に応じて後露光を行う場合もある。
【0061】
感光性ソルダーレジスト3の絶縁膜は、シグナル用銅箔2aの面、グランド用銅箔2bの面の両面に形成する場合もあれば、片面のみに形成する場合もある。また感光性ソルダーレジストの代わりに非感光性のソルダーレジストを用いる場合もある。例えば、シグナル用銅箔2aの面には感光性ソルダーレジストを、そしてグランド用銅箔2bの面にはソルダーレジストを設けるなどの組み合せも可能である。
【0062】
感光性ソルダーレジスト3の絶縁膜の形成後は、回路パターンの銅箔表面に露出されている部位(インナーリードやパッド等)を、再度平滑化処理する(図5(e))。平滑化処理には、CPE750(菱江化学製)などのソフトエッチング液によって上記銅箔表面を均一化すれば良い。
【0063】
平滑化処理後は銅箔表面に金めっき9を形成する。
【0064】
次に、感光性ソルダーレジスト3の印刷前に銅箔粗化処理を行った場合の本発明の効果を確認するため、TABテープを試作した例について述べる。TABテープ5は次のようにして製造した。
【0065】
銅箔2a、2bとしてF2−WS(古河サーキットフォイル製)を形成した両面銅張積層板8であるところのエスパネックス(新日鉄化学製)に回路パターンを形成し、銅箔表面処理(粗化処理)を行った。銅箔表面処理は、CPE−900液により、平均0.5μmの銅箔をエッチングした後、感光性ソルダーレジスト3の絶縁膜を形成し、金めっきを施した。感光性ソルダーレジスト3にはSR9000(日立化成製)を用いた。
【0066】
上記条件で形成されたTABテープ5の半田耐熱性評価結果を図4を用いて説明する。
【0067】
作製されたTABテープにロジン系のフラックスを塗布し、260℃の半田浴に10秒間浸す。これを数回繰り返し感光性ソルダーレジスト3下への半田の潜り込みがないか確認する。一般的には3回以上で半田潜り込みがなければ使用上の問題はないとされている。
【0068】
表面粗化処理がない場合は、図4の下欄に「粗化処理なし」として示すように、2回目からやや潜り込みが発生し、3回目以降からは大きく潜り込みが発生してしまう。
【0069】
一方、0.5μmエッチングによる銅箔表面粗化処理を行ったものは、図4の上欄に「粗化処理有り」として示すように、3回目まで全く潜り込みが発生しておらず、4〜5回でも僅かに潜り込みが確認出来る程度で、6回目でもやや潜り込みがあるのみであった。この効果は、銅箔粗化により銅箔と感光性ソルダーレジストとの密着性が向上し、半田耐熱性が向上したものと考えられる。
【0070】
続いて金めっき液の染み込み性について検討する。完成されたTABテープ5において、銅箔粗化処理の有無について金めっき液の染み込みの有無を観察した。その結果、銅箔粗化処理を施してないものについては、金めっき液の染み込みが発生していたものの、粗化処理を施したものは、金めっき液の染み込みが全く発生していなかった。この効果も銅箔粗化処理により銅箔と感光性ソルダーレジストとの密着性が向上したことによる耐めっき性が向上したことによる。
【0071】
このようにTABテープにおいて感光性ソルダーレジストの印刷前に銅箔粗化処理を行うことによって、銅箔と感光性ソルダーレジストの密着性が向上し、このことによってTABテープにとって不可欠な耐熱性や耐めっき性が向上しているのが分かる。
【0072】
ここで、粗化処理によりエッチング量について検討する。
【0073】
TABテープにおいて1μm以上の粗化を行おうとすると、使用している銅箔が8〜18μmと薄い、またフレキシブル性が要求される為に回路が切断されるなどの問題がある。そこで、上記銅箔表面及び側面を粗化する粗化処理は、重量法で算出するエッチング量が平均で1μm以下であるエッチング処理により行うことが好ましい。
【0074】
重要なことは、TABテープにおいては、低粗化量でも密着性向上が図れる表面処理を行う必要がある点である。平均0.5μmエッチングの場合もエッチングの深い部位では2μmに達してしまう為、極力低粗化量でエッチングを行う必要がある。
【0075】
一方、密着性向上の為には、低粗化エッチング液であるCZ8101(メック製)やCPE900(菱江化学製)を用いる場合でも十分な密着性を発現させる為には、最低限でも重量法で算出するエッチング量が平均で0.4μm以上、好ましくは0.5μm以上とする必要がある。また、上記したように極力低粗化量でエッチングを行う必要があり、上限は重量法で算出するエッチング量が平均で0.6μm以下にすることが好ましい。従って、重量法で算出するエッチング量が平均で0.4〜0.6μmの範囲とするのがよい。この範囲の中でも、TABテープにおいて銅箔表面処理を行う場合のエッチング量は0.5μmが最適である。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、次のような優れた効果が得られる。
【0077】
本発明では、ソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成する直前又はカバーフィルムを設ける直前に、回路パターンの銅箔表面及び側面を粗化する粗化処理を行うため、これにより銅箔とソルダーレジスト(感光性ソルダーレジスト又は非感光性ソルダーレジスト)又はカバーフィルムとの密着性が向上し、めっき液のしみ込みや実装時の半田もぐりを生じさせず、信頼性の向上が達成可能となる。
【0078】
また本発明では、特許文献1の銅箔の粗化のように、出発材料としての銅箔単体に粗化処理を施すのではなく、感光性ソルダーレジスト等の形成直前に粗化処理を行うものであるため、粗化後に化学研磨やデスミア工程などを経ることがなく、従って銅箔粗化形状が変化しない。また特許文献1のように、出発材料として粗化を行う場合のように、粗化形態が一義的に決定されてしまうことがない。従って、本発明によれば、各品種や納品先毎に要求される特性などの用途に応じてエッチング量や粗化形状を自在に調整することが可能である。
【0079】
また、本発明によれば、銅箔の表面のみならず側面も粗化されるため、ソルダーレジスト等がより強固に銅箔及びテープ基材に接着し、ソルダーレジスト等とポリイミドテープ基材の界面の密着性に起因する不具合にも対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るCOF用TABテープの製造工程を示す図である。
【図2】本発明における2メタルTABテープを用いて構成した半導体装置の断面を示した図である。
【図3】本発明におけるTABテープへの銅箔表面粗化処理工程の説明に供する図である。
【図4】本発明により製造されたTABテープの耐熱性の特性を比較して示した図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るBGA用TABテープの製造工程を示した図である。
【図6】従来技術によるTABテープの製造工程の説明に供する図である。
【符号の説明】
1 粗化面
2a シグナル用銅箔
2b グランド用銅箔
3 感光性ソルダーレジスト
4 テープ基材
6 ビアホール
7 銅めっき
8 両面銅張積層板
9 金めっき
21 シグナル回路パターン
22 グランド回路パターン
23 リード(信号線)
24 パッド
25 ランド
26 インナーリード

Claims (8)

  1. 絶縁フィルムから成るテープ基材の片面又は両面に銅箔の回路パターンを形成し、その回路パターンの接続端子部を除く領域の上に、ソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設けた半導体装置用テープキャリアにおいて、
    ソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設ける前に行う粗化処理により、回路パターンの銅箔表面及び側面を粗化したことを特徴とする半導体装置用テープキャリア。
  2. 請求項1記載の半導体装置用テープキャリアにおいて、
    上記テープ基材の一方の片面に信号線の回路パターンを形成し、他方の片面にグランドとなる回路パターンを形成し、このグランド側の回路パターンをビアホールを通して上記信号線側の回路パターンの一部と電気的に接続したことを特徴とする半導体装置用テープキャリア。
  3. 絶縁フィルムから成るテープ基材の片面又は両面に銅箔の回路パターンを形成し、その回路パターンの接続端子部を除く領域の上にソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設けた半導体装置用テープキャリアの製造方法において、
    ソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設ける直前に、回路パターンの銅箔表面及び側面を粗化する粗化処理を行うことを特徴とする半導体装置用テープキャリアの製造方法。
  4. 絶縁フィルムから成るテープ基材の一方の片面にシグナル用銅箔を形成すると共に他方の片面にグランド用銅箔を形成し、
    該グランド用銅箔側からレーザー加工によりシグナル用銅箔に至るビアホールを形成した後、デスミア工程においてレーザー加工時において生じた銅箔の表面のカスを除去し、その後当該ビアホールにめっきを施して導通化し、
    次いで、上記シグナル用銅箔に信号線の回路パターンを形成すると共に、上記グランド用銅箔にグランドとなる回路パターンを形成し、
    その後、上記回路パターンの銅箔表面及び側面を粗化する粗化処理を行い、
    次いで、上記信号線の回路パターンの接続端子部を除く領域の上にソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設けることを特徴とする半導体装置用テープキャリアの製造方法。
  5. 請求項3又は4記載の半導体装置用テープキャリアの製造方法において、
    上記銅箔表面及び側面を粗化する粗化処理は、エッチング量が平均で1μm以下であるエッチング処理により行うことを特徴とする半導体装置用テープキャリアの製造方法。
  6. 請求項5記載の半導体装置用テープキャリアの製造方法において、
    上記銅箔表面及び側面を粗化する粗化処理は、エッチング量が平均で0.4〜0.6μmの範囲であるエッチング処理により行うことを特徴とする半導体装置用テープキャリアの製造方法。
  7. 請求項3〜6のいずれかに記載の半導体装置用テープキャリアの製造方法において、
    上記銅箔表面及び側面の粗化処理を行い、ソルダーレジストを塗布して絶縁膜を形成し又はカバーフィルムを設けた後、銅箔表面の平滑処理を行い、平滑化された銅箔表面にめっきを形成することを特徴とする半導体装置用テープキャリアの製造方法。
  8. 請求項4〜8のいずれかに記載の半導体装置用テープキャリアの製造方法において、
    上記銅箔に信号線の回路パターン及びグランドの回路パターンを形成するに先立ち、回路パターンの銅箔表面を粗化する粗化処理を行い、その後、銅箔上にドライフィルムを設け、このドライフィルムを露光・現像して回路パターンを形成することを特徴とする半導体装置用テープキャリアの製造方法。
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