JP2004311344A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】次回の起動時間を短縮するとともに、システムの温度変化及び水蒸気の凝縮等によって圧力が降下する場合であっても、差圧を解消して燃料電池スタックの劣化を抑制することができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システムは、コントローラ21により、当該燃料電池システムの停止時に、燃料ガスを燃料電池スタック1へと供給する燃料ガス供給経路11に設けられる遮断弁3と、燃料電池スタック1から排出される余剰分の燃料ガス中に蓄積される不純物を外部へと排出するためのパージ弁5とを閉塞し、所定の条件に基づいて、パージ弁5を開放する。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料電池システムは、コントローラ21により、当該燃料電池システムの停止時に、燃料ガスを燃料電池スタック1へと供給する燃料ガス供給経路11に設けられる遮断弁3と、燃料電池スタック1から排出される余剰分の燃料ガス中に蓄積される不純物を外部へと排出するためのパージ弁5とを閉塞し、所定の条件に基づいて、パージ弁5を開放する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば燃料電池車両に搭載可能な燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃料電池の燃料極(水素極)に水素を多量に含む燃料ガスを供給するとともに、空気極に酸化剤ガスとしての空気を供給し、所定の電解質膜を介してこれら水素と酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得る燃料電池システムが知られている。
【0003】
このような燃料電池システムでは、未消費の燃料ガスを当該燃料電池システム内で循環させてリサイクルさせる際に、循環経路に蓄積する不純物をパージするために、パージ経路に遮断弁(開閉弁)を設けたものが、例えば特許文献1などにて知られている。
【0004】
このような燃料電池システムは、燃料ガスの配管が大気開放となっているものがある。このような燃料電池システムにおいては、当該燃料電池システムの停止時に燃料ガスの配管が大気開放となっていることにより、時間経過とともに当該配管内に空気が浸入し、燃料ガスが空気と置換してしまう場合がある。そのため、この種の燃料電池システムにおいては、次回の起動時に配管内に存在する空気を燃料ガスで置換する必要があり、その時間だけ起動時間が長くなるという問題がある。
【0005】
これに対し、下記の特許文献1に記載された燃料電池システムにおいては、システムの停止時には、パージ経路の遮断弁を閉塞し、システム内部を大気から遮断できる構成としていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−236131号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特許文献1に記載された燃料電池システムにおいては、遮断弁を閉鎖しておいても、時間経過とともに配管内の燃料ガスの温度が降下して燃料ガス中に含まれる水蒸気が凝縮することによって圧力が降下し、これにより、燃料電池スタック内部の燃料ガス系と空気系及び冷却水系とに差圧が生じ、燃料電池の劣化を招来するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、システムの起動時間を短縮すると共に、燃料電池スタックの劣化を抑制することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池スタックと、前記燃料ガスを前記燃料電池スタックに供給する燃料ガス供給経路を有する燃料ガス供給手段と、前記燃料ガス供給経路に設けられた第1遮断弁と、前記燃料電池スタックから排出される余剰分の燃料ガスを前記燃料ガス供給経路に戻す燃料ガス循環経路を有する燃料ガス循環手段と、前記燃料ガス循環経路に設けられ、当該燃料ガス循環経路及び前記燃料ガス供給流路内のガスを外部に排出する第2遮断弁とを備えた燃料電池システムに適用され、制御手段により、前記システム停止後に、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁を閉塞状態とし、所定の条件が成立した場合に、前記第2遮断弁を開放する制御をすることで、上述の課題を解決する。
【0010】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池システムによれば、システム停止後に、内部を大気から遮断することにより、次回の起動時間を短縮することができるとともに、燃料ガス等の温度変化及び水蒸気の凝縮等によって圧力が降下する場合であっても、所定の条件が成立したときに第2遮断弁を開放させるので、燃料ガス等と大気との差圧を解消することができ、燃料電池スタックの劣化を抑制することができる。また、本発明に係る燃料電池システムによれば、所定の条件が成立する前に、燃料電池システムを再起動した場合には、配管には燃料ガスが充満している状態とすることができ、起動時間を短縮することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した第1実施形態〜第4実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
この実施の形態は、例えば燃料電池車両に搭載され、負荷装置として搭載された駆動モータや燃料電池スタックを発電させる補機類等に電力供給することにより、車両走行するための駆動トルクを発生させる燃料電池システムである。
【0013】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。
【0014】
[燃料電池システムの構成]
第1実施形態に係る燃料電池システムは、図1に示すように、当該燃料電池システムの主電源であって、発電反応を発生させるための水素を多量に含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとが供給されることによって発電する燃料電池スタック1を備える。この燃料電池スタック1は、固体高分子電解質膜を挟んで、酸化剤ガスを供給する空気極と燃料ガスを供給する水素極とを対設した燃料電池セル構造体をセパレータで挟持し、セル構造体を複数積層することによって構成されている。すなわち、この燃料電池スタック1による発電は、水素極にて水素が電子を放出してイオン化し、生成された水素イオン(H+)が高分子電解質膜を通過して空気極に到達し、この水素イオンが空気極にて酸素と結合して水(H2O)を生成することによって行われる。
【0015】
また、燃料電池システムは、各部の動作を制御して燃料電池スタック1の発電反応を制御する制御手段であるコントローラ21を備える。このコントローラ21は、例えば図示しないROM(Read Only Memory)等の記憶部に、燃料電池システムを起動して負荷装置に対して電力供給を行う一連の処理手順を記述した燃料電池起動プログラムを格納し、当該燃料電池起動プログラムを図示しないCPU(Central Processing Unit)等によって実行することにより、各部を制御する。
【0016】
この燃料電池システムにおいて、燃料ガスは、コントローラ21の制御に従って、例えば高圧水素貯蔵タンクからなる燃料ガス供給部2から、燃料ガス供給経路11に設けられた第1の遮断弁である遮断弁3を通過して、エジェクタ4等によって循環してきた燃料ガスと混合された後、燃料電池スタック1に供給される。このとき、コントローラ21は、水素極の入り口付近に設けられた図示しない圧力センサからのセンサ信号を読み込み、この値に応じて、水素極における水素圧力を発電要求に応じた圧力とするように、燃料ガス流量及び燃料ガス圧力を制御する。そして、燃料ガスは、空気とともに燃料電池スタック1の発電反応に使用され、余剰分が燃料電池スタック1から排出され、燃料ガス循環経路12を介してエジェクタ4に供給され、燃料ガス供給経路11に戻される。
【0017】
一方、酸化剤ガスとしての空気は、例えばコンプレッサモータによって駆動されて外気を取り込むエアコンプレッサといった図示しない空気供給系から圧送されることで、燃料電池スタック1に供給される。このとき、コントローラ21は、外部からの燃料電池スタック1の発電要求に応じて、エアコンプレッサの駆動量を制御し、空気流量及び空気圧力を制御する。また、コントローラ21は、空気極の入り口付近に設けられた図示しない圧力センサからのセンサ信号を読み込み、この値に応じて、空気極における空気圧力を発電要求に応じた圧力とするように、空気流量及び空気圧力を制御する。そして、空気は、燃料電池スタック1の発電反応に使用され、余剰分が燃料電池スタック1から排出される。
【0018】
また、燃料電池システムにおいては、水素極からの排気用の燃料ガス循環経路12の途中に、時間経過とともに燃料ガス中に蓄積される窒素等の不純物を外部へと排出するための第2の遮断弁であるパージ弁5が備えられる。水素極から排出された燃料ガスは、通常、パージ弁5が閉じられていることにより、燃料ガス循環経路12を介してエジェクタ4に供給され、ここで燃料ガス供給部2から供給される燃料ガスと合流されて再度燃料電池スタック1に供給される。更に、燃料電池システムにおいては、コントローラ21の制御に従って、パージ弁5が開放されると、燃料ガス供給経路11、燃料ガス循環経路12及び燃料電池スタック1内の水素以外の不純物を排出させる。
【0019】
このような各部を備える燃料電池システムは、当該燃料電池システムの停止時、すなわち燃料電池スタック1の発電停止時には、以下に示す動作を行うことにより、燃料ガス中に蓄積される不純物を排出する。
【0020】
[燃料電池システムの動作]
燃料電池システムは、図2に示すように、当該燃料電池システムが停止されると、先ずステップS1において、コントローラ21により、遮断弁3を閉塞して燃料ガスの供給を遮断するとともに、パージ弁5を閉塞する。
【0021】
続いて、燃料電池システムは、ステップS2において、コントローラ21により、所定の条件が成立したか否かを判定する。ここで、この所定の条件としては、システム停止時から所定時間が経過したか否かであるものとし、コントローラ21による無駄な消費電力を低減するために、図示しないタイマによって制御するものとする。また、予め実験等によって燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力が燃料電池スタック1内部を破損する圧力となるまでの時間を計測しておき、これをタイマの設定時間(所定時間)としておく。
【0022】
ここで、燃料電池システムは、所定の条件が成立していないと判定した場合には、処理を終了する一方で、所定の条件が成立したと判定した場合には、ステップS3において、コントローラ21によりパージ弁5を開放し、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12を大気開放する。
【0023】
[第1実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、第1実施形態に係る燃料電池システムにおいては、当該燃料電池システムの停止時に、遮断弁3を閉塞して燃料ガスの供給を遮断するとともに、パージ弁5を閉塞することにより、燃料電池スタック1を含む燃料ガス経路が、遮断弁3及びパージ弁5によって閉塞され、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12に空気が流入してくることはなくなる。
【0024】
このように、燃料電池システムにおいては、当該燃料電池システムの停止時に、遮断弁3及びパージ弁5を閉塞して内部を大気から遮断することにより、次回の起動時には、燃料ガス経路に空気が滞留していない状態とすることができ、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内を燃料ガスで置換する必要がなくなるので、システムの起動時間を短縮することができ、短時間にて燃料電池スタック1を発電開始させることができる。
【0025】
しかしながら、燃料電池システムにおいては、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12が、当該燃料電池システムの停止時には、高温且つ高湿度の燃料ガスで充満されており、システム停止後の時間経過にともない、燃料ガスの温度降下による燃料ガス体積の減少と燃料ガス中の水蒸気の凝縮とが起こり、これに起因して圧力が降下する。そして、燃料電池システムにおいては、燃料電池スタック1内部の燃料ガス系と例えば空気系や冷却水系等の大気開放されている他系との間に差圧が発生し、燃料電池スタック1内部の劣化を招来するおそれがある。
【0026】
そこで、第1実施形態に係る燃料電池システムでは、例えばタイマの設定時間により燃料ガス系を遮断しておく場合であっても、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力と大気圧との間に差圧が発生する前に、所定の条件が成立するとパージ弁5を開放して燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12を大気開放することにより、システムの停止後に当該燃料電池システムの温度低下及び水蒸気の凝縮等によって燃料ガス圧力が降下する場合であっても、差圧の発生を抑制することができ、燃料電池スタック1の劣化を抑制することができる。
【0027】
また、本発明に係る燃料電池システムによれば、所定の条件が成立する前に、当該燃料電池システムを再起動した場合には、配管には燃料ガスが充満していることから、空気を燃料ガスで置換する必要がなく、起動時間を短縮することができる。
【0028】
さらに、燃料電池システムにおいては、コントローラ21の制御に従って、所定の条件として、タイマによる所定時間が経過したか否かを判定し、所定の条件が成立したと判定した場合には、パージ弁5を開放する。このように、燃料電池システムにおいては、パージ弁5の開閉動作を、タイマによって制御するので、所定の物理量を検出するための専用のセンサ等を設ける必要がなく、安価且つ簡便な構成とすることができる。
【0029】
なお、燃料電池システムにおいては、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12が大気開放された後、当該燃料ガス供給経路11及び当該燃料ガス循環経路12内部には空気が浸入し、次回の起動時には、空気を燃料ガスで置換する時間を必要とするが、燃料電池スタック1、燃料ガス供給経路11、及び/又は燃料ガス循環経路12等を断熱材等で断熱することにより、断熱能力に応じて温度降下、すなわち、圧力降下するまでの時間(所定時間)を長くしてタイマに設定する時間を長くして、パージ弁5を開放する機会を削減することができる。
【0030】
更にまた、燃料電池システムにおいては、パージ弁5を開放した後に、燃料電池スタック1内部の燃料ガス系と大気開放されている他の系との間の差圧が所定値まで低減した場合には、コントローラ21により、パージ弁5を開放して燃料ガス系と他の系との差圧が所定値まで低減したら再度パージ弁5を閉塞するようにしてもよい。このような制御をした場合、コントローラ21では、燃料ガスが空気に置換される量を減少させることができるので、次回の起動時間が長時間となることを抑制することができる。
【0031】
[第2実施形態]
つぎに、第2実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、この第2実施形態の説明では、上述の実施形態と同様の部分については同一の符号及び同一のステップ番号を付することによってその詳細な説明を省略するものとする。
【0032】
この第2実施形態に係る燃料電池システムは、パージ弁5を開放する条件として、タイマによる設定時間経過の是非ではなく、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力と大気圧との差圧とするものである。
【0033】
[燃料電池システムの構成]
第2実施形態に係る燃料電池システムは、図3に示すように、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力を検出する圧力検出手段である圧力センサ22を備える点で、上述した第1実施形態に係る燃料電池システムとは異なる。
【0034】
このような燃料電池システムは、当該燃料電池システムの停止時には、コントローラ21により、圧力センサ22からのセンサ信号を読み込んで、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力を検出する。
【0035】
[燃料電池システムの動作]
燃料電池システムは、先に図2に示したように、コントローラ21により、当該燃料電池システムが停止されて遮断弁3及びパージ弁5を閉塞すると、ステップS2において、所定の条件が成立したか否かを判定する。
【0036】
このとき、燃料電池システムにおいては、この所定の条件として、圧力センサ22によって検出された遮断弁3とパージ弁5との間の経路の圧力、すなわち、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力と、図示しない大気圧センサによって検出された大気圧との差圧が、燃料電池スタック1内部を劣化させるに至る所定値以上となっているか否かを、コントローラ21により判定する。なお、燃料電池システムにおいては、コントローラ21によって常に圧力センサ22をセンシングするのではなく、所定の時間間隔をおいてセンシングする。
【0037】
そして、コントローラ21では、所定の条件が成立したと判定した場合には、パージ弁5を開放し、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12を大気開放する。
【0038】
[第2実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、第2実施形態に係る燃料電池システムにおいては、遮断弁3とパージ弁5との間の経路の圧力を検出する圧力センサ22を備え、コントローラ21により、所定の条件として、圧力センサ22によって検出された遮断弁3とパージ弁5との間の経路の圧力と、大気圧との差圧が、所定値以上であるか否かを判定する。
【0039】
このように、燃料電池システムにおいては、燃料ガス経路内部の圧力と大気圧との差圧に基づいて、パージ弁5の開閉動作を行うので、必要な場合にのみパージ弁5を駆動することができる。したがって、燃料電池システムにおいては、パージ弁5を開放することによって起動時間が長くなる機会を必要最小限に削減することができる。
【0040】
また、燃料電池システムにおいては、コントローラ21によって常に圧力センサ22をセンシングするのではなく、所定の時間間隔をおいてセンシングすることにより、消費電力の低減を図ることができる。
【0041】
なお、燃料電池システムは、圧力センサ22の代わりに、遮断弁3とパージ弁5との間の経路の圧力と、大気圧との差圧を検出する差圧検出手段である差圧センサを備えるようにしてもよい。これにより、燃料電池システムにおいては、部品点数の削減を図ることが可能となる。
【0042】
[第3実施形態]
つぎに、第3実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、この第3実施形態の説明では、上述の実施形態と同様の部分については同一の符号及び同一のステップ番号を付することによってその詳細な説明を省略するものとする。
【0043】
この第3実施形態に係る燃料電池システムは、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度を検出し、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度降下量に基づいて圧力降下量を推定するものである。
【0044】
[燃料電池システムの構成]
第3実施形態に係る燃料電池システムは、図3を流用して説明すると、圧力センサ22に代えて、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度を検出する温度検出手段である温度センサを備える点で、第2実施形態に係る燃料電池システムとは異なる。
【0045】
このような燃料電池システムは、当該燃料電池システムの停止時には、コントローラ21により、温度センサからのセンサ信号を読み込んで、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度を検出し、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度降下量に基づいて、圧力降下量を推定する。
【0046】
[燃料電池システムの動作]
燃料電池システムは、先に図2に示したように、コントローラ21により、当該燃料電池システムが停止されて遮断弁3及びパージ弁5を閉塞すると、ステップS2において、所定の条件が成立したか否かを判定する。
【0047】
このとき、燃料電池システムにおいては、この所定の条件として、温度センサによって検出された遮断弁3とパージ弁5との間の経路の温度、すなわち、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度が所定値以下となっているか否かを、コントローラ21により判定する。すなわち、燃料電池システムにおいては、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度降下量に基づいて推定された圧力と、図示しない大気圧センサによって検出された大気圧との差圧が、燃料電池スタック1内部を劣化させるに至る所定値となっているか否かを、コントローラ21により判定する。なお、燃料電池システムにおいては、コントローラ21によって常に温度センサ23をセンシングするのではなく、所定の時間間隔をおいてセンシングする。
【0048】
ここで、温度降下量に基づく圧力降下量は、温度降下から燃料ガス体積の減少量と、水蒸気の凝縮による気体体積の減少量とを演算し、当該燃料ガス体積の減少量及び水蒸気の凝縮による気体体積の減少量と、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の総体積とに基づいて、コントローラ21により推定される。
【0049】
そして、コントローラ21は、所定の条件が成立したと判定した場合には、パージ弁5を開放し、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12を大気開放する。
【0050】
[第3実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、第3実施形態に係る燃料電池システムにおいては、遮断弁3とパージ弁5との間の経路の温度を検出する温度センサを備え、コントローラ21により、所定の条件として、温度センサによって検出された遮断弁3とパージ弁5との間の経路の温度が、所定値以下であるか否かを判定する。
【0051】
このように、燃料電池システムにおいては、燃料ガス経路内部の温度に基づいて、パージ弁5の開閉動作を行うので、必要な場合にのみパージ弁5を駆動することができる。したがって、燃料電池システムにおいては、パージ弁5を開放することによって起動時間が長くなる機会を必要最小限に削減することができる。
【0052】
また、燃料電池システムにおいては、コントローラ21によって常に温度センサをセンシングするのではなく、所定の時間間隔をおいてセンシングすることにより、消費電力の低減を図ることができる。
【0053】
[第4実施形態]
最後に、第4実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、この第4実施形態の説明では、上述の実施形態と同様の部分については同一の符号を付することによってその詳細な説明を省略するものとする。
【0054】
この第4実施形態に係る燃料電池システムは、大気を燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部に流入させる逆止弁を設けたものである。
【0055】
第4実施形態に係る燃料電池システムは、図4に示すように、遮断弁3とパージ弁5との間の経路、すなわち、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12に、大気を当該燃料ガス供給経路11及び当該燃料ガス循環経路12内部に流入させる逆止弁6を備える。
【0056】
このような燃料電池システムは、当該燃料電池システムの停止時に遮断弁3及びパージ弁5を閉状態にすると、遮断弁3とパージ弁5との間の経路の圧力が低下する。そして、この燃料電池システムでは、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力と大気圧との差圧が、燃料電池スタック1内部を劣化させるに至る所定値以上となった場合には、逆止弁6が自動的に動作して、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12を大気開放し、大気を当該燃料ガス供給経路11及び当該燃料ガス循環経路12内部に流入させる。
【0057】
なお、逆止弁6は、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力と大気圧との差圧が、燃料電池スタック1内部を劣化させるに至る差圧となるときに動作するように設計されている。
【0058】
これにより、第4実施形態に係る燃料電池システムにおいては、圧力センサや温度センサ等の各種センサのセンシングや電磁弁を開閉するための電力を必要とせず、簡便な構成であっても、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力と大気圧との差圧増大による燃料電池スタック1内部の劣化を効率よく抑制することができる。
【0059】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態として示す燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同燃料電池システムにおいて、当該燃料電池システムの停止時に、燃料ガス中に蓄積される不純物を排出する際の一連の工程を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施の形態として示す燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第4実施の形態として示す燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 燃料ガス供給部
3 遮断弁
4 エジェクタ
5 パージ弁
6 逆止弁
11 燃料ガス供給経路
12 燃料ガス循環経路
21 コントローラ
22 圧力センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば燃料電池車両に搭載可能な燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃料電池の燃料極(水素極)に水素を多量に含む燃料ガスを供給するとともに、空気極に酸化剤ガスとしての空気を供給し、所定の電解質膜を介してこれら水素と酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得る燃料電池システムが知られている。
【0003】
このような燃料電池システムでは、未消費の燃料ガスを当該燃料電池システム内で循環させてリサイクルさせる際に、循環経路に蓄積する不純物をパージするために、パージ経路に遮断弁(開閉弁)を設けたものが、例えば特許文献1などにて知られている。
【0004】
このような燃料電池システムは、燃料ガスの配管が大気開放となっているものがある。このような燃料電池システムにおいては、当該燃料電池システムの停止時に燃料ガスの配管が大気開放となっていることにより、時間経過とともに当該配管内に空気が浸入し、燃料ガスが空気と置換してしまう場合がある。そのため、この種の燃料電池システムにおいては、次回の起動時に配管内に存在する空気を燃料ガスで置換する必要があり、その時間だけ起動時間が長くなるという問題がある。
【0005】
これに対し、下記の特許文献1に記載された燃料電池システムにおいては、システムの停止時には、パージ経路の遮断弁を閉塞し、システム内部を大気から遮断できる構成としていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−236131号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特許文献1に記載された燃料電池システムにおいては、遮断弁を閉鎖しておいても、時間経過とともに配管内の燃料ガスの温度が降下して燃料ガス中に含まれる水蒸気が凝縮することによって圧力が降下し、これにより、燃料電池スタック内部の燃料ガス系と空気系及び冷却水系とに差圧が生じ、燃料電池の劣化を招来するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、システムの起動時間を短縮すると共に、燃料電池スタックの劣化を抑制することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池スタックと、前記燃料ガスを前記燃料電池スタックに供給する燃料ガス供給経路を有する燃料ガス供給手段と、前記燃料ガス供給経路に設けられた第1遮断弁と、前記燃料電池スタックから排出される余剰分の燃料ガスを前記燃料ガス供給経路に戻す燃料ガス循環経路を有する燃料ガス循環手段と、前記燃料ガス循環経路に設けられ、当該燃料ガス循環経路及び前記燃料ガス供給流路内のガスを外部に排出する第2遮断弁とを備えた燃料電池システムに適用され、制御手段により、前記システム停止後に、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁を閉塞状態とし、所定の条件が成立した場合に、前記第2遮断弁を開放する制御をすることで、上述の課題を解決する。
【0010】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池システムによれば、システム停止後に、内部を大気から遮断することにより、次回の起動時間を短縮することができるとともに、燃料ガス等の温度変化及び水蒸気の凝縮等によって圧力が降下する場合であっても、所定の条件が成立したときに第2遮断弁を開放させるので、燃料ガス等と大気との差圧を解消することができ、燃料電池スタックの劣化を抑制することができる。また、本発明に係る燃料電池システムによれば、所定の条件が成立する前に、燃料電池システムを再起動した場合には、配管には燃料ガスが充満している状態とすることができ、起動時間を短縮することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した第1実施形態〜第4実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
この実施の形態は、例えば燃料電池車両に搭載され、負荷装置として搭載された駆動モータや燃料電池スタックを発電させる補機類等に電力供給することにより、車両走行するための駆動トルクを発生させる燃料電池システムである。
【0013】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。
【0014】
[燃料電池システムの構成]
第1実施形態に係る燃料電池システムは、図1に示すように、当該燃料電池システムの主電源であって、発電反応を発生させるための水素を多量に含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとが供給されることによって発電する燃料電池スタック1を備える。この燃料電池スタック1は、固体高分子電解質膜を挟んで、酸化剤ガスを供給する空気極と燃料ガスを供給する水素極とを対設した燃料電池セル構造体をセパレータで挟持し、セル構造体を複数積層することによって構成されている。すなわち、この燃料電池スタック1による発電は、水素極にて水素が電子を放出してイオン化し、生成された水素イオン(H+)が高分子電解質膜を通過して空気極に到達し、この水素イオンが空気極にて酸素と結合して水(H2O)を生成することによって行われる。
【0015】
また、燃料電池システムは、各部の動作を制御して燃料電池スタック1の発電反応を制御する制御手段であるコントローラ21を備える。このコントローラ21は、例えば図示しないROM(Read Only Memory)等の記憶部に、燃料電池システムを起動して負荷装置に対して電力供給を行う一連の処理手順を記述した燃料電池起動プログラムを格納し、当該燃料電池起動プログラムを図示しないCPU(Central Processing Unit)等によって実行することにより、各部を制御する。
【0016】
この燃料電池システムにおいて、燃料ガスは、コントローラ21の制御に従って、例えば高圧水素貯蔵タンクからなる燃料ガス供給部2から、燃料ガス供給経路11に設けられた第1の遮断弁である遮断弁3を通過して、エジェクタ4等によって循環してきた燃料ガスと混合された後、燃料電池スタック1に供給される。このとき、コントローラ21は、水素極の入り口付近に設けられた図示しない圧力センサからのセンサ信号を読み込み、この値に応じて、水素極における水素圧力を発電要求に応じた圧力とするように、燃料ガス流量及び燃料ガス圧力を制御する。そして、燃料ガスは、空気とともに燃料電池スタック1の発電反応に使用され、余剰分が燃料電池スタック1から排出され、燃料ガス循環経路12を介してエジェクタ4に供給され、燃料ガス供給経路11に戻される。
【0017】
一方、酸化剤ガスとしての空気は、例えばコンプレッサモータによって駆動されて外気を取り込むエアコンプレッサといった図示しない空気供給系から圧送されることで、燃料電池スタック1に供給される。このとき、コントローラ21は、外部からの燃料電池スタック1の発電要求に応じて、エアコンプレッサの駆動量を制御し、空気流量及び空気圧力を制御する。また、コントローラ21は、空気極の入り口付近に設けられた図示しない圧力センサからのセンサ信号を読み込み、この値に応じて、空気極における空気圧力を発電要求に応じた圧力とするように、空気流量及び空気圧力を制御する。そして、空気は、燃料電池スタック1の発電反応に使用され、余剰分が燃料電池スタック1から排出される。
【0018】
また、燃料電池システムにおいては、水素極からの排気用の燃料ガス循環経路12の途中に、時間経過とともに燃料ガス中に蓄積される窒素等の不純物を外部へと排出するための第2の遮断弁であるパージ弁5が備えられる。水素極から排出された燃料ガスは、通常、パージ弁5が閉じられていることにより、燃料ガス循環経路12を介してエジェクタ4に供給され、ここで燃料ガス供給部2から供給される燃料ガスと合流されて再度燃料電池スタック1に供給される。更に、燃料電池システムにおいては、コントローラ21の制御に従って、パージ弁5が開放されると、燃料ガス供給経路11、燃料ガス循環経路12及び燃料電池スタック1内の水素以外の不純物を排出させる。
【0019】
このような各部を備える燃料電池システムは、当該燃料電池システムの停止時、すなわち燃料電池スタック1の発電停止時には、以下に示す動作を行うことにより、燃料ガス中に蓄積される不純物を排出する。
【0020】
[燃料電池システムの動作]
燃料電池システムは、図2に示すように、当該燃料電池システムが停止されると、先ずステップS1において、コントローラ21により、遮断弁3を閉塞して燃料ガスの供給を遮断するとともに、パージ弁5を閉塞する。
【0021】
続いて、燃料電池システムは、ステップS2において、コントローラ21により、所定の条件が成立したか否かを判定する。ここで、この所定の条件としては、システム停止時から所定時間が経過したか否かであるものとし、コントローラ21による無駄な消費電力を低減するために、図示しないタイマによって制御するものとする。また、予め実験等によって燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力が燃料電池スタック1内部を破損する圧力となるまでの時間を計測しておき、これをタイマの設定時間(所定時間)としておく。
【0022】
ここで、燃料電池システムは、所定の条件が成立していないと判定した場合には、処理を終了する一方で、所定の条件が成立したと判定した場合には、ステップS3において、コントローラ21によりパージ弁5を開放し、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12を大気開放する。
【0023】
[第1実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、第1実施形態に係る燃料電池システムにおいては、当該燃料電池システムの停止時に、遮断弁3を閉塞して燃料ガスの供給を遮断するとともに、パージ弁5を閉塞することにより、燃料電池スタック1を含む燃料ガス経路が、遮断弁3及びパージ弁5によって閉塞され、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12に空気が流入してくることはなくなる。
【0024】
このように、燃料電池システムにおいては、当該燃料電池システムの停止時に、遮断弁3及びパージ弁5を閉塞して内部を大気から遮断することにより、次回の起動時には、燃料ガス経路に空気が滞留していない状態とすることができ、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内を燃料ガスで置換する必要がなくなるので、システムの起動時間を短縮することができ、短時間にて燃料電池スタック1を発電開始させることができる。
【0025】
しかしながら、燃料電池システムにおいては、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12が、当該燃料電池システムの停止時には、高温且つ高湿度の燃料ガスで充満されており、システム停止後の時間経過にともない、燃料ガスの温度降下による燃料ガス体積の減少と燃料ガス中の水蒸気の凝縮とが起こり、これに起因して圧力が降下する。そして、燃料電池システムにおいては、燃料電池スタック1内部の燃料ガス系と例えば空気系や冷却水系等の大気開放されている他系との間に差圧が発生し、燃料電池スタック1内部の劣化を招来するおそれがある。
【0026】
そこで、第1実施形態に係る燃料電池システムでは、例えばタイマの設定時間により燃料ガス系を遮断しておく場合であっても、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力と大気圧との間に差圧が発生する前に、所定の条件が成立するとパージ弁5を開放して燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12を大気開放することにより、システムの停止後に当該燃料電池システムの温度低下及び水蒸気の凝縮等によって燃料ガス圧力が降下する場合であっても、差圧の発生を抑制することができ、燃料電池スタック1の劣化を抑制することができる。
【0027】
また、本発明に係る燃料電池システムによれば、所定の条件が成立する前に、当該燃料電池システムを再起動した場合には、配管には燃料ガスが充満していることから、空気を燃料ガスで置換する必要がなく、起動時間を短縮することができる。
【0028】
さらに、燃料電池システムにおいては、コントローラ21の制御に従って、所定の条件として、タイマによる所定時間が経過したか否かを判定し、所定の条件が成立したと判定した場合には、パージ弁5を開放する。このように、燃料電池システムにおいては、パージ弁5の開閉動作を、タイマによって制御するので、所定の物理量を検出するための専用のセンサ等を設ける必要がなく、安価且つ簡便な構成とすることができる。
【0029】
なお、燃料電池システムにおいては、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12が大気開放された後、当該燃料ガス供給経路11及び当該燃料ガス循環経路12内部には空気が浸入し、次回の起動時には、空気を燃料ガスで置換する時間を必要とするが、燃料電池スタック1、燃料ガス供給経路11、及び/又は燃料ガス循環経路12等を断熱材等で断熱することにより、断熱能力に応じて温度降下、すなわち、圧力降下するまでの時間(所定時間)を長くしてタイマに設定する時間を長くして、パージ弁5を開放する機会を削減することができる。
【0030】
更にまた、燃料電池システムにおいては、パージ弁5を開放した後に、燃料電池スタック1内部の燃料ガス系と大気開放されている他の系との間の差圧が所定値まで低減した場合には、コントローラ21により、パージ弁5を開放して燃料ガス系と他の系との差圧が所定値まで低減したら再度パージ弁5を閉塞するようにしてもよい。このような制御をした場合、コントローラ21では、燃料ガスが空気に置換される量を減少させることができるので、次回の起動時間が長時間となることを抑制することができる。
【0031】
[第2実施形態]
つぎに、第2実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、この第2実施形態の説明では、上述の実施形態と同様の部分については同一の符号及び同一のステップ番号を付することによってその詳細な説明を省略するものとする。
【0032】
この第2実施形態に係る燃料電池システムは、パージ弁5を開放する条件として、タイマによる設定時間経過の是非ではなく、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力と大気圧との差圧とするものである。
【0033】
[燃料電池システムの構成]
第2実施形態に係る燃料電池システムは、図3に示すように、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力を検出する圧力検出手段である圧力センサ22を備える点で、上述した第1実施形態に係る燃料電池システムとは異なる。
【0034】
このような燃料電池システムは、当該燃料電池システムの停止時には、コントローラ21により、圧力センサ22からのセンサ信号を読み込んで、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力を検出する。
【0035】
[燃料電池システムの動作]
燃料電池システムは、先に図2に示したように、コントローラ21により、当該燃料電池システムが停止されて遮断弁3及びパージ弁5を閉塞すると、ステップS2において、所定の条件が成立したか否かを判定する。
【0036】
このとき、燃料電池システムにおいては、この所定の条件として、圧力センサ22によって検出された遮断弁3とパージ弁5との間の経路の圧力、すなわち、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力と、図示しない大気圧センサによって検出された大気圧との差圧が、燃料電池スタック1内部を劣化させるに至る所定値以上となっているか否かを、コントローラ21により判定する。なお、燃料電池システムにおいては、コントローラ21によって常に圧力センサ22をセンシングするのではなく、所定の時間間隔をおいてセンシングする。
【0037】
そして、コントローラ21では、所定の条件が成立したと判定した場合には、パージ弁5を開放し、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12を大気開放する。
【0038】
[第2実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、第2実施形態に係る燃料電池システムにおいては、遮断弁3とパージ弁5との間の経路の圧力を検出する圧力センサ22を備え、コントローラ21により、所定の条件として、圧力センサ22によって検出された遮断弁3とパージ弁5との間の経路の圧力と、大気圧との差圧が、所定値以上であるか否かを判定する。
【0039】
このように、燃料電池システムにおいては、燃料ガス経路内部の圧力と大気圧との差圧に基づいて、パージ弁5の開閉動作を行うので、必要な場合にのみパージ弁5を駆動することができる。したがって、燃料電池システムにおいては、パージ弁5を開放することによって起動時間が長くなる機会を必要最小限に削減することができる。
【0040】
また、燃料電池システムにおいては、コントローラ21によって常に圧力センサ22をセンシングするのではなく、所定の時間間隔をおいてセンシングすることにより、消費電力の低減を図ることができる。
【0041】
なお、燃料電池システムは、圧力センサ22の代わりに、遮断弁3とパージ弁5との間の経路の圧力と、大気圧との差圧を検出する差圧検出手段である差圧センサを備えるようにしてもよい。これにより、燃料電池システムにおいては、部品点数の削減を図ることが可能となる。
【0042】
[第3実施形態]
つぎに、第3実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、この第3実施形態の説明では、上述の実施形態と同様の部分については同一の符号及び同一のステップ番号を付することによってその詳細な説明を省略するものとする。
【0043】
この第3実施形態に係る燃料電池システムは、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度を検出し、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度降下量に基づいて圧力降下量を推定するものである。
【0044】
[燃料電池システムの構成]
第3実施形態に係る燃料電池システムは、図3を流用して説明すると、圧力センサ22に代えて、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度を検出する温度検出手段である温度センサを備える点で、第2実施形態に係る燃料電池システムとは異なる。
【0045】
このような燃料電池システムは、当該燃料電池システムの停止時には、コントローラ21により、温度センサからのセンサ信号を読み込んで、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度を検出し、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度降下量に基づいて、圧力降下量を推定する。
【0046】
[燃料電池システムの動作]
燃料電池システムは、先に図2に示したように、コントローラ21により、当該燃料電池システムが停止されて遮断弁3及びパージ弁5を閉塞すると、ステップS2において、所定の条件が成立したか否かを判定する。
【0047】
このとき、燃料電池システムにおいては、この所定の条件として、温度センサによって検出された遮断弁3とパージ弁5との間の経路の温度、すなわち、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度が所定値以下となっているか否かを、コントローラ21により判定する。すなわち、燃料電池システムにおいては、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の温度降下量に基づいて推定された圧力と、図示しない大気圧センサによって検出された大気圧との差圧が、燃料電池スタック1内部を劣化させるに至る所定値となっているか否かを、コントローラ21により判定する。なお、燃料電池システムにおいては、コントローラ21によって常に温度センサ23をセンシングするのではなく、所定の時間間隔をおいてセンシングする。
【0048】
ここで、温度降下量に基づく圧力降下量は、温度降下から燃料ガス体積の減少量と、水蒸気の凝縮による気体体積の減少量とを演算し、当該燃料ガス体積の減少量及び水蒸気の凝縮による気体体積の減少量と、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の総体積とに基づいて、コントローラ21により推定される。
【0049】
そして、コントローラ21は、所定の条件が成立したと判定した場合には、パージ弁5を開放し、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12を大気開放する。
【0050】
[第3実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、第3実施形態に係る燃料電池システムにおいては、遮断弁3とパージ弁5との間の経路の温度を検出する温度センサを備え、コントローラ21により、所定の条件として、温度センサによって検出された遮断弁3とパージ弁5との間の経路の温度が、所定値以下であるか否かを判定する。
【0051】
このように、燃料電池システムにおいては、燃料ガス経路内部の温度に基づいて、パージ弁5の開閉動作を行うので、必要な場合にのみパージ弁5を駆動することができる。したがって、燃料電池システムにおいては、パージ弁5を開放することによって起動時間が長くなる機会を必要最小限に削減することができる。
【0052】
また、燃料電池システムにおいては、コントローラ21によって常に温度センサをセンシングするのではなく、所定の時間間隔をおいてセンシングすることにより、消費電力の低減を図ることができる。
【0053】
[第4実施形態]
最後に、第4実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、この第4実施形態の説明では、上述の実施形態と同様の部分については同一の符号を付することによってその詳細な説明を省略するものとする。
【0054】
この第4実施形態に係る燃料電池システムは、大気を燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部に流入させる逆止弁を設けたものである。
【0055】
第4実施形態に係る燃料電池システムは、図4に示すように、遮断弁3とパージ弁5との間の経路、すなわち、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12に、大気を当該燃料ガス供給経路11及び当該燃料ガス循環経路12内部に流入させる逆止弁6を備える。
【0056】
このような燃料電池システムは、当該燃料電池システムの停止時に遮断弁3及びパージ弁5を閉状態にすると、遮断弁3とパージ弁5との間の経路の圧力が低下する。そして、この燃料電池システムでは、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力と大気圧との差圧が、燃料電池スタック1内部を劣化させるに至る所定値以上となった場合には、逆止弁6が自動的に動作して、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12を大気開放し、大気を当該燃料ガス供給経路11及び当該燃料ガス循環経路12内部に流入させる。
【0057】
なお、逆止弁6は、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力と大気圧との差圧が、燃料電池スタック1内部を劣化させるに至る差圧となるときに動作するように設計されている。
【0058】
これにより、第4実施形態に係る燃料電池システムにおいては、圧力センサや温度センサ等の各種センサのセンシングや電磁弁を開閉するための電力を必要とせず、簡便な構成であっても、燃料ガス供給経路11及び燃料ガス循環経路12内部の圧力と大気圧との差圧増大による燃料電池スタック1内部の劣化を効率よく抑制することができる。
【0059】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態として示す燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同燃料電池システムにおいて、当該燃料電池システムの停止時に、燃料ガス中に蓄積される不純物を排出する際の一連の工程を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施の形態として示す燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第4実施の形態として示す燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 燃料ガス供給部
3 遮断弁
4 エジェクタ
5 パージ弁
6 逆止弁
11 燃料ガス供給経路
12 燃料ガス循環経路
21 コントローラ
22 圧力センサ
Claims (10)
- 燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池スタックと、
前記燃料ガスを前記燃料電池スタックに供給する燃料ガス供給経路を有する燃料ガス供給手段と、
前記燃料ガス供給経路に設けられた第1遮断弁と、
前記燃料電池スタックから排出される余剰分の燃料ガスを前記燃料ガス供給経路に戻す燃料ガス循環経路を有する燃料ガス循環手段と、
前記燃料ガス循環経路に設けられ、当該燃料ガス循環経路及び前記燃料ガス供給流路内のガスを外部に排出する第2遮断弁と、
前記システム停止後に、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁を閉塞状態とし、所定の条件が成立した場合に、前記第2遮断弁を開放する制御をする制御手段と
を備えることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記制御手段は、前記所定の条件として、前記システム停止後、所定時間が経過したか否かを判定し、前記所定の条件が成立したと判定した場合には、前記第2遮断弁を開放する制御をすることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池スタック、前記燃料ガス供給経路又は前記燃料ガス循環経路は断熱されて構成されてなり、前記燃料電池スタック、前記燃料ガス供給経路又は前記燃料ガス循環経路の断熱能力に基づいて前記所定の条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記制御手段は、前記第2遮断弁を開放した後に、前記燃料電池スタック内部の燃料ガス系と大気開放されている他の系との間の差圧が所定値まで低減した場合には、再度第2遮断弁を閉塞する制御をすることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記第1遮断弁と前記第2遮断弁との間の経路のガス圧力を検出する圧力検出手段を備え、
前記制御手段は、前記所定の条件として、前記圧力検出手段によって検出されたガス圧力と、大気圧との差圧が、所定値以上であるか否かを判定し、前記所定の条件が成立したと判定した場合に、前記第2遮断弁を開放する制御をすることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記制御手段は、所定の時間間隔にて前記圧力検出手段により検出したガス圧力を読み込むことを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
- 前記第1の遮断弁と前記第2の遮断弁との間の経路の圧力と、大気圧との差圧を検出する差圧検出手段を備え、
前記制御手段は、前記所定の条件として、前記差圧検出手段によって検出された差圧が、所定値以上であるか否かを判定し、前記所定の条件が成立したと判定した場合に、前記第2遮断弁を開放する制御をすることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記第1遮断弁と前記第2遮断弁との間の経路のガス温度を検出する温度検出手段を備え、
前記制御手段は、前記所定の条件として、前記温度検出手段によって検出された前記第1遮断弁と前記第2遮断弁との間の経路の温度が、所定値以下であるか否かを判定し、前記所定の条件が成立したと判定した場合に、前記第2遮断弁を開放する制御をすることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記制御手段は、所定の時間間隔にて前記温度検出手段により検出したガス温度を読み込むことを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
- 燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池スタックと、
前記燃料ガスを前記燃料電池スタックに供給する燃料ガス供給経路を有する燃料ガス供給手段と、
前記燃料ガス供給経路に設けられた第1遮断弁と、
前記燃料電池スタックから排出される余剰分の燃料ガスを前記燃料ガス供給経路に戻す燃料ガス循環経路を有する燃料ガス循環手段と、
前記燃料ガス循環経路に設けられ、当該燃料ガス循環経路及び前記燃料ガス供給流路内のガスを外部に排出する第2遮断弁と、
前記システム停止後に、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁を閉鎖状態とする制御手段と、
前記燃料ガス循環経路に設けられ、前記制御手段により前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁が閉鎖状態とされた後、前記燃料ガス循環経路及び前記燃料ガス 供給流路内のガス圧力と、大気との差圧が所定の圧力差となった場合に、前記燃料ガス供給経路及び前記燃料ガス循環経路内部に大気を流入させる逆止弁と
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006351318A (ja) * | 2005-06-15 | 2006-12-28 | Toyota Motor Corp | 燃料電池システム |
JP2007066688A (ja) * | 2005-08-31 | 2007-03-15 | Hitachi Maxell Ltd | 燃料電池 |
JP2008084704A (ja) * | 2006-09-28 | 2008-04-10 | Hitachi Ltd | 燃料電池システム |
-
2003
- 2003-04-10 JP JP2003106675A patent/JP2004311344A/ja active Pending
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