JP2004311206A - 乾燥装置及び方法、el表示デバイスの製造装置及び製造方法、el表示デバイス並びに電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板Pに形成された材料層を乾燥させる乾燥装置30において、ガスGを噴射させるノズル42が複数個形成されたガス噴射部40と、噴射部40から噴射されたガスGの流量或いは流速が基板Pの中心部から外周部にかけて減少するようにガスGの噴射を制御する調整弁46とを備えるようにした。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に配置された液状材料の乾燥装置及び方法等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレーよりさらに薄い表示装置を作れる有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子が次世代技術として注目されている。生産コストの低減と製品寿命の延長や、テレビなど大型表示装置への応用や、フルカラー化を目指した開発競争が盛んである。
有機EL素子の製造工程では、低分子系材料を用いる場合、所定パターンのマスク越しに異なる発光色の発光材料を所望の画素対応部分に蒸着し形成する方法が行われている。また、高分子系材料を用いる場合、微細かつ容易にパターニングができることから、特開2000−323276号公報に開示されるように、液状材料をインクジェット法により塗布して発光層等の材料層を形成する技術が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−323276号公報(第9頁、第4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インクジェット塗布法による技術では、未だ形成する薄膜の膜厚を十分均一にし得ないといった問題がある。すなわち、一般にインクジェット法で塗布される塗布液は、固形分である膜材料が溶剤に溶解又は分散させられて形成されて、基板上に塗布(吐出)される。そして、薄膜が塗布された基板をヒートプレート上で加熱して溶剤を蒸発させる乾燥処理が施される。この際、基板の中央部の直上では、外周部の直上に比べて、薄膜から蒸発した溶剤蒸気の濃度が高なるため、溶剤の蒸発が起こりにくくなる。その結果、基板の中央部と外周部との乾燥速度が異なり、膜厚が不均一になってしまう。また、基板の大型化に伴い、膜厚が不均一であることにより生ずる問題が顕著となり、特に、有機EL表示装置の発光層が不均一の場合には、色むらの発生原因となってしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、基板上に配置された液状材料を乾燥させて材料層を形成させる際に、材料層の乾燥速度を略同一にして、膜厚が均一な材料層を形成するとともに、発光層の劣化を防止することができる乾燥装置及び方法、EL表示デバイスの製造装置及び方法、EL表示デバイス並びに電気機器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る乾燥装置及び方法、EL表示デバイスの製造装置及び製造方法、EL表示デバイス並びに電子機器では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第1の発明は、基板に形成された材料層を乾燥させる乾燥装置において、ガスを噴射させるノズルが複数個形成されたガス噴射部と、噴射部から噴射されたガスの流量或いは流速が基板の中心部から外周部にかけて減少するようにガスの噴射を制御する調整弁とを備えるようにした。この発明によれば、基板上に配置した材料層に対して吹き付けられるガスの流量或いは流速が、基板の中心部から外周部にかけて減少するので、基板の中心部における材料層の乾燥を周辺部に比べて促進される。したがって、基板の中心部の材料層が外周部に比べて乾燥しづらい状態を解消して、均一な膜厚を確保することができる。
【0007】
また、基板に形成された材料層を乾燥させる乾燥装置において、ガスを噴射させるノズルが複数個形成されたガス噴射部と、噴射部から噴射されたガスの温度が基板の中心部から外周部にかけて上昇或いは下降するようにガスの温度を制御する温度調整部とを備えるようにした。この発明によれば、基板上に配置した材料層に対して吹き付けられるガスの温度が、基板の中心部から外周部にかけて上昇或いは下降するので、基板の中心部における材料層の乾燥を周辺部に比べて促進させることができる。したがって、基板の中心部の材料層が外周部に比べて乾燥しづらい状態を解消して、均一な膜厚を確保することができる。
【0008】
また、基板に形成された材料層を乾燥させる乾燥装置において、ガスを噴射させるノズルが複数個形成されたガス噴射部と、噴射部から噴射されたガスの流量或いは流速が基板の中心部から外周部にかけて減少するようにガスの噴射を制御する調整弁と、噴射部から噴射されたガスの温度が基板の中心部から外周部にかけて上昇或いは下降するようにガスの温度を制御する温度調整部と、を備えるようにした。この発明によれば、基板上に配置した材料層に対して吹き付けられるガスの流量或いは流速が基板の中心部から外周部にかけて減少するとともに、ガスの温度が基板の中心部から外周部にかけて上昇或いは下降するので、基板の中心部における材料層の乾燥を周辺部に比べて促進させることができる。したがって、基板の中心部の材料層が外周部に比べて乾燥しづらい状態を解消して、均一な膜厚を確保することができる。
【0009】
また、ガスが酸素濃度20ppm以下、及び/又は水分濃度20ppm以下のガスであるものでは、発光層の劣化の原因である酸素及び水分を排除しているので、発光層の劣化のない、鮮明な発光を実現できる。
【0010】
第2の発明は、基板に形成された材料層を乾燥させる乾燥方法において、材料層に対してガスを複数のノズルから吹き付ける工程と、ガスの流量或いは流速が基板の中心部から外周部にかけて減少するようにガスの噴射を制御する工程、及び/又はガスの温度が基板の中心部から外周部にかけて上昇或いは下降するようにガスの温度を制御する工程とを有するようにした。この発明によれば、基板上に配置した材料層に対して吹き付けられるガスの流量或いは流速が基板の中心部から外周部にかけて減少するとともに、ガスの温度が基板の中心部から外周部にかけて上昇或いは下降するので、基板の中心部における材料層の乾燥を周辺部に比べて促進させることができる。したがって、基板の中心部の材料層が外周部に比べて乾燥しづらい状態を解消して、均一な膜厚を確保することができる。
【0011】
第3の発明は、発光材料を供給して基板上に発光層を形成する工程を有するEL表示デバイスの製造装置において、発光材料を基板上に配置する成膜装置と、ガスを噴射させるノズルが複数個形成されたガス噴射部と、噴射部から噴射されたガスの流量或いは流速が基板の中心部から外周部にかけて減少するようにガスの噴射を制御する調整弁、及び/又は噴射部から噴射されたガスの温度が基板の中心部から外周部にかけて上昇或いは下降するようにガスの温度を制御する温度調整部と、を備えるようにした。この発明によれば、発光層の膜厚が均一になるので、色むらの発生が抑えられ、滲み等がない、高品質のEL表示デバイスを製造することができる。
また、成膜装置が、発光材料を定量的に滴出する液滴吐出装置であるものでは、発光材料の配置が高精度化されるので、微細なパターンを備えるEL表示デバイスを製造することができ、また、EL表示デバイスの少量多種生産が可能となる。
【0012】
第4の発明は、発光材料を供給して基板上に発光層を形成することによりEL表示デバイスを製造する方法において、発光材料を基板上に配置する工程と、材料層に対してガスを複数のノズルから吹き付ける工程と、ガスの流量或いは流速が基板の中心部から外周部にかけて減少するようにガスの噴射を制御する工程、及び/又はガスの温度が基板の中心部から外周部にかけて上昇或いは下降するようにガスの温度を制御する工程と、を有するようにした。この発明によれば、乾燥むらのない、均一な膜厚の発光層が形成されたEL表示デバイスが製造できる。
【0013】
第5の発明は、EL表示デバイスが第3の発明に係るEL表示デバイスの製造装置、或いは第4の発明に係るEL表示デバイスの製造方法により製造されるようにした。この発明によれば、乾燥むらのない、均一な膜厚の発光層が形成されるので、生産性が向上し、高品質で低コストのEL表示デバイスを提供することができる。
【0014】
第6の発明は、電子機器に第5の発明に係るEL表示デバイスが搭載されるようにした。この発明によれば、高品質で低コストの電子機器を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のデバイス製造装置Sについて図を参照しながら説明する。
図1は本発明のデバイス製造装置(EL表示デバイス製造装置)Sを示す模式図である。デバイス製造装置Sは、成膜装置10、乾燥装置30、制御部60とから構成され、成膜装置10により基板P上に膜を配置し、その膜を乾燥装置30により乾燥させることにより、多層の膜を形成させる。
なお、基板Pは、ガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの合成樹脂等の材料により形成される。
【0016】
成膜装置(液滴吐出装置)10は、インクジェット方式を利用して、液滴を吐出して、基板P上に材料層を配置させるものであり、吐出ヘッド12、タンク14、テーブル装置16を備える。
図2は、吐出ヘッド12の一構成例を説明する分解斜視図である。図3は、吐出ヘッド12の主要部の斜視図一部断面図である。
吐出ヘッド12は、同一の構造を備えた複数のヘッドからなり、インクジェット方式によりそれぞれ液滴を吐出可能である。図2に示すように、吐出ヘッド12は、ノズル211の設けられたノズルプレート210および振動板230が設けられた圧力室基板220を筐体250に嵌め込んだ構成を備える。この吐出ヘッド12の主要部構造は、図3に示すように、圧力室基板220をノズルプレート210と振動板230で挟み込んだ構造を備える。ノズルプレート210は、圧力室基板220と貼り合わせられたときにキャビティ221に対応することとなる位置にノズル211が形成される。圧力室基板220には、シリコン単結晶基板等をエッチングすることにより、各々が圧力室として機能可能にキャビティ221が複数設けられている。キャビティ221間は側壁(隔壁)222で分離されている。各キャビティ221は供給口224を介して共通の流路であるリザーバ223に繋がっている。振動板230は、例えば熱酸化層等により構成される。振動板230にはインクタンク口231が設けられ、タンク14から任意の流動体20を供給可能に構成されている。振動板230上のキャビティ221に相当する位置には、圧電体素子240が形成されている。圧電体素子240は、PZT素子等の圧電性セラミックスの結晶を上部電極および下部電極(図示略)で挟んだ構造を備える。圧電体素子240は、制御部60から供給される吐出信号Shに対応して体積変化を生ずる。
なお、上記吐出ヘッド12は、圧電体素子240に体積変化を生じさせて液滴を吐出させる構成に限らず、発熱体により流動体に熱を加え、その膨張によって液滴を吐出させるようなヘッド構成であってもよい。
【0017】
図1に戻り、タンク14は、それぞれ流動体20を貯蔵し、パイプを通して流動体20を吐出ヘッド12に供給する。流動体20は液状材料として発光材料Kを含む。発光材料Kは、例えば、有機材料であり、低分子の有機材料としてアルミキノリノール錯体(Alq3)があり、高分子の有機材料としてポリパラフェニレンビニレン(PPV)がある。いずれの場合でも、流動体20は吐出ヘッド12から液滴として吐出可能な流動性を呈するように溶媒等で粘度が調整される場合がある。
【0018】
テーブル装置16は、テーブル駆動部17、位置計測部18、テーブル19から構成されて、基板Pを保持するとともに、X方向、Y方向に移動させる。そして、テーブル装置16は、制御部60からの駆動信号Sxに応じてテーブル駆動部17により駆動されて、戴置した基板PをX方向に搬送する。同様に、駆動信号Syに応じて基板PをY方向に搬送する。また、位置計測部18は、テーブル装置16上に載置した基板Pの位置(X方向およびY方向)に対応した信号を制御部60に送る。そして、その信号に応じて制御部60が基板Pの位置を制御する。
【0019】
次に、乾燥装置30について説明する。図4は、乾燥装置30を示す模式図である。図5は、ノズル42の配置を示す図である。
乾燥装置30は、チャンバ32、ガス噴射部40から構成される。チャンバ32は、所定の雰囲気を維持する密閉容器であって、基板Pを搬送する基板搬送口34、基板搬送口34を開閉する開閉扉36、チャンバ32内の気圧調整を行う排気口38を備える。また、ガス噴射部40は、チャンバ32に搬送される基板P上に配置された材料層に乾燥空気等を吹き掛けて乾燥を促進させる装置であり、複数のノズル42、パイプ44、調整弁46、ボンベ48、温度調整部50を備える。ボンベ48には、酸素濃度20ppm以下、水分濃度20ppm以下の乾燥ガス(ガス)Gが充填される。乾燥ガスGには、例えば、窒素(N2)ガス等の不活性ガスが好ましい。また、ノズル42(42−1〜42−25)は、図5に示すように、基板P上に格子状に配置される。そして、温度調整部50は、ボンベ48から送られる乾燥ガスGを加熱或いは冷却して所定の温度に調整する。調整弁46は、可変オリフィス弁等であって、乾燥ガスGの流量や流速を調整する。
更に、チャンバ32内には、基板Pを戴置するホルダ52が設けられ、また、ガス噴射部40には、基板Pに吹き付けられる乾燥ガスGの温度を測定する温度センサ54、羽根車等により乾燥ガスGの流量、流速を測定する流体センサ56が設置される。
そして、温度センサ54、流体センサ56の測定信号は、制御部60に送られ、その信号に応じて制御部60が温度調整部50、調整弁46に指令して、基板Pに吹き付けられる乾燥ガスGの温度、流量、流速を制御する。
なお、ボンベ48に代えて、水分や酸素を除去する乾燥ガス供給機やN2ガス供給機等を用いてもよい。
【0020】
制御部60は、例えばコンピュータ装置でありCPU、メモリ、インターフェース回路等(いずれも図示略)を備える。制御部60は所定のプログラムを実行することにより成膜装置10に発光材料Kを含むの流動体20の吐出を実施させ、また、乾燥装置30に基板P上に配置された材料層の乾燥を実施させる。すなわち、流動体20を吐出させる場合には吐出ヘッド12に吐出信号Shを送り、また、テーブル装置16を移動させる場合にはテーブル駆動部17に駆動信号SxまたはSyを送る。そして、乾燥装置30内の温度センサ54、流体センサ56からの情報に基づいて、温度調整部50、調整弁46に指令して、基板Pに吹き付ける乾燥ガスGの温度、流量、流速を制御する。
【0021】
以上のような構成を備えるデバイス製造装置Sは、以下のように作用する。
まず、予め電極(例えばITO等からなる透明電極)323や正孔輸送層370(図8参照)が形成された基板Pが成膜装置10に搬送される。なお、電子輸送層350を形成しておいてもよい。そして、テーブル装置16上に基板Pが戴置されると、制御部60は駆動信号SxまたはSyを出力して、テーブル装置16を動作させる。テーブル駆動部17は、この駆動信号SxまたはSyに対応して基板Pを吐出ヘッド12に対して相対移動させて、吐出ヘッド12を成膜領域上に移動させる。
次いで、形成すべき膜の種類に応じて流動体20のいずれかを特定し、その流動体20を吐出させるための吐出信号Shを送る。各流動体20は対応する吐出ヘッド12のキャビティ221に流入している。吐出信号Shが供給された吐出ヘッド12では、圧電体素子240がその上部電極と下部電極との間に加えられた電圧に対応した体積変化を生ずる。この体積変化は振動板230を変形させ、キャビティ221の容積を変化させる。この結果、そのキャビティ221のノズル211から流動体20の液滴が基板Pの上面に向けて吐出される。流動体20が吐出されたキャビティ221には吐出によって減った流動体20が新たにタンク14から供給される。
このような作業を繰り返すことにより、基板P上に複数の発光層(材料層)360が配置される。
【0022】
次に、発光層360が配置された基板Pを乾燥装置30に搬送する。基板Pは、基板搬送口34からチャンバ32内に搬入され、ホルダ52上に戴置される。そして、開閉扉36を閉じてガス噴射部40を動作させることにより、乾燥処理が開始される。なお、チャンバ32内の圧力を所定の圧力にするために、排気口38からチャンバ32内のガスが適宜排気される。
ガス噴射部40が動作すると、ボンベ48から送り出される乾燥ガスGがパイプ44を介してノズル42からチャンバ32内に配置された基板Pに向けて吹き付けられる。
基板Pに吹き付けられる乾燥ガスGは、各調整弁46により、ノズル42毎に流量或いは流速が調整される。すなわち、基板Pの中央部の流量を外周部に比べて多くしたり、中央部の流速を外周部に比べて速くしたりする。例えば、ノズル42−1の流速、ノズル42−2〜42−9の流速、ノズル42−10〜42−25の流速の比を、3:2:1にしたり、或いは、ノズル42−1の流量、ノズル42−2〜42−9の流量、ノズル42−10〜42−25の流量の比を、3:2:1にしたりする。このようにして、中央部にから外周部に向けて流量或いは流速が減少するように調整される。
また、基板Pに吹き付けられる乾燥ガスGは、各温度調整部50により、ノズル42毎に温度が調整される。すなわち、中央部に吹き付ける乾燥ガスGの温度を外周部に比べて高くしたり、或いは、逆に中央部の温度を低したりする。例えば、ノズル42−1の温度、ノズル42−2〜42−9の温度、ノズル42−10〜42−25の温度を、それぞれ50℃、40℃、30℃にしたり、或いは、それぞれ30℃、40℃、50℃にしたりする。このようにして、中央部にから外周部に向けて温度が下降したり上昇したりするように調整される。
そして、ノズル42の直前に設けられた温度センサ54及び流体センサ56により、ノズル42毎に乾燥ガスGの温度及び流量、流速が測定される。この測定情報は、制御部60に送られて、各ノズル42から噴出される乾燥ガスGの温度及び流量、流速が制御される。なお、温度及び流量、流速とを同時に調整、制御してもよい。
要するに、基板Pに配置される発光材料Kの特性に合わせて、発光層360の乾燥速度が基板Pの中央部と外周部で略同一になるように調整、制御される。なお、温度、流量、流速の相違による発光層360の乾燥速度は、予め実験等により測定しておき、その情報を制御部60のメモリに入力しておく。
また、基板Pに吹き付ける乾燥ガスGを、酸素濃度20ppm以下、及び/又は水分濃度20ppm以下の乾燥ガスGにすることにより、発光材料Kの劣化を防止することができる。すなわち、発光層360の乾燥の際に、酸素濃度及び水分濃度が発光層360の劣化に大きく関与することが判明したため、酸素濃度及び水分濃度の著しく低い乾燥ガスGを用いることにより、発光層360の劣化を防止するものである。
このような作業により、基板P上に配置された発光層360が均一に乾燥される。
【0023】
以上の工程により、基板P上に発光層360が形成される。その際、ガス噴射部40により基板Pに吹き付けられる乾燥ガスGの流量、流速、温度が調整されるので、発光層360から蒸発する溶媒の濃度の相違に起因して乾燥速度がばらつく事態が回避できる。これにより、発光層360の乾燥むらが抑えられ、基板P全体において均一な膜厚を有する発光層360が形成される。
また、発光層360の劣化に関与する酸素及び水分を著しく低減した乾燥ガスGを用いることにより、発光層360の劣化が防止されるので、鮮やかに発光する発光層360が基板Pの全面に形成される。したがって、色むらがなく、高彩度の表示デバイスを作製することができる。
【0024】
本実施形態では、成膜装置10としてインクジェット方式について説明したが、これに限らず、例えば、ディスペンサにより、発光材料Kを塗布してもよい。
また、基板P上に形成する薄膜は、発光層360に限らず、他の材料層(例えば、導電層)であってもよい。
また、酸素濃度20ppm以下、水分濃度20ppm以下の乾燥ガスGを発光層360に吹き付ける場合について説明したが、他の材料層の場合には、水分濃度のみ抑えた乾燥ガスを用いて乾燥させればよい。
更に、乾燥ガスGを基板Pに吹き付ける場合に限らず、例えば、チャンバ32内を166分の1気圧(水銀柱4.597mm)以下まで圧力を下げた状態にして水分を昇華させる、いわゆるフリーズドドライ技術により、発光層360を乾燥させてもよい。
また、ノズル42の数及び配置は、任意に変更可能である。発光材料Kの特性に合わせて決定すればよい。したがって、格子状に配置する場合に限らず、渦巻き状等に配置してもよい。
【0025】
次に、上述した構成を有するデバイス製造装置Sを用いて、基板Pに対して成膜装置10から発光材料Kを吐出し、乾燥装置30により乾燥処理することにより、基板P上に発光層360等を積層して、基板Pに積層配線パターンを形成する方法の一例について詳述する。
以下の説明では有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスDS及びこれを駆動するTFT(薄膜トランジスタ)を製造する手順を示す。
【0026】
EL表示デバイスDSは、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。
【0027】
ここで、上述したように、成膜装置10は、吐出ヘッドを複数備えており、各吐出ヘッドからはそれぞれ異なる材料を含む発光材料Kが吐出されるようになっている。発光材料Kは、材料を微粒子状にし溶媒及びバインダーを用いてペースト化したものであって、吐出ヘッドが吐出可能な粘度(例えば50cps以下)に設定されている。そして、基板Pに対してこれら複数の吐出ヘッドのうち、第1の吐出ヘッドから第1の材料を含む液状材料を吐出した後これを乾燥(焼成)し、次いで第2の吐出ヘッドから第2の材料を含む液状材料を第1の材料層に対して吐出した後これを乾燥(焼成)し、以下、複数の吐出ヘッドを用いて同様の処理を行うことにより、基板P上に複数の材料層が積層され、多層配線パターンが形成されるようになっている。
【0028】
図6,図7,図8は、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置の一例を示す図であって、図6は有機EL表示デバイスDSの回路図、図7は対向電極や有機エレクトロルミネッセンス素子を取り除いた状態での画素部の拡大平面図である。
【0029】
図6に示す回路図のように、この有機EL表示デバイスDSは、基板上に、複数の走査線311と、これら走査線311に対して交差する方向に延びる複数の信号線312と、これら信号線312に並列に延びる複数の共通給電線313とがそれぞれ配線されたもので、走査線311及び信号線312の各交点毎に、画素ARが設けられて構成されたものである。
【0030】
信号線312に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ線駆動回路302が設けられている。
一方、走査線311に対しては、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路304が設けられている。また、画素領域ARの各々には、走査線311を介して走査信号がゲート電極に供給される第1の薄膜トランジスタ322と、この第1の薄膜トランジスタ322を介して信号線312から供給される画像信号を保持する保持容量capと、保持容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給される第2の薄膜トランジスタ324と、この第2の薄膜トランジスタ324を介して共通給電線313に電気的に接続したときに共通給電線313から駆動電流が流れ込む画素電極323と、この画素電極(陽極)323と対向電極(陰極)522との間に挟み込まれる発光部(発光層)360とが設けられている。
【0031】
このような構成のもとに、走査線311が駆動されて第1の薄膜トランジスタ322がオンとなると、そのときの信号線312の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、第2の薄膜トランジスタ324の導通状態が決まる。そして、第2の薄膜トランジスタ324のチャネルを介して共通給電線313から画素電極323に電流が流れ、さらに発光層360を通じて対向電極522に電流が流れることにより、発光層360は、これを流れる電流量に応じて発光するようになる。
【0032】
ここで、各画素ARの平面構造は、図7に示すように、平面形状が長方形の画素電極323の四辺が、信号線312、共通給電線313、走査線311及び図示しない他の画素電極用の走査線によって囲まれた配置となっている。
【0033】
図8は図6のA−A矢視断面図である。ここで、図8に示す有機EL表示デバイスDSは、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が配置された基板P側とは反対側から光を取り出す形態、いわゆるトップエミッション型である。
【0034】
なお、上述したが、基板Pの形成材料としては、ガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの合成樹脂などが挙げられる。ここで、有機EL表示デバイスDSがトップエミッション型である場合、基板Pは不透明であってもよく、その場合、アルミナ等のセラミック、ステンレス等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
【0035】
一方、TFTが配置された基板側から光を取り出す形態、いわゆるバックエミッション型においては、基板としては透明なものが用いられ、光を透過可能な透明あるいは半透明材料、例えば、透明なガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの透明な合成樹脂などが挙げられる。特に、基板の形成材料としては、安価なソーダガラスが好適に用いられる。
【0036】
図8に示すように、トップエミッション型の有機EL表示デバイスDSは、基板Pと、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等の透明電極材料からなる陽極(画素電極)323と、陽極323から正孔を輸送可能な正孔輸送層370と、電気光学物質の1つである有機EL物質を含む発光層(有機EL層、電気光学素子)360と、発光層360の上面に設けられている電子輸送層350と、電子輸送層350の上面に設けられているアルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)等からなる陰極(対向電極)522と、基板P上に形成され、画素電極323にデータ信号を書き込むか否かを制御する通電制御部としての薄膜トランジスタ(以下、「TFT」と称する)324とを有している。TFT324は、走査線駆動回路304及びデータ線駆動回路302からの作動指令信号に基づいて作動し、画素電極323への通電制御を行う。
【0037】
TFT324は、SiO2を主体とする下地保護層581を介して基板Pの表面に設けられている。このTFT324は、下地保護層581の上層に形成されたシリコン層541と、シリコン層541を覆うように下地保護層581の上層に設けられたゲート絶縁層582と、ゲート絶縁層582の上面のうちシリコン層541に対向する部分に設けられたゲート電極542と、ゲート電極542を覆うようにゲート絶縁層582の上層に設けられた第1層間絶縁層583と、ゲート絶縁層582及び第1層間絶縁層583にわたって開孔するコンタクトホールを介してシリコン層541と接続するソース電極543と、ゲート電極542を挟んでソース電極543と対向する位置に設けられ、ゲート絶縁層582及び第1層間絶縁層583にわたって開孔するコンタクトホールを介してシリコン層541と接続するドレイン電極544と、ソース電極543及びドレイン電極544を覆うように第1層間絶縁層583の上層に設けられた第2層間絶縁層584とを備えている。
【0038】
そして、第2層間絶縁層584の上面に画素電極323が配置され、画素電極323とドレイン電極544とは、第2層間絶縁層584に設けられたコンタクトホール323aを介して接続されている。また、第2層間絶縁層584の表面のうち有機EL素子が設けられている以外の部分と陰極522との間には、合成樹脂などからなる第3絶縁層(バンク層)521が設けられている。
【0039】
なお、シリコン層541のうち、ゲート絶縁層582を挟んでゲート電極542と重なる領域がチャネル領域とされている。また、シリコン層541のうち、チャネル領域のソース側にはソース領域が設けられている一方、チャネル領域のドレイン側にはドレイン領域が設けられている。このうち、ソース領域が、ゲート絶縁層582と第1層間絶縁層583とにわたって開孔するコンタクトホールを介して、ソース電極543に接続されている。一方、ドレイン領域が、ゲート絶縁層582と第1層間絶縁層583とにわたって開孔するコンタクトホールを介して、ソース電極543と同一層からなるドレイン電極544に接続されている。画素電極323は、ドレイン電極544を介して、シリコン層541のドレイン領域に接続されている。
【0040】
次に、図9及び図10を参照しながら図8に示した有機EL表示デバイスDSの製造プロセスについて説明する。
はじめに、基板P上にシリコン層541を形成する。シリコン層541を形成する際には、まず、図9(a)に示すように、基板Pの表面にTEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約200〜500nmのシリコン酸化膜からなる下地保護層581を形成する。
【0041】
次に、図9(b)に示すように、基板Pの温度を約350℃に設定して、下地保護層581の表面にプラズマCVD法あるいはICVD法により厚さ約30〜70nmのアモルファスシリコン膜からなる半導体層541Aを形成する。次いで、この半導体層541Aに対してレーザアニール法、急速加熱法、または固相成長法などによって結晶化工程を行い、半導体層541Aをポリシリコン層に結晶化する。レーザアニール法では、例えばエキシマレーザでビームの長寸が400mmのラインビームを用い、その出力強度は例えば200mJ/cm2 とする。ラインビームについては、その短寸方向におけるレーザ強度のピーク値の90%に相当する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査する。
【0042】
次いで、図9(c)に示すように、半導体層(ポリシリコン層)541Aをパターニングして島状のシリコン層541とした後、その表面に対して、TEOSや酸化ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約60〜150nmのシリコン酸化膜又は窒化膜からなるゲート絶縁層582を形成する。なお、シリコン層541は、図6に示した第2の薄膜トランジスタ324のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となるものであるが、異なる断面位置においては第1の薄膜トランジスタ322のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となる半導体膜も形成されている。つまり、二種類のトランジスタ322、324は同時に形成されるが、同じ手順で作られるため、以下の説明において、トランジスタに関しては、第2の薄膜トランジスタ324についてのみ説明し、第1の薄膜トランジスタ322についてはその説明を省略する。
【0043】
なお、ゲート絶縁層582を多孔性を有するシリコン酸化膜(SiO2膜)としてもよい。多孔性を有するSiO2膜からなるゲート絶縁層582は、反応ガスとしてSi2H6とO3とを用いて、CVD法(化学的気相成長法)により形成される。これらの反応ガスを用いると、気相中に粒子の大きいSiO2が形成され、この粒子の大きいSiO2がシリコン層541や下地保護層581の上に堆積する。そのため、ゲート絶縁層582は、層中に多くの空隙を有し、多孔質体となる。そして、ゲート絶縁層582は多孔質体となることによって低誘電率を有するようになる。
【0044】
なお、ゲート絶縁層582の表面にH(水素)プラズマ処理をしてもよい。これにより、空隙の表面のSi−O結合中のダングリングボンドがSi−H結合に置き換えられ、膜の耐吸湿性が良くなる。そして、このプラズマ処理されたゲート絶縁層582の表面に別のSiO2層を設けてもよい。こうすることにより、低誘電率な絶縁層が形成できる。
また、ゲート絶縁層582をCVD法で形成する際の反応ガスは、Si2H6+O3の他に、Si2H6+O2、Si3H8+O3、Si3H8+O2としてもよい。更に、上記の反応ガスに加えて、B(ホウ素)含有の反応ガス、F(フッ素)含有の反応ガスを用いてもよい。
【0045】
更に、ゲート絶縁層582をインクジェット法を用いて形成してもよい。ゲート絶縁層582を形成するための吐出ヘッド12から吐出させる液状材料としては、上述したSiO2等の材料を適当な溶媒に分散してペースト化したものや、絶縁性材料含有ゾルなどが挙げられる。絶縁性材料含有ゾルとしては、テトラエトキシシラン等のシラン化合物をエタノール等の適当な溶媒に溶かしたものや、アルミニウムのキレート塩、有機アルカリ金属塩または有機アルカリ土類金属塩等を含有する組成物で、焼成すると無機酸化物のみになるように調合したものでもよい。インクジェット法によって形成されたゲート絶縁層582は、この後、予備乾燥される。
【0046】
インクジェット法によってゲート絶縁層582を形成する際には、ゲート絶縁層582を形成するための吐出動作をする前に、下地保護層581やシリコン層541に対して液状材料の親和性を制御する表面処理をしておいてもよい。この場合の表面処理は、UV、プラズマ処理等の親液処理である。こうすることにより、ゲート絶縁層582を形成するための液状材料は下地保護層581などに密着するとともに、平坦化される。
【0047】
次いで、図9(d)に示すように、ゲート絶縁層582上にアルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属を含む導電膜をスパッタ法により形成した後、これをパターニングし、ゲート電極542を形成する。次いで、この状態で高濃度のリンイオンを打ち込み、シリコン層541に、ゲート電極542に対して自己整合的にソース領域541s及びドレイン領域541dを形成する。この場合、ゲート電極542はパターニング用マスクとして用いられる。なお、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域541cとなる。
【0048】
次いで、図9(e)に示すように、第1層間絶縁層583を形成する。第1層間絶縁層583は、ゲート絶縁層582同様、シリコン酸化膜または窒化膜、多孔性を有するシリコン酸化膜などによって構成され、ゲート絶縁層582の形成方法と同様の手順でゲート絶縁層582の上層に形成される。
更に、第1層間絶縁層583の形成工程を、ゲート絶縁層582の形成工程と同様、インクジェット法によって行ってもよい。第1層間絶縁層583を形成するための吐出ヘッド12から吐出させる液状材料としては、ゲート絶縁層582同様、SiO2等の材料を適当な溶媒に分散してペースト化したものや、絶縁性材料含有ゾルなどが挙げられる。絶縁性材料含有ゾルとしては、テトラエトキシシラン等のシラン化合物をエタノール等の適当な溶媒に溶かしたものや、アルミニウムのキレート塩、有機アルカリ金属塩または有機アルカリ土類金属塩等を含有する組成物で、焼成すると無機酸化物のみになるように調合したものでもよい。インクジェット法によって形成された第1層間絶縁層583は、この後、予備乾燥される。
【0049】
インクジェット法によって第1層間絶縁層583を形成する際には、第1層間絶縁層583を形成するための吐出動作をする前に、ゲート絶縁層582上面に対して液状材料の親和性を制御する表面処理をしておいてもよい。この場合の表面処理は、UV、プラズマ処理等の親液処理である。こうすることにより、第1層間絶縁層583を形成するための液状材料はゲート絶縁層582に密着するとともに、平坦化される。
【0050】
そして、この第1層間絶縁層583及びゲート絶縁層582にフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、ソース電極及びドレイン電極に対応するコンタクトホールを形成する。次いで、第1層間絶縁層583を覆うように、アルミニウムやクロム、タンタル等の金属からなる導電層を形成した後、この導電層のうち、ソース電極及びドレイン電極が形成されるべき領域を覆うようにパターニング用マスクを設けるとともに、導電層をパターニングすることにより、ソース電極543及びドレイン電極544を形成する。
【0051】
次に、図示はしないが、第1層間絶縁層583上に、信号線、共通給電線、走査線を形成する。このとき、これらに囲まれる箇所は後述するように発光層等を形成する画素となることから、例えばバックエミッション型とする場合には、TFT324が前記各配線に囲まれた箇所の直下に位置しないよう、各配線を形成する。
【0052】
次いで、図10(a)に示すように、第2層間絶縁層584を、第1層間絶縁層583、各電極543、544、前記不図示の各配線を覆うように形成する。
第1層間絶縁層583はインクジェット法によって形成される。ここで、デバイス製造装置Sの制御部60は、図10(a)に示すように、ドレイン電極544の上面に非吐出領域(非滴下領域)Hを設定し、ドレイン電極544のうち非吐出領域H以外の部分、ソース電極543及び第1層間絶縁層583を覆うように、第2層間絶縁層584を形成するための液状材料を吐出し、第2層間絶縁層584を形成する。こうすることによって、コンタクトホール323aが形成される。あるいは、コンタクトホール323aをフォトリソグラフィ法で形成してもよい。
【0053】
ここで、第2層間絶縁層584を形成するための吐出ヘッド12から吐出させる液状材料としては、第1層間絶縁層583同様、SiO2等の材料を適当な溶媒に分散してペースト化したものや、絶縁性材料含有ゾルなどが挙げられる。絶縁性材料含有ゾルとしては、テトラエトキシシラン等のシラン化合物をエタノール等の適当な溶媒に溶かしたものや、アルミニウムのキレート塩、有機アルカリ金属塩または有機アルカリ土類金属塩等を含有する組成物で、焼成すると無機酸化物のみになるように調合したものでもよい。インクジェット法によって形成された第2層間絶縁層584は、この後、予備乾燥される。
【0054】
インクジェット法によって第2層間絶縁層584を形成する際には、第2層間絶縁層584を形成するための吐出動作をする前に、ドレイン電極544の非吐出領域Hに対して液状材料の親和性を制御する表面処理をしておいてもよい。この場合の表面処理は、撥液処理である。こうすることにより、非吐出領域Hには液状材料が配置されず、コンタクトホール323aを安定して形成できる。また、非吐出領域H以外のドレイン電極544上面、ソース電極543上面、第1層間絶縁層583上面には、予め親液処理を施しておくことにより、第2層間絶縁層584を形成するための液状材料は第1層間絶縁層583やソース電極543、ドレイン電極544のうち非吐出領域H以外に部分に密着するとともに、平坦化される。
【0055】
こうして、第2層間絶縁層584のうちドレイン電極544に対応する部分にコンタクトホール323aを形成しつつ、ドレイン電極544の上層に第2層間絶縁層584を形成したら、図10(b)に示すように、コンタクトホール323aにITO等の導電性材料を充填するように、すなわち、コンタクトホール323aを介してドレイン電極544に連続するように導電性材料をパターニングし、画素電極(陽極)323を形成する。
【0056】
有機EL素子に接続する陽極323は、ITOやフッ素をドープしてなるSnO2、更にZnOやポリアミン等の透明電極材料からなり、コンタクトホール323aを介してTFT324のドレイン電極544に接続されている。陽極323を形成するには、前記透明電極材料からなる膜を第2層間絶縁層584上面に形成し、この膜をパターニングすることにより形成される。
【0057】
陽極323を形成したら、図10(c)に示すように、第2層間絶縁層584の所定位置及び陽極323の一部を覆うように、第3絶縁層521である有機バンク層を形成する。第3絶縁層521はアクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの合成樹脂によって構成されている。具体的な第3絶縁層521の形成方法としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などのレジストを溶媒に融かしたものを、スピンコート、ディップコート等により塗布して絶縁層を形成する。なお、絶縁層の構成材料は、後述する液状材料の溶媒に溶解せず、しかもエッチング等によってパターニングしやすいものであればどのようなものでもよい。更に、絶縁層をフォトリソグラフィ技術等により同時にエッチングして、開口部521aを形成することにより、開口部521aを備えた第3絶縁層521が形成される。
【0058】
ここで、第3絶縁層521の表面には、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域とが形成される。本実施形態においてはプラズマ処理工程により、各領域を形成するものとしている。具体的にプラズマ処理工程は、予備加熱工程と、開口部521aの壁面並びに画素電極323の電極面を親液性にする親液化工程と、第3絶縁層521の上面を撥液性にする撥液化工程と、冷却工程とを有している。
すなわち、基材(第3絶縁層等を含む基板P)を所定温度(例えば70〜80度程度)に加熱し、次いで親液化工程として大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。続いて、撥液化工程として大気雰囲気中で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行い、プラズマ処理のために加熱された基材を室温まで冷却することで、親液性及び撥液性が所定箇所に付与されることとなる。なお、画素電極323の電極面についても、このCF4プラズマ処理の影響を多少受けるが、画素電極323の材料であるITO等はフッ素に対する親和性に乏しいため、親液化工程で付与された水酸基がフッ素基で置換されることがなく、親液性が保たれる。
【0059】
次いで、図10(d)に示すように、陽極323の上面に正孔輸送層370を形成する。ここで、正孔輸送層370の形成材料としては、特に限定されることなく公知のものが使用可能であり、例えば、トリフェニルアミン誘導体(TPD)、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等からなる。具体的には、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示されるが、トリフェニルジアミン誘導体が好ましく、中でも4,4’−ビス(N(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルが好適とされる。
【0060】
なお、正孔輸送層に代えて正孔注入層を形成するようにしてもよく、さらに正孔注入層と正孔輸送層を両方形成するようにしてもよい。その場合、正孔注入層の形成材料としては、例えば銅フタロシアニン(CuPc)や、ポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム等が挙げられるが、特に銅フタロシアニン(CuPc)を用いるのが好ましい。
【0061】
正孔注入/輸送層370を形成する際には、インクジェット法が用いられる。すなわち、上述した正孔注入/輸送層材料を含む組成物液状材料を陽極323の電極面上に吐出した後に、予備乾燥処理を行うことにより、陽極323上に正孔注入/輸送層370が形成される。なお、この正孔注入/輸送層形成工程以降は、正孔注入/輸送層370及び発光層(有機EL層)360の酸化を防止すべく、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。例えば、吐出ヘッド(不図示)に正孔注入/輸送層材料を含む組成物液状材料を充填し、吐出ヘッドの吐出ノズルを陽極323の電極面に対向させ、吐出ヘッドと基材(基板P)とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御されたインキ滴を電極面に吐出する。次に、吐出後の液滴を乾燥処理して組成物液状材料に含まれる極性溶媒を蒸発させることにより、正孔注入/輸送層370が形成される。
【0062】
なお、組成物液状材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体と、ポリスチレンスルホン酸等との混合物を、イソプロピルアルコール等の極性溶媒に溶解させたものを用いることができる。ここで、吐出された液滴は、親液処理された陽極323の電極面上に広がり、開口部521aの底部近傍に満たされる。その一方で、撥液処理された第3絶縁層521の上面には液滴がはじかれて付着しない。したがって、液滴が所定の吐出位置からはずれて第3絶縁層521の上面に吐出されたとしても、該上面が液滴で濡れることがなく、はじかれた液滴が第3絶縁層521の開口部521a内に転がり込むものとされている。
【0063】
次いで、正孔注入/輸送層370上面に発光層360を形成する。発光層360の形成材料としては、特に限定されることなく、低分子の有機発光色素や高分子発光体、すなわち各種の蛍光物質や燐光物質からなる発光物質が使用可能である。発光物質となる共役系高分子の中ではアリーレンビニレン構造を含むものが特に好ましい。低分子蛍光体では、例えばナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、ポリメチン系、キサテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキノリンおよびその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン誘導体等、または特開昭57−51781、同59−194393号公報等に記載されている公知のものが使用可能である。
【0064】
発光層360は、正孔注入/輸送層370の形成方法と同様の手順で形成される。すなわち、インクジェット法によって発光層材料を含む組成物液状材料を正孔注入/輸送層370の上面に吐出した後に、予備乾燥処理を行うことにより、第3絶縁層521に形成された開口部521a内部の正孔注入/輸送層370上に発光層360が形成される。この発光層形成工程も上述したように不活性ガス雰囲気下で行われる。吐出された組成物液状材料は撥液処理された領域ではじかれるので、液滴が所定の吐出位置からはずれたとしても、はじかれた液滴が第3絶縁層521の開口部521a内に転がり込む。
【0065】
次いで、発光層360の上面に電子輸送層350を形成する。電子輸送層350も発光層360の形成方法と同様、インクジェット法により形成される。電子輸送層350の形成材料としては、特に限定されることなく、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体等が例示される。具体的には、先の正孔輸送層の形成材料と同様に、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示され、特に2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウムが好適とされる。インクジェット法により組成物液状材料を吐出した後、予備乾燥処理が行われる。
【0066】
なお、前述した正孔注入/輸送層370の形成材料や電子輸送層350の形成材料を発光層360の形成材料に混合し、発光層形成材料として使用してもよく、その場合に、正孔注入/輸送層形成材料や電子輸送層形成材料の使用量については、使用する化合物の種類等によっても異なるものの、十分な成膜性と発光特性を阻害しない量範囲でそれらを考慮して適宜決定される。通常は、発光層形成材料に対して1〜40重量%とされ、さらに好ましくは2〜30重量%とされる。
【0067】
次いで、図10(e)に示すように、電子輸送層350及び第3絶縁層521の上面に陰極522を形成する。陰極522は、電子輸送層350及び第3絶縁層521の表面全体、あるいはストライプ状に形成されている。陰極522については、もちろんAl、Mg、Li、Caなどの単体材料やMg:Ag(10:1合金)の合金材料からなる1層で形成してもよいが、2層あるいは3層からなる金属(合金を含む。)層として形成してもよい。具体的には、Li2 O(0.5nm程度)/AlやLiF(0.5nm程度)/Al、MgF2 /Alといった積層構造のものも使用可能である。陰極222は上述した金属からなる薄膜であり、光を透過可能である。
【0068】
なお、上記実施形態では、各絶縁層を形成する際にインクジェット法を用いているが、ソース電極543やドレイン電極544、あるいは陽極323や陰極522を形成する際にインクジェット法を用いてもよい。予備乾燥処理は、組成物液状材料のそれぞれを吐出後、行われる。
【0069】
なお、導電性材料層を構成する導電性材料(デバイス形成用材料)としては、所定の金属、あるいは導電性ポリマーが挙げられる。
金属としては、金属ペーストの用途によって銀、金、ニッケル、インジウム、錫、鉛、亜鉛、チタン、銅、クロム、タンタル、タングステン、パラジウム、白金、鉄、コバルト、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、スカンジウム、ロジウム、イリジウム、バナジウム、ルテニウム、オスミウム、ニオブ、ビスマス、バリウムなどのうち少なくとも1種の金属又はこれらの合金が挙げられる。また、酸化銀(AgO又はAg2O)や酸化銅なども挙げられる。
【0070】
また、上記導電性材料を吐出ヘッドから吐出可能にペースト化する際の有機溶媒としては、炭素数5以上のアルコール類(例えばテルピネオール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、フェネチルアルコール)の1種以上を含有する溶媒、又は有機エステル類(例えば酢酸エチル、オレイン酸メチル、酢酸ブチル、グリセリド)の1種以上を含有する溶媒であればよく、使用する金属又は金属ペーストの用途によって適宜選択できる。更には、ミネラルスピリット、トリデカン、ドデシルベンゼンもしくはそれらの混合物、又はそれらにα−テルピネオールを混合したもの、炭素数5以上の炭化水素(例えば、ピネン等)、アルコール(例えば、n−ヘプタノール等)、エーテル(例えば、エチルベンジルエーテル等)、エステル(例えば、n−ブチルステアレート等)、ケトン(例えば、ジイソブチルケトン等)、有機窒素化合物(例えば、トリイソプロパノールアミン等)、有機ケイ素化合物(シリコーン油等)、有機硫黄化合物もしくはそれらの混合物を用いることもできる。なお、有機溶媒中に必要に応じて適当な有機物を添加してもよい。そして、これら溶媒に応じて、予備乾燥処理の際のガス温度が設定される。
【0071】
上記実施形態の有機EL表示デバイスDSを備えた電子機器EQの例について図11を参照して説明する。
図11(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図11(a)において、携帯電話1000(電子機器EQ)は、上記の有機EL表示デバイスDSを用いた表示部1001を備える。
図11(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図11(b)において、腕時計1100(電子機器EQ)は、上記の有機EL表示デバイスDSを用いた表示部1101を備える。
図11(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図11(c)において、情報処理装置1200(電子機器EQ)は、キーボードなどの入力部1202、情報処理装置本体1204、上記の有機EL表示デバイスDSを用いた表示部1206を備える。
以上のように、図11(a)〜(c)に示す電子機器EQは、上記実施の形態の有機EL表示デバイスDSを表示部として備えているので、表示品位に優れ、明るい画面の有機EL表示部を備えた電子機器を実現することができる。
【0072】
上記実施形態は、本発明のデバイスの製造方法を、有機EL表示デバイスの駆動用TFTの配線パターン形成に適用したものであるが、有機EL表示デバイスに限らず、PDP(プラズマディスプレイパネル)デバイスの配線パターンの製造、液晶表示デバイスの配線パターンの製造など、各種多層配線デバイスの製造に適用可能である。そして、各種多層配線デバイスを製造するに際し、導電性材料層及び絶縁性材料層のうちいずれの材料層を形成する際にもインクジェット法を適用できる。
【0073】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施の形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】デバイス製造装置を示す模式図である。
【図2】吐出ヘッドの分解斜視図である。
【図3】吐出ヘッドの主要部の斜視図一部断面図である。
【図4】乾燥装置を示す模式図である。
【図5】ノズルの配置図である。
【図6】アクティブマトリクス型有機EL表示装置を示す回路図である。
【図7】有機EL表示装置における画素部の平面構造を示す拡大図である。
【図8】有機EL表示装置の層構成を示す図である。
【図9】有機EL表示装置の製造方法を示す説明図である。
【図10】有機EL表示装置の製造方法を示す説明図である。
【図11】有機EL表示装置を備えた電子機器を示す図である。
【符号の説明】
S デバイス製造装置(EL表示デバイス製造装置) 10 成膜装置(液滴吐出装置) 30 乾燥装置 40 ガス噴射部 42 ノズル
46 調整弁 50 温度調整部 360 発光層(材料層) P 基板 K 発光材料 G 乾燥ガス(ガス) DS EL表示デバイス EQ 電子機器
Claims (10)
- 基板に形成された材料層を乾燥させる乾燥装置であって、
ガスを噴射させるノズルが複数個形成されたガス噴射部と、前記噴射部から噴射されたガスの流量或いは流速が前記基板の中心部から外周部にかけて減少するように前記ガスの噴射を制御する調整弁とを備えること特徴とする乾燥装置。 - 基板に形成された材料層を乾燥させる乾燥装置であって、
ガスを噴射させるノズルが複数個形成されたガス噴射部と、前記噴射部から噴射されたガスの温度が前記基板の中心部から外周部にかけて上昇或いは下降するように前記ガスの温度を制御する温度調整部とを備えること特徴とする乾燥装置。 - 基板に形成された材料層を乾燥させる乾燥装置であって、
ガスを噴射させるノズルが複数個形成されたガス噴射部と、前記噴射部から噴射されたガスの流量或いは流速が前記基板の中心部から外周部にかけて減少するように前記ガスの噴射を制御する調整弁と、前記噴射部から噴射されたガスの温度が前記基板の中心部から外周部にかけて上昇或いは下降するように前記ガスの温度を制御する温度調整部と、を備えること特徴とする乾燥装置。 - 前記ガスは、酸素濃度20ppm以下、及び/又は水分濃度20ppm以下のガスであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の乾燥装置。
- 基板に形成された材料層を乾燥させる乾燥方法において、
前記材料層に対してガスを複数のノズルから吹き付ける工程と、前記ガスの流量或いは流速が前記基板の中心部から外周部にかけて減少するように前記ガスの噴射を制御する工程、及び/又は前記ガスの温度が前記基板の中心部から外周部にかけて上昇或いは下降するように前記ガスの温度を制御する工程と、を有することを特徴とする乾燥方法。 - 発光材料を供給して基板上に発光層を形成する工程を有するEL表示デバイスの製造装置において、
前記発光材料を前記基板上に配置する成膜装置と、ガスを噴射させるノズルが複数個形成されたガス噴射部と、前記噴射部から噴射されたガスの流量或いは流速が前記基板の中心部から外周部にかけて減少するように前記ガスの噴射を制御する調整弁、及び/又は前記噴射部から噴射されたガスの温度が前記基板の中心部から外周部にかけて上昇或いは下降するように前記ガスの温度を制御する温度調整部と、を備えるEL表示デバイスの製造装置。 - 前記成膜装置は、前記発光材料を定量的に滴出する液滴吐出装置であることを特徴とする請求項6に記載のEL表示デバイスの製造装置。
- 発光材料を供給して基板上に発光層を形成することによりEL表示デバイスを製造する方法において、
前記発光材料を前記基板上に配置する工程と、前記材料層に対してガスを複数のノズルから吹き付ける工程と、前記ガスの流量或いは流速が前記基板の中心部から外周部にかけて減少するように前記ガスの噴射を制御する工程、及び/又は前記ガスの温度が前記基板の中心部から外周部にかけて上昇或いは下降するように前記ガスの温度を制御する工程と、を有することを特徴とするEL表示デバイスの製造方法。 - 請求項6又は請求項7に記載のEL表示デバイスの製造装置、或いは請求項8に記載のEL表示デバイスの製造方法により製造されることを特徴とするEL表示デバイス。
- 請求項9に記載のEL表示デバイスが搭載されることを特徴とする電子機器。
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