JP2004305912A - 液状材料の乾燥方法、乾燥装置、デバイスの製造方法、デバイスの製造装置、デバイス及び電気機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】可撓性を有する基板上に配置された液状材料を乾燥させて成膜させる際に、連続的な乾燥処理と、スペース効率や生産性を向上させることが可能な乾燥方法、乾燥装置、デバイスの製造方法、デバイスの製造装置、デバイス及び電気機器を提供することを目的とする。
【解決手段】可撓性を有する基板P上に供給された液状材料を乾燥させる方法において、外周を加熱されたローラー35,36,45に基板Pを巻き付けて、ローラー35,36,45の外周温度とローラー35,36,45との接触時間とに基づいて与えられる熱量により、液状材料を加熱して乾燥させるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】可撓性を有する基板P上に供給された液状材料を乾燥させる方法において、外周を加熱されたローラー35,36,45に基板Pを巻き付けて、ローラー35,36,45の外周温度とローラー35,36,45との接触時間とに基づいて与えられる熱量により、液状材料を加熱して乾燥させるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可撓性を有する基板上に配置された液状材料の乾燥方法、乾燥装置、デバイスの製造方法、デバイスの製造装置、デバイス及び電気機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路など微細な配線パターンを有するデバイスの製造方法、及び液晶ディスプレー或いは有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子の製造方法として、インクジェット方式を用いた製造方法が注目されている。これらの製造技術では、パターン形成面にパターン形成用材料を含んだ液状材料を吐出ヘッドから吐出することにより基板上に材料層を成膜して、デバイスを形成するものであり、少量多種生産に対応可能である点などにおいて大変有効である。そして、デバイスを製造するには、液状材料を基板上に配置する工程と、ホットプレートや電気炉などを用いて配置した液状材料を乾燥する工程とを行うことにより、材料層が成膜されている。
上述したデバイスの製造方法における乾燥工程では、液状材料が配置された基板を一定量あるいは一定期間蓄積し、まとめて一括処理する方法、いわゆるバッチ処理により乾燥処理を行っている。そのため、待ち時間や段取り時間が多く、生産効率を向上させることが困難であった。
一方、可撓性を有するフィルム状の基板に塗布された液状材料を乾燥する技術においては、特開平6−273899号公報に開示されているように、ヒートローラーを用いて連続的な乾燥処理を行うものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−273899号公報(第8頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した技術では、可撓性を有するフィルム状の基板の両面がヒートローラーに接触して乾燥処理されるため、インクジェット方式を用いて液状材料が配置された基板の乾燥には不向きである。すなわち、液状材料の塗布面をヒートローラーに接触させると、液状材料の形状が崩れて、所望のパターンが形成できないからである。また、乾燥時間を増やすためには、ヒートローラーの数量や径を増やしたり、ヒートローラーの回転速度を低下させたりする必要があり、スペース効率や生産性が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、可撓性を有する基板上に配置された液状材料を乾燥させて成膜させる際に、連続的な乾燥処理と、スペース効率や生産性を向上させることが可能な乾燥方法、乾燥装置、デバイスの製造方法、デバイスの製造装置、デバイス及び電気機器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液状材料の乾燥方法、乾燥装置、デバイスの製造方法、デバイスの製造装置、デバイス及び電気機器では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第1の発明は、可撓性を有する基板(P)上に供給された液状材料(K)を乾燥させる方法において、外周を加熱されたローラー(35,36,45)に基板((P)を巻き付けて、ローラー(35,36,45)の外周温度とローラー(35,36,45)との接触時間とに基づいて与えられる熱量により、液状材料(K)を加熱して乾燥させるようにした。この発明によれば、可撓性を有する基板上がヒートローラーに巻き付けられながら加熱されるので、基板上に供給された液状材料を連続的、動的に乾燥させることができる。また、基板が移動しながら乾燥されるので、液状材料等に含まれる溶媒の蒸気が基板の直上で停滞して溶媒の蒸発が妨げられる事態を回避でき、乾燥むらの発生を抑えることができる。
【0007】
また、ローラー(35,36,45)に基板(P)を巻き付ける際に、螺旋状に巻き付けられるようにしたものでは、基板どおしが重なることなく、基板がヒートローラーに接触する時間を長くさせることができる。したがって、簡単に乾燥時間を変化させることができる。
また、ローラー(35,36,45)に基板(P)を巻き付ける際に、基板(P)の裏面がローラーに接するように巻き付けられるようにしたものでは、液状材料が配置された基板の表面がヒートローラーに接しないので、配置された液状材料の形状を崩すことがなく、所望のパターンを形成することができる。
【0008】
第2の発明は、可撓性を有する基板(P)上に供給された液状材料(K)を乾燥させる装置(30,40)において、外周を加熱された少なくとも1以上のローラー(35,36,45)と、ローラー(35,36,45)に巻き付けられた搬送路に基板(P)を連続的に移動させる基板搬送装置(50)とを備えるようにした。この発明によれば、可撓性を有する基板上がヒートローラーに巻き付けられながら加熱されるので、基板上に供給された液状材料を連続的、動的に乾燥させることができる。また、ヒートローラーへの巻き付け数により乾燥時間を管理できるので、装置を大型化させることなく、長時間の乾燥を行うことも可能となる。
また、ローラー(35,36,45)の温度を変えることで、連続的に異なる温度処理を行うことができるものでは、液状材料の特性等に合わせて乾燥条件を連続的に変化させることができるので、適切に液状材料を乾燥させることができる。
また、ローラー(35,36,45)が略密閉されたチャンバ(31,41)内に収容されるようにしたものでは、チャンバ内の雰囲気を乾燥に適する状態にすることにより、更に液状材料の効率的な乾燥が可能となり、乾燥むらの発生を抑えることができる。
【0009】
第3の発明では、可撓性を有する基板(P)上に液状材料(K)を供給し基板(P)上に複数の材料層を積層する工程を有するデバイス(DS)の製造方法において、液状材料(K)を基板(P)上に設置する成膜工程と、第1の発明に係る乾燥方法により基板(P)上に配置された液状材料(K)を乾燥させる乾燥工程とを有するようにした。この発明によれば、乾燥工程において乾燥むらが発生しづらいので、均一な材料層が積層されたデバイスを製造することができる。
【0010】
第4の発明では、可撓性を有する基板(P)上に液状材料(K)を供給し基板(P)上に複数の材料層を積層する工程を有するデバイス(DS)の製造装置(S)において、液状材料(K)を基板(P)上に設置する成膜装置(10,20)と、第2の発明に係る乾燥装置(30,40)とを備えるようにした。この発明によれば、乾燥むらが発生しづらい乾燥装置が用いられるので、均一な材料層が積層されたデバイスを製造することができる。
また、成膜装置(10,20)が、液状材料(K)を定量的に滴出する液滴吐出装置(10,20)であるものでは、液状材料の配置が高精度化されるので、微細なパターンを備えるデバイスを製造することができ、また、デバイスの少量多種生産が可能となる。
【0011】
第5の発明では、第3の発明に係るデバイスの製造方法、或いは第4の発明に係るデバイス製造装置(S)によりデバイス(DS)が製造されるようにした。この発明によれば、乾燥むらがなく、均一な材料層が積層されたデバイスが製造されるので、生産性が向上し、高品質で低コストのデバイスを提供することができる。
【0012】
第6の発明では、第5の発明に係るデバイス(DS)を電子機器(800)に搭載するようにした。この発明によれば、高品質で低コストの電子機器を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のデバイス製造装置Sについて図を参照しながら説明する。図1は本発明のデバイス製造装置Sを示す模式図である。
図1において、デバイス製造装置Sは、基板P上に液状材料を設置する液滴吐出装置10,20と、基板P上に設置された液状材料を乾燥する乾燥装置30,40と、基板Pを連続的に移動・運搬する基板搬送装置50、及び制御装置60とを備える。
そして、基板搬送装置50による基板Pの移動の方向(X方向)に沿って、上流側から液滴吐出装置10、乾燥装置30、液滴吐出装置20、乾燥装置40の順に配置されるとともに、これらの装置が基板Pの移動に連動して基板P上への液状材料の配置及び乾燥を行うことにより、流れ作業による各種デバイスの生産を行う。
【0014】
本発明で用いられる基板Pは、薄いプラスチックやフィルム状の可撓性を有する基板、いわゆるフレキシブル基板である。基板Pの材料としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトンなどのプラスチックなどの透明材料が採用可能である。
基板Pの表面のパターン形成領域には、液滴吐出装置10、20から吐出された液滴Dが着弾して、発光層や導電層等が成膜される。基板Pの裏面には、弱粘着性の接着剤が塗布されて、後述するベルト51への貼り付け、剥離が可能となっている。
【0015】
まず、基板搬送装置50は、基板Pを載置するベルト51とベルト駆動部52と複数のローラー53からなり、ベルト51上に基板Pを載せて、後述する各装置間を移動させる、いわゆるベルトコンベア装置である。なお、基板Pは、ベルト51の表面に貼り付けられる。ベルト51は、可撓性を備え、熱伝導性に優れる物質からなる。例えば、金属やプラスチック等をフィルム状に形成したものである。
ベルト駆動部52は、ベルト51を連続的に移動させる装置であって、複数のローラー53を回転駆動させることにより、これらのローラー53に接するベルト51を任意の速度Vで移動させることができる。ベルト駆動部52は、制御装置60からの信号に応じて駆動されるとともに、ローラー53の回転速度情報が制御装置60に送られる。そして、ローラー53の回転速度からベルト51の移動速度(すなわち、基板Pの移動速度)Vが求められ、ベルト51上に載置した基板Pの移動速度Vが所定速度となるように制御される。
なお、ベルト51は、ベルト51の裏面が全てのローラー53と接するように配置される。ベルト51の表面に貼り付けられる基板Pがローラー53と接触しないようにするためである。
【0016】
図2は、液滴吐出装置10、20を示す図である。液滴吐出装置10、20は、上述したベルト51上に配置され、ベルト51上に載置された基板Pに対して液滴Dを吐出して、基板P上に所定のパターンで材料層を設置するインクジェット装置であり、それぞれ吐出ヘッド11、21、タンク12、22、ヘッド移動装置14、24から構成される。図2に示すように、吐出ヘッド11、12は、それぞれ複数の吐出ヘッドから構成され、タンク12、22も複数のタンクから構成される。
図3は、吐出ヘッド11、21の一構成例を説明する分解斜視図である。吐出ヘッド11、12は、それぞれ同一の構造を備え、インクジェット方式によりそれぞれ液滴Dを吐出可能である。図3に示すように、吐出ヘッド11は、ノズル211の設けられたノズルプレート210および振動板230が設けられた圧力室基板220を筐体250に嵌め込んだ構成を備える。
図4は、吐出ヘッド11の主要部の斜視図一部断面図である。図4に示すように、吐出ヘッド11の主要部構造は、圧力室基板220をノズルプレート210と振動板230で挟み込んだ構造を備える。ノズルプレート210は、圧力室基板220と貼り合わせられたときにキャビティ221に対応することとなる位置にノズル211が形成される。圧力室基板220には、シリコン単結晶基板等をエッチングすることにより、各々が圧力室として機能可能にキャビティ221が複数設けられている。キャビティ221間は側壁(隔壁)222で分離されている。各キャビティ221は供給口224を介して共通の流路であるリザーバ223に繋がっている。振動板230は、例えば熱酸化層等により構成される。振動板230にはインクタンク口231が設けられ、タンク12から任意の流動体13を供給可能に構成されている。振動板230上のキャビティ221に相当する位置には、圧電体素子240が形成されている。圧電体素子240は、PZT素子等の圧電性セラミックスの結晶を上部電極および下部電極(図示略)で挟んだ構造を備える。圧電体素子240は、制御装置60から供給される吐出信号Shに対応して体積変化を生ずる。
なお、上記吐出ヘッド11、21は、圧電体素子240に体積変化を生じさせて液滴Dを吐出させる構成に限らず、発熱体により後述する流動体13,23に熱を加え、その膨張によって液滴Dを吐出させるようなヘッド構成であってもよい。
【0017】
図2に戻り、タンク12、22は、それぞれ流動体13、23を貯蔵し、パイプを通して流動体13,23を吐出ヘッド11、21に供給する。流動体13,23は発光材料や導電材料等の液状材料Kを含む。発光材料としては、例えば、有機材料であり、低分子の有機材料としてアルミキノリノール錯体(Alq3)があり、高分子の有機材料としてポリパラフェニレンビニレン(PPV)がある。いずれの場合でも、流動体13、23は吐出ヘッド11、21から液滴Dとして吐出可能な流動性を呈するように溶媒等で粘度が調整される。
【0018】
ヘッド移動装置14、24は、液滴吐出装置10、20のそれぞれの吐出ヘッド11、21をベルト51の幅方向(Y方向)に移動可能に構成される。そして、ヘッド移動装置14、24は、それぞれ制御装置60からの駆動信号S1、S2に応じて吐出ヘッド11、21をY方向に駆動して、基板Pのパターン形成領域上に移動させて、更に吐出信号Sh、Stを送って吐出ヘッド11、21から吐出される液滴Dを基板Pの所定位置に配置可能にする。
また、ヘッド移動装置14、24には、不図示のヘッド位置計測部15、25が設けられ、吐出ヘッド11、21の位置(Y方向)に対応した信号が制御装置60に送られる。そして、その信号に応じて制御装置60が吐出ヘッド11、21の位置を制御する。
【0019】
図1に戻り、乾燥装置30,40は、基板搬送装置50により搬送される基板P上に設置された液状材料Kを乾燥する装置であって、それぞれ、チャンバ31、41とヒートローラー35、36、45を備える。
チャンバ31、41は、それぞれ略密閉された容器であって、内部に搬入される基板P上に配置された液状材料Kの乾燥に適した雰囲気環境が維持される。例えば、チャンバ31、41内を所定のガスで充満させたり、温度や湿度を一定に維持したり、内部の気体を循環させたりする。そして、チャンバ31、41には、ベルト51を連続的に搬入、搬出するために、ベルト51の断面よりもやや大きい形状のスリット32、33、42、43が設けられる。
ヒートローラー35、36、45は、チャンバ31、41内に回転可能に支持され、その表面が所定の温度となるように加熱される。ヒートローラー35、36、45は、加熱に適する材質であればよく、更に好ましくは、基板Pとの接触により帯電しないように鉄、銅、アルミ等の金属から形成されるとよい。また、ヒートローラー35、36、45の直径(円周長)、長さ(Y方向の長さ)は、基板Pの乾燥時間により任意に設定することができる。
図5は、ヒートローラー35、36、45を示す斜視図である。そして、図5に示すように、ヒートローラー35、36、45の表面にベルト51が巻きつけられる。ベルト51の裏面側のみがヒートローラー35、36、45と接触するように巻きつけられる。ベルト51の表面側には、基板Pが貼り付けられるからである。また、ベルト51は、図5(a)に示すように、ヒートローラー35、36、45に螺旋状に巻きつけられる。ベルト51の巻きつけ数は、基板Pの乾燥時間により任意に設定することができる。チャンバ41のように、同一チャンバ内に複数のヒートローラー35、36が配置される場合には、図5(b)のように、ベルト51がヒートローラー35に巻き付けられた後にヒートローラー36に巻きつけられる。ベルト51の巻きつけ数は、ヒートローラー35、36、45毎に任意に設定される。
このように、基板Pがベルト51に沿って、チャンバ31、41のスリット32、42からチャンバ31,41内に搬送され、ヒートローラー35、36、45の表面に基板Pの裏面が接触するように複数回巻きつけられ、そして、スリット33、43から外部に搬出される搬送路が形成される。
なお、ヒートローラー35、36、45には、螺旋状に巻きつけられたベルト51どおしが重ならないように不図示のガイドが設けられる。ガイドは、ヒートローラー35、36、45表面に螺旋状の凸部を設けたものや、ヒートローラー35、36、45の表面に接触する櫛の歯状のものであってもよい。また、ヒートローラー35、36、45の形状をテーパー状に形成して、直径が大きい部分(ベルト51の導入部)から小さい部分(ベルト51の導出部)に向けてベルト51が円滑に移動するようにしてもよい。
【0020】
図1、図2に戻り、制御装置60は、例えばコンピュータ装置でありCPU、メモリ、インターフェース回路等(いずれも図示略)を備える。制御装置60は所定のプログラムを実行することによりデバイス製造装置Sに液状材料Kを含むの流動体13、23を配置し、乾燥させて、材料層を形成させる。すなわち、ベルト駆動部52に駆動信号を送り、所定の速度Vで基板Pを移動させる。そして、基板Pの移動に連動させてヘッド移動装置14、24に駆動信号S1、S2を送って吐出ヘッド11、21を移動させ、吐出ヘッド11、12に吐出信号Sh、Stを送り、流動体13、21の吐出を実施させる。更に、ヒートローラー35、36、45の温度制御及びチャンバ31、41の雰囲気制御を行う。
なお、液滴吐出装置10、20の上流側には、それぞれベルト51上に配置した基板Pを検出するカメラ61、62が備えられ、カメラ61、62からの画像情報と基板Pの移動速度V等に基づいて、吐出ヘッド11、21の移動と吐出のタイミングを計り、基板Pの所定位置に液滴Dを吐出するように制御している。
【0021】
以上のような構成を備えるデバイス製造装置Sは、以下のように作用する。
本発明のデバイスの製造方法では、液滴吐出装置10と乾燥装置30により材料層が形成される第1工程と、液滴吐出装置20と乾燥装置40により材料層が形成される第2工程とからなる。
まず、第1工程では、制御装置60からの指令により、ベルト駆動部52がローラー53を回転駆動して、ベルト51を所定の速度Vで移動させる。そして、ベルト51に複数の基板Pを戴置される。基板Pは、裏面に塗布された接着剤により、ベルト51に固定され、ベルト51の移動に伴って速度Vで移動する。
そして、カメラ61により、ベルト51上に戴置した基板Pの計測され、その情報が制御装置60に送られる。制御装置60は、基板Pの移動速度Vとカメラ61と液滴吐出装置10の位置関係に基づいて、タイミングを計って、液滴吐出装置10に駆動信号S1と吐出信号Shを送る。
【0022】
駆動信号S1と吐出信号Shを受けた液滴吐出装置10は以下のように作用する。まず、基板Pが液滴吐出装置10の下に移動すると同時に、制御装置60は駆動信号S1を出力して、ヘッド移動装置14を動作させる。ヘッド移動装置14は、この駆動信号S1に対応して吐出ヘッド21を移動させて、基板Pの回路パターン形成領域上に移動させる。
次いで、制御装置60は形成すべき回路パターンの種類に応じて流動体13を特定し、その流動体13を吐出させるための吐出信号Shを送る。各流動体13は対応する吐出ヘッド11のキャビティ221に流入している。吐出信号Shが供給された吐出ヘッド11では、圧電体素子240がその上部電極と下部電極との間に加えられた電圧に対応した体積変化を生ずる。この体積変化は振動板230を変形させ、キャビティ221の容積を変化させる。この結果、そのキャビティ221のノズル211から流動体13の液滴Dが基板Pの上面に向けて吐出され、着弾する。流動体13が吐出されたキャビティ221には吐出によって減った流動体13が新たにタンク12から供給される。
以上のようにして、基板P上の指定位置に発光材料等の液状材料Kが配置される。
【0023】
次に、基板Pは、ベルト51の移動に伴って乾燥装置30に搬入される。基板Pは、ベルト51とともにスリット32からチャンバ31内に搬入され、ベルトとともに、熱源によって外周が加熱されたヒートローラー35、36に巻きつく。この時、基板Pの裏面側がヒートローラー35、36の表面と接触し、ヒートローラー35、36は、巻きつけられたベルト51の移動とともに回転する。これにより、ヒートローラー35、36の外周の温度とヒートローラー35、36との接触時間とに基づいて与えられる熱量によって、基板Pの裏面側から液状材料Kが加熱され、溶媒を蒸発させる。
例えば、ヒートローラー35、36の表面温度をそれぞれ50℃、80℃。また、ヒートローラー35、36の円周長をそれぞれ1m、1.5m。ベルト51の巻きつけ数をそれぞれ5巻、10巻であって、基板Pの移動速度Vが毎分5mの場合には、基板Pには、チャンバ31内で、50℃で1分間の乾燥処理と、80℃で3分間の乾燥処理とが連続的に施される。なお、ヒートローラー35、36の表面温度と、各ヒートローラー35、36への巻きつけ数は、液状材料Kの特性に合わせて適宜調整される。
また、基板Pがベルト51とともに移動しながら加熱されるため、材料層の乾燥むらが発生しづらくなる。すなわち、通常の乾燥処理では、材料層の表面近傍において、材料層から蒸発した溶剤蒸気の濃度が材料層の中央部の直上で高く、周辺部の直上で拡散により低くなる。このため、表面近傍の溶剤蒸気濃度が高い中央部では溶剤の蒸発が起こりにくく、溶剤蒸気濃度の低い周辺部では蒸発が起こり易くなっていることにより、材料層の乾燥が不均一になってしまう。
ところが、基板Pの加熱時に基板Pを移動させることにより、基板P上に配置した液状材料Kから発生する溶媒の蒸気が基板Pの直上で停滞することがなく、溶媒の蒸発が妨げられないので、材料層を均一に乾燥させることができる。
このようにして、液滴吐出装置10と乾燥装置30とにより、液状材料Kの配置と乾燥が行われて、第1工程が完了する。
【0024】
次に、チャンバ31のスリット33からベルト51とともに搬出された基板Pは、更に、液滴吐出装置20と乾燥装置40に搬送されて、第2工程が開始される。第2工程の内容は、第1工程の内容を略繰り返したものである。
まず、カメラ62により、ベルト51上に戴置した基板Pの計測され、その情報が制御装置60に送られる。制御装置60は、基板Pの移動速度Vとカメラ62と液滴吐出装置20の位置関係に基づいて、タイミングを計って、液滴吐出装置10に駆動信号S2と吐出信号Stを送る。
駆動信号S2と吐出信号Stを受けた液滴吐出装置20の作用は、上述した液滴吐出装置10の作用と略同一である。なお、液滴吐出装置20では、導電材料等の液状材料Kを、第1工程で成膜された材料層上に更に配置する場合もある。
次いで、基板Pがチャンバ41に搬入されると、ヒートローラー45の表面で加熱されて、材料層の乾燥が行われる。例えば、ヒートローラー45の表面温度が60℃、ヒートローラー45の円周長が2m、ベルト51の巻きつけ数が15巻の場合には、チャンバ41内では、60℃で6分間の乾燥処理が行われる。なお、基板Pの移動速度Vは、上述したように毎分5mである。
そして、チャンバ41から搬出された基板Pをベルト51から剥離することにより、第2工程が完了し、基板Pに所定パターンの材料膜が形成されたデバイスが製造される。
【0025】
上述したように、デバイス製造装置Sによる一連の処理により、基板P上に配置された液状材料Kの連続的、動的な乾燥、成膜が可能となる。また、同一の乾燥処理工程内でヒートローラーを複数設けることにより、複数段階の乾燥処理も可能となり、成膜性を向上させることができる。また、基板Pを移動させながら乾燥処理を行うので、液状材料K等に含まれる溶剤の蒸発の影響から逃れることができ、液状材料Kの乾燥むらの発生を抑え、均一な材料膜を成膜させることができる。
また、基板Pを搬送するベルト51をヒートローラーに複数回巻きつけるので、乾燥装置の省スペース化を実現できる。また、ヒートローラーの直径(円周長)やベルトの巻きつけ数を調整するだけで、簡単に基板Pの乾燥時間を調整することができる。
【0026】
上述した実施形態では、液滴吐出装置10、20をインクジェット装置として説明したが、特にインクジェット装置には限定されず、基板P上に液状材料Kを設置可能なものであればよく、例えばスクリーン印刷法やディスペンサにより基板P上に液状材料を設置してもよい。
また、液滴吐出装置10,20、および乾燥装置30、40の数は、任意に変更可能である。成膜させる材料層の数に応じて変化させればよい。また、液滴吐出装置10,20、と乾燥装置30、40の数は、同一でなくてもよい。例えば、乾燥装置の数を液滴吐出装置よりも多くしてもよい。
また、ヒートローラー35、36とを同一のチャンバ31内に配置したが、別々のチャンバ内に配置してもよい。また、チャンバ31、41を設けないことも可能である。
また、基板Pを連続的に移動させて乾燥処理を行えばよく、例えば、液滴吐出装置10、20を基板移動装置50とは、別に配置してもよい。また、工程毎に複数の基板移動装置50を設けてもよい。
【0027】
上述した実施形態では、ベルト51上に基板Pを戴置する場合について説明したが、これに限らない。例えば、ベルト51に代えてベルト状の基板Pを用いてもよい。この基板Pの所定位置に材料層を成膜させた後に、基板Pを切断することにより、複数のデバイスを製造するようにしてもよい。
【0028】
次に、上述した構成を有するデバイス製造装置Sを用いて、基板Pに対して液滴吐出装置10、20から液状材料Kを吐出して基板P上に複数の材料層を積層することにより、基板Pに積層配線パターンを形成する方法の一例について説明する。
以下の説明では、一例として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスDS及びこれを駆動するTFT(薄膜トランジスタ)を製造する手順を示す。
【0029】
EL表示デバイスDSは、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。
【0030】
ここで、上述したように、液滴吐出装置10、20は吐出ヘッド11、21を複数備えており、各吐出ヘッドからはそれぞれ異なる材料を含む液状材料Kが吐出されるようになっている。液状材料Kは、材料を微粒子状にし溶媒及びバインダーを用いてペースト化したものであって、吐出ヘッド11、21が吐出可能な粘度(例えば50cps以下)に設定されている。そして、基板Pに対してこれら複数の吐出ヘッドのうち、第1の吐出ヘッド11から第1の材料を含む液状材料を吐出した後これを乾燥(焼成)し、次いで第2の吐出ヘッド21から第2の材料を含む液状材料を第1の材料層に対して吐出した後これを乾燥(焼成)し、以下、複数の吐出ヘッドを用いて同様の処理を行うことにより、基板P上に複数の材料層が積層され、多層配線パターンが形成されるようになっている。
【0031】
図6,図7,図8は、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置の一例を示す図であって、図6は有機EL表示装置DSの回路図、図7は対向電極や有機エレクトロルミネッセンス素子を取り除いた状態での画素部の拡大平面図である。
【0032】
図6に示す回路図のように、この有機EL表示装置DSは、基板上に、複数の走査線311と、これら走査線311に対して交差する方向に延びる複数の信号線312と、これら信号線312に並列に延びる複数の共通給電線313とがそれぞれ配線されたもので、走査線311及び信号線312の各交点毎に、画素ARが設けられて構成されたものである。
【0033】
信号線312に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ線駆動回路302が設けられている。
一方、走査線311に対しては、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路304が設けられている。また、画素領域ARの各々には、走査線311を介して走査信号がゲート電極に供給される第1の薄膜トランジスタ322と、この第1の薄膜トランジスタ322を介して信号線312から供給される画像信号を保持する保持容量capと、保持容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給される第2の薄膜トランジスタ324と、この第2の薄膜トランジスタ324を介して共通給電線313に電気的に接続したときに共通給電線313から駆動電流が流れ込む画素電極323と、この画素電極(陽極)323と対向電極(陰極)522との間に挟み込まれる発光部(発光層)360とが設けられている。
【0034】
このような構成のもとに、走査線311が駆動されて第1の薄膜トランジスタ322がオンとなると、そのときの信号線312の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、第2の薄膜トランジスタ324の導通状態が決まる。そして、第2の薄膜トランジスタ324のチャネルを介して共通給電線313から画素電極323に電流が流れ、さらに発光層360を通じて対向電極522に電流が流れることにより、発光層360は、これを流れる電流量に応じて発光するようになる。
【0035】
ここで、各画素ARの平面構造は、図7に示すように、平面形状が長方形の画素電極323の四辺が、信号線312、共通給電線313、走査線311及び図示しない他の画素電極用の走査線によって囲まれた配置となっている。
【0036】
図8は図6のA−A矢視断面図である。ここで、図8に示す有機EL表示装置DSは、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が配置された基板P側とは反対側から光を取り出す形態、いわゆるトップエミッション型である。
【0037】
基板Pの形成材料としては、ガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの合成樹脂などが挙げられる。ここで、有機EL表示装置DSがトップエミッション型である場合、基板Pは不透明であってもよく、その場合、アルミナ等のセラミック、ステンレス等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。なお、本発明では、基板Pが可撓性を有するように形成される。
【0038】
一方、TFTが配置された基板側から光を取り出す形態、いわゆるバックエミッション型においては、基板としては透明なものが用いられ、光を透過可能な透明あるいは半透明材料、例えば、透明なガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの透明な合成樹脂などが挙げられる。特に、基板の形成材料としては、安価なソーダガラスが好適に用いられる。
【0039】
図8に示すように、トップエミッション型の有機EL表示装置DSは、基板Pと、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等の透明電極材料からなる陽極(画素電極)323と、陽極323から正孔を輸送可能な正孔輸送層370と、電気光学物質の1つである有機EL物質を含む発光層(有機EL層、電気光学素子)360と、発光層360の上面に設けられている電子輸送層350と、電子輸送層350の上面に設けられているアルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)等からなる陰極(対向電極)522と、基板P上に形成され、画素電極323にデータ信号を書き込むか否かを制御する通電制御部としての薄膜トランジスタ(以下、「TFT」と称する)324とを有している。TFT324は、走査線駆動回路304及びデータ線駆動回路302からの作動指令信号に基づいて作動し、画素電極323への通電制御を行う。
【0040】
TFT324は、SiO2を主体とする下地保護層581を介して基板Pの表面に設けられている。このTFT324は、下地保護層581の上層に形成されたシリコン層541と、シリコン層541を覆うように下地保護層581の上層に設けられたゲート絶縁層582と、ゲート絶縁層582の上面のうちシリコン層541に対向する部分に設けられたゲート電極542と、ゲート電極542を覆うようにゲート絶縁層582の上層に設けられた第1層間絶縁層583と、ゲート絶縁層582及び第1層間絶縁層583にわたって開孔するコンタクトホールを介してシリコン層541と接続するソース電極543と、ゲート電極542を挟んでソース電極543と対向する位置に設けられ、ゲート絶縁層582及び第1層間絶縁層583にわたって開孔するコンタクトホールを介してシリコン層541と接続するドレイン電極544と、ソース電極543及びドレイン電極544を覆うように第1層間絶縁層583の上層に設けられた第2層間絶縁層584とを備えている。
【0041】
そして、第2層間絶縁層584の上面に画素電極323が配置され、画素電極323とドレイン電極544とは、第2層間絶縁層584に設けられたコンタクトホール323aを介して接続されている。また、第2層間絶縁層584の表面のうち有機EL素子が設けられている以外の部分と陰極522との間には、合成樹脂などからなる第3絶縁層(バンク層)521が設けられている。
【0042】
なお、シリコン層541のうち、ゲート絶縁層582を挟んでゲート電極542と重なる領域がチャネル領域とされている。また、シリコン層541のうち、チャネル領域のソース側にはソース領域が設けられている一方、チャネル領域のドレイン側にはドレイン領域が設けられている。このうち、ソース領域が、ゲート絶縁層582と第1層間絶縁層583とにわたって開孔するコンタクトホールを介して、ソース電極543に接続されている。一方、ドレイン領域が、ゲート絶縁層582と第1層間絶縁層583とにわたって開孔するコンタクトホールを介して、ソース電極543と同一層からなるドレイン電極544に接続されている。画素電極323は、ドレイン電極544を介して、シリコン層541のドレイン領域に接続されている。
【0043】
次に、図9及び図10を参照しながら図8に示した有機EL表示装置DSの製造プロセスについて説明する。
はじめに、基板P上にシリコン層541を形成する。シリコン層541を形成する際には、まず、図9(a)に示すように、基板Pの表面にTEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約200〜500nmのシリコン酸化膜からなる下地保護層581を形成する。
【0044】
次に、図9(b)に示すように、基板Pの温度を約350℃に設定して、下地保護層581の表面にプラズマCVD法あるいはICVD法により厚さ約30〜70nmのアモルファスシリコン膜からなる半導体層541Aを形成する。次いで、この半導体層541Aに対してレーザアニール法、急速加熱法、または固相成長法などによって結晶化工程を行い、半導体層541Aをポリシリコン層に結晶化する。レーザアニール法では、例えばエキシマレーザでビームの長寸が400mmのラインビームを用い、その出力強度は例えば200mJ/cm2 とする。ラインビームについては、その短寸方向におけるレーザ強度のピーク値の90%に相当する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査する。
【0045】
次いで、図9(c)に示すように、半導体層(ポリシリコン層)541Aをパターニングして島状のシリコン層541とした後、その表面に対して、TEOSや酸化ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約60〜150nmのシリコン酸化膜又は窒化膜からなるゲート絶縁層582を形成する。なお、シリコン層541は、図6に示した第2の薄膜トランジスタ324のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となるものであるが、異なる断面位置においては第1の薄膜トランジスタ322のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となる半導体膜も形成されている。つまり、二種類のトランジスタ322、324は同時に形成されるが、同じ手順で作られるため、以下の説明において、トランジスタに関しては、第2の薄膜トランジスタ324についてのみ説明し、第1の薄膜トランジスタ322についてはその説明を省略する。
【0046】
なお、ゲート絶縁層582を多孔性を有するシリコン酸化膜(SiO2膜)としてもよい。多孔性を有するSiO2膜からなるゲート絶縁層582は、反応ガスとしてSi2H6とO3とを用いて、CVD法(化学的気相成長法)により形成される。これらの反応ガスを用いると、気相中に粒子の大きいSiO2が形成され、この粒子の大きいSiO2がシリコン層541や下地保護層581の上に堆積する。そのため、ゲート絶縁層582は、層中に多くの空隙を有し、多孔質体となる。そして、ゲート絶縁層582は多孔質体となることによって低誘電率を有するようになる。
【0047】
なお、ゲート絶縁層582の表面にH(水素)プラズマ処理をしてもよい。これにより、空隙の表面のSi−O結合中のダングリングボンドがSi−H結合に置き換えられ、膜の耐吸湿性が良くなる。そして、このプラズマ処理されたゲート絶縁層582の表面に別のSiO2層を設けてもよい。こうすることにより、低誘電率な絶縁層が形成できる。
また、ゲート絶縁層582をCVD法で形成する際の反応ガスは、Si2H6+O3の他に、Si2H6+O2、Si3H8+O3、Si3H8+O2としてもよい。更に、上記の反応ガスに加えて、B(ホウ素)含有の反応ガス、F(フッ素)含有の反応ガスを用いてもよい。
【0048】
更に、ゲート絶縁層582をインクジェット法を用いて形成してもよい。ゲート絶縁層582を形成するための吐出ヘッド11から吐出させる液状材料としては、上述したSiO2等の材料を適当な溶媒に分散してペースト化したものや、絶縁性材料含有ゾルなどが挙げられる。絶縁性材料含有ゾルとしては、テトラエトキシシラン等のシラン化合物をエタノール等の適当な溶媒に溶かしたものや、アルミニウムのキレート塩、有機アルカリ金属塩または有機アルカリ土類金属塩等を含有する組成物で、焼成すると無機酸化物のみになるように調合したものでもよい。インクジェット法によって形成されたゲート絶縁層582は、この後、予備乾燥される。
【0049】
インクジェット法によってゲート絶縁層582を形成する際には、ゲート絶縁層582を形成するための吐出動作をする前に、下地保護層581やシリコン層541に対して液状材料の親和性を制御する表面処理をしておいてもよい。この場合の表面処理は、UV、プラズマ処理等の親液処理である。こうすることにより、ゲート絶縁層582を形成するための液状材料は下地保護層581などに密着するとともに、平坦化される。
【0050】
次いで、図9(d)に示すように、ゲート絶縁層582上にアルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属を含む導電膜をスパッタ法により形成した後、これをパターニングし、ゲート電極542を形成する。次いで、この状態で高濃度のリンイオンを打ち込み、シリコン層541に、ゲート電極542に対して自己整合的にソース領域541s及びドレイン領域541dを形成する。この場合、ゲート電極542はパターニング用マスクとして用いられる。なお、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域541cとなる。
【0051】
次いで、図9(e)に示すように、第1層間絶縁層583を形成する。第1層間絶縁層583は、ゲート絶縁層582同様、シリコン酸化膜または窒化膜、多孔性を有するシリコン酸化膜などによって構成され、ゲート絶縁層582の形成方法と同様の手順でゲート絶縁層582の上層に形成される。
更に、第1層間絶縁層583の形成工程を、ゲート絶縁層582の形成工程と同様、インクジェット法によって行ってもよい。第1層間絶縁層583を形成するための吐出ヘッド11から吐出させる液状材料としては、ゲート絶縁層582同様、SiO2等の材料を適当な溶媒に分散してペースト化したものや、絶縁性材料含有ゾルなどが挙げられる。絶縁性材料含有ゾルとしては、テトラエトキシシラン等のシラン化合物をエタノール等の適当な溶媒に溶かしたものや、アルミニウムのキレート塩、有機アルカリ金属塩または有機アルカリ土類金属塩等を含有する組成物で、焼成すると無機酸化物のみになるように調合したものでもよい。インクジェット法によって形成された第1層間絶縁層583は、この後、予備乾燥される。
【0052】
インクジェット法によって第1層間絶縁層583を形成する際には、第1層間絶縁層583を形成するための吐出動作をする前に、ゲート絶縁層582上面に対して液状材料の親和性を制御する表面処理をしておいてもよい。この場合の表面処理は、UV、プラズマ処理等の親液処理である。こうすることにより、第1層間絶縁層583を形成するための液状材料はゲート絶縁層582に密着するとともに、平坦化される。
【0053】
そして、この第1層間絶縁層583及びゲート絶縁層582にフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、ソース電極及びドレイン電極に対応するコンタクトホールを形成する。次いで、第1層間絶縁層583を覆うように、アルミニウムやクロム、タンタル等の金属からなる導電層を形成した後、この導電層のうち、ソース電極及びドレイン電極が形成されるべき領域を覆うようにパターニング用マスクを設けるとともに、導電層をパターニングすることにより、ソース電極543及びドレイン電極544を形成する。
【0054】
次に、図示はしないが、第1層間絶縁層583上に、信号線、共通給電線、走査線を形成する。このとき、これらに囲まれる箇所は後述するように発光層等を形成する画素となることから、例えばバックエミッション型とする場合には、TFT324が前記各配線に囲まれた箇所の直下に位置しないよう、各配線を形成する。
【0055】
次いで、図10(a)に示すように、第2層間絶縁層584を、第1層間絶縁層583、各電極543、544、前記不図示の各配線を覆うように形成する。
第1層間絶縁層583はインクジェット法によって形成される。ここで、デバイス製造装置Sの制御装置60は、図10(a)に示すように、ドレイン電極544の上面に非吐出領域(非滴下領域)Hを設定し、ドレイン電極544のうち非吐出領域H以外の部分、ソース電極543及び第1層間絶縁層583を覆うように、第2層間絶縁層584を形成するための液状材料を吐出し、第2層間絶縁層584を形成する。こうすることによって、コンタクトホール323aが形成される。あるいは、コンタクトホール323aをフォトリソグラフィ法で形成してもよい。
【0056】
ここで、第2層間絶縁層584を形成するための吐出ヘッド11から吐出させる液状材料としては、第1層間絶縁層583同様、SiO2等の材料を適当な溶媒に分散してペースト化したものや、絶縁性材料含有ゾルなどが挙げられる。絶縁性材料含有ゾルとしては、テトラエトキシシラン等のシラン化合物をエタノール等の適当な溶媒に溶かしたものや、アルミニウムのキレート塩、有機アルカリ金属塩または有機アルカリ土類金属塩等を含有する組成物で、焼成すると無機酸化物のみになるように調合したものでもよい。インクジェット法によって形成された第2層間絶縁層584は、この後、予備乾燥される。
【0057】
インクジェット法によって第2層間絶縁層584を形成する際には、第2層間絶縁層584を形成するための吐出動作をする前に、ドレイン電極544の非吐出領域Hに対して液状材料の親和性を制御する表面処理をしておいてもよい。この場合の表面処理は、撥液処理である。こうすることにより、非吐出領域Hには液状材料が配置されず、コンタクトホール323aを安定して形成できる。また、非吐出領域H以外のドレイン電極544上面、ソース電極543上面、第1層間絶縁層583上面には、予め親液処理を施しておくことにより、第2層間絶縁層584を形成するための液状材料は第1層間絶縁層583やソース電極543、ドレイン電極544のうち非吐出領域H以外に部分に密着するとともに、平坦化される。
【0058】
こうして、第2層間絶縁層584のうちドレイン電極544に対応する部分にコンタクトホール323aを形成しつつ、ドレイン電極544の上層に第2層間絶縁層584を形成したら、図10(b)に示すように、コンタクトホール323aにITO等の導電性材料を充填するように、すなわち、コンタクトホール323aを介してドレイン電極544に連続するように導電性材料をパターニングし、画素電極(陽極)323を形成する。
【0059】
有機EL素子に接続する陽極323は、ITOやフッ素をドープしてなるSnO2、更にZnOやポリアミン等の透明電極材料からなり、コンタクトホール323aを介してTFT324のドレイン電極544に接続されている。陽極323を形成するには、前記透明電極材料からなる膜を第2層間絶縁層584上面に形成し、この膜をパターニングすることにより形成される。
【0060】
陽極323を形成したら、図10(c)に示すように、第2層間絶縁層584の所定位置及び陽極323の一部を覆うように、第3絶縁層521である有機バンク層を形成する。第3絶縁層521はアクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの合成樹脂によって構成されている。具体的な第3絶縁層521の形成方法としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などのレジストを溶媒に融かしたものを、スピンコート、ディップコート等により塗布して絶縁層を形成する。なお、絶縁層の構成材料は、後述する液状材料の溶媒に溶解せず、しかもエッチング等によってパターニングしやすいものであればどのようなものでもよい。更に、絶縁層をフォトリソグラフィ技術等により同時にエッチングして、開口部521aを形成することにより、開口部521aを備えた第3絶縁層521が形成される。
【0061】
ここで、第3絶縁層521の表面には、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域とが形成される。本実施形態においてはプラズマ処理工程により、各領域を形成するものとしている。具体的にプラズマ処理工程は、予備加熱工程と、開口部521aの壁面並びに画素電極323の電極面を親液性にする親液化工程と、第3絶縁層521の上面を撥液性にする撥液化工程と、冷却工程とを有している。
すなわち、基材(第3絶縁層等を含む基板P)を所定温度(例えば70〜80度程度)に加熱し、次いで親液化工程として大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。続いて、撥液化工程として大気雰囲気中で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行い、プラズマ処理のために加熱された基材を室温まで冷却することで、親液性及び撥液性が所定箇所に付与されることとなる。なお、画素電極323の電極面についても、このCF4プラズマ処理の影響を多少受けるが、画素電極323の材料であるITO等はフッ素に対する親和性に乏しいため、親液化工程で付与された水酸基がフッ素基で置換されることがなく、親液性が保たれる。
【0062】
次いで、図10(d)に示すように、陽極323の上面に正孔輸送層370を形成する。ここで、正孔輸送層370の形成材料としては、特に限定されることなく公知のものが使用可能であり、例えば、トリフェニルアミン誘導体(TPD)、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等からなる。具体的には、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示されるが、トリフェニルジアミン誘導体が好ましく、中でも4,4’−ビス(N(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルが好適とされる。
【0063】
なお、正孔輸送層に代えて正孔注入層を形成するようにしてもよく、さらに正孔注入層と正孔輸送層を両方形成するようにしてもよい。その場合、正孔注入層の形成材料としては、例えば銅フタロシアニン(CuPc)や、ポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム等が挙げられるが、特に銅フタロシアニン(CuPc)を用いるのが好ましい。
【0064】
正孔注入/輸送層370を形成する際には、インクジェット法が用いられる。すなわち、上述した正孔注入/輸送層材料を含む組成物液状材料を陽極323の電極面上に吐出した後に、予備乾燥処理を行うことにより、陽極323上に正孔注入/輸送層370が形成される。なお、この正孔注入/輸送層形成工程以降は、正孔注入/輸送層370及び発光層(有機EL層)360の酸化を防止すべく、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。例えば、吐出ヘッド(不図示)に正孔注入/輸送層材料を含む組成物液状材料を充填し、吐出ヘッドの吐出ノズルを陽極323の電極面に対向させ、吐出ヘッドと基材(基板P)とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御されたインキ滴を電極面に吐出する。次に、吐出後の液滴を乾燥処理して組成物液状材料に含まれる極性溶媒を蒸発させることにより、正孔注入/輸送層370が形成される。
【0065】
なお、組成物液状材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体と、ポリスチレンスルホン酸等との混合物を、イソプロピルアルコール等の極性溶媒に溶解させたものを用いることができる。ここで、吐出された液滴は、親液処理された陽極323の電極面上に広がり、開口部521aの底部近傍に満たされる。その一方で、撥液処理された第3絶縁層521の上面には液滴がはじかれて付着しない。したがって、液滴が所定の吐出位置からはずれて第3絶縁層521の上面に吐出されたとしても、該上面が液滴で濡れることがなく、はじかれた液滴が第3絶縁層521の開口部521a内に転がり込むものとされている。
【0066】
次いで、正孔注入/輸送層370上面に発光層360を形成する。発光層360の形成材料としては、特に限定されることなく、低分子の有機発光色素や高分子発光体、すなわち各種の蛍光物質や燐光物質からなる発光物質が使用可能である。発光物質となる共役系高分子の中ではアリーレンビニレン構造を含むものが特に好ましい。低分子蛍光体では、例えばナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、ポリメチン系、キサテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキノリンおよびその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン誘導体等、または特開昭57−51781、同59−194393号公報等に記載されている公知のものが使用可能である。
【0067】
発光層360は、正孔注入/輸送層370の形成方法と同様の手順で形成される。すなわち、インクジェット法によって発光層材料を含む組成物液状材料を正孔注入/輸送層370の上面に吐出した後に、予備乾燥処理を行うことにより、第3絶縁層521に形成された開口部521a内部の正孔注入/輸送層370上に発光層360が形成される。この発光層形成工程も上述したように不活性ガス雰囲気下で行われる。吐出された組成物液状材料は撥液処理された領域ではじかれるので、液滴が所定の吐出位置からはずれたとしても、はじかれた液滴が第3絶縁層521の開口部521a内に転がり込む。
【0068】
次いで、発光層360の上面に電子輸送層350を形成する。電子輸送層350も発光層360の形成方法と同様、インクジェット法により形成される。電子輸送層350の形成材料としては、特に限定されることなく、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体等が例示される。具体的には、先の正孔輸送層の形成材料と同様に、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示され、特に2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウムが好適とされる。インクジェット法により組成物液状材料を吐出した後、予備乾燥処理が行われる。
【0069】
なお、前述した正孔注入/輸送層370の形成材料や電子輸送層350の形成材料を発光層360の形成材料に混合し、発光層形成材料として使用してもよく、その場合に、正孔注入/輸送層形成材料や電子輸送層形成材料の使用量については、使用する化合物の種類等によっても異なるものの、十分な成膜性と発光特性を阻害しない量範囲でそれらを考慮して適宜決定される。通常は、発光層形成材料に対して1〜40重量%とされ、さらに好ましくは2〜30重量%とされる。
【0070】
次いで、図10(e)に示すように、電子輸送層350及び第3絶縁層521の上面に陰極522を形成する。陰極522は、電子輸送層350及び第3絶縁層521の表面全体、あるいはストライプ状に形成されている。陰極522については、もちろんAl、Mg、Li、Caなどの単体材料やMg:Ag(10:1合金)の合金材料からなる1層で形成してもよいが、2層あるいは3層からなる金属(合金を含む。)層として形成してもよい。具体的には、Li2 O(0.5nm程度)/AlやLiF(0.5nm程度)/Al、MgF2 /Alといった積層構造のものも使用可能である。陰極222は上述した金属からなる薄膜であり、光を透過可能である。
【0071】
なお、上記実施形態では、各絶縁層を形成する際にインクジェット法を用いているが、ソース電極543やドレイン電極544、あるいは陽極323や陰極522を形成する際にインクジェット法を用いてもよい。予備乾燥処理は、組成物液状材料のそれぞれを吐出後、行われる。
【0072】
なお、導電性材料層を構成する導電性材料(デバイス形成用材料)としては、所定の金属、あるいは導電性ポリマーが挙げられる。
金属としては、金属ペーストの用途によって銀、金、ニッケル、インジウム、錫、鉛、亜鉛、チタン、銅、クロム、タンタル、タングステン、パラジウム、白金、鉄、コバルト、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、スカンジウム、ロジウム、イリジウム、バナジウム、ルテニウム、オスミウム、ニオブ、ビスマス、バリウムなどのうち少なくとも1種の金属又はこれらの合金が挙げられる。また、酸化銀(AgO又はAg2O)や酸化銅なども挙げられる。
【0073】
また、上記導電性材料を吐出ヘッドから吐出可能にペースト化する際の有機溶媒としては、炭素数5以上のアルコール類(例えばテルピネオール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、フェネチルアルコール)の1種以上を含有する溶媒、又は有機エステル類(例えば酢酸エチル、オレイン酸メチル、酢酸ブチル、グリセリド)の1種以上を含有する溶媒であればよく、使用する金属又は金属ペーストの用途によって適宜選択できる。更には、ミネラルスピリット、トリデカン、ドデシルベンゼンもしくはそれらの混合物、又はそれらにα−テルピネオールを混合したもの、炭素数5以上の炭化水素(例えば、ピネン等)、アルコール(例えば、n−ヘプタノール等)、エーテル(例えば、エチルベンジルエーテル等)、エステル(例えば、n−ブチルステアレート等)、ケトン(例えば、ジイソブチルケトン等)、有機窒素化合物(例えば、トリイソプロパノールアミン等)、有機ケイ素化合物(シリコーン油等)、有機硫黄化合物もしくはそれらの混合物を用いることもできる。なお、有機溶媒中に必要に応じて適当な有機物を添加してもよい。そして、これら溶媒に応じて、予備乾燥処理の際のガス温度が設定される。
【0074】
上記実施形態の有機EL表示装置DSを備えた電子機器800の例について説明する。
図11(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図11(a)において、携帯電話1000(電子機器800)は、上記の有機EL表示装置DSを用いた表示部1001を備える。
図11(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図11(b)において、腕時計1100(電子機器800)は、上記の有機EL表示装置DSを用いた表示部1101を備える。
図11(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図11(c)において、情報処理装置1200(電子機器800)は、キーボードなどの入力部1202、情報処理装置本体1204、上記の有機EL表示装置DSを用いた表示部1206を備える。
以上のように、図11に示す電子機器800は、上記実施の形態の有機EL表示装置DSを表示部として備えているので、表示品位に優れ、明るい画面の有機EL表示部を備えた電子機器を実現することができる。
【0075】
上記実施形態は、本発明のデバイスの製造方法を、有機EL表示デバイスの駆動用TFTの配線パターン形成に適用したものであるが、有機EL表示デバイスに限らず、PDP(プラズマディスプレイパネル)デバイスの配線パターンの製造、液晶表示デバイスの配線パターンの製造など、各種多層配線デバイスの製造に適用可能である。そして、各種多層配線デバイスを製造するに際し、導電性材料層及び絶縁性材料層のうちいずれの材料層を形成する際にもインクジェット法を適用できる。
【0076】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施の形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】デバイス製造装置を示す模式図である。
【図2】液滴吐出装置を示す図である。
【図3】吐出ヘッドの分解斜視図である。
【図4】吐出ヘッドの主要部の斜視図一部断面図である。
【図5】ヒートローラーを示す斜視図である。
【図6】アクティブマトリクス型有機EL表示装置を示す回路図である。
【図7】有機EL表示装置における画素部の平面構造を示す拡大図である。
【図8】有機EL表示装置の層構成を示す図である。
【図9】有機EL表示装置の製造方法を示す説明図である。
【図10】有機EL表示装置の製造方法を示す説明図である。
【図11】有機EL表示装置を備えた電子機器を示す図である。
【符号の説明】
P 基板 K 液状材料 S デバイス製造装置 10,20 液滴吐出装置(成膜装置) 30,40 乾燥装置 31,41 チャンバ 35,36,45 ヒートローラー(ローラー) 50 基板搬送装置 DS 有機EL表示装置,有機EL表示デバイス(デバイス) 800 電子機器
【発明の属する技術分野】
本発明は、可撓性を有する基板上に配置された液状材料の乾燥方法、乾燥装置、デバイスの製造方法、デバイスの製造装置、デバイス及び電気機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路など微細な配線パターンを有するデバイスの製造方法、及び液晶ディスプレー或いは有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子の製造方法として、インクジェット方式を用いた製造方法が注目されている。これらの製造技術では、パターン形成面にパターン形成用材料を含んだ液状材料を吐出ヘッドから吐出することにより基板上に材料層を成膜して、デバイスを形成するものであり、少量多種生産に対応可能である点などにおいて大変有効である。そして、デバイスを製造するには、液状材料を基板上に配置する工程と、ホットプレートや電気炉などを用いて配置した液状材料を乾燥する工程とを行うことにより、材料層が成膜されている。
上述したデバイスの製造方法における乾燥工程では、液状材料が配置された基板を一定量あるいは一定期間蓄積し、まとめて一括処理する方法、いわゆるバッチ処理により乾燥処理を行っている。そのため、待ち時間や段取り時間が多く、生産効率を向上させることが困難であった。
一方、可撓性を有するフィルム状の基板に塗布された液状材料を乾燥する技術においては、特開平6−273899号公報に開示されているように、ヒートローラーを用いて連続的な乾燥処理を行うものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−273899号公報(第8頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した技術では、可撓性を有するフィルム状の基板の両面がヒートローラーに接触して乾燥処理されるため、インクジェット方式を用いて液状材料が配置された基板の乾燥には不向きである。すなわち、液状材料の塗布面をヒートローラーに接触させると、液状材料の形状が崩れて、所望のパターンが形成できないからである。また、乾燥時間を増やすためには、ヒートローラーの数量や径を増やしたり、ヒートローラーの回転速度を低下させたりする必要があり、スペース効率や生産性が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、可撓性を有する基板上に配置された液状材料を乾燥させて成膜させる際に、連続的な乾燥処理と、スペース効率や生産性を向上させることが可能な乾燥方法、乾燥装置、デバイスの製造方法、デバイスの製造装置、デバイス及び電気機器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液状材料の乾燥方法、乾燥装置、デバイスの製造方法、デバイスの製造装置、デバイス及び電気機器では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第1の発明は、可撓性を有する基板(P)上に供給された液状材料(K)を乾燥させる方法において、外周を加熱されたローラー(35,36,45)に基板((P)を巻き付けて、ローラー(35,36,45)の外周温度とローラー(35,36,45)との接触時間とに基づいて与えられる熱量により、液状材料(K)を加熱して乾燥させるようにした。この発明によれば、可撓性を有する基板上がヒートローラーに巻き付けられながら加熱されるので、基板上に供給された液状材料を連続的、動的に乾燥させることができる。また、基板が移動しながら乾燥されるので、液状材料等に含まれる溶媒の蒸気が基板の直上で停滞して溶媒の蒸発が妨げられる事態を回避でき、乾燥むらの発生を抑えることができる。
【0007】
また、ローラー(35,36,45)に基板(P)を巻き付ける際に、螺旋状に巻き付けられるようにしたものでは、基板どおしが重なることなく、基板がヒートローラーに接触する時間を長くさせることができる。したがって、簡単に乾燥時間を変化させることができる。
また、ローラー(35,36,45)に基板(P)を巻き付ける際に、基板(P)の裏面がローラーに接するように巻き付けられるようにしたものでは、液状材料が配置された基板の表面がヒートローラーに接しないので、配置された液状材料の形状を崩すことがなく、所望のパターンを形成することができる。
【0008】
第2の発明は、可撓性を有する基板(P)上に供給された液状材料(K)を乾燥させる装置(30,40)において、外周を加熱された少なくとも1以上のローラー(35,36,45)と、ローラー(35,36,45)に巻き付けられた搬送路に基板(P)を連続的に移動させる基板搬送装置(50)とを備えるようにした。この発明によれば、可撓性を有する基板上がヒートローラーに巻き付けられながら加熱されるので、基板上に供給された液状材料を連続的、動的に乾燥させることができる。また、ヒートローラーへの巻き付け数により乾燥時間を管理できるので、装置を大型化させることなく、長時間の乾燥を行うことも可能となる。
また、ローラー(35,36,45)の温度を変えることで、連続的に異なる温度処理を行うことができるものでは、液状材料の特性等に合わせて乾燥条件を連続的に変化させることができるので、適切に液状材料を乾燥させることができる。
また、ローラー(35,36,45)が略密閉されたチャンバ(31,41)内に収容されるようにしたものでは、チャンバ内の雰囲気を乾燥に適する状態にすることにより、更に液状材料の効率的な乾燥が可能となり、乾燥むらの発生を抑えることができる。
【0009】
第3の発明では、可撓性を有する基板(P)上に液状材料(K)を供給し基板(P)上に複数の材料層を積層する工程を有するデバイス(DS)の製造方法において、液状材料(K)を基板(P)上に設置する成膜工程と、第1の発明に係る乾燥方法により基板(P)上に配置された液状材料(K)を乾燥させる乾燥工程とを有するようにした。この発明によれば、乾燥工程において乾燥むらが発生しづらいので、均一な材料層が積層されたデバイスを製造することができる。
【0010】
第4の発明では、可撓性を有する基板(P)上に液状材料(K)を供給し基板(P)上に複数の材料層を積層する工程を有するデバイス(DS)の製造装置(S)において、液状材料(K)を基板(P)上に設置する成膜装置(10,20)と、第2の発明に係る乾燥装置(30,40)とを備えるようにした。この発明によれば、乾燥むらが発生しづらい乾燥装置が用いられるので、均一な材料層が積層されたデバイスを製造することができる。
また、成膜装置(10,20)が、液状材料(K)を定量的に滴出する液滴吐出装置(10,20)であるものでは、液状材料の配置が高精度化されるので、微細なパターンを備えるデバイスを製造することができ、また、デバイスの少量多種生産が可能となる。
【0011】
第5の発明では、第3の発明に係るデバイスの製造方法、或いは第4の発明に係るデバイス製造装置(S)によりデバイス(DS)が製造されるようにした。この発明によれば、乾燥むらがなく、均一な材料層が積層されたデバイスが製造されるので、生産性が向上し、高品質で低コストのデバイスを提供することができる。
【0012】
第6の発明では、第5の発明に係るデバイス(DS)を電子機器(800)に搭載するようにした。この発明によれば、高品質で低コストの電子機器を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のデバイス製造装置Sについて図を参照しながら説明する。図1は本発明のデバイス製造装置Sを示す模式図である。
図1において、デバイス製造装置Sは、基板P上に液状材料を設置する液滴吐出装置10,20と、基板P上に設置された液状材料を乾燥する乾燥装置30,40と、基板Pを連続的に移動・運搬する基板搬送装置50、及び制御装置60とを備える。
そして、基板搬送装置50による基板Pの移動の方向(X方向)に沿って、上流側から液滴吐出装置10、乾燥装置30、液滴吐出装置20、乾燥装置40の順に配置されるとともに、これらの装置が基板Pの移動に連動して基板P上への液状材料の配置及び乾燥を行うことにより、流れ作業による各種デバイスの生産を行う。
【0014】
本発明で用いられる基板Pは、薄いプラスチックやフィルム状の可撓性を有する基板、いわゆるフレキシブル基板である。基板Pの材料としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトンなどのプラスチックなどの透明材料が採用可能である。
基板Pの表面のパターン形成領域には、液滴吐出装置10、20から吐出された液滴Dが着弾して、発光層や導電層等が成膜される。基板Pの裏面には、弱粘着性の接着剤が塗布されて、後述するベルト51への貼り付け、剥離が可能となっている。
【0015】
まず、基板搬送装置50は、基板Pを載置するベルト51とベルト駆動部52と複数のローラー53からなり、ベルト51上に基板Pを載せて、後述する各装置間を移動させる、いわゆるベルトコンベア装置である。なお、基板Pは、ベルト51の表面に貼り付けられる。ベルト51は、可撓性を備え、熱伝導性に優れる物質からなる。例えば、金属やプラスチック等をフィルム状に形成したものである。
ベルト駆動部52は、ベルト51を連続的に移動させる装置であって、複数のローラー53を回転駆動させることにより、これらのローラー53に接するベルト51を任意の速度Vで移動させることができる。ベルト駆動部52は、制御装置60からの信号に応じて駆動されるとともに、ローラー53の回転速度情報が制御装置60に送られる。そして、ローラー53の回転速度からベルト51の移動速度(すなわち、基板Pの移動速度)Vが求められ、ベルト51上に載置した基板Pの移動速度Vが所定速度となるように制御される。
なお、ベルト51は、ベルト51の裏面が全てのローラー53と接するように配置される。ベルト51の表面に貼り付けられる基板Pがローラー53と接触しないようにするためである。
【0016】
図2は、液滴吐出装置10、20を示す図である。液滴吐出装置10、20は、上述したベルト51上に配置され、ベルト51上に載置された基板Pに対して液滴Dを吐出して、基板P上に所定のパターンで材料層を設置するインクジェット装置であり、それぞれ吐出ヘッド11、21、タンク12、22、ヘッド移動装置14、24から構成される。図2に示すように、吐出ヘッド11、12は、それぞれ複数の吐出ヘッドから構成され、タンク12、22も複数のタンクから構成される。
図3は、吐出ヘッド11、21の一構成例を説明する分解斜視図である。吐出ヘッド11、12は、それぞれ同一の構造を備え、インクジェット方式によりそれぞれ液滴Dを吐出可能である。図3に示すように、吐出ヘッド11は、ノズル211の設けられたノズルプレート210および振動板230が設けられた圧力室基板220を筐体250に嵌め込んだ構成を備える。
図4は、吐出ヘッド11の主要部の斜視図一部断面図である。図4に示すように、吐出ヘッド11の主要部構造は、圧力室基板220をノズルプレート210と振動板230で挟み込んだ構造を備える。ノズルプレート210は、圧力室基板220と貼り合わせられたときにキャビティ221に対応することとなる位置にノズル211が形成される。圧力室基板220には、シリコン単結晶基板等をエッチングすることにより、各々が圧力室として機能可能にキャビティ221が複数設けられている。キャビティ221間は側壁(隔壁)222で分離されている。各キャビティ221は供給口224を介して共通の流路であるリザーバ223に繋がっている。振動板230は、例えば熱酸化層等により構成される。振動板230にはインクタンク口231が設けられ、タンク12から任意の流動体13を供給可能に構成されている。振動板230上のキャビティ221に相当する位置には、圧電体素子240が形成されている。圧電体素子240は、PZT素子等の圧電性セラミックスの結晶を上部電極および下部電極(図示略)で挟んだ構造を備える。圧電体素子240は、制御装置60から供給される吐出信号Shに対応して体積変化を生ずる。
なお、上記吐出ヘッド11、21は、圧電体素子240に体積変化を生じさせて液滴Dを吐出させる構成に限らず、発熱体により後述する流動体13,23に熱を加え、その膨張によって液滴Dを吐出させるようなヘッド構成であってもよい。
【0017】
図2に戻り、タンク12、22は、それぞれ流動体13、23を貯蔵し、パイプを通して流動体13,23を吐出ヘッド11、21に供給する。流動体13,23は発光材料や導電材料等の液状材料Kを含む。発光材料としては、例えば、有機材料であり、低分子の有機材料としてアルミキノリノール錯体(Alq3)があり、高分子の有機材料としてポリパラフェニレンビニレン(PPV)がある。いずれの場合でも、流動体13、23は吐出ヘッド11、21から液滴Dとして吐出可能な流動性を呈するように溶媒等で粘度が調整される。
【0018】
ヘッド移動装置14、24は、液滴吐出装置10、20のそれぞれの吐出ヘッド11、21をベルト51の幅方向(Y方向)に移動可能に構成される。そして、ヘッド移動装置14、24は、それぞれ制御装置60からの駆動信号S1、S2に応じて吐出ヘッド11、21をY方向に駆動して、基板Pのパターン形成領域上に移動させて、更に吐出信号Sh、Stを送って吐出ヘッド11、21から吐出される液滴Dを基板Pの所定位置に配置可能にする。
また、ヘッド移動装置14、24には、不図示のヘッド位置計測部15、25が設けられ、吐出ヘッド11、21の位置(Y方向)に対応した信号が制御装置60に送られる。そして、その信号に応じて制御装置60が吐出ヘッド11、21の位置を制御する。
【0019】
図1に戻り、乾燥装置30,40は、基板搬送装置50により搬送される基板P上に設置された液状材料Kを乾燥する装置であって、それぞれ、チャンバ31、41とヒートローラー35、36、45を備える。
チャンバ31、41は、それぞれ略密閉された容器であって、内部に搬入される基板P上に配置された液状材料Kの乾燥に適した雰囲気環境が維持される。例えば、チャンバ31、41内を所定のガスで充満させたり、温度や湿度を一定に維持したり、内部の気体を循環させたりする。そして、チャンバ31、41には、ベルト51を連続的に搬入、搬出するために、ベルト51の断面よりもやや大きい形状のスリット32、33、42、43が設けられる。
ヒートローラー35、36、45は、チャンバ31、41内に回転可能に支持され、その表面が所定の温度となるように加熱される。ヒートローラー35、36、45は、加熱に適する材質であればよく、更に好ましくは、基板Pとの接触により帯電しないように鉄、銅、アルミ等の金属から形成されるとよい。また、ヒートローラー35、36、45の直径(円周長)、長さ(Y方向の長さ)は、基板Pの乾燥時間により任意に設定することができる。
図5は、ヒートローラー35、36、45を示す斜視図である。そして、図5に示すように、ヒートローラー35、36、45の表面にベルト51が巻きつけられる。ベルト51の裏面側のみがヒートローラー35、36、45と接触するように巻きつけられる。ベルト51の表面側には、基板Pが貼り付けられるからである。また、ベルト51は、図5(a)に示すように、ヒートローラー35、36、45に螺旋状に巻きつけられる。ベルト51の巻きつけ数は、基板Pの乾燥時間により任意に設定することができる。チャンバ41のように、同一チャンバ内に複数のヒートローラー35、36が配置される場合には、図5(b)のように、ベルト51がヒートローラー35に巻き付けられた後にヒートローラー36に巻きつけられる。ベルト51の巻きつけ数は、ヒートローラー35、36、45毎に任意に設定される。
このように、基板Pがベルト51に沿って、チャンバ31、41のスリット32、42からチャンバ31,41内に搬送され、ヒートローラー35、36、45の表面に基板Pの裏面が接触するように複数回巻きつけられ、そして、スリット33、43から外部に搬出される搬送路が形成される。
なお、ヒートローラー35、36、45には、螺旋状に巻きつけられたベルト51どおしが重ならないように不図示のガイドが設けられる。ガイドは、ヒートローラー35、36、45表面に螺旋状の凸部を設けたものや、ヒートローラー35、36、45の表面に接触する櫛の歯状のものであってもよい。また、ヒートローラー35、36、45の形状をテーパー状に形成して、直径が大きい部分(ベルト51の導入部)から小さい部分(ベルト51の導出部)に向けてベルト51が円滑に移動するようにしてもよい。
【0020】
図1、図2に戻り、制御装置60は、例えばコンピュータ装置でありCPU、メモリ、インターフェース回路等(いずれも図示略)を備える。制御装置60は所定のプログラムを実行することによりデバイス製造装置Sに液状材料Kを含むの流動体13、23を配置し、乾燥させて、材料層を形成させる。すなわち、ベルト駆動部52に駆動信号を送り、所定の速度Vで基板Pを移動させる。そして、基板Pの移動に連動させてヘッド移動装置14、24に駆動信号S1、S2を送って吐出ヘッド11、21を移動させ、吐出ヘッド11、12に吐出信号Sh、Stを送り、流動体13、21の吐出を実施させる。更に、ヒートローラー35、36、45の温度制御及びチャンバ31、41の雰囲気制御を行う。
なお、液滴吐出装置10、20の上流側には、それぞれベルト51上に配置した基板Pを検出するカメラ61、62が備えられ、カメラ61、62からの画像情報と基板Pの移動速度V等に基づいて、吐出ヘッド11、21の移動と吐出のタイミングを計り、基板Pの所定位置に液滴Dを吐出するように制御している。
【0021】
以上のような構成を備えるデバイス製造装置Sは、以下のように作用する。
本発明のデバイスの製造方法では、液滴吐出装置10と乾燥装置30により材料層が形成される第1工程と、液滴吐出装置20と乾燥装置40により材料層が形成される第2工程とからなる。
まず、第1工程では、制御装置60からの指令により、ベルト駆動部52がローラー53を回転駆動して、ベルト51を所定の速度Vで移動させる。そして、ベルト51に複数の基板Pを戴置される。基板Pは、裏面に塗布された接着剤により、ベルト51に固定され、ベルト51の移動に伴って速度Vで移動する。
そして、カメラ61により、ベルト51上に戴置した基板Pの計測され、その情報が制御装置60に送られる。制御装置60は、基板Pの移動速度Vとカメラ61と液滴吐出装置10の位置関係に基づいて、タイミングを計って、液滴吐出装置10に駆動信号S1と吐出信号Shを送る。
【0022】
駆動信号S1と吐出信号Shを受けた液滴吐出装置10は以下のように作用する。まず、基板Pが液滴吐出装置10の下に移動すると同時に、制御装置60は駆動信号S1を出力して、ヘッド移動装置14を動作させる。ヘッド移動装置14は、この駆動信号S1に対応して吐出ヘッド21を移動させて、基板Pの回路パターン形成領域上に移動させる。
次いで、制御装置60は形成すべき回路パターンの種類に応じて流動体13を特定し、その流動体13を吐出させるための吐出信号Shを送る。各流動体13は対応する吐出ヘッド11のキャビティ221に流入している。吐出信号Shが供給された吐出ヘッド11では、圧電体素子240がその上部電極と下部電極との間に加えられた電圧に対応した体積変化を生ずる。この体積変化は振動板230を変形させ、キャビティ221の容積を変化させる。この結果、そのキャビティ221のノズル211から流動体13の液滴Dが基板Pの上面に向けて吐出され、着弾する。流動体13が吐出されたキャビティ221には吐出によって減った流動体13が新たにタンク12から供給される。
以上のようにして、基板P上の指定位置に発光材料等の液状材料Kが配置される。
【0023】
次に、基板Pは、ベルト51の移動に伴って乾燥装置30に搬入される。基板Pは、ベルト51とともにスリット32からチャンバ31内に搬入され、ベルトとともに、熱源によって外周が加熱されたヒートローラー35、36に巻きつく。この時、基板Pの裏面側がヒートローラー35、36の表面と接触し、ヒートローラー35、36は、巻きつけられたベルト51の移動とともに回転する。これにより、ヒートローラー35、36の外周の温度とヒートローラー35、36との接触時間とに基づいて与えられる熱量によって、基板Pの裏面側から液状材料Kが加熱され、溶媒を蒸発させる。
例えば、ヒートローラー35、36の表面温度をそれぞれ50℃、80℃。また、ヒートローラー35、36の円周長をそれぞれ1m、1.5m。ベルト51の巻きつけ数をそれぞれ5巻、10巻であって、基板Pの移動速度Vが毎分5mの場合には、基板Pには、チャンバ31内で、50℃で1分間の乾燥処理と、80℃で3分間の乾燥処理とが連続的に施される。なお、ヒートローラー35、36の表面温度と、各ヒートローラー35、36への巻きつけ数は、液状材料Kの特性に合わせて適宜調整される。
また、基板Pがベルト51とともに移動しながら加熱されるため、材料層の乾燥むらが発生しづらくなる。すなわち、通常の乾燥処理では、材料層の表面近傍において、材料層から蒸発した溶剤蒸気の濃度が材料層の中央部の直上で高く、周辺部の直上で拡散により低くなる。このため、表面近傍の溶剤蒸気濃度が高い中央部では溶剤の蒸発が起こりにくく、溶剤蒸気濃度の低い周辺部では蒸発が起こり易くなっていることにより、材料層の乾燥が不均一になってしまう。
ところが、基板Pの加熱時に基板Pを移動させることにより、基板P上に配置した液状材料Kから発生する溶媒の蒸気が基板Pの直上で停滞することがなく、溶媒の蒸発が妨げられないので、材料層を均一に乾燥させることができる。
このようにして、液滴吐出装置10と乾燥装置30とにより、液状材料Kの配置と乾燥が行われて、第1工程が完了する。
【0024】
次に、チャンバ31のスリット33からベルト51とともに搬出された基板Pは、更に、液滴吐出装置20と乾燥装置40に搬送されて、第2工程が開始される。第2工程の内容は、第1工程の内容を略繰り返したものである。
まず、カメラ62により、ベルト51上に戴置した基板Pの計測され、その情報が制御装置60に送られる。制御装置60は、基板Pの移動速度Vとカメラ62と液滴吐出装置20の位置関係に基づいて、タイミングを計って、液滴吐出装置10に駆動信号S2と吐出信号Stを送る。
駆動信号S2と吐出信号Stを受けた液滴吐出装置20の作用は、上述した液滴吐出装置10の作用と略同一である。なお、液滴吐出装置20では、導電材料等の液状材料Kを、第1工程で成膜された材料層上に更に配置する場合もある。
次いで、基板Pがチャンバ41に搬入されると、ヒートローラー45の表面で加熱されて、材料層の乾燥が行われる。例えば、ヒートローラー45の表面温度が60℃、ヒートローラー45の円周長が2m、ベルト51の巻きつけ数が15巻の場合には、チャンバ41内では、60℃で6分間の乾燥処理が行われる。なお、基板Pの移動速度Vは、上述したように毎分5mである。
そして、チャンバ41から搬出された基板Pをベルト51から剥離することにより、第2工程が完了し、基板Pに所定パターンの材料膜が形成されたデバイスが製造される。
【0025】
上述したように、デバイス製造装置Sによる一連の処理により、基板P上に配置された液状材料Kの連続的、動的な乾燥、成膜が可能となる。また、同一の乾燥処理工程内でヒートローラーを複数設けることにより、複数段階の乾燥処理も可能となり、成膜性を向上させることができる。また、基板Pを移動させながら乾燥処理を行うので、液状材料K等に含まれる溶剤の蒸発の影響から逃れることができ、液状材料Kの乾燥むらの発生を抑え、均一な材料膜を成膜させることができる。
また、基板Pを搬送するベルト51をヒートローラーに複数回巻きつけるので、乾燥装置の省スペース化を実現できる。また、ヒートローラーの直径(円周長)やベルトの巻きつけ数を調整するだけで、簡単に基板Pの乾燥時間を調整することができる。
【0026】
上述した実施形態では、液滴吐出装置10、20をインクジェット装置として説明したが、特にインクジェット装置には限定されず、基板P上に液状材料Kを設置可能なものであればよく、例えばスクリーン印刷法やディスペンサにより基板P上に液状材料を設置してもよい。
また、液滴吐出装置10,20、および乾燥装置30、40の数は、任意に変更可能である。成膜させる材料層の数に応じて変化させればよい。また、液滴吐出装置10,20、と乾燥装置30、40の数は、同一でなくてもよい。例えば、乾燥装置の数を液滴吐出装置よりも多くしてもよい。
また、ヒートローラー35、36とを同一のチャンバ31内に配置したが、別々のチャンバ内に配置してもよい。また、チャンバ31、41を設けないことも可能である。
また、基板Pを連続的に移動させて乾燥処理を行えばよく、例えば、液滴吐出装置10、20を基板移動装置50とは、別に配置してもよい。また、工程毎に複数の基板移動装置50を設けてもよい。
【0027】
上述した実施形態では、ベルト51上に基板Pを戴置する場合について説明したが、これに限らない。例えば、ベルト51に代えてベルト状の基板Pを用いてもよい。この基板Pの所定位置に材料層を成膜させた後に、基板Pを切断することにより、複数のデバイスを製造するようにしてもよい。
【0028】
次に、上述した構成を有するデバイス製造装置Sを用いて、基板Pに対して液滴吐出装置10、20から液状材料Kを吐出して基板P上に複数の材料層を積層することにより、基板Pに積層配線パターンを形成する方法の一例について説明する。
以下の説明では、一例として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスDS及びこれを駆動するTFT(薄膜トランジスタ)を製造する手順を示す。
【0029】
EL表示デバイスDSは、蛍光性の無機および有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。
【0030】
ここで、上述したように、液滴吐出装置10、20は吐出ヘッド11、21を複数備えており、各吐出ヘッドからはそれぞれ異なる材料を含む液状材料Kが吐出されるようになっている。液状材料Kは、材料を微粒子状にし溶媒及びバインダーを用いてペースト化したものであって、吐出ヘッド11、21が吐出可能な粘度(例えば50cps以下)に設定されている。そして、基板Pに対してこれら複数の吐出ヘッドのうち、第1の吐出ヘッド11から第1の材料を含む液状材料を吐出した後これを乾燥(焼成)し、次いで第2の吐出ヘッド21から第2の材料を含む液状材料を第1の材料層に対して吐出した後これを乾燥(焼成)し、以下、複数の吐出ヘッドを用いて同様の処理を行うことにより、基板P上に複数の材料層が積層され、多層配線パターンが形成されるようになっている。
【0031】
図6,図7,図8は、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置の一例を示す図であって、図6は有機EL表示装置DSの回路図、図7は対向電極や有機エレクトロルミネッセンス素子を取り除いた状態での画素部の拡大平面図である。
【0032】
図6に示す回路図のように、この有機EL表示装置DSは、基板上に、複数の走査線311と、これら走査線311に対して交差する方向に延びる複数の信号線312と、これら信号線312に並列に延びる複数の共通給電線313とがそれぞれ配線されたもので、走査線311及び信号線312の各交点毎に、画素ARが設けられて構成されたものである。
【0033】
信号線312に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ線駆動回路302が設けられている。
一方、走査線311に対しては、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路304が設けられている。また、画素領域ARの各々には、走査線311を介して走査信号がゲート電極に供給される第1の薄膜トランジスタ322と、この第1の薄膜トランジスタ322を介して信号線312から供給される画像信号を保持する保持容量capと、保持容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給される第2の薄膜トランジスタ324と、この第2の薄膜トランジスタ324を介して共通給電線313に電気的に接続したときに共通給電線313から駆動電流が流れ込む画素電極323と、この画素電極(陽極)323と対向電極(陰極)522との間に挟み込まれる発光部(発光層)360とが設けられている。
【0034】
このような構成のもとに、走査線311が駆動されて第1の薄膜トランジスタ322がオンとなると、そのときの信号線312の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、第2の薄膜トランジスタ324の導通状態が決まる。そして、第2の薄膜トランジスタ324のチャネルを介して共通給電線313から画素電極323に電流が流れ、さらに発光層360を通じて対向電極522に電流が流れることにより、発光層360は、これを流れる電流量に応じて発光するようになる。
【0035】
ここで、各画素ARの平面構造は、図7に示すように、平面形状が長方形の画素電極323の四辺が、信号線312、共通給電線313、走査線311及び図示しない他の画素電極用の走査線によって囲まれた配置となっている。
【0036】
図8は図6のA−A矢視断面図である。ここで、図8に示す有機EL表示装置DSは、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が配置された基板P側とは反対側から光を取り出す形態、いわゆるトップエミッション型である。
【0037】
基板Pの形成材料としては、ガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの合成樹脂などが挙げられる。ここで、有機EL表示装置DSがトップエミッション型である場合、基板Pは不透明であってもよく、その場合、アルミナ等のセラミック、ステンレス等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。なお、本発明では、基板Pが可撓性を有するように形成される。
【0038】
一方、TFTが配置された基板側から光を取り出す形態、いわゆるバックエミッション型においては、基板としては透明なものが用いられ、光を透過可能な透明あるいは半透明材料、例えば、透明なガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの透明な合成樹脂などが挙げられる。特に、基板の形成材料としては、安価なソーダガラスが好適に用いられる。
【0039】
図8に示すように、トップエミッション型の有機EL表示装置DSは、基板Pと、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等の透明電極材料からなる陽極(画素電極)323と、陽極323から正孔を輸送可能な正孔輸送層370と、電気光学物質の1つである有機EL物質を含む発光層(有機EL層、電気光学素子)360と、発光層360の上面に設けられている電子輸送層350と、電子輸送層350の上面に設けられているアルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)等からなる陰極(対向電極)522と、基板P上に形成され、画素電極323にデータ信号を書き込むか否かを制御する通電制御部としての薄膜トランジスタ(以下、「TFT」と称する)324とを有している。TFT324は、走査線駆動回路304及びデータ線駆動回路302からの作動指令信号に基づいて作動し、画素電極323への通電制御を行う。
【0040】
TFT324は、SiO2を主体とする下地保護層581を介して基板Pの表面に設けられている。このTFT324は、下地保護層581の上層に形成されたシリコン層541と、シリコン層541を覆うように下地保護層581の上層に設けられたゲート絶縁層582と、ゲート絶縁層582の上面のうちシリコン層541に対向する部分に設けられたゲート電極542と、ゲート電極542を覆うようにゲート絶縁層582の上層に設けられた第1層間絶縁層583と、ゲート絶縁層582及び第1層間絶縁層583にわたって開孔するコンタクトホールを介してシリコン層541と接続するソース電極543と、ゲート電極542を挟んでソース電極543と対向する位置に設けられ、ゲート絶縁層582及び第1層間絶縁層583にわたって開孔するコンタクトホールを介してシリコン層541と接続するドレイン電極544と、ソース電極543及びドレイン電極544を覆うように第1層間絶縁層583の上層に設けられた第2層間絶縁層584とを備えている。
【0041】
そして、第2層間絶縁層584の上面に画素電極323が配置され、画素電極323とドレイン電極544とは、第2層間絶縁層584に設けられたコンタクトホール323aを介して接続されている。また、第2層間絶縁層584の表面のうち有機EL素子が設けられている以外の部分と陰極522との間には、合成樹脂などからなる第3絶縁層(バンク層)521が設けられている。
【0042】
なお、シリコン層541のうち、ゲート絶縁層582を挟んでゲート電極542と重なる領域がチャネル領域とされている。また、シリコン層541のうち、チャネル領域のソース側にはソース領域が設けられている一方、チャネル領域のドレイン側にはドレイン領域が設けられている。このうち、ソース領域が、ゲート絶縁層582と第1層間絶縁層583とにわたって開孔するコンタクトホールを介して、ソース電極543に接続されている。一方、ドレイン領域が、ゲート絶縁層582と第1層間絶縁層583とにわたって開孔するコンタクトホールを介して、ソース電極543と同一層からなるドレイン電極544に接続されている。画素電極323は、ドレイン電極544を介して、シリコン層541のドレイン領域に接続されている。
【0043】
次に、図9及び図10を参照しながら図8に示した有機EL表示装置DSの製造プロセスについて説明する。
はじめに、基板P上にシリコン層541を形成する。シリコン層541を形成する際には、まず、図9(a)に示すように、基板Pの表面にTEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約200〜500nmのシリコン酸化膜からなる下地保護層581を形成する。
【0044】
次に、図9(b)に示すように、基板Pの温度を約350℃に設定して、下地保護層581の表面にプラズマCVD法あるいはICVD法により厚さ約30〜70nmのアモルファスシリコン膜からなる半導体層541Aを形成する。次いで、この半導体層541Aに対してレーザアニール法、急速加熱法、または固相成長法などによって結晶化工程を行い、半導体層541Aをポリシリコン層に結晶化する。レーザアニール法では、例えばエキシマレーザでビームの長寸が400mmのラインビームを用い、その出力強度は例えば200mJ/cm2 とする。ラインビームについては、その短寸方向におけるレーザ強度のピーク値の90%に相当する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査する。
【0045】
次いで、図9(c)に示すように、半導体層(ポリシリコン層)541Aをパターニングして島状のシリコン層541とした後、その表面に対して、TEOSや酸化ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約60〜150nmのシリコン酸化膜又は窒化膜からなるゲート絶縁層582を形成する。なお、シリコン層541は、図6に示した第2の薄膜トランジスタ324のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となるものであるが、異なる断面位置においては第1の薄膜トランジスタ322のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となる半導体膜も形成されている。つまり、二種類のトランジスタ322、324は同時に形成されるが、同じ手順で作られるため、以下の説明において、トランジスタに関しては、第2の薄膜トランジスタ324についてのみ説明し、第1の薄膜トランジスタ322についてはその説明を省略する。
【0046】
なお、ゲート絶縁層582を多孔性を有するシリコン酸化膜(SiO2膜)としてもよい。多孔性を有するSiO2膜からなるゲート絶縁層582は、反応ガスとしてSi2H6とO3とを用いて、CVD法(化学的気相成長法)により形成される。これらの反応ガスを用いると、気相中に粒子の大きいSiO2が形成され、この粒子の大きいSiO2がシリコン層541や下地保護層581の上に堆積する。そのため、ゲート絶縁層582は、層中に多くの空隙を有し、多孔質体となる。そして、ゲート絶縁層582は多孔質体となることによって低誘電率を有するようになる。
【0047】
なお、ゲート絶縁層582の表面にH(水素)プラズマ処理をしてもよい。これにより、空隙の表面のSi−O結合中のダングリングボンドがSi−H結合に置き換えられ、膜の耐吸湿性が良くなる。そして、このプラズマ処理されたゲート絶縁層582の表面に別のSiO2層を設けてもよい。こうすることにより、低誘電率な絶縁層が形成できる。
また、ゲート絶縁層582をCVD法で形成する際の反応ガスは、Si2H6+O3の他に、Si2H6+O2、Si3H8+O3、Si3H8+O2としてもよい。更に、上記の反応ガスに加えて、B(ホウ素)含有の反応ガス、F(フッ素)含有の反応ガスを用いてもよい。
【0048】
更に、ゲート絶縁層582をインクジェット法を用いて形成してもよい。ゲート絶縁層582を形成するための吐出ヘッド11から吐出させる液状材料としては、上述したSiO2等の材料を適当な溶媒に分散してペースト化したものや、絶縁性材料含有ゾルなどが挙げられる。絶縁性材料含有ゾルとしては、テトラエトキシシラン等のシラン化合物をエタノール等の適当な溶媒に溶かしたものや、アルミニウムのキレート塩、有機アルカリ金属塩または有機アルカリ土類金属塩等を含有する組成物で、焼成すると無機酸化物のみになるように調合したものでもよい。インクジェット法によって形成されたゲート絶縁層582は、この後、予備乾燥される。
【0049】
インクジェット法によってゲート絶縁層582を形成する際には、ゲート絶縁層582を形成するための吐出動作をする前に、下地保護層581やシリコン層541に対して液状材料の親和性を制御する表面処理をしておいてもよい。この場合の表面処理は、UV、プラズマ処理等の親液処理である。こうすることにより、ゲート絶縁層582を形成するための液状材料は下地保護層581などに密着するとともに、平坦化される。
【0050】
次いで、図9(d)に示すように、ゲート絶縁層582上にアルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属を含む導電膜をスパッタ法により形成した後、これをパターニングし、ゲート電極542を形成する。次いで、この状態で高濃度のリンイオンを打ち込み、シリコン層541に、ゲート電極542に対して自己整合的にソース領域541s及びドレイン領域541dを形成する。この場合、ゲート電極542はパターニング用マスクとして用いられる。なお、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域541cとなる。
【0051】
次いで、図9(e)に示すように、第1層間絶縁層583を形成する。第1層間絶縁層583は、ゲート絶縁層582同様、シリコン酸化膜または窒化膜、多孔性を有するシリコン酸化膜などによって構成され、ゲート絶縁層582の形成方法と同様の手順でゲート絶縁層582の上層に形成される。
更に、第1層間絶縁層583の形成工程を、ゲート絶縁層582の形成工程と同様、インクジェット法によって行ってもよい。第1層間絶縁層583を形成するための吐出ヘッド11から吐出させる液状材料としては、ゲート絶縁層582同様、SiO2等の材料を適当な溶媒に分散してペースト化したものや、絶縁性材料含有ゾルなどが挙げられる。絶縁性材料含有ゾルとしては、テトラエトキシシラン等のシラン化合物をエタノール等の適当な溶媒に溶かしたものや、アルミニウムのキレート塩、有機アルカリ金属塩または有機アルカリ土類金属塩等を含有する組成物で、焼成すると無機酸化物のみになるように調合したものでもよい。インクジェット法によって形成された第1層間絶縁層583は、この後、予備乾燥される。
【0052】
インクジェット法によって第1層間絶縁層583を形成する際には、第1層間絶縁層583を形成するための吐出動作をする前に、ゲート絶縁層582上面に対して液状材料の親和性を制御する表面処理をしておいてもよい。この場合の表面処理は、UV、プラズマ処理等の親液処理である。こうすることにより、第1層間絶縁層583を形成するための液状材料はゲート絶縁層582に密着するとともに、平坦化される。
【0053】
そして、この第1層間絶縁層583及びゲート絶縁層582にフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、ソース電極及びドレイン電極に対応するコンタクトホールを形成する。次いで、第1層間絶縁層583を覆うように、アルミニウムやクロム、タンタル等の金属からなる導電層を形成した後、この導電層のうち、ソース電極及びドレイン電極が形成されるべき領域を覆うようにパターニング用マスクを設けるとともに、導電層をパターニングすることにより、ソース電極543及びドレイン電極544を形成する。
【0054】
次に、図示はしないが、第1層間絶縁層583上に、信号線、共通給電線、走査線を形成する。このとき、これらに囲まれる箇所は後述するように発光層等を形成する画素となることから、例えばバックエミッション型とする場合には、TFT324が前記各配線に囲まれた箇所の直下に位置しないよう、各配線を形成する。
【0055】
次いで、図10(a)に示すように、第2層間絶縁層584を、第1層間絶縁層583、各電極543、544、前記不図示の各配線を覆うように形成する。
第1層間絶縁層583はインクジェット法によって形成される。ここで、デバイス製造装置Sの制御装置60は、図10(a)に示すように、ドレイン電極544の上面に非吐出領域(非滴下領域)Hを設定し、ドレイン電極544のうち非吐出領域H以外の部分、ソース電極543及び第1層間絶縁層583を覆うように、第2層間絶縁層584を形成するための液状材料を吐出し、第2層間絶縁層584を形成する。こうすることによって、コンタクトホール323aが形成される。あるいは、コンタクトホール323aをフォトリソグラフィ法で形成してもよい。
【0056】
ここで、第2層間絶縁層584を形成するための吐出ヘッド11から吐出させる液状材料としては、第1層間絶縁層583同様、SiO2等の材料を適当な溶媒に分散してペースト化したものや、絶縁性材料含有ゾルなどが挙げられる。絶縁性材料含有ゾルとしては、テトラエトキシシラン等のシラン化合物をエタノール等の適当な溶媒に溶かしたものや、アルミニウムのキレート塩、有機アルカリ金属塩または有機アルカリ土類金属塩等を含有する組成物で、焼成すると無機酸化物のみになるように調合したものでもよい。インクジェット法によって形成された第2層間絶縁層584は、この後、予備乾燥される。
【0057】
インクジェット法によって第2層間絶縁層584を形成する際には、第2層間絶縁層584を形成するための吐出動作をする前に、ドレイン電極544の非吐出領域Hに対して液状材料の親和性を制御する表面処理をしておいてもよい。この場合の表面処理は、撥液処理である。こうすることにより、非吐出領域Hには液状材料が配置されず、コンタクトホール323aを安定して形成できる。また、非吐出領域H以外のドレイン電極544上面、ソース電極543上面、第1層間絶縁層583上面には、予め親液処理を施しておくことにより、第2層間絶縁層584を形成するための液状材料は第1層間絶縁層583やソース電極543、ドレイン電極544のうち非吐出領域H以外に部分に密着するとともに、平坦化される。
【0058】
こうして、第2層間絶縁層584のうちドレイン電極544に対応する部分にコンタクトホール323aを形成しつつ、ドレイン電極544の上層に第2層間絶縁層584を形成したら、図10(b)に示すように、コンタクトホール323aにITO等の導電性材料を充填するように、すなわち、コンタクトホール323aを介してドレイン電極544に連続するように導電性材料をパターニングし、画素電極(陽極)323を形成する。
【0059】
有機EL素子に接続する陽極323は、ITOやフッ素をドープしてなるSnO2、更にZnOやポリアミン等の透明電極材料からなり、コンタクトホール323aを介してTFT324のドレイン電極544に接続されている。陽極323を形成するには、前記透明電極材料からなる膜を第2層間絶縁層584上面に形成し、この膜をパターニングすることにより形成される。
【0060】
陽極323を形成したら、図10(c)に示すように、第2層間絶縁層584の所定位置及び陽極323の一部を覆うように、第3絶縁層521である有機バンク層を形成する。第3絶縁層521はアクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの合成樹脂によって構成されている。具体的な第3絶縁層521の形成方法としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などのレジストを溶媒に融かしたものを、スピンコート、ディップコート等により塗布して絶縁層を形成する。なお、絶縁層の構成材料は、後述する液状材料の溶媒に溶解せず、しかもエッチング等によってパターニングしやすいものであればどのようなものでもよい。更に、絶縁層をフォトリソグラフィ技術等により同時にエッチングして、開口部521aを形成することにより、開口部521aを備えた第3絶縁層521が形成される。
【0061】
ここで、第3絶縁層521の表面には、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域とが形成される。本実施形態においてはプラズマ処理工程により、各領域を形成するものとしている。具体的にプラズマ処理工程は、予備加熱工程と、開口部521aの壁面並びに画素電極323の電極面を親液性にする親液化工程と、第3絶縁層521の上面を撥液性にする撥液化工程と、冷却工程とを有している。
すなわち、基材(第3絶縁層等を含む基板P)を所定温度(例えば70〜80度程度)に加熱し、次いで親液化工程として大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。続いて、撥液化工程として大気雰囲気中で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行い、プラズマ処理のために加熱された基材を室温まで冷却することで、親液性及び撥液性が所定箇所に付与されることとなる。なお、画素電極323の電極面についても、このCF4プラズマ処理の影響を多少受けるが、画素電極323の材料であるITO等はフッ素に対する親和性に乏しいため、親液化工程で付与された水酸基がフッ素基で置換されることがなく、親液性が保たれる。
【0062】
次いで、図10(d)に示すように、陽極323の上面に正孔輸送層370を形成する。ここで、正孔輸送層370の形成材料としては、特に限定されることなく公知のものが使用可能であり、例えば、トリフェニルアミン誘導体(TPD)、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等からなる。具体的には、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示されるが、トリフェニルジアミン誘導体が好ましく、中でも4,4’−ビス(N(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルが好適とされる。
【0063】
なお、正孔輸送層に代えて正孔注入層を形成するようにしてもよく、さらに正孔注入層と正孔輸送層を両方形成するようにしてもよい。その場合、正孔注入層の形成材料としては、例えば銅フタロシアニン(CuPc)や、ポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム等が挙げられるが、特に銅フタロシアニン(CuPc)を用いるのが好ましい。
【0064】
正孔注入/輸送層370を形成する際には、インクジェット法が用いられる。すなわち、上述した正孔注入/輸送層材料を含む組成物液状材料を陽極323の電極面上に吐出した後に、予備乾燥処理を行うことにより、陽極323上に正孔注入/輸送層370が形成される。なお、この正孔注入/輸送層形成工程以降は、正孔注入/輸送層370及び発光層(有機EL層)360の酸化を防止すべく、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。例えば、吐出ヘッド(不図示)に正孔注入/輸送層材料を含む組成物液状材料を充填し、吐出ヘッドの吐出ノズルを陽極323の電極面に対向させ、吐出ヘッドと基材(基板P)とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御されたインキ滴を電極面に吐出する。次に、吐出後の液滴を乾燥処理して組成物液状材料に含まれる極性溶媒を蒸発させることにより、正孔注入/輸送層370が形成される。
【0065】
なお、組成物液状材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体と、ポリスチレンスルホン酸等との混合物を、イソプロピルアルコール等の極性溶媒に溶解させたものを用いることができる。ここで、吐出された液滴は、親液処理された陽極323の電極面上に広がり、開口部521aの底部近傍に満たされる。その一方で、撥液処理された第3絶縁層521の上面には液滴がはじかれて付着しない。したがって、液滴が所定の吐出位置からはずれて第3絶縁層521の上面に吐出されたとしても、該上面が液滴で濡れることがなく、はじかれた液滴が第3絶縁層521の開口部521a内に転がり込むものとされている。
【0066】
次いで、正孔注入/輸送層370上面に発光層360を形成する。発光層360の形成材料としては、特に限定されることなく、低分子の有機発光色素や高分子発光体、すなわち各種の蛍光物質や燐光物質からなる発光物質が使用可能である。発光物質となる共役系高分子の中ではアリーレンビニレン構造を含むものが特に好ましい。低分子蛍光体では、例えばナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、ポリメチン系、キサテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキノリンおよびその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン誘導体等、または特開昭57−51781、同59−194393号公報等に記載されている公知のものが使用可能である。
【0067】
発光層360は、正孔注入/輸送層370の形成方法と同様の手順で形成される。すなわち、インクジェット法によって発光層材料を含む組成物液状材料を正孔注入/輸送層370の上面に吐出した後に、予備乾燥処理を行うことにより、第3絶縁層521に形成された開口部521a内部の正孔注入/輸送層370上に発光層360が形成される。この発光層形成工程も上述したように不活性ガス雰囲気下で行われる。吐出された組成物液状材料は撥液処理された領域ではじかれるので、液滴が所定の吐出位置からはずれたとしても、はじかれた液滴が第3絶縁層521の開口部521a内に転がり込む。
【0068】
次いで、発光層360の上面に電子輸送層350を形成する。電子輸送層350も発光層360の形成方法と同様、インクジェット法により形成される。電子輸送層350の形成材料としては、特に限定されることなく、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体等が例示される。具体的には、先の正孔輸送層の形成材料と同様に、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示され、特に2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウムが好適とされる。インクジェット法により組成物液状材料を吐出した後、予備乾燥処理が行われる。
【0069】
なお、前述した正孔注入/輸送層370の形成材料や電子輸送層350の形成材料を発光層360の形成材料に混合し、発光層形成材料として使用してもよく、その場合に、正孔注入/輸送層形成材料や電子輸送層形成材料の使用量については、使用する化合物の種類等によっても異なるものの、十分な成膜性と発光特性を阻害しない量範囲でそれらを考慮して適宜決定される。通常は、発光層形成材料に対して1〜40重量%とされ、さらに好ましくは2〜30重量%とされる。
【0070】
次いで、図10(e)に示すように、電子輸送層350及び第3絶縁層521の上面に陰極522を形成する。陰極522は、電子輸送層350及び第3絶縁層521の表面全体、あるいはストライプ状に形成されている。陰極522については、もちろんAl、Mg、Li、Caなどの単体材料やMg:Ag(10:1合金)の合金材料からなる1層で形成してもよいが、2層あるいは3層からなる金属(合金を含む。)層として形成してもよい。具体的には、Li2 O(0.5nm程度)/AlやLiF(0.5nm程度)/Al、MgF2 /Alといった積層構造のものも使用可能である。陰極222は上述した金属からなる薄膜であり、光を透過可能である。
【0071】
なお、上記実施形態では、各絶縁層を形成する際にインクジェット法を用いているが、ソース電極543やドレイン電極544、あるいは陽極323や陰極522を形成する際にインクジェット法を用いてもよい。予備乾燥処理は、組成物液状材料のそれぞれを吐出後、行われる。
【0072】
なお、導電性材料層を構成する導電性材料(デバイス形成用材料)としては、所定の金属、あるいは導電性ポリマーが挙げられる。
金属としては、金属ペーストの用途によって銀、金、ニッケル、インジウム、錫、鉛、亜鉛、チタン、銅、クロム、タンタル、タングステン、パラジウム、白金、鉄、コバルト、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、スカンジウム、ロジウム、イリジウム、バナジウム、ルテニウム、オスミウム、ニオブ、ビスマス、バリウムなどのうち少なくとも1種の金属又はこれらの合金が挙げられる。また、酸化銀(AgO又はAg2O)や酸化銅なども挙げられる。
【0073】
また、上記導電性材料を吐出ヘッドから吐出可能にペースト化する際の有機溶媒としては、炭素数5以上のアルコール類(例えばテルピネオール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、フェネチルアルコール)の1種以上を含有する溶媒、又は有機エステル類(例えば酢酸エチル、オレイン酸メチル、酢酸ブチル、グリセリド)の1種以上を含有する溶媒であればよく、使用する金属又は金属ペーストの用途によって適宜選択できる。更には、ミネラルスピリット、トリデカン、ドデシルベンゼンもしくはそれらの混合物、又はそれらにα−テルピネオールを混合したもの、炭素数5以上の炭化水素(例えば、ピネン等)、アルコール(例えば、n−ヘプタノール等)、エーテル(例えば、エチルベンジルエーテル等)、エステル(例えば、n−ブチルステアレート等)、ケトン(例えば、ジイソブチルケトン等)、有機窒素化合物(例えば、トリイソプロパノールアミン等)、有機ケイ素化合物(シリコーン油等)、有機硫黄化合物もしくはそれらの混合物を用いることもできる。なお、有機溶媒中に必要に応じて適当な有機物を添加してもよい。そして、これら溶媒に応じて、予備乾燥処理の際のガス温度が設定される。
【0074】
上記実施形態の有機EL表示装置DSを備えた電子機器800の例について説明する。
図11(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図11(a)において、携帯電話1000(電子機器800)は、上記の有機EL表示装置DSを用いた表示部1001を備える。
図11(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図11(b)において、腕時計1100(電子機器800)は、上記の有機EL表示装置DSを用いた表示部1101を備える。
図11(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図11(c)において、情報処理装置1200(電子機器800)は、キーボードなどの入力部1202、情報処理装置本体1204、上記の有機EL表示装置DSを用いた表示部1206を備える。
以上のように、図11に示す電子機器800は、上記実施の形態の有機EL表示装置DSを表示部として備えているので、表示品位に優れ、明るい画面の有機EL表示部を備えた電子機器を実現することができる。
【0075】
上記実施形態は、本発明のデバイスの製造方法を、有機EL表示デバイスの駆動用TFTの配線パターン形成に適用したものであるが、有機EL表示デバイスに限らず、PDP(プラズマディスプレイパネル)デバイスの配線パターンの製造、液晶表示デバイスの配線パターンの製造など、各種多層配線デバイスの製造に適用可能である。そして、各種多層配線デバイスを製造するに際し、導電性材料層及び絶縁性材料層のうちいずれの材料層を形成する際にもインクジェット法を適用できる。
【0076】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施の形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】デバイス製造装置を示す模式図である。
【図2】液滴吐出装置を示す図である。
【図3】吐出ヘッドの分解斜視図である。
【図4】吐出ヘッドの主要部の斜視図一部断面図である。
【図5】ヒートローラーを示す斜視図である。
【図6】アクティブマトリクス型有機EL表示装置を示す回路図である。
【図7】有機EL表示装置における画素部の平面構造を示す拡大図である。
【図8】有機EL表示装置の層構成を示す図である。
【図9】有機EL表示装置の製造方法を示す説明図である。
【図10】有機EL表示装置の製造方法を示す説明図である。
【図11】有機EL表示装置を備えた電子機器を示す図である。
【符号の説明】
P 基板 K 液状材料 S デバイス製造装置 10,20 液滴吐出装置(成膜装置) 30,40 乾燥装置 31,41 チャンバ 35,36,45 ヒートローラー(ローラー) 50 基板搬送装置 DS 有機EL表示装置,有機EL表示デバイス(デバイス) 800 電子機器
Claims (11)
- 可撓性を有する基板上に供給された液状材料を乾燥させる方法において、
外周を加熱されたローラーに前記基板を巻き付けて、該ローラーの外周温度と該ローラーとの接触時間とに基づいて与えられる熱量により、前記液状材料を加熱して乾燥させることを特徴とする液状材料の乾燥方法。 - 前記ローラーに前記基板を巻き付ける際に、
螺旋状に巻き付けられることを特徴とする請求項1に記載の液状材料の乾燥方法。 - 前記ローラーに前記基板を巻き付ける際に、
前記基板の裏面が前記ローラーに接するように巻き付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液状材料の乾燥方法。 - 可撓性を有する基板上に供給された液状材料を乾燥させる装置において、
外周を加熱された少なくとも1以上のローラーと、前記ローラーに巻き付けられた搬送路に前記基板を連続的に移動させる基板搬送装置とを備えることを特徴とする液状材料の乾燥装置。 - ローラーの温度を変えることで、連続的に異なる温度処理を行うことができる乾燥装置。
- 前記ローラーが略密閉されたチャンバ内に収容されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液状材料の乾燥装置。
- 可撓性を有する基板上に液状材料を供給し該基板上に複数の材料層を積層する工程を有するデバイスの製造方法において、
前記液状材料を前記基板上に設置する成膜工程と、請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の乾燥方法により前記基板上に配置された前記液状材料を乾燥させる乾燥工程とを有することを特徴とするデバイスの製造方法。 - 可撓性を有する基板上に液状材料を供給し該基板上に複数の材料層を積層する工程を有するデバイスの製造装置において、
前記液状材料を前記基板上に設置する成膜装置と、請求項4から請求項6にうちいずれか一項に記載の乾燥装置とを備えることを特徴とするデバイスの製造装置。 - 前記成膜装置は、前記液状材料を定量的に滴出する液滴吐出装置であることを特徴とする請求項8に記載のデバイス製造装置。
- 請求項7に記載のデバイスの製造方法、或いは請求項8又は請求項9に記載のデバイス製造装置により製造されることを特徴とするデバイス。
- 請求項10に記載のデバイスが搭載されることを特徴とする電子機器。
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-
2003
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